(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】発光ダイオードを移載するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/48 20100101AFI20240709BHJP
【FI】
H01L33/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579356
(86)(22)【出願日】2022-06-21
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 US2022034240
(87)【国際公開番号】W WO2022271627
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521535962
【氏名又は名称】ナノシス, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NANOSYS, INC.
【住所又は居所原語表記】233 S. Hillview Drive, Milpitas, CA 95035, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フアン, イヴァン
(72)【発明者】
【氏名】マーティネッリ, マッシモ
(72)【発明者】
【氏名】ストラシッラ, エリック
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142BA32
5F142CA13
5F142CB14
5F142CD02
5F142CD15
5F142CD16
5F142FA32
5F142GA02
(57)【要約】
発光ダイオード(LED)を移載する装置は、バックプレーンを支持するためのバッキングボードと、前記バックプレーンの周囲の周りにおける前記バッキングボード上に形成された封止部材と、透明パネルであって、前記バッキングボードと前記透明パネルとの間に空間が形成されるように前記封止部材上に形成された透明パネルと、前記空間を真空引きするための真空源と、を含む。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオード(LED)を移載する装置であって、
バックプレーンを支持するように構成されたバッキングボードと、
前記バックプレーンの位置の周囲の周りにおける前記バッキングボード上に配置された封止部材と、
透明パネルであって、前記バッキングボードと前記透明パネルとの間に空間が形成されるように前記封止部材上に配置された、透明パネルと、
前記空間を真空引きするように構成された真空源と、
前記空間内における前記バッキングボード上のLEDクーポンを照射するように前記透明パネルを通してレーザ放射を導くように構成されたレーザ放射源と、
を備える装置。
【請求項2】
前記バッキングボード上に配置された前記バックプレーンと、
前記バックプレーン上に配置された前記LEDクーポンと、
を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記空間の真空引きは、前記透明パネルを前記バックプレーンに向かって引っ張り、前記透明パネルに前記LEDクーポンを前記バックプレーンに向かって押圧させる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記透明パネルは、前記透明パネルの全体にわたって実質的に均一に加えられる14.7psi以下の圧力で前記LEDクーポンを押圧する、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記バックプレーン上にアレイ上で配置された複数のLEDクーポンを更に備え、前記透明パネルが前記複数のLEDクーポンを押圧する圧力は前記複数のLEDクーポンにわたって実質的に均一である、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記LEDクーポンは、基板と前記基板上に形成されて前記基板から前記バックプレーンに移載される複数のマイクロLEDとを含むマイクロLEDクーポンを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記バッキングボードは貫通チャネルを含み、前記真空源は、前記バッキングボードに接続され、前記貫通チャネルを通じて前記空間を真空引きするように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記真空源は、前記バッキングボード、前記封止部材および前記透明パネルの周りに形成された透明真空バッグを更に含み、前記真空源は、前記透明真空バッグを真空引きすることによって前記空間を真空引きするように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記透明パネルは、約5mm以下の厚さを有するガラスパネルを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記バッキングボードは、剛性バッキングボードを含み、前記透明パネルは、前記バッキングボードよりも低い剛性を有する柔軟な透明パネルを含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
発光ダイオード(LED)を移載する方法であって、
バッキングボード上にバックプレーンを配置することであって、封止部材が前記バックプレーンの周囲の周りに配置される、ことと、
前記バックプレーン上に複数の第1LEDクーポンを配置することと、
透明パネルを、前記バッキングボードと前記透明パネルとの間に空間が形成されるように前記複数の第1LEDクーポンにわたって前記封止部材上に配置することと、
前記透明パネルが前記複数の第1LEDクーポンを前記バックプレーンに向かって押圧するように前記空間を真空引きすることと、
前記バックプレーン上に配置された前記複数の第1LEDクーポンを照射するように前記透明パネルを通してレーザ放射を導くことと、
を含む方法。
【請求項12】
前記複数の第1LEDクーポンの各々は、基板と前記基板上に形成された複数のLEDとを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記レーザ放射を導く工程は、レーザリフトオフを用いて各第1LEDクーポンの前記基板からLEDを少なくとも部分的にリフトオフすることと、少なくとも部分的にリフトオフされた前記LEDをレーザ接合を用いて前記バックプレーンに接合することとを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
レーザ放射を導く工程の後に真空を解放することと、
接合された前記LEDが前記バックプレーンに接合されたままで、前記複数の第1LEDクーポンの残りの部分を除去することと、
前記バックプレーン上に複数の第2LEDクーポンを配置することと、
前記透明パネルを、前記バッキングボードと前記透明パネルとの間に前記空間が形成されるように前記複数の第2LEDにわたって前記封止部材上に配置することと、
前記透明パネルが前記複数の第2LEDクーポンを前記バックプレーンに向かって押圧するように前記空間を真空引きすることと、
前記バックプレーン上に配置された前記複数の第2LEDクーポンを照射するように前記透明パネルを通してレーザ放射を導くことと、
を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記真空引きする工程は、前記透明パネルを用いて前記複数の第1LEDクーポンに14.7psi以下の圧力を加えることを含み、前記圧力は、前記透明パネルの全体にわたって実質的に均一である、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記バッキングボードは貫通チャネルを含み、前記真空引きする工程は、前記貫通チャネルを通じて前記空間を真空引きすることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記真空引きする工程は、前記バッキングボード、前記封止部材および前記透明パネルの周りに透明真空バッグを配置することと、前記透明真空バッグを真空引きすることとを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記透明パネルは、約5mm以下の厚さを有するガラスパネルを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記バッキングボードは、剛性バッキングボードを含み、前記透明パネルは、前記バッキングボードよりも低い剛性を有する柔軟な透明パネルを含み、
前記透明パネルは、前記真空引きの後、前記複数の第1LEDクーポンを前記バックプレーンに向かって押圧するように前記バックプレーンに向かって撓む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記複数の第1LEDクーポンは複数のマイクロLEDクーポンを含み、前記複数のマイクロLEDクーポンの各々は、基板と前記基板上に形成された複数のマイクロLEDとを含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年6月24日に出願された米国仮特許出願第63/214,445号からの優先権の利益を主張しており、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の実施形態は、概して、発光ダイオード(LED)を移載するための装置、および、透明パネルが複数のLEDクーポンをバックプレーンに向けて押圧するように空間を真空引きすることを含む、LEDを移載する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発光ダイオード(LED)は、ラップトップまたはLEDテレビの液晶ディスプレイなどの電子ディスプレイに使用される。しかしながら、LEDをバックプレーン(例えば、ディスプレイバックプレーン)に高歩留まりで取り付けることは困難である。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様によれば、発光ダイオード(LED)を移載する装置は、バックプレーンを支持するように構成されたバッキングボードと、前記バックプレーンの位置の周囲の周りにおける前記バッキングボード上に配置された封止部材と、透明パネルであって、前記バッキングボードと前記透明パネルとの間に空間が形成されるように前記封止部材上に配置された、透明パネルと、前記空間を真空引きするように構成された真空源と、前記空間内における前記バッキングボード上のLEDクーポンを照射するように前記透明パネルを通してレーザ放射を導くように構成されたレーザ放射源と、を含む。
【0005】
本開示の更に別の態様によれば、発光ダイオード(LED)を移載する方法は、バッキングボード上にバックプレーンを配置することであって、封止部材が前記バックプレーンの周囲の周りに配置される、ことと、前記バックプレーン上に複数の第1LEDクーポンを配置することと、透明パネルを、前記バッキングボードと前記透明パネルとの間に空間が形成されるように前記複数の第1LEDクーポンにわたって前記封止部材上に配置することと、前記透明パネルが前記複数の第1LEDクーポンを前記バックプレーンに向かって押圧するように前記空間を真空引きすることと、前記バックプレーン上に配置された前記複数の第1LEDクーポンを照射するように前記透明パネルを通してレーザ放射を導くことと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、いくつかの実施形態による、LED10のダイを含む成長基板8を含むLEDクーポン(例えば、第1ソースクーポン)1の上面図を示す。
【0007】
【
図2】
図2は、いくつかの実施形態による、LEDクーポン1の側断面図を示す。
【0008】
【
図3】
図3は、いくつかの実施形態による、LEDクーポン1からバックプレーン32にLED10A、10B、10Cを移載する準備におけるLEDクーポン1の配置の側断面図を示す。
【0009】
【
図4A】
図4Aは、いくつかの実施形態による、LEDクーポン1からバックプレーン32にLED10A、10B、10Cを移載するために使用されうる装置400の側断面図を示す。
【0010】
【
図4B】
図4Bは、いくつかの実施形態による、真空源440によって空間Sを真空引きした後の装置400の側断面図を示す。
【0011】
【
図5】
図5は、いくつかの実施形態による、LEDを移載するための装置450の側断面図を示す。
【0012】
【
図6A】
図6Aは、いくつかの実施形態による、バッキングボード410上に配置されたバックプレーン32、バックプレーン32上に配置されたLEDクーポン1、および、LEDクーポン1上に配置された透明パネル430の側断面図を示す。
【0013】
【
図6B】
図6Bは、いくつかの実施形態による、バックプレーン32に移載されるLED10Aのバッファ層11に分離レーザビームLDを照射するために行われる逐次レーザ照射処理の側断面図を示す。
【0014】
【
図6C】
図6Cは、いくつかの実施形態による、照射後に固体ガリウムリッチ材料部(例えば、純ガリウムまたはガリウムリッチ合金粒子または領域)211に固化する液体ガリウムリッチドロップ111の側断面図を示す。
【0015】
【
図6D】
図6Dは、いくつかの実施形態による、接合材料部(17、37)の変形を引き起こすように互いに対して押圧されたバックプレーン32およびLEDクーポン1の側断面図を示す。
【0016】
【
図6E】
図6Eは、いくつかの実施形態による、LED10Aの下にあるダイオード側接合材料部17とバックプレーン側接合材料部37との嵌合対のリフローおよび接合を引き起こすために行われる局所レーザ照射処理の側断面図を示す。
【0017】
【
図6F】
図6Fは、いくつかの実施形態による、透明パネル430がLEDクーポン1に下向きの圧力を加えることを停止するように、バックプレーン32とLEDクーポン1との間の空間Sの真空引きを停止した真空源440の側断面図を示す。
【0018】
【
図7】
図7は、いくつかの実施形態による、LEDを移載する方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示の実施形態は、LEDを移載(transfer)するための装置および方法を対象としており、その様々な態様を以下に説明する。図面全体を通して、同様の要素は、同じ参照符号によって説明される。特に明記しない限り、同じ参照符号を有する要素は、同じ材料組成を有するものと仮定される。図面は、一定の縮尺で描かれていない。要素の重複がないことが明示的に記載されているか、或いは、別途明確に示されていない限り、要素の単一のインスタンスが示されている場合、要素の複数のインスタンスが重複することがある。「第1」、「第2」および「第3」などの順序は、単に同様の要素を識別するために使用されており、異なる順序が本開示の明細書および特許請求の範囲にわたって使用されてもよい。
【0020】
LEDは、p側コンタクトとn側コンタクトとが構造体の反対側に位置する縦型構造(例えば、縦型LED)であってもよいし、または、p側コンタクトとn側コンタクトとが構造体の同じ側に位置する横型構造であってもよい。本開示の実施形態では、成長基板からバックプレーンなどのターゲット基板にLED(例えば、LEDのアレイ)を移載するための方法が提供される。例示的な例では、ターゲット基板は、LEDを駆動するためのアクティブまたはパッシブマトリクスバックプレーン基板などのバックプレーンでありうる。本明細書で使用される場合、「バックプレーン」は、その上に複数のLEDを取り付けるように構成された任意の基板を指す。
【0021】
LEDは、赤色光を発する赤色LED、緑色光を発する緑色LED、および青色光を発する青色LEDなどの異なる「タイプ」を含みうる。同じタイプのLEDは、それぞれの成長基板(例えば、初期成長基板)上に製造されうる。特に、LEDは、LED、センサデバイス(例えば、光検出器)などを含む様々な電子デバイスを、上または中に形成するように処理される成長基板上のアレイとして製造されうる。LEDは、例えば、縦型LED、横型LED、またはそれらの任意の組合せであってもよい。
【0022】
図1を参照すると、LED10のダイを含む成長基板8を含むLEDクーポン(例えば、第1ソースクーポン)1が示されている。成長基板8は、LED10が形成されていないエッジ除外領域300を周囲に含んでいてもよい。成長基板8は、第1アレイ100に配置された同じタイプのLED(例えば、赤色LED、緑色LED、青色LEDなど)を含みうる。即ち、LED10は、例えば、同じピーク波長で光を発する発光ダイオードでありうる、同じタイプのLEDの複数のインスタンスを含んでもよい。
【0023】
第1アレイ100は、それぞれの一次方向(即ち、第1アレイ100の一次方向)に沿って一次方向ピッチPx1を有し、それぞれの二次方向(即ち、第1アレイ100の二次方向)に沿って二次方向ピッチPy1を有する。本明細書で使用される場合、アレイの一次方向および二次方向は、アレイの単位セルが繰り返される2つの方向を指す。矩形アレイでは、一次方向と二次方向とが互いに垂直であってもよく、x方向およびy方向と呼ばれる。
【0024】
成長基板8上のLED10は、第2アレイに構成された接合サイトを有する1以上のバックプレーンに移載されうる。LED10の移載には、所定の移載パターンおよび所定の移載シーケンスが用いられうる。異なる成長基板から移載された異なるタイプのLED(例えば、緑色LEDおよび青色LED)は、機能的な直視型LEDアセンブリを提供するためにLED10(例えば、赤色LED)と組み合わせて使用されうる。
【0025】
図2は、いくつかの実施形態による、LEDクーポン1の断面図を示す。
図2に示されるように、LEDクーポン1は、成長基板8と、成長基板8上に配置された複数のLED10A、10B、10Cとを含む。成長基板8は、LED半導体層を成長させることができる単結晶基板など、LED層を成長させることができる任意の適切な基板でありうる。例えば、成長基板8は、サファイア基板を含みうる。
【0026】
LED10A、10B、10Cは、バッファ層11と第1導電型半導体層12とを含みうる。バッファ層11は、ガリウムと窒素とを含む非晶質III-V族化合物半導体層を含んでもよい。第1導電型半導体層12は、ガリウムと窒素とを含む結晶質III-V族化合物半導体材料層を含んでもよい。例えば、バッファ層11は、非晶質窒化ガリウム(GaN)、インジウム窒化ガリウム(InGaN)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)または窒化アルミニウムインジウムガリウム(AlInGaN)を含むことができ、第1導電型半導体層12は、単結晶または多結晶GaN、InGaN、AlGaNまたはAlInGaNを含むことができる。第1導電型半導体層12は、第1導電型を有し、それはn型であってもよいしp型であってもよい。例えば、第1導電型半導体層12は、n型半導体層を含んでもよい。バッファ層11は、アンドープであってもよいし、第1導電型を有していてもよい。
【0027】
バッファ層11は、第1導電型半導体層12と成長基板8との間に位置する。バッファ層11は、第1導電型半導体層12と同じ材料組成を有していてもよい。
【0028】
例えば、一実施形態において、バッファ層11および第1導電型半導体層12は、共に窒化ガリウムを含むことができる。この場合、バッファ層11は、本実施形態ではパターン化サファイア基板(PSS)であってもよい成長基板8上への結晶質窒化ガリウムの第1導電型半導体層12の初期堆積中に形成されうる。即ち、バッファ層11は、窒化ガリウムの成長条件を非晶質から結晶質窒化ガリウム層の成長へ遷移させるために形成されうる。バッファ層11の厚さは、100nm~400nm、例えば150nm~300nmの範囲内にすることができるが、より薄いまたはより厚い厚さを用いることもできる。第1導電型半導体層12の厚さは、500nm~5ミクロン、例えば1~3ミクロンとすることができるが、より薄いまたはより厚い厚さを用いることもできる。
【0029】
活性層13は、第1導電型半導体層12上に形成されうる。一実施形態では、活性層13は、GaN、InGaN、AlGaN、および/またはAlInGaNから選択される少なくとも1つのバルク、準バルク、または量子井戸層を含みうる。例えば、活性層13は、それぞれのGaN障壁層および/またはAlGaN障壁層の間に1以上のInGaN量子井戸層のスタックを備えていてもよい。一般に、活性層13には、本技術分野で知られている任意の発光層スタックを使用することができる。
【0030】
第2導電型半導体層14は、活性層13上に形成されうる。第2導電型半導体層14は、第2導電型のドーピングを有しうる。第2導電型は、第1導電型とは反対である。第1導電型がn型である場合、第2導電型はp型であり、その逆も同様である。一実施形態において、第1導電型はn型であり、第2導電型はp型である。各第2導電型半導体層14は、結晶(例えば、単結晶または多結晶)GaN、InGaN、AlGaNおよび/またはAlInGaN層を含みうる。これにより、活性層13は、第1導電型半導体層12と第2導電型半導体層14との間に配置される。
【0031】
コンタクトレベル材料層15は、第2導電型半導体層14上に形成されうる。コンタクトレベル材料層15は、電極(例えば、p型側電極)として機能する少なくとも1つの導電層を含みうる。コンタクトレベル材料層15は、下から上に、透明導電性酸化物層、反射体層、および/または接合パッド材料層を含む層スタックを含みうる。透明導電性酸化物層は、インジウムスズ酸化物またはアルミニウムドープ酸化亜鉛などの透明導電性酸化物材料を含むことができる。反射体層は、金、銀および/またはアルミニウムを含むことができる。接合パッド材料層は、金、銅、ニッケル、チタン、窒化チタン、タングステン、窒化タングステン、後に使用されるはんだ材料よりも高い融点を有する別の金属、それらの合金、および/またはそれらの層スタックなど、接合パッドとして機能することができる金属材料を含むことができる。
【0032】
各LED10A、10B、10C内の第2導電型半導体層14、活性層13、および任意選択的に第1導電型半導体層12のスタックは、隣り合うLED10A、10B、10Cの間に溝19を形成するために、様々なパターニング方法を用いてパターニングされうる。誘電体マトリックス層16は、第1LED10A、10B、10Cの間に形成することができる。溝19は、各LED10A、10B、10Cの領域を画定する。具体的には、成長基板8の上にあり且つ一組の溝19によって横方向に囲まれたパターン化材料層の各連続組は、LED10A、10B、10Cを構成しうる。一実施形態では、溝19は、LEDの周期的アレイであってもよいLEDのアレイを提供するために格子パターンで形成されうる。LED10A、10B、10Cは、青色スペクトル範囲内の第1ピーク波長を有する青色光など、第1ピーク波長で光を発することができる。
【0033】
図2は、LED10A、10B、10Cを含むLEDクーポン1の特定の実施形態を示しているが、本開示の実施形態は、接合材料部を取り付けるための構造が成長基板8と反対側に面するLED10A、10B、10Cの側に設けられうるという条件で、LED10A、10B、10Cの任意の構成を採用して利用することができる。
【0034】
図3は、いくつかの実施形態による、LEDクーポン1からバックプレーン32にLED10A、10B、10Cを移載する準備におけるLEDクーポン1の配置を示す。
図3に示されるように、ダイオード側接合材料部17は、LED10A、10B、10Cの各々におけるコンタクトレベル材料層15上に形成されうる。一実施形態では、ダイオード側接合材料部17は、純スズまたはスズとインジウムとの合金などのはんだ材料部とすることができる。
【0035】
バックプレーン32は、単一の大型パネルバージョンの基板38、または大型パネルの空間内に嵌合するように配置されたいくつかの基板38、および基板38の前側表面上に形成された金属相互接続層325でありうる。一実施形態では、基板38は、プラスチック(例えば、ポリマー)基板、ガラス基板またはシリコン基板を含むことができる。バックプレーン32はまた、大きいサイズ(例えば、Gen8以上)を有してもよい。一実施形態では、金属相互接続層325は、基板38の表面上に配置され、および/または少なくとも1つの絶縁材料に埋め込まれた、バックプレーン32上に接合されるLEDとバックプレーン32の入力/出力ピンとの間の電気接続を提供する複数の金属相互接続構造を含むことができる。
【0036】
接合パッド34は、金属相互接続層325の上にあるバックプレーン32の表面(たとえば、基板38の表面)上に形成されうる。一実施形態では、接合パッド34は、二次元周期的アレイとして、または一次元周期的アレイとして配置することができる。接合パッド34は、金、銅、ニッケル、チタン、窒化チタン、タングステン、窒化タングステン、後に使用されるはんだ材料よりも高い融点を有する別の金属、それらの合金、および/またはそれらの層スタックなどの接合パッド材料を含むことができる。
【0037】
バックプレーン側接合材料部37は、接合パッド34上に形成されうる。一実施形態では、バックプレーン側接合材料部37は、純スズまたはスズとインジウムとの合金などのはんだ材料部とすることができる。LEDクーポン1およびバックプレーン32は、一対のダイオード側接合材料部17とバックプレーン側接合材料部37とが接合パッド34の周期配列の格子点ごとに対向するように位置合わせされうる。
【0038】
図4Aは、いくつかの実施形態による、LEDクーポン1からバックプレーン32にLED10A、10B、10Cを移載するために使用されうる装置400を示す。以下、LED10Aについて本方法を具体的に説明するが、LED10Bおよび10Cは、同一の方法に従って同一のバックプレーン32に逐次移載されうる。
【0039】
装置400は、バックプレーン32を支持するためのバッキングボード410と、バックプレーン32の周囲におけるバッキングボード410上に形成された封止部材420と、バッキングボード410と透明パネル430との間に空間Sが形成されるように封止部材420上に配置された透明パネル430と、空間Sを真空引きするための真空源440とを含みうる。
【0040】
装置400はまた、空間S内のバックプレーン32上に形成されたLEDクーポン1を照射するように、透明パネル430を通してレーザ放射Lを導くレーザ放射源(即ち、レーザ)450を含みうる。一実施形態では、レーザ放射源450は、LED10Aの部分的なレーザリフトオフ処理を行うようにLED10Aのバッファ層11を照射するレーザ放射Lを放出することができる。
【0041】
LEDをバックプレーン32に移載する処理は、例えば室温で行われ、真空ラミネータ445内にあるバッキングボード410(例えば、非コンプライアントで剛性のバッキングボード)上にバックプレーン32を配置し、次いで、複数のLEDクーポン1をバックプレーン32上に配置することによって開始しうる。LEDクーポン1は、例えば、基板(例えば、成長基板)と、基板上に形成されて当該基板からバックプレーン32に移載される複数のマイクロLEDとをそれぞれ含むマイクロLEDクーポンを含むことができる。マイクロLEDは、例えば、約100ミクロンよりもはるかに小さいサイズを有することができ、1~20ミクロン、例えば2~10ミクロンと小さくすることができる。しかしながら、より大きなLEDまたはLEDのモノリシックアレイも移載されうる。
【0042】
複数のLEDクーポン1は、例えば
図3に示されるように、LED10A、10B、10C上に形成されたダイオード側接合材料部17が、バックプレーン32上にアレイ状に配置された接合パッド34上のバックプレーン側接合材料部37と位置合わせされるように、アレイ状にバックプレーン32上に配置されうる。具体的には、LEDクーポン1は、バックプレーン32の実質的に全体を覆うように、バックプレーン32上に「タイル張り」されていてもよい。LEDクーポン1の位置合わせは、例えば、LEDクーポン1の正確な位置を決定する光学センサ(図示せず)と、LEDクーポン1を正確な位置に位置決めするロボットアーム(図示せず)とによって行われうる。
【0043】
次いで、透明パネル430は、バッキングボード410と透明パネル430との間に空間Sが形成されるように、複数のLEDクーポン1および封止部材420にわたって配置されうる。次いで、真空源440は空間Sを真空引きし、空間の真空引きは、透明パネル430をバックプレーン32に向かって引っ張り、透明パネル430に、LEDクーポン1をバックプレーン32に向かって押圧させうる。具体的には、透明パネルが複数のLEDクーポンを押圧する圧力は、複数のLEDクーポンにわたって実質的に均一でありうる。
【0044】
いくつかの実施形態では、バッキングボード410は、例えば、金属または剛性ポリマー材料から作製される剛性バッキングボードを含みうる。バッキングボード410は、真空ラミネータバッキングボードを含んでもよく、真空源440が空間Sにアクセスすることを可能にし、真空源440がスリット411を通して空間Sを真空引きすることを可能にするための1以上のスリット411(例えば、貫通孔、チャネルなど)を含んでもよい。或いは、スリット411を通すことに加えてまたはその代わりに、バッキングボード410の側面を通してまたは側面に隣接して真空引きされてもよい。バッキングボード410はまた、大きなサイズ(例えば、Gen8以上)のバックプレーン32を収容し、バックプレーン32の周囲に形成されうる封止部材420を収容するのに十分なサイズ(例えば、面積)を有していなければならない。
【0045】
封止部材420は、エッジ効果を排除して透明パネル430との良好な封止を提供することができる周囲シムフレームであってもよい。いくつかの実施形態では、封止部材420は、バックプレーン32の形状に近似する矩形形状に構成されうるOリング型またはガスケット型の封止部材を含みうる。封止部材420は、封止部材420とバックプレーン32の周囲との間のギャップ(例えば、
図4AのX方向)が約2センチメートル以下となるように、バックプレーン32の周囲の周りに連続的に形成されうる。封止部材420は、例えば、ポリウレタン、シリコーン、ネオプレン、ニトリルゴム、フルオロカーボン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、またはエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴムなどのポリマー材料から形成されうる。封止部材420の厚さ(例えば、
図4AのZ方向)は、バックプレーン32およびLEDクーポン1の厚さの合計と実質的に同じであるべきである。封止部材420の厚さが小さすぎる場合、透明パネル430は、LEDクーポン1上に載置されて封止部材420と接触せず、その結果、空間Sの周囲に封止を形成することができない。しかしながら、封止部材430の厚さが大きすぎる場合、透明パネル430とバックプレーン32との間の距離が大きすぎて、透明パネル430が真空下でLEDクーポン1をバックプレーン32に向かって押すことができない場合がある。したがって、バックプレーンとLEDクーポンとの厚さの合計をTbとすると、封止部材420の厚さTsは、0.9Tb≦Ts≦1.1Tbの範囲とするとよい。
【0046】
透明パネル430は、バックプレーン32の周囲全体の周りで封止部材420を覆うのに十分な大きさ(例えば、十分に大きい面積を有する)でありうる従順な(例えば、柔軟なまたは撓むことが可能な)透明パネルでありうる。換言すると、透明パネル430は、バッキングボード410よりも低い剛性(即ち、より低い硬さ、およびより低いヤング率)を有することができる。透明パネル430は、透明パネル430を通して空間S内のLEDクーポン1に導かれるレーザ放射Lと干渉しないように、十分に透明であってもよい。一実施形態では、透明パネル430は、数ミリメートル以下(例えば、約5ミリメートル未満、例えば0.1~2mm、例えば0.5~1mm)の厚さを有することができる。厚さが大きすぎる場合、放射源450からのレーザ放射の焦点は、後続のレーザ照射工程の間、LEDクーポン1上の作業面から遠すぎる可能性がある。透明パネル430は、ホウケイ酸ガラスなどのガラスで形成されてもよいが、レーザ放射源450によって射出されるレーザ放射に対して透明である限り、他のガラスが使用されてもよい。
【0047】
真空源440は、真空ラミネータ445と、真空引きするための真空ポンプ442と、真空ポンプ442を真空ラミネータ445上の1以上の真空ポートに接続する配管444とを含みうる。真空ポンプ442は、透明パネル430がLEDクーポン1を押圧する圧力を、大気圧14.7psiまでのあらゆる範囲の圧力に容易かつ非常に正確に制御することができ、且つ、透明パネル430の全体にわたって実質的に均一に適用することができるように、空間Sを十分に真空引きすることができる。
【0048】
レーザ放射源450は、異なる波長および出力でレーザ放射Lを生成するための1以上のタイプのレーザを含みうる。レーザ放射源450は、インサイチュレーザリフトオフ(LLO)およびレーザ走査(LS)ラスタ(例えば、
図4AのY方向)を実行するように構成されてもよく、一方、バッキングボード410は、垂直方向(例えば、
図4AのX方向)にインデックスされる。具体的には、レーザ放射源450は、部分的なレーザリフトオフ処理においてLEDクーポン1からLED10を分離させるための分離レーザビームLDを生成しうる。分離レーザビームLDは、紫外線波長を有していてもよいし、可視光領域の波長を有していてもよい。いくつかの実施形態では、レーザ放射源450は、分離レーザビームLDを生成するための、248nmまたは193nmの波長を有するエキシマ(UV)レーザを含んでもよい。レーザ放射源450は、接合レーザ照射処理中にレーザビームLB(例えば、赤外レーザビーム)を生成することもできる。いくつかの実施形態では、レーザ放射源450は、9.4ミクロンまたは10.6ミクロンの波長を有するレーザビームLB(例えば、赤外レーザビーム)を生成するためのCO2レーザを含んでもよい。つまり、レーザ放射源450は、2以上の異なるレーザを含んでいてもよい。
【0049】
図4Bは、いくつかの実施形態による、真空源440によって空間Sを真空引きした後の装置400の側面図を示す。
図4Bに示されるように、透明パネル430は、封止部材420によって封止された空間S内における真空源440による真空引きのもとで、下向き(例えば、
図4BのZ方向)に撓むように柔軟であってもよい。透明パネル430によってLEDクーポン1上に加えられる下向きの圧力の量は、真空源440による真空引きの量を調節することによって調節することができ、したがって、真空ポンプ442に供給される電流の量によって調節することができる。即ち、下向きの圧力は、真空源440による真空引きを増加させることによって増加させることができ、真空源440による真空引きを減少させることによって減少させることができる。いくつかの実施形態では、透明パネル430によってLEDクーポン1上に加えられる下向きの圧力は、10~15psiであってもよく、透明パネル430の全体にわたって実質的に均一に加えられてもよい。
【0050】
図5は、いくつかの実施形態による、LEDを移載するための装置450の側面図を示す。
図5に示されるように、装置450は、真空源440が異なっていてもよいことを除いて、
図4A~
図4Bの装置400の特徴を含みうる。装置450において、真空源440は、バッキングボード410、封止部材420および透明パネル430にわたって形成されうる真空バッグ446を含みうる。真空バッグ446は、プラスチック、または、レーザ放射源450から射出されたレーザ放射Lに対して透明であり、その影響を受けない別の材料から作製されてもよい。真空バッグ446はまた、真空配管444が接続されうる1以上のポート446aを含みうる。動作中、真空源440は、
図4Bに示される装置400によって提供されるものと実質的に同じ結果で真空バッグ446を真空引きすることによって、空間Sを真空引きすることができる。即ち、真空は、透明パネル430によってLEDクーポン1上に加えられる下向きの圧力をもたらし、その下向きの圧力は、10~15psiであり、透明パネル430の全体にわたって実質的に均一に加えられうる。
【0051】
いくつかの実施形態において、装置400および装置450は、マイクロLED物質移載の目的のために、Gen8サイズ以上(例えば、対角20インチ以上)などの非常に大面積のパネルにわたって均一なクランプ圧力を提供することができ、マルチ移載クーポンデザイン(例えば、異なる色のLEDクーポン)でも同様に良好に動作しうる。具体的には、装置400および装置450は、マイクロLEDアレイの全体にわたって、および、ある処理工程から次の処理工程まで、ギャップおよび応力分布が許容範囲内に留まるように、高さ分布差を低減して中立応力点を上方にシフトさせることができる。したがって、バックプレーンおよび/またはLEDクーポンにおける固有のミクロンサイズ範囲のうねり(例えば、表面粗さまたは反りによる)は、バックプレーン領域の全体にわたって装置によって加えられる均一な圧力によって低減または排除されうる。これにより接合の品質および精度が向上して表示装置の歩留まりが向上する。なぜならば、バックプレーンに対するクーポン高さが不均一であると質量LEDの移載を妨げて表示装置の歩留まりを低下させることとなるからである。
【0052】
装置400では、LEDを移載する方法は、バックプレーン32(例えば、ディスプレイバックプレーン)を真空ラミネータ445内のバッキングボード410(例えば、剛性バッキングボード)上に配置することで開始し、一方、装置450では、当該方法は、バックプレーン32(例えば、ディスプレイバックプレーン)を真空バッグ446内のバッキングボード410(例えば、剛性バッキングボード)上に配置することで開始しうる。LEDクーポンは、バックプレーン32の全体を覆うまで、バックプレーン32(例えば、ディスプレイパネル、TVパネルなど)上に配置(例えば、タイル張り)されうる。封止部材420(例えば、シムフレーム)は、エッジ効果を排除して良好な封止を提供するために、バックプレーン32の周囲に配置されうる。次いで、透明パネル430(例えば、カバーガラス)は、封止部材420によって封止される空間Sを形成するように、LEDクーポン1の上部に配置されうる。次いで、真空源440は、所望のレベルの真空(例えば、圧力)に達するまで、空間Sを真空引きするために使用されうる。これらの処理工程は、異なる色のLEDを含むLEDクーポン1について繰り返されうる。
【0053】
再び図面を参照すると、
図6A~
図6Fは、いくつかの実施形態による、LEDクーポン1からバックプレーン32にLED10Aを移載する方法を示す。上述したように、同じ方法は、LED10Bおよび10Cをバックプレーン32に移載するためにも使用されうる。本方法は、上述された装置400または装置450のいずれかを使用することによって実装されうる。
図6Aに示されるように、いくつかの実施形態によれば、バックプレーン32はバッキングボード410上に配置され、LEDクーポン1はバックプレーン32上に配置され、透明パネル430はLEDクーポン1上に配置されうる。LEDクーポン1のLED10A、10B、10Cは、対向する一対のダイオード側接合材料部17とバックプレーン側接合材料部37とが互いに接触するようにバックプレーン32に接触させてもよい。ダイオード側接合材料部17の各々は、それぞれの下にあるバックプレーン側接合材料部37との面積的な重なりを有することができる。一実施形態では、当該重なりの面積は、ダイオード側接合材料部17の面積の少なくとも70%、例えば80%より大きい、および/または90%より大きくてもよい。一実施形態では、各ダイオード側接合材料部17の幾何学的中心は、下にあるバックプレーン側接合材料部37の幾何学的中心の上に重なることができる。
【0054】
一般に、少なくとも1つの接合材料部(17、37)は、接合パッド34のそれぞれ1つとLED10A、10B、10Cのそれぞれ1つとの縦方向に隣り合う各対の間に配置されうる。一実施形態では、ダイオード側接合材料部17とバックプレーン側接合材料部37との対は、接合パッド34のそれぞれ1つとLED10A、10B、10Cのそれぞれ1つとの縦方向に隣り合う各対の間に設けられうる。一実施形態において、ダイオード側接合材料部17は省略されてもよい。別の実施形態において、バックプレーン側接合材料部37は省略されてもよい。
【0055】
一実施形態において、はんだフラックス35は、はんだフラックス35が各接合材料部(17、37)を横方向に取り囲むように、バックプレーン32とLED10A、10B、10Cとの間に塗布されうる。はんだフラックス35は、酸化スズと反応して金属スズ接合材料部(17、37)を残す任意の適切な液体フラックスでありうる。
【0056】
図6Aのようにバックプレーン32上にLEDクーポン1が形成されると、透明パネル430が第1圧力(例えば、第1量の下向きの圧力(例えば、下向きの力))をLEDクーポン1に加えるように真空源440が連動し、横方向に滑ることなくLEDクーポン1をバックプレーン32上の所定の位置に保持させうる。具体的には、バックプレーン32およびLEDクーポン1は、透明パネル430によってLEDクーポン1、接合材料部(17、37)およびバックプレーン32に縦方向に沿って下向きの力が加えられている間、適所に保持されうる。下向きの力の大きさは、それぞれの接合材料部17および37を互いに接合させることなく、接合材料部(17、37)が著しく変形しないように、即ち、接合材料部(17、37)がクランプ前に提供された形状を維持するように選択されうる。例示的な例では、2,000,000対のダイオード側接合材料部17とバックプレーン側接合材料部37とが4平方メートルサイズのバックプレーン32とタイル状LEDクーポン1との間に存在する場合、透明パネル430によって加えられる下向きの力の大きさは、LED当たり250N~400Nまたは約0.1mN~0.2mNの範囲内でありうる。
【0057】
図6Bを参照すると、逐次レーザ照射処理は、バックプレーン32に移載されるLED10Aのバッファ層11に、レーザ放射源450から射出される分離レーザビームLDを照射するように行われうる。分離レーザビームLDは、LED10Aを部分的にリフトオフするために用いられる部分的なレーザリフトオフ処理を行ってもよく、本明細書では分離レーザ照射処理と称される。LED10A、10B、10Cの各バッファ層11は、分離レーザビームLDが逐次1つずつ照射されうる。分離レーザビームLDの横寸法(例えば直径)は、LED10A、10B、10Cの横寸法とほぼ同じであってもよい。つまり、隣り合うバッファ層11に大きな組成変化を生じさせることなく、各バッファ層11を個別に照射することができる。
【0058】
分離レーザビームLDは、紫外線波長または可視光領域の波長を有することができ、照射されたバッファ層11のガリウムおよび窒素を含有するIII-V族化合物半導体材料によって吸収されうる。特定の理論によって拘束されることを望むものではないが、バッファ層11上への分離レーザビームLDの照射は、ガリウム原子を蒸発させることなく、またはガリウム原子の蒸発を最小限に抑えて、窒素原子を蒸発させると考えられる。したがって、当該照射は、残りの材料中の窒素の原子パーセントを減少させる。LEDクーポン1およびバックプレーン32は、この工程の間およびその後に、透明パネル430によってLEDクーポン1に加えられる圧力によって適所に保持されうる。
【0059】
一実施形態では、特定の理論によって拘束されることなく、LED10Aの照射されたバッファ層11は、ガリウムリッチドロップ111に変換されうると考えられる。ガリウムリッチドロップ111は、純粋な液体ガリウムリッチドロップから構成されていてもよく、または、60%~99%など、55%より大きい原子濃度でガリウムを含有するガリウムと窒素との合金を含んでいてもよい。
【0060】
図6Cに示されるように、液体ガリウムリッチドロップ111は、LEDクーポン1の温度がガリウムまたはその合金の融解温度(例えば、29.76℃)より低く維持される場合、照射後に固体ガリウムリッチ材料部(例えば、純ガリウムまたはガリウムリッチ合金粒子または領域)211に固化しうる。一実施形態では、ガリウムリッチ材料部211は、60%~100%など、55%より大きい原子濃度でガリウム原子を含んでいてもよい。ガリウムリッチ材料部211は、10nm~50nmなど、5nm~100nmの範囲の平均厚さを有しうるが、より薄い厚さおよびより厚い厚さが用いられてもよい。ガリウムリッチ材料部211は、連続材料層を含んでいてもよいし、または、ボール形状の材料部のクラスターを含んでいてもよい。レーザビームLDが照射されていないLEDクーポン1上のLED10B、10Cのバッファ層11は、約50原子パーセントのガリウムを有する窒化ガリウムバッファ層などのバッファ層11として残り、したがって、ガリウムリッチ材料部211よりも高い融点を有する。
【0061】
また、隣り合う各対のバックプレーン側接合材料部37およびダイオード側接合材料部17は、レーザ照射中に互いに接触するだけで互いに接合されないため、レーザ照射による機械的衝撃は、比較的脆弱なポリマーを含みうるバックプレーン32に伝達されない。したがって、ガリウムリッチ材料部211を形成する
図6Bおよび
図6Cに関して上述した部分レーザリフトオフは、バックプレーン32とバックプレーン32上の導電性要素(34、325)とに殆どまたは全くダメージを与えない。さらに、部分レーザリフトオフ処理は、接合リフローが部分レーザリフトオフの後に起こるため、後続の処理工程において再固化された接合材料部へのダメージを防止する。
【0062】
図6Dを参照すると、バックプレーン32およびLEDクーポン1は、接合材料部(17、37)の変形を引き起こす(即ち、接合材料部を圧印して任意の粗い接合表面を滑らかにする)ように、より大きな力で互いに対して押圧されうる。したがって、各篏合対のそれぞれのダイオード側接合材料部17とそれぞれのバックプレーン側接合材料部37とは、LED10Aのバッファ層11をガリウムリッチ材料部211に変換した後、第1圧力よりも大きい第2圧力で互いに対して押圧されうる。
図6Dに示されるように、第2圧力は、ダイオード側接合材料部17およびバックプレーン側接合材料部37を変形させるのに十分な圧力であればよい。例示的な例では、100,000対のダイオード側接合材料部17とバックプレーン側接合材料部37とがバックプレーン32とLEDクーポン1との間に存在する場合、透明パネル430によって加えられる圧力の大きさは500N~1,000Nの範囲内でありうる。
【0063】
図6Eを参照すると、局所的なレーザ照射処理は、LED10Aの下にあるダイオード側接合材料部17とバックプレーン側接合材料部37との嵌合対のリフローおよび接合を引き起こすために行われうる。レーザ照射は、バックプレーン32へのLED10Aの接合を引き起こし、本明細書では接合レーザ照射処理と呼ばれる。接合レーザ照射処理中に使用されるレーザビームLBは、LED10A内のIII-V族化合物半導体材料(例えば、ガリウムおよび窒素を含有する材料)のバンドギャップよりも小さい光子エネルギーを有することができ、したがって、LED10Aを通過することができる。例えば、接合レーザ照射処理で用いられるレーザビームLBは、9.4ミクロンまたは10.6ミクロンの波長を有する二酸化炭素レーザビームなどの赤外レーザビームであってもよい。
【0064】
照射された一対のダイオード側接合材料部17とLED10Aに接続されたバックプレーン側接合材料部37とは、ダイオード側接合材料部17とバックプレーン側接合材料部37との対の接合材料(はんだ材でもよい)がリフローするリフロー温度に加熱されうる。ダイオード側接合材料部17とバックプレーン側接合材料部37との篏合対へのレーザビームLBの照射が終了すると、リフローされた材料が再固化して再固化接合材料部47が得られる。つまり、再固化接合材料部47は、LED10Aの接合パッド34およびコンタクトレベル材料層15に接合される。
【0065】
したがって、LED10Aは、リフローされて再固化されて再固化接合材料部47を形成するようにリフローされて再固化する少なくとも1つの接合材料部(17、37)のそれぞれの下にあるセットへの局部的なレーザ照射によって、接合パッド34のそれぞれの下にある1つに接合されうる。LED10Aを移載するための局所的なレーザ照射の間、LED10B、10Cについてのダイオード側接合材料部17とバックプレーン側接合材料部37との嵌合対は、第2圧力で互いに押圧されうる。したがって、LED10Aをバックプレーン32に接合することができ、LEDクーポン1上のLED10B、10Cをバックプレーン32に接合しないままにすることができる。ガリウムリッチ材料部211は、成長基板8と第1導電型半導体層12との間に弱い接着力を提供する。LED10Aは、ガリウムリッチ材料部211によって適所に保持されるため、従来技術の接合処理よりも低出力のレーザビームLBが使用されうる。これにより、バックプレーン32へのダメージが更に低減される。はんだフラックス35は、レーザビームLBの照射中に蒸発させてもよいし、この工程の後に流出させてもよい。
【0066】
図6Fを参照すると、真空源440は、バックプレーン32とLEDクーポン1との間の空間Sを真空引きすることを停止し、透明パネル430がLEDクーポン1に下向きの圧力を加えることを停止する。次いで、バックプレーン32は、ガリウムリッチ材料部211の溶融温度よりも高いがアモルファスバッファ層11の溶融温度よりも低い(例えば、窒化ガリウムの溶融温度よりも低い)温度まで加熱されうる。例えば、ガリウムリッチ材料部211が純粋なガリウムを含む場合、ガリウムリッチ材料部211をガリウムリッチドロップ111に溶融させるために、少なくとも摂氏30度(例えば、摂氏35~50度)に温度を上昇させうる。これにより、LED10B、10Cが影響を受けずに成長基板8に固定されたままである間に、LED10Aを、機械的な力を加えてまたは加えずに、成長基板8から分離することが可能になる。任意選択的に、ガリウムリッチ材料部311(再固化ガリウムリッチドロップ111または部分211の残部など)は、第1導電型半導体層12の表面上に位置することができる。
【0067】
同じ方法は、LED10Bおよび10Cをバックプレーン32に移載するために逐次使用されうる。具体的には、真空が解放され、第1色のLED10Aを含むLEDクーポン1の残りの部分が装置400または450から除去され(即ち、透明パネル430が持ち上げられた後にバックプレーン32から離れるように移動され)、一方、接合されたLED10Aはバックプレーンに接合されたままである。次いで、異なる色のLED10Bを含む異なるLEDクーポン1が、バックプレーン32上に配置される。再び真空引きが行われ、LED10Bについて
図6A~
図6Fの処理工程が繰り返される。次いで、LED10Cについて同じ工程が繰り返される。
【0068】
図7は、いくつかの実施形態による、LEDを移載する方法のフローチャートを示す。
図7に示されるように、本方法は、バックプレーンをバッキングボード上に配置し、複数のLEDクーポンをバックプレーン上に配置する工程610を含む。本方法はまた、バックプレーンの周囲の周りに封止部材を提供する工程620を含む。封止部材420は、バッキングボードに恒久的に取り付けられてもよく、或いは、工程610の前または後に装置内に配置されてもよい。本方法はまた、バッキングボードと透明パネルとの間に空間が形成されるように、複数のLEDクーポンにわたって封止部材上に柔軟な透明パネルを配置する工程630を含む。本方法はまた、透明パネルが複数のLEDクーポンをバックプレーンに向かって押圧するように当該空間を真空引きする工程640を含む。透明パネルは、真空引き後、複数のLEDクーポンをバックプレーンに向かって押圧するようにバックプレーンに向かって撓む。本方法はまた、バックプレーン上に配置された複数の第1LEDクーポンを照射するように透明パネルを通してレーザ放射を導く工程650を含む。
【0069】
上記は特定の好ましい実施形態に言及しているが、本発明はそのように限定されないことが理解されたい。当業者であれば、開示された実施形態に様々な変更を加えることができ、そのような変更は本発明の範囲内であることが意図されていることが分かるであろう。特定の構造および/または構成を使用する実施形態が本開示において例示される場合、本発明はそのような置換が明示的に禁止されないか、または沿わなければ当業者に不可能であることが知られていない限り、機能的に均等物である任意の他の互換性のある構造および/または構成とともに実施されうることが理解される。
【国際調査報告】