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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】抗イヌCD20抗体
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20240709BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240709BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240709BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240709BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240709BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240709BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240709BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20240709BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240709BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240709BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240709BHJP
   A01K 67/0278 20240101ALN20240709BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C12N15/13
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
A61K39/395 N
A61P35/00
A61P35/02
A01K67/0278
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577850
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2024-02-09
(86)【国際出願番号】 GB2022051559
(87)【国際公開番号】W WO2022263864
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】2108677.2
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2202635.5
(32)【優先日】2022-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522414327
【氏名又は名称】ペットメディックス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135415
【弁理士】
【氏名又は名称】中濱 明子
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー,アラン
(72)【発明者】
【氏名】ボーランド,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジュエシュエン
(72)【発明者】
【氏名】スタバニ,ラーチャ・ビージェイ
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA19
4B064CC24
4B064CE12
4B064DA01
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA88X
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG02
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA70
4H045BA71
4H045BA72
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本開示は、イヌCD20に結合する抗体及びその抗原結合部分に関する。本開示はまた、イヌ対象におけるB細胞によって媒介される状態の治療のための組成物及び方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イヌCD20に結合する、単離されたイヌ抗体又はその抗原結合部分であって、前記抗体が、
a)配列番号27を含むか若しくはそれからなるHC CDR1配列、又は配列番号27と比較して1個若しくは2個のアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列、
b)配列番号28を含むか若しくはそれからなるHC CDR2配列、又は配列番号28と比較して1個、2個、3個、若しくは4個のアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列、
c)配列番号29を含むか若しくはそれからなるHC CDR3配列、又は配列番号29と比較して1個若しくは2個のアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列、
d)配列番号30を含むか若しくはそれからなるLC CDR1配列、又は配列番号30と比較して1個のアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列、
e)配列番号31を含むか若しくはそれからなるLC CDR2配列、又は配列番号31と比較して1個のアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列、及び
f)配列番号32を含むか若しくはそれからなるLC CDR3配列、又は配列番号32と比較して1個若しくは2個のアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列を含む、抗体又はその抗原結合部分。
【請求項2】
前記抗体又はその抗原結合部分が、
i)配列番号7を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号8を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号9を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号10を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号11を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号12を含むか又はそれからなるLC CDR3配列、
ii)配列番号17を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号18を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号19を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号20を含むLC CDR1配列、配列番号21を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号22を含むか又はそれからなるLC CDR3配列、
iii)配列番号37を含むHC CDR1配列、配列番号38を含むHC CDR2配列、配列番号39を含むHC CDR3配列、配列番号40を含むLC CDR1配列、配列番号41を含むLC CDR2配列、及び配列番号42を含むLC CDR3配列、
iv)配列番号47を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号48を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号49を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号50を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号51を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号52を含むか又はそれからなるLC CDR3配列、
v)配列番号82を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号83を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号84を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号85を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号86を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号87を含むか又はそれからなるLC CDR3配列、
vi)配列番号92を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号93を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号94を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号95を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号96を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号97を含むか又はそれからなるLC CDR3配列、
vii)配列番号102を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号103を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号104を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号105を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号106を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号107を含むか又はそれからなるLC CDR3配列、
viii)配列番号112を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号113を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号114を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号115を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号116を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号117を含むか又はそれからなるLC CDR3配列、
ix)配列番号122を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号123を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号124を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号125を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号126を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号127を含むか又はそれからなるLC CDR3配列、
x)配列番号132を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号133を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号134を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号135を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号136を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号137を含むか又はそれからなるLC CDR3配列、
xi)配列番号142を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号143を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号144を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号145を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号146を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号147を含むか又はそれからなるLC CDR3配列、
xii)配列番号152を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号153を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号154を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号155を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号156を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号157を含むか又はそれからなるLC CDR3配列、
xii)配列番号162を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号163を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号164を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号165を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号166を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号167を含むか又はそれからなるLC CDR3配列、
xiii)配列番号172を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号173を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号174を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号175を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号176を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号177を含むか又はそれからなるLC CDR3配列、
xiv)配列番号182を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号183を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号184を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号185を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号186を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号187を含むか又はそれからなるLC CDR3配列、
xv)配列番号192を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号193を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号194を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号195を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号196を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号197を含むか又はそれからなるLC CDR3配列、
xvi)配列番号202を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号203を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号204を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号205を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号206を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号207を含むか又はそれからなるLC CDR3配列、
xvii)配列番号212を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号213を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号214を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号215を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号216を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号217を含むか又はそれからなるLC CDR3配列、
xviii)配列番号222を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号223を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号224を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号225を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号226を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号227を含むか又はそれからなるLC CDR3配列、
xix)配列番号232を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号233を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号234を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号235を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号236を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号237を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する、請求項1に記載の抗体又はその抗原結合部分。
【請求項3】
前記抗体又はその抗原結合部分が、配列番号24を含むHC可変領域配列、又はそれに対して少なくとも75%、80%、85%、若しくは90%の配列同一性を有する配列、及び配列番号26を含むLC可変領域配列、又はそれに対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有する配列、例えば、配列番号53、54、55、56、57、若しくは58を含むLC可変領域配列を含む、先行請求項に記載の抗体又はその抗原結合部分。
【請求項4】
前記抗体又はその抗原結合部分が、
a)配列番号4を含むHC可変領域配列、及び配列番号6を含むLC可変領域配列、
b)配列番号14を含むHC可変領域配列、及び配列番号16を含むLC可変領域配列、
c)配列番号34を含むHC可変領域配列、及び配列番号36を含むLC可変領域配列、
d)配列番号44を含むHC可変領域配列、及び配列番号46を含むLC可変領域配列、
e)配列番号79を含むHC可変領域配列、及び配列番号81を含むLC可変領域配列、若しくは配列番号238を含むLC可変領域配列、
f)配列番号89を含むHC可変領域配列、及び配列番号91を含むLC可変領域配列、若しくは配列番号239を含むLC可変領域配列、
g)配列番号99を含むHC可変領域配列、及び配列番号101を含むLC可変領域配列、若しくは配列番号240を含むLC可変領域配列、
h)配列番号109を含むHC可変領域配列、及び配列番号111を含むLC可変領域配列、若しくは配列番号241を含むLC可変領域配列、
i)配列番号119を含むHC可変領域配列、及び配列番号121を含むLC可変領域配列、
j)配列番号129を含むHC可変領域配列、及び配列番号131を含むLC可変領域配列、若しくは配列番号242を含むLC可変領域配列、
k)配列番号139を含むHC可変領域配列、及び配列番号141を含むLC可変領域配列、若しくは配列番号243を含むLC可変領域配列、
l)配列番号149を含むHC可変領域配列、及び配列番号151を含むLC可変領域配列、若しくは配列番号244を含むLC可変領域配列、
m)配列番号159を含むHC可変領域配列、及び配列番号161を含むLC可変領域配列、若しくは配列番号245を含むLC可変領域配列、
n)配列番号169を含むHC可変領域配列、及び配列番号171を含むLC可変領域配列、
o)配列番号179を含むHC可変領域配列、及び配列番号181を含むLC可変領域配列、若しくは配列番号246を含むLC可変領域配列、
p)配列番号189を含むHC可変領域配列、及び配列番号191を含むLC可変領域配列、若しくは配列番号247を含むLC可変領域配列、
q)配列番号199を含むHC可変領域配列、及び配列番号201を含むLC可変領域配列 配列番号248を含むLC可変領域配列、
r)配列番号209を含むHC可変領域配列、及び配列番号211を含むLC可変領域配列 配列番号249を含むLC可変領域配列、
s)配列番号219を含むHC可変領域配列、及び配列番号221を含むLC可変領域配列、又は
t)配列番号229を含むHC可変領域配列、及び配列番号231を含むLC可変領域配列 配列番号250を含むLC可変領域配列を有する、請求項3に記載の抗体又はその抗原結合部分。
【請求項5】
前記その抗原結合部分が、scFv、Fv、重鎖又は単一ドメイン抗体である、先行請求項に記載の抗体又はその抗原結合部分。
【請求項6】
先行請求項に記載の抗体又はその抗原結合部分と競合するイヌCD20に結合する、単離されたイヌ抗体又はその抗原結合部分。
【請求項7】
前記抗体又はその抗原結合部分が、治療部分にコンジュゲートされる、先行請求項に記載の抗体又はその抗原結合部分。
【請求項8】
前記治療部分が、第2の抗体又はその抗原結合部分である、請求項7に記載の抗体又はその抗原結合部分。
【請求項9】
前記第2の抗体又はその抗原結合部分が、異なる標的に結合する、請求項8に記載の抗体又はその抗原結合部分。
【請求項10】
前記抗体又はその抗原結合部分が、半減期延長部分、標識、細胞毒素、リポソーム、ナノ粒子又は放射性同位体から選択される更なる部分にコンジュゲートされる、先行請求項に記載の抗体又はその抗原結合部分。
【請求項11】
前記抗体又はその抗原結合部分が、a-フコシル化されている、先行請求項に記載の抗体又はその抗原結合部分。
【請求項12】
先行請求項に記載の抗体又はその抗原結合部分を含む、医薬組成物。
【請求項13】
疾患の治療における使用のための、請求項1~11のいずれか一項に記載の抗体若しくはその抗原結合部分、又は請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
B細胞によって媒介される状態の治療を必要としているイヌ対象においてそれを行う方法であって、有効量の請求項1~11のいずれか一項に記載の抗体若しくはその抗原結合部分、又は請求項12に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項15】
前記疾患が、B細胞によって媒介される疾患、例えば、B細胞リンパ腫、白血病、又は免疫媒介性疾患である、請求項13に記載の抗体若しくはその抗原結合部分若しくは医薬組成物、又は請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記対象に、別の治療剤を別々に投与することを更に含む、請求項13若しくは15に記載の抗体若しくはその抗原結合部分若しくは医薬組成物、又は請求項14若しくは15に記載の方法。
【請求項17】
前記治療剤が、細胞毒性剤又は放射性毒性剤、免疫抑制剤又は免疫調節剤、例えば、サイトカイン又はケモカインである、請求項16に記載の抗体若しくはその抗原結合部分若しくは医薬組成物、又は請求項16に記載の方法。
【請求項18】
請求項1~11のいずれか一項に記載の抗体又はその抗体抗原結合部分をコードする、核酸配列。
【請求項19】
配列番号3、5、13、15、23、25、33、35、43、45、78、80、88、90、98、100、108、110、118、120、128、130、138、140、148、150、158、160、168、170、178、180、188、190、198、200、208、210、218、220、228、230、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、又は301から選択される配列を含む、請求項18に記載の核酸配列。
【請求項20】
請求項18又は19に記載の核酸配列を含む、ベクター。
【請求項21】
請求項18若しくは19に記載の核酸配列、又は請求項20に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項22】
請求項1~11のいずれか一項に記載の抗体若しくはその抗原結合部分、又は請求項12に記載の医薬組成物を含む、キット。
【請求項23】
前記抗体又はその抗原結合部分の検出のための試薬を更に含む、請求項22に記載のキット。
【請求項24】
CD20に結合するイヌ抗体を作製するための方法であって、請求項21に記載の単離された宿主細胞を培養し、前記抗体を回収することを含む、方法。
【請求項25】
CD20に結合するイヌ抗体を作製するための方法であって、
a)イヌ重鎖V遺伝子及びイヌ軽鎖V遺伝子を含む核酸構築物を発現するトランスジェニックマウスをCD20抗原で免疫化するステップと、
b)前記マウスから抗体のライブラリを生成するステップと、
c)前記ライブラリから抗体を単離するステップと、を含む、方法。
【請求項26】
イヌ対象からの生体試料中のCD20タンパク質又はCD20タンパク質の細胞外ドメインを検出するための方法であって、生体試料を、請求項1~11のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合部分と接触させることを含み、前記抗体又はその抗原結合部分が、検出可能な標識に連結されている、方法。
【請求項27】
前記生体試料が、生検、組織、血液、血清、血漿、又はリンパ液試料である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
腫瘍成長又は転移を阻害する方法であって、腫瘍細胞を、有効量の請求項1~11のいずれか一項に記載の抗体若しくはその抗原結合部分、又は請求項12に記載の医薬組成物と接触させることを含む、方法。
【請求項29】
CD20を発現する腫瘍細胞を殺傷する方法であって、CD20を発現する前記細胞の殺傷が生じるように、前記細胞を、請求項1~11のいずれか一項に記載の抗体、又は請求項12に記載の医薬組成物と接触させることを含む、方法。
【請求項30】
前記腫瘍細胞が、イヌ腫瘍細胞である、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
抗体又はその抗原結合部分であって、エピトープが、以下のアミノ残基ENLNLIKAPM(配列番号303、配列番号2におけるアミノ酸番号150~159)のうちの1つ以上のアミノ残基、例えば、1~10個、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10個を含むか、又は以下のアミノ残基ENLNLIKAPM(配列番号303、配列番号2におけるアミノ酸番号150~159)からなる、抗体又はその抗原結合部分。
【請求項32】
以下のアミノ残基ITISHFFKMENLNLIKAPM(配列番号302、配列番号2におけるアミノ酸番号141~159)のうちの1つ以上のアミノ残基、例えば1~19個、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、若しくは19個を含むか、又は以下のアミノ残基ITISHFFKMENLNLIKAPM(配列番号302、配列番号2におけるアミノ酸番号141~159)からなるエピトープに結合する、請求項31に記載の抗体又はその抗原結合部分。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
イヌリンパ腫は、イヌにおいて診断される最も一般的ながんの1つであり、全てのがんのうちの約7~14%を表す。ヒトと同様に、イヌリンパ腫には多くの異なる種類があり、急速に進行するがんから慢性疾患まで様々である。
【0002】
CD20は、B細胞の増殖及び分化の制御に関与すると考えられる細胞表面タンパク質である。抗原は、4つの膜貫通スパニング領域を含み、正常及び悪性の両方のほぼ全てのB細胞の表面上に存在する。
【0003】
リツキシマブなどのヒトCD20を認識するヒト抗体は、過剰な数のB細胞、又は過活動若しくは機能不全B細胞によって特徴付けられるヒト疾患を治療するために使用される。これらの抗体はB細胞を破壊する。リツキシマブは、B細胞リンパ腫の治療における革命的な進歩とみなされている。
【0004】
20年以上前にヒトに対するリツキシマブなどの抗体が開発されて以来、イヌCD20を認識する多数の抗体が文献に報告されている。しかしながら、現時点では、いずれも一般的な臨床使用ではない。したがって、異なる療法の必要性が依然として存在する。本発明は、この必要性に対処することを目的とする。
【発明の概要】
【0005】
第1の態様では、本発明は、イヌCD20に結合する、単離されたイヌ抗体又はその抗原結合部分に関し、当該抗体は、
a)配列番号27を含むか若しくはそれからなるHC CDR1配列、又は配列番号27と比較して1個若しくは2個のアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列、
b)配列番号28を含むか若しくはそれからなるHC CDR2配列、又は配列番号28と比較して1個、2個、3個、若しくは4個のアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列、
c)配列番号29を含むか若しくはそれからなるHC CDR3配列、又は配列番号29と比較して1個若しくは2個のアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列、
d)配列番号30を含むか若しくはそれからなるLC CDR1配列、又は配列番号30と比較して1個のアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列、
e)配列番号31を含むか若しくはそれからなるLC CDR2配列、又は配列番号31と比較して1個のアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列、及び
f)配列番号32を含むか若しくはそれからなるLC CDR3配列、又は配列番号32と比較して1個若しくは2個のアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列を含む。
【0006】
本発明の別の態様又は第1の態様の実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、配列番号7を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号8を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号9を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号10を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号11を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、及び配列番号12を含むか又はそれからなるLC CDR1配列を有する。
【0007】
本発明の別の態様又は第1の態様の実施形態では、抗体は、配列番号17を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号18を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号19を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号20を含むLC CDR1配列、配列番号21を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号22を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。
【0008】
本発明の別の態様又は第1の態様の実施形態では、抗体は、配列番号37を含むHC CDR1配列、配列番号38を含むHC CDR2配列、配列番号39を含むHC CDR3配列、配列番号40を含むLC CDR1配列、配列番号41を含むLC CDR2配列、及び配列番号42を含むLC CDR3配列を有する。
【0009】
本発明の別の態様又は第1の態様の実施形態では、抗体は、配列番号47を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号48を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号49を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号50を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号51を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号52を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。
【0010】
本発明の別の態様又は第1の態様の実施形態では、抗体は、配列番号82を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号83を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号84を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号85を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号86を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号87を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。
【0011】
本発明の別の態様又は第1の態様の実施形態では、抗体は、配列番号92を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号93を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号94を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号95を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号96を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号97を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。
【0012】
本発明の別の態様又は第1の態様の実施形態では、抗体は、配列番号102を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号103を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号104を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号105を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号106を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号107を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。
【0013】
本発明の別の態様又は第1の態様の実施形態では、抗体は、配列番号112を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号113を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号114を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号115を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号116を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号117を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。
【0014】
本発明の別の態様又は第1の態様の実施形態では、抗体は、配列番号122を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号123を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号124を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号125を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号126を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号127を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。
【0015】
本発明の別の態様又は第1の態様の実施形態では、抗体は、配列番号132を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号133を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号134を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号135を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号136を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号137を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。
【0016】
本発明の別の態様又は第1の態様の実施形態では、抗体は、配列番号142を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号143を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号144を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号145を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号146を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号147を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。
【0017】
本発明の別の態様又は第1の態様の実施形態では、抗体は、配列番号152を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号153を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号154を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号155を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号156を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号157を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。
【0018】
本発明の別の態様又は第1の態様の実施形態では、抗体は、配列番号162を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号163を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号164を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号165を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号166を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号167を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。
【0019】
本発明の別の態様又は第1の態様の実施形態では、抗体は、配列番号172を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号173を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号174を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号175を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号176を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号177を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。
【0020】
本発明の別の態様又は第1の態様の実施形態では、抗体は、配列番号182を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号183を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号184を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号185を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号186を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号187を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。
【0021】
本発明の別の態様又は第1の態様の実施形態では、抗体は、配列番号192を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号193を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号194を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号195を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号196を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号197を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。
【0022】
本発明の別の態様又は第1の態様の実施形態では、抗体は、配列番号202を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号203を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号204を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号205を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号206を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号207を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。
【0023】
本発明の別の態様又は第1の態様の実施形態では、当該抗体は、配列番号212を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号213を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号214を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号215を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号216を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号217を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。
【0024】
本発明の別の態様又は第1の態様の実施形態では、抗体は、配列番号222を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号223を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号224を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号225を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号226を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号227を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。
【0025】
本発明の別の態様又は第1の態様の実施形態では、抗体は、配列番号232を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号233を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号234を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号235を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号236を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号237を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。
【0026】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、配列番号24を含むHC可変領域配列、又はそれに対して少なくとも75%、80%、85%、若しくは90%の配列同一性を有する配列、及び配列番号26を含むLC可変領域配列、又はそれに対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有する配列を含む。
【0027】
例えば、抗体又はその抗原結合部分は、
a)配列番号4を含むHC可変領域配列、及び配列番号6を含むLC可変領域配列、
b)配列番号14を含むHC可変領域配列、及び配列番号16を含むLC可変領域配列、
c)配列番号34を含むHC可変領域配列、及び配列番号36を含むLC可変領域配列、
d)配列番号44を含むHC可変領域配列、及び配列番号46を含むLC可変領域配列、
e)配列番号79を含むHC可変領域配列、及び配列番号81を含むLC可変領域配列、若しくは配列番号238を含むLC可変領域配列、
f)配列番号89を含むHC可変領域配列、及び配列番号91を含むLC可変領域配列、若しくは配列番号239を含むLC可変領域配列、
g)配列番号99を含むHC可変領域配列、及び配列番号101を含むLC可変領域配列、若しくは配列番号240を含むLC可変領域配列、
h)配列番号109を含むHC可変領域配列、及び配列番号111を含むLC可変領域配列、若しくは配列番号241を含むLC可変領域配列、
i)配列番号119を含むHC可変領域配列、及び配列番号121を含むLC可変領域配列、
j)配列番号129を含むHC可変領域配列、及び配列番号131を含むLC可変領域配列、若しくは配列番号242を含むLC可変領域配列、
k)配列番号139を含むHC可変領域配列、及び配列番号141を含むLC可変領域配列、若しくは配列番号243を含むLC可変領域配列、
l)配列番号149を含むHC可変領域配列、及び配列番号151を含むLC可変領域配列、若しくは配列番号244を含むLC可変領域配列、
m)配列番号159を含むHC可変領域配列、及び配列番号161を含むLC可変領域配列、若しくは配列番号245を含むLC可変領域配列、
n)配列番号169を含むHC可変領域配列、及び配列番号171を含むLC可変領域配列、
o)配列番号179を含むHC可変領域配列、及び配列番号181を含むLC可変領域配列、若しくは配列番号246を含むLC可変領域配列、
p)配列番号189を含むHC可変領域配列、及び配列番号191を含むLC可変領域配列、若しくは配列番号247を含むLC可変領域配列、
q)配列番号199を含むHC可変領域配列、及び配列番号201を含むLC可変領域配列 配列番号248を含むLC可変領域配列、
r)配列番号209を含むHC可変領域配列、及び配列番号211を含むLC可変領域配列 配列番号249を含むLC可変領域配列、
s)配列番号219を含むHC可変領域配列、及び配列番号221を含むLC可変領域配列、又は
t)配列番号229を含むHC可変領域配列、及び配列番号231を含むLC可変領域配列 配列番号250を含むLC可変領域配列を有する。
【0028】
例えば、その抗原結合部分は、scFv、Fv、重鎖又は単一ドメイン抗体である。
【0029】
本発明はまた、上記の抗体又はその抗原結合部分と競合するイヌCD20に結合する、単離されたイヌ抗体又はその抗原結合部分に関する。
【0030】
例えば、抗体又はその抗原結合部分は、治療部分にコンジュゲートされる。
【0031】
例えば、治療部分は、第2の抗体又はその抗原結合部分である。
【0032】
例えば、第2の抗体又はその抗原結合部分は、異なる標的に結合する。
【0033】
例えば、抗体又はその抗原結合部分は、半減期延長部分、標識、細胞毒素、リポソーム、ナノ粒子又は放射性同位体から選択される更なる部分にコンジュゲートされる。
【0034】
例えば、当該抗体又はその抗原結合部分は、a-フコシル化されている。
【0035】
本発明はまた、上記の抗体又はその抗原結合部分を含む医薬組成物に関する。
【0036】
本発明は、B細胞によって媒介される状態の治療を必要としているイヌ対象においてそれを行う方法であって、有効量の上記の抗体若しくはその抗原結合部分、又は上記の医薬組成物を投与することを含む、方法に関する。
【0037】
例えば、B細胞によって媒介される状態は、B細胞リンパ腫又は白血病である。
【0038】
例えば、B細胞によって媒介される状態は、免疫媒介性疾患である。
【0039】
例えば、免疫媒介性疾患は、自己免疫疾患である。
【0040】
例えば、別の治療剤が対象に別々に投与され得る。
【0041】
例えば、治療剤は、細胞毒性剤又は放射性毒性剤である。
【0042】
例えば、治療剤は、免疫抑制剤である。
【0043】
例えば、治療剤は、サイトカイン又はケモカインなどの免疫調節剤である。
【0044】
本発明はまた、疾患の治療における使用のための、上記の抗体若しくは抗原結合部分、又は上記の医薬組成物に関する。
【0045】
例えば、疾患では、B細胞によって媒介される疾患である。
【0046】
例えば、B細胞によって媒介される疾患は、B細胞リンパ腫又は白血病である。
【0047】
例えば、B細胞によって媒介される疾患は、免疫媒介性疾患である。
【0048】
例えば、免疫媒介性疾患は、自己免疫疾患である。
【0049】
本発明はまた、腫瘍成長又は転移を阻害する方法であって、腫瘍細胞を、有効量の上記の抗体若しくはその抗原結合部分、又は上記の医薬組成物と接触させることを含む、方法に関する。
【0050】
本発明はまた、CD20を発現する腫瘍細胞を殺傷する方法であって、CD20を発現する細胞の殺傷が生じるように、細胞を、上記の抗体又は上記の医薬組成物と接触させることを含む、方法に関する。
【0051】
例えば、腫瘍細胞は、イヌ腫瘍細胞である。
【0052】
本発明はまた、上記の抗体又はその抗体抗原結合部分をコードする核酸配列に関する。
【0053】
例えば、核酸配列は、配列番号3、5、13、15、23、25、33、35、43、45、78、80、88、90、98、100、108、110、118、120、128、130、138、140、148、150、158、160、168、170、178、180、188、190、198、200、208、210、218、220、228、230、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、又は301から選択される配列を含む。
【0054】
本発明はまた、上記の核酸配列を含むベクターに関する。
【0055】
本発明はまた、上記の核酸配列、又は上記のもののベクターを含む、宿主細胞に関する。
【0056】
本発明はまた、上記の抗体若しくはその抗原結合部分、又は上記の医薬組成物を含む、キットに関する。
【0057】
例えば、抗体又はその抗原結合部分を検出するための試薬を更に含む。
【0058】
本発明はまた、CD20に結合するイヌ抗体を作製するための方法であって、上記の単離された宿主細胞を培養し、当該抗体を回収することを含む、方法に関する。
【0059】
本発明はまた、CD20に結合するイヌ抗体を作製するための方法であって、
a)イヌ重鎖V遺伝子及びイヌ軽鎖V遺伝子を含む核酸構築物を発現するトランスジェニックマウスをCD20抗原で免疫化するステップと、
b)当該マウスから抗体のライブラリを生成するステップと、
c)当該ライブラリから抗体を単離するステップと、を含む、方法に関する。
【0060】
本発明はまた、イヌ対象からの生体試料中のCD20タンパク質又はCD20タンパク質の細胞外ドメインを検出するための方法であって、生体試料を、上記の抗体又はその抗原結合部分と接触させることを含み、当該抗体又はその抗原結合部分が、検出可能な標識に連結されている、方法に関する。
【0061】
例えば、生体試料は、生検、組織、血液、血清、血漿、又はリンパ液試料である。
【0062】
本発明はまた、以下のアミノ残基ENLNLIKAPM(配列番号303、配列番号2におけるアミノ酸番号150~159)のうちの1つ以上のアミノ残基、例えば、1~10個、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10個を含むか、又は以下のアミノ残基ENLNLIKAPM(配列番号303、配列番号2におけるアミノ酸番号150~159)からなるエピトープでイヌに結合する、抗体又はその抗原結合部分に関する。
【0063】
本発明は、以下の非限定的な図において更に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1】イヌCD20免疫化Ky9マウスの抗体価。免疫化後の血清を連続希釈し(示されるように)、イヌCD20発現細胞に添加した。続いて、細胞をフルオロフォアコンジュゲート抗マウスIgG1、IgG2a、IgG2b二次抗体とともにインキュベーションし、試料をフローサイトメーターで評価した。免疫化前の血清のイヌCD20発現細胞への結合を、プロット内の背景線として提示する。
図2-1】(A)PMX001、PMX002、PMX003、PMX004、及びPMX005 mAbの可変領域のアミノ酸配列アライメント。シェーディングは、mAbの重鎖(HC)及び軽鎖(LC)配列の両方におけるCDR1、CDR2、及びCDR3領域を示す。(B)mAbのHC及びLC可変領域のアミノ酸配列アライメント。ボックスは、mAbの重鎖(HC)及び軽鎖(LC)配列の両方におけるCDR1、CDR2、及びCDR3領域を示す。
図2-2】同上。
図2-3】同上。
図3-1】フローサイトメトリーを使用する抗イヌCD20 mAbの結合評価。PMX001、PMX002、PMX003、PMX004、PMX005、1E4-cIGGB、4E1-7-cIGGB(Aを参照されたい)、及びPMX006、PMX007、PMX008、PMX009、PMX010、PMX011(Bを参照されたい)、及びPMX003、PMX066、PMX067、PMX069、PMX070、PMX071、PMX072、PMX073、PMX074、PMX075、PMX076、PMX077、PMX078、PMX079、PMX080、PMX081、1E4-cIGGB、4E1-7-cIGGB(Cを参照されたい)を、10μg/mlにおけるcCD20発現MDCK II細胞に適用した。リツキシマブ-cIGGB(灰色の陰影)をアイソタイプ対照として使用し、各プロット内に提示した。(D)PMX003、PMX115、及びPMX070 mAbの親和性決定。1:2の連続的に希釈した抗体のcCD20発現MDCK II細胞への結合を結合アッセイにおいて評価し、フルオロフォアシグナルの平均値を決定した。平均蛍光強度(MFI)対濃度のプロットは、非線形回帰を使用して結合のEC50を決定するために使用し、これは、細胞表面発現イヌCD20に結合する抗体の見かけのKdである。
図3-2】同上。
図3-3】同上。
図3-4】同上。
図3-5】同上。
図4】抗イヌCD20抗体のCDC活性。CDCアッセイにおいて、天然及びa-フコシル化フォーマットの抗体の両方を(示されるような)濃度の範囲で分析した。リツキシマブ-cIGGBキメラ抗体を「アイソタイプ対照」として使用した。「F」は、抗体のa-フコシル化フォーマットを指す。
図5-1】抗イヌCD20抗体のADCC活性。ADCCアッセイにおいて、天然及びa-フコシル化フォーマットの抗体の両方を(示されるような)濃度の範囲で分析した。リツキシマブ-cIGGBキメラ抗体を「アイソタイプ対照」として使用した。「F」は、抗体のa-フコシル化フォーマットを指す。各抗体についてもEC50値を提示する。
図5-2】同上。
図6】全イヌ血液中の抗イヌCD20 mAbのB細胞枯渇効率。新たに採取したイヌの全血を培養培地で希釈し、10μg/mlのPMX001、PMX003、1E4-cIGGB、4E1-7-cIGGB(Aを参照されたい)、天然若しくはa-フコシル化フォーマットのPMX003及び4E1-7-cIGGB抗体(Bを参照されたい)、PMX003、PMX006、PMX007、PMX008、PMX009、PMX010、PMX011(Cを参照されたい)とともに、又は抗体なしで24時間インキュベーションした。リツキシマブ-cIGGBを「アイソタイプ対照」(Iso Ctrl)として使用した。「F」は、抗体のa-フコシル化フォーマットを指す。
図7-1】健康なビーグルにおける抗イヌCD20 mAbのB細胞枯渇効率。(A~B)各試験群について3匹の健康なビーグルに、静脈内投与によって以下の抗体を与えた:アイソタイプ対照(リツキシマブ-cIgGB、2.5mg/kg)、低用量のPMX003(0.5mg/kg)、高用量のPMX003(2.5mg/kg)、及び低用量のa-フコシル化PMX003(0.5mg/kg)。「F」は、抗体のa-フコシル化フォーマットを指す。リンパ球中のCD21+B細胞(A)及びCD8+T細胞(B)のパーセンテージを、0日目、1日目、2日目、5日目、7日目、15日目、27日目、及び43日目にフローサイトメトリーを使用して分析した。ここに示されるデータは、4回の技術的反復の代表である。(C)各試験群について3匹の健康なビーグルに、静脈内投与によって以下の抗体を与えた:アイソタイプ対照(リツキシマブ-cIgGB、2mg/kg)、低用量のPMX115(0.5mg/kg)、高用量のPMX115(2mg/kg)、低用量のPMX070(0.5mg/kg)、及び高用量のPMX070(2mg/kg)。リンパ球中のCD21+B細胞のパーセンテージを、0日目、1日目、4日目、7日目、14日目、21日目、及び28日目にフローサイトメトリーを使用して分析した。ここに示されるデータは、4回の技術的反復の代表である。
図7-2】同上。
図8】抗CD20抗体についてのエピトープマッピング戦略。(A)イヌCD20細胞外ドメイン配列を、ベクターDH01~DH09内の等価位置でヒトCD20配列に変異させた。(B)イヌCD20細胞外ドメイン配列を、ベクターDM01~DM09内の等価位置でマウスCD20配列に変異させた。(C)イヌCD20細胞外ドメインの小ループ内の全ての残基及び大ループ内の他の全ての残基をアラニンに変異させ、ベクターS01~S09及びL01~L25を生じさせた。変異した残基は太字でハイライトされる。
図9】PMX003、PMX115、及びPMX070 mAbの、イヌ-ヒトキメラCD20又はイヌ-マウスキメラCD20を発現するMDCK細胞への結合を、フローサイトメトリーによって評価した。図中の01~09の黒い棒は、図8Aに示されるDH01~DH09配列への結合を表し、図中の01~09の灰色の棒は、図8Bに示されるDM01~DM09配列への結合を表す。野生型イヌCD20を発現するMDCK細胞を陽性対照として適用し、野生型MDCK細胞を陰性対照として使用した。
【発明を実施するための形態】
【0065】
表1.アミノ酸残基及び保存的アミノ酸置換の例
表2.配列
表3.VH及びVL遺伝子の使用
表4.抗体についての機能データの概要
表5.抗体についての開発可能性プロファイル
【0066】
詳細な説明
これより、本発明の実施形態を更に記載する。以下の節では、異なる実施形態を記載する。そのように定義された各態様は、反対のことが明確に示されない限り、任意の他の態様又は態様と組み合わせることができる。
【0067】
一般に、本明細書に記載される細胞及び組織培養、病理学、腫瘍学、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、並びにタンパク質及び核酸の化学及びハイブリダイゼーションに関連して使用される命名法、及びそれらの技術は、当技術分野で周知であり、一般的に使用されるものである。別途示されない限り、本開示の方法及び技術は、一般に、当技術分野で周知の従来方法に従って実行され、本明細書全体を通じて引用され及び考察される様々な一般的及びより具体的な参照文献に記載されるように実行される。例えば、Green and Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,4th ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(2012)、Therapeutic Monoclonal Antibodies:From Bench to Clinic,Zhiqiang An(Editor),Wiley,(2009)、及びAntibody Engineering,2nd Ed.,Vols 1 and 2,Ontermann and Dubel,eds.,Springer-Verlag,Heidelberg(2010)を参照されたい。
【0068】
酵素反応及び精製技術は、製造業者の仕様に従って、当技術分野で一般的に達成されるように、又は本明細書に記載されるように実行される。本明細書に記載される分析化学、合成有機化学、並びに医薬的及び薬学的化学に関連して使用される命名法、並びにそれらの実験室の手順及び技術は、当技術分野で周知であり、一般的に使用されるものである。標準的な技術は、化学合成、化学分析、薬学的調製、製剤、及び送達、並びに患者の治療に使用される。
【0069】
本発明者らは、イヌCD20に特異的に結合する完全イヌ抗体を開発している。これらの抗体は、イヌV、D、J遺伝子を発現するトランスジェニックげっ歯類において作製された。したがって、抗体は、イヌ化抗体又はキメラ抗体よりもイヌ対象への投与に対して免疫原性である可能性が低い。更に、これらの抗体がそれらの可変領域への更なる修飾なしに直接使用され得るため、親和性を低減させるか、又はそうでなければ抗体を損なうリスクはない。他の技術は、イヌ由来の抗体配列と別の種、典型的にはげっ歯類からの抗体配列のエクスビボでの組み合わせを通じて、開発又は有効性ライアビリティ(liabilities)を導入するリスクがある。したがって、本発明は、イヌCD20に結合する、単離されたイヌ抗体又はその抗原結合部分に関する。
【0070】
本発明の抗体及びその抗原結合部分の特性は、本明細書に記載の治療方法及び使用、並びに医薬製剤において利用され得る。
【0071】
CD20という用語は、Bリンパ球抗原CD20を指す。抗体及びその抗原結合部分は、配列番号1(ヌクレオチド配列)及び配列番号2(アミノ酸配列)において定義される野生型イヌCD20に特異的に結合する。別途明記されない限り、本明細書で使用されるCD20という用語は、イヌCD20を指す。Bリンパ球抗原CD20又はCD20は、全てのB細胞の表面上で発現され、プロB期(CD45R+、CD117+)で始まり、成熟まで濃度が漸進的に上昇する。ヒト及びイヌでは、CD20はMS4A1遺伝子によってコードされる。
【0072】
「CD20結合分子/タンパク質/ポリペプチド/薬剤/部分」、「CD20抗原結合分子分子/タンパク質/ポリペプチド/薬剤/部分」、「抗CD20抗体」、「抗CD20抗体又はその抗原結合部分」という用語は全て、イヌCD20抗原に特異的に結合することができる分子を指す。結合反応は、例えば、無関係の特異性の抗体を使用する陰性対照試験を参照して、標準的な方法によって示され得る。
【0073】
目的の抗原、すなわちイヌCD20に「結合する」又は「結合することができる」、本明細書に記載される多重特異性、例えば、二重特異性又は三重特異性の結合剤を含む本発明の抗体又はその抗原結合部分は、抗体又はその抗原結合部分が本明細書に記載の抗原CD20を発現する細胞又は組織を標的とする際に治療剤として有用であるように十分な親和性で抗原に結合する、抗体又はその抗原結合部分である。
【0074】
本発明による抗体又はその抗原結合部分は、イヌCD20に特異的に結合する。言い換えれば、CD20抗原への結合は、非特異的相互作用とは測定可能に異なる。特に、本明細書に記載される抗体は、マウスCD20と交差反応しない。
【0075】
本明細書で使用される特定のポリペプチド又は特定のポリペプチド標的上のエピトープに「特異的結合」又は「特異的に結合する」又は「特異的」であるという用語は、例えば、標的に対して少なくとも約10-6M、代替的には少なくとも約10-7M、代替的には少なくとも約10-8M、代替的には少なくとも約10-9M、代替的には少なくとも約10-10M、代替的には少なくとも約10-11M、代替的には少なくとも約10-12M、又はそれ以下のKDを有する分子によって示され得る。一実施形態では、KDは、少なくとも約10-8M~約10-9Mであり、例えば、一実施形態では、KDは、ナノモル範囲にある。一実施形態では、「特異的結合」という用語は、分子が、任意の他のポリペプチド又はポリペプチドエピトープに実質的に結合することなく、特定のポリペプチド又は特定のポリペプチド上のエピトープに結合する結合を指す。KD及びKという用語は、本明細書において互換的に使用される。
【0076】
本発明で使用される「抗体」という用語は、4つのポリペプチド鎖、2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖で構成される、任意の免疫グロブリン(Ig)分子若しくはその抗原結合部分、又はIg分子の必須のエピトープ結合特徴を保持する、その任意の機能的断片、変異体、バリアント、若しくは誘導体を広く指す。
【0077】
全長抗体では、各重鎖は、重鎖可変領域又はドメイン(本明細書ではHCVRと略される)及び重鎖定常領域で構成される。重鎖定常領域は、3つのドメイン、C1、C2、及びC3で構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域又はドメイン(本明細書ではLCVRと略される)及び軽鎖定常領域で構成される。軽鎖定常領域は、1つのドメインCで構成される。
【0078】
重鎖及び軽鎖可変領域は、フレームワーク領域(FR)と称される、より保存されている領域とともに散在した、相補性決定領域(CDR)と称される超可変性の領域に更に細分化することができる。各重鎖及び軽鎖可変領域は、アミノ末端からカルボキシ末端へ、以下の順序で配置された3つのCDR及び4つのFRから構成される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。
【0079】
免疫グロブリン分子は、一般に、任意のアイソタイプ、クラス又はサブクラスのものであり得る。本発明の様々な態様によるC3ドメインは、イヌIgGサブタイプ、例えば、IgG-A、IgG-B、IgG-C、及びIgG-DのC3ドメインである。
【0080】
イヌでは、A、B、C、及びDと称される4つのIgG重鎖が存在する。これらの重鎖は、IgG-A、IgG-B、IgG-C、及びIgG-Dと称される、イヌIgGの4つの異なるサブクラスを表す。これらの4つの重鎖のDNA及びアミノ酸配列は、Tang et al.(Vet.Immunol.Immunopathol.80:259-270(2001))によって最初に特定された。これらの重鎖についてのアミノ酸及びDNA配列はまた、GenBankデータベースからも入手可能である(IgGA:受託番号AAL35301.1、IgGB:受託番号AAL35302.1、IgGC:受託番号AAL35303.1、IgGD:受託番号AAL35304.1)。イヌ抗体はまた、2つのタイプの軽鎖、カッパ及びラムダを含有する(GenBank受託番号カッパ軽鎖アミノ酸配列ABY57289.1、GenBank受託番号ABY55569.1)。本明細書における抗体は、ラムダ又はカッパ軽鎖を有し得る。一実施形態では、軽鎖は、ラムダ軽鎖である。
【0081】
「CDR」という用語は、抗体可変配列内の相補性決定領域を指す。重鎖及び軽鎖の可変領域の各々において、可変領域の各々について、CDR1、CDR2、及びCDR3と示される3つのCDRが存在する。「CDRセット」という用語は、抗原に結合することができる単一の可変領域に生じる3つのCDRの群を指す。これらのCDRの正確な境界は、当技術分野で既知の異なるシステムに従って異なって定義され得る。
【0082】
Kabat相補性決定領域(CDR)は、配列の可変性に基づいており、最も一般的に使用される(Kabat et al.,(1971)Ann.NY Acad.Sci.190:382-391及びKabat,et al.,(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242)。代わりに、Chothiaは、構造的ループの位置を指す(Chothia and Lesk J.Mol.Biol.196:901-917(1987))。Kabat番号付けシステムは、一般に、可変ドメイン内の残基(およそ、軽鎖の残基1~107及び重鎖の残基1~113)を指す場合に使用される。別のシステムは、ImMunoGeneTics(IMGT)番号付けスキームである。IMGT番号付けスキームは、Lefranc et al.,Dev.Comp.Immunol.,29,185-203(2005)に記載される。別途指定されない限り、IMGT番号付けスキームが本明細書で使用される。
【0083】
キメラ抗体は、1つの種、好ましくはげっ歯類又はヒト抗体に由来する抗体の相補性決定領域(CDR)を含む可変ドメインを含有する組換えタンパク質であり、一方、抗体分子の定常ドメインは、イヌ抗体の定常ドメインに由来する。
【0084】
本明細書で使用される場合、「イヌ化抗体」という用語は、イヌ及び非イヌ(例えば、マウス)抗体の両方からの配列を含有する組換え抗体の形態を指す。一般に、イヌ化抗体は、少なくとも1つ以上、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、超可変ループの全て又は実質的に全てが非イヌ免疫グロブリンのものに対応し、フレームワーク(FR)領域の全て又は実質的に全て(及び典型的には、残りのフレームの全て又は実質的に全て)がイヌ免疫グロブリン配列のものである。イヌ化抗体は、マウス又はヒト抗体からの3つの重鎖CDR及び3つの軽鎖CDRSの両方を、イヌフレーム又は修飾されたイヌフレームと一緒に含み得る。修飾されたイヌフレームは、例えば、その標的への結合を増加させるために、イヌ化抗体の有効性を更に最適化し得る1つ以上のアミノ酸変化を含む。例えば、超可変ループの非イヌ配列は、イヌ配列と更に比較され得、できるだけ多くの残基が本物のイヌ配列に類似するように変化され得る。
【0085】
対照的に、本発明の完全イヌ抗体は、イヌ可変領域を有し、別の種からの完全又は部分的なCDR又はFRを含まない。有利には、本明細書に記載の完全イヌ抗体は、イヌ免疫グロブリン配列を含むトランスジェニックマウスから得られている。これらの免疫化されたマウスにおいて産生された抗体は、インビボV(D)J組換え、インビボ接合多様化、重鎖及び軽鎖のインビボ対合、並びにインビボ超変異を含む天然親和性成熟を可能にするために、インビボB細胞シグナル伝達及び発達を通じて開発される。このようにして産生された完全イヌ抗体は、開発可能性のための最適な特性を有する抗体を生成し、大規模な産生前の長時間のリード最適化を最小限に抑える。有利には、そのような完全イヌ抗体は、患者動物に導入された場合に免疫原性の最も低い可能性のリスクを提示し、これにより、反復投薬レジームが容易になる。エクスビボでのmAb操作は、開発ライアビリティ、免疫原性、及び低減された親和性(上記で概説したように)を導入するリスクを冒すことを考慮すると、したがって、本発明の完全イヌ抗体は、臨床的文脈において有効な療法である可能性が最も高い。したがって、実施形態では、イヌ抗体という用語は、完全イヌ抗体を指す。
【0086】
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、少量で存在し得る天然に存在する可能性のある変異及び/又は翻訳後修飾(例えば、異性化、アミド化、炭水化物付加)を除いて同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一の抗原部位に対して指向している。典型的には異なる決定基(エピトープ)に対して指向した異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して指向している。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、他の免疫グロブリンによって汚染されないハイブリドーマ培養物によって合成されるという点で有利である。
【0087】
「抗原結合部位」という用語は、抗原に特異的に結合する領域を含む抗体又は抗体断片の部分を指す。抗原結合部位は、1つ以上の抗体可変ドメインによって提供され得る。抗原結合部位は、典型的には、抗体又は抗体断片の関連するV及びV内に含まれる。
【0088】
「エピトープ」又は「抗原決定基」という用語は、免疫グロブリン、抗体又は抗体断片が特異的に結合する抗原の表面上の部位を指す。一般に、抗原は、いくつか又は多くの異なるエピトープを有し、多くの異なる抗体と反応する。この用語は、具体的には、直鎖状エピトープ及び立体配座エピトープを含む。タンパク質抗原内のエピトープは、タンパク質の三次的折り畳み(通常は、立体配座エピトープ)によって並置された隣接アミノ酸(通常は、直鎖状エピトープ)又は非隣接アミノ酸の両方から形成され得る。隣接アミノ酸から形成されるエピトープは、典型的には、常にではないが、変性溶媒への曝露時に保持されるのに対して、三次的折り畳みによって形成されるエピトープは、典型的には、変性溶媒での処理時に喪失される。エピトープは、典型的には、特有の空間立体配座内に、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15個のアミノ酸を含む。所与の抗体又は抗体断片によって結合されるエピトープを決定するための方法(すなわち、アラニンスキャニング変異誘発又はPepscanによるエピトープマッピング)は、当技術分野で周知であり、例えば、免疫ブロット及び免疫沈降アッセイを含み、重複又は隣接ペプチドは、所与の抗体又は抗体断片との反応性について試験される。抗体は、2つの抗体が同一又は立体的に重複するエピトープを認識するとき、参照抗体と「本質的に同じエピトープ」に結合する。2つのエピトープが同一又は立体的に重複するエピトープに結合するかどうかを決定するための最も広く使用され、かつ迅速な方法は、競合アッセイであり、これは標識された抗原又は標識された抗体のいずれかを使用して、異なるフォーマットで構成され得る。
【0089】
一実施形態では、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合部分は、以下のアミノ残基ITISHFFKMENLNLIKAPM(配列番号302、配列番号2におけるアミノ酸番号141~159)のうちの1つ以上のアミノ残基、例えば1~19個、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、若しくは19個を含むか、又は以下のアミノ残基ITISHFFKMENLNLIKAPM(配列番号302、配列番号2におけるアミノ酸番号141~159)からなるエピトープに結合する。一実施形態では、エピトープは、以下のアミノ残基ENLNLIKAPM(配列番号303、配列番号2におけるアミノ酸番号150~159)のうちの1つ以上のアミノ残基、例えば、1~10個、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10個を含むか、又は以下のアミノ残基ENLNLIKAPM(配列番号303、配列番号2におけるアミノ酸番号150~159)からなる。
【0090】
一実施形態では、エピトープは、実施例に示されるような部位特異的変異誘発によって、例えば、アラニンスキャニングを使用して決定される。一実施形態では、エピトープは、直鎖状エピトープである。一実施形態では、エピトープは、立体配座エピトープである。一実施形態では、エピトープは、大ループ内に直鎖状エピトープを含む。一実施形態では、エピトープは、小ループ内に立体配座エピトープを更に含む。一実施形態では、抗体は、本明細書に記載のPMX003若しくはその抗原結合部分、又は少なくとも80%の配列同一性を有する抗体である。
【0091】
本発明の別の態様では、本発明はまた、以下のアミノ残基ITISHFFKMENLNLIKAPM(配列番号302、配列番号2におけるアミノ酸番号141~159)のうちの1つ以上のアミノ残基、例えば1~19個、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、若しくは19個を含むか、又は以下のアミノ残基ITISHFFKMENLNLIKAPM(配列番号302、配列番号2におけるアミノ酸番号141~159)からなるエピトープに結合する、抗体又はその抗原結合部分に関する。一実施形態では、エピトープは、以下のアミノ残基ENLNLIKAPM(配列番号303、配列番号2におけるアミノ酸番号150~159)のうちの1つ以上のアミノ残基、例えば、1~10個、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10個を含むか、又は以下のアミノ残基ENLNLIKAPM(配列番号303、配列番号2におけるアミノ酸番号150~159)からなる。例えば、抗体又はその抗原結合部分は、本明細書に記載の配列を有し得る。
【0092】
本発明はまた、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合部分と競合する抗体又はその抗原結合部分に関する。
【0093】
抗体のタンパク質分解消化は、Fv(断片可変)、Fab(断片抗原結合)、及びFc(断片結晶化)と称される異なる断片を放出する。Fc断片は、ジスルフィドによって一緒に保持される両方のH鎖のカルボキシ末端部分を含む。Fc断片の定常ドメインは、抗体のエフェクター機能を媒介することに関与する。
【0094】
本発明は、抗体の抗原結合部分又は抗原結合断片に及ぶ。「結合部分」及び「断片」という用語は、本明細書において互換的に使用される。抗体断片は、抗体、例えば、F(ab’)2、Fab、Fv、scFv、重鎖、軽鎖、可変重鎖(V)、可変軽鎖(V)ドメインなどの部分である。全長抗体の機能的断片は、全長抗体の標的特異性を保持する。したがって、組換え機能的抗体断片、例えば、Fab(断片、抗体)、scFv(一本鎖可変鎖断片)、及び単一ドメイン抗体(dAb)は、mAbに基づく治療薬に対して代替としての治療薬を開発するために使用されている。
【0095】
本発明はまた、本明細書に記載の配列を含む抗体模倣物にも及ぶ。
【0096】
「Fv」は、完全な抗原認識及び抗原結合部位を含有する最小限の抗体断片である。この断片は、密接な非共有性会合における、1つの重鎖可変領域ドメイン及び1つの軽鎖可変領域ドメインの二量体からなる。これらの2つのドメインの折り畳みから、抗原結合のためのアミノ酸残基に寄与し、抗体に抗原結合特異性を付与する6つの超可変ループ(H鎖及びL鎖から各々3つのループ)が発生する。しかしながら、単一可変ドメイン(又は抗原に対して特異的な3つのHVRのみを含むFvの半分)であっても、結合部位全体よりも低い親和性にあるが、抗原を認識し、結合する能力を有する。
【0097】
「sFv」又は「scFv」とも略される「一本鎖Fv」は、単一のポリペプチド鎖に接続された2つの可変ドメイン、V及びVからなる抗体断片scFv断片(約25kDa)である。自然に、V及びVドメインは、疎水性相互作用を介して非共有結合的に会合し、解離する傾向がある。しかしながら、安定した断片は、ドメインを親水性可撓性リンカーと連結して一本鎖Fv(scFv)を作製することによって操作することができる。
【0098】
最小の抗原結合断片は、単一の可変断片、すなわち、可変重鎖(V)又は可変軽鎖(V)ドメインである。V及びVドメインはそれぞれ、抗原に結合することができる。それぞれ軽鎖/重鎖パートナーへの結合、又は実際には、完全な抗体の他の部分の存在は、標的結合に必要ではない。1つの単一ドメイン(V又はVドメインに対応する)にサイズが低減された抗体の抗原結合実体は、一般に、「単一ドメイン抗体」又は「免疫グロブリン単一可変ドメイン」と称される。したがって、単一ドメイン抗体(約12~15kDa)は、V又はVドメインのいずれかを有し、すなわち、それは完全な抗体の他の部分を有さない。「ドメイン抗体」に対する「dAb」という用語は、一般に、抗原に特異的に結合する単一の免疫グロブリン可変ドメイン(V、VHH、又はV)ポリペプチドを指す。
【0099】
「単離された」という用語は、その自然環境から単離される部分を指す。例えば、「単離された」という用語は、他の抗体、抗体又は抗体断片を実質的に含まない抗体又はその断片を指す。更に、単離された抗体は、他の細胞物質及び/又は化学物質を実質的に含み得ない。
【0100】
本明細書で使用される場合、「相同性」又は「同一性」という用語は、一般に、配列をアライメントした後、及びいくつかの実施形態では、必要に応じて、最大パーセントの相同性を達成するためにギャップを導入した後、配列同一性の一部として任意の保存的置換を考慮せずに、比較される参照ポリペプチドの残基と同一である配列中のアミノ酸残基のパーセンテージを指す。したがって、2つのアミノ酸配列間の相同性パーセントは、2つの配列間の同一性パーセントと等価である。N末端若しくはC末端の伸長、タグ、又は挿入のいずれも、同一性又は相同性を低減させると解釈されるべきではない。アライメントのための方法及びコンピュータプログラムは、周知である。2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントは、周知の数学的アルゴリズムを使用して決定することができる。
【0101】
本明細書における「アミノ酸」とは、特定の定義された位置に存在し得る20個の天然に存在するアミノ酸又は任意の非天然類似体のうちの1つを意味する。アミノ酸は、天然に存在するアミノ酸及び合成アミノ酸の両方を包含する。ただし、ほとんどの場合、タンパク質が組換え的に産生される場合、天然に存在するアミノ酸のみが使用される。
【0102】
本明細書で使用される場合、本明細書に記載のヘテロ二量体タンパク質又はポリペプチドのアミノ酸配列(例えば、抗体)における別のアミノ酸残基による「アミノ酸残基の置換」は、別のアミノ酸残基による「アミノ酸残基を置き換えること」と等価であり、元の(例えば、野生型/生殖細胞系)アミノ酸配列における特定の位置での特定のアミノ酸残基が異なるアミノ酸残基によって置き換えられている(又は置換されている)ことを示す。これは、当業者に利用可能な標準的な技術、例えば、組換えDNA技術を使用して行うことができる。アミノ酸は、野生型(wt)における自然界に見出されるような天然の(野生型/生殖細胞系)配列と比較して変化するが、天然の配列と比較して他の変化を含有するIgG分子において作製され得る。本明細書における「野生型」又は「WT」又は「天然」とは、対立遺伝子変異を含む、自然界に見出されるアミノ酸配列又はヌクレオチド配列を意味する。WTタンパク質、ポリペプチド、抗体、又は免疫グロブリンは、意図的に修飾されていないアミノ酸配列又はヌクレオチド配列を有する。
【0103】
本発明による抗体又はその抗原結合部分は、以下の特性のうちの1つ以上を有する。
a)イヌCD20に特異的に結合する、
b)実施例で測定されるような、及び例えば図に示されるようなKDでイヌCD20に結合する、
c)実施例で測定されるように、CD20を発現するイヌリンパ腫細胞株における、CDC及び/若しくはADCCなどの細胞殺傷を示す、
d)抗体依存性細胞食作用(ADCP)を促進する、
e)イヌ組織中のCD20陽性B細胞を効果的に枯渇させることができる、
f)イヌCD20を発現する細胞に結合することができる、
g)好適には、アポトーシスを介する直接細胞殺傷によって、イヌCD20を発現する細胞を枯渇させることができる、
h)実施例に示されるように良好な安定性を提供する、
i)以下のアミノ残基ENLNLIKAPM(配列番号303、配列番号2におけるアミノ酸番号150~159)、例えば、ITISHFFKMENLNLIKAPM(配列番号302、配列番号2におけるアミノ酸番号141~159)のうちの1つ以上のアミノ残基、例えば、1~10個、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10個を含むか、又は以下のアミノ残基ENLNLIKAPM(配列番号303、配列番号2におけるアミノ酸番号150~159)、例えば、ITISHFFKMENLNLIKAPM(配列番号302、配列番号2におけるアミノ酸番号141~159)からなるエピトープに結合する、
j)例えば、実施例に示されるように、ベンチマーク試験抗体1E4及び4E1-7よりも強いイヌCD20への結合能力(5~10倍より高い)を有する、
k)例えば、実施例及び表4に示されるように、ベンチマーク試験抗体1E4及び4E1-7よりも強いADCC及び/若しくはCDC活性を有する、並びに/あるいは
l)例えば、示されるように、例えば、示されるように、ベンチマーク試験抗体1E4及び4E1-7mAbと比較して、全イヌ血液中のB細胞のより効率的な殺傷。
【0104】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合部分は、上記の特性のうちの1つ以上、及び任意選択的に、以下の特性のうちの1つ以上を有する。
a)20nM未満のEC50値を有するCDC活性を有する、
b)0.3nM未満のEC50値を有するADCC活性を有する、
c)100ug/ml超の一過性発現収率を有する、
d)58℃超のUncleによって決定されるTm1を有する、
e)約0.5mg/kg~2.5mg/kgの用量でイヌにおけるインビボでの細胞殺傷を提供する、
f)イヌにおけるインビボでのB細胞枯渇を低レベルで少なくとも15日間維持する、及び/あるいは
g)以下のアミノ残基ENLNLIKAPM(配列番号303、配列番号2におけるアミノ酸番号150~159)、例えば、ITISHFFKMENLNLIKAPM(配列番号302、配列番号2におけるアミノ酸番号141~159)のうちの1つ以上のアミノ残基、例えば、1~10個、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10個を含むか、又は以下のアミノ残基ENLNLIKAPM(配列番号303、配列番号2におけるアミノ酸番号150~159)、例えば、ITISHFFKMENLNLIKAPM(配列番号302、配列番号2におけるアミノ酸番号141~159)からなるエピトープに結合する。
【0105】
これらの特性は、マウスモデル又はイヌにおけるインビボ研究を含む、実施例に開示される方法などの当技術分野で既知の方法によって測定することができる。
【0106】
特に、本発明者らは、抗体及びその抗原結合部分が、例えば、実施例で測定されるように、CD20を発現するイヌリンパ腫細胞株における細胞殺傷によって実証されるような、CDC及びADCC活性の両方を示すことを見出している。
【0107】
一態様では、本発明は、イヌCD20に結合する、単離されたイヌ抗体又はその抗原結合部分に関し、当該抗体は、
a)配列番号27を含むか若しくはそれからなる重鎖(HC)CDR1配列、又はそれに対して少なくとも60%、70%、80%、若しくは90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、
b)配列番号28を含むか若しくはそれからなるHC CDR2配列、又はそれに対して少なくとも60%、70%、80%、若しくは90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、
c)配列番号29を含むか若しくはそれからなるHC CDR3配列、又はそれに対して少なくとも60%、70%、80%、若しくは90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、
d)配列番号30を含むか又はそれからなる軽鎖(LC)CDR1配列それに対して少なくとも60%、70%、80%、又は90%の配列同一性、
e)配列番号31を含むか若しくはそれからなるLC CDR2配列、又はそれに対して少なくとも60%、70%、80%、若しくは90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、及び
f)配列番号32を含むか若しくはそれからなるLC CDR3配列、又はそれに対して少なくとも60%、70%、80%、若しくは90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0108】
本発明は、イヌCD20に結合する、単離されたイヌ抗体又はその抗原結合部分に関し、当該抗体は、
a)配列番号27を含むか若しくはそれからなるHC CDR1配列
b)配列番号28を含むか若しくはそれからなるHC CDR2配列
c)配列番号29を含むか若しくはそれからなるHC CDR3配列
d)配列番号30を含むか若しくはそれからなるLC CDR1配列、
e)配列番号31を含むか若しくはそれからなるLC CDR2配列、及び
f)配列番号32を含むか若しくはそれからなるLC CDR3配列
又は上記のようなCDRを有するが、上述されたCDR配列と比較して1個、2個、3個、若しくは4個のアミノ酸置換を有する1つ以上のCDRを有する単離されたイヌ抗体若しくはその抗原結合部分を含む。
【0109】
したがって、本発明は、イヌCD20に結合する、単離されたイヌ抗体又はその抗原結合部分に関し、当該抗体は、
a)配列番号27を含むか若しくはそれからなる重鎖(HC)CDR1配列、又は配列番号27と比較して1個若しくは2個のアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列、
b)配列番号28を含むか若しくはそれからなるHC CDR2配列、又は配列番号28と比較して1個、2個、3個、若しくは4個のアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列、
c)配列番号29を含むか若しくはそれからなるHC CDR3配列、又は配列番号29と比較して1個若しくは2個のアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列、
d)配列番号30を含むか若しくはそれからなる軽鎖(LC)CDR1配列、又は配列番号30と比較して1個のアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列、
e)配列番号31を含むか若しくはそれからなるLC CDR2配列、又は配列番号31と比較して1個のアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列、及び
f)配列番号32を含むか若しくはそれからなるLC CDR3配列、又は配列番号32と比較して1個若しくは2個のアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列を含む。
【0110】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、配列番号7を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号8を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号9を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号10を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号11を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号12を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。
【0111】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、配列番号17を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号18を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号19を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号20を含むLC CDR1配列、配列番号21を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号22を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。
【0112】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、配列番号37を含むHC CDR1配列、配列番号38を含むHC CDR2配列、配列番号39を含むHC CDR3配列、配列番号40を含むLC CDR1配列、配列番号41を含むLC CDR2配列、及び配列番号42を含むLC CDR3配列を有する。
【0113】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、配列番号47を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号48を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号49を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号50を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号51を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号52を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。
【0114】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、配列番号82を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号83を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号84を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号85を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号86を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号87を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。
【0115】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、配列番号92を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号93を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号94を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号95を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号96を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号97を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。
【0116】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、配列番号102を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号103を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号104を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号105を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号106を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号107を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。
【0117】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、配列番号112を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号113を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号114を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号115を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号116を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号117を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。
【0118】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、配列番号122を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号123を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号124を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号125を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号126を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号127を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。
【0119】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、配列番号132を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号133を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号134を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号135を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号136を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号137を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。
【0120】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、配列番号142を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号143を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号144を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号145を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号146を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号147を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。
【0121】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、配列番号152を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号153を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号154を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号155を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号156を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号157を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。
【0122】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、配列番号162を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号163を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号164を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号165を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号166を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号167を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。
【0123】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、配列番号172を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号173を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号174を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号175を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号176を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号177を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。
【0124】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、配列番号182を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号183を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号184を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号185を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号186を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号187を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。
【0125】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、配列番号192を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号193を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号194を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号195を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号196を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号197を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。
【0126】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分 配列番号202を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号203を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号204を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号205を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号206を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号207を含むか又はそれからなるLC CDR3配列。
【0127】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、配列番号212を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号213を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号214を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号215を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号216を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号217を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。
【0128】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、配列番号222を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号223を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号224を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号225を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号226を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号227を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。
【0129】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、配列番号232を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号233を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号234を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号235を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号236を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号237を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。
【0130】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、配列番号24を含む重鎖(HC)可変領域配列、又はそれに対して少なくとも75%、80%、85%、若しくは90%の配列同一性を有する配列、及び配列番号26を含む軽鎖(LC)可変領域配列、又はそれに対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有する配列を含む。一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、配列番号24を含む重鎖(HC)可変領域配列、及び配列番号26を含む軽鎖(LC)可変領域配列、又は配列番号26を含むLC可変領域配列を含み、LC可変領域のFR1におけるNVT配列は修飾されており、例えば、FR1における1個、2個、又は3個のアミノ酸修飾を有するLC可変領域、例えば、以下に記載の配列番号60、61、62、63、64、若しくは65を有するFR1を含むLC可変領域配列、又は配列番号53、54、55、56、57、若しくは58を含むLC可変領域配列である。
【0131】
例えば、抗体又はその抗原結合部分は、
a)配列番号4を含むか若しくはそれからなるHC可変領域配列、及び配列番号6を含むか若しくはそれからなるLC可変領域配列、
b)配列番号14を含むか若しくはそれからなるHC可変領域配列、及び配列番号16を含むか若しくはそれからなるLC可変領域配列、
c)配列番号34を含むHC可変領域配列、及び配列番号36を含むか若しくはそれからなるLC可変領域配列、
d)配列番号44を含むか若しくはそれからなるHC可変領域配列、及び配列番号46を含むか若しくはそれからなるLC可変領域配列、
e)配列番号79を含むHC可変領域配列、及び配列番号81を含むLC可変領域配列、若しくは以下に記載のNVT配列が修飾されているLC可変領域配列、例えば、配列番号238を含むLC可変領域配列、
f)配列番号89を含むHC可変領域配列、及び配列番号91を含むLC可変領域配列、若しくは以下に記載のNVT配列が修飾されているLC可変領域配列、例えば、配列番号239を含むLC可変領域配列、
g)配列番号99を含むHC可変領域配列、及び配列番号101を含むLC可変領域配列、若しくは以下に記載のNVT配列が修飾されているLC可変領域配列、例えば、配列番号240を含むLC可変領域配列、
h)配列番号109を含むHC可変領域配列、及び配列番号111を含むLC可変領域配列、若しくは以下に記載のNVT配列が修飾されているLC可変領域配列、例えば、配列番号241を含むLC可変領域配列、
i)配列番号119を含むHC可変領域配列、及び配列番号121を含むLC可変領域配列、
j)配列番号129を含むHC可変領域配列、及び配列番号131を含むLC可変領域配列、若しくは以下に記載のNVT配列が修飾されているLC可変領域配列、例えば、配列番号242を含むLC可変領域配列、
k)配列番号139を含むHC可変領域配列、及び配列番号141を含むLC可変領域配列、若しくは以下に記載のNVT配列が修飾されているLC可変領域配列、例えば、配列番号243を含むLC可変領域配列、
l)配列番号149を含むHC可変領域配列、及び配列番号151を含むLC可変領域配列、若しくは以下に記載のNVT配列が修飾されているLC可変領域配列、例えば、配列番号244を含むLC可変領域配列、
m)配列番号159を含むHC可変領域配列、及び配列番号161を含むLC可変領域配列、若しくは以下に記載のNVT配列が修飾されているLC可変領域配列、例えば、配列番号245を含むLC可変領域配列、
n)配列番号169を含むHC可変領域配列、及び配列番号171を含むLC可変領域配列、
o)配列番号179を含むHC可変領域配列、及び配列番号181を含むLC可変領域配列、若しくは以下に記載のNVT配列が修飾されているLC可変領域配列、例えば、配列番号246を含むLC可変領域配列、
p)配列番号189を含むHC可変領域配列、及び配列番号191を含むLC可変領域配列、若しくは以下に記載のNVT配列が修飾されているLC可変領域配列、例えば、配列番号247を含むLC可変領域配列、
q)配列番号199を含むHC可変領域配列、及び配列番号201を含むLC可変領域配列、若しくは以下に記載のNVT配列が修飾されているLC可変領域配列、例えば、配列番号248を含むLC可変領域配列、
r)配列番号209を含むHC可変領域配列、及び配列番号211を含むLC可変領域配列、若しくは以下に記載のNVT配列が修飾されているLC可変領域配列、例えば、配列番号249を含むLC可変領域配列、
s)配列番号219を含むHC可変領域配列、及び配列番号221を含むLC可変領域配列、又は
t)配列番号229を含むHC可変領域配列、及び配列番号231を含むLC可変領域配列、若しくは以下に記載のNVT配列が修飾されているLC可変領域配列、例えば、配列番号250を含むLC可変領域配列を有する。
【0132】
一実施形態では、その抗原結合部分は、F(ab’)2、Fab、Fv、scFv、重鎖、軽鎖、可変重(V)ドメイン、又は可変軽(V)である。
【0133】
別の実施形態では、抗体又は抗原結合部分は、配列番号27を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号28を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号29を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号30を含むか又はそれからなるLCDR1配列、配列番号31を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号32を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を含む。抗体又は抗原結合部分は、生殖細胞系配列(配列番号74)と比較して、重鎖可変配列に5個のアミノ酸変化を有するフレームワーク領域、及び軽鎖可変配列(配列番号76)に1個のアミノ酸変化を有するフレームワーク領域を有する。
【0134】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、配列番号7を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号8を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号9を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号10を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号11を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号12を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。抗体又は抗原結合部分は、生殖細胞系配列(配列番号74)と比較して、重鎖可変配列に2個のアミノ酸変化を有するフレームワーク領域、及び生殖細胞系配列(配列番号76)と比較して軽鎖可変配列に3個のアミノ酸変化を有するフレームワーク領域を有する。
【0135】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、配列番号17を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号18を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号19を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号20を含むLC CDR1配列、配列番号21を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号22を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。抗体又は抗原結合部分は、生殖細胞系配列(配列番号74)と比較して、重鎖可変配列に10個のアミノ酸変化を有するフレームワーク領域、及び軽鎖可変配列(配列番号76)にアミノ酸変化を有さないフレームワーク領域を有する。
【0136】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、配列番号37を含むHC CDR1配列、配列番号38を含むHC CDR2配列、配列番号39を含むHC CDR3配列、配列番号40を含むLC CDR1配列、配列番号41を含むLC CDR2配列、及び配列番号42を含むLC CDR3配列を有する。抗体又は抗原結合部分は、生殖細胞系配列(配列番号74)と比較して、重鎖可変配列に12個のアミノ酸変化を有するフレームワーク領域、及び軽鎖可変配列(配列番号76)にアミノ酸変化を有さないフレームワーク領域を有する。
【0137】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、配列番号47を含むか又はそれからなるHC CDR1配列、配列番号48を含むか又はそれからなるHC CDR2配列、配列番号49を含むか又はそれからなるHC CDR3配列、配列番号50を含むか又はそれからなるLC CDR1配列、配列番号51を含むか又はそれからなるLC CDR2配列、及び配列番号52を含むか又はそれからなるLC CDR3配列を有する。抗体又は抗原結合部分は、生殖細胞系配列(配列番号74)と比較して、重鎖可変配列に4個のアミノ酸変化を有するフレームワーク領域、及び軽鎖可変配列(配列番号76)にアミノ酸変化を有さないフレームワーク領域を有する。
【0138】
実施形態では、抗体又は抗原結合部分は、生殖細胞系配列(配列番号74)と比較して、重鎖可変配列に1~10個のアミノ酸変化を有するフレームワーク領域を有する。例えば、抗体又は抗原結合部分は、生殖細胞系配列(配列番号74)と比較して、重鎖可変配列に1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸変化を有し得るフレームワーク領域を有する。実施形態では、抗体又は抗原結合部分は、生殖細胞系配列(配列番号76)と比較して、軽鎖可変配列に1~10個のアミノ酸変化を有するフレームワーク領域を有する。例えば、抗体又は抗原結合部分は、生殖細胞系配列(配列番号76)と比較して、軽鎖可変配列に1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸変化を有し得るフレームワーク領域を有する。
【0139】
本発明はまた、イヌCD20に結合する、単離されたイヌ抗体又はその抗原結合部分に関し、当該抗体は、
a)配列番号112を含むか若しくはそれからなるHC CDR1配列、又は配列番号112と比較して1個、2個、若しくは3個のアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列、
b)配列番号113を含むか若しくはそれからなるHC CDR2配列、又は配列番号113と比較して1個、2個、3個、4個、若しくは5個のアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列、
c)配列番号114を含むか若しくはそれからなるHC CDR3配列、又は配列番号114と比較して1個、2個、若しくは3個のアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列、
d)配列番号115を含むか若しくはそれからなるLC CDR1配列、又は配列番号124と比較して1個のアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列、
e)配列番号116を含むか若しくはそれからなるLC CDR2配列、又は配列番号116と比較して1個若しくは2個のアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列、及び
f)配列番号117を含むか若しくはそれからなるLC CDR3配列、又は配列番号117と比較して1個若しくは2個のアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列を含む。
【0140】
本発明はまた、イヌCD20に結合する、単離されたイヌ抗体又はその抗原結合部分に関し、当該抗体は、
a)配列番号122を含むか若しくはそれからなるHC CDR1配列、又は配列番号122と比較して1個、2個、若しくは3個のアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列、
b)配列番号123を含むか若しくはそれからなるHC CDR2配列、又は配列番号123と比較して1個、2個、3個、若しくは4個のアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列、
c)配列番号124を含むか若しくはそれからなるHC CDR3配列、又は配列番号124と比較して1個、2個、3個、若しくは4個のアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列、
d)配列番号125を含むか若しくはそれからなるLC CDR1配列、又は配列番号125と比較して1個のアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列、
e)配列番号126を含むか若しくはそれからなるLC CDR2配列、又は配列番号126と比較して1個のアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列、及び
f)配列番号127を含むか若しくはそれからなるLC CDR3配列、又は配列番号127と比較して1個、2個、若しくは3個のアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列を含む。
【0141】
本明細書で使用されるアミノ酸変化は、アミノ酸置換、付加、又は欠失から選択される。一実施形態では、アミノ酸変化は、アミノ酸置換である。
【0142】
一実施形態では、抗体は、実施例及び配列情報に示されるように、PMX001、PMX002、PMX003、PMX004、PMX005、PMX006、PMX007、PMX008、PMX009、PMX010、PMX011、PMX066、PMX067、PMX068、PMX069、PMX070、PMX071、PMX072、PMX073、PMX074、PMX075、PMX076、PMX077、PMX078、PMX079、PMX080、PMX081、PMX112、PMX113、PMX114、PMX115、PMX116、PMX117、PMX118、PMX119、PMX120、PMX121、PMX122、PMX123、又はPMX124である。一実施形態では、抗体は、PMX001、PMX002、PMX003、PMX004、PMX005、PMX066、PMX067、PMX068、PMX069、PMX070、PMX071、PMX072、PMX073、PMX074、PMX075、PMX076、PMX077、PMX078、PMX079、PMX080、又はPMX081から選択される。一実施形態では、抗体は、PMX003、PMX066、PMX069、PMX070、PMX078、又はPMX081から選択される。一実施形態では、抗体は、PMX010、PMX112、PMX115、PMX122、又はPMX124から選択される。一実施形態では、抗体は、PMX069、PMX070、又はPMX115から選択される。
【0143】
したがって、一実施形態では、抗体は、対応するアミノ酸配列(配列番号4)をコードする重鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号3)、及び対応するアミノ酸配列(配列番号6)をコードする軽鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号5)を有する。生殖細胞系配列(配列番号74)と比較して、重鎖可変配列には2個のアミノ酸変化があり、生殖細胞系配列(配列番号76)と比較して、軽鎖可変配列には3個のアミノ酸変化がある。CDR配列は以下のとおりである。重鎖可変領域のCDR1(配列番号7)、CDR2(配列番号8)、及びCDR3(配列番号9)、並びに軽鎖可変領域のCDR1(配列番号10)、CDR2(配列番号11)、及びCDR3(配列番号12)。
【0144】
一実施形態では、抗体は、対応するアミノ酸配列(配列番号14)をコードする重鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号13)、及び対応するアミノ酸配列(配列番号16)をコードする軽鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号15)を有する。生殖細胞系配列(配列番号74)と比較して、重鎖可変配列には10個のアミノ酸変化があり、軽鎖可変配列(配列番号76)にはアミノ酸変化はない。CDRは以下である。重鎖可変領域のCDR1(配列番号17)、CDR2(配列番号18)、及びCDR3(配列番号19)、並びに軽鎖可変領域のCDR1(配列番号20)、CDR2(配列番号21)、及びCDR3(配列番号22)。
【0145】
一実施形態では、抗体は、対応するアミノ酸配列(配列番号24)をコードする重鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号23)、及び対応するアミノ酸配列(配列番号26)をコードする軽鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号25)を有する。生殖細胞系配列(配列番号74)と比較して、重鎖可変配列には5個のアミノ酸変化があり、軽鎖可変配列(配列番号76)には1個のアミノ酸変化がある。CDRは以下である。重鎖可変領域のCDR1(配列番号27)、CDR2(配列番号28)、及びCDR3(配列番号29)、並びに軽鎖可変領域のCDR1(配列番号30)、CDR2(配列番号31)、及びCDR3(配列番号32)。
【0146】
一実施形態では、抗体は、対応するアミノ酸配列(配列番号34)をコードする重鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号33)、及び対応するアミノ酸配列(配列番号36)をコードする軽鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号35)を有する。生殖細胞系配列(配列番号74)と比較して、重鎖可変配列には12個のアミノ酸変化があり、軽鎖可変配列(配列番号76)にはアミノ酸変化はない。CDRは、重鎖可変領域のCDR1(配列番号37)、CDR2(配列番号38)、及びCDR3(配列番号39)、並びに軽鎖可変領域のCDR1(配列番号40)、CDR2(配列番号41)、及びCDR3(配列番号42)である。
【0147】
一実施形態では、抗体は、対応するアミノ酸配列(配列番号44)をコードする重鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号43)、及び対応するアミノ酸配列(配列番号46)をコードする軽鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号45)を有する。生殖細胞系配列(配列番号74)と比較して、重鎖可変配列には4個のアミノ酸変化があり、軽鎖可変配列(配列番号76)にはアミノ酸変化はない。CDRは、重鎖可変領域のCDR1(配列番号47)、CDR2(配列番号48)、及びCDR3(配列番号49)、並びに軽鎖可変領域のCDR1(配列番号50)、CDR2(配列番号51)、及びCDR3(配列番号52)である。
【0148】
一実施形態では、抗体は、対応するアミノ酸配列(配列番号79)をコードする重鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号78)、及び対応するアミノ酸配列(配列番号81)をコードする軽鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号80)を有する。CDRは、重鎖可変領域のCDR1(配列番号82)、CDR2(配列番号83)、及びCDR3(配列番号84)、並びに軽鎖可変領域のCDR1(配列番号85)、CDR2(配列番号86)、及びCDR3(配列番号87)である。
【0149】
一実施形態では、抗体は、対応するアミノ酸配列(配列番号89)をコードする重鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号88)、及び対応するアミノ酸配列(配列番号91)をコードする軽鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号90)を有する。CDRは、重鎖可変領域のCDR1(配列番号92)、CDR2(配列番号93)、及びCDR3(配列番号94)、並びに軽鎖可変領域のCDR1(配列番号95)、CDR2(配列番号96)、及びCDR3(配列番号97)である。
【0150】
一実施形態では、抗体は、対応するアミノ酸配列(配列番号99)をコードする重鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号98)、及び対応するアミノ酸配列(配列番号101)をコードする軽鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号100)を有する。CDRは、重鎖可変領域のCDR1(配列番号102)、CDR2(配列番号103)、及びCDR3(配列番号104)、並びに軽鎖可変領域のCDR1(配列番号105)、CDR2(配列番号106)、及びCDR3(配列番号107)である。
【0151】
一実施形態では、抗体は、対応するアミノ酸配列(配列番号109)をコードする重鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号108)、及び対応するアミノ酸配列(配列番号111)をコードする軽鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号110)を有する。CDRは、重鎖可変領域のCDR1(配列番号112)、CDR2(配列番号113)、及びCDR3(配列番号114)、並びに軽鎖可変領域のCDR1(配列番号115)、CDR2(配列番号116)、及びCDR3(配列番号117)である。
【0152】
一実施形態では、抗体は、対応するアミノ酸配列(配列番号119)をコードする重鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号118)、及び対応するアミノ酸配列(配列番号121)をコードする軽鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号120)を有する。CDRは、重鎖可変領域のCDR1(配列番号122)、CDR2(配列番号123)、及びCDR3(配列番号124)、並びに軽鎖可変領域のCDR1(配列番号125)、CDR2(配列番号126)、及びCDR3(配列番号127)である。
【0153】
一実施形態では、抗体は、対応するアミノ酸配列(配列番号129)をコードする重鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号128)、及び対応するアミノ酸配列(配列番号131)をコードする軽鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号130)を有する。CDRは、重鎖可変領域のCDR1(配列番号132)、CDR2(配列番号133)、及びCDR3(配列番号134)、並びに軽鎖可変領域のCDR1(配列番号135)、CDR2(配列番号136)、及びCDR3(配列番号137)である。
【0154】
一実施形態では、抗体は、対応するアミノ酸配列(配列番号139)をコードする重鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号138)、及び対応するアミノ酸配列(配列番号141)をコードする軽鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号140)を有する。CDRは、重鎖可変領域のCDR1(配列番号142)、CDR2(配列番号143)、及びCDR3(配列番号144)、並びに軽鎖可変領域のCDR1(配列番号145)、CDR2(配列番号146)、及びCDR3(配列番号147)である。
【0155】
一実施形態では、抗体は、対応するアミノ酸配列(配列番号149)をコードする重鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号148)、及び対応するアミノ酸配列(配列番号151)をコードする軽鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号150)を有する。CDRは、重鎖可変領域のCDR1(配列番号152)、CDR2(配列番号153)、及びCDR3(配列番号154)、並びに軽鎖可変領域のCDR1(配列番号155)、CDR2(配列番号156)、及びCDR3(配列番号157)である。
【0156】
一実施形態では、抗体は、対応するアミノ酸配列(配列番号159)をコードする重鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号158)、及び対応するアミノ酸配列(配列番号161)をコードする軽鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号160)を有する。CDRは、重鎖可変領域のCDR1(配列番号162)、CDR2(配列番号163)、及びCDR3(配列番号164)、並びに軽鎖可変領域のCDR1(配列番号165)、CDR2(配列番号166)、及びCDR3(配列番号167)である。
【0157】
一実施形態では、抗体は、対応するアミノ酸配列(配列番号169)をコードする重鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号168)、及び対応するアミノ酸配列(配列番号171)をコードする軽鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号170)を有する。CDRは、重鎖可変領域のCDR1(配列番号172)、CDR2(配列番号173)、及びCDR3(配列番号174)、並びに軽鎖可変領域のCDR1(配列番号175)、CDR2(配列番号176)、及びCDR3(配列番号177)である。
【0158】
一実施形態では、抗体は、対応するアミノ酸配列(配列番号179)をコードする重鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号178)、及び対応するアミノ酸配列(配列番号181)をコードする軽鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号180)を有する。CDRは、重鎖可変領域のCDR1(配列番号182)、CDR2(配列番号183)、及びCDR3(配列番号184)、並びに軽鎖可変領域のCDR1(配列番号185)、CDR2(配列番号186)、及びCDR3(配列番号187)である。
【0159】
一実施形態では、抗体は、対応するアミノ酸配列(配列番号189)をコードする重鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号188)、及び対応するアミノ酸配列(配列番号191)をコードする軽鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号190)を有する。CDRは、重鎖可変領域のCDR1(配列番号192)、CDR2(配列番号193)、及びCDR3(配列番号194)、並びに軽鎖可変領域のCDR1(配列番号195)、CDR2(配列番号196)、及びCDR3(配列番号197)である。
【0160】
一実施形態では、抗体は、対応するアミノ酸配列(配列番号199)をコードする重鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号198)、及び対応するアミノ酸配列(配列番号201)をコードする軽鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号200)を有する。CDRは、重鎖可変領域のCDR1(配列番号202)、CDR2(配列番号203)、及びCDR3(配列番号204)、並びに軽鎖可変領域のCDR1(配列番号205)、CDR2(配列番号206)、及びCDR3(配列番号207)である。
【0161】
一実施形態では、抗体は、対応するアミノ酸配列(配列番号209)をコードする重鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号208)、及び対応するアミノ酸配列(配列番号211)をコードする軽鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号210)を有する。CDRは、重鎖可変領域のCDR1(配列番号212)、CDR2(配列番号213)、及びCDR3(配列番号214)、並びに軽鎖可変領域のCDR1(配列番号215)、CDR2(配列番号216)、及びCDR3(配列番号217)である。
【0162】
一実施形態では、抗体は、対応するアミノ酸配列(配列番号219)をコードする重鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号218)、及び対応するアミノ酸配列(配列番号221)をコードする軽鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号220)を有する。CDRは、重鎖可変領域のCDR1(配列番号222)、CDR2(配列番号223)、及びCDR3(配列番号224)、並びに軽鎖可変領域のCDR1(配列番号225)、CDR2(配列番号226)、及びCDR3(配列番号227)である。
【0163】
一実施形態では、抗体は、対応するアミノ酸配列(配列番号229)をコードする重鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号228)、及び対応するアミノ酸配列(配列番号231)をコードする軽鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号230)を有する。CDRは、重鎖可変領域のCDR1(配列番号232)、CDR2(配列番号233)、及びCDR3(配列番号234)、並びに軽鎖可変領域のCDR1(配列番号235)、CDR2(配列番号236)、及びCDR3(配列番号237)である。
【0164】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、Fc領域、例えば、イヌFc領域、例えば、イヌIgGB Fc領域を含む。
【0165】
表2に示されるアミノ酸及びヌクレオチド配列(及び/又はその断片)を含むが、これらに限定されない、本明細書に記載される可変領域配列は、抗体分子の1つ以上の定常鎖(及び/又はその断片)をコードする1つ以上のアミノ酸配列及び/又はヌクレオチド配列と組み合わせて使用してもよい。例えば、表2に示される可変領域アミノ酸配列は、可変領域アミノ酸配列が由来するものと同じ又は異なる種(例えば、ヒト、ヤギ、ラット、ヒツジ、ニワトリ)の任意の抗体分子の定常領域に連結され得る。好ましくは、表2に示される可変領域アミノ酸配列は、イヌ抗体の定常領域に連結され、イヌIgG A、B、C、又はDのうちのいずれかからの定常領域であり得る。一実施形態では、定常領域は、イヌIgG B定常領域である。イヌIGGB(配列番号66)、イヌIGK(配列番号73)、又はイヌIGLC5(配列番号67)定常領域を使用してもよい。
【0166】
また、上記の抗体及び抗原結合部分のバリアントも本発明の範囲内である。
【0167】
本明細書に記載の抗体又はその抗原結合部分のバリアントは、非バリアント分子に対して少なくとも80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有する。一実施形態では、配列同一性は、少なくとも95%である。一実施形態では、修飾は保存的配列修飾である。
【0168】
本明細書で使用される場合、「保存的配列修飾」という用語は、アミノ酸配列を含有する抗体の結合特徴に著しく影響しないか、又は著しく改変させないアミノ酸修飾を指すよう意図される。そのような保存的修飾は、アミノ酸置換、付加、及び欠失を含む。修飾は、部位特異的変異誘発及びPCRを介する変異誘発などの当技術分野で既知の標準的な技術によって、本発明の抗体又はその抗原結合部分に導入することができる。保存的アミノ酸置換は、アミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられているものである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野で定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、ベータ分岐側鎖を有するアミノ酸(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、及び芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む。したがって、本発明の抗体のCDR領域内の1つ以上のアミノ酸残基は、同じ側鎖ファミリーからの他のアミノ酸残基と置き換えることができ、改変された抗体は、本明細書に記載される機能的アッセイを使用して、保持された機能(すなわち、CD20結合)について試験することができる。
【0169】
したがって、これらのアミノ酸変化は、典型的には、ポリペプチドの生物学的活性、機能、又は抗原に対するその親和性若しくはその特異性などの他の所望の特性を改変させることなく行うことができる。一般に、ポリペプチドの非必須領域における単一アミノ酸置換は、生物学的活性を実質的に改変させない。更に、構造又は機能が類似しているアミノ酸の置換は、ポリペプチドの生物学的活性を破壊する可能性が低い。本明細書に記載されるポリペプチド及びペプチドを含むアミノ酸残基についての略語、並びにこれらのアミノ酸残基についての保存的置換は、以下の表1に示される。
【表1】
【0170】
いくつかの実施形態では、本発明は、1つ以上の配列修飾を含み、非修飾抗体又はその断片と比較して、結合親和性、特異性、熱安定性、発現レベル、エフェクター機能、グリコシル化、低減された免疫原性、又は溶解性などの特性のうちの1つ以上の改善を有する、例えば、配列番号3~65又は配列番号78~237から選択される本明細書に記載される配列と比較した抗体又はその抗原結合部分のバリアントである、抗体又はその抗原結合部分を提供する。
【0171】
抗体が大規模に首尾よく開発され得ることを示唆し得る特性を測定するための好適な方法には、親和性クロマトグラフィーのクロマトグラフィー(タンパク質A:MabSelect Sure LX)、アニオン交換クロマトグラフィー(Capto Q)、カチオン交換クロマトグラフィー(Capto S)、及び緩衝液交換(G-25Fine)などのクロマトグラフィーを使用する第1の精製、続いて、抗体が無傷のままであるかどうかの評価が含まれる(例えば、SDS PAGE分析を使用して分子量を決定し、HPLC-SECを使用してモノマーの%を計算し、凝集及び熱安定性(Tm)研究を評価する。
【0172】
例えば、タンパク質のアスパラギン連結グリコシル化のためのコンセンサス配列が除去され得る。PMX003(配列番号26)の軽鎖のフレームワーク領域1(FR1)は、タンパク質のアスパラギン連結グリコシル化のためのコンセンサス配列であるNVTシークオン(sequon)を含有する。この部位に結合したグリカンを除去するために、PMX003 mAbのFR1内のNVTシークオンを、PMX006 mAbについてはQVT、PMX007 mAbについてはAVT、PMX008 mAbについてはEVT、PMX009 mAbについてはNVA、PMX010 mAbについてはSVT、及びPMX011 mAbについてはTVTに変異させた。そのような修飾は、本発明の範囲内である。
【0173】
PMX006 mAb(配列番号53)、PMX007 mAb(配列番号54)、PMX008 mAb(配列番号55)、PMX009 mAb(配列番号56)、PMX010 mAb(配列番号57)、PMX011 mAb(配列番号58)の得られた軽鎖可変領域アミノ酸配列、及びPMX003(配列番号59)、PMX006 mAb(配列番号60)、PMX007 mAb(配列番号61)、PMX008 mAb(配列番号62)、PMX009 mAb(配列番号63)、PMX010 mAb(配列番号64)、PMX011 mAb(配列番号65)のFR1配列は、本発明の範囲内であり、配列表2に列挙されている。これらは、配列番号26の代わりにPMX003重鎖とともに使用してもよい。PMX003についてのLC FR1配列は、配列番号59において、修飾LC FR1配列は、配列番号60、61、62、63、64、及び65において示される。
【0174】
NVTシークオンは、PMX001~PMX005(配列番号6、配列番号16、配列番号26、配列番号36、配列番号46)、及びPMX066~PMX0081(配列番号81、配列番号91、配列番号101、配列番号111、配列番号121、配列番号131、配列番号141、配列番号151、配列番号161、配列番号171、配列番号181、配列番号191、配列番号201、配列番号211、配列番号221、配列番号231)の軽鎖のFR1の残基位置11~13に見出される。PMX001~PMX005又はPMX066~PMX081の軽鎖のFR1の残基位置11~13に見出されるNVTシークオンは、QVT、AVT、EVT、NVA、SVT、TVTから選択される配列に変異され得る。実施形態では、PMX001~PMX005又はPMX066~PMX081の軽鎖のFR1の残基位置11~13に見出されるNVTシークオンは、SVTに変異される。
【0175】
PMX066(配列番号81)、PMX067(配列番号91)、PMX068(配列番号101)、PMX069(配列番号111)、PMX071(配列番号131)、PMX072(配列番号141)、PMX073(配列番号151)、PMX074(配列番号161)、PMX076(配列番号181)、PMX077(配列番号191)、PMX078(配列番号201)、PMX079(配列番号211)、PMX081(配列番号231)の軽鎖のフレームワーク領域1(FR1)は、タンパク質のアスパラギン連結グリコシル化のためのコンセンサス配列であるNVTシークオンを含有する。この部位に結合したグリカンを除去するために、PMX066、PMX067、PMX068、PMX069、PMX071、PMX072、PMX073、PMX074、PMX076、PMX077、PMX078、PMX079、及びPMX081 mAbのFR1におけるNVTシークオンをSVTに変異させて、それぞれ、PMX112(配列番号238)、PMX113(配列番号239)、PMX114(配列番号240)、PMX115(配列番号241)、PMX116(配列番号242)、PMX117(配列番号243)、PMX118(配列番号244)、PMX119(配列番号245)、PMX120(配列番号246)、PMX121(配列番号247)、PMX122(配列番号248)、PMX123(配列番号249)、及びPMX124(配列番号250)を産生した。そのような修飾は、本発明の範囲内であり、これらの軽鎖は、それらのそれぞれの重鎖対応物とともに使用され得、例えば、PMX066(配列番号79)のHCは、修飾LC(配列番号238)などとともに使用してもよい。
【0176】
PMX112 mAb(配列番号238)、PMX113 mAb(配列番号239)、PMX114 mAb(配列番号240)、PMX115 mAb(配列番号241)、PMX116 mAb(配列番号242)、PMX117 mAb(配列番号243)、PMX118 mAb(配列番号244)、PMX119 mAb(配列番号245)、PMX120 mAb(配列番号246)、PMX121 mAb(配列番号247)、PMX122 mAb(配列番号248)、PMX123 mAb(配列番号249)、及びPMX124 mAb(配列番号250)の得られた軽鎖可変領域アミノ酸配列は、本発明の範囲内であり、配列表に列挙されている。
【0177】
当業者は、インビトロ及びインビボ発現ライブラリを含む、本明細書に記載の抗原結合分子を特定し、取得し、最適化するための異なる方法が存在することを知っているであろう。これは、実施例において更に記載される。ディスプレイ(例えば、リボソーム及び/又はファージディスプレイ)及び/又は変異誘発(例えば、エラーが発生しやすい変異誘発)などの当技術分野で既知の最適化技術が使用され得る。したがって、本発明はまた、本明細書に記載される抗体の配列最適化バリアントを含む。
【0178】
一実施形態では、修飾は、抗体の免疫原性を減少させるように行うことができる。例えば、1つのアプローチは、1つ以上のフレームワーク残基を対応するイヌ生殖細胞系配列に戻すことである。より具体的には、体細胞変異を受けている抗体は、抗体が由来する生殖細胞系配列とは異なるフレームワーク残基を含有し得る。そのような残基は、抗体フレームワーク配列を、抗体が由来する生殖細胞系配列と比較することによって特定され得る。一実施形態では、全てのフレームワーク配列は、生殖細胞系配列である。
【0179】
フレームワーク領域配列中のアミノ酸残基のうちの1つ以上をそれらの生殖細胞系構成に戻すために、体細胞変異は、例えば、部位特異的変異誘発又はPCRを介する変異誘発によって生殖細胞系配列に「復帰変異」され得る。
【0180】
別のタイプのフレームワーク修飾は、フレームワーク領域内、又は1つ以上のCDR領域内の1つ以上の残基を変異させて、T細胞エピトープを除去し、それによって抗体の潜在的な免疫原性を低減させることを伴う。
【0181】
いくつかの実施形態では、本開示の抗原結合タンパク質、その断片及び誘導体、並びに融合タンパク質は、翻訳後修飾を受け、例えば、限定されないが、グルタミンは、環化され得るか、又はピログルタミン酸に変換され得、追加的又は代替的に、アミノ酸は、脱アミド化、異性化、グリケーション、及び/又は酸化を受けることができる。本開示のポリペプチドは、当技術分野で周知である部位で、グリコシル化、例えば、N連結又はO連結グリコシル化を含む、追加の翻訳後修飾を受けることができる。そのような改変を防止又は最小化するために、又はそのような処理が有益である状況でそれらを促進するために、ポリペプチドのアミノ酸配列に変化が加えられ得る。本開示のポリペプチドには、例えば、(1)タンパク質分解に対する感受性を低減させるために、(2)酸化に対する感受性を低減させるために、(3)タンパク質複合体を形成するための結合親和性を改変させるために、(4)結合親和性を改変させるために、及び(4)他の物理化学的又は機能的特性を付与又は修飾するために、修飾されているポリペプチドが含まれる。
【0182】
したがって、なお別の実施形態では、グリコシル化が修飾される。例えば、アグリコシル化(aglycoslated)抗体が作製され得る(すなわち、抗体がグリコシル化を欠いている)。一実施形態では、アグリコシル化抗体の軽鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58を含む。配列番号238、配列番号239、配列番号240、配列番号241、配列番号242、配列番号243、配列番号244、配列番号245、配列番号246、配列番号247、配列番号248、配列番号249、配列番号250。FR1配列は、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、又は配列番号65として提供される。
【0183】
グリコシル化はまた、例えば、抗原に対する抗体の親和性を増加させるように改変され得る。そのような炭水化物修飾は、例えば、抗体配列内のグリコシル化の1つ以上の部位を改変させることによって達成され得る。例えば、1つ以上の可変領域フレームワークグリコシル化部位の排除をもたらし、それにより、その部位でのグリコシル化を排除する1つ以上のアミノ酸置換が行われ得る。そのようなアグリコシル化は、抗原に対する抗体の親和性を増加させ得る。
【0184】
いくつかの用途では、結合剤は、イヌCD20に結合し得るが、標準的な結合剤と比較してFc受容体に結合する能力が改変されている。一例では、結合剤は、修飾されたグリコシル化パターンを有する抗体である。IgG分子は、例えば、典型的には、N連結オリゴ糖、例えば、フコースを含有する。
【0185】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、a-フコシル化されている。がん免疫療法では、抗体は、腫瘍細胞を枯渇させる主な作用様式として、Fc媒介性免疫エフェクター機能、抗体依存性細胞傷害(ADCC)に依存し得る。このエフェクター機能が、抗体のFc領域におけるN連結グリコシル化によって調節されることは周知である。特に、Fc N-グリカン上のコアフコースの不在は、ナチュラルキラー細胞などの免疫エフェクター細胞上に存在するFcγRIIIaに対するIgG1 Fc結合親和性を増加させ、ADCC活性の向上をもたらすことが示されている。したがって、a-フコシル化抗体は、治療有効性を改善するのに有利であり得、フコースの不在/除去は、抗体がFc受容体と相互作用する能力を向上させる。このタイプの抗体は、「a-フコシル化」と称され得る。そのような抗体は、本明細書に記載される技術及び/又は当技術分野で既知であり得る技術を使用して産生され得る。いくつかの実施形態では、抗体をコードする核酸配列は、修飾されたグリコシル化能力(例えば、欠失、修飾又はより少ない量のフコシルトランスフェラーゼ)を有し、典型的なフコース部分を添加することができない細胞株で発現され得る。
【0186】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、0.9~4.5ug/ml(6~30nM)の範囲、例えば、20nM未満のEC50値を有するCDC活性を有する。
【0187】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、0.3nM未満、例えば、0.013ug/ml(0.09nM)のEC50値を有するADCC活性を有する。
【0188】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合部分は、以下の特性のうちの1つ以上を有する。
a)20nM未満のEC50値を有するCDC活性を有する、
b)0.3nM未満のEC50値を有するADCC活性を有する、
c)100ug/ml超の一過性発現収率を有する、
d)58℃超のUncleによって決定されるTm1を有する、及び/又は
e)約0.5mg/kg~2.5mg/kgの用量でイヌにおけるインビボでの細胞殺傷を提供する
f)イヌにおけるインビボでのB細胞枯渇を低レベルで少なくとも15日間維持する、及び/あるいは
g)以下のアミノ残基ENLNLIKAPM(配列番号303、配列番号2におけるアミノ酸番号150~159)、例えば、ITISHFFKMENLNLIKAPM(配列番号302、配列番号2におけるアミノ酸番号141~159)のうちの1つ以上のアミノ残基、例えば、1~10個、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10個を含むか、又は以下のアミノ残基ENLNLIKAPM(配列番号303、配列番号2におけるアミノ酸番号150~159)、例えば、ITISHFFKMENLNLIKAPM(配列番号302、配列番号2におけるアミノ酸番号141~159)からなるエピトープに結合する。
【0189】
ADCC及びCDC活性は、実施例に記載されるように測定されてもよい。
【0190】
一実施形態では、抗体及びその抗原結合部分は、例えば、実施例で測定されるように、CD20を発現するイヌリンパ腫細胞株における細胞殺傷によって実証されるような、CDC及びADCC活性の両方を示す。
【0191】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、上記に記載される特性のうちの1つ以上を有し、HC CDR及びLC CDR、並びに/又はPMX069、PMX115、若しくはPMX070のHC及びLC CDRSを有する。一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、PMX069、PMX115、又はPMX070から選択される。
【0192】
一実施形態では、抗体は、表4に記載される抗体又はその抗原結合部分であり、その表に示されるようなADCC又はCDCについてのEC50値を有する。EC50値は、実施例に記載されるように測定されてもよい。
【0193】
一実施形態では、抗体のFc部分は修飾されてもよい。
【0194】
一実施形態では、バリアントにおける1つ以上の置換は、CDR1、2、及び/又は3領域にある。例えば、CDR1、2、及び/又は3領域内に1、2、3、4、5、又はそれ以上のアミノ酸置換があり得る。別の例では、1個又は2個のアミノ酸欠失があり得る。
【0195】
一実施形態では、1つ以上の置換は、フレームワーク領域にある。例えば、HC可変領域及び/又はLC可変領域フレームワーク領域に1~20個、例えば、1~10個、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸置換があり得る。
【0196】
本発明の抗体は、好ましくは、KD、IC50、及び/又はEC50値、例えば、実施例において本明細書に更に記載のKDを有する。好適には、KD値は、抗体が所望の生物学的効果を有するのに十分である。例えば、KDは、少なくとも約10pM~100uM、約100pM~10nM以上であり得る。EC50値は、表4のようなもの、例えば、0.12~0.89nMであり得る。KD、IC50、及び/又はEC50値は、実施例に記載されるように測定されてもよい。
【0197】
「KD」という用語は、「平衡解離定数」を指し、平衡での滴定測定で得られた値、又は解離速度定数(Koff)を会合速度定数(Kon)で除算することによって得られた値を指す。「KA」は、親和性定数を指す。会合速度定数、解離速度定数、及び平衡解離定数は、抗原に対する抗体の結合親和性を表すために使用される。会合速度定数及び解離速度定数を決定するための方法は、当技術分野で周知である。蛍光に基づく技術を使用することは、高感度を提供し、平衡での生理学的緩衝液中の試料を調べる能力を提供する。BIAcore(登録商標)SPRアッセイなどの他の実験的アプローチ及び機器が使用され得る。本発明はまた、上記の抗体又はその抗原結合部分と競合するイヌCD20に結合する、単離されたイヌ抗体又はその抗原結合部分に関する。本発明のCD20抗体のうちのいずれかと同じエピトープ又はイヌCD20上の重複するエピトープで、又はそれらの近くに結合する抗体、抗体断片、又は抗体模倣物は、CD20に結合するために本発明の抗体のうちのいずれかと交差競合する能力を有する。したがって、本発明の抗体は、そのような交差反応性を評価するための参照抗体として使用され得る。そのような交差競合抗体は、標準的なCD20結合アッセイにおいて本明細書に記載される抗体と交差競合するそれらの能力に基づいて特定され得る。例えば、BIAcore(登録商標)分析、ELISAアッセイ、又はフローサイトメトリーが、抗体との交差競合を実証するために使用され得る。
【0198】
核酸配列、ベクター、及び宿主細胞
本発明はまた、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合部分のアミノ酸配列、例えば、HC可変領域又はLC可変領域をコードする核酸配列に関する。例示的な配列を表2に記載する。一実施形態では、当該核酸は、配列番号3、5、13、15、23、25、33、35、43、45、78、80、88、90、98、100、108、110、118、120、128、130、138、140、148、150、158、160、168、170、178、180、188、190、198、200、208、210、218、220、228、230、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、若しくは301、又はそれに対して少なくとも75%、80%、若しくは90%の配列相同性を有する核酸から選択される。一実施形態では、当該核酸配列は、第2の核酸配列にリンカーで連結されている。一実施形態では、当該第2の核酸は、追加の治療部分をコードする。一実施形態では、当該リンカーは、核酸リンカーである。例示的な核酸を以下に示す。しかしながら、当業者は、遺伝子コードの縮重に起因して、他の配列が想定されることを理解するであろう。
【0199】
配列番号68及び69を含む、コドン最適化ヌクレオチド配列も本発明の範囲内である。
【0200】
本発明による核酸は、DNA又はRNAを含み得、完全に若しくは部分的に合成され得るか、又は組換え的に産生され得る。本明細書に記載のヌクレオチド配列への言及は、別途文脈で必要とされない限り、特定の配列を有するDNA分子を包含し、UがTに置換される特定の配列を有するRNA分子を包含する。
【0201】
更に、本発明は、上記で定義される少なくとも1つの核酸を含む核酸構築物に関する。構築物は、プラスミド、ベクター、転写、又は発現カセットの形態であってもよい。
【0202】
本発明はまた、本明細書に記載のCD20結合分子をコードする核酸を含むベクターに関する。「ベクター」という用語は、核酸配列が挿入又はクローニングされ得る核酸分子、好ましくは、例えば、プラスミド、バクテリオファージ、又はビムス(vims)に由来するDNA分子を指す。ベクターは、好ましくは、1つ以上の特有の制限部位を含有し、標的細胞若しくは組織又は前駆細胞若しくはその組織を含む定義された宿主細胞において自律複製することができてもよく、あるいはクローニングされた配列が再現可能であるように、定義された宿主のゲノムと統合可能であってもよい。したがって、ベクターは、自己複製ベクター、すなわち、染色体外実体として存在するベクターであり得、その複製は、染色体複製とは無関係であり、例えば、直鎖状若しくは閉じた環状プラスミド、染色体外エレメント、ミニ染色体、又は人工染色体である。ベクターは、自己複製を保証するための任意の手段を含有し得る。代替的には、ベクターは、宿主細胞に導入されると、ゲノムに統合され、それが統合されている染色体と一緒に複製されるものであり得る。ベクター系は、単一のベクター若しくはプラスミド、又は宿主細胞のゲノムに導入される全DNAを一緒に含有する2つ以上のベクター若しくはプラスミド、又はトランスポゾンを含み得る。ベクターの選択は、典型的には、ベクターが導入される宿主細胞とのベクターの適合性に依存する。ベクターはまた、好適な形質転換体の選択に使用され得る抗生物質耐性遺伝子などの選択マーカーを含み得る。そのような耐性遺伝子の例は、当業者に周知である。実施形態では、ベクターは、WO2021/176362に記載されるものなどのアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである。
【0203】
いくつかの実施形態は、核酸はまた、リーダー配列を含み得る。別の実施形態では、核酸は、リーダー配列を含まない。重鎖のための配列番号71、PMX001~PMX005及びPMX066~PMX081 mAbの軽鎖のための配列番号72、又はCampathリーダー配列(配列番号70)(US8,362,208B2を参照されたい)などの他の配列などの、天然免疫グロブリン生殖細胞系リーダー配列を含む任意の好適なリーダー配列を使用してもよく、タンパク質発現を向上させるために選択してもよい。
【0204】
いくつかの実施形態では、核酸はまた、シグナルペプチド、すなわち、分泌経路の第1の膜を通って分泌するために運命づけられたタンパク質の転座を媒介する分泌タンパク質(免疫グロブリンのような)のN末端上の短いアミノ酸配列(13~36個のアミノ酸)を含み得る。この配列は、成熟タンパク質には存在せず、同時翻訳事象で切断されるが、タンパク質の分泌及び正しい発現を媒介する。好適なシグナル配列は、組換えタンパク質の発現を最適化するために使用され得る。
【0205】
本発明はまた、上記の1つ以上の核酸構築物を含む単離された組換え宿主細胞に関する。本発明で有用な宿主細胞は、原核細胞、酵母細胞、又はより高い真核細胞であり、組換えバクテリオファージDNAで形質転換された細菌(例えば、E.coli、B.subtilis)、抗体コード配列を含有するプラスミドDNA若しくはコスミドDNA発現ベクターなどの微生物;抗体コード配列を含有する組換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母(例えば、Saccharomyces、Pichia);抗体コード配列を含有する、組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)を感染させた昆虫細胞系;抗体コード配列を含有する、組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)を感染させた植物細胞系、若しくは組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞系;又は哺乳動物細胞のゲノムに由来するプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)若しくは哺乳動物ウイルスに由来するプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含有する組換え発現構築物を持つ哺乳動物細胞系(例えば、COS、CHO、BHK、293、3T3細胞)が含まれるが、これらに限定されない。
【0206】
本発明における宿主細胞として有用な原核生物には、グラム陰性又はグラム陽性生物、例えば、E.coli、B.subtilis、Enterobacter、Erwinia、Klebsiella、Proteus、Salmonella、Serratia、及びShigella、並びにBacilli、Pseudomonas、及びStreptomycesが含まれる。1つのクローニング宿主は、E.coli 294(ATCC 31,446)であるが、E.coli B、E.coli X1776(ATCC 31,537)、及びE.coli W3110(ATCC 27,325)などの他の株が好適である。一実施形態では、本明細書に記載の抗CD20抗体を作製する方法が提供され、本方法は、抗体をコードするポリヌクレオチドの発現に好適な条件下で宿主細胞を培養することと、抗体を単離することと、を含む。
【0207】
抗体をコードする核酸は、インビボでそのコードされたタンパク質を産生し、治療効果をもたらすために、抗体を個体に投与するために使用され得る。対象へのポリヌクレオチドの送達は、ポリヌクレオチド又は発現ベクターが、例えば、mRNA又はDNAを細胞、例えば筋細胞に直接導入することによって個体に投与されるように、直接的であり得る。間接導入は、投与の前にポリヌクレオチドがインビトロで細胞に形質転換される場合も想定される。欠陥ウイルス又は減衰ウイルスなどのウイルスベクターもまた、使用され得る。
【0208】
一実施形態では、本明細書に記載の抗CD20抗体を作製する方法が提供され、本方法は、抗体をコードするポリヌクレオチドの発現に好適な条件下で宿主細胞を培養することと、抗体を単離することと、を含む。
【0209】
本発明はまた、イヌCD20及び異なる種に由来する細胞株、例えばHEKなどのヒト細胞株を含む異種アッセイ又は発現系に関する。
【0210】
アッセイは、イヌCD20を、異なる種に由来する細胞株、例えば、異なる哺乳動物からの細胞株、例えば、げっ歯類細胞株又はHEKなどのヒト細胞株と接触させることを含む。例えば、細胞株は、安定又は一過性の様式でイヌCD20を発現するように、イヌCD20でトランスフェクションされる。
【0211】
免疫複合体及び他の結合剤
本発明は、本発明による抗体又はその抗原結合部分を含む、免疫複合体及び他の結合剤に関する。例えば、本発明による抗体又はその抗原結合部分は、治療部分又は非治療部分にコンジュゲートされ得る。
【0212】
一実施形態では、治療部分は、例えば、抗体若しくは抗体断片(例えば、Fab、F(ab’)2、Fv、一本鎖Fv断片(scFv)、又は単一ドメイン抗体、例えば、V若しくはVHHドメイン)、又は抗体模倣タンパク質から選択される、目的の標的抗原に結合する結合分子である。
【0213】
一実施形態では、本明細書に記載のCD20及び第2の部分に結合する抗体又はその抗原結合部分を含むタンパク質又はポリペプチドは、融合タンパク質である。一実施形態では、本明細書に記載のCD20及び第2の部分に結合する抗体又はその抗原結合部分を含むタンパク質又はポリペプチドは、薬物コンジュゲートである。
【0214】
本明細書で使用される場合、「コンジュゲート」は、薬物に結合/コンジュゲートされる、本明細書に記載のCD20に結合する抗体を含む組成物を指す。
【0215】
そのようなコンジュゲートには、薬物が共有結合しているCD20に結合する抗体を含む「薬物コンジュゲート」、及び薬物が非共有結合しているCD20 minに結合する抗体を含む「非共有性薬物コンジュゲート」が含まれる。
【0216】
本明細書で使用される場合、「薬物コンジュゲート」は、薬物が共有結合している抗体を含む組成物を指す。薬物は、好適なリンカー部分を介して直接的又は間接的に抗体断片に共有結合され得る。薬物は、アミノ末端、カルボキシル末端などの任意の好適な位置で、又は好適なアミノ酸側鎖を介して抗体に結合され得る。
【0217】
一実施形態では、抗体は、2つの部位を接続するためにペプチドリンカー又は他の好適なリンカーで第2の部位に連結されている。
【0218】
「ペプチドリンカー」という用語は、1つ以上のアミノ酸を含むペプチドを指す。ペプチドリンカーは、1~50個、例えば、1~20個のアミノ酸を含む。ペプチドリンカーは当技術分野で既知であり、非限定的な例は本明細書に記載されている。好適な非免疫原性リンカーペプチドは、例えば、G及び/又はS残基、(G4S)n、(SG4)n、又はG4(SG4)nペプチドリンカーを含むリンカーであり、「n」は一般に、1~10、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10の数である。
【0219】
結合剤は、多重特異性、例えば二重特異性であり得る。
【0220】
一実施形態では、結合分子は二重特異性である。したがって、一態様では、本発明は、当該抗体とは異なる結合特異性を有する第2の部分に連結された、本明細書に記載される抗体を含む二重特異性分子に関する。したがって、第2の抗体は、異なる標的抗原、例えば、目的の標的に結合する。
【0221】
一実施形態では、結合分子、例えば、タンパク質又は構築物は、多重特異性であり、更なる、すなわち、第3、第4、第5などの部分を含む。
【0222】
治療部分はまた、半減期延長部分、細胞毒素、又は放射性同位体から選択され得る。
【0223】
非治療部分は、標識、リポソーム、又はナノ粒子から選択され得る。標識は、検出可能又は機能的である。標識は、フルオロフォア、蛍光体、放射性標識、酵素、化学発光体、核磁気共鳴活性標識、又は光増感剤を含むが、これらに限定されない、シグナルを産生するか、又はシグナルを産生するように誘導することができる任意の分子であり得る。したがって、結合は、蛍光又は発光、放射能、酵素活性、又は光吸光度を検出することによって検出及び/又は測定され得る。
【0224】
本発明によれば、1つの部分に連結されている抗体及び抗原結合部分は、別の部分に更に連結されてもよい。例えば、治療部分に連結されてもよく、非治療部分への更なる連結は、抗体又は部分のいずれかを介して提供されてもよい。
【0225】
一実施形態では、本発明による結合剤又は抗体若しくはその抗原結合部分は、半減期延長部分を含み得る。これは、イヌ血清アルブミンに結合する抗体又はその抗原結合部分から選択され得る。代替的には、延長された半減期は、PEG化を通して付与され得る。
【0226】
使用される「半減期」という用語は、一般に、例えば、配列若しくは化合物の分解、及び/又は天然機構による配列若しくは化合物のクリアランス若しくは隔離に起因して、アミノ酸配列、化合物又はポリペプチドの血清濃度がインビボで50%低減するのに要する時間を指すことができる。本発明のアミノ酸配列、化合物又はポリペプチドのインビボ半減期は、薬物動態分析などによって、それ自体が既知の任意の様式で決定することができる。好適な技術は、当業者には明白であろう。半減期は、tl/2-アルファ、tl/2-ベータ、及び曲線下面積(AUC)などのパラメータを使用して表すことができる。半減期(tアルファ及びtベータ)及びAUCは、コンジュゲート又は融合の血清濃度の時間に対する曲線から決定することができる。したがって、本明細書で使用される「半減期」という用語は、特に、tl/2-ベータ又は末端半減期(tl/2-アルファ及び/若しくはAUC又はその両方が考慮されないようにされ得る)を指す。
【0227】
例えば、第1の相(アルファ相)では、薬物組成物(例えば、薬物コンジュゲート、非共有性薬物コンジュゲート、薬物融合)は、ある程度の排除を伴い、主に患者内に分布している。第2の相(ベータ相)は、薬物組成物(例えば、薬物コンジュゲート、非共有性薬物コンジュゲート、薬物融合物)が分布しており、薬物組成物が患者から除去されるにつれて血清濃度が減少している場合の末期相である。tアルファ半減期は、第1の相の半減期であり、tベータ半減期は、第2の相の半減期である。
【0228】
医薬組成物
別の態様では、本明細書に記載の抗体又は断片、及び任意選択的に、薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物が提供される。本明細書で使用される「医薬組成物」という用語は、獣医学的使用のためである、コンパニオン動物を治療するために使用される組成物、すなわち、獣医学的組成物を指す。好ましい実施形態では、治療される動物はイヌである。
【0229】
医薬組成物は、薬学的に許容される担体を任意選択的に含み得る。抗体、タンパク質、又は構築物、又は医薬組成物は、経口、局所、非経口、舌下、直腸、膣、眼、鼻腔内、肺、皮内、硝子体内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、脳内、経皮、経粘膜、吸入による、又は局所、特に耳、鼻、眼、又は皮膚に対して、又は吸入によるものを含むが、これらに限定されない、任意の便利な経路によって投与され得る。
【0230】
非経口投与は、例えば、静脈内、筋肉内、動脈内、腹腔内、鼻腔内、直腸、膀胱内、皮内、局所、又は皮下投与を含む。好ましくは、組成物は非経口投与される。
【0231】
薬学的に許容される担体又はビヒクルは、組成物が、例えば、錠剤又は粉末形態であるように、粒子状であり得る。「担体」という用語は、本発明の薬物抗体コンジュゲートとともに投与される希釈剤、アジュバント又は賦形剤を指す。そのような薬学的担体は、液体、例えば、水及び油であってもよく、石油、動物、植物又は合成由来のもの、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などを含む。担体は、生理食塩水、アカシアガム、ゼラチン、デンプンペースト、タルク、ケラチン、コロイド状シリカ、尿素などであり得る。加えて、補助剤、安定化剤、増粘剤、潤滑剤、及び着色剤を使用してもよい。一実施形態では、動物に投与される場合、本発明の抗体又は組成物及び薬学的に許容される担体は、無菌である。水は、本発明の薬物抗体コンジュゲートが静脈内に投与される場合、好ましい担体である。生理食塩水溶液及びデキストロース水溶液及びグリセロール溶液もまた、液体担体として、特に注射用溶液に用いることができる。好適な薬学的担体には、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどの賦形剤も含まれる。所望な場合、本組成物はまた、少量の湿潤剤若しくは乳化剤、又はpH緩衝剤を含有することができる。
【0232】
本発明の医薬組成物は、液体、例えば、溶液、エマルション、又は懸濁液の形態であり得る。液体は、注射、注入(例えば、IV注入)、又は皮下による送達に有用であり得る。経口投与を意図する場合、組成物は、好ましくは固体又は液体の形態であり、半固体、半液体、懸濁液及びゲル形態は、本明細書において固体又は液体のいずれかとして考慮される形態内に含まれる。
【0233】
経口投与用の固体組成物として、組成物は、粉末、顆粒、圧縮錠剤、ピル、カプセル、チューインガム、ウエハーなどの形態で製剤化され得る。そのような固体組成物は、典型的には、1つ以上の不活性希釈剤を含有する。加えて、以下のうちの1つ以上が存在し得る:カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、微結晶セルロース、又はゼラチンなどの結合剤、デンプン、ラクトース、又はデキストリンなどの賦形剤、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、コーンスターチなどの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤、スクロース又はサッカリンなどの甘味剤、ペパーミント、サリチル酸メチル、又はオレンジ風味などの風味剤、及び着色剤。組成物がカプセルの形態(例えば、ゼラチンカプセル)にある場合、それは、上記のタイプの材料に加えて、ポリエチレングリコール、シクロデキストリン又は脂肪油などの液体担体を含有することができる。
【0234】
組成物は、液体の形態、例えば、エリキシル、シロップ、溶液、エマルション又は懸濁液であり得る。この液体は、経口投与又は注射による送達に有用であり得る。経口投与を意図する場合、組成物は、甘味剤、保存剤、染料/着色剤、及び風味増強剤のうちの1つ以上を含み得る。注射による投与のための組成物において、界面活性剤、保存剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、緩衝剤、安定剤、及び等張剤のうちの1つ以上も含まれ得る。
【0235】
組成物は、1つ以上の投薬単位の形態をとっていてもよい。特定の実施形態では、組成物を、治療を必要としている領域に局所的に、又は静脈内注射若しくは注入によって投与することが望ましい場合がある。
【0236】
疾患を治療する方法
本発明は、疾患の治療、本明細書に記載される医薬組成物若しくは製剤の投与、又は本発明の抗体若しくは抗原結合部分のための方法に更に及ぶ。また、疾患の治療における使用のための、本明細書に記載される医薬組成物若しくは製剤、又は本明細書に記載の抗体若しくはその抗原結合部分を含む結合分子若しくは融合タンパク質も想定される。
【0237】
特に、本発明は、B細胞によって媒介される状態の治療を必要としているイヌ対象においてそれを行う方法であって、有効量の本明細書に記載の抗体又はその抗原結合部分を投与することを含む、方法に関する。
【0238】
本発明の態様はまた、イヌ対象におけるB細胞によって媒介される状態の治療における使用のための、本明細書に記載の抗体若しくはその抗原結合部分又は医薬組成物である。
【0239】
例えば、抗体又はその抗原結合部分は、イヌの血液及び/又はB細胞リンパ腫細胞の組織を枯渇させるために使用してもよい。B細胞によって媒介される状態は、B細胞リンパ腫、(例えば、びまん性大細胞B細胞リンパ腫、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、濾胞性リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫(MALT)、小細胞リンパ球性リンパ腫、慢性リンパ性白血病、マンテル細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、縦隔大B細胞リンパ腫、ワルデンストロームマクログロブリン血症、節性辺縁帯B細胞リンパ腫(NMZL)、脾性辺縁帯リンパ腫(SMZL)、血管内大B細胞リンパ腫、原発性滲出リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症)、白血病又は免疫媒介性疾患から選択される。免疫媒介性疾患は、自己免疫疾患であり得る。例には、自己免疫溶血性貧血、免疫媒介性血小板減少症、自己免疫水疱性疾患、免疫媒介性関節炎及びアトピー性皮膚炎、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、シェーグレン症候群、血管炎、多発性硬化症、グレーブス病、特発性血小板減少症、皮膚筋炎、免疫媒介性血小板減少症、多発性筋炎(polymyocytosis)、天疱瘡、免疫媒介性溶血性貧血、及び水疱性天疱瘡が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0240】
特定の障害又は状態の治療に有効/活性である治療薬の量は、障害又は状態の性質に依存し、標準的な臨床技術によって決定することができる。加えて、最適な投薬範囲を特定するのに役立つように、インビトロ又はインビボアッセイを任意選択的に用いてもよい。組成物において用いられる正確な用量はまた、投与経路、及び障害又は疾患の重篤度に依存し、医師の判断及び各患者の状況に従って決定されるべきである。年齢、体重、性別、食生活、投与時間、排泄速度、宿主の状態、薬物の組み合わせ、反応感受性、及び疾患の重症度などの要因を考慮する必要がある。
【0241】
典型的には、この量は、組成物の重量に対して、本発明の抗体又はその断片の少なくとも約0.01%である。経口投与を意図する場合、この量は、組成物の約0.1重量%~約80重量%の範囲で変化させることができる。好ましい経口組成物は、組成物の重量に対して、約4%~約50%の本発明の抗体又はその断片を含み得る。
【0242】
非経口投薬単位が、約0.01重量%~約2重量%の本発明の抗体又はその断片を含有するように、本発明の好ましい組成物を調製する。
【0243】
静脈内又は皮下注射などの注射による投与のために、組成物は、およそ典型的には、対象の体重の約0.01mg/kg~約250mg/kg、例えば、0.1mg/kg~約250mg/kg、例えば、動物の体重の約0.1mg/kg~約20mg/kg、及びより好ましくは、動物の体重の約1mg/kg~約10mg/kgを含み得るが、0.1mg/kg未満もまた想定される。一実施形態では、組成物は、約0.5~30mg/kg、例えば、約5~25mg/kg、約10~20mg/kg、約0.5~5mg/kg、約0.5~2.5mg/kg、約0.5~2.0mg/kg、又は約2若しくは3mg/kgの用量で投与される。一実施形態では、組成物は、2~50mg/mlの用量で投与される。一実施形態では、組成物は、0.5mg/ml~2.5mg/ml、又は0.5mg/ml~5mg/mlの用量で投与される。投薬スケジュールは、例えば、週に1回から2、3、4週間に1回、又は用量間で最大8週間まで変化し得る。一実施形態では、組成物は、3~4週間毎に0.5mg/ml~2.5mg/ml、例えば、3~4週間毎に0.5mg/ml又は2.5mg/mlの用量で投与される。好適には、用量は、用量間の3~4週間の間隔を可能にするように、CD20陽性細胞の長期枯渇を与えるように選択される。複数回用量、好適には最大約6回以上の反復用量が投与されてもよい。
【0244】
一実施形態では、治療後、対象は、少なくとも7日間、又は少なくとも14日間、又は少なくとも21日間、又は少なくとも28日間、又は少なくとも40日間、又は少なくとも50日間、又は少なくとも60日間の疾患無増悪を有する。一実施形態では、治療後、対象は、少なくとも7日間、又は少なくとも14日間、又は少なくとも21日間、又は少なくとも28日間、又は少なくとも40日間、又は少なくとも50日間、又は少なくとも60日間の疾患無増悪を有する。
【0245】
一実施形態では、生存日数、無病日数、又は疾患無増悪日数は、少なくとも2ヶ月、又は少なくとも3ヶ月、又は少なくとも4ヶ月、例えば少なくとも5ヶ月、例えば少なくとも6ヶ月である。
【0246】
一実施形態では、生存日数、無病日数、又は疾患無増悪日数は、少なくとも9ヶ月、200日、300日、又は3年以上である。一実施形態では、それは、少なくとも1年、2年、3年、又はそれ以上である。本発明は、コンパニオン動物、例えば、イヌにおけるCD20媒介性疾患又は障害を治療又は予防する方法であって、それを必要としている動物に、有効量の本発明の抗体又は断片を投与することを含む、方法を提供する。
【0247】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療すること」、又は「治療」は、疾患又は障害を阻害又は緩和することを意味する。例えば、治療は、疾患若しくは障害に関連する症状の発症の延期、及び/又は当該疾患とともに発症するであろう、又は予想されるそのような症状の重症度の低減を含み得る。これらの用語には、既存の症状の改善、追加の症状の予防、及びそのような症状の根底にある原因の改善又は予防が含まれる。したがって、これらの用語は、治療される哺乳動物、例えば、イヌ患者の少なくとも一部に有益な結果が付与されていることを示す。多くの医学的治療は、治療を受ける一部の患者に有効であるが、全ての患者に有効ではない。例えば、B細胞リンパ腫の治療では、症状の改善は、治療後にリンパ節を測定し、治療の成功の指標としてリンパ節サイズの低減を観察することによって評価され得る。
【0248】
「対象」又は「患者」という用語は、治療、観察、又は実験の対象であるイヌを指す。誤解を避けるために、ヒトの治療は除外される。
【0249】
本発明の分子又は医薬組成物は、単独の活性成分として、又は1つ以上の他の治療剤、例えば、がん療法と組み合わせて投与してもよい。治療剤は、疾患の治療に有用である化合物又は分子である。治療剤の例には、抗体、抗体断片、薬物、毒素、ヌクレアーゼ、ホルモン、免疫調節物質、プロアポトーシス剤、抗血管新生剤、ホウ素化合物、光活性剤若しくは染料、放射性同位体、免疫抑制剤、又はサイトカイン若しくはケモカインなどの免疫調節剤が含まれる。一例では、本発明の分子又は医薬組成物は、複数の注射用及び経口薬物(ラスパラギナーゼ、ビンクリスチン、シトキサン、プレドニゾン、及びドキソルビシン)を組み込む多剤、CHOPベースの化学療法プロトコルと組み合わせて投与してもよく、数ヶ月の期間にわたって多かれ少なかれ週単位で与えられる。投与は、本発明の化合物の投与前又は投与後に同時であり得る。
【0250】
本発明はまた、腫瘍成長又は転移を阻害する方法であって、腫瘍細胞を、有効量の本明細書に記載の抗体若しくはその抗原結合部分、又は医薬組成物と接触させることを含む、方法に関する。本方法は、インビトロ、インビボ、又はエクスビボであり得る。
【0251】
本発明はまた、CD20を発現する腫瘍細胞を殺傷する方法であって、CD20を発現する細胞の殺傷が生じるように、細胞を、本明細書に記載の抗体又は医薬組成物と接触させることを含む、方法に関する。腫瘍細胞は、イヌ腫瘍細胞である。本方法は、インビトロ、インビボ、又はエクスビボであり得る。
【0252】
本明細書に記載の抗体又は医薬組成物を使用して、イヌCD20を発現する細胞を排除するための方法も提供される。本方法は、インビトロ、インビボ、又はエクスビボであり得る。
【0253】
キット
別の態様では、本発明は、例えば、本明細書に列挙されるような疾患若しくは免疫応答の治療若しくは予防のためのキット、並びに/又は本発明の抗体及び任意選択的に使用説明書を含む、疾患の診断、予後若しくはモニタリングのためのCD20を検出するためのキットを提供する。そのようなキットは、CD20タンパク質の検出を補助するための他の構成成分、包装、説明書、又は材料を含有し得る。キットは、CD20に結合する標識された抗体、又はCD20に結合する抗体及び標識を検出するための1つ以上の化合物を含む結合分子を含み得る。
【0254】
抗体を作製する方法
本明細書に記載される抗体は、CD20抗原で刺激するとイヌ抗体を発現するトランスジェニック哺乳動物、例えば、げっ歯類から得ることができる。そのようなげっ歯類は、WO20018/189520及びWO2020/074874に記載されている。
【0255】
したがって、本明細書に記載される抗体又は断片は、イヌCD20抗原で刺激すると抗体を発現する哺乳動物、例えば、げっ歯類、例えば、トランスジェニック動物から得ることができる。トランスジェニックげっ歯類、例えば、マウスは、内因性抗体遺伝子を発現する能力が低減してもよい。したがって、一実施形態では、げっ歯類は、内因性軽鎖及び/又は重鎖抗体遺伝子を発現する能力が低減している。したがって、げっ歯類、例えば、マウスは、例えば、以下で更に説明されるように、機能的なマウス軽鎖及び/又は重鎖が産生されないように、内因性カッパ及びラムダ軽鎖及び/又は重鎖抗体遺伝子の発現を破壊するための修飾を含み得る。そのようなトランスジェニックげっ歯類は、当技術分野で記載されており、これは以下の実施例で更に説明される。
【0256】
また、CD20に結合することができるイヌ抗体を産生するための方法も本発明の範囲内であり、当該方法は、
a)トランスジェニックげっ歯類、例えば、マウスを、CD20抗原で免疫化することであって、当該げっ歯類が、非再配列イヌV、D、及びJ遺伝子を含む核酸構築物を発現する、免疫化することと、
b)イヌ抗体を単離することと、を含む。
【0257】
また、イヌCD20に結合することができる抗体を産生するための方法も本発明の範囲内であり、当該方法は、
a)トランスジェニックげっ歯類、例えば、マウスを、CD20抗原で免疫化することであって、当該げっ歯類が、非再配列イヌV、D、及びJ遺伝子を含む核酸構築物を発現する、免疫化することと、
b)当該げっ歯類、例えば、マウスから重鎖及び軽鎖配列を含む配列のライブラリを生成することと、
c)当該ライブラリから重鎖及び軽鎖配列を含む抗体を単離することと、を含む。
【0258】
更なるステップは、例えば、実施例に示されるような機能的アッセイを使用することによって、CD20に結合する抗体を特定することを含み得る。
【0259】
インビトロでの発現ライブラリを使用して、本明細書に記載されるポリペプチド、核酸、宿主細胞、産物、及び組成物を調製又は生成するための方法は、
a)アミノ酸配列をコードする核酸配列のセット、コレクション、又はライブラリを提供するステップと、
b)CD20に結合し得る/CD20に対する親和性を有し得るアミノ酸配列についての当該セット、コレクション、又はライブラリをスクリーニングするステップと、
c)CD20に結合し得る/CD20に対する親和性を有し得るアミノ酸配列を単離するステップと、を含み得る。
【0260】
上記の方法では、アミノ酸配列のセット、コレクション、又はライブラリは、例えば、スクリーニングを容易にするように、ファージ、ファージミド、リボソーム、又は好適な微生物(酵母など)上に表示され得る。アミノ酸配列(のセット、コレクション、又はライブラリ)を表示及びスクリーニングするための好適な方法、技術、及び宿主生物は、当業者には明白であろう(例えば、Phage Display of Peptides and Proteins:A Laboratory Manual,Academic Press;1st edition(October 28,1996)Brian K.Kay,Jill Winter,John McCaffertyを参照されたい)。ライブラリ、例えばファージライブラリは、抗原特異的抗体又はその断片を発現する細胞又は組織を単離し、単離された細胞又は組織に由来する抗体又はその断片のmRNAをコードする配列をクローニングし、ライブラリを使用してコードされたタンパク質を表示することによって生成される。配列は、細菌、酵母、又は他の発現系において発現され得る。
【0261】
別の態様はまた、上記の方法によって得られるか、又は得ることが可能な単離された抗体に関する。
【0262】
他の方法及び使用
別の態様では、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合部分は、診断試験及びアッセイなどの非治療目的で使用される。したがって、本発明はまた、イヌCD20を発現するイヌ細胞を検出するか、又はイヌ対象からの生体試料中のイヌCD20タンパク質を検出するための方法であって、生体試料を、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合部分と接触させることを含み、当該抗体又はその抗原結合部分が、検出可能な標識に連結されている、方法に関する。生体試料は、生検、組織、血液、血清、血漿、又はリンパ液試料であり得る。
【0263】
ある特定の実施形態では、本方法は、試験生体試料中の結合の量を対照生体試料中の結合の量と比較することを含み得、対照生体試料と比較して試験生体試料への増加した結合は、試験生体試料中の1つ以上のリンパ腫細胞の存在を示し得る。いくつかの実施形態では、生体試料は、イヌの血液又は針吸引物である。これらの方法はまた、インビボ及び/又はインビトロのフォーマットでも提供される。
【0264】
診断目的のための抗体の修飾は、当技術分野で周知である。例えば、抗体は、ビオチンなどのリガンド基、又は蛍光基、放射性同位体、若しくは酵素などの検出可能なマーカー基で修飾され得る。本発明の化合物は、診断目的のために使用され得、例えば、従来の技術を使用して標識され得る。好適な検出可能な標識には、フルオロフォア、発色団、放射性原子、高電子密度の試薬、酵素、及び特異的結合パートナーを有するリガンドが含まれるが、これらに限定されない。
【0265】
別の態様では、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合部分は、イヌCD20を発現する細胞又はこれらの結合剤と反応する細胞表面タンパク質を含有する細胞(例えば、B細胞、Bリンパ腫細胞、イヌCD20)の単離及び/又は特定に使用される。
【0266】
本明細書に記載の抗体又はその抗原結合部分はまた、CD20発現のレベルを決定するためのアッセイで使用され得る。次いで、発現のレベルは、塩基(例えば、対照)レベルと相関して、特定の疾患が患者内に存在するかどうか、患者の予後、又は特定の治療レジメンが有効であるかどうかを決定し得る。
【0267】
別途本明細書で定義されない限り、本開示に関連して使用される科学用語及び技術用語は、当業者に一般的に理解される意味を有するものとする。前述の開示は、本開示の範囲内に包含される主題の一般的な説明を提供し、本開示を作製及び使用する方法、並びにその最良のモードを含むが、一方、以下の実施例は、当業者が本開示を実施することを更に可能にするために提供される。しかしながら、当業者であれば、これらの実施例の詳細が本発明を限定するものとして読まれるべきではないことを理解するであろう。本発明の範囲は、本開示に添付された特許請求の範囲及びその等価物から理解されるべきである。本開示の種々の更なる態様及び実施形態は、本開示を考慮して、当業者には明らかであろう。
【0268】
本明細書において言及される全ての文書は、参照により、遺伝子受託番号、科学刊行物、及び特許刊行物への参照文献を含む、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0269】
「及び/又は」は、本明細書で使用される場合、他方を伴うか若しくは伴わない2つの特定の特徴又は構成成分の各々の具体的な開示としてみなされるべきである。例えば、「A及び/又はB」は、各々が本明細書で個別に記載されるのと同様に、(i)A、(ii)B、及び(iii)A及びBの各々の特定の開示とみなされるべきである。文脈が別途指示しない限り、上記の特徴の説明及び定義は、本発明の任意の特定の態様又は実施形態に限定されず、記載される全ての態様及び実施形態に等しく適用される。
【0270】
本発明は、以下の非限定的な実施例において更に例示される。
【実施例
【0271】
実施例1:イヌCD20のクローニング
UCSCゲノムブラウザを使用して、CAMFAM_3.1ボクサー参照ゲノムの検索を実施した。CD20についてのゲノム配列(MS4A1)を、mRNA配列AB210085.1とともにダウンロードした。この配列データを使用して、追加された配列を有するcDNAからのCD20の増幅を可能にして、シームレスクローニングを可能にするようにプライマーを設計した。これにより、イヌの血液中のCD20配列の確認及びpiggyBacクローニングベクターへのシームレスクローニングが可能になった。
【0272】
イヌCD20 mRNAの単離及びcDNAの生成
ビーグル全血をEnvigo RMS(Alconbury,Huntingdon,UK)によって供給し、PBMCをFicoll勾配を使用して単離した。簡潔に述べると、10mlの全血を25mlのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で希釈し、15mlのFicoll Paque Plus(Sigma Aldrich)上に層状にした後、800rcfで10分間、室温でゆっくりと加速し、ブレーキなしで遠心分離した。相間ディスクをPBS中に収集した。全RNAを、QIAGEN RNeasy Mini Kit(Qiagen、Hilden,DE)及びオンカラムDNAse消化による標準的な手順でPBMCから単離した。cDNA生成を、標準的な手順に従って、SuperScript(商標)IV First-Strand Synthesis System及びアンカーされたオリゴdTプライマー(ThermoFisher、Massachusetts,US)を使用して行った。
【0273】
細胞発現のための全長イヌCD20のヌクレオチド及びアミノ酸配列を以下に示す。
ヌクレオチド:
ATGACAACACCCAGAAATTCAATGAGTGGAACTCTCCCGGTAGATCCTATGAAAAGCCCTACTGCCATGTATCCTGTTCAAAAAATAATTCCCAAAAGGATGCCTTCAGTGGTGGGCCCTACACAAAACTTCTTCATGAGGGAATCTAAGACACTGGGGGCTGTCCAGATTATGAATGGGCTCTTCCACATTGCCCTAGGCAGCCTCCTGATGATTCACACGGATGTCTATGCGCCCATCTGTATAACTATGTGGTACCCTCTCTGGGGAGGCATTATGTTCATCATTTCTGGATCACTCCTGGCAGCAGCGGACAAAAACCCCAGGAAGAGTTTGGTCAAAGGAAAAATGATAATGAACTCATTGAGCCTCTTTGCTGCTATTTCTGGAATAATTTTTTTGATCATGGACATATTTAATATTACCATTTCCCATTTTTTTAAAATGGAGAATTTGAATCTTATTAAAGCTCCCATGCCATATGTTGACATACACAACTGTGACCCAGCTAACCCCTCTGAGAAAAACTCTTTATCTATACAATATTGTGGCAGCATACGATCTGTTTTCTTGGGCGTTTTTGCTGTGATGGTGATCTTTACCTTTTTCCAGAAACTTGTGACAGCTGGCATTGTTGAGAATGAATGGAAAAAACTGTGCTCTAAACCTAAATCTGATGTAGTTGTTCTGTTAGCTGCTGAAGAAAAAAAAGAACAGCCGATTGAAACAACAGAAGAAATGGTTGAGCTGACTGAAATAGCTTCCCAACCAAAGAAAGAAGAAGACATTGAAATTATTCCAGTCCAAGAAGAAGAAGAGGAACTGGAAATAAACTTTGCAGAACCTCCCCAGGAGCAGGAATCTTCACCAATAGAAAACGACAGCATCCCTTAA(配列番号1)
タンパク質:
MTTPRNSMSGTLPVDPMKSPTAMYPVQKIIPKRMPSVVGPTQNFFMRESKTLGAVQIMNGLFHIALGSLLMIHTDVYAPICITMWYPLWGGIMFIISGSLLAAADKNPRKSLVKGKMIMNSLSLFAAISGIIFLIMDIFNITISHFFKMENLNLIKAPMPYVDIHNCDPANPSEKNSLSIQYCGSIRSVFLGVFAVMVIFTFFQKLVTAGIVENEWKKLCSKPKSDVVVLLAAEEKKEQPIETTEEMVELTEIASQPKKEEDIEIIPVQEEEEELEINFAEPPQEQESSPIENDSIP(配列番号2)
【0274】
実施例2:イヌCD20の発現
ヒト胎児腎臓(HEK)293細胞を、5%のCOとともに、37℃で、10%のウシ胎仔血清(FBS、Sigma Aldrich)を補充したDMEM/F12(Life Technologies)中の単層として、90mmの円形組織培養プレート上で成長させた。HEK293細胞を、ポリエチレンイミン(PEI MAX:40kDa、Polysciences Inc.、Eppelheim,Germany)を使用して、CD20 cDNA及びPiggyBacトランスポザーゼと共トランスフェクションした。30μlのPEI MAX(1mg ml-1)、5μgのcDNA、及び1mlのDMEM/F12を室温で10分間インキュベーションし、70~80%のコンフルエントHEK293細胞の90mmプレートに滴加し、使用前に2日間インキュベーションした。安定してトランスフェクションされた細胞を、48時間後に、好適な抗生物質を使用して選択した。
【0275】
マウス胚性線維芽細胞(MEF)を、5%のCOとともに、37℃で、10%のFBS、1mMのピルビン酸ナトリウム(Sigma-Aldrich)、0.5mMのβ-メルカプトエタノール(Gibco)、及び1%のMEM非必須アミノ酸(Sigma-Aldrich)を補充したDMEM高グルコース(Life Technologies)中の単層として、90mmの円形組織培養プレート上で成長させた。細胞を、製造業者の推奨される説明書に従って、PLUS(商標)試薬を伴うLipofectamine LTX(ThermoFisher Scientific)を使用して、CD20 cDNA及びPiggyBacトランスポザーゼでトランスフェクションした。安定してトランスフェクションされた細胞を、48時間後に、好適な抗生物質を使用して選択した。
【0276】
MDCK II(Madin-Darbyイヌ腎臓)細胞を、5%のCO2とともに、37℃で、10%のFBS、及び1%のMEM非必須アミノ酸(Sigma-Aldrich)を補充したDMEM高グルコース(Life Technologies)中の単層として、表面処理された組織培養フラスコ(T25/T75/T175)上で成長させた。MDCK II細胞を、推奨されるプロトコルに従って、PLUS(商標)試薬を伴うLipofectamine(商標)LTX試薬(ThermoFisher Scientific)を使用して、野生型又は変異体のイヌCD20 cDNA及びpiggyBacトランスポザーゼと共トランスフェクションした。
【0277】
実施例3:DNA及びMEFを使用するマウスモデルの免疫化
例えば、WO2018/189520及びWO2020/074874に実質的に記載されるように、Ky9(商標)マウスを免疫化した。トランスジェニックマウスは、イヌ免疫グロブリン可変遺伝子レパートリーをマウスゲノムの対応する遺伝子座に挿入することによって修飾されている。これにより、マウス定常領域(重鎖及びカッパ鎖の場合)又はイヌ定常領域(ラムダ鎖の場合)と組み合わせて、マウスにおけるイヌDNAの発現に由来する可変抗体領域を含む抗体の産生が可能になる。そのようなキメラ抗体鎖の可変領域に関する情報、又はそのようなキメラ抗体鎖の可変領域を含む核酸は、完全イヌ抗体を生成するために使用され得る。
【0278】
DNA免疫化のために、水力学的尾静脈注射(HTVI)を使用してプライム及びブーストレジームを実行し、組織を採取した。細胞ベースの免疫化のために、CD20を安定して発現するMEF細胞を使用するプライム及びブーストレジームを実行し、組織を採取した。更なる免疫化レジームを、CD20発現MEF細胞ブースターと組み合わせたプライムに対するHTVI DNA免疫化を使用して実行した。
【0279】
血清力価の決定:
免疫化の前及びその後の各ブーストの10日後に、マウスを出血させた。血清を、マイクロベット(microvette)200 Zゲルチューブ(Starstedt AG&Co.KG、Germany)中での遠心分離によって凝固血液から分離し、イヌCD20に対する抗体価をフローサイトメトリーによって評価した。血清を、FACS緩衝液(PBS+3%のFBS)中で1:10で連続希釈し、細胞の安定して発現するイヌCD20、又はイヌCD20陰性対照細胞に添加した。イヌCD20に対するマウス抗体を、BB700コンジュゲート(BD Horizon Brilliant(商標)Blue700、BD Biosciences)又はアイソタイプIgG1、IgG2a、IgG2bに対するFITCコンジュゲート二次モノクローナル抗体(BD OptiBuild(商標)、Becton Dickinson)のいずれかで検出した。BD Accuri C6フローサイトメーター(Becton Dickinson、NJ,USA)又はBeckman Coulter CytoFLEXを使用してデータを取得した。免疫化前の血清を使用して背景を決定した。抗体価を、背景を超えて陽性シグナルを示した最高希釈として決定した。図1は、5匹の免疫化されたKy9マウスの抗体価を示す。
【0280】
実施例4:抗体産生細胞の単離、抗体配列決定、選択及び配列修飾
組織単離:マウスから脾臓、リンパ節及び骨髄を採取した。脾臓を断片に切断し、40μmの細胞ストレーナー(Falcon)を通してそれらをマッシュすることによって、氷上のRPMI-1640(Lonza、Basel,CH)+10%のFBSですすぎながら、脾細胞を調製した。一般にプールされる脾臓及びリンパ節細胞を有するリンパ節からのリンパ球について、同様のプロセスを使用した。骨髄を、RPMI-1640で予め湿らせた40μmの細胞ストレーナーを通して、25ゲージの針を使用してRPMI-1640で骨髄を洗い流すことによって、大腿骨及び脛骨から採取した。全ての細胞型を300gで5分間ペレット化し、フロー選別のために直接使用するか、又は-150℃で凍結する前にFBS+10%のジメチルスルホキシド(DMSO)中に再懸濁した。
【0281】
細胞選別:一般に、抗原特異的脾臓B細胞は、細胞表面上で膜貫通抗体を優位的に発現するため、標識された抗原タンパク質プローブ(例えば、細胞外ドメイン)又は抗原VLPによって捕捉することができる。他方では、抗原特異的形質芽球又は形質細胞は、分泌抗体の優位な発現のために、タンパク質プローブ又はVLPによって標識されにくいと考えられている。したがって、脾臓リンパ節試料又は骨髄から単離された形質芽球及び形質細胞を、これらの集団の抗原特異的サブセットを単離するために抗原プローブを使用することなく、抗体配列回収の次のステップに進めた。CD138及びCD267(TACI)の細胞表面共発現を使用して、形質芽球及び形質細胞の集団を特定した。10X Genomics Chromium Single Cell Immune Profilingのための形質芽球及び形質細胞のバルク選別のために、CD138形質細胞濃縮キット(Miltenyi biotech UK)を使用して、これらの希少細胞を濃縮した。脾臓及びリンパ節細胞からの抗原特異的細胞選別の前に、B細胞濃縮を、製造業者の説明書に従ってマウス汎B細胞単離キット(StemCell Technologies UK)を使用するか、又は製造業者の説明書に従って社内ビオチン化抗体カクテル及びストレプトアビジン急流球(rapidspheres)(StemCell Technologies UK)を使用して行った。
【0282】
次いで、CD19、IgM、IgA、IgD、CD138及びCD267(TACI)を含むマーカーを使用して、免疫化に応答する細胞内で濃縮されたアイソタイプスイッチB細胞を特定する。この集団内で、抗原特異的細胞を、その表面上に標的抗原を発現する標識されたタンパク質プローブ又はVLPで染色し、フロー選別することによって捕捉することができる。VLPは、CD20で安定してトランスフェクションされたHEK細胞から生成され、レトロウイルスgagタンパク質はEGFPに融合し、gag発現は、細胞からのVLP出芽を可能にし、EGFPは、蛍光検出のためにVLPを標識する。VLP上の表面抗原は、精製又は修飾の任意のステップなしに組換え細胞から直接発現され、天然形態で提示される。チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)又はマウス胚性線維芽細胞(MEF)などの他の哺乳動物細胞株も、VLP産生に使用することができる。望ましくない細胞集団及び死細胞を特定するためのマーカー(F4/80、Ly-6C/G、CD8a、CD4、CD11c、7AAD、又はゾンビ-NIR/FVD EF780)は、これらの細胞を選別手順から除外するために、全ての染色パネルに含まれる。
【0283】
次世代配列決定及び候補の選択:
選別された細胞を、製造業者の説明書に従って、10X Genomics Chromium Single Cell Immune Profilingシステム及びV(D)Jキット(10X Genomics)を使用して抗体プロファイリングのために調製した。10Xについては、10X Genomicsからの説明書に従って様々なIlluminaプラットフォーム機器を使用する。pRESTO/Change-O(Yale University)/IgBlast(NCBI、USA)/Enclone(10X Genomics)ソフトウェアに基づくカスタムツールを使用して配列を分析し、生殖細胞系配列及び超変異を予測する。
【0284】
可変免疫グロブリン領域は、重鎖遺伝子のための免疫グロブリンヌクレオチド配列のVDJ領域、並びにIgκ及びIgλのための免疫グロブリンヌクレオチド配列のVJ領域を含む。クローンファミリー内には、免疫グロブリン遺伝子組換え及び体細胞超変異中に生じる、それらのV(D)Jセグメント内で共有された変異を有するサブファミリーがある。特有のV(D)Jセグメント使用を示す異なるクローンファミリーは、通常、異なる結合特徴を示す。組換え及び超変異中、抗体が抗原に対してより高い親和性を有する細胞が選択される。親和性は通常、更なる変異とともに増加し、例えば、クラスター化されたファミリーは、WO2015/040401の図6に示される。
【0285】
クローンファミリーは、一般に、2つ以上のクローン細胞の関連する免疫グロブリン重鎖及び軽鎖V(D)J配列によって定義される。関連する免疫グロブリンV(D)J配列は、V及びJ遺伝子セグメントのそれらの共有される使用によって特定され得る。選別されたAg特異的単一B細胞の抗体配列の分析の例は、WO2015/040401の図5に示され、重鎖V遺伝子ファミリーの使用によって配列され、クラスター化されて表示された系統樹を生成する抗体配列を示す。これらのような系統樹から候補クローンを選択する。
【0286】
例えば、抗イヌCD20 mAb PMX001、PMX002、PMX003、PMX004、及びPMX005は全て、同じ重鎖V遺伝子(cIGHV3-5)、重鎖J遺伝子(cIGHJ4、配列番号75に与えられる生殖細胞系配列を有する)、軽鎖V遺伝子(cIGLV3-3)、及び軽鎖J遺伝子(cIGLJ3、配列番号77に与えられる生殖細胞系配列を有する)によってコードされる。PMX001可変領域配列は、イヌCD20免疫化Ky9マウスから最初に特定された。それは、対応するアミノ酸配列(配列番号4)をコードする重鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号3)、及び対応するアミノ酸配列(配列番号6)をコードする軽鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号5)を有する。生殖細胞系配列(配列番号74)と比較して、重鎖可変配列には2個のアミノ酸変化があり、生殖細胞系配列(配列番号76)と比較して、軽鎖可変配列には3個のアミノ酸変化がある。重鎖可変領域のCDR1(配列番号7)、CDR2(配列番号8)、及びCDR3(配列番号9)、並びに軽鎖可変領域のCDR1(配列番号10)、CDR2(配列番号11)、及びCDR3(配列番号12)は、IMGT V-QUEST(http://www.imgt.org/IMGT_vquest/input)を使用して予測される。PMX mAbの重鎖及び軽鎖のCDR3領域は、それぞれ、長さが5aa及び9aaである。
【0287】
PMX001 mAbのHit拡大を、後に、全てのイヌCD20免疫化マウスにおいて実行し、重鎖及び軽鎖の両方について同じVJ遺伝子使用及びCDR3長を共有する候補を、更なるスクリーニングのために選択した。PMX001 mAbと比較して、更なる変異が配列で生じ得る。例えば、PMX002、PMX003、PMX004、及びPMX005 mAbは、他の免疫化コホートから選択され、したがって、PMX001 mAbが特定されたマウスとは異なる。それは、成功した遺伝子再配列の収束的な選択を示す。
【0288】
PMX002 mAbは、対応するアミノ酸配列(配列番号14)をコードする重鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号13)、及び対応するアミノ酸配列(配列番号16)をコードする軽鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号15)を有する。生殖細胞系配列(配列番号74)と比較して、重鎖可変配列には10個のアミノ酸変化があり、軽鎖可変配列(配列番号76)にはアミノ酸変化はない。重鎖可変領域のCDR1(配列番号17)、CDR2(配列番号18)、及びCDR3(配列番号19)、並びに軽鎖可変領域のCDR1(配列番号20)、CDR2(配列番号21)、及びCDR3(配列番号22)は、IMGT V-QUESTを使用して予測される。
【0289】
PMX003mAbは、対応するアミノ酸配列(配列番号24)をコードする重鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号23)、及び対応するアミノ酸配列(配列番号26)をコードする軽鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号25)を有する。生殖細胞系配列(配列番号74)と比較して、重鎖可変配列には5個のアミノ酸変化があり、軽鎖可変配列(配列番号76)には1個のアミノ酸変化がある。重鎖可変領域のCDR1(配列番号27)、CDR2(配列番号28)、及びCDR3(配列番号29)、並びに軽鎖可変領域のCDR1(配列番号30)、CDR2(配列番号31)、及びCDR3(配列番号32)は、IMGT V-QUESTを使用して予測される。
【0290】
PMX004 mAbは、対応するアミノ酸配列(配列番号34)をコードする重鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号33)、及び対応するアミノ酸配列(配列番号36)をコードする軽鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号35)を有する。生殖細胞系配列(配列番号74)と比較して、重鎖可変配列には12個のアミノ酸変化があり、軽鎖可変配列(配列番号76)にはアミノ酸変化はない。重鎖可変領域のCDR1(配列番号37)、CDR2(配列番号38)、及びCDR3(配列番号39)、並びに軽鎖可変領域のCDR1(配列番号40)、CDR2(配列番号41)、及びCDR3(配列番号42)は、IMGT V-QUESTを使用して予測される。
【0291】
PMX005 mAbは、対応するアミノ酸配列(配列番号44)をコードする重鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号43)、及び対応するアミノ酸配列(配列番号46)をコードする軽鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号45)を有する。生殖細胞系配列(配列番号74)と比較して、重鎖可変配列には4個のアミノ酸変化があり、軽鎖可変配列(配列番号76)にはアミノ酸変化はない。重鎖可変領域のCDR1(配列番号47)、CDR2(配列番号48)、及びCDR3(配列番号49)、並びに軽鎖可変領域のCDR1(配列番号50)、CDR2(配列番号51)、及びCDR3(配列番号52)は、IMGT V-QUESTを使用して予測される。
【0292】
図2は、PMX抗体配列のアライメントを示す。
【0293】
配列修飾
PMX003(配列番号26)の軽鎖のフレームワーク領域1(FR1)は、タンパク質のアスパラギン連結グリコシル化のためのコンセンサス配列であるNVTシークオンを含有する。この部位に結合したグリカンを除去するために、PMX003 mAbのFR1内のNVTシークオンを、PMX006 mAbについてはQVT、PMX007 mAbについてはAVT、PMX008 mAbについてはEVT、PMX009 mAbについてはNVA、PMX010 mAbについてはSVT、及びPMX011 mAbについてはTVTに変異させた。
【0294】
PMX006 mAb(配列番号53)、PMX007 mAb(配列番号54)、PMX008 mAb(配列番号55)、PMX009 mAb(配列番号56)、PMX010 mAb(配列番号57)、PMX011 mAb(配列番号58)の得られた軽鎖可変領域アミノ酸配列、及びPMX003(配列番号59)、PMX006 mAb(配列番号60)、PMX007 mAb(配列番号61)、PMX008 mAb(配列番号62)、PMX009 mAb(配列番号63)、PMX010 mAb(配列番号64)、PMX011 mAb(配列番号65)のFR1配列は、配列表に列挙されている。
【0295】
PMX066(配列番号81)、PMX0067(配列番号91)、PMX068(配列番号101)、PMX0069(配列番号111)、PMX071(配列番号131)、PMX072(配列番号141)、PMX073(配列番号151)、PMX074(配列番号161)、PMX076(配列番号181)、PMX077(配列番号191)、PMX078(配列番号201)、PMX079(配列番号211)、PMX081(配列番号231)の軽鎖のフレームワーク領域1(FR1)は、NVTシークオンを含有する。この部位に結合したグリカンを除去するために、PMX066、PMX0067、PMX068、PMX0069、PMX071、PMX072、PMX073、PMX074、PMX076、PMX077、PMX078、PMX079、PMX081 mAbのFR1におけるNVTシークオンをSVTに変異させて、得られた軽鎖可変領域アミノ酸配列PMX112(配列番号238)、PMX113(配列番号239)、PMX114(配列番号240)、PMX115(配列番号241)、PMX116(配列番号242)、PMX117(配列番号243)、PMX118(配列番号244)、PMX119(配列番号245)、PMX120(配列番号246)、PMX121(配列番号247)、PMX122(配列番号248)、PMX123(配列番号249)、及びPMX124(配列番号250)をそれぞれ生成した。配列は表2に列挙されている。いくつかの抗体は、グリカンが抗体に結合されることをもたらさない、天然に存在する配列モチーフを含む。例えば、PMX070及びPMX075は、軽鎖のFR1における配列モチーフSVTを含み、PMX080は、軽鎖のFR1における配列モチーフTVTを含む。
【0296】
実施例5:単一細胞からのモノクローナル抗体の生成
選択された候補クローンの重鎖及び軽鎖V(D)J配列を合成し、それぞれ、イヌIgG定常領域及びイヌIGK又はIGL定常領域のゲノム配列を含有する発現ベクターにクローニングする。例えば、PMX001~PMX005可変配列を、イヌIGGB(配列番号66)及びイヌIGLC5定常領域(配列番号67)をコードするベクターにクローニングした。重鎖及び軽鎖をコードする発現ベクターを、CHO細胞などの好適な哺乳類細胞株に共トランスフェクションして、安定した発現を得た。したがって、完全イヌ配列抗体を生成した。
【0297】
CHO細胞における発現を容易にするために、例えば、PMX003 mAbの重鎖可変領域(配列番号68)及び軽鎖可変領域(配列番号69)のヌクレオチド配列に対して、コドン最適化を実行することができる。Campathリーダー(配列番号70)(US8,362.208B2を参照されたい)は、PMX001~PMX005 mAbの天然リーダー(重鎖の場合は配列番号71、軽鎖の場合は配列番号72)を置き換えるために導入することができる。
【0298】
モノクローナル抗体1E4及び4E1-7もまた発現させた。1E4ヌクレオチド配列は、WO2013/063186から入手した。4E1-7アミノ酸配列は、Mizuno et al.Scientific Reports,10,Article 11476(2020)(https://doi.org/10.1038/s41598-020-68470-9)から入手した。両方の抗体の可変領域を、イヌIGGB(配列番号66)及びイヌIGK(配列番号73)定常領域をコードするベクターにクローニングした。リツキシマブ-cIGGB対照mAbを、可変領域配列を合成することによって生成し(US5,736,137を参照されたい)、イヌIGGB(配列番号66)及びイヌIGLC5(配列番号67)定常領域をコードするベクターにクローニングした。
【0299】
抗体のFc部分に結合したN連結グリカン上のコアフコースは、Fc受容体と抗体のFc領域との結合に影響を及ぼし、したがってADCC活性を低減させる可能性がある。ADCC殺傷活性を向上させるために、Yamane-Ohnuki et al.,Biotechnol Bioeng.2004 Sep 5;87(5):614-22.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15352059/)に記載されるように、Fut8コード遺伝子のエクソン2を欠失させることにより、Fut8ノックアウト(KO)CHO細胞をプールされたフォーマットにおいて生成した。KO細胞を、LCA染色を使用して表現型的に選択した。
【0300】
抗体産生のために、6×10個の選択されたCHO細胞又はFut8ノックアウトCHO細胞を3mlの培養培地中に播種し、200rpmで振盪しながら32℃、8%のCOでインキュベーションした。4%のHyClone Cell Boost 7aサプリメント+0.4%のHyClone Cell Boost 7bサプリメント+1%のグルコースを1、4、7、及び10日目に培地に添加した。培養上清を12日目に収集し、表面プラズモン共鳴(Biacore 8K、Cytiva Life Sciences)を使用してIgG濃度を決定した。
【0301】
実施例6:結合アッセイ
フローサイトメトリーベースのアッセイ:
HEK293細胞又はMDCK II細胞を、イヌCD20 cDNAの全長をコードするベクターで安定してトランスフェクションした。フローサイトメトリーを使用して、これらの細胞に対する抗体の結合を評価した。要約すると、1~2×10個のイヌCD20発現細胞を、結合アッセイのために1μg/ml又は10μg/mlの固定濃度で、及び親和性決定のためにある範囲の濃度(30μg/mlで開始する12点1:2の連続希釈抗体、すなわち200nM)で、+4℃で1時間、候補mAbとともにインキュベーションし、続いて、5μg/mlのFITCコンジュゲート抗イヌIgG二次抗体(Bethyl Laboratories)で+4℃で1時間インキュベーションした。抗イヌIgG FITC二次抗体でインキュベーションされ、一次抗イヌCD20抗体なし、又はアイソタイプ対照一次抗体でインキュベーションされた細胞を陰性対照として使用した。データは、Beckman Coulter CytoFLEX又はBD Accuri C6 Plusフローサイトメーターのいずれかで取得し、FlowJoソフトウェアを使用して分析した。親和性決定のために、染色細胞を洗浄し、候補抗体とのインキュベーション後に、1%のパラホルムアルデヒド/3%のFBS/PBSで15分間固定し、フローサイトメーターでのデータ取得前に、二次抗体とのインキュベーション後24時間、再び固定した。抗体の濃度に対するFITCチャネルの平均蛍光強度(MFI)値を使用するグラフを、GraphPad Prism(図3D)においてプロットした。細胞表面のイヌCD20に対する候補抗体の結合の見かけの親和性(Kd)を、CD20発現細胞の50%を染色したときの濃度、すなわち結合のEC50として、対数(アゴニスト)対応答-可変勾配(4つのパラメータ)についての方程式を使用して決定した。
【0302】
結合アッセイの結果を図3A~Cに示す。これらは、PMX抗体が、4E1-7抗体と等価であるPMX002を除いて、単一濃度点(10ug/ml)において、試験抗体1E4及び4E1-7よりも強いイヌCD20への結合能力を有したことを示す。
【0303】
ELISAベースのアッセイ:
以下に記載のイヌCD20タンパク質の細胞外ドメイン(ECD)の大ループは、CHO細胞において発現され、タンパク質Aカラムを使用して精製する前に、CAGプロモーターの制御下で細胞外培地に分泌される。
【0304】
CD20 ECDタンパク質をアッセイプレートにコーティングする。抗体をある範囲の濃度で添加し、ELISAを使用して結合能力を決定する。
【0305】
SPRベースのアッセイ:
抗イヌCD20 mAbの親和性(K)は、組換えマウスFcタグ付きCD20細胞外ドメインを使用して、SPRによって測定することができる。
【0306】
dCD20LL-Fcと呼ばれるCD20の組換え細胞外ドメイン(ECD)(大ループ)(WO2013/063186、37ページ、配列番号62を参照されたい)を、安定したCHO細胞からのマウスIgG2a Fcタグを用いて分泌形態において発現させ、タンパク質Aクロマトグラフィーを使用して、清澄化された上清から精製する。相互作用の二価アビディティに対応する見かけのKは、フローセル1にNHS/EDC活性化/非活性化を加えたCM5チップのフローセル2上にdCD20LL-Fcの100~150RUをアミンカップリングさせることによって導出される。HBS-EP+緩衝液中で候補IgGの200nM~0.1nMの濃度からの3倍希釈を行い、チップ表面上に30μL/分で180秒間注射する。解離を30μL/分で600秒間モニタリングした後、10mMのグリシン-HCl pH2.0の60秒間のパルスで表面を再生成する。一価親和性に対応する一価Kは、全長IgGのパパイン(又はSpeB)消化によって生成された候補抗体Fab断片を使用して上記のプロトコルを反復することによって導出される。実験を、HBS-EP+流動用緩衝液中で25℃で実施する。全てのSPR実験をBiacore 8K機器上で行い、Biacore Insight Evaluationソフトウェアを使用して、データを1:1の結合モデルに適合させることによってデータを分析した。
【0307】
実施例7:機能的アッセイ
補体依存性細胞傷害(CDC)活性
イヌCD20を天然に発現するCLBL-1イヌリンパ腫腫瘍細胞株(University of Veterinary Medicine Vienna)を、CDCアッセイの標的細胞株として使用した。96ウェルプレート(透明底を有する白色)のウェル当たり10,000個のCLBL-1細胞を、抗イヌCD20抗体及びイヌ補体保存血清(BioIVT)の滴定(11点1:3希釈、10μg/mlで開始)とともに37℃、5%のCO2で2時間、1:4の最終希釈でインキュベーションした。アッセイは、イヌ補体保存血清が補体の唯一の供給源となるように、熱不活性化血清を使用して作製した培地(RPMI+1%のL-グルタミン+20%のウシ胎仔血清)を使用して設定した。リツキシマブ-cIGGBキメラ抗体を陰性アイソタイプ対照として使用した。
【0308】
次いで、アッセイプロトコルに従って、CellTitre-Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay(Promega)を使用して生細胞を定量した。このアッセイは、細胞生存率の指標として生細胞のATP含有量を使用する。CLARIOstar(BMG Labtech)上で発光を測定した。データをMARSソフトウェア(BMG Labtech)を使用して分析し、残存する生細胞の数を使用して、抗体のないウェルをベースラインとして使用して、Microsoft Excelを使用して抗体の存在下での殺傷のパーセンテージを計算した。グラフをGraphPad Prismにおいてプロットした。
【0309】
図4は、天然形態及びa-フコシル化形態の両方において、PMX003でCDC活性を観察したことを示す。イヌ補体保存血清を使用する同じ実験設定下で、天然及びa-フコシル化形態の1E4及び4E1-7試験抗体についてCDC活性は観察されなかった。表4は、抗体PMX066~PMX081についてのCDC活性をまとめたものである。
【0310】
抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性
MDCK II細胞株(ATCC)などのイヌ細胞株を、イヌCD20タンパク質をコードする構築物及び蛍光タンパク質(例えば、GFP)を発現する構築物で安定してトランスフェクションした。蛍光タンパク質を発現するが抗原を発現しないMDCK II細胞株、又はアイソタイプ対照抗体のいずれかを実験のための陰性対照として使用した。
【0311】
イヌ末梢血単核細胞(PBMC、Envigo)をエフェクター細胞の供給源として使用した。PBMCを、推奨されるプロトコルに従って、Ficoll-Paque plus(Cytiva、GE17-1440-02)密度勾配遠心分離を使用して、ヘパリンナトリウム抗凝固剤を用いて、新たに採取した全血から単離した。PBMCを、50ng/mlの組換えイヌIL-2(R&D systems)を補充した培地(PBMC培地=RPMI+10%の熱不活性化ウシ胎仔血清+1%のペニシリン-ストレプトマイシン+1%の非必須アミノ酸+1%のL-グルタミン+1%のピルビン酸ナトリウム+2%のHEPES)中に再懸濁し、37℃で24時間インキュベーションした後、ADCCアッセイで使用した。
【0312】
ADCC活性を評価するために、10,000個のMDCK II細胞を、MDCK II培地(DMEM+1%のL-グルタミン+10%のウシ胎仔血清)及びPBMC培地の1:1混合物中で、37℃で24時間、35:1のエフェクター:標的比及び抗体の滴定(11点1:3希釈、10μg/mlの抗体で開始)でPBMCと共培養した。リツキシマブ-cIGGBを陰性(アイソタイプ)対照抗体として使用した。
【0313】
ウェル当たりの生細胞の数に比例するGFPシグナルを、24時間のインキュベーションの終了時にウェルに残存する生細胞の数の尺度として使用した。GFPシグナルをCLARIOstar(BMG Labtech)上で測定した。データをMARSソフトウェア(BMG Labtech)を使用して分析し、抗体のないウェルをベースラインとして使用して、Microsoft Excelを使用して抗体の存在下での殺傷のパーセンテージを計算した。グラフをGraphPad Prismでプロットした。
【0314】
図5は、PMX抗体の存在下でADCC活性を観察したことを示す。PMX003抗体は、天然及びaフコシル化形態の両方において、試験抗体1E4及び4E1-7よりも強いADCC活性を示す。表4は、抗体PMX066~PMX081について観察されたADCC活性をまとめたものである。
【0315】
抗体依存性細胞食作用(ADCP)活性
ADCP活性を測定するための好適な方法は、Ito et al.Leuk Lymphoma.2015 January;56(1):219-225.
【0316】
直接殺傷活性/アポトーシスアッセイ
直接殺傷は、Mizuno et al.Scientific Reports,10,Article 11476(2020)に記載されているように測定され得る。
【0317】
実施例8:エクスビボ-全血アッセイ
エクスビボでのイヌモデルにおけるB細胞枯渇効率を評価するために、100μlの新たに採取したイヌ全血をヘパリンで収集し、200μlのRPMI1640+10%の熱不活性化ウシ胎仔血清+1%のペニシリン/ストレプトマイシン/L-グルタミン+1%の非必須アミノ酸+1%のピルビン酸ナトリウム+2%のHEPES緩衝液で希釈した。希釈した血液を、10μg/mlの抗イヌCD20抗体の有無にかかわらず、37℃で2時間、24時間及び96時間インキュベーションした。インキュベーション後、試料をVersalyse溶液(Beckman Coulter)とともに室温で15分間インキュベーションして、赤血球(RBC)を溶解させた。洗浄後、試料を抗イヌCD21抗体及び抗イヌCD8抗体(両方ともBioRadから)で染色し、CD21+B細胞及びCD8+T細胞の数をCytoFLEX Flow Cytometer(Beckman Coulter)上で分析した。B細胞枯渇のパーセンテージは、非抗体対照と比較したCD21+B細胞対CD8+T細胞の比率の減少に基づいて計算した。図6A~Bの結果は、PMX003 mAbが、1E4及び4E1-7mAbと比較して、全イヌ血液中のB細胞のより効率的な殺傷をもたらしたことを示す。表4は、抗体PMX066~PMX081について観察されたエクスビボでの特異的B細胞枯渇活性をまとめたものである。
【0318】
実施例9:インビボアッセイ
腫瘍マウスモデル
抗イヌCD20抗体のインビボでの腫瘍殺傷効率を評価するために、同系腫瘍マウスモデルを生成する。マウス129Sv ES細胞のゲノム配列を、相同リコンビニアリングによって、マウスCD20コード領域をイヌCD20コード領域に置き換えるように修飾する。標的化ベクターは、両側に4~4.5kbのマウスゲノム配列が隣接するイヌCD20コード領域のゲノムDNA配列を含有する。微量注射及び生殖細胞系伝達の後、このように生成されたマウスをBalb/cマウスと繁殖させて、混合した遺伝的背景のmCD20/dCD20ヘテロ接合性子孫を産生する。
【0319】
Balb/c遺伝的背景のマウスリンパ腫細胞株A20もまた、イヌCD20を発現するように修飾される。マウスCD20コード領域は、線形化ES細胞標的化ベクターでA20細胞株をトランスフェクションすることによって、イヌCD20コード配列によって置き換えられる。
【0320】
マウス腫瘍殺傷効率を評価するために、100万個のイヌCD20ノックインA20細胞(100μlのPBS中)を、mCD20/dCD20ヘテロ接合性マウス(6~8週齢)に皮下移植する。抗イヌCD20-mIGG2aキメラ抗体(500μlのPBS中150μg)又はPBSのみを、0日目に1回腹腔内注射する。腫瘍のサイズを毎日測定し、人道的エンドポイントに達したときにマウスを安楽死させる。
【0321】
インビボでのイヌ研究
イヌ研究1では、2~3歳及び体重8~11kgの12匹の健康な雄ビーグル(試験群当たり3匹のイヌ)を、Avogadro LS、Franceで飼育した。研究の前に、それらのうちの全てが疾患又は他の臨床的異常を有さないことを検証した。PMX003抗体の天然フォーマットをCHO細胞において産生し、2つの試験群に投与し、一方の群は0.5mg/kgの抗体を受け、他方の群は2.5mg/kgの抗体を受けた。a-フコシル化バージョンのPMX003抗体を、Fut8 KO CHO細胞において発現させることによって産生し、0.5mg/kgで1つの試験群に投与した。対照群は、2.5mg/kgでアイソタイプ対照、リツキシマブ-cIGGBを受けた。全ての抗体を、30分間にわたって単回用量の静脈内注入として0日目に投与した。抗体投与後の以下の日、0日目(投与前)、1日目、2日目、5日目、7日目、15日目、27日目、及び43日目に、CD21+B細胞のパーセンテージをモニタリングし、分析した。K3EDTA抗凝固剤を用いて新たに採取した0.5mlの血液を、1mlの1xRBC溶解/固定溶液(BioLegend)で、暗所で室温で30分間固定し、次いで、18mlの1xPBSで希釈した。固定及び希釈した血液試料を、保管及び英国への輸送を通して+4℃で保持した。血液採取から48時間以内に試料分析を実行した。各試料について、細胞を400gで5分間ペレット化し、細胞ペレットを0.5mlの緩衝液中に再懸濁し、50μlの細胞を各技術的複製物の染色に使用した。各複製物について、細胞を、AF647コンジュゲート抗イヌCD21抗体(BioRad、1:10)及びPEコンジュゲート抗イヌCD8抗体(BioRad、1:50)で染色した。DAPI上で閾値を設定してデブリ及び非有核細胞を除外することによって、Beckman Coulter CytoFLEXを使用してデータを取得した。FlowJoソフトウェアを使用して、リンパ球集団におけるCD21+B細胞及びCD8+T細胞のパーセンテージを分析した。抗体投与後の評価の日のCD21+B細胞のパーセンテージを、各イヌについての0日目(ベースライン)のパーセンテージと比較することによって、B細胞枯渇を決定した。CD8+T細胞のパーセンテージもまた評価し、内部対照として機能した。図7A~Bは、PMX及び対照抗体を投与された健康なビーグルにおけるB細胞枯渇の結果を示す。PMX003を天然及びa-フコシル化形態で投与した場合、枯渇が観察された。a-フコシル化形態は、天然形態よりも有効であった。PMX003は、1E4を使用するイヌ研究で観察されたものよりもはるかに低い用量でB細胞殺傷を示した(Rue et al.Veterinary Immunology and Immunopathology 164(2015),148-159。加えて、B細胞枯渇を低レベルで少なくとも15日間維持し、これは、4E1-7についてのイヌ研究で観察されたものよりも長い(Mizuno et al.)。
【0322】
イヌ研究2では、2~3歳及び体重8~11kgの15匹の健康な雄ビーグル(試験群当たり3匹のイヌ)を、Avogadro LS、Franceで飼育した。研究の前に、それらのうちの全てが疾患又は他の臨床的異常を有さないことを検証した。PMX070及びPMX115抗体の天然フォーマットをCHO細胞において産生し、抗体当たり2つの試験群に投与し、一方の群は0.5mg/kgの抗体を受け、他方の群は2mg/kgの抗体を受けた。対照群は、2mg/kgでアイソタイプ対照、リツキシマブ-cIGGBを受けた。全ての抗体を、30分間にわたって単回用量の静脈内注入として0日目に投与した。抗体投与後の以下の日、0日目(投与前)、1日目、4日目、7日目、14日目、21日目、及び28日目に、CD21+B細胞のパーセンテージをモニタリングし、分析した。K3EDTA抗凝固剤を用いて新たに採取した1mlの血液を、2mlの1xRBC溶解/固定溶液(BioLegend)で、暗所で室温で30分間固定し、次いで、12mlの1xPBSで希釈した。固定及び希釈した血液試料を、保管及び英国への輸送を通して+4℃で保持した。血液採取から48~72時間に試料分析を実行した。各試料について、細胞を400gで5分間ペレット化し、細胞ペレットを1mlの緩衝液中に再懸濁し、50μlの細胞を各技術的複製物の染色に使用した。各複製物について、細胞を、AF647コンジュゲート抗イヌCD21抗体(BioRad、1:10)及びPEコンジュゲート抗イヌCD8抗体(BioRad、1:50)で染色した。DAPI上で閾値を設定してデブリ及び非有核細胞を除外することによって、Beckman Coulter CytoFLEXを使用してデータを取得した。FlowJoソフトウェアを使用して、リンパ球集団におけるCD21+B細胞及びCD8+T細胞のパーセンテージを分析した。抗体投与後の評価の日のCD21+B細胞のパーセンテージを、各イヌについての0日目(ベースライン)のパーセンテージと比較することによって、B細胞枯渇を決定した。CD8+T細胞のパーセンテージもまた評価し、内部対照として機能した。図7Cは、PMX及び対照抗体を投与された健康なビーグルにおけるB細胞枯渇の結果を示す。枯渇は、0.5mg/kg及び2mg/kg用量でPMX070及びPMX115について観察され、a-フコシル化形態のPMX003で観察された枯渇に相当した。
【0323】
薬物動態分析のために、mAb薬物の血漿濃度を抗体投与後の以下の時間にモニタリングし、分析した:イヌ研究1における投与前、2時間、6時間、24時間、48時間、72時間、120時間、168時間、360時間、27日目及び43日目、並びにイヌ研究2における投与前、2時間、6時間、24時間、4日目、7日目、14日目、21日目及び28日目。血液採取の直後に、リチウムヘパリン抗凝固剤を伴う新鮮な血液を氷上に置いた。血液チューブを2500gで、+5℃で10分間遠心分離した。血漿をポリプロピレンチューブに収集し、-20℃で保管するまで氷上に保持した。血漿を、ELISAによる分析まで凍結した。mAbの濃度を、捕捉抗体としてのPMX mAbに対する抗イディオタイプポリクローナル抗体、及び検出抗体としての抗イヌFc-HRP(Sigma)又は抗イヌFc-ビオチン(Sigma)+ストレプトアビジン-HRP(BioLegend)を使用して、ELISAによって評価する。PMX mAbに対する抗イディオタイプポリクローナル又はモノクローナル抗体は、PMX Fab断片によるウサギの免疫化、ハイブリドーマ細胞株の生成、及びPMX mAbに結合する抗イディオタイプ抗体の選択、続いて、アイソタイプ対照抗体に結合する任意の交差反応性抗体の除去によって、GenScriptで作製される。
【0324】
免疫原性評価のために、凍結血漿中の抗薬物抗体(ADA)の濃度を、候補PMX抗体と抗薬物抗体との間の任意の予め形成された複合体の酸解離後にELISAによって評価する。候補抗体のキメラバージョン、例えば、PMX-マウスFc又はPMX-ヒトFcを生成し、画分をビオチンで標識する。抗薬物抗体の存在及び濃度を、サンドイッチELISAアッセイフォーマットを使用して決定し、非標識キメラ抗体を捕捉試薬として使用し、ビオチン標識キメラ抗体をストレプトアビジン-HRPとともに検出に使用する。上記の薬物動態アッセイのために生成された抗イディオタイプポリクローナル抗体を陽性対照として使用し、標準曲線を生成する。
【0325】
実施例10:エピトープマッピング
エピトープマッピングを実施して、抗体が特異的に結合するイヌCD20抗原上の部位を特定した。部位特異的変異誘発を使用して、イヌCD20の細胞外ドメインを9つの領域に分割し、イヌ配列における各領域をヒト配列における等価位置に置き換えることによって、イヌ-ヒトキメラCD20発現ベクターを生成した(図8A)。同じ戦略を使用して、イヌ-マウスキメラCD20を生成した(図8B)。変異した全長cDNAを、実施例2に記載されるように、MDCK細胞において発現させた。PMX003、PMX115、及びPMX070のこれらのキメラ変異体への結合を野生型CD20への結合と比較することによって、この位置での変異がフローサイトメトリー分析における結合の低減をもたらしたため、配列ITISHFFKMENLNLIKAPM(配列番号303)を、PMX003、PMX115、及びPMX070のエピトープとして特定した(図9)。「ENLNLIKAPM」(配列番号303、配列番号2におけるアミノ酸番号150~159)を、その配列内のコアエピトープとして特定した。このエピトープは、ベンチマーク1E4抗体のエピトープとして記載された「DIHNCD」とは異なる。エピトープを調査するための別の戦略は、アラニンスキャニングによるものであり、単一のアラニン変異が、小ループ内の全ての残基及び大ループ内の他の全ての残基において生成される(図8C)。
【0326】
実施例11 開発可能性基準
抗体の特徴付けには、以下を含むいくつかの態様がある。1)COGS(売上原価)に影響を及ぼす最終的な安定した発現レベルに相関する小規模な抗体産生中の一過性発現レベル。2)凝集する傾向、及びより高い濃度の製剤との適合性を含む、いくつかの特性に相関する熱安定性。熱安定性は、タンパク質のうちの50%が展開されるときの温度であるTm1値、及び凝集温度であるTaggによって反映され得る。リード抗体のTm1及びTagg値を、UNcleタンパク質安定性スクリーニングプラットフォーム(Unchained Labs)を使用して測定した。3)サイズ及び純度。断片化及び凝集は、インビボでの有効性又は免疫原性との問題につながり得る。抗体のサイズを、非還元及び還元SDS-PAGEゲル上で決定した。HPLC-SECは、各候補産物が95%を超えるモノマーで構成されていることを示した。粒子の直径を、凝集の潜在的な問題を検出することが可能なUNcleマシンを使用して検出した。PMX003、PMX066、PMX067、PMX069、PMX070、PMX071、PMX072、PMX073、PMX074、PMX075、PMX076、PMX077、PMX078、PMX079、PMX080、PMX081、PMX112、PMX115、PMX122、及びPMX124抗体の開発可能性パラメータを表5に示した。
【0327】
実施例12 脱グリコシル化抗体の分析
上記に加えて、インシリコ配列分析を使用して、配列ライアビリティの予測を実施した。N連結グリコシル化モチーフ(NVT)を、PMX003 mAbにおける軽鎖のフレームワーク領域1(FR1)において特定し、リードパネルからの別の12mAb(PMX070、PMX075、及びPMX080を除く)においても特定した。この位置でのグリコシル化を予防することによってライアビリティを低減させるために、PMX003の軽鎖FR1内のNVTシークオンを、QVT(PMX006)、AVT(PMX007)、EVT(PMX008)、NVA(PMX009)、SVT(PMX010)、及びTVT(PMX011)に変異させた。脱グリコシル化は、変異体抗体の軽鎖のサイズを、還元SDS-PAGEゲル上の元のPMX003 mAbと比較することによって観察した。これに続いて、これらの変異の影響を評価するために、結合及び機能評価を実行した。フローサイトメトリー分析は、わずかに低減したQVT及びAVT変異体を除いて、イヌCD20発現細胞への結合能力が変化しないままであることを明らかにした(図3B)。同様に、インビトロADCCアッセイ(図5D及び5E)、及びエクスビボ全血アッセイ(図6C)における殺傷効力は、これらの変異によって著しく影響されなかった。したがって、結合及び機能活性を損なうことなく、脱グリコシル化のためにNVTモチーフを修飾することが可能である。
表2:配列
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【表2-7】
【表2-8】
【表2-9】
【表2-10】
【表2-11】
【表2-12】
【表2-13】
【表2-14】
【表2-15】
【表2-16】
【表2-17】
【表2-18】
【表2-19】
【表2-20】
【表2-21】
【表2-22】
【表2-23】
【表2-24】
【表2-25】
【表2-26】
【表2-27】
【表2-28】
【表2-29】
【表2-30】
【表2-31】
【表2-32】
【表2-33】
【表2-34】
【表2-35】
【表3】
【表4】
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
図1
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図3-4】
図3-5】
図4
図5-1】
図5-2】
図6
図7-1】
図7-2】
図8
図9
【配列表】
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【国際調査報告】