(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】目的の分子を検出するための脱パラフィン細胞から出発する単一細胞ELISAの使用
(51)【国際特許分類】
G01N 33/50 20060101AFI20240709BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20240709BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
G01N33/50 P
G01N33/53 M
G01N33/53 D
C12Q1/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579121
(86)(22)【出願日】2022-06-23
(85)【翻訳文提出日】2024-01-26
(86)【国際出願番号】 IB2022055835
(87)【国際公開番号】W WO2022269534
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509087759
【氏名又は名称】ヤンセン バイオテツク,インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100227008
【氏名又は名称】大賀 沙央里
(72)【発明者】
【氏名】カレイラ,ヴィニシウス
(72)【発明者】
【氏名】マレラ,マシュー
【テーマコード(参考)】
2G045
4B063
【Fターム(参考)】
2G045AA13
2G045BB23
2G045DA13
2G045DA14
2G045DA36
4B063QA01
4B063QQ02
4B063QQ03
4B063QQ08
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QQ79
4B063QS10
4B063QS32
4B063QS33
4B063QX01
(57)【要約】
本明細書において、患者の体液又は組織などの試料中の分子の存在を検出する方法であって、a.試料から細胞を得ることと、b.細胞を固定剤で処理することと、c.固定された細胞をパラフィン包埋することと、d.細胞を脱パラフィンし懸濁して、単一細胞懸濁液を得ることと、e.懸濁された細胞を、懸濁された細胞の少なくとも1つの分子に結合する第1の検出剤と接触させ、第1の検出剤に結合した細胞を、第2の検出剤と接触させることと、f.試料の細胞に結合した第2の検出剤の存在を検出することと、を含み、試料に結合した第2の検出剤のバックグラウンドを超える量の検出が、試料中の少なくとも1つの分子の存在を示す、方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の分子を検出する方法であって、
a.試料から細胞を得ることと、
b.前記細胞を固定剤で処理することと、
c.固定された前記細胞をパラフィン包埋することと、
d.前記細胞を脱パラフィンし懸濁して、単一細胞懸濁液を得ることと、
e.懸濁された前記細胞を、前記懸濁された細胞の少なくとも1つの分子に結合する第1の検出剤と接触させ、
前記第1の検出剤に結合した前記細胞を、第2の検出剤と接触させることと、
f.前記試料の前記細胞に結合した前記第2の検出剤の存在を検出することと、を含み、
前記試料に結合した前記第2の検出剤のバックグラウンドを超える量の検出が、前記試料中の少なくとも1つの分子の存在を示す、方法。
【請求項2】
前記分子が、核酸又はタンパク質である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記核酸が、RNAである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記核酸が、DNAである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、前記懸濁された細胞を第1の検出剤と接触させた後に未結合細胞を更に除去する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記方法が、前記第1の検出剤に結合した前記細胞を第2の検出剤と接触させた後に、未結合の前記第2の検出剤を除去することを更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記固定剤が、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、又は中性緩衝ホルマリンを含む群から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記固定剤が、中性緩衝ホルマリンである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記中性緩衝ホルマリンが、10%中性緩衝ホルマリンである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記細胞を前記固定剤で処理するステップが、約30分間~60分間、1時間~2時間、2時間~3時間、3時間~4時間、4時間~5時間、5時間~6時間、6時間~7時間、7時間~8時間、8時間~9時間、9時間~10時間、10時間~11時間、11時間~12時間、12時間~13時間、13時間~14時間、14時間~15時間、15時間~16時間、16時間~17時間、17時間~18時間、18時間~19時間、19時間~20時間、20時間~21時間、21時間~22時間、22時間~23時間、23時間~24時間、24時間~36時間、又は36時間~48時間続く、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記細胞を前記固定剤で処理するステップが、4℃、室温、40℃、又は60℃で行われる、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記細胞を前記固定剤で処理するステップが、室温で24時間行われる、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記固定された細胞のパラフィン包埋が、
a.前記細胞をエタノールと接触させることと、
b.前記細胞をキシレンと接触させることと、
c.前記細胞をパラフィンとともにインキュベートすることと、を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記細胞をエタノールと接触させるステップが、
a.前記細胞を水中70%エタノールと30分間接触させることと、
b.前記細胞を水中80%エタノールと30分間接触させることと、
c.前記細胞を水中95%エタノールと30分間接触させることと、
d.前記細胞を100%エタノールと30分間接触させることと、を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記細胞をキシレンと接触させるステップが、各々20分間のキシレンの3回の交換を含む、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップが、各々20分間のパラフィンの4回の交換を含む、請求項13~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップが、60℃で行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記細胞をキシレンと接触させることによって前記細胞を脱パラフィンする、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記細胞をキシレンと約5分間~10分間、10分間~15分間、15分間~20分間、20分間~30分間、30分間~60分間、60分間~90分間、又は90分間~120分間接触させる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記細胞を、
a.前記細胞を水中70%エタノールと約15~約30分間接触させることと、
b.前記細胞を水中95%エタノールと約15~約30分間接触させることと、
d.最後に、前記細胞を100%エタノールと約15~約30分間接触させることと、を含む、連続エタノール勾配と更に接触させる、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記細胞が、抗原賦活化溶液に再懸濁される、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記細胞が、95℃で約30分間更に加熱される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記細胞が、マイクロ波放射によって加熱される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第1及び/又は第2の検出剤が、抗体又はその抗原結合フラグメントである、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記第1及び/又は第2の検出剤が、RNAベースのバインダー分子である、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記試料が、体液又は組織由来の細胞を含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記体液が、血液、血清、又は血漿である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記試料が、患者由来のものである、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記患者が、哺乳動物である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記哺乳動物が、ヒトである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記試料が、不死化細胞株由来の細胞を含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
請求項1~31のいずれか一項に記載の方法を行うための、キット。
【請求項33】
請求項1~31のいずれか一項に記載の方法により調製された、細胞の試料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、2021年6月23日に出願された米国特許出願公開第63/214,177号の利益を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本明細書において、患者の体液又は組織などの試料中の分子の存在を検出する方法が提供される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様では、本明細書において、試料中の分子を検出する方法であって、試料から細胞を得ることと、細胞を固定剤で処理することと、固定された細胞をパラフィン包埋することと、細胞を脱パラフィンし懸濁して、単一細胞懸濁液を得ることと、懸濁された細胞を、懸濁された細胞の少なくとも1つの分子に結合する第1の検出剤と接触させ、第1の検出剤に結合した細胞を、第2の検出剤と接触させることと、試料の細胞に結合した第2の検出剤の存在を検出することと、を含み、試料に結合した第2の検出剤のバックグラウンドを超える量の検出が、試料中の少なくとも1つの分子の存在を示す、方法が提供される。
【0004】
いくつかの実施形態では、分子は、核酸又はタンパク質である。いくつかの実施形態では、核酸は、RNAである。いくつかの実施形態では、核酸は、DNAである。
【0005】
いくつかの実施形態では、方法は、懸濁された細胞を第1の検出剤と接触させた後に未結合細胞を更に除去する。いくつかの実施形態では、方法は、第1の検出剤に結合した細胞を第2の検出剤と接触させた後に、未結合の第2の検出剤を除去することを更に含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、固定剤は、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、又は中性緩衝ホルマリンを含む群から選択される。いくつかの実施形態では、固定剤は、中性緩衝ホルマリンである。いくつかの実施形態では、中性緩衝ホルマリンは、10%中性緩衝ホルマリンである。
【0007】
いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約約30分間~60分間、1時間~2時間、2時間~3時間、3時間~4時間、4時間~5時間、5時間~6時間、6時間~7時間、7時間~8時間、8時間~9時間、9時間~10時間、10時間~11時間、11時間~12時間、12時間~13時間、13時間~14時間、14時間~15時間、15時間~16時間、16時間~17時間、17時間~18時間、18時間~19時間、19時間~20時間、20時間~21時間、21時間~22時間、22時間~23時間、23時間~24時間、24時間~36時間、又は36時間~48時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、4℃、室温、40℃、又は60℃で行われる。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、室温で24時間行われる。
【0008】
本明細書で提供される方法の一態様では、固定された細胞のパラフィン包埋は、細胞をエタノールと接触させることと、細胞をキシレンと接触させることと、細胞をパラフィンとともにインキュベートすることとを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、細胞をエタノールと接触させるステップは、細胞を水中70%エタノールと30分間接触させることと、細胞を水中80%エタノールと30分間接触させることと、細胞を水中95%エタノールと30分間接触させることと、細胞を100%エタノールと30分間接触させることとを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、各々20分間のキシレンの3回の交換を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々20分間のパラフィンの4回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、60℃で行われる。
【0012】
いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させることによって細胞を脱パラフィンする。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと約5分間~10分間、10分間~15分間、15分間~20分間、20分間~30分間、30分間~60分間、60分間~90分間、又は90分間~120分間接触させる。
【0013】
いくつかの実施形態では、細胞を、連続エタノール勾配と更に接触させる。いくつかの実施形態では、細胞を水中70%エタノールと約15~約30分間接触させることと、細胞を水中95%エタノールと約15~約30分間接触させることと、最後に、細胞を100%エタノールと約15~約30分間接触させることとを含む、細胞を連続エタノール勾配と更に接触させる。
【0014】
本明細書で提供される方法の一態様では、細胞は、抗原賦活化溶液に再懸濁される。
【0015】
いくつかの実施形態では、細胞は、95℃で約30分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、マイクロ波放射によって加熱される。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の検出剤は、抗体又はその抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の検出剤は、RNAベースのバインダー分子である。
【0017】
本明細書で提供される方法の一態様では、試料は、体液又は組織由来の細胞を含む。いくつかの実施形態では、体液は、血液、血清、又は血漿である。いくつかの実施形態では、試料は、患者由来のものである。いくつかの実施形態では、患者は、哺乳動物である。いくつかの実施形態において、この哺乳動物はヒトである。いくつかの実施形態では、試料は、不死化細胞株由来の細胞を含む。
【0018】
別の態様では、本明細書において、本明細書で提供される実施形態のいずれか1つの方法を行うためのキットが提供される。
【0019】
別の態様では、本明細書において、本明細書で提供される実施形態のいずれか1つの方法により調製された細胞の試料が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
前述の「発明の概要」、並びに以下の、本出願の特定の実施形態の「発明を実施するための形態」は、添付図面とともに読んだときにより深く理解されるであろう。しかしながら、本出願は、図面に示される実施形態そのものに限定されないことを理解するべきである。
【
図1】分子の検出及びスクリーニングの増強のための、本明細書で提供される方法の概略図を示す。
【
図2】450nmで測定した光学密度の形式での抗体結合を示す。各抗体結合を、ウェル当たり30,000個の細胞について2つ組みで試験した。「対照陰性」と名付けた条件は、抗体希釈剤のみとともにインキュベートした細胞に関するものであった。
【
図3A】細胞ペレットブロックの4um切片に対して様々な抗体溶液を用いて行った免疫組織化学(immunohistochemistry、「IHC」)アッセイの結果を示す。
図3Aは、各抗体のIHC細胞ペレット染色を示す。
図3Bは、染色した各ペレットのHスコアを示す。染色した各ペレットのHスコアを、細胞ペレットの全表面強度染色を計算する面積定量アルゴリズムに基づいて計算した。
【
図3B】細胞ペレットブロックの4um切片に対して様々な抗体溶液を用いて行った免疫組織化学(immunohistochemistry、「IHC」)アッセイの結果を示す。
図3Aは、各抗体のIHC細胞ペレット染色を示す。
図3Bは、染色した各ペレットのHスコアを示す。染色した各ペレットのHスコアを、細胞ペレットの全表面強度染色を計算する面積定量アルゴリズムに基づいて計算した。
【
図4】本明細書で提供されるELISA様方法とIHC染色との間の相関評価を示す。ピアソン相関係数r=0.929(GraphPad Prism)は、ハイスループットELISA様方法により得られたスクリーニング結果と、ホルマリン固定パラフィン包埋(formalin fixed paraffin embedded、「FFPE」)組織試料に対して行われた従来のIHCとの間の十分な比較可能性を示した。
【発明を実施するための形態】
【0021】
「背景技術」において、また、本明細書全体を通じて、各種刊行物、論文及び特許が引用又は記載され、これらの参照文献の各々はその全容が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に含まれる文書、操作、材料、デバイス、物品などの考察は、本発明の前後関係を与えるためのものである。そのような考察は、これらの事物のいずれか又は全てが、開示又は特許請求されるいずれかの発明に対する先行技術の一部を構成することを容認するものではない。
【0022】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。そうでない場合、本明細書で使用される特定の用語は、本明細書に記載される意味を有する。
【0023】
本明細書に記載又は参照されている技法及び手順には、当業者が概ねよく理解しているもの、及び/又は当業者が従来の手法を用いて通常採用しているもの、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(3d ed.2001)、Current Protocols in Molecular Biology(Ausubel et al.eds.,2003)、Therapeutic Monoclonal Antibodies:From Bench to Clinic(An ed.2009)、Monoclonal Antibodies:Methods and Protocols(Albitar ed.2010)、及びAntibody Engineering Vols 1 and 2(Kontermann and Dubel eds.,2d ed.2010)に記載されている広く利用されている手法などが含まれる。本明細書中で特に定義されていない限り、本明細書で使用されている技術用語及び科学用語は、当業者によって通常理解される意味を有する。この明細書を解釈するために、以下の用語の説明が適用され、必要に応じて、単数形で使用される用語は複数形も含まれ、その逆もまた同様である。記載された用語のいずれかの説明が、参照により本明細書に組み込まれるいずれかの文書と矛盾する場合、以下に記載された用語の説明が優先されるものとする。
【0024】
以下の参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる:米国特許出願公開第10/872,462号、米国特許出願公開第14/115,327号、米国特許出願公開第13/536,021号、米国特許出願公開第10/320,219号、米国特許出願公開第11/319,118号、米国特許出願公開第14/652,407号、米国特許出願公開第13/571,854号、米国特許出願公開第11/772,288号、McGinnis et al.(Journal of Pathology;2021;254(4);405-417)、Sun et al.(PLoS ONE;16(2)e0247238;2021)、Gentles et al.(Journal of Clinical Pathology 2021;74:469-474)、Wilgenbusch et al.,2020(Journal of the American Society of Cytopathology;9,20-25)、及びMairaville et al.(Antibodies;2021,10,4)。
【0025】
5.1.定義
本明細書において、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上特に明記されていない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。
【0026】
本明細書の用語について複数の定義が存在する場合、別段記述されない限り、本項の定義が優先される。
【0027】
「約」又は「およそ」という用語は、当業者によって決定される特定の値について許容される誤差を意味し、これは、値が測定又は決定される方法に部分的に依存する。特定の態様では、「約」又は「およそ」という用語は、1、2、3、又は4つ以内の標準偏差を意味する。特定の態様では、「約」又は「およそ」という用語は、所与の値又は範囲の50%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、又は0.05%以内を意味する。
【0028】
別途記載のない限り、一連の要素に先行する用語「少なくとも」は、一連の全ての要素を指すと理解されるべきである。当業者であれば、単なる通常の実験手順を使用するだけで、本明細書に記載した本発明の特定の実施形態に対して多くの均等物を認識するか、又は確認することができよう。そのような均等物は、本発明によって包含されることが意図される。
【0029】
本明細書で使用するとき、用語「備える(comprises)、「備える(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含有する(contains)」、若しくは「含有する(containing)」、又はこれらの任意の他の変形は、述べられている要素又は要素群を含むことが意図されるが、これら以外の他の要素又は要素群を除外するものではなく、非排他的又は非制限的であることが意図されることが理解されよう。例えば、一連の要素を含む組成物、混合物、プロセス、方法、物品、又は装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されるものではなく、明示的に列挙されない、又はそのような組成物、混合物、プロセス、方法、物品、若しくは装置に固有である他の要素を含んでもよい。更に、明示的に反対に明記されない限り、「又は」は包括的な「又は」を指すものであり、排他的な「又は」を指すものではない。例えば、条件A又はBは、Aが真であり(又は存在する)かつBが偽である(又は存在しない)場合、Aが偽であり(又は存在しない)かつBが真である(又は存在する)場合、並びにA及びBの両方が真である(又は存在する)場合、のいずれか1つによって満たされる。
【0030】
本明細書で使用される場合、複数の列挙された要素間の「及び/又は」という接続的な用語は、個々の及び組み合わされた選択肢の両方を包含するものとして理解される。例えば、2つの要素が「及び/又は」によって接続される場合、第1の選択肢は、第2の要素なしに第1の要素が適用可能であることを指す。第2の選択肢は、第1の要素なしに第2の要素が適用可能であることを指す。第3の選択肢は、第1及び第2の要素が一緒に適用可能であることを指す。これらの選択肢のうちのいずれか1つは、意味に含まれ、したがって、本明細書に使用される場合、「及び/又は」という用語の要件を満たすことが理解される。選択肢のうちの2つ以上の同時適用性もまた、意味に含まれ、したがって、「及び/又は」という用語の要件を満たすことが理解される。
【0031】
本明細書で使用される場合、用語「からなる(consists of)」、又は「からなる(consist of)」若しくは「からなる(consisting of)」などの変形は、明細書及び特許請求の範囲全体にわたって使用されるとき、任意の列挙された要素又は要素群を包含するが、追加の要素又は要素群が、指定の方法、構造、又は組成物に追加されないことを示す。
【0032】
本明細書で使用されるとき、用語「から本質的になる(consists essentially of)」、又は「から本質的になる(consist essentially of)」若しくは「から本質的になる(consisting essentially of)」などの変形は、明細書及び特許請求の範囲全体にわたって使用されるとき、任意の列挙された要素又は要素群を包含し、任意選択で、指定の方法、構造、又は組成物の基本的又は新規の特性を実質的に変化させない任意の列挙された要素又は要素群も包含することを示す。M.P.E.P.§2111.03を参照されたい。
【0033】
本明細書で使用される場合、「投与する」又は「投与」は、本明細書に記載されているか、又は当該技術分野において既知の、経口、粘膜、皮内、静脈内、筋肉内送達、及び/又は他の任意の物理的送達方法などによって、体外に存在する物質を患者に注射又は他の方法で物理的に送達する行為を指す。疾患又はその症状が治療される場合、物質の投与は、典型的には、疾患又はその症状の発症後に生じる。疾患又はその症状が予防される場合、物質の投与は、典型的には、疾患又はその症状の発症前に生じる。
【0034】
本明細書で使用するとき、用語「ポリヌクレオチド」は、同義的に「核酸分子」、「ヌクレオチド」、又は「核酸」とも称され、非修飾RNA若しくはDNA又は修飾RNA若しくはDNAであってもよい、任意のポリリボヌクレオチド又はポリデオキシリボヌクレオチドを指す。「ポリヌクレオチド」としては、一本鎖及び二本鎖DNA、一本鎖及び二本鎖の領域の混合物であるDNA、一本鎖及び二本鎖RNA、並びに一本鎖及び二本鎖の領域の混合物であるRNA、一本鎖若しくはより典型的には二本鎖、又は一本鎖及び二本鎖の領域の混合物であってもよいDNA及びRNAを含むハイブリッド分子が挙げられるが、これらに限定されない。加えて、「ポリヌクレオチド」は、RNA若しくはDNA又はRNA及びDNAの両方を含む三本鎖領域を指す。ポリヌクレオチドという用語には、1つ又は2つ以上の修飾された塩基を含有するDNA又はRNA、及び安定性又は他の理由により修飾された骨格を有するDNA又はRNAも含まれる。「修飾された」塩基は、例えば、トリチル化塩基及び異常な塩基、例えば、イノシンを含む。様々な修飾をDNA及びRNAに行うことができる。したがって、「ポリヌクレオチド」は、典型的には天然に認められるポリヌクレオチドの化学的、酵素的又は代謝的に修飾された形態、並びにウイルス及び細胞のDNA及びRNAの特徴を有する化学的形態を包含する。「ポリヌクレオチド」はまた、比較的短い核酸鎖(多くの場合、オリゴヌクレオチドと称される)も包含する。
【0035】
本明細書で使用するとき、用語「発現」は、遺伝子産物の生合成を指す。この用語は、遺伝子のRNAへの転写を包含する。この用語はまた、RNAの1つ又は2つ以上のポリペプチドへの翻訳も包含し、全ての天然に存在する、転写後及び翻訳後修飾も更に包含する。発現される抗体は、宿主細胞の細胞質内、細胞培養物の成長培地などの細胞外環境中に存在し得るか、又は細胞膜に固定され得る。
【0036】
本明細書で使用するとき、用語「ペプチド」、「ポリペプチド」、又は「タンパク質」は、アミノ酸から構成される分子を指すことができ、当業者によってタンパク質として認識され得る。本明細書では、アミノ酸残基の従来の1文字又は3文字コードが使用される。用語「ペプチド」、「ポリペプチド」、及び「タンパク質」は、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指すために、本明細書において互換的に使用することができる。ポリマーは、直鎖又は分岐鎖であってもよく、修飾されたアミノ酸を含むことができ、かつ非アミノ酸により中断されてもよい。この用語はまた、天然に修飾されているか、又は介入によって修飾されているアミノ酸ポリマー、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、又は任意の他の操作若しくは修飾、例えば、標識成分とのコンジュゲートを包含する。また、例えば、アミノ酸の1つ又は2つ以上の類似体(例えば、非天然アミノ酸などを含む)を含有するポリペプチド、並びに当該技術分野において既知である他の修飾も定義内に含まれる。
【0037】
本明細書に記載のペプチド配列は、通常の慣習に従って記載され、ペプチドのN末端領域は左側にあり、C末端領域は右側にある。アミノ酸の異性体形態は既知であるが、別途明示的に示されない限り、示されるのはアミノ酸のL型である。
【0038】
「抗体」、「免疫グロブリン」、又は「Ig」という用語は、本明細書で互換的に使用され、最も広い意味で使用され、具体的には、例えば、モノクローナル抗体(アゴニスト、アンタゴニスト、中和抗体、完全長又はインタクトモノクローナル抗体を含む)、ポリエピトープ又はモノエピトープ特異性を有する抗体組成物、ポリクローナル又は一価抗体、多価抗体、少なくとも2つのインタクト抗体から形成された多重特異性抗体(例えば、所望の生物学的活性を示す限りにおいて、二重特異性抗体)、一本鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、及びそのフラグメント(例えば、ドメイン抗体)を包含する。抗体は、ヒト、ヒト化、キメラ、及び/又は親和性成熟されたものであり、また他の種、例えば、マウス、ウサギ、ラマなどからの抗体であり得る。「抗体」という用語は、特定の分子抗原に結合することができ、2つの同一の対のポリペプチド鎖で構成される、ポリペプチドの免疫グロブリンクラス内のB細胞のポリペプチド産物を含むことを意図しており、各対は、1つの重鎖(約50~70kDa)及び1つの軽鎖(約25kDa)を有し、各鎖の各アミノ末端部分は、約100~約130以上のアミノ酸の可変領域を含み、各鎖の各カルボキシ末端部分は、定常領域を含む。例えば、Antibody Engineering(Borrebaeck ed.,2d ed.1995);、及びKuby,Immunology(3d ed.1997)を参照。また、抗体としては、合成抗体、組換え産生抗体、ラクダ科種(例えば、ラマやアルパカ)由来などの単一ドメイン抗体又はそれらのヒト化変異体、体内抗体、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、及び上記のいずれかの機能的フラグメント(例えば、抗原結合フラグメント)が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、フラグメントの由来となった抗体の結合活性の一部又は全部を保持する抗体重鎖又は軽鎖ポリペプチドの部分を指す。機能的フラグメント(例えば、抗原結合フラグメント)の非限定的な例としては、単鎖Fvs(scFv)(例えば、単一特異性、二重特異性などを含む)、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、F(ab)2フラグメント、F(ab’)2フラグメント、ジスルフィド結合Fvs(dsFv)、Fdフラグメント、Fvフラグメント、ダイアボディ、トライアボディ、テトラボディ、及びミニボディが挙げられる。特に、本明細書において提供される抗体は、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、例えば、抗原に結合する抗原結合部位(例えば、抗体の1つ又は2つ以上のCDR)を含有する抗原結合ドメイン又は分子を含む。そのような抗体フラグメントは、例えば、Harlow and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual(1989)、Mol.Biology and Biotechnology:A Comprehensive Desk Reference(Myers ed.,1995)、Huston et al.,1993,Cell Biophysics 22:189-224、Pluckthun and Skerra,1989,Meth.Enzymol.178:497-515、及びDay,Advanced Immunochemistry(2d ed.1990)に見出すことができる。本明細書において提供される抗体は、免疫グロブリン分子の任意のクラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、及びIgA)又は任意のサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)であり得る。抗体は、アゴニスト抗体又はアンタゴニスト抗体であり得る。抗体は、アゴニストでもなくアンタゴニストでもなくてもよい。
【0039】
「抗原」とは、抗体が選択的に結合することができる構造である。標的抗原は、ポリペプチド、炭水化物、核酸、脂質、ハプテン、又は他の天然に存在する化合物若しくは合成化合物であり得る。いくつかの実施形態では、標的抗原は、ポリペプチドである。特定の実施形態では、抗原は、細胞と関連し、例えば、細胞上又は細胞内に存在する。
【0040】
「抗原結合ドメイン」又は「抗原結合フラグメント」又は「抗原に結合するドメイン」は、抗原に特異的に結合する分子の一部を指す。抗原結合ドメインは、抗原に結合する免疫グロブリンの一部、例えば、重鎖可変ドメイン(heavy chain variable domain、VH)、軽鎖可変ドメイン(light chain variable domain、VL)、VH及びVL、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd及びFvフラグメント、1つのVH又は1つのVLからなるドメイン抗体(domain antibodies、dAb)、サメ可変IgNARドメイン、ラクダ化VHドメイン、VHH、FR3-CDR3-FR4部分などの抗体のCDRを模倣するアミノ酸残基からなる最小認識ユニット、HCDR1、HCDR2、及び/又はHCDR3、並びにLCDR1、LCDR2、及び/又はLCDR3、並びに抗原に結合する非抗体足場を含み得る。
【0041】
本明細書で使用される場合、「エピトープ」とは、当該技術分野の用語であり、結合分子(例えば、一本鎖抗体配列を含む抗体)が特異的に結合することができる抗原の局在領域を指す。エピトープは、線状エピトープ又は立体構造エピトープ、非線状エピトープ、又は不連続エピトープであり得る。ポリペプチド抗原の場合、例えば、エピトープは、ポリペプチドの連続したアミノ酸(「線状」エピトープ)であり得るか、又はエピトープは、ポリペプチドの2つ又は3つ以上の非連続領域からのアミノ酸(「立体構造」、「非線状」、又は「不連続」エピトープ)を含み得る。概ね、線状エピトープは、二次、三次、又は四次構造に依存する場合もあれば、依存しない場合もあることが当業者によって理解されるであろう。例えば、いくつかの実施形態では、結合分子は、アミノ酸が天然の三次元タンパク質構造に折り畳まれているかどうかにかかわらず、アミノ酸の群に結合する。他の実施形態では、結合分子は、エピトープを認識して結合するために、エピトープを構成するアミノ酸残基が特定の立体構造(例えば、屈曲、ねじれ、回転、又は折り畳み)を示すことを必要とする。
【0042】
「インタクト」抗体とは、抗原結合部位、並びに軽鎖の定常ドメイン(constant domain of the light chain、CL)並びに少なくとも重鎖定常領域CH1、CH2及びCH3を含むものである。定常領域には、ヒト定常領域又はそのアミノ酸配列の変異体が含まれ得る。特定の実施形態では、インタクト抗体は、1つ又は2つ以上のエフェクター機能を有する。
【0043】
「sFv」又は「scFv」とも略される「単鎖Fv」は、単一のポリペプチド鎖に接続されたVH抗体ドメイン及びVL抗体ドメインを含む抗体フラグメントである。好ましくは、sFvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインとの間に、sFvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にするポリペプチドリンカーを更に含む。sFvについては、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer-Verlag,New York,pp.269-315(1994)のPluckthunを参照されたい。
【0044】
本明細書で使用される「単一ドメイン抗体」又は「sdAb」は、単一の単量体可変抗体ドメインを指し、抗原結合が可能である。単一ドメイン抗体には、本明細書に記載のVHHドメインが含まれる。単一ドメイン抗体の例としては、Camelidae種(例えば、ラマ)由来のものなどの軽鎖を自然に欠く抗体、従来の4本鎖抗体に由来する単一ドメイン抗体、操作された抗体、及び抗体に由来するもの以外の単一ドメイン足場が挙げられるが、これらに限定されない。単一ドメイン抗体は、マウス、ヒト、ラクダ、ラマ、ヤギ、ウサギ、及びウシを含むがこれらに限定されない任意の種に由来し得る。例えば、単一ドメイン抗体は、本明細書に記載されているように、ラクダ科種、例えばラクダ、ラマ、ヒトコブラクダ、アルパカ、及びグアナコで産生された抗体に由来し得る。ラクダ科以外の他の種でも、天然に軽鎖を持たない重鎖抗体を産生することがある。そのような他の種に由来するVHHは、本開示の範囲内である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される単一ドメイン抗体(例えば、VHH)は、FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4の構造を有する。単一ドメイン抗体は、本明細書に記載されるように、別の分子(例えば、薬剤)に遺伝的に融合するか又は化学的にコンジュゲートし得る。単一ドメイン抗体は、より大きな結合分子(例えば、多重特異性抗体又は機能的外因性受容体)の一部であり得る。
【0045】
「結合」又は「結合すること」という用語は、例えば、複合体を形成することを含む分子間の相互作用を指す。相互作用は、例えば、水素結合、イオン結合、疎水性相互作用、及び/又はファンデルワールス相互作用を含む非共有相互作用であり得る。複合体には、共有結合若しくは非共有結合、相互作用、又は力によって一緒に保持された2つ又は3つ以上の分子の結合も含まれ得る。抗体の単一の抗原結合部位と、抗原などの標的分子の単一のエピトープとの間の非共有相互作用全体の強さが、そのエピトープに対する抗体又は機能的フラグメントの親和性である。一価の抗原に対する結合分子(例えば、抗体)の解離速度(koff)と会合速度(kon)との比(koff/kon)は、解離定数KDであり、親和性とは逆の関係にある。KD値が低いほど、抗体の親和性は高くなる。KDの値は、抗体及び抗原の異なる複合体によって様々であり、kon及びkoffの両方に依存する。本明細書において提供される抗体の解離定数KDは、本明細書において提供される任意の方法、又は当業者に周知である任意の他の方法を使用して決定することができる。1つの結合部位での親和性は、必ずしも抗体と抗原との間の相互作用の真の強さを反映するものではない。多価抗原などの複数の繰り返し抗原決定基を含有する複雑な抗原が、複数の結合部位を含む抗体と接触した場合、ある部位での抗体の抗原との相互作用は、第2部位での反応の確率を増加させるであろう。そのような多価抗体と抗原との間の複数の相互作用の強さは、親和力と呼ばれる。
【0046】
本明細書で使用される場合、「体液(body fluid)」又は「体液(bodily fluid)」という用語は、哺乳動物(例えば、ヒト)患者などの患者から得られる流体を指す。例えば、体液は、血液、脳脊髄液(cerebral spinal fluid、CSF)、母乳、又は尿であり得る。体液はまた、細胞を除去するために分画された血液(すなわち、血漿)又は細胞及び凝固因子を除去するために分画された血液(すなわち、血清)であり得る。
【0047】
本明細書で使用される場合、「捕捉部分」又は「第1の抗体」という用語は、固体支持体に固定化された、例えば、結合された、又は別の方法で連結された別の組成物によって特異的に結合され得る組成物を指す。本明細書で提供される検出部分の多くは、結合事象が伴う限り、捕捉部分として使用することもできる。例えば、有用な捕捉部分としては、特異的かつ選択的なリガンドが利用可能である親和性標識(例えば、ビオチンとアビジン、グルタチオンとGST)、抗血清又はモノクローナル抗体が利用可能であるハプテン及びタンパク質(例えば、c-Myc)、標的に相補的な配列を有する核酸分子、並びに特異的かつ選択的なリガンドが利用可能であるペプチド(例えば、ヒスチジンタグとNi)が挙げられる。クロマトグラフィー樹脂への結合特性に影響を及ぼす分子も想定される。固体支持体は、例えば、フィルタ、プレート、膜、クロマトグラフィー樹脂、又はビーズであり得る。
【0048】
本明細書で使用される場合、「カットポイント係数」又は「閾値」という用語は、概ね、ナイーブプールマトリックス(例えば、血清又は血漿)からのシグナルを数学的に操作して、陽性とみなされるために必要とされる試料かの最小シグナルを設定するために使用される値を指す。
【0049】
「誘導体」という用語は、本明細書で提供される方法で使用される抗体物質及びポリペプチドに関連して使用される場合、ユビキチン化、治療薬又は診断薬へのコンジュゲーション、標識(例えば、放射性核種又は様々な酵素による)、ペグ化などの共有ポリマー結合(すなわち、ポリエチレングリコールによる誘導体化)、及びヒトタンパク質では通常生じないオルニチンなどのアミノ酸の化学合成による挿入又は置換を含むがこれらに限定されない技法によって化学修飾されたポリペプチドを指す。誘導体は、非誘導体化分子の結合特性を保持することができる。
【0050】
本明細書で使用される場合、「検出可能な部分」、「検出部分」、又は「標識」という用語は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、化学的、又は他の物理的手段を含むがこれらに限定されない手段によって検出可能な組成物(例えば、ポリペプチド又は抗体)を指す。例えば、有用な検出可能な部分又は標識としては、ルテニウム(Ru)ベースの触媒、ユーロピウム、32P、35S、蛍光色素、高電子密度試薬、酵素(例えば、ELISAにおいて一般的に使用されるようなもの)、ビオチン-ストレプトアビジン、ジオキシゲニン、抗血清又はモノクローナル抗体が利用可能なハプテン及びタンパク質、並びに標的に相補的な配列を有する核酸分子が挙げられる。検出可能な部分又は標識は、多くの場合、試料中の結合した検出可能な部分又は標識の量を定量化するために使用することができる、放射性シグナル、発色シグナル、発光シグナル、又は蛍光シグナルなどの測定可能なシグナルを生成する。
【0051】
本明細書で使用される場合、「検出可能な抗体」という用語は、検出され得る任意の抗体を指す。いくつかの実施形態では、抗体は、検出可能な部分により直接標識される。特定の実施形態では、抗体は、検出可能な抗Ig抗体である。本明細書で使用される場合、「検出可能な抗Ig抗体」という用語は、検出され得る抗Ig抗体を指す。いくつかの実施形態では、抗Ig抗体は、Ig分子へのその固有の結合に加えて、検出可能な部分により直接標識される。Ig抗体は、例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、又はIgYアイソタイプのものであり得る。
【0052】
本明細書で使用される場合、「一次抗体」という用語は、目的の抗原に直接結合する抗体を指す。本明細書で使用される場合、「二次抗体」という用語は、検出標識にコンジュゲートされた抗体を指す。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される二次抗体は、一次抗体に直接結合する。他の実施形態では、本明細書に提供される二次抗体は、例えば、一次抗体を認識する別の抗体に結合することによって、一次抗体に間接的に結合する。
【0053】
ペプチド又はポリペプチドの文脈において、本明細書で使用される場合、「フラグメント」という用語は、完全長未満のアミノ酸配列を含むペプチド又はポリペプチドを指す。そのようなフラグメントは、例えば、アミノ末端での切断、カルボキシ末端での切断、及び/又はアミノ酸配列からの残基(複数可)の内部欠失から生じ得る。フラグメントは、例えば、選択的RNAスプライシング又はインビボプロテアーゼ活性から生じ得る。本明細書に開示されるペプチド又はポリペプチドの任意のフラグメントは機能的である。特定の実施形態では、フラグメントは、標的抗原に免疫特異的に結合する抗体のアミノ酸配列の少なくとも5個の連続したアミノ酸残基、少なくとも10個の連続したアミノ酸残基、少なくとも15個の連続したアミノ酸残基、少なくとも20個の連続したアミノ酸残基、少なくとも25個の連続したアミノ酸残基、少なくとも40個の連続したアミノ酸残基、少なくとも50個の連続したアミノ酸残基、少なくとも60個の連続したアミノ酸残基、少なくとも70個の連続したアミノ酸残基、少なくとも80個の連続したアミノ酸残基、少なくとも90個の連続したアミノ酸残基、少なくとも100個の連続したアミノ酸残基、少なくとも125個の連続したアミノ酸残基、少なくとも150個の連続したアミノ酸残基、少なくとも175個の連続したアミノ酸残基、少なくとも200個の連続したアミノ酸残基、又は少なくとも250個の連続したアミノ酸残基のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。特定の実施形態では、標的抗原に免疫特異的に結合する抗体フラグメントは、抗体の少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は少なくとも3つの機能を保持する。
【0054】
2つ又は3つ以上のポリヌクレオチド又はポリペプチド配列の文脈における「同一である」又はパーセント「同一性」という用語は、配列比較アルゴリズムを使用して又は目視検査によって測定したとき、一致が最大になるように比較及び位置合わせさせた場合に同じである、又は特定のパーセントの同じであるヌクレオチド若しくはアミノ酸残基を有する、2つ又は3つ以上の配列又はサブ配列を指す。
【0055】
標的抗原と「免疫特異的に結合する抗体」という用語及び類似の用語は、本明細書において互換的に使用され、標的抗原又はエピトープのみに特異的に結合する抗体及びそのフラグメントを指す。更に他の実施形態では、本明細書に提供される抗体は、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAアイソタイプなどのIgに免疫特異的に結合する。
【0056】
本明細書で使用される場合、「干渉」という用語は、概ね、標的分析物の正確な検出及び測定を妨げる体液(例えば、血清又は血漿)試料中の物質の存在を指す。本明細書で使用される場合、干渉は、概ね、濃度-応答関係に対する遊離薬物の効果又はマトリックス(例えば、血清又は血漿)の効果を指す。例えば、マトリックスからの干渉は、75~125%の相対精度の範囲を目標とするために、潜在的な干渉のない試料に対する相対精度として評価され得る。
【0057】
試料の文脈における「インビボ」という用語は、生物学的試料、例えば、生物学的若しくは体液、例えば、血液、血漿、血清、骨髄、髄液、脳液、又は組織、例えば、リンパ組織、薄層細胞学的試料、新鮮な凍結組織試料若しくは腫瘍組織を含む、対象、例えば、患者、例えばヒト患者から得られた試料を指す。「インビボ」という用語は、生きている生物の外で培養又は増殖された細胞若しくは細胞株、又は細胞の生体分子成分を包含する「インビトロ」という用語と区別されるべきである。
【0058】
「検出限界」、「LOD」、又は「感度」という用語は、本明細書で使用される場合、概ね、検出され得るが必ずしも正確な値として定量されない体液(例えば、血清又は血漿)試料中の最低分析物濃度を指す。例えば、LODは、プールされたナイーブマトリックス+カットポイント係数の測定された平均応答よりも大きいシグナルを一貫して生成する分析物濃度として定義され得る。
【0059】
本明細書で使用される場合、「マトリックス(matrix)」又は「マトリックス(matrices)」という用語は、概ね、抗体が測定される生物学的バックグラウンドを指す。マトリックスの例としては、例えば、体液及び組織が挙げられる。
【0060】
「モノクローナル抗体」という用語は、均質又は実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を指し、各モノクローナル抗体は、典型的には、抗原上の単一のエピトープを認識する。特定の実施形態では、本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」は、単一のハイブリドーマ又は他の細胞によって産生される抗体であり、抗体は、例えば、ELISA又は当該技術分野において既知の他の抗原結合アッセイ若しくは競合的結合アッセイによって決定されるように、酵素のみに免疫特異的に結合する。「モノクローナル」という用語は、抗体を作製するための特定の方法に限定されるものではない。例えば、本明細書で提供される方法において使用されるモノクローナル抗体は、Kohler et al.;Nature,256:495(1975)に記載されているハイブリドーマ法によって作製され得るか、又は当該技術分野において既知の技法を使用してファージライブラリーから単離され得る。クローン細胞株及びそれによって発現されるモノクローナル抗体の調製のための他の方法は、当該該分野において周知である(例えば、Short Protocols in Molecular Biology,(2002)5th Ed.,Ausubel et al.,eds.,John Wiley and Sons,New Yorkの第11章を参照されたい)。
【0061】
本明細書で使用される場合、「ポリクローナル抗体」は、多くのエピトープを有するタンパク質に対する免疫原性応答において生成される抗体集団を指し、したがって、タンパク質内の同じエピトープ及び異なるエピトープ向けられた様々な異なる抗体を含む。ポリクローナル抗体を産生するための方法は、当該技術分野において既知である(例えば、Short Protocols in Molecular Biology,(2002)5th Ed.,Ausubel et al.,eds.,John Wiley and Sons,New Yorkの第11章を参照されたい)。
【0062】
本明細書で使用される場合、「精度」という用語は、概ね、分析者と日数との間のシグナルの変動性を指す。例えば、精度は、変動係数、値の範囲として、又はANOVA統計を使用して評価され得る。
【0063】
本明細書で使用される場合、「予防する」、「予防すること」、及び「予防」という用語は、本明細書で提供される療法又は療法の組み合わせの投与から生じる、疾患及び/又はそれに関連する症状(例えば、患者におけるPKU又はがんなどのフェニルアラニンレベルの上昇に関連する疾患又はそれに関連する症状)の発生、再発、発症、又は拡大の全体的又は部分的な阻害を指す。
【0064】
本明細書で使用される場合、「試薬安定性」という用語は、概ね、試薬の調製の堅牢性及び貯蔵安定性を指す。例えば、試薬安定性は、新たに調製された試薬に対して75~125%の精度内で値が測定されることを依然として可能にする条件によって確立され得る。
【0065】
本明細書で使用される場合、「堅牢性」という用語は、概ね、方法パラメータの小さな変動によって影響を受けないままであるアッセイの能力を指し、通常の実行条件中のアッセイの信頼性を示す。例えば、堅牢性は、公称条件に対して75~125%の精度内で依然としてシグナルを生成する試薬濃度、試薬体積、又はインキュベーション時間のパーセント変化として評価することができる。
【0066】
本明細書で使用される場合、「試料」という用語は、概ね、本明細書で提供される方法において使用することができる、例えば、患者から採取された試験流体又は組織を指す。いくつかの実施形態では、試料は、インビボ試料、例えば、対象、例えば、患者、例えば、ヒト患者由来の体液(又は生物学的流体)である。そのような体液の非限定的な例としては、血液(例えば、ヒト末梢血(human peripheral blood、HPB))、血液溶解物、血清、血漿、細針吸引物、管洗浄液、髄液、脳液、骨髄、腹水、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。他の実施形態では、試料は、対象からの腫瘍組織などの生検組織、又は他の体組織若しくは臓器の薄層細胞学的試料から採取される。特定の実施形態では、試料は、末梢血試料、腫瘍組織又は疑わしい腫瘍組織、薄膜細胞学的試料、細針吸引試料、骨髄試料、リンパ節試料、尿試料、腹水試料、洗浄試料、食道ブラッシング試料、膀胱又は肺洗浄試料、髄液試料、脳液試料、管吸引試料、乳房分泌物試料、胸水試料、新鮮な凍結組織試料、パラフィン包埋組織試料を含む。他の実施形態では、試料は、末梢血試料、腫瘍組織若しくは疑わしい腫瘍組織、薄膜細胞学的試料、細針吸引試料、骨髄試料、尿試料、腹水試料、洗浄試料、食道ブラッシング試料、膀胱若しくは肺洗浄試料、髄液試料、脳液試料、管吸引試料、乳房分泌物試料、胸水試料、新鮮な凍結組織試料、又はパラフィン包埋組織試料のうちのいずれかからの抽出液であるか、又はそれから産生された処理された試料である。
【0067】
本明細書で提供されるいくつかの実施形態では、試料は、細胞株由来の細胞を含む。一実施形態では、細胞株は、Vero細胞、CHO細胞、MDCK細胞、293 T細胞、HEK293T細胞、Expi293F細胞、BHK細胞、HEK 293細胞、NS0細胞、PER.C6細胞、CRL7O3O細胞、HsS78Bst細胞、HeLa細胞、NIH 3T3細胞、又は他の細胞株などの細胞株である。
【0068】
上記又は下記の実施形態のいずれか1つのいくつかの実施形態では、試料は、不死化細胞株由来の細胞を含む。
【0069】
本明細書で使用される場合、「不死化細胞株」は、正常な細胞老化を回避し、代わりに、変異(複数可)に起因して分裂を受け続けることができる細胞の集団を説明する。したがって、不死化細胞株由来の細胞は、インビトロで長期間成長することができる。不死性に必要な変異は、天然に生じ得るか、又は実験目的のために意図的に誘導され得る。不死化細胞は、分裂を停止しない腫瘍性/がん性細胞、又は無制限に増殖するように人工的に操作された細胞であってもよく、したがって、数世代にわたって培養することができる。限定するものではないが、不死化細胞株としては、例えば、気道内皮細胞、大動脈内皮細胞、バレット食道上皮細胞、気管支上皮細胞、呼吸上皮細胞、軟骨細胞線維芽細胞、皮膚微小血管内皮細胞(TIME細胞を含む)、子宮内膜線維芽細胞、包皮ケラチノサイト、肺内皮細胞、乳腺上皮細胞、間葉系幹細胞、NTAPシュワン細胞、膵管細胞、前立腺細胞、腎上皮細胞、網膜色素上皮細胞、及び皮膚線維芽細胞を挙げることができる。
【0070】
上記又は下記の実施形態のいくつかの実施形態では、試料が不死化細胞株由来の細胞を含む方法が提供される。不死化細胞株は、本明細書に記載される使用のために市販され得る。様々な不死化細胞株が周知であり、市販されている(ATCC(登録商標)、Manassas,VA)。
【0071】
本明細書で使用される場合、「特異性」という用語は、概ね、特定のタンパク質と反応する抗体を検出するアッセイの能力を指す。例えば、特異性は、非特異的タンパク質に対する応答がLOD未満であるべきである一方で、特定の分析物との比例的な検出応答を指し得る。比例的な応答は、0.98以上の相関係数R値に対して評価され得る。標的抗原を検出するために本明細書で提供される方法に関連して使用される場合、特異性は、特定のタンパク質と反応する抗原を検出する能力を指す。
【0072】
本明細書で使用される場合、「対象」及び「患者」という用語は互換的に使用される。本明細書で使用される場合、対象は、好ましくは非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラットなど)又は霊長類(例えば、サル及びヒト)などの哺乳動物、最も好ましくはヒトである。一実施形態では、対象は、哺乳動物、好ましくはヒトである。本明細書で提供される方法及びキットのいくつかの実施形態では、患者は、疾患若しくは症状、又はがんを有する。本明細書で提供される方法及びキットの他の実施形態では、患者は、がん療法を受けている患者である。本明細書で提供される方法及びキットの更に他の実施形態では、患者は、妊婦又は乳児(例えば、0~約36ヶ月齢)である。
【0073】
本明細書で使用される場合、「タグ」及び「標識」という用語は、互換的に使用され、抗体若しくはその抗原結合フラグメント、又は本明細書で提供される方法において使用される他のポリペプチドに結合される任意の種類の部分を指す。抗体又はタグに関する「検出可能な」又は「検出」という用語は、可視化することができる任意の抗体又はタグを指すか、あるいは抗体又はタグの存在を別の方法で決定及び/又は測定することができる(例えば、定量化によって)。検出可能なタグの非限定的な例としては、蛍光タグ又は他の化学発光タグ、及びPCRを使用して増幅及び定量され得るタグが挙げられる。特定の実施形態では、本明細書で提供される方法において使用される二次抗体は、標識されたストレプトアビジンと組み合わせて使用されるビオチン化二次抗体である。
【0074】
本明細書で使用される場合、「療法」という用語は、疾患(又はそれに関連する症状)又はがんの予防、管理、治療、及び/又は寛解において使用され得る任意のプロトコル、方法、及び/又は薬剤を指す。特定の実施形態では、「療法(therapies)」及び「療法(therapy)」という用語は、医療関係者などの当業者に既知の疾患又はがんの予防、管理、治療、及び/又は寛解に有用な生物学的療法、支持療法、及び/又は他の療法を指す。
【0075】
本明細書で使用される場合、「組織」という用語は、哺乳動物、例えばヒトから得られる組織を指す。例えば、組織は、生検試料、外科的に除去された組織、又は死後収集物由来のものであり得る。更に、組織をホモジナイズし抽出して、組織から酵素又は抗体を単離することができる。
【0076】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療」、及び「治療すること」という用語は、1つ又は2つ以上の療法を投与することによって生じる、疾患(それに関連する症状)又はがんの進行、重症度、及び/又は持続期間の減少又は寛解を指す。
【0077】
本明細書で使用される場合、「変異体」という用語は、元のポリペプチドコードドメインに対してコード領域に少なくとも1つのアミノ酸置換、欠失、又は挿入を含むポリペプチド配列を指す。変異体は、天然に存在するポリペプチドの生物学的活性を保持する。
【0078】
本明細書で使用される場合、「インサイチュハイブリダイゼーション」又は「ISH」という用語は、供給源試料の形態を保存しながら、特定の標的核酸を局在化及び可視化するための技法を指す。
【0079】
本明細書で使用される場合、「免疫組織化学」又は「IHC」という用語は、供給源試料の形態を保存しながら、抗体を利用して供給源試料中の目的のタンパク質を検出するための技法を指す。免疫蛍光(Immunofluorescence、IF)は、蛍光標識を指し、したがって、IHCという用語にも包含される。
【0080】
本明細書で使用される場合、「架橋」という用語は、2つ又は3つ以上の分子を一緒に結合するプロセスを指す。「架橋剤」又は均等物は、タンパク質及び他の分子に見られる官能基に自身を結合する2つ又は3つ以上の化学的に反応性の末端を含有する薬剤を指す。具体的には、架橋剤がホルムアルデヒド又はその均等物である場合、アミノ酸又は核酸塩基上の求核基は、ホルムアルデヒドと共有結合を形成し、これは、しばしば別の分子上の別の官能基を伴う第2のステップにおいて安定化され、メチレン架橋の形成をもたらす。架橋剤が酸化剤である場合、それはタンパク質及び他の生体分子の側鎖と反応することができ、組織構造を安定化させる架橋の形成を可能にする。
【0081】
本明細書で使用される場合、「固定」又は「固定すること」という用語は、IHCプロセスにおける試料の固定に関して行われる場合、例えば、自己分解又は腐敗による崩壊から試料を保護するための手順を指す。それは、任意の進行中の生化学反応を終結させ、また、処理された組織の機械的強度又は安定性を増加させ得る。
【0082】
本明細書で使用される場合、「検出すること」という用語は、概ね、任意の形態の測定を指し、要素が存在するか否かを決定することを含む。この用語は、定量的及び/又は定性的決定を含む。
【0083】
5.2 IHC
ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織に対する免疫組織化学(IHC)は、目的の標的タンパク質を発現する細胞を同定し、潜在的な毒性を予測することによる、R&D治療キャンペーンにおける重要なステップである。堅牢なIHCアッセイは、最適な特異性及び感度で標的を確実に認識する好適な一次抗体に依存する。FFPE組織は、しばしば、立体構造が変化した過剰固定タンパク質を提示し、これは、非IHCアッセイにおいて検証された抗体の再目的化を極めて不確実にする。組織調製及び保存プロセス中に、ホルマリンなどの架橋剤が使用される場合、ホルマリン固定は、エピトープをマスクし、免疫反応性の減少をもたらし得る(Arnold et al.,Biotech Histochem 71:224-230(1996)を参照されたい)。ホルマリン固定は、固定時間の増加が平衡点までのタンパク質への連続したホルムアルデヒド基結合をもたらす時間依存性プロセスである(Fox et al.,J Histochem Cytochem 33:845-853(1985)を参照されたい)。研究により、ホルマリン固定は、特に延長された場合、抗原性の減少をもたらすことが示されており(Battifora and Kopinski,J Histochem Cytochem 34:1095-1100(1986)を参照されたい)、これは、診断的IHCのためのホルマリン固定組織の使用を制限する(Ramos-Vara,Vet Pathol 42:405-426(2005)、Webster et al.,J Histochem Cytochem.57(8):753-761(2009)を参照されたい)。新しいIHC抗体の生成は、好適な試薬が市販されていない場合、関連する対照に対して多くの候補をスクリーニングすることを必要とする。
【0084】
本明細書で提供される方法は、従来のプロトコルを修正することによって上述の課題を克服する。本明細書において、細胞ベースのELISAアッセイに好適な単一細胞懸濁液として維持しながら、固定された細胞株(FFPE組織を模倣する)を使用してFFPE IHC品質抗体のスクリーニングを可能にする方法が提供される。このプロトコルは、ガラススライド上に載置された従来の対照を用いて適時に行うことが不可能である多くの抗体及び条件のハイスループット試験を可能にする。
【0085】
5.3 分子の検出及びスクリーニングを増強するための方法
一態様では、本明細書において、試料中の分子を検出する方法であって、試料から細胞を得、次いで、細胞を固定剤で処理し、次いで固定された細胞をパラフィン包埋し、続いて細胞を脱パラフィンし懸濁して、単一細胞懸濁液を得、次いで懸濁された細胞を第1の検出剤と接触させ、次いで第1の検出剤に結合した細胞を第2の検出剤と接触させ、試料の細胞に結合した第2の検出剤の存在を検出する、方法が提供される。
【0086】
好ましい実施形態では、試料は、方法のステップを行う前に対象から得られる。
【0087】
いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の検出剤は、懸濁された細胞の少なくとも1つの分子に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントを含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、懸濁された細胞を第1の検出剤と接触させた後に未結合細胞を除去する。
【0089】
いくつかの実施形態では、第2の検出剤は、抗体又はそのフラグメントである。
【0090】
いくつかの実施形態では、第1の検出剤に結合した細胞を第2の検出剤と接触させた後に、未結合の第2の検出剤を除去する。
【0091】
本明細書で提供される方法の一態様では、試料に結合した第2の検出剤のバックグラウンドを超える量の検出は、試料中の少なくとも1つの分子の存在を示す。
【0092】
いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理する前に、細胞をコロジオンバッグ中で培養し、ペレット化する。一実施形態では、コロジオンバッグは、ガラス円錐管の内面をコロジオン溶液でコーティングすることによって生成される。一態様では、コロジオン溶液を最初にガラス試験管に注ぎ、溶液を1時間放置し、管を旋回させながらコロジオンを注ぎ戻し、管を1時間逆さにして乾燥させ、次いで管に水道水を充填し、パラフィルムで覆い、使用するまで4℃の冷蔵庫に直立させて保管する。一態様では、コロジオンバッグは、Wilgenbusch et al.,2020(Journal of the American Society of Cytopathology;9,20-25)に記載されているように調製される。
【0093】
いくつかの実施形態では、分子は、核酸又はタンパク質である。いくつかの実施形態では、核酸は、RNAである。いくつかの実施形態では、核酸は、DNAである。
【0094】
一態様では、本明細書において、試料中のRNAを検出する方法であって、試料から細胞を得、次いで、細胞を固定剤で処理し、次いで固定された細胞をパラフィン包埋し、続いて細胞を脱パラフィンし懸濁して、単一細胞懸濁液を得、次いで懸濁された細胞を第1の検出剤と接触させ、次いで第1の検出剤に結合した細胞を第2の検出剤と接触させ、試料の細胞に結合した第2の検出剤の存在を検出する、方法が提供される。
【0095】
一態様では、本明細書において、試料中のDNAを検出する方法であって、試料から細胞を得、次いで、細胞を固定剤で処理し、次いで固定された細胞をパラフィン包埋し、続いて細胞を脱パラフィンし懸濁して、単一細胞懸濁液を得、次いで懸濁された細胞を第1の検出剤と接触させ、次いで第1の検出剤に結合した細胞を第2の検出剤と接触させ、試料の細胞に結合した第2の検出剤の存在を検出する、方法が提供される。
【0096】
一態様では、本明細書において、試料中のタンパク質を検出する方法であって、試料から細胞を得、次いで、細胞を固定剤で処理し、次いで固定された細胞をパラフィン包埋し、続いて細胞を脱パラフィンし懸濁して、単一細胞懸濁液を得、次いで懸濁された細胞を第1の検出剤と接触させ、次いで第1の検出剤に結合した細胞を第2の検出剤と接触させ、試料の細胞に結合した第2の検出剤の存在を検出する、方法が提供される。
【0097】
いくつかの実施形態では、固定剤は、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、又は中性緩衝ホルマリンを含む群から選択される。いくつかの実施形態では、固定剤は、ホルムアルデヒドである。いくつかの実施形態では、固定剤は、パラホルムアルデヒドである。いくつかの実施形態では、固定剤は、グルタルアルデヒドである。いくつかの実施形態では、固定剤は、中性緩衝ホルマリンである。
【0098】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、試料を固定剤の混合物である固定剤で処理することを含む。いくつかの実施形態では、固定剤は、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、パラホルムアルデヒド、中性緩衝ホルマリン、アクロレイン、四酸化オスミウム、過マンガン酸塩固定剤、二クロム酸塩固定剤、及びクロム酸のリストから選択される2つ又は3つ以上の固定剤の混合溶液である。一実施形態では、固定剤はブアン固定剤であり、これはピクリン酸、ホルムアルデヒド、及び酢酸の溶液である。一実施形態では、固定剤は、ホルムアルデヒドとグルタルアルデヒドとの混合物である。一実施形態では、固定剤は、FAAであり、これは、エタノール、酢酸、及びホルムアルデヒドの溶液である。一実施形態では、固定剤は過ヨウ素酸-リジン-パラホルムアルデヒド(periodate-lysine-paraformaldehyde、PLP)であり、これは、パラホルムアルデヒド、L-リジン、及びINaO4の溶液である。一実施形態では、固定剤は、リン酸緩衝ホルマリン(phosphate buffered formalin、PBF)である。一実施形態では、固定剤は、formal-カルシウムであり、これは、ホルムアルデヒド及び塩化カルシウムの溶液である。一実施形態では、固定剤は、formal生理食塩水であり、これは、ホルムアルデヒド及び塩化ナトリウムの溶液である。一実施形態では、固定剤は、亜鉛ホルマリンであり、これは、ホルムアルデヒド及び硫酸亜鉛の溶液である。一実施形態では、固定剤は、ヘリー固定剤であり、これは、ホルムアルデヒド、二クロム酸カリウム、硫酸ナトリウム、及び塩化第二水銀の溶液である。一実施形態では、固定剤は、Hollande固定剤であり、これは、ホルムアルデヒド、酢酸銅、ピクリン酸、及び酢酸の溶液である。一実施形態では、固定剤は、ゲンドル溶液であり、これは、ホルムアルデヒド、エタノール、ピクリン酸、及び氷酢酸の溶液である。一実施形態では、固定剤は、アルコール性ホルマリンであり、これは、ホルムアルデヒド、エタノール、及び酢酸カルシウムの溶液である。一実施形態では、固定剤は、formol酢酸アルコールであり、これは、ホルムアルデヒド、氷酢酸、及びエタノールの溶液である。一実施形態では、固定剤は、固定剤の混合物であり、混合物の少なくとも1つの固定剤は、ホルムアルデヒド、中性緩衝ホルマリン、又はグルタルアルデヒドである。一実施形態では、固定剤は、同時にではなく、別個に、又は連続して使用される固定剤であり、少なくとも1つの固定剤は、ホルムアルデヒド、中性緩衝ホルマリン、又はグルタルアルデヒドである。
【0099】
いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約30分間~48時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約60分間~36時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約2時間~24時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約5時間~20時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約10時間~15時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約30分間~60分間、1時間~2時間、2時間~3時間、3時間~4時間、4時間~5時間、5時間~6時間、6時間~7時間、7時間~8時間、8時間~9時間、9時間~10時間、10時間~11時間、11時間~12時間、12時間~13時間、13時間~14時間、14時間~15時間、15時間~16時間、16時間~17時間、17時間~18時間、18時間~19時間、19時間~20時間、20時間~21時間、21時間~22時間、22時間~23時間、23時間~24時間、24時間~36時間、又は36時間~48時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約30分間~60分間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約1時間~2時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約2時間~3時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約3時間~4時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約4時間~5時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約5時間~6時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約6時間~7時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約7時間~8時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約8時間~9時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約9時間~10時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約10時間~11時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約11時間~12時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約12時間~13時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約13時間~14時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約14時間~15時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約15時間~16時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約16時間~17時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約17時間~18時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約18時間~19時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約19時間~20時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約20時間~21時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約21時間~22時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約22時間~23時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約23時間~24時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約24時間~36時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約36時間~48時間続く。
【0100】
いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約30分間、60分間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、25時間、26時間、27時間、28時間、29時間、30時間、36時間、又は48時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約30分間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約60分間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約2時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約3時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約4時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約5時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約6時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約7時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約8時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約9時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約10時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約11時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約12時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約13時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約14時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約15時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約16時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約17時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約18時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約19時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約20時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約21時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約22時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約23時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約24時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約25時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約26時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約27時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約28時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約29時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約30時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約36時間続く。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、約48時間続く。
【0101】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、0℃~100℃の温度で試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、1℃~90℃の温度で試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、2℃~80℃の温度で試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、3℃~70℃の温度で試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、4℃~60℃の温度で試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、0℃~10℃の温度で試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、10℃~20℃の温度で試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、20℃~30℃の温度で試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、30℃~40℃の温度で試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、40℃~50℃の温度で試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、50℃~60℃の温度で試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、60℃~70℃の温度で試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、70℃~80℃の温度で試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、80℃~90℃の温度で試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、90℃~100℃の温度で試料を固定剤で処理することを含む。
【0102】
いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、4℃、室温、40℃、又は60℃で行われる。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、4℃で行われる。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、室温で行われる。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、40℃で行われる。いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、60℃で行われる。
【0103】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、試料を1%~20%中性緩衝ホルマリンで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、試料を1%中性緩衝ホルマリンで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、試料を5%中性緩衝ホルマリンで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、試料を8%中性緩衝ホルマリンで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、試料を10%中性緩衝ホルマリンで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、試料を12%中性緩衝ホルマリンで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、試料を15%中性緩衝ホルマリンで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、試料を20%中性緩衝ホルマリンで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、試料を1%~5%中性緩衝ホルマリンで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、試料を5%~10%中性緩衝ホルマリンで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、試料を10%~15%中性緩衝ホルマリンで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、試料を15%~20%中性緩衝ホルマリンで処理することを含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、0℃~100℃の温度で、試料を1%~20%中性緩衝ホルマリンで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、1℃~90℃の温度で、試料を1%~20%中性緩衝ホルマリンで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、2℃~80℃の温度で、試料を1%~20%中性緩衝ホルマリンで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、3℃~70℃の温度で、試料を1%~20%中性緩衝ホルマリンで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、4℃~60℃の温度で、試料を1%~20%中性緩衝ホルマリンで処理することを含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、0℃~20℃の温度で、試料を10%中性緩衝ホルマリンで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、20℃~40℃の温度で、試料を10%中性緩衝ホルマリンで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、40℃~60℃の温度で、試料を10%中性緩衝ホルマリンで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、60℃~80℃の温度で、試料を10%中性緩衝ホルマリンで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、80℃~100℃の温度で、試料を10%中性緩衝ホルマリンで処理することを含む。
【0106】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、0℃~100℃の温度で、試料を10%中性緩衝ホルマリンで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、1℃~90℃の温度で、試料を10%中性緩衝ホルマリンで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、2℃~80℃の温度で、試料を10%中性緩衝ホルマリンで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、3℃~70℃の温度で、試料を10%中性緩衝ホルマリンで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、4℃~60℃の温度で、試料を10%中性緩衝ホルマリンで処理することを含む。
【0107】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約1℃の温度で、試料を10%中性緩衝ホルマリン(neutral buffered formalin、「NBF」)で処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約2℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約3℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約4℃の温度で、試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約5℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約6℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約7℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約8℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約9℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約10℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約11℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約12℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約13℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約14℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約15℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約16℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約17℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約18℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約19℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約20℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約21℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約22℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約23℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約24℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約25℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約26℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約27℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約28℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約29℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約30℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約35℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約40℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約45℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約50℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約55℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約60℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約65℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約70℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約75℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約80℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約85℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約90℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約95℃の温度で試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、約100℃の温度で試料を10%NBFで10%NBFで処理することを含む。
【0108】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、0.1時間~48時間、生物学的試料を1%~20%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、0.1時間~36時間、生物学的試料を1%~20%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、0.1時間~24時間、生物学的試料を1%~20%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、0.2時間~22時間、生物学的試料を1%~20%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、0.25時間~20時間、生物学的試料を1%~20%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、0.25時間~18時間、生物学的試料を1%~20%NBFで処理することを含む。
【0109】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、0.1時間~48時間、生物学的試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、0.1時間~36時間、生物学的試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、0.1時間~24時間、生物学的試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、0.2時間~22時間、生物学的試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、0.25時間~20時間、生物学的試料を10%NBFで処理することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、0.25時間~18時間、生物学的試料を10%NBFで処理することを含む。
【0110】
いくつかの実施形態では、細胞を固定剤で処理するステップは、室温で24時間行われる。いくつかの実施形態では、細胞を10%NBFで処理するステップは、室温で24時間行われる。
【0111】
いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、4℃の温度で10時間超にわたって、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、4℃の温度で5時間超にわたって、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、4℃の温度で1時間超にわたって、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、4℃の温度で約5時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、4℃の温度で約6時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、4℃の温度で約7時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、4℃の温度で約8時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、4℃の温度で約9時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、4℃の温度で約10時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、4℃の温度で約11時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、4℃の温度で約12時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。
【0112】
いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、室温で6時間未満にわたって、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、室温で3時間未満にわたって、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、室温で1時間未満にわたって、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、室温で0.5時間未満にわたって、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、室温で約0.1時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、室温で約0.15時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、室温で約0.2時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、室温で約0.25時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、室温で約0.3時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、室温で約0.35時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、室温で約0.4時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、室温で約0.45時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、室温で約0.5時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、室温で約0.55時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、室温で約0.6時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、室温で約0.65時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、室温で約0.7時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、室温で約0.75時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、室温で約0.8時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、室温で約0.85時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、室温で約0.9時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、室温で約1時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、室温で約1.5時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、室温で約2時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、室温で約2.5時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、室温で約3時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、室温で約3.5時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、室温で約4時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。
【0113】
いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、40℃の温度で6時間未満にわたって、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、40℃の温度で3時間未満にわたって、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、40℃の温度で1時間未満にわたって、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、40℃の温度で0.5時間未満にわたって、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、40℃の温度で約0.1時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、40℃の温度で約0.25時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、40℃の温度で約0.5時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、40℃の温度で約0.75時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、40℃の温度で約1時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。
【0114】
いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、60℃の温度で6時間未満にわたって、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、60℃の温度で3時間未満にわたって、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、60℃の温度で1時間未満にわたって、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、60℃の温度で0.5時間未満にわたって、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、60℃の温度で約0.1時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、60℃の温度で約0.25時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、60℃の温度で約0.5時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、60℃の温度で約0.75時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、60℃の温度で約1時間、生物学的試料を固定剤で処理することを含む。
【0115】
本明細書で提供される方法の一態様では、固定された細胞のパラフィン包埋は、細胞をエタノールと接触させ、次いで細胞をキシレンと接触させ、細胞をパラフィンとともにインキュベートすることを含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、細胞をエタノールと接触させるステップは、細胞を1%~100%エタノールと接触させることを含む。いくつかの実施形態では、細胞をエタノールと接触させるステップは、細胞を5%~95%エタノールと接触させることを含む。いくつかの実施形態では、細胞をエタノールと接触させるステップは、細胞を10%~90%エタノールと接触させることを含む。いくつかの実施形態では、細胞をエタノールと接触させるステップは、細胞を15%~85%エタノールと接触させることを含む。いくつかの実施形態では、細胞をエタノールと接触させるステップは、細胞を20%~80%エタノールと接触させることを含む。いくつかの実施形態では、細胞をエタノールと接触させるステップは、細胞を25%~75%エタノールと接触させることを含む。いくつかの実施形態では、細胞をエタノールと接触させるステップは、細胞を30%~70%エタノールと接触させることを含む。いくつかの実施形態では、細胞をエタノールと接触させるステップは、細胞を35%~65%エタノールと接触させることを含む。いくつかの実施形態では、細胞をエタノールと接触させるステップは、細胞を40%~60%エタノールと接触させることを含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、細胞をエタノールと接触させるステップは、細胞をエタノールと0.1時間~2時間接触させることを含む。いくつかの実施形態では、細胞をエタノールと接触させるステップは、細胞をエタノールと0.5時間~1.5時間接触させることを含む。いくつかの実施形態では、細胞をエタノールと接触させるステップは、細胞をエタノールと0.5時間~1時間接触させることを含む。いくつかの実施形態では、細胞をエタノールと接触させるステップは、細胞をエタノールと0.1時間~0.5時間接触させることを含む。いくつかの実施形態では、細胞をエタノールと接触させるステップは、細胞をエタノールと0.5時間~1時間接触させることを含む。いくつかの実施形態では、細胞をエタノールと接触させるステップは、細胞をエタノールと1時間~1.5時間接触させることを含む。いくつかの実施形態では、細胞をエタノールと接触させるステップは、細胞をエタノールと1.5時間~2時間接触させることを含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、細胞をエタノールと接触させるステップは、細胞をエタノールと0.1時間接触させることを含む。いくつかの実施形態では、細胞をエタノールと接触させるステップは、細胞をエタノールと0.2時間接触させることを含む。いくつかの実施形態では、細胞をエタノールと接触させるステップは、細胞をエタノールと0.3時間接触させることを含む。いくつかの実施形態では、細胞をエタノールと接触させるステップは、細胞をエタノールと0.4時間接触させることを含む。いくつかの実施形態では、細胞をエタノールと接触させるステップは、細胞をエタノールと0.5時間接触させることを含む。いくつかの実施形態では、細胞をエタノールと接触させるステップは、細胞をエタノールと0.6時間接触させることを含む。いくつかの実施形態では、細胞をエタノールと接触させるステップは、細胞をエタノールと0.7時間接触させることを含む。いくつかの実施形態では、細胞をエタノールと接触させるステップは、細胞をエタノールと0.8時間接触させることを含む。いくつかの実施形態では、細胞をエタノールと接触させるステップは、細胞をエタノールと0.9時間接触させることを含む。いくつかの実施形態では、細胞をエタノールと接触させるステップは、細胞をエタノールと1時間接触させることを含む。いくつかの実施形態では、細胞をエタノールと接触させるステップは、細胞をエタノールと1.5時間接触させることを含む。いくつかの実施形態では、細胞をエタノールと接触させるステップは、細胞をエタノールと2時間接触させることを含む。
【0119】
いくつかの実施形態では、細胞をエタノールと接触させるステップは、細胞を65%~75%エタノールと接触させ、次いで細胞を水中75%~85%エタノールと接触させ、次いで細胞を水中90%~100%エタノールと30分間接触させることを含む。いくつかの実施形態では、細胞をエタノールと接触させるステップは、複数の時間間隔で複数の濃度のエタノールを含む。
【0120】
いくつかの実施形態では、細胞をエタノールと接触させるステップは、細胞を水中70%エタノールと30分間接触させ、次いで細胞を水中80%エタノールと30分間接触させ、次いで細胞を水中95%エタノールと30分間接触させ、最後に細胞を100%エタノールと30分間接触させることを含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、キシレンの2回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、キシレンの3回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、キシレンの4回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、キシレンの5回の交換を含む。
【0122】
いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、各々5分間~40分間のキシレンの2回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、各々5分間のキシレンの2回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、各々10分間のキシレンの2回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、各々15分間のキシレンの2回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、各々20分間のキシレンの2回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、各々25分間のキシレンの2回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、各々30分間のキシレンの2回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、各々35分間のキシレンの2回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、各々40分間のキシレンの2回の交換を含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、各々5分間~40分間のキシレンの3回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、各々5分間のキシレンの3回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、各々10分間のキシレンの3回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、各々15分間のキシレンの3回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、各々20分間のキシレンの3回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、各々25分間のキシレンの3回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、各々30分間のキシレンの3回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、各々35分間のキシレンの3回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、各々40分間のキシレンの3回の交換を含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、各々5分間~40分間のキシレンの4回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、各々5分間のキシレンの4回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、各々10分間のキシレンの4回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、各々15分間のキシレンの4回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、各々20分間のキシレンの4回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、各々25分間のキシレンの4回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、各々30分間のキシレンの4回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、各々35分間のキシレンの4回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、各々40分間のキシレンの4回の交換を含む。
【0125】
いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、各々5分間~40分間のキシレンの5回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、各々5分間のキシレンの5回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、各々10分間のキシレンの5回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、各々15分間のキシレンの5回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、各々20分間のキシレンの5回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、各々25分間のキシレンの5回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、各々30分間のキシレンの5回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、各々35分間のキシレンの5回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させるステップは、各々40分間のキシレンの5回の交換を含む。
【0126】
いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、パラフィンの2回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、パラフィンの3回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、パラフィンの4回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、パラフィンの5回の交換を含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々5分間~40分間のパラフィンの2回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々5分間のパラフィンの2回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々10分間のパラフィンの2回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々15分間のパラフィンの2回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々20分間のパラフィンの2回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々25分間のパラフィンの2回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々30分間のパラフィンの2回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々35分間のパラフィンの2回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々40分間のパラフィンの2回の交換を含む。
【0128】
いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々5分間~40分間のパラフィンの3回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々5分間のパラフィンの3回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々10分間のパラフィンの3回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々15分間のパラフィンの3回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々20分間のパラフィンの3回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々25分間のパラフィンの3回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々30分間のパラフィンの3回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々35分間のパラフィンの3回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々40分間のパラフィンの3回の交換を含む。
【0129】
いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々5分間~40分間のパラフィンの4回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々5分間~10分間のパラフィンの4回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々10分間~15分間のパラフィンの4回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々15分間~20分間のパラフィンの4回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々20分間~25分間のパラフィンの4回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々25分間~30分間のパラフィンの4回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々30分間~35分間のパラフィンの4回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々35分間~40分間のパラフィンの4回の交換を含む。
【0130】
いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々5分間のパラフィンの4回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々10分間のパラフィンの4回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々15分間のパラフィンの4回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々20分間のパラフィンの4回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々25分間のパラフィンの4回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々30分間のパラフィンの4回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々35分間のパラフィンの4回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々40分間のパラフィンの4回の交換を含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々5分間~40分間のパラフィンの5回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々5分間のパラフィンの5回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々10分間のパラフィンの5回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々15分間のパラフィンの5回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々20分間のパラフィンの5回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々25分間のパラフィンの5回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々30分間のパラフィンの5回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々35分間のパラフィンの5回の交換を含む。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、各々40分間のパラフィンの5回の交換を含む。
【0132】
いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、5℃~100℃で行われる。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、10℃~90℃で行われる。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、20℃~80℃で行われる。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、30℃~70℃で行われる。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、40℃~60℃で行われる。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、0℃~10℃で行われる。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、10℃~20℃で行われる。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、20℃~30℃で行われる。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、30℃~40℃で行われる。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、40℃~50℃で行われる。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、50℃~60℃で行われる。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、60℃~70℃で行われる。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、70℃~80℃で行われる。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、80℃~90℃で行われる。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、90℃~100℃で行われる。
【0133】
いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、5℃で行われる。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、10℃で行われる。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、15℃で行われる。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、20℃で行われる。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、25℃で行われる。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、30℃で行われる。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、35℃で行われる。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、40℃で行われる。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、45℃で行われる。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、50℃で行われる。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、55℃で行われる。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、60℃で行われる。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、65℃で行われる。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、70℃で行われる。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、75℃で行われる。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、80℃で行われる。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、85℃で行われる。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、90℃で行われる。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、95℃で行われる。いくつかの実施形態では、細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップは、100℃で行われる。
【0134】
いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと接触させることによって細胞を脱パラフィンする。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと約5分間~120分間接触させる。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと約5分間~10分間、10分間~15分間、15分間~20分間、20分間~30分間、30分間~60分間、60分間~90分間、又は90分間~120分間接触させる。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと約5分間接触させる。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと約10分間接触させる。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと約15分間接触させる。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと約20分間接触させる。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと約25分間接触させる。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと約30分間接触させる。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと約35分間接触させる。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと約40分間接触させる。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと約45分間接触させる。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと約50分間接触させる。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと約55分間接触させる。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと約60分間接触させる。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと約90分間接触させる。いくつかの実施形態では、細胞をキシレンと約120分間接触させる。
【0135】
いくつかの実施形態では、上述のように、細胞を、連続エタノール勾配と更に接触させる。
【0136】
本明細書で提供される方法の一態様では、細胞は、抗原賦活化溶液に再懸濁される。
【0137】
いくつかの実施形態では、細胞は、60℃~100℃で更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、60℃~70℃で更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、70℃~80℃で更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、80℃~90℃で更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、90℃~100℃で更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、60℃で更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、65℃で更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、70℃で更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、75℃で更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、80℃で更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、85℃で更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、90℃で更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、95℃で更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、100℃で更に加熱される。
【0138】
いくつかの実施形態では、細胞は、60℃で約10分間~60分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、60℃で約10分間~20分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、60℃で約20分間~30分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、60℃で約30分間~40分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、60℃で約40分間~50分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、60℃で約50分間~60分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、60℃で約10分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、60℃で約20分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、60℃で約30分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、60℃で約40分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、60℃で約50分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、60℃で約60分間更に加熱される。
【0139】
いくつかの実施形態では、細胞は、65℃で約10分間~60分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、65℃で約10分間~20分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、65℃で約20分間~30分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、65℃で約30分間~40分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、65℃で約40分間~50分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、65℃で約50分間~60分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、65℃で約10分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、65℃で約20分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、65℃で約30分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、65℃で約40分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、65℃で約50分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、65℃で約60分間更に加熱される。
【0140】
いくつかの実施形態では、細胞は、70℃で約10分間~60分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、70℃で約10分間~20分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、70℃で約20分間~30分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、70℃で約30分間~40分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、70℃で約40分間~50分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、70℃で約50分間~60分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、70℃で約10分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、70℃で約20分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、70℃で約30分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、70℃で約40分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、70℃で約50分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、70℃で約60分間更に加熱される。
【0141】
いくつかの実施形態では、細胞は、80℃で約10分間~60分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、80℃で約10分間~20分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、80℃で約20分間~30分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、80℃で約30分間~40分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、80℃で約40分間~50分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、80℃で約50分間~60分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、80℃で約10分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、80℃で約20分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、80℃で約30分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、80℃で約40分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、80℃で約50分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、80℃で約60分間更に加熱される。
【0142】
いくつかの実施形態では、細胞は、85℃で約10分間~60分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、85℃で約10分間~20分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、85℃で約20分間~30分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、85℃で約30分間~40分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、85℃で約40分間~50分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、85℃で約50分間~60分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、85℃で約10分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、85℃で約20分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、85℃で約30分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、85℃で約40分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、85℃で約50分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、85℃で約60分間更に加熱される。
【0143】
いくつかの実施形態では、細胞は、90℃で約10分間~60分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、90℃で約10分間~20分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、90℃で約20分間~30分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、90℃で約30分間~40分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、90℃で約40分間~50分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、90℃で約50分間~60分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、90℃で約10分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、90℃で約20分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、90℃で約30分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、90℃で約40分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、90℃で約50分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、90℃で約60分間更に加熱される。
【0144】
いくつかの実施形態では、細胞は、95℃で約10分間~60分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、95℃で約10分間~20分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、95℃で約20分間~30分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、95℃で約30分間~40分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、95℃で約40分間~50分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、95℃で約50分間~60分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、95℃で約10分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、95℃で約20分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、95℃で約30分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、95℃で約40分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、95℃で約50分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、95℃で約60分間更に加熱される。
【0145】
いくつかの実施形態では、細胞は、100℃で約10分間~60分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、100℃で約10分間~20分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、100℃で約20分間~30分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、100℃で約30分間~40分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、100℃で約40分間~50分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、100℃で約50分間~60分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、100℃で約10分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、100℃で約20分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、100℃で約30分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、100℃で約40分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、100℃で約50分間更に加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、100℃で約60分間更に加熱される。
【0146】
いくつかの実施形態では、細胞は、マイクロ波放射によって加熱される。いくつかの実施形態では、細胞は、水浴中で加熱される。
【0147】
本明細書で提供される方法の一態様では、加熱は、抗原の賦活化をもたらす。
【0148】
いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の検出剤は、抗体又はその抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の検出剤は、RNAベースのバインダー分子である。酵素活性又は非酵素標識がそれぞれ検出され得る限り、いくつかの酵素又は非酵素標識のいずれかが検出剤として利用され得る。それにより、酵素は検出可能なシグナルを産生し、これを利用して標的分子を検出することができる。特に有用な検出可能なシグナルは、発色シグナル又は蛍光発生シグナルである。そのような酵素は当業者に周知であり、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼなどが挙げられるが、これらに限定されない(Hermanson,Bioconjugate Techniques,Academic Press,San Diego(1996)を参照されたい)。周知の発色基質又は蛍光発生基質を有する他の酵素としては、様々なペプチダーゼが挙げられ、発色ペプチド基質又は蛍光発生ペプチド基質は、タンパク質分解切断反応を検出するために利用され得る。α-及びβ-ガラクトシダーゼ、β-グルクロニダーゼ、6-ホスホ-β-D-ガラクトシド6-ホスホガラクトヒドラーゼ、β-グルコシダーゼ、α-グルコシダーゼ、アミラーゼ、ノイラミニダーゼ、エステラーゼ、リパーゼなどを含む発色基質及び蛍光発生基質の使用もまた、細菌診断において周知であり(Manafi et al.,Microbiol.Rev.55:335-348(1991))、既知の発色基質又は蛍光発生基質を有するそのような酵素は、本明細書で提供される方法における使用に容易に適合させることができる。
【0149】
検出可能なシグナルを産生するための様々な発色基質又は蛍光発生基質が当業者に周知であり、市販されている。検出可能なシグナルを産生するために利用することができる例示的な基質としては、西洋ワサビペルオキシダーゼには、3,3’-ジアミノベンジジン(3,3’-diaminobenzidine、DAB)、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(3,3’,5,5’-tetramethylbenzidine、TMB)、クロロナフトール(4-CN(chloronaphthol))(4-クロロ-1-ナフトール)、2,2’-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸)(2,2’-azino-bis(3-ethylbenzothiazoline-6-sulphonic acid、ABTS)、o-フェニレンジアミンジヒドロクロリド(o-phenylenediamine dihydrochloride、OPD)、及び3-アミノ-9-エチルカルバゾール(3-amino-9-ethylcarbazole、AEC);アルカリホスファターゼには、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-1-ホスフェート(5-bromo-4-chloro-3-indolyl-1-phosphate、BCIP)、ニトロブルーテトラゾリウム(nitroblue tetrazolium、NBT)、Fast Red(Fast Red TR/AS-MX)、及びp-ニトロフェニルホスフェート(p-nitrophenyl phosphate、PNPP);β-ガラクトシダーゼには、1-メチル-3-インドリル-β-D-ガラクトピラノシド及び2-メトキシ-4-(2-ニトロビニル)フェニルβ-D-ガラクトピラノシド;β-グルコシダーゼには、2-メトキシ-4-(2-ニトロビニル)フェニルβ-D-グルコピラノシドが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な蛍光発生基質としては、アルカリホスファターゼには、4-(トリフルオロメチル)ウンベリフェリルホスフェート;ホスファターゼには、4-メチルウンベリフェリルホスフェートビス(2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール)、4-メチルウンベリフェリルホスフェートビス(シクロヘキシルアンモニウム)及び4-メチルウンベリフェリルホスフェート;西洋ワサビペルオキシダーゼには、QuantaBlu(商標)及びQuintolet;β-ガラクトシダーゼには、4-メチルウンベリフェリルβ-D-ガラクトピラノシド、フルオレセインジ(β-D-ガラクトピラノシド)、及びナフトフルオレセインジ-(β-D-ガラクトピラノシド);β-グルコシダーゼには、3-アセチルウンベリフェリルβ-D-グルコピラノシド及び4-メチルウンベリフェリル-β-D-グルコピラノシド;並びにα-ガラクトシダーゼには、4-メチルウンベリフェリル-α-D-ガラクトピラノシドが挙げられるが、これらに限定されない。検出可能なシグナルを産生するための例示的な酵素及び基質はまた、例えば、米国特許出願公開第2012/0100540号に記載されている。様々な検出可能な酵素基質(発色基質又は蛍光発生基質を含む)が周知であり、市販されている(Pierce,Rockford IL;Santa Cruz Biotechnology,Dallas TX、Invitrogen,Carlsbad CA、42 Life Science;Biocare)。概ね、基質は、標的核酸の部位に沈着する沈殿物を形成する生成物に変換される。他の例示的な基質としては、HRP-Green(42 Life Science)、Betazoid DAB、Cardassian DAB、Romulin AEC、Bajoran Purple、Vina Green、Deep Space Black(商標)、Warp Red(商標)、Vulcan Fast Red(Biocare(Concord CA;biocare.net/products/detection/chromogens)から)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0150】
検出可能な標識として好適な例示的な希土類金属及び金属同位体としては、ランタニド(III)同位体、例えば、141Pr、142Nd、143Nd、144Nd、145Nd、146Nd、147Sm、148Nd、149Sm、150Nd、151Eu、152Sm、153Eu、154Sm、155Gd、156Gd、158Gd、159Tb、160Gd、161Dy、162Dy、163Dy、164Dy、165Ho、166Er、167Er、168Er、169Tm、170Er、171Yb、172Yb、173Yb、174Yb、175Lu、及び176Ybが挙げられるが、これらに限定されない。金属同位体は、例えば、飛行時間型質量分析(time-of-flight mass spectrometry、TOF-MS)(例えば、Fluidigm Helios and Hyperion systems、fluidigm.com/systems;South San Francisco,CA)を使用して検出することができる。
【0151】
ビオチン-アビジン(又はビオチン-ストレプトアビジン)は、2つの分子が互いに非常に高い親和性を有し、1つのアビジン/ストレプトアビジン分子が4つのビオチン分子を結合することができるという事実に基づく周知のシグナル増幅システムである。抗体は、免疫組織化学におけるシグナル増幅のために広く使用されている。チラミドシグナル増幅(Tyramide signal amplification、TSA)は、ペルオキシダーゼ活性による多数のハプテン化チラミド分子の沈着に基づく。チラミンはフェノール化合物である。少量の過酸化水素の存在下で、固定化された西洋ワサビペルオキシダーゼ(horseradish peroxidase、HRP)は、標識された基質を短寿命の非常に反応性の中間体に変換する。次いで、活性化された基質分子は、ペルオキシダーゼ結合部位の部位又はその付近で、チロシンなどのタンパク質の電子豊富部分と非常に迅速に反応し、共有結合する。このようにして、チラミドにコンジュゲートした多くのハプテン分子をハイブリダイゼーション部位にインサイチュで導入することができる。続いて、沈着したチラミド-ハプテン分子を直接又は間接的に可視化することができる。そのような検出システムは、例えば、米国特許出願公開第2012/0100540号により詳細に記載されている。
【0152】
本明細書に記載される実施形態は、適切な発色基質又は蛍光発生基質を使用して検出可能なシグナルを生成するために酵素を利用することができる。あるいは、標識プローブは、標識プローブの核酸部分に直接結合された検出可能な標識を有し得ることが理解される。例示的な検出可能な標識は当業者に周知であり、発色標識又は蛍光標識を含むが、これらに限定されない(Hermanson,Bioconjugate Techniques,Academic Press,San Diego(1996)を参照されたい)。標識として有用な例示的なフルオロフォアとしては、ローダミン誘導体、例えば、テトラメチルローダミン、ローダミンB、ローダミン6G、スルホローダミンB、テキサスレッド(スルホローダミン101)、ローダミン110、及びそれらの誘導体、例えば、テトラメチルローダミン-5-(又は6)、リサミンローダミンBなど;7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール(7-nitrobenz-2-oxa-1,3-diazole、NBD);フルオロセイン及びその誘導体;ダンシル(5-ジメチルアミノナフタレン-1-スルホニル)などのナフタレン;7-アミノ-4-メチルクマリン-3-酢酸(7-amino-4-methylcoumarin-3-acetic acid、AMCA)、7-ジエチルアミノ-3-[(4’-(ヨードアセチル)アミノ)フェニル]-4-メチルクマリン(7-diethylamino-3-[(4’-(iodoacetyl)amino)phenyl]-4-methylcoumarin、DCIA)、Alexa fluor色素(Molecular Probes)などのクマリン誘導体;4,4-ジフルオロ-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセン(BODIPY(商標)及びその誘導体(Molecular Probes;Eugene,OR);8-メトキシピレン-1,3,6-トリスルホン酸などを含む、Cascade Blue(商標)及びその誘導体などのピレン及びスルホン化ピレン;ピリジルオキサゾール誘導体及びダポキシル誘導体(Molecular Probes);ルシファーイエロー(3,6-ジスルホネート-4-アミノ-ナフタルイミド)及びその誘導体;CyDye(商標)蛍光色素(Amersham/GE Healthcare Life Sciences;Piscataway NJ)、ATTO 390、DyLight 395XL、ATTO 425、ATTO 465、ATTO 488、ATTO 490LS、ATTO 495、ATTO 514、ATTO 520、ATTO 532、ATTO Rho6G、ATTO 542、ATTO 550、ATTO 565、ATTO Rho3B、ATTO Rho11、ATTO Rho12、ATTO Thio12、ATTO Rho101、ATTO 590、ATTO 594、ATTO Rho13、ATTO 610、ATTO 620、ATTO Rho14、ATTO 633、ATTO 643、ATTO 647、ATTO 647N、ATTO 655、ATTO Oxa12、ATTO 665、ATTO 680、ATTO 700、ATTO 725、ATTO 740、Cyan 500 NHS-Ester(ATTO-TECH,Siegen,Germany)などが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な発色団としては、フェノールフタレイン、マラカイトグリーン、ニトロフェニルなどのニトロ芳香族化合物、ジアゾ色素、ダブシル(4-ジメチルアミノアゾベンゼン-4’-スルホニル)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0153】
それぞれの標的核酸に関連する発色シグナル、蛍光シグナル、又は金属検出可能シグナルを可視化するために、顕微鏡法、サイトメトリー(例えば、マスサイトメトリー、飛行時間型サイトメトリー(cytometry by time of flight、CyTOF)、フローサイトメトリー)、又は分光法などの周知の方法を利用することができる。概ね、発色基質若しくは蛍光発生基質、又は発色標識若しくは蛍光発生標識、又は希土類金属同位体のいずれかは、異なる標識が同じアッセイにおいて使用される場合、特定のアッセイのために利用され、その結果、単一の型の機器が、同じ試料中の核酸標的の検出のために使用され得る。
【0154】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、標識された一次抗体を使用することを含み、したがって、他のIHCステップを行う必要性を排除する。特定の実施形態では、一次抗体は、発色標識で標識される。特定の実施形態では、一次抗体は、蛍光標識で標識される。特定の実施形態では、一次抗体は、ポリヌクレオチド(複数可)で標識される。特定の実施形態では、一次抗体は、NHS(スクシンイミジル)エステル法によって標識される。特定の実施形態では、一次抗体は、イソチオシアネート法によって標識される。特定の実施形態では、一次抗体は、カルボジイミド法によって標識される。特定の実施形態では、一次抗体は、2タグ法(触媒及びその基質)によって標識される。特定の実施形態では、一次抗体は、ペリオデート法によって標識される。一次抗体後の架橋は、Basescope(商標)シグナル増幅システムと組み合わせて(Baker et al.,Nature Communication 8:1998(2017)を参照されたい)、又は類似のプロトコルを使用する他の核酸検出方法と組み合わせて、蛍光ベースの検出とともに使用するために適合させることができる。
【0155】
本明細書で提供される方法の一態様では、試料は、体液又は組織由来の細胞を含む。いくつかの実施形態では、体液は、血液、血清、又は血漿である。一実施形態では、体液は、血液である。一実施形態では、体液は、血清である。一実施形態では、体液は、血漿である。一実施形態では、試料は、組織標本であるか、又は組織標本に由来する。一態様では、試料は、血液試料であるか、又は血液試料に由来する。一実施形態では、試料は、細胞学的試料であるか、又は細胞学的試料に由来する。一実施形態では、試料は、培養された細胞である。別の実施形態では、試料は、エキソソームを含有する試料である。上記又は下記の実施形態のいずれか1つのいくつかの実施形態では、試料は、不死化細胞株を含む。
【0156】
組織標本としては、例えば、組織生検試料が挙げられる。血液試料としては、例えば、診断目的で採取された血液試料が挙げられる。血液試料の場合、血液は、血液塗抹などで直接分析することができるか、又は血液は、本開示の方法によって分析される試料中の細胞が血液試料中にあるか、又は血液試料に由来するように、例えば、赤血球の溶解、PBMC又は白血球の単離、標的細胞の単離など、処理することができる。同様に、組織標本を処理することができ、例えば、組織標本を細かく切り刻み、物理的又は酵素的に処理して、組織を個々の細胞又は細胞クラスターに破壊することができる。更に、細胞学的試料は、所望する場合、細胞を単離するか又は細胞クラスターを破壊するために処理され得る。したがって、組織、血液、及び細胞学的試料は、当該技術分野において周知の方法を使用して得られ、処理され得る。本開示の方法は、病理を示すバイオマーカーである核酸標的の存在又は不在に基づいて、病的細胞の存在又は不在を同定するための診断用途において使用することができる。
【0157】
本明細書において提供される方法を使用して標的核酸及び標的タンパク質を検出するために、いくつかの好適な試料タイプのいずれかを使用することができることが当業者によって理解される。本明細書で提供される方法において使用するための試料は、概ね、生物学的試料又は組織試料である。そのような試料は、生物学的対象から得ることができ、これには、個体又は生物学的材料、例えば、生検、剖検、又は法医学的材料のいくつかの他の供給源から収集された生物学的組織又は流体起源の試料が含まれる。生物学的試料はまた、前がん性若しくはがん細胞若しくは組織を含有するか、又は含有する疑いのある生物学的対象の領域からの試料、例えば、細針吸引物、血液試料、又は細胞学的標本を含む組織生検を含む。そのような試料は、哺乳動物などの生物から単離された臓器、組織、組織画分、細胞、及び/又はエキソソームであり得るが、これらに限定されない。例示的な生物学的試料としては、細胞を含む細胞培養物、初代細胞培養物、細胞株、組織、臓器、オルガノイド、生物学的流体などが挙げられるが、これらに限定されない。更なる生物学的試料としては、皮膚試料、細針吸引物を含む組織生検、細胞学的試料、糞便、血液及び/又は血清試料を含む体液、唾液、精液などが挙げられるが、これらに限定されない。そのような試料は、医学的又は獣医学的診断目的のために使用され得る。
【0158】
本明細書で提供される方法による分析のための細胞学的試料の収集は、当該技術分野において周知である(例えば、Dey,「Cytology Sample Procurement,Fixation and Processing」in Basic and Advanced Laboratory Techniques in Histopathology and Cytology pp.121-132,Springer,Singapore(2018)、「Non-Gynecological Cytology Practice Guideline」American Society of Cytopathology,Adopted by the ASC executive board March 2,2004)を参照されたい)。
【0159】
例えば、組織生検及び細胞学的試料を含む子宮頸部組織の分析のために試料を処理するための方法は、当該技術分野において周知である(例えば、Cecil Textbook of Medicine,Bennett and Plum,eds.,20th ed.,WB Saunders,Philadelphia(1996)、Colposcopy and Treatment of Cervical Intraepithelial Neoplasia:A Beginner’s Manual,Sellors and Sankaranarayanan,eds.,International Agency for Research on Cancer,Lyon,France(2003)、Kalaf and Cooper,J.Clin.Pathol.60:449-455(2007)、Brown and Trimble,Best Pract.Res.Clin.Obstet.Gynaecol.26:233-242(2012)、Waxman et al.,Obstet.Gynecol.120:1465-1471(2012)、Cervical Cytology Practice Guidelines TOC,Approved by the American Society of Cytopathology(ASC)Executive Board,November 10,2000)を参照されたい)。
【0160】
上記又は下記の実施形態のいずれか1つのいくつかの実施形態では、細胞は、不死化細胞株で構成される。
【0161】
別の態様では、本明細書において、本明細書で提供される実施形態のいずれか1つの方法を行うためのキットが提供される。別の態様では、本明細書において、本明細書で提供される実施形態のいずれか1つの方法により調製された細胞の試料が提供される。
【0162】
本明細書で提供される方法は、有益な研究ツール並びに診断ツールである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、複合組織における空間的構成をマッピングするために使用される。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、細胞型及び新しい細胞型を同定するために使用される。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、細胞状態を同定するために使用される。他の特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、腫瘍微小環境における細胞型及び新たな細胞型を同定するために使用される。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、腫瘍微小環境における細胞状態を同定するために使用される。
【0163】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、自動化されたシステムにおいて使用され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、自動化されたプロセスにおいて使用され得る。いくつかの実施形態では、自動化されたシステムは、固定された細胞のパラフィン包埋のために使用され得る。いくつかの実施形態では、自動化されたプロセスは、固定された細胞のパラフィン包埋のために使用され得る。いくつかの実施形態では、自動化されたシステムは、細胞の脱パラフィンのために使用され得る。いくつかの実施形態では、自動化されたプロセスは、細胞の脱パラフィンのために使用され得る。本明細書で提供される様々な方法のいくつかの実施形態では、各ステップは、独立して、手動又は自動化のいずれかであり得る。本明細書で提供される様々な方法のいくつかの実施形態では、いくつかのステップは手動で行われ、他のステップは自動化される。
【0164】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、罹患細胞及び組織における変化した遺伝子発現を検出するために使用される。いくつかの特定実施形態では、本明細書で提供される方法は、特定の細胞型における変化した遺伝子発現を局在化し、腫瘍不均一性を理解するために使用される。いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、腫瘍-免疫細胞相互作用を研究するために使用される。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、がんの診断及び予後のためのバイオマーカーを検出するために使用される。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、がん治療のための治療標的を検出するために使用される。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、新規抗体の検証を容易にするために使用される。
【0165】
実施形態
本発明は、以下の非限定的な実施形態を提供する。
【0166】
1組の実施形態では、以下が提供される。
1.試料中の分子を検出する方法であって、
a.試料から細胞を得ることと、
b.細胞を固定剤で処理することと、
c.固定された細胞をパラフィン包埋することと、
d.細胞を脱パラフィンし懸濁して、単一細胞懸濁液を得ることと、
e.懸濁された細胞を、懸濁された細胞の少なくとも1つの分子に結合する第1の検出剤と接触させることと、
f.第1の検出剤に結合した細胞を、第2の検出剤と接触させることと、
g.試料の細胞に結合した第2の検出剤の存在を検出することと、を含み、
試料に結合した第2の検出剤のバックグラウンドを超える量の検出が、試料中の少なくとも1つの分子の存在を示す、方法。
2.分子が、核酸又はタンパク質である、実施形態1に記載の方法。
3.核酸が、RNAである、実施形態2に記載の方法。
4.核酸が、DNAである、実施形態2に記載の方法。
5.方法が、懸濁された細胞を第1の検出剤と接触させた後に未結合細胞を更に除去する、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
6.方法が、第1の検出剤に結合した細胞を第2の検出剤と接触させた後に、未結合の第2の検出剤を除去することを更に含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
7.固定剤が、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、又は中性緩衝ホルマリンを含む群から選択される、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法。
8.固定剤が、中性緩衝ホルマリンである、実施形態7に記載の方法。
9.中性緩衝ホルマリンが、10%中性緩衝ホルマリンである、実施形態8に記載の方法。
10.細胞を固定剤で処理するステップが、約30分間~60分間、1時間~2時間、2時間~3時間、3時間~4時間、4時間~5時間、5時間~6時間、6時間~7時間、7時間~8時間、8時間~9時間、9時間~10時間、10時間~11時間、11時間~12時間、12時間~13時間、13時間~14時間、14時間~15時間、15時間~16時間、16時間~17時間、17時間~18時間、18時間~19時間、19時間~20時間、20時間~21時間、21時間~22時間、22時間~23時間、23時間~24時間、24時間~36時間、又は36時間~48時間続く、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
11.細胞を固定剤で処理するステップが、4℃、室温、40℃、又は60℃で行われる、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法。
12.細胞を固定剤で処理するステップが、室温で24時間行われる、実施形態1~11のいずれか1つに記載の方法。
13.固定された細胞のパラフィン包埋が、
a.細胞をエタノールと接触させることと、
b.細胞をキシレンと接触させることと、
c.細胞をパラフィンとともにインキュベートすることと、を含む、実施形態1~12のいずれか1つに記載の方法。
14.細胞をエタノールと接触させるステップが、
a.細胞を水中70%エタノールと30分間接触させることと、
b.細胞を水中80%エタノールと30分間接触させることと、
c.細胞を水中95%エタノールと30分間接触させることと、
d.細胞を100%エタノールと30分間接触させることと、を含む、実施形態13に記載の方法。
15.細胞をキシレンと接触させるステップが、各々20分間のキシレンの3回の交換を含む、実施形態13又は14に記載の方法。
16.細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップが、各々20分間のパラフィンの4回の交換を含む、実施形態13~15のいずれか1つに記載の方法。
17.細胞をパラフィンとともにインキュベートするステップが、60℃で行われる、実施形態16に記載の方法。
18.細胞をキシレンと接触させることによって細胞を脱パラフィンする、実施形態1~17のいずれか1つに記載の方法。
19.細胞をキシレンと約約5分間~10分間、10分間~15分間、15分間~20分間、20分間~30分間、30分間~60分間、60分間~90分間、又は90分間~120分間接触させる、実施形態18に記載の方法。
20.細胞を、細胞を水中70%エタノールと約15~約30分間接触させることと、細胞を水中95%エタノールと約15~約30分間接触させることと、最後に、細胞を100%エタノールと約15~約30分間接触させることとを含む、連続エタノール勾配と更に接触させる、実施形態18又は19に記載の方法。
実施形態21.細胞が、抗原賦活化溶液に再懸濁される、実施形態1~20のいずれか1つに記載の方法。
22.細胞が、95℃で約30分間更に加熱される、実施形態21に記載の方法。
23.細胞が、マイクロ波放射によって加熱される、実施形態22に記載の方法。
24.第1及び/又は第2の検出剤が、抗体又はその抗原結合フラグメントである、実施形態1~23のいずれか1つに記載の方法。
25.第1及び/又は第2の検出剤が、RNAベースのバインダー分子である、実施形態1~23のいずれか1つに記載の方法。
26.試料が、体液又は組織由来の細胞を含む、実施形態1~25のいずれか1つに記載の方法。
27.体液が、血液、血清、又は血漿である、実施形態26に記載の方法。
28.試料が、患者由来のものである、実施形態1~27のいずれか1つに記載の方法。
29.患者が、哺乳動物である、実施形態28に記載の方法。
30.哺乳動物が、ヒトである、実施形態29に記載の方法。
31.試料が、不死化細胞株由来の細胞を含む、実施形態1~30のいずれか1つに記載の方法。
32.実施形態1~31のいずれか1つに記載の方法を行うための、キット。
33.実施形態1~31のいずれか1つに記載の方法により調製された、細胞の試料。
【0167】
本発明の特定の実施形態が本明細書に記載される。前述の説明を読むと、開示された実施形態の変形形態は、当業者に明らかになり得、必要に応じてそのような変形形態を採用し得ることが予想される。したがって、本発明が、本明細書に具体的に記載されるもの以外の方法で実施されること、並びに本発明が、適用法によって許可されるように、本明細書に添付の特許請求の範囲に列挙される主題の全ての修正物及び均等物を含むことが意図される。更に、全ての可能性のあるこれらの変形形態における上記要素の任意の組み合わせは、本明細書において別途記載のない限り、又は文脈が明らかに矛盾しない限り、本明細書に包含される。本発明の多くの実施形態が説明されてきた。しかしながら、様々な修正が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく実行され得ることが、理解されるであろう。したがって、実施例のセクションにおける説明は、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定するのではなく、例示することを意図するものである。
【実施例】
【0168】
以下は、試験に使用された様々な方法及び材料の説明であり、当業者に本開示の作製及び使用方法の完全な開示及び説明を提供するように記載されており、本発明者らがその開示とみなす範囲を限定することを意図しておらず、また、以下の実験が実施され、実施可能な実験の全てであることを表すことを意図していない。現在形で書かれた例示的な記述は、必ずしも実行されたものではなく、むしろ記述は、本開示の教示に関連するデータなどを生成するために実行できるものであることを理解されたい。使用される数値(例えば、量、パーセンテージなど)についての正確度を保証するための努力はなされているが、多少の実験誤差及び偏差が考慮に入れられるべきである。
【0169】
実施例1:組織IHCに適した抗体のためのハイスループットスクリーニング方法
試験した抗体を表1に示す。
【0170】
【0171】
NRK52E細胞(Rattus norvegicus、腎臓上皮細胞)を培養し、コロジオンバッグ中でペレット化した後、10%NBF中で、室温で24時間固定した。コロジオンバッグは、15mLのガラス円錐管の内面全体をl溶液(Macron Chemicalsカタログ番号4560-04)でコーティングすることによって生成した。処理後、細胞の小ペレットをパラフィンブロックに包埋し、残りの細胞をコロジオンバッグから取り出し、キシレンに移した。キシレン中で3×15分間洗浄した後(全ての目に見えるパラフィンが可溶化されるまで)、細胞を連続エタノール勾配により水和し、次いでペレット化した。細胞を抗原賦活化溶液に再懸濁し、マイクロ波放射により95℃で30分間加熱した。冷却後、それらをPBS中で洗浄し、計数し、96ウェルプレート(30,000/ウェル)に分配した。フィルターインサートを備えるプレートもこのステップに使用することができ、市販されている(Millipore,Burlington,MA)。例えば、フィルターインサートは、プレートの洗浄と遠心分離との間の細胞の損失を防ぐために0.45umの孔径を有し得る。
【0172】
ImmPRESS HRP抗ウサギIgGポリマー検出キット(Vector Labs、カタログ番号MP-7451)を使用した。攪拌しながら、細胞を抗体溶液とともに室温で60分間インキュベートした。洗浄し、適切な二次抗体で検出した後、ウェル当たり50uLのTMB溶液を添加し、室温で30分間インキュベートした。発色反応を停止し、各ウェルの光学密度を450nmで測定した。
図2は、450nmで測定した光学密度の形式での抗体結合を示す。各抗体結合を、ウェル当たり30,000個の細胞について2つ組みで試験した。「対照陰性」と名付けた条件は、抗体希釈剤のみとともにインキュベートした細胞に関するものであった。
【0173】
直接比較のために、細胞ペレットブロックの4um切片に対して同じ抗体溶液を用いてIHCアッセイを行った(DAKO自動染色装置でIHC実験を行った)。染色した各ペレットのHスコアを、細胞ペレットの全表面強度染色を計算する面積定量アルゴリズムに基づいて計算した(Halo software,IndicaLabs)。各ペレットのHスコアを以下のように計算した:Hスコア=(表面積%1+)×1+(表面積2+)×2+(%表面積%3+)×3。
図3A~
図3Bは、細胞ペレットブロックの4um切片に対して様々な抗体溶液を用いて行った免疫組織化学(「IHC」)アッセイの結果を示す。
図3Aは、各抗体のIHC細胞ペレット染色を示す。
図3Bは、染色した各ペレットのHスコアを示す。染色した各ペレットのHスコアを、細胞ペレットの全表面強度染色を計算する面積定量アルゴリズムに基づいて計算した。
【0174】
図4は、本明細書で提供されるELISA様方法とIHC染色との間の相関評価を示す。ピアソン相関係数r=0.929(GraphPad Prism)は、ハイスループットELISA様方法により得られたスクリーニング結果と、ホルマリン固定パラフィン包埋(「FFPE」)組織試料に対して行われた従来のIHCとの間の十分な比較可能性を示した。
【0175】
実施例2:ヒト細胞材料及び方法
ヒト細胞を得て、培養し、コロジオンバッグ中でペレット化した後、10%NBF中で、室温で24時間固定する。コロジオンバッグは、15mLのガラス円錐管の内面全体をコロジオン溶液(Macron Chemicalsカタログ番号4560-04)でコーティングすることによって生成する。処理後、細胞の小ペレットをパラフィンブロックに包埋し、残りの細胞をコロジオンバッグから取り出し、キシレンに移した。キシレン中で3×15分間洗浄した後(全ての目に見えるパラフィンが可溶化されるまで)、細胞を連続エタノール勾配により水和し、次いでペレット化する。細胞を抗原賦活化溶液に再懸濁し、マイクロ波放射により95℃で30分間加熱する。冷却後、それらをPBS中で洗浄し、計数し、96ウェルプレート(30,000/ウェル)に分配し、いくつかのプレートはインサートを有さず、いくつかの例では、フィルターインサートを備えるプレートが使用され、その場合、プレートは0.45umの孔径を有する。検出及び定量を実施例1のように行う。
【0176】
実施例3:非ヒト細胞材料及び方法
非ヒト細胞を得て、培養し、コロジオンバッグ中でペレット化した後、10%NBF中で、室温で24時間固定する。コロジオンバッグは、15mLのガラス円錐管の内面全体をコロジオン溶液(Macron Chemicalsカタログ番号4560-04)でコーティングすることによって生成する。処理後、細胞の小ペレットをパラフィンブロックに包埋し、残りの細胞をコロジオンバッグから取り出し、キシレンに移した。キシレン中で3×15分間洗浄した後(全ての目に見えるパラフィンが可溶化されるまで)、細胞を連続エタノール勾配により水和し、次いでペレット化する。細胞を抗原賦活化溶液に再懸濁し、マイクロ波において95℃で30分間加熱する。冷却後、それらをPBS中で洗浄し、計数し、96ウェルプレート(30,000/ウェル)に分配し、いくつかのプレートはインサートを有さず、いくつかの例では、フィルターインサートを備えるプレートが使用され、その場合、プレートは0.45umの孔径を有する。検出及び定量を実施例1のように行う。
【0177】
実施例4:ヒト組織細胞材料及び方法
細胞を含むヒト組織を得て、組織由来の細胞を培養し、コロジオンバッグ中でペレット化した後、10%NBF中で、室温で24時間固定する。コロジオンバッグは、15mLのガラス円錐管の内面全体をコロジオン溶液(Macron Chemicalsカタログ番号4560-04)でコーティングすることによって生成する。処理後、細胞の小ペレットをパラフィンブロックに包埋し、残りの細胞をコロジオンバッグから取り出し、キシレンに移した。キシレン中で3×15分間洗浄した後(全ての目に見えるパラフィンが可溶化されるまで)、細胞を連続エタノール勾配により水和し、次いでペレット化する。細胞を抗原賦活化溶液に再懸濁し、マイクロ波放射により95℃で30分間加熱する。冷却後、それらをPBS中で洗浄し、計数し、96ウェルプレート(30,000/ウェル)に分配し、いくつかのプレートはインサートを有さず、いくつかの例では、フィルターインサートを備えるプレートが使用され、その場合、プレートは0.45umの孔径を有する。検出及び定量を実施例1のように行う。
【0178】
実施例5:非ヒト組織細胞材料及び方法
細胞を含む非ヒト組織を得て、組織由来の細胞を培養し、コロジオンバッグ中でペレット化した後、10%NBF中で、室温で24時間固定する。コロジオンバッグは、15mLのガラス円錐管の内面全体をコロジオン溶液(Macron Chemicalsカタログ番号4560-04)でコーティングすることによって生成する。処理後、細胞の小ペレットをパラフィンブロックに包埋し、残りの細胞をコロジオンバッグから取り出し、キシレンに移した。キシレン中で3×15分間洗浄した後(全ての目に見えるパラフィンが可溶化されるまで)、細胞を連続エタノール勾配により水和し、次いでペレット化する。細胞を抗原賦活化溶液に再懸濁し、マイクロ波放射により95℃で30分間加熱する。冷却後、それらをPBS中で洗浄し、計数し、96ウェルプレート(30,000/ウェル)に分配し、いくつかのプレートはインサートを有さず、いくつかの例では、フィルターインサートを備えるプレートが使用され、その場合、プレートは0.45umの孔径を有する。検出及び定量を実施例1のように行う。
【0179】
実施例6:細胞中のポリヌクレオチドの検出
細胞を得て、培養し、コロジオンバッグ中でペレット化した後、10%NBF中で、室温で24時間固定する。コロジオンバッグは、15mLのガラス円錐管の内面全体をコロジオン溶液(Macron Chemicalsカタログ番号4560-04)でコーティングすることによって生成する。処理後、細胞の小ペレットをパラフィンブロックに包埋し、残りの細胞をコロジオンバッグから取り出し、キシレンに移した。キシレン中で3×15分間洗浄した後(全ての目に見えるパラフィンが可溶化されるまで)、細胞を連続エタノール勾配により水和し、次いでペレット化する。細胞を抗原賦活化溶液に再懸濁し、マイクロ波放射により95℃で30分間加熱する。冷却後、それらをPBS中で洗浄し、計数し、96ウェルプレート(30,000/ウェル)に分配し、いくつかのプレートはインサートを有さず、いくつかの例では、フィルターインサートを備えるプレートが使用され、その場合、プレートは0.45umの孔径を有する。検出及び定量を実施例1のように行い、ポリヌクレオチドを検出する。
【0180】
実施例7:細胞中の非ポリヌクレオチドの検出
細胞を得て、培養し、コロジオンバッグ中でペレット化した後、10%NBF中で、室温で24時間固定する。コロジオンバッグは、15mLのガラス円錐管の内面全体をコロジオン溶液(Macron Chemicalsカタログ番号4560-04)でコーティングすることによって生成する。処理後、細胞の小ペレットをパラフィンブロックに包埋し、残りの細胞をコロジオンバッグから取り出し、キシレンに移した。キシレン中で3×15分間洗浄した後(全ての目に見えるパラフィンが可溶化されるまで)、細胞を連続エタノール勾配により水和し、次いでペレット化する。細胞を抗原賦活化溶液に再懸濁し、マイクロ波放射により95℃で30分間加熱する。冷却後、それらをPBS中で洗浄し、計数し、96ウェルプレート(30,000/ウェル)に分配し、いくつかのプレートはインサートを有さず、いくつかの例では、フィルターインサートを備えるプレートが使用され、その場合、プレートは0.45umの孔径を有する。検出及び定量を実施例1のように行い、ポリヌクレオチドではない分子を検出する。
【0181】
実施例8:不死化細胞材料及び方法
不死化細胞を得て、培養し、コロジオンバッグ中でペレット化した後、10%NBF中で、室温で24時間固定する。コロジオンバッグは、15mLのガラス円錐管の内面全体をコロジオン溶液(Macron Chemicalsカタログ番号4560-04)でコーティングすることによって生成する。処理後、細胞の小ペレットをパラフィンブロックに包埋し、残りの細胞をコロジオンバッグから取り出し、キシレンに移した。キシレン中で3×15分間洗浄した後(全ての目に見えるパラフィンが可溶化されるまで)、細胞を連続エタノール勾配により水和し、次いでペレット化する。細胞を抗原賦活化溶液に再懸濁し、マイクロ波放射により95℃で30分間加熱する。冷却後、それらをPBS中で洗浄し、計数し、96ウェルプレート(30,000/ウェル)に分配し、いくつかのプレートはインサートを有さず、いくつかの例では、フィルターインサートを備えるプレートが使用され、その場合、プレートは0.45umの孔径を有する。検出及び定量を実施例1のように行う。
* * * * *
【0182】
当業者は、広い発明概念から逸脱することなく、上で説明される実施形態に変更を行うことができることを理解するであろう。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に制限されず、本明細書によって定義されるように本発明の趣旨及び範囲内の修正を包含することを意図するものと理解される。
【国際調査報告】