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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】測定セットアップ及びホルダ
(51)【国際特許分類】
   G01K 1/14 20210101AFI20240709BHJP
   G01K 7/22 20060101ALI20240709BHJP
   H02K 11/25 20160101ALI20240709BHJP
【FI】
G01K1/14 E
G01K7/22 J
H02K11/25
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578954
(86)(22)【出願日】2022-05-30
(85)【翻訳文提出日】2024-02-19
(86)【国際出願番号】 EP2022064596
(87)【国際公開番号】W WO2022268442
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】102021116111.8
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518379278
【氏名又は名称】テーデーカー エレクトロニクス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーリング,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ジレ,ダニエール
(72)【発明者】
【氏名】デホフ,カルステン
【テーマコード(参考)】
2F056
5H611
【Fターム(参考)】
2F056CE01
5H611AA01
5H611QQ04
(57)【要約】
試験体の温度を測定する測定セットアップが提供され、少なくとも2つの、互いに分離された、熱伝導に適した配線は、1つの試験体から引き出されており、試験体からある距離において1つの配線バンドルに取りまとめられており、温度センサが配線バンドルにホルダを用いてクランプ力を介して固定されている。好ましくは、ホルダは、内面及び外面を有するホルダベースと、そこに接続されたバネクランプと、を備え、ホルダベースの内面上に温度センサを受入れるための凹部が配置されており、2つのバネクランプは、ホルダベースに関して相対向して配置されており、ホルダベースの内面に向かう方向いおいてクランプ力を生成するために適している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験体の温度を測定する測定セットアップであって、
少なくとも2つの、互いに分離された、熱伝導に適した配線は、1つの試験体から引き出されており、前記試験体からある距離において1つの配線バンドルに取りまとめられており、
温度センサが前記配線バンドルにホルダを用いてクランプ力を介して固定されている、
測定セットアップ。
【請求項2】
全ての前記配線は、前記試験体の異なる位置に固定されている、
請求項1記載の測定セットアップ。
【請求項3】
前記配線は前記配線バンドルのある領域において結束手段を介してとりまとめられており、前記温度センサは前記ホルダによって前記結束手段に押圧されている、
請求項1又は2記載の測定セットアップ。
【請求項4】
前記結束手段はホットクランプである、
請求項3記載の測定セットアップ。
【請求項5】
前記配線は前記試験体への電流の供給部として機能する、
請求項1記載の測定セットアップ。
【請求項6】
前記試験体は電気モータである、
請求項1記載の測定セットアップ。
【請求項7】
内面及び外面を有するホルダベースと、そこに接続されたバネクランプと、を備えたホルダであって、
前記ホルダベースの前記内面上に温度センサを受入れるための凹部が配置されており、
前記バネクランプのうちの2つは、前記ホルダベースに関して相対向して配置されており、前記ホルダベースの前記内面に向かう方向いおいてクランプ力を生成するために適している、
ホルダ。
【請求項8】
前記凹部は、前記凹部内に嵌め込まれるべき温度センサが前記凹部から出るのを阻止するストッパを備える、
請求項7記載のホルダ。
【請求項9】
前記凹部内に嵌め込まれるべき温度センサを固定するために適しているクランプタブが設けられている、
請求項7又は8記載のホルダ。
【請求項10】
前記凹部は、前記凹部内への電気配線のガイドを可能にする開口を備える、
請求項8記載のホルダ。
【請求項11】
前記凹部は、嵌め込まれるべき温度センサが少なくとも部分的に形状結合的に前記凹部内に装入されることができるように形成されている、
請求項7記載のホルダ。
【請求項12】
さらに2つのバネクランプは、前記ホルダベースに関して相対向して配置されており、前記ホルダベースの前記内面に向かう方向においてクランプ力を生成するために適している、
請求項7記載のホルダ。
【請求項13】
バネクランプが、クランプ作用を生じさせ、したがって測定体への固定を行うために、楕円形状の測定体を少なくとも部分的に取り囲むのに適しており、
前記バネクランプが、測定体に対して、広範囲で形状結合的でありながらもアンダーサイズで当接する、
請求項7記載のホルダ。
【請求項14】
前記バネクランプの材料は100℃~200℃の温度負荷においてバネ弾性である、
請求項7記載のホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度を測定するための測定セットアップ及びホルダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
温度検出又は温度測定は、さまざまな技術システムにおいて重要である。これは特に、電気式移動体用途(Elektromobilitaetsanwendungen)などの電気モータにも当てはまる。
【0003】
温度測定の概念は、例えばWO00/2019115224A1又はUS10/436,648B2から知られている。
【発明の概要】
【0004】
本発明の1つの課題は、上記の概念を改善する温度測定方法を提供することである。さらなる課題は、本発明の有利な実施形態によって解決される。
【0005】
第1態様によれば、試験体の温度を測定するための測定セットアップが提供され、そこでは、少なくとも2つの、互いに分離された、熱伝導に適した配線は、1つの試験体から引き出されており(weggefuehrt)、試験体からある距離において1つの配線バンドルに取りまとめられて(zusammengefasst)いる。さらに、温度センサが配線バンドルにホルダを用いてクランプ作用を介して固定されている。
【0006】
第1態様による測定セットアップでは、熱伝導に適した配線、すなわち良好な熱伝導を有する配線が好ましい。例えば、金属の熱伝導は良好な熱伝導とみなすことができる。
【0007】
したがって、配線は、好ましくは、金属成分を有するか、金属から構成される。例えば、配線は、金属成分を含み、かつ絶縁体で被覆されたコアを有することができる。被覆は熱的又は電気的絶縁体であることができる。金属成分としては、銅、銀、アルミニウム又は金が好ましい。あるいは、これらの金属の割合が高い合金が好ましく、割合が高いとは、これらの金属の割合が少なくとも50%に相当する。さらに好ましくは、コア又は配線全体が上記の金属のいずれかからなる。これは、例えば銅導体であり得る。
【0008】
配線は試験体から引き出されており、試験体からある距離において(in einer Distanz vom Pruefkoerper)1つの配線バンドルに取りまとめられている。したがって、温度測定は試験体の直接上ではなく、配線バンドル上で行われる。このようにして、試験体の、センサを直接取り付けることができない位置の温度測定が可能になる。配線を試験体に取り付けることができれば十分である。
【0009】
試験体からある距離とは、配線の少なくとも一本が、試験体上の始点において配線バンドル内の他の配線と取りまとめられていないことを意味すると解される。ここで、配線がすでに試験体に直接束ねられているかどうかは問題ではない。配線バンドルは、好ましくは、温度測定も実施される配線の束ねられた領域、すなわちホルダと温度センサが配置される領域と解することができる。
【0010】
好ましくは、配線の経路に沿って測定した配線の起点と配線バンドルとの間の距離は1~100cmである。
【0011】
配線バンドルは、実際の温度測定が実施される測定体(Messkoerper)、すなわち温度センサが適用される測定体としてここで説明することができる。対照的に、試験体は、測定セットアップでその温度が測定される対象物である。
【0012】
試験体からある距離において、少なくとも2本の配線を束ねて配線バンドルを形成する。好ましくは、配線バンドルの領域内の配線はほぼ平行であり、互いに直接接触している。配線バンドルの外側では、配線は束ねられていない。
【0013】
配線が絶縁体を有する場合には、配線バンドル内では、配線は好ましくは少なくとも部分的に絶縁体が取り除かれてている。
これには、熱伝導性金属部品の温度を直接測定できるという利点がある。
【0014】
ここで使用される温度センサは、基本的に任意の温度センサである。特に好ましくは、-55℃~300℃の温度範囲、さらに好ましくは-40℃~200℃の温度範囲で温度を正確に検出するのに適している。特に、温度センサとしては、NTCセンサが好ましい。
【0015】
温度センサは、クランプ作用によって配線バンドルに固定される。温度センサは好ましくは配線バンドルにクランプされる(angeklemmt)。このため、ホルダは好ましくは配線バンドルの周囲にクランプされる。相応に、温度センサは少なくとも2つの分離された配線の間に挿入されない。ホルダとしては、任意の適切な保持装置を使用できる。クランプするホルダ又はクランプが好ましい。さらに好ましくは、以下に説明するホルダ又はクランプが使用される。
【0016】
さらに、ホルダ又はクランプは、配線を配線バンドルとしてまとめて保持するのにも適している。しかしながら、これは必須ではなく、他の手段で実現できる。
【0017】
好ましい態様によれば、測定セットアップは、全ての配線が試験体の異なる箇所に固定されるように設計されている。
【0018】
換言すると、全ての配線は試験体の異なる点から発することができる。これには、温度センサが少なくとも2つの異なる点の平均温度を測定できるという特別な利点がある。
【0019】
2本以上の分離された配線を使用する場合、試験体の温度の平均化はさらに精密で正確なものとなる。
【0020】
特に、第1態様と好ましい態様との組み合わせでは、配線に比べてかさばる複数の温度センサを試験体に直接取り付ける必要なく、試験体の多くの測定点の平均温度を記録できるため、さらに優れた発明上の利点を達成することができる。
【0021】
さらに好ましい態様によれば、配線は結束手段によって配線バンドルの領域で取りまとめられる。さらに、この好ましい態様によれば、温度センサはホルダによって結束手段にクランプ又は押し付けられる。
【0022】
また、結束手段はホルダとは別個の部品であることが好ましい。
【0023】
その結果、この態様によれば、温度は好ましくは結束手段において測定される。したがって、結束手段は、上記の定義に従って測定体と称されることができる。温度測定のために、結束手段は、好ましくは、ホルダとともに温度センサを押し当てることができる表面を有する。
【0024】
好ましくは、結束手段は良好な熱伝導性を有する。さらに、好ましくは、結束手段は機械的に安定である。好ましくは、結束手段は金属結束手段である。多くの金属は、高い熱伝導性と十分な機械的安定性とを併せ持つ。例えば、結束手段は、鉄、鋼、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、又はこれらの材料を含む合金を含む。これらの材料で構成することができる。これらの材料のうち、特に、鋼又はステンレス鋼は、比較的に特に機械的に安定であり、十分に良好な熱伝導性を有する。いくつかの実施形態において、結束手段も、コーティングが設けられ得る。
【0025】
例えば、配線が熱伝導性材料に加えて絶縁体を備えている場合、結束手段の領域で少なくとも部分的に絶縁体を取り除くことができる。
【0026】
例えば、結束手段はクリンプであることができる。
【0027】
さらに好ましくは、結束手段はホットクリンプである。
【0028】
ホットクリンプは、クリンプの圧着工程の際に、可能な絶縁体が温度によって自動的に剥がれるという利点がある。
【0029】
さらに、ホットクリンプは、好ましくは、滑らかな表面を有する楕円形を有することができる。滑らかな表面は、温度センサをクランプするのに特に適している。例えば後述するような適切なホルダは、楕円形状に特に効率よく取り付けることができる。
【0030】
さらに好ましい態様によれば、配線は電気配線とすることができる。それらは好ましくは、試験体への電流供給ラインであるか、又はそのような役割を果たす。
【0031】
ここでは、供給ラインには電流を流入させ、あるいは電流を流出させることができるすべてのラインが含まれる。したがって、供給ラインは、例えばアースに接続することもできる。
【0032】
測定セットアップのさらなる態様によれば、試験体は電気モータであすることができる。
【0033】
従来のモータは温度測定のためにアクセスできない箇所を多く有しているため、電気モータは上記の測定方法又は測定セットアップに特に適している。
【0034】
らに、正確で平均化された温度測定は、例えば電気自動車(Elektromobilitaet)の分野など、最新の電気モータにとって非常に重要である。
【0035】
本発明のさらなる態様によれば、ホルダが説明される。
【0036】
ここで、本発明は主にホルダに向けられており、このホルダ内に収容可能な温度センサと、これを取り付けることができる測定体との関連についても説明する。ホルダは、本発明によるこれらの他の構成要素から独立しているとみなされる。しかしながら、本発明は、ホルダが測定体及び/又はセンサと共に設置される、任意の記載されたアセンブリも含む。さらに、本発明は、これらの構成部品のアンサンブルも含み、アンサンブルでは、構成部品は、一緒に設置されることなく、互いに隣接して存在することができる。
【0037】
以下に説明するホルダは、上記のような測定セットアップに特に適している。
【0038】
相応に、内面及び外面を有するホルダベースと、そこに接続されたバネクランプと、を備えたホルダについて説明する。ここで、ホルダベースの内面上には、温度センサを受入れるための凹部が配置されている。さらに、バネクランプのうち2つがホルダベースに関して相対向して配置されている。これらは、ホルダベースの前記内面に向かう方向いおいてクランプ力を生成するために適している。
【0039】
内面は、好ましくは、測定セットアップ又は測定アセンブリにおいて測定体に面する面である。したがって、外面は、好ましくは、この測定体から離れる方向に面する面である。
【0040】
凹部は、ホルダベースのその内面に配置され、したがって、センサと測定体との間にホルダの部品が配置されることなく、ホルダ内に嵌め込まれるべきセンサが、内面に当接する測定体上、例えばホットクリンプ上に直接横たわること((zum Liegen kommen)ができるようにする。好ましくは、温度センサは測定体上のコンタクト面に載置される(kommt zum Liegen)。コンタクト面は、特に熱伝導性コンタクトを確立するのに適している。好ましくは、コンタクト面はホルダベースの内面から離れる方向を向く(abgewandt)。
【0041】
このようにして、測定体とセンサとの間に良好な熱伝導を提供することができ、複雑なセンサ形状を回避することができる。特に、ホルダを介して又はホルダの部品のそばを通って測定体と熱的コンタクトを生じさせるセンサ本体から突出した部分を形成する必要がない。
【0042】
ホルダベースに対して互いに対向する2つのスプリングクランプは対をなす。その相応の配置により、測定体、例えばホットクリンプを2つの対向する面から、すなわち相互に把持することができる。つまり、両側から対称的に力を加えることができる。ここのようにして、クランプ力の成分(Anteil)がホルダベースの内面方向に作用することを可能にする。このようにして、凹部に嵌め込まれるべき(einzulegender)温度センサを測定体に押し付けることができる。
【0043】
ホルダ内での温度センサの、さらなるホルダ、固定具又はクランプなしで、ホルダベースの内面方向へのクランプ力によって、センサを凹部に押し込むことができる。
【0044】
そのために、クランプ力の成分は、一方のバネクランプから他方のバネクランプの方向に作用し、その結果、測定体を両クランプの間にクランプすることもできる。
【0045】
ホルダの好ましい態様によれば、凹部は、凹部内に嵌め込まれるべき温度センサの凹部外への移動を抑制することができるストッパを備える。
【0046】
嵌め込まれるべき温度センサは、ストッパに当接していることが好ましい。
【0047】
凹部の中心からストッパに垂直な方向は、嵌め込まれるべき温度センサの嵌め込み方向と言える。したがって、嵌め込まれるべき温度センサは、好ましくは嵌め込み方向に嵌め込まれる。
【0048】
温度センサが凹部から嵌め込み方向に移動するのを阻止するストッパがあることが好ましい。
【0049】
また、嵌め込まれるべきセンサは、他の側面、例えばバネクランプによって、又は、上記で説明したようにバネクランプが延在するホルダベースの側壁によって制限されることが好ましい。
【0050】
さらに好ましい態様によれば、ホルダは、凹部に嵌め込まれるべき温度センサを固定するためのクランプタブを備えている。
【0051】
これにより、センサを有するホルダを測定体に押し付ける必要なく、温度センサを凹部に保持又は固定することができる。
【0052】
クランプタブは、ホルダベースの内部領域から出るように延在する(aus erstreckt)ことが好ましい。
【0053】
クランプタブは、凹部の一側に沿って延在することが好ましい。好ましくは、クランプタブは、ホルダベースの内側領域から出るように、外面から内面への方向と平行に画定される方向に沿って延在する。好ましくは、クランプタブは、ストッパが配置される側には配置されない。さらに好ましくは、クランプタブは嵌め込み方向に対して平行に配置され、クランプタブのクランプ作用は嵌め込み方向に対して垂直に作用する。好ましくは、クランプタブは、クランプタブに対向する凹部の側壁に対して、凹部に嵌め込まれるべきセンサをクランプする。
【0054】
力の一部はセンサベースの内面方向にも作用する。しかしながら、ここで重要なことは、クランプタブがセンサのコンタクト面上に延在しないことである。例えば、センサの形状が部分的円形又は部分的楕円形の場合、クランプタブはコンタクト面上に延在することなくセンサを部分的に囲むことができる。その結果、概して、クランプタブは、好ましくは、凹部に嵌め込まれるべきセンサに少なくとも部分的に適合する形状(passende Form)を有する。その結果、クランプタブはセンサを少なくとも部分的に形状結合的に取り囲む(formschluessig umschliessen)ことができる。
【0055】
代替的にあるいは付加的に、クランプタブは、センサをよりよく固定するために、センサの適切な凹部又は切欠きの係合領域と係合することができる。
【0056】
さらに、凹部の、上述のクランプタブとは対向する側にも第2のクランピングタブを付加的に配置することができる。このように形成された一対のクランプタブは、センサに対称的なクランプ力負荷を生じさせることができる。このようにして、さらに安定した固定を達成することができる。
【0057】
好ましくは、ホルダは一体的(einstueckig)に製造されることができる。これには、組み立てられた構成部品の接合部における弱い点(Schwachstellen an Verbindungsstelle)を回避できるという利点がある。
【0058】
つまり、ホルダはその全ての領域で同じ材料で作ることができる。
【0059】
これは、前述の態様とともに、ホルダが同じ可撓性材料から形成され、それによって、必要な可撓性とクランプ力をバネクランプと1つ以上のクランプタブとの両方に提供できる、という特別な利点を有する。
【0060】
さらに好ましい態様によれば、ホルダはプレス曲げ部品(Stanzbiegeteil)として製造されることができる。これは、特に製造が容易であるという利点を有する。したがって、このようなホルダは、好ましくは板状金属(Blech)から作られる。板状金属は、好ましくは、鋼、ステンレス鋼、銅又はアルミニウムを含むことができる。また、これらの材料又はこれらの材料を含む合金で構成することもできる。板状金属はコーティングされることができる。
【0061】
あるいは、ホルダをプラスチック製にしたり、プラスチックから製造することもできる。これは、ホルダが特に軽量であることを意味する。このようにして、配線バンドルの配線の取り回しがホルダの重量によって損なわれないようにすることができる。
【0062】
適切なプラスチックは、ポリアミド66などのポリアミド、ポリプロピレン、ポリフタルアミド、ポリフェニレンサルファイド、又は、ポリウレタンから選択できる。原則的に、プラスチックホルダの適用可能性は適用温度に依存する。プラスチックの選択を適用温度に合わせることもできる。
【0063】
さらなる態様によれば、凹部は開口を備え、電気配線の開口へのガイドを可能にする。
【0064】
これらの電気配線は、凹部に嵌め込まれるべき温度センサの入力または出力コンタクトであることが好ましい。
【0065】
開口は、好ましくは、ストッパとは対向する面に配置することができる。開口側からストッパ側への方向は、好ましくは嵌め込み方向に対応することができる。ホルダの周囲では、電気配線もほぼ嵌め込み方向に延在することができる。好ましくは、嵌め込み方向、したがって配線の局所的なガイド方向は、配線バンドルの配線に対して垂直に配向されている。したがって、センサ配線を配線バンドルから可能な限り効率的に引き出すことができる。こうすることで、配線の急激な折り曲げ(scharfes abknicken)を避けることができる。
【0066】
さらなる態様によれば、凹部は、温度センサを少なくとも部分的に凹部内に形状嵌合式に挿入できるような形状である。
【0067】
少なくとも部分的に形状結合するとは、例えば、測定体とコンタクトする側ではない側が、その形状で凹部に適合することを意味することができる。凹部は、温度センサ又は温度センサの片面のすべての形状特徴を再現する必要はない。しかしながら、ここでいう形状結合とは、凹部内での温度センサのぐらつきが最小になる程度に、温度センサの形状が少なくともマイナスの部分ではプラスの形状を模倣している(ein Negativ zum Positiv nachempfindet)ことを意味する。
【0068】
さらなる態様によれば、ホルダは、ホルダベースに対して互いに相対向する側に配置され、ホルダベースの内面方向にクランプ力を発生させるのに適した2つのバネクランプをさらに備える。
【0069】
この態様によれば、ホルダは4つのバネクランプを備える。これら4つのバネクランプはそれぞれ、対向する2つのバネクランプの対を形成しており、それぞれバネクランプ対と解することができる。
【0070】
第2のバネクランプ対は、第1のバネクランプ対と同様の特性を有することができる。
【0071】
全部で4つのバネクランプは、好ましくはホルダベースに対して対称に配置される。これにより、温度センサの測定体への安定した4点固定又は4点クランプが可能になる。
【0072】
ホルダのさらなる好ましい態様によれば、バネクランプは、クランプ作用を生じさせ、測定体への締結を効果的にするために、楕円形の測定体を少なくとも部分的に取り囲むのに適しており、バネクランプは測定体に可能な限り形状結合しながらもアンダーサイズで又は小さめに(untermassig)当接する(anliegen)。
【0073】
温度が測定されるべき可能性のある多くの測定体は、多かれ少なかれ楕円形をしている。特に、一般的なホットクリンプは楕円形をしている。
【0074】
特に楕円形状に関して、形状結合とは、バネクランプの一部が少なくとも部分的に形状を模倣することを意味する。この場合、形状が小さめである、すなわちクランプされていない状態では測定体の形状に比べて小さくなる、又は例えば小さすぎる開口角又は半径で楕円形状を模倣することができる。クランプすることで、小さめの形状は拡張され、それによって拡張に対する反力としてクランプ作用を生じさせることができる。
【0075】
さらに好ましい態様によれば、バネクランプの材料は、100℃から200℃の温度負荷で弾力性がある(federelastisch)ように選択される。
【0076】
この目的には、上記の材料が特に適している。
【0077】
この特性により、ホルダは一般的な温度範囲で弾力性があるため、電気自動車の電気モータへの使用に特に適している。
【0078】
さらにより好ましくは、バネクランプは、エンジン始動条件下、すなわち、ー20~50℃の温度範囲下でも弾力性がある。
【0079】
同様の要件は、好ましくはクランプタブによっても満たされる。
【0080】
以下、例示的な実施形態を参照して本発明をより詳細に説明する。これらの例示的な実施形態は、以下の図に示されており、これらの図は縮尺通りではない。したがって、長さならびに相対寸法及び絶対寸法は、図から読み取ることができない。また、本発明は以下の図に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0081】
図1図1は、ホルダの一実施形態を示す斜視図である。
図2図2は、ホルダの実施形態の内面を示す図である。
図3図3はホルダの実施形態の側面を示す図である。
図4図4は、ホルダの実施形態のさらなる側面を示す図である。
図5図5は、測定アレンジメントの一実施形態を示す斜視図である。
図6図6は、測定セットアップの一実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0082】
図1乃至図4は、本発明によるホルダ1の第1実施形態の異なる図である。いずれの場合も、ホルダ1の座標系x,y,zが示されており、これはホルダ1の内部座標系とみなすことができる。
【0083】
図1乃至4の全てに見られるように、ホルダ1はホルダベース11を有する。バネクランプ14を含むさらなる構成部品は、ホルダベース11から延在する。
【0084】
特に、ホルダベース11は内面12及び外面13を有する。内面12は、図2の図において特に認識できる。
【0085】
内面12から外面13への方向は、ホルダ1の隣に示された座標系のz方向に対応する。
【0086】
さらに、ホルダベースには凹部15が設けられている。
この凹部15は、温度センサを少なくとも部分的に嵌め込むのに適している。
【0087】
凹部15にはストッパ16が設けられている。開口18は、ストッパ16に対向して凹部15に開口18が配置されている。開口18からストッパ16に向かう方向は、座標系のx方向に対応する。
【0088】
さらに、凹部15は、x方向に沿って配向された側壁をさらに有する。これらは、y方向に垂直な凹部15を区画する。
【0089】
側壁の一方にはクランプタブ(Klemmlasche)17が形成されている。これは、嵌め込まれるべき温度センサを、凹部15の相対向する側壁に押し付けるか又は内面12に押し付けるクランプ作用によって固定するのに適している。好ましくは、温度センサはこれらの両方向で凹部15に押し付けられる。クランプタブ17は、好ましくは製造時に側壁から加工される。
【0090】
x方向は、ホルダ1に装入されるべき温度センサの装入方向に対応し、ストッパ16は、ホルダ1の凹部15から装入方向への移動又はホルダ1の凹部15から装入方向へ出るスライドを防止する。この目的のために、ストッパ16の平坦部分は、温度センサの装入方向(ここではx方向)に対して垂直に配向されていることが好ましい。換言すると、ストッパ16の平坦部分の表面法線は、x方向と反対方向に配向している。
【0091】
合計4個のスプリングクランプ14がホルダベース15から延在し、ウェブ19が凹部15の側壁に取り付けられるように延在し、その上にバネクランプ14がウェブ経路に対して垂直に配置される。このようにして、X方向に互いに対向し、1つウェブ19の両端に配置されたバネクランプ14は、バネクランプ対として定義することができる。
【0092】
あるいは、2つのバネクランプ(図示せず)のみをx方向に相対向して配置することも可能であり、好ましくは、y方向において隣り合うバネクランプ14間の自由空間をバネクランプを連結する材料で充填する。
【0093】
バネクランプ14のクランプ作用は、好ましくはクランプタブ17のクランプ作用に対して垂直方向に配向されている。特に、装入方向(x方向)は、バネクランプ14のクランプ作用と平行である。これにより、温度センサを測定体の経路(Verlauf eines Messkoerpers)に対して垂直に装入することができる。
【0094】
バネクランプ14はそれぞれウェブ19から出るように延在し、クランプ作用は装入方向と平行であるため、バネクランプによって生成された張力又は力、あるいは測定セットアップにおいてバネクランプに作用する張力又は力は、ホルダベースに伝達されることができない。これにより、ホルダベースが負荷を受けてY方向に平行に曲げられることが防止される。
【0095】
図1図4に示すホルダは、プレス曲げ部品として製造することも、プラスチックで構成することもできる。ホルダは好ましくは一体的に(einstueckig)製造される。
【0096】
図5は、測定アセンブリ30を示している。この測定アセンブリ30は、例えば、図6に示すように、測定セットアップの一部とすることができる。
【0097】
図6に示す測定セットアップでは、配線101が引き出された試験体100が概略的に描かれている。試験体100は、例えば電気モータを表すことができる。配線101は試験体100の様々な箇所から出ており、試験体から測定アセンブリ30に熱を伝導するのに適しており、したがって測定アセンブリ30内での温度測定を可能にする。
【0098】
図 5 の測定アセンブリ30は、図6に概略的に示すように、少なくとも2本の互いに独立した配線101がガイドされた配線バンドル3を含む(図5には配線は明示されていない)。ホットクリンプ(Heisscrimp)4は、結束手段として配線バンドル3に、又は配線バンドル3の一部として取り付けられている。ホットクリンプ4は、配線とホットクリンプとの間に良好な温度伝導コンタクトを形成するように、配線バンドル内の配線から少なくとも部分的に絶縁除去する(abisolieren)ことができる。ホットクリンプ4は、良好な熱伝導性を有する金属製であることが好ましい。
【0099】
温度センサ2は、先の図に示したホルダ1によってホットクリンプ4にクランプされる。したがって、ホットクリンプとともに配線バンドルがここでは測定体となる。感温素子を有するか又は感温素子に熱伝導的に接続された温度センサ2の片面は、ホットクリンプ4の表面に載置されている。
【0100】
図示のホルダ1は、温度センサ2の接触面とホットクリンプ4の対応するコンタクト面との間にホルダ1の部分が存在することなく、温度センサ2をホットクリンプ4に直接コンタクトさせることができるため、測定セットアップに特に適している。
【0101】
配線21は、配線バンドル3内の配線のガイド方向とほぼ直交する方向に、温度センサ2から引き出される(weggefuehrt)。
【0102】
配線バンドル3に束ねられた配線は、試験体、例えば電気モータに接続される。熱は、試験体から、温度低下が起こる測定体(ホットクリンプ4)へ、例えばホットクリンプ4によって少なくとも部分的に露出した金属コアを有する配線を介して伝導される。
【0103】
見てわかるように、ホルダベース11の凹部15は、温度センサ2に対し形状結合的又はほぼ形状結合的に成形されており、これによってがたつきを防ぐことができる。
【0104】
さらに、ストッパ16は、温度センサ2が嵌め込み方向に抜け出る(Herausrutschen)のを防止する。
【0105】
さらに、温度センサ2は、クランプタブ17によって凹部15内に固定され、クランプタブ17は、温度センサ2の側面に対して少なくとも1つの押圧力を生じさせ、温度センサ2は、凹部15の、クランプタブ17に対向する面又は内面12に対して押圧される。あるいは、対向する面にさらなるクランプタブ17を形成することもできる(図示せず)。
【0106】
バネクランプ14は、ホットクリンプ4の楕円形状に少なくとも部分的に形状結合的に適合している。バネクランプ14は小さめ又はアンダーサイズ(untermassig)であり、すなわち、張力がかかっていない状態での開口角度又は半径は、例えば、ホットクリンプ4の側面の湾曲よりも小さい。クランプすることにより張力が発生し、ホルダのクランプ作用が生じる。
【0107】
クランプ作用により、温度センサは高温の圧着部に押し付けられる。
【符号の説明】
【0108】
1 ホルダ(Halterung)
2 温度センサ(Temperatursensor)
3 配線バンドル(Leitungsbuendel)
4 ホットクリンプ(Heisscrimp)
11 ホルダベース(Halterungsbasis)
12 内面(Innenseite)
13 外面(Ausenseite)
14 バネクランプ(Federklemme)
15 凹部(Vertiefung)
16 ストッパ(Anschlag)
17 クランプタブ(Klemmlasche)
18 開口(Oeffnung)
19 ウェブ(Steg)
21 センサ配線(Sensorleitung)
30 測定アセンブリ(Messanordnung)
100 試験体(Pruefkoerper)
101 配線(Leitung)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】