(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】ERK1/2阻害剤とEGFR阻害剤との併用療法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/506 20060101AFI20240709BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240709BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240709BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240709BHJP
A61K 31/44 20060101ALI20240709BHJP
A61K 31/437 20060101ALI20240709BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240709BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240709BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20240709BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20240709BHJP
A61P 5/14 20060101ALI20240709BHJP
A61K 31/497 20060101ALI20240709BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240709BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
A61K31/506
A61K45/00
A61P35/00
A61K39/395 P
A61K31/44
A61K31/437
A61P11/00
A61P17/00
A61P1/18
A61P1/00
A61P5/14
A61K31/497
A61K39/395 T
A61P43/00 121
A61K31/519
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577875
(86)(22)【出願日】2022-06-23
(85)【翻訳文提出日】2024-02-19
(86)【国際出願番号】 US2022034660
(87)【国際公開番号】W WO2022271907
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523222611
【氏名又は名称】エラスカ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シューメーカー,ロバート フィールド
(72)【発明者】
【氏名】リュー,エリン デニス
(72)【発明者】
【氏名】リン,ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ブライル,レスリー ハリス
(72)【発明者】
【氏名】マーティン,リーナス
(72)【発明者】
【氏名】ヂャン,ジンチュワン
(72)【発明者】
【氏名】オー,ジョアンヌ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084AA22
4C084MA02
4C084MA52
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA59
4C084ZA66
4C084ZA89
4C084ZB26
4C084ZC06
4C084ZC75
4C085AA13
4C085AA14
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE03
4C085GG01
4C085GG08
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC17
4C086BC42
4C086BC82
4C086CB05
4C086CB09
4C086CB10
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA10
4C086GA12
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA89
4C086ZB26
4C086ZC06
4C086ZC75
(57)【要約】
【解決手段】本開示は概して、癌、具体的には固形腫瘍の治療のための、EGFR阻害剤との併用でのERK1/2阻害剤の使用に関する。本開示はまた、癌、具体的には固形腫瘍の治療のための、EGFR阻害剤およびBRAF阻害剤との併用でのERK1/2阻害剤の使用に関する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌の処置を必要としている対象の癌を処置する方法であって、該方法は、
(i)化合物1
【化1】
またはその薬学的に許容可能な塩と、
(ii)EGFR阻害剤と
を治療有効量で、前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記EGFR阻害剤は、低分子EGFR阻害剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記EGFR阻害剤は、アファチニブ、アミバンタマブ、カネルチニブ、セツキシマブ、ダコミチニブ、ダフネチン、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イコチニブ、ラパチニブ、ラゼルチニブ、リフィラフェニブ、mirzotamab clezutoclax、モボセルチニブ、ナザルチニブ、ネシツムマブ、ネラチニブ、オシメルチニブ、パニツマブ、ペリチニブ、ポジオチニブ、チボザニブ、ロシレチニブ、サピチニブ、バンデタニブ、またはバルリチニブである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記EGFR阻害剤は、オシメルチニブである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
オシメルチニブは、約80mg/日の量で投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記EGFR阻害剤は、セツキシマブである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
セツキシマブは、週1回、最初に120分間にわたって400mg/m
2、続いて60分間にわたって250mg/m
2で投与される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
セツキシマブは、2週間に1回、500mg/m
2で投与される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
セツキシマブは、2週間に1回、400mg/m
2で投与されるか、または2週間に1回、300mg/m
2で投与される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
BRAF阻害剤を投与することをさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記BRAF阻害剤は、ダブラフェニブ、エンコラフェニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、またはベムラフェニブである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記BRAF阻害剤は、エンコラフェニブである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
エンコラフェニブは、約100mg/日~約500mg/日の量で投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
エンコラフェニブは、約450mg/日の量で投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
エンコラフェニブは、約300mg/日の量で投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
エンコラフェニブは、約225mg/日の量で投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
エンコラフェニブは、約150mg/日の量で投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記BRAF阻害剤は、ダブラフェニブである、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
ダブラフェニブは、約150mgの量で投与される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
癌の処置を必要としている対象の癌を処置する方法であって、該方法は、
(i)化合物1
【化2】
またはその薬学的に許容可能な塩と、
(ii)EGFR阻害剤と、
(iii)BRAF阻害剤と
を治療有効量で、前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項21】
前記EGFR阻害剤は、低分子阻害剤である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記EGFR阻害剤は、アファチニブ、アミバンタマブ、セツキシマブ、ダコミチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、ラゼルチニブ、リフィラフェニブ、mirzotamab clezutoclax、モボセルチニブ、ナザルチニブ、ネシツムマブ、ネラチニブ、オシメルチニブ、またはバンデタニブである、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記EGFR阻害剤は、オシメルチニブである、請求項20~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
オシメルチニブは、約80mg/日の量で投与される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記EGFR阻害剤は、セツキシマブである、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
セツキシマブは、週1回、最初に120分間にわたって400mg/m
2、続いて60分間にわたって250mg/m
2で投与される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
セツキシマブは、2週間に1回、500mg/m
2で投与される、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
セツキシマブは、2週間に1回、400mg/m
2で投与されるか、または2週間に1回、300mg/m
2で投与される、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記BRAF阻害剤は、ダブラフェニブ、エンコラフェニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、またはベムラフェニブである、請求項20~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記BRAF阻害剤は、エンコラフェニブである、請求項20~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
エンコラフェニブは、約100mg/日~約500mg/日の量で投与される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
エンコラフェニブは、約450mg/日の量で投与される、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
エンコラフェニブは、約300mg/日の量で投与される、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
エンコラフェニブは、約225mg/日の量で投与される、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
エンコラフェニブは、約150mg/日の量で投与される、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記BRAF阻害剤は、ダブラフェニブである、請求項20~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
ダブラフェニブは、約150mg/日の量で投与される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
癌の処置を必要としている対象の癌を処置する方法であって、該方法は、
(i)化合物1
【化3】
またはその薬学的に許容可能な塩と、
(ii)セツキシマブと、
(iii)エンコラフェニブと
を治療有効量で、前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項39】
癌の処置を必要としている対象の癌を処置する方法であって、該方法は、
(i)化合物1
【化4】
またはその薬学的に許容可能な塩と、
(ii)セツキシマブと、
(iii)ダブラフェニブと
を治療有効量で、前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項40】
癌の処置を必要としている対象の癌を処置する方法であって、該方法は、
(i)化合物1
【化5】
またはその薬学的に許容可能な塩と、
(ii)オシメルチニブと、
(iii)エンコラフェニブと
を治療有効量で、前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項41】
癌の処置を必要としている対象の癌を処置する方法であって、該方法は、
(i)化合物1
【化6】
またはその薬学的に許容可能な塩と、
(ii)オシメルチニブと、
(iii)ダブラフェニブと
を治療有効量で、前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項42】
前記化合物1の薬学的に許容可能な塩は、マンデル酸塩である、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記癌は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路駆動癌である、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記癌は、BRAF駆動癌、HRAS駆動癌、またはaNRAS駆動癌である、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記癌は、脱調節されたERKによって駆動される少なくとも1つの癌細胞を含む、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記癌は、RASに少なくとも1つの変異を有する、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記癌は、RAFに少なくとも1つの変異を有する、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記癌は、MEKに少なくとも1つの変異を有する、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記癌は、G12C KRAS変異を有する、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記癌は、G12D KRAS変異を有する、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記癌は、G12S KRAS変異を有する、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記癌は、G12V KRAS変異を有する、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記癌は、G13D KRAS変異を有する、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記癌は、Q16H KRAS変異を有する、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記癌は、Q16K KRAS変異を有する、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記癌は、Q61R NRAS変異を有する、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記癌は、BRAF V600EまたはV600K変異型腫瘍である、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記癌は、MAPKm/MAPKiナイーブの汎癌である、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記癌は、EGFR遺伝子コピー数の増加、EGFR遺伝子の増幅、17番染色体の多染色体性、L858R、エクソン19の欠失/挿入、L861Q、G719C、G719S、G719A、V765A、T783A、エクソン20の挿入、EGFRのスプライス改変体(Viii、Vvi、およびVii)、A289D、A289T、A289V、G598A、G598V、T790M、およびC797Sからなる群から選択される1つ以上のEGFR変異を含む、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記癌は、L858R、エクソン19の欠失、およびT790Mからなる群から選択される1つ以上のEGFR変異を含む、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記癌は、固形腫瘍である、請求項1~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)、黒色腫、膵臓癌、唾液腺腫瘍、甲状腺癌、大腸癌(CRC)、または食道癌である、請求項1~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)である、請求項1~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記NSCLCは、EGFR変異型NSCLCである、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記NSCLCは、KRAS G12C変異型NSCLCである、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
前記NSCLCは、KRAS G12D変異型NSCLCである、請求項63に記載の方法。
【請求項67】
前記NSCLCは、KRAS G12S変異型NSCLCである、請求項63に記載の方法。
【請求項68】
前記NSCLCは、KRAS G12V変異型NSCLCである、請求項63に記載の方法。
【請求項69】
前記NSCLCは、KRAS G13D変異型NSCLCである、請求項63に記載の方法。
【請求項70】
前記NSCLCは、KRAS Q61H変異型NSCLCである、請求項63に記載の方法。
【請求項71】
前記NSCLCは、KRAS Q61K変異型NSCLCである、請求項63に記載の方法。
【請求項72】
前記NSCLCは、NRAS Q61R変異型NSCLCである、請求項63に記載の方法。
【請求項73】
前記癌は、MAPKm/MAPKiナイーブのNSCLCである、請求項63に記載の方法。
【請求項74】
前記癌は、BRAFiで処置されたV600 NSCLCである、請求項63に記載の方法。
【請求項75】
前記癌は、KRASで処置されたG12C NSCLCである、請求項63に記載の方法。
【請求項76】
前記癌は、KRASで処置されたG12D NSCLCである、請求項63に記載の方法。
【請求項77】
前記癌は、KRASで処置されたG12S NSCLCである、請求項63に記載の方法。
【請求項78】
前記癌は、KRASで処置されたG12V NSCLCである、請求項63に記載の方法。
【請求項79】
前記癌は、KRASで処置されたG13D NSCLCである、請求項63に記載の方法。
【請求項80】
前記癌は、KRASで処置されたQ61H NSCLCである、請求項63に記載の方法。
【請求項81】
前記癌は、KRASで処置されたQ61K NSCLCである、請求項63に記載の方法。
【請求項82】
前記癌は、NRASで処置されたQ61R NSCLCである、請求項63に記載の方法。
【請求項83】
前記癌は、膵臓癌である、請求項1~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記癌は、MAPKm/MAPKiナイーブの膵臓癌である、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記癌は、黒色腫である、請求項1~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記黒色腫は、BRAF V600EまたはV600K変異型腫瘍である、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記癌は、BRAFiで処置されたV600黒色腫である、請求項85に記載の方法。
【請求項88】
前記癌は、唾液腺腫瘍である、請求項1~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記癌は、甲状腺癌である、請求項1~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記癌は、大腸癌(CRC)である、請求項1~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記CRCは、BRAF V600E CRCである、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記CRCは、KRAS変異型CRCである、請求項90に記載の方法。
【請求項93】
前記CRCは、KRAS G12C変異型CRCである、請求項90に記載の方法。
【請求項94】
前記CRCは、KRAS G12D変異型CRCである、請求項90に記載の方法。
【請求項95】
前記CRCは、KRAS G12S変異型CRCである、請求項90に記載の方法。
【請求項96】
前記CRCは、KRAS G12V変異型CRCである、請求項90に記載の方法。
【請求項97】
前記CRCは、KRAS G13D変異型CRCである、請求項90に記載の方法。
【請求項98】
前記CRCは、KRAS Q61H変異型CRCである、請求項90に記載の方法。
【請求項99】
前記CRCは、KRAS Q61K変異型CRCである、請求項90に記載の方法。
【請求項100】
前記CRCは、NRAS変異型CRCである、請求項90に記載の方法。
【請求項101】
前記CRCは、NRAS Q61R変異型CRCである、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記癌は、食道癌である、請求項1~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約25mg/日~約300mg/日の量で投与される、請求項1~102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、25mg/日~150mg/日の量で投与される、請求項1~103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約25mg/日、約50mg/日、約75mg/日、約100mg/日、約125mg/日、約150mg/日、約175mg/日、約200mg/日、約225mg/日、または約250mg/日の量で投与される、請求項1~104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約25mg/日、約50mg/日、約100mg/日、または約150mg/日の量で投与される、請求項1~105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約250mg/日の量で投与される、請求項1~105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日1回(QD)投与される、請求項1~107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回(BID)投与される、請求項1~107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日3回(TID)投与される、請求項1~107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項111】
化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、週1回投与される、請求項1~110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、週2回投与される、請求項1~110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約25mg~約300mgの量で投与される、請求項1~102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項114】
化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約25mg~約250mgの量で投与される、請求項1~102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項115】
化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約25mg~約150mgの量で投与される、請求項1~102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項116】
化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約25mg、50mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、または約250mgの量で投与される、請求項1~102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項117】
化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約25mg、50mg、約100mg、約125mg、または約150mgの量で投与される、請求項1~102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項118】
化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約125mgの量で投与される、請求項1~102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、少なくとも1回の28日間サイクルにわたって投与される、請求項1~118のいずれか一項に記載の方法。
【請求項120】
化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、28日間サイクルの1日目、8日目、15日目、および22日目に投与される、請求項1~119のいずれか一項に記載の方法。
【請求項121】
化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、28日間サイクルの1日目、8日目、15日目に投与される、請求項1~119のいずれか一項に記載の方法。
【請求項122】
化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、経口投与される、請求項1~120のいずれか一項に記載の方法。
【請求項123】
追加のMAPK経路阻害剤を投与することをさらに含む、請求項1~121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項124】
前記追加のMAPK経路阻害剤は、KRAS阻害剤、NRAS阻害剤、HRAS阻害剤、PDGFRA阻害剤、PDGFRB阻害剤、MET阻害剤、FGFR阻害剤、ALK阻害剤、ROS1阻害剤、TRKA阻害剤、TRKB阻害剤、TRKC阻害剤、EGFR阻害剤、IGFR1R阻害剤、GRB2阻害剤、SOS阻害剤、ARAF阻害剤、BRAF阻害剤、RAF1阻害剤、MEK1阻害剤、MEK2阻害剤、c-Mycv、CDK4/6阻害剤、CDK2阻害剤、FLT3阻害剤、またはERK1/2阻害剤である、請求項123に記載の方法。
【請求項125】
前記追加のMAPK経路阻害剤は、KRAS阻害剤である、請求項123に記載の方法。
【請求項126】
前記追加のMAPK経路阻害剤は、BRAF阻害剤である、請求項123に記載の方法。
【請求項127】
前記追加のMAPK経路阻害剤は、EGFR阻害剤である、請求項123に記載の方法。
【請求項128】
前記追加のMAPK経路阻害剤は、CDK4/6である、請求項123に記載の方法。
【請求項129】
前記追加のMAPK経路阻害剤は、FLT3阻害剤である、請求項123に記載の方法。
【請求項130】
前記追加のMAPK経路阻害剤は、アダグラシブ、アファチニブ、ASTX029、ビニメチニブ、コビメチニブ、ダコミチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ギルテリチニブ、ラパチニブ、LTT462、LY3214996、ネシツムマブ、ネラチニブ、ニモツズマブ、パルボシクリブ、セルメチニブ、ソトラシブ、トラメチニブ、ウリキセルチニブ、バンデタニブ、またはベムラフェニブである、請求項123に記載の方法。
【請求項131】
前記追加のMAPK経路阻害剤は、アダグラシブである、請求項123に記載の方法。
【請求項132】
前記追加のMAPK経路阻害剤は、ギルテリチニブである、請求項123に記載の方法。
【請求項133】
前記追加のMAPK経路阻害剤は、パルボシクリブである、請求項123に記載の方法。
【請求項134】
前記追加のMAPK経路阻害剤は、パニツムマブである、請求項123に記載の方法。
【請求項135】
前記追加のMAPK経路阻害剤は、ソトラシブである、請求項123に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2021年6月24日出願の米国仮特許出願第63/214,765号、2021年8月24日出願の米国仮特許出願第63/236,635号、2021年11月9日出願の米国仮特許出願第63/277,547号、2022年11月16日出願の米国仮特許出願第63/279,877号、2022年3月18日出願の米国仮特許出願第63/321,605号の利益を主張するものであり、当該出願の全体は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ERK1とERK2(総じて「ERK1/2」)は、とりわけRas-Raf-MEK-ERKシグナル伝達経路に関与する関連型タンパク質-セリン/トレオニンキナーゼであり、この経路は、時にマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路として示される。この経路は、細胞の増殖、生存、付着、周期進行、移動、分化、代謝、および転写のうちの1つ以上を含む多くの基本的な細胞プロセスを調節するのに中心的な役割を果たすと考えられている。MAPK経路の活性化は、肺癌、結腸癌、膵臓癌、直腸癌、卵巣癌を含む多くの種類の腫瘍において報告されている。したがって、活性化を低下させることのできる物質が、可能な治療法として注目されている。
【発明の概要】
【0003】
ERK1/2は、トレオニン残基とチロシン残基、すなわちTyr204/187とThr202/185の両方のリン酸化を介したMEKにより活性化されると考えられている。ERK1/2は、一旦活性化されると、100を超える物質のセリン/トレオニン残基のリン酸化を触媒して、細胞の成長、増殖、生存、血管新生、および分化、ならびに癌表現型のすべての特徴に関連する細胞質ゾルおよび核タンパク質の両方を活性化する。このため、腫瘍成長を阻害する方法としてERK1/2阻害剤を開発および使用するために、ERK1とERK2を標的とすることが有益な可能性がある。
【0004】
さらに、ERK阻害剤は、他のキナーゼ阻害剤、例えば、MAPK阻害剤との併用で有用となる可能性がある。近年では、低分子阻害剤によるMEKおよびERKの二重の阻害は相乗的なものであり、MEK阻害剤への獲得耐性を克服するように作用したと報告されている。Hatzivassiliou et al.,ERK Inhibition Overcomes Acquired Resistance to MEK Inhibition,Mol.Cancer Ther.2012,11,1143-1154を参照されたい。
【0005】
ERK1/2に加えて、細胞外タンパク質リガンドの上皮成長因子ファミリーのメンバーの受容体である膜貫通タンパク質、上皮成長因子受容体(EGFR)もRAS経路の上流で作動する。
【0006】
EGFRは、細胞膜に埋め込まれたタンパク質である受容体型チロシンキナーゼ(RTK)であり、外環境から細胞内在機構に増殖シグナルを中継する。このタンパク質は、休止状態では不活性なモノマーとして細胞膜に存在する。例えば、成長因子EGFはEGFRに結合するなど、近傍の細胞から分泌される成長因子は特定のRTKに結合して、これらのRTKの二量体化を誘導する。RTKは二量体化して、それらの細胞内領域のトランスリン酸化を介して互いを活性化する。アダプタータンパク質などの細胞内タンパク質はこれらのリン酸化領域に結合して、1つ以上のシグナル伝達経路を介して細胞内で増殖促進シグナルを伝播する。細胞は様々なRTKを発現するので、特定の状況で特定の細胞集団に環境合図を中継することができる。EGFRは、皮膚や、多くの器官の管および外表面において増殖促進シグナル伝達を媒介する。RTKのシグナル伝達が過活性化すると、細胞増殖や生存が制御されず、正常な細胞が癌細胞に変異する可能性がある。
【0007】
複数の角度からシグナル伝達経路を標的とし、ERK1/2およびEGFRを介してRasの上流のフィードバックループを改善する可能性がある機会によって、併用療法を用いる方法を開発する機会が提供される。
【0008】
本明細書に開示される本実施形態は概して、EGFR阻害剤との併用でERK1/2阻害剤を利用して、予想を超える程度の相乗作用をもたらす、癌を治療するための併用療法に関連する組成物および方法に関する。
【0009】
本明細書では、必要としている対象の癌を処置する方法が開示され、該方法は、
(i)化合物1
【0010】
【化1】
またはその薬学的に許容可能な塩と、
(ii)EGFR阻害剤と
を治療有効量で、必要としている対象に投与することを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、低分子EGFR阻害剤である。
【0012】
いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、アファチニブ、アミバンタマブ、カネルチニブ、セツキシマブ、ダコミチニブ、ダフネチン、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イコチニブ、ラパチニブ、ラゼルチニブ、リフィラフェニブ、mirzotamab clezutoclax、モボセルチニブ、ナザルチニブ、ネシツムマブ、ネラチニブ、オシメルチニブ、パニツマブ、ペリチニブ、ポジオチニブ、チボザニブ、ロシレチニブ、サピチニブ、バンデタニブ、またはバルリチニブである。
【0013】
いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、オシメルチニブである。
【0014】
いくつかの実施形態では、オシメルチニブは、約80mg/日の量で投与される。
【0015】
いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、セツキシマブである。
【0016】
いくつかの実施形態では、セツキシマブは、週1回、最初に120分間にわたって400mg/m2、続いて60分間にわたって250mg/m2で投与される。
【0017】
いくつかの実施形態では、セツキシマブは、2週間に1回、500mg/m2で投与される。
【0018】
いくつかの実施形態では、セツキシマブは、2週間に1回、400mg/m2で投与されるか、または2週間に1回、300mg/m2で投与される。
【0019】
いくつかの実施形態では、方法は、BRAF阻害剤を投与することをさらに含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、BRAF阻害剤は、ダブラフェニブ、エンコラフェニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、またはベムラフェニブである。
【0021】
いくつかの実施形態では、BRAF阻害剤は、エンコラフェニブである。
【0022】
いくつかの実施形態では、エンコラフェニブは、約100mg/日~約500mg/日の量で投与される。
【0023】
いくつかの実施形態では、エンコラフェニブは、約450mg/日の量で投与される。
【0024】
いくつかの実施形態では、エンコラフェニブは、約300mg/日の量で投与される。
【0025】
いくつかの実施形態では、エンコラフェニブは、約225mg/日の量で投与される。
【0026】
いくつかの実施形態では、エンコラフェニブは、約150mg/日の量で投与される。
【0027】
いくつかの実施形態では、BRAF阻害剤は、ダブラフェニブである。
【0028】
いくつかの実施形態では、ダブラフェニブは、約150mgの量で投与される。
【0029】
また、本明細書では、必要としている対象の癌を処置する方法が開示され、該方法は、(i)化合物1
【0030】
【化2】
またはその薬学的に許容可能な塩と、
(ii)EGFR阻害剤と、
(iii)BRAF阻害剤と
を治療有効量で、必要としている対象に投与することを含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、低分子阻害剤である。
【0032】
いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、アファチニブ、アミバンタマブ、セツキシマブ、ダコミチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、ラゼルチニブ、リフィラフェニブ、mirzotamab clezutoclax、モボセルチニブ、ナザルチニブ、ネシツムマブ、ネラチニブ、オシメルチニブ、またはバンデタニブである。
【0033】
いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、オシメルチニブである。
【0034】
いくつかの実施形態では、オシメルチニブは、約80mg/日の量で投与される。
【0035】
いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、セツキシマブである。
【0036】
いくつかの実施形態では、セツキシマブは、週1回、最初に120分間にわたって400mg/m2、続いて60分間にわたって250mg/m2で投与される。
【0037】
いくつかの実施形態では、セツキシマブは、2週間に1回、500mg/m2で投与される。
【0038】
いくつかの実施形態では、セツキシマブは、2週間に1回、400mg/m2で投与されるか、または2週間に1回、300mg/m2で投与される。
【0039】
いくつかの実施形態では、BRAF阻害剤は、ダブラフェニブ、エンコラフェニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、またはベムラフェニブである。
【0040】
いくつかの実施形態では、BRAF阻害剤は、エンコラフェニブである。
【0041】
いくつかの実施形態では、エンコラフェニブは、約100mg/日~約500mg/日の量で投与される。
【0042】
いくつかの実施形態では、エンコラフェニブは、約450mg/日の量で投与される。
【0043】
いくつかの実施形態では、エンコラフェニブは、約300mg/日の量で投与される。
【0044】
いくつかの実施形態では、エンコラフェニブは、約225mg/日の量で投与される。
【0045】
いくつかの実施形態では、エンコラフェニブは、約150mg/日の量で投与される。
【0046】
いくつかの実施形態では、BRAF阻害剤は、ダブラフェニブである。
【0047】
いくつかの実施形態では、ダブラフェニブは、約150mg/日の量で投与される。
【0048】
また、本明細書では、必要としている対象の癌を処置する方法が開示され、該方法は、(i)化合物1
【0049】
【化3】
またはその薬学的に許容可能な塩と、
(ii)セツキシマブと、
(iii)エンコラフェニブと
を治療有効量で、必要としている対象に投与することを含む。
【0050】
必要としている対象の癌を処置する方法であって、該方法は、
(i)化合物1
【0051】
【化4】
またはその薬学的に許容可能な塩と、
(ii)セツキシマブと、
(iii)ダブラフェニブと
を治療有効量で、必要としている対象に投与することを含む、方法。
【0052】
また、本明細書では、必要としている対象の癌を処置する方法が開示され、該方法は、(i)化合物1
【0053】
【化5】
またはその薬学的に許容可能な塩と、
(ii)オシメルチニブと、
(iii)エンコラフェニブと
を治療有効量で、必要としている対象に投与することを含む。
【0054】
また、本明細書では、必要としている対象の癌を処置する方法が開示され、該方法は、(i)化合物1
【0055】
【化6】
またはその薬学的に許容可能な塩と、
(ii)オシメルチニブと、
(iii)ダブラフェニブと
を治療有効量で、必要としている対象に投与することを含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、化合物1の薬学的に許容可能な塩は、マンデル酸塩である。
【0057】
いくつかの実施形態では、癌は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路駆動癌である。
【0058】
いくつかの実施形態では、癌は、BRAF駆動癌、HRAS駆動癌、またはNRAS駆動癌である。
【0059】
いくつかの実施形態では、癌は、脱調節されたERKによって駆動される少なくとも1つの癌細胞を含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、癌は、RASに少なくとも1つの変異を有する。いくつかの実施形態では、癌は、RAFに少なくとも1つの変異を有する。いくつかの実施形態では、癌は、MEKに少なくとも1つの変異を有する。
【0061】
いくつかの実施形態では、癌は、G12C KRAS変異を有する。いくつかの実施形態では、癌は、G12D KRAS変異を有する。いくつかの実施形態では、癌は、G12S KRAS変異を有する。
【0062】
いくつかの実施形態では、癌は、G12V KRAS変異を有する。いくつかの実施形態では、癌は、G13D KRAS変異を有する。いくつかの実施形態では、癌は、Q16H KRAS変異を有する。
【0063】
いくつかの実施形態では、癌は、Q16K KRAS変異を有する。いくつかの実施形態では、癌は、Q61R NRAS変異を有する。
【0064】
いくつかの実施形態では、癌は、BRAF V600EまたはV600K変異型腫瘍である。
【0065】
いくつかの実施形態では、癌は、MAPKm/MAPKiナイーブの汎癌である。
【0066】
いくつかの実施形態では、癌は、EGFR遺伝子コピー数の増加、EGFR遺伝子の増幅、17番染色体の多染色体性、L858R、エクソン19の欠失/挿入、L861Q、G719C、G719S、G719A、V765A、T783A、エクソン20の挿入、EGFRのスプライス改変体(Viii、Vvi、およびVii)、A289D、A289T、A289V、G598A、G598V、T790M、およびC797Sからなる群から選択される1つ以上のEGFR変異を含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、癌は、L858R、エクソン19の欠失、およびT790Mからなる群から選択される1つ以上のEGFR変異を含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、癌は、固形腫瘍である。
【0069】
いくつかの実施形態では、癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)、黒色腫、膵臓癌、唾液腺腫瘍、甲状腺癌、大腸癌(CRC)、または食道癌である。
【0070】
いくつかの実施形態では、癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)である。いくつかの実施形態では、NSCLCは、EGFR変異型NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCは、KRAS G12C変異型NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCは、KRAS G12D変異型NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCは、KRAS G12S変異型NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCは、KRAS G12V変異型NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCは、KRAS G13D変異型NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCは、KRAS Q61H変異型NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCは、KRAS Q61K変異型NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCは、NRAS Q61R変異型NSCLCである。
【0071】
いくつかの実施形態では、癌は、MAPKm/MAPKiナイーブのNSCLCである。
【0072】
いくつかの実施形態では、癌は、BRAFiで処置されたV600 NSCLCである。
【0073】
いくつかの実施形態では、癌は、KRASで処置されたG12C NSCLCである。いくつかの実施形態では、癌は、KRASで処置されたG12D NSCLCである。いくつかの実施形態では、癌は、KRASで処置されたG12S NSCLCである。いくつかの実施形態では、癌は、KRASで処置されたG12V NSCLCである。いくつかの実施形態では、癌は、KRASで処置されたG13D NSCLCである。いくつかの実施形態では、癌は、KRASで処置されたQ61H NSCLCである。いくつかの実施形態では、癌は、KRASで処置されたQ61K NSCLCである。いくつかの実施形態では、癌は、NRASで処置されたQ61R NSCLCである。
【0074】
いくつかの実施形態では、癌は、膵臓癌である。
【0075】
いくつかの実施形態では、癌は、MAPKm/MAPKiナイーブの膵臓癌である。
【0076】
いくつかの実施形態では、癌は、黒色腫である。
【0077】
いくつかの実施形態では、黒色腫は、BRAF V600EまたはV600K変異型腫瘍である。
【0078】
いくつかの実施形態では、癌は、BRAFiで処置されたV600黒色腫である。
【0079】
いくつかの実施形態では、癌は、唾液腺腫瘍である。
【0080】
いくつかの実施形態では、癌は、甲状腺癌である。
【0081】
いくつかの実施形態では、癌は、大腸癌(CRC)である。いくつかの実施形態では、CRCは、BRAF V600E CRCである。いくつかの実施形態では、CRCは、KRAS変異型CRCである。
【0082】
いくつかの実施形態では、CRCは、KRAS G12C変異型CRCである。いくつかの実施形態では、CRCは、KRAS G12D変異型CRCである。いくつかの実施形態では、CRCは、KRAS G12S変異型CRCである。いくつかの実施形態では、CRCは、KRAS G12V変異型CRCである。いくつかの実施形態では、CRCは、KRAS G13D変異型CRCである。いくつかの実施形態では、CRCは、KRAS Q61H変異型CRCである。いくつかの実施形態では、CRCは、KRAS Q61K変異型CRCである。いくつかの実施形態では、CRCは、NRAS変異型CRCである。いくつかの実施形態では、CRCは、NRAS Q61R変異型CRCである。
【0083】
いくつかの実施形態では、癌は、食道癌である。
【0084】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約25mg/日~約300mg/日の量で投与される。
【0085】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、25mg/日~150mg/日の量で投与される。
【0086】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約25mg/日、約50mg/日、約75mg/日、約100mg/日、約125mg/日、約150mg/日、約175mg/日、約200mg/日、約225mg/日、または約250mg/日の量で投与される。
【0087】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約25mg/日、約50mg/日、約100mg/日、または約150mg/日の量で投与される。
【0088】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約250mg/日の量で投与される。
【0089】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日1回(QD)投与される。いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回(BID)投与される。いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日3回(TID)投与される。
【0090】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、週1回投与される。いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、週2回投与される。
【0091】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約25mg~約300mgの量で投与される。
【0092】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約25mg~約250mgの量で投与される。
【0093】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約25mg~約150mgの量で投与される。
【0094】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約25mg、50mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、または約250mgの量で投与される。
【0095】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約25mg、50mg、約100mg、約125mg、または約150mgの量で投与される。
【0096】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約125mgの量で投与される。
【0097】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、少なくとも1回の28日間サイクルにわたって投与される。
【0098】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、28日間サイクルの1日目、8日目、15日目、および22日目に投与される。
【0099】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、28日間サイクルの1日目、8日目、15日目に投与される。
【0100】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、経口投与される。
【0101】
いくつかの実施形態では、方法は、追加のMAPK経路阻害剤を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、追加のMAPK経路阻害剤は、KRAS阻害剤、NRAS阻害剤、HRAS阻害剤、PDGFRA阻害剤、PDGFRB阻害剤、MET阻害剤、FGFR阻害剤、ALK阻害剤、ROS1阻害剤、TRKA阻害剤、TRKB阻害剤、TRKC阻害剤、EGFR阻害剤、IGFR1R阻害剤、GRB2阻害剤、SOS阻害剤、ARAF阻害剤、BRAF阻害剤、RAF1阻害剤、MEK1阻害剤、MEK2阻害剤、c-Mycv、CDK4/6阻害剤、CDK2阻害剤、FLT3阻害剤、またはERK1/2阻害剤である。いくつかの実施形態では、追加のMAPK経路阻害剤は、KRAS阻害剤である。いくつかの実施形態では、追加のMAPK経路阻害剤は、BRAF阻害剤である。いくつかの実施形態では、追加のMAPK経路阻害剤は、EGFR阻害剤である。いくつかの実施形態では、追加のMAPK経路阻害剤は、CDK4/6である。いくつかの実施形態では、追加のMAPK経路阻害剤は、FLT3阻害剤である。いくつかの実施形態では、追加のMAPK経路阻害剤は、アダグラシブ、アファチニブ、ASTX029、ビニメチニブ、コビメチニブ、ダコミチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ギルテリチニブ、ラパチニブ、LTT462、LY3214996、ネシツムマブ、ネラチニブ、ニモツズマブ、パルボシクリブ、セルメチニブ、ソトラシブ、トラメチニブ、ウリキセルチニブ、バンデタニブ、またはベムラフェニブである。いくつかの実施形態では、追加のMAPK経路阻害剤は、アダグラシブである。いくつかの実施形態では、追加のMAPK経路阻害剤は、ギルテリチニブである。いくつかの実施形態では、追加のMAPK経路阻害剤は、パルボシクリブである。いくつかの実施形態では、追加のMAPK経路阻害剤は、パニツムマブである。いくつかの実施形態では、追加のMAPK経路阻害剤は、ソトラシブである。
【0102】
参照による引用
本明細書で言及される刊行物、特許、および特許出願はすべて、あたかも個々の刊行物、特許、または特許出願がそれぞれ参照によって組み込まれるように具体的かつ個々に指示されるのと同じ程度にまで、参照によって本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
本開示の新規な特徴は、特に添付の特許請求の範囲に明記されている。本開示の特徴および利点についてのよりよい理解は、本開示の原則が用いられている例証的な実施形態を説明する以下の詳細な記載と添付の図面とを参照することによって得られる。
【0104】
【
図1A】エンコラフェニブ/セツキシマブ難治性BRAF
V600E RKO CDXモデルにおける化合物1+エンコラフェニブおよび化合物1+エンコラフェニブ/セツキシマブのin vivoデータを示す。
【
図1B】エンコラフェニブ/セツキシマブ難治性BRAF
V600E WiDr CDXモデルにおける化合物1+エンコラフェニブおよび化合物1+エンコラフェニブ/セツキシマブのin vivoデータを示す。
【
図2A】オシメルチニブ難治性EGFR変異型PDXモデル(LUN2355-214)における化合物1+オシメルチニブのin vivoデータを示す。
【
図2B】オシメルチニブ難治性EGFR変異型PDXモデル(LUN2355-128-33)における化合物1+オシメルチニブのin vivoデータを示す。
【
図3A】エンコラフェニブ難治性BRAF V600E CR0004 PDXモデルにおける化合物1単独、エンコラフェニブ単独、および化合物1+エンコラフェニブのin vivo腫瘍増殖曲線を示す。
【
図3B】エンコラフェニブ+セツキシマブ(EC)難治性BRAF V600E CR0004 PDXモデルにおける化合物1単独、エンコラフェニブ単独、セツキシマブ単独、化合物1+エンコラフェニブの併用、化合物1+エンコラフェニブ+セツキシマブの3剤併用、およびエンコラフェニブ+セツキシマブの併用のin vivo腫瘍増殖曲線を示す。
【
図4A】エンコラフェニブ難治性BRAF V600E CRC1011 PDXモデルにおける化合物1単独、エンコラフェニブ単独、および化合物1+エンコラフェニブの併用のin vivo腫瘍増殖曲線を示す。
【
図4B】エンコラフェニブ+セツキシマブ(EC)難治性BRAF V600E CRC1011 PDXモデルにおける化合物1単独、エンコラフェニブ単独、セツキシマブ単独、化合物1+エンコラフェニブの併用、化合物1+エンコラフェニブ+セツキシマブの3剤併用、およびエンコラフェニブ+セツキシマブの併用のin vivo腫瘍増殖曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0105】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈からそうでないことが明確に示されていない限り、複数形の指示対象を含む。それゆえ、例えば、「薬剤(an agent)」への言及は、複数のこのような薬剤を含み、「細胞(the cell)」への言及は、1つ以上の細胞(または複数の細胞)および当業者に既知のその同等物などへの言及を含む。本明細書で分子量などの物理的性質または化学式などの化学的性質について範囲が使用される場合、範囲のすべての組合せおよび下位組合せならびにその中の具体的な実施形態が含まれることが意図される。「約(about)」という用語は、数または数値範囲に言及する場合、言及される数または数値範囲が実験的変動内(または統計的実験誤差内)での近似値であり、それゆえ、いくつかの事例では、数または数値範囲は、記載される数または数値範囲の1%~15%で変動することを意味する。「含む(comprising)」(および「含む(comprise)」もしくは「含む(comprises)」または「有する(having)」または「含む(including)」などの関連用語)という用語は、他のある特定の実施形態では、例えば本明細書に記載される物質からなる任意の組成物、組成物、方法、またはプロセスなどの実施形態が、記載される特徴「からなる(consist of)」、またはそれ「から本質的になる(consist essentially of)」ことを除外することは意図されていない。
【0106】
本明細書や添付の特許請求の範囲で使用される場合、反対の意味として示されない限り、次の用語は以下に示される意味を持つ。
【0107】
本明細書で使用される場合、「治療薬」という用語は、患者の望ましくない疾病または疾患を処置、対処、寛解、予防、または改善するのに利用される薬剤を意味する。いくつかの実施形態では、化合物1などの治療剤は、癌の処置および/または寛解を対象とする。
【0108】
「投与すること」は、治療薬との併用で使用される場合、標的組織の中もしくはその上に直接投与するなど、治療薬を全身的または局所的に投与すること、あるいは治療薬を患者に投与して、それにより治療薬が標的とされている組織にプラスの影響を及ぼすことを意味する。それゆえ、本明細書で使用される場合、「投与すること」という用語には、本明細書に記載される組成物との併用で使用される場合、組成物を標的組織の中またはその上に提供すること、組成物を例えば経口投与によって患者に全身的に提供して、それにより治療薬が標的組織または細胞に到達することが含まれてもよいが、これらに限定されない。組成物を「投与すること」は、注射、局所投与、および経口投与によって、または他の方法単独で、もしくは他の既知の技術との併用で達成されてもよい。
【0109】
本明細書で使用される「動物」という用語には、ヒト、ならびに野生動物、家畜動物、および農場動物などのヒト以外の脊椎動物が含まれるが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、「患者」、「対象」、および「個体」という用語には、本明細書に記載されるある特定の状態が起こり得る生物が含まれることが意図されている。例としては、ヒト、サル、ウシ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、およびそれらのトランスジェニック種が含まれる。好ましい実施形態では、患者は、霊長類である。ある特定の実施形態では、霊長類または対象は、ヒトである。ある特定の事例では、ヒトは、成人である。ある特定の事例では、ヒトは、小児である。さらなる事例では、ヒトは、12歳未満である。ある特定の事例では、ヒトは、高齢者である。他の事例では、ヒトは、60歳以上である。対象の他の例としては、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、およびウシなどの実験動物が挙げられる。実験動物は、ある障害の動物モデル、例えば、高血圧病変を有するトランスジェニックマウスであってもよい。
【0110】
「薬学的に許容可能な」とは、担体、希釈剤、または賦形剤が製剤の他の成分と適合性がなければならず、そのレシピエントに有害であってはならないことを意味する。
【0111】
「医薬組成物」という用語は、少なくとも1つの活性成分を含む組成物を意味するものであり、それにより組成物は、哺乳動物(例えば、限定されないが、ヒト)において指定された有効な転帰についての調査に適している。当業者は、活性成分が当業者の必要性に基づいた所望の有効な転帰を有しているか否かを決定するのに適切な適切な技術を理解し認識するであろう。
【0112】
本明細書で使用される「治療有効量」または「有効量」は、研究者、獣医師、医療医師、または他の臨床医師によって求められている組織、系、動物、個体、またはヒトにおける生物学的反応または医学的反応を誘発する、活性化合物または医薬剤の量を指し、これには、(1)疾患を予防すること、例えば、疾患、疾病、または障害の素因を有するが、疾患の病理または総体症状を未だ経験していないか、示していない個体の疾患、疾病、または障害を予防すること、(2)疾患を阻害すること、例えば、疾患、疾病、または障害の病理または総体症状を経験しているか、示している個体の疾患、疾病、または障害を阻害すること(すなわち、病理および/または総体症状のさらなる進行を止めること)、ならびに(3)疾患を寛解させること、例えば、疾患、疾病、または障害の病理または総体症状を経験しているか、示している個体の疾患、疾病、または障害を寛解させること(すなわち、病理および/または総体症状を逆転させること)のうちの1つ以上が含まれる。
【0113】
本明細書で使用される「処置する(treat)」、「処置された(treated)」、「処置(treatment)」、または「処置すること(treating)」という用語は、一部の実施形態では治療的処置、他の実施形態では予防的または防止的手段の両方を指し、ここで、目的は、望ましくない生理学的な疾病、障害、または疾患を予防するか、遅らせる(軽減する)こと、あるいは有益または所望の臨床結果を得ることである。本明細書に記載される目的のために、有益または所望の臨床結果としては、限定されないが、症状の緩和、疾病、障害、または疾患の程度の減少、疾病、障害、または疾患の状態の安定化(つまり、悪化させないこと)、疾病、障害、または疾患の発症を遅らせること、または進行を遅らせること、疾病、障害、または疾患状態の改善、ならびに、検出可能であれ検出不可能であれ、または疾病、障害、もしくは疾患の亢進であれ改善であれ、緩解(部分的でも全体でも)が挙げられる。処置には、過剰なレベルの副作用のない臨床的に有意な反応を誘発することが含まれる。また、処置には、処置を受けない場合に予想される生存と比較して、生存を延長させることが含まれる。処置の予防的な利点には、疾病の予防、疾病の進行の遅延、疾病の安定化、あるいは疾病の発生率の低下が含まれる。本明細書で使用される場合、一部の実施形態では、「処置する(treat)」、「処置された(treated)」、「処置(treatment)」、または「処置すること(treating)」には、予防が含まれる。
【0114】
本明細書で使用される「実質的に同じ」という用語は、粉末x線回折パターンまたは示差走査熱量測定パターンを指し、これは、本明細書に描写されるものとは同一ではないが、当業者の考慮では実験誤差の限界内に入る。
【0115】
化合物1
本明細書には、(S)-N-(2-アミノ-1-(3-クロロ-5-フルオロフェニル)エチル)-1-(5-メチル-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-イミダゾール-4-カルボキサミド:
【0116】
【化7】
またはその薬学的に許容可能な塩が開示される。
【0117】
いくつかの実施形態では、化合物1の塩は、マンデル酸塩である。いくつかの実施形態では、化合物1の塩は、ベンゼンスルホン酸塩である。いくつかの実施形態では、化合物1の塩は、塩酸塩である。いくつかの実施形態では、化合物1の塩は、p-トルエンスルホン酸塩である。
【0118】
EGFR阻害剤
EGFR阻害剤は、EGFRに結合して細胞増殖を遅らせるか、または停止させる薬剤であり、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)またはモノクローナル抗体のいずれかとして分類することができる。
【0119】
TKIは、上皮成長因子受容体のチロシンキナーゼドメインに結合してEGFRの活性を停止させる阻害剤である。例としては、アファチニブ、ダコミチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、ラゼルチニブ、リフィラフェニブ、モボセルチニブ、ナザルチニブ、ネラチニブ、オシメルチニブ、およびバンデタニブが挙げられるが、これらに限定されない。
【0120】
モノクローナル抗体阻害剤は、EGFRの細胞外成分に結合して上皮成長因子がそれ自体の受容体に結合するのを妨げ、それゆえ、細胞分裂を妨げる薬剤である。例としては、アミバンタマブ、セツキシマブ、mirzotamab、clezutoclax、ニモツズマブ、およびネシツムマブが挙げられるが、これらに限定されない。
【0121】
いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、アファチニブ、アミバンタマブ、カネルチニブ、セツキシマブ、ダコミチニブ、ダフネチン、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イコチニブ、ラパチニブ、ラゼルチニブ、リフィラフェニブ、mirzotamab clezutoclax、モボセルチニブ、ナザルチニブ、ネシツムマブ、ネラチニブ、オシメルチニブ、パニツマブ、ペリチニブ、ポジオチニブ、チボザニブ、ロシレチニブ、サピチニブ、バンデタニブ、またはバルリチニブである。
【0122】
いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、AC480、AEE788、AG-1478、AG-18、AG-490、AST-1306、AV-412、AZ5104、AZD3759、BIBX1382、CGP-52411、CL-387785、CNX-2006、CUDC-101、OSI-420、PD153035 HC1、PD168393、TAK-285、チルホスチン9、チルホスチンAG183、WHI-P154、WHI-P180、WZ3146、またはWZ4002である。
【0123】
いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、低分子阻害剤である。
【0124】
いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、オシメルチニブである。
【0125】
いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、セツキシマブである。
【0126】
いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、アファチニブである。
【0127】
いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、ダコミチニブである。
【0128】
いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、エルロチニブである。
【0129】
いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、ゲフィチニブである。
【0130】
いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、ラパチニブである。
【0131】
いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、ラゼルチニブである。
【0132】
いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、リフィラフェニブである。
【0133】
いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、モボセルチニブである。
【0134】
いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、ナザルチニブである。
【0135】
いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、ネラチニブである。
【0136】
いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、バンデタニブである。
【0137】
いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、抗EGFR抗体阻害剤ではない。
【0138】
オシメルチニブ
オシメルチニブ
【0139】
【化8】
は、低分子EGFRチロシンキナーゼ阻害剤であり、局所進行性NSCLCまたは転移性NSCLCを処置するために使用される。オシメルチニブは、2015年11月に、EGFRエキソン19の欠失またはエキソン21 L858Rの変異を有する転移性NSCLCおよびEGFR T790M変異型陽性NSCLCに特異的な処置用にFDAの承認を受けた。オシメルチニブは、AstraZenecaからTagrisso(登録商標)として販売されている。
【0140】
セツキシマブ
セツキシマブは、転移性CRCおよび頭頸部癌の処置に使用されるキメラ型モノクローナル抗体EGFR阻害剤である。2009年7月に、セツキシマブは、KRASが野生型の結腸癌の処置用にFDAの承認を受けた。セツキシマブは、Eli Lilly and Companyからアービタックス(登録商標)として販売されている。
【0141】
BRAF阻害剤
BRAF阻害剤は、BRAFキナーゼを選択的に標的とし、それゆえ、黒色腫細胞の増殖や生存を調節するMAPKシグナル伝達経路を阻害する。また、BRAF阻害剤は、BRAF変異型黒色腫の腫瘍微小環境や抗腫瘍免疫応答に対して有益な効果を有し、それゆえ、MAPK経路に対して免疫調節作用をもたらし、免疫系による腫瘍細胞の認識を促進させ、抗腫瘍T細胞応答を増強させる。
【0142】
いくつかの実施形態では、BRAF阻害剤は、エンコラフェニブである。いくつかの実施形態では、BRAF阻害剤は、ダブラフェニブである。
【0143】
エンコラフェニブ
エンコラフェニブ
【0144】
【化9】
は、ある特定の黒色腫の処置用の薬物である。エンコラフェニブは、MAPKシグナル伝達経路の重要な酵素を標的とする低分子BRAF阻害剤である。この経路は、黒色腫および大腸癌を含む多くの異なる癌で起きる。2018年6月に、エンコラフェニブは、切除不能または転移性BRAF V600EまたはV600K変異型陽性黒色腫を有する患者の処置用に、ビニメチニブとの併用でFDAの承認を受けた。エンコラフェニブは、Pfizerからビラフトビ(登録商標)として販売されている。
【0145】
ダブラフェニブ
ダブラフェニブ
【0146】
【化10】
は、遺伝子BRAFの変異型に関連する癌の処置用の薬物である。ダブラフェニブは、細胞増殖の調節の役割を果たす関連酵素B-Rafの阻害剤として作用する。ダブラフェニブは、BRAF(V600)変異型転移性黒色腫を有する患者の第1相および第2相臨床試験で管理可能な安全性プロファイルと臨床活性を有する。ダブラフェニブは、Novartisからタフィンラー(登録商標)として販売されている。
【0147】
併用
本明細書では、必要としている対象の癌を処置する方法が開示され、該方法は、
(i)化合物1
【0148】
【化11】
またはその薬学的に許容可能な塩と、
(ii)EGFR阻害剤と
を治療有効量で、必要としている対象に投与することを含む。
【0149】
本明細書では、必要としている対象の癌を処置する方法が開示され、該方法は、
(i)化合物1
【0150】
【化12】
またはその薬学的に許容可能な塩と、
(ii)オシメルチニブと
を治療有効量で、必要としている対象に投与することを含む。
【0151】
本明細書では、必要としている対象の癌を処置する方法が開示され、該方法は、
(i)化合物1
【0152】
【化13】
またはその薬学的に許容可能な塩と、
(ii)セツキシマブと
を治療有効量で、必要としている対象に投与することを含む。
【0153】
本明細書では、必要としている対象の癌を処置する方法が開示され、該方法は、
(i)化合物1
【0154】
【化14】
またはその薬学的に許容可能な塩と、
(ii)EGFR阻害剤と、
(iii)BRAF阻害剤と
を治療有効量で、必要としている対象に投与することを含む。
【0155】
いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、低分子阻害剤である。
【0156】
いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、アファチニブ、アミバンタマブ、セツキシマブ、ダコミチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、ラゼルチニブ、リフィラフェニブ、mirzotamab clezutoclax、モボセルチニブ、ナザルチニブ、ネシツムマブ、ネラチニブ、オシメルチニブ、ニモツズマブ、またはバンデタニブである。いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、オシメルチニブである。いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、アファチニブである。いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、ダコミチニブである。いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、エルロチニブである。いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、ゲフィチニブである。いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、ラパチニブである。いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、ラゼルチニブである。いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、リフィラフェニブである。いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、モボセルチニブである。いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、ナザルチニブである。いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、ネラチニブである。いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、バンデタニブである。いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、セツキシマブである。いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、抗EGFR抗体阻害剤ではない。いくつかの実施形態では、BRAF阻害剤は、ダブラフェニブ、エンコラフェニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、またはベムラフェニブである。
【0157】
いくつかの実施形態では、BRAF阻害剤は、ダブラフェニブである。いくつかの実施形態では、BRAF阻害剤は、エンコラフェニブである。
【0158】
本明細書では、必要としている対象の癌を処置する方法が開示され、該方法は、
(i)化合物1
【0159】
【化15】
またはその薬学的に許容可能な塩と、
(ii)セツキシマブと、
(iii)エンコラフェニブと
を治療有効量で、必要としている対象に投与することを含む。
【0160】
本明細書では、必要としている対象の癌を処置する方法が開示され、該方法は、
(i)化合物1
【0161】
【化16】
またはその薬学的に許容可能な塩と、
(ii)セツキシマブと、
(iii)ダブラフェニブと
を治療有効量で、必要としている対象に投与することを含む。
【0162】
本明細書では、必要としている対象の癌を処置する方法が開示され、該方法は、
(i)化合物1
【0163】
【化17】
またはその薬学的に許容可能な塩と、
(ii)オシメルチニブと、
(iii)エンコラフェニブと
を治療有効量で、必要としている対象に投与することを含む。
【0164】
本明細書では、必要としている対象の癌を処置する方法が開示され、該方法は、
(i)化合物1
【0165】
【化18】
またはその薬学的に許容可能な塩と、
(ii)オシメルチニブと、
(iii)ダブラフェニブと
を治療有効量で、必要としている対象に投与することを含む。
さらなる併用
いくつかの実施形態では、方法は、追加のMAPK経路阻害剤を投与することを含む。理論に拘束されるわけではないが、癌細胞のMAPKシグナル伝達の抑制によって、PD-L1発現の下方制御をもたらし、癌細胞が免疫系によって検出される可能性を上昇させることができる。このような第3のMAPK経路阻害剤は、MAPK経路のタンパク質の他の変異に基づいていてもよい。いくつかの実施形態では、追加のMAPK経路阻害剤は、MAPK経路のタンパク質を阻害する。いくつかの実施形態では、追加のMAPK経路阻害剤は、MAPK経路外のタンパク質を阻害する。いくつかの実施形態では、追加のMAPK経路阻害剤は、KRAS阻害剤、NRAS阻害剤、HRAS阻害剤、PDGFRA阻害剤、PDGFRB阻害剤、MET阻害剤、FGFR阻害剤、ALK阻害剤、ROS1阻害剤、TRKA阻害剤、TRKB阻害剤、TRKC阻害剤、EGFR阻害剤、IGFR1R阻害剤、GRB2阻害剤、SOS阻害剤、ARAF阻害剤、BRAF阻害剤、RAF1阻害剤、MEK1阻害剤、MEK2阻害剤、c-Mycv、CDK4/6阻害剤、CDK2阻害剤、FLT3阻害剤、またはERK1/2阻害剤である。例示的なMAPK経路阻害剤には、アダグラシブ、アファチニブ、ASTX029、ビニメチニブ、コビメチニブ、ダコミチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ギルテリチニブ、ラパチニブ、LTT462、LY3214996、ネシツムマブ、ネラチニブ、ニモツズマブ、パルボシクリブ、セルメチニブ、ソトラシブ、トラメチニブ、ウリキセルチニブ、バンデタニブ、およびベムラフェニブが挙げられるが、これらに限定されない。
【0166】
いくつかの実施形態では、追加のMAPK経路阻害剤は、アダグラシブである。いくつかの実施形態では、追加のMAPK経路阻害剤は、アファチニブである。いくつかの実施形態では、追加のMAPK経路阻害剤は、ビニメチニブである。いくつかの実施形態では、追加のMAPK経路阻害剤は、コビメチニブである。いくつかの実施形態では、追加のMAPK経路阻害剤は、ダコミチニブである。いくつかの実施形態では、追加のMAPK経路阻害剤は、エルロチニブである。いくつかの実施形態では、追加のMAPK経路阻害剤は、ゲフィチニブである。いくつかの実施形態では、追加のMAPK経路阻害剤は、ギルテリチニブである。いくつかの実施形態では、追加のMAPK経路阻害剤は、ラパチニブである。いくつかの実施形態では、追加のMAPK経路阻害剤は、LTT462である。いくつかの実施形態では、追加のMAPK経路阻害剤は、LY3214996である。いくつかの実施形態では、追加のMAPK経路阻害剤は、ネシツムマブである。いくつかの実施形態では、追加のMAPK経路阻害剤は、ネラチニブである。いくつかの実施形態では、追加のMAPK経路阻害剤は、ニモツズマブである。いくつかの実施形態では、追加のMAPK経路阻害剤は、パルボシクリブである。いくつかの実施形態では、追加のMAPK経路阻害剤は、セルメチニブである。いくつかの実施形態では、追加のMAPK経路阻害剤は、ソトラシブである。いくつかの実施形態では、追加のMAPK経路阻害剤は、トラメチニブである。いくつかの実施形態では、追加のMAPK経路阻害剤は、ウリキセルチニブである。いくつかの実施形態では、追加のMAPK経路阻害剤は、バンデタニブである。
【0167】
癌
本明細書には、本明細書に開示される併用を使用して癌を治療する方法が開示される。
【0168】
「癌」は、白血病、リンパ腫、骨髄腫、癌腫、および肉腫を含むが、これらに限定されない、哺乳動物(例えば、ヒト)に見られるすべての種類の癌、新生物、または悪性腫瘍を指す。本明細書で提供される化合物または方法で処置され得る例示的な癌としては、脳腫瘍、神経膠腫、膠芽腫、前立腺癌、大腸癌、膵臓癌(例えば、膵管腺癌(PDAC))、髄芽腫、黒色腫、子宮頸癌、胃癌、卵巣癌、肺癌、頭部癌、ホジキン病、および非ホジキンリンパ腫が挙げられる。本明細書で提供される化合物または方法で処置され得る例示的な癌としては、血液、甲状腺、内分泌系、脳、乳房、子宮頸部、結腸、頭頸部、肝臓、腎臓、肺、卵巣、膵臓、直腸、胃、および子宮の癌が挙げられる。さらなる例としては、甲状腺癌、胆管癌、膵管腺癌、皮膚黒色腫、結腸腺癌、直腸腺癌、胃腺癌、食道癌、頭頸部扁平上皮癌、浸潤性乳癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、非小細胞肺癌、中皮腫、多発性骨髄腫、神経芽腫、神経膠腫、多形神経膠芽腫、卵巣癌、横紋筋肉腫、原発性血小板血症、原発性マクログロブリン血症、原発性脳腫瘍、悪性膵インスラノーマ、悪性カルチノイド、膀胱癌、前悪性皮膚病変、精巣癌、甲状腺癌、神経芽細胞腫、食道癌、尿生殖路癌、悪性高カルシウム血症、子宮内膜癌、副腎皮質癌、膵臓内分泌部または外分泌部の新生物、甲状腺髄様癌(medullary thyroid cancer)、甲状腺髄様癌(medullary thyroid carcinoma)、黒色腫、大腸癌、甲状腺乳頭癌、肝細胞癌、または前立腺癌が挙げられる。
【0169】
いくつかの実施形態では、癌は、クラス1 B-RAF変異を有する。
【0170】
いくつかの実施形態では、癌は、EGFR、KRAS、BRAF(例えば、BRAFクラス3)および/またはNF1(例えば、機能喪失型)変異のうちの少なくとも1つを有する。
【0171】
いくつかの実施形態では、変異体B-RAFは、V600変異を含む。いくつかの実施形態では、B-RAFの変異体は、変異V600Eを含む。いくつかの実施形態では、変異は、V600Kである。いくつかの実施形態では、変異は、V600Dである。いくつかの実施形態では、変異は、V600Lである。いくつかの実施形態では、変異は、V600Rである。いくつかの実施形態では、癌は、BRAF V600EまたはV600K変異型腫瘍である。
【0172】
いくつかの実施形態では、癌は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路駆動癌である。
【0173】
いくつかの実施形態では、癌は、BRAF駆動癌、HRAS駆動癌、またはNRAS駆動癌である。
【0174】
いくつかの実施形態では、癌は、脱調節されたERKによって駆動される少なくとも1つの癌細胞を含む。
【0175】
いくつかの実施形態では、癌は、RASに少なくとも1つの変異を有する。いくつかの実施形態では、癌は、RAFに少なくとも1つの変異を有する。いくつかの実施形態では、癌は、MEKに少なくとも1つの変異を有する。
【0176】
いくつかの実施形態では、癌は、G12C KRAS変異を有する。いくつかの実施形態では、癌は、G12D KRAS変異を有する。いくつかの実施形態では、癌は、G12S KRAS変異を有する。いくつかの実施形態では、癌は、G12V KRAS変異を有する。いくつかの実施形態では、癌は、G13D KRAS変異を有する。いくつかの実施形態では、癌は、Q16H KRAS変異を有する。いくつかの実施形態では、癌は、Q16K KRAS変異を有する。いくつかの実施形態では、癌は、Q61R NRAS変異を有する。
【0177】
いくつかの実施形態では、癌は、MAPKm/MAPKiナイーブの汎癌である。
【0178】
いくつかの実施形態では、癌は、EGFR遺伝子コピー数の増加、EGFR遺伝子の増幅、17番染色体の多染色体性、L858R、エクソン19の欠失/挿入、L718Q、L861Q、G719C、G719S、G719A、G724S、V765A、T783A、エクソン20の挿入、EGFRのスプライス改変体(Viii、Vvi、およびVii)、A289D、A289T、A289V、G598A、G598V、T790M、C797X、C797S、およびS768Iからなる群から選択される1つ以上のEGFR変異を含む。いくつかの実施形態では、癌は、L858R、エクソン19の欠失、およびT790Mからなる群から選択される1つ以上のEGFR変異を含む。
【0179】
いくつかの実施形態では、癌は、固形腫瘍である。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、進行性固形腫瘍または転移性固形腫瘍である。
【0180】
いくつかの実施形態では、癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)、黒色腫、膵臓癌、唾液腺腫瘍、甲状腺癌、大腸癌(CRC)、または食道癌である。
【0181】
いくつかの実施形態では、癌は、大腸癌(CRC)、膵管腺癌(PDAC)、胆管癌、虫垂癌、胃癌、食道癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、頭頸部癌、卵巣癌、子宮癌、急性骨髄性白血病(AML)、または黒色腫である。
【0182】
いくつかの実施形態では、癌は、消化器癌である。いくつかの実施形態では、消化器癌は、肛門癌、胆管癌、結腸癌、直腸癌、食道癌、胆嚢癌、肝臓癌、膵臓癌、小腸癌、または胃癌(stomach cancer)(胃癌(gastric cancer))である。
【0183】
いくつかの実施形態では、癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)である。いくつかの実施形態では、NSCLCは、EGFR変異型NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCは、KRAS G12C変異型NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCは、KRAS G12D変異型NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCは、KRAS G12S変異型NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCは、KRAS G12V変異型NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCは、KRAS G13D変異型NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCは、KRAS Q61H変異型NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCは、KRAS Q61K変異型NSCLCである。
【0184】
いくつかの実施形態では、NSCLCは、NRAS Q61R変異型NSCLCである。いくつかの実施形態では、癌は、MAPKm/MAPKiナイーブのNSCLCである。いくつかの実施形態では、癌は、BRAFiで処置されたV600 NSCLCである。いくつかの実施形態では、癌は、KRASで処置されたG12C NSCLCである。いくつかの実施形態では、癌は、KRASで処置されたG12D NSCLCである。いくつかの実施形態では、癌は、KRASで処置されたG12S NSCLCである。いくつかの実施形態では、癌は、KRASで処置されたG12V NSCLCである。いくつかの実施形態では、癌は、KRASで処置されたG13D NSCLCである。いくつかの実施形態では、癌は、KRASで処置されたQ61H NSCLCである。いくつかの実施形態では、癌は、KRASで処置されたQ61K NSCLCである。いくつかの実施形態では、癌は、NRASで処置されたQ61R NSCLCである。
【0185】
いくつかの実施形態では、癌は、膵臓癌である。いくつかの実施形態では、癌は、MAPKm/MAPKiナイーブの膵臓癌である。いくつかの実施形態では、癌は、膵管腺癌(PDAC)である。いくつかの実施形態では、PDACは、KRAS G12V変異によって示される。
【0186】
いくつかの実施形態では、癌は、黒色腫である。いくつかの実施形態では、黒色腫は、BRAF V600EまたはV600K変異型腫瘍である。いくつかの実施形態では、癌は、BRAFiで処置されたV600黒色腫である。
【0187】
いくつかの実施形態では、癌は、唾液腺腫瘍である。
【0188】
いくつかの実施形態では、癌は、甲状腺癌である。
【0189】
いくつかの実施形態では、癌は、大腸癌(CRC)である。いくつかの実施形態では、CRCは、BRAF V600E CRCである。いくつかの実施形態では、CRCは、KRAS変異型CRCである。
【0190】
いくつかの実施形態では、CRCは、KRAS G12C変異型CRCである。いくつかの実施形態では、CRCは、KRAS G12D変異型CRCである。いくつかの実施形態では、CRCは、KRAS G12S変異型CRCである。いくつかの実施形態では、CRCは、KRAS G12V変異型CRCである。いくつかの実施形態では、CRCは、KRAS G13D変異型CRCである。いくつかの実施形態では、CRCは、KRAS Q61H変異型CRCである。いくつかの実施形態では、CRCは、KRAS Q61K変異型CRCである。いくつかの実施形態では、CRCは、NRAS変異型CRCである。いくつかの実施形態では、CRCは、NRAS Q61R変異型CRCである。
【0191】
いくつかの実施形態では、癌は、食道癌である。
【0192】
いくつかの実施形態では、癌は、1つ以上の後天的な変異を有する。いくつかの実施形態では、後天的な変異は、第一選択処置から生じる。いくつかの実施形態では、第一選択処置は、EGFR阻害剤である。いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、オシメルチニブである。いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、セツキシマブである。いくつかの実施形態では、癌は、固形腫瘍癌である。いくつかの実施形態では、癌は、NSCLCである。
【0193】
いくつかの実施形態では、後天的な変異は、後天的なEGFR変異である。いくつかの実施形態では、後天的なEGFR変異は、C797Xである。いくつかの実施形態では、後天的なEGFR変異は、L718Qである。いくつかの実施形態では、後天的なEGFR変異は、EGFRの増幅である。いくつかの実施形態では、後天的なEGFR変異は、G724Sである。いくつかの実施形態では、後天的な変異は、S768Iである。
【0194】
いくつかの実施形態では、後天的な変異は、後天的な増幅変異である。いくつかの実施形態では、後天的な変異は、MET遺伝子の増幅である。いくつかの実施形態では、後天的な変異は、HER2遺伝子の増幅である。
【0195】
いくつかの実施形態では、後天的な変異は、後天的な発癌性融合である。いくつかの実施形態では、後天的な発癌性融合は、SPTBN1-ALKである。いくつかの実施形態では、後天的な発癌性融合は、RET融合である。いくつかの実施形態では、後天的な発癌性融合は、BRAF融合である。
【0196】
いくつかの実施形態では、後天的な変異は、後天的なMAPK-PI3K変異である。いくつかの実施形態では、後天的なMAPK-PI3K変異は、BRAF-V600Eである。いくつかの実施形態では、後天的なMAPK-PI3K変異は、PI3KCAである。いくつかの実施形態では、後天的なMAPK-PI3K変異は、KRASである。いくつかの実施形態では、後天的なMAPK-PI3K変異は、HER2である。
【0197】
投与
一態様では、本明細書に記載される組成物は、本明細書に記載される疾患および疾病の処置のために使用される。これに加えて、そのような処置を必要としている対象において本明細書に記載される疾患または疾病のいずれかを処置するための方法は、組成物を治療有効量で上記対象に投与することを含む。
【0198】
本明細書に記載される組成物の投与は、任意の適切な方法によって決定されてもよい。化合物1またはその薬学的に許容可能な塩の最大耐用量(MTD)および最大反応用量(MRD)は、本明細書に記載される実施例だけでなく、確立された動物およびヒト実験プロトコールを介して決定されてもよい。例えば、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩の毒性および治療有効性は、LD50(個体群の50%に対して致死的な用量)およびED50(個体群の50%に対して治療上有効な用量)の決定用を含むが、これらに限定されない、細胞培養または実験動物における標準的な製薬手順によって決定されてもよい。毒性と治療効果との用量比が治療指数であり、LD50とED50との比として表現されてもよい。細胞培養アッセイおよび動物研究から得られるデータは、ヒトでの使用用の投与量範囲の策定に使用されてもよい。そのような化合物の投与量は、最小限の毒性しかない、ED50を有する血中濃度の範囲内にあることが好ましい。投与量は、用いられる投薬形態や利用される投与経路によってこの範囲内で変動してもよい。最大反応用量または最大耐用量のパーセントで表される追加の相対投与量は、プロトコールを介して容易に得られる。
【0199】
いくつかの実施形態では、そのような量に相当する化合物1またはその薬学的に許容可能な塩を含む所与の製剤の量は、特定の塩または形態の分子量、疾患の状態およびその重症度、処置を必要としている対象もしくは宿主の特性(例えば、年齢、体重、性別)などの要因によって変動するが、それにもかかわらず、例えば、投与されている具体的な薬剤、液体製剤の種類、処置されている疾病、および処置されている対象もしくは宿主を含む、症例を取り巻く特定の環境に従って決定されてもよい。
【0200】
いくつかの実施形態では、エンコラフェニブは、約100mg/日~500mg/日の量で投与される。いくつかの実施形態では、エンコラフェニブは、約450mg/日の量で投与される。いくつかの実施形態では、エンコラフェニブは、約300mg/日の量で投与される。いくつかの実施形態では、エンコラフェニブは、約250mg/日の量で投与される。いくつかの実施形態では、エンコラフェニブは、約225mg/日の量で投与される。いくつかの実施形態では、エンコラフェニブは、約200mg/日の量で投与される。いくつかの実施形態では、エンコラフェニブは、約150mg/日の量で投与される。
【0201】
いくつかの実施形態では、セツキシマブは、週1回、120分間にわたって400mg/m2、続いて60分間にわたって250mg/m2で投与される。いくつかの実施形態では、セツキシマブは、2週間に1回、500mg/m2で投与される。いくつかの実施形態では、セツキシマブは、2週間に1回、400mg/m2で投与される。いくつかの実施形態では、セツキシマブは、2週間に1回、300mg/m2で投与される。いくつかの実施形態では、セツキシマブは、2週間に1回、200mg/m2で投与される。
【0202】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容される塩の量は、化合物1の遊離塩基当量に対するものである。
【0203】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、経口投与される。
【0204】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約25mg/日~約300mg/日の量で投与される。
【0205】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、25mg/日~150mg/日の量で投与される。
【0206】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約25mg/日、約50mg/日、約75mg/日、約100mg/日、約125mg/日、約150mg/日、約175mg/日、約200mg/日、約225mg/日、または約250mg/日の量で投与される。
【0207】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約25mg/日、約50mg/日、約100mg/日、または約150mg/日の量で投与される。
【0208】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約25mg~約300mgの量で投与される。
【0209】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約25mg~約250mgの量で投与される。
【0210】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約25mg~約200の量で投与される。
【0211】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約25mg~約150mgの量で投与される。
【0212】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約25mg~約100mgの量で投与される。
【0213】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約25mg~約50mgの量で投与される。
【0214】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約50mg~約300mgの量で投与される。
【0215】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約50mg~約250mgの量で投与される。
【0216】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約50mg~約200mgの量で投与される。
【0217】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約50mg~約150mgの量で投与される。
【0218】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約50mg~約100mgの量で投与される。
【0219】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約100mg~約300mgの量で投与される。
【0220】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約100mg~約250mgの量で投与される。
【0221】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約100mg~約200mgの量で投与される。
【0222】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約100mg~約150mgの量で投与される。
【0223】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約150mg~約300mgの量で投与される。
【0224】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約150mg~約250mgの量で投与される。
【0225】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約150mg~約200mgの量で投与される。
【0226】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約175mg~約300mgの量で投与される。
【0227】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約175mg~約250mgの量で投与される。
【0228】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約175mg~約200mgの量で投与される。
【0229】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約200mg~約300mgの量で投与される。
【0230】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約200mg~約250mgの量で投与される。
【0231】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約225mg~約300mgの量で投与される。
【0232】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約225mg~約250mgの量で投与される。いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、週1回(QW)、約25mg~約300mgの量で投与される。
【0233】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、週1回(QW)、約50mg~約250mgの量で投与される。
【0234】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、週1回(QW)、約100mg~約300mgの量で投与される。
【0235】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、週1回(QW)、約100mg~約250mgの量で投与される。
【0236】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、週1回(QW)、約150mg~約300mgの量で投与される。
【0237】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、週1回(QW)、約150mg~約250mgの量で投与される。
【0238】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、週1回(QW)、約100mgの量で投与される。いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、週1回(QW)、約150mgの量で投与される。いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、週1回(QW)、約200mgの量で投与される。いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、週1回(QW)、約250mgの量で投与される。
【0239】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約25mg~約300mgの量で投与される。
【0240】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約25mg~約250mgの量で投与される。
【0241】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約25mg~約150mgの量で投与される。
【0242】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約25mg、50mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、または約250mgの量で投与される。
【0243】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約25mg、50mg、約100mg、約125mg、または約150mgの量で投与される。
【0244】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回、週1回(BID-QW)、約125mgの量で投与される。
【0245】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、1日1回、週1回、約250mgの量で投与される。
【0246】
いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、約25mg、30mg、40mg、50mg、約60mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約175mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約225mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、または約300mgの量で投与される。
【0247】
いくつかの実施形態では、上記に列挙される量はそれぞれ、QD、QW、BID、BID-QD、またはBID-QWで投与されてもよい。
【0248】
投与
本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーを投与することは、本明細書に記載される投与量で行われるか、または医師によって決定され、熟慮される他の用量レベルおよび組成物で行われる。ある特定の実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、予防的および/または治療的処置のために投与される。ある特定の治療用途では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、ある疾患をすでに患っている患者に、その疾患の治癒に十分な量で、またはその症状を少なくとも部分的に阻止もしくは寛解するのに十分な量で投与される。この使用に有効な量は、患者の年齢、疾患の重症度、以前の治療、患者の健康状態、体重、および組成物に対する反応、ならびに処置する内科医の判断によって決まる。治療有効量は、用量漸増臨床試験を含むが、これに限定されない方法によって任意選択で決定される。
【0249】
予防的用途では、本明細書に記載される組成物は、特定の疾患、例えば、癌にかかりやすいか、そうでなければそのリスクがある患者に投与される。そのような量は、「予防上有効量または用量」であると定義される。この使用では、正確な量は、患者の年齢、健康状態、体重などによっても決まる。患者に使用される場合、この使用に対する有効量は、特定の疾患を発症するリスクまたはかかりやすさ、以前の治療、患者の健康状態および組成物への反応、ならびに処置する内科医の判断によって決まる。
【0250】
患者の疾病が改善されないある特定の実施形態では、医師の裁量により、本明細書に記載される組成物の投与は、慢性的に、すなわち、患者の寿命期間全体を含む長期間にわたって投与されて、患者の疾患の症状が寛解されるか、そうでなければ制御または制限される。その他の実施形態では、組成物の投与は、疾患の完全奏功または部分奏功まで継続される。
【0251】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、1日1回投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、1日2回投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、1日3回投与される。
【0252】
いくつかの実施形態では、エンコラフェニブは、毎日1回投与される。いくつかの実施形態では、エンコラフェニブは、毎日2回投与される。いくつかの実施形態では、エンコラフェニブは、毎日3回投与される。
【0253】
いくつかの実施形態では、セツキシマブは、3週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、セツキシマブは、4週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、セツキシマブは、5週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、セツキシマブは、6週間に1回投与される。
【0254】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容される塩、および併用パートナーは、絶食状態の対象に投与される。絶食状態とは、ある特定の期間食物を摂取していないか、または絶食している対象を指す。一般的な絶食期間としては、食物を摂取していない、少なくとも4時間、少なくとも6時間、少なくとも8時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも14時間、および少なくとも16時間が挙げられる。いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、少なくとも8時間絶食状態の対象に投与される。他の実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容される塩、および併用パートナーは、少なくとも10時間絶食状態の対象に投与される。さらに他の実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容される塩、および併用パートナーは、少なくとも12時間絶食状態の対象に投与される。他の実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容される塩、および併用パートナーは、一晩絶食した対象に投与される。
【0255】
他の実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容される塩、および併用パートナーは、摂食状態の対象に投与される。摂食状態とは、食物を摂取した、または食事を取った対象を指す。ある特定の実施形態では、組成物は、食後5分、食後10分、食後15分、食後20分、食後30分、食後40分、食後50分、食後1時間、または食後2時間の摂食状態の対象に投与される。ある特定の事例では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、食後30分の摂食状態の対象に投与される。他の事例では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、食後1時間の摂食状態の対象に投与される。さらにさらなる実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、食物とともに対象に投与される。
【0256】
処置サイクルの長さは、施されている処置によって決まる。いくつかの実施形態では、処置サイクルの長さは、2~6週間の範囲である。いくつかの実施形態では、処置サイクルの長さは、3~6週間の範囲である。いくつかの実施形態では、処置サイクルの長さは、3~4週間の範囲である。いくつかの実施形態では、処置サイクルの長さは、3週間(すなわち21日間)である。いくつかの実施形態では、処置サイクルの長さは、4週間(28日間)である。いくつかの実施形態では、処置サイクルの長さは、5週間(35日間)である。いくつかの実施形態では、処置サイクルの長さは、56日間である。いくつかの実施形態では、処置サイクルは、1、2、3、4、または5週間続く。いくつかの実施形態では、処置サイクルは、3週間続く。いくつかの実施形態では、処置サイクルは、4週間続く。いくつかの実施形態では、処置サイクルは、5週間続く。各サイクル内で予定されている処置用量の数も、投与される薬物によって変動する。
【0257】
癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、28日間サイクルで投与される。癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、複数回の28日間サイクルにわたって投与される。癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、少なくとも1回の28日間サイクルにわたって投与される。癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、少なくとも2回の28日間サイクルにわたって投与される。癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、少なくとも3回の28日間サイクルにわたって投与される。癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、少なくとも4回の28日間サイクルにわたって投与される。癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、少なくとも5回の28日間サイクルにわたって投与される。癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、少なくとも6回の28日間サイクルにわたって投与される。
【0258】
癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、各28日間サイクルのうちの1~7日目に投与される。癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、各28日間サイクルのうちの1~14日目に投与される。癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、各28日間サイクルのうちの1~21日目に投与される。癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、各28日間サイクルのうちの1~28日目に投与される。
【0259】
癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、28日間サイクルのうちの1日目に1日2回投与される。癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、28日間サイクルのうちの8日目に1日2回投与される。癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、28日間サイクルのうちの15日目に1日2回投与される。癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、28日間サイクルのうちの22日目に1日2回投与される。癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、28日間サイクルのうちの22日目に1日2回投与されない。
【0260】
癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、28日間サイクルのうちの1日目、8日目、および15日目に1日2回投与される。
【0261】
癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、28日間サイクルのうちの2~7日目、9~14日目、16~21日目、23~28日目に投与されない。
【0262】
癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、35日間サイクルで投与される。癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、複数回の35日間サイクルにわたって投与される。癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、少なくとも1回の35日間サイクルにわたって投与される。癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、少なくとも2回の35日間サイクルにわたって投与される。癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、少なくとも3回の35日間サイクルにわたって投与される。癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、少なくとも4回の35日間サイクルにわたって投与される。癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、少なくとも5回の35日間サイクルにわたって投与される。癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、および併用パートナーは、少なくとも6回の35日間サイクルにわたって投与される。
【0263】
癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、各35日間サイクルのうちの1~7日目に投与される。癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、各35日間サイクルのうちの1~14日目に投与される。癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、各35日間サイクルのうちの1~21日目に投与される。癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、各35日間サイクルのうちの1~28日目に投与される。癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、各35日間サイクルのうちの1~35日目に投与される。
【0264】
癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、35日間サイクルのうちの1日目に1日2回投与される。癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、35日間サイクルのうちの8日目に1日2回投与される。癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、35日間サイクルのうちの15日目に1日2回投与される。癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、35日間サイクルのうちの22日目に1日2回投与される。癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、35日間サイクルのうちの29日目に1日2回投与される。癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、35日間サイクルのうちの29日目に1日2回投与されない。
【0265】
癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、35日間サイクルのうちの1日目、8日目、15日目、および22日目に1日2回投与される。
【0266】
癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、28日間サイクルのうちの2~7日目、9~14日目、16~21日目、23~28日目、および30~35日目に投与されない。
【0267】
患者の選択
癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、対象は、18歳である。別の実施形態では、対象は、18歳以上である。別の実施形態では、対象は、99歳以下である。
【0268】
癌を治療する方法のいくつかの実施形態では、対象は、書面によるインフォームドコンセントを提出する意思があり、それが可能である。
【0269】
癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、対象は、認定試験機関で腫瘍組織に対して分析的に検証されたアッセイに基づいて、適用可能な変異を有する転移性CRCが組織学的または細胞学的に確認されている。いくつかの実施形態では、対象は、BRAFm V600E変異を有する。いくつかの実施形態では、対象は、KRAS変異を有する。いくつかの実施形態では、対象は、NRAS変異を有する。
【0270】
癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、対象は、1つ以上のEGFR変異を有する進行性NSCLCが組織学的または細胞学的に確認されている。
【0271】
癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、対象は、適切な骨髄機能および臓器機能を有する。
【0272】
癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、対象は、米国東海岸癌臨床試験グループ(Eastern Cooperative Oncology Group;ECOG)パフォーマンスステータスが0または1である。
【0273】
癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、対象は、プロトコールで要求されている来院、評価、および手順のすべてに従う意思がある。
【0274】
癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、対象は、経口薬を嚥下することができる。
【0275】
癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、対象は、RAS、MEK、またはERK阻害剤による前治療を受けていない。
【0276】
癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、対象は、NSCLCに対する任意の全身抗癌療法と同時に処置を受けていない。
【0277】
癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、対象は、癌免疫療法(CIT)の前治療を受けていないが、CITの後に試験登録に先立ってCIT非含有レジメンが行われる場合はこの限りでない。
【0278】
癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、対象は、登録から21日以内に、オシメルチニブを除き、抗癌処置を受けておらず、オシメルチニブは、スクリーニング期間中に継続されていてもよい。
【0279】
癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、対象は、オシメルチニブの処置に対する許容不可能な毒性の病歴を有していない。
【0280】
癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、対象は、治験薬または薬物の併用の初回投与前21日以内に抗癌療法を受けていない。
【0281】
癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、対象は、治験薬または薬物の併用の初回投与前4半減期以内に抗癌療法を受けていない。
【0282】
癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、対象は、治験薬または薬物の併用の初回投与前7日以内に緩和的放射線を受けていない。
【0283】
癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、対象は、症候性脳転移または髄膜疾患を有していないか、または有すると診断されていない。
【0284】
癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、対象は、経口薬の吸収に影響を及ぼし得る胃腸疾病を有していないか、または有すると診断されていない。
【0285】
癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、対象は、全身療法を必要とする活動性感染、またはHIV感染、B型肝炎ウイルス、もしくはC型肝炎ウイルスの病歴を有していないか、または有すると診断されていない。
【0286】
癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、対象は、治験薬または薬物の併用の初回投与前12か月以内に、免疫調節薬、免疫抑制薬、または手術などの医療介入を必要とする慢性炎症性腸疾患またはクローン病の病歴を有していない。
【0287】
癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、対象は、臨床的に重大な、活動期の間質性肺疾患または肺炎を有していない。
【0288】
癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、対象は、心血管機能障害または臨床的に重大な心血管疾患を有していない。
【0289】
癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、対象は、治験薬または薬物の併用の初回投与前6か月以内に血栓塞栓性事象または脳血管事象の病歴を有していない。
【0290】
癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、対象は、網膜色素上皮剥離(RPED)、中心性漿液性網膜症、網膜静脈閉塞症(RVO)、またはRPEDもしくはRVOにかかりやすい素因の病歴も、現在の証拠も有していない。
【0291】
癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、対象は、試験登録から28日以内に大手術を受けてもなく、試験処置中に大手術を見込んでもない。
【0292】
癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、対象は、エンコラフェニブ、セツキシマブ、またはパルボシクリブに既知の不耐も、禁忌もない。
【0293】
癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、対象は、オシメルチニブに既知の不耐も、禁忌もない。
【0294】
癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、対象は、妊娠中でも、授乳中でもない。
【0295】
癌を処置する方法のいくつかの実施形態では、対象は、重度の全身性疾患の証拠も、制御されていない全身性疾患の証拠も一切有しておらず、患者が試験に参加するのに不適切となる他の重大な臨床障害または検査所見の証拠も一切有していない。
【実施例】
【0296】
実施例1:in vivoアッセイ(化合物1+エンコラフェニブ/セツキシマブ)
ビヒクル/対照物質
脱イオン水で、ビヒクル/対照物質である0.1%Tween80含有0.5%メチルセルロースまたは100mM酢酸をpH4.8~5.0に調整して調製し、試験期間を通して周囲条件下で保管した。
【0297】
被験物質の配合
被験物質である化合物1は、0.1%Tween80含有0.5%メチルセルロースのビヒクル中で毎週新たに調製し、周囲条件下で保管した。併用剤であるエンコラフェニブは、0.5%Tween80含有0.5%CMCのビヒクル中で毎週新たに調製し、2~8℃で保管した。併用剤であるセツキシマブは、1倍PBSで希釈し、投与まで2~8℃で保存した。
【0298】
動物
雌のBalb/cヌードマウスをBeijing Vital River Laboratory Animal Technology Co.,Ltd.から購入した。マウスを、いかなる実験の開始前にも少なくとも3日間、特定の病原体が存在しない(special pathogen-free;SPF)環境の飼育施設で飼育し、新しい環境に順応させた。マウスは、移植時に6~8週齢であった。
【0299】
本試験では、動物の取り扱い、ケア、および処置に関するすべての手順を、GenenDesignおよびWuXi AppTecの動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee;IACUC)の承認を受けたプロトコールおよびガイドラインに従って行った。動物施設およびプログラムは、実験動物の管理と使用に関する指針(Guide for the Care and Use of Laboratory Animals;NRC、2011年)の基準下で操作され、国際実験動物ケア評価認証協会(the Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care;AAALAC)の認定を受けている。具体的には、GenenDesignおよびWuXi AppTecで行われたこの試験は、すべての部分がIACUCによって審査され承認を受けた試験プロトコールおよび適用可能な標準作業手順書(SOP)に準拠していた。
【0300】
異種移植モデルの調製
RKOは、BRAFV600E変異を有するヒトCRC腫瘍細胞株である。RKO細胞株は、American Type Culture Collectionから購入した(ATCC(登録商標)CRL-2577(商標))。RKO細胞は、EMEM+10%ウシ胎児血清(FBS)および非必須アミノ酸を添加した培地で、37℃、空気中5%CO2の雰囲気下で培養した。50%濃度マトリゲルを混合した2×106個の細胞を含有する細胞懸濁液200μL中のRKO細胞を、マウスに皮下移植した。腫瘍体積が平均200mm3に達したら、担癌マウスを、各群マウス8匹となるように別々の群に無作為化し、無作為化した当日に処置を開始した。
【0301】
WiDrは、BRAFV600E変異を有するヒトCRC腫瘍細胞株である。WiDr細胞株は、European Collection of Authenticated Cell Culturesから購入した(ECACC、85111501)。WiDr細胞は、EMEM(EBSS)+10%ウシ胎児血清(FBS)、2mMグルタミン、および1%非必須アミノ酸(NEAA)を添加した培地で、37℃、空気中5%CO2の雰囲気下で培養した。50%濃度マトリゲルを混合した5×106個の細胞を含有する細胞懸濁液200μL中のWiDr細胞を、マウスに皮下移植した。腫瘍体積が平均190mm3に達したら、担癌マウスを、各群マウス8匹となるように別々の群に無作為化し、無作為化した当日に処置を開始した。
【0302】
処置
単剤療法処置群では、マウスに、ビヒクル対照溶液、化合物1、エンコラフェニブ、またはセツキシマブを経口投与によって投与した。他のマウスには、化合物1とエンコラフェニブとの併用ならびに化合物1とエンコラフェニブ+セツキシマブとの併用を含む併用の経口投与によって投与した。各化合物の投与容量は5mL/kgであり、BIDレジメンの間隔は8時間であった。化合物1とエンコラフェニブとの併用では、エンコラフェニブの投与の1時間後に化合物1を投与した。化合物1とエンコラフェニブ+セツキシマブとの併用では、エンコラフェニブの1時間後に化合物1を投与し、化合物1のQD投与または初回BID投与の1時間後にセツキシマブを投与した。少なくとも2匹のマウスが10%を超えるBWLを示し始めたケージには、定期的な給餌・給水に加えて、DietGel(ClearH2O、米国)を加えた。本試験は、4週間の処置の終わりか、ビヒクル対照群の腫瘍体積が2,000mm3に達した際に終了した。
【0303】
結果
BRAF V600E CRC CDXモデルRKOでは、
図1Aの腫瘍増殖曲線で示されているように、化合物1は、単剤療法では82%の腫瘍増殖抑制率(TGI)を示し(p値<0.001)、エンコラフェニブとの併用では88%のTGIを示し(p値<0.001)、エンコラフェニブおよびセツキシマブとの併用では93%のTGIを示した(p値<0.001)。
【0304】
BRAF V600E CRC CDXモデルWiDrでは、
図1Bの腫瘍増殖曲線で示されているように、化合物1は、単剤療法では102%のTGIを示し(p値<0.001)、エンコラフェニブとの併用では109%のTGIを示し(p値<0.001)、エンコラフェニブおよびセツキシマブとの併用では111%のTGIを示した(p値<0.001)。
【0305】
化合物1+エンコラフェニブならびに化合物1+エンコラフェニブ/セツキシマブは、エンコラフェニブ/セツキシマブ(EC)難治性BRAFV600E CDXモデルにおいて、in vivoで併用利益を示した。
【0306】
実施例2:in vivoアッセイ(化合物1+オシメルチニブ)
ビヒクル/対照物質
脱イオン水で、ビヒクル/対照物質である0.1%Tween80含有0.5%メチルセルロースまたは100mM酢酸をpH4.8~5.0に調整して調製し、試験期間を通して周囲条件下で保管した。
【0307】
試験物品の配合
被験物質である化合物1は、0.1%Tween80含有0.5%メチルセルロースのビヒクル中で毎週新たに調製し、周囲条件下で保管した。併用剤であるオシメルチニブは、毎週、0.1%Tween80含有0.5%HPMCのビヒクル中で毎週新たに調製し、周囲条件下で保管した。
【0308】
動物
雌のBalb/cヌードマウスをBeijing Vital River Laboratory Animal Technology Co.,Ltd.から購入した。マウスを、いかなる実験の開始前にも少なくとも3日間、特定の病原体が存在しない(special pathogen-free;SPF)環境の飼育施設で飼育し、新しい環境に順応させた。マウスは、移植時に6~8週齢であった。
【0309】
本試験では、動物の取り扱い、ケア、および処置に関するすべての手順を、GenenDesignおよびWuXi AppTecの動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee;IACUC)の承認を受けたプロトコールおよびガイドラインに従って行った。動物施設およびプログラムは、実験動物の管理と使用に関する指針(Guide for the Care and Use of Laboratory Animals;NRC、2011年)の基準下で操作され、国際実験動物ケア評価認証協会(the Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care;AAALAC)の認定を受けている。具体的には、GenenDesignおよびWuXi AppTecで行われたこの試験は、すべての部分がIACUCによって審査され承認を受けた試験プロトコールおよび適用可能な標準作業手順書(SOP)に準拠していた。
【0310】
異種移植モデルの調製
LUN2355-214 PDXは、GenenDesignで前臨床有効性試験を行うために確立された。このPDXモデルは、49歳の中国人男性NSCLC患者に由来するものであった。LUN2355-214 PDXモデルのEGFRL858R変異、T790変異、およびC797変異は、全エクソームシークエンシングおよびPCRシークエンシングによって確認した。LUN2355-128-33 PDXは、GenenDesignで前臨床有効性試験のために確立された。このPDXモデルは、49歳の中国人男性NSCLC患者に由来するものであった。LUN2355-128-33 PDXモデルのEGFRL858R変異およびT790変異は、全エクソームシークエンシングおよびPCRシークエンシングによって確認した。LUN2355-214とLUN2355-128-33の両方のPDXモデルを処置し、オシメルチニブで長期間処置した後に抽出し、その後、化合物1と併用剤との併用有効性試験に使用した。マウスにPDX腫瘍断片(15~30mm3)を皮下移植した。腫瘍体積が平均200mm3に達したら、担癌マウスを、各群マウス8匹となるように別々の群に無作為化し、無作為化した当日に処置を開始した。
【0311】
処置
単剤療法処置群では、マウスに、ビヒクル対照溶液、化合物1、またはオシメルチニブを経口投与によって投与した。他のマウスには、化合物1とオシメルチニブとの併用を含む併用の経口投与によって投与した。各化合物の投与容量は5mL/kgであり、BIDレジメンの間隔は8時間であった。化合物1とオシメルチニブとの併用では、オシメルチニブの投与の1時間後に化合物1を投与した。少なくとも2匹のマウスが10%を超えるBWLを示し始めたケージには、定期的な給餌・給水に加えて、DietGel(ClearH2O、米国)を加えた。本試験は、4週間の処置の終わりか、ビヒクル対照群の腫瘍体積が2,000mm3に達した際に終了した。
【0312】
結果
化合物1およびオシメルチニブは、オシメルチニブ難治性EGFR変異型PDXモデルにおいて、in vivoで併用利益を示した(例えば、LUN2355-214(
図2A)およびLUN2355-128-33(
図2B)PDXモデルの腫瘍増殖曲線を参照されたい)。
【0313】
実施例3:進行性消化管悪性腫瘍を有する患者のMAPK経路を標的とする化合物1、セツキシマブ、およびエンコラフェニブの第1b/2相試験
試験デザイン
この第1b/2相副試験は、前治療歴があるBRAF V600E CRC患者において、エンコラフェニブおよびセツキシマブとの併用でQW投与される化合物1の安全性、臨床薬理学、および予備的有効性を評価する。第1部では、エンコラフェニブ 1日1回(QD)、セツキシマブ 2週間に1回(Q2W)を併用した場合の、化合物1 週1回(QW)の推奨用量(RD)を決定する。第2部は、より大規模のコホートの患者において、第1部のRDをさらに評価する。非盲検(opened)の場合、第3部では、エンコラフェニブQDとセツキシマブQ2Wを併用した場合の、化合物1 QDのRDを決定する。第4部は、より大規模のコホートの患者において、第3部のRDをさらに評価する。第3部を開始するか否かの判断は、第1部のデータの精査によって決まる。第1部または第3部から得た1つのRDのみを選択して、それぞれ第2部または第4部で拡大する。
【0314】
この副試験には、BRAF V600E CRCを有する患者を最大でおよそ296名まで登録してもよい。第1部および第3部では、用量漸増部に、安全性評価可能な患者を最大でおよそ36名まで登録してもよい。28日間の用量制限毒性(DLT)評価期間中に試験治療下で発現した毒性に関係していない理由により試験から離脱した患者は、入れ替えるものとする。第2部または第4部(これらの部のうちの1つのみを選択して拡大する)では、該当部に、(化合物1の投与を少なくとも1回受け、投与後の腫瘍評価を少なくとも1回受けている)有効性評価可能な患者を最大でおよそ200名まで登録してもよく、各コホートに、有効性評価可能な患者を最大でおよそ100名まで登録してもよい。投与後1回目の腫瘍評価を行う前に、投薬している患者のおよそ10%が試験から離脱すると仮定した場合、用量拡張コホートに最大でおよそ224名の患者まで登録して投与してもよい。
【0315】
第1部および第3部(用量漸増)
第1部および第3部では、BRAF阻害剤およびEGFR阻害剤による前治療にかかわらず、前治療歴があるBRAF V600E CRC患者において、ローリング6デザインを使用して、エンコラフェニブおよびセツキシマブとの併用での化合物1の漸増用量レベルを評価する。
【0316】
第A1部では、エンコラフェニブ 300mg QD、セツキシマブ 500mg/m2 Q2Wを併用して、化合物1を、150mg QW、200mg QW、および250mg QWなどの150~250mg(両端の値を含む)の複数のQW用量レベルで、開始用量150mg QWで評価する。
【0317】
第A2部では、エンコラフェニブ 300mg QD、セツキシマブ 500mg/m2 Q2Wを併用して、化合物1を、75mg BID-QW、100mg BID-QW、および125mg BID-QWなどの75~125mg(両端の値を含む)の複数のBID-QW用量レベルで、開始用量75mg BID-QWで評価する。
【0318】
第A3部では、エンコラフェニブ300mg QD、セツキシマブ500mg/m2 Q2Wを併用して、化合物1を、20mg QD、30mg QD、および40mg QDなどの20~40mg(両端の値を含む)の複数のQD用量レベルで、開始用量20mg QDで評価する。
【0319】
MTDを特定した後に、MTDレベルおよびMTDレベルより1段低い用量レベルで、用量レベル当たり患者を最大でおよそ15名まで登録して、安全性、耐容性、およびPK/PDをさらに評価してもよい。例えば、第1部では200mg QWがMTDである場合、200mg QWコホートおよび150mg QWコホートにそれぞれ、最大で合計およそ15名の患者まで登録してもよい(ローリング6デザイン下で既に登録済みの患者を含む)。スポンサーは、SRCおよび試験実施責任者と協議してデータを使用し、エンコラフェニブおよびセツキシマブとの併用でRDを選択する。スポンサーは、試験実施責任者にRDの選択を通知する。
【0320】
第2部および第4部(用量拡大)
第2部または第4部(これらの部のうちの1つのみを選択して拡大する)では、ECナイーブのBRAF V600E CRC患者、あるいはBRAF阻害剤およびEGFR阻害剤による前治療を受けているか、受けていないかのいずれかの前治療歴があるBRAF V600E CRC患者において、化合物1+エンコラフェニブおよびセツキシマブの有効性を複数のステップで評価する。第2部または第4部では、各拡大コホートに中間解析を実施し、活性の証拠がない場合には登録を早期停止する可能性があることを導く。
【0321】
第2部または第4部では、2A/4A(BRAFおよびEGFR阻害剤による前治療を受けていない患者)または2B/4B(BRAFおよびEGFR阻害剤による前治療を受けている患者)の2つのコホートのうちの1つに、適格なBRAF V600E CRC患者を登録する。
【0322】
コホート2Aまたは4Aについて、登録したおよそ20名の評価可能な患者が投与後少なくとも1回目の腫瘍評価を終えてから、選択したコホートで中間解析を行う。ORRの中間解析により、抗腫瘍活性がその患者集団の閾値を下回ることが示される場合(例えば、第2A部について、最初の20名の患者のうち、応答者が2名未満しか観察されない場合)、そのコホートへの登録を中止する。そうでなければ、十分に評価することが可能なように、そのコホートにさらなる評価可能な患者を最大でおよそ10名まで登録する。これに加えて、主要有効性解析のために、そのコホートに患者を最大で70名まで登録する。安全性、PK、およびPDデータは、有効性解析および登録継続判断を裏付けるものである。
【0323】
コホート2Bまたは4Bについて、投与したおよそ30名の有効性評価可能な患者が投与後少なくとも1回目の腫瘍評価を終えてから、選択したコホートで中間解析を行う。ORRの中間解析により、抗腫瘍活性がその患者集団の閾値を下回ることが示される場合(例えば、第2B部について、最初の30名の評価可能な患者のうち、応答者が観察されない場合)、そのコホートへの登録を中止する。そうでなければ、主要有効性評価のために、そのコホートにさらなる評価可能な患者を最大でおよそ70名まで登録する。安全性、PK、およびPDデータは、有効性解析および登録継続判断を裏付けるものである。
【0324】
【0325】
選択基準:
年齢が18歳以上。
【0326】
書面によるインフォームドコンセントを提出する意思があり、それが可能である。
【0327】
認定された試験実験室において腫瘍組織に実施された分析的に検証されているアッセイに基づいて、適用可能な変異(例えば、BRAFm V600E、KRAS変異またはNRAS変異)を有する転移性CRCが組織学的または細胞学的に確認されている。
【0328】
固形腫瘍における応答評価基準(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors;RECIST)v1.1により測定可能な病変がある。
【0329】
十分な骨髄機能および臓器機能を有する。
【0330】
ECOGパフォーマンスステータスが0または1である。
【0331】
プロトコールで要求されるすべての来院、評価、および手順を遵守する意思がある。
【0332】
経口薬を嚥下可能である。
【0333】
除外基準:
RAS、MEK、またはERK阻害剤による前治療歴がある。患者がどの治療群に割り当てられるかによって、他の療法も禁止される可能性がある。
【0334】
治験薬の初回投与前21日以内または4半減期内のどちらか短い方に抗癌療法が行われる。
【0335】
治験薬の初回投与前7日以内に緩和照射を受けている。
【0336】
症候性脳転移または髄膜疾患を有する。
【0337】
経口薬の吸収に影響を及ぼし得る胃腸疾病を有する。
【0338】
全身療法を必要とする活動性感染、またはHIV感染、B型肝炎ウイルス、もしくはC型肝炎ウイルスの病歴を有する。
【0339】
治験薬の初回投与前12か月以内に、医療介入(免疫調節薬もしくは免疫抑制薬、または手術)を必要とする慢性炎症性腸疾患またはクローン病の病歴を有する。
【0340】
臨床的に重大な、活動期の間質性肺疾患または肺炎を有する。
【0341】
心血管機能障害または臨床的に重大な心血管疾患を有する。
【0342】
初回投与前6か月以内に血栓塞栓性または脳血管事象の病歴を有する。
【0343】
登録から28日以内に大手術を受けているか、試験処置中に大手術を見込んでいる。
【0344】
エンコラフェニブ、セツキシマブ、またはパルボシクリブに既知の不耐があるか、禁忌がある。
【0345】
妊娠中または授乳中の女性である。
【0346】
重度の全身性疾患の証拠も、制御されていない全身性疾患の証拠も一切有しておらず、患者が試験に参加するのに不適切となる他の重大な臨床障害または検査所見の証拠も一切有していない。
【0347】
実施例4:進行性非小細胞性肺癌を有する患者における、オシメルチニブとの併用での化合物1の第lb/2相非盲検多施設試験
詳細な説明:これは、進行性NSCLCを有する試験参加者における、オシメルチニブとの併用での化合物1を評価する第1b/2相非盲検多施設臨床試験である。この試験は、他の癌療法との併用での化合物1の安全性/耐容性および有効性について評価可能なプラットフォーム試験としての機能を果たす。本試験は先ず、化合物1の用量漸増から開始し、上皮成長因子受容体における感受性変異(EGFRm)を有する進行性NSCLC参加者に対して、化合物1を、オシメルチニブ80mg 1日1回(QD)の投与と併用してそれぞれ150mg 週1回(QW)、200mg QW、および250mg QWの用量で投与するか、1日2回、週1回(BID-QW)の投与スケジュールで投与する。その後に用量拡大を行い、EGFRmを有するNSCLC試験参加者に対して、化合物1を、オシメルチニブと併用して、QWの推奨用量(RD)または用量漸増試験で特定したBID-QWのRDで投与して試験を行う。
【0348】
【0349】
【0350】
結果測定
主要評価項目測定基準:
1.用量制限毒性(DLT)。観察された有害事象に基づく[時間枠:試験1日目から最大で29日目まで]
【0351】
2.最大耐用量(MID)。観察された有害事象に基づく[時間枠:試験1日目から最大で29日目まで]
【0352】
3.推奨用量(RD)。観察された有害事象に基づく[時間枠:試験1日目から最大で29日目まで]
【0353】
4.有害事象。試験治療下で発現したAEおよび重篤なAEの発生率および重症度[時間枠:初回投与の時点から最大で24か月まで評価する]
【0354】
副次評価項目測定基準:
5.血漿中濃度(Cmax)。化合物1および他の癌療法の最高血漿中濃度[時間枠:試験1日目から最大で29日目まで]
【0355】
6.Cmaxに到達するまでの時間(Tmax)。化合物1および他の癌療法の最高血漿中濃度に到達するまでの時間[時間枠:試験1日目から最大で29日目まで]
【0356】
7.曲線下面積。化合物1および他の癌療法の血漿中濃度-時間曲線下面積[時間枠:試験1日目から最大で29日目まで]
【0357】
8.半減期。化合物1および他の癌療法の半減期[時間枠:試験1日目から最大で29日目まで]
【0358】
9.客観的奏効率(ORR)。RECISTバージョン1.1による放射線画像の評価に基づく[時間枠:初回投与の時点から最大で24か月まで評価する]
【0359】
10.奏効期間(DOR)。RECISTバージョン1.1による放射線画像の評価に基づく[時間枠:初回投与の時点から最大で24か月まで評価する]
【0360】
基準:選択基準
年齢が18歳以上。
【0361】
書面によるインフォームドコンセントを提出する意思があり、それが可能である。
【0362】
管轄地域で承認された表示ラベルにより、初回診断でEGFR阻害剤に対して高い感受性を示すEGFR変異を有する進行性NSCLCが組織学的または細胞学的に確認されている。
【0363】
固形腫瘍における応答評価基準(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors;RECIST)v1.1により測定可能な病変がある。
【0364】
十分な骨髄機能および臓器機能を有する。
【0365】
ECOGパフォーマンスステータスが0または1である。
【0366】
プロトコールで要求されるすべての来院、評価、および手順を遵守する意思がある。
【0367】
経口薬を嚥下可能である。
【0368】
除外基準:
任意の認可薬剤または治験薬剤を含む、NSCLC用の任意の全身抗癌療法との同時治療が行われている。
【0369】
RAS、RAF、MEK、またはERK阻害剤による前治療歴がある。
【0370】
癌免疫療法(CIT)の前治療を受けている(例えば、免疫チェックポイント阻害剤)。CITの後に試験登録に先立ってCIT非含有レジメンが行われる場合はこの限りでない。
【0371】
登録から21日以内に、オシメルチニブを除く抗癌処置を受けている。オシメルチニブは、スクリーニング期間中に継続されていてもよい。
【0372】
登録から7日以内に緩和放射線治療を受けている。
【0373】
オシメルチニブの処置に対する許容不可能な毒性の病歴を有する。
【0374】
登録から28日以内に大手術を受けている。
【0375】
全身療法の前治療により、登録時にNCI-CTCAEのグレード1を超える毒性(以前の化学療法による脱毛症やグレード2の末梢神経障害を除く)から回復していない。
【0376】
重度の全身性疾患の証拠も、制御されていない全身性疾患の証拠も一切有しておらず、患者が試験に参加するのに不適切となる他の重大な臨床障害または検査所見の証拠も一切有していない。
【0377】
心血管機能障害または臨床的に重大な心血管疾患を有する。
【0378】
網膜色素上皮剥離(RPED)、中心性漿液性網膜症、網膜静脈閉塞症(RVO)、またはRPEDもしくはRVOにかかりやすい素因の病歴を有するか、現在の証拠を有する。
【0379】
妊娠中または授乳中の女性である。
【0380】
管轄地域の表示ラベルにより、オシメルチニブの使用が禁忌となっている。
【0381】
実施例5:エンコラフェニブ難治性BRAF V600E CR0004 PDXモデルにおける、単独およびエンコラフェニブとの併用での化合物1のin vivo試験
脱イオン水で、ビヒクル/対照物質である100mM酢酸をpH4.8~5.0に調整して調製し、マウスへの28日間の投与を通して周囲条件下で保管した。
【0382】
被験物質である化合物1は、毎週、0.5%Tween80含有0.5%CMCのビヒクル中で毎週調製し、周囲条件下で保管した。エンコラフェニブは、0.5%Tween80含有0.5%CMCのビヒクル中で毎週調製し、2~8℃で保管した。
【0383】
雌のBalb/cヌードマウスを、Beijing Anikeeper Biotech Co.,Ltd(中国、北京市)から購入した。マウスは、移植時に9~11週齢であった。IACUCプロトコールに従って、マウスを、いかなる実験の開始前にも少なくとも3日間、特定の病原体が存在しない(special pathogen-free;SPF)環境の飼育施設で飼育し、新しい環境に順応させた。本試験では、動物の取り扱い、ケア、および処置に関するすべての手順を、Crown Bioscience(中国、北京市)の動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee;IACUC)の承認を受けたガイドラインに従って行った。試験中、動物のケアや使用は、国際実験動物ケア評価認証協会(the Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care;AAALAC)の規程に従って行った。さらに、Crown Bioscience(中国、北京市)で実施されたこの試験は、すべての部分が試験責任者によって承認を受けた試験プロトコールおよび適用可能な標準作業手順書(SOP)に準拠していた。
【0384】
PDXの調製
CR0004 PDXモデルは、CrownBioで前臨床有効性試験を行うために確立された。このPDXモデルは、44歳の女性CRC患者に由来するものであった。このモデルのBRAF V600E変異は、エクソームシークエンシングによって確認した。適切な外科用スクラブとヨードフォアを用いてマウスの右側腹部の皮膚を洗浄した。18gトロカール針を用いて、PDXモデルから採取した腫瘍断片(直径2~3mm)を雌のBalb/cヌードマウスの右側腹部に皮下移植した。平均腫瘍サイズが141mm3(114~185mm3の範囲)に達した時点で、担癌マウスを、1群当たりマウス8匹となるように試験群に無作為に分けた。
【0385】
処置
無作為化した当日に処置を開始した。処置開始日を処置0日目とした。単独療法として、ビヒクル対照溶液を投与するか、化合物1を30mg/kg/用量BID(経口)で投与するか、エンコラフェニブを90mg/kg QD(経口)で投与するかして、マウスに投与した。さらなる群に、化合物1を30mg/kg/用量 BIDとし、エンコラフェニブを90mg/kg QDとする併用処置を与えた。各化合物の投与容量は5mL/kgであり、BIDレジメンの間隔は8時間であった。化合物1とエンコラフェニブとの併用群では、化合物1のBID初回投与の1時間後にエンコラフェニブを投与した。試験は、試験プロトコールで定義されるように処置28日目に終了した。
【0386】
図3Aに示されているように、化合物1およびエンコラフェニブは、エンコラフェニブ難治性-BRAF V600E CR0004 PDXモデルにおいて、in vivoで併用利益を示した。
【0387】
実施例6:エンコラフェニブ+セツキシマブ難治性BRAF V600E CR0004 PDXモデルにおける、単独およびエンコラフェニブおよびセツキシマブとの併用での化合物1のin vivo試験
脱イオン水で、ビヒクル/対照物質である100mM酢酸をpH4.8~5.0に調整して調製し、マウスへの28日間の投与を通して周囲条件下で保管した。
【0388】
被験物質である化合物1は、毎週、0.5%Tween80含有0.5%CMCのビヒクル中で毎週調製し、周囲条件下で保管した。エンコラフェニブは、0.5%Tween80含有0.5%CMCのビヒクル中で毎週調製し、2~8℃で保管した。
【0389】
雌のBalb/cヌードマウスを、Beijing Anikeeper Biotech Co.,Ltd(中国、北京市)から購入した。マウスは、移植時に9~11週齢であった。IACUCプロトコールに従って、マウスを、いかなる実験の開始前にも少なくとも3日間、特定の病原体が存在しない(special pathogen-free;SPF)環境の飼育施設で飼育し、新しい環境に順応させた。本試験では、動物の取り扱い、ケア、および処置に関するすべての手順を、Crown Bioscience(中国、北京市)の動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee;IACUC)の承認を受けたガイドラインに従って行った。試験中、動物のケアや使用は、国際実験動物ケア評価認証協会(the Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care;AAALAC)の規程に従って行った。さらに、Crown Bioscience(中国、北京市)で実施されたこの試験は、すべての部分が試験責任者によって承認を受けた試験プロトコールおよび適用可能な標準作業手順書(SOP)に準拠していた。
【0390】
PDXの調製
CR0004 PDXモデルは、CrownBioで前臨床有効性試験を行うために確立された。このPDXモデルは、44歳の女性CRC患者に由来するものであった。このモデルのBRAFV600E変異は、エクソームシークエンシングによって確認した。適切な外科用スクラブとヨードフォアを用いてマウスの右側腹部の皮膚を洗浄した。18gトロカール針を用いて、PDXモデルから採取した腫瘍断片(直径2~3mm)を雌のBalb/cヌードマウスの右側腹部に皮下移植した。平均腫瘍サイズが141mm3(114~185mm3の範囲)に達した時点で、担癌マウスを、1群当たりマウス8匹となるように試験群に無作為に分けた。
【0391】
処置
無作為化した当日に処置を開始した。処置開始日を処置0日目とした。単独療法として、ビヒクル対照溶液を投与するか、化合物1を30mg/kg/用量 BID(経口)で投与するか、エンコラフェニブを90mg/kg QD(経口)で投与するか、セツキシマブを30 mg/kg Q3D(腹腔内)で投与するかして、マウスに投与した。3つのさらなる群に併用処置を与え、1つ目の群に、化合物1を30mg/kg/用量 BIDとエンコラフェニブを90mg/kg QDとを投与し、2つ目の群に、化合物1を30mg/kg/用量 BIDとエンコラフェニブを90mg/kg QD+セツキシマブを30mg/kg Q3Dとを投与し、3つ目の群に、エンコラフェニブを90mg/kg QDとセツキシマブを30mg/kg Q3Dとを投与する。セツキシマブ(10 mL/kg)を除き、各化合物の投与容量は5mL/kgであり、BIDレジメンの間隔は8時間であった。化合物1とエンコラフェニブとの併用群では、化合物1のBID初回投与の1時間後にエンコラフェニブを投与した。化合物1とエンコラフェニブとセツキシマブとの3剤併用群では、最初に化合物1 BIDを投与し、その1時間後にエンコラフェニブを投与し、エンコラフェニブの1時間後にセツキシマブを投与した。エンコラフェニブとセツキシマブとの併用群では、最初にエンコラフェニブを投与し、その1時間後にセツキシマブを投与した。処置群で少なくとも2匹のマウスが10%を超えるBWLを示し始めたケージには、定期的な給餌・給水に加えて、DietGelを加えた。この実施に従って、3剤併用(すなわち、化合物 30mg/kg/用量 BID+エンコラフェニブ 90mg/kg QD+セツキシマブ 30mg/kg Q3D)のマウスに、処置21日目からDietGel飼料を給餌し、残りの試験期間中これを継続した。試験は、試験プロトコールで定義されるように処置28日目に終了した。
【0392】
図3Bに示されているように、エンコラフェニブおよびセツキシマブとの併用での化合物1は、エンコラフェニブ+セツキシマブ(EC)難治性-BRAF V600E CR0004 PDXモデルにおいて、in vivoで併用利益を示した。
【0393】
実施例7:エンコラフェニブ難治性BRAF V600E CRR1011 PDXモデルにおける、単独およびエンコラフェニブとの併用での化合物1のin vivo試験
脱イオン水で、化合物1のビヒクル/対照物質である0.1%Tween80含有0.5%メチルセルロースを調製し、マウスへの23日間の投与を通して周囲条件下で保管した。
【0394】
被験物質である化合物1は、0.1%Tween80含有0.5%メチルセルロース(MC)溶液のビヒクル中で毎週新たに調製し、周囲条件下で保管した。エンコラフェニブは、0.5%Tween80含有0.5%CMCのビヒクル中で毎週新たに調製し、2~8℃で保管した。
【0395】
雌のBalb/cヌードマウスをBeijing Vital River Laboratory Animal Technology Co.,Ltd.から購入した。マウスを、いかなる実験の開始前にも少なくとも3日間、特定の病原体が存在しない(special pathogen-free;SPF)環境の飼育施設で飼育し、新しい環境に順応させた。マウスは、移植時に6~8週齢であった。本試験では、動物の取り扱い、ケア、および処置に関するすべての手順を、GenenDesignの動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee;IACUC)の承認を受けたプロトコールおよびガイドラインに従って行った。動物施設およびプログラムは、実験動物の管理と使用に関する指針(Guide for the Care and Use of Laboratory Animals;NRC、2011年)の基準下で操作され、国際実験動物ケア評価認証協会(the Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care;AAALAC)の認定を受けている。具体的には、GenenDesignで行われたこの試験は、すべての部分がIACUCによって審査され承認を受けた試験プロトコールおよび適用可能な標準作業手順書(SOP)に準拠していた。
【0396】
異種移植モデルの調製
PDX CRC1011モデルは、GenenDesign(中国、上海)での非臨床有効性試験を行うために確立された。PDXモデルは、63歳の中国人男性CRC患者に由来するものであった。PDXモデルCRC1011のBRAFV600E変異は、全エクソームシークエンシングおよびPCRシークエンシングによって確認した。PDXモデルから採取した腫瘍断片を雌のBalb/cヌードマウスの右側腹部に皮下移植した。マウスをイソフルランにより麻酔し、移植手順を通して麻酔を維持した。マウスの右側腹部を、適切な外科用スクラブとアルコールで消毒し、無菌手術手順を使用した。トロカールの鋭端を使用して小さな皮膚切開を行い、10~12gトロカール針のスタイレットによる鈍的切開によって、右側胸壁に沿って1.5cmの皮下ポケットを形成した。腫瘍断片(15~30mm3)をトロカール針に入れ、右側腹部の皮下ポケット内へと進めた。トロカール切開を縫合糸または縫合クリップで閉鎖し、閉鎖の1週間後にこれを除去した。腫瘍サイズの体積が平均200mm3(144~269mm3の範囲)に達した時点で、担癌マウスを、1群当たりマウス8匹となるように試験群に無作為に分けた。無作為化日を処置0日目とした。
【0397】
処置
無作為化の翌日に処置を開始した。処置開始日を処置0日目とした。単独療法として、ビヒクル対照溶液を投与するか、化合物1を30mg/kg/用量 BID(経口)で投与するか、エンコラフェニブを90mg/kg QD(経口)で投与するかして、マウスに投与した。さらなる群に、化合物1を30mg/kg/用量 BIDとし、エンコラフェニブを90mg/kg QDとする併用処置を与えた。化合物1およびエンコラフェニブの投与容量は5mL/kgであり、BIDレジメンの間隔は8時間であった。化合物1とエンコラフェニブとの併用群では、最初にエンコラフェニブを投与し、その1時間後に化合物1 BIDの初回投与を与えた。少なくとも2匹のマウスが10%を超えるBWLを示し始めたケージには、定期的な給餌・給水に加えて、DietGelを加えた。この実施に従って、化合物1 30mg/kg/用量 BID単独療法群のマウス、ならびに、化合物1 30mg/kg/用量 BIDとエンコラフェニブ 90mg/kg QDとの併用群のマウスにそれぞれ、処置12日目、12日目、および9日目からDietGel飼料を給餌し、残りの試験期間中これを継続した。試験は、処置23日目に終了したが、これは、ビヒクル群での急速な腫瘍増殖により、試験プロトコールで定義される元の終了日(28日目)よりも早くなった。ビヒクル対照群の腫瘍8個のうちの2個は、処置23日目に、IACUCプロトコールによる腫瘍体積の閾値(2,000mm3)を超えていた。
【0398】
図4Aに示されているように、化合物1およびエンコラフェニブは、エンコラフェニブ難治性-BRAF V600E CRC1011 PDXモデルにおいて、in vivoで併用利益を示した。
【0399】
実施例8:エンコラフェニブ+セツキシマブ難治性BRAF V600E CRC1011 PDXモデルにおける、単独ならびにエンコラフェニブおよびセツキシマブとの併用での化合物1のin vivo試験
被験物質である化合物1は、中国上海拠点のWuXi STAが製造したものであった。併用剤であるエンコラフェニブは、MedChemExpressから購入した。セツキシマブは、中国拠点のMerck KGaAから購入した(バッチ番号G002VX)。
【0400】
脱イオン水で、化合物1のビヒクル/対照物質である0.1%Tween80含有0.5%メチルセルロース(MC)を調製し、マウスへの23日間の投与を通して周囲条件下で保管した。
【0401】
被験物質である化合物1は、0.1%Tween80溶液含有0.5%メチルセルロース(MC)のビヒクル中で毎週新たに調製し、周囲条件下で保管した。エンコラフェニブは、0.5%Tween80含有0.5%CMCのビヒクル中で毎週新たに調製し、2~8℃で保管した。セツキシマブ(5mg/mL)は、各投与前に生理食塩水で希釈して3mg/mLにした。
【0402】
雌のBalb/cヌードマウスをBeijing Vital River Laboratory Animal Technology Co.,Ltd.から購入した。マウスを、いかなる実験の開始前にも少なくとも3日間、特定の病原体が存在しない(special pathogen-free;SPF)環境の飼育施設で飼育し、新しい環境に順応させた。マウスは、移植時に6~8週齢であった。本試験では、動物の取り扱い、ケア、および処置に関するすべての手順を、GenenDesignの動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee;IACUC)の承認を受けたプロトコールおよびガイドラインに従って行った。動物施設およびプログラムは、実験動物の管理と使用に関する指針(Guide for the Care and Use of Laboratory Animals;NRC、2011年)の基準下で操作され、国際実験動物ケア評価認証協会(the Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care;AAALAC)の認定を受けている。具体的には、GenenDesignで行われたこの試験は、すべての部分がIACUCによって審査され承認を受けた試験プロトコールおよび適用可能な標準作業手順書(SOP)に準拠していた。
【0403】
PDXの調製
PDX CRC1011モデルは、GenenDesign(中国、上海)での非臨床有効性試験を行うために確立された。PDXモデルは、63歳の中国人男性CRC患者に由来するものであった。PDXモデルCRC1011のBRAFV600E変異は、全エクソームシークエンシングおよびPCRシークエンシングによって確認した。PDXモデルから採取した腫瘍断片を雌のBalb/cヌードマウスの右側腹部に皮下移植した。マウスをイソフルランにより麻酔し、移植手順を通して麻酔を維持した。マウスの右側腹部を、適切な外科用スクラブとアルコールで消毒し、無菌手術手順を使用した。トロカールの鋭端を使用して小さな皮膚切開を行い、10~12gトロカール針のスタイレットによる鈍的切開によって、右側胸壁に沿って1.5cmの皮下ポケットを形成した。腫瘍断片(15~30mm3)をトロカール針に入れ、右側腹部の皮下ポケット内へと進めた。トロカール切開を縫合糸または縫合クリップで閉鎖し、閉鎖の1週間後にこれを除去した。腫瘍サイズの体積が平均200mm3(144~269mm3の範囲)に達した時点で、担癌マウスを、1群当たりマウス8匹となるように試験群に無作為に分けた。無作為化日を処置0日目とした。
【0404】
処置
無作為化の翌日に処置を開始した。処置開始日を処置0日目とした。単独療法として、ビヒクル対照溶液を投与するか、化合物1を30mg/kg/用量 BID(経口)で投与するか、エンコラフェニブを90mg/kg QD(経口)で投与するか、セツキシマブを30 mg/kg Q3D(腹腔内)で投与するかして、マウスに投与した。3つのさらなる群に併用処置を与え、1つ目の群に、化合物1を30mg/kg/用量 BIDとエンコラフェニブを90mg/kg QDとを投与し、2つ目の群に、化合物1を30mg/kg/用量 BIDとエンコラフェニブを90mg/kg QD+セツキシマブを30mg/kg Q3Dとを投与し、3つ目の群に、エンコラフェニブを90mg/kg QDとセツキシマブを30mg/kg Q3Dとを投与する。化合物1、エンコラフェニブ、およびセツキシマブの投与容量は5mL/kgであり、BIDレジメンの間隔は8時間であった。化合物1とエンコラフェニブとの併用群では、最初にエンコラフェニブを投与し、その1時間後に化合物1 BIDの初回投与を与えた。化合物1とエンコラフェニブおよびセツキシマブとの併用群では、最初にエンコラフェニブを投与し、その1時間後に化合物1 BIDの初回投与を与え、化合物1 BIDの初回投与の後にセツキシマブを投与した。エンコラフェニブとセツキシマブとの併用群では、最初にエンコラフェニブを投与し、その1時間後にセツキシマブを投与した。少なくとも2匹のマウスが10%を超えるBWLを示し始めたケージには、定期的な給餌・給水に加えて、DietGelを加えた。この実施に従って、化合物1 30mg/kg/用量 BID単独療法群のマウス、化合物1 30mg/kg/用量 BIDとエンコラフェニブ 90mg/kg QDとの併用群のマウス、ならびに、化合物1 30mg/kg/用量 BIDとエンコラフェニブ 90mg/kg QD+セツキシマブ 30mg/kg Q3Dとの併用群のマウスにそれぞれ、処置12日目、12日目、および9日目からDietGel飼料を給餌し、残りの試験期間中これを継続した。試験は、処置23日目に終了したが、これは、ビヒクル群での急速な腫瘍増殖により、試験プロトコールで定義される元の終了日(28日目)よりも早くなった。ビヒクル対照群の腫瘍8個のうちの2個は、処置23日目に、IACUCプロトコールによる腫瘍体積の閾値(2,000mm3)を超えていた。
【0405】
図4Bに示されているように、エンコラフェニブおよびセツキシマブとの併用での化合物1は、エンコラフェニブ+セツキシマブ(EC)難治性-BRAF V600E CRC1011 PDXモデルにおいて、in vivoで併用利益を示した。
【国際調査報告】