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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】電動圧縮機及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/10 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
F04B49/10 331H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579063
(86)(22)【出願日】2022-11-25
(85)【翻訳文提出日】2023-12-21
(86)【国際出願番号】 KR2022018855
(87)【国際公開番号】W WO2023113290
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】10-2021-0180695
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516011246
【氏名又は名称】ハンオン システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ムン, チ ミョン
(72)【発明者】
【氏名】イ, ソン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム, ヨン ミン
(72)【発明者】
【氏名】キム, ホン ミン
(72)【発明者】
【氏名】リュ, グ ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】イ, ジェ ミン
(72)【発明者】
【氏名】イ, ジュ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン, ス チョル
【テーマコード(参考)】
3H145
【Fターム(参考)】
3H145AA05
3H145AA27
3H145AA42
3H145CA03
3H145CA09
3H145CA19
3H145CA24
3H145DA02
3H145EA13
3H145EA16
3H145EA17
3H145EA20
(57)【要約】
【課題】電動圧縮機に備えられたインバータ部の過熱による破損を安定して防止するための電動圧縮機及びその制御方法を提供する。
【解決手段】車両に備えられたエアコンがオン(On)になった状態で電動圧縮機の現在の吐出圧力状態を判断するステップを含む第1ステップと、前記吐出圧力が過負荷圧力に該当する場合、前記電動圧縮機の現在の毎分回転数情報と、インバータ部の温度情報と、相電流情報とを判断する第2ステップと、前記インバータ部が過熱状態の場合、高温エラー信号がオン(On)になった状態が維持される第3ステップと、前記高温エラー信号がオン(On)になった後、前記インバータ部の吐出圧力によって前記電動圧縮機の作動の有無を判断する第4ステップとを含むことを特徴とする。
前記第1ステップは、前記車両に備えられた冷却ファンの作動の有無を確認する冷却ファン作動確認ステップをさらに含むことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に備えられたエアコンがオン(On)になった状態で電動圧縮機の現在の吐出圧力状態を判断するステップを含む第1ステップと、
前記吐出圧力が過負荷圧力に該当する場合、前記電動圧縮機の現在の毎分回転数情報と、インバータ部の温度情報と、相電流情報とを判断する第2ステップと、
前記インバータ部が過熱状態の場合、高温エラー信号がオン(On)になった状態が維持される第3ステップと、
前記高温エラー信号がオン(On)になった後、前記インバータ部の吐出圧力によって前記電動圧縮機の作動の有無を判断する第4ステップとを含むことを特徴とする電動圧縮機の制御方法。
【請求項2】
前記第1ステップは、前記車両に備えられた冷却ファンの作動の有無を確認する冷却ファン作動確認ステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の電動圧縮機の制御方法。
【請求項3】
前記第1ステップは、前記吐出圧力が過負荷圧力以下の場合、インバータ部の現在温度を検出するインバータ部温度検出ステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の電動圧縮機の制御方法。
【請求項4】
前記第2ステップは、前記電動圧縮機の現在の毎分回転数の状態を判断する毎分回転数判断ステップと、
前記インバータ部の温度が予め設定された過熱温度範囲内にあるか否かを判断するインバータ部温度判断ステップと、
前記電動圧縮機の相電流が一定値以上維持されているか否かを判断する相電流判断ステップとを含むことを特徴とする請求項1に記載の電動圧縮機の制御方法。
【請求項5】
前記毎分回転数判断ステップは、前記電動圧縮機の毎分回転数が1000RPM以下で作動する場合に該当することを特徴とする請求項4に記載の電動圧縮機の制御方法。
【請求項6】
前記インバータ部温度判断ステップは、前記インバータ部の温度が外気温度よりも高温であるか、又は第1温度以上維持されるかのいずれかに該当する場合であることを特徴とする請求項4に記載の電動圧縮機の制御方法。
【請求項7】
前記相電流判断ステップは、第1電流値以上維持される場合に該当することを特徴とする請求項4に記載の電動圧縮機の制御方法。
【請求項8】
前記第2ステップは、前記電動圧縮機の現在の毎分回転数が低速の毎分回転数に該当し、前記インバータ部の温度が過熱温度範囲に維持され、前記相電流が一定値以上にすべて同時に維持される場合に、前記インバータ部が過熱状態であると判断することを特徴とする請求項4に記載の電動圧縮機の制御方法。
【請求項9】
前記第3ステップは、高温エラー信号がオン(On)になると同時に電動圧縮機の作動が一時停止状態に切り替わるステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の電動圧縮機の制御方法。
【請求項10】
前記第3ステップは、高温エラーコードが発生した後に第1時間の間待機状態が維持される高温エラー待機ステップをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の電動圧縮機の制御方法。
【請求項11】
前記第3ステップの後に前記第4ステップは、前記第1時間以降に吐出圧力を再確認する吐出圧力再確認ステップをさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の電動圧縮機の制御方法。
【請求項12】
前記第4ステップは、前記吐出圧力の再確認が行われた後にも前記吐出圧力が所定圧力以上に維持され続ける場合、前記吐出圧力再確認ステップの前に移動することを特徴とする請求項11に記載の電動圧縮機の制御方法。
【請求項13】
前記第4ステップは、前記吐出圧力再確認ステップに移動した後に前記吐出圧力が所定の圧力に維持され続ける場合、車両の電源がオフ(Off)状態に切り替わるステップを含むことを特徴とする請求項12に記載の電動圧縮機の制御方法。
【請求項14】
前記第4ステップは、前記吐出圧力再確認ステップで所定圧力以下の場合、電動圧縮機を再稼働させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の電動圧縮機の制御方法。
【請求項15】
前記電動圧縮機が再稼働された後に前記第1ステップに移動して吐出圧力状態の再確認が行われることを特徴とする請求項14に記載の電動圧縮機の制御方法。
【請求項16】
車両に備えられたエアコンがオン(On)になった状態で電動圧縮機の現在の吐出圧力状態を判断するステップを含む第1ステップと、
前記吐出圧力が過負荷圧力に該当する場合、前記電動圧縮機の現在の毎分回転数情報と、インバータ部の温度情報と、相電流情報と、前記インバータ部の温度上昇率と累積時間情報とを同時に判断する第2ステップと、
前記インバータ部が過熱状態の場合、高温エラー信号がオン(On)になった状態が維持される第3ステップと、
前記高温エラー信号がオン(On)になった後、前記インバータ部の吐出圧力によって前記電動圧縮機の作動の有無を判断する第4ステップとを含むことを特徴とする電動圧縮機の制御方法。
【請求項17】
冷媒を圧縮する圧縮機構が備えられた圧縮部と、
前記圧縮部の一側に結合され、前記圧縮機構に駆動力を提供するモータが備えられたモータ部と、
前記モータ部の一側に結合され、前記モータ部を制御するインバータが備えられたインバータ部と、
前記圧縮部の吐出圧力と、毎分回転数と、前記インバータ部の温度と、前記圧縮部に印加される相電流と、前記インバータ部の温度上昇率とを検出する検出部と、
前記検出部で検出された情報を入力されることによって、前記インバータ部の過熱状態を判断する制御部とを含むことを特徴とする電動圧縮機。
【請求項18】
前記制御部は、前記検出部で検出された情報と共に車両に備えられた冷却ファンの作動の有無を同時に入力されることによって、前記インバータ部の過熱の有無を判断することを特徴とする請求項17に記載の電動圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動圧縮機及びその制御方法に係り、より詳しくは、電動圧縮機に備えられたインバータ部が高温に過熱することを防止するための電動圧縮機及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に自動車の空調システムで用いる圧縮機は、蒸発器から蒸発が完了した冷媒を吸引し、液化しやすい高温高圧状態にして凝縮器に伝達する。このような圧縮機としては、冷媒を圧縮する構成によって、往復運動をしながら圧縮を行う往復式と、回転運動をしながら圧縮を行う回転式とがある。
前記回転式圧縮機は、エンジンを駆動源にして回転を行う機械式と、モータを駆動源とする電動式とに分けられる。
冷媒は、季節の変わり目または冬季のように外気の温度が低い場合、冷媒の温度が沸点以下に下がり、気相から液相の状態に変わる相変化を伴う。圧縮機はその機能上、気相の冷媒は圧縮できるが、液相の冷媒は圧縮できないため、液相の冷媒が流入する場合、圧縮システムでは流体の抵抗により徐々に疲労が累積していくという問題が発生する。
【0003】
空調システムの圧縮機で液圧縮が開始されると、冷媒の圧力とエンタルピーが上昇して冷媒が気相に変化し、これにかかる時間は、圧縮機の耐久性の決定に大きな影響を与える。
このうち、電動圧縮機とはスクロール方式の圧縮機構を有する圧縮機であり、モータと圧縮機構が接続され、モータの駆動によって冷媒の圧縮が行われ、印刷回路基板が備えられるインバータによってモータの駆動が制御される。
【0004】
前記電動圧縮機は、駆動する過程で熱が発生する。発生した熱は駆動中継続的に発生し、特に高負荷条件で駆動するときは、モータの回転数が上昇するにつれてモータとインバータなど多くの部分でより多くの熱が発生するため、電動圧縮機の温度が大きく上昇する。
このように電動圧縮機の過度の温度上昇は、電動圧縮機を構成する多くの部分の損傷を引き起こすため、電動圧縮機に放熱板を設置して熱を外部に放出することで温度を下げたり、発熱を減少させるために時には電動圧縮機を停止させるなどの方法が利用される。
しかし、このような過程により電動圧縮機の温度を下げたとしても、廃熱はそのまま廃棄されるため、電動圧縮機のエネルギー効率が低いという問題があった。
【0005】
また、電動圧縮機が高負荷条件で駆動される場合は、急激な温度上昇と共に駆動性能にも影響を与えるため、電動圧縮機の毎分最大回転数が低下することで性能が低下するという問題がある。ここでいう高負荷条件とは、一例として、車両の停止中に外気温度が50℃程度の高温状態が維持されるか、直射日光が直接的に照射される屋外に車両を駐車した状態であるが、他の条件の場合を含んでもよい。
【0006】
前記車両に備えられた空調システムは、蒸発器で蒸発が完了した冷媒を吸引し、液化しやすい高温高圧状態に変換させて凝縮器に伝達する。
前記電動圧縮機は、駆動する過程で熱が発生し、発生した熱は駆動中に継続的に発生し、特に高負荷条件で駆動される場合は、モータの回転数が高くなるにつれて、モータとインバータなど多くの部分でより多くの熱が発生し、電動圧縮機の温度が大きく上昇する。
このような電動圧縮機の過度の温度上昇は、電動圧縮機を構成する多くの部分の損傷を引き起こすため、電動圧縮機に放熱板を設置して熱を外部に放出することで温度を下げるか、発熱を減少させるために時には電動圧縮機を停止させるなどの方法が用いられている。
【0007】
一例として、前記インバータは、モータ駆動回路及び制御部を含んで構成され、回路を構成する半導体スイッチング素子などの発熱によってモータ駆動回路が高温になる場合がある。
この場合、高温によりインバータ内部の半導体素子の電流制御値が低下し、制御値以上の電流を流すと半導体素子が破損する場合が発生する。また、電動圧縮機がエンジンルーム内に配置されるため、エンジンの発熱によりインバータが高温になる場合もある。
このようなインバータの過熱を防止するために、従来は、インバータが所定温度以上に上昇する場合、インバータの温度が十分に低下するまで圧縮機を停止してインバータを保護していたが、依然として破損の危険があり、これに対する対策が求められた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が目的とするところは、電動圧縮機に備えられたインバータ部の過熱による破損を安定して防止するための電動圧縮機及びその制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による電動圧縮機の制御方法は、車両に備えられたエアコンがオン(On)になった状態で電動圧縮機の現在の吐出圧力状態を判断するステップを含む第1ステップと、前記吐出圧力が過負荷圧力に該当する場合、前記電動圧縮機の現在の毎分回転数情報と、インバータ部の温度情報と、相電流情報とを判断する第2ステップと、前記インバータ部が過熱状態の場合、高温エラー信号がオン(On)になった状態が維持される第3ステップと、前記高温エラー信号がオン(On)になった後、前記インバータ部の吐出圧力によって前記電動圧縮機の作動の有無を判断する第4ステップとを含む。
【0010】
前記第1ステップは、前記車両に備えられた冷却ファンの作動の有無を確認する冷却ファン作動確認ステップをさらに含む。
前記第1ステップは、前記吐出圧力が過負荷圧力以下の場合、インバータ部の現在温度を検出するインバータ部温度検出ステップをさらに含む。
【0011】
前記第2ステップは、前記電動圧縮機の現在の毎分回転数の状態を判断する毎分回転数判断ステップと、前記インバータ部の温度が予め設定された過熱温度範囲内にあるか否かを判断するインバータ部温度判断ステップと、前記電動圧縮機の相電流が一定値以上維持されているか否かを判断する相電流判断ステップを含む。
【0012】
前記毎分回転数判断ステップは、前記電動圧縮機の毎分回転数が1000RPM以下で作動する場合に該当することを特徴とする。
前記インバータ部温度判断ステップは、前記インバータ部の温度が外気温度よりも高温であるか、又は第1温度以上維持されるかのいずれかに該当する場合であることを特徴とする。
前記相電流判断ステップは、相電流が第1電流値以上維持される場合に該当する。
前記第2ステップは、前記電動圧縮機の現在の毎分回転数が低速の毎分回転数に該当し、前記インバータ部の温度が過熱温度範囲に維持され、前記相電流が一定値以上にすべて同時に維持される場合に、前記インバータ部が過熱状態であると判断する。
【0013】
前記第3ステップは、高温エラー信号がオン(On)になると同時に電動圧縮機の作動が一時停止状態に切り替わるステップをさらに含む。
前記第3ステップは、高温エラーコードが発生した後に第1時間の間待機状態が維持される高温エラー待機ステップをさらに含む。
前記第3ステップの後に前記第4ステップは、前記第1時間以降に吐出圧力を再確認する吐出圧力再確認ステップをさらに含む。
【0014】
前記第4ステップは、前記吐出圧力再確認が行われた後にも前記吐出圧力が所定圧力以上に維持され続ける場合、前記吐出圧力再確認ステップの前に移動することを特徴とする。
前記第4ステップは、前記吐出圧力再確認ステップに移動した後に前記吐出圧力が所定の圧力に維持され続ける場合、車両の電源がオフ(Off)状態に切り替わるステップを含む。
前記第4ステップは、前記吐出圧力再確認ステップで所定圧力以下の場合、電動圧縮機を再稼働させるステップをさらに含む。 前記電動圧縮機が再稼働された後に前記第1ステップに移動して吐出圧力状態の再確認が行われる。
【0015】
本発明の他の電動圧縮機の制御方法は、車両に備えられたエアコンがオン(On)になった状態で電動圧縮機の現在の吐出圧力状態を判断するステップを含む第1ステップと、前記吐出圧力が過負荷圧力に該当する場合、前記電動圧縮機の現在の毎分回転数情報と、インバータ部の温度情報と、相電流情報と、前記インバータ部の温度上昇率と累積時間情報とを同時に判断する第2ステップと、前記インバータ部が過熱状態の場合、高温エラー信号がオン(On)になった状態が維持される第3ステップと、前記高温エラー信号がオン(On)になった後、前記インバータ部の吐出圧力によって前記電動圧縮機の作動の有無を判断する第4ステップとを含む。
【0016】
本発明の電動圧縮機は、冷媒を圧縮する圧縮機構が備えられた圧縮部と、前記圧縮部の一側に結合され、前記圧縮機構に駆動力を提供するモータが備えられたモータ部と、前記モータ部の一側に結合され、前記モータ部を制御するインバータが備えられたインバータ部と、前記圧縮部の吐出圧力と、毎分回転数と、前記インバータ部の温度と、前記圧縮部に印加される相電流と、前記インバータ部の温度上昇率とを検出する検出部と、前記検出部で検出された情報を入力されることによって、前記インバータ部の過熱状態を判断する制御部とを含む。
前記制御部は、前記検出部で検出された情報と共に車両に備えられた冷却ファンの作動の有無を同時に入力されることによって、前記インバータ部の過熱の有無を判断する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電動圧縮機が備えられた車両でインバータ部が過熱により焼損する前に停止状態で切り替えた後、吐出圧力状態によって再稼働するか作動を停止することができ、安全性が向上する。
また、インバータ部の過熱判断条件をより正確に入力されることによって、インバータ素子の破損時点の前又はインバータ部が過熱した直後に電動圧縮機を制御することができる。
また、電動圧縮機が正常作動する状態、又はインバータ部が過熱により異常作動する場合でも、制御の安全性を一定に維持することで耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態による電動圧縮機の制御方法を示すフローチャートである。
図2図1による作動フローチャートである。
図3】本発明の他の実施形態による電動圧縮機の制御方法を示すフローチャートである。
図4】本実施形態によるインバータ部の温度上昇率とそれによる条件を示す図である。
図5】本実施形態による電動圧縮機を示す斜視図である。
図6】本実施形態による制御部及び周辺構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の利点及び特徴、またそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述されている実施形態を参照することによって明らかになるであろう。しかし、本開示は、以下に開示される実施形態で限定されるのでなく、互いに異なる様々な形態で実現され、単に本実施形態は、本開示を完全にし、本開示が属する技術分野における通常の知識を有する者に開示の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本開示は、特許請求の範疇によって定義されるだけである。明細書全体にわたって同一の参照符号は同一の構成要素を指称する。
【0020】
ある構成要素が他の構成要素と「連結された(connected to)」又は「接続された(coupled to)」と指称される場合は、他の構成要素と直接連結又は接続された場合、又はそれらの間にまた他の構成要素を介在した場合をすべて含む。一方、ある構成要素が他の構成要素と「直接連結された(directly connected to)」又は「直接接続された(directly coupled to)」と指称される場合は、それらの間にまた他の構成要素を介在しない場合を意味する。「及び/又は」は言及された項目のそれぞれ及び1つ以上のすべての組み合わせを含む。
【0021】
本明細書で使用された用語は実施形態を説明するためのものであり、本開示を制限しようとするものではない。本明細書において、単数形は、文脈で特に断らない限り、複数形も含む。明細書で使用される「含む(comprises/comprising)」は、言及された構成要素、ステップ、動作及び/又は素子は、1つ以上の他の構成要素、ステップ、動作及び/又は素子の存在又は追加を排除しない。
第1、第2などが様々な構成要素を説明するために使用されるが、これらの構成要素はこれらの用語によって制限されないことは言うまでもない。これらの用語はある構成要素を他の構成要素と区別するために使用されるものである。
【0022】
以下、本発明の電動圧縮機の制御方法について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態による電動圧縮機の制御方法を示すフローチャートであり、図2は、図1による作動フローチャートである。
図1及び図2に示す通り、本発明の電動圧縮機の制御方法は、車両に備えられたエアコンシステムで冷媒のリーク又は吸入冷媒量の不足により、インバータ部の冷却が不安定になるか、又は冷却ファンが作動していない条件で作動する。
また、外気温度が50℃程度に維持され、車両に直接日射が当たる条件で電動圧縮機が作動する場合、インバータ部の発熱によるインバータ素子の破損を防止するためのものである。
【0023】
このために、車両に備えられたエアコンがオン(On)になった状態で電動圧縮機の現在の吐出圧力状態を判断するステップ(ST110)を含む第1ステップ(ST100)と、前記吐出圧力が過負荷圧力に該当する場合、前記電動圧縮機の現在の毎分回転数情報と、インバータ部の温度情報と、相電流情報とを判断する第2ステップ(ST200)と、前記インバータ部が過熱状態の場合、高温エラー信号がオン(On)になった状態が維持される第3ステップ(ST300)と、前記高温エラー信号がオン(On)になった後、前記インバータ部の吐出圧力によって前記電動圧縮機の作動の有無を判断する第4ステップ(ST400)とを含む。
【0024】
前記第1ステップ(ST100)は、前記車両に備えられた冷却ファンの作動の有無を確認する冷却ファン作動確認ステップ(ST120)をさらに含む。車両に備えられたエアコンシステムは、正常作動する場合、冷却ファンを介して外気が凝縮器に供給され、前記凝縮器に対する冷却が行われて温度を下げ、冷媒の相変化を誘導する。
【0025】
前記冷却ファンが作動していない場合は、凝縮器に外気が供給されないため、前記凝縮器に対する冷却は停止され、高温状態が維持される。前記電動圧縮機は、圧縮機から吐出された高温高圧の気相の冷媒が凝縮器で液相の冷媒に相変化され、外気による冷却が安定して行われることを前題として液体冷媒に切り替わる。
冷却ファンが作動していない場合は、前記凝縮器では高温高圧の気体状態で冷媒が存在し、電動圧縮機の温度が高温に急激に上昇することでインバータ部の温度も同時に上昇するため、前記冷却ファンの作動の有無は、インバータ素子の焼損又は故障を防止できる重要な条件となる。
【0026】
吐出圧力が過負荷圧力以下の場合、インバータ部の現在温度を検出するインバータ部温度検出ステップ(ST130)をさらに含む。前記過負荷圧力は、一例として350psiと説明するが、設計条件によって変更されてもよい。
電動圧縮機が正常状態で作動する場合、吐出圧力は過負荷圧力の状態が維持されないが、上述のように、冷却ファンが作動しない条件で外気温度が50℃程度に維持され、かつ車両に直接日射が当たる条件に該当する場合、吐出圧力が350psi以上の圧力で吐出され、現在の吐出圧力を過負荷圧力の状態と判断するようになる。
【0027】
吐出圧力が過負荷圧力以下の場合、インバータ部の現在温度が検出され(ST130)、過熱の有無を判断する。
インバータ部の温度が125℃以上の場合、高温エラー信号がオン(On)状態で維持される(ST132)。また、インバータ部の温度と吐出圧力が実際に過熱した状態であるか再び判断することで、前記インバータ部の過熱の有無を再確認する(ST134)。
インバータ部の温度が115℃以下と測定され、吐出圧力が275psi以下の場合、電動圧縮機の再稼働が行われる。
【0028】
上述のように、電動圧縮機が正常作動する場合には、吐出圧力とインバータ温度を判断して電動圧縮機を継続的に作動し、逆に吐出圧力が依然として350psi以上の場合には、インバータ部が過熱して異常作動する場合に該当する。
電動圧縮機が異常作動する場合でもインバータ部の過熱による誤作動が防止されるロジックを実現することができ、これについて説明する。
【0029】
前記第2ステップ(ST200)は、過負荷圧力に該当する場合、前記電動圧縮機の現在の毎分回転数の状態を判断する毎分回転数判断ステップ(ST210)と、前記インバータ部の温度が予め設定された過熱温度範囲内にあるか否かを判断するインバータ部温度判断ステップ(ST220)と、前記電動圧縮機の相電流が一定値以上維持されているか否かを判断する相電流判断ステップ(ST230)とを含む。
【0030】
本発明では、電動圧縮機の過熱の有無を吐出圧力情報だけで判断せず、前記電動圧縮機の毎分回転数の状態と、インバータ部の温度が過熱温度範囲であるか否かと、相電流の状態情報とをすべて同時に判断することで、インバータ素子が実際に過熱状態が維持されているか否かを正確に判断でき、インバータ素子の焼損を予防し、電動圧縮機の作動を安定化することができる。
【0031】
一例として、前記毎分回転数判断ステップ(ST210)は、前記電動圧縮機の毎分回転数が1000RPM以下で作動する場合に該当する。前記1000RPMとは、車両が停車している条件で低速の状態で作動する場合であって、電動圧縮機の内部圧力及び温度が高温高圧の状態で作動する場合に該当する。
前記電動圧縮機は、毎分回転数が1000RPMで作動する場合、冷媒の循環移動が正常状態の場合よりも低下することで、インバータ部の冷却効率も相対的に低下するため、前記毎分回転数が低速の場合には、前記インバータ部の過熱現象はさらに増加し得る。
【0032】
前記インバータ部温度判断ステップ(ST220)は、前記インバータ部の温度が外気温度よりも高温であるか、又は第1温度以上維持されるかのいずれかに該当する場合に該当する。一例として、前記第1温度は80℃以上の場合に該当する。前記インバータ部の温度は、自体発熱による温度上昇が発生する場合、上述の温度を過熱状態への進入温度と判断する。
また、インバータ部の温度と外気温度を互いに入力され、より正確にインバータ部の温度に応じる過熱の有無を判断するための情報として活用することで、電動圧縮機の状態を正確に判断することができ、異常作動する場合にこれを保護するためのロジッグとして用いることができる。
【0033】
前記相電流判断ステップ(ST230)は、相電流が第1電流値以上維持される場合に該当し、一例として、前記第1電流値は、33A以上維持される場合に該当する。相電流は、電動圧縮機が作動する際に必要なトルクを発生させるためにU、V、Wの3相に電流が印加されるものであり、前記相電流が33A以上に維持される場合、インバータ部の過熱と判断する。
【0034】
前記電動圧縮機の現在の毎分回転数が低速の毎分回転数に該当し、前記インバータ部の温度が過熱温度範囲に維持され、前記相電流が一定値以上にすべて同時に維持される場合にインバータ部が過熱したと判断することができ、正確性と安全性を同時に向させることができる。
このように電動圧縮機が過負荷圧力条件で上述の状態条件を満たして過熱状態と判断される場合(ST300)には、高温エラー信号がオン(On)になると同時に電動圧縮機の作動が一時停止状態に切り替わる(ST310)。
【0035】
インバータ部が過熱した状態で作動が維持されると、故障による破損及びインバータ素子の焼損が発生するため、高温エラー信号と共に電動圧縮機がこれ以上作動せずに一時停止状態に切り替わるため、インバータ部の過熱による焼損が優先的に防止される。
前記第3ステップ(ST300)は、高温エラーコードが発生した後に第1時間の間待機状態が維持される高温エラー待機ステップ(ST320)をさらに含む。
前記高温エラー待機ステップ(ST320)は、一例として、15秒間待機状態が維持され、前記時間の間電動圧縮機の作動が中止され、回数は3回まで維持される。
【0036】
また、第4ステップ(ST400)で、前記第1時間以降に電動圧縮機の現在の吐出圧力を再確認(ST410)し、再稼働が可能であるか確認する。
前記電動圧縮機の吐出圧力が275psi以上の場合は、前記電動圧縮機の吐出圧力を再確認(ST410)する前に移動して吐出圧力を再び判断する(ST420)。
一例として、前記電動圧縮機の吐出圧力が一時的に上昇し、その後低下する場合もあるため、もう一度吐出圧力を再確認することが必要になる。
本実施形態は、このように吐出圧力をもう一度再確認した結果(ST420)、依然として吐出圧力が275psi以上の場合は、インバータ部の過熱によるインバータ素子の焼損が防止されるように強制的に車両の電源をオフ(Off)にする(ST430)。
【0037】
このように車両の電源がオフになる場合、電動圧縮機は作動が中止され、インバータ部が過熱し得る環境を遮断し、インバータ素子の焼損による破損の発生を予め遮断できるため、高価な電動圧縮機を安定して保護することができる。
前記圧縮機の作動が中止すると、これ以上エアコンが作動しないため、修理工場に車両を移動させてメンテナンスを行う。
前記吐出圧力が275psi以下の場合には、電動圧縮機を再稼働するステップ(ST440)に切り替わり、エアコンの作動が可能となり、車両の室内領域の冷房を行うことができる。
また、前記電動圧縮機が再稼働された後にも吐出圧力を第1ステップ(ST100)でのように再び確認することによって過負荷圧力に該当するか否かを判断する。
【0038】
本発明の他の電動圧縮機の制御方法について図面を参照して説明する。
図3に示す通り、車両に備えられたエアコンがオン(On)になった状態で電動圧縮機の現在の吐出圧力状態を判断するステップを含む第1ステップ(ST1000)と、前記吐出圧力が過負荷圧力に該当する場合、前記電動圧縮機の現在の毎分回転数情報と、インバータ部の温度情報と、相電流情報と、前記インバータ部の温度上昇率と累積時間情報とを同時に判断する第2ステップ(ST2000)と、前記インバータ部が過熱状態の場合、高温エラー信号がオン(On)になった状態が維持される第3ステップ(ST3000)と、前記高温エラー信号がオン(On)になった後、前記インバータ部の吐出圧力によって前記電動圧縮機の作動の有無を判断する第4ステップ(ST4000)とを含む。
【0039】
第1ステップ(ST1000)は、上述の第1実施形態(ST100)と同様であるので詳細な説明は省略し、前記第2ステップ(ST2000)について説明する。前記第2ステップ(ST2000)は、電動圧縮機の現在の毎分回転数の状態を判断する毎分回転数判断ステップ(ST2100)と、インバータ部の温度が予め設定された過熱温度範囲内にあるか否かを判断するインバータ部温度判断ステップ(ST2200)と、前記電動圧縮機の相電流が一定値以上維持されているか否かを判断する相電流判断ステップ(ST2300)と、インバータ部の温度上昇率と累積時間を同時に判断(ST2400)してインバータ部の過熱の有無を判断するため、インバータ部の急激な温度上昇による破損危険状態をより正確に判断することができるという相違点を有する。
前記毎分回転数判断ステップ(ST2100)は、前記電動圧縮機の毎分回転数が1000RPM以下で作動する場合に該当する。前記1000RPMは、車両が停車している条件で低速の状態で作動する場合であって、電動圧縮機の内部の圧力と温度が高温高圧の状態で作動する場合に該当する。
【0040】
前記電動圧縮機は、毎分回転数が1000RPMで作動する場合には、冷媒の循環移動が正常状態の場合よりも減少することで、インバータ部の冷却効率も相対的に減少するため、前記毎分回転数が低速の場合に前記インバータ部の過熱現象はさらに増加することがある。
【0041】
前記インバータ部温度判断ステップ(ST2200)は、前記インバータ部の温度が外気温度よりも高温であるか、又は第1温度以上維持されるかのいずれかに該当してもよく、前記第1温度は、80℃以上維持される場合に該当する。前記インバータ部の温度は、自体発熱による温度上昇が発生する場合、上述の温度を過熱状態への進入温度と判断する。
また、インバータ部の温度と外気温度を互いに入力され、より正確にインバータ部の温度に応じる過熱の有無を判断するための情報として活用することで、電動圧縮機の状態を正確に判断することができるため、異常作動する場合にこれを保護するためのロジッグとして用いることができる。
【0042】
前記相電流判断ステップ(ST2300)は、相電流が第1電流値以上維持される場合に該当し、一例として、前記第1電流値は、33A以上維持される場合に該当する。相電流は、電動圧縮機が作動する際に必要なトルクを発生させるためにU、V、Wの3相に電流が印加されるものであり、前記相電流が33A以上に維持される場合、インバータ部の過熱と判断する。
前記電動圧縮機の現在の毎分回転数が低速の毎分回転数に該当し、前記インバータ部の温度が過熱温度範囲に維持され、前記相電流が一定値以上維持されているか否か、及びインバータ部の温度上昇率と累積時間も共に判断してインバータ部の過熱の有無を決定するため、正確性と安全性を同時に向させることができる。
【0043】
前記インバータ部の温度上昇率と累積時間は、インバータ部の温度上昇率と累積時間が図4に添付のケース1ないし3に該当する場合、インバータ部が過熱状態になったと判断することができる。
一例として、ケース1に該当する場合であっても、累積時間が図面に示されている時間以下であるか、インバータ部の温度が120℃以下の場合には前記インバータ部の過熱前状態と判断する。
このように、インバータ部の過熱有無の判断に温度上昇率と累積時間情報が加えられることで、電動圧縮機の吐出圧力情報と共に、正常作動か異常作動がを正確に判断し、それによって制御が直ちに行われるため、前記電動圧縮機に故障が発生することを最小限に抑えることができる。
【0044】
以下、本発明による電動圧縮機について図面を参照して説明する。
図5及び図6に示す通り、冷媒を圧縮する圧縮機構が備えられた圧縮部3と、前記圧縮部3の一側に結合され、前記圧縮機構に駆動力を提供するモータが備えられたモータ部2と、前記モータ部2の一側に結合され、前記モータ部2を制御するインバータが備えられたインバータ部1と、前記圧縮部3の吐出圧力と、毎分回転数と、前記インバータ部1の温度と、前記圧縮部3に印加される相電流と、前記インバータ部1の温度上昇率とを検出する検出部4と、前記検出部4で検出された情報を入力されることによって、前記インバータ部1の過熱状態を判断する制御部5とを含む。
【0045】
前記制御部5は、前記検出部4で検出された情報と共に車両に備えられた冷却ファンの作動の有無を同時に入力されることによって、前記インバータ部1の過熱の有無を判断する。
【0046】
前記検出部4は、圧縮部3の吐出圧力を検出する第1検出部4aと、圧縮部3の毎分回転数を検出する第2検出部4bと、インバータ部1の温度を検出する第3検出部4cと、圧縮部3に印加される相電流を検出する第4検出部4dと、インバータ部1の温度上昇率を検出する第5検出部4eとを含む。
前記制御部5は、モータ部2に対する制御と共に第1ないし第5検出部4a、4b、4c、4d、4eによって検出された情報を入力されることによって、インバータ部1の過熱の有無を正確に判断することで、電動圧縮機に故障が発生することを予防することができる。
前記制御部5は、電動圧縮機が正常条件で作動する場合、予め設定されたデータと検出部4によって入力された情報とを互いに比較することで、インバータ部1の過熱の有無を正確に判断する。
【0047】
以上、本発明について説明したが、該当の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許特許請求の範囲に記載の本発明の思想から逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更、削除又は追加などによって本発明を多様に修正及び変更でき、これも本発明の権利範囲内に含まれると言えるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、インバータ部の過熱を防止して電動圧縮機の安定した作動を実施することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】