(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】歯の透過照明に用いる照明源及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 1/24 20060101AFI20240709BHJP
A61C 19/00 20060101ALI20240709BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20240709BHJP
A61B 1/06 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
A61B1/24
A61C19/00 Z
A61B1/00 512
A61B1/06 530
A61B1/06 610
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579751
(86)(22)【出願日】2021-11-25
(85)【翻訳文提出日】2023-12-22
(86)【国際出願番号】 EP2021083022
(87)【国際公開番号】W WO2022112426
(87)【国際公開日】2022-06-02
(32)【優先日】2020-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523484921
【氏名又は名称】アテント エーエス
【氏名又は名称原語表記】Attent AS
【住所又は居所原語表記】Senterveien 30, 4790 Lillesand NORWAY
(74)【代理人】
【識別番号】100139044
【氏名又は名称】笹野 拓馬
(72)【発明者】
【氏名】ミックランド シェル
【テーマコード(参考)】
4C052
4C161
【Fターム(参考)】
4C052LL09
4C161AA08
4C161BB08
4C161HH54
4C161QQ03
4C161RR04
(57)【要約】
歯の透過照明をするための装置用のヘッド部(112)が、歯の咬合/切縁の写真を撮像するために歯からの光を受けるような位置に配置された中央部分(114)と、中央部分(14)から延びている第1及び第2の可撓性翼部(116)とを備える。第1の可撓性翼部が歯の第1の側に触れるように構成されている一方で、第2の可撓性翼部は、歯の第1の側とは反対側の第2の側に触れるように構成されている。第1の可撓性翼部が第1の側から歯を照らすための第1の複数の照明源を備える一方で、第2の可撓性翼部は、第2の側から歯を照らすための第2の複数の照明源を備え、第1の複数の照明源と第2の複数の照明源は、複数の様々な照明条件を生み出すように制御可能に構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯の透過照明用の装置に用いるヘッド部において、該ヘッド部は、
歯の咬合ビュー/切縁ビューを撮像するために歯からの光を受けるような位置に配置された中央部分と、
上記中央部分から延びている第1及び第2の可撓性翼部であって、第1の可撓性翼部が歯の第1の側に触れるように構成されている一方で、第2の可撓性翼部は、歯の第1の側とは反対側の第2の側に触れるように構成されている、第1及び第2の可撓性翼部と、
を備え、
第1の可撓性翼部が第1の側から歯を照らすための第1の複数の照明源を備える一方で、第2の可撓性翼部は、第2の側から歯を照らすための第2の複数の照明源を備え、第1の複数の照明源と第2の複数の照明源は、複数の互いに異なる照明条件を生み出すように制御可能に構成されていることを特徴とする、ヘッド部。
【請求項2】
第1及び第2の複数の照明源の照明源は、互いに独立して制御可能に構成されているか、対ごとに制御可能に構成されているか、或いは3つ以上のグループごとに制御可能に構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のヘッド部。
【請求項3】
上記複数の照明源はLEDである、請求項1又は請求項2に記載のヘッド部。
【請求項4】
上記複数の照明源は近赤外光を放出するように構成されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のヘッド部。
【請求項5】
第1の複数の照明源が4つの照明源からなり、第2の複数の照明源も4つの照明源からなることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載のヘッド部。
【請求項6】
第1の複数の照明源及び/又は第2の複数の照明源の4つの照明源は、歯の側に面して、仮想の正方形、長方形、菱形又は平行四辺形の各頂点に配置されていることを特徴とする、請求項5に記載のヘッド部。
【請求項7】
4つの照明源のうちの2つの照明源が、該ヘッド部が歯に触れる所定の位置になると歯の先端に近づくような位置に配置された第1のグループを形成している一方で、4つの照明源のうちの2つの照明源は、該ヘッド部が歯に触れる所定の位置になると歯の先端から遠ざかるような位置に配置された第2のグループを形成していることを特徴とする、請求項5又は請求項6に記載のヘッド部。
【請求項8】
第1のグループと第2のグループは互いに独立して制御可能に構成されていることを特徴とする、請求項7に記載のヘッド部。
【請求項9】
上記照明源の照明の明暗度、及び/又は上記照明源のオン/オフの状態が制御可能に構成されていることを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載のヘッド部。
【請求項10】
上記照明源は、歯の第1の側と第2の側を同時に照射するように制御可能に構成されているとともに、第1の側と第2の側の一方だけを一度に照射するように制御可能に構成されていることを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載のヘッド部。
【請求項11】
第1及び第2の可撓性翼部の各々が、歯から照明源を離間させるような位置に配置された突起を有することを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載のヘッド部。
【請求項12】
第1及び第2の可撓性翼部の各々が、中央部分の窓内へ直接的に入射する照明源からの光を回避し或いは低減するような位置に配置された突起を有することを特徴とする、請求項1~11のいずれかに記載のヘッド部。
【請求項13】
上記中央部分は、第1及び第2の可撓性翼部を取り囲むとともに、第1及び第2の可撓性翼部とほぼ垂直に配置された複数の整列突起を有することを特徴とする、請求項1~12のいずれかに記載のヘッド部。
【請求項14】
該ヘッド部は可撓性PCBからなり、該可撓性PCB上に、上記複数の照明源が取り付けられ、且つ/或いは、上記照明源を制御する制御装置が設けられていることを特徴とする、請求項1~13のいずれかに記載のヘッド部。
【請求項15】
RFIDタグ又はNFCタグを備える、請求項1~14のいずれかに記載のヘッド部。
【請求項16】
上記ヘッドは、上記透過照明装置に取外し可能に取り付けられている、請求項1~15のいずれかに記載のヘッド部を有する透過照明装置。
【請求項17】
該透過照明装置は、
光学アセンブリ及びカメラであって、該光学アセンブリは、上記ヘッド部内の窓を通して受けた光を該カメラまで案内する、光学アセンブリ及びカメラと、
及び/又は上記照明源を制御する制御装置と、
及び/又は無線送受信機と、
を備える、請求項16に記載の透過照明装置。
【請求項18】
透過照明を用いて歯を撮像する方法において、
歯への第1の照明条件を適用するために上記複数の照明源を制御し、第1の像を獲得するために第1の照明条件の下で歯を撮像するステップと、
歯への第2の照明条件を適用するために上記複数の照明源を制御し、第2の像を獲得するために第2の照明条件の下で歯を撮像するステップと、
を含み、
第1の照明条件と第2の照明条件は互いに異なることを特徴とする、方法。
【請求項19】
第1及び第2の像がさらなる分析を要するかの所定の基準を満たすか否かを判断するために、第1及び第2の像を分析することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
透過照明を用いて歯を撮像する方法であって、
歯への第1の照明条件を適用するために複数の照明源を制御するステップであって、撮像されている歯のタイプの知識に基づいて第1の照明条件が適用される、制御するステップと、
第1の像を獲得するために、第1の照明条件の下で歯を撮像するステップと、
を含む、方法。
【請求項21】
第1の像がさらなる分析を要するかの所定の基準を満たすか否かを判断するために第1の像を分析し、満たさない場合には、歯への第2の照明条件を適用するために複数の照明源を制御し、第2の照明条件の下で歯を撮像することをさらに含み、
第1の照明条件と第2の照明条件は互いに異なることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
透過照明を用いて歯を撮像する方法であって、
歯に第1の照明条件を適用するために複数の照明源を制御するステップであって、第1の照明条件は、ユーザによって実行された過去の較正プロセスに基づいて予め設定されている、制御するステップと、
第1の像を獲得するために第1の照明条件に基づいて歯を撮像するステップと、
を含む、方法。
【請求項23】
上記過去の較正プロセスは、
各歯へ複数の照明条件を順次適用するステップと、
各照明条件の下で各歯の像を獲得するステップと、
各歯について、各照明条件の下で撮られた像を分析し、最も高画質の像を決定するステップと、
各歯について、最も高画質の像が得られた照明条件を第1の照明条件として設定するステップと、
を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
請求項1~15のいずれかに記載のヘッド部又は請求項16若しくは請求項17に記載の透過照明装置を使用することを含む、請求項18~23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
上記ヘッド部が歯に静止して保持されているときに、又は上記ヘッド部が歯の表面を横断するように動かされているときに、歯を撮像することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
上記複数の照明源を個別に、対として、又は3つ以上からなるグループとして制御することを含む、請求項18~25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
上記複数の照明源は、光学に近赤外光を放出するLEDであることを特徴とする、請求項18~26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
上記照明源の照明の明暗度及び/又は上記照明源のオン/オフの状態を制御することを含む、請求項18~27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
歯を第1の側と第2の側を同時に照らすように上記照明源を制御することを含む、請求項18~28のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、家庭用の歯の透過照明装置およびシステムに関する。このようなシステムは、歯科医でない人でも使用することができ、歯科医に行かなくても歯の問題(例えば、齲蝕など)を識別することができる。
【背景技術】
【0002】
歯科医を訪れることに不安を感じるのは、歯科患者にとって一般的である。このため、人々は歯科医を訪れることを避けるようになり、治療が簡単であるにもかかわらず、歯の問題を早期に識別する機会を逃してしまう可能性がある。地域によっては、例えば、近くに歯科医がいない、または歯科医にかかる費用が法外なため、歯科治療を受けるのが困難な場合がある。したがって、自宅で歯の健康を監視するための何らかの手段を提供することが望ましい。自宅で歯の問題が識別されれば、普通ならば歯医者に行きたがらない人々に、歯科医を訪れる動機を与えることができる。一方で、歯科患者が、自宅で歯に問題がないと判断することができれば、歯科医に行くのを延期することができる。
【0003】
米国疾病管理予防センター(Centres for Disease Control and Prevention)によると、米国では20~64歳の成人の91%が齲蝕症(dental caries)(一般に、虫歯(tooth decay)または齲蝕(cavities)と呼ばれる)を患っている。齲蝕が早期に識別されれば、歯の状態のさらなる悪化を防ぐために、歯科医は予防措置を提案することができる。このような予防措置がなければ、齲蝕は悪化し、より侵襲的な治療(歯に穴を開け、齲蝕を埋めるなど)が必要になる場合がある。
【0004】
齲蝕は、国際齲蝕検出評価システム(International Caries Detection and Assessment System)(ICDAS)に従って、歯科医によって視覚的にカテゴリ1~カテゴリ6のいずれかに分類され得る。各コードに関連付けられた外観は以下の通りである。
1-乾燥したエナメル質に白色/褐色の斑点。
2-濡れたエナメル質に白色/褐色の斑点。
3-象牙質が見えない、乾燥したエナメル質の0.5mm未満の微小窩洞。
4-微小窩洞の有無にかかわらず、濡れたエナメル質を通して見える濃い象牙質の影。
5-窩洞の象牙質露出が0.5mmを超え、歯の表面の半分に達する。
6-歯の表面の半分を超える窩洞の象牙質露出。
【0005】
コード3以上に分類された齲蝕は、治療および/または継続的なモニタリングのために歯科医の診察を受ける必要がある。
【0006】
視覚的検査と同様に、歯科医が齲蝕を識別するために伝統的に使用している方法は、X線を使用して患者の歯のX線写真を生成することである。しかし、X線は電離放射線であるため、X線撮像をあまりにも頻繁に使用することに抵抗があるのは理解できることである。通常、歯の問題のリスクが高い人であっても、6ヶ月に2回以上の頻度でX線撮像をすることはない。X線撮像は、当然ながら、歯科専門家が行う必要があり、患者自身が自宅で行うことはできない。
【0007】
歯の透過照明は、齲蝕の識別を可能にする別の技術である。この技術では、歯の片側または両側から照射する明るい光源、通常は近赤外(NIR)光で歯を照射する。光は歯を通過し、歯は咬合/切歯方向(歯の噛み合わせ面に向かう方向)に撮像される。齲蝕組織の光学特性に起因して、齲蝕は画像上に暗い影として現れる。透過照明法は、リアルタイムでの齲蝕の検出を容易にし、使用される光は非電離性であるため、頻繁に実施することができる。
【0008】
既存の透過照明装置は非常に高価であり、家庭での使用には適していない。特に、既存の装置には、齲蝕を識別するのに十分な品質の画像を撮影するために歯科医の専門知識が必要とされる。典型的には、このような装置は、撮像される歯の両側にぴったりとフィットする2つの平行な可撓性翼部を有するヘッド部を備える。光は、翼部の一方または両方から歯に入射し、翼部の可撓性により、光源を歯の表面の近くに維持することができるはずである。しかしながら、このような装置には、欠点があることがわかっており、例えば、犬歯および切歯の画像は、(歯に入る光が多すぎるために)露光過多になるのが一般的であるが、大臼歯の画像は、(歯に光が十分に入らないために)露光不足になることがある。したがって、満足のいく画像が撮影されるように装置を配置するには、歯科医の専門知識が必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記に鑑みて、歯科医ではない人が歯科医を訪ねることなく歯の問題を識別することができる家庭用の歯の透過照明システムを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様においては、歯の透過照明用の装置に用いるヘッド部であって、該ヘッド部は、歯の咬合ビュー/切縁ビューを撮像するために歯からの光を受けるような位置に配置された中央部分と、中央部分から延びている第1及び第2の可撓性翼部であって、第1の可撓性翼部が歯の第1の側に触れるように構成されている一方で、第2の可撓性翼部は、歯の第1の側とは反対側の第2の側に触れるように構成されている、第1及び第2の可撓性翼部と、を備え、第1の可撓性翼部が第1の側から歯を照らすための第1の複数の照明源を有する一方で、第2の可撓性翼部は、第2の側から歯を照らすための第2の複数の照明源を有し、第1の複数の照明源と第2の複数の照明源は、複数の互いに異なる照明条件をつくり出させるように制御可能に構成されていることを特徴とする、ヘッド部を提供する。
【0011】
ここで、様々な照明条件とは、歯を照らすためにオンとなる複数の照明源の様々な組合せに対応するものである。
【0012】
歯の第1及び第2の側は、顔側と、歯の舌側/口蓋側とであり得る。ここで、歯の顔側とは、唇面(唇に最も近い側)又は頬面(頬に最も近い側)のことであり、これは歯に依存して定まる。歯の舌側/口蓋側はそれぞれ、舌又は口蓋に最も近い歯の側のことをいう。
【0013】
像(画像)が歯の咬合ビューであるか或いは切縁ビューあるかは、歯に依存して定まる(切縁面は犬歯又は切歯の咬合せ端縁であり、咬合面は大臼歯と小臼歯の咬合せ端縁である)。よって、犬歯と切歯の像は、反転した切縁ビューである一方で、大臼歯と小臼歯の像は反転した咬合せビューである。
【0014】
複数の照明条件は、歯内への全体の照明の明暗度及び/又は、歯内への光の入射角に関して互いに異なり得る。複数の照明条件は、歯を照らしている照明源をいくつ制御しているかによって決まり且つ/或いは、別々の位置に設けられた照明源のうちのどの照明源が歯を照らすのかを制御することにより決まり得る。
【0015】
照明源の各々(つまり、第1及び第2の複数の照明源のうちの各照明源)は互いに独立して制御され得る。すなわち、ヘッド部に存在する個々の照明源は、他の照明源のいずれの状態にも依存することなく制御され得る。
【0016】
第1及び第2の複数の照明源の照明源が対ごとに制御可能な場合もある。そのペアリングは、同じ可撓性翼部に設けられたものからなり得る。或いは、各対が、一方の可撓性翼部からの1つの照明源と、他方の羽根部からの1つの照明源とからなる場合もある。
【0017】
各可撓性翼部は、2つの照明源からなる2つのグループを有し得る。第1のグループは2つの照明源を有し、これらの照明源は、ヘッド部が歯に触れる所定の位置にあるときに歯の先端に近接する位置に配置されている。第1及び第2のグループの各々は、互いに他のグループから独立して制御可能に構成され得るとともに、第2の羽根部上の対応する第1及び第2のグループもまた、互いに独立して制御可能に構成されているとともに、第1の羽根上の第1及び第2のグループからも独立して制御可能に構成されている。
【0018】
第1及び第2の複数の照明源からなる照明源は、2つよりも多い(但し、照明源の全数よりも少ない)グループごとに制御可能であり得る。
【0019】
複数の照明源は選択的に、LEDである。
【0020】
複数の照明源は、近赤外光を放出するように構成され得る。本明細書において、近赤外光は(ISO 20473の規格に準拠して)、780nm~3000nmの範囲の波長を有する光として定義される。複数の照明源は、780nm~1000nmの波長を有する光を放出するように構成され得る。
【0021】
一例においては、照明源は約850nmにピーク波長を有するLEDである。
【0022】
複数の照明源のすべてが選択的に、同じ公称スペクトル特性(同じピーク波長とピーク幅を含む)を有する。或いは、複数の近赤外線波長の下で像を捕捉することができるように、1つ又は複数の照明源が、(そのピーク波長が依然として近赤外線の範囲内にありつつも)他の照明源とは異なるスペクトル特性を有し得る。
【0023】
第1の複数の照明源は4つの照明源からなり、且つ/或いは第2の複数の照明源が4つの照明源からなる場合がある。
【0024】
4つの照明源が可撓性翼部に設けられる場合、第1の複数の照明源の4つの照明源は、仮想の四辺形(例えば、正方形、長方形、菱形又は平行四辺形)の各頂点に配置されつつ、歯の側に面しているとよい。
【0025】
可撓性翼部において、2つ以上の照明源が、ヘッド部が歯に触れる所定の位置になると歯の先端から遠ざかるような位置に配置されている一方で、2つ以上の照明源が、ヘッド部が歯に触れる所定の位置になると歯の先端に近づくような位置に配置されている場合がある。その目的は、どの歯が撮像されているときにも、照明源のうちの少なくとも1つが歯肉線に隣接する位置に配置されているようにするためである。本明細書において、「歯肉線に隣接する」とは、歯茎内ではなく歯内へ光が差し込み続けるように、歯肉線に近接しているが歯肉線から僅かに鉛直方向にずれていることを意味する。これは(後述するように)利点である。何故なら、歯の最大限の領域を撮像するようにカメラが歯の先端からの(つまり、歯の咬合面に面する)画像を捕捉するからであり、特には、齲蝕を示す影の最大限の領域を捕捉するので、歯肉線に隣接する位置から歯内へ差し込む光を有することは利点である。歯は、歯肉線から遠い方が照らされていると、歯肉線に近い方の影がカメラから隠される。どの照明が最も良い位置にあるのかに関しては、歯に依存して定まる。例えば、下顎の大臼歯に関して言えば、最も良い位置にある照明源は、ヘッド部が歯に触れる所定の位置になるときに最も下方に位置するものである。例えば、下顎の切歯(門歯)又は犬歯に関して言えば、同じ照明源が歯肉線よりも低い位置に配置されるが、これは、歯を照らすのに最良の位置ではない。このような場合、最良の位置に配置された照明源は、ヘッド部が歯に触れる所定の位置にあるときに歯の先端に最も近接する位置に配置された照明源であろう。
【0026】
使用時に歯の先端に近づくような位置に配置された照明源は、使用中に歯から最も遠くに位置するように配置された照明源から、それぞれの照明源の最も近い端縁と端縁の間の垂直距離として測定して、選択的に0.5~3mmの距離(例えば、1mm~2mmの距離であり、選択的に1.75mmの距離)となる位置に配置されている。
【0027】
歯の先端に近づくような位置に配置された2つ以上の照明源は、それぞれの照明源の最も近い端縁と端縁の間の垂直距離として測定して、3~7mm例えば5mmの間隔で配置されて(歯の横方向に亘って対応する間隔を与えて)いる。歯の先端に近づくような位置に配置された2つ以上の照明源は、(これらの中心を結ぶ想像線(仮想ライン)が、ヘッド部が歯に触れる所定の位置にあるときの歯肉線とほぼ平行となるように)可撓性翼部に沿って同じ高さになるように配置され或いは、僅かに鉛直方向に互いにずれていてもよい。例えば、これらの中心を結ぶ線分の鉛直成分の長さの測定で約1mmだけ鉛直方向に互いにずれていてもよい。
【0028】
同様に、歯の先端から遠ざかるような位置に配置された2つ以上の照明源は、それぞれの照明源の最も近い端縁と端縁の間の垂直距離として測定して3~7mm例えば5mmの間隔で配置されて(歯の横方向に亘って対応する間隔を与えて)いる。歯の先端から遠ざかるような位置に配置された2つ以上の照明源は、(これらの中心を結ぶ想像線が、ヘッド部が歯に触れる所定の位置にあるときの歯肉線とほぼ平行となるように)可撓性翼部に沿って同じ高さになるように配置され或いは、僅かに互いに鉛直方向にずれていてもよい。例えば、これらの中心を結ぶ線分の鉛直成分の長さの測定で約1mmだけ鉛直方向に互いにずれていてもよい。
【0029】
4つの照明源が設けられる場合、4つの照明源のうちの2つは、ヘッド部が歯に触れる所定の位置になると歯の先端から遠ざかるような位置に配置されている一方で、4つの照明源のうちの2つは、ヘッド部が歯に触れる所定の位置になると歯の先端に近づくような位置に配置されているとよい。歯の先端に近づくような位置に配置されている2つの照明源は、可撓性翼部に沿って同じ高さに位置するように(ヘッド部が歯に触れる位置にあるときに、照明源の中心を結ぶ想像線が歯肉線とほぼ平行になるように)配置され、或いはこれらは僅かに(例えば、これらの中心を結ぶ線分の鉛直成分の長さの測定で1mmだけ)互いに鉛直方向にずれていてもよい。歯の先端から遠ざかるような位置に配置されている2つ又はそれ以上の照明源は、可撓性翼部に沿って同じ高さに位置するように(ヘッド部が歯に触れる位置にあるときに、照明源の中心を結ぶ想像線が歯肉線とほぼ平行になるように)配置され、或いはこれらの照明源は僅かに(例えば、これらの中心を結ぶ線分の鉛直成分の長さの測定で1mmだけ)互いに鉛直方向にずれていてもよい。
【0030】
上述したように、照明源は制御可能に構成されている。照明源の少なくともオン/オフの状態を制御することができるように構成されている。また選択的に、照明源の照明の明暗度を制御することができるように構成されている。
【0031】
照明源は、歯の第1の側と第2の側を同時に照らすことができるように制御可能に構成されている。
【0032】
ヘッド部は可撓性PCBからなり、該PCB(プリント基板、印刷回路版)上に複数の照明源が実装されているとよい。可撓性PCBは2つの羽根(各可撓性翼部について1つ)からなり、各羽根は中央部分から延びている比較的高い剛性を有する突起上に実装され得る。ただ剛性を有する突起とはいえ、歯に触れる位置までヘッド部を滑らせることができるように可撓性翼部が屈曲することを可能にするのに充分なほどの柔軟性も有している。
【0033】
可撓性翼部は軟質カバー(被覆)によって覆われ得るが、これらの両方が、可撓性PCBとその構成要素を保護することにより、ユーザの歯がヘッド部で損傷することのないように守られる。
【0034】
第1の可撓性翼部と第2の可撓性翼部の各々が、歯から照明源を離間させるような位置に配置された(例えば、軟質カバー(被覆)によって形成された)突起を有し得る。これによって照明源からの光は、もっと歯の近くに照明源があるとした場合と比較して、より均等に広がる。LEDが歯に近すぎると光が不均等に広がり、捕捉される像に部分的な露光過多のリスクが生じる恐れがある。
【0035】
第1及び第2の可撓性翼部の各々が、中央部分の窓内へ直接的に入射する照明源からの光を回避し或いは低減するような位置に配置された(例えば、軟質カバー(被覆)によって形成された)突起を有する。
【0036】
中央部分は、第1及び第2の可撓性翼部を取り囲むとともに、第1及び第2の可撓性翼部とほぼ垂直に配置された複数の(例えば、軟質カバー(被覆)によって形成された)整列突起を有する。
【0037】
ヘッド部は、照明源を制御する制御装置(半導体集積回路)を有し得る。照明源の各々は、制御装置による各照明源の独立した制御を可能にするように制御装置に別々に接続されている場合もある。
【0038】
照明源の制御は、ユーザからの入力がなくとも実行され得る(すなわち、照明源の制御が自動的に実行されることもある)。
【0039】
本発明は、第1の態様の(上述したヘッド部の複数の光学特性のうちのいずれかを選択的に組み込んでいる)ヘッド部を備えている透過照明装置にまで拡張される。
【0040】
ヘッド部は、透過照明装置に取外し可能に取り付けられる場合がある。この場合、複数のユーザであっても、各自が自分用のヘッド部を所有することによって、同じ透過照明装置を共用することができる。或いは、ヘッド部は透過照明装置に一体化された部品である場合もある。
【0041】
ヘッド部は、RFIDタグ又はNFCタグを有し得る。これによって、あるヘッド部が特定のユーザに属するものとして特定され得る。
【0042】
透過照明装置はカメラを備え得る。カメラは例えば、CMOSカメラやCCDカメラである。カメラは、カラーのカメラである場合もあれば、モノクロカメラである場合もある。カメラは、静止画及び/又は動画を捕捉できるカメラであり得る。
【0043】
透過照明装置は光学アセンブリを備え得る。光学アセンブリは、プリズムと、1つ又は複数のレンズとを有し得る。プリズムは、歯からヘッド部の中央部分の窓を介して受光し、その光を透過照明装置のネック部の下方へ屈折させる場合がある。さらには、光学アセンブリ内の光学要素(絞りと、3つの平凸レンズを選択的に含む)が光ビームを成形し、カメラの撮像領域内に焦点を結ばせる場合がある。
【0044】
代替的な配置において、カメラは、ヘッド部の中央部分内の窓と正反対の位置に配置される場合があり、この場合には、プリズムを必要としない。絞りと平凸レンズは、ヘッド部の中央部分の窓とカメラとの間に位置決めされ得る。
【0045】
透過照明装置は照明源を制御するための制御装置を備え得る。
【0046】
透過照明装置は無線送受信機を備え得る。
【0047】
本発明の第2の態様においては、透過照明を用いて歯を撮像する方法において、歯への第1の照明条件を適用するために複数の照明源を制御し、第1の像を獲得するために第1の照明条件の下で歯を撮像するステップと、歯への第2の照明条件を適用するために複数の照明源を制御し、第2の像を獲得するために第2の照明条件の下で歯を撮像するステップと、を含み、第1の照明条件と第2の照明条件は互いに異なることを特徴とする、方法を提示する。
【0048】
本明細書において、第1及び第2の透過照明条件は、歯の透過照明が、第1及び第2の歯の透過照明の像を獲得することを可能にする照明条件である。
【0049】
本方法は選択的に、第1及び第2の像がさらなる分析を要するかの所定の基準を満たすか否かを判断するために、第1及び第2の像を分析することを含む。
【0050】
歯のさらに複数の透過照明の像が獲得されるように、複数のさらなる照明条件が適用される場合がある。
【0051】
本発明の第3の態様においては、透過照明を用いて歯を撮像する方法であって、歯への第1の照明条件を適用するために複数の照明源を制御するステップであって、撮像されている歯のタイプの知識に基づいて第1の照明条件が適用される、制御するステップと、第1の像を獲得するために第1の照明条件の下で歯を撮像するステップとを含む、方法を提示する。
【0052】
歯の種類に関する知識が選択的に、歯の寸法及び/又は位置に関する情報、及び/又はその歯が切歯、犬歯、小臼歯若しくは大臼歯であるかに関する情報を含む。歯の種類を決定するために、形状認識のアルゴリズムが使用され得る。
【0053】
本発明は選択的に、第1の像がさらなる分析を要するかの所定の基準を満たすか否かを判断するために第1の像を分析し、満たさない場合には、歯への第2の照明条件を適用するために複数の照明源を制御し、第2の照明条件の下で歯を撮像することを含む。
【0054】
本発明の第4の態様においては、透過照明を用いて歯を撮像する方法であって、歯に第1の照明条件を適用するために複数の照明源を制御するステップであって、第1の照明条件は、ユーザによって実行された過去の較正プロセスに基づいて予め設定されている、制御するステップと、第1の像を獲得するために第1の照明条件に基づいて歯を撮像するステップと、を含む、方法を提示する。
【0055】
較正プロセスにおいては、各歯へ複数の照明条件が順次適用され、各照明条件の下で各歯の像が獲得され得る。そして、それらの像が分析され、最も高画質の像が決定される。そして、その最も高画質の像が得られたときの条件が、第1の照明条件として予め設定されることになる。
【0056】
最も高画質の像とは例えば、迷光からの反射が最も少ないものであり、及び/又は適正露光(歯内へ差し込む光が多すぎることによる露光過多ではなく、歯内へ差し込む光が少なすぎることによる露光不足でもない)を有する像のことであり、及び/又は適切な輝度とコントラストを有する像のことである。
【0057】
本発明の第2、第3及び第4の態様のうちのいずれかに上記に光学特性を適用する(さらに、これらの態様に関して上述した光学特性が組合せられる場合もある)。
【0058】
本方法は、第1の態様(第1の態様に関して上述した複数の光学特性のうちのいずれかを選択的に組み込んでいる)のヘッド部を使用し或いは、上述した透過照明装置を使用することを含み得る。
【0059】
本方法は、ヘッド部が歯に静止して保持され或いは、上記ヘッド部が歯の表面を横断するように動かされているときに(例えば、掃引(走査)動作をしているときに、歯を撮像することを含み得る。掃引動作は、歯から歯へゆっくりと滑らかに動かすことを含み得る。
【0060】
さらなる分析を要するかの所定の基準は、像内へ歯の位置決め、像内の照明の均一性、及び像内の輝度とコントラストから選択される1つ又は複数のものを含み得る。
【0061】
本方法は、照明条件を変えるように照明源のオン/オフの状態を制御することを含み得る。
【0062】
本方法は、様々な波長の近赤外線による照射の下で複数の歯の像を捕捉することを含み得る。本方法は、同じ歯の複数の像を組み合わせて、組み合わされた像をつくることを含み得る。組み合わされた像における複数の像のうちの各像は、0~1の重み係数で(0は寄与がないことを意味し、1は完全な寄与を意味する)、他の像と合成され得る。
【0063】
本方法は、歯の第1の側及び第2の側を同時に照らすことを含み得る。
【0064】
本方法は、一度に歯の第1の側又は第2の側のみを照らすことを含み得る。
【0065】
本方法は、複数の照明源を個別に、対として、又は3つ以上(但し、照明源の全数よりは小さい数)からなるグループとして制御することを含む。例えば、可撓性翼部の各々が、2つの照明源のグループを2つ含む場合がある。第1のグループが、ヘッド部が歯の位置になると歯の先端に近づくような位置に配置された2つの照明源からなる一方で、第2のグループが、ヘッド部が歯の位置になると歯の先端から遠ざかるような位置に配置された2つの照明源からなる場合がある。
【0066】
本発明の特定の好ましい実施形態を、添付の図面を参照して、単なる例として以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図2】例示的透過照明装置の先端部を示す図である。
【
図3】例示的な透過照明装置の先端部の分解図であり、例示的な透過照明装置の本体部のネック部分とともに示されている。
【
図4】例示的な透過照明装置の本体部のネック部分内の光学アセンブリを示す図である。
【
図5】透過照明装置の内部の構成要素の分解図である。
【
図6】設置位置にある透過照明装置の内部の構成要素を示す図である。
【
図7】透過照明装置、ユーザのスマートデバイス、およびリモートサーバを備えるシステムの概略図である。
【
図8】識別された齲蝕の位置をユーザに示すアプリインターフェースの画像である。
【
図9】透過照明装置における光源のレイアウトである。
【
図10a】異なる照明条件を与えるために、点灯または消灯可能な光源のセットを示す例示的な照明スキームである。
【
図10b】異なる照明条件を与えるために、点灯または消灯可能な光源のセットを示す例示的な照明スキームである。
【
図10c】異なる照明条件を与えるために、点灯または消灯可能な光源のセットを示す例示的な照明スキームである。
【
図10d】異なる照明条件を与えるために、点灯または消灯可能な光源のセットを示す例示的な照明スキームである。
【
図10e】異なる照明条件を与えるために、点灯または消灯可能な光源のセットを示す例示的な照明スキームである。
【
図10f】異なる照明条件を与えるために、点灯または消灯可能な光源のセットを示す例示的な照明スキームである。
【
図10g】異なる照明条件を与えるために、点灯または消灯可能な光源のセットを示す例示的な照明スキームである。
【
図10h】異なる照明条件を与えるために、点灯または消灯可能な光源のセットを示す例示的な照明スキームである。
【
図10i】異なる照明条件を与えるために、点灯または消灯可能な光源のセットを示す例示的な照明スキームである。
【
図10j】異なる照明条件を与えるために、点灯または消灯可能な光源のセットを示す例示的な照明スキームである。
【
図10k】異なる照明条件を与えるために、点灯または消灯可能な光源のセットを示す例示的な照明スキームである。
【
図10l】異なる照明条件を与えるために、点灯または消灯可能な光源のセットを示す例示的な照明スキームである。
【
図10m】異なる照明条件を与えるために、点灯または消灯可能な光源のセットを示す例示的な照明スキームである。
【
図10n】異なる照明条件を与えるために、点灯または消灯可能な光源のセットを示す例示的な照明スキームである。
【
図11a】例示的な透過照明装置の先端部の代替構成を示す図である。
【
図11b】例示的な透過照明装置の先端部の代替構成を示す図である。
【
図12a】齲蝕がコード3として分類された透過照明によって生成された画像である。
【
図12b】齲蝕がコード3として分類された透過照明によって生成された画像である。
【
図13a】充電式バッテリを充電するための誘導充電コイルを含む、透過照明装置の内部の構成要素の分解図である。
【
図14a】光学アセンブリを備える例示的な透過照明装置を示す図である。
【
図14b】光学アセンブリを備える例示的な透過照明装置を示す図である。
【
図14c】光学アセンブリを備える例示的な透過照明装置を示す図である。
【
図15a】例示的な透過照明装置の内部構成要素を示す図である。
【
図15b】例示的な透過照明装置の内部構成要素を示す図である。
【
図15c】例示的な透過照明装置の内部構成要素を示す図である。
【
図16a】透過照明装置の例示的なヘッド部を示す図である。
【
図16b】透過照明装置の例示的なヘッド部を示す図である。
【
図16c】透過照明装置の例示的なヘッド部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
図1は、例示的な透過照明装置100を示す。本明細書に記載される装置および方法は、(以下に記載されるように)ユーザが自分の歯に対して、または第1の人が第2の人の歯に対して使用することができることが理解されるであろう。
【0069】
透過照明装置は、ヘッド部110と本体部150とを備える。ヘッド部110は、ユーザの歯に適合するように成形された先端部112を備える。
【0070】
図2は、先端部112をより詳細に示す。先端部112は、2つの可撓性翼部116が延在する中央部分114を備える。先端部112が使用者の歯に配置されると、中央部分114は、使用者の歯の咬合面/切歯面に、またはその近くに位置し、2つの可撓性翼は、歯の両側に接触し、可撓性翼の一方が、歯の頬側/顔面側に着座するとともに、他方が、歯の舌側/口蓋側に着座する。
【0071】
図2および
図3に示されるように、可撓性翼部116のそれぞれは、可撓性PCB118を支持する支持アーム119を備え、これらは両方とも、軟質で可撓性の材料120でオーバーモールドされている(この場合、UV硬化性エラストマが使用されるが、UV硬化性エラストマの代わりに他の材料が使用されてもよく、例えば熱可塑性エラストマ(TPE)が使用されてもよい)。可撓性翼部116のそれぞれは、可撓性PCB118に取り付けられた4つのLED122を備え、4つのLED122は、長方形構成で配置されている。可撓性PCB118を利用することによって、使用時にLED122が確実に歯に近接したままにしておくことができるほど、可撓性翼部116を柔較なものにすることができる。
【0072】
以下に詳述するように、透過照明装置100は、多数の異なる照明条件を歯に適用することができる。これは、先端部112に複数のLEDを有することによって達成可能である。
【0073】
LEDを歯のそれぞれの側面に長方形/正方形構成または平行四辺形/菱形構成(あるいは、1つまたは複数のLEDが1つまたは複数の他のLEDよりも歯肉線に近く、1つまたは複数のLEDが1つまたは複数の他のLEDから横方向にオフセットされている任意の構成)で配置することにより、それぞれの側面のLEDのうちの1つまたは複数が歯を透過照明するのに十分なほど歯に近いことが確実になる。加えて、このような配置により、いくつかの異なる角度から(例えば、歯肉線に近接して、歯のさらに上に、および2つの横方向から)光を当てることができるため、歯内の齲蝕のすべての証拠(透過照明画像上の影として見える)を撮像することができる。位置の異なる複数のLEDを設けることで、歯に対するLEDの配置に様々な選択肢が提供され、したがって、家庭でのユーザにとって透過照明のための最適なLED配置を見つけるという問題(通常、歯科医が単一の光源を使用して診療所で実現するには広範な訓練が必要である)に対する技術的解決策を提供する。複数のLEDを設けることで、異なる数のLEDを点灯させることにより、照明のレベルを変えることもできる。これにより、大きな歯(例えば、臼歯)にはより多くの光を当てることができ、一方、小さな歯(例えば、切歯)の透過照明に必要な光の量は少なくなる。
【0074】
各LED122は、近赤外光を放射するように構成されている。ここで、近赤外光とは、(ISO20473規格に従って)780nm~3000nmの範囲の波長を有する光として定義される。この場合、LEDは約850nmにピーク波長を有し、約35nmのスペクトル帯域幅を有する。放射強度(100mAの順方向電流での)は、約9~18mW/srであり、典型的には約13mW/srである。可撓性翼部116は、歯に触れる位置に配置されると、わずかに外向きに撓むように構成されているが、この外向きの撓みに対して復帰力(弾力の力)が作用するため、先端部112は、歯の側面を握持する。可撓性翼部116の撓みにより、各LED122と歯の表面との間に最小限の隙間が確保され、これにより、撮像に有害となり得る迷光が低減され、また、撮像を可能にする適切な量の光が歯に浸透することが保証される。
【0075】
LED122はまた、可視スペクトルの光を放射するように構成されてもよく、これにより、ユーザは、装置が作動していることを視認(visualise)することができる。
【0076】
ヘッド部110は、中空の概ね円筒形の部分を含むスリーブ部分126も備える。スリーブ部分126は、ヘッド部110と本体部150とが一緒に留められるように、本体部150のネック部分160の上に受け入れられるように構成されている。
【0077】
ヘッド部110の取り外し可能な性質により、数人の異なるユーザ、例えば、同じ家族のメンバーが、家族の各メンバーの自分用のヘッド部110を使用して、透過照明装置100を共用することができるようになる。各ヘッド部110を特定のユーザと識別できるようにするために、ヘッド部はRFIDタグ(図示せず)を備える。RFIDタグは、ユーザのスマートデバイス(例えば、
図7に示されるような表示画面を有する携帯電話200)によって読み取られる。あるいは、透過照明装置100またはヘッド部110とユーザのスマートデバイスとの間の近距離無線通信(NFC)が、各ヘッド部110を識別するために使用され得る。
【0078】
先端部112の中央部分114は、オーバーモールド120内に窓124を備える。窓124は、ユーザの歯の咬合/切歯面に面するように構成されている。ヘッド部110が本体部150に留められると、先端部112の中央部分114の窓124は、本体部150のネック部分160の対応する窓162と整列する。
【0079】
使用時に、歯からの光は、中央部分114の窓124を通過し、ネック部分160の対応する窓162を通過し、ネック部分160に入る。ネック部分160は、光をカメラ170に導くための光学アセンブリを保持する。光学アセンブリ(
図4に示される)は、窓162から光を受け、その光を曲げてネック部分160の軸の方向に沿って光を導くプリズム164を有する。光学アセンブリ内のさらなる光学部品(アパーチャ166および3つの平凸レンズ168)は、光ビームを成形し、カメラ170の撮像領域に集束させる。LEDからの異なる波長の光を使用するために、光学装置を適合させることができることを理解されるであろう。
【0080】
この場合、カメラ170は低電圧CMOSデバイスである。カメラはカラー画像を出力し、カラー画像はさらなる分析のためにグレースケールに変換される。透過照明装置100は、このような変換を行うことができ、またはユーザのスマートデバイス(この場合、携帯電話200)がこのような変換を行うことができる。代替として、モノクロカメラを使用することができる。スペクトルの異なる部分をフィルタ除去するために、カメラに結合されたフィルタ、例えばソフトウェアフィルタがあってもよい。撮影された画像の画像処理は、透過照明装置100および/またはユーザのスマートデバイス200によって、および/またはリモートサーバ300によって行われてもよい。このような画像処理は、波長によるフィルタリング、露光制御、ホワイトバランス、彩度、色相制御、白画素キャンセル、および/またはノイズキャンセルを含むことができる。
【0081】
図5は、透過照明装置100の本体部150における他の内部構成要素を分解図で示す。これらの構成要素は、
図6にこれらが設置された位置で示されている。透過照明装置100はバッテリ駆動であり、充電式バッテリ172を備える。バッテリ172は、当技術分野で知られている種類の誘導充電ステーションと相互作用するインダクタ174によって誘導充電される。同様の誘導充電ステーションは、例えば、電動歯ブラシを充電するために一般的に使用されている。代替の電源および充電システムが
図13aおよび
図13bに示されており、以下でより詳細に説明される。
【0082】
透過照明装置100は、ユーザにフィードバックを提供する手段を備える。これは、振動モータ(図示せず)と、可撓性PCB184の環状部分178の周囲に放射状に間隔を開けて配置され、本体部150を形成する材料を通して可視光を放射する、複数のユーザフィードバックLED176(この場合、4つ)との形態をとる。各LED176は、RGB LEDである(すなわち、単一のパッケージ内に、1つの赤色、1つの緑色、および1つの青色の3つのLEDの組合せを含む)。このようにして、各LEDによって多くの色の光を生成することができる。フィードバックは、(以下でより詳細に説明するように)使用時のデバイスによって適切な画像が撮影された、または撮影されなかったことをユーザに示すことを含む。代替としてまたは加えて、同様のフィードバックをユーザのスマートデバイスによって提供することもできる。
【0083】
透過照明装置100の動作の制御は、システムオンチップマイクロコントローラの形態の制御装置180によるものである。制御装置180は、統合されたWi-Fi/Bluetooth機能を備える。制御装置は、上述した画像処理のいずれかを実行することができる。制御装置180は、バッテリ172に接続されたメインPCB182上に配置されている。メインPCB182は、可撓性PCB184にも接続されている。可撓性PCB184は、環状部分178と、ネック部分160の端部に位置するLEDインターフェース部分186と、メインPCBから環状部分178までの間、および環状部分178からLEDインターフェース部分186までの間を延びる可撓性PCB184のコネクタ部分とを有する。
【0084】
制御装置180と環状部分178のLED176との間のすべての接続は、可撓性PCB184に沿って(およびメインPCB182上に)延びており、同様に、制御装置180とLEDインターフェース部分186のコネクタとの間のすべての接続は、可撓性PCB184に沿って(およびメインPCB182上に)延びている。
【0085】
環状部分178およびLEDインターフェース部分186を可撓性PCBの一部として形成することにより、組立のコストおよび複雑さが低減され、環状部分178およびLEDインターフェース部分186が代わりに剛性PCBから形成された場合は、メインPCB182への追加のケーブル接続が必要となるであろう。さらに、可撓性PCB184を使用することにより、装置をコンパクトに保つことができ、可撓性PCBは、非常に平坦であるため、薄いネック部分160をより薄くすることができる。ケーブルコネクタが不要なため、サイズを抑えることもできる。
【0086】
また、可撓性PCBが使用されるのは、その可撓性を利用してPCBを適切な形状に曲げることができるからであり、そのため環状部分178およびLEDインターフェース部分186が本体部150の軸方向の範囲に対して横方向に配置される。
【0087】
ヘッド部110が本体部150に留められると、LEDインターフェース部分186は、ヘッド部110の可撓性PCB118に電気的に接続される。この接続は、ヘッド部110の可撓性PCB118に接続された3つのポゴコネクタ127(
図3b参照)を介して達成される。これらのポゴコネクタ127は、スリーブ部分126の上部にある小孔128(
図3a参照)を通過し、ネック部分126の上部にある対応する小孔163を通過し、可撓性PCB184のLEDインターフェース部分186に接触する。2つの小孔128および2つの対応する小孔163が
図3aに示されているが、3つのポゴコネクタ127のそれぞれに対して1つずつ、それぞれ3つが設けられる。
【0088】
可撓性PCB118は、LED122のそれぞれを個々に制御するためのLED制御集積回路125を含む(すなわち、各LED122は、他のLED122のいずれかの状態とは無関係に個別に制御され得る)。LED122の制御は、ユーザからの入力なしに、装置によって自動的に行われる。
【0089】
本体部150は、外側ハウジング152(
図6に示す)および内側クレードル154を含む。内側クレードル154は、様々な構成要素を留めることができる領域を形成するように設計された一連の弾性突起を備える。したがって、インダクタ174、バッテリ172、メインPCB182、可撓性PCB184(環状部分178およびLEDインターフェース部分186を含む)、およびカメラ170はすべて、ねじを使用せずに内側クレードル154内に固定される。これにより、組立/メンテナンスが容易になり、製造コストが低減される。
【0090】
透過照明装置100は、ユーザのスマートデバイス200を使用してオン/オフにされてもよい。この制御(およびスマートデバイス200と透過照明装置100との間の任意の他の通信)は、Bluetooth接続を介して行うことができる。あるいは、この目的のために、1つまたは複数のボタンが本体部150に存在してもよい。
【0091】
プリズム164、アパーチャ166、および3つの平凸レンズ168は、ネック部分160内に延在する内側クレードル154の一部内に保持される。レンズは、正確な光路が確実に維持されるように、円筒形スペーサ内に保持されている。この場合も、光学アセンブリの構成要素を固定するためのねじは不要である。
【0092】
外側ハウジング152は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)プラスチックなどの耐久性と防水性のあるプラスチックから形成されている。
【0093】
図7は、家庭でユーザが齲蝕を検出することができるようにするためのシステムを示しており、透過照明装置100はその一部である。また、システムの一部は、ユーザのスマートデバイス(この場合、表示画面を有する携帯電話200であるが、タブレット、ラップトップ、デスクトップ、または専用スマートデバイスを含む、任意の適切なスマートデバイスが使用され得ることが理解されるであろう)、およびリモートサーバ、例えば、クラウドベースのサーバ300である。上述したように、透過照明装置100は、Wi-Fi/Bluetooth機能が統合されたシステムオンチップマイクロコントローラを備える。これにより、透過照明装置100と携帯電話200との間の通信が可能となる。携帯電話200は、インターネットを介してクラウドベースのサーバ300と通信することができる(当技術分野で知られているような)通信インターフェースを備える。
【0094】
簡単に説明すると、携帯電話200は、透過照明装置100から画像を受信し、それらの画像に基づいて処理を実行し、次いで、クラウドベースのサーバ300に画像を送信するソフトウェアアプリケーション(アプリ)を実行する。クラウドベースのサーバ300は、携帯電話によってまだ実行されていない画像の任意のさらなる必要な処理を実行し、その結果を携帯電話200に送り返し、携帯電話200の表示画面上でユーザに表示する。
【0095】
透過照明装置100を初めて使用する前に、ユーザはアプリを開き、登録するプロセスを経る。
【0096】
ユーザの登録は、ユーザ名およびパスワードの設定、電子メールアドレスの登録、利用規約の承諾、該当する場合のサブスクリプションパッケージの選択、支払い詳細の入力、およびユーザのスマートデバイスへの接続を含む。これらの登録ステップは、後で修正することができる。
【0097】
登録は、同じ世帯の他のメンバーが同じ装置を使用するために行われることがある。
【0098】
また、ユーザは、歯の欠損、歯の詰め物、インプラント、補綴物、またはその他の既知の状態がある場合、アプリに登録する。ユーザの食事および/または健康状態に関する情報も任意選択で収集されてもよい。
【0099】
次に、画像撮影プロセスについてより詳細に説明する。携帯電話200で実行されるアプリは、画像撮影プロセス中にユーザをガイドする。ユーザは、以下に説明するように、一度に顎の1象限(すなわち、4分の一)の周りで透過照明装置100を移動させるように指示される。各象限は、上顎および下顎について、ならびにそれぞれの左側および右側について、最後方の歯と中央の前切歯との間に画定され、すなわち、左上象限、左下象限、右上象限、および右下象限がある。
【0100】
各象限について、ユーザは、どこから開始するかを指示され(例えば、4つの象限のうちの1つの最後方の歯から)、それに応じて、選択された象限の最後方の歯(または他の指定された開始点)の上に透過照明装置100のヘッド部110を配置し、中央部分114が歯の咬合/切歯面に面し、可撓性翼部116が歯の両側に接触するように、ヘッド部110を所定の位置にスライドさせる。次いで、ユーザは、例えば、装置またはアプリのボタンをクリックすることによって、画像撮影をオンにし、アプリの指示の下、選択された象限内のすべての歯が撮像されるまで、ヘッド部110を歯から歯へと移動させる。アプリの指示の下で、ユーザは、撮像される歯に対してヘッド部110が一時的に静止して保持されるように、撮像される各歯の上で短時間(例えば、1~3秒間)一時停止する。静止して保持されている間に、異なる照明条件が歯に適用され(後述するように)、複数の画像が撮影される。各画像は、アプリによる処理のために携帯電話200に送信される。
【0101】
あるいは、透過照明装置は、画質に基づいて画像の事前選択を行い、特定の品質基準を満たす画像のみが携帯電話200に送信されるようにしてもよい。品質基準には、フォーカス/鮮明度、許容可能な照明(すなわち、露光過多/露光不足でないこと)、および画像内の歯の有無のうちの1つまたは複数が含まれる。
【0102】
アプリは、歯が画像内に存在するかどうかを検出するアルゴリズムを含む。このアルゴリズムでは、歯の画像がセグメント化され、歯のタイプを決定するために、形状認識が使用される。所与の象限および既知の歯の配列とともに、撮像された歯が識別され、国際標準番号付けシステムに従ってラベル付けされる。歯の位置、ならびに画像の輝度およびコントラストに基づいて、アプリは、各歯について、その歯について撮影された一連の画像から最良の画像を選択する。選択は、照明の均一性、コントラスト、および画像の位置合わせなどの画像の品質に基づいてもよい。画像の品質が承認される(すなわち、上で概説したような所定の基準を満たす)と/場合、どの歯が首尾よく撮像されたかを示す視覚的なフィードバックが、ユーザのスマートデバイスを介してユーザに提供される。例えば、アプリに表示される歯のモデルに、対応する歯がマークされ(例えば、対応する歯は、緑色の陰影が付けられてもよい)、ユーザは、次の歯に移動するように指示される。分析の品質が十分でないために、1つまたは複数の歯に対して画像が承認されなかった場合、アプリは、その歯を再撮像すべきであることをユーザに示す。
【0103】
画像を取得するためにユーザがヘッド部110を各歯に静止させて保持する代わりに、ユーザは、ヘッド部110をゆっくりとした連続的な掃引動作で象限を横切って掃引してもよい。各歯についての異なる照明条件下での画像を含む、一連の画像が掃引で撮影される。歯のうちの1つまたは複数が首尾よく撮像されなかった場合、アプリは、ユーザに再度掃引を行うように指示する。
【0104】
各歯の画像が承認され、ラベル付けされると、画像は携帯電話200からクラウドベースサーバ300に送信される。このような画像は、通信前に匿名化され得て、通信は、エンドツーエンドで暗号化されており、ユーザのプライバシーを保護することができる。クラウドベースのサーバ300は、歯の透過照明画像において齲蝕を識別し、識別された齲蝕を分類する機能を有する機械学習アルゴリズム、この場合は、(プロセッサ320上で実行される)ディープラーニングニューラルネットワークを含む。
【0105】
プロセッサ320は、各歯の状態(すなわち、齲蝕なし、または齲蝕、および齲蝕が存在する場合には齲蝕の分類)に関するユーザレポートを携帯電話200に返し、これは、歯のマッピングおよびそれらの状態を示す歯の配置の写真上で視覚的フィードバックとしてユーザに表示される(
図8に示されるように)。
【0106】
プロセッサ320によって生成されたユーザレポートは、携帯電話200に送信される前に暗号化される。レポートには、ユーザを識別することができるようないかなる情報も含まれず、すなわち、データは匿名化されている。
【0107】
アプリは、齲蝕が識別されなかった場合は、有益なおよび/または動機付けとなるテキスト(例えば、「よくやった!」)を表示する。齲蝕コード1または2が識別された場合、適切な口腔ケアに関する有用な情報(例えば、「朝晩少なくとも2分間歯磨きを心がけてください」)がユーザに表示される。
【0108】
齲蝕のいずれかがコード3、4または5として識別された場合、ユーザは歯科医を訪れるように勧められる。クラウドベースのサーバ300は、歯科医院のデータベースを備え、アプリは、ユーザの位置データまたはユーザが選択した地域に基づいて、ユーザの地元にあるこのような医院のリスト(および/またはこれらの位置を示すマップ)を提示する。あるいは、このようなデータベースは、アプリに含まれていてもよく、またはクラウドベースのサーバもしくはスマートデバイスからアクセスすることができる、全体が別個のデータベースであってもよい。ユーザは、このリストから1つまたは複数の歯科医院400a、400bを選択して、詳細な歯科レポートにアクセスすることができ、歯科医院は、識別された齲蝕の治療のための治療計画および/または費用の見積もりをユーザに提供することができる。詳細な歯科レポートは、透過照明装置100によって撮影されたユーザの歯のすべての画像を含む、標準化されたレポートである。詳細な歯科レポートは、歯科専門家が、各個々の歯を選択して、対応する透過照明画像およびラベル付けされた齲蝕を見ることができるように、クリック可能な歯のモデルを含む。詳細な歯科レポートには、ユーザを識別できるような情報は何も含まれておらず、すなわち、データは匿名化されている。
【0109】
ユーザには、レポートを送信したい歯科医院(まだデータベース内にない)の電子メールアドレスを追加するオプションも与えられる。その電子メールアドレスにレポートをダウンロードするためのリンクが送信され、次いで、歯科医院は、そのレポートにアクセスするためにサインアップしてログインしなければならない。
【0110】
歯科医院がユーザのレポートにアクセスし易くし、ユーザのレポートを携帯電話200に送信し易くするために、プロセッサ320は、詳細な歯科レポートを安全なサーバ340に送信する。安全なサーバ340とのすべての通信がエンドツーエンドで暗号化されており、安全なサーバ340からのデータにアクセスするためには2段階認証が必要であるという点でサーバは安全である。
【0111】
ユーザが自分のレポートにアクセスすることができる1つまたは複数の歯科医院を選択すると、安全なサーバ340から歯科医院400a、400bにリンクが送信され、歯科医院は安全なサーバ340からのレポートにアクセスすることができるようになる。
【0112】
上述したように、歯科医院400a、400bと安全なサーバ340との間の通信は、エンドツーエンドで暗号化されており、歯科医院400a、400bは、二要素認証によって認証される。認証されると、歯科医院は、安全なサーバ340からユーザのレポートをダウンロードすることができる。
【0113】
歯科医院の歯科医は、画像および識別された齲蝕を確認し、治療計画および/または費用の見積もりを決定し、予約時間/場所を提案することができる。この情報は、次いで、安全なサーバ340に送り返される。安全なサーバ340は、費用見積もりおよび/または治療計画を受信し、アプリを介してこの見積もりをユーザに配信する。次いで、ユーザは、歯科医院400a、400bに連絡して治療を手配することができる。
【0114】
ここで、透過照明装置100の照明機能についてより詳細に説明する。上述したように、第1および第2の可撓性翼部116はそれぞれ、複数のLEDを備える。LED122は、個々に制御可能であり、それぞれが、本体部150(LEDインターフェース部分186を備える)の可撓性PCB184、ポゴコネクタ、およびヘッド部110の可撓性PCB118を介して、制御装置180に接続されている。LED122は個々に制御可能であるため、透過照明装置100は、複数の異なる照明条件を作り出すように、点灯させたLEDの異なるセットで歯を照明する機能を有する。
【0115】
図9および
図10は、先端部112におけるLED122の配置および制御に関するさらなる詳細を示す。
【0116】
各可撓性翼部116は、4つの縁部によって画定されている。これらは
図9でラベル付けされている。先ず、可撓性翼部116が中央部分114と交わる基部縁部117aと、可撓性翼部が歯を受け入れるためのスロットを画定する対向する開口縁部117bとがある。そして、基部縁部および開口縁部を横切るように、近位縁部117c(装置の本体部150に最も近い縁部)および対向する遠位縁部117d(装置の本体部150から最も遠い縁部)がある。
【0117】
各可撓性翼部116は、4つのLED122を備える。
図9に示されるように、これらは、長方形の角に位置するように配置されている。ここで、長方形の2辺は、基部縁部117aおよび開口縁部117bと概ね平行であり、長方形の2辺は、近位縁部117cおよび遠位縁部117dと概ね平行である。LED122は、近位縁部117cおよび遠位縁部117dに平行な長方形の辺に沿って1.75mm(縁部から縁部までの垂直距離)だけ離間されており、基部縁部117aおよび開口縁部117bに平行な長方形の辺に沿って5mm(縁部から縁部までの垂直距離)だけ離間されている。
【0118】
LEDは、(それぞれが他の状態とは独立して点灯または消灯され得るように)個々に制御可能であり、これにより、複数の異なる照明条件を達成することができる。
【0119】
図10a~
図10nは、得ることができる様々な照明条件を概略的に示す。図示される配置は、決して網羅的なものでも限定的なものでもなく、実現され得る多くの照明条件のうちのいくつかを単に例示したものである。これらの図では、点灯しているLEDは、陰影付きの円として表されている。これらの図において、LED間の距離は、説明を容易にするために誇張されている。
【0120】
一般に、少なくとも1つのLEDがそれぞれの側で照明される。これは有利であるが、本発明を限定するものではない。同様に、光が歯の先端からより遠くに(すなわち、歯肉線により近く)照射されるのが一般的に有利である。カメラは、歯の先端付近から画像を撮影するため、歯の可能な限り大きな体積を撮像するように、特に、齲蝕を示す影を可能な限り多く撮影するように、歯の先端からより遠くの、歯肉線付近の歯に光を入射させることが有利である。歯は歯肉線から遠い方について照らされると、歯肉線に近い方の影が隠される。
【0121】
図10a~
図10cは、2つのLEDが歯を同時に照明する照明条件を示す。
図10dおよび
図10eは、3つのLEDが歯を同時に照明する照明条件を示す。
図10f~
図10kは、4つのLEDが歯を同時に照明する照明条件を示す。
図10lは、5つのLEDが歯を同時に照明する照明条件を示し、
図10m~
図10nは、6つのLEDが歯を同時に照明する照明条件を示す。7つ、または8つすべてのLEDを同時に点灯させることもできる。
【0122】
上述したように、LEDはそれぞれ、点灯または消灯のいずれかであるように制御され得る。しかしながら、LEDを消灯させる代わりに、強度を下げて照明することができる。
【0123】
上記では8つのLED112について説明したが、代わりにより多くの(またはより少ない)LEDが設けられてもよい。より多くのLEDでは、さらなる照明条件が利用可能になる。
【0124】
上述のLEDはすべて、同じ公称スペクトル特性(同じピーク波長およびピーク幅を含む)を有するが、複数の近赤外波長の下で画像を撮影することができるように、LEDのうちの1つまたは複数が(ピーク波長は依然として近赤外範囲内にありつつも)他のLEDとは異なるスペクトル特性を有し得ることが理解されよう。
【0125】
透過照明装置100が歯の上を移動するにつれて、複数の照明条件を循環させることができ、その結果、各歯について、複数の照明条件のそれぞれの下で少なくとも1つの画像が撮影される。複数の照明条件のうちの少なくとも1つは、齲蝕分析に適した画像を撮影するはずであるが、これを達成する特定の照明条件は、撮像される歯に応じて変わる。例えば、詰め物が施された大臼歯の場合、適切な照明条件は、すべてのLED122を点灯させるべきであることになり得る。しかしながら、切歯が同じ照明条件下で撮像されると、結果として得られる画像は、(歯に光が入射しすぎて)露光過多になる可能性が高い。その場合、適切な照明条件は、LED122のサブセットのみ(すなわち、LED122のすべてではない)を点灯させることを含む。例えば、LEDの半分を点灯させることができる。
【0126】
各歯に対してすべての照明条件を循環させる代わりに、照明条件は、撮像される特定の歯の知識に基づいて適用されてもよく、所定の照明条件が、その特定の歯に対して適用される。撮像される特定の歯に関する知識は、例えば歯の形状認識を通じて(例えば機械学習技術を使用し、幾何学的パターンに基づいて)、および/または撮像される歯の予想される配列を知ることによって得ることができる。(照明条件により歯を正しく撮像することができないために)結果として得られる画像が許容可能でない場合、異なる照明条件が適用されてもよい。
【0127】
所与の歯に適用される第1の照明条件は、装置の最初の使用時にユーザによって行われる事前のプロセスに基づいて予め設定されてもよい。較正プロセスでは、複数の照明条件を歯に順次適用し、各照明条件下で画像を取得することができる。次いで、画像を分析して最高品質の画像を決定する。そして、最高品質の画像が得られた照明条件が第1の照明条件として予め設定される。最高品質の画像は、例えば、迷光による反射が最小である画像、および/または適正な露光の(歯に入る光が多すぎることによる露光過多でもなく歯に入る光が少なすぎることによる露光不足でもない)画像、および/または輝度とコントラストが適切な画像であってもよい。
【0128】
単一の撮影画像を使用するのではなく、同一の歯の複数の画像を撮影および選択し、各画像の一部、または同一の歯の複数の重ね合わせ画像をリモートサーバの訓練されたニューラルネットワークにおいて使用することが可能であることを理解されたい。
【0129】
例えば、異なる波長での近赤外光による照明下で(例えば、他とは異なる波長特性を有する1つまたは複数のLEDが設けられている場合)、歯の複数の画像を撮影することが可能である。次いで、同じ歯の複数の画像を合成して、機械学習アルゴリズムへの入力としての合成画像を作成することができる。合成画像における複数の画像の各画像は、0と1との間の重み係数で他の画像と合成され得て、0は寄与がないことを意味し、1は完全な寄与を意味する。
【0130】
図11aおよび
図11bは、
図2に示される先端部と同様の、透過照明装置のヘッド部の先端部112aを示す。先端部112aは、中央部分114aを備え、2つの可撓性翼部116aが中央部分114aから延在している。先端部112aがユーザの歯に配置されると、中央部分114aは、ユーザの歯の咬合/切歯面にまたはその近く位置し、可撓性翼部は、歯の両側に接触し、可撓性翼部の一方は、歯の頬側/顔面側に位置し、他方は、歯の舌側/口蓋側に位置する。可撓性翼部116aのそれぞれは、4つのLED122aを含む。これらは、可撓性翼部116aのそれぞれの一部を形成する支持アーム(図示せず)によって支持された可撓性PCB(図示せず)に取り付けられている。
【0131】
可撓性翼部116aおよび中央部分114は、軟質で可撓性のオーバーモールド(外側被覆)を含む。この場合、オーバーモールドの大部分にはUV硬化性エラストマが使用され、LED122a上のオーバーモールドにはIR透過性シリコーン材料が使用されている。UV硬化性エラストマの代わりに他の材料を使用してもよく、例えば、熱可塑性エラストマ(TPE)を使用してもよい。先端部112aの中央部分114aは、オーバーモールドの窓(すなわち、アパーチャ)124aを備える。窓124aは、ユーザの歯の咬合/切歯面に面するように構成されている。
【0132】
可撓性翼部116aは、使用時にLED122aが確実に歯に近接したままとなるように可撓性である。可撓性翼部116aは、歯の上に配置されると、わずかに外向きに撓むように構成されているが、この外向きの撓みに対して復元力が作用するため、可撓性翼部116aは、歯の側面を握持する。可撓性翼部116aの撓みにより、各LED122aと歯の表面との間に最小限の隙間が確保され、これにより、撮像に有害となり得る迷光が低減され、また、撮像を可能にする適切な量の光が歯に浸透することが保証される。
【0133】
各LED122aは、約850nmのピーク波長および約35nmのスペクトル帯域幅を有する近赤外光を放射するように構成されている。放射強度(100mAの順方向電流での)は、約9~18mW/srであり、典型的には約13mW/srである。LED122aはまた、可視スペクトルの光を放射するように構成されてもよく、これにより、ユーザは、装置が作動していることを視認することができる。
【0134】
各可撓性翼部116aは、4つの縁部によって画定されている。これらは
図11bにおいてラベル付けされている。先ず、可撓性翼部116aが中央部分114aと交わる基部縁部117aと、可撓性翼部が歯を受け入れるためのスロットを画定する対向する開口縁部117bとがある。次いで、基部縁部および開口縁部を横切るように、近位縁部117c(装置の本体部150に最も近い)および対向する遠位縁部117d(装置の本体部150から最も遠い)がある。
【0135】
図11aに示されているように、2つのLEDは、ヘッド部が歯に触れる所定の位置になると歯の先端から遠ざかるような位置(
図11aに示した基部縁部117aに最も近い上側の2つのLED)に配置されている一方で、2つのLEDは、ヘッド部が歯に触れる所定の位置になると歯の先端に近づくような位置(
図11aに示した基部縁部117aから最も遠い下側の2つのLED)に配置されている。ヘッド部が歯に触れる所定の位置になると歯の先端から遠ざかるような位置に配置されている2つのLEDは、鉛直方向に互いにオフセットされている。ヘッド部が歯に触れる所定の位置になると歯の先端に近づくような位置に配置されている2つのLEDは、鉛直方向に互いにオフセットされている。鉛直方向に互いの位置をオフセットしていることにより、これまでの図に示したようなLEDを横に並べた構成と比較して、歯の領域を鉛直方向に少し広がりをもってカバーすることができる。
【0136】
すなわち、可撓性翼部116aの4つのLED122aは、仮想の菱形/平行四辺形の各頂点に位置する。菱形/平行四辺形の2つの辺は、近位縁部および遠位縁部117dに平行であり、他の2つの辺は、基部縁部117aに非平行である。
【0137】
少なくとも1つのLED122aは、どの歯が撮像されているかにかかわらず、使用時に歯肉線に隣接する位置に配置されるべきである。ここで、歯肉線に隣接するとは、光が、依然として、歯肉ではなく歯に向けられるように、歯肉線に近いが、歯肉線から鉛直方向にわずかにオフセットされていることを意味する。歯の可能な限り大きな体積を撮像するために、特に、齲蝕を示す影を可能な限り多く撮影するために、歯肉線に隣接する位置から光を歯に入射させることが有利である。LED122aのうちのどれが最良の位置にあるかは歯に依存し、例えば下顎の大臼歯では、最良に配置されたLED122aは、ヘッド部が歯の所定の位置にあるときに歯よりも低い最下部に配置されたLEDである場合がある。例えば、下顎の切歯または犬歯では、その同じLED122aが歯肉線の下に位置する場合があり、その場合、LEDは歯を照明するのに最良には配置されていない。このような場合、最良に配置されたLED122aは、ヘッド部が歯の所定の位置にあるときに、歯の先端に最も近く位置するものであってもよい。
【0138】
図11aおよび
図11bに示す可撓性翼部116aはそれぞれ、反対側の可撓性翼部116aの方に向いた(すなわち、使用時に歯を受け入れる可撓性翼部116a間のスロットに向かって内側に向いた)2つの突起を備える。可撓性翼部116aの第1の突起116bは、可撓性翼部116aの開口縁部117bに沿って延びる。この第1の突起116bは、LEDを歯の表面から少し離れた所に配置するためのものである。これにより、LEDが歯のもっと近くにあるとした場合と比較して、LEDの光がより均一に広がることができる。LEDが歯に近すぎると、光の広がりが不均一になり、撮影された画像が部分的に露光過多になるリスクがある。
【0139】
第2の突起116cは、近位縁部117c(装置の本体部150に最も近い)から対向する遠位縁部117d(装置の本体部150から最も遠い)まで延び、LED122aと基部縁部117aとの間に位置する。この第2の突起116cは、光がLED122aからカメラ内に直接透過するのを防止または低減するはずである。図示する実施形態では、第2の突起116cは、遠位縁部117dから近位縁部117cの方向に基部縁部117aに向かって下方に傾斜している。
【0140】
中央部分114aは、位置合わせ突起125aおよび125bを備える。第1の位置合わせ突起125aは、中央部分114から離れるように突出し、先端部112aの上部を横切って延びる(先端部の上部は、本体部150から最も遠い先端部の端部である)。第2の位置合わせ突起125bは、第1の位置合わせ突起125aと概ね平行であるが、第1の位置合わせ突起125aとは可撓性翼部116aの反対側に位置する。したがって、第1および第2の位置合わせ突起は、可撓性翼部116aを挟み込む(bracket)。第1および第2の位置合わせ突起は、可撓性翼部116aと概ね垂直である。第1および第2の位置合わせ突起は、ユーザが歯列と平行に装置を保持するのを助ける。
【0141】
図11bに示されるように、本実施形態では、各可撓性翼部116a上に、2つのLEDの2つのグループ、すなわち、基部グループ(基部縁部117aに最も近い2つのLED)および上部グループ(基部縁部117aから最も遠い2つのLED)が存在する。各グループは、独立して制御可能であり、したがって、合計4つの、独立して制御可能なグループがある。1つの可撓性翼部116aを「左側」翼部と呼び、1つを「右側」翼部と呼ぶと、以下のようになる。
-右側基部グループ
-右側上部グループ
-左側基部グループ
-左側上部グループ
【0142】
このような構成で達成することができるいくつかの例示的な照明条件(組合せ1~10)を以下に列挙する。ここでは、点灯するグループのみについて言及する。言及されていない他のグループは点灯されない。
-組合せ1-両方の基部グループ(左側および右側)点灯
-組合せ2-両方の上部グループ(左側および右側)点灯
-組合せ3-右側基部グループ点灯
-組合せ4-右側上部グループ点灯
-組合せ5-左側基部グループ点灯
-組合せ6-左側上部グループ点灯
-組合せ7-右側上部グループおよび右側基部グループ点灯
-組合せ8-左側上部グループおよび左側基部グループ点灯
-組合せ9-右側基部グループおよび左側上部グループ点灯
-組合せ10-右側上部グループおよび左側基部グループ点灯
【0143】
これらの組合せでは、同時に点灯するLEDの最大数は4であるが、より多くのLEDが使用されてもよい。一度に4つ以下のLEDを使用することで、画質に有害となり得るLED光の反射のリスクを低減する。
【0144】
所与の歯に対して、予め設定された組合せが使用される。これらは、ユーザによって行われる較正プロセスにおいて特定されてもよく、装置の最初の使用時に、各歯について組合せのすべてを循環させ、各歯について適切な条件を識別する。適切な組合せは、歯のサイズ(高さおよび厚さ)および位置に依存する。
【0145】
組合せ3~6は、歯の片側のみから来る光を提供する。これらの組合せは、切歯を撮像するのに特に適している。次いで、光は、切歯の唇側(顔面側)から、歯を通って、歯の舌側/口蓋側から出るように方向付けられるべきである。これは、切歯の舌側/口蓋側が傾斜した形状をしているため、これによりLED光の強い反射が生じ、画像不良につながる可能性があるためである。切歯は、他の歯よりも薄く、片側のみから来る光のみで十分な品質の画像を得ることができる。所与の歯に上部グループまたは基部グループを使用するかどうかは、歯の高さに依存する。
【0146】
組合せ7~9は、例えば、非常に大きな臼歯を撮像する際に、十分な品質の画像を得るために追加の光が必要な場合に使用されてもよい。
【0147】
LEDのグループはそれぞれ、グループ内のすべてのLEDが点灯または消灯するように制御され得る。しかしながら、あるグループを消灯する代わりに、照度を下げてそのグループ内のLEDを点灯させてもよい。
【0148】
8つのLED112aについて説明したが、代わりにもっと多くの(またはもっと少ない)LEDが設けられてもよい。
【0149】
上述のLED122aはすべて、同じ公称スペクトル特性(同じピーク波長およびピーク幅を含む)を有するが、複数の近赤外波長の下で画像を撮影することができるように、LEDのうちの1つまたは複数が(ピーク波長は依然として近赤外範囲内にありつつも)他のLEDとは異なるスペクトル特性を有し得ることが理解されよう。
【0150】
単一の撮影画像を使用するのではなく、同一の歯の複数の画像を撮影および選択し、各画像の一部、または単一の歯の複数の重ね合わせ画像をリモートサーバの訓練されたニューラルネットワークにおいて使用することが可能である。
【0151】
例えば、異なる波長での近赤外光による照明下で(例えば、他とは異なる波長特性を有する1つまたは複数のLEDが設けられている場合)、歯の複数の画像を撮影することが可能である。次いで、同じ歯の複数の画像を合成して、機械学習アルゴリズムへの入力としての合成画像を作成することができる。合成画像における複数の画像の各画像は、0と1との間の重み係数で他の画像と合成され得て、0は寄与がないことを意味し、1は完全な寄与を意味する。
【0152】
上記で識別された制御スキーム(上記に列挙した組合せのうちの一部またはすべてで動作可能な、2つのLEDの4つのグループ)は、
図11aおよび
図11bに示される先端部112aでの使用に限定されるものではなく、代わりに、前の図に関連して説明された先端部112で実施され得る。
【0153】
図12aおよび
図12bは、齲蝕がコード3として分類された、透過照明によって生成された画像を示す。左の画像は、歯科医によってカテゴリ3の齲蝕として識別された齲蝕を示し、右の画像は、機械学習モデルによって齲蝕の位置が特定され、機械学習モデルによって同じくコード3として分類された領域を示す。
【0154】
機械学習アルゴリズムは、有資格の歯科医によって識別されるような、各カテゴリ(カテゴリ1~カテゴリ5)の齲蝕の1000枚の画像を含む画像の訓練セットで訓練される。
【0155】
透過照明装置の1つの構成を上述したが、他の変形例も可能である。一部の代替可能な構成を以下に説明する。
【0156】
上述したように、透過照明装置の1つの構成は、インダクタ174によって誘導充電される充電式バッテリ172を備える。インダクタ174は、本体部の基部に位置し、当技術分野で知られている種類の外部の誘導充電ステーションと相互作用する。同様の誘導充電ステーションは、例えば、電動歯ブラシを充電するために一般的に使用されている。代替の構成を以下に説明する。
【0157】
透過照明装置が使用されている間、すなわち、ユーザによって手に保持されている間、透過照明装置がユーザのスマートデバイス(例えば、携帯電話)と無線で(例えば、Bluetoothを介して)通信できることが有利である。ユーザの体内(例えば、ユーザの手/口の中)の水分はWi-Fi信号(例えば、2.45GHzの電波)を吸収するため、ユーザの手または口がWi-Fiアンテナを取り囲まない位置にWi-Fiアンテナを配置することが有利である。適切な位置は、透過照明装置の本体部の基部である。しかし、誘導充電回路(ステーション)の一部を形成するインダクタ(フェライト材料を含む)もWi-Fi信号(例えば、2.45GHzの電波)を吸収する。このため、Wi-Fiアンテナを基部に配置できるようにするには、誘導充電回路を基部の従来の位置から遠ざける必要がある。
【0158】
図13aは、透過照明装置500の内部の構成要素の分解図を示す。図示する構成では、充電式バッテリ572を充電するためのインダクタ574は、透過照明装置500の中間部分500aに位置する。また、装置の基部部分500bにはWi-Fiアンテナ(図示せず)も配置されている。このように、Wi-Fiアンテナは、ユーザまたはインダクタ574によって遮られない位置にある。
【0159】
インダクタ574が装置200の中間部分500aに配置されているため、装置500を充電するための誘導充電ステーションは、前に説明したものと比較して異なる形態をとらなければならないことが理解されよう。例えば、誘導充電ステーションは、基部と相互作用するのではなく、装置の中間部分500aの隣に位置してもよく、またはその周りに巻き付いてもよい。
【0160】
図13bは、本明細書に記載される装置のバッテリを充電するために使用される誘導充電装置600の概略図を示す。充電装置600は、2つのフェライトロッド601(直径約4mm、長さ約30mm)を備える。2つのロッド(棒)601の一方は、透過照明装置のPCBに取り付けられ、他方は、別個の誘導充電装置に配置されている。ロッドのそれぞれは、厚さ0.25mmの銅コイル602a、602bによって(部分的に)取り囲まれており、これにより、ハンドヘルド装置および充電装置のそれぞれにインダクタが形成される。装置に(ハンドヘルド透過照明装置および充電装置にそれぞれ)組み付けられると、充電中のそれぞれの装置の壁およびそれぞれの装置間の公差が許容されるように、それぞれのインダクタのコイル602a、602bの外側との間に2.5mmの公差間隙が残される。
【0161】
充電中、コイル602a、602bはそれぞれ、共振回路の一部であり、2つの共振回路は緩く磁気的に結合されている。コイル602aは、充電ステーションのコイル602bとの誘導結合を介してエネルギーを受け取るように配置されている。充電ステーションの誘導コイル602bには交流電流が流れる。これによって移動する電荷により磁場が作り出され、この磁場は、電流の大きさが変動するため強度が変動する。ロッド601によって強化されたこの変化する磁場は、装置のコイル602aに交流電流を作り出し、この交流電流が、整流装置を通過して直流電流に変換される。次に、この直流電流を使用して、透過照明装置の充電式バッテリを充電する。
【0162】
図14aおよび
図14bは、透過照明装置700の内部を示す。装置は、基部部分703、中間部分704、およびネック部分705を有する外側ハウジング702を含む本体部701を備える。ネック部分には、上述したような先端部の形態のヘッド部800が取り付けられている。ハウジング702の内部には、様々な電子部品を保持するための互いに直交する剛性プリント回路基板(PCB)708、709とともに、上述したように誘導充電用に配置されたバッテリ707を見ることができる。これにより、部品を取り付けるために利用可能なスペースが最大化される。
【0163】
図14bおよび
図14cにより明確に見られるように、ネック部分705には、ネック部分705の内部への光の通過を可能にするサファイアガラスで作られた透過窓710がある。ネック部分の内側に、光学アセンブリ711を見ることができる。この窓は、ひっかきに対して耐性があり、この窓は装置の使用中にユーザの口の中で露光するため重要である。光学アセンブリは、透過窓710の反対側に(すなわち背後に)配置されたカメラ712を備える。したがって、透過窓は光学アセンブリを保護する。光学アセンブリはまた、カメラの上方のプラスチックハウジング713と、アパーチャフィルム714と、レンズ715と、透過窓710を適所に保持するための金属フレーム716と、光学アセンブリを一緒に保持するためのゴムガスケット717とを備える。カメラ712は、装置本体部のネック部分705内の可撓性PCB718に取り付けられている。カメラ712はまた、(光学アセンブリの他の構成要素とともに)剛性PCB709に固定され、これらの構成要素の支持を提供し、相対的な動きを低減させる。
【0164】
加熱器(図示せず)は、金属フレーム716を加熱するように配置され、これにより、透過窓710に熱が伝導され、使用時の曇り/結露が防止される。そうするために、窓は、例えば、20秒以内に40℃に加熱されることがある。使用時には、図示するように先端部800が取り付けられた状態で、歯の透過照明が行われ、カメラ712が透過窓710を通して画像を撮影する。使用時に、透過窓710は、ユーザの口の状態(熱および湿度)にさらされる。
【0165】
図15a~
図15cは、PCB708、709および電子部品の内部配置をより明確に示す。
図15aは、第1の剛性PCB708および第2の剛性PCB709を示す。これらは、ハウジングの内側に電子部品を取り付けるためのスペースを最大限確保するために、互いに実質的に直角に配向されている。第1のPCB708は、アンテナ719(装置の基部に配置される)と、その上に取り付けられたクレードル720とを有し、クレードルはバッテリ707を保持する。第2のPCB709には、装置のネック部分に、接続点721が取り付けられている。接続点721は、本体のハウジングを貫通して延在するポゴコネクタに電気的に接続されており、このポゴコネクタにヘッド部の対応するポゴコネクタを接続することができる。先端部800が(
図14cに示されるように)ネック部分に取り付けられると、この接続点721は、したがって、装置の本体部とヘッド部との間の電気的接続点を提供する。これにより、先端部の装置への取り付けや装置からの取り外しが容易になり、例えば、別の先端部との交換が容易になる。また、第2のPCB209には、光学アセンブリ711が実装された可撓性PCB718が取り付けられている。
【0166】
図16aおよび
図16bは、先端部の構成をより詳細に示す。先端部の可撓性PCB801は、先端部の中央部分から延在する第1および第2の可撓性翼部802、803内に延在する。これらの部分のそれぞれには、歯を照明し、前述の透過照明法を実行するためのLED804が取り付けられている。装置のネック部分内の光学アセンブリ711も、この図で見ることができる。光学アセンブリの透過窓710は、先端部の開口805と整列している。
【0167】
図16bは、可撓性PCB801と、可撓性PCB801を封入する可撓性オーバーモールド806とを含む先端部800の分解図を示す。
【0168】
本明細書に記載される装置および方法は、動物の歯に使用するために適合され得ることができることが理解されるであろう。このような場合、装置は、人間が使用するために作られた装置よりも頑丈になるであろう(例えば、動物が噛んでも耐えられるより強いケーシングを含む)。この場合、装置のユーザは、獣医の専門家か、場合によっては動物の飼い主であろう。様々な動物、例えば、イヌ、ネコ、およびウマに使用するのに適したサイズおよび形状を有する、透過照明装置100用の異なるサイズ/形状のヘッド部110も提供されるであろう。LED122およびレンズ/プリズム構成も、それに応じて適合され得る。
【国際調査報告】