IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キャタピラー インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-526158シール潤滑の改善のためのオイル空隙を形成するカラーを有するトラックローラ
<>
  • 特表-シール潤滑の改善のためのオイル空隙を形成するカラーを有するトラックローラ 図1
  • 特表-シール潤滑の改善のためのオイル空隙を形成するカラーを有するトラックローラ 図2
  • 特表-シール潤滑の改善のためのオイル空隙を形成するカラーを有するトラックローラ 図3
  • 特表-シール潤滑の改善のためのオイル空隙を形成するカラーを有するトラックローラ 図4
  • 特表-シール潤滑の改善のためのオイル空隙を形成するカラーを有するトラックローラ 図5
  • 特表-シール潤滑の改善のためのオイル空隙を形成するカラーを有するトラックローラ 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】シール潤滑の改善のためのオイル空隙を形成するカラーを有するトラックローラ
(51)【国際特許分類】
   B62D 55/08 20060101AFI20240709BHJP
   B62D 55/15 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
B62D55/08 Z
B62D55/15
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578959
(86)(22)【出願日】2022-06-29
(85)【翻訳文提出日】2024-01-10
(86)【国際出願番号】 US2022035423
(87)【国際公開番号】W WO2023283083
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】17/372,077
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スアンノ、ジェンナロ
(72)【発明者】
【氏名】ヘイクス、デイビッド ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ハント、ルイス シー.
(57)【要約】
トラックローラ(26)は、ローラシェル(28)と、ローラシェル(28)を通って延在するローラシャフト(76)と、カラー(60)とを含む。カラー(60)は、ローラシャフト(76)上に締り嵌めされた中央本体(62)と、シールキャリア(74)とを含む。クリアランス(96)は、中央本体外面(72)と、シールキャリア(74)とローラシェル(28)との間に軸方向に圧縮されて保持される面シール組立品(84)との間に半径方向に延在する。オイル空隙(100)は、中央本体(62)内に形成され、クリアランス(96)に流体接続されて、潤滑および放熱のための増大したオイル体積を提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラックローラ(26)であって、
外側トレッド面(30)、およびボア中心軸(36)を定義するシェルボア(34)を形成するシェル内面(32)を含む、ローラシェル(28)と、
中央本体の第一の軸方向端(64)、中央本体の第二の軸方向端(66)、カラーボア(70)を形成する中央本体内面(68)、中央本体外面(72)、および前記中央本体の第二の端(66)に接続され、中央本体(62、162)の半径方向外側に突出するシールキャリア(74)を有する、前記中央本体(62、162)を含む、カラー(60、61、160)と、
前記シェルボア(34)および前記カラーボア(70)を通って延在するローラシャフト(76)と、
前記シールキャリア(74)と前記ローラシェル(28)との間に軸方向に圧縮されて保持される面シール組立品(84、85)と、
前記中央本体外面(72)と前記面シール組立品(84、85)との間に半径方向に、前記ボア中心軸(36)の周りに円周方向に延在するクリアランス(96)と、
前記中央本体(62、162)内に形成され、前記中央本体の第一の軸方向端(64)と前記中央本体の第二の軸方向端(66)との間に軸方向に配置されて、前記クリアランス(96)に流体接続されるオイル空隙(100、101、200)であって、前記中央本体外面(72)から半径方向内側に、前記ボア中心軸(36)の周りに円周方向に延在する、オイル空隙(100、101、200)と、を備える、トラックローラ(26)。
【請求項2】
前記面シール組立品(84、85)が、前記ボア中心軸(36)に対して垂直方向に配向され、前記オイル空隙(100、101、200)と交差するシール接触平面(94)を定義する、第一のシールリング(86)および第二のシールリング(88)を含み、
前記シールキャリア(74)が、シールキャリア軸方向端面(108)を含み、前記中央本体(62、162)が、前記シールキャリア(74)から軸方向に突出し、前記第一の中央本体軸方向端(64)が、前記シールキャリア軸方向端面(108)の軸方向外側に離間する中央本体軸方向端面(104)を含む、請求項1に記載のトラックローラ(26)。
【請求項3】
前記オイル空隙(100、101、200)の軸方向の広がり(98)が、前記第一のシールリング(86)と前記第二のシールリング(88)の組み合わせた軸方向の広がり(98)よりも小さく、
前記オイル空隙(100、101、200)が、前記シール接触平面(94)を中心に軸方向に対称であり、
前記中央本体外面(72)が、前記中央本体の第一の軸方向端(64)上に円筒形の第一のセクション(116)と、前記中央本体の第二の軸方向端(66)上に円筒形の第二のセクション(114)とを有し、
前記オイル空隙(100、101、200)が、前記ボア中心軸(36)の周りに円周方向に延在し、前記円筒形の第一のセクション(116)と前記円筒形の第二のセクション(114)との間に軸方向に形成されるオイル溝を含む、請求項2に記載のトラックローラ(26)。
【請求項4】
前記オイル溝が、前記中央本体(62、162)の半径方向内側内部の溝の深さ寸法(118)、および前記溝の深さ寸法(118)よりも大きい溝の幅寸法(120)を定義し、
前記中央本体(62、162)が、前記中央本体内面(68)と前記中央本体外面(72)との間に壁の厚さ寸法(122)を定義し、
前記溝の深さ寸法(118)が、前記壁の厚さ寸法(122)の15%~33%である、請求項3に記載のトラックローラ(26)。
【請求項5】
前記ローラシャフト(76)が、前記シェルボア(34)内の連続した円筒形プロファイルの直線シャフトを含み、
前記カラー(60、61、160)が、前記ローラシャフト(76)上に締り嵌めされた第一のカラー(60、160)を含み、前記シール組立品(84、85)が、第一の面シール組立品(84)を含み、前記トラックローラ(26)が、前記ローラシャフト(76)上に締り嵌めされ、その中に形成されたオイル空隙(101)を有するカラー本体外面、および前記第二のカラー(61)と前記ローラシェル(28)との間に圧縮されて保持される第二の面シール組立品(85)を含む、第二のカラー(61)をさらに備え、
前記第一のカラー(60、160)の前記オイル空隙(100、200)および前記第二のカラー(61)の前記オイル空隙(101)の各々が、前記第一の面シール組立品(84)と前記第二の面シール組立品(85)との間に前記トラックローラ(26)内に流体的に封止されたオイル総体積の2%~4%であるオイル体積を定義する、請求項1~4のいずれかに記載のトラックローラ(26)。
【請求項6】
トラックローラ(26)のローラシャフト(76)用のカラー(60、61、160)であって、
カラー中心軸(102)を定義するカラーボア(70)を形成する中央本体内面(68)、中央本体外面(72)、前記カラーボア(70)の周りに円周方向に延在する中央本体軸方向端面(104)を有する中央本体の第一の軸方向端(64)、および中央本体の第二の軸方向端(66)を含む、中央本体(62、162)と、
前記中央本体の第二の軸方向端(66)に接続され、前記中央本体の第一の軸方向端(64)の軸方向に延在するフランジセクション(106、174)を含むシールキャリア(74)であって、前記フランジセクション(106、174)が、シールキャリア端面(108)と、前記中央本体外面(72)に面し、前記中央本体の第一の軸方向端(64)の軸方向に拡大するテーパを形成するシール面(110)とを含む、シールキャリア(74)と、を備え、
前記中央本体(62、162)が、前記中央本体軸方向端面(104)が前記シールキャリア端面(108)の軸方向外側に離間するように、前記シールキャリア(74)から突出し、前記中央本体外面(72)が、前記シールキャリア(74)に隣接する第一のセクション(114)と、前記中央本体軸方向端面(104)に隣接する端セクション(116)と、前記第一のセクション(114)と前記端セクション(116)との間に軸方向に形成され、前記中央本体(62、162)の半径方向内側内部に延在するオイル空隙(100、101、200)とをさらに含む、カラー(60、61、160)。
【請求項7】
前記オイル空隙(200)が、前記カラー中心軸(102)の周りに円周方向に延在するオイル溝を含む、請求項6に記載のカラー(60、61、160)。
【請求項8】
前記中央本体(162)が、前記オイル溝を中断するオイル偏向突出部(202)をさらに含む、請求項7に記載のカラー(160)。
【請求項9】
前記オイル偏向突出部(202)が、前記カラー中心軸の周りの円周方向の離間した位置で前記オイル溝を中断する複数のオイル偏向突出部(202)のうちの一つである、請求項7に記載のカラー(160)。
【請求項10】
前記オイル溝が、溝の深さ寸法(118)、および前記溝の深さ寸法(118)よりも大きい溝の幅寸法(118)を定義し、
前記中央本体(62、162)が、前記中央本体内面(68)と前記中央本体外面(72)との間に壁の厚さ寸法(122)を定義し、
前記溝の深さ寸法(118)が、前記壁の厚さ寸法(122)の15%~33%であり、
前記中央本体(62、162)が、前記中央本体の第一の軸方向端(66)に外径寸法(124)を定義し、前記幅寸法が、前記外径寸法(124)の3%~5%である、請求項7~9のいずれかに記載のカラー(60、160)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概してトラックローラに関し、より具体的には、シール潤滑改善のためにオイルを収容するように配置されたオイル空隙を有するトラックローラ用のカラーに関する。
【背景技術】
【0002】
軌道型機械は、鉱業、建築業、林業、道路建設、埋め立て、およびその他多くの用途を含む、様々なオフハイウェイ環境下で、世界中で使用される。典型的な軌道型機械は、機械フレームの各側面に位置決めされた地面係合軌道を含む。地面係合軌道は、一つ以上のアイドラー、駆動スプロケット、およびトラックローラを含む、複数の回転可能なトラック接触要素の周りに延在する。地面係合軌道は、軌道型機械を前方に移動させるために、第一の方向に、軌道型機械を後方に移動させるために、逆方向に、かつ軌道型機械の進行方向または配向を変更するために、異なる速度で前進させられ得る。
【0003】
軌道型機械は、特定の作業用途を必要として、また、機械の大部分および複雑な部品が、一般的に、非常に堅牢かつ頑丈であるように構築されるための両方の点で、非常に重量がある傾向にある。軌道型機械が受ける動作条件はまた、非常に堅牢であり、重量のある負荷を押動し、急勾配の地形を走行し、粗い研磨性の基板材料と相互作用し得る。トラックローラは、典型的には、軌道型機械の重量の大部分を担持し、軌道型機械が移動する際に、連続的に回転する。この理由から、トラックローラは、典型的には、軌道型機械の使用方法に応じて、大きさが厳密で、反復性、および可変であり得る、様々な型の荷重に耐えるように構成される。エンジニアは、現場性能および耐用年数を最適化するために、トラックローラ用の様々な潤滑計画を開発してきた。
【0004】
一つの共通のトラックローラ設計では、金属面シールを使用して、トラックローラと支持ローラシャフトとの間で回転するものの、流体的に封止された境界面を提供する。面シールおよび関連する組立品は、長年使用されて、大きな成功を収めてきた。しかしながら、特定の用途では、既存の封止計画は、回転面シールの構成要素の互いに対する比較的高速での動作を経験し得、その結果、最終的に、性能低下または故障をもたらす。様々な封止計画に順応するための労力によっても、トラックローラの他の部品の工学技術および設計は複雑になり得る。一つの既知のトラックローラ組立品の構成は、Hasselbuschらによる米国特許第6,364,438号に記載される。Hasselbuschらの文献では、ローラ組立品は、ローラリムおよびローラシャフトを有する。リテーナは、ローラリム内のアクセス開口部に圧入される。軸方向スラストベアリングは、ローラシャフトの外側に延在するフランジとリテーナとの間に介在される。Hasselbuschらの発明は、間違いなく、様々な用途を有する一方、代替計画には改善および開発の余地が常にある。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、トラックローラは、外側トレッド面、およびボア中心軸を定義するシェルボアを形成するシェル内面を有する、ローラシェルを含む。トラックローラは、中央本体の第一の軸方向端、中央本体の第二の軸方向端、カラーボアを形成する中央本体内面、中央本体外面、および中央本体の第二の軸方向端に接続され、中央本体の半径方向外側に突出するシールキャリアを有する、中央本体を有するカラーをさらに含む。トラックローラは、シェルボアおよびカラーボアを通って延在するローラシャフトと、シールキャリアとローラシェルとの間に軸方向に圧縮されて保持される面シール組立品とをさらに含む。クリアランスは、中央本体外面と面シール組立品との間に半径方向に、ボア中心軸の周りに円周方向に延在する。オイル空隙は、中央本体内に形成され、中央本体の第一の軸方向端と中央本体の第二の軸方向端との間に軸方向に配置されて、クリアランスに流体接続され、オイル空隙は、中央本体外面から半径方向内側に、ボア中心軸の周りに円周方向に延在する。
【0006】
別の態様では、トラックローラのローラシャフト用のカラーは、カラー中心軸を定義するカラーボアを形成する中央本体内面、中央本体外面、カラーボアの周りに円周方向に延在する中央本体軸方向端面を有する中央本体の第一の軸方向端、および中央本体の第二の軸方向端を有する、中央本体を含む。シールキャリアは、中央本体の第二の軸方向端に接続され、中央本体の第一の軸方向端の軸方向に延在するフランジセクションを含み、フランジセクションは、シールキャリア端面と、中央本体外面に面し、中央本体の第一の軸方向端の軸方向に拡大するテーパを形成するシール面とを含む。中央本体は、中央本体軸方向端面がシールキャリア端面の軸方向外側に離間するように、シールキャリアから突出し、中央本体外面は、シールキャリアに隣接する第一のセクションと、中央本体軸方向端面に隣接する端セクションと、第一のセクションと端セクションとの間に軸方向に形成され、中央本体の半径方向内側内部に延在するオイル空隙とをさらに含む。
【0007】
さらに別の態様では、トラックローラのローラシャフト用のカラーは、カラー中心軸を定義するカラーボアを形成する中央本体と、中央本体に接続され、フランジセクション外面、中央本体の周りに円周方向に延在する内側シール面、および内側シール面に隣接したシール保持リップを有する、フランジセクションを含むシールキャリアとを含む。フランジセクションは、シールキャリア軸方向端面をさらに含み、中央本体は、シールキャリアの軸方向外側に突出し、シールキャリア軸方向端面の軸方向外側に離間した中央本体軸方向端面を含む。中央本体は、その中に形成され、ボア中心軸の周りに円周方向に延在するオイル溝をさらに含む。オイル溝は、溝の深さ、および溝の深さよりも大きい溝の幅を定義し、ボア中心軸の周りに円周方向に延在して、シールキャリア内に支持されたときに、中央本体とシール組立品との間のクリアランスに流体接続されるオイル体積を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態による、機械の側面図である。
図2図2は、一実施形態による、トラックローラの部分断面図である。
図3図3は、一実施形態による、トラックローラ用のカラーの断面図である。
図4図4は、図3と同様のカラーの図である。
図5図5は、別の実施形態による、トラックローラ用のカラーの断面図である。
図6図6は、図5と同様のカラーの図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1を参照すると、一実施形態による軌道型機械10が示されている。機械10は、機械フレーム12、および機械フレーム12を支持する接地係合トラックシステム14を含む。トラックシステム14は、前方アイドラー18と、後方アイドラー20と、駆動スプロケット22と、複数のトラックローラ26と、トラックローラフレーム27とを含む。トラック16は、取り付けられたトラックシューとともに、回転可能な要素の周りに延在する無限ループを形成する、複数の一緒に結合されるトラックリンクを含む。トラック14は、いわゆる「ハイドライブ」構成で示されているが、他の実施形態では、オーバルトラック、またはさらに別のトラック配置が使用されてもよい。実質的に同一のトラックおよび回転可能な要素が、図1に示すのとは反対側の機械フレーム12の側面上に位置付けられ得る。本開示の実用的な実装は、トラックローラフレームに取り付けられ、オフハイウェイ機械環境で使用する目的のために構築された機械の重量の大部分を支持するトラックローラに関する。他の用途において、他の役割を果たすか、または例えば、トラックコンベア用途などの異なる環境で使用されるトラック「ローラ」は、本開示の範囲内に収まり得る。図示した実施形態では、機械10は軌道型トラクタである。他の実施形態では、本開示による機械は、軌道型ローダ、鉱業機械、ショベル、半トラック機械、またはさらに別の機械を含み得る。
【0010】
ここで図2も参照すると、以下単数形で言及される、トラックローラ26のうちの一つが示されている。トラックローラ26は、トラック16内のトラックリンクの二つの平行なチェーンと接触して回転するように構造化された外側トレッド面30を有するローラシェル28を含む。ローラシェル28はまた、ボア中心軸36を定義するシェルボア34を形成するシェル内面32を含む。ローラシェル28は、摩擦溶接などによって取り付けられた二つの溶接されたハーフシェルから作製することができるが、本開示はそれに限定されない。ローラシェル28はまた、稼働中にトラックローラ26とトラック16との間の接触を案内するのを支援する端フランジ38を含み得る。ローラシェル28は、第一のローラシェル軸方向端40および第二のローラシェル軸方向端42をさらに含む。第一のシール凹部46は、第一のローラシェル軸方向端40に形成され、第二のシール凹部48は、第二のローラシェル軸方向端42に形成される。複数のオイル通路50は、オイル空洞44と第一のシール凹部46との間に、およびオイル空洞44と第二のシール凹部48との間に延在し得る。第一のシール凹部46および第二のシール凹部48の各々は、図示されるように、第一のローラシェル軸方向端40および第二のローラシェル軸方向端42から見たときに、段差のあるプロファイルを有し得る。また、スリーブベアリング52は、シェルボア34内に位置付けられ、シェルボア34を通って延在するローラシャフト76上にローラシェル28を回転可能に支持する。図示した実施形態では、スリーブベアリング52とは別個の環状部品として構成されるスラストベアリング44は、ローラシェル28の第一のスラスト面56および第二のスラスト面58に隣接して位置付けられる。
【0011】
トラックローラ26は、第一のカラー60および第二のカラー61をさらに含む。第一のカラー60および第二のカラー61は、ローラシャフト76上に締り嵌めされ、各々が、スラストベアリング54の一つと接触して位置付けられ、稼働中にローラシェル28が受けるスラスト負荷に反応する。ここで図3および図4も参照すると、カラー60、および同一であり得る類似のカラー61は、第一の中央本体軸方向端64、第二の中央本体軸方向端66、およびカラー中心軸102を定義するカラーボア70を形成する中央本体内面68を有する、中央本体62を含む。ボア中心軸36およびカラー中心軸102は、同軸に配置され得る。カラー60は、中央本体外面72と、第二の中央本体軸方向端66に接続され、中央本体62の半径方向外側に突出するシールキャリア74とをさらに含む。中央本体の第一の軸方向端64は、カラーボア70の周りに円周方向に延在する中央本体軸方向端面104を含む。シールキャリア74は、基部セクション105と、中央本体の第一の軸方向端64の軸方向に延在するフランジセクション106とを含む。フランジセクション106は、シールキャリア軸方向端面108を含み、中央本体62は、中央本体軸方向端面104がシールキャリア軸方向端面108の軸方向外側に離間するように、シールキャリア74から突出する。中央本体外面72は、シールキャリア74に隣接する第一のセクション114と、中央本体軸方向端面104に隣接する端セクション116とを含む。第一のセクション114および第二のセクション116の各々は、円筒形であってもよい。
【0012】
上述のように、ローラシャフト76は、シェルボア34を通って延在する。ローラシャフト76はまた、カラー60のカラーボア70を通って延在する。カラー60および61は同一であり得るため、カラー60の本明細書の説明および考察は、カラー61にも類推適用されると理解されるべきである。一部の実施形態では、カラー60のみが、ローラシャフトの第一の端に関連して使用されてもよく、異なる支持体およびスラスト負荷機構が、ローラシャフトの反対側の端に関連して使用されてもよい。ローラシャフト76は、図示した実施形態では、カラー60の機外にある第一のシャフト端78と、カラー61の機外にある第二のシャフト端80とを含む。本明細書で使用する用語「機外」は、何かの外側に向かう、またはこれを超えることを意味し、本例では、トラックローラ26内に取り付けられたときにカラー60の外側を超えることを意味し、「機内」は反対の定義を有する。用語「軸方向外側」は、軸に沿った、何かの外側または外部に向かう、またはこれらを超える方向を意味し、「軸方向内側」は反対の定義を有する。第一の平坦面79は、第一のシャフト端78上に形成され、第二の平坦面81は、第二のシャフト端80上に形成される。平坦部分79および81は、相補的な形状のトラックローラ取り付けブロック、クランプ、または他の取り付けハードウェアとの係合によるなど、ローラシャフト76を取り付け、稼働中の回転に対してローラシャフト76を制約するのに使用され得る。したがって、図示した実施形態では、ローラシャフト76、およびカラー60および61は、典型的には、ローラシャフト26との締り嵌めによって、トラックローラフレーム27に対して回転に対して固定され、ローラシェル28は稼働中に自由に回転する。
【0013】
トラックローラ26は、カラー60のシールキャリア74とローラシェル28との間に軸方向に圧縮されて保持され、第一のシール凹部46内に位置付けられる面シール組立品84をさらに含む。別の、典型的には、実質的に同一の面シール組立品85は、カラー61のシールキャリアとローラシェル28との間に軸方向に圧縮されて保持され、第二のシール凹部48内に位置付けられる。したがって、面シール組立品84の本明細書の説明は、面シール組立品85にも類推適用されるものと理解される。面シール組立品84は、第一の環状の金属シールリング86および第二の環状の金属シールリング88を含み得る。面シール組立品84はまた、第一の環状の非金属シール要素90および第二の環状の非金属シール要素92を含み得る。シールリング86は、ローラシェル28に対して、カラー60とともに回転に対して固定され得る。シールリング88は、ローラシェル28とともに回転し得る。シールリング86およびシールリング88は、シール接触平面94で互いに当接する。
【0014】
引き続き図3および図4に焦点を当てると、シールキャリア74は、中央本体外面72に面するシール面110をさらに含む。シール面110は、シール要素90によって接触され得、中央本体の第一の軸方向端64の軸方向に拡大するテーパを形成する。一実施形態では、シール面110は円錐面であってもよい。シール保持リップ112は、内側シール面110に隣接し、組み立て、取り付け、および稼働中にシール要素90を定位置に保持するのを支援し得る。カラー60およびカラー61の各々は、ローラシャフト76上に締り嵌めされ得ることが想起されよう。スナップリング(番号なし)が、カラー60およびカラー61の各々の軸方向外側にローラシャフト76のスナップリング溝内に位置付けられてもよく、締まりばめを支持し、稼働中にスラスト負荷に反応する間の変位に対してカラー60および61を維持する。
【0015】
図2にも見られるように、クリアランス96は、中央本体外面72と面シール組立品84との間に半径方向に、ボア中心軸36の周りに円周方向に延在する。オイル空隙100は、中央本体62内に形成され、第一の中央本体軸方向端64と第二の中央本体軸方向端66との間に軸方向に配置される。さらに、オイル空隙100は、中央本体外面72の第一のセクション114と中央本体外面72の端セクション116との間に軸方向に形成されると理解され得る。オイル空隙100は、中央本体外面72から中央本体62内部に半径方向内側に延在し、ボア中心軸36の周りに円周方向に延在する。シールキャリア軸方向端面108は、オイル空隙100と交差する平面を定義し得る。
【0016】
一実施形態では、オイル空隙100は、カラー中心軸102の周りの全周に、かつボア中心軸36の周りの全周に延在するオイル溝を含む。シールリング86およびシールリング88は、上述のようにシール接触平面94を定義する。シール接触平面94は、ボア中心軸36に対して垂直方向に配向され、図示した実施形態ではオイル空隙100と交差する。同じく図面に見られるように、オイル空隙100の軸方向の広がりは、シールリング86とシールリング88の組み合わせた軸方向の広がり98よりも小さい。オイル空隙100は、シール接触平面94を中心に軸方向に対称であってもよい。
【0017】
オイル溝として構成される場合を含み、オイル空隙100は、中央本体62の半径方向内側内部の溝の深さ寸法118、および溝の深さ寸法118よりも大きい溝の幅寸法120を定義する。溝の幅寸法120は、上記で言及するオイル空隙100の軸方向の広がりとして理解され得る。また、第二のオイル空隙101は、カラー61の中央本体外面に形成され、オイル空隙100の説明および考察は、オイル空隙101に類推適用されると理解されるべきである。中央本体62はまた、中央本体内面68と中央本体外面72との間に壁の厚さ寸法122を定義することが理解される。溝の深さ寸法118は、壁の厚さ寸法122の15%~33%であってもよい。中央本体62は、中央本体の第一の軸方向端64に外径寸法124をさらに定義し、溝の幅寸法120は、外径寸法124の3%~5%であってもよい。また、溝の幅寸法120は、軸方向の広がり98の30%~70%であってもよい。開示された比率範囲は、面シール組立品84および85の潤滑および放熱の考慮事項、ならびに、本明細書でさらに論じるように、製造可能性および構造的完全性の観点から、最適なオイル貯蔵体積をオイル空隙100内に提供し得る。
【0018】
ここで図5および図6に焦点を当てると、別の実施形態によるカラー160が示されている。カラー160は、別段指示がある、または文脈から明白な場合を除き、上述のカラー60と類似または同一であり得る。カラー160は、中央本体162、および接続されたシールキャリア174を含む。オイル溝の形態を有するオイル空隙200は、カラー中心軸201の周りに円周方向に延在する。均一な円周方向のオイル溝ではなく、カラー160は、オイル溝200を中断する一つ、二つ、またはそれ以上のオイル偏向突出部202を含む。図示した実施形態では、図5に示すオイル偏向突出部202は、図6に示すように、カラー中心軸201の周りの円周方向に離間した位置でオイル溝200を中断する、複数のオイル偏向突出部202のうちの一つである。図6は、二つのオイル偏向突出部202を図示し、第三のオイル偏向突出部202は見えない。オイル偏向突出部202は、120°の位置など、カラー中心軸201の周りに円周方向に規則的に離間してもよい。オイル偏向突出部202は、オイル溝200、および隣接するカラー160と面シール組立品との間のクリアランス内におけるオイルの混合、分配、および流動を支援し、稼働中の潤滑および冷却を改善し得る。オイル偏向突出部202は、オイル溝200が複数の別個のオイル溝によって効果的に形成されるように、オイル溝200の全体を中断してもよく、または、オイル偏向突出部202は、オイル溝の断面積の一部のみを充填するように構造化されてもよい。
【0019】
産業上の利用可能性
図面を概して参照し、再び図2に焦点を戻すと、ローラシェル28は、オイル空洞44を形成することが想起される。オイル空洞44は、ローラシャフト76の周りに円周方向に延在してもよく、シャフト外面82は、オイル空洞44に露出される。ローラシャフト76は、シェルボア34内の連続した円筒形プロファイルの、いわゆる直線シャフトであり得る。この特徴は、シャフトフランジが、ローラシャフトの長さに沿ったほぼ中間に形成され、スラスト負荷に反応するために用いられる、特定の以前の戦略とは異なる。本開示によれば、スラスト負荷は、カラー60および61と、ローラシェル28のスラスト面56および58との間で反応される。スラスト負荷に反応するためにカラーが使用される場合、封止を最適かつ成功して提供するためには、一般的に、面シール組立品を、関連するスラスト面よりも大きな直径となるよう形成する必要がある。別の言い方をすると、面シール組立品は、スラストベアリング54の半径方向外側に位置付けられることが望ましい。比較的大きな面シール組立品は、稼働中の比較的大きなシールの回転速度と関連付けられ得る。
【0020】
こうした用途におけるインターフェースするシール面の比較的高速の回転は、摩擦から熱を発生し、堅牢な潤滑が提供されない場合、摩耗の増大、および潜在的なシールの故障またはその他の問題を伴う場合がある。オイル空隙100、およびオイル空隙101は、トラックローラ26内に追加のオイル体積を提供し、これにより、面シール組立品84および85の性能低下または故障を防止することを支援し得る。開示された戦略を理解する別の方法は、より多くのオイルがトラックローラ26内に貯蔵され得、そうでない場合に実行可能であるよりも潤滑に利用可能であることである。一実装では、第一のカラー60内のオイル空隙100および第二のカラー61内のオイル空隙101の各々は、第一の面シール組立品84と第二の面シール組立品85との間にトラックローラ26内に流体的に封止されたオイル総体積の2%~4%であるオイル体積を定義する。したがって、オイル空洞44、オイル通路50、クリアランス96、およびカラー61に関連した対応するクリアランス、およびオイル空隙100および101のオイル体積を、トラックローラ26内の他の空間における様々なオイルフィルムとともに、すべてを合計して、搬送されるオイル総体積を規定するこができ、オイル空隙100および101は、比例体積の上記範囲を提供する。精密には、オイル空隙100および101それぞれは、トラックローラ26内に封止された保持されるオイル総体積のおよそ3%であるオイル体積を定義し得る。
【0021】
本明細書は、例示目的のみとし、本開示の範囲をいかなる形でも狭めるように解釈されるべきではない。従って、当業者は、本開示の完全および公正な範囲および趣旨から逸脱することなく、本開示の実施形態にさまざまな修正を行うことができることを理解するであろう。その他の態様、特徴および利点は、添付図面および添付の特許請求の範囲を検討の上で明らかになるであろう。本明細書で使用される冠詞「a」および「an」は、一つまたは複数の品目を含むことが意図されており、「一つまたは複数(one or more)」と交換可能に使用され得る。一つの項目のみが意図される場合、「一つの」または類似の言い回しが使用される。また、本明細書で使用される「有する(has)」、「有する(have)」、「有する(having)」またはこれに類する用語は、非限定な用語であることが意図される。さらに、「に基づく」という語句は、別段の明示がない限り、「少なくとも部分的に基づく」を意味することを意図する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】