(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】経口のネコ科動物の飼料およびネコ科動物におけるノミの侵入を制御する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7048 20060101AFI20240709BHJP
A61P 33/14 20060101ALI20240709BHJP
A23K 20/121 20160101ALI20240709BHJP
A23K 50/42 20160101ALI20240709BHJP
A23K 50/48 20160101ALI20240709BHJP
【FI】
A61K31/7048
A61P33/14
A23K20/121
A23K50/42
A23K50/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579308
(86)(22)【出願日】2022-06-23
(85)【翻訳文提出日】2024-02-22
(86)【国際出願番号】 US2022034685
(87)【国際公開番号】W WO2022271924
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523346157
【氏名又は名称】イン ザ ボウル アニマル ヘルス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100106080
【氏名又は名称】山口 晶子
(72)【発明者】
【氏名】ロビン・エス・リドヌール
(72)【発明者】
【氏名】ケビン・イー・ウィラード
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼフ・アール・ウィンクル
【テーマコード(参考)】
2B005
2B150
4C086
【Fターム(参考)】
2B005AA02
2B005AA04
2B005AA06
2B150AA06
2B150AB10
2B150DB04
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA04
4C086EA12
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA12
4C086NA14
4C086ZB37
4C086ZC61
(57)【要約】
経口のネコ科動物の飼料、およびネコ科動物に有効量のスピノシンを含む毎日の飼料を有効時間経口投与し、それによりネコ科動物の血中のスピノシンの量を、ノミを制御するための治療有効レベルまで上昇させ、かつ維持することにより、ノミの制御を必要とするネコ科動物におけるノミを制御する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノミの侵入の制御を必要とするネコ科動物におけるノミの侵入を制御する方法であって、前記ネコ科動物に有効量のスピノシンを有効時間、1か月当たり少なくとも4回の頻度で経口投与する工程を含む、方法。
【請求項2】
前記ネコ科動物が飼いネコである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スピノシンがスピノサドである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記スピノシンが、乾燥キャットフードおよび湿潤キャットフードからなる群から選択される飼料中で供給される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記スピノシンが、飼料の約7.5mg/kgから2400mg/kgの間の量で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記スピノシンが、前記ネコ科動物に、前記ネコ科動物の体重に対して約0.18mg/kgから17mg/kgの間の量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記経口投与が、1週間当たり少なくとも3回、実質的に毎日および毎日からなる群から選択される供給頻度を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記有効時間が、少なくとも1週間および少なくとも2週間からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記投与が、前記スピノシンの最初の投与から1週間内および前記スピノシンの最初の投与から2日内からなる群から選択される期間内、前記ネコ科動物の血中に治療有効レベルのスピノシンを供給する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記投与が、少なくとも45日、少なくとも60日、少なくとも90日、少なくとも180日および少なくとも365日からなる群から選択される期間、前記ネコ科動物の血中に治療有効レベルのスピノシンを供給する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記投与が、少なくとも30日、少なくとも60日、少なくとも90日、少なくとも180日および少なくとも365日からなる群から選択される期間、前記ネコ科動物の血中に15ng/mLから383ng/mLの間のスピノシンの濃度を供給する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記スピノシンが、30日のうち少なくとも15日および少なくとも20日からなる群から選択される日数の間投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記スピノシンが、1つ以上の他の活性物質を含む飼料の成分である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも3日および少なくとも7日からなる群から選択される日数の間、スピノシンの前記投与を中止する工程を更に含み、前記ネコ科動物のスピノシンの血中濃度が治療有効レベルに維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
スピノシンの前記投与を中止し、それにより前記ネコ科動物のスピノシンの血中濃度を前記治療有効レベルに維持した後、スピノシンの前記投与を再開する工程を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記スピノシンがチューの成分である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記経口投与が、1週間当たり少なくとも3回、実質的に毎日および毎日からなる群から選択される供給頻度を含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の教示は、一般的に、スピノシン、スピノシンを含むネコ科動物の飼料、および飼料中でスピノシンを投与してネコ科動物におけるノミの侵入を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]ノミは、ネコ科動物のすべての外部寄生虫のうちで最も一般的であり、そのうち最も一般的なのは、ネコノミまたはCtenocephalides felisである。ノミの侵入は、通常、ほとんどのネコにとって非常に不快であり、命に関わる病因となりうる。ノミにかまれることでかゆみが生じ、結果として生じるネコによる引っ掻き傷は、感染しやすい皮膚の傷を引き起こしうる。更に、ノミ自体が病原体を運ぶことが多い。例えば、ネコノミは、サナダムシDipylidium caninumの幼生期を運ぶことができ、ネコは自分で毛繕いする間にノミを摂取することで感染しうる。
【0003】
[0003]更に、ノミは「ネコひっかき病」のヒトへの伝染に関与する。これは細菌Bartonella hensellaeによる感染であり、ノミが血液を吸う際に広がる。ネコひっかき病はヒトにおいて不快な症状を引き起こし、その症状は特に、引っ掻き部位の腫れまたは水膨れ、リンパ節の腫れ、倦怠感、頭痛、発熱および身体の痛みを含みうる。ノミからヒトのリスクを制御する推奨される方法の1つは、ネコにおける侵入のリスクを制御することである。
【0004】
[0004]ネコ科動物におけるノミの侵入を制御するために現在利用可能な治療は、様々な度合いの成功を達成している。多くの治療は、屋内および屋外の表面、ならびにネコ科動物に適用される化学薬品を含む。用いられる化学薬品は、様々なカルバメート、ピレトリンおよびピレスロイド、イソオキサゾリン、特定の大環状ラクトン、昆虫成長調整剤(キチン合成阻害剤、幼若ホルモンアナログ、および幼若ホルモンを含む)、ニトロメチレン、ネオニコチノイド、ピリジンおよびピラゾールまたはフィプロール(fiprole)を含む。これらの化合物は、ネコ科動物およびその飼い主の両方に問題となる、毒性のある副作用を有することが多い。更に、これらの化学薬品の使用は、殺虫剤耐性および治療不足のために効果がないことがあるという証拠がある[M.K.Rust、The Biology and Ecology of Cat Fleas and Advancements in Their Pest Management:総説、Insects 2017、8 118]。
【0005】
[0005]局所治療は、ネコ科動物におけるノミの侵入を制御するよく知られた方法である。これらの治療薬をネコ科動物の毛および皮膚に送達する数多くの方法があるが、これらの方法の多くは、効果がないか、および/または分注動作の間もしくは後にネコ科動物もしくは使用者に安全性リスクがあるかである。より具体的には、塗布器の先端を取り付ける際には薬物送達装置の塗布器の先端の間の皮膚面での物理的接続が得られる必要があることから、接続が不十分となり、それによりいくらかの治療薬が装置から漏れ出て使用者と物理的に接触することになるリスクが本質的にある。例えば、協力的ではないネコ科動物の場合、一方の手でディスペンサーを操作し、他方の手でネコ科動物を所定の位置に保持するのは困難なことがあり、結果として、すべてではないがいくらかの物質が、ネコ科動物の皮膚に到達する代わりに床またはそれを塗布している人にこぼれてしまう。この漏出は、無駄になり汚れるものであるだけでなく、特に使用者が薬物と直接接触する状態になる場合、使用者を皮膚炎または他のそのような健康問題を患うという増大したリスクにさらす。
【0006】
[0006]経口治療もまた利用可能である。しかしながら、効果的であるためには、ネコ科動物の飼い主は例えば30~90日に1回治療を行う必要がある。治療間の時間が長いことは、飼い主が用量を投与するのを忘れる場合、コンプライアンスの問題を生む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
[0007]効果的な治療が利用可能であるにもかかわらず、Harris Pollによる最近の研究によれば、ペットの飼い主の33%が、日常的に彼らのペットをノミから全く保護していないことが分かった。別の研究によれば、ペットの飼い主は、ペットは年間を通してノミの予防治療を受けることが必要であると言われているにもかかわらず、平均して、ペットにつき1年当たり4ヵ月のみのノミの予防製品を購入していることが分かった。したがって、飼い主が使用することを覚えていることが容易な、ネコ科動物においてノミの侵入を制御するための比較的安全で効果的な薬物が引き続き求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0008]驚くべきことに、本発明者らにより、スピノシン、例えばスピノサドが、より少ない、より頻繁な/長く続く用量で経口投与された場合にネコ科動物においてノミの侵入に対して改善した制御を提供できることが見出された。投与は飼料と組み合わされることが以下で議論される。しかしながら、スピノシンがそれだけで、または飼料以外の投与形態、例えばチュー、錠剤、液体、ゲルもしくは他の経口投与に適切な形態で投与されてよいこともまた考えられる。有利なことに、より少ない、より頻繁な用量を用いることにより、ノミの侵入を制御するために同じ期間にわたって必要な活性物質の合計は少なくなる。例えば、ネコ科動物の血中において連続的なノミの制御のための治療有効濃度のスピノシンに到達してそれを維持するために、従来のアプローチによれば、30日(1ヵ月)の期間に単回投与のためにネコ科動物の体重のkg当たり51mgのスピノシンが必要とされると仮定する。より少ない、より頻繁な用量の本発明のアプローチによれば、わずかネコ科動物の体重のkg当たり0.21~1.4mgのスピノシン、または同じ30日の期間にわたって累積するとネコ科動物の体重のkg当たり6.375~42mgのスピノシンである。
【0009】
[0009]有利なことに、治療的に有効な1ヵ月に1回の用量のために必要なスピノシンの全量は、毎日の投与に転換することにより、10~87.5%低減することができる。しかしながら、実用的な観点からは、(1)均一な供給を生むこと、および(2)非常に少ない量のスピノシンの分析管理試験は達成が困難でありうるという、少なくとも2つの問題が生じる。飼料由来の分析マトリクスは、非常に複雑で分析が困難でありうる。分析は、いくらかの必要とされる用量および飼料濃度のためには100万分の1から10億分の1の範囲となる。したがって、当業者が、1ヵ月にわたる毎日の用量の合計が従来の1ヵ月に1回の用量と同じかまたはより高くさえ、例えば従来の1ヵ月に1回の用量の200%になるように、毎日の用量を上昇させることを選択することが可能となる。このことは、飼料の一部として用量を投与する場合に、均一性を確保するだけでなく、分析の正確性を高めて分析のばらつきを低減するのを助けるために行うことができる。
【0010】
[0010]本明細書で教示された方法および組成物は、コンプライアンスを高めるという更なる利点を有するものであり、それはより少ない用量のスピノシンを飼料に組み込むことができるためである。飼い主は、いずれにしても毎日の餌やりのレジメンに自然に従うことから、飼い主がスピノシンを投与することを忘れるかまたは怠る可能性は低い。したがって、本開示は、既に知られた治療法によって達成されたものよりも安全で効果的な方法でのノミの長期間の制御のための方法を提供する。すべての飼い主が覚えるべきことは、彼らが通常そうするように彼らのペットに餌を与えることである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0011]スピノシンは天然由来の発酵産物である。それらはSaccharopolyspora spinosaの培養により生成されたマクロライドである。S.spinosaの発酵は、スピノシンAおよびスピノシンD(A83543AおよびA8354Dとも呼ばれる)を含む多くの因子を生成する。スピノシンAおよびスピノシンDは、殺虫剤として最も活性な2つのスピノシンである。これらの2つのスピノシンから主になる製品が、一般名「スピノサド」として市販されている。主要なスピノシン因子であるスピノシンAは、優れたヒトおよびネコ科動物への安全性ならびに毒性プロファイルを有することが特に知られている。
【0012】
[0012]それぞれのスピノシンは、2つの異なる糖であるアミノ-糖フォロスアミン(forosamine)および中性糖2N,3N,4N-(トリ-O-メチル)ラムノースが結合された独特な四環系の一部である、大環状十二員環を有する。この独特な構造がスピノシンを他の大環状化合物から際立たせている。
【0013】
[0013]スピノシンAは、S.spinosaの発酵培養液から単離および同定された最初のスピノシンであった。発酵培養液のその後の研究により、S.spinosaがスピノシンA~J(A83543A~J)と呼ばれた多くのスピノシンを生成することが明らかになった。主成分はスピノシンAおよびスピノシンDである。K~Wの文字が付けられた更なるスピノシンは、S.spinosaの変異株から同定された。様々なスピノシンが、四環系の選択された部位のフォロスアミンのアミノ基、および2N,3N,4N-(トリ-O-メチル)ラムノース基の置換パターンの違いを特徴とする。
【0014】
[0014]Boeckらは、米国特許第5,362,634号(1994年11月8日発行)、第5,496,932号(1996年3月5日発行)、および第5,571,901号(1996年11月5日発行)において(彼らがA83543因子A、B、C、D、E、F、G、HおよびJと呼んだ)スピノシンA~HおよびJ、ならびにそれらの塩を記載している。Mynderseらは、米国特許第5,202,242号(1993年4月13日発行)において(彼らがA83543因子L、MおよびNと呼んだ)スピノシンL~N、それらのN-脱メチル誘導体、およびそれらの塩を記載し、Turnerらは、米国特許第5,591,606号(1997年1月7日発行)および第5,631,155号(1997年5月29日発行)において(彼らがA83543因子Q、R、SおよびTと呼んだ)スピノシンQ~T、それらのN-脱メチル誘導体、およびそれらの塩を記載している。例えば、アメリカ化学会シンポジウムシリーズ:害虫駆除用植物化学物質の第11章におけるCarl V.DeAmicis、James E.Dripps、Chris J.HattonおよびLaura I.Karr、「Physical and Biological Properties of Spinosyns:Novel Macrolide Pest-Control Agents from Fermentation」、第146~154頁(1997)により、スピノシンK、O、P、U、V、WおよびYが記載されている。
【0015】
[0015]スピノシンは反応して塩を形成することができ、この塩も本開示の方法および処方に有益である。塩は、塩調製の標準的な手順を用いて調製される。例えば、スピノシンAは、適切な酸で中和して酸付加塩を形成することができる。スピノシンの酸付加塩は特に有益である。代表的な好適な酸付加塩は、有機酸または無機酸のいずれか、例えば硫酸、塩酸、リン酸、酢酸、コハク酸、クエン酸、乳酸、マレイン酸、フマル酸、コール酸、パモン酸、ムチン酸、グルタミン酸、ショウノウ酸、グルタル酸、グリコール酸、フタル酸、酒石酸、ギ酸、ラウリン酸、ステアリン酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ソルビン酸、ピクリン酸、安息香酸、桂皮酸等との反応により形成された塩を含む。
【0016】
[0016]本明細書で用いられる場合、用語「スピノシン」は、個々のスピノシン因子(スピノシンA、B、C、D、E、F、G、H、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、WまたはY)、個々のスピノシン因子のN-脱メチル誘導体、化学修飾スピノシン、例えばスピネトラム、上記のいずれかの塩、上記のいずれかの代謝産物、それらの生理学的に許容可能な誘導体、またはそれらの組合せを言う。
【0017】
[0017]スピノシンはまた、本明細書に記載された投与量が用いられた場合にそれらがノミに対して非常に効果的で治療後に保護が残ることから、利点をもたらす。更に、スピノシンは、既存の化合物への殺虫交差耐性を有さない。したがって、それらは、現在用いられている製品に対して既存のレベルの耐性を有するネコ科動物におけるノミの数に対して特に有益である。したがって、スピノシンは、総合的病害虫管理(IPM)プログラムに用いて、耐性が十分に発現されていないかまたは未だ発現されていない一般的に用いられる製品の生命線を延長することができる。
【0018】
[0018]全身性の効能(例えば、ノミによるスピノシンを含む血液の摂取)は、ノミとの皮膚表面での接触が曝露のモードである局所適用された配合物と比べて異なるモードの曝露をもたらす。経口全身性治療ならびにノミをそれらが血液を摂取することにより殺すことの利点は、局所適用および接触で殺すことと比べて、
a)ヒトの塗布器および子どもおよびネコ科動物の生活環境にある物(例えば、フローリング、カーペット、家具)への曝露の低減、
b)ネコ科動物の水(湖、小川、入浴等)への曝露による損失または摩擦による損失の心配がないこと、
c)UV曝露およびUV劣化の心配がないこと、
d)皮膚における油による酸化の問題がないこと等、ならびに
e)(用量のうちいくらかは垂れる、擦れて取れるおよび/または治療直後に分注チューブに残ることが起こりうる局所適用と比べて)全用量が投与される確実さを含む。
【0019】
[0019]本開示の配合物、または飼料、および方法は、スピノシンと組み合わせて、治療効能を有する1つ以上の他の活性物質を更に含んでよい。そのような活性物質は、ノミに対して有効な物質を含む。活性物質は、例えば、イソオキサゾリン、特定の大環状ラクトン、昆虫成長調整剤(キチン合成阻害剤、幼若ホルモンアナログ、および幼若ホルモンを含む)、ニトロメチレン、ネオニコチノイド、ピリジンおよびピラゾールを含んでよい。
【0020】
[0020]本開示の方法は、スピノシンをネコ科動物に少ない頻繁な用量で投与することによって行われる。習慣的な投与を容易にするために、スピノシン投与は、飼料またはチューを用いて行うことができる。製造プロセスおよび飼料組成物が、スピノシンおよび該当する場合は他の活性物質の化学的安定性、効能、ならびに安全性に関連する悪影響を及ぼさない限り、多くの異なる飼料が考えられる。例えば、乾燥、半湿潤、缶詰レトルトの飼料、トリート、チュー、おやつまたは他の補足飼料または新鮮冷蔵飼料の幅広い分類における飼料が、本開示による使用に適合することができる。ネコ科動物は、飼料またはチュー製品を毎週、ほぼ毎週、または毎日消費することにより、管理された量のスピノシンを与えられる。
【0021】
[0021]より少ない用量のスピノシンを動物の飼料組成物に組み込み、それを有効速度で(最も好ましくは毎日)投与することにより、スピノシンの血中濃度が、毎日または実質的に毎日の投与により維持することのできる最適な定常状態に到達するまで、時間をかけて上昇する。それに対して、スピノシンが、より多い用量でより少ない頻度、例えば、「トリート」により30日の期間において1度投与される、多い用量の単回治療で経口投与される場合、血中におけるスピノシンのレベルは、投与時に急上昇し、次いで、次の用量が投与されるまで低下する。多い用量での少ない頻度の投与は、ネコ科動物がそれぞれの用量においてより多くのスピノシンを消費する必要があり、それによりスピノシンの血中レベルが、次の投与前に効果的な予防に必要なレベル以下に低下しないことを意味する。
【0022】
[0022]本明細書で議論されたすべての比、パーセンテージ、および部は、別に特定されなければ「重量による」ものである。
[0023]用語「ノミの侵入を制御する」は、ネコ科動物におけるノミによる侵入を防止、治療、最小化または除去することを言う。
【0023】
[0024]用語「ノミ」は、ノミ目のあらゆる構成員を言う。用語「ノミ」は、成長の卵期、幼生期、蛹期、および成虫期を含む。
[0025]用語「ネコ科動物」は、Felidae亜科のあらゆる構成員を言い、飼いネコ、ボブキャット、野生のネコ、オセロット、Lynx属の構成員、マヌルネコおよびクーガーのような種を含む。
【0024】
[0026]本開示の方法を行う際には、「飼料」は、毎日または実質的に毎日投与されうる、動物の飼料またはトリート、おやつ、または他の補足飼料である。異なる形態の飼料、例えばキブルとトリートを用いることにより、ペットの飼い主は、時々ネコ科動物の食事およびおやつを変えつつ、それでも毎日の用量のスピノシンを都合よく投与することができる。
【0025】
[0027]用語「チュー」は、ネコ科動物を引き付ける風味および芳香族性を有するが、典型的には栄養価のないトリートを言う。本開示の方法を行う際には、「飼料」および/または「チュー」は交換可能に用いられてよい。
【0026】
[0028]本開示のための用語「有効時間」は、本明細書では「有効期間」とも言い、少なくとも、ネコ科動物の血中におけるスピノシンのレベルを、ノミを制御するのに十分に高いレベル、即ち「治療有効」レベルにするのに必要な飼料投与期間を含む。いくつかの実施形態において、有効時間はわずか3日でありうる。別の場合、有効時間は7日または15日またはそれ以上でありうる。以下で議論するように、有効時間は飼料またはスピノシンがどれほど頻繁に投与されるかに応じて変化する。
【0027】
[0029]先に示唆したように、「有効時間」は飼料が投与される頻度に応じて変化する。本明細書で用いられる場合、用語「有効頻度」とは、ネコ科動物の血中においてスピノシンの治療有効濃度を生じる所定の時間にわたる、供給数を意味する。すべての場合、本明細書で用いられる場合の「有効頻度」としては、1ヵ月当たり複数のスピノシンを含む供給が考えられる。当業者は、スピノシンが幅広い頻度で投与されうることを理解する。例えば、スピノシンは、毎日、1日おき、3日おき、1週間当たり1回または一貫していない時間間隔までもの頻度で投与することができる。
【0028】
[0030]更に、上記で議論したように、有効頻度は、ネコ科動物の血中においてスピノシンの治療有効レベルを得るのに必要とされる期間に影響を与えうる。例として、ネコ科動物がスピノシン組成物を毎日供給される場合、ネコ科動物の血中においてスピノシンの治療有効レベルを得るのに必要とされる飼料投与期間、したがって「有効時間」は、ネコ科動物がスピノシン組成物を1週間当たり1回または2回のみ供給される場合よりも比較的短いであろう。
【0029】
[0031]更に、有効頻度は、ネコ科動物の体重に対してmg/kgの毎日の投与量により影響を受ける。特に、少し高めの毎日の用量であれば、投与が忘れられても効能に与える影響は少ない。
【0030】
[0032]更に、有効頻度は治療の期間により影響を受ける。初期段階、例えばネコ科動物の血中のスピノシンの量が治療有効レベルに到達する前には、動物飼料は、より長い使用期間の後、即ち治療有効レベルが得られた後に必要とされるよりも頻繁に投与される必要がありうる。
【0031】
[0033]本開示の目的で、「実質的に毎日」とは、ネコ科動物の血中におけるスピノシンの濃度が治療有効レベルに上昇してそのままであるように十分に定期的であることを意味する。例えば、開示された飼料組成物は、好ましくは、ネコ科動物に毎日無期限に供給することができる。しかしながら、実際問題としては、日数が定期的に忘れられうるまたは抜かされうる多くの理由がある。例えば、ネコ科動物が不健康になることがあり、または飼い主が薬の入った飼料組成物を使い切ることがある。開示された方法は、薬の入った動物飼料組成物の毎日の供給が時折中断されたとしても、ネコ科動物がやはりある程度ノミから保護されるのに十分に強力なものである。本開示の方法を行う際には、用語「実質的に毎日」は、少なくとも1ヵ月当たり10日、より好ましくは1ヵ月当たり15日、更により好ましくは1ヵ月当たり20日を含む。これらの供給頻度のすべては、それらが例えば1週間当たり3回であろうと1日おきであろうと毎日であろうと、スピノシンがネコ科動物の血中におけるスピノシンの治療有効レベルに到達して維持することをそれらが促進する限りにおいて、実質的に毎日に適合する。
【0032】
[0034]用語「治療有効」とは、スピノシンもしくはそれらの生理学的に許容可能な誘導体もしくはそれらの代謝産物の用量または血液レベルが、薬物が存在しなかった場合よりもノミの侵入を制御するのに十分であることを意味する。スピノシンもしくはそれらの生理学的に許容可能な誘導体もしくはそれらの代謝産物はそれだけで存在してもよく、1つ以上の更なる活性物質とともに存在してもよい。好ましくは、それは薬物が存在しなかった場合よりもおおよそ少なくとも50%、ノミの侵入を制御し、より好ましくは、それは薬物が存在しなかった場合よりもおおよそ少なくとも90%、ノミの侵入を制御する。
【0033】
[0035]本開示の方法を行う際には、有効量または治療有効量のスピノシンがネコ科動物に経口投与される。用語「有効量」または「治療有効量」は、ノミの侵入を制御するのに必要な量を言う。当業者が理解するように、この量は多くの因子に応じて変化する。これらの因子は、例えば、治療されるネコ科動物の種類およびその重量および全体的な健康状態を含む。
【0034】
[0036]一般的に、有効量は、ネコ科動物の体重のkg当たり約0.18~約17mgのスピノシンの用量を言う。より好ましくは、有効量は、ネコ科動物の体重のkg当たり約0.3~約7.65mgのスピノシンの用量を言う。より一般的には、有効量は、ネコ科動物の体重のkg当たり約0.3~約6.375mgのスピノシンの用量である。
【0035】
[0037]動物飼料は、典型的には、飼料中に約0.0008~約0.34パーセントのスピノシン(重量による)を含む。好ましくは、飼料中に約0.04から約0.2パーセントの間のスピノシン(重量による)である。最も好ましくは、飼料中に約0.0045から約0.1パーセントの間のスピノシン(重量による)である。
【0036】
[0038]本開示はスピノシンの濃度を飼料、例えばキブルの観点で記載するが、他の投与形態、例えばトリートまたはチューを用いた投与もまた考えられる。スピノシンが単独で、または錠剤、液体、ゲルもしくは経口投与のための他の適切な形態で投与されうることもまた考えられる。当業者は、スピノシンの濃度が具体的な投与形態に応じて変化することを理解する。例えば、動物飼料がトリートである場合、トリートにおけるスピノシンの濃度は、例えばキブルにおけるスピノシンの濃度よりも大きくなる。例えば、ネコ科動物の重量に応じたスピノシンの毎日の用量が20mgである場合、典型的な5gのトリートは、約0.4パーセントのスピノシン(重量による)を含みうる。1日に消費されるキブルの量は5gより多いことから、キブルにおけるスピノシンのパーセントはより小さくなる。
【0037】
[0039]一態様において、本開示は、スピノシン、または生理学的に許容可能なそれらの誘導体もしくは塩、および動物飼料またはチューを含む全身に活性な経口組成物を少なくとも1週間当たり1回、より好ましくは1週間当たり3回、最も好ましくは実質的に毎日投与することにより、ネコ科動物におけるノミの侵入を制御する方法に関する。
【0038】
[0040]別の態様において、本開示は、スピノシンおよび動物飼料またはチューを含む全身に活性な経口組成物に関する。
[0041]本開示はまた、ネコ科動物におけるノミの侵入を制御するための動物飼料またはチューの製造のためのスピノシンの使用に関する。
【0039】
[0042]本開示はまた、長期間、ネコ科動物におけるノミの侵入を制御する方法であって、ネコ科動物にスピノシンの有効量の用量を毎日または実質的に毎日経口投与する工程を含む、方法に関する。毎日の飼料は、毎日投与されることを意図されているが、本明細書に記載されたような有効時間投与されてもよい飼料である。本方法は、長期間、ネコ科動物におけるノミを制御するのに特に有益であり、ネコ科動物にスピノシンの有効量の用量を実質的に毎日経口投与する工程を含む。
【0040】
[0043]本開示のある態様は、それ自体、1ヵ月当たり1回の単回投与においてネコ科動物におけるノミの侵入を制御するために効果がないかまたは準最適であるが、本明細書で記載されたように時間をかけて反復して投与することによりノミの侵入の有効な制御をもたらす、ある量のスピノシンの経口投与である。効果がないかまたは準最適であるとは、単回投与および数回投与が、薬物を全く投与しない場合と比較して50%未満のノミの侵入の減少となり、減少がないかまたは実質的にないことを含むことを意味する。このことは、本明細書で開示された、急性的というよりも慢性的な投与の態様を反映する。
【0041】
[0044]実施形態1:ノミの侵入の制御を必要とするネコ科動物におけるノミの侵入を制御する方法であって、前記ネコ科動物に有効量のスピノシンを有効時間、1ヵ月当たり少なくとも4回の頻度で経口投与する工程を含む、方法。
【0042】
[0045]実施形態2:前記ネコ科動物が飼いネコである、実施形態1に記載の方法。
[0046]実施形態3:前記スピノシンがスピノサドである、実施形態1または2のいずれかに記載の方法。
【0043】
[0047]実施形態4:前記スピノシンが、乾燥キャットフードおよび湿潤キャットフードからなる群から選択される飼料中で供給される、実施形態1~3のいずれかに記載の方法。
【0044】
[0048]実施形態5:前記スピノシンが、飼料の約7.5mg/kgから2400mg/kgの間の量で存在する、実施形態1~3のいずれかに記載の方法。
[0049]実施形態6:前記スピノシンが、前記ネコ科動物に、前記ネコ科動物の体重に対して約0.18mg/kgから17mg/kgの間の量で投与される、実施形態1~5のいずれかに記載の方法。
【0045】
[0050]実施形態7:前記経口投与が、1週間当たり少なくとも3回、実質的に毎日および毎日からなる群から選択される供給頻度を含む、実施形態1~6のいずれかに記載の方法。
【0046】
[0051]実施形態8:前記有効時間が、少なくとも1週間および少なくとも2週間からなる群から選択される、実施形態1~7のいずれかに記載の方法。
[0052]実施形態9:前記投与が、前記スピノシンの最初の投与から1週間内および前記スピノシンの最初の投与から2日内からなる群から選択される期間内、前記ネコ科動物の血中に治療有効レベルのスピノシンを供給する、実施形態1~8のいずれかに記載の方法。
【0047】
[0053]実施形態10:前記投与が、少なくとも45日、少なくとも60日、少なくとも90日、少なくとも180日および少なくとも365日からなる群から選択される期間、前記ネコ科動物の血中に治療有効レベルのスピノシンを供給する、実施形態1~9のいずれかに記載の方法。
【0048】
[0054]実施形態11:前記投与が、少なくとも30日および少なくとも365日からなる群から選択される期間、前記ネコ科動物の血中に7.5ng/mLから1020ng/mLの間のスピノシンの濃度を供給する、実施形態1~10のいずれかに記載の方法。
【0049】
[0055]実施形態12:前記スピノシンが、30日のうち少なくとも15日および少なくとも20日からなる群から選択される日数の間投与される、実施形態1~11のいずれかに記載の方法。
【0050】
[0056]実施形態13:前記スピノシンが、1つ以上の他の活性物質を含む飼料の成分である、実施形態1~12のいずれかに記載の方法。
[0057]実施形態14:少なくとも3日および少なくとも7日からなる群から選択される日数の間、スピノシンの前記投与を中止する工程を更に含み、前記ネコ科動物のスピノシンの血中濃度が治療有効レベルに維持される、実施形態1~13のいずれかに記載の方法。
【0051】
[0058]実施形態15:スピノシンの前記投与を中止し、それにより前記ネコ科動物のスピノシンの血中濃度を前記治療有効レベルに維持した後、スピノシンの前記投与を再開する工程を更に含む、実施形態14に記載の方法。
【0052】
[0059]実施形態16:前記スピノシンがチューの成分である、実施形態1に記載の方法。
[0060]実施形態17:前記経口投与が、1週間当たり少なくとも3回、実質的に毎日および毎日からなる群から選択される供給頻度を含む、実施形態16に記載の方法。
【0053】
[0061]実施形態18:ノミの制御を必要とするネコ科動物におけるノミの制御に用いるスピノシンであって、前記スピノシンが有効量で前記ネコ科動物に有効時間、1か月当たり少なくとも4回の頻度で投与される、スピノシン。
【0054】
[0062]実施形態19:前記ネコ科動物が飼いネコである、実施形態18に記載のスピノシン。
[0063]実施形態20:前記スピノシンがスピノサドである、実施形態18~19のいずれかに記載のスピノシン。
【0055】
[0064]実施形態21:前記スピノシンが、乾燥キャットフードおよび湿潤キャットフードからなる群から選択される飼料中で供給される、実施形態18~20のいずれかに記載のスピノシン。
【0056】
[0065]実施形態22:前記スピノシンが、飼料の約7.5mg/kgから2400mg/kgの間の量で存在する、実施形態18~21のいずれかに記載のスピノシン
[0066]実施形態23:前記スピノシンが、前記ネコ科動物に、前記ネコ科動物の体重に対して約0.18mg/kgから17mg/kgの間の量で投与される、実施形態18~22のいずれかに記載のスピノシン。
【0057】
[0067]実施形態24:前記投与が、1週間当たり少なくとも3回、実質的に毎日および毎日からなる群から選択される供給頻度を含む、実施形態18~23のいずれかに記載のスピノシン。
【0058】
[0068]実施形態25:前記有効時間が、少なくとも1週間および少なくとも2週間からなる群から選択される、実施形態18~24のいずれかに記載のスピノシン。
[0069]実施形態26:前記投与が、前記スピノシンの最初の投与から1週間内および前記スピノシンの最初の投与から2日内からなる群から選択される期間内、前記ネコ科動物の血中に治療有効レベルのスピノシンを供給する、実施形態18~25のいずれかに記載のスピノシン。
【0059】
[0070]実施形態27:前記投与が、少なくとも45日、少なくとも60日、少なくとも90日、少なくとも180日および少なくとも365日からなる群から選択される期間、前記ネコ科動物の血中に治療有効レベルのスピノシンを供給する、実施形態18~26のいずれかに記載のスピノシン。
【0060】
[0071]実施形態28:前記投与が、少なくとも30日および少なくとも365日からなる群から選択される期間、前記ネコ科動物の血中に7.5ng/mLから1020ng/mLの間のスピノシン濃度を供給する、実施形態18~27のいずれかに記載のスピノシン。
【0061】
[0072]実施形態29:前記スピノシンが、30日のうち少なくとも15日および少なくとも20日からなる群から選択される日数の間投与される、実施形態18~28のいずれかに記載のスピノシン。
【0062】
[0073]実施形態30:前記スピノシンが、1つ以上の他の活性物質を含む飼料の成分である、実施形態18~29のいずれかに記載のスピノシン。
[0074]実施形態31:少なくとも3日および少なくとも7日からなる群から選択される日数、スピノシンの投与を中止する工程を更に含み、ネコ科動物のスピノシンの血中濃度が治療有効レベルに維持される、実施形態18~30のいずれかに記載のスピノシン。
【0063】
[0075]実施形態32:スピノシンの投与を中止し、それによりネコ科動物のスピノシンの血中濃度を治療有効レベルに維持した後、スピノシンの投与を再開する工程を更に含む、実施形態31に記載のスピノシン。
【0064】
[0076]実施形態33:前記スピノシンがチューの成分である、実施形態18~32に記載のスピノシン。
[0077]実施形態34:前記投与が、1週間当たり少なくとも3回、実質的に毎日および毎日からなる群から選択される供給頻度を含む、実施形態33に記載のスピノシン。
【0065】
[0078]実施形態35:ネコ科動物におけるノミを制御するための飼料またはチューであって、前記飼料またはチューが、前記ネコ科動物に有効時間、1ヵ月当たり少なくとも4回の頻度で投与された場合にノミの侵入を制御するための治療有効量のスピノシンを含む、飼料またはチュー。
【0066】
[0079]実施形態36:前記ネコ科動物が飼いネコである、実施形態35に記載の飼料またはチュー。
[0080]実施形態37:前記スピノシンがスピノサドである、実施形態35または36のいずれかに記載の飼料またはチュー。
【0067】
[0081]実施形態38:前記スピノシンが、乾燥キャットフードおよび湿潤キャットフードからなる群から選択される飼料中で供給される、実施形態35~37のいずれかに記載の飼料またはチュー。
【0068】
[0082]実施形態39:前記スピノシンが、飼料の約7.5mg/kgから2400mg/kgの間の量で存在する、実施形態35~38のいずれかに記載の飼料またはチュー。
[0083]実施形態40:前記スピノシンが、前記ネコ科動物に、前記ネコ科動物の体重に対して約0.18mg/kgから17mg/kgの間の量で投与される、実施形態35~39のいずれかに記載の飼料またはチュー。
【0069】
[0084]実施形態41:前記投与が、1週間当たり少なくとも3回、実質的に毎日および毎日からなる群から選択される供給頻度を含む、実施形態35~40のいずれかに記載の飼料またはチュー。
【0070】
[0085]実施形態42:前記有効時間が、飼料またはチューを少なくとも1週間および少なくとも2週間からなる群から選択される期間投与することを含む、実施形態35~41のいずれかに記載の飼料またはチュー。
【0071】
[0086]実施形態43:前記投与が、前記飼料またはチューの最初の投与から1週間内および前記飼料またはチューの最初の投与から2日内からなる群から選択される期間内、前記ネコ科動物の血中に治療有効レベルのスピノシンを供給する、実施形態35~42のいずれかに記載の飼料またはチュー。
【0072】
[0087]実施形態44:前記投与が、少なくとも45日、少なくとも60日、少なくとも90日、少なくとも180日および少なくとも365日からなる群から選択される期間、前記ネコ科動物の血中に治療有効レベルのスピノシンを供給する、実施形態35~43のいずれかに記載の飼料またはチュー。
【0073】
[0088]実施形態45:前記投与が、少なくとも30日および少なくとも365日からなる群から選択される期間、前記ネコ科動物の血中に7.5ng/mLから1020ng/mLの間のスピノシンの濃度を供給する、実施形態35~44のいずれかに記載の飼料またはチュー。
【0074】
[0089]実施形態46:前記飼料またはチューが、30日のうち少なくとも15日および30日のうち少なくとも20日からなる群から選択される頻度で投与される、実施形態35~45のいずれかに記載の飼料またはチュー。
【0075】
[0090]実施形態47:前記飼料またはチューが1つ以上の他の活性物質を含む、実施形態35~46のいずれかに記載の飼料またはチュー。
[0091]実施形態48:少なくとも3日および少なくとも7日からなる群から選択される日数、飼料またはチューの投与を中止する工程を更に含み、ネコ科動物のスピノシンの血中濃度が治療有効レベルに維持される、実施形態35~47のいずれかに記載の飼料またはチュー。
【0076】
[0092]実施形態49:飼料またはチューの投与を中止し、それによりネコ科動物のスピノシンの血中濃度を治療有効レベルに維持した後、飼料またはチューの投与を再開する工程を更に含む、実施形態48に記載の飼料またはチュー。
【0077】
[0093]実施形態のいずれかのある態様において、ノミの侵入を制御するための投与は、少なくとも30日間、前記ネコ科動物の血中に少なくとも7.5ng/mlで1020ng/ml以下のスピノシンの濃度を維持する。より好ましくは、投与は、少なくとも30日間、前記ネコ科動物の血中に少なくとも7.5ng/mlで510ng/ml以下のスピノシンの濃度を維持する。より好ましくは、投与は、少なくとも30日間、前記ネコ科動物の血中に少なくとも15ng/mlで383ng/ml以下のスピノシンの濃度を維持する。更により好ましくは、投与は、少なくとも30日間、前記ネコ科動物の血中に少なくとも37.5ng/mlで340ng/ml以下のスピノシンの濃度を維持する。
【0078】
[0094]実施形態のいずれかのある態様において、ノミの侵入を制御するための投与は、少なくとも365日間、前記ネコ科動物の血中に少なくとも7.5ng/mlで1020ng/ml以下のスピノシンの濃度を維持する。より好ましくは、投与は、少なくとも365日間、前記ネコ科動物の血中に少なくとも7.5ng/mlで510ng/ml以下のスピノシンの濃度を維持する。より好ましくは、投与は、少なくとも365日間、前記ネコ科動物の血中に少なくとも15ng/mlで383ng/ml以下のスピノシンの濃度を維持する。更により好ましくは、投与は、少なくとも365日間、前記ネコ科動物の血中に少なくとも37.5ng/mlで340ng/ml以下のスピノシンの濃度を維持する。
【実施例】
【0079】
[0095]以下の例は本開示の方法を説明する。その用語が当業者に理解されるように、以下の3つの実施例のうちの2つは先見的な実施例であることが理解されるべきである。言い換えれば、以下の3つの実施例のうちの2つは、実際の実験ではなく予測結果に基づく。しかしながら、予測結果は、他の動物により行われた実験に基づいており、当業者が本開示を実践するのに十分であると考えられる。
【0080】
実施例1
[0096]Ctenocephalides felisの治療および制御のためにネコに経口で、即ち口から投与されたスピノシンの効能
[0097]方法:48時間にわたって生きているノミが約50%の信頼性のある侵入率を適切に維持することのできるネコの群を作るため、40匹のネコのプールに約100匹の餌を与えていない成体C.felisを予め侵入させる。試験的な侵入によるそれらの前処理のノミのカウントに基づき、最大の生きているノミのカウントを有するネコを4つの治療群(群当たり6匹のネコ)にランダムに割り当てる。最初の治療群が対照群、群2~4が試験群となる。
【0081】
[0098]ネコを研究期間の間、個々に小屋で飼い、市販の乾燥キャットフード飼料を与え、水は自由に飲めるようにする。
[0099]試験群2~4のそれぞれのネコに口からスピノシン、好ましくはスピノサドの液体配合物を与える。試験群に応じて0~29日目のそれぞれにネコに投与する投与量を以下の表に示す。
【0082】
【0083】
[0100]対照群のネコにはスピノシンを与えないか、またはいずれかの他のノミ制御治療を行う。試験群2~4のそれぞれのネコにはその毎日の飼料(乾燥フード)を供給し、個々のネコがその毎日の飼料の全体の少なくとも25%を食べた後、個々の用量の液体配合物を投与する。スピノシンの用量を与えた後、ネコに食事を続けさせる。このことは飼料にスピノシンを組み込むことに似ている。試験群2~4および対照群のそれぞれのネコに、-1日目、5日目、12日目、19日目、28日目および35日目の試験日に100匹の餌を与えていない成体ノミを試験的に侵入させる。生きている成体のノミを合わせたカウントを、0日目を毎日の投与の開始として2日目、7日目、14日目、21日目、30日目および37日目に行う。最終の試験的な侵入をスピノシンの最後の毎日の用量の約5日後に起こるようにする。
【0084】
[0101]試験群2および3の用量レベルは、2日の実質的に毎日の投与により対照群と比較して90%より大きいノミの減少の効能を示し、実質的に毎日の投与の1週間後に98%より大きい効能を示すことが予測される。試験群4の用量レベルは、2日の実質的に毎日の投与により対照群と比較して98%より大きいノミの減少の効能を示すことが予測される。
【0085】
[0102]更に、すべての試験群は、実質的に毎日の投与を停止した1週間後、例えば37日目の合わせたカウントで、85%より大きい効能を示すことが予測される。より高い用量レベル、例えば試験群4では、実質的に毎日の投与を停止した1週間後、効能の顕著な低下は見られ得ない。
【0086】
[0103]上述したのと同じ研究方法を用い、スピノシンの初期用量が投与された後、72時間、120時間、168時間、336時間、504時間、720時間および888時間に血液を取り出す。次いで、異なる用量レベルについて、スピノシンの血中平均濃度を決定することができる。
【0087】
[0104]試験群2の用量レベルでの実質的に毎日の投与によるネコ科動物の血中におけるすべてのスピノシンの平均血漿濃度は、72時間の約20ng/mlから336時間の約58ng/mlの間に及ぶことが予測される。試験群3では、予測される範囲は72時間の約56ng/mlから504時間の約143ng/mlの間である。試験群4では、予測される範囲は72時間の約118ng/mlから504時間の約372ng/mlの間である。比較として、典型的な毎月の単回投与を用いたネコ科動物の血中におけるスピノサドの血漿濃度は、投与がなされた1時間後の約878ng/mlから投与がなされた12時間後の6107ng/mlの間の予測される範囲を有する。
【0088】
実施例2
[0105]薬の入った飼料中でネコの体重のkg当たり0.85mgの用量で投与される場合のネコにおけるスピノシンの効能
[0106]方法:48時間にわたって生きているノミが約50%の信頼性のある侵入率を適切に維持することのできる18匹のネコの群を作るため、ネコのプールに約100匹の餌を与えていない成体C.felisを予め侵入させる。試験的な侵入によるそれらの前処理のノミのカウントに基づき、最大の生きているノミのカウントを有するネコを3つの群(群当たり6匹のネコ)にランダムに割り当てる。最初の治療群が対照群、群2~3が試験群となる。
【0089】
[0107]ネコを研究期間の間、個々に小屋で飼い、水は自由に飲めるようにする。
[0108]少なくとも4日の初期順応期間があり、その間に試験群2および3のネコを、標準的な保証された市販のネコ飼料から薬の入っていないバージョンの毎日のネコ飼料に移行させる。順応期間の間、ネコに1時間で飼料を消費させ、その後、ネコの飼料の受容量を観察および記録する。
【0090】
[0109]試験群2および3のそれぞれのネコに口からスピノシン、好ましくはスピノサドを含む毎日の飼料配合物を与える。試験群に応じて0~29日目のそれぞれにネコに投与する投与量および配合物を以下の表に示す。
【0091】
【0092】
[0110]対照群のネコにはスピノシンを与えないか、またはいずれかの他のノミ制御治療を行う。0~29日目に、治療群2および3のそれぞれのネコに1時間の間、スピノシンを含むその毎日の飼料を供給する。30~37日目に、すべてのネコにスピノシンを含まない通常のキャットフードを与える。
【0093】
[0111]試験群2および3ならびに対照群のそれぞれのネコに、-1日目、5日目、12日目、28日目および35日目の試験日に、100匹の餌を与えていない成体ノミを試験的に侵入させる。生きている成体のノミを合わせたカウントを、0日目を薬の入った飼料の毎日の供給の開始として2日目、7日目、14日目、30日目および37日目に行う。
【0094】
[0112]群2および3のすべてのネコが、吐き戻すことなく1時間の時間内に毎日の0.85mg/kgの用量に必要な食物のすべてを消費すると仮定すれば、試験群2および3の生きている成体のノミのカウントの減少パーセントは、14日以内に90%を上回るまでに達することが予測される。いくつかの飼料配合物は、14日よりも早くに90%の効能を達成しうる。更に、試験群2および3の生きている成体のノミのカウントの減少パーセントは、最後の投与用量の7日後に80%を上回ったままであることが予測される。飼料配合物の違いは、投与停止後の効能の低下率にあまり影響しないことが予測される。
【0095】
[0113]2つの例を比較することにより、平均して有効量のスピノシンを薬の入った飼料によりネコに投与することができることを理解することができる。
実施例3
[0114]Ctenocephalides felisの治療および制御のために薬の入った飼料中でスピノシンが投与された場合のスピノシンの効能
[0115]方法:約50%の生きているノミが48時間の終わりに維持されていることにより定義される信頼性のある侵入率を適切に維持することのできるネコを作るため、ネコのプールに約100匹の餌を与えていない成体C.felisノミを予め侵入させる。最大の生きているノミのカウントを有するネコを、群当たり4匹のネコを有する1つの対照群(群1)および2つの薬の入った飼料の治療群(群2および3)にランダムに割り当てる。群2および3のネコにはスピノシンを与える。
【0096】
[0116]ネコを研究期間の間、個々に小屋で飼い、水は自由に飲めるようにする。
[0117]治療群(群2および3)のそれぞれのネコに、以下の表に応じて0~29日目の研究日に薬の入った毎日の飼料を与える。
【0097】
【0098】
[0118]それぞれの毎日の治療前にネコを一晩絶食させる。スピノシンの毎日の投与容積を湿潤缶詰キャットフードのほんの一部(ネコの毎日の必要な食事の約25%)に混合する。薬の入った飼料が最初に供給されてから約4時間後、もしあれば、その薬の入った飼料をそれぞれのネコのために75%の薬の入っていない毎日の飼料と混合する。得られた飼料供給物は、毎日の一晩の絶食のために飼料ボウルを取り除くまでネコが摂取することができる。
【0099】
[0119]対照群のネコにはスピノシンを与えないか、またはいずれかの他のノミ制御治療を行う。治療群2および3ならびに対照群のそれぞれのネコに、治療段階の間の1日目、7日目、14日目および28日目ならびに薬の入った毎日の飼料の最終供給後のウォッシュアウト期間の間の35日目の試験日に、100匹の餌を与えていない成体C.felisを試験的に侵入させる。生きているノミおよび瀕死状態のノミを合わせたカウントを、2日目、9日目、16日目、30日目および37日目に行う。
【0100】
[0120]結果:この例による治療群2および3の生きているノミおよび瀕死状態のノミのカウントの減少パーセントを以下のグラフに示す。
【化A】
【0101】
[0121]本発明が例示の様式を有するように説明されてきたが、本発明は、本開示の意図内および範囲内で更に改変されてよい。したがって、本出願は、その一般原則を用いた本発明のあらゆるバリエーション、使用、または適応に及ぶことが意図される。
【国際調査報告】