(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】少なくとも1つの酸化防止剤とビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)種溶解物とを含む組成物の適用を含む美容的処置法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/99 20170101AFI20240709BHJP
A61K 8/67 20060101ALI20240709BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
A61K8/99
A61K8/67
A61Q5/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578815
(86)(22)【出願日】2022-07-22
(85)【翻訳文提出日】2023-12-20
(86)【国際出願番号】 EP2022070675
(87)【国際公開番号】W WO2023006621
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】マリー-セシル・ドゥグル
(72)【発明者】
【氏名】ロランス・リシェ
(72)【発明者】
【氏名】エディーヌ・アビチ
(72)【発明者】
【氏名】アンジェリク・ジャケ
(72)【発明者】
【氏名】オレリー・フェリポー
(72)【発明者】
【氏名】オードリー・ゲニシュ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA031
4C083AA032
4C083AA112
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC432
4C083AC441
4C083AC442
4C083AC542
4C083AD092
4C083AD201
4C083AD202
4C083AD211
4C083AD641
4C083AD642
4C083BB04
4C083CC33
4C083DD01
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE10
4C083EE28
(57)【要約】
少なくとも1つの酸化防止剤とビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)種溶解物とを含む組成物の適用を含む美容的処置法。本発明は、少なくとも1つの特定の酸化防止剤、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)種溶解物及び水を含む組成物の適用を含む、頭皮及び毛髪の美容的処置のための方法に関する。好ましくは、本発明の美容的処置法は、頭皮及び毛髪をケア及び/又はコンディショニングするための方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭皮及び/又は毛髪を美容的処置するための方法であって、アスコルビン酸及びその誘導体から選択される1つ又は複数の酸化防止剤、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)種の1つ若しくは複数の微生物、その画分の1つ、その代謝産物の1つ、又はこれらの混合物であって、溶解物形態である微生物、及び組成物の総質量に対して50質量%~98質量%の範囲の総含有量の水を含む組成物を前記頭皮及び/又は前記毛髪に適用することを含む、方法。
【請求項2】
前記酸化防止剤がアスコルビルグルコシドであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記酸化防止剤の総含有量が、前記組成物の総質量に対して0.05質量%~10質量%、好ましくは0.1質量%~10質量%、より優先的には0.5質量%~10質量%、より良好には0.7質量%~5質量%、更により良好には0.8質量%~3質量%の範囲であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)種の微生物が、以下の種、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ブレーべ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、又はビフィドバクテリウム・シュードバクテリウム(Bifidobacterium pseudobacterium)及びこれらの混合物から選択され、前記微生物が、好ましくはビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
乾燥抽出物として表される、前記ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)種の微生物の溶解物の総含有量が、前記組成物の総質量に対して、0.001質量%~20質量%、好ましくは0.01質量%~10質量%、より優先的には0.05質量%~5質量%、より良好には0.1質量%~2質量%の範囲であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記組成物が、サッカロミセス属(Saccharomyces)の酵母の1つ又は複数の抽出物を更に含み、前記酵母が、以下の種、サッカロミセス・バイリー(Saccharomyces bailii)、サッカロミセス・カールスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、サッカロミセス・ウバルム(Saccharomyces uvarum)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス・デルブルエッキイー(Saccharomyces delbrueckii)、サッカロミセス・イグジグース(Saccharomyces exiguus)、サッカロミセス・ファーメンタティ(Saccharomyces fermentati)、サッカロミセス・フロレンチヌス(Saccharomyces florentinus)、サッカロミセス・フラギリス(Saccharomyces fragilis)サッカロミセス・フラクツーム(Saccharomyces fructuum)、サッカロミセス・ヘテロジニカス(Saccharomyces heterogenicus)、サッカロミセス・オレアギノーサス(Saccharomyces oleaginosus)、サッカロミセス・ロゼイ(Saccharomyces rosei)、サッカロミセス・ステイネリ(Saccharomyces steineri)、サッカロミセス・ブラウディ(Saccharomyces boulardii)、サッカロミセス・ケフィア(Saccharomyces kefir)、サッカロミセス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)、及びこれらの混合物から選択され、前記サッカロミセス(Saccharomyces)属の酵母が、好ましくはサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)種の酵母であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
サッカロミセス属(Saccharomyces)の酵母の抽出物の(乾燥物又は活性物質としての)総含有量が、前記組成物の総質量に対して、0.001質量%~5質量%、好ましくは0.01質量%~1質量%、より優先的には0.02質量%~0.5質量%の範囲であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記組成物が、好ましくはマンノース、ラムノース、並びにそれらのα又はβアノマー、L又はD配置のそれらの光学異性体、それらの溶媒和物、及びこれらの混合物から、より優先的にはマンノース、並びにそのα又はβアノマー、L又はD配置のその光学異性体、その溶媒和物、及びこれらの混合物から選択される1つ又は複数の単糖を更に含み、より良好には前記単糖がD-マンノースであることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記単糖の総含有量が、前記組成物の総質量に対して、0.01質量%~20質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より優先的には0.1質量%~5質量%の範囲であることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物が、オリゴ糖、多糖、及びこれらの混合物から選択され、好ましくはイヌリン、フラクトオリゴ糖、グルコオリゴ糖、大豆由来オリゴ糖、ピロデキストリン、イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、トランスガラクトオリゴ糖、及びこれらの混合物から選択される、単糖とは異なる1つ又は複数の追加の糖類を更に含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記追加の糖類が、少なくとも1つのフラクトオリゴ糖及び少なくとも1つのグルコオリゴ糖を含む混合物に対応することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記追加の糖類の総含有量が、前記組成物の総質量に対して0.01質量%~20質量%、好ましくは0.05質量%~20質量%、より優先的には0.05質量%~10質量%、より良好には0.05質量%~5質量%、更により良好には0.1質量%~2質量%の範囲であることを特徴とする、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物が、ビフィドバクテリウム属種の微生物とは異なる1つ又は複数のプロバイオティック微生物を更に含み、好ましくは乳酸菌及びその混合物の群からのプロバイオティック微生物から選択され、より優先的にはラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・アリメンタリウス(Lactobacillus alimentarius)、ラクトバチルス・カルバタス(Lactobacillus curvatus)、ラクトバチルス・デルブレッキー亜種ラクティス(Lactobacillus delbrueckii subsp.lactis)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ラムノースス(Lactobacillus rhamnosus)(ラクトバチルス(Lactobacillus)GG)、ラクトバチルス・サケ(Lactobacillus sake)、ラクトバチルス・ラクティス(Lactobacillus lactis)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ラクトバチルス・デルブレッキー(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・ブチネリ(Lactobacillus buchneri)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・ロンガム(Lactobacillus longum)及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)種の微生物とは異なる前記プロバイオティック微生物の総含有量が、前記組成物の総質量に対して、0.0001質量%~20質量%、好ましくは0.0001質量%~10質量%、より優先的には0.001質量%~5質量%、より良好には0.001質量%~1質量%の範囲であることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記組成物が、好ましくは1~20個のオキシエチレン単位を含む、飽和又は不飽和で直鎖又は分岐鎖のC
8~C
30脂肪酸とソルビタンとのエステル;飽和又は不飽和、直鎖又は分岐鎖、オキシアルキレン化又はグリセロール化、優先的にはオキシエチレン化C
8~C
40アルコール;1~100、好ましくは2~50モルのエチレンオキシドを含むオキシエチレン化、飽和又は不飽和植物油、及びこれらの混合物;より優先的には、4~20個のオキシエチレン単位を含む、好ましくは直鎖及び飽和のC
8~C
18の脂肪酸とソルビタンとのエステル、並びにこれらの混合物;より良好には4~10個のオキシエチレン単位を含む、好ましくは直鎖及び飽和のC
10~C
14脂肪酸とソルビタンとのエステルから選択される1つ又は複数の非イオン性界面活性剤を更に含むことを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記非イオン性界面活性剤の総含有量が、前記組成物の総質量に対して、0.05質量%~10質量%、好ましくは0.1質量%~5質量%、より優先的には0.2質量%~3質量%、より良好には0.3質量%~2質量%の範囲であることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記組成物が、前記頭皮及び/又は前記毛髪、好ましくは前記頭皮に適用されることを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記組成物が塗布後にすすぎ落とされないことを特徴とする、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記頭皮及び/又はケラチン繊維をケア及び/又はコンディショニングするための、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの特定の酸化防止剤、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)種溶解物及び水を含む組成物の適用を含む、頭皮及び毛髪の美容的処置のための方法に関する。
【0002】
好ましくは、本発明の美容的処置は、頭皮及び毛髪をケア及び/又はコンディショニングするための方法である。
【背景技術】
【0003】
ヒトの皮膚、特に頭皮は、2つの区画、すなわち深部区画の真皮及び表層区画の表皮からなる。
【0004】
皮膚は、外部からの攻撃、例えば環境からの攻撃、気候からの攻撃(熱、寒さ、UV、タバコなど)、汚染、アレルゲン、病原性細菌、機械的攻撃(脱毛、シェービング、研磨洗浄)及び化学的攻撃(洗剤)からの保護において主要な役割を有する。バリア機能として知られるこの特性は、主に表皮の最も外部の層、すなわち、角質層として知られる角化層によって実行される。
【0005】
皮膚は、細菌及び真菌などの数種類の微生物が増殖する複雑な生態系も表す。これらの微生物は、皮膚の微生物叢としても知られる皮膚微生物叢を構成する。この生態系内では、様々な種類の微生物の間にバランスが存在する。
【0006】
現在までに、500種超の細菌種が、200万超の遺伝子と共に健常皮膚上で検出されている。皮膚の各cm2には約106個の細菌が生息している。
【0007】
特に以下が識別される:
-従来、皮膚から栄養素を吸い取りながら、健常皮膚上で連続的に増殖し、既知の利益を皮膚にもたらす微生物で構成される共生常在細菌叢、
-異常な条件下で、例えば汚染要素との接触によって皮膚上に存在し、増殖の場合に病原性になり得る一時的な細菌叢。
【0008】
バリアが有害に影響を受ける場合、又は、例えば外部からの攻撃に続いて、共生生物と病原体との間のバランスが乱れる場合、皮膚の質の有害な変化及び/又は皮膚障害、例えば、刺痛、張り、痒みなどがそこから生じ得る。
【0009】
更に、皮膚バリアの質は、刺激剤(界面活性剤、酸、塩基、酸化剤、還元剤、濃縮溶媒)、機械的応力(摩擦、シェービング)又は熱若しくは気候的不均衡(寒さ、乾燥)などの外部からの攻撃のため、毎日影響を受けることが明らかである。
【0010】
したがって、皮膚共生細菌叢の有益な微生物による皮膚への(再)コロニー形成は、特に、微生物、特に病原性微生物の付着を制限する作用、特に上述のような外部攻撃後のバリア機能の復旧/回復により、皮膚の生理学及び免疫にとって基本的なものと思われる。
【0011】
化粧品溶液は、皮膚及び/又は粘膜微生物叢のバランスを維持及び/又は保存するために、プロバイオティクスを含有する組成物の使用、又はプルラン若しくはその誘導体の1つの使用又は多糖との組合せの使用など、皮膚微生物叢に作用することが既に知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、これらの溶液は、特に以下に述べる理由により、頭皮上で使用するために転用することが困難である。
【0013】
これらの理由の1つは、頭皮の微生物叢が顔又は身体の皮膚の微生物叢とは異なるという事実にあり、皮膚共生菌叢(顔又は身体の皮膚)は、主に5種類の細菌(キューティバクテリウム・アクネス(Cutibacterium acnes)/コリネバクテリウム属(Corynebacterium)/表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermis)/レンサ球菌(Streptococcus)/ナイセリア属(Neisseria))から構成される。頭皮上に存在する微生物は、その一部として、主に3つの微生物によって表される:頭皮の微生物集団の大部分を占める、マラセチア・レストリクタ(Malassezia restricta)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermis)及びキューティバクテリウム・アクネス(Cutibacterium acnes)(プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)としても知られる)。
【0014】
加えて、2つの細菌(表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermis)及びキューティバクテリウム・アクネス(Cutibacterium acnes))が頭皮及び皮膚の細菌叢には一般的であるが、それらの相対的な割合は異なっており、これらの2つの細菌は、頭皮の細菌叢の細菌の99%に相当するが、顔の皮膚の細菌叢の細菌の75%にしか相当しない。
【0015】
したがって、頭皮の細菌叢は、顔の皮膚の細菌叢よりもはるかに低い多様性を示す。
【0016】
更に、頭皮上のケラチン繊維(毛髪)が、顔又は身体の皮膚上(非頭髪)よりも高密度及び/又は長い場合、更なる制約が生じる。これは、使用される美容的処置が毛髪の外観及び/又は感触に悪影響を及ぼしてはならないからであり、特に、毛髪及び脂根に脂っぽい影響をもたらしてはならず、並びに/又は毛髪の不快な感触及び/又は望ましくない外観をもたらしてはならない。
【0017】
別の点は、頭皮用組成物に期待される特性が皮膚用組成物によって提供される特性と異なり得るという事実にあり、頭皮は、例えば異常な量のマラセチア・レストリクタ(Malassezia restricta)の存在の結果である過度に多いフケの存在に起因して、刺痛又は加熱感などの不快感の事例を示すことがあり、この微生物は健康な頭皮上に自然に存在するが、その過剰な増殖は不快感を引き起こす可能性がある。
【0018】
したがって、頭皮及び毛髪の美容的処置のための方法を開発することが実際に必要とされており、この方法は、頭皮の非常に独特な微生物共生細菌叢のバランスを維持又は回復することを可能にし、その一方で、刺痛、痒み及び/又は加熱感などの頭皮の不快感の望ましくない影響を低減することを可能にし、実際には更には排除することを可能にし、一方で、このタイプの方法に関して消費者の期待に一致する清潔で、脂ぎらず、非粘着性の感触を毛髪及び根に保持する。
【0019】
ここで、少なくとも1つの特定の酸化防止剤、少なくとも1つのビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)種溶解物及び水を含む組成物を、50質量%~98質量%の範囲の総含有量で適用することを含む、頭皮及び/又は毛髪の美容的処置のための方法が、上記の目的、特に、頭皮の微生物叢のバランスを維持し、実際には回復させることと、同時に頭皮に鎮静効果を与え、皮脂の酸化を制限することとを達成することを可能にしたことが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0020】
したがって、本発明の主題は、アスコルビン酸及びその誘導体から選択される1つ又は複数の酸化防止剤、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)種の1つ若しくは複数の微生物、その画分の1つ、その代謝産物の1つ、又はこれらの混合物であって、溶解物形態である微生物、及び組成物の総質量に対して50質量%~98質量%の範囲の総含有量の水を含む組成物を頭皮及び/又は毛髪に適用することを含む、頭皮及び/又は毛髪の美容的処置のための方法である。
【0021】
本発明による方法は、特に、頭皮の共生微生物叢のバランスを維持し、実際には回復させることを可能にし、同時に皮脂の酸化に関連する刺激及びかゆみを軽減することができる抗酸化効果を提供する。
【0022】
本発明による方法は、頭皮に対する鎮静及び抗酸化効果を提供する。これはまた、汚染に起因する粒子の頭皮及びは毛髪への付着を制限することを可能にする。
【0023】
本発明の方法を実施した後、皮膚、特に頭皮の微生物叢は、こうして強化され、実際にはリバランスさえするが、外部からの攻撃から自身をより良好に防御し、不快感に対抗することができる。
【0024】
本発明による方法は更に、脂っぽい外観も乾いた外観も示さず、清潔で自然な感触を有する美しい毛髪を得ることを可能にする。
【0025】
更に、本発明による方法は、毛髪に良好な美容特性を付与することを可能にし、特に滑らかな感触で容易にもつれが解ける、光沢がありしなやかな毛髪を得ることを可能にする。ケラチン繊維に対するこれらの効果は、本発明の組成物をケラチン繊維又は頭皮に適用することによって得ることができる。
【0026】
本発明による組成物はまた、特に毛髪のボリュームを改善するという点で、毛髪にコンディショニング特性を付与することを可能にする。加えて、毛髪は、自然で清潔な感触及び外観を有する。
【0027】
本発明による方法で使用される組成物は、有利には透き通っており、又は更には透明であり、これにより、使用者にとって特に魅力的な美的外観を与える。
この組成物は、更に、頭皮へのその(流れない製品であって、集合することができる製品)適用(したがって、本発明の方法の実施)を容易にするゲルテクスチャ又は美容液タイプのテクスチャを提供することができる。
【0028】
好ましくは、本発明による美容的処置法は、頭皮及び/又は毛髪、有利には頭皮をケア及び/又はコンディショニングするための方法である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の他の主題、特性、態様及び利点は、以下の説明及び実施例を読むことにより、更により明確になるであろう。
【0030】
以下の点において、そして特段の指示がない限り、特に「~の間の」及び「~から~までの範囲の」という語句において、値の範囲の端点はこの範囲内に含まれる。
【0031】
更に、本記載において使用される表現「少なくとも1つ」は、表現「1つ又は複数」と均等である。
【0032】
更に、「X OEで構成される」という用語は、本発明の意味の範囲内で、1分子当たりX個のオキシエチレン単位を含むオキシエチレン化化合物を意味すると理解される。
【0033】
酸化防止剤
本発明による方法で使用される組成物は、アスコルビン酸及びその誘導体、特にそのエステルから選択される1つ又は複数の酸化防止剤を含む。
【0034】
「酸化防止剤」という用語は、本発明の意味の範囲内で、酸化防止剤と接触した際に他の化学物質の酸化を減速又は防止する薬剤を意味すると理解される。
【0035】
有利には、酸化防止剤は、パルミチン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルマグネシウム及びアスコルビルグルコシド並びにこれらの混合物から選択される。
【0036】
好ましくは、酸化防止剤は、アスコルビン酸、その誘導体、及びこれらの混合物から選択され、より優先的には、酸化防止剤はアスコルビルグルコシドである。
【0037】
本発明による組成物中に存在する酸化防止剤(i)の総含有量は、組成物の総質量に対して、好ましくは0.05質量%~10質量%、より優先的には0.1質量%~10質量%、より良好には0.5質量%~10質量%、更により良好には0.7質量%~5質量%、実際には0.8質量%~質量3%の範囲である。
【0038】
本発明の好ましい代替形態では、酸化防止剤はアスコルビルグルコシドであり、組成物中に存在するアスコルビルグルコシドの総含有量は、組成物の総質量に対して、好ましくは0.05質量%~10質量%、より優先的には0.1質量%~10質量%、より良好には0.5質量%~10質量%、更により良好には0.7質量%~5質量%、実際には0.8質量%~3質量%の範囲である。
【0039】
ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)種の微生物
本発明による方法で使用される組成物は、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)種の1つ又は複数の微生物、その画分の1つ、その代謝産物の1つ、又はこれらの混合物を更に含み、微生物は溶解物形態である。
【0040】
「代謝産物」という用語は、本発明の意味の範囲内で、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)種の微生物の代謝から生じ、頭皮を酸化ストレスから保護するのに有効な任意の物質を意味すると理解される。
【0041】
「画分」という用語は、本発明の意味の範囲内で、微生物全体と同様に、頭皮を酸化ストレスから保護するのに有効な微生物の断片を意味すると理解される。
【0042】
溶解物は一般に、細胞溶解と呼ばれる現象による生体細胞の破壊又は溶解(これにより当該微生物の細胞に天然に含まれる細胞内生物学的成分の放出が引き起こされる)の後に得られる物質を意味する。
【0043】
本発明の文脈においては、「溶解物」という用語は、当該微生物の溶解によって得られる溶解物の全て、又は溶解物の画分のみを示すために、優先度なしで使用される。したがって、使用される溶解物は、細胞内の生物学的成分並びに壁及び細胞膜の成分から完全に又は部分的に形成される。
【0044】
より具体的には、溶解物は、乳酸デヒドロゲナーゼ、ホスファターゼ、ホスホケトラーゼ又はトランスアルドラーゼなどの酵素、及び代謝産物を含む細胞の細胞質画分を含む。例示として、細胞壁の成分は特に、ペプチドグリカン、ムレイン又はムコペプチド及びテイコ酸であり、細胞膜の成分は、グリセロリン脂質から構成される。
【0045】
この細胞溶解は、様々な技術によって、例えば浸透圧ショックによって、熱ショックによって、超音波によって、又は機械的ストレス下で、例えば遠心分離によって行うことができる。より詳細には、この溶解物は、米国特許第4464362号明細書に記載の技術に従って、とりわけ以下のプロトコルに従って得ることができる。
【0046】
ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)種の微生物は、好ましくは、例えば、文献米国特許第4464362号明細書及び欧州特許第43128号明細書に記載されている条件に従って、適切な培地中で嫌気性条件下で培養される。成長の定常期に達すると、例えば60~65℃の範囲の温度で30分間の低温殺菌によって培地を不活性化することができる。このようにして形成された微生物は、その後、膜濾過又は遠心分離などの従来の分離技術によって回収され、次いで、NaClの滅菌生理学的溶液に再懸濁される。
【0047】
その後、細胞質画分、細胞壁断片、及び代謝により得られた産物を放出するように、上記で得られた溶液を超音波分解することによって、これらの微生物の溶解物を得ることができる。その後、それらの天然分布中の全ての成分を弱酸性水溶液中で安定化させる。この方法によって得られた溶解物中に存在する活性物質の総含有量は、溶解物の総質量に対して、好ましくは0.1質量%~50質量%、より優先的には1質量%~20質量%の範囲であり、より良好にはこの含有量は5質量%である。
【0048】
溶解物は、様々な形態、特に溶液の形態又は粉末形態で使用することができる。
【0049】
好ましくは、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)種の微生物は、以下の種から選択される:ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ブレーべ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、又はビフィドバクテリウム・シュードバクテリウム(Bifidobacterium pseudobacterium)及びこれらの混合物。
【0050】
より優先的には、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)種の微生物はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)である。
【0051】
本発明の意味の範囲内で使用することができる溶解物として、INCI名:ビフィズス菌培養溶解質(Bifida Ferment Lysate)を有する成分を特に挙げることができる。
【0052】
例として、特に、K.Richter GmbHによってRepair Complex CLR(登録商標)という名称で販売されており、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)種の不活性化溶解物で形成されている製品を挙げることができる。
【0053】
本発明の方法で使用される組成物中に存在するビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)種の微生物の溶解物の乾燥抽出物として表される総含有量は、組成物の総質量に対して、好ましくは0.001質量%~20質量%、より優先的には0.01質量%~10質量%、より良好には0.05質量%~5質量%、更により良好には0.1質量%~2質量%の範囲である。
【0054】
サッカロミセス属(Saccharomyces)の酵母の抽出物
本発明による方法で使用される組成物は、必要に応じてサッカロミセス属(Saccharomyces)の酵母の1つ又は複数の抽出物を更に含むことができる。
【0055】
酵母は、酵母を培養するための従来の培地(例えば、10g/lの酵母エキス、ペプシンによって消化された7g/lのペプトン、20g/lのグルコース及び1リットルに達するのに十分な量の水)中で培養することによって調製することができる。
【0056】
優先的には、水性酵母抽出物、即ち、良好な製造慣習に従う不可避の損失を受ける酵母抽出物は、酵母の溶解及び膜細片の濾過による除去後に、酵母の全ての水溶性成分を含有するものが選択される。この水性酵母抽出物は、優先的に再溶解される。
【0057】
好ましくは、本発明のサッカロミセス属(Saccharomyces)の酵母の水性抽出物は、サッカロミセス属(Saccharomyces)の酵母全体を水(好ましくは蒸留水)に溶解して調製される。このようにして得られた懸濁液を、続いてタンパク質の加水分解に供する。次いで、この加水分解後に得られた溶液の可溶性相及び不溶性相を分離し、可溶性相を回収する。この可溶性相を、続いて滅菌に供する。
【0058】
本発明の優先的実施形態では、このようにして得られた水性酵母抽出物を、その後、任意選択で乾燥させ、粉末形態で提供することができる。好ましくは粉末形態の抽出物はまた、溶液中(使用される用語は溶液中の酵母抽出物である)、特に水性/アルコール性溶液中、好ましくは水性/アルコール性溶液中、より優先的には水性/グリコール溶液中(例えば、水とペンチレングリコールの混合物から構成される溶液)に入れることもできる。この溶液中に存在する水性酵母抽出物の含有量は、当該溶液の総質量に対して、好ましくは0.5質量%~8質量%、より優先的には2質量%~7質量%、より良好には3質量%~5質量%の範囲である。
【0059】
本発明で使用される酵母抽出物は、好ましくは水を含み、水の含有量は、当該抽出物の総質量に対して、有利には50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より優先的には70質量%以上、より良好には80質量%以上である。
【0060】
有利には、本発明に従って使用することができる溶液中の酵母抽出物は、以下の特徴に対応する:
-pHが5~8、好ましくは6~7、及び/又は
-溶液1リットル当たり20~60g(g/l)、好ましくは20~50g/l、より優先的には25~35g/lの糖、及び/又は
-10~60g/l、好ましくは20~50g/l、より優先的には37~47g/lの固形分(又は乾燥物質)濃度。
【0061】
この水性酵母抽出物を調製するために使用される酵母全体の集団、即ち加水分解及び/又は滅菌の前の集団は、優先的には1ミリリットルの酵母水溶液当たり105~1010コロニー形成単位(即ちcfu/ml)である。
【0062】
本発明の組成物に使用することができる水性酵母抽出物は、好ましくは以下の特徴を示す:
-酵母抽出物の総質量に対して、5質量%~15質量%、好ましくは6質量%~12質量%、より優先的には7質量%~10質量%の範囲の(ケルダール法による)総窒素含有量、及び/又は、
-酵母抽出物の総質量に対して、2質量%~10質量%、好ましくは3質量%~7質量%、より優先的には4質量%~6質量%の範囲の(Soerensen法による)遊離アミノ酸の総含有量、及び/又は
-当該抽出物中に存在する、0.4~0.7、好ましくは0.4~0.6、より優先的には0.5~0.6の範囲である同化可能なアミノ窒素の総含有量と総窒素含有量との間の質量比。
【0063】
タンパク質の加水分解は、化学的若しくは酸性加水分解によって、又は天然酵母酵素の使用によって優先的に行われる。この加水分解は、好ましくは、酵母の溶解後に酵母溶液中に存在する全タンパク質の少なくとも60%、より優先的には少なくとも80%、より良好には少なくとも90%にわたって行われる。
【0064】
タンパク質の加水分解後に得られる可溶性相及び不溶性相の分離は、所望の抽出物の性質に応じて当業者に公知の任意の手段によって実施することができる。この相の分離は、例えば、濾過、デカンテーション又は遠心分離によって実施することができ、濾過が優先的な手段である。この可溶性相及び不溶性相の分離の後に、可溶性相が回収される。
【0065】
滅菌は、当業者に公知の任意の手段によって、特に滅菌濾過によって実施することができる。後者は、メンブレンフィルタを使用することによって優先的に行われ、メンブレンフィルタの孔のサイズは、除去することが望ましいメンブレン要素のサイズの関数として選択され、この技術は当業者に周知である。
【0066】
この滅菌段階に続いて、得られた水性酵母抽出物を乾燥させて粉末形態で提供することができる。この乾燥はまた、当業者に公知の任意の手段、例えば、蒸発、凍結乾燥又は噴霧乾燥によって実施することができる。
【0067】
本発明で使用される本発明のサッカロミセス属(Saccharomyces)の酵母は、好ましくは以下の種から選択される:サッカロミセス・バイリー(Saccharomyces bailii)、サッカロミセス・カールスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、サッカロミセス・ウバルム(Saccharomyces uvarum)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス・デルブルエッキイー(Saccharomyces delbrueckii)、サッカロミセス・イグジグース(Saccharomyces exiguus)、サッカロミセス・ファーメンタティ(Saccharomyces fermentati)、サッカロミセス・フロレンチヌス(Saccharomyces florentinus)、サッカロミセス・フラギリス(Saccharomyces fragilis)サッカロミセス・フラクツーム(Saccharomyces fructuum)、サッカロミセス・ヘテロジニカス(Saccharomyces heterogenicus)、サッカロミセス・オレアギノーサス(Saccharomyces oleaginosus)、サッカロミセス・ロゼイ(Saccharomyces rosei)、サッカロミセス・ステイネリ(Saccharomyces steineri)、サッカロミセス・ブラウディ(Saccharomyces boulardii)、サッカロミセス・ケフィア(Saccharomyces kefir)、サッカロミセス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)、及びこれらの混合物。
【0068】
より優先的には、サッカロミセス属(Saccharomyces)の酵母は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)種の酵母である。
【0069】
このような化合物は、INCI名:酵母抽出物(Yeast Extract)で特に知られている。
【0070】
有利には、本発明の組成物中に存在するサッカロミセス属(Saccharomyces)の酵母の抽出物は、生酵母を含まない。
【0071】
本発明に従って使用することができるサッカロミセス属(Saccharomyces)の酵母の抽出物の例は、SilabによってFirmalift(登録商標)GRVという名称で販売されている。この抽出物のCAS番号は8013-01-2であり、そのEINECS/ELINCS番号は232-387-9である。この抽出物は、水/ペンチレングリコール混合物中の溶液の形態で提供される。
【0072】
本発明による方法で使用される組成物中に存在する場合、サッカロミセス属(Saccharomyces)の酵母の抽出物の総含有量は、組成物の総質量に対して、好ましくは0.001質量%~5質量%、より優先的には0.01質量%~1質量%、より良好には0.02質量%~0.5質量%の範囲である。
【0073】
単糖
本発明による方法で使用される組成物は、必要に応じて1つ又は複数の単糖を更に含むことができる。
【0074】
「単糖」という用語は、本特許出願の意味の範囲内で、xが3以上、好ましくは5以上の整数である式Cx(H2O)xの少なくとも3個の炭素原子、好ましくは少なくとも5個の炭素原子を含む単糖の糖を意味すると理解され、好ましくは、xは6以上であり、特にxは5~7(両端を含む)であり、好ましくはx=6であり、それらは、D又はL立体配置のもの、及びα又はβアノマー、並びにそれらの塩及び水和物などのそれらの溶媒和物のものであってもよい。
【0075】
好ましくは、単糖は、マンノース、ラムノース、並びにそれらのα又はβアノマー、L又はD配置のそれらの光学異性体、それらの溶媒和物、例えば水和物、及びこれらの混合物から選択される。
【0076】
より優先的には、単糖は、マンノース、ラムノース及びこれらの混合物、より良好にはマンノースから選択される。
【0077】
マンノースは、6個の炭素原子からなる単糖(単純な非加水分解性糖)であり、それは、ヘキソースである。その経験式は、グルコースの経験式と同一のC
6H
12O
6であり、そのうちのC2エピマーである(即ち、その空間的配置は、グルコースと比較して反転している2位の炭素の置換基を除いて、厳密に同じである)。マンノースは、以下の式(I)に対応し、これはまた、そのエナンチオマーを包含する。
【化1】
【0078】
マンノースは、溶媒和形態(水和物を含む)及びDL-マンノースと呼ばれるD及びL立体異性体の混合物の形態で提供することもできる。
【0079】
好ましくは、単糖は、以下の式(II)のD-マンノースである。
【化2】
【0080】
D-マンノースは、植物中、特にクランベリーを含む特定の果物中、又はブナ及びカバノキなどの硬材に天然に存在する。
【0081】
本発明に適したD-マンノースの例として、Danisco Sweeteners(登録商標)又はSymrise(登録商標)によって販売されているD-マンノースに特に言及することができる。
【0082】
ラムノース(又は6デオキシマンノース)は、C6でのマンノースの脱酸素生成物を形式的に構成する。ラムノースは、天然ではL型で見られる。L-ラムノース製品は、例えば、Danisco Sweeteners(登録商標)及びSymriseによっても販売されている。
【0083】
好ましくは、単糖は、マンノース、並びにそのα又はβアノマー、L又はD配置のその光学異性体、その溶媒和物、及びこれらの混合物から選択される。より優先的には、単糖はD-マンノースである。
【0084】
本発明の方法で使用される組成物中に存在する場合、単糖の総含有量は、組成物の総質量に対して、好ましくは0.01質量%~20質量%、より優先的には0.05質量%~10質量%、より良好には0.1質量%~5質量%の範囲である。
【0085】
好ましくは、本発明の方法で使用される組成物が、好ましくはマンノース、ラムノース、並びにそれらのα又はβアノマー、L又はD配置のそれらの光学異性体、それらの溶媒和物、例えば水和物、及びこれらの混合物から選択される1つ又は複数の単糖を含む場合、本発明の組成物中に存在する酸化防止剤の総含有量と単糖の総含有量との間の質量比は1以上であり、より優先的には1~5の範囲である。
【0086】
より良好には、本発明の方法で使用される組成物がアスコルビルグルコシド及びマンノースを含む場合、本発明の組成物中に存在するアスコルビルグルコシドの総含有量とマンノースの総含有量との間の質量比は、好ましくは1以上であり、より優先的には1~5の範囲である。
【0087】
好ましい実施形態によれば、本発明の方法で使用される組成物は、好ましくはマンノース、ラムノース、並びにそれらのα又はβアノマー、L又はD配置のそれらの光学異性体、水和物などのそれらの溶媒和物、及びこれらの混合物から、より良好にはマンノース、並びにそのα又はβアノマー、L又はD配置のその光学異性体、水和物などのその溶媒和物、及びこれらの混合物から選択される1つ又は複数の単糖を含む。
【0088】
追加の糖類
本発明による方法で使用される組成物は、オリゴ糖、多糖、及びこれらの混合物から選択される、上記で定義された単糖とは異なる1つ又は複数の追加の糖類を更に含むことができる。
【0089】
「多糖」という用語は、本発明の意味の範囲内で、サッカライド結合によって共に連結された、上で定義されたような単糖のいくつかの単位nから構成されるポリマーである複合糖質を意味すると理解され、数nは11以上、好ましくは11~200、より優先的には11~100、より良好には20~80である。多糖の例として、イヌリンについて特に言及することができる。
【0090】
「オリゴ糖」という用語は、本発明の意味の範囲内で、1つ又は複数のα又はβグリコシド結合を介して、上で定義されたような単糖のいくつかの単位nから構成されるオリゴマーを意味すると理解され、数nは2~10、好ましくは2~6である。オリゴ糖の例として、フラクトオリゴ糖、グルコオリゴ糖、大豆由来オリゴ糖、ピロデキストリン、イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖及びトランスガラクトオリゴ糖を特に挙げることができる。
【0091】
好ましくは、追加の糖類は、イヌリン、フラクトオリゴ糖、グルコオリゴ糖、大豆由来オリゴ糖、ピロデキストリン、イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、トランスガラクトオリゴ糖、及びこれらの混合物から選択される。
【0092】
本発明で使用できるオリゴ糖及び多糖は、炭水化物である。
【0093】
使用することができるオリゴ糖及び多糖は、特にグルコース、ガラクトース、キシロース、マルトース、スクロース、ラクトース、デンプン、キシラン、ヘミセルロース、イヌリン、ガム、特にアカシアガム、又はこれらの混合物から製造することができる。
【0094】
例として、以下のオリゴ糖及び/又は多糖が挙げられる。
【0095】
-イヌリン
イヌリンは、植物、特にキクイモ(Jerusalem artichoke)及びチコリ(chicory)の根茎で特に豊富であり、それらから工業的に抽出される。イヌリンは、ダリア球根(dahlia bulbs)及びゴボウ(burdock)などのキク科(Asteraceae)に属する他の植物でも見られる。イヌリンは、可溶性食物繊維と考えられる。
【0096】
イヌリンは一般式(III):GFnの多分散直鎖ポリマーであり(以下にも表される)、式中、Gはグルコース単位であり、Fはフルクトース単位であり、nは2~60、実際には60超まで様々であり、フルクトース単位はβ(2→1)結合によって共に連結されている。したがって、イヌリンは、グルコース単位を末端とするフルクトース単位の鎖に対応する。
【化3】
【0097】
使用することができ、且つ市販されているイヌリンの中で、特に、OraftiからのInutec H25P(n=2~7)及びInutec N25(平均n=25)を挙げることができる。
【0098】
-フラクトオリゴ糖
オリゴフルクトース又はオリゴフルクタンとも呼ばれるフラクトオリゴ糖(又はFOS)は、β-1,2結合によって一緒に連結したフルクトースの短鎖である。フラクトオリゴ糖(又はFOS)は、一般式:G(F)nに対応し、式中、Gはグルコース単位であり、Fはフルクトース単位であり、nは1~10の範囲である。
【0099】
フラクトオリゴ糖(FOS)は、
-イヌリン(例えば、Orafti-BelgiumからのRaftilose(登録商標))の部分的な酵素加水分解、又は
-スクロース(例えば、Beghin Meiji Industries-FranceからのActilight(登録商標))から出発する酵素合成、又は
-ヤーコン(yacon)若しくはヒカマ(jicama)(Polymnia sonchifolia、同義語:Smallanthus sonchifolia)からの抽出によって製造され、特に、抽出は、溶媒の不在下でヤーコン(yacon)塊茎の常温圧縮によって実行される。
【0100】
本発明で使用できるフラクトオリゴ糖(FOS)は、好ましくはFOS混合物である。特に、Quantum Hi-TechからのQuantom FOS95又はBeghin Meiji Industries-FranceからのActilight(登録商標)などのGF2+GF3+GF4混合物が記載され得、後者は、37%のGF2、53%のGF3及び10%のGF4の混合物に対応する。
【0101】
-グルコオリゴ糖
グルコオリゴ糖(GOS)又はオリゴグルカンは、α-1,2;α-1,3;又はα-1,4結合を含有することもできるα-1,6-結合グルコース単位の配列から構成されるオリゴ糖である。それらは、グルカンスクラーゼのファミリーの酵素によって触媒されるトランスグルコシル化反応によって合成される。
【0102】
好ましくは、グルコオリゴ糖は、α-1,6-及びα-1,2-結合グルコース単位の配列から構成されるオリゴ糖である。
【0103】
有利には、グルコース単位の数は、2~10、好ましくは4~6であり、より優先的にはグルコース単位の数は4である。
【0104】
加えて、グルコオリゴ糖は、グリコシルトランスフェラーゼ型の特定の酵素によって触媒される反応であるグルコース分子の重合によって合成することができ、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)の細菌株から抽出及び精製することができる。この反応は、アクセプター:マルトース(グルコース-グルコース)の使用と、グルコースのドナー:スクロース(グルコース-フルクトース)の使用とを必要とする。
【0105】
好ましい実施形態では、グルコオリゴ糖(GOS)は以下の式(V)を有する:
【化4】
【0106】
使用可能であり、且つ市販されているGOSの中で、Solabiaからの製品Bioecolia(登録商標)を挙げることができる。
【0107】
-大豆由来オリゴ糖
これらのオリゴ糖は、大豆から直接抽出されて、酵素処理を全く必要としない。それらは、ラフィノース及びスタキオースを天然に含有し、その式は以下の通りである:
[α-D-GaI-(1→6)-]m-α-D-Glu-(1→2)-β-D-Fru、ただし、ラフィノースについてはm=1、スタキオースについてはm=2である。
【0108】
特に、使用可能なオリゴ糖の中でも、カルピス食品工業(日本)のSoya-oligoが挙げられる。
【0109】
-ピロデキストリン
ピロデキストリンは、デンプンの加水分解からのオリゴ糖の混合物である。
【0110】
-イソマルトオリゴ糖
イソマルトオリゴ糖はデンプンから製造される。これらはα-(1,6)結合グルコースオリゴマーであり、その重合度は2~5である。例として、昭和産業株式会社のIsomalto900Pを使用することができる。
【0111】
-キシロオリゴ糖
キシロオリゴ糖は、β-(1,4)結合で連結されたキシロース単位から構成されるオリゴ糖である。例として、サントリー株式会社のXylo95Pを使用することができる。
【0112】
-トランスガラクトオリゴ糖
トランスガラクトオリゴ糖(又はTOS)は、ラクトースの発酵によって得られる化学構造α-D-グルコース-(1→4)-[β-D-ガラクトース-(1→6)-]n(nは2~5である)のガラクトースの直鎖オリゴマーである。
【0113】
一例として、株式会社ヤクルト本社(日本)のTOS100を使用することができる。
【0114】
本発明の方法で使用される組成物中に存在する場合、オリゴ糖、多糖、及びこれらの混合物から選択される単糖とは異なる追加の糖類の総含有量は、組成物の総質量に対して、好ましくは0.01質量%~20質量%、より優先的には0.05質量%~20質量%、より良好には0.05質量%~10質量%、更により優先的には0.05質量%~5質量%、実際には0.1質量%~2質量%の範囲である。
【0115】
本発明の好ましい実施形態によれば、本方法で使用される組成物は、オリゴ糖、多糖、及びこれらの混合物から選択される、単糖とは異なる1つ又は複数の追加の糖類を含む。
【0116】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、本方法で使用される組成物は、少なくとも1つのオリゴ糖及び/又は少なくとも1つの多糖の混合物を含む。言い換えれば、組成物は、少なくとも2つのオリゴ糖の混合物、少なくとも2つの多糖の混合物、又は少なくとも1つのオリゴ糖及び少なくとも1つの多糖の混合物を含むことができる。
【0117】
この実施形態の第1の代替形態によれば、組成物は、同じタイプの少なくとも2つのオリゴ糖の混合物を含む。例えば、上記の通り、FOSの混合物、特にQuantum Hi-TechからのQuantom FOS95又はBeghin Meiji Industries-FranceからのActilight(登録商標)などのGF2+GF3+GF4の混合物を使用することができ、後者は、37%のGF2、53%のGF3及び10%のGF4の混合物に対応する。
【0118】
この実施形態の第2の代替形態によれば、組成物は、オリゴ糖及び/又は異なるタイプの多糖の混合物を含む。本発明は、特にイヌリンと、GOS、FOS、大豆由来オリゴ糖、ピロデキストリン、イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖及び/又はトランスガラクトオリゴ糖との混合物の使用に関する。好ましくは、イヌリンとGOSの混合物、例えばGova Ingredients製のBiolineを使用する。組成物はまた、GOSとFOSとの混合物を含むことができる。
【0119】
好ましくは、実施形態のこの第2の代替形態によれば、本発明による組成物は、
-少なくとも1つのグルコオリゴ糖(GOS)と、
-少なくとも1つのフラクトオリゴ糖(FOS)と、を含むオリゴ糖の混合物を含み、
グルコオリゴ糖の総含有量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~10質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より優先的には0.05質量%~5質量%、より良好には0.1質量%~1質量%、更により優先的には0.2質量%~0.8質量%の範囲であり、
フラクトオリゴ糖(FOS)の総含有量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~5質量%、好ましくは0.01質量%~0.02質量%、より優先的には0.01質量%~1%、より良好には0.01質量%~0.5質量%、更により優先的には0.05質量%~0.3質量%の範囲である。
【0120】
有利には、本発明の特定の実施形態のこの第2の代替形態では、本発明による組成物は、
-少なくとも1つのグルコオリゴ糖(GOS)と、
-少なくとも1つのフラクトオリゴ糖(FOS)と、を含むオリゴ糖の混合物を含み、
グルコオリゴ糖の総含有量とフラクトオリゴ糖の総含有量との質量比([GOS/FOS]比)は2以上である。好ましくは、この質量比は、2~4、より優先的には3~4の範囲である。
【0121】
特に、プレバイオティックオリゴ糖と、SolabiaによってEcoskin(登録商標)の名称で販売されるプロバイオティック微生物との混合物を使用することができる。当該混合物は、特に、
-混合物の総質量に対して60質量%~80質量%の少なくとも1つのグルコオリゴ糖(GOS)と、
-混合物の総質量に対して10質量%~25質量%の少なくとも1つのフラクトオリゴ糖(FOS)と
を含む。
【0122】
特に、当該混合物は、70質量%のグルコオリゴ糖(GOS)、19質量%のヤーコン(Polymnia sonchifolia)塊茎汁、1質量%のラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)及びラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、10質量%のマルトデキストリンを含む。
【0123】
プロバイオティック微生物
本発明による方法で使用される組成物は、上記で定義されたビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)種の微生物とは異なる1つ又は複数のプロバイオティック微生物を任意に更に含むことができる。
【0124】
「プロバイオティック微生物」という用語は、本発明の意味の範囲内で、適切な量で消費される場合、その宿主の健康に対してプラスの効果を有し(「Joint FAO/WHO Expert Consultation on Evaluation of Health and Nutritional Properties of Probiotic in Food Including Powder Milk with Live Lactic Acid Bacteria,6 October 2001」)、且つ特に腸内微生物バランスを改善し得る、生きている微生物を意味すると理解される。
【0125】
ケラチン材料、特に皮膚又は頭皮などのヒトのケラチン材料の場合、当該プロバイオティック微生物は、適切な量でケラチン材料に適用されると、当該ケラチン材料の審美的品質にプラスの効果を有するプロバイオティック微生物である。
【0126】
好ましくは、本発明に従って使用することができるプロバイオティック微生物は、乳酸菌、例えば特にラクトバチルス(Lactobacillus)及びこれらの混合物の群からのプロバイオティック微生物から選択される。これらの乳酸菌の例示として、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、及びこれらの混合物をより具体的に挙げることができる。
【0127】
有利には、プロバイオティック微生物は、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・アリメンタリウス(Lactobacillus alimentarius)、ラクトバチルス・カルバタス(Lactobacillus curvatus)、ラクトバチルス・デルブレッキー亜種ラクティス(Lactobacillus delbrueckii subsp.lactis)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ラムノースス(Lactobacillus rhamnosus)(ラクトバチルス(Lactobacillus)GG)、ラクトバチルス・サケ(Lactobacillus sake)、ラクトバチルス・ラクティス(Lactobacillus lactis)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ラクトバチルス・デルブレッキー(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・ブチネリ(Lactobacillus buchneri)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・ロンガム(Lactobacillus longum)及びこれらの混合物から選択される。
【0128】
プロバイオティック微生物は、生存形態、半活性形態又は不活化(死滅)形態で、本発明による組成物に含まれ得る。それらは、細胞成分のフラクションの形態又は代謝産物の形態でも含まれ得る。プロバイオティック微生物、又は代謝産物若しくは画分は、凍結乾燥粉末、培養上清の形態及び/又は適切な場合には濃縮した形態でも導入することができる。
【0129】
本発明の優先的実施形態によれば、これらの微生物は不活化形態である。
「不活性型」、「再生不可能型」及び「死滅型」という用語は、本明細書において同義である。「半活性形態で」の細菌は、予想される病原性を部分的又は完全に失った細菌である。
【0130】
本発明による方法で使用される組成物中に存在する場合、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)種の微生物とは異なるプロバイオティック微生物の総含有量は、有利には、組成物の総質量に対して、0.0001質量%~20質量%、好ましくは0.0001質量%~10質量%、より優先的には0.001質量%~5質量%、より良好には0.001質量%~1質量%の範囲である。
【0131】
この又はこれらの微生物は、本発明による組成物中に、生存形態、半生存形態又は不活化(死滅)形態で、好ましくは、例えば熱又は高圧による不活化形態で含まれ得る。
【0132】
微生物が生存形態で組成物中に製剤化される場合、生きている微生物の量は、好ましくは103~1015cfu/g、より優先的には105~1015cfu/g、より良好には107~1012cfu/gの組成物1グラムあたりの微生物の範囲であり得る。
【0133】
特に好ましい実施形態では、本発明による方法で使用される組成物は、
-1つ又は複数のグルコオリゴ糖(GOS)、及び
-1つ又は複数のフラクトオリゴ糖(FOS)を含むオリゴ糖の混合物を含み、
グルコオリゴ糖の総含有量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~10質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より優先的には0.05質量%~5質量%、より良好には0.1質量%~1質量%、更により優先的には0.2質量%~0.8質量%の範囲であり、
フラクトオリゴ糖の総含有量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~5質量%、好ましくは0.01質量%~0.01質量%、より優先的には0.01質量%~1%、より良好には0.01質量%~0.5質量%、更により優先的には0.05質量%~0.3質量%の範囲である。
【0134】
この実施形態によれば、本発明の方法で使用される組成物は、好ましくは、ラクトバチルス属(Lactobacillus)の細菌、より優先的にはラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)及びこれらの混合物から選択される1つ又は複数のプロバイオティック微生物を更に含み、プロバイオティック微生物の総含有量は、組成物の総質量に対して有利には0.0001質量%~10質量%、好ましくは0.001質量%~5質量%、より優先的には0.001質量%~1質量%の範囲である。
【0135】
有利には、本発明による方法で使用される組成物は、
-1つ又は複数のグルコオリゴ糖(GOS)、及び
-1つ又は複数のフラクトオリゴ糖(FOS)を含むオリゴ糖の混合物を含み、
グルコオリゴ糖の総含有量とフラクトオリゴ糖の総含有量との質量比([GOS/FOS]比)は2以上である。好ましくは、この質量比は、2~4、より優先的には3~4の範囲である。
【0136】
特に、例として、プレバイオティックオリゴ糖と、SolabiaによってEcoskin(登録商標)の名称で販売されるプロバイオティック微生物との混合物を使用することができる。当該混合物は、特に、
-混合物の総質量に対して、60質量%~80質量%の少なくとも1つのグルコオリゴ糖(GOS)、
-混合物の総質量に対して、10質量%~25質量%の少なくとも1つのフラクトオリゴ糖(FOS)、並びに
-混合物の総質量に対して、0.001質量%~15質量%である、特にラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つのプロバイオティック微生物を含む。
【0137】
特に、当該混合物は、70質量%のグルコオリゴ糖(GOS)、19質量%のヤーコン(Polymnia sonchifolia)塊茎汁、1質量%のラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)及びラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、10質量%のマルトデキストリンを含む。
【0138】
非イオン性界面活性剤
本発明による方法で使用される組成物は、必要に応じて1つ又は複数の非イオン性界面活性剤を更に含むことができる。
【0139】
これらの界面活性剤は、特に、組成物の明澄性又は透明性の保持に寄与することができる。
【0140】
本発明の組成物に使用することができる非イオン性界面活性剤の例は、例えば、M.R.Porter著のHandbook of Surfactants、Blackie&Son(Glasgow and London)出版、1991年発行の116~178ページに記載されている。それらは、特に、脂肪族であるアルコール、α-ジオール又は(C1~C20)アルキルフェノール又は酸から選択され、これらの化合物は、ポリエトキシ化、ポリプロポキシ化又はポリグリセロール化されており、例えば、8~18個の炭素原子を含む少なくとも1個の脂肪鎖を有し、エチレンオキシド基又はプロピレンオキシド基の数を特に1~100の範囲とすることが可能であり、グリセロール基の数を特に1~30の範囲とすることが可能である。
【0141】
本発明に従って使用することができる非イオン性界面活性剤の例として、以下の非イオン性界面活性剤を挙げることができる:
-オキシアルキレン化(C8~C24)アルキルフェノール、
-飽和又は不飽和で直鎖又は分岐鎖のオキシアルキレン化又はグリセロール化C8~C40アルコール、
-飽和又は不飽和で直鎖又は分岐鎖のオキシアルキレン化C8~C30脂肪酸アミド、
-飽和又は不飽和で直鎖又は分岐鎖のC8~C30酸とポリオール又はポリエチレングリコールとのエステル、
-飽和又は不飽和で直鎖又は分岐鎖のC8~C30酸とソルビトールとの、好ましくはオキシエチレン化されたエステル、
-脂肪酸とスクロースとのエステル;
-場合により(0個~10個のオキシアルキレン単位で)オキシアルキレン化されており、1個~15個のグルコース単位を含む、(C8~C30)アルキル(ポリ)グルコシド、(C8~C30)アルケニル(ポリ)グルコシド、(C8~C30)アルキル(ポリ)グルコシドのエステル、
-飽和又は不飽和のオキシエチレン化植物油、
-エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの縮合物、
-N-(C8~C30)アルキルグルカミン及びN-(C8~C30)アシルメチルグルカミン誘導体、
-アルドビオンアミド(aldobionamide)、
-アミンオキシド、
-オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化シリコーン、
-並びにこれらの混合物。
【0142】
オキシアルキレン単位は、より詳細にはオキシエチレン若しくはオキシプロピレン単位、又はこれらの組み合わせであり、好ましくはオキシエチレン単位である。
【0143】
エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドのモル数は、好ましくは1~250、より詳細には2~100、より良好には2~50の範囲であり、グリセロールのモル数は、特に1~50、より良好には1~10の範囲である。
【0144】
有利には、本発明による非イオン性界面活性剤は、オキシプロピレン単位を一切含まない。
【0145】
グリセロール化非イオン性界面活性剤の例として、1~50molのグリセロール、好ましくは1~10molのグリセロールを含むモノグリセロール化又はポリグリセロール化C8~C40アルコールを使用することが好ましい。
【0146】
グリセロール化アルコールのうち、1molのグリセロールを有するC8/C10アルコール、1molのグリセロールを有するC10/C12アルコール、及び1.5molのグリセロールを有するC12アルコールを使用することが、特により好ましい。
【0147】
飽和又は不飽和で直鎖又は分岐鎖のC8~C30酸とソルビトールとのエステルのうち、1~20個のオキシエチレン単位を含む、飽和又は不飽和で直鎖又は分岐鎖のC8~C30脂肪酸とソルビタンとのエステルが特に好ましく、より優先的には4~20個のオキシエチレン単位を含む、C8~C18脂肪酸とソルビタンとのエステルが好ましく、より良好には4~20個のオキシエチレン単位を含む、飽和又は不飽和で直鎖のC8~C18脂肪酸とソルビタンとのエステルが好ましい。
【0148】
このような化合物は、特にポリソルベートの名称で知られている。それらは、とりわけ、UniqemaによってTweenという名称で販売されている。例えば、Tween21の名称で販売されているポリオキシエチレン(4OE)ソルビタンモノラウレート(ポリソルベート21)、Tween20の名称で販売されているポリオキシエチレン(20OE)ソルビタンモノラウレート(ポリソルベート20)、Tween40の名称で販売されているポリオキシエチレン(20OE)ソルビタンモノパルミテート(ポリソルベート40)、Tween60の名称で販売されているポリオキシエチレン(20OE)ソルビタンモノステアレート(ポリソルベート60)、Tween61の名称で販売されているポリオキシエチレン(4OE)ソルビタンモノステアレート(ポリソルベート61)、Tween65の名称で販売されているポリオキシエチレン(20OE)ソルビタントリステアレート(ポリソルベート65)、Tween80の名称で販売されているポリオキシエチレン(20OE)ソルビタンモノオレエート(ポリソルベート80)、Tween81の名称で販売されているポリオキシエチレン(5OE)ソルビタンモノオレエート(ポリソルベート81)、及びTween85の名称で販売されているポリオキシエチレン(20OE)ソルビタントリオレエート(ポリソルベート85)を挙げることができる。
【0149】
本発明による組成物に使用することができる非イオン性界面活性剤は、以下から優先的に選択される:
-1~20個のオキシエチレン単位を含む、飽和又は不飽和で直鎖又は分岐鎖のC8~C30脂肪酸とソルビタンとのエステル、好ましくは4~20個のオキシエチレン単位を含む、C8~C18脂肪酸とソルビタンとのエステル、より良好には4~20個のオキシエチレン単位を含む、飽和又は不飽和で直鎖のC8~C18脂肪酸とソルビタンとのエステル、
-1~100molのエチレンオキシド、好ましくは2~50mol、より詳細には2~40molのエチレンオキシドを含むオキシエチレン化C8~C40アルコール、
-1~100mol、好ましくは2~50molのエチレンオキシドを含む飽和又は不飽和オキシエチレン化植物油、
-場合によりオキシアルキレン化(0~10のOE)されており、1~15個のグルコース単位を含む、(C8~C30)アルキル(ポリ)グルコシド、
-1~50molのグリセロール、好ましくは1~10molのグリセロールを含む、モノグリセロール化又はポリグリセロール化C8~C40アルコール、
-飽和又は不飽和で直鎖又は分岐鎖のオキシアルキレン化C8~C30脂肪酸アミド、
-飽和又は不飽和で直鎖又は分岐鎖のC8~C30酸とポリオール又はポリエチレングリコールとのエステル、
-並びにこれらの混合物。
【0150】
好ましくは、非イオン性界面活性剤は、1~20個のオキシエチレン単位を含む、飽和又は不飽和で直鎖又は分岐鎖のC8~C30脂肪酸とソルビタンとのエステル;飽和又は不飽和で直鎖又は分岐鎖のオキシアルキレン化又はグリセロール化、優先的にはオキシエチレン化C8~C40アルコール;1~100mol、好ましくは2~50molのエチレンオキシドを含むオキシエチレン化飽和又は不飽和植物油、及びこれらの混合物から選択される。
【0151】
好ましくは、非イオン性界面活性剤は、1~20個のオキシエチレン単位を含む、飽和又は不飽和で直鎖又は分岐鎖のC8~C30脂肪酸とソルビタンとのエステル、及びこれらの混合物、より優先的には4~20個のオキシエチレン単位を含む、好ましくは直鎖で飽和のC8~C18脂肪酸とソルビタンとのエステル、及びこれらの混合物、より良好には4~10個のオキシエチレン単位を含む好ましくは直鎖で飽和のC10~C14脂肪酸とソルビタンとのエステルから選択される。
【0152】
好ましくは、脂肪酸とソルビタンとのオキシアルキレン化エステルの脂肪酸は飽和脂肪酸である。
【0153】
脂肪酸とソルビタンとのオキシアルキレン化エステルは、好ましくは、ポリオキシエチレン(4OE)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20OE)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20OE)ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン(20OE)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(4OE)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20OE)ソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレン(20OE)ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン(5OE)ソルビタンモノオレエート及びポリオキシエチレン(20OE)ソルビタントリオレエートから選択され、優先的には、ポリオキシエチレン(4OE)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20OE)ソルビタンモノラウレート及びこれらの混合物から選択される。より優先的には、脂肪酸とソルビタンとのオキシアルキレン化エステルはポリオキシエチレン(4OE)ソルビタンモノラウレートである。
【0154】
本発明の方法で使用される組成物中に存在する場合、非イオン性界面活性剤の総含有量は、組成物の総質量に対して、好ましくは0.05質量%~10質量%、より優先的には0.1質量%~5質量%、より良好には0.2質量%~3質量%、更により良好には0.3質量%~2質量%の範囲である。
【0155】
好ましくは、本発明の組成物中に存在する場合、1~20個のオキシエチレン単位を含む、飽和又は不飽和で直鎖又は分岐鎖、好ましくは直鎖のC8~C30脂肪酸とソルビタンとのエステルの総含有量は、本発明の方法で使用される組成物の総質量に対して、好ましくは0.05質量%~10質量%、より優先的には0.1質量%~5質量%、より良好には0.2質量%~3質量%、更により良好には0.3質量%~2質量%の範囲である。
【0156】
好ましい実施形態では、本発明の方法で使用される組成物は、1つ又は複数の非イオン性界面活性剤を含む。
【0157】
特に好ましい実施形態によれば、本発明の方法で使用される組成物は、1~20個のオキシエチレン単位を含む、飽和又は不飽和で直鎖又は分岐鎖、好ましくは直鎖のC8~C30脂肪酸とソルビタンとのエステルから選択される1つ又は複数の非イオン性界面活性剤を含む。
【0158】
本発明による方法で使用される組成物は、組成物の総質量に対して50質量%~98質量%の範囲の総含有量で水を含む。
【0159】
有利には、総含水量は、組成物の総質量に対して、60質量%~95質量%、好ましくは70質量%~90質量%の範囲である。
【0160】
本発明による方法で使用される組成物はまた、有利には、1~6個の炭素原子、より優先的には1~4個の炭素原子を有する1つ又は複数の直鎖又は分岐鎖モノアルコール、特にエタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール、及びこれらの混合物から選択される1つ又は複数の直鎖又は分岐鎖モノアルコール、より良好にはエタノールを含み得る。
【0161】
本発明に従って使用することができるモノアルコールは、直鎖又は分岐鎖であり、したがって、環状又は芳香族ではない。
【0162】
当該モノアルコールは、本発明による方法で使用される組成物中に、組成物の総質量に対して5質量%~40質量%、好ましくは10質量%~35質量%、より優先的には12質量%~30質量%、より良好には15質量%~25質量%の範囲の総含有量で存在し得る。
【0163】
本発明による方法で使用される組成物は、場合により、上記モノアルコールとは異なる1つ又は複数の有機溶媒を含んでもよく、ポリオール、ポリエチレングリコール、芳香族アルコール、及びこれらの混合物から選択することが可能である。
【0164】
上記のモノアルコールとは異なり、本発明に従って使用することができる有機溶媒の例として、特にプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0165】
本発明による方法で使用される組成物中に存在する場合、上記のモノアルコールとは異なる有機溶媒の総含有量は、組成物の総質量に対して、好ましくは0.1質量%~20質量%、より優先的には0.5質量%~10質量%、より良好には1質量%~5質量%の範囲である。
【0166】
本発明による方法で使用される組成物が、特に1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖モノアルコールから選択される1つ又は複数の有機溶媒を含む場合、組成物は水性/アルコール性組成物である。
【0167】
好ましい実施形態では、本発明による方法で使用される組成物は、1~6個の炭素原子を有する1つ又は複数の直鎖又は分岐鎖モノアルコールを含む。
【0168】
本発明による方法で使用される組成物は、好ましくはカチオン性、アニオン性及び両性界面活性剤、カチオン性、アニオン性、非イオン性及び両性ポリマー、増粘剤、浸透剤、金属イオン封鎖剤、香料、緩衝剤、分散剤、皮膜形成剤、セラミド、保存剤、乳白剤、潤滑剤(又は固化防止剤)及びこれらの混合物から選択される、上記で定義された化合物とは異なる1つ又は複数の追加の化合物を場合により更に含むことができる。
【0169】
好ましくは、上記の追加の化合物が本発明による組成物中に存在する場合、追加の化合物は、一般に、それらの各々について、組成物の質量に対して0.01質量%~20質量%の含有量で存在する。
【0170】
有利な実施形態では、本発明の方法で使用される組成物は、1つ又は複数のフケ防止剤及び/又は脱毛に対抗するための1つ又は複数の薬剤を含むことができる。
【0171】
当然ながら、当業者は、本発明の組成物に本質的に備わる有利性のある特性が、予想される追加によって悪影響を受けることがない、又は実質的に受けることがないように、注意して、これらの任意の更なる化合物を選択するであろう。
【0172】
任意の増粘剤は、無機又は有機増粘剤から選択することができる。増粘剤は、非イオン性、カチオン性、アニオン性又は両性であってもよい。
【0173】
特に、本発明に従って使用することができる増粘剤として、カルボキシビニルポリマー、架橋アクリル酸及び/又はメタクリル酸ポリマー、特に架橋アクリル酸ホモポリマー(カルボマー)、例えばGoodrichからCarbopolの名称で販売されているもの、ポリアクリレート及びポリメタクリレート、例えば、GuardianからLubrajel若しくはNorgelの名称で販売されている製品、又はHispano ChimicaからHispagelの名称で販売されている製品;ポリアクリルアミド、例えば、SEPPICからSepigel 305の名称で販売されている製品;多糖、例えば、アルギネート、セルロース及びその誘導体、特に、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及び微結晶セルロース;天然ガム、例えば、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、アカシアガム、スクレログルカン、キチン及びキトサン誘導体、カラギーナン;又はクレー、例えば、モンモリロナイト及び誘導体、ベントン及び誘導体、又はケイ酸アルミニウムマグネシウム及び誘導体(Veegum)を挙げることができる。
【0174】
本発明の特定の実施形態によれば、本方法で使用される組成物は、架橋アクリル酸及び/又はメタクリル酸ポリマーから選択される少なくとも1つの増粘剤を含む。
【0175】
本発明の特定の実施形態によれば、本方法で使用される組成物は、架橋アクリル酸ホモポリマーから選択される少なくとも1つの増粘剤を含む。
【0176】
本発明の方法で使用される組成物中に存在する場合、増粘剤の総含有量は、組成物の質量に対して、好ましくは0.05質量%~5質量%、より優先的には0.1質量%~3質量%の範囲である。
【0177】
本発明による方法で使用される組成物のpHは、有利には5~9、好ましくは6~8、より優先的には6.5~7.5で変動する。
【0178】
組成物のpHは、通常使用される塩基性化剤又は酸性化剤により、所望の値に調整できる。塩基性化剤のうちで、例として、アンモニア水溶液、アルカノールアミン、又は無機若しくは有機水酸化物を挙げることができる。酸性化剤のうちで、例として、無機若しくは有機酸、例えば、塩酸、オルトリン酸、硫酸、カルボン酸、例えば、酢酸、酒石酸、クエン酸又は乳酸、及びスルホン酸を挙げることができる。
【0179】
本発明による方法で使用される組成物は、有利には、増粘又は更にはゲル化した形態、特に増粘又は更にゲル化したローション又は増粘又は更にゲル化した美容液の形態で提供される。
【0180】
本発明による方法で使用される組成物は、有利には、明澄から透明の流体、好ましくは透明の流体の形態で提供される。
【0181】
本発明に係る組成物の透明度は、濁度測定(NTU単位)による組成物の濁度の測定によって特徴付けることができる。本発明の文脈において、濁度測定は、Agilentによって販売されているUV-Vis Cary100モデルUV分光光度計を使用して行った。Hanna Instruments製のHI88713-ISOモデルなどの濁度計を使用して組成物の濁度を測定することも可能である。
【0182】
有利には、本発明による組成物の濁度は、周囲温度(25℃)及び大気圧で測定して、250NTU単位以下、好ましくは200NTU単位以下、より優先的には100NTU単位以下、より良好には50NTU単位以下、更により優先的には20NTU単位以下、実際には10NTU単位以下である。
【0183】
好ましくは、本発明による方法で使用される組成物は、以下を含む:
-アスコルビン酸及びその誘導体から選択される1つ又は複数の酸化防止剤、
-ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)種の1つ又は複数の微生物、その画分の1つ、その代謝産物の1つ、又はそれらの混合物であって、溶解物形態である微生物、
-サッカロミセス属(Saccharomyces)の酵母の1つ又は複数の抽出物、
-場合により1つ又は複数の単糖、
-場合により、オリゴ糖、多糖、及びこれらの混合物から選択される1つ又は複数の追加の糖類、
-組成物の総質量に対して50質量%~98質量%の範囲の総含有量の水、
-場合により、1~6個の炭素原子を有する1つ又は複数の直鎖又は分岐鎖モノアルコール、及び
-脂肪酸とソルビタンとの1つ又は複数のオキシアルキレン化エステル。
【0184】
より良好には、本発明による方法で使用される組成物は、以下を含む:
-アスコルビン酸及びその誘導体から選択される1つ又は複数の酸化防止剤、
-ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)種の1つ又は複数の微生物、その画分の1つ、その代謝産物の1つ、又はそれらの混合物であって、溶解物形態である微生物、
-サッカロミセス属(Saccharomyces)の酵母の1つ又は複数の抽出物、
-1つ又は複数の単糖、
-場合により、オリゴ糖、多糖、及びこれらの混合物から選択される1つ又は複数の追加の糖類、
-組成物の総質量に対して50質量%~98質量%の範囲の総含有量の水、
-1~6個の炭素原子を有する1つ又は複数の直鎖又は分岐鎖モノアルコール、及び
-脂肪酸とソルビタンとの1つ又は複数のオキシアルキレン化エステル。
【0185】
更により良好には、本発明による方法で使用される組成物は、以下を含む:
-アスコルビン酸、その誘導体、及びこれらの混合物から選択される1つ又は複数の酸化防止剤、より優先的には酸化防止剤はアスコルビルグルコシドであり、
-ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)種の1つ又は複数の微生物、その画分の1つ、その代謝産物の1つ、又はそれらの混合物であって、溶解物形態である微生物、
-サッカロミセス属(Saccharomyces)の酵母の1つ又は複数の抽出物、
-好ましくはマンノース、並びにそのα又はβアノマー、L又はD配置のその光学異性体、その溶媒和物、及びこれらの混合物から選択される1つ又は複数の単糖、
-場合により、オリゴ糖、多糖、及びこれらの混合物から選択される1つ又は複数の追加の糖類、
-組成物の総質量に対して50質量%~98質量%の範囲の総含有量の水、
-1~6個の炭素原子を有する1つ又は複数の直鎖又は分岐鎖モノアルコール、及び
-1~20個のオキシエチレン単位を含む、飽和又は不飽和で直鎖又は分岐鎖のC8~C30の脂肪酸とソルビタンとの1つ又は複数のエステル、並びにこれらの混合物。
【0186】
方法
本発明による美容的処置法は、1つ又は複数の酸化防止剤と、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)種の1つ又は複数の微生物、その画分の1つ、その代謝産物の1つ、又はこれらの混合物とを含む組成物を頭皮及び/又には毛髪に適用することを含み、微生物は溶解形態である。
【0187】
好ましくは、本発明の美容的処置法は、上記で定義した組成物の頭皮への適用を含む。
【0188】
別の特定の実施形態では、本発明の美容的処置法は、上で定義した組成物の毛髪への適用を含む。
【0189】
組成物は、場合によりシャンプーで洗浄した後、乾燥又は湿潤時に頭皮及び/又は毛髪に適用することができる。
【0190】
適用後、1分~3時間の時間間隔の後、組成物を場合によりすすぎ落とすことができる。
【0191】
好ましくは、組成物の適用後にすすぎ操作は行われない。
【0192】
組成物の適用は、任意の従来の手段、特に、くし、ピペット、目の細かいブラシ、粗いブラシ、スポンジ又は指で行うことができる。
【0193】
頭皮及び/又は毛髪をマッサージする工程は、処置される領域全体に組成物を十分になじませるために実施することができる。
【0194】
本発明の方法は、上記で定義した本発明による組成物を含む1つ又は複数の容器を含む装置を場合により使用することができる。
【0195】
言い換えれば、本発明の方法で使用される組成物は、1つ又は複数の容器を含む装置に収容することができる。
【0196】
装置は、組成物を分注することを可能にする少なくとも1つの分注部材を更に含むことができ、これは、例えば、分注オリフィス又はアプリケータとすることができる。
【0197】
分注部材は、当該容器に隣接することができ(この場合、装置は単一の部品のみから構成される)、装置はまた、いくつかの部品、例えば一方では容器、他方では分注部材で作ることもできる。
【0198】
したがって、装置は、組成物を分注することを可能にする少なくとも1つの分注オリフィスを含むことができる。分注オリフィスは、閉鎖部材によって閉じることができる。
【0199】
したがって、装置は、組成物の適用を容易にするためのアプリケータを含むことができる。アプリケータは、例えば、くし、目の細かいブラシ若しくは粗いブラシ、又はピペット若しくはフェルト、又はスポイトであってもよい。
【0200】
有利には、組成物は、場合によりアプリケータを含む分注オリフィスを介した装置を使用して直接適用される。言い換えれば、組成物は装置に取り込まれない。したがって、本発明の装置は、組成物の適用を容易にし、当該組成物の改善された復元率を得ることを可能にする。
【0201】
有利には、組成物の適用及び分配は、ポンプ又は推進剤を必要としない。組成物は、分注オリフィスを介して重力によって流れる。場合により容器に圧力を加えて、すぐに使用できる組成物の流動及び分注を容易にすることができる。
【0202】
装置は、有利には、場合によりボトル、ポンプ作用ボトル、ボトル、ピペット、例えば単回投与ピペットなどと組み合わされたスポイトであってもよい。
【0203】
有利には、本発明による方法は、頭皮及び/又は毛髪をケア及び/又はコンディショニングするための方法である。
【0204】
以下の実施例は、本発明を例示する役割を果たすものであるが、本質的に限定するものではない。
【実施例】
【0205】
1.実施例1:
本発明による組成物A~Fを成分から調製し、その含有量を下表に示す(特に明記しない限り、質量%の活性物質として):
【0206】
【0207】
【0208】
【0209】
得られた組成物は透明であり、それらを頭皮及び毛髪に適用し、次いで、適用後のすすぎ段階なしで、外気中で乾燥させることができる。組成物のpHは約7である。
【0210】
本発明の方法(記載の組成物の適用)を21日間毎日実施した後、頭皮の不快感(刺痛、加熱感)及び掻破の頻度の有意な減少が観察された。組成物は、毛髪及び/又は毛根を脂っぽくせず、反対に、毛髪は、繊維が互いにくっつく影響を受けずに清潔である。
【0211】
41人のボランティアに、T0(適用直後)及びT21に、毛髪及び頭皮上での製品の使用の有効性を自己評価するように求めた。
【0212】
次の結果が得られる。
・適用直後:
-製品は頭皮に清涼感を提供し、
-頭皮は潤っており、
-加熱感、痒み及び/又は刺痛の感覚が弱まる。
・適用21日後:
-製品は頭皮に清涼感を提供し、
-頭皮は快適であり、潤っており、敏感でなく、鎮静しており、
-加熱感、痒み及び/又は刺痛の感覚が弱まり、
-製品は、快適感を提供し、テクスチャが良い。
【0213】
2.実施例2:
敏感な頭皮を有する18歳~60歳の男女で構成される42人のボランティアに関する研究を実施した。
【0214】
ボランティアは、4.5mlの実施例1の組成物Aを、21日間(D1~D21まで)毎日自宅で、通常の使用条件で、頭皮全体に、以下のプロトコルに従って、乾燥した毛髪に適用した:
-額からうなじにかけて3本のラインを引き、右側に1本、中央に1本、及び左側に1本であり、
-4.5mlの美容液を適用し、製品をこれらの3つのラインに接触させたり滴下したりして可能な限り均一に堆積させ、
-指の腹で円を描くようにして製品を頭皮全体になじませる。
【0215】
D0(適用開始前)及びD21(適用21日後)において、以下の測定を行った。
【0216】
(a)頭皮の区切られた領域に対する研磨洗浄の離脱方法(LC/MS分析による量[SQOOH])による生化学的マーカーに対する効果の評価:
刺激性物質であることが知られているスクアレンの酸化の評価は、D0とD21との間で測定される。
【0217】
以下の結果が得られる(SQOOHの量、ng/mgでのタンパク質):
【0218】
【0219】
スクアレンの酸化の評価の著しい低下が観察される。
【0220】
(b)皮膚バリアに対する組成物の効果の評価:
この評価は、わずかな水分損失を維持したVapometer(登録商標)を用いて、2.25cm2の小さな表面積、すなわち、一辺の長さが1.5cmの正方形で実施された、頭皮の皮膚のTEWL(経皮水分損失)レベルの機器測定に基づいている(実験時間当たり最大6回の正確な測定)。
【0221】
以下の結果が得られる(gm-2h-1で表されるTEWLの測定値):
【0222】
【0223】
D0とD21との間の頭皮のバリア機能の有意差は観察されず、バリア機能は、本発明の方法による組成物を使用することによって保持される(有害な影響を受けない)。
【0224】
(c)頭皮の不快感の低減に対する組成物の効果の評価(痒み、刺痛、熱感):
不快感の各因子を、D0(適用前)、D0 imm(即時:製品の最初の適用直後)及びD21で42人のボランティアによって0~9のスケールで評価した。
【0225】
評価した因子に関して、9の等級は高いレベルの不快感に対応し、0の等級はゼロレベルの不快感に対応する。
【0226】
次の結果が得られる:
【0227】
【0228】
最初の適用から頭皮の不快感の有意な減少が観察され、3週間の適用後に実質的な減少が観察される。
【0229】
3.実施例3:
組成物G(本発明による)及びG’(比較例)を成分から調製し、その含有量を下表に示す(特に明記しない限り、質量%の活性物質(AM)として):
【0230】
【0231】
本発明による組成物Gは視覚的に透明であるが、比較組成物G’は不透明である。
【0232】
加えて、組成物Gは組成物G’よりも流動性が高いため、組成物Gは組成物G’よりも毛髪及び頭皮になじみやすい。
【0233】
天然の毛束(5.4g)を、毛髪1g当たりシャンプー0.4gの割合でDOPカモミールシャンプーで事前に洗浄し、続いてすすいだ。
【0234】
組成物G及びG’の各々を、毛髪1g当たり0.15gの組成物の割合で、湿った天然の毛束に適用した。次いで、ヘアドライヤーで毛束を(すすがずに)乾燥させた。
【0235】
次いで、6人の専門家が目視で評価し、毛髪に与えられたボリュームを0(ボリュームがなく、毛髪が密に詰まっており、毛束が空間内でほとんどボリュームを占めない)~5(ボリュームが大きい、髪が互いに緩んでいる、毛束が空間内のボリュームを多く占める)のスケールで比較した。
【0236】
次に示す結果を得た:
【0237】
【0238】
本発明による組成物Gは、比較組成物G’と比較して、毛髪により有意に大きなボリュームを与えた。
【0239】
全ての専門家によれば、本発明による組成物Gで処理された毛束は、比較組成物G’で処理された毛束よりも自然な感触及び清潔な外観を有する。
【0240】
4.実施例4:
組成物H(本発明による)及びH’(比較例)を成分から調製し、その含有量を下表に示す(特に明記しない限り、質量%の活性物質として):
【0241】
【0242】
本発明による組成物Hは、比較組成物H’よりも視覚的に透明である。
【0243】
天然の毛束(5.4g)を、毛髪1g当たりシャンプー0.4gの割合でDOPカモミールシャンプーで事前に洗浄し、続いてすすいだ。
【0244】
組成物H及びH’の各々を、毛髪1g当たり0.15gの組成物の割合で、湿った天然の毛束に適用した。次いで、ヘアドライヤーで毛束を(すすがずに)乾燥させた。
【0245】
次いで、6人の専門家が、0(まとまりなし、ぼさぼさの髪)から5(よりまとまっている)のスケールで、まとまりの貢献度(髪がきちんと整えられ、スタイリングされている)を目視で評価した。
【0246】
次に示す結果を得た:
【0247】
【0248】
本発明による組成物Hは、比較組成物H’と比較して、毛髪により多くのまとまりを与えた。
【0249】
全ての専門家によれば、本発明による組成物Hで処理された毛束は、比較組成物H’で処理された毛束よりも自然な感触及び清潔な外観を有する。
【国際調査報告】