(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】毛切断デバイスの使用の監視
(51)【国際特許分類】
B26B 19/38 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
B26B19/38 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579732
(86)(22)【出願日】2022-06-20
(85)【翻訳文提出日】2023-12-26
(86)【国際出願番号】 EP2022066679
(87)【国際公開番号】W WO2023274764
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ファン デ ショートブリュジェ マンノルト
(72)【発明者】
【氏名】ディルクズ ダニエル アロンゾ
【テーマコード(参考)】
3C056
【Fターム(参考)】
3C056JE01
(57)【要約】
一態様によれば、毛切断デバイスの切断要素の使用を監視するコンピュータ実施方法100であって、切断イベント中に間隔を置いて毛切断デバイスの切断要素によって表面に加えられた圧力を示す圧力データを受信すること(102)と、受信された圧力データを記憶デバイスに記憶すること(104)と、切断イベントに関連して記憶デバイスに記憶された圧力データと、1つ又は複数の以前の切断イベントに関連して記憶デバイスに記憶された圧力データとに基づいて、切断要素の摩耗レベルを推定すること(106)と、受信者に対する提示のために、推定された摩耗レベルの表示を提供すること(108)と、を有する、コンピュータ実施方法100が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛切断デバイスの切断要素の使用を監視するコンピュータ実施方法であって、
切断イベント中に間隔を置いて前記毛切断デバイスの切断要素によって表面に加えられた圧力を示す圧力データを受信するステップと、
受信された前記圧力データを記憶デバイスに記憶するステップと、
前記切断イベントに関連して前記記憶デバイスに記憶された圧力データと、1つ又は複数の以前の切断イベントに関連して前記記憶デバイスに記憶された圧力データとに基づいて、前記切断要素の摩耗レベルを推定するステップであって、
前記切断イベントに関連する前記記憶された圧力データと、前記1つ又は複数の以前の切断イベントに関連する前記記憶された圧力データとの総和又は数値積分に基づいて、規定された開始点から前記切断要素によって表面に加えられた総圧力を決定するステップ、及び
算出された前記総和又は積分された圧力データに基づいて、前記摩耗レベルを推定するステップを有する、前記切断要素の摩耗レベルを推定するステップと、
受信者に対する提示のために、推定された前記摩耗レベルの表示を提供するステップと、を有する、コンピュータ実施方法。
【請求項2】
推定された前記摩耗レベルが規定された閾値条件を満たすとの判定に応答して、前記受信者に対する配信のために警告信号を生成するステップをさらに有する、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項3】
受信された前記データは、前記切断イベント中に間隔を置いて、前記毛切断デバイスの前記切断要素によって前記表面に加えられた圧力を測定する圧力センサから得られたデータを含む、請求項1又は2に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項4】
前記切断イベント中に間隔を置いて、前記毛切断デバイスの前記切断要素を駆動するモータの両端の電流を示す電流データを受信するステップをさらに有し、
前記切断要素の摩耗レベルを推定するステップは、受信された前記電流データにさらに基づく、請求項1から3のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項5】
受信された前記電流データにローパスフィルタを適用するステップをさらに有する、請求項4に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項6】
前記切断イベントに関連して前記記憶デバイスに記憶された前記圧力データと、1つ又は複数の以前の切断イベントに関連して前記記憶デバイスに記憶された圧力データとに基づいて、前記切断要素が前記切断イベント中に使用された総持続時間を決定するステップをさらに有し、
前記切断要素の摩耗レベルを推定するステップは、決定された総持続時間にさらに基づく、請求項1から5のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項7】
前記切断要素の摩耗レベルを推定するステップは、前記切断要素が交換されるべきであるような程度まで前記切断要素が摩耗する確率を決定することを有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項8】
コンピュータ可読コードが埋め込まれた非一時的コンピュータ可読媒体てあって、前記コンピュータ可読コードは、適切なコンピュータ又はプロセッサによる実行時に、前記コンピュータ又は前記プロセッサに請求項1から7のいずれか一項に記載の方法を行わせる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項9】
対象者の表面から伸びる毛を切断する切断要素と、
毛切断イベント中に前記切断要素によって前記対象者の前記表面に加えられた圧力を測定する圧力センサと、
プロセッサとを備える、毛切断デバイスであって、
前記プロセッサは、
記憶デバイスへの記憶のために前記圧力を示すデータを提供し、
前記切断イベントに関連する記憶された圧力データと、1つ又は複数の以前の切断イベントに関連する記憶された圧力データとの総和又は数値積分に基づいて、規定された開始点から前記切断要素によって前記表面に加えられた総圧力を決定し、
前記切断イベントに関連して前記記憶デバイスに記憶された前記圧力データと、1つ又は複数の以前の切断イベントに関連して前記記憶デバイスに記憶された前記圧力データとに基づいて、前記切断要素の摩耗レベルを推定し、
算出された前記総和又は積分された圧力データに基づいて前記摩耗レベルを推定し、
受信者に対する提示のために、推定された前記摩耗レベルの表示を提供する、毛切断デバイス。
【請求項10】
前記毛切断デバイスは、前記毛切断デバイスの前記切断要素を駆動するモータの両端の電流を測定する電流測定ユニットをさらに備え、
前記プロセッサは、
前記電流測定ユニットを用いて測定された電流データにさらに基づいて前記切断要素の摩耗レベルを推定する、請求項9に記載の毛切断デバイス。
【請求項11】
前記プロセッサは、
前記切断イベントに関連して前記記憶デバイスに記憶された前記圧力データと、1つ又は複数の以前の切断イベントに関連して前記記憶デバイスに記憶された前記圧力データとに基づいて、前記切断要素が切断イベント中に使用された総持続時間を決定し、
決定された前記総持続時間にさらに基づいて前記切断要素の摩耗レベルを推定する、請求項9又は10に記載の毛切断デバイス。
【請求項12】
前記毛切断デバイスは、通信ユニットをさらに備え、
前記プロセッサは、前記通信ユニットを用いて、前記毛切断デバイスに対して遠隔にある前記記憶デバイスに前記データを送信することによって、前記記憶デバイスへの記憶のために、測定された前記圧力を示すデータを提供する、請求項9又は10に記載の毛切断デバイス。
【請求項13】
前記プロセッサが前記摩耗レベルを推定する前に、前記圧力を示すデータをフィルタリングする、フィルタ構成要素をさらに備える、請求項9から12のいずれか一項に記載の毛切断デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛切断デバイスの使用を監視することに関し、より詳細には、毛切断デバイスの切断要素の使用を監視することに関する。
【背景技術】
【0002】
毛切断デバイスなどのパーソナルケアデバイスは、毛をシェービング、切断又はトリミングするなどのパーソナルケア機能を行うために使用される。そのようなデバイスは典型的に、ユーザが使用時に握る本体部分と、例えば、使用時に対象者の毛を切断するための、1つ又は複数の刃を含む切断要素とを含む。
【0003】
毛切断デバイスが使用されるにつれ、その切断要素又はそのいくつかの部分(例えば、刃)が摩耗し、したがって、効果が少なくなる。摩耗した又は鈍くなった切断要素は、新しい切断要素ほど効果的に毛を切断せず、場合によっては、摩耗した切断要素は、例えば、刃がぎざぎざとなった場合、ユーザに安全性のリスクを引き起こしかねない。
【0004】
米国特許第8,122,606号は、期待されるユーティリティと追跡されたユーティリティとに基づいて残存剃毛ユーティリティを追跡する電気的構造体を有する電動の湿式かみそりデバイスを開示している。
【0005】
米国特許出願公開第2008/0172880号は、カートリッジの使用を示す使用信号を提供する電動の湿式シェービングかみそりを論じている。
【0006】
したがって、毛切断デバイスの切断要素が摩耗しつつあるときを知ることが有用であり得る。外観検査が、切断要素が摩耗している程度を判定する1つのやり方であるが、これは、切断要素が、特に、毛切断デバイスの別の構成要素によって視界から隠されるか又は見えなくなる場合、確実な方法ではないであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、外観検査を必要としない毛切断デバイスの切断要素のおよその摩耗程度を判定する方法の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
毛切断デバイスが、意図されるように、及び/又は意図的な方式で動作することを確実にするために、毛切断デバイスの切断要素の使用を監視することができることが有用であり、そのため、切断要素及び/又は毛切断デバイスは、切断要素が意図されたほど有効に機能しそうにないような程度によって、使用により摩耗したと判定される場合に、交換することができる。
【0009】
毛切断デバイスの切断要素の摩耗を判定するために様々な測定基準を監視することができる。本出願の発明者は、監視することができる特に有益な測定基準は、使用時に切断要素によって表面(例えば、対象者の皮膚)に加えられた圧力であることを認識している。一般に、比較的大きな力又は圧力でユーザの皮膚に付勢される切断要素は、比較的低い力又は圧力でユーザの皮膚に付勢される切断要素よりも比較的早く摩耗する可能性がある。したがって、比較的大きい力が加えられる切断要素は、比較的低い力が加えられる切断要素よりも早く交換する必要がある可能性がある。本明細書において開示される実施形態では、使用時に切断要素によって対象者の表面(例えば、対象者の皮膚)に加えられた圧力が経時的に監視され、これは、切断要素の摩耗量を推定するのに用いられる。したがって、これは、切断要素が交換される又は処分されるべきときを推定するのに用いられる。
【0010】
第1の特定の態様によれば、毛切断デバイスの切断要素の使用を監視するコンピュータ実施方法であって、切断イベント中に間隔を置いて毛切断デバイスの切断要素によって表面に加えられた圧力を示す圧力データを受信することと、受信された圧力データを記憶デバイスに記憶することと、切断イベントに関連して記憶デバイスに記憶された圧力データと、1つ又は複数の以前の切断イベントに関連して記憶デバイスに記憶された圧力データとに基づいて、切断要素の摩耗レベルを推定することと、受信者に対する提示のために、推定された摩耗レベルの表示を提供することとを有する、コンピュータ実施方法が提供される。
【0011】
切断要素の摩耗レベルを推定することは、切断イベントに関連する記憶された圧力データと、1つ又は複数の以前の切断イベントに関連する記憶された圧力データとの総和又は数値積分に基づいて、規定された開始点から切断要素によって表面に加えられた総圧力を決定することと、算出された総和又は積分された圧力データに基づいて、摩耗レベルを推定することとを有する。
【0012】
方法は、推定された摩耗レベルが規定された閾値条件を満たすとの判定に応答して、受信者に対する配信のために警告信号を生成することをさらに有する。
【0013】
受信されたデータは、いくつかの実施形態では、切断イベント中に間隔を置いて、毛切断デバイスの切断要素によって表面に加えられた圧力を測定するように構成された圧力センサから得られたデータを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、方法は、切断イベント中に間隔を置いて、毛切断デバイスの切断要素を駆動するモータの両端の電流を示す電流データを受信することをさらに有する。切断要素の摩耗レベルを推定することは、受信された電流データにさらに基づく。
【0015】
方法は、受信された電流データにローパスフィルタを適用することをさらに有する。
【0016】
いくつかの実施形態では、方法は、切断イベントに関連して記憶デバイスに記憶された圧力データと、1つ又は複数の以前の切断イベントに関連して記憶デバイスに記憶された圧力データとに基づいて、切断要素が切断イベント中に使用された総持続時間を決定することをさらに有する。切断要素の摩耗レベルを推定することは、決定された総持続時間にさらに基づく。
【0017】
いくつかの実施形態では、切断要素の摩耗レベルを推定することは、切断要素が交換されるべきであるような程度まで切断要素が摩耗する確率を決定することを有する、
【0018】
第2の態様によれば、非一時的コンピュータ可読媒体を備えるコンピュータプログラム製品であって、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読コードが埋め込まれており、コンピュータ可読コードは、適切なコンピュータ又はプロセッサによる実行時に、コンピュータ又はプロセッサに本明細書において開示される方法のステップを行わせるように構成される、コンピュータプログラム製品が提供される。
【0019】
第3の態様によれば、対象者の表面から伸びる毛を切断するように構成された切断要素と、毛切断イベント中に切断要素によって対象者の前記表面に加えられた圧力を測定するように構成された圧力センサと、プロセッサとを備える毛切断デバイスであって、プロセッサは、記憶デバイスへの記憶のために圧力を示すデータを提供し、切断イベントに関連して記憶デバイスに記憶された圧力データと、1つ又は複数の以前の切断イベントに関連して記憶デバイスに記憶された圧力データとに基づいて、切断要素の摩耗レベルを推定し、受信者に対する提示のために、推定された摩耗レベルの表示を提供する、毛切断デバイスが提供される。
【0020】
プロセッサは、切断イベントに関連する記憶された圧力データと、1つ又は複数の以前の切断イベントに関連する記憶された圧力データとの総和又は数値積分に基づいて、規定された開始点から切断要素によって表面に加えられた総圧力を決定するように構成される。プロセッサは、算出された総和又は積分された圧力データに基づいて摩耗レベルを推定するように構成される。
【0021】
いくつかの実施形態では、毛切断デバイスは、毛切断デバイスの切断要素を駆動するモータの両端の電流を測定するように構成された電流測定ユニットをさらに備える。プロセッサは、電流測定ユニットを用いて測定された電流データにさらに基づいて切断要素の摩耗レベルを推定するように構成される。
【0022】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、切断イベントに関連して記憶デバイスに記憶された圧力データと、1つ又は複数の以前の切断イベントに関連して記憶デバイスに記憶された圧力データとに基づいて、切断要素が切断イベント中に使用された総持続時間を決定し、決定された総持続時間にさらに基づいて切断要素の摩耗レベルを推定するように構成される。
【0023】
毛切断デバイスは、いくつかの実施形態では、通信ユニットをさらに備える。プロセッサは、通信ユニットを用いて、毛切断デバイスに対して遠隔にある記憶デバイスにデータを送信することによって、記憶デバイスへの記憶のために、測定された圧力を示すデータを提供するように構成される。
【0024】
毛切断デバイスは、プロセッサが摩耗レベルを推定する前に、圧力を示すデータをフィルタリングするように構成された、フィルタ構成要素をさらに備える。
【0025】
これらの及び他の態様は、以下に説明される実施形態(複数可)から明らかとなり、かかる実施形態を参照しながら解明されるであろう。
【0026】
次に、例示的な実施形態を、以下の図面を参照しながら単に例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】切断要素の使用を監視する方法の一例のフローチャートである。
【
図2】切断要素の使用を監視する方法のさらなる例のフローチャートである。
【
図3】毛切断イベントに関して取得された例示的なデータの2つのグラフを示す。
【
図4】コンピュータ可読媒体と通信するプロセッサの一例の概略的な例示である。
【
図6】毛切断デバイスのさらなる例の概略的な例示である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書において開示される様々な実施形態は、切断要素の摩耗度の判定又は推定を可能にするための、毛切断デバイスの切断要素の使用を監視する機構を提供する。実施形態は、毛切断デバイスが使用される間、毛切断デバイスの切断要素によって対象者の皮膚の表面に加えられた圧力の測定値を用いる。下記で論じるように、圧力測定値は、いくつかの例では、切断要素の摩耗のさらにより徹底的な推定を提供するために、他のデータで補足される。
【0029】
いくつかの実施形態は、例えば、シェーバー、クリッパー、毛トリマーを含む、対象者の毛を切断することが可能な切断要素を有する任意のパーソナルケアデバイスを含むことを意図された、毛切断デバイスのコンテキストで説明される。いくつかの実施形態では、毛切断デバイスの切断要素は、切断要素をより新しくより摩耗の少ない切断要素と交換することができるように取り外し可能(例えば、毛切断デバイスの本体部分から分離可能)である。
【0030】
本発明の第1の態様は、方法を提供する。ここで図面を参照すると、
図1は、方法100の一例のフローチャートである。コンピュータ実施方法を含む、方法100は、毛切断デバイスの切断要素の使用を監視する方法であるものとみなされ得る。方法100は例えば、1つ又は複数のプロセッサを使用して行われてもよい。方法100は、ステップ102において、切断イベント中に間隔を置いて、毛切断デバイスの切断要素によって表面に加えられる圧力を示す圧力データを受信するステップを有する。毛切断デバイスは例えば、使用時にユーザによって把持され、毛切断デバイスの切断要素は、ユーザの皮膚又は対象者の何らかの表面などの表面に接触又は係合するように位置決めされる。毛切断デバイスは、対象者の表面(例えば、皮膚)から毛を切断、トリミング、シェービング又は他の場合では取り除くために用いることができる。そのようなものとして、切断要素は、いくつかの例では、毛を切断することが可能な1つ又は複数の刃又は他の構成要素を含む。
【0031】
本開示のコンテキストでは、「切断イベント」は、毛切断デバイスが毛を切断するために或る時間期間にわたって使用される、処理セッション又は切断セッションとみなされ得る。例えば、単一の切断イベントは、毛切断デバイスがオンに切り替えられると開始するものとして、また、毛切断デバイスがオフに切り替えられると終了するものとしてみなされ得る。他の例では、切断イベントは、異なって規定され得る。例えば、単一の切断イベントは、切断要素が表面と係合すると開始するとみなされ、切断要素が表面から取り外されると終了するとみなされ得る。
【0032】
切断イベント中に間隔を置いて、切断要素によって表面に加えられる圧力を示す圧力データが受信される。以下の論述から明らかであるように、圧力データは、1つ又は複数の圧力或いは力センサの使用によることを含め、様々なやり方で得られる。切断要素によって表面に加えられる圧力のさらなる表示が、切断要素を駆動するのに使用されるモータの両端の電流の測定値により判定される。切断イベント中に受信される圧力データの量は、間隔の数及び/又は大きさに応じて決まる。換言すると、圧力データ測定がより規則的に作製又は取得されるほど、圧力データがより多く受信される。いくつかの例では、圧力データは、1秒、0.5秒、0.1秒ごとなどの等間隔で取得されてもよい(例えば、測定は、圧力又は力センサを用いて行われてもよい)。他の例では、圧力データは、切断イベント中に連続的に取得されてもよい。
【0033】
ステップ104において、方法100は、受信された圧力データを記憶デバイスに記憶することを含む。記憶デバイスは、毛切断デバイス自体内に、又は、毛切断デバイスに対して遠隔にある記憶媒体内に配置された記憶媒体を含む。例えば、圧力データは、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、インタラクティブミラーなどのようなコンピューティングデバイスの記憶媒体に記憶される。いくつかの例では、圧力データは、サーバに、例えば、クラウドベースの記憶媒体に記憶される。最近の切断イベント(例えば、現在の切断イベント)に関連して受信された圧力データを記憶することに加え、記憶デバイスは、過去又は以前の切断デバイスに関連して受信された圧力データを記憶するために使用される。すなわち、特定の切断要素に関して(例えば、特定のユーザのために)取得された圧力データは、記憶デバイスに記憶され、それにより、過去の切断イベント及び最近の切断イベント中に間隔を置いて切断要素によって表面に加えられる圧力を詳述する履歴使用データの記録を作成する。
【0034】
方法100は、ステップ106において、切断イベントに関連した記憶デバイスに記憶された圧力データと、1つ又は複数の以前の切断イベントに関連した記憶デバイスに記憶された圧力データとに基づいて、切断要素の摩耗レベルを推定することを有する。切断イベント中に切断要素によって表面に加えられた圧力と、切断要素が受ける摩耗の量との相関に起因して、圧力データを複数の切断イベントにわたって監視することは、推定が切断要素の摩耗の見込み度に関して行われることを可能にする。一例では、切断要素の摩耗レベルの推定は、規定された開始時間又は開始点から切断イベント中(例えば、最近の切断イベント及び1つ又は複数の以前の切断イベント中)に切断要素によって表面に加えられた総圧力に基づいて決定される。規定された開始時間又は開始点は例えば、(例えば、毛切断デバイスが第1の時間にわたって使用される場合、又はより古い切断要素を交換するために新しい切断要素が毛切断要素に取り付けられた場合に)新しい切断要素を使用して行われる第1の切断イベントの開始を含む。したがって、記憶デバイスに記憶された圧力データは、特定の切断要素に関連する。
【0035】
ステップ108において、方法100は、受信者に対する提示のために、推定された摩耗レベルの表示を提供することを含む。推定された摩耗レベルの表示は例えば、方法100を行う1つ又は複数のプロセッサによって生成され、提示のために、毛切断デバイス又は別のデバイス(例えば、スマートフォン又はインタラクティブミラー)のディスプレイユニット(例えば、ディスプレイ画面)に送達される。提示されるデータの受信者は例えば、毛切断デバイス及び/又は自身の毛が毛切断デバイスを使用して切断される対象者である。受信者に提示される表示は、切断要素の摩耗レベルを受信者に示すことが可能な、テキスト通知、グラフィカル通知、可聴通知、又は任意の他の形態の通知の形態をとることができる。いくつかの例では、表示は、パーセンテージで提供され、0%摩耗は、使用されていないか又は顕著な摩耗をもたらすほどの圧力を受けていない切断要素を示し、100%摩耗は、著しい量の使用を受けたか又は表面に著しい総圧力を加えるほど使用された切断要素を示しており、そのため、切断要素が完全に摩耗しているか又は切断要素が交換されるべき程度まで摩耗していると推定される。本開示のコンテキストにおいて「完全に摩耗した」とは、切断要素が、その意図された、有効寿命、有用寿命及び/又は安全寿命の終わりに達しているような程度まで摩耗している状態を指すことを意図している。
【0036】
表示の受信者(例えば、毛切断デバイスのユーザ)に、切断要素が使用により摩耗した可能性がある程度を知らせる表示を与えることによって、ユーザは、切断要素に残されている有効「寿命」又は有用「寿命」がおよそどの程度であるかを理解することができる。経時的に、切断要素がより多く摩耗していくにつれ、ユーザは、切断要素がその有効寿命又は有用寿命の終わりに近づいていると推定されることを、提示された情報から(切断要素が90%摩耗しているという表示から)判断することができ、ユーザは、切断要素を新しい切断要素と交換する措置をとることができる。上述したように、切断要素は、使用により、より多く摩耗するにつれ、その刃は毛を切断するにあたり、より鋭利でなくなり、より有効でなくなる。その結果、摩耗した切断要素のユーザは、比較的不十分な切断エクスペリエンスを受けることがあり、これは、新しい切断要素が使用される切断イベントよりも長くかかり得る。さらに、いくつかの場合では、切断要素は、過剰な摩耗により悪化するにつれ、使用の安全性が下がりさえすることがある。したがって、本明細書に開示された方法により、切断要素の推定された摩耗を知らせられるユーザは、切断要素がユーザに安全でなく損害を与える可能性があり得る段階に達する前に切断要素を交換する措置をとることができる。
【0037】
図2は、方法200のさらなる例のフローチャートである。毛切断デバイスの切断要素の使用を監視するコンピュータ実施方法とすることもできる方法200は、上述した方法100の1つ又は複数のステップを含む。いくつかの実施形態では、切断要素の摩耗レベルを推定すること(ステップ106)は、切断イベントに関連する記憶された圧力データと、1つ又は複数の以前の切断イベントに関連する記憶された圧力データとの総和又は数値積分に基づいて、規定された開始点から切断要素によって表面に加えられる総圧力を決定することを含む。換言すると、切断イベントに関連する圧力データ(例えば、最近又は現在の切断イベント)と、以前の切断イベントに関連する、記憶デバイスに記憶された圧力データとは、規定された開始点から表面に切断要素によって加えられた総圧力(例えば、累積圧力)を決定するために経時的に総和又は数値積分される。規定された開始点は例えば、切断要素が最初に使用された時点を含む。開始点は、いくつかの例では、例えば、切断要素が毛切断デバイスに取り付けられている場合、自動的に検出される。他の例では、開始点は、例えばユーザ入力を通じて、手動で表示されてもよい。新たな開始点(例えば、圧力データを記録し始める開始点)は、切断要素が交換されるたびに割り当てられる又は設定される。
【0038】
推定するステップ(ステップ106)は、算出された総和又は積分された圧力データに基づいて、摩耗レベルを推定することをさらに有する。例えば、推定された摩耗レベルに様々な圧力閾値が対応し、そのため、累積圧力(例えば、総和又は統合圧力)が第1の閾値に達すると、切断要素がその有効寿命の50%まで摩耗したことが推定され、累積圧力が第2の閾値に達すると、切断要素は完全に(例えば100%)摩耗しており、その有効寿命の終わりに達したことが推定される。
【0039】
図3は、単一の切断イベントの間に(例えば、単一のシェービングセッションにわたって)、2つの異なる個人、すなわち個人A及び個人Bに関して必要とされる例示的なデータの2つのグラフ300及び310を示す。この例では、グラフは、切断要素によって表面に加えられた力を示す。グラフ300では、個人Aに関して測定された力データ(圧力データに変換され得る)がライン302によって示され、個人Bに関して測定されたデータがライン304によって示されている。ライン302によって表されたデータは、個人Aが切断要素を使用しておよそ500秒(すなわち、8分20秒)費やし、現在のイベントの間におよそ4Nの平均的な力を加えたことを示す。ライン304によって表されたデータは、個人Bが切断要素を使用しておよそ180秒(すなわち、3分)費やし、切断イベントの間におよそ1~2Nの平均的な力を加えたことを示す。グラフ310は、グラフ300からの力データが個人A及び個人Bのそれぞれについての累積信号を有することを示す。したがって、ライン312は、個人Aについての累積信号(例えば、総和又は数値積分されたデータ)を表し、ライン314は、個人Bについての累積信号(例えば、総和又は数値積分されたデータ)を表す。切断イベント中、個人Aによって加えられたより大きな平均的な力に起因して、個人Aに加えられた総力/累積力は、個人Bによって加えられた総力/累積力よりもはるかに大きいことが明らかである。切断要素が新しいため、以前の切断イベント、例えば、切断要素を使用して行ったすべての切断イベントに関して必要とされるデータを追加することによって、所与の切断要素について総力/累積力を決定することが可能である。
【0040】
図2を再び参照すると、方法200は、ステップ202において、推定された摩耗レベルが規定された閾値条件を満たすとの判定に応答して、受信者に対する送達のために警告信号を生成することをさらに有する。したがって、切断デバイスの摩耗レベルは、切断要素の寿命全体を通じて推定されるとともにユーザに対する提示のために提供され、その一方、警告信号は、1つ又は複数の規定された閾値条件が満たされる場合に生成される。例えば、摩耗レベルが、切断要素の有効寿命又は有用寿命の50%に対応する閾値を満たす又は超えると推定される場合、切断要素がその有用寿命のおよそ途中にあることをユーザに知らせるのに用いることができる警告信号が生成される。同様に、摩耗レベルが、切断要素の意図された有効寿命又は有用寿命の例えば95%に対応する閾値を満たす又は超えると推定される場合、切断要素がその有用寿命の終わりに達しつつあることをユーザに知らせるのに用いることができる警告信号が生成される。これによりユーザは切断要素を新しい/未使用の切断要素と交換することが可能となり、このことは毛切断エクスペリエンスの向上をもたらすべきものである。他の閾値条件が規定されてもよく、警告信号は、閾値条件が満たされると生成されてもよい。例えば、警告信号は、特定の閾値(例えば、30%摩耗に対応する)が規定された使用持続時間内に達していると判定される場合に生成される。これは例えば、切断要素のユーザが使用中に過度の力又は圧力を加えつつあることを示す。
【0041】
前に示したように、より詳細に以下で論じるように、受信されたデータは、いくつかの実施形態では、切断イベント中に間隔を置いて、毛切断デバイスの切断要素によって表面に加えられた圧力を測定するように構成された圧力センサから得られるデータを含む。他の実施形態では、受信されたデータは、切断イベント中に間隔を置いて、毛切断デバイスの切断要素によって表面に加えられた力を測定するように構成された力センサから得られるデータを含む。切断面積、特に、使用時に対象者の表面に接触する切断要素の表面積の大きさを知ることにより、圧力を力測定から算出することができる。方法100、200を行う1つ又は複数のプロセッサは例えば、力センサ又は圧力センサと通信し、そのため、力又は圧力測定値は、リアルタイムの使用において、又は、例えば、ユーザが自身の毛を切断し終わり、自身の皮膚から毛切断デバイスを取り外す若しくは毛切断デバイスをオフに切り替えると、切断イベントの終了時において、力センサ若しくは圧力センサから受信することができる。
【0042】
力又は圧力センサは、切断イベント中に切断要素によって表面に加えられた力又は圧力の表示を得る確実及び正確な手段を提供する。しかしながら、いくつかの実施形態では、圧力センサを用いて得られたデータは、切断要素の摩耗のさらにより正確な推定を提供するために、他のデータで補足される。いくつかの例では、毛切断デバイスは、使用時に切断要素を駆動するように構成されたモータを含む。例えば、そのようなモータは、毛と接触せしめられると、切断要素の1つ又は複数の刃の往復運動又は円形運動に毛切断を行わせる。使用時、処理される表面に切断要素を付勢する力が加えられ、これによりモータのトルクが変わる。モータの両端の電流は、モータのトルクの関数として変化し、したがって、切断要素によって表面に加えられる力から生じるトルクの変化が電流の測定値においてはっきり分かる。したがって、切断イベント中にモータの両端の電流を監視することによって、切断要素によって表面に加えられる圧力又は力の表示を決定することが可能であり、これは、切断要素の摩耗レベルの推定を決定するのに用いることができる。モータの両端の電流を用いて決定された推定された摩耗レベルは、さらにより正確な推定を達成するためにセンサから得られた圧力データを用いて決定された推定された摩耗レベルと組み合わせられる。
【0043】
したがって、方法200は、ステップ204において、切断イベント中に間隔に置いて、毛切断デバイスの切断要素を駆動するモータの両端の電流を示す電流データを受信することを有する。切断要素の摩耗レベルを推定するステップ(ステップ106)はさらに、受信された電流データに基づく。方法は、いくつかの実施形態では、受信された電流データを記憶デバイスに記憶することをさらに有し、受信された圧力データを記憶するのに用いられる同じ記憶デバイスであってもよい。電流データは、現在/目下の切断イベントに関連して受信及び記憶され、電流データは、以前/過去の切断イベントに関連して記憶される。例えば、記憶デバイスは、圧力データが利用可能な同じ切断イベントに関連する電流データを記憶する。圧力データに関して、電流の変化は、規定された開始点から、複数の切断イベントにわたって電流にかかる総累積効果を判定するために総和又は数値積分される。
【0044】
いくつかの実施形態では、圧力データ及び受信された電流データに基づいて切断要素の摩耗レベルを決定することは、ルックアップテーブルを用いて達成される。例えば、特定の総圧力又は累積圧力は、切断要素の特定の推定された摩耗レベルに対応し、特定の電流の変化の総測定値又は累積測定値は、切断要素の特定の推定された摩耗レベルに対応する。圧力データに基づいた推定された摩耗レベル及び電流測定に基づいた推定された摩耗レベルは、切断要素の摩耗レベルのより正確な推定を決定するために、いくつかのやり方で組み合わされてもよい(例えば、平均がとられてもよい)。
【0045】
使用中、切断要素に作用する他の力もまた、モータのトルクに影響し、モータの両端の電流を測定する場合に電流測定信号における妨害をもたらし得る。したがって、いくつかの実施形態では、1つ又は複数のフィルタは、切断要素によって表面に加えられる圧力に起因しない測定信号におけるそれらの妨害をフィルタリングアウトするために使用される。したがって、方法200は、ステップ206において、受信された電流データにローパスフィルタを適用することを含む。このように、切断要素の摩耗レベルを推定する場合に考慮される受信された電流データは、切断要素によって表面に適用される圧力を示す電流データである。
【0046】
1つ又は複数のフィルタもまた、受信された圧力データに適用される。例えば、高周波ノイズ、又は毛切断機能に関係しないがデータを用いて行われた決定に影響を及ぼし得る妨害をフィルタリング除去するためにローパスフィルタが圧力データに適用される。いくつかの実施形態では、整流スパイクのようなモータの特定の電気機械特性をフィルタリング除去するのにノッチフィルタが使用される。フィルタリングは、ハードウェアコンポーネント及び/又はプロセッサを用いて達成される。
【0047】
受信された圧力データに加え、又は受信された圧力データ及び受信された電流データに加え、切断要素の摩耗レベルの推定は、例えば、切断要素が使用された総持続時間を含むさらなるデータに基づく。切断要素の使用持続時間はそれ自体切断要素の摩耗レベルの正確な表示を提供しないのに対し、そのような推定は、使用持続時間が圧力データ及び/又は電流データと組み合わせられる場合に向上する。したがって、方法200は、ステップ208において、切断イベントに関連して記憶デバイスに記憶された圧力データと、1つ又は複数の以前の切断イベントに関連して記憶デバイスに記憶された圧力データとに基づいて、切断要素が切断イベント中に使用された総持続時間を決定することを有する。
図3に示すように、記憶された圧力データは、各切断イベントの持続時間の表示を含み、これは、例えば、規定された開始点(例えば、切断要素が最初に使用されたとき)から、切断要素が使用された総持続時間を決定するのに用いることができる。切断要素(ステップ106)の摩耗レベルを推定することは、決定された総持続時間にさらに基づき得る。例えば、切断要素の使用の特定の総持続時間は、特定の摩耗推定レベルに対応し、使用0分は、切断要素の推定された摩耗0%に対応し、使用160分は、切断要素の推定された摩耗100%に対応する。ルックアップテーブルを用いて対応を決定することができる。電流データについて上記で説明したように、切断要素の全体の推定された摩耗レベルを決定するために、推定された摩耗レベルは、切断要素の総持続時間に基づいて決定され、これは、(例えば、推定された摩耗レベルを平均化することによって)圧力データ及び/又は電流データに基づいて決定された推定された摩耗レベルと組み合わせられる。別の例では、様々な推定された摩耗レベルを組み合わせるために条件付き確率法が適用される。例えば、1つの確率が、推定された摩耗レベルのそれぞれに対応して決定され、複数の確率が、交換されるべきレベルまで切断要素が摩耗している全体の確率を得るためにともに乗算される。
【0048】
いくつかの実施形態では、切断要素の摩耗レベルを推定することは、交換されるような程度まで切断要素が摩耗する確率を決定することを有する。例えば、摩耗レベルを推定するのに用いられる測定基準のいずれかが、切断要素が特定の量だけ摩耗する確率に対応する。換言すると、切断要素が、その有効寿命を超えて摩耗する特定の閾値累積圧力により対象者の皮膚に付勢されると、そのような使用後に、切断要素が摩耗するとともに交換予定となる可能性又は確率が高いとみなされることを確実には知られ得ない。したがって、いくつかの実施形態では、受信されたデータにおける特定の値(例えば、電流データに基づいた特定の累積圧力、特定の使用持続時間及び/又は特定の累積測定値)は、切断要素が所与の量だけ摩耗した特定の確率に対応する。
【0049】
上述したように、特定のレベルを超えて摩耗した切断要素を使用することは、例えばユーザにとって安全ではなく、切断要素の刃は、特に切断要素が大きな力又は圧力で対象者の皮膚に押し当たる場合、使用に伴い経時的に鈍くなるか又はぎざぎざとなる。したがって、いくつかの実施形態では、切断要素がこのようにダメージを受けていそうな場合に生じる損傷リスクを減らす措置がとられる。措置は例えば、切断要素が交換されるべきことをユーザに通知することを有する。
【0050】
本発明のさらなる態様は、コンピュータプログラム製品を提供する。
図4は、コンピュータ可読媒体404と通信するプロセッサ402の一例の概略図である。様々な実施形態によれば、コンピュータプログラム製品は、非一時的コンピュータ可読媒体404を含み、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読コードが埋め込まれており、コンピュータ可読コードは、適切なコンピュータ又はプロセッサ402による実行時に、コンピュータ又はプロセッサに本明細書において開示された方法100、200のステップを実行させるように構成される。プロセッサ402は、毛切断デバイスのプロセッサ又はスマートフォンなどの異なる電子デバイスのプロセッサを含む。代替的に、プロセッサ402は、クラウドベースの処理装置などの遠隔にあるプロセッサを含む。
【0051】
本発明のさらなる態様は、毛切断デバイスを提供する。
図5は、毛切断デバイス500の一例の概略図である。毛切断デバイス500は、プロセッサ502と、切断要素504と、圧力センサ506とを備える。切断要素504は、対象者の表面から伸びる毛を切断するように構成される。例えば、切断要素は、個人の頭、体又は顔にある毛をトリミング又はシェービングするように構成された1つ又は複数の刃を含む。圧力センサ506は、毛切断イベント中に対象者の表面に切断要素504によって適用された圧力を測定するように構成される。上述したように、毛切断イベントは、処理セッションとみなすことができ、処理セッション中、ユーザは毛切断デバイス500を用いて自身の毛を切断する。そのような処理セッション又は毛切断イベントは、ユーザが毛切断デバイス500をオンに切り替えると開始し、ユーザが毛切断デバイスをオフに切り替えると終了するように構成される。
【0052】
プロセッサ502は、記憶デバイスに記憶するための圧力を表すデータを提供するように構成される。圧力を示すデータは、切断イベント時の持続時間にわたる連続した圧力測定信号、又は、切断イベント中に間隔を置いて取得された複数の圧力測定値を含む。記憶デバイスは、毛切断デバイス500に配置され、プロセッサ502は、有線接続を介して記憶デバイスにデータを提供するように構成される。他の例では、記憶デバイスは、毛切断デバイス500に関して遠隔にあり、プロセッサ502は、無線接続を介して記憶デバイスにデータを提供するように構成される。記憶デバイスは、同じ切断要素を使用して行われた以前の切断イベント中に取得された圧力データを含む。
【0053】
プロセッサ502はまた、切断イベントに関連して記憶デバイスに記憶された圧力データ、及び1つ又は複数の以前の切断イベントに関連して記憶デバイスに記憶された圧力データに基づいて、切断要素の摩耗レベルを推定するように構成される。したがって、プロセッサ502は、例えば、切断要素によって対象者の表面に加えられた累積圧力(例えば、切断イベントの持続時間にわたって圧力データを総和又は数値積分することによって算出される)に基づいて、切断要素の摩耗レベルの推定を決定する。プロセッサ502のこの機能は、方法100、200のステップ106に対応するとみなされ得る。
【0054】
プロセッサ502はまた、受信者に対する表示のための推定された摩耗レベルの表示を提供するように構成される。これに関して、毛切断デバイス500はさらに、例えば、毛切断デバイスのユーザ及び/又は自身の毛が切断される対象者である受信者に、推定された摩耗レベルを提示することが可能な、ディスプレイ、タッチスクリーン、スピーカ、触覚要素などのような、提示インタフェースを含む。推定された摩耗レベルの表示は、数値で若しくは可聴に表示されるパーセンテージの形態で、又は複数の照明要素の形態で提示されることにより、照明される照明要素の割合又は数は、切断要素の推定された摩耗レベルに応じて決まる。
【0055】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、切断イベントに関連する記憶された圧力データと、1つ又は複数の以前の切断イベントに関連する記憶された圧力データとの総和又は数値積分に基づいて、切断要素によって、規定された開始点から表面に加えられた総圧力を決定するように構成される。プロセッサ502による摩耗レベルの推定は、算出された総和又は積分された圧力データに基づく。
【0056】
図6は、毛切断デバイス500のさらなる例の概略図である。
図6に示す毛切断デバイス500は、
図5に示す毛切断デバイスの特徴部を備え、複数のさらなる任意選択の特徴部を備える。
【0057】
毛切断デバイス500は、使用時に切断要素504を駆動するように構成されたモータ508を含む。いくつかの実施形態では、毛切断デバイス500は、毛切断デバイス500の切断要素504を駆動するモータ508にわたって電流を測定するように構成された電流測定ユニット510をさらに備える。プロセッサ502は、電流測定ユニット510を用いて測定された電流データにさらに基づいて切断要素504の摩耗レベルを推定するように構成される。電流データに基づいた摩耗レベルの推定は、上記のステップ204の説明に従って行われる。
【0058】
同様に、上記のステップ208の説明に従って、プロセッサ502は、切断要素の摩耗レベルの推定において切断要素504の使用の総持続時間をさらに考慮する。したがって、プロセッサ502は、いくつかの実施形態では、切断イベントに関連して記憶デバイスに記憶された圧力データ及び1つ又は複数の以前の切断イベントに関連して記憶デバイスに記憶された圧力データに基づいて、切断要素が切断イベント中に使用された総持続時間を決定するように構成される。プロセッサ502は、決定された総持続時間にさらに基づいて切断要素504の摩耗レベルを推定するようにさらに構成される。
【0059】
いくつかの実施形態では、毛切断デバイス500は、毛切断デバイスの構成要素を用いて取得及び/又は受信されたデータ(例えば、圧力データ及び/又は電流データ)を記憶するように構成された記憶デバイス512をさらに備える。他の実施形態では、毛切断デバイス500は、データを記憶する記憶デバイス512を含まなくともよく、むしろ、受信されたデータは、毛切断デバイスに対して遠隔にある記憶デバイスに記憶されてもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、プロセッサ502は、記憶デバイスに記憶されたデータが規定された閾値条件を満たすとの判定に応答して警告信号を生成するように構成される。例えば、警告信号は、総圧力若しくは累積圧力又は力が規定された閾値を超える場合に生成される。プロセッサ502は、デバイスのユーザ及び/又は毛が切断される対象者などの受信者に対する配信のための警告信号を提供する。
【0061】
切断要素504は、例えば限界のある有用寿命を有するように構成された交換可能な切断要素を含むことにより、切断要素がその有用寿命の終わりに達したと推定されると切断要素が交換されることを意図される。警告信号は、受信者に対する、切断要素が交換されるべきことの表示を含む。例えば、毛切断デバイス500のユーザに、「刃を今すぐ交換」することを要求するメッセージが提示される。
【0062】
毛切断デバイス500は、いくつかの実施形態では、通信ユニット514をさらに備える。例えば、通信ユニット514は、遠隔にある処理デバイスに無線通信プロトコルを介してデータが送信されることを可能にする。記憶デバイスが遠隔にある実施形態では、プロセッサ502は、毛切断デバイス500に対して遠隔にある記憶デバイスに、通信ユニット514を使用してデータを送信することによって記憶デバイスに記憶する測定された圧力を示すデータを提供するように構成される。
【0063】
いくつかの実施形態では、毛切断デバイス500は、プロセッサ502が摩耗レベルを推定する前に、圧力を示すデータをフィルタリングするように構成された、フィルタ構成要素516をさらに備える。他の実施形態では、複数のフィルタ構成要素が提供される。1つ又は複数のフィルタ構成要素は、ローパスフィルタ又はノッチフィルタを含む。上述したように、1つ又は複数のフィルタは、切断要素504に圧力を加えることに関連しない得られたデータのいくつかの部分(例えば、測定された信号のいくつかの部分)をフィルタリング除去のために提供される。
【0064】
本明細書において開示される実施形態は、使用時に表面(例えば、対象者の皮膚)と接触する結果として切断要素が受ける圧力又は力の量に基づいて毛切断デバイスの切断要素の摩耗レベルが推定される機構を提供する。切断要素の刃の摩耗量の正確な判定は、例えば顕微鏡を用いての精査を必要とするが、典型的なユーザの群の実験データと組み合わせた、本明細書において開示される技術を用いれば、切断要素が交換されるべきときの表示をユーザに提供することができるレベル推定を行うことができる。切断要素の摩耗を監視すること及び切断要素がその有用寿命の終わりに達しつつあることを予めユーザに知らせることは、例えば、切断要素の刃がぎざぎざとなり安全でなくなる場合に、使用による損傷をもたらし得る、生じる事故の可能性を減らすことを助けることができる。
【0065】
プロセッサ402、502は、本明細書において記載された方式で毛切断デバイス500を制御するように構成又はプログラムされる1つ又は複数のプロセッサ、処理ユニット、マルチコアプロセッサ又はモジュールを含むことができる。特定の実施態様では、プロセッサ402、502は、本明細書において記載された方法の個々の又は複数のステップを行うようにそれぞれ構成される又はそれらステップを行うためのものである複数のソフトウェア及び/又はハードウェアモジュールを含むことができる。
【0066】
本明細書において使用される「モジュール」という用語は、特定の機能を実行するように構成されたプロセッサ又はプロセッサのコンポーネントなどのハードウェアコンポーネント、又はプロセッサによって実行される際に特定の機能を有する一セットの命令データなどのソフトウェアコンポーネントを含むことを意図している。
【0067】
本発明の実施形態は、本発明を実施するように適合されたコンピュータプログラム、特に担体上又は担体内のコンピュータプログラムにも適用されることが理解されよう。プログラムは、ソースコード、オブジェクトコード、部分的にコンパイルされた形式などのソース及びオブジェクト中間コードの形式、又は本発明の実施形態による方法の実施に使用するのに適した任意の他の形式である。そのようなプログラムは、多くの異なるアーキテクチャ設計を有し得ることも理解されるであろう。例えば、本発明による方法又はシステムの機能を実装するプログラムコードは、1つ以上のサブルーチンに細分される。これらのサブルーチン間で機能を分配する多くの種々の方法が、当業者には明らかであろう。サブルーチンは、自己完結型のプログラムを形成するために、1つの実行可能ファイルに一緒に格納される。そのような実行可能ファイルは、コンピュータ実行可能命令、例えばプロセッサ命令及び/又はインタプリタ命令(例えばJavaインタプリタ命令)を含む。代替的に、サブルーチンの1つ以上又はすべては、少なくとも1つの外部ライブラリファイルに格納され、例えば実行時に静的又は動的にメインプログラムとリンクされてもよい。メインプログラムは、サブルーチンのうちの少なくとも1つへの少なくとも1つの呼び出しを含む。サブルーチンは、互いへの関数呼び出しも含み得る。コンピュータプログラム製品に関する実施形態は、本明細書に記載の方法のうちの少なくとも1つの方法の各処理段階に対応するコンピュータ実行可能命令を含む。これらの命令は、サブルーチンに細分され、及び/又は静的若しくは動的にリンクされる1つ以上のファイルに格納され得る。コンピュータプログラム製品に関する別の実施形態は、本明細書に記載のシステム及び/又は製品のうちの少なくとも1つの各手段に対応するコンピュータ実行可能命令を含む。これらの命令は、サブルーチンに細分され、及び/又は静的若しくは動的にリンクされ得る1つ以上のファイルに格納される。
【0068】
コンピュータプログラムの担体は、プログラムを担持可能な任意のエンティティ又はデバイスであり得る。例えば、担体は、ROM、例えばCD ROM若しくは半導体ROM、又は磁気記録媒体、例えばハードディスクなどのデータ記憶部を含む。さらに、担体は、電気若しくは光ケーブルを介して、又は無線若しくは他の手段により伝達され得る、電気若しくは光信号等の伝送可能な担体であり得る。プログラムがそのような信号に具現化される場合、担体は、そのようなケーブル又は他のデバイス又は手段により構成され得る。代替的に、担体は、プログラムが埋め込まれた集積回路であってもよく、集積回路は、関連する方法を実行するように適合されるか、又はその実行に使用される。
【0069】
開示された実施形態に対する変形は、図面、開示及び添付の特許請求の範囲の精査から、本明細書において記載される原理及び技法を実践する当業者により理解され、実行されることができる。請求項において、「有する、含む」という語は、他の要素又はステップを除外するものではなく、単数形「1つの」は複数を除外するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットは、請求項に記載された幾つかの項目の機能を果たし得る。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアとともに又はその一部として供給される光学記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体において格納又は配布され得るだけでなく、インターネット又はその他の有線若しくは無線通信システムを介してなど、他の形態で配布することもできる。請求項における参照符号は、その範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【国際調査報告】