(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】吸収性物品及び包装製品に対する廃棄物の分別及び分離方法
(51)【国際特許分類】
B29B 17/02 20060101AFI20240709BHJP
B09B 3/40 20220101ALI20240709BHJP
B09B 3/60 20220101ALI20240709BHJP
【FI】
B29B17/02
B09B3/40
B09B3/60
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579025
(86)(22)【出願日】2022-07-12
(85)【翻訳文提出日】2023-12-21
(86)【国際出願番号】 US2022036750
(87)【国際公開番号】W WO2023287739
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100198029
【氏名又は名称】綿貫 力
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゴ、ロザーティ
【テーマコード(参考)】
4D004
4F401
【Fターム(参考)】
4D004AA01
4D004CA07
4D004CA12
4D004CA17
4D004CB31
4D004DA02
4F401AA09
4F401AA10
4F401AC10
4F401AD10
4F401BA13
4F401BB03
4F401BB12
4F401CA21
4F401CA51
(57)【要約】
本発明は、使用済み吸収性物品を一般廃棄物ストリームから分離するための廃棄物分別プロセスに関し、当該プロセスは、外側包装と、複数の吸収性物品と、第1の処分バッグとを含む包装製品を提供するステップであって、複数の吸収性物品及び第1の処分バッグは外側包装内に収容される、包装製品を提供するステップを含み、第1の処分バッグは、使用済み吸収性物品を一般廃棄物ストリームに処分するために使用され、第1の処分バッグはその後に、使用済み吸収性物品のその後の処理又はリサイクルのために一般廃棄物ストリームから回収される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般廃棄物ストリームから使用済み吸収性物品を分離するための廃棄物分別プロセスであって、
外側包装と、複数の吸収性物品と、第1の処分バッグと、を含む包装製品を提供するステップであって、前記複数の吸収性物品及び前記第1の処分バッグは前記外側包装内に収容される、包装製品を提供するステップと、
吸収性物品を使用し、前記第1の処分バッグ内に前記使用済み吸収性物品を配置するステップであって、前記第1の処分バッグは識別コード又は識別色を備える、前記使用済み吸収性物品を配置するステップと、
混合廃棄物ストリームを提供するために、使用済み吸収性物品を収容する第1の処分バッグを収集し、他の廃棄物を収容する第2の処分バッグを収集するステップと、
廃棄物分別施設に前記混合廃棄物ストリームの前記バッグを輸送するステップと、
前記廃棄物分別施設において、前記使用済み吸収性物品を収容した前記第1の処分バッグが回収されるように、前記第1の処分バッグを識別し、前記第2の処分バッグから前記第1の処分バッグを分離するステップと、
その後、前記使用済み吸収性物品を処理し、好ましくはその後にリサイクルするステップと、を含む、廃棄物分別プロセス。
【請求項2】
前記第1の処分バッグは、QRコード、RFIDコード、又はバーコードからなる群から選択される識別コードを含む、請求項1に記載の廃棄物分別プロセス。
【請求項3】
前記第1の処分バッグ及び前記第2の処分バッグを収集する前記ステップの前に、前記第2の処分バッグ内に前記第1の処分バッグを配置するステップをさらに含む、請求項1又は2に記載の廃棄物分別プロセス。
【請求項4】
前記第2の処分バッグは、有機廃棄物、又はプラスチック廃棄物、又は残留廃棄物、又は混合廃棄物からなる群からの廃棄物をさらに収容する、請求項1~3のいずれか一項に記載の廃棄物分別プロセス。
【請求項5】
前記使用済み吸収性物品の材料の少なくとも一部の機械的な分離及び回収、又は前記使用済み吸収性物品の堆肥化、又は機械的生物学的処理、又は前記使用済み吸収性物品の熱分解、又はこれらの組み合わせから選択されたリサイクルプロセスによって前記使用済み吸収性物品をリサイクルするステップをさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の廃棄物分別プロセス。
【請求項6】
少なくとも2つの材料ストリーム、すなわち、セルロース材料を含む第1の材料ストリームと、熱可塑性材料を含む別個の第2の材料ストリームとに、前記使用済み吸収性物品を機械的に分離するステップをさらに含む、請求項5に記載の廃棄物分別プロセス。
【請求項7】
外側包装と、複数の使い捨て吸収性物品と、使用済みの使い捨て吸収性物品を処分するための第1の処分バッグと、を備える包装製品であって、前記複数の吸収性物品及び前記第1の処分バッグは前記外側包装内に収容されており、前記第1の処分バッグが識別コード又は識別色を備えることを特徴とする、包装製品。
【請求項8】
前記第1の処分バッグは、QRコード、RFIDコード、又はバーコードからなる群から選択される識別コードを備える、請求項7に記載の包装製品。
【請求項9】
前記第1の処分バッグは、本明細書に記載されるように測定して400N/mを超える破断係数を有するフィルムを含む、請求項7又は8に記載の包装製品。
【請求項10】
前記第1の処分バッグは、本明細書に記載されるように測定して20%を超える不透明度を有する、請求項7~9のいずれか一項に記載の包装製品。
【請求項11】
前記第1の処分バッグの容積は、前記外側包装の容積よりも大きい、請求項7~10のいずれか一項に記載の包装製品。
【請求項12】
前記第1の処分バッグはフィルム材料を含み、前記フィルム材料は少なくとも90重量%のポリプロピレン及び/又はポリエチレンを含む、請求項7~11のいずれか一項に記載の包装製品。
【請求項13】
前記第1の処分バッグはフィルム材料を含み、前記フィルム材料は少なくとも90重量%のポリプロピレンを含む、請求項12に記載の包装製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おむつ、パンツ、女性用衛生物品、成人用失禁物品、拭き取り用品などの吸収性物品に対する廃棄物の分別プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
現代の世界では、使用済み製品をリサイクルすることによって、特に単回使用の使い捨てアイテムのより効率的なリサイクルのために、環境を保護することへの関心が高まっている。世界中の多くの社会において、廃棄物アイテムは、家庭又は企業において、例えば、紙、ガラス、プラスチック包装、有機廃棄物、及び残留一般廃棄物の別個の廃棄物ストリームに事前に分類される。典型的には、各廃棄物ストリームは、家庭と企業から別々に収集され、さらなる処理のために廃棄物分別施設に輸送される。このように事前分別することにより、廃棄物処理施設において様々な材料をより効率的にリサイクルすることが可能になり、それにより、廃棄物を埋め立て地に置いたり、廃棄物を焼却したりする必要性を低減することができ、同時に、これによって潜在的に価値のある原材料を回収及びリサイクルすることが可能になる。
【0003】
しかしながら、家庭又は小企業が管理することが期待できる異なる廃棄物ストリームの数には実際的な制限がある。1つの特定の問題は、吸収性製品の廃棄から生じている。2016年の1つのマレーシアの研究は、おむつが都市の固形廃棄物の12%を構成することを見出した。様々な製造業者が、使用済み吸収性物品をリサイクルするためのパイロット規模の商業的プロセスを開発しているが、一般に、これらのプロセスは、他のタイプの廃棄物によって大部分が汚染されていない、使用済み吸収性物品の供給を必要とする。再利用率を改善するために、またこのタイプの廃棄物の埋立て及び焼却を低減するために、使用済み吸収性物品を一般廃棄物ストリーム及び他の廃棄物ストリームから効率的に分別する方法が依然として必要とされている。
【0004】
1992年3月31日に発行された米国特許第5,100,005号は、リサイクル可能な物品のためのゴミ袋及びリサイクル可能な廃棄物を収集するための方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
局所的な廃棄物収集インフラに既に存在する廃棄物ストリームにおいて使用済み吸収性物品を回収する方法を提供し、その結果、そのような廃棄物のリサイクルを含めた後の処理を実行することができ、別個の収集手法に関連するコスト及び複雑さが省かれることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、使用済み吸収性物品を一般廃棄物ストリームから分離するための廃棄物分別プロセスに関するものであり、当該プロセスは、外側包装と、複数の吸収性物品と、第1の処分バッグと、を含む包装製品を提供するステップであって、複数の吸収性物品及び第1の処分バッグは外側包装内に収容される、包装製品を提供するステップと、吸収性物品を使用し、第1の処分バッグ内に使用済み吸収性物品を配置するステップであって、第1の処分バッグは識別コード又は識別色を備える、吸収性物品を配置するステップと、混合廃棄物ストリームを提供するために、使用済み吸収性物品を収容する第1の処分バッグを収集し、他の廃棄物を収容する第2の処分バッグを収集するステップと、廃棄物分別施設に混合廃棄物ストリームのバッグを輸送するステップと、廃棄物分別施設において、使用済み吸収性物品を収容した第1の処分バッグが回収されるように、第1の処分バッグを識別し、第2の処分バッグから第1の処分バッグを分離するステップと、その後、使用済み吸収性物品を処理し、好ましくはその後にリサイクルするステップと、を含む、廃棄物分別プロセスに関するものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
「吸収性物品」とは、身体排泄物、具体的には尿及び他の含水液体を吸収及び収容する装置を指し、より具体的には、身体から放出される種々の排泄物を吸収及び収容するために、着用者の身体に接して、あるいは近接して配置される装置を指す。吸収性物品としては、おむつ(乳幼児用おむつ及び成人の失禁に対処するためのおむつ)、パンツ(乳幼児用パンツ及び成人の失禁に対処するためのパンツ)、おむつ及び再利用可能な外側カバーを有するパンツのための使い捨て吸収性インサート)、生理用ナプキン又はパンティライナーなどの女性用ケア吸収性物品、乳房パッド、ケアマット、よだれ掛け、拭き取り用品などが挙げられ得る。本明細書で使用するとき、用語「排泄物」は、限定するものではないが、尿、血液、膣排泄物、母乳、汗及び糞便を含む。本発明の好ましい吸収性物品は、使い捨て吸収性物品、より好ましくは、使い捨ておむつ、使い捨てパンツ、及び使い捨て吸収性インサートである。
【0009】
「使い捨て」は、様々な期間にわたって限定された使用回数、例えば、10回未満、5回未満、又は2回未満の後に、処分又は廃棄される物品を意味するためにその通常の意味で使用される。使い捨て吸収性物品が、おむつ、パンツ、吸収性インサート、生理用ナプキン、生理用パッド、表面清浄のためのワイプ、又は個人衛生用途のウェットワイプである場合には、使い捨て吸収性物品は、ほとんどの場合、1回の使用後に処分されることが意図されている。
【0010】
「おむつ」及び「パンツ」とは、乳児、幼児及び尿失禁者によって、着用者の腰及び脚を取り囲むように下部胴体の周りに一般的に着用され、特に、尿及び糞便を受け止めて収容するように適合されている吸収性物品を指す。パンツにおいては、本明細書で使用するとき、第1の腰部領域の長手方向縁部と第2の腰部領域の長手方向縁部とは、腰部開口部及び脚部開口部を予め形成するために互いに取り付けられている。パンツは、着用者の脚を脚部開口部内に挿入し、パンツ吸収性物品を着用者の下部胴体の周りの所定位置に滑らせることによって、着用者の所定位置に配置される。パンツは、限定するものではないが、再取り付け可能な接合及び/又は再取り付け不可能な接合(例えば、縫合、溶接、接着剤、粘着性接合、留め具など)を用いて吸収性物品の一部分を互いに結合することを含む任意の好適な手法によって、予め形成されてもよい。パンツは、物品の外周に沿った任意の位置で予め成形(例えば、側部締着、前側腰部締着)されていてもよい。おむつにおいては、腰部開口部及び脚部開口部は、おむつが、第1の腰部領域及び第2の腰部領域の長手方向縁部を好適な締着システムによって両側で互いに(着脱可能に)取り付けられることによって着用者に適用されたときにのみ、形成される。
【0011】
廃棄物を分別するためのシステム及び方法は、典型的には、自治体当局によって、あるいは自治体当局に代わって実施され、それにより、家庭廃棄物、企業廃棄物、及び他の廃棄物が効率的に処分され、環境汚染が最小限に抑えられる。このような廃棄物分別システムでは、廃棄物アイテムはコンベヤベルト上で輸送され、例えば、油圧又は空気圧で操作され得るアームによって、若しくは他の手段によって、圧縮空気ノズルによって提供され得る空気ジェットによって、真空によって、磁石によって、篩及び振動篩によって、他の方法によって、異なる廃棄物ストリームに方向転換される。例えば、廃棄物分別システムは、Envac Optibag ABに譲渡された2019年11月7日公開の国際公開第2019/211267号に記載されている。このシステムは、少なくとも2つの廃棄物容器を開示するものであり、廃棄物容器には、廃棄物バッグのうちの1つの中に収容された廃棄物の一部を識別する少なくとも1つの手段が設けられている。廃棄物分別設備内のセンサは廃棄物を識別し、システムは廃棄物を異なる廃棄物ストリームに分別する。
【0012】
本発明によれば、既存の廃棄物分別システムの操作は、吸収性製品を使用し得る消費者、あるいは別の使用者、例えば乳児又は幼児の親又は介護者であり得る消費者に、使用済み吸収性アイテムが廃棄物分別システム内の他の廃棄物アイテムから容易に分離され得るような方式で使用済み吸収性製品を処分する容易に利用可能な方法を提供することによって容易になる。これは、複数の吸収性物品と第1の処分バッグとを含む包装製品を提供することによって達成され、第1の処分バッグは、廃棄物分別システムにおいて廃棄物を識別及び分別するために使用される識別コード又は識別色を含む。
【0013】
包装製品は、消費者に届くまでの貯蔵、運送及び流通の間、吸収性物品の大部分又は全てを取り囲み、保護する外側包装を含み、消費者に届いた時点で、内容物にアクセスするために包装が開封される。外側包装は、フィルムラップ又は紙ラップであってもよい。あるいは、外側包装は、段ボール箱等であってもよい。本発明によれば、包装製品は、複数の吸収性物品と第1の処分バッグとを含む。吸収性物品及び第1の処分バッグは、外側包装内に収容される。その結果、使用者は、吸収性物品の使用の時点で利用可能な処分バッグを常に有することになり、それによって吸収性物品の事前分別が容易となる。
【0014】
第1の処分バッグは、好ましくは、引き裂きに抵抗し、かつ、収集、輸送、及び廃棄物分別施設への放出中に破損する可能性を低減するのに十分な強さを有するフィルムを含む。第1の処分バッグはまた、好ましくは、容器が例えばゴミ収集車において圧縮される場合であっても、廃棄物を封入することができるほど十分に柔軟である。
【0015】
第1の処分バッグは、以下により詳細に記載されるASTM D882-18に従って測定される、好ましくは400N/m超、より好ましくは500N/m超の破断係数を有するフィルムを備える。
【0016】
第1の処分バッグが、吸収性物品を構成する不織布又はフィルム材料の最大成分と化学構造の点で類似しているフィルム材料から作製される場合、リサイクルが容易になり得る。従来、このような不織布又はフィルム材料は、主にポリプロピレン及びポリエチレンから作られている。したがって、第1の処分バッグは、少なくとも90重量%のポリプロピレン及び/又はポリエチレンを含むフィルム材料から作製されることが好ましい。最も好ましい実施形態において、第1の処分バッグは、少なくとも90重量%のポリプロピレンを含むフィルム材料から作製される。
【0017】
第1の処分バッグは、好ましくは、0.01mm超、より好ましくは0.02mm超、さらにより好ましくは0.04mm超の厚さを有するフィルムを含む。第1の処分バッグは、好ましくは2mm未満、より好ましくは1mm未満の厚さを有するフィルムを含む。
【0018】
第1の処分バッグは、容器内の廃棄物がバッグから抜け出たり漏れたりするのを防ぐためのクロージャを有してもよい。代替えとして、第1の処分バッグは、第1の処分バッグが使用済み吸収性製品で充填された後に使用者によって使用される結び目又はテープ又は他の手段で閉じられてもよい。
【0019】
第1の処分バッグは、使用済み吸収性物品を収容するのに十分な大きさの容積を有する。任意の使用済み吸収性物品の体積が使用前の吸収性物品の体積よりも大きいことを考慮すると、完全に開いたときの第1の処分バッグの容積は、好ましくは外側包装の容積よりも大きい。好ましくは、第1の処分バッグの容積は、外側包装の容積よりも少なくとも3倍大きく、より好ましくは少なくとも5倍大きい。
【0020】
第1の処分バッグは、識別コード又は識別色を含む。適切な識別コードは、QRコード、RFIDコード、又はバーコードであってもよい。適切な識別色はまた、色合い又は色相であってもよい。第1の処分バッグはまた、触覚マークを備えてもよい。第1の処分バッグはまた、2つ以上の識別特徴の組み合わせを備えてもよい。
【0021】
識別特徴は、複数の方式で特殊廃棄物バッグに適用され得る。識別特徴は、第1の処分バッグの材料全体にわたって存在してもよく、第1の処分バッグ上に印刷されてもよく、又は第1の処分バッグ上に貼り付けるための接着ステッカー上に、若しくは第1の処分バッグを閉じるために使用するためのテープ上に印刷されてもよく、あるいは当技術分野で公知の任意の他の手段を介して適用されてもよい。
【0022】
色が識別特徴として使用される場合、色は、純色、すなわち、各色相において最大彩度を有する色であってもよい。あるいは、色は、その純色をそれぞれ黒色、灰色又は白色と混合することから得られる、その色の陰影、色調又は色彩として使用されてもよい。第1の処分バッグの色は黒色であってはならない。色相は、色の主要な特性の1つであり、典型的には、色空間座標図(色度図など)若しくはカラーホイール上の中心又は中立点若しくは軸の周りの角度位置に多くの場合に対応する単一の数によって、あるいはその主波長又はその補色の主波長によって、定量的に表現され得る。他の色外観パラメータは、彩度、飽和度(強度又はクロマとしても知られる)、明度、及び輝度である。
【0023】
識別特徴は、コンピュータに接続された光学カメラなどのセンサを使用して分析することができ、方法及び分析は、欧州特許第759816号に記載されているような当技術分野で知られている方法に従って完全に自動化することができる。
【0024】
第1の処分バッグは透明であってもよいが、バッグを透明にすること、すなわち可視光スペクトルにおいて低い不透明度を有することを依然として可能にすることができる色又は陰影が付与されてもよい。あるいは、第1の処分バッグは、完全に着色されていてもよく、すなわち、透けて見えなくてもよい。好ましくは、第1の処分バッグは、使用済み吸収性物品の色が第1の処分バッグの色又はパターンの検出に干渉するのを避けるために不透明である。第1の処分バッグの不透明度は、以下でさらに説明する不透明度試験法で測定することができ、好ましくは20%超、より好ましくは50%以上である。
【0025】
第1の処分バッグの識別特徴は、無線周波数に基づいて読み取ることができるRFIDタグ又は類似物の形態のRFIDを含むことができる。RFID手段は、例えば、接着剤又は両面接着テープを用いて、第1の処分バッグ又は閉鎖手段に、あるいはその上に直接接着されてもよい。あるいは、RFID手段は、ポリマー電子機器又は紙電子機器を介して第1の処分バッグ上に全体的にあるいは部分的に印刷されてもよい。RFID手段は、第1の処分バッグがどのように分別されるべきかをコード化するために使用することができる。ここでは、例えば欧州特許第1855964号に記載されているような、RFIDを用いる当技術分野で知られている任意の方法を使用することができる。このようなRDIFタグは、チップ及びアンテナコイルからなってもよい。チップは、プロセッサ及びデータメモリをさらに備えてもよい。RFIDタグは、能動型であっても、受動型であってもよく、能動型RFIDタグには電源が与えられ、受動型RFIDタグは、アンテナコイルに電流を誘導する磁界からエネルギーを受け取ることができ、それによってチップが起動される。チップが起動されると、プロセッサは、データメモリから情報を検索し、アンテナコイルを介して当該情報に対応する応答信号を送信するが、そのような情報は、廃棄物管理請求情報、処分バッグの内容、第1の処分バッグを廃棄した世帯又は団体の情報などであり得る。
【0026】
RDIFタグの重要な部分、すなわちアンテナコイル及びチップは、第1の処分バッグの上又は中に直接、あるいは第1の処分バッグが作られる材料の上/中に配置されてもよい。
【0027】
第1の処分バッグの識別特徴は、バーコードを備えてもよい。バーコードは、視覚的な機械可読形式でデータを表現する方法である。バーコードは、それが取り付けられるアイテムについての1つ以上の情報及び/又はデータを収容する機械可読光学ラベルである。バーコードは、線状又は一次元(1D)であってもよく、平行線の幅及び間隔を変化させることによってデータを表す。これらの1Dバーコードは、バーコードリーダと呼ばれる特殊な光学スキャナによって走査することができ、このスキャナにはいくつかのタイプがある。バーコードは、マトリックスコード又は2Dバーコードと呼ばれる、長方形、ドット、六角形、及び他のパターンを使用した2次元(2D)であり得る。2Dバーコードは、いくつかの異なる形態で存在する専用の2D光学スキャナを使用して読み取ることができる。2Dバーコードはまた、バーコードの写真画像を撮影し、その画像を分析して2Dバーコードを分解及び復号するソフトウェアを実行するマイクロコンピュータに接続されたデジタルカメラによって読み取ることもできる。スマートフォンなどの内蔵カメラを有するモバイルデバイスは、特殊なアプリケーションソフトウェアを使用して後者のタイプの2Dバーコードリーダとして機能することができる。
【0028】
第1の処分バッグの識別特徴は、QRコードを含んでもよい。QRコード(Quick Response codeの略)は、マトリックスバーコードの一種であり、すなわち二次元バーコードである。QRコードは、データを効率的に記憶するために、4つの標準化された符号化モード(数字、英数字、バイト/バイナリ、及び漢字)のいずれかを使用することができ、拡張も使用することができる。QRコードは、ISO/IEC18004:2015などの既存の規格に従うものであってもよい。QRコードは、廃棄物処理プラントにおいてQRリーダによって読み取られてもよい。QRリーダは、QRコードの画像を取得し、ISO/IEC18004:2015等の規格に従って処理することで、QRコードを適切に解釈することができる、カメラ等の撮像装置であってもよい。識別コードは、規則的かつ予測可能な様式で繰り返される幾何学的パターン、例えば、三角形、四角形、円などの形状のセットであってもよい。あるいは、第1の処分バッグの識別コードは、人間の目に知覚できないようにパターン又は画像内にデジタル情報を有するデジタル透かしであってもよい。
【0029】
使用済み吸収性製品を収容する第1の処分バッグは、混合残留廃棄物ビン内に配置されてもよい。混合残留廃棄物ビンは、有機廃棄物容器、プラスチック廃棄物容器、紙廃棄物容器などの他の発生源分離された廃棄物ストリームでその全てを処分することができない家庭からの一般廃棄物を収集するために使用される。
【0030】
あるいは、使用済み吸収性製品を収容する第1の処分バッグは、有機廃棄物容器内に配置されてもよい。この場合、吸収性製品は好ましくは生分解性であり、第1の処分バッグは好ましくは生分解性である。
【0031】
あるいは、使用済み吸収性製品を収容する第1の処分バッグは、混合プラスチック廃棄物容器内に配置されてもよい。この場合、廃棄物オペレータにとって、混合プラスチック廃棄物ストリームを第1の処分バッグと一緒に処理することが有利であり得る。実際、第1の処分バッグは、混合プラスチック廃棄物ストリームからのプラスチックアイテムの混入を実質的に低減し、これらのプラスチックアイテムは、後の機械的リサイクルのために当技術分野で知られている方法で分離されることが意図され、一方、機械的にリサイクルすることができない残りのプラスチック物品、及び第1の処分バッグは、それらの吸収性製品内容物と共に、ケミカルリサイクル施設に送られる。
【0032】
任意選択的に、廃棄物分別プロセスは、使用済み吸収性物品の材料の少なくとも一部の機械的な分離及び回収、又は使用済み吸収性物品の堆肥化、又は廃棄物を処理するための機械的手段と生物学的手段とを組み合わせた機械的生物学的処理、又は使用済み吸収性物品の熱的な分解、例えば熱分解から選択されたリサイクルプロセスによって使用済み吸収性物品をリサイクルするステップをさらに含む。好ましくは、廃棄物分別プロセスは、少なくとも2つの材料ストリーム、すなわち、セルロース材料を含む第1の材料ストリームと、熱可塑性材料を含む別個の第2の材料ストリームとに、使用済み吸収性物品を機械的に分離するステップをさらに含む。
【0033】
試験方法
破断係数試験方法
第1の処分バッグはフィルムを含む。フィルムの物理的特性は、ASTM D882-18を参照することによって特徴付けられ得る。この規格は、フィルムの平均破断係数を決定するために使用され得る。
【0034】
プロセス中に試験サンプルにいかなる汚染も歪みも与えないように注意しながら、試験サンプルを第1の処分バッグから切断する。第1の処分バッグが折り畳まれている場合、第1の処分バッグをまず展開して、試験サンプルとして第1の処分バッグから単層が切り取られることを確認する。各試験サンプルは、第1の処分バッグの開口縁部に平行な方向である横断方向(CD)に沿って切断され、開口縁部は、廃棄物が第1の処分バッグに挿入される縁部として定義される。試験のために、50mmの初期グリップ分離、500mm/分のグリップ分離速度、及び10mm/(mm*分)の初期歪み速度を使用する。
【0035】
不透明度試験方法
XYZ座標及びコントラスト比を使用して標準的なCIE色測定を行うことができる調節可能な開口を有する45°/0°分光光度計を使用して、不透明度の測定を行う。好適な分光光度計の例は、Hunter ColorFlex EZ分光光度計(HunterLab,Inc.(Reston,VA)から入手可能、又は同等物)である。測定は、試験サンプルの単一層に対して行う。全ての試験は、23℃±2.0℃の温度及び50%±2%の相対湿度に維持された室内で実施され、試験サンプルは、試験前に少なくとも2時間、同じ環境条件下で調整される。
【0036】
プロセス中に試験サンプルにいかなる汚染も歪みを与えないように注意しながら、試験サンプル(寸法10.16cm×10.16cmの正方形)を第1の処分バッグから切断する。第1の処分バッグが折り畳まれている場合、第1の処分バッグをまず展開して、試験サンプルとして第1の処分バッグから単層が切り取られることを確認する。試験サンプルを、折り目又はしわのない第1の処分バッグの非印刷領域から取得するが、それは分光光度計で使用される開口部より大きくなければならず、開口は少なくとも25.4mm(1インチ)の直径を有する。第1の処分バッグの外側に注目し、測定中に開口に面するように配置する。評価される第1の処分バッグの重複しない領域上で10回の測定が行われ得るように、十分な量の試験サンプルを取得する。
【0037】
不透明度を測定するために、試験サンプルサイズより小さいものでなければならない所定のポート開口を適所に配して、販売業者によって提供される標準白色及び黒色タイルを使用して、販売業者の指示に従って機器を較正及び標準化する。D65標準照明及び10度オブザーバー、特定のポート開口サイズを用いて、CIE XYZ色空間を用いるように分光光度計を設定する。開口部全体がサンプルによって確実に覆われるように、試験サンプルの外側が開口に面するように配置する。
【0038】
標準白色タイルを試験サンプルの背面に直接接触させて配置し、読み取りを行い、Y値をY背景白として0.1単位で記録する。試験サンプルの位置を動かさずに、標準白色タイルを取り外し、黒色標準タイルと交換する。読み取りを行い、Y値をY背景黒として0.1単位で記録する。Y背景黒値をY背景白値で割ってから100%を掛けることによって不透明度を計算する。不透明度を0.1パーセント単位で記録する。
【0039】
同じ要領で、試験サンプルの重なり合わない領域で合計5回の測定を繰り返す。5回の不透明度測定値の算術平均を計算し、第1の処分バッグの不透明度として0.1パーセント単位で報告する。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般廃棄物ストリームから使用済み吸収性物品を分離するための廃棄物分別プロセスであって、
外側包装と、複数の吸収性物品と、第1の処分バッグと、を含む包装製品を提供するステップであって、前記複数の吸収性物品及び前記第1の処分バッグは前記外側包装内に収容される、包装製品を提供するステップと、
吸収性物品を使用し、前記第1の処分バッグ内に前記使用済み吸収性物品を配置するステップであって、前記第1の処分バッグは識別コード又は識別色を備える、前記使用済み吸収性物品を配置するステップと、
混合廃棄物ストリームを提供するために、使用済み吸収性物品を収容する第1の処分バッグを収集し、他の廃棄物を収容する第2の処分バッグを収集するステップと、
廃棄物分別施設に前記混合廃棄物ストリームの前記バッグを輸送するステップと、
前記廃棄物分別施設において、前記使用済み吸収性物品を収容した前記第1の処分バッグが回収されるように、前記第1の処分バッグを識別し、前記第2の処分バッグから前記第1の処分バッグを分離するステップと、
その後、前記使用済み吸収性物品を処理し、好ましくはその後にリサイクルするステップと、を含む、廃棄物分別プロセス。
【請求項2】
前記第1の処分バッグは、QRコード、RFIDコード、又はバーコードからなる群から選択される識別コードを含む、請求項1に記載の廃棄物分別プロセス。
【請求項3】
前記第1の処分バッグ及び前記第2の処分バッグを収集する前記ステップの前に、前記第2の処分バッグ内に前記第1の処分バッグを配置するステップをさらに含む、請求項1又は2に記載の廃棄物分別プロセス。
【請求項4】
前記第2の処分バッグは、有機廃棄物、又はプラスチック廃棄物、又は残留廃棄物、又は混合廃棄物からなる群からの廃棄物をさらに収容する、請求項
1に記載の廃棄物分別プロセス。
【請求項5】
前記使用済み吸収性物品の材料の少なくとも一部の機械的な分離及び回収、又は前記使用済み吸収性物品の堆肥化、又は機械的生物学的処理、又は前記使用済み吸収性物品の熱分解、又はこれらの組み合わせから選択されたリサイクルプロセスによって前記使用済み吸収性物品をリサイクルするステップをさらに含む、請求項
1に記載の廃棄物分別プロセス。
【請求項6】
少なくとも2つの材料ストリーム、すなわち、セルロース材料を含む第1の材料ストリームと、熱可塑性材料を含む別個の第2の材料ストリームとに、前記使用済み吸収性物品を機械的に分離するステップをさらに含む、請求項5に記載の廃棄物分別プロセス。
【請求項7】
外側包装と、複数の使い捨て吸収性物品と、使用済みの使い捨て吸収性物品を処分するための第1の処分バッグと、を備える包装製品であって、前記複数の吸収性物品及び前記第1の処分バッグは前記外側包装内に収容されており、前記第1の処分バッグが識別コード又は識別色を備えることを特徴とする、包装製品。
【請求項8】
前記第1の処分バッグは、QRコード、RFIDコード、又はバーコードからなる群から選択される識別コードを備える、請求項7に記載の包装製品。
【請求項9】
前記第1の処分バッグは、本明細書に記載されるように測定して400N/mを超える破断係数を有するフィルムを含む、請求項7又は8に記載の包装製品。
【請求項10】
前記第1の処分バッグは、本明細書に記載されるように測定して20%を超える不透明度を有する、請求項
7に記載の包装製品。
【請求項11】
前記第1の処分バッグの容積は、前記外側包装の容積よりも大きい、請求項
7に記載の包装製品。
【請求項12】
前記第1の処分バッグはフィルム材料を含み、前記フィルム材料は少なくとも90重量%のポリプロピレン及び/又はポリエチレンを含む、請求項
7に記載の包装製品。
【請求項13】
前記第1の処分バッグはフィルム材料を含み、前記フィルム材料は少なくとも90重量%のポリプロピレンを含む、請求項12に記載の包装製品。
【国際調査報告】