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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】放射線走査機器
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/046 20180101AFI20240709BHJP
   G01N 23/10 20180101ALN20240709BHJP
【FI】
G01N23/046
G01N23/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579430
(86)(22)【出願日】2022-07-01
(85)【翻訳文提出日】2023-12-22
(86)【国際出願番号】 CN2022103432
(87)【国際公開番号】W WO2023280079
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】202110769674.8
(32)【優先日】2021-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515221794
【氏名又は名称】ヌクテック カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】511031733
【氏名又は名称】チンファ ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】Tsinghua University
【住所又は居所原語表記】No. 1, Qinghua Yuan, Haidian District, Beijing 100084, China
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(74)【代理人】
【識別番号】100209060
【弁理士】
【氏名又は名称】冨所 剛
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ジーチアン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,リー
(72)【発明者】
【氏名】ファン,チンピン
(72)【発明者】
【氏名】ジン,シン
(72)【発明者】
【氏名】ディン,ホイ
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,ヨン
(72)【発明者】
【氏名】フー,バオユアン
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ,ジェンファ
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001AA10
2G001BA11
2G001CA01
2G001DA01
2G001DA02
2G001DA06
2G001DA08
2G001HA14
2G001JA09
2G001KA06
2G001LA10
2G001PA11
(57)【要約】
放射線走査機器は、被検体(6)が放射線走査機器の走査領域を通過するように搬送する搬送装置(1)と、放射線ビームの少なくとも1つの放射線源点をそれぞれが有する複数の放射線源モジュール(31,32,33,34)であって、搬送装置(1)の上方において走査領域の周りに配置され、且つ被検体(6)の搬送方向に垂直な平面内に固定される複数の放射線源モジュールを備える放射線源(3)と、端部が互いに接続されて走査領域を囲むように配置され且つ被検体の搬送方向に垂直な平面内に固定される複数の検知器群(41,42,43,44)を備え、走査期間に被検体を透過した放射線を検出することに用いられる検知器(4)と、を備え、検知器(4)は、被検体(6)の搬送方向に垂直な方向に沿って、放射線源(3)と走査領域との間に位置し、放射線源(3)と検知器(4)とは、被検体(6)の搬送方向に沿って少なくとも一部が重なるように配置され、複数の放射線源モジュール(31,32,33,34)は、互いに個別に着脱される。
【選択図】図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線走査機器であって、
被検体が前記放射線走査機器の走査領域を通過するように搬送する搬送装置と、
放射線ビームを放射する少なくとも1つの放射線源点をそれぞれが有する複数の放射線源モジュールであって、前記搬送装置の上方において前記走査領域の周りに配置され且つ前記被検体の搬送方向に垂直な平面内に固定される前記複数の放射線源モジュールを備える放射線源と、
端部が互いに接続されて前記走査領域を囲むように配置され且つ前記被検体の搬送方向に垂直な平面内に固定される複数の検知器群を備え、走査期間に伝送された前記被検体を透過した放射線を検出することに用いられる検知器と、を備え、
前記検知器は、前記被検体の搬送方向に垂直な方向に沿って、前記放射線源と前記走査領域との間に位置し、前記放射線源と前記検知器とは、前記被検体の搬送方向に沿って少なくとも一部が重なるように配置され、前記複数の放射線源モジュールは、互いに個別に着脱可能である、
放射線走査機器。
【請求項2】
前記放射線源モジュールは、分散式マルチポイント放射線源であり、前記複数の放射線源モジュールは、前記走査領域を囲んで前記搬送装置の下方に開口する非密閉構造に構成される、
請求項1に記載の放射線走査機器。
【請求項3】
前記複数の放射線源モジュールの各々は、直線分散型マルチポイント放射線源であり、複数の直線分散型マルチポイント放射線源は、前記走査領域の上側、左側及び右側に配置され、前記複数の直線分散型マルチポイント放射線源の端部は、直接接続され、又は間隔を置いて配置される、
請求項2に記載の放射線走査機器。
【請求項4】
前記複数の放射線源モジュールは、複数の第1の分散型マルチポイント放射線源及び複数の第2の分散型マルチポイント放射線源を備え、前記複数の第1の分散型マルチポイント放射線源と前記複数の第2の分散型マルチポイント放射線源とが交互に配置され、且つ端部同士が直接接続され又は間隔を置いて設置される、
請求項2に記載の放射線走査機器。
【請求項5】
前記第1の分散型マルチポイント放射線源は、直線分散型マルチポイント放射線源であり、前記第2の分散型マルチポイント放射線源は、前記第1の分散型マルチポイント放射線源よりも長さが短い直線分散型マルチポイント放射線源又は弧型分散型マルチポイント放射線源である、
請求項4に記載の放射線走査機器。
【請求項6】
前記複数の放射線源モジュールの各々は、シングルポイント放射線源群であり、複数のシングルポイント放射線源群は、少なくとも前記搬送装置の上方の左側視野角、右側視野角、頂側視野角及びコーナー斜め視野角に配置され、且つ各シングルポイント放射線源群は、少なくとも2つのシングルポイント放射線源を備える、
請求項1に記載の放射線走査機器。
【請求項7】
各放射線源モジュールは、それぞれの放射線発生装置を収容するための個別のキャビティを有する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の放射線走査機器。
【請求項8】
各放射線源モジュールの個別のキャビティには、取付位置決め構造が設けられ、前記取付位置決め構造は、前記放射線源モジュールを取り付けて位置決めすることに用いられ、且つ前記放射線源モジュールを回動させて放射線ビームのビーム出射角度を調整する、
請求項7に記載の放射線走査機器。
【請求項9】
各検知器群は、複数の検知器ユニットを備える検知器アレイであり、前記複数の検知器群は、前記走査領域を囲む閉じた方形構造、矩形構造、多角形構造又は楕円形構造に配置される、
請求項1から6、8のいずれか一項に記載の放射線走査機器。
【請求項10】
各検知器群はリニア検知器アレイであり、前記検知器は四つのリニア検知器アレイを備え、前記四つのリニア検知器アレイは走査領域の上下左右の四側に配置され、矩形又は方形構造が形成される、
請求項9に記載の放射線走査機器。
【請求項11】
各検知器群は、リニア検知器アレイであり、前記検知器は、複数の第1のリニア検知器アレイ及び複数の第2のリニア検知器アレイを備え、前記第2のリニア検知器アレイは、前記第1のリニア検知器アレイよりも短く、前記第1のリニア検知器アレイ及び前記第2のリニア検知器アレイは、前記走査領域を囲んで交互に配置されて、多角形構造が形成される、
請求項9に記載の放射線走査機器。
【請求項12】
前記検知器の各検知器群は、互いに個別に着脱可能である、
請求項9に記載の放射線走査機器。
【請求項13】
前記検知器の各検知器群は、前記被検体の搬送方向に沿って移動することで着脱されるように構成される、
請求項12に記載の放射線走査機器。
【請求項14】
前記検知器の各検知器群は、一部の検知器群が前記被検体の搬送方向に沿って移動することで着脱され、他の一部の検知器群が前記被検体の搬送方向の垂直方向に沿って移動することで着脱されるように構成される、
請求項12に記載の放射線走査機器。
【請求項15】
前記検知器の各検知器群は、検知器アームを備え、前記放射線走査機器は、前記放射線走査機器の取付台に対して固定された支持フレームを備え、前記検知器群は、前記検知器アームを介して前記被検体の搬送方向または前記被検体の搬送方向の垂直方向に沿って移動することで、前記支持フレームに取り付けられ、または前記支持フレームから取り外される、
請求項13または14に記載の放射線走査機器。
【請求項16】
前記検知器の各検知器群は、同じ側の放射線源モジュールの放射線を避け、且つ、同じ側の放射線源モジュールを除いた残りの全ての側の放射線源モジュールの放射線を受信するように構成される、
請求項9に記載の放射線走査機器。
【請求項17】
前記検知器群の各検知器ユニットは、走査期間に伝送された前記被検体を透過した放射線を受信するための検知器結晶を備え、前記検知器結晶は、前記被検体の搬送方向に沿った前記検知器ユニットの端部に配置され、且つ、前記被検体の搬送方向に同じ側の前記放射線源モジュールの放射線ビームのエッジに近接するが、前記放射線ビームを遮蔽しないように配置される、
請求項9に記載の放射線走査機器。
【請求項18】
前記放射線源の各放射線源モジュールは、放射線ビームが同じ側の検知器群を避け且つ対向側の検知器群の前記検知器結晶を照射するように配置される、
請求項17に記載の放射線走査機器。
【請求項19】
各放射線源モジュールは、放射線ビームの中心位置が対向側の検知器群の検知器結晶に照射されるように、ターゲット軸周りに回転するように構成される、
請求項18に記載の放射線走査機器。
【請求項20】
さらに、前記放射線源モジュールの端部における投影データ欠落に対してデータ補償及び/又は再構成画像修復を行って完全な再構成画像を得るように配置される画像処理モジュールを備える、
請求項1から6、8、10~14、16~19のいずれか一項に記載の放射線走査機器。
【請求項21】
前記画像処理モジュールは、反復法、画像修復方法又は両者の組み合わせにより画像再構成を行うように構成される、
請求項20に記載の放射線走査機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年07月07日に提出された名称が「放射線走査機器」である中国特許出願の第202110769674.8号の優先権を主張し、この出願の全ての内容は、引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、データ放射イメージング分野に属し、特に、放射線走査機器に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の静止コンピュータ断層撮影(Computed Tomography、CT)技術(分散型マルチポイント放射線源)又は多視野角(シングルポイント放射線源)セキュリティ検査装置には、通常、複数の異なる視野角が被検体の搬送方向に垂直又は斜めの異なる平面内に配置され、又は全ての放射線源が個別の環状又は矩形の密閉キャビティに集中される。検知器アレイの結晶の多くは放射線源の放射線ビームの中心面に垂直であり、同じ1組の検知器アレイは、1組の分散型マルチポイント放射線源又は1つのシングルポイント放射線源のみに対応する。
【0004】
関連技術には、ダブルリング構造設計の静止CTもあり、それはスリップリングCTの作動原理を模擬し、放射線源と検知器を2つの異なる円環に配置し、放射線源円環と検知器円環とが被検体の搬送方向に沿って一定の間隔を置いている。
【発明の概要】
【0005】
本願の実施例は、複数の放射線源が個別の環状の密閉キャビティ内に集中することによる信頼性及びメンテナンス性が悪いという問題を解決できるとともに、検知器の各検知器組は複数の放射線源モジュールに共用されて機器コストを低減することができ、また、光路の被覆範囲をできるだけ短くした場合に検知器の交換又はメンテナンスを容易にさせ、同時に、放射線ビームの中心と検知器の表面との間の傾斜角を小さくし、画像品質を向上させることができる放射線走査機器を提供する。
【0006】
第1の態様によれば、本願の実施例は、放射線走査機器を提供し、放射線走査機器は、被検体が放射線走査機器の走査領域を通過するように搬送する搬送装置と、それぞれが放射線ビームの少なくとも1つの放射線源点を有する複数の放射線源モジュールであって、搬送装置の上方において走査領域の周りに配置され且つ被検体の搬送方向に垂直な平面内に固定される複数の放射線源モジュールを備える放射線源と、端部が互いに接続されて走査領域を囲むように配置され且つ被検体の搬送方向に垂直な平面内に固定される複数の検知器群を備え、走査期間に伝送された被検体を透過した放射線を検出することに用いられる検知器と、を備え、検知器は、被検体の搬送方向に垂直な方向に沿って、放射線源と走査領域との間に位置し、放射線源と検知器とは、被検体の搬送方向に沿って少なくとも一部が重なるように配置され、前記複数の放射線源モジュールは、互いに個別に着脱可能である。
【0007】
本実施例に係る放射線走査機器では、搬送装置の上方のみに走査領域の周りに放射線源モジュールが配置され、搬送装置の下方に放射線源モジュールが配置されず、検知器が走査領域の周りに配置され、このような放射線走査機器は、搬送装置の高さを低下させることができ、放射線走査機器の搬送装置への被検体の移動を容易にさせ、且つ画像品質を確保しながら製造コストを低減することができる。
【0008】
いくつかの実施例によれば、放射線源モジュールは、分散式マルチポイント放射線源であり、複数の放射線源モジュールは、走査領域を囲んで搬送装置の下方に開口する非密閉構造に構成される。
【0009】
いくつかの実施例によれば、複数の放射線源モジュールの各々は、直線分散型マルチポイント放射線源であり、複数の直線分散型マルチポイント放射線源は、前記走査領域の上側、左側及び右側に配置され、複数の直線分散型マルチポイント放射線源の端部は、直接接続され、又は間隔を置いて配置される。
【0010】
いくつかの実施例によれば、複数の放射線源モジュールは、複数の第1の分散型マルチポイント放射線源及び複数の第2の分散型マルチポイント放射線源を備え、複数の第1の分散型マルチポイント放射線源と複数の第2の分散型マルチポイント放射線源とが交互に配置され、且つ端部同士が直接接続され又は間隔を置いて設置される。
【0011】
いくつかの実施例によれば、第1の分散型マルチポイント放射線源は、直線分散型マルチポイント放射線源であり、第2の分散型マルチポイント放射線源は、第1の分散型マルチポイント放射線源よりも長さが短い直線分散型マルチポイント放射線源又は弧型分散型マルチポイント放射線源である。
【0012】
いくつかの実施例によれば、複数の放射線源モジュールの各々は、シングルポイント放射線源群であり、複数のシングルポイント放射線源群は、少なくとも搬送装置の上方の左側視野角、右側視野角、頂側視野角及びコーナー斜め視野角に配置され、且つ各シングルポイント放射線源群は、少なくとも2つのシングルポイント放射線源を備える。
【0013】
いくつかの実施例によれば、各放射線源モジュールは、それぞれの放射線発生装置を収容するための個別のキャビティを有する。
【0014】
いくつかの実施例によれば、各放射線源モジュールの個別のキャビティには、取付位置決め構造が設けられ、取付位置決め構造は、放射線源モジュールを取り付け及び位置決めすることに用いられ、且つ放射線源モジュールを回動させて放射線ビームのビーム出射角度を調整する。
【0015】
いくつかの実施例によれば、各検知器群は、複数の検知器ユニットを備える検知器アレイであり、複数の検知器群は、走査領域を囲む閉じた方形構造、矩形構造、多角形構造又は楕円形構造に配置される。
【0016】
いくつかの実施例によれば、各検知器群はリニア検知器アレイであり、検知器は四つのリニア検知器アレイを備え、四つのリニア検知器アレイは走査領域の上下左右四側に配置され、矩形又は方形構造が形成される。
【0017】
いくつかの実施例によれば、各検知器群は、リニア検知器アレイであり、検知器は、複数の第1のリニア検知器アレイ及び複数の第2のリニア検知器アレイを備え、第2のリニア検知器アレイは、第1のリニア検知器アレイよりも短く、第1のリニア検知器アレイ及び第2のリニア検知器アレイは、走査領域を囲んで交互に配置されて、多角形構造が形成される。
【0018】
いくつかの実施例によれば、検知器の各検知器群は、互いに個別に着脱可能である。
【0019】
いくつかの実施例によれば、検知器の各検知器群は、被検体の搬送方向に沿って移動することで着脱されるように構成される。
【0020】
いくつかの実施例によれば、検知器の各検知器群は、一部の検知器群が被検体の搬送方向に沿って移動することで着脱され、他の一部の検知器群が被検体の搬送方向の垂直方向に沿って移動することで着脱されるように構成される。
【0021】
いくつかの実施例によれば、検知器の各検知器群は、検知器アームを備え、放射線走査機器は、放射線走査機器の取付台に対して固定された支持フレームを備え、検知器群は、検知器アームを介して被検体の搬送方向または前記被検体の搬送方向の垂直方向に沿って移動することで、支持フレームに取り付けられ、または支持フレームから取り外される。
【0022】
いくつかの実施例によれば、検知器の各検知器群は、同じ側の放射線源モジュールの放射線を避け、且つ、同じ側の放射線源モジュールを除いた残りの全ての放射線源モジュールの放射線を受信するように構成される。
【0023】
いくつかの実施例によれば、検知器群の各検知器ユニットは、走査期間に被検体を透過した放射線を伝送するための検知器結晶を備え、検知器結晶は、検知器ユニットの被検体の搬送方向に沿った端部に配置され、且つ、被検体の搬送方向に同じ側の放射線源モジュールの放射線ビームのエッジに近接するが放射線ビームを遮蔽しないように配置される。
【0024】
いくつかの実施例によれば、放射線源の各放射線源モジュールは、放射線ビームが同じ側の前記検知器群を避け且つ対向側の検知器群の検知器結晶を照射するように配置される。
【0025】
いくつかの実施例によれば、各放射線源モジュールは、放射線ビームの中心位置が対向側の検知器群の検知器結晶に照射されるように、ターゲット軸周りに回転するように構成される。
【0026】
いくつかの実施例によれば、放射線操作機器は、さらに、放射線源モジュールの端部における投影データ欠落に対してデータ補償及び/又は再構成画像修復を行って完全な再構成画像を得るように配置される画像処理モジュールを備える。
【0027】
いくつかの実施例によれば、画像処理モジュールは、反復法、画像修復方法又は両者の組み合わせにより画像再構成を行うように構成される。
【0028】
第2の態様によれば、本願の実施例は、放射線走査機器をさらに提供し、放射線走査機器は、被検体が放射線走査機器の走査領域を通過するように搬送する搬送装置と、放射線ビームを放射する少なくとも1つの放射線源点をそれぞれが有する複数の放射線源モジュールであって、走査領域の左側又は右側に開口する非密閉構造で走査領域周りに配置され且つ被検体の搬送方向に垂直な平面内に固定される前記複数の放射線源モジュールを備える放射線源と、端部が互いに接続されて走査領域を囲むように配置され且つ被検体の搬送方向に垂直な平面内に固定される複数の検知器群を備え、走査期間に伝送された前記被検体を透過した放射線を検出することに用いられる検知器と、を備え、検知器は、被検体の搬送方向に垂直な方向に沿って放射線源と走査領域との間に位置し、放射線源と検知器とは、被検体の搬送方向に沿って少なくとも一部が重なるように配置され、複数の放射線源モジュールは、互いに個別に着脱可能である。
【0029】
本実施例に係る放射線走査機器において、放射線源モジュールは、走査領域の上側、下側、及び左側又は右側に走査領域を囲むように配置され、検知器は走査領域の周りに配置され、このような放射線走査機器は空港の手荷物を検出することに適用され、空港の手荷物の幅が大きく厚さが小さいという特徴を利用して、荷物の自己遮蔽及び放射線減衰による投影データへの影響を考慮し、高画質を確保しながら製造コストを低減することができる。
【0030】
いくつかの実施例によれば、放射線源モジュールは分散型マルチポイント放射線源であり、複数の放射線源モジュールは、走査領域の周りに走査領域の左側又は右側に開口する非密閉構造に構成される。
【0031】
いくつかの実施例によれば、複数の放射線源モジュールの各々は、直線分散型マルチポイント放射線源であり、複数の直線分散型マルチポイント放射線源は、走査領域の上側、下側、及び左側又は右側にそれぞれ配置されることで、走査領域の左側又は右側に開口する非密閉構造が構成され、複数の直線分散型マルチポイント放射線源の端部は、直接接続され、又は間隔を置いて配置される。
【0032】
いくつかの実施例によれば、複数の放射線源モジュールは、複数の第1の分散型マルチポイント放射線源及び複数の第2の分散型マルチポイント放射線源を備え、複数の第1の分散型マルチポイント放射線源と複数の第2の分散型マルチポイント放射線源とが交互に配置され、且つ端部同士が直接接続され又は間隔を置いて設置される。
【0033】
いくつかの実施例によれば、第1の分散型マルチポイント放射線源は、直線分散型マルチポイント放射線源であり、第2の分散型マルチポイント放射線源は、第1の分散型マルチポイント放射線源よりも長さが短い直線分散型マルチポイント放射線源又は弧状分散型マルチポイント放射線源である。
【0034】
いくつかの実施例によれば、複数の放射線源モジュールの各々はシングルポイント放射線源群であり、複数のシングルポイント放射線源群は、少なくとも走査領域の頂側視野角、底側視野角、左側視野角、又は右側視野角及び少なくとも一部のコーナー斜め視野角に配置され、且つ各シングルポイント放射線源群は少なくとも2つのシングルポイント放射線源を備える。
【0035】
いくつかの実施例によれば、各放射線源モジュールは、それぞれの放射線発生装置を収容するための個別のキャビティを有する。
【0036】
いくつかの実施例によれば、各放射線源モジュールのキャビティは、複数のターゲットポイントを収容するための個別の真空チャンバを備える。
【0037】
いくつかの実施例によれば、各放射線源モジュール内のターゲットポイント間の間隔は、隣接の放射線源モジュールの端部におけるターゲットポイント間の間隔よりも小さい。
【0038】
いくつかの実施例によれば、各放射線源モジュールの個別のキャビティには、取付位置決め構造が設けられ、取付位置決め構造は、放射線源モジュールを取り付け及び位置決めすることに用いられ、放射線源モジュールを回動させて放射線ビームのビーム出射角度を調整することに用いられる。
【0039】
いくつかの実施例によれば、各検知器群は、複数の検知器ユニットを備える検知器アレイであり、複数の検知器群は、走査領域を囲む閉じた方形構造、矩形構造、多角形構造又は楕円形構造に配置される。
【0040】
いくつかの実施例によれば、各検知器群はリニア検知器アレイであり、検知器は4つのリニア検知器アレイを備え、4つのリニア検知器アレイは走査領域の上下左右四側に配置されることで、矩形又は方形構造が形成される。
【0041】
いくつかの実施例によれば、各検知器群は、リニア検知器アレイであり、検知器は、複数の第1のリニア検知器アレイ及び複数の第2のリニア検知器アレイを備え、第2のリニア検知器アレイは、第1のリニア検知器アレイよりも短く、複数の第1のリニア検知器アレイ及び複数の第2のリニア検知器アレイは、走査領域の周りに交互に配置されることで、多角形構造が形成される。
【0042】
いくつかの実施例によれば、検知器の各検知器群は、互いに個別に着脱可能である。
【0043】
いくつかの実施例によれば、走査領域の上側及び下側、並びに放射線源構造の開口における検知器群は、被検体の搬送方向に対して垂直に移動することで着脱されるように構成され、放射線源構成の開口の反対側の検知器群は、被検体の搬送方向に沿って移動することで着脱されるように構成される。
【0044】
いくつかの実施例によれば、検知器の各検知器群は、検知器アームを備え、放射線走査機器は、放射線走査機器の取付台に対して固定された支持フレームを備え、検知器群は、検知器アームを介して支持フレームに取り付けられ又は支持フレームから取り外される。
【0045】
いくつかの実施例によれば、検知器の各検知器群は、同じ側の放射線源モジュールの放射線ビームを避け且つ同じ側の放射線源モジュールを除く残りの全ての側の放射線源モジュールの放射線を受信するように構成される。
【0046】
いくつかの実施例によれば、検知器群の各検知器ユニットは、走査期間に伝送された被検体を透過した放射線を受信するための検知器結晶を備え、検知器結晶は、被検体の搬送方向に沿った検知器ユニットの端部に配置され、且つ被検体の搬送方向に同じ側の放射線源モジュールの放射線ビームのエッジに近接するように配置されるが、放射線ビームを遮蔽しないように構成される。
【0047】
いくつかの実施例によれば、放射線源の各放射線源モジュールは、放射線ビームが同じ側の検知器群を避け且つ対向側の検知器群の検知器結晶を照射するように配置される。
【0048】
いくつかの実施例によれば、各放射線源モジュールは、放射線ビームの中心位置が対向側の検知器群の検知器結晶を照射するように、ターゲット軸周りに回転するように構成される。
【0049】
いくつかの実施例によれば、放射線走査機器は、放射線源モジュールの端部における投影データ欠落に対してデータ補償及び/又は再構成画像修復を行うことで、完全な再構成画像を得るように配置された画像処理モジュールをさらに含む。
【0050】
いくつかの実施例によれば、画像処理モジュールは、反復法、画像修復方法又は両者の組み合わせによって画像再構成を行うように構成される。
【0051】
第3の態様によれば、本願の実施例は、放射線走査機器をさらに提供し、被検体が放射線走査機器の走査領域を通過するように搬送する搬送装置と、放射線ビームを放射する少なくとも1つの放射線源点をそれぞれが備える複数の放射線源モジュールであって、被検体の搬送方向に沿って見て、走査領域の一側に開口する非密閉構造で走査領域を囲むように配置される複数の放射線源モジュールを備える放射線源と、端部が互いに接続されて走査領域の一側に開口する非密閉構造で走査領域を囲むように配置される複数の検知器群を備え、走査期間に伝送された被検体を透過した放射線を検出することに用いられる検知器と、を備え、放射線源の非密閉構造の開口と検知器の非密閉構造の開口とが対向して設けられ、且つ検知器の複数の検知器群が被検体の搬送方向に垂直な同一平面内に固定され、且つ放射線源の複数の放射線源モジュールが被検体の搬送方向に垂直な複数の異なる平面内に配置される。
【0052】
本実施例に係る放射線走査機器において、放射線源及び検知器はいずれも三側のみに走査領域を囲み、四側に(放射線源及び検知器の一方又は両方であってもよい)走査領域を囲む場合に対して、十分なデータを取得して画像再構成を行うことができ、機器コストを低減し、機器重量を小さくすることができ、それにより、軽量化の放射線走査機器を提供することができる。
【0053】
いくつかの実施例によれば、放射線源が検知器の非密閉構造の開口側に位置する放射線源モジュールと検知器の複数の検知器群は、被検体の搬送方向に垂直な同一平面内に固定され、放射線源の他の放射線源モジュールは被検体の搬送方向に垂直な他の平面内に固定される。
【0054】
いくつかの実施例によれば、放射線源の他の放射線源モジュールは、被検体の搬送方向に垂直な他の同一平面内に固定される。
【0055】
いくつかの実施形態によれば、複数の放射線源モジュールは、互いに独立に着脱される。
【0056】
いくつかの実施例によれば、複数の放射線源モジュールの各々は、分散式マルチポイント放射線源であり、被検体の搬送方向に沿って見て、複数の分散型マルチポイント放射線源は、走査領域の三側にそれぞれ配置されることで、走査領域を囲む一側が開口する非密閉構造が構成される。
【0057】
いくつかの実施例によれば、分散型マルチポイント放射線源は、直線、弧線、折れ線形状又はそれらの任意の組み合わせであり、被検体の搬送方向から見て、放射線源が走査領域の一側に開口する直角矩形、角丸矩形、多角形又は楕円形構造が形成される。
【0058】
いくつかの実施例によれば、複数の放射線源モジュールの各々は、シングルポイント放射線源群であり、各シングルポイント放射線源群は、少なくとも2つのシングルポイント放射線源を備える。
【0059】
いくつかの実施例によれば、各放射線源モジュールは、それぞれの放射線発生装置を収容するための個別のキャビティを有する。
【0060】
いくつかの実施例によれば、各放射線源モジュールのキャビティは、複数のターゲットポイントを収容するための個別の真空チャンバを備える。
【0061】
いくつかの実施例によれば、各放射線源モジュール内のターゲットポイント間の間隔は、隣接の放射線源モジュールの端部におけるターゲットポイント間の間隔よりも小さい。
【0062】
いくつかの実施例によれば、各放射線源モジュールの個別のキャビティには、取付位置決め構造が設けられ、取付位置決め構造は、放射線源モジュールを取り付け且つ位置決めすることに用いられ、放射線源モジュールを回動させて放射線ビームの出射角度を調整することに用いられる。
【0063】
いくつかの実施例によれば、各検知器群は、複数の検知器ユニットを備える検知器アレイであり、検知器アレイは、リニア検知器アレイ、弧形検知器アレイ、又は両者の組み合わせを備える。
【0064】
いくつかの実施例によれば、各検知器群はリニア検知器アレイであり、検知器は3つのリニア検知器アレイを備え、3つのリニア検知器アレイはそれぞれ走査領域の三側に配置されて、走査領域の一側に開口する矩形又は方形構造が形成される。
【0065】
いくつかの実施例によれば、各検知器群はリニア検知器アレイであり、検知器は複数の第1のリニア検知器アレイと複数の第2のリニア検知器アレイとを備え、第2のリニア検知器アレイは第1のリニア検知器アレイよりも短く、複数の第1のリニア検知器アレイと複数の第2のリニア検知器アレイは走査領域の周りに交互に配置されることで、走査領域の一側に開口する多角形構造が形成される。
【0066】
いくつかの実施例によれば、検知器の各検知器群は、互いに独立に着脱される。
【0067】
いくつかの実施例によれば、検知器の検知器群は、被検体の搬送方向に対して垂直又は平行に移動することで着脱されるように構成される。
【0068】
いくつかの実施例によれば、検知器の各検知器群は、検知器アームを備え、放射線走査機器は、放射線走査機器の取付台に対して固定された支持フレームを備え、検知器群は、検知器アームを介して支持フレームに取り付けられ又は支持フレームから取り外される。
【0069】
いくつかの実施例によれば、被検体の搬送方向から見て、検知器は、放射線源と走査領域との間に配置され、且つ被検体の搬送方向に沿って、他の放射線源モジュールと同じ側の検知器群との少なくとも一部が重なる。
【0070】
いくつかの実施例によれば、検知器の他の放射線源モジュールと同じ側の検知器群は、同じ側の放射線源モジュールの放射線ビームを避け、且つ同じ側の放射線源モジュールを除く残りの全ての側放射線源モジュールの放射線を受信するように構成される。
【0071】
いくつかの実施例によれば、検知器群の各検知器ユニットは、走査期間に伝送された被検体を透過した放射線を受信するための検知器結晶を備え、検知器結晶は、被検体の搬送方向に沿った検知器ユニットの端部に配置され、検知器の他の放射線源モジュールと同じ側の検知器群の検知器結晶は、被検体の搬送方向に同じ側の放射線源モジュールの放射線ビームのエッジに近接するが、放射線ビームを遮蔽しないように配置される。
【0072】
いくつかの実施例によれば、放射線源の他の放射線源モジュールは、放射線ビームが同じ側の検知器グループを避け、且つ対向側の検知器グループの検知器結晶を照射するように配置される。
【0073】
いくつかの実施例によれば、他の放射線源モジュールは、放射線ビームの中心位置が対向側の検知器群の検知器結晶を照射するように、ターゲット軸周りに回転するように構成される。
【0074】
いくつかの実施例によれば、放射線走査機器は、放射線源モジュールの端部における投影データ欠落に対してデータ補償及び/又は再構成画像修復を行うことで、完全な再構成画像を得るように配置される画像処理モジュールをさらに備える。
【0075】
いくつかの実施例によれば、画像処理モジュールは、反復法、画像修復方法又は両者の組み合わせによって画像再構成を行うように構成される。
【0076】
第4の態様によれば、本願の実施例は、放射線源と固定に設置された支持フレームとを備える放射線源走査機器の放射線源の取付位置決め構造は、本体を含み、本体は放射線源と支持フレームに固定接続され、放射線源は本体を介して支持フレームに固定されて取り付けられ、取付位置決め構造は、放射線源が移動装置によって第1の平面において所定の取付位置に移動される上記移動装置と、第1の平面において放射線源を位置決めするための第1の位置決め装置と、第1の方向に沿って放射線源の位置を調整するための昇降装置とを備え、第1の方向は第1の平面に垂直であり、第2の位置決め装置は第1の方向に放射線源の位置を固定するために用いられる。
【0077】
上記実施例による取付位置決め構造により、放射線源の各放射線源モジュールが個別に着脱され、放射線源モジュールのビーム出射角度を調整することもできる。
【0078】
いくつかの実施例によれば、移動装置は、放射線源の長手方向に沿った両端に設けられたローラを備える。
【0079】
いくつかの実施例によれば、第1の位置決め装置は、第1の位置決めピンと、本体及び支持フレームに設けられた、第1の位置決めピンに対応する第1ピン穴とを備える。
【0080】
いくつかの実施例によれば、昇降装置は放射線源の長手方向に沿った両端に設置され、一端の昇降装置は昇降可能なローラとして形成され、他端の昇降装置はワイヤーロープとして形成される。
【0081】
いくつかの実施例によれば、第2位置決め装置は、位置決めブロックとして形成され、位置決めブロックは、放射線源が昇降装置によって第1方向に沿った所定位置に調整された後に本体の下方に配置される。
【0082】
いくつかの実施例によれば、取付位置決め構造は、放射線源のビーム出射角度を調整するために所定の軸線に沿って放射線源を回転させる調整装置をさらに備える。
【0083】
いくつかの実施例によれば、放射線源には取付軸が設けられ、本体には対応する軸孔が設けられ、本体は軸孔を介して放射線源の取付軸に取り付けられ、位置決め取付構造は位置決め部材及び締結具をさらに備え、本体は位置決め部材及び軸孔と取付軸との係合によって放射線源に対して位置決めされ、且つ締結具によって放射線源に固定接続され、調整装置は回転駆動装置を含み、回転駆動装置は位置決め部材及び締結具が緩んだ場合に放射線源を取付軸周りに回転駆動することができる。
【0084】
いくつかの実施例によれば、回転駆動装置は、放射線源に固定された調整ブロックと、本体に設けられた調整ブロックに当接するイモネジとを備え、イモネジは、回転されて調整ブロックを移動させることで、放射線源を回転させることができる。
【0085】
いくつかの実施例によれば、位置決め部材は、第2の位置決めピンと、本体及び放射線源に形成される対応する第2のピン孔とを備え、締結具は、固定ボルトと、本体及び放射線源に形成された対応するネジ孔とを備える。
【0086】
いくつかの実施例によれば、放射線源及び固定設置された支持フレームを備え、放射線源は、上記のいずれかの実施例の取付位置決め構造を介して支持フレームに固定され取り付けられる放射線走査機器をさらに提供する。
【0087】
いくつかの実施例によれば、放射線走査機器は、取付位置決め構造によって放射線源を回転させて放射線源のビーム出射角度を調整する。
【0088】
第5の態様によれば、本願の実施例は、放射線走査機器の検知器の取付固定構造をさらに提供し、放射線走査機器は、検知器と固定設置された支持フレームとを備え、検知器は1つ又は複数の検知器群を含み、検知器群は取付固定構造を介して支持フレームに固定されて取り付けられ又は支持フレームから取り外され、取付固定構造は、検知器群に固定的に設けられた第1の取付部と、支持フレームに固定的に固定され且つ第1の取付部と直線的に移動可能に係合し、第1の取付部と第2の取付部とが互いに係合した状態で第2の取付部に沿って所定の取付位置まで移動可能な第2の取付部と、検知器群の幅方向に沿った一方の側に設けられ、支持フレームの取付基準面に対して検知器群を固定するための固定装置と、を備える。
【0089】
上記実施例による取付固定構造によれば、検知器の各検知器群が個別に着脱され、放射線源モジュールの内側に配置する場合に、放射線源モジュールを取り外す必要がなく、着脱及びメンテナンスが可能であり、検知器群の着脱及びメンテナンスの利便性が向上する。
【0090】
いくつかの実施例によれば、第2の取付部は、さらに第1の取付部に係合した状態で検知器群を所定の取付位置に支持するように配置される。
【0091】
いくつかの実施例によれば、第1の取付部はスライダを備え、スライダは検知器群の長手方向に沿って延び、且つ第2の取付部はスライダに係合する固定レールを備える。
【0092】
いくつかの実施例によれば、固定装置は、固定具と、支持フレームに設けられた位置決め部材とを備え、位置決め部材の支持フレームから離れた端面は、検知器群の幅方向に沿った一方側の表面に当接する取付基準面として形成され、締結具は、位置決め部材を貫通し、且つ位置決め部材の端面に対して検知器群が締め付けられる。
【0093】
いくつかの実施例によれば、スライダは、検知器群の幅方向に沿った対向する両側に設けられるとともに、検知器群の幅方向に沿った対向する両側のエッジから内向きに延びる内延部を有し、固定ガイドレールは、幅方向に沿った対向する両側に外向きに延びる外延部を備え、第1の取付部と第2の取付部が係合した状態で、スライダの内延部が固定レールの外延部の上方に位置するとともに両者が接触して重ねて配置されて、検知器群を固定レールに吊り下げられる。
【0094】
いくつかの実施例によれば、固定ガイドレールは、スライダの下方にスライダを支持する。
【0095】
いくつかの実施例によれば、第1の取付部は、検知器群の幅方向に延びるスライド溝として形成され、第2の取付部は、スライド溝に係合するスライドロッドとして形成される。
【0096】
いくつかの実施例によれば、スライドロッドの支持フレームに近い一端には凸部が形成され、凸部の検知器群に向かう表面は、検知器群の幅方向に沿った他方側の表面に当接するための取付基準面として形成される。
【0097】
いくつかの実施例によれば、固定装置は、スライドロッドの凸部と対向する他端に設けられ、且つ凸部とともにそれぞれ検知器群の幅方向の両側に当接するように配置される。
【0098】
いくつかの実施例によれば、固定装置は、位置決めスリーブ及び固定具を含み、位置決めスリーブは、スライドロッドの他端に外嵌られ且つ検知器の幅方向に沿った一側に当接し、且つ締結具は、位置決めスリーブをスライドロッドの他端に固定するために用いられる。
【0099】
いくつかの実施例によれば、第2の取付部は、2つのスライドロッドを含み、第1の取付部は、検知器群の長手方向に沿った両端に形成された2つのスライド溝を備え、2つのスライドロッドと2つのスライド溝は、それぞれ互いに係合されて、検知器群が所定の取付位置に位置決めされる。
【0100】
いくつかの実施例によれば、第1の取付部は、検知器群の幅方向に沿う一方側に固定される固定ブロックとして形成され、固定ブロックは、検知器群の厚み方向の一方側を向く開口を有し、第2の取付部は、支持フレームに固定される片持ち部として形成され、片持ち部の支持フレームから離れた端部には、延在部が設けられ、延在部は、固定ブロックの開口と直線的に移動可能に係合することができる。
【0101】
いくつかの実施例によれば、固定装置は、支持フレームに設けられた固定部材及び固定部材を備え、固定部材の支持フレームから離れた端面は、検知器群の幅方向に沿った一方側の表面に当接するための取付基準面として形成され、締結部材は、固定部材の端面に対して検知器群を締め付けるためのものである。
【0102】
いくつかの実施例によれば、第1の取付部と第2の取付部とが係合された状態において、片持ち部は、固定ブロックによって検知器群を所定の取付位置に支持する。
【0103】
いくつかの実施例によれば、検知器及び固定設置された支持フレームを備える放射線走査機器が提供され、検知器は、1つ又は複数の検知器群を備え、検知器群は、上記のいずれかの実施例の取付固定構造によって支持フレームに取り付けられ且つ固定され、又は支持フレームから取り外される。
【0104】
いくつかの実施例によれば、検知器群の幅方向は、被検体の搬送方向に平行であり、検知器群の長手方向及び厚さ方向は、被検体の搬送方向に対して垂直であり、被検体の搬送方向は、被検体が伝送されて放射線走査機器の走査領域を通過する方向である。
【0105】
いくつかの実施例によれば、検知器が複数の検知器群を備える場合、複数の検知器群の各々に用いられる取付基準面は、被検体の搬送方向に垂直な同一平面内に位置する。
【0106】
いくつかの実施例によれば、第1の取付部が第2の取付部に対して直線移動する方向は、被検体の搬送方向に対して平行又は垂直である。
【0107】
本願の他の特徴及び技術的利点は、以下の図面及び他の実施例の詳細を参照することでより明確にする。
【図面の簡単な説明】
【0108】
本願の実施例又は関連技術の技術案をより明確に説明するために、以下に実施例又は関連技術に必要な図面を簡単に紹介し、以下の図面は本願のいくつかの実施例のみであることは明確である。当業者にとって、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【0109】
図1】本願のいくつかの実施例に係る放射線走査機器の構造模式図を示す。
図2図1に示す放射線走査機器の放射線源及び検知器の具体的な構造を示す模式図である。
図3】本願のいくつかの実施例に係る放射線源の放射線ビーム形状を示す模式図である。
図4】本願のいくつかの実施例に係るターゲットの形式で示される放射線源分散を示す模式図である、
図5】本願のいくつかの実施例に係る放射線源モジュールの取付位置決め構造の模式図である。
図6】本願のいくつかの実施例に係る検知器の分散模式図である。
図7】本願のいくつかの実施例に係るリニア検知器群の構造模式図である。
図8】本願のいくつかの実施例に係る検知器ユニットの構造模式図である。
図9】本願のいくつかの実施例に係る検知器群の取付固定構造の模式図である。
図10】本願のいくつかの実施例に係る放射線源モジュールとその放射線を受信する検知器群との対応関係の模式図である。
図11】本願のいくつかの実施例に係る図1に示す放射線走査機器の、被検体の搬送方向に沿った中心線の断面構造を示す図である。
図12】本願のいくつかの実施例に係る検知器と放射線源のレイアウトを示す平面模式図である。
図13】本願のいくつかの実施例に係る検知器と放射線源の組み合わせの模式図である。
図14】本願のいくつかの実施例に係る、図13に示す検知器と放射線源との組み合わせにおける検知器群の取り外し方向の模式図である。
図15】本願のいくつかの実施例に係る検知器群に適した取付固定構造である。
図16】本願の他のいくつかの実施例に係る検知器群に適した取付固定構造である。
図17】本願のさらなるいくつかの実施例に係る検知器群に適した取付固定構造である。
図18】本願のいくつかの実施例に係る放射線走査機器の放射線源と検知器の配置模式図である。
図19】本願のいくつかの実施例に係る放射線走査機器の放射線源及び検知器のレイアウトを示す斜視模式図である。
図20図19に示す放射線走査機器の放射線源及び検知器の配置をZ軸方向から見た側面図である、
【0110】
図21図19に示す放射線走査機器の放射線源及び検知器のレイアウトを示す平面模式図である。
図22】本願のいくつかの実施例に係る放射線走査機器の放射線源のシングルポイント放射線源の分散模式図である。
図23】本願のいくつかの実施例に係る放射線走査機器の検知器の構造模式図である。
図24】本願のいくつかの実施例に係る検知器の着脱方向の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0111】
以下、本願の各態様の特徴及び例示的な実施例を詳細に説明する。本願の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下に図面及び具体的な実施例を参照して本願をさらに詳細に説明する。理解すべきことは、ここで説明する具体的な実施例は本願を説明するためのみに設けられたものであり、本願を限定するものではない。当業者であれば、本願がこれらの具体的な細部のいくつかの細部を必要とせずに実施されることができる。以下の実施例の説明は、本願の例示を示すことにより本願をよりよく理解するためである。
【0112】
なお、本明細書において、第1の及び第2のなどのような関係用語は一つの実体又は操作を他の実体又は操作と区別するために用いられ、必ずしもこれらの実体又は操作の間にいかなるこのような関係又は順序が存在することを要求又は暗示するものではない。また、用語「含む」、「有する」又は任意の他の変形は非排他的な包含を被覆することを意図する。それにより、一連の要素を含む過程、方法、物品又は機器は、それらの要素を含むだけでなく、明確に列挙されない他の要素又はこのような過程、方法、物品又は機器に固有の要素を含む。より多くの制限がない場合に、語句「…を含む」で限定された要素は、前記要素を含む過程、方法、物品又は設備において他の同じ要素が存在することを排除しない。
【0113】
上記背景技術部分の静止CT(分散型マルチポイント放射線源)又は多視野角(シングルポイント放射線源)機器は、通常、複数の平面光波回路を含み、複数の平面光波回路は、機器の長手方向(即ち、被検体の搬送方向)に沿って配列される。この配置方式は、静止CT(分散型マルチポイント放射線源)又は多視野角(シングルポイント放射線源)機器の全体の光路の被覆範囲が長く、機器全体の長さの短縮に不利であり、機器全体の重量を小さくすることに不利である。
【0114】
また、上記のようなレイアウトの機器において、1組の検知器アレイは、1組の分散型マルチポイント放射線源又は1つのシングルポイント放射線源のみに対応することで、機器全体的な検知器アレイの数を増加させ、機器全体のコストの低減に不利である。
【0115】
上記のようなレイアウトの機器において、すべての放射線源を個別の環状または矩形の密閉キャビティに集中させることは、特に、高真空度の機器を保持する必要がある機器に対して、機器の複雑さを増加させ、機器の信頼性を低下させ、また、放射線源のメンテナンス性も悪い。
【0116】
また、上記のようなダブルリング構造設計の静止CTにおいて、放射線源円環と検知器円環との配置は個別の検知器が複数の放射線源によって共用されることを確保することができるが、放射線源を個別の環状密閉キャビティ内に集中させることによる信頼性及びメンテナンス性が悪いという問題を解決できない。同時に、放射線源円環と検知器円環との間の距離が近すぎると、検知器に対して円環の内側からしか交換又はメンテナンスできず、検知器のメンテナンス性も悪い。放射線源円環と検知器円環との間の距離が十分に大きくなると、検知器を円環の外側から交換又はメンテナンスすることができ、このような配置は光路の被覆範囲を増大させ、機器の長さを増加させるとともに、放射線ビームの中心と検知器の結晶表面との間に傾斜角が存在し、放射線ビームが検知器の結晶に傾斜に照射され、画像品質に影響を与える。
【0117】
上記の様々な技術的課題を解決するために、本願の実施例は、被検物が放射線走査機器の走査領域を通過するように搬送する搬送装置と、それぞれが放射線ビームを放射する少なくとも1つの放射線源点を有し、且つ走査領域の周りに配置されて被検体の搬送方向に垂直な平面内に固定される複数の放射線源モジュールを含む放射線源と、走査期間に伝送される、被検体を通した放射線を伝送するとともに、複数の検知器群を含む検知器とを備え、複数の検知器群は、端部が互いに接続されて走査領域を囲むように配置され、被検体の搬送方向に垂直な平面内に固定され、検知器は、被検体の搬送方向に垂直な方向に沿って放射線源と走査領域との間に位置し、放射線源と検知器とは、被検体の搬送方向に沿って少なくとも一部が重なるように配置され、且つ複数の放射線源モジュールは、互いに個別に着脱可能である。
【0118】
本願の実施例に係る放射線走査機器によれば、放射線源は、複数の放射線源モジュールによって走査領域の周りに配置されて形成され、且つ複数の放射線源モジュールは、互いに個別に着脱可能であり、即ち、各放射線源モジュールは、それぞれが放射線発生装置を収容するための個別のキャビティを有する。一体式の走査領域を回る放射線源に対して、本願の複数の放射線源モジュールが組み合わされて形成する放射線源は、個別の放射線源モジュールの筐体サイズ及び内部の真空キャビティの体積を小さくすることができ、それによって、個別の放射線源モジュールが体積が小さく、重量が軽く、それによって、放射線源の着脱が便利であり、また、個別の放射線源モジュールの複数のターゲットポイントは、個別の真空キャビティを採用することができるため、放射線源をメンテナンスする際のキャビティ内の着火のリスクを低減することができる。
【0119】
本願のいくつかの実施例によれば、各放射線源モジュールの個別キャビティには、取付位置決め構造が設けられ、取付位置決め構造は、放射線源モジュールを放射線走査機器における相対位置に固定するために用いられ、例えば支持フレームに対して放射線源モジュールを位置決めるために用いられ、取付位置決め構造は、さらに、放射線ビームの出射角度を調整するように放射線源モジュールを所定軸線の周りに回動させる。また、当該取付位置決め構造を利用して、各放射線源モジュールの位置を決定することができ、それにより、放射線源の複数の放射線源モジュールは、取り付けられた後に被検体の搬送方向に垂直な平面内(例えば、同一平面内又は異なる平面内)に位置することを確保することができる。
【0120】
ここで、選択可能的に、放射線源モジュールは、分散式マルチポイント放射線源であってもよく、走査領域を囲むように例えば、矩形リング、多角形リング又は楕円形リングなどの環状構造を形成する。具体的には、放射線源モジュールは、直線分散型マルチポイント放射源であってもよく、各放射線源モジュールは、複数のターゲットポイントを含んでもよく、複数の放射線源モジュールは、走査領域の上側、下側、左側及び右側に分散して走査領域を囲む矩形リングを形成してもよい。放射線源モジュールの端部間は、直接接続されて矩形リングを形成してもよく、間隔を空けて非連続の矩形リングを形成してもよい。他の実施例によれば、放射線源は、さらに長さが短い複数の直線分散型マルチポイント放射線源をさらに含んでもよく、長さが短い複数の直線分散型マルチポイント放射線源と長さが長い複数の直線分散型マルチポイント放射線源とが交互に設置され、且つ端部同士が直接接続され、連続的な多角形の配置を形成してもよく、又は端部同士が間隔を置いて配置されて非連続的な多角形の配置を形成してもよく、又は、放射線源は、さらに、長さが短い複数の弧状分散型マルチポイント放射線源を含んでもよく、複数の弧状分散型マルチポイント放射線源と複数の長い直線分散型マルチポイント放射線源とが交互に設置され、且つ端部同士が直接接続され、連続する角丸矩形の配置を形成してもよく、又は端部同士が間隔を置いて配置されて非連続の角丸矩形配置を形成してもよく、又は、放射線源は、さらに他の多角形構造又は楕円形構造などを形成するように、その他の数、形状及び/又は長さの放射線源モジュールを更に含んでもよい。
【0121】
また、放射線源の各放射線源モジュールはシングルポイント放射線源群であってもよく、各シングルポイント放射線源群は少なくとも2つのシングルポイント放射線源を含み、選択可能的に、放射線源の複数のシングルポイント放射線源群は、走査領域を囲む底側視野角、左側視野角、右側視野角、頂側視野角及びコーナーの斜め視野角に分散され、多視野角の配列が形成される。
【0122】
また、他の実施例によれば、放射線源モジュールは、三方において走査領域を囲んで配置されてもよく、例えば、上側、左側及び右側、或いは上側、下側及び左側又は右側等(ここで、注意すべきことは、本明細書において、走査領域の上側、下側、左側及び右側とは、被検体の搬送方向に沿って走査領域を見た場合の上側、下側、左側及び右側を意味する)である。これにより、放射線源は、走査領域が囲まれて一側に開口した非閉構造に配置されてもよく、例えば、一側が開口した矩形構造、多角形構造又は楕円形構造等に配置されてもよく、より具体的には、走査領域が囲まれて一側に開口した非連続的又は連続した矩形構造、連続した多角形構造、連続した角丸矩形、非連続の多角形又は非連続の角丸矩形構造、その他の多角形及び楕円形の構造等に配置してもいい。放射線源がシングルポイント放射線源で構成される場合に、対応的に、走査領域の一側にシングルポイント放射線源が設けられなくてもよい。
【0123】
本願の放射線走査機器において、検知器は、複数の検知器組の端部が互いに接続されて形成された、走査領域を囲む構造である。選択可能的に、上記の様々な放射線源の配置方式に合わせて、例えば、走査領域を上下左右の4方向に取り囲む構造、又は例えば走査領域の側に開口する矩形構造、多角形構造又は楕円形構造(より具体的には、走査領域が囲まれて一側に開口する連続的又は非連続的な矩形構造、連続的又は非連続的な多角形構造、連続又は非連続の角丸矩形構造及びシングルポイント放射線源の多視野角等の配置)である走査領域の一側に開口する非密閉構造に合わせて、検知器の複数の検知器群は、走査領域を取り囲む閉じた矩形構造、方形構造、多角形構造又は楕円形構造などに配置される。具体的には、検知器の各検知器群は、複数の検知器ユニット及び検知器アームを含んでもよく、複数の検知器ユニットは、検知器アームにおいて直線的に配列される。検知器は、走査領域を取り囲む閉じた矩形構造又は方形構造を形成するように、走査領域の上下左右両側にそれぞれ配置された4つの検知器群を含む。検知器は、走査領域を取り囲む閉じた多角形構造を形成するように、複数の長い検知器群と複数の短い検知器群とを含んでもよい。或いは、他の実施例によれば、前記放射線源の走査領域側に開口する非密閉構造に合わせて、検知器の複数の検知器群は、例えば一側が開口する矩形構造、方形構造、多角形構造又は楕円形構造などの、走査領域の一側が開口する非密閉構造を取り囲むように配置されてもよい。
【0124】
いくつかの実施例によれば、検知器の複数の検知器群は、個別に着脱可能である。これにより、各検知器群を個別に取り外して取り付けることができ、検知器のメンテナンスが容易になる。また、検知器の複数の検知器群は、被検物の搬送方向に移動することで着脱されるように構成される。あるいは、放射線源が走査領域を囲んで一側に開口する非密閉構造に配置されている場合に、検知器の複数の検知器群は、一部が被検体の搬送方向に対する垂直方向に移動することで着脱されるように構成され、他の一部が被検体の搬送方向に移動することで着脱されるように構成される。これにより、検知器は、被検物の搬送方向に対する垂直方向に沿って放射線源の内側に配置されている場合であっても、放射線源モジュールを取り外すことなく、検知器群の着脱やメンテナンスを行うことができ、検知器の着脱やメンテナンスの作業性を向上させることができる。
【0125】
また、いくつかの実施例によれば、前記検知器群の着脱は、検知器群の検知器アームとそれが放射線走査機器にある取付部位を介して、例えば放射線走査機器の支持フレームの間の直線移動に合わせて、例えば直線スライド又は直線にころがり運動等に合わせて完成することができ、例えば、検知器アームと支持フレームとの間に設置されたスライダガイドレールの係合、又はリニアボールベアリングと円柱軸との係合等であってもよい。
【0126】
また、いくつかの実施例によれば、検知器群の各検知器ユニットは、いずれも放射線を受信するための検知器結晶を含み、各検知器群の各検知器ユニットは、検知器結晶が同じ方向に向かって検知器アームに配列される。また、前記のように、本願において、各検知器群は被検体の搬送方向に垂直な平面内に位置し、特に同一平面内に位置し、具体的には、各検知器群の検知器結晶は被検体の搬送方向に垂直な同一平面内に位置する。他の実施例によれば、各検知器群は、被検体の搬送方向に垂直な異なる平面内に位置してもよい。
【0127】
本願の放射線走査機器において、上記のいずれかの実施例の放射線源と、上記のような任意の実施例の検知器とを組み合わせ、組み合わせ状態において、放射線源の各放射線源モジュールは、被検体の搬送方向に垂直な平面内(1つ又は複数の平面内)に位置し、検知器の各検知器群は、被検体の搬送方向に垂直な他の平面内(特に同一平面内)に位置し、検知器は、搬送方向の垂直方向において放射線源の内側に位置し、且つ放射線源と検知器とは、被検体の搬送方向において少なくとも一部が重なるように配置される。放射線源と検知器が被検体の搬送方向において少なくとも一部が重なることにより、放射線源と検知器の配置長さを小さくすることができ、それにより、放射線走査システム全体の長さを小さくすることに有利である。
【0128】
いくつかの実施例において、検知器の各検知器群は、同じ側の放射線源モジュールの放射線ビームを遮蔽しないように配置され、同時に、残りの側の各放射線源モジュールからの放射線を受信することができ、それにより、異なる放射線源モジュールが同じ検知器群を共有し、検知器の総数を減少させることができる。
【0129】
いくつかの実施例において、検知器の各検知器群の検知器結晶は、検知器ユニットの被検体の搬送方向に沿う端部に配置され、且つ、被検体の搬送方向において同じ側の放射線源モジュールの放射線ビームのエッジに近接して配置されるが、同じ側の放射線源モジュールの放射線ビームを遮蔽しないように配置される。これにより、放射線源と検知器との間の光路の被覆長さをできるだけ小さくして、機器の長さをさらに小さくすることができる。
【0130】
いくつかの実施例において、各放射線源モジュールは、放射線ビームが同じ側の検知器群を避けて、対向する側の検知器群の検知器結晶を照射するように配置される。より具体的には、放射線源モジュールは、例えばターゲット軸などの所定の軸線に対して回転することができ(例えば、前記放射線源モジュールの取付位置決め構造を介して)、放射線ビームのビーム出射角度を調整することにより、放射線源モジュールの放射線ビームの中心位置に対向側の検知器組の検知器結晶を照射させる。検知器の検知器結晶は、被検体の搬送方向において検知器ユニットの端部箇所に位置し且つ同じ側の放射線源の放射線ビームのエッジに近接して配置されているため、放射線源モジュールは、小さい角度を回転させるだけで、放射線ビームの中心位置に検知器結晶を照射させることができ、それにより、放射線ビームが検知器の結晶表面に傾斜に入射した結像に及ぼす悪影響を最大限に低減することができる。放射線源のビーム出射角度の調整は、放射線源モジュールの開口方向を設置することや、コリメータを調整するなどの他の適切な方式で実現されてもよい。
【0131】
いくつかの実施例によれば、本願の放射線走査機器の画像処理モジュールは、画像品質を向上させるために、視野角欠落データに対して補償を行う及び/又は再構成画像の修復を行うことができるデータ補償機能を有するように構成される。具体的には、該画像処理モジュールは、反復法、画像修復方法又は両者の組み合わせで画像再構成を行うように配置される。これにより、隣接の放射線源モジュールの端部におけるターゲットポイントの間隔が増大することによる投影データの欠落が補償され、再構成画像の品質を向上させることができる。
【0132】
以下、図面を参照しながら本願の実施例を詳細に説明する。
【0133】
図1は、本願のいくつかの実施例による放射線走査機器を概略的に示す。図1に示す放射線走査機器は、搬送装置1と、通路2と、放射線源3と、検知器4と、支持フレーム5とを備える。搬送装置1は、放射線源3と検知器4とによって規定される、被検体6が放射線走査機器を通過する走査領域を搬送することに用いられる。被検体6は、搬送装置1の駆動によって通路2の一端の開口から通路2に進入して通路2の他端の開口から離れ、通路2は外部環境に対して放射線源3の放射線を遮蔽してもよく、機器の近くの人に放射損傷を与えることを回避すると共に、通路2に進入する被検体6の体積を限定してもいい。放射線源3は、通路2の外側で支持フレーム5に固定されており、走査期間に被検体6に照射するための放射線ビームを照射する。検知器4も、通路2の外側で支持フレーム5に固定され、走査期間に被検体6を透過した放射線を検出する。支持フレーム5は、搬送装置1、通路2、放射線源3、検知器4などの装置を支持し且つ固定し、地面に対して固定される。なお、放射線源3及び検知器4はいずれも通路2の外側に配置されているが、走査領域において、通路2には退避領域が設けられ、放射線源3の放射線ビームを遮蔽することはなく、検知器4が放射線を受信することを阻害することもない。
【0134】
本願の実施例による放射線走査機器は、例えば放射線源3の放射線の放射、検知器4のデータ出力などのように放射線走査機器の各部材の操作を制御することができる制御装置をさらに含んでもよい。制御装置は、検知器4の出力の情報に基づいて画像再構成を行って、被検体6の走査画像を得ることができる画像処理モジュールをさらに含んでもよい。
【0135】
搬送装置1は、例えば、コンベアであってもよく、被検体6は、例えば、包み、荷物などの、各種の安全検査が必要な物品であってもよい。
【0136】
放射線源3は、走査領域の周囲に配置され、且つ被検体6の搬送方向に垂直な面内に位置する複数の放射線源モジュールを含んでもよい。各放射線源モジュールは、被検体6の搬送方向に垂直な同一平面内又は異なる平面内に配置されてもよく、本実施例は、各放射線源モジュールが被検体6の搬送方向に垂直な同一平面内に位置する(具体的には、各放射線源モジュールの放射線開口が被検体6の搬送方向に垂直な同一平面内に位置する)ことを例として説明するが、各放射線源モジュールが異なる平面に位置する場合にも同様に適用される。図1には、被検体6の進行方向Zを示し、被検体6の搬送方向(以下、単に搬送方向またはZ方向と称する場合がある)は、被検体6の進行方向として定義され、進行方向の逆方向を含む。図1にXYZ座標系を示し、該XYZ座標系を基準座標系として放射線走査機器における部品位置を説明することができ、これらの位置の説明は本願の原理を明確に説明することに用いられるが、限定されない。被検体6の進行方向Zは、当該XYZ座標系のZ方向と同じである。
【0137】
いくつかの実施例によれば、本願の実施例に係る放射線走査機器の放射線源3の各放射線源モジュールは、分散式マルチポイント放射線源であってもよく、複数の放射線源モジュールは、走査領域を囲む矩形構造、多角形構造、楕円形構造などに配置されてもよく、構造の一部は、搬送装置1を完全に囲むように、搬送装置1の下方に位置する。
【0138】
具体的には、分散型マルチポイント放射線源として、各放射線源モジュールは、複数のターゲットポイントを有してもよく、各放射線源モジュールの各ターゲットポイントは、個別に放射線ビームを発生させることができ、且つ各ターゲットポイントは、制御装置の制御に基づいて所定のタイミングで放射線ビームを発生させることができる。図3に示すように、放射線ビームは、開き角度Aを有するファンビームであってもよい。もちろん、放射線ビームの形状はファンビームに限定されず、コーンビーム、平行ビームなどの他の形状のビームであってもよく、必要に応じて具体的に設置されてもよい。
【0139】
放射線源3の具体的な構成は以下の通りである。図2は、いくつかの実施例に係る放射線源及び検知器の構造模式図を示し、放射線源3の複数の放射線源モジュールは、走査領域を囲む矩形構造に配置される。具体的には、放射線源3は、4つの放射線源モジュール31、32、33、34を含み、各放射線源モジュールは、直線分散型マルチポイント放射線源(即ち、複数のターゲットポイントが直線的に配列される)であり、4つの放射線源モジュール31、32、33、34は、それぞれ走査領域の上側、下側、左側及び右側に配置され、走査領域を囲む矩形構造を形成する。放射線源モジュール31、32、33、34の端部間は一定距離で離間しているため、非連続の矩形構造(図4の(a)に示すように、ターゲットポイントは同様に非連続の矩形で配置されている)が形成される。
【0140】
放射線源3の配置は、図2及び図4の(a)に示す実施例に限定されず、他の幾つかの代替可能な配置を含んでもよい。例えば、放射線源モジュール31、32、33、34の端部同士を直接接続し、連続した矩形構造で放射線源3を走査領域の周りに配置することができる(図4の(b)に示すように、ターゲットポイントが連続した矩形で配置される)。また、放射線源3は、図2に示す実施例に加えて、放射線源モジュール31、32、33、34よりも長さが短く、放射線源3が連続的な多角形構造で配置されるように(図4の(c)に示すように、ターゲットポイントが連続的な多角形で配置されるように)、放射線源モジュール31、32、33、34と交互に配置され且つ端部が直接接続される他の4つの直線分散型放射線源モジュール35、36、37、38をさらに含んでもよい。また、放射線源モジュール35、36、37、38は、放射線源3が連続した角丸矩形構造で配置されるように、放射線源モジュール31、32、33、34と交互に配置され且つ端部が直接接続された、弧状の分散型放射線源とされてもいい。もちろん、放射線源モジュール31、32、33、34、35、36、37、38の端部は、放射線源3が非連続の多角形構造又は非連続の角丸矩形構造で配置される(図示せず)ように、一定の距離を空けてもよい。また、放射線源モジュール35、36、37、38の長さは、放射線源モジュール31、32、33、34の長さと同じ又はより長くてもよく、又は、放射線源3は、他の数(複数)及び/又は長さの放射線源モジュールを含んでもよく、それによって、図4の(c)に示す多角形と異なる多角形構造を形成してもよい。また、放射線源3は、他の数(複数)、長さ及び/又は形状の放射線源モジュールを含んでもよく、それによって、楕円形状構造を形成する。
【0141】
いくつかの実施例において、放射線源3に含まれる放射線源モジュールは、互いに個別に着脱可能であり、即ち、各放射線源モジュールは、それぞれの放射線発生装置を収容するための個別のキャビティを有する。各放射線源モジュールが個別のキャビティを有することは、各放射線源モジュールの複数のターゲットポイントが個別の真空キャビティを共有することを意味する。各放射線源モジュールの複数のターゲットポイントの真空キャビティ内の間隔は、ターゲットポイントの数とキャビティの長さによって決定することができる。いくつかの実施例によれば、個別の放射線源モジュールにおけるターゲットポイントの数は192、264などであってもよく、個別の放射線源モジュールにおけるターゲットポイントの間隔は4mm、12mmなどであってもよい。なお、隣接する放射線源モジュールの端部におけるターゲットポイントの間の間隔は、個別の放射線源モジュール内のターゲットポイント間の間隔よりも大きく、隣接する放射線源モジュールの端部が直接接続され、即ち、2つの個別のキャビティが直接接続されても、同様である。各放射線源モジュールが個別のキャビティを有することは、一体型環状キャビティの放射線源(即ち、放射線源の全てのターゲットポイントが同一の環状真空キャビティ内に位置する)に対して、個別の放射線源モジュールのハウジングサイズ及び内部真空キャビティの体積を縮小でき、個別の放射線源モジュールの体積を減少させ、重量を低減させることができるので、放射線源の取り外し及び取り付けに便利であり、また、各放射線源モジュールは個別の真空キャビティを採用し、放射線源モジュールをメンテナンスする際にキャビティ内に着火するリスクを低減できるという利点を有する。
【0142】
また、いくつかの実施例によれば、放射線源モジュールの取り付け及び調整のために、放射線源3の各放射線源モジュールに取付位置決め構造が設けられている。取付位置決め構造を介して、放射線源3の各放射線源モジュールは、放射線走査機器における所定の位置(例えば、X線走査装置におけるXYZ基準座標系に対する具体的な位置)に取り付け、固定することができ、例えば、複数の放射線源モジュールが被検体6の搬送方向に垂直な同一平面内に位置することを確保する。また、放射線源モジュールは、取付位置決め構造によって、放射線ビームのビーム出射角度を調整するように回転されてもよい。
【0143】
放射線源3の各放射線源モジュールは、放射線走査機器における位置によって異なる取付方式を採用することができ、異なる取付位置決め構造を有する。例えば、走査領域の上方及び側方に位置する放射線源モジュールは、天井等の機器を介して吊下げ方式で取り付けられてもよい。しかしながら、走査領域の下方に位置する放射線源モジュールは、吊下げ方式を採用するのに適しておらず、他の方式で取り付ける必要がある。このような放射線源モジュールの取り付けを容易にするために、本願の実施例は、取り付け位置決め構造を提供し、それは、吊下げに適さない放射線源モジュールを放射線走査機器の所定位置に容易に取り付け固定することができ、且つ放射線源モジュールを回転させて放射線ビームの出射角度を調整することができる。いくつかの実施例によれば、当該取付位置決め構造は、放射線源モジュールが本体によって支持フレームに固定的に取り付けられるように、放射線源モジュール及び放射線走査機器の支持フレームに固定接続される本体を含み、当該取付位置決め構造は、放射線源モジュールが移動装置によって第1の平面(例えば、図1におけるXZ平面)上で所定の取付位置に移動可能な当該移動装置と、第1平面において放射線源モジュールを位置決めする第1の位置決め装置と、第1平面に垂直である第1方向(例えば、図1におけるY方向、XZ平面に垂直な方向)に沿って放射線源モジュールの位置を調整するための昇降装置と、第1方向において放射線源モジュールの位置を固定するための第2位置決め装置と、を備える。
【0144】
図5は、上記放射線源モジュールの取付位置決め構造の一つの具体的な実施例を示す。図5に示すように、取付位置決め構造は本体11と本体12を含み、本体11と本体12はそれぞれ放射線源モジュールの長手方向に沿った両端に位置し、且つ放射線源モジュールに固定接続され(ここで、放射線源モジュールは図2における放射線源3の放射線源モジュール33を例として説明し、他の適切な放射線源モジュールであってもよい。放射線源モジュール33は本体11と本体12を介して支持フレーム5(図5には示されない)に固定されて取り付けられる。位置決め構造を取り付ける移動装置は、具体的にはローラ13とローラ14がそれぞれ本体11と本体12に設置される構成される。放射線源モジュール33は、ローラ13とローラ14を介して押されることで、XZ平面において所定の取付位置に移動することができる。もちろん、位置決め構造を取り付ける移動装置はローラに限定されず、他の実施例によれば、スライド方式で放射線源モジュールを移動させてもよく、例えば、取付位置決め構造と支持フレーム5との間に直線スライド係合を設けることで、放射線源モジュール33を所定の取付位置に移動させてもよい。
【0145】
第1の位置決め装置は、第1の位置決めピン15、16及び本体11、12及び放射線走査機器の支持フレーム5にそれぞれ設けられた対応する第1のピン孔(図示せず)を備え、放射線源モジュール33がローラ13、14を介して所定の取付位置に移動された後、第1の位置決めピン15、16をそれぞれ対応する第1のピン孔に挿入することで、XZ平面において放射線源モジュール33を位置決めすることができる。
【0146】
昇降装置は、本体11に設けられたローラ13を備え、ローラ13は、具体的には、昇降可能なローラとして設けられるとともに、本体12に設けられたワイヤーロープ17をさらに備え、ワイヤーロープ17の一端が支持フレーム5に当接し、ワイヤーロープ17をねじ込むことにより、本体12及び放射線源モジュール33を支持フレーム5に対して昇降させることができる。昇降可能なローラ13及びワイヤーロープ17を調整することにより、支持フレーム5に対する放射線源モジュール33の位置をY方向に沿って調整することができる。第2の位置決め装置は、位置決めブロック19、20として形成され、昇降可能なローラ13及びワイヤーロープ17を調整することにより、放射線源モジュール33をY方向に沿って所定の位置に調整した後、位置決めブロック19、20をそれぞれ本体11、12の下方に置き、支持フレーム5に対する放射線源モジュール33の高さを固定して、放射線源モジュール33を第1の方向Yに沿って位置決めすることができる。ここで、いくつかの例において、本体12の下方の位置決めブロック20は、U字状に設けられてもよく、ワイヤーロープ17の下部は、互いに阻害しないように、U型位置決めブロック20の開口に位置する。また、取付位置決め構造は、第1の固定ボルト21、22と、本体11、12、位置決めブロック19、20及び支持フレーム5に設けられた対応する第1のねじ孔をさらに備えてもよく、第1の固定ボルト21、22をそれぞれ対応する第1のねじ孔に挿入して締め付けることにより、本体11、12及び支持フレーム5に対して位置決めブロック19、20を固定し、且つ放射線源モジュール33を支持フレーム5に固定接続することができる。
【0147】
また、いくつかの実施例によれば、取付位置決め構造は、放射線源モジュールを所定の軸線に沿って回動させてその出射角度を調整する調整装置をさらに備える。図5の具体的な実施例によれば、放射線源モジュール33には取付軸331が設けられ、本体11、12にはそれぞれ軸孔が設けられ、本体11、12は軸孔を介して取付軸331に取り付けられ、また、取付位置決め構造は第2の位置決めピン23、24をさらに備え、本体11、12及び放射線源モジュール33にはそれぞれ第2の位置決めピン23、24に対応する第2のピン孔が設けられ、本体11、12の軸孔を取付軸331に係合し、且つ第2の位置決めピン23、24をそれぞれ対応する第2のピン孔に挿入することで、本体11、12を放射線源モジュール33に対して位置決めすることができる。また、取付位置決め構造は、放射線源モジュール33に対して接続本体11、12を固定するための第2の固定ボルト25、26と、本体11、12及び放射線源モジュール33に設けられた対応する第2のねじ孔とをさらに備え、第2の固定ボルト25、26を、対応する第2のねじ孔にねじ込むことにより、本体11、12を放射線源モジュール33に対して固定接続することができる。第2の位置決めピン23、24を引き抜き、且つ第2の固定ボルト25、26を緩めることにより、本体11、12を放射線源モジュール33に対してアンクランプすることができ、この状態で、調整装置は放射線源モジュール33に取付軸331を中心として本体11、12に対して回動させるように駆動してもいい。
【0148】
具体的な実施例において、調整装置は、回転駆動機構を備え、当該回転駆動機構は、放射線源モジュール33に固定された調整ブロック27と、本体11に設けられた、調整ブロック27に当接するイモネジ28とを備え、イモネジ28は、ねじ込まれることで調整ブロック27を押して移動させることによって、放射線源モジュール33を回転させる。ここで、回動駆動機構は、取付位置決め構造の一方の本体のみ、すなわち、放射線源モジュール33の長手方向に沿った一端のみに設けられている。放射線源モジュール33の両端はいずれも取付軸331によって支持されているので、放射線源モジュール33の一端において放射線源モジュール33を押して回動させることで、放射線源モジュール33全体が相応的に回動することができる。放射線源モジュール33を所定角度回転させた後、再度、第2の位置決めピン23、24を対応する第2のピン穴に挿入するとともに、再度、第2の固定ボルト25、26を、対応する第2のネジ穴にねじ込み、本体11、12を放射線源モジュール33に対して固定接続することができる。
【0149】
上記実施例において、放射線源モジュール33における取付軸331は、放射線源モジュール33における複数のターゲットポイントの仮想線と重なることができるため、取付軸331周りに放射線源モジュール33を回転させることにより、放射線源モジュール33をターゲット軸周りに回動させることができる。
【0150】
また、図2における放射線源3の放射線源モジュール33を例として、上記実施例に係る取付位置決め構造を説明したが、上記取付位置決め構造は、任意の適切な放射線走査機器の放射線源の取付、位置決め及び調整に適用することができる。もちろん、図2における放射線源3の放射線源モジュール33の取り付け、位置決め及び調整も上記実施例の取付位置決め構造に限定されず、任意の他の適切な構造を採用してもよい。例えば、図5に示す実施例において、昇降装置は、昇降可能なローラ13とワイヤーロープ17によって実現されるが、昇降装置は、当該実施例の具体的な構造に限定されず、他の適切な構造として実現されてもよく、例えば、2つの本体のいずれにもワイヤーロープを採用して昇降する。同様に、移動装置、第1の位置決め装置、第2の位置決め装置及び調整装置の具体的な実施は、いずれも上記実施例における具体的な構造に限定されず、その機能を実現できるのであれば、他の適切な構造を採用してもよい。
【0151】
上記実施例において、図1に示す放射線走査機器の放射線源3の放射線源モジュールは、分散式放射線源であるが、代替的に、放射線源3は、複数のシングルポイント放射線源群から構成されてもよく、各シングルポイント放射線源群は、少なくとも2つのシングルポイント放射線源を備える。各シングルポイント放射線源は、例えば開き角Aを有するファンビーム(図3に示す)である放射線ビーム、を個別に送信することができる。放射線源3の各シングルポイント放射線源は、放射線走査システムの制御装置の制御に基づいて所定のタイミングで放射線を放出することができる。図4の(d)は、いくつかの実施例による複数のシングル放射線源群を含む放射線源のレイアウトを示す。図4の(d)に示すように、放射線源は、走査領域を囲んで底視野角、左側視野角、右側視野角、頂側視野角及びコーナー斜め視野角に配置された複数のシングルポイント放射線源群を備え、ここで、底視野角のポイントシングル放射線源群は、3つのシングルポイント放射線源を備え、それぞれ、左底視野角、中間底視野角及び右底視野角に配置され、頂側視野角のポイントシングル放射線源群は、3つのシングルポイント放射線源を備え、左頂側視野角、中間頂側視野角及び右頂側視野角にそれぞれ配置され、左側視野角のシングル放射線源群は、2つのシングルポイント放射線源を備え、それぞれ左上側視野角及び左下側視野角に配置され、右側視野角のシングル放射線源群は、2つのシングルポイント放射線源を含み、それぞれ右上側視野角及び右下側視野角に配置され、コーナー斜め視野角のシングル放射線源群は、4つのシングルポイント放射線源を備え、それぞれ左上斜め視野角、右上斜め視野角、左下斜め視野角及び右下斜め視野角に配置される。他の実施例によれば、各シングルポイント放射線源群は、さらに多くのシングルポイント放射線源を備えてもいい。同様に、各シングルポイント放射線源は、シングルポイント放射線源を取り付け及び位置決めするように、それぞれの取り付け位置決め構造を備え、それによって、複数のシングルポイント放射線源が被検体6の搬送方向に垂直な同一平面内に位置する。取付位置決め構造は、シングルポイント放射線源を回転させて各シングルポイント放射線源のビームのビーム出射角度を調整するためにも用いられる。
【0152】
次に、図1に示す放射線走査機器の検知器4の構成について詳細に説明する。検知器4は、被検体6の搬送方向に対する垂直な面内に複数の検知器群を有し、各検知器群の端部は、走査領域を囲むように互いに接続されている。複数の検知器群は、被検体6の搬送方向に垂直な同一平面内又は異なる平面内に位置してもよく、同一平面内に設けられてもよく、本実施例は、同一平面内に位置することを例として説明するが、異なる平面の場合についても同様である。具体的には、検知器4の各検知器群は、複数の検知器ユニットを含む検知器アレイであり、複数の検知器群は、走査領域を囲む閉じた方形構造、矩形構造、多角形構造又は楕円形構造に配置されてもよく、搬送装置1を完全に囲むように、構造の一部が搬送装置1の下方に位置する。
【0153】
図2は、いくつかの実施例に係る検知器の配置を示し、検知器4は、4つの検知器群41、42、43、44を備え、各検知器群41、42、43、44は、リニア検知器アレイであり、直線に沿って配列された複数の検知器ユニットを備える。4つの検知器群41、42、43、44は、走査領域の上下左右の4辺に配置され、且つ端部が互いに接続されることで、閉じた矩形構造(図6の(a)に示す)又は方形構造を形成している。検知器4の配置は、図2及び図6の(a)に示す実施例に限定されず、これに代えて、他の構成に配置されてもよい。例えば、検知器4は、4つの長いリニア検知器アレイと4つの短いリニア検知器アレイとを備えてもよく、こちらの検知器アレイは、走査領域を囲んで交互に配置され且つ端部が互いに接続されることで、閉じた多角形構造を形成している(図6の(b)に示す)。検知器4は、他の数の複数の長いリニア検知器アレイ及び他の数の複数の短いリニア検知器アレイを備えてもよく、こちらの検知器アレイは、走査領域を囲んで交互に配置され且つ端部同士が接続されることで、閉じた多角形構造を形成している。検知器4は、例えば楕円形構造等の他の形状の密閉構造を形成するように、他の数、長さ及び/又は形状の検知器群を更に備えてもよい。
【0154】
リニア検知器アレイ形式の検知器群は、任意の適切な構造を採用することができ、そして、いくつかの実施例によれば、その具体的な構造は図7に示すことができる。図7に示すように、検知器群は、複数の検知器ユニット45と、検知器アーム46とを備え、複数の検知器ユニット45は、検知器アーム46において直線に沿って並んで配置される。もちろん、検知器ユニット45の具体的な構造は、図8に示すように、他の適切な構造を採用してもよい。図8に示すように、検知器ユニット45は、放射線を受信するための検知器結晶451を備える。複数の検知器ユニット45は、検知器結晶451が同じ方向に向いて検知器アーム46に並んで配置されている。検知器アーム46の構造は、図7に示す実施例に限定されず、他の適切な構造(図9図15図17に示す検知器アーム構造)を採用してもよい。本願の検知器群は、リニア検知器アレイの形態に限定されず、楕円形構造の検知器を構成するように弧状検知器アレイの形態であってもよい。弧状検知器アレイは、複数の弧状検知器ユニットと、弧状検知器アームとを備え、複数の弧状検知器ユニットは、弧状検知器アームに並んで配置され、検知器ユニットの検知器結晶は同じ方向に向く。
【0155】
いくつかの実施例によれば、検知器4の各検知器群は、個別に着脱可能であり、これにより、検知器のメンテナンス性を向上させることができる。また、いくつかの例において、検知器4の複数の検知器群は、被検体6の搬送方向に沿って取り外し、取り付け及び調整を行うことにより、検知器4が被検体6に垂直な搬送方向に沿って放射線源3の内側に配置されている場合、放射線源を取り外す必要がなく、検知器群の着脱、調整及びメンテナンスを行うことができ、検知器のメンテナンス性をさらに改善することができる。
【0156】
具体的には、本願の検知器群の取付固定構造により、検知器4の検知器群は、放射線走査機器における取付位置(例えば、支持フレーム5)に対して被検体6の搬送方向に沿って移動することで、前記取付位置から取り外され又は前記取付位置に取り付けられることができる。
【0157】
以下、本願のいくつかの実施例に係る検知器群ための取付固定構造について詳細に説明する。本願のいくつかの実施例に係る検知器群の取付固定構造は、具体的には、第1の取付部と、第2の取付部と、固定装置と、を備え、当該第1の取付部は、検知器群に固定的に設置され、当該第2の取付部は、放射線走査機器の支持フレームに固定的に設置され、且つ第1の取付部の直線移動に合わせ、ここで、検知器群は、第1の取付部と第2の取付部とが互いに係合した状態で第2の取付部に沿って所定の取付位置に移動することができ、当該固定装置は、検知器群の幅方向に沿う一方側に設けられて、前記支持フレームにおける取付基準面に対して検知器群を固定するために用いられる。いくつかの具体的な実施例において、検知器群は、検知器アームを介して放射線走査機器の支持フレームに取り付けられて固定され、ここで、第1の取付部は、検知器群の検知器アームに固定的に設けられ、固定装置は、検知器アームの幅方向に沿った一方側に設けられ、検知器アームを支持フレームに固定することで検知器群を固定する。
【0158】
図9は、一部の具体的な実施例に係る検知器群の取付固定構造を示し、図9の(a)は検知器アーム及び取付固定構造の分解斜視図であり、図9の(b)は検知器群の取付固定状態における検知器アームの部分断面図である。図9には、完全な検知器群が示されておらず、検知器アームのみが示されており、複数の検知器ユニットは、示された検知器アームにおいて長手方向に並んで配置されて完全な検知器群を形成してもいい。
【0159】
図9に示すように、検知器群の取付固定構造の第1の取付部は、具体的に、検知器アーム47の幅方向に延びるスライド溝471として形成され、放射線走査機器の支持フレーム5に取り付けられた状態で、検知器アーム47の幅方向が被検体6の搬送方向と一致する。第2の取付部は、スライド溝471に係合するスライドロッド472として形成されている。スライド溝471は、半円形の開口スライド溝として形成され、スライドロッド472は、対応して円柱状のスライドロッドとして形成される。スライドロッド472は、支持フレーム5に固設されたり、支持フレーム5と一体に形成され、その長手方向が被検体6の搬送方向と一致する。スライドロッド472の支持フレーム5に近い一端は、スライドロッド472の他の部分に対して大きくなって、凸部473を形成する。凸部473の検知器アーム47側に向いた端面は、検知器アーム47の幅方向一方側に沿った端面475に当接する取付基準面474とされている。表面475は、検知器アーム475の取付面であり、取付基準面474とともに良好な平面度を有するように加工され、検知器群の取付面475が取付基準面474に当接して位置決めされると、検知器群を幅方向、すなわち被検体6の搬送方向に正確に位置決めすることができる。凸部473は、位置規制部としても機能し、検知器群を取り付ける際に、スライド溝471をスライドロッド472に合わせてスライドロッド472に沿って支持フレーム5に向けて検知器アーム47を押し、検知器アーム47が凸部473に当接するまで検知器アーム47を所定の取付位置に移動させることができる。
【0160】
固定装置は、スライドロッド472の凸部473に対向する他端に設けられ、且つ凸部473とともに検知器アーム471の幅方向に沿った両側にそれぞれ当接するように配置され、幅方向に検知器アーム47の位置を規定する。具体的には、固定装置は、位置決めスリーブ476及び締結具477を備え、位置決めスリーブ476は、スライドロッド472の凸部473に対向する他端に外嵌されるとともに、検知器アーム47の幅方向に沿った他方側の表面478に当接し、締結具477は、位置決めスリーブ476をスライドロッド472の凸部473に対向する他端に固定する。具体的には、締結具477は締結ねじであってもよく、位置決めスリーブ476及びスライドロッド472の前記他端にはいずれもねじ穴が設けられ、締結ねじをねじ穴にねじ込むことによってスライドロッド472に対して位置決めスリーブ476を締め付けることにより、スライドロッド472(すなわち支持フレーム5)に対して検知器アーム47を幅方向に固定する。同時に、スライドロッド472の形状がスライド溝471の形状に合わせて他の自由度が制限されるため、検知器アーム47は完全に位置決めされ且つ固定されることができる。
【0161】
上記取付固定構造により、検知器群を取り付ける際に、検知器ユニットが走査領域に対向し且つ幅方向が被検体6の搬送方向と一致する状態で、まず検知器アーム47のスライド溝471をスライドロッド472に合わせ、検知器アーム47をスライドロッド472に沿って凸部473に当接するまで移動させ、その後、位置決めスリーブ476をスライドロッド472の凸部473に対向する一端に外嵌させ、ネジでスライドロッド472に対して固定することで、検知器アーム47を固定する。検知器群を取り外す際には、逆の操作を行えばよい。
【0162】
上記の取付固定構造によれば、スライドロッド472が被検体6の搬送方向に沿って延び、即ち、検知器群と支持フレーム5との間の直線移動係合によって被検体の搬送方向に沿って、且つ固定装置が検知器群の幅方向に沿った一側に設けられ、検知器群の幅方向が被検体6の搬送方向と一致する。したがって、上記取付固定構造により、検知器群を被検体6の搬送方向に移動させて着脱することができ、且つ検知器群の被検体の搬送方向に沿った一側においても締付作業を行うことができるため、検知器が被検体の搬送方向に沿った側面から着脱またはメンテナンスされることができ、検知器が搬送方向に垂直な方向に沿って放射線源の内側に配置されている場合であっても、その着脱やメンテナンスは放射線源の阻害を避けることができ、放射線源を取り外すことなく行われることができ、それによって、検知器の着脱やメンテナンスの利便性が向上する。
【0163】
また、選択可能的に、上記取付固定構造の第2の取付部は、第1の取付部に係合した状態で検知器群を所定の取付位置に支持するように構成されていてもよい。具体的には、第2の取付部は、2つのスライドロッド472を備え、検知器アーム47には、対応して2つのスライド溝471が形成され、検知器アーム47の長手方向に沿った両端に設けられることで、検知器アーム47が2つのスライドロッド472において所定の取付位置に移動した後、2つのスライドロッド472が検知器群を所定の取付位置に支持することができ、他の補助構造及び/又は工具を必要としない。このように、検知器群を締め付ける際に、余分な工具を必要とせず且つ操作者が検知器群を支持する必要がない場合に行うことができ、操作性が向上する。
【0164】
図9では、検知器アームが鉛直方向を示しているが、上記取付固定構造は、放射線走査機器において鉛直に配置された検知器群の取り付け及び取り外しのみに用いられることに限定されず、他の方向に配置された検知器群は、上記取付固定構造を用いてもよい。
【0165】
もちろん、検知器群と支持フレーム5との間の取付固定構造は、図9に示す実施例に限定されず、他の適切な取付固定構造を採用してもよく、例えば、いくつかの実施例によれば、取付固定構造の直線移動係合は、他の適切な係合であってもよく、例えば、リニアボールベアリングと円柱軸との係合などの直線的な転がり係合であってもよく、他のいくつかの実施例によれば、スライド溝471の断面は半円形に限定されず、半矩形などの形状であってもよく、それに応じて、スライドロッド472も円柱体に限定されず、スライド溝471に係合する角柱などの形状であってもよい。
【0166】
また、検知器が複数の検知器群を備える場合、複数の検知器群の各々の取付基準面を、被検体6の搬送方向に垂直な同一平面内に設けることにより、複数の検知器群が、取り付けられた後に被検体6の搬送方向に垂直な同一平面内にあることを確保することができる。具体的には、各検知器群が図9に示す取付固定構造を用いて取り付けられると、各検知器群に対応する凸部473の検知器アーム47に向かう端面、即ち取付基準面474が被検体6の搬送方向に垂直な同一平面内に位置するとともに、各検知器群の幅方向に沿った取付面475がそれぞれの取付基準面474に当接して固定され、複数の検知器群は、取り付けられた後、被検体6の搬送方向に垂直な同一平面内に位置しなければならない。
【0167】
以下、本願の実施例による放射線走査機器の放射線源3と検知器4の相対配置をさらに説明する。前記のように、放射線源3は複数の放射線源モジュールを備え、各放射線源モジュールは走査領域周りに配置され、且つ被検体6の搬送方向に垂直な同一平面内に位置し、検知器4は複数の検知器群を備え、複数の検知器群は被検体6の搬送方向に垂直な同一平面内に位置し、且つ各検知器群の端部は互いに接続されて走査領域周りに配置される。さらに、放射線源3と検知器4との組み合わせ状態において、検知器4は被検体6の搬送方向に垂直な方向において放射線源3の内側に配置され、放射線源3と検知器4とは被検体6の搬送方向において少なくとも一部が重なるように配置され、放射線源3の複数の放射線源モジュールは矩形構造、多角形構造、楕円形構造などの前記のいずれかの実施例の構造に配置されてもよく、検知器4の複数の検知器群は方形構造、矩形構造、多角形構造、楕円形構造などの前記のいずれかの実施例の構造に配置されてもよい。以下、図2に示す実施例を例として、放射線源3と検知器4の組み合わせ状態における詳細な配置を説明し、図2において、放射線源3の四つの直線分散型放射線源モジュール31、32、33、34は、非連続矩形構造で配置され、検知器4の四つのリニア検知器アレイ41、42、43、44は、密閉した矩形構造で配置され、図2を例として説明した組み合わせ状態での詳細な配置は、放射線源3と検知器4の他の任意の構造の組み合わせに同様に適用できる。
【0168】
選択可能的に、検知器4の各検知器群41、42、43、44は、同じ側の放射線源モジュールの放射線ビームを遮蔽しないとともに、残りの側の各放射線源モジュールからの放射線を受信できるように配置される。放射線源3と検知器4はいずれも環状に配置されているため、同一の検知器群は放射線源の異なる放射線源モジュールによって共用されてもよい。図10は、各放射線源モジュールとその放射線を受信する検知器群との対応関係を示し、ここで、放射線源3の各放射線源モジュール31、32、33、34の各ターゲットポイントの放射線ビームはファンビーム(図3に示す開き角度Aを有する放射線ビーム)を例として示し、各放射線源モジュール31、32、33、34が発する放射線ビームは、検知器4の三方検知器群によって検出することができ、放射線を受信可能な検知器群及びその部分は太い実線で示す。図10の(a)は、走査領域の上方の放射線源モジュール31の放射線ビームに対応する検知器群及びその部分を示し、そのうち、検知器4の検知器群42、43、44は、放射線源モジュール31からの放射線ビームを受信し、図10の(b)は、走査領域の右側の放射線源モジュール32の放射線ビームに対応する検知器群及びその部分を示し、検知器4の検知器群41、43、44は、放射線源モジュール32からの放射線ビームを受信し、図10の(c)は、走査領域の下側の放射線源モジュール33の放射線ビームに対応する検知器群及びその部分を示し、検知器4の検知器群41、42、44は、放射線源モジュール33からの放射線ビームを受信し、図10の(d)は、走査領域の左側の放射線源モジュール34の放射線ビームに対応する検知器群及びその部分を示し、検知器4の検知器群41、42、43は、放射線源モジュール34からの放射線ビームを受信する。図10から分かるように、1つの放射線源モジュールの放射線は、同じ側の検知器グループ以外の他の側検知器グループによって受信されてもよく、異なる放射線源モジュールは、同一の検知器グループを共有してもよく、例えば、放射線源モジュール31及び32は、検知器群43、44を共有し、放射線源モジュール32、33は、検知器群41、44を共有し、放射線源モジュール33及び34は、検知器群41、42等を共有する。また、各放射線源モジュールの放射線は、反対側の検知器群によって検出することができるほか、同じ側の検知器以外の他の側検知器群によって受信することができるため、各放射線源モジュールの放射線は、できるだけ多く検知器によって検出することができる。したがって、本願の検知器は、画像品質を向上させつつ、検知器群の数を減少させ、機器コストを低減することができる。
【0169】
また、選択可能的に、検知器4の各検知器群の検知器結晶は、検知器ユニットの被検体6の搬送方向に沿った端部に配置され、且つ、被検体6の搬送方向において同じ側の放射線源モジュールの放射線ビームのエッジに近接するが、同じ側の放射線源モジュールの放射線ビームを遮蔽しないように配置される。これにより、放射線源と検知器との間の光路の被覆長さをできるだけ小さくして、機器の長さを小さくすることができる。具体的に図11及び図12に示す。図11は、いくつかの実施例に係る図1に示す放射線走査機器の、被検体の搬送方向に沿った中心線の断面構造を示す図である。図11に示すように、検知器ユニットは、例えば、図7に示す検知器ユニット45であってもよく、検知器結晶は、例えば、図7に示す検知器結晶451であってもよく、検知器結晶451の表面は、被検体6の搬送方向に平行に配置され、検知器ユニット45の被検体6の搬送方向に沿う端部に位置し、また、検知器群の他の部材、例えば、検知器ユニット45の他の素子及び検知器アームなどは、検知器ユニット45の端部において検知器結晶451と面一であり、いずれも同じ側の放射線源の放射線ビームの出口を避ける。また、図12は、いくつかの実施例に係る検知器と放射線源のレイアウトを示す平面模式図であり、図中の左右両側の放射線源モジュールはそれぞれ放射線源3の放射線源モジュール34及び32であり、左右両側の検知器結晶451-4及び451-2はそれぞれ検知器群の44及び42の検知器結晶の位置を表す。図12から分かるように、検知器結晶451-4は、被検体6の搬送方向に、同じ側の放射線源モジュール34の放射線ビームのエッジに近接して配置され、且つ、同じ側の放射線源モジュール34の放射線ビームを遮蔽しない。このような構成によれば、放射線源3と検知器4とを被検体6の搬送方向に最大限に重ねることができ、放射線源と検知器との間の光路の被覆長さをできるだけ短くすることができ、機器長さを短くすることができる。
【0170】
いくつかの例において、放射線源3の各放射線源モジュールは、放射線ビームが同じ側の検知器群を避け、且つ対向する側の検知器群の検知器結晶を照射するように配置される。図12に示すように、放射線源モジュール34の放射線ビームは、同じ側の検知器群44を避けるとともに、対向する側の検知器群42の検知器結晶451-2を覆って照射することができ、放射線源モジュール32の放射線ビームは、同じ側の検知器群42を避けて、対向する側の検知器群44の検知器結晶451-4を覆って照射することができる。さらに、放射線源3の各放射線源モジュールは、放射線ビームの中心位置が、対向する側の検知器群の検知器結晶を照射するように配置される。具体的には、放射線源モジュールは、ターゲット軸に対して所定角度回動して、放射線源モジュールの放射線ビームのビーム出射角度を調整し、それによって、放射線ビームの中心位置に検知器結晶を照射させることができる。ここで、ターゲット軸とは、放射線源モジュール内の複数のターゲットポイントを接続する仮想線を指す。検知器の検知器結晶は、被検体6の搬送方向において検知器ユニットの端部位置に位置し且つ同じ側の放射線源の放射線ビームのエッジに近接して配置されるため、放射線源モジュールは、非常に小さい所定の角度、例えば、1.5度で回転することができ、放射線ビームの中心位置に検知器結晶を照射させることができる。これにより、放射線ビームが検知器の結晶表面に傾斜に入射することによる結像に及ぼす悪影響を最大限に低減することができる。また、放射線源モジュールの回動は、ターゲット軸周りに回動することに限定されず、ターゲット軸以外の他の軸線に対して回動して放射線ビームの出射角度を調整してもよく、ターゲット軸又は他の軸線に対する放射線源の回動は、前記の放射線源モジュールの取付位置決め構造によって実現されてもよい。また、放射線ビームのビーム出射角度を調整する方式は上記実施例に限定されず、放射線源の上記配置を実現できるものであれば、他の方式、例えば、放射線源モジュールの開口方向を変更し、コリメータ及び他の適切な方式を調整するなどして、放射線ビームの出射角度を変更してもよい。
【0171】
本願の実施例の放射線走査機器において、放射線源は複数の放射線源モジュールからなり、複数の放射線源モジュールの端部は直接接続又は間隔を置いて設置される。放射線源モジュールの端部が直接接続される場合、端部の間に機械的接続構造が存在するため、隣接する放射線源モジュールの間の放射線源点が必然的に不連続になり、例えば、隣接する2つの放射線源モジュールの端部のターゲットポイントの間の間隔は、放射線源モジュールの内部のターゲットポイントの間の間隔よりも明らかに大きく、放射線源モジュールの端部に間隔を置いて設置される場合にこのようなものである。このため、走査過程において隣接の放射線源モジュールの端部において、ターゲットポイントが欠けて投影データが欠落する。これに対して、いくつかの実施例によれば、本願の放射線走査機器の画像処理モジュールは、画像品質を向上させるために、視野角欠落データに対した補償及び/又は再構成画像の修復を行うことができるデータ補償機能を有するように構成される。具体的には、該画像処理モジュールは、反復法、画像修復方法又は両者の組み合わせで画像再構成を行うように配置される。
【0172】
反復法は、具体的に以下のステップを含む。
【0173】
ステップ1において、視野角欠落データを用いて画像再構成を行い、ここで、視野角欠落データは、検知器により測定された初期データであり、該初期データには、ターゲットポイントがない箇所における視野角の投影データが欠け、例えば、放射線走査機器が図2又は図4の(a)に示すような非連続矩形構造の放射線源を使用する場合、検知器により測定された初期データには、矩形構造の四隅の斜め視野角における投影データが欠けている。
【0174】
ステップ2には、ステップ1において取得された再構成画像に対して完全な幾何学的に従って前方への再投影を行い、ここで、ステップ1において取得された再構成画像は、視野角欠落データを使用するため、幾何学的構造が不完全な物体を提示する可能性があり、完全な幾何学的に従って前方への投影を行うとは、幾何学形状が完全に補完された場合に前方への再投影を行うことを指し、具体的には、推測、仮説などの方式により幾何形状を完全に補完することができる、
【0175】
ステップ3には、ステップ2で得られた再投影データを参考として、画像修復アルゴリズムを用いて投影領域において視野角欠落データを修復し、且つ修復後のデータを利用して再度画像再構成を行う、
【0176】
ステップ4には、前記前方向再投影ステップ、視野角欠落データ修復ステップ及び画像再構成ステップを複数回繰り返し、最後の画像再構成ステップで得られた画像を最終的な再構成画像とする。
【0177】
上記反復法において、収束閾値を予め設定することができる。画像再構成ステップにおいて取得された画像が設定された収束閾値を満たす場合、反復を停止し、当該画像を最終的な再構成画像とし、画像再構成ステップにおいて取得された画像が設定された収束閾値を満たさない場合、画像再構成ステップにおいて取得された画像が設定された収束閾値を満たすまで、次の反復即ち前方向再投影ステップ、視野角欠落データ修復ステップ及び画像再構成ステップを継続する。
【0178】
上記反復法において、ステップ2における画像修復アルゴリズムは、例えば、TV正則化項、ウェーブレット解析、辞書学習などに基づく方法および人工ニューラルネットワーク方法などの様々な従来のアルゴリズムを含む。
【0179】
上記反復法において、画像再構成方法は、解析アルゴリズムおよび反復アルゴリズムなどの一般的なアルゴリズムを含む。
【0180】
他の実施例によれば、画像処理モジュールは、画像修復方法を用いて再構成画像を取得することもできる。具体的には、画像処理モジュールは、視野角欠落データ、即ち、検知器により測定された初期データを用いて画像再構成を行い、且つ画像において画像修復アルゴリズムを用いて、再構成された画像に対してアーチファクト除去及びデータ修正処理を行って、最終的な再構成画像を取得することができる。本実施例において、画像修復アルゴリズムは、様々な従来のアルゴリズム、例えば、TV正則化項、ウェーブレット解析、辞書学習などに基づく方法及び人工ニューラルネットワーク方法などを含む。
【0181】
他のいくつかの実施例によれば、画像処理モジュールは、画像品質を向上させるために、上記反復方法及び上記画像修復方法の組み合わせを用いて画像再構成を行うことができる。具体的には、画像処理モジュールは、まず、上記反復方法を用いて投影領域において欠落データに対して補完を行い、設定された収束閾値を満たす再構成画像を得た後、上記画像修復方法を用いて上記反復方法により得られた再構成画像に対して画像に画像修復アルゴリズムを用いてアーチファクト除去及びデータ修正処理を行い、最終的な再構成画像を得ることができる。
【0182】
分散型マルチポイント放射線源を用いる放射線源に比べて、シングルポイント放射線源形式の放射線源を用いる放射線源点は相対的に疎であり、画像処理モジュールは、スパースな視野角データに適用する画像再構成アルゴリズムを用いて走査画像を得ることができる。
【0183】
上記した実施形態の放射線走査機器では、放射線源が走査領域を上下左右の4辺で囲んでいる。他の実施例によれば、本願は放射線走査機器をさらに提供し、その配置は基本的に上記実施例の放射線走査機器と同様であり、相違点は主に放射線源の配置にあり、放射線源は上側、下側及び左右側の片側のみに走査領域を囲む。以下、放射線源が走査領域の上側、下側、右側に配置されている場合を例に説明するが、走査領域の上側、下側、左側に放射線源が配置される場合についても同様である。
【0184】
具体的には、上記実施例の放射線走査機器において、放射線源3の各放射線源モジュールは、分散式マルチポイント放射線源であり、複数の放射線源モジュールは、走査領域を囲む矩形構造、多角形構造、楕円形構造などに配置されてもよい。本実施例において、放射線源の複数の放射線源モジュールは、依然として分散式マルチポイント源であってもよく、異なるのは、複数の放射線源モジュールが走査領域の走査領域の左側に開口する非密閉構造に配置され、例えば左側開口の矩形構造、多角形構造、楕円形構造などに配置され、ここで、走査領域の左側とは、走査領域の被検体6の搬送方向に垂直な方向における左側を指す。上記実施例において、放射線源3は、非連続的又は連続的な矩形構造、連続的な多角形構造、連続的な角丸矩形、非連続の多角形又は非連続の角丸矩形構造及び他の多角形及び楕円形の構造で配置され、それに応じて、本実施例において、放射線源は、走査領域の左側に開口する非連続的又は連続的な矩形構造、連続的な多角形構造、連続的な角丸矩形、非連続的な多角形又は角丸矩形構造及び他の多角形及び楕円形の構造で配置され、例えば、図2に記載の放射線源に対して、本実施例の放射線源3は、少なくとも走査領域の左側の放射線源モジュール34が含まれず、例えば、図4の(b)~図4の(c)に示す放射線源に対して、本実施例の放射線源3は、少なくとも被検体6の左側の放射線源モジュールが含まれない。
【0185】
また、前記の実施例と同様に、本実施例の放射線源は複数のシングルポイント放射線源群から構成されてもよく、前記の実施例との相違点は、本実施例の放射線源3が左側視野角におけるシングルポイント放射線源を含まない、又は左側視野角及び左上斜め視野角及び左下斜め視野角におけるシングルポイント放射線源を含まないのみである。
【0186】
上記の相違点を除き、本実施例の放射線源の他の側面の特徴は、いずれも上記実施例における放射線源3と同じである。
【0187】
本実施例の検知器の各方面の特徴は、基本的に、前記の実施例における検知器4と同様であり、異なる点は、本実施例において、検知器が上側、下側及び右側のみに走査領域を囲む放射線源と組み合わせられ、検知器4の走査領域の左側に位置する検知器群の同じ側に放射線源モジュールがない点のみである。したがって、検知器4の各検知器群の取り外し及び取り付けは、前記の実施例と同様の方式を採用することができるほか、以下のような上記実施例と異なる方式を採用して検知器の着脱及びメンテナンスをさらに便利にする。具体的には、図13に示す検知器群と放射線源との組み合わせを例として(ここで、検知器群は図2に示す検知器群と同じであり、放射線源は図2に示す放射線源よりも走査領域の左側の放射線源モジュールを欠く)、検知器4は、検知器群41’、43’、44’が被検体6の搬送方向に垂直(図14に示すように、X方向に沿って)な方向に支持フレーム5に対して取り外し又は取り付けられ、検知器群42’が被検体6の搬送方向(図14に示すように、Z方向に沿って)に沿って支持フレーム5に対して取り外し又は取り付けられるように取り付けられる。
【0188】
検知器群42’は、前記の実施例と同様の取付固定構造(図9に示す)を用いて支持フレーム5に対して着脱可能である。しかしながら、前記した実施例の取付固定構造は、検知器群41’、43’、44’のX方向に沿った取り外しや取り付けに適しないため、異なる取付固定構造が必要となる。以下、これらの取付固定構造の具体的な実施例について詳細に説明する。
【0189】
上記実施例の取付固定構造と類似して、検知器群41’、43’、44’のX方向の着脱に適した取付固定構造は、具体的に、第1の取付部と、第2の取付部と、固定装置とを備え、第1の取付部は、検知器群に固定設置され、第2の取付部は、放射線走査機器の支持フレームに固定設置され、且つ第1の取付部の直線移動に係合し、ここで、検知器群は、第1の取付部と第2の取付部とが互いに係合した状態で第2の取付部に沿って所定取付位置に移動することができ、固定装置は、検知器群の幅方向に沿う一側に設けられ、支持フレーム上の取付基準面に対して検知器群を固定するために用いられる。いくつかの具体的な実施例において、検知器群41’、43’、44’は、検知器アームを介して放射線走査機器の支持フレームに取り付けられて固定され、ここで、第1の取付部は、検知器アームに固定的に設けられ、固定装置は、検知器アームの幅方向に沿った一側に設けられ、検知器アームを支持フレームに固定することで検知器群を固定する。
【0190】
図15は、いくつかの具体的な実施例に係る検知器群41’に適した取付固定構造を示し、図15の(a)は検知器群の取付状態における斜視図を示し、図15の(b)は検知器群の取付状態における側面図であり、図15の(c)は検知器群の取り外し状態における斜視図であり、図15の(d)は固定装置付きの検知器群の取付状態における断面図である。図15に示すように、検知器群41’の取付固定構造の第1の取付部は、検知器アーム411に設けられたスライダ412を備え、スライダ412は検知器アーム411の長手方向に沿って延び、検知器群41’が放射線走査機器に取り付けられた状態で、検知器アーム411の長手方向は、被検体6の搬送方向に垂直である。図15において、スライダ412は、検知器アーム411の長さの一部を延伸し、他の実施例において、スライダ412は、検知器アーム411の全長または他の長さを延伸するように設けられてもよい。また、スライダ412は、ボルト接続等により検知器アーム411に固定されてもよい。他の実施例によれば、スライダ412は、検知器アーム411と一体成形されてもよい。
【0191】
第2の取付部は、スライダ412に係合する固定レール413として形成されている。固定レール413は、放射線走査機器の支持フレーム5(図15には示されていない)に固定接続され、支持フレーム5と一体成形されてもよい。固定レール413の長手方向は、放射線走査機器の被検体6の搬送方向に垂直である。固定レール413の長手方向に沿った一端には、位置規制部(図示せず)が設けられ、検知器群41’を取り付ける際に、スライダ412を固定レール413に位置合わせし、検知器アーム411が位置規制部に当接するまで固定レール413に沿って検知器群41’を押すことで、検知器群41’を所定の取付位置に移動させる。
【0192】
固定装置は、検知器群41’の幅方向に沿った一方側に設けられ、且つ検知器アーム411の幅方向に沿った一方側の面414に当接している。具体的には、固定装置は、位置決め部材415及び締結具416を含み、位置決め部材415は支持フレーム5に固定接続され、支持フレーム5から離れた端面は取付基準面417として形成され、当該取付基準面417は検知器アーム411の幅方向に沿った一方側の表面414に当接するために用いられる。面414は、取付基準面417と共に良好な平面度に加工された検知器アーム411の取付面であり、検知器アーム411の取付面414が取付基準面417に当接して固定されたときに、検知器群41’を幅方向に正確に位置決めできるようにする。締結具416は、位置決め部材415を貫通し、位置決め部材415の端面に対して検知器群41’を締め付けることができる。具体的には、締結具416は、例えば、締結ボルトであってもよく、位置決め部材415及び検知器アーム411の、位置決め部材415に対向する側面に、対応するネジ穴が設けられ、締結ボルト416を対応するネジ穴に挿通して締め付けることにより、位置決め部材415の端面に対して検知器群41’を締め付けることができる。固定装置は、検知器群41’の長手方向に沿って複数設けられ、例えば少なくとも2つ設けられ、検知器群41’を支持フレーム5に強固に固定することができる。
【0193】
上記取付固定構造により、検知器群41’を取り付ける際に、検知器群41’の検知器ユニットを下向きにした状態で、まず、検知器群41’上のスライダ412を固定ガイドレール413に位置合わせし、検知器群41’を固定ガイドレール413に沿って固定ガイドレール413上の位置規制部分に当接するまで移動させ、その後、締結具416を位置決め部材415及び検知器アーム411における対応するネジ孔に挿通して締め付けることにより、検知器群41’を位置決め部材415の端面、即ち取付基準面417に対して位置決めする。検知器群41’を取り外す際には、逆の操作を行えばよい。
【0194】
固定ガイドレールの長手方向が放射線走査機器の被検体6の搬送方向に垂直であり、且つ検知器群41’のX方向に沿った側に放射線源の障害がないため、上記取付固定構造により、検知器群41’は、放射線走査機器の被検体6の搬送方向に垂直な方向に支持フレーム5に対して着脱可能である。また、固定装置は、検知器群の幅方向に沿った一側、即ち検知器のZ方向に沿った一側に設置されているため、放射線源の遮蔽を避けて検知器群を締め付けることができ、検知器群の着脱及びメンテナンスを容易にすることができる。
【0195】
また、選択可能的に、上記取付固定構造において、第2の取付部は、第1の取付部に係合した状態で、検知器群41’を所定の取付位置に支持するように配置される。具体的には、スライダ412は、検知器アーム411の幅方向の両側に設けられ、検知器アーム411の幅方向の両側のエッジから内側に延出する内延部4121、4122を有しており(図15の(b)を参照)、固定レール413は、幅方向の対向する両側のエッジに沿って外側に延出した延出部4131、4132を有しており(図15の(b)を参照)、スライダ412が固定レール413に嵌合した状態で、スライダ412の内延部4121、4122が固定レール413の延出部4131、4132の上方に位置し、両者が接触して重なって配置されている。これにより、検知器群41’が固定レール413に沿って所定の取付位置に移動した後、検知器群41’はスライダ412の内延部4121、4122を介して固定レール413の外延部4131、4132に吊り下げられる。このように、固定レール413は、検知器群41’を所定の取付位置に支持することができ、他の余分な補助構造又は工具を必要とせず、検知器群41’を締め付ける際に、作業員が検知器群41’を支持する必要もなく、当該締結の操作を行うことができ、操作の利便性が向上する。
【0196】
検知器群43’は、検知器群41’と同様に、スライダと固定レールとの組み合わせにより着脱される。具体的には、図16は、いくつかの具体的な実施例に係る検知器群43’に適した取付固定構造を示し、図16の(a)は検知器群の取付状態における斜視図であり、図16の(b)は検知器群の取付状態における側面図である。
【0197】
図16に示すように、検知器群43’の取付固定構造の第1の取付部は、検知器アーム431に設けられたスライダ432を備え、スライダ432は、検知器アーム431の長手方向に沿って延び、検知器群43’が放射線走査機器に取り付けられた状態において、検知器アーム431の長手方向は、放射線走査機器の被検体6の搬送方向に垂直である。スライダ432は、ボルト接続等によって検知器アーム431に固定されてもよく、検知器アーム431と一体成形されてもよい。検知器アーム431には、長手方向に延びる凹溝433が形成されており、この凹溝433にスライダ432が設けられている。
【0198】
第2の取付部は、スライダ432に係合する固定レール434として形成されている。固定レール434は、放射線走査機器の支持フレーム5に固定接続され、支持フレーム5と一体成形されてもよい。固定レール434の長手方向は、被検体6の搬送方向に垂直である。固定レール434の長手方向に沿った一端には、位置規制部(図示せず)が設けられ、検知器群43’を取り付ける際に、スライダ432を固定レール434に位置合わせし、検知器アーム431が位置規制部に当接するまで、固定レール434に沿って検知器群43’を押すことで、検知器群43’を所定の取付位置に移動させる。
【0199】
検知器群43’の取付固定構造の固定装置は、検知器群41’と同じな固定装置を採用し、ここでは固定装置の具体的な構造を詳しく説明しない。この固定装置により、検知器群43’を支持フレーム5における対応する取付基準面に当接させて固定させることができる。検知器群43’の検知器アーム431は、幅方向に沿った一方側にも同様に取付面が設けられており、且つ、同様に、検知器アーム431の取付面が取付基準面に当接する場合に検知器群43’を幅方向に正確に位置決めすることができるように、取付面と支持フレーム5の取付基準面とがいずれも良好な平面度に加工されている。同様に、固定装置は、検知器群43’を支持フレーム5にしっかりと固定するために、検知器群43’の長手方向に沿って複数設けられ、例えば少なくとも2つ設けられてもよい。
【0200】
上記取付固定構造により、検知器群43’を取り付ける際に、検知器ユニットが上向きである場合、まず、検知器群43’におけるスライダ432を固定ガイドレール434に位置合わせし、検知器群43’を固定ガイドレール434に沿って固定レール434上の位置規制部分に当接するまで移動させ、その後、締結ボルトを位置決め部材及び検知器アームにおける対応するネジ孔に挿通して締め付けることにより、検知器群43’を位置決め部材における取付基準面に対して位置決めする。検知器群43’を取り外す際には、逆の操作を行えばよい。
【0201】
固定ガイドレールの長手方向は、放射線走査機器の被検体6の搬送方向に垂直な方向であり、且つ、検知器群43’のX方向に沿う側は放射線源によって阻害されないため、上記取付固定構造により、検知器群43’は、放射線走査機器の被検体6の搬送方向に垂直な方向に支持フレーム5に対して着脱可能である。また、固定装置は、検知器群43’の幅方向に沿った一側、即ち検知器のZ方向に沿った一側に設けられているため、放射線源の遮蔽を避けて検知器群を締め付けることができ、検知器群の着脱及びメンテナンスを容易にすることができる。
【0202】
また、選択可能的に、上記取付固定構造において、第2の取付部は、第1の取付部に係合した状態で、検知器群43’を所定の取付位置に支持するように構成されていてもよい。具体的には、図16に示すように、固定レール434は受け部4341、4342を備え、この受け部4341、4342はスライダ432とスライド係合するほか、スライダ432の下方でスライダ432を支持することで、検知器群43’が固定レール434に沿って所定の取付位置に移動した後、検知器群43’を下方から所定の取付位置に支持する。このように、検知器群43’を締め付ける際に、別途の工具を必要とせず、操作者が検知器群43’を支持する必要がなく、締め付ける操作を行うことができ、操作性が向上する。
【0203】
図17は、いくつかの具体的な実施例に係る検知器群44’に適した取付固定構造を示し、図17の(a)は検知器群の取付状態における斜視図を示し、図17の(b)は取付固定構造の第1の取付部及び第2の取付部が別体とする状態における模式図であり、図17の(c)及び図17の(d)は取付固定構造の第1の取付部及び第2の取付部の係合状態における異なる視野角の斜視図である。
【0204】
検知器群44’の取付固定構造の第1の取付部は、具体的に、検知器アーム441の幅方向に沿った一方側に設けられた固定ブロック442を有し、固定ブロック442は、検知器アーム441の厚み方向に沿った一方側に開口443を有している。検知器群44’の取付状態において、検知器アーム441の幅方向は、放射線走査機器の被検体6の搬送方向と一致し、厚み方向は、被検体6の搬送方向に垂直な方向である。固定ブロック442の開口443はU字型であってもよく、他の適切な形状であってもよい。固定ブロック442は、ボルト固定などの方式で検知器アーム441に固定接続されてもよく、検知器アーム441と一体に形成されてもよい。
【0205】
第2の取付部は支持フレーム5に固定された片持ち部444として形成され、片持ち部444の支持フレーム5から離れた端部には延在部445が設けられ、該延在部445は固定ブロック442における開口443と直線的な移動係合を行い、即ち、延在部445は開口443のエッジから直線に沿って開口443の内部まで移動することができる。片持ち部444の長手方向は、放射線走査機器の被検体6の搬送方向と一致する。開口443の底部は、位置規制部として機能し、検知器群44’を取り付ける際に、検知器アーム441における固定ブロック442の開口443を延伸部445に位置合わせするとともに、開口443の底部が延伸部445に当接するまで、延伸部445に対して検知器アーム441を直線に沿って移動させることで、検知器群44’が所定の取り付け位置に限定される。
【0206】
固定装置は、検知器アーム441の幅方向に沿った一側(固定ブロック442と同じ側に設置され)に設置され、固定装置の端面は取付基準面として形成され、固定装置は取付基準面に対して検知器アーム441を締め付ける。具体的には、固定装置は、固定部材446及び締結具447を備え、固定部材446の支持フレーム5から離れた端面は、検知器アーム441の幅方向に沿った一方側の表面449に当接する取付基準面448として形成される。表面449は、検知器アーム441の取付面であり、取付基準面448といずれも良好な平面度を有するように加工され、検知器アーム441の取付面449が取付基準面448に当接して固定されると、検知器群44’を幅方向に正確に位置決めすることができる。締結具447は、固定部材446の端面448に対して検知器アーム441を締め付けるためのものである。締結具447は固定ボルトであってもよく、検知器アーム441の幅方向に沿った固定部材446と対向する側と固定部材446には対応するネジ孔が形成され、締結具447447は固定部材446と検知器アーム441における対応するネジ孔を通過して締め付けて、取付基準面448に対して検知器群44’を締め付けることができる。また、固定装置は、複数を備え、例えば、少なくとも2つを備えてもよく、複数の固定装置は、検知器群44’を強固に固定及び位置決めするように、検知器群41’の長手方向に沿って間隔を置いて配置されてもよい。
【0207】
上記取付固定構造により、検知器群44’を取り付ける際に、検知器ユニットが走査領域に向けられ、且つ幅方向が被検体6の搬送方向と一致する状態で、まず、検知器群44’における固定ブロック442の開口443を片持ち部444の延伸部445に位置合わせし、開口443の底部が延伸部445に当接するまで検知器群44’を延伸部445に沿って移動させ、そして、締結具447を固定部材446と検知器アーム441における対応するネジ穴に通して締め付けることで、検知器群44’を固定部材446の取付基準面448に対して位置決めする。検知器群44’を取り外す際には、逆の操作を行えばよい。
【0208】
これにより、上記取付固定構造により、片持ち部444は、放射線走査機器において被検体6の搬送方向に沿って延在し、検知器群44’の幅方向は、被検体6の搬送方向に対して平行であり、且つ固定ブロック442の開口443は、検知器群44’の厚さ方向の一方側を向けており、検知器結晶を走査領域に向けることにより、被検体6の搬送方向に垂直な方向に沿って検知器群44’を取り付け又は取り外すことができる。
【0209】
また、選択可能的に、上記取付固定構造において、第2の取付部は、第1の取付部に係合した状態で、検知器群44’を所定の取付位置に支持するように構成されていてもよい。すなわち、片持ち部444は、検知器群44’が延在部445に対して所定の設置位置に移動した後、他の補助構造や工具を必要とせずに、固定ブロック442によって検知器群44’全体を支持することができる。このように、検知器群44’を締め付ける際に、別途の工具を必要とせず、操作者が検知器群44’を支持する必要がなく、締め付ける操作を行うでき、操作性が向上する。
【0210】
各検知器群41’、42’、43’、44’は、異なる固定取付構造を用いて支持フレーム5に対して取り外し又は取り付けられるが、各検知器群は、取り付け後に他の検知器群と被検体6の搬送方向に垂直な同一平面内に位置してもよい。具体的には、各検知器群の取付基準面を被検体6の搬送方向に垂直な同一平面内に配置し、各検知器群41’、42’、43’、44’を、取り付けられた後に被検体6の搬送方向に垂直な同一平面内に位置させることができる。
【0211】
また、図15図16における固定取付構造の第1の取付部と第2の取付部との間の直線移動係合は、スライダとガイドレールの係合を用い、他の実施例によれば、本願の固定取付構造は、例えば、直線スライド又は直線転がり係合等の他の直線移動係合を採用してもよく、例えば、リニアボールベアリングと円柱軸との係合等を採用してもよい。
【0212】
以上、本実施形態の放射線走査機器の検知器4の検知器群の取付構造について説明した。以下、本実施例の放射線走査機器の他の側面の特徴を説明する。
【0213】
本実施例の放射線走査機器の放射線源3と検知器4の相対配置は、上記実施例と基本的に同じである。上記実施例と同様に、放射線源3は複数の放射線源モジュールを備え、各放射線源モジュールは走査領域の周りに配置され、且つ被検体6の搬送方向に垂直な平面内、特に同一平面内に位置し、検知器4は複数の検知器群を備え、複数の検知器群は被検体6の搬送方向に垂直な他の平面内、特に同一平面内に位置し、且つ各検知器群の端部は互いに接続されて走査領域の周りに配置され、さらに、放射線源3と検知器4との組み合わせ状態において、検知器4は被検体6の搬送方向の垂直な方向に沿って放射線源3の内側に配置され、放射線源3と検知器4は被検体6の搬送方向に少なくとも一部が重なるように配置され、検知器4の複数の検知器組は上記実施例に記載の走査領域を囲む閉じた方形構造、矩形構造、多角形構造又は楕円形構造などのいずれかの構造であってもよく、上記実施例とは異なり、放射線源3の複数の放射線源モジュールは、走査領域周りに、走査領域の左側に開口する例えば左側が開口した矩形構造、多角形構造、楕円形構造などの非密閉構造に配置され、本実施例における上記のいずれかの構造のようである。
【0214】
上記実施例と同様に、本実施例の検知器4の各検知器組は、同じ側の放射線源モジュールの放射線ビームを遮蔽しないとともに、残りの側の各放射線源モジュールからの放射線を受信できるように配置されてもよい。放射線源3と検知器4はいずれも環状に配置されている(ただし、放射線源3は左側が開口した半密閉リングである)ため、同一の検知器群は放射線源の異なる放射線源モジュールによって共用されてもよい。また、放射線源3の各放射線源モジュールの放射線は、反対側の検知器群によって検出することができるほか、他の側検知器群によって検出することができるため、各放射線源モジュールの放射線は、できるだけ多くの検知器によって検出することができる。したがって、本実施例の検知器は、同様に、画質を向上させながら、検知器群の数を減少させ、設備コストを低減することができる。
【0215】
また、上記実施例と同様に、選択可能的に、検知器4の各検知器群の検知器結晶は、検知器ユニットの被検体6の搬送方向に沿った端部に配置され、且つ、被検体6の搬送方向において同じ側な放射線源モジュールの放射線ビームのエッジに近接するが、同じ側の放射線源モジュールの放射線ビームを遮蔽しないように配置される。これにより、放射線源と検知器との間の光路の被覆長さをできるだけ小さくして、機器の長さを小さくすることができる。
【0216】
また、上記実施例と同様に、選択可能的に、放射線源3の各放射線源モジュールは、放射線ビームが同じ側の検知器群を避けて対向側の検知器群の検知器結晶を照射するように配置される。具体的には、上記実施例と同様に、放射線源モジュールがターゲット軸に対して所定角度回動して、放射線源モジュールの放射線ビームのビーム出射角度を調整することにより、放射線ビームの中心位置が検知器結晶に照射される。検知器の検知器結晶は、被検体6の搬送方向において検知器ユニットの端部位置に位置し且つ同じ側の放射線源の放射線ビームのエッジに近接して配置されるため、放射線源モジュールは、非常に小さい所定の角度、例えば、1.5度で回転することができ、放射線ビームの中心位置に検知器結晶を照射させることができる。これにより、放射線ビームが傾斜に入射する結晶表面が結像に及ぼす悪影響を最大限に低減することができる。放射線源モジュールは、上記実施例と同様に、ターゲット軸又は他の軸線周りに回動可能である、又は上記実施例において言及された他の適切な方式により、放射線ビームのビーム出射角度を調整することができる。
【0217】
また、前記の実施例と同様に、本実施例の放射線源の隣接放射線源モジュールの端部にも投影データが欠落しているため、本実施例の放射線走査機器の画像処理モジュールも、画像品質を向上させるために、視野角欠落データに対して補償及び/又は再構成画像の修復を行うことができるデータ補償機能を有するように構成される。本実施例の放射線走査機器の画像処理モジュールは、上記実施例と同様の方法で画像再構成を行う。
【0218】
上記実施例の放射線走査機器と同様の利点を有することに加えて、本実施例の放射線走査機器は、さらに以下の利点を有する。
【0219】
本実施例の放射線走査機器は、空港の手荷物の安全検査に特に適応する。空港の手荷物は、体積が小さく(例えば、通常600mm*400mm以内)及び長さと幅が大きく、厚さが小さいという特徴を有し、且つ搬送装置に載置されて検出する場合、通常、厚さが上下方向に沿い、幅が左右方向に沿い、及び長さが搬送方向に沿う。本実施例の放射線走査機器は、走査領域の上下両側にいずれも放射線源モジュールを配置して、厚さ方向に荷物を走査する。これにより、サイズがより小さい厚み方向に、より多くの投影データを得ることができる。また、荷物の厚さが小さいため、厚さ方向における投影データが自己遮蔽及び放射線減衰の影響を受けるため、厚さ方向における投影データは他の方向より正確で鮮明であり、画像品質の向上に有利である。同時に、本発明の放射線走査機器の放射線源は、荷物の幅方向において片側にのみ放射線源モジュールを設置し、幅方向において、投影データは荷物の自己遮蔽と放射線減衰によって影響が大きいため、投影データの品質は厚さ方向における投影データの品質に対して悪く、荷物の幅方向において片側にのみ放射線源モジュールを設置することで、画像品質を確保しながら、放射線源コストを低減することができる。
【0220】
また、本実施例の放射線走査機器は、走査領域の左側に放射線源が設けられていないが、走査領域の左側の位置に対向する右側の検知器群が依然として設けられ、当該右側の検知器群は、上下両側の放射線源モジュールの放射線を受信でき、上下の両側の放射線源モジュールの放射線の対応検出データを増加させることができる。したがって、各放射線源モジュールの対向側のみに検知器群を配置する場合に比べて、画質を向上させることができる。
【0221】
また、本実施例では、放射線源の複数の放射線源モジュールが被検体の搬送方向に垂直な同一平面内に配置されていることを例として説明したが、放射線源に適用される複数の放射線源モジュールは、被検体の搬送方向に垂直な異なる平面内に配置される場合も同様である。
【0222】
また、実施例では、検知器の複数の検知器群が被検体の搬送方向と同一平面内に配置されている場合を例に挙げて説明したが、検知器の複数の検知器群が被検体の搬送方向に垂直な異なる平面内に配置されている場合も同様である。
【0223】
上記した実施形態では、放射線源が走査領域を上下左右の4辺で囲む線走査装置について説明した。他の実施例によれば、本願は放射線走査機器をさらに提供し、その配置は基本的に上記の実施例の放射線走査機器と同様であり、相違点は主に放射線源の配置にあり、ここで、本実施例において、放射線源は上側、左側及び右側の三方のみに走査領域を取り囲み、即ち、放射線源は搬送装置の上方のみに走査領域を囲み、搬送装置の下方には放射線源モジュールが設置されていない(具体的には図18を参照、図18は本実施例に係る放射線源及び検知器のレイアウト模式図を示す)。ここで、搬送装置の上方とは、搬送装置の直上だけでなく、搬送装置の側上方も含まれるものとし、また、搬送装置の上方とは、必ずしも厳密には高さが搬送装置よりも高い必要はなく、高さが搬送装置と略同一であることや、搬送装置よりも若干低い場合も本実施例の範囲に含まれる。
【0224】
具体的に、当該上記の実施例の放射線走査機器において、放射線源3の各放射線源モジュールは、分散式マルチポイント放射線源であり、複数の放射線源モジュールは、走査領域を囲む矩形構造、多角形構造、楕円形構造などに配置されてもよい。本実施例において、放射線源の複数の放射線源モジュールは、依然として分散式マルチポイント放射線源であってもよく、相違点は、複数の放射線源モジュールが、走査領域を囲んだ、搬送装置の下方に開口する非密閉構造に配置され、例えば、搬送装置の下方に開口する矩形構造、多角形構造、楕円形構造などに配置される。上記実施例において、放射線源3は、非連続的又は連続的な矩形構造、連続的な多角形構造、連続的な角丸矩形、非連続的な多角形又は非連続の角丸矩形構造及び他の多角形及び楕円形の構造で配置されるが、本実施例において、放射線源は、搬送装置の下方に開口する非連続的又は連続的な矩形構造、連続的な多角形構造、連続的な角丸矩形、非連続的な多角形又は非連続的な角丸矩形構造及び他の多角形及び楕円形の構造に配置され、例えば、図2に示す放射線源に対して、本実施例の放射線源3は、少なくとも下方の放射線源モジュール33を備えず、ある場合に、放射線源モジュール32、34の搬送装置1より低い部分を備えず、例えば、図4の(b)~(c)に示す放射線源に対して、本実施例の放射線源3は、少なくとも被検体6の下方の放射線源モジュールを備えない。
【0225】
また、当該上記実施例と同様に、本実施例の放射線源は複数のシングルポイント放射線群で構成されてもよく、相違点は、本実施例の放射線源3が、底視野角、左下斜め視野角及び右下斜め視野角におけるシングルポイント放射線源を備えない点のみである。
【0226】
上記の相違点を除き、本実施例の放射線源の他の側面の特徴は、いずれも該上記実施例における放射線源3と同じである。
【0227】
本実施例の検知器の各方面の特徴は、基本的に、該上記の実施例における検知器4と同様であり、相違点は、本実施例において、検知器は、上側、左側及び右側のみに走査領域を囲む放射線源と組み合わせられることであり、検知器4の走査領域の下方に位置する検知器群の同じ側に放射線源モジュールがなく、検知器4の走査領域の下方に位置する検知器群の取り外し及び取り付けは、下側の放射線源モジュールによって阻害されない。したがって、検知器の各検知器群は、上記実施例と同様の取付固定構造を用いて取り外しを行うほか、走査領域の下方に位置する検知器群は、左側または右側の放射線源モジュールに阻害されることなく、被検体6の搬送方向に垂直な方向に支持フレーム5に対して着脱可能であり、具体的には、上記の図16を参照して説明した取付固定構造を用いて着脱可能である。
【0228】
また、本実施例の放射線走査機器の放射線源3と検知器4の相対配置は、上記実施例と基本的に同じである。具体的には、上記実施例と同様に、放射線源3は複数の放射線源モジュールを備え、各放射線源モジュールは走査領域の周りに配置され、且つ被検体6の搬送方向に垂直な平面内、特に同一平面内に位置し、検知器4は複数の検知器群を備え、複数の検知器群は被検体6の搬送方向に垂直な他の平面内、特に同一平面内に位置し、且つ各検知器群の端部は互いに接続されて走査領域の周りに配置され、さらに、放射線源3と検知器4との組み合わせ状態において、検知器4は被検体6の搬送方向に垂直な方向に沿って放射線源3の内側に配置され、放射線源3と検知器4は被検体6の搬送方向において少なくとも一部が重なり、検知器4の複数の検知器組は上記実施例に記載の走査領域を囲む閉じた方形構造、矩形構造、多角形構造又は楕円形構造などのいずれかの構造であってもよく、上記実施例との相違点は、放射線源3の複数の放射線源モジュールは走査領域周りの、搬送装置の下方に開口する非密閉構造に配置され、例えば搬送装置の下方に開口する矩形構造、多角形構造、楕円形構造などに配置され、本実施例のいずれかの構造のようである。
【0229】
上記実施例と同様に、本実施例の検知器4の各検知器群は、選択可能的に、同じ側の放射線源モジュールの放射線ビームを遮蔽しないとともに、残りの側の各放射線源モジュールからの放射線を受信できるように配置されてもよい。放射線源3と検知器4はいずれも環状に配置されている(ただし、放射線源3は下部が開口した半密閉リングである)ため、同一の検知器群は放射線源の異なる放射線源モジュールによって共用されてもよい。また、放射線源3の各放射線源モジュールの放射線は、反対側の検知器群によって検出することができるほか、他の側の検知器群によって検出することもできるため、各放射線源モジュールの放射線は、できるだけ多く検知器によって検出されることができる。したがって、本実施例の検知器は、同様に、画質を向上させながら、検知器群の数を減少させ、機器コストを低減することができる。
【0230】
また、上記実施例と同様に、選択可能的に、検知器4の各検知器群の検知器結晶は、検知器ユニットの被検体6の搬送方向に沿った端部に配置され、且つ、被検体6の搬送方向において同じ側の放射線源モジュールの放射線ビームのエッジに近接するが、同じ側の放射線源モジュールの放射線ビームを遮蔽しないように配置される。これにより、放射線源と検知器との間の光路の被覆長さをできるだけ小さくして、機器の長さを小さくすることができる。
【0231】
また、上記実施例と同様に、選択可能的に、放射線源3の各放射線源モジュールは、放射線ビームが同じ側の検知器群を避けて対向側の検知器群の検知器結晶を照射するように配置される。具体的には、上記実施例と同様に、放射線源モジュールがターゲット軸に対して所定角度回動して、放射線源モジュールの放射線ビームのビーム出射角度を調整することにより、放射線ビームの中心位置に検知器結晶を照射させる。検知器の検知器結晶は、被検体6の搬送方向に検知器ユニットの端部位置に位置し且つ同じ側の放射線源の放射線ビームのエッジに近接して配置されるため、放射線源モジュールは、非常に小さい所定の角度、例えば、1.5度で回転することができ、放射線ビームの中心位置に検知器結晶を照射させることができる。これにより、放射線ビームが検知器に傾斜に入射することによる結像に及ぼす悪影響を最大限に低減することができる。放射線源モジュールは、上記実施例と同様に、ターゲット軸又は他の軸線周りに回動可能である、又は上記実施例において言及された他の適切な方式により、放射線ビームのビーム出射角度を調整することができる。
【0232】
また、上記の実施例と同様に、本実施例の放射線源の隣接の放射線源モジュールの端部にも投影データが欠落しているため、本実施例の放射線走査機器の画像処理モジュールも、画像品質を向上させるために、視野角欠落データに対して補償及び/又は再構成画像の修復を行うことができるデータ補償機能を有するように構成される。本実施例の放射線走査機器の画像処理モジュールは、上記実施例と同様の方法で画像再構成を行う。
【0233】
本実施例の放射線走査機器は、上記実施例の放射線走査機器と同様の利点を有するほか、以下の利点を有する。
【0234】
本実施例の放射線走査機器は、搬送装置の下方に放射線源モジュールが配置されていないため、搬送装置の高さを低くすることができ、被検体品の搬送装置への搬送を容易にすることができ、また、搬送装置の下方にも放射線源モジュールを配置する上記実施例に対して、本実施例は機器コストを節約することができる。
【0235】
また、本実施例の放射線走査機器は、下部放射線源が設けられていないが、下部位置に対向する上方検知器群を依然として設け、該上方検知器群は、左右両側の放射線源モジュールの放射線を受信し、左右両側の放射線源モジュールの放射線の対応検出データを増加させることができる。したがって、各放射線源モジュールの対向側のみに検知器群を配置する場合に比べて、画質を向上させることができる。
【0236】
また、本実施例では、放射線源の複数の放射線源モジュールが被検体の搬送方向に垂直な同一平面内に配置されていることを例として説明したが、放射線源に適用される複数の放射線源モジュールは、被検体の搬送方向に垂直な異なる平面内に配置される場合も同様である。
【0237】
また、本実施形態では、検知器の複数の検知器群が被検体の搬送方向と同一平面内に配置されている場合を例に挙げて説明したが、検知器の複数の検知器群が被検体の搬送方向に垂直な異なる平面内に配置されている場合も同様である。
【0238】
上記実施形態では、放射線源及び検知器が走査領域を上下左右の4辺で囲む放射線走査装置について説明する。他の実施例によれば、本願は、放射線源と検知器の配置が異なるだけで、当該上記実施例の放射線走査機器の構造と基本的に同じである放射線走査機器をさらに提供する。具体的には、本実施例において、被検体の搬送方向から見て、放射線源の複数の放射線源モジュールは、走査領域の一側に開口する非密閉構造で走査領域周りに配置され、検知器の複数の検知器群も走査領域の一側に開口する非密閉構造で走査領域周りに配置され、且つ検知器の非密閉構造の開口は放射線源の非密閉構造の開口に対向して配置され、また、検知器の複数の検知器群は被検体の搬送方向に垂直な同一平面内に固定され、放射線源の複数の放射線源モジュールは被検体の搬送方向に垂直な複数の異なる平面内に固定され、例えば、放射線源の、検知器の非密閉構造の開口側に配置される放射線源モジュールと検知器の各検知器群は被検体の搬送方向に垂直な同一平面内に固定され、放射線源の他の放射線源モジュールは被検体の搬送方向に垂直な他の平面内に固定される。
【0239】
以下、本実施形態に係る放射線走査機器の放射線源の構成及び配置について詳細に説明する。
【0240】
上記実施例と同様に、本実施例の放射線走査機器の放射線源は複数の放射線源モジュールを備え、且つ各放射線源モジュールは分散型マルチポイント放射線源であってもよい。分散型マルチポイント放射線源として、各放射線源モジュールは複数のターゲットポイントを有してもよく、各放射線源モジュールの各ターゲットポイントは個別に放射線ビームを発生することができ、各ターゲットポイントは制御装置の制御により所定のタイミングで放射線ビームを発生させることができる。図3に示すように、放射線ビームは、開き角度Aを有するファンビームであってもよい。もちろん、放射線ビームの形状はファンビームに限定されず、コーンビーム、平行ビームなどの他の形状のビームであってもよく、必要に応じて具体的に設置されてもよい。
【0241】
上記実施例において、被検体の搬送方向に沿って見て、放射線源の複数の放射線源モジュールは四方に走査領域を囲んでいるが、本実施例において、被検体の搬送方向に沿って見て、放射線源の複数の放射線源モジュールは三方のみに走査領域を囲んで配置され、即ち、走査領域の一側に開口する非密閉構造は走査領域の周りに配置される。具体的には、図19図21に示すように(図19は本実施例に係る放射線走査機器の放射線源及び検知器のレイアウトを示す斜視模式図であり、図20図19に示す放射線源及び検知器の被検体の搬送方向に沿って見た側面模式図であり、図21図19に示す放射線源及び検知器のレイアウトを示す平面模式図であり、走査領域の左側及び右側の放射線源モジュールは被検体の搬送方向に垂直な同一平面内に配置され(図21の実線で放射線出口位置を示す)、走査領域の下方の放射線源モジュールは被検体の搬送方向に垂直な他の平面内に配置され(図21の点線で放射線出口位置を示す)、被検体の搬送方向から見て、放射線源3は走査領域の左側、右側及び下側にそれぞれ配置される放射線源モジュール31、32、33を備え、放射線源モジュール31、32、33は走査領域の上側に開口する走査領域を囲む非密閉構造を形成する。図示の実施例において、放射線源モジュールは、直線分散型マルチドット放射線源であり、放射線源の非密閉構造は、走査領域の上側に開口する直角矩形構造である。放射線源3の放射線源モジュール31、32、33は、直線分散型マルチポイント放射線源に限定されず、他の実施例によれば、弧状、折れ線状などを形成してもよい。直線状、弧状又は折れ線状の放射線源モジュールは、需要により組みわせる可能であり、被検体の搬送方向から見て、放射線源3が走査領域の上側に開口する走査領域を囲む角丸矩形構造、多角形構造、楕円形構造などを形成してもよい。また、被検体の搬送方向に沿って見て、放射線源3の放射線源モジュールは、走査領域の左側、右側及び下側に設けられることに限定されず、例えば上側、左側及び右側、又は上側、下側及び左側、又は上側、下側及び右側に設けられてもよく、具体的には、実際の使用のシーンに応じて設定されてもよい。本実施例の以下の説明では、放射線源モジュールが走査領域の左側、右側及び下側に配置される場合を例として説明するが、放射線源モジュールが他の任意の三側に配置される場合についても、原理の適用も同様である。
【0242】
上記実施例と同様に、本実施例の放射線源の複数の放射線源モジュールも互いに個別に着脱可能であり、即ち、各放射線源モジュールはそれぞれの放射線発生装置を収容するための個別のキャビティを有し、各放射線源モジュールは個別のキャビティを有し、各放射線源モジュールの複数のターゲットポイントは個別の真空チャンバを共有することを意味する。各放射線源モジュールの複数のターゲットポイントの真空キャビティ内の間隔は、ターゲットポイントの数とキャビティの長さによって決定することができる。いくつかの実施例によれば、個別の放射線源モジュールにおけるターゲットポイントの数は、192、264などであってもよく、個別の放射線源モジュールにおけるターゲットポイントの間隔は、4mm、12mmなどであってもよい。各放射線源モジュールが個別のキャビティを有することは、一体型環状キャビティの放射線源(即ち、放射線源の全てのターゲットポイントが同一の環状真空キャビティ内に位置する)に対して、個別の放射線源モジュールのハウジングサイズ及び内部真空キャビティの体積を縮小でき、個別の放射線源モジュールの体積を減少させ、重量を低減させることができるので、放射線源の取り外し及び取り付けに便利であり、また、各放射線源モジュールは個別の真空キャビティを採用し、放射線源モジュールをメンテナンスする際にキャビティ内の着火のリスクを低減できるという利点を有する。
【0243】
さらに、上記実施例と同様に、放射線源3の各放射線源モジュールには、放射線源モジュールの取り付け及び調整のために取付位置決め構造が設置されている。取付位置決め構造により、放射線源3の各放射線源モジュールは、放射線走査機器における所定の位置に取り付けられ及び固定されることができる。また、取付位置決め構造によって、放射線源モジュールは、放射線ビームのビーム出射角度を調整するように回転されてもよい。放射線源3の各放射線源モジュールは、放射線走査機器における位置が異なることによって、取付方式を採用することができ、異なる取付位置決め構造を有する。例えば、走査領域の左側及び右側に位置する放射線源モジュールは、天井等の機器により吊り下げの方式で取り付けられてもよく、走査領域の下側に位置する放射線源モジュールは、吊り下げの方式を採用するのに適しておらず、上記実施例で説明した取付位置決め構造(図5に示す取付位置決め構造など)を用いて取り付け固定を行う又は放射線ビームのビーム出射角度を調整することができる。
【0244】
また、上記実施例と同様に、放射線源3は複数のシングルポイント放射線源から構成されてもよく、各放射線源モジュールはシングルポイント放射線源群であってもよく、各シングルポイント放射線源群は少なくとも2つのシングルポイント放射線源を備える。各シングルポイント放射線源は、放射線ビーム、例えば、開き角Aを有するファンビーム(図3に示す)を個別に送信することができる。放射線源3の各シングルポイント放射線源は、放射線走査システムの制御装置の制御に基づいて所定のタイミングで放射線を放出することができる。各放射線源モジュールがシングルポイント放射線源群である場合、被検体6の搬送方向から見て、シングルポイント放射線群は少なくとも底視野角、左側視野角及び右側視野角に分散し、さらにコーナーの斜め視野角に分散してもよく、例えば左下の斜め視野角及び右下の斜め視野角において、さらに左上の斜め視野角及び右上の斜め視野角に分散してもよい(図22に示す)。
【0245】
次に、本実施形態の放射線走査機器の検知器4の配置について詳細に説明する。上記実施例と同様に、検知器4は複数の検知器群を備えてもよく、複数の検知器群は、選択可能的に被検体6の搬送方向に垂直な同一平面内に位置してもよい。また、上記実施例と同様に、本実施例の検知器群も複数の検知器ユニットを備える検知器アレイである。
【0246】
また、上記実施例では、被検体の搬送方向に沿って見て、検知器4の複数の検知器群が走査領域を取り囲むように4辺に配置され、走査領域を囲む閉構造が形成されるが、本実施例では、検知器4の検知器群は、被検体の搬送方向に沿って見て、三方のみに走査領域を囲んで配置され、すなわち走査領域の一側に開口する非密閉構造で走査領域の周りに配置されている。具体的には、図19図21に示すように、検知器4は、走査領域の左側、右側及び上側にそれぞれ配置された検知器群41、42、43を備え、検知器群41、42、43の端部は互いに接続され、走査領域周りの走査領域の下側に開口する非密閉構造を形成する。図19図21に示す実施例において、検知器群41、42、43は、直線に沿って配列された複数の検知器ユニットを備えるリニア検知器アレイであり、走査領域の下側に開口する非密閉の矩形又は方形構造を形成する。ただし、本実施例の検知器4は、上記構成に限らず、他の構成としてもよい。例えば、検知器4は、3つの長いリニア検知器アレイと、2つの短いリニア検知器アレイとを備え、これらの検知器アレイは、走査領域周りに交互に配置され且つ端部が互いに接続されて、走査領域の下側に開口する非密閉の多角形構造(図23に示す)を形成する。また、検知器4は、他の数の複数の長いリニア検知器アレイ及び他の数の複数の短いリニア検知器アレイを備えてもよく、これらの検知器アレイは、走査領域周りに交互に配置され且つ端部が互いに接続されて、走査領域の下側に開口する非密閉の他の多角形構造を形成する。本実施例の検知器4の検知器群は、複数の弧状検知器アレイをさらに備えてもよく、複数の弧状検知器アレイは、走査領域の周りに配置され且つ端部が互いに接続されて、走査領域の下側に開口する非密閉の楕円形構造を形成する。本実施例の検知器4の検知器群は、リニア検知器アレイと弧状検知器アレイとの組み合わせであってもよく、他の形状の走査領域の下側に開口する非密閉構造、例えば走査領域の下側に開口する角丸矩形構造などを形成する。ここで、検知器ユニットの構造及びリニア検知器アレイ形式及び弧状検知器アレイ形式の検知器群の構成は、上記実施例で説明した構成と完全に同じである。
【0247】
また、検知器4の検知器群は、図19図21に示す走査領域の左側、右側及び上側に設けられることに限定されず、放射線源の非密閉構造の開口が放射線源の非密閉構造の開口に対向すればよく、例えば下側、左側及び右側、又は上側、下側及び左側、又は上側、下側及び右側に設けられてもよい。本実施例では、図19図21に示す検知器群が走査領域の左側、右側及び上側に配置される場合を例に説明するが、本実施例は、検知器群が他の任意の三方に配置される場合にも同様に適用される。
【0248】
また、上記実施例と同様に、いくつかの実施例において、検知器4の各検知器群は、個別に着脱可能であり、これにより、検知器のメンテナンス性を向上させることができる。また、当該実施例と同様に、本実施例の検知器4の複数の検知器群は、被検体6の搬送方向に沿って移動することで着脱され、このように検知器4の検知器群が被検体6の搬送方向に垂直な方向に沿って放射線源3の内側に配置されている場合、放射線源を取り外す必要がなく、検知器群の着脱、調整及びメンテナンスを行うことができ、検知器のメンテナンス性をさらに改善することができる。図19図21に示すような検知器4、検知器群41、42、43は、被検体6の搬送方向と平行な方向に移動することで着脱され、放射線源モジュール31、32、33を取り外すことなく、着脱、調整、メンテナンスを行うことができる。検知器4の検知器群41、42、43は、上記実施例で説明したものと同様の取付固定構造(図9に示す実施例及びその変形例等)を用いて、放射線走査機器における取付位置に対して被検体6の搬送方向に沿って移動することで前記取付位置に対して着脱することができる。例えば、上記実施例と同様に、検知器群41、42、43は、検知器アームを介して放射線走査機器の支持フレーム5に取り付けられてもよいし、支持フレーム5から取り外されてもよい。
【0249】
また、放射線源又は検知器の非密閉構造の開口が走査領域の左側又は右側に向いている場合、検知器4の検知器群は、被検体の搬送方向の垂直方向に沿って移動することで着脱されてもよい。図24に示すように、被検体の搬送方向に沿って見て、放射線源の放射線源モジュール31、32、33の非密閉構造の開口は走査領域の左側に向いており、検知器4の検知器群41、42、43の非密閉構造の開口は走査領域の右側に向いている。この場合、検知器群41、42、43は、図24の(b)に矢印で示すように、被検出体の搬送方向に垂直する方向に沿って取付位置(例えば支持フレーム5)に対して移動されて着脱可能である。走査領域の左側に放射線源モジュールが設けられていないため、放射線源が検知器の上記移動方式に対して阻害されず、検知器群を容易に取り外すことができる。このような着脱方式は、先に説明するように、被検体の搬送方向の垂直方向に沿って検知器群を着脱する取付固定構造を採用してもよく、例えば図15図17を参照して説明した取付固定構造及びその変形例等を用いて実現することができる。
【0250】
また、検知器4の検知器群は、一部が被検体の搬送方向に沿って移動することで着脱されることに設けられ、他の一部が被検体の搬送方向に垂直な方向に沿って移動することで着脱されるようにしてもよい。例えば、図19図21に示す実施例において、走査領域の左側又は右側の放射線源モジュール31、32の最高点が走査領域の上方の検知器群41より低い場合、検知器群41は被検体の搬送方向の垂直方向に移動することで着脱される。具体的な取付固定構造は、図15に示す実施例及びその変形例を採用することができる。同様に、検知器4の検知器群が走査領域の左側、右側及び下側に配置され、下側の検知器群が左側及び右側の放射線源モジュールの最下点よりも低ければ、下側の検知器群は被検体の搬送方向の垂直方向に移動することで着脱されてもよい。具体的な取付固定構造は、図16に示す実施例及びその変形例を採用することができる。
【0251】
また、上記実施例と同様に、検知器の複数の検知器群は、それぞれの取付面と対応する取付基準面(被検体6の搬送方向に垂直な同一平面内に設置)により、取り付けられた後に被検体6の搬送方向に垂直な同一平面内にある。
【0252】
次に、本実施例による放射線走査機器の放射線源3と検知器4の相対配置をさらに説明する。本実施例の放射線源3と検知器4の相対配置は上記実施例と異なる。本実施例において、放射線源と検知器の組み合わせ状態において、放射線源の非密閉構造の開口は検知器の非密閉構造の開口に対向して配置され、検知器の複数の検知器群は被検体の搬送方向に垂直な同一平面内に固定され、放射線源の複数の放射線源モジュールは被検体の搬送方向に垂直な複数の平面内に配置され、例えば、放射線源の検知器の非密閉構造の開口側に配置される放射線源モジュールと検知器の各検知器群は被検体の搬送方向に垂直な同一平面内に固定され、放射線源の他の放射線源モジュールは被検体の搬送方向に垂直な他の平面内に固定される。放射線源の他の放射線源モジュールは、被検体の搬送方向に垂直な他の個別の平面内又は他の複数の異なる平面内に位置してもよく、選択可能的に、他の個別の平面内に位置してもよく、本実施例は、他の放射線源モジュールが被検体の搬送方向に垂直な他の個別の平面内に配置されている(図21に示す)ことを例として説明するが、他の複数の異なる平面の場合についても同様である。
【0253】
放射線源と検知器との組み合わせ状態において、放射線源は、上記のいずれかの実施例の構成であってもよく、例えば、被検体の搬送方向に沿って見て走査領域の一側に開口する矩形、多角形、楕円形構造などであってもよく、検知器は、上記のいずれかの実施例の構造、例えば走査領域の一側に開口する方形構造、矩形構造、多角形構造、楕円形構造などであってもよく、放射線源と検知器構造の開口が対向して配置されていればよい。以下、図19図21に示す実施例を例として、放射線源3と検知器4の組み合わせ状態での詳細な配置を説明するが、同じ原理は、放射線源3と検知器4の他の任意の構造の組み合わせにも同様に適用できる。
【0254】
いくつかの例では、上記実施例と同様に、上記のような放射線源3と検知器4との組み合わせに基づいて、検知器の環状配置(セミクローズドループ)に鑑み、検知器4の検知器群41、42、43は、それぞれ、残りの側の各放射線源モジュールからの放射線を受信できるように配置され、放射線源の複数の放射線源モジュールは、検知器の各検知器組を共用することができる。これにより、検知器群の数を減らすことができる。また、放射線源モジュール31、32の放射線は、それぞれ対向側の検知器群42、41によって検出されるほか、同じ側の検知器以外の他の検知器群によって受信されてもよく、放射線源モジュール33の放射線は全ての検知器群41、42、43によって受信されてもよいため、各放射線源モジュールの放射線はできるだけ多く検知器に検出されてもよい。その結果、走査領域の三側面のみに放射線源モジュール及び検知器を配置したが、本実施例の放射線走査機器は依然として十分な検出データを取得して画像再構成を行うことができ、同時に、放射線源モジュール及び検知器群を減少させるため、機器の重量を軽減することができ、それにより、軽量化の放射線走査機器の構築に有利である。
【0255】
また、いくつかの例では、放射線源3の放射線源モジュール33は、検知器4の各検知器群41、42、43と被検体の搬送方向に垂直な同一平面内に位置するように配置される。具体的には、放射線源モジュール33の放射線出口が各検知器群の検知器結晶(図21に示す)に正対することを意味する。これにより、放射線源モジュール33の放射線ビームをより多くの検知器結晶に被覆することができ、より多くの検出データを取得し、画像品質を向上させることに有利である。
【0256】
また、いくつかの例において、上記実施例における各検知器群と同様に、被検体の搬送方向から見て、即ち、被検体の搬送方向の垂直方向において、検知器4の他の放射線源モジュール31、32と同じ側の検知器群41、42は、それぞれ放射線源3の他の放射線源モジュール31、32と走査領域との間に配置され、且つ被検体の搬送方向に沿って、他の放射線源モジュール31、32と同じ側の検知器群41、42は少なくともの一部が重なる(図21に示す)。これにより、放射線源と検知器との間の光路によって覆われる機器の長さを小さくすることができ、機器の全長を短縮することができる。
【0257】
また、上記実施例の各検知器群と同様に、検知器群41、42は、被検体の搬送方向において、放射線源モジュール31、32と少なくとも一部が重なっている場合には、それぞれ同じ側の放射線源モジュール31、32の放射線を避けて、同じ側の放射線源モジュール以外の全ての放射線源モジュールの放射線を受信するように構成されている。
【0258】
さらに、上記実施例と類似して、検知器4の各検知器群の検知器結晶は、検知器ユニットの被検体の搬送方向に沿った端部に配置され、且つ検知器4の他の放射線源モジュール31、32と同じ側の検知器群41、42は、被検体の搬送方向においてそれぞれ同じ側の放射線源モジュール31、32の放射線ビームのエッジに隣接するが、同じ側の放射線源モジュール31、32の放射線ビームを遮蔽しないように配置される。これにより、放射線源3と検知器4とが被検体6の搬送方向に最大限に重なることができ、放射線源と検知器との間の光路が被覆する機器の長さをできるだけ小さくすることができ、機器の全長を小さくすることができる。
【0259】
さらに、いくつかの例では、上記実施例と類似して、放射線源3の放射線源モジュール31、32は、放射線ビームがそれぞれ同じ側の検知器群41、42を避けて、対向側の検知器群の検知器結晶を照射するように配置される。さらに、上記実施例と同様に、放射線源モジュール31、32は、それぞれのターゲット軸に対して所定の角度回動して、それぞれの放射線ビームのビーム出射角度を調整することにより、それぞれの放射線ビームの中心位置が対向側の検知器結晶を照射する。検知器の検知器結晶は、被検体の搬送方向に検知器ユニットの端部位置に位置し且つ同じ側の放射線源の放射線ビームのエッジに近接して配置されるため、放射線源モジュールは、非常に小さい所定の角度、例えば、1.5度で回動してもよく、つまり放射線ビームの中心位置に検知器結晶を照射させることができる。これにより、放射線ビームが検知器結晶表面に傾斜に入射することによる結像に及ぼす悪影響を最大限に低減することができる。また、上記実施例と同様に、放射線源モジュールは、ターゲット軸又は他の軸線周りに回動可能である、又は上記実施例で言及された他の適切な方式により、放射線ビームのビーム出射角度を調整することができる。
【0260】
また、上記実施例と類似して、本実施例の放射線源の隣接の放射線源モジュールの端部に投影データが欠落する可能である。例えば、図19図21に示す実施例において、放射線源モジュール31、33の隣接の端部及び放射線源モジュール33、32の隣接の端部におけるターゲットポイントの間の間隔は、各放射線源内のターゲットポイント間の間隔よりも大きい可能性があるため、これらの端部に投影データが欠落する。したがって、上記実施例と類似して、本実施例の放射線走査機器の画像処理モジュールも、画像品質を向上させるために、視野角欠落データに対して補償及び/又は再構成画像の修復を行うことができるデータ補償機能を有するように構成される。本実施例の放射線走査機器の画像処理モジュールは、上記実施例と同様の方法で画像再構成を行う。
【0261】
もちろん、他の実施例によれば、放射線源モジュール31、32及び放射線源モジュール33は、被検体の搬送方向に垂直な異なる平面内に配置されているため、いくつかの例において、放射線源モジュール31、33の隣接の端部及び/又は放射線源モジュール33、32の隣接の端部が被検体の搬送方向に沿って重ねて配置されることにより、隣接する放射線源モジュール31、33又は32、33の隣接の端部のターゲットポイントが重なる、又はターゲットポイントの間隔が各放射線源内のターゲットポイントの間の間隔より大きくないようにすることができる。この場合、投影データの欠落がなく、その分、画像処理モジュールのデータ補償機能を用いて画像再構成を行う必要がない。
【0262】
本実施形態の放射線走査機器は、上記実施例の放射線走査機器と同様の利点に加えて、以下の利点を奏する。
【0263】
本実施例の放射線源及び検知器は、いずれも三方の上で走査領域を囲み、四方(放射線源及び検知器の一方又は両方であってもよい)に対して走査領域を囲む場合に対して、十分なデータを取得して画像再構成を行うことができ、機器コストを低減し、機器の重量を小さくすることができ、それにより、軽量化放射線走査機器を提供することができる。
【0264】
また、本実施例は、個別に走査領域の一側にある放射線源モジュールを検知器の検知器結晶に正対させ、当該放射線源モジュールの放射線をより多くの検知器ユニットに被覆させることができ、データ量の増加に有利であり、画像品質を向上させる。
【0265】
以上は、放射線源が上下左右の四側又はその中の任意の三側において走査領域を取り囲む放射線走査機器を説明したが、他の実施例によれば、放射線源は、上下左右の四側のうちの任意の両側のみに走査領域を囲むように配置されてもよい。
【0266】
以上は、放射線源の各放射線源モジュールの取付位置決め構造を説明したが、以上の取付位置決め構造は、本願の放射線走査機器に限定されず、他の適切な放射線走査機器において使用されてもよい。
【0267】
以上は、検知器群に用いられる各種の取付固定構造を説明したが、以上の取付固定構造は、本願の放射線走査機器に限らず、他の好適な放射線走査機器に用いられてもよく、各実施例の取付固定構造は、単独で用いられてもよく、個別の放射線走査機器において組み合わせて用いられてもよい。
【0268】
上記の説明は、本願の好適な実施例に過ぎず、本願を制限するものではなく、当業者にとって、本願の実施例は、様々な変更及び変化が可能である。本願の精神及び原則内で行われた如何なる修正、均等置換、改良等は、いずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。
【0269】
当業者であれば、上記実施例はいずれも例示であって制限的なものではないと理解すべきである。異なる実施例に現れる異なる技術的特徴は組み合わせて有益な効果を得ることができる。当業者は、添付図面、明細書及び特許請求の範囲を検討した上で、開示された実施例の他の変形例を理解して実現することができる。特許請求の範囲において、用語「備える」は、他の装置又はステップを排除するものではなく、物品が数量詞によって修飾されていない場合、1つ/又は複数の物品を含み、「1つ/又は複数の物品」と互換的に使用されることを意図し、用語「第1」、「第2」は、特定の順序を示すために用いられず、名称を示すために用いられる。特許請求の範囲のいずれの符号も、特許請求の範囲の限定であると理解されるべきではない。特許請求の範囲に記載された複数の部分の機能は、個別のハードウェア又はソフトウェアモジュールによって実現されてもよい。いくつかの技術的特徴が異なる従属請求項に現れるとは、これらの技術的特徴を組み合わせて有益な効果を得ることができないことを意味するものではない。
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【国際調査報告】