(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/058 20100101AFI20240709BHJP
H01M 10/0567 20100101ALI20240709BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20240709BHJP
【FI】
H01M10/058
H01M10/0567
H01M10/052
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579755
(86)(22)【出願日】2022-11-23
(85)【翻訳文提出日】2023-12-26
(86)【国際出願番号】 CN2022133613
(87)【国際公開番号】W WO2023093743
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】202111396652.8
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111394913.2
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111396653.2
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111396654.7
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111396648.1
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111394925.5
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111396647.7
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111394938.2
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521555605
【氏名又は名称】珠海冠宇電池股分有限公司
【氏名又は名称原語表記】Zhuhai CosMX Battery Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 209, Zhufeng Road, Jing’an Town, Doumen District, Zhuhai City,Guangdong ,p,r,China, (1st Foor ,A plant south section)
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】母 英迪
(72)【発明者】
【氏名】王 海
(72)【発明者】
【氏名】李 素麗
【テーマコード(参考)】
5H029
【Fターム(参考)】
5H029AJ01
5H029AJ14
5H029AK03
5H029AL02
5H029AL07
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM07
5H029BJ14
5H029HJ01
5H029HJ04
5H029HJ07
5H029HJ10
5H029HJ18
(57)【要約】
本開示は電池技術分野に属し、具体的には電池に関する。前記電池は正極シート、負極シート、非水電解液及びセパレータを備え、前記非水電解液は非水有機溶媒、リチウム塩及び任意選択的な電解液添加剤を含み、前記正極シートのペースト終端部には正極シート封止テープが設けられ、前記正極シート封止テープの面積はA cm2であり、前記正極シートの幅はC cmであり、AとCの比の値は1~3の範囲内にある。前記電池は、製造した電池のセル高温性能を効果的に向上させるとともに、セルのサイクル後に電極シートの縁部においてリチウムが析出する問題を解決することができ、電池が高温環境において使用時に正極シート封止テープが剥がれて変形することに起因する、セルの高温貯蔵厚み不良及び高温サイクル時のリチウム析出、正極シート封止テープ中の接着剤層が非水電解液に溶けやすいこと、及び、非水電解液が正極と負極の境界において酸化還元分解しやすいことなどの問題を回避する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池であって、
正極シート、負極シート、非水電解液及びセパレータを備え、
前記非水電解液は非水有機溶媒、リチウム塩及び任意選択的な電解液添加剤を含み、前記正極シートのペースト終端部には正極シート封止テープが設けられ、
前記正極シート封止テープの面積はA cm
2であり、前記正極シートの幅はC cmであり、AとCの比の値は1~3の範囲内にある
ことを特徴とする電池。
【請求項2】
前記正極シート封止テープの面積Aは3cm
2~120cm
2の範囲内にあり、
好ましくは、前記正極シートの幅Cは1cm~120cmの範囲内にある
ことを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記封止テープは、基材と、前記基材の表面に塗布された封止接着剤層とを備え、
前記封止接着剤層はゴム封止接着剤層又は(メタ)アクリル酸封止接着剤層である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電池。
【請求項4】
前記ゴム封止接着剤層には架橋変性ゴムが含まれており、
好ましくは、前記架橋変性ゴムは第1ベースが第1架橋剤の作用で架橋変性して得られるものであり、前記第1ベースは天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ポリ(イソブチルン)ゴム、ブチルゴム、ブチロニトリルゴムなどのうちの少なくとも1つから選ばれ、
好ましくは、前記第1架橋剤は炭酸ビニレンを含み、前記架橋変性ゴムの総重量を基準として前記炭酸ビニレンの含量は0.5~5wt%である
ことを特徴とする請求項3に記載の電池。
【請求項5】
前記(メタ)アクリル酸封止接着剤層は架橋変性した(メタ)アクリル酸及び/又は架橋変性した(メタ)アクリル酸エステルを含み、
好ましくは、前記(メタ)アクリル酸封止接着剤層は第2ベースが第2架橋剤の作用で架橋変性して得られるものであり、前記第2ベースはメタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸エステル及びアクリル酸エステルのうちの少なくとも1つから選ばれ、
好ましくは、前記第2架橋剤は炭酸ビニレンを含み、前記架橋変性した(メタ)アクリル酸及び/又は架橋変性した(メタ)アクリル酸エステルの総重量を基準として前記炭酸ビニレンの含量は0.5~5wt%である
ことを特徴とする請求項3に記載の電池。
【請求項6】
前記非水電解液の総重量を基準として、前記リチウム塩の含量はB1 mol/Lであり、AとB1の比の値は2~20の範囲内にあり、
好ましくは、前記リチウム塩の含量B1は1mol/L~6mol/Lであり、より好ましくは1.5mol/L~3mol/Lである
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の電池。
【請求項7】
前記電解液添加剤はジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウムを含み、
好ましくは、前記非水電解液の総重量を基準として、前記ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウムの含量はB3 wt%であり、AとB3の比の値は5~200の範囲内にあり、
好ましくは、前記ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウムの含量B3は0.1~3wt%であり、より好ましくは0.2~1wt%である
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の電池。
【請求項8】
前記電解液添加剤はフルオロエチレンカルボナートを含み、
好ましくは、前記非水電解液の総重量を基準として、前記フルオロエチレンカルボナートの含量はB2 wt%であり、AとB2の比の値は0.5~5の範囲内にあり、
好ましくは、前記フルオロエチレンカルボナートの含量B2は5~30wt%であり、より好ましくは5~10wt%である
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の電池。
【請求項9】
前記電解液添加剤はジフルオロリン酸リチウムを含み、
好ましくは、前記非水電解液の総重量を基準として、前記ジフルオロリン酸リチウムの含量はB4 wt%であり、AとB4の比の値は5~200の範囲内にあり、
好ましくは、前記ジフルオロリン酸リチウムの含量B4は0.1~3wt%であり、より好ましくは0.2~1wt%である
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の電池。
【請求項10】
前記電解液添加剤は1,2-ビス(シアノエトキシ)エタン及び/又は1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンを含み、
好ましくは、前記非水電解液の総重量を基準として、前記1,2-ビス(シアノエトキシ)エタン及び/又は1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンの含量はB56 wt%であり、AとB56の比の値は2~40の範囲内にあり、
好ましくは、前記1,2-ビス(シアノエトキシ)エタン及び/又は1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンの含量B56は0.5~3wt%であり、より好ましくは1~2wt%である
ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一項に記載の電池。
【請求項11】
前記電解液添加剤はジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウム、フルオロエチレンカルボナート、ジフルオロリン酸リチウム、1,2-ビス(シアノエトキシ)エタン及び1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンのうちの1つ又は複数の組合せを含み、
好ましくは、前記電解液添加剤は少なくともジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウムを含み、
好ましくは、前記電解液添加剤は少なくともジフルオロリン酸リチウムを含み、
好ましくは、前記電解液添加剤は少なくともフルオロエチレンカルボナートを含み、
好ましくは、前記電解液添加剤は少なくとも1,2-ビス(シアノエトキシ)エタン及び/又は1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンを含む
ことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載の電池。
【請求項12】
前記電解液添加剤は1,3-プロパンスルトン、1,3-プロペンスルトン、亜硫酸エチレン、硫酸エチレン、リチウムビスオキサレートボレート、リチウムジフルオロ(オキサラト)フォスフェート及びビニルエチレンカーボネートのうちの少なくとも1つを更に含み、
好ましくは、前記非水電解液の総重量を基準として、前記電解液添加剤の総含量は0~10wt%である
ことを特徴とする請求項1ないし11のいずれか一項に記載の電池。
【請求項13】
前記非水有機溶媒はカルボナート、カルボン酸エステル及びフルオロエーテルのうちの少なくとも1つから選ばれ、
ここで、前記カルボナートはエチレンカルボナート、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、炭酸メチルプロピルのうちの1つ又は複数の組合せから選ばれ、前記カルボン酸エステルはプロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピルのうちの1つ又は複数の組合せから選ばれ、前記フルオロエーテルは1,1,2,3-テトラフルオロエチル-2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテルから選ばれる
ことを特徴とする請求項1ないし12のいずれか一項に記載の電池。
【請求項14】
前記電池は以下の組合せ(1)~(8)のうちの少なくとも1つを含み、
(1)において、前記非水電解液の総重量を基準として、前記リチウム塩の含量はB1 mol/Lであり、AとB1の比の値は2~20の範囲内にあり、且つ前記正極シート封止テープの封止接着剤層はゴム封止接着剤層であり、
(2)において、前記非水電解液の総重量を基準として、前記リチウム塩の含量はB1 mol/Lであり、AとB1の比の値は2~20の範囲内にあり、且つ前記正極シート封止テープの封止接着剤層は(メタ)アクリル酸封止接着剤層であり、
(3)において、前記電解液添加剤はフルオロエチレンカルボナートを含み、前記非水電解液の総重量を基準として、前記フルオロエチレンカルボナートの含量はB2 wt%であり、AとB2の比の値は0.5~5の範囲内にあり、且つ前記正極シート封止テープの封止接着剤層は(メタ)アクリル酸封止接着剤層であり、
(4)において、前記電解液添加剤はフルオロエチレンカルボナートを含み、前記非水電解液の総重量を基準として、前記フルオロエチレンカルボナートの含量はB2 wt%であり、AとB2の比の値は0.5~5の範囲内にあり、且つ前記正極シート封止テープの封止接着剤層はゴム封止接着剤層であり、
(5)において、前記電解液添加剤はジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウムを含み、前記非水電解液の総重量を基準として、前記ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウムの含量はB3 wt%であり、AとB3の比の値は5~200の範囲内にあり、且つ前記正極シート封止テープの封止接着剤層はゴム封止接着剤層であり、
(6)において、前記電解液添加剤はジフルオロリン酸リチウムを含み、前記非水電解液の総重量を基準として、前記ジフルオロリン酸リチウムの含量はB4 wt%であり、AとB4の比の値は5~200の範囲内にあり、且つ前記正極シート封止テープの封止接着剤層は(メタ)アクリル酸封止接着剤層であり、
(7)において、前記電解液添加剤は1,2-ビス(シアノエトキシ)エタン及び/又は1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンを含み、前記非水電解液の総重量を基準として、前記1,2-ビス(シアノエトキシ)エタン及び/又は1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンの含量はB56 wt%であり、AとB56の比の値は2~40の範囲内にあり、且つ前記正極シート封止テープの封止接着剤層は(メタ)アクリル酸封止接着剤層であり、
(8)において、前記電解液添加剤は1,2-ビス(シアノエトキシ)エタン及び/又は1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンを含み、前記非水電解液の総重量を基準として、前記1,2-ビス(シアノエトキシ)エタン及び/又は1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンの含量はB56 wt%であり、AとB56の比の値は2~40の範囲内にあり、且つ前記正極シート封止テープの封止接着剤層はゴム封止接着剤層である
ことを特徴とする請求項1ないし13のいずれか一項に記載の電池。
【請求項15】
前記電池の充電終止電圧は4.45V以上である
ことを特徴とする請求項1ないし14のいずれか一項に記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は電池技術分野に属し、具体的には電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電池はスマートフォン、タブレットパソコン、スマートウェアリング、電動道具及び電動自動車などの分野で広く応用されている。電池の普及が広がるに伴って、消費者は電池のエネルギー密度及び使用環境に対してますます高く要求してきた。それを満たすために、電池は高電圧で優れた高温安全性能を有しなければいけない。
【0003】
現在、電池は使用中に安全リスクが存在しており、例えば、電池は持続的高温などの極端的な使用状態において深刻な安全事故が発生しやすく、セルが変形、発火、更に爆発することがある。そのため、電池の高温安全性能を高めることは非常に重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、電池の高温安全性能を高めるために新型の電池を提供することである。該電池は優れた高温安全性能を有し、高電圧にあっても良好な高温安全性能を維持することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の目的を達成するために、本開示は電池を提供する。前記電池は正極シート、負極シート、非水電解液及びセパレータを備え、前記非水電解液は非水有機溶媒、リチウム塩及び任意選択的な電解液添加剤を含み、前記正極シートのペースト終端部には正極シート封止テープが設けられ、前記正極シート封止テープの面積はA cm2であり、前記正極シートの幅はC cmであり、AとCの比の値は1~3の範囲内にある。
【0006】
一例において、前記封止テープは基材と、該基材の表面に塗布された封止接着剤層とを備え、前記封止接着剤層はゴム封止接着剤層又は(メタ)アクリル酸封止接着剤層である。
【0007】
一例において、前記封止接着剤層には炭酸ビニレンが含まれる。
【0008】
一例において、前記非水電解液の総重量を基準として、前記リチウム塩の含量はB1 mol/Lであり、AとB1の比の値は2~20の範囲内にある。
【0009】
一例において、前記電解液添加剤はフルオロエチレンカルボナートを含み、前記非水電解液の総重量を基準として、前記フルオロエチレンカルボナートの含量はB2 wt%であり、AとB2の比の値は0.5~5の範囲内にある。
【0010】
一例において、前記電解液添加剤はジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウムを含み、前記非水電解液の総重量を基準として、前記ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウムの含量はB3 wt%であり、AとB3の比の値は5~200の範囲内にある。
【0011】
一例において、前記電解液添加剤はジフルオロリン酸リチウムを含み、前記非水電解液の総重量を基準として、前記ジフルオロリン酸リチウムの含量はB4 wt%であり、AとB4の比の値は5~200の範囲内にある。
【0012】
一例において、前記電解液添加剤は1,2-ビス(シアノエトキシ)エタン及び/又は1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンを含み、前記非水電解液の総重量を基準として、前記1,2-ビス(シアノエトキシ)エタン及び/又は1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンの含量はB56 wt%であり、AとB56の比の値は2~40の範囲内にある。
【0013】
一例において、前記電解液添加剤はジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウム、フルオロエチレンカルボナート、ジフルオロリン酸リチウム、1,2-ビス(シアノエトキシ)エタン及び1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンのうちの1つ又は複数の組合せを含む。
【0014】
一例において、前記電解液添加剤は少なくともジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウムを含む。
【0015】
一例において、前記電解液添加剤は少なくともジフルオロリン酸リチウムを含む。
【0016】
一例において、前記電解液添加剤は少なくともジフルオロリン酸リチウムを含む。
【0017】
一例において、前記電解液添加剤は少なくともフルオロエチレンカルボナートを含む。
【0018】
一例において、前記電解液添加剤は少なくとも1,2-ビス(シアノエトキシ)エタン及び/又は1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンを含む。
【0019】
一例において、前記電池は以下の組み合わせ(1)~(8)のうちの少なくとも1つを含む。
(1)前記非水電解液の総重量を基準として、前記リチウム塩の含量はB1 mol/Lであり、AとB1の比の値は2~20の範囲内にあり、且つ前記正極シート封止テープの封止接着剤層はゴム封止接着剤層である。
(2)前記非水電解液の総重量を基準として、前記リチウム塩の含量はB1 mol/Lであり、AとB1の比の値は2~20の範囲内にあり、且つ前記正極シート封止テープの封止接着剤層は(メタ)アクリル酸封止接着剤層である。
(3)前記電解液添加剤はフルオロエチレンカルボナートを含み、前記非水電解液の総重量を基準として、前記フルオロエチレンカルボナートの含量はB2 wt%であり、AとB2の比の値は0.5~5の範囲内にあり、且つ前記正極シート封止テープの封止接着剤層は(メタ)アクリル酸封止接着剤層である。
(4)前記電解液添加剤はフルオロエチレンカルボナートを含み、前記非水電解液の総重量を基準として、前記フルオロエチレンカルボナートの含量はB2 wt%であり、AとB2の比の値は0.5~5の範囲内にあり、且つ前記正極シート封止テープの封止接着剤層はゴム封止接着剤層である。
(5)前記電解液添加剤はジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウムを含み、前記非水電解液の総重量を基準として、前記ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウムの含量はB3 wt%であり、AとB3の比の値は5~200の範囲内にあり、且つ前記正極シート封止テープの封止接着剤層はゴム封止接着剤層である。
(6)前記電解液添加剤はジフルオロリン酸リチウムを含み、前記非水電解液の総重量を基準として、前記ジフルオロリン酸リチウムの含量はB4 wt%であり、AとB4の比の値は5~200の範囲内にあり、且つ前記正極シート封止テープの封止接着剤層は(メタ)アクリル酸封止接着剤層である。
(7)前記電解液添加剤は1,2-ビス(シアノエトキシ)エタン及び/又は1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンを含み、前記非水電解液の総重量を基準として、前記1,2-ビス(シアノエトキシ)エタン及び/又は1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンの含量はB56 wt%であり、AとB56の比の値は2~40の範囲内にあり、且つ前記正極シート封止テープの封止接着剤層は(メタ)アクリル酸封止接着剤層である。
(8)前記電解液添加剤は1,2-ビス(シアノエトキシ)エタン及び/又は1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンを含み、前記非水電解液の総重量を基準として、前記1,2-ビス(シアノエトキシ)エタン及び/又は1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンの含量はB56 wt%であり、AとB56の比の値は2~40の範囲内にあり、且つ前記正極シート封止テープの封止接着剤層はゴム封止接着剤層である。
【発明の効果】
【0020】
本開示に係る電池は高電圧型電池であり、優れた高温性能を有する。正極シート封止テープの寸法を制御し、好適な形態においてはさらに接着剤層の材料を制御し、並びに正極シート封止テープと非水電解液の関係を最適化するとともに非水電解液中の特定の成分の選択及び含量を制御することによって、正極シート封止テープの接着剤層が非水電解液に溶けやすい課題と、非水電解液が正極と負極の境界において酸化還元分解しやすい課題などを効果的に解決して、電池が高温環境において使用時に正極シート封止テープが剥がれて変形することに起因するセルの高温貯蔵厚み不良及び高温サイクル時のリチウム析出を回避することができる。したがって、製造される電池のセル高温性能を効果的に向上させるとともに、セルのサイクル後に電極シートの縁部においてリチウムが析出する問題を解決することができる。
【0021】
本文において開示される範囲の端点といずれの数値もその精確な範囲や数値に限られず、これらの範囲又は数値はこれらの範囲又は数値に近接する値を含むように理解されるべきである。数値範囲について、各範囲の端点値の間、各範囲の端点値と個別の点の値の間、及び、個別の点の値同士の間は、互いに組み合わせられて1つ又は複数の新しい数値範囲をなすことができ、これらの数値範囲も本文により開示されるものとして見なされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本開示の一例による正極シートの構造模式図である。
【
図2】本開示の他の一例による正極シートの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、具体的な実施例を参照しながら本開示をより詳しく説明する。なお、以下の実施例は例示的に本開示を説明、解釈するためのものに過ぎず、本開示の保護範囲に対する制限として解釈されてはいけない。本開示の上述した内容に基づいて実現される技術であれば、すべて本開示が保護しようとする範囲に属する。
【0024】
本開示の第1態様は電池を提供する。前記電池は正極シート、負極シート、非水電解液及びセパレータを備える。前記非水電解液は非水有機溶媒、リチウム塩及び任意選択的な電解液添加剤を含む。前記正極シートのペースト終端部には正極シート封止テープが設けられる。前記正極シート封止テープの面積はA cm2であり、前記正極シートの幅はC cmであり、AとCの比の値は1~3の範囲内にある。
【0025】
<正極シート封止テープ>
前記正極シートのペースト終端部に正極シート封止テープを設けることによって、セルの終端部を固定させるとともに、正極シートの切断縁部にあるバリを覆うことができ、電池の短絡を防止して絶縁保護の効果を果たす。しかしながら、出願者らは、高温高圧において封止テープは局部変形して剥がれる現象が発生しやすく、変形剥がれが所定程度に達すると短絡リスクが発生することを発見した。これに鑑みて、出願者らは封止テープの寸法に対して深く研究を行った結果、封止テープの面積と正極シートの幅の比の値が1~3の範囲内にある場合、より合理的にペースト及び未塗布部の表面を覆って、変形剥がれに起因する短絡リスクを低く控えることができることを発見した。
【0026】
本開示において、「正極シート封止テープ」という用語は、正極シートにおける正極集電体の表面のペースト(例えば、正極活物質層)の終端部に設けられるテープを指す。図面に示すように、
図1及び
図2は2つの例による正極シートの構造図(タブの位置が異なる)をそれぞれ示している。そのうち、1は正極シート始端部を表し、2は正極シート終端部を表し、3は未塗布部領域を表す。電池において、正極シート封止テープの数は2であり、すなわち正極シートにおける正極集電体の両側の表面にはいずれも1つの正極シート封止テープが設けられる。
図3に示すように、5は1つの面の正極ペースト終端部を表し、6は1つの面の正極シート封止テープを表し、7は他の1つの面の正極ペースト終端部を表し、8は他の1つの面の正極シート封止テープを表す。
図3から分かるように、前記正極シート封止テープ6及び8は、一部が正極集電体の表面のペースト5及び7を覆い、他の一部が正極集電体の表面(すなわち正極集電体の表面の未塗布部3)を覆う。ここで、正極シート封止テープ4、6又は8は一部のペースト及び一部の未塗布部を同時に覆っている。
図1に示すように、正極シート封止テープ4は中央において縦線により分割され(該縦線はペーストと未塗布部の境界によって正極シート封止テープに発生した折り目である)、該縦線の左側がペーストを覆う領域(正極シート終端部2の一部を覆う)であり、該縦線の右側が未塗布部を覆う領域である。
【0027】
前記正極シート封止テープの面積Aとは、正極シートにおける正極集電体の一側の表面に設けられる正極シート封止テープの面積である。一例において、正極シートにおける正極集電体の両側の表面に設けられる正極シート封止テープは面積が同一である。
【0028】
例示的に、前記AとCの比の値は1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、又はこれらのうちの任意の2つの端点からなる範囲内にある任意の点の値である。
【0029】
一例において、AとCの比の値は1.6-2.2の範囲内にある。
【0030】
前記正極シート封止テープの面積Aは、正極シートの大きさ、実際の需要及びAとCの比の値に基づいて調整されることができ、例えば3cm2~120cm2の範囲内で調整される。例示的に、前記正極シート封止テープの面積Aは3cm2、5cm2、10cm2、20cm2、30cm2、40cm2、50cm2、60cm2、70cm2、80cm2、90cm2、100cm2、120cm2、又はこれらのうちの任意の2つの端点からなる範囲内にある任意の点の値である。
【0031】
前記正極シートの幅Cは、電池の大きさ、実際の需要及びAとCの比の値に基づいて調整されることができ、例えば1cm~120cmの範囲内で調整される。例示的に、前記正極シートの幅Cは1cm、3cm、5cm、6cm、8cm、10cm、16cm、20cm、30cm、40cm、50cm、60cm、70cm、80cm、90cm、100cm、110cm、120cm、又はこれらのうちの任意の2つの端点からなる範囲内にある任意の点の値である。
【0032】
出願者らは、封止テープが局部変形して剥がれる現象に致す主な原因の1つは、接着剤層が高温高圧において電解液に溶けやすいことであると発見した。そこで、封止テープが電解液から受ける影響を低減して、封止テープが変形して剥がれることに起因する短絡リスクをより一層下げるために、出願者らは封止テープの接着剤層の材料に対して深く研究した。
【0033】
一例において、前記封止テープは基材と、該基材の表面に塗布された封止接着剤層とを備える。
【0034】
前記基材は当分野において封止テープとして一般に使用される基材であってもよく、例えばPET(Polyethylene terephthalate)である。
【0035】
一例において、前記封止接着剤層は当分野の通常の材料を採用する。
【0036】
好適な一例において、前記封止接着剤層はゴム封止接着剤層及び/又は(メタ)アクリル酸封止接着剤層である。
【0037】
第X1の実施形態において、前記封止接着剤層はゴム封止接着剤層である。
【0038】
前記第X1の実施形態において、前記ゴム封止接着剤層には架橋変性ゴムが含まれる。
【0039】
前記架橋変性ゴムは、第1ベースが第1架橋剤の作用で架橋変性して得られたものであり、前記第1ベースはゴムベースであり、例えば天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ポリ(イソブチルン)ゴム、ブチルゴム、ブチロニトリルゴムなどのうちの少なくとも1つから選ばれる。
【0040】
一例において、前記第1架橋剤は炭酸ビニレンを含む。炭酸ビニレンはゴムの架橋重合に参与することができ、き裂を防止する効果を果たして、ゴム封止接着剤層の耐高温高圧性能を向上させて、接着剤層の構造を安定化して、セルの高温性能をより一層向上させる。
【0041】
一例において、前記架橋変性ゴムの総重量を基準として、その中の前記炭酸ビニレンの含量は0.5~5wt%であり、例えば0.5wt%、0.6wt%、0.7wt%、0.8wt%、0.9wt%、1wt%、1.2wt%、1.5wt%、1.8wt%、2wt%、2.5wt%、3wt%、3.5wt%、3.8wt%、4wt%、4.5wt%又は5wt%である。
【0042】
第X2の実施形態において、前記封止接着剤層は(メタ)アクリル酸封止接着剤層である。
【0043】
前記第X2の実施形態において、前記(メタ)アクリル酸封止接着剤層は架橋変性した(メタ)アクリル酸及び/又は架橋変性した(メタ)アクリル酸エステルを含む。
【0044】
一例において、前記(メタ)アクリル酸エステルは、(メタ)アクリル酸C1~C10アルキルエステルから選ばれ、例示的に、イソオクチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレートなどのうちの少なくとも1つから選ばれる。
【0045】
本開示において、「(メタ)アクリル酸」及び「(メタ)アクリル酸エステル」における「(メタ)」は、存在しても存在しなくてもよいことを表す。すなわち、前記(メタ)アクリル酸封止接着剤層は、架橋変性したメタクリル酸、架橋変性したアクリル酸、架橋変性したメタクリル酸エステル及び架橋変性したアクリル酸エステルのうちの少なくとも1つを含む。
【0046】
前記(メタ)アクリル酸封止接着剤層は、第2ベースが第2架橋剤の作用で架橋変性して得られたものである。前記第2ベースはメタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸エステル及びアクリル酸エステルのうちの少なくとも1つから選ばれる。
【0047】
一例において、前記第2架橋剤は炭酸ビニレンを含む。炭酸ビニレンはアクリル酸の架橋重合に参与することができ、アクリル酸封止接着剤層に炭酸エチル構造の分岐を含有させて、その耐高温高圧性能を向上させて、接着剤層の構造を安定化して、セルの高温性能をより一層向上させる。
【0048】
一例において、前記架橋変性した(メタ)アクリル酸及び/又は架橋変性した(メタ)アクリル酸エステルの総重量を基準として、前記炭酸ビニレンの含量は0.5~5wt%であり、例えば0.5wt%、0.6wt%、0.7wt%、0.8wt%、0.9wt%、1wt%、1.2wt%、1.5wt%、1.8wt%、2wt%、2.5wt%、3wt%、3.5wt%、3.8wt%、4wt%、4.5wt%又は5wt%である。
【0049】
前記第X1及び第X2の実施形態において、前記封止接着剤層には補助剤などの他の一般的な成分が更に含まれてもよい。前記補助剤は例えば、抗酸化剤、無機フィラーなどのうちの少なくとも1つから選ばれる。
【0050】
前記抗酸化剤は、主成分(例えば、架橋変性ゴム、又は、架橋変性した(メタ)アクリル酸及び/又は架橋変性した(メタ)アクリル酸エステル)に適用可能な通常の抗酸化剤であってもよい。
【0051】
前記無機フィラーは、主成分に適用可能な通常の無機フィラーであってもよい。
【0052】
第X0の実施形態において、前記封止接着剤層には架橋変性ゴムも、架橋変性した(メタ)アクリル酸及び/又は架橋変性した(メタ)アクリル酸エステルも含まれておらず、他の当分野の一般的な封止接着剤層材料である。
【0053】
一例において、前記正極シート封止テープの厚さは8μm~20μmであり、例示的に8μm、9μm、10μm、11μm、12μm、13μm、14μm、15μm、16μm、17μm、18μm、19μm、20μmである。
【0054】
<電解液中のリチウム塩>
出願者らは、電解液も電池の高温高圧における安全性能を影響する重要な要素であると発見した。考えられる原因として、従来技術による電解液は高温高電圧において分解しやすくて正極及び負極の表面において酸化還元分解を起こしてSEI膜を破壊するため、セルの抵抗が絶えずに増加してセル性能が劣化してしまう。これに鑑みて、出願者らは電解液の成分に対して深く研究した。
【0055】
前記非水電解液は非水有機溶媒、リチウム塩及び任意選択的な電解液添加剤を含む。出願者らは、リチウム塩の含量を制御すること、及び/又は、特定の含量と成分を有する電解液添加剤を使用することによって、非水電解液の高温高圧での性能をより安定化させることができると発見した。
【0056】
第Y1の実施形態において、リチウム塩の濃度に対して特別な制御を行う。前記非水電解液の総重量を基準として、前記リチウム塩の含量をB1 mol/Lと記す。
【0057】
一例において、AとB1の比の値は2~20の範囲内にある。例示的に、前記AとB1の比の値は2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又はこれらのうちの任意の2つの端点からなる範囲内にある任意の点の値である。
【0058】
本開示において、「a~bの範囲内にある」とは、2つの端点値a及びbと、aとbの間の任意の数値とを含むことを意味する。
【0059】
一例において、前記リチウム塩の含量B1は1mol/L~6mol/Lであり、例えば1mol/L、1 .5mol/L、2mol/L、2.5mol/L、3mol/L、3.5mol/L、4mol/L、5mol/L又は6mol/Lである。
【0060】
一例において、前記リチウム塩の濃度B1は1.5mol/L~3mol/Lである。本開示におけるリチウム塩濃度は、従来技術で通常使用されるリチウム塩濃度(一般に1.2mol/L以下である)に比べて比較的に高い。
【0061】
好ましくは、前記リチウム塩はリチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド及びヘキサフルオロりん酸リチウムのうちの少なくとも1つから選ばれる。
【0062】
本開示において、「任意選択的な」とは、存在してもよく存在しなくてもよいことを意味する。例えば、「任意選択的な電解液添加剤」とは、非水電解液に電解液添加剤が含まれてもよく、電解液添加剤が含まれなくてもよいことを意味する。
【0063】
一例において、前記非水電解液には前記電解液添加剤が含まれない。
【0064】
一例において、前記非水電解液には前記電解液添加剤が含まれる。
【0065】
<電解液中の電解液添加剤>
第Y2の実施形態において、前記電解液添加剤はフルオロエチレンカルボナートを含む。前記非水電解液の総重量を基準として、前記フルオロエチレンカルボナートの含量をB2 wt%と記す。
【0066】
一例において、AとB2の比の値は0.5~5の範囲内にある。例示的に、前記AとB2の比の値は0.5、0.8、1、1.2、1.4、1.5、1.8、2、2.2、2.5、2.8、3、3.2、3.5、3.8、4、4.5、5、又はこれらのうちの任意の2つの端点からなる範囲内にある任意の点の値である。
【0067】
一例において、前記フルオロエチレンカルボナートの含量B2は5~30wt%であり、例えば5wt%、6wt%、7wt%、8wt%、9wt%、10wt%、12wt%、15wt%、18wt%、20wt%、22wt%、25wt%、28wt%又は30wt%である。
【0068】
一例において、前記フルオロエチレンカルボナートの含量は5~10wt%である。
【0069】
第Y3の実施形態において、前記電解液添加剤はジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウムを含む。前記非水電解液の総重量を基準として、前記ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウムの含量をB3 wt%と記す。
【0070】
一例において、AとB3の比の値は5~200の範囲内にある。例示的に、前記AとB3の比の値は5、10、15、20、25、30、40、50、60、80、100、120、150、180、200、又はこれらのうちの任意の2つの端点からなる範囲内にある任意の点の値である。
【0071】
一例において、前記ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウムの含量B3は0.1~3wt%であり、例えば0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、0.5wt%、0.6wt%、0.7wt%、0.8wt%、0.9wt%、1wt%、1.2wt%、1.5wt%、1.8wt%、2wt%、2.2wt%、2.5wt%、2.8wt%又は3wt%である。
【0072】
一例において、前記ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウムの含量B3は0.2~1wt%である。
【0073】
第Y4の実施形態において、前記電解液添加剤はジフルオロリン酸リチウムを含む。前記非水電解液の総重量を基準として、前記ジフルオロリン酸リチウムの含量をB4 wt%と記す。
【0074】
一例において、AとB4の比の値は5~200の範囲内にある。例示的に、前記AとB4の比の値は5、10、15、20、25、30、40、50、60、80、100、120、150、180、200、又はこれらのうちの任意の2つの端点からなる範囲内にある任意の点の値である。
【0075】
一例において、前記ジフルオロリン酸リチウムの含量B4は0.1~3wt%であり、例えば0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、0.5wt%、0.6wt%、0.7wt%、0.8wt%、0.9wt%、1wt%、1.2wt%、1.5wt%、1.8wt%、2wt%、2.2wt%、2.5wt%、2.8wt%又は3wt%である。
【0076】
一例において、前記ジフルオロリン酸リチウムの含量B4は0.2~1wt%である。
【0077】
第Y5の実施形態において、前記電解液添加剤は1,2-ビス(シアノエトキシ)エタンを含む。前記非水電解液の総重量を基準として、前記1,2-ビス(シアノエトキシ)エタンの含量をB5 wt%と記す。
【0078】
一例において、AとB5の比の値は2~40の範囲内にある。例示的に、前記AとB5の比の値は2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、又はこれらのうちの任意の2つの端点からなる範囲内にある任意の点の値である。
【0079】
一例において、前記1,2-ビス(シアノエトキシ)エタンの含量B5は0.5~3wt%であり、例えば0.5wt%、0.6wt%、0.7wt%、0.8wt%、0.9wt%、1wt%、1.2wt%、1.5wt%、1.8wt%、2wt%、2.2wt%、2.5wt%、2.8wt%又は3wt%である。
【0080】
一例において、前記1,2-ビス(シアノエトキシ)エタンの含量B5は1~2wt%である。
【0081】
第Y6の実施形態において、前記電解液添加剤は1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンを含む。前記非水電解液の総重量を基準として、前記1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンの含量をB6 wt%と記す。
【0082】
一例において、AとB6の比の値は2~40の範囲内にある。例示的に、前記AとB6の比の値は2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、又はこれらのうちの任意の2つの端点からなる範囲内にある任意の点の値である。
【0083】
一例において、前記1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンの含量B6は0.5~3wt%であり、例えば0.5wt%、0.6wt%、0.7wt%、0.8wt%、0.9wt%、1wt%、1.2wt%、1.5wt%、1.8wt%、2wt%、2.2wt%、2.5wt%、2.8wt%又は3wt%である。
【0084】
一例において、前記1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンの含量B6は1~2wt%である。
【0085】
前記電解液添加剤には、上述した第Y2~Y6の具体的な実施形態において限定された主要成分以外にも、他の成分が含まれることができ、例示的に、1,3-プロパンスルトン、1,3-プロペンスルトン、亜硫酸エチレン、硫酸エチレン、リチウムビスオキサレートボレート、リチウムジフルオロ(オキサラト)フォスフェート及びビニルエチレンカーボネートのうちの少なくとも1つから選ばれる。
【0086】
一例において、前記非水電解液の総重量を基準として、前記電解液添加剤の総含量は0~10wt%であり、例えば1wt%、2wt%、3wt%、4wt%、5wt%、6wt%、7wt%、8wt%、9wt%、10wt%である。含量が0wt%である場合、すなわち前記非水電解液には前記電解液添加剤が含まれていない。
【0087】
<電解液中の成分間の組合せ形態>
本開示によれば、前記非水電解液中の前記リチウム塩と前記電解液添加剤の各実施形態は任意の形で組み合わせられることができる。本開示において、上述した例示的な第Y1の実施形態(リチウム塩に対する限定)と第Y2~Y6の実施形態(電解液添加剤に対する限定)の6つの実施形態の間は任意の形態で組み合わせ可能であり、並びに他の電解液添加剤が選択的に添加されるか又は添加されない。
【0088】
前記電解液添加剤の成分の間はいろいろと組み合わせられることができる。上述した電解液添加剤の総重量の、前記非水電解液において占める含量範囲の要件を満たせば、いずれの組合せ形態も良好な効果を達成できる。
【0089】
具体的な一実施形態において、Y5とY6を新しい組合せとして、Y56と記す。
【0090】
第Y56の実施形態において、前記電解液添加剤は1,2-ビス(シアノエトキシ)エタン及び/又は1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンを含む。すなわち、該第Y56の実施形態は前記第Y5の実施形態と第Y6の実施形態を含むとともに、Y5とY6が組み合わせられた場合の実施形態を更に含む。
【0091】
第Y56の実施形態において、1,2-ビス(シアノエトキシ)エタン又は1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンが単独で存在する場合がすなわち第Y5又は第Y6の実施形態であり、ここでは説明を省略する。
【0092】
第Y56の実施形態において、1,2-ビス(シアノエトキシ)エタン及び1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンが同時に存在する場合、前記非水電解液の総重量を基準として、前記1,2-ビス(シアノエトキシ)エタン及び1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンの含量をB56 wt%と記す。
【0093】
一例において、AとB56の比の値は2~40の範囲内にある。例示的に、前記AとB56の比の値は2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、又はこれらのうちの任意の2つの端点からなる範囲内にある任意の点の値である。
【0094】
一例において、前記1,2-ビス(シアノエトキシ)エタン及び1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンの総含量B56は0.5~3wt%であり、例えば0.5wt%、0.6wt%、0.7wt%、0.8wt%、0.9wt%、1wt%、1.2wt%、1.5wt%、1.8wt%、2wt%、2.2wt%、2.5wt%、2.8wt%又は3wt%である。
【0095】
一例において、前記1,2-ビス(シアノエトキシ)エタン及び1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンの総含量B56は1~2wt%である。
【0096】
本開示において、「比の値」は一般に、2つのパラメータの数字部分に基づいて比率を計算することを指す。
【0097】
一例において、前記電解液添加剤は少なくともジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウムを含む。
【0098】
一例において、前記電解液添加剤は少なくともジフルオロリン酸リチウムを含む。
【0099】
一例において、前記電解液添加剤は少なくともジフルオロリン酸リチウムを含む。
【0100】
一例において、前記電解液添加剤は少なくともフルオロエチレンカルボナートを含む。
【0101】
一例において、前記電解液添加剤は少なくとも1,2-ビス(シアノエトキシ)エタン及び/又は1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンを含む。
【0102】
一例において、前記電解液添加剤はY2とY3の組合せを含む。
【0103】
一例において、前記電解液添加剤はY2とY4の組合せを含む。
【0104】
一例において、前記電解液添加剤はY2とY56の組合せを含む。
【0105】
一例において、前記電解液添加剤はY3とY4の組合せを含む。
【0106】
一例において、前記電解液添加剤はY3とY56の組合せを含む。
【0107】
一例において、前記電解液添加剤はY4とY56の組合せを含む。
【0108】
一例において、前記電解液添加剤はY2、Y3及びY4の組合せを含む。
【0109】
一例において、前記電解液添加剤はY2、Y3及びY56の組合せを含む。
【0110】
一例において、前記電解液添加剤はY2、Y4及びY56の組合せを含む。
【0111】
一例において、前記電解液添加剤はY3、Y4及びY56の組合せを含む。
【0112】
一例において、前記電解液添加剤はY2、Y3、Y4及びY56の組合せを含む。
【0113】
前記非水電解液には、前記リチウム塩が必須的に含まれ、前記電解液添加剤が選択的に含まれる。
【0114】
一実施形態において、前記非水電解液は前記Y1のみを含むことができる。
【0115】
他の一実施形態において、前記非水電解液は前記Y2~Y6及びそれらの組合せ(すなわち、リチウム塩の含量はY1による限定を満たさなくてもよい)のみを含むことができる。
【0116】
他の一実施形態において、前記非水電解液はY1と、Y2~Y6及びそれらの内部組合せとを同時に含むことができる。
【0117】
一例において、前記非水電解液はY1とY2の組合せを含む。
【0118】
一例において、前記非水電解液はY1とY3の組合せを含む。
【0119】
一例において、前記非水電解液はY1とY4の組合せを含む。
【0120】
一例において、前記非水電解液はY1とY56の組合せを含む。
【0121】
一例において、前記非水電解液はY1と、Y2及びY3との組合せを含む。
【0122】
一例において、前記非水電解液はY1と、Y2及びY4との組合せを含む。
【0123】
一例において、前記非水電解液はY1と、Y2及びY56との組合せを含む。
【0124】
一例において、前記非水電解液はY1と、Y3及びY4との組合せを含む。
【0125】
一例において、前記非水電解液はY1と、Y3及びY56との組合せを含む。
【0126】
一例において、前記非水電解液はY1と、Y4及びY56との組合せを含む。
【0127】
一例において、前記非水電解液はY1と、Y2、Y3及びY4との組合せを含む。
【0128】
一例において、前記非水電解液はY1と、Y2、Y3及びY56との組合せを含む。
【0129】
一例において、前記非水電解液はY1と、Y2、Y4及びY56との組合せを含む。
【0130】
一例において、前記非水電解液はY1と、Y3、Y4及びY56との組合せを含む。
【0131】
一例において、前記非水電解液はY1と、Y2、Y3、Y4及びY56との組合せを含む。
【0132】
上述した組合せ形態は、他の電解液添加剤の存在を制限しない。
【0133】
前記非水電解液には非水有機溶媒が更に含まれ、前記非水有機溶媒は当分野の一般的な有機溶媒であってもよく、例えばカルボナート、カルボン酸エステル及びフルオロエーテルのうちの少なくとも1つから選ばれる。ここで、前記したカルボナートは例えばエチレンカルボナート、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、炭酸メチルプロピルのうちの1つ又は複数の組合せから選ばれる。前記したカルボン酸エステルは例えばプロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピルのうちの1つ又は複数の組合せから選ばれる。前記したフルオロエーテルは例えば1,1,2,3-テトラフルオロエチル-2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテルから選ばれる。
【0134】
一例において、前記非水有機溶媒は、エチレンカルボナート(EC)、炭酸プロピレン(PC)、プロピオン酸プロピル(PP)、1,1,2,3-テトラフルオロエチル-2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテルが重量比(1-3):(0.5-2):(2-4):(1-3)で組み合わせられたものを含む。
【0135】
<電解液と正極封止テープの組合せ形態>
本開示によれば、正極シート封止テープの寸法を特別に限定することにより、封止テープが変形して剥がれることに起因する短絡リスクを低減することができる。好ましい形態において、さらに、正極シート封止テープにおける封止接着剤層の材料を限定することにより、接着剤層が高温高圧において電解液に溶けやすい現象をより一層緩和させることができ、したがって封止テープが変形して剥がれることに起因する短絡リスクをより一層低減する。
【0136】
正極封止テープに対する限定を満たした場合、上述したY1~Y6を更に満たさなくても、良好な効果を達成することができる。
【0137】
好ましい形態において、Y1~Y6による、電解液に対する限定は、上述の正極シート封止テープに対する限定(特に封止接着剤層の材料についての限定)と協同作用を果たすことができ、それにより、得られる電池のセルの高温性能を効果的に向上させるとともに、セルのサイクル後に電極シートの縁部においてリチウムが析出する問題を解決することができ、電池が高温環境で使用時に正極シート封止テープが剥がれて変形することに起因するセルの高温貯蔵厚み不良及び高温サイクル時のリチウム析出、正極シート封止テープ中の接着剤層が非水電解液に溶けやすいこと、及び、非水電解液が正極と負極の境界において酸化還元分解しやすいことなどの問題を回避することができる。
【0138】
そこで、好ましい形態においては、Y1~Y6のうちの1つ又は複数の組合せを、X1及び/又はX2と更に組み合わせる。
【0139】
一例において、前記電池はX1とY1の組合せを含む。
【0140】
一例において、前記電池はX2とY1の組合せを含む。
【0141】
非水電解液に高濃度の溶質リチウム塩が含まれる場合、高濃度の溶質リチウム塩は溶液中の溶質と溶媒の間の作用力を強化することに寄与し、遊離状態の溶媒分子が消えて新しい非水電解液が形成され、すなわち高濃度非水電解液が形成され、現在の比例では非水電解液が特定の三次元ネット構造を形成することにより有利である。イオン(例えばリチウムイオン)は、限られた遊離状態の溶媒分子及び陰イオンと配位を形成して、遊離状態の溶媒分子が主体となる一般的な低濃度の電解液とは明確に区別し、正極シート封止テープが非水電解液に浸かった後に正極シート封止テープ中の接着剤層が老化することをより一層緩和させて、多数回のたわみに対する耐性と、接着力とを良好に維持させて、非水電解液に浸かっている状態にも引張強さを維持するように保証し、正極シート封止テープの老化失効を遅らせ、正極シート封止テープから接着剤層がはみ出して正極活物質の表面を覆って孔閉塞が発生することを防止する。このように、正極シート封止テープが剥がれてセルが変形することを改善するとともに、セルのサイクル過程中に孔閉塞によって縁部においてリチウムが析出する問題などを改善する。さらに、リチウム塩の濃度増加につれて、非水電解液の動作電圧範囲が広くなって、高電圧正極材料にマッチして充放電を安定的に実現し、可燃性溶媒分子が少ないため、電解液と正極で発生する活性酸素の反応を緩和することができ、電池の寿命及び安全性を向上させる。
【0142】
一例において、前記電池はX1とY2の組合せを含む。
【0143】
一例において、前記電池はX2とY2の組合せを含む。
【0144】
非水電解液にフルオロエチレンカルボナートが含まれる場合、フルオロエチレンカルボナートは正極シート封止テープと良好な協同作用を果たすことができる。具体的に、フルオロエチレンカルボナートはカルボナート系化合物であり、粘度が高く、分子間の双極子モーメントが高く、極性が強く、正極シート封止テープ中の封止接着剤層との相溶性が悪い。AとB2の比の値が0 .5~5の範囲内にあるとき、正極シート封止テープが非水電解液に浸かった後に封止接着剤層の分子間相互作用を強化させることができ、封止接着剤層が非水電解液に浸かったときに流動分散することを抑えて、封止接着剤層に良い粘性を維持させ、正極シート封止テープの老化失効を遅らせ、正極シート封止テープから封止接着剤層がはみ出して正極活物質の表面を覆って孔閉塞が発生することを防止する。このように、セルの高温貯蔵後に正極シート封止テープが剥がれてセルが変形することを改善するとともに、セルのサイクル過程中に孔閉塞によって縁部においてリチウムが析出する問題などを改善する。また、フルオロエチレンカルボナートは正極及び負極の表面において硬いSEI膜を形成することができ、高温高圧において正極と負極の境界を安定化させて、副反応及びフッ酸の生成を減して、封止接着剤層へのフッ酸による腐食破壊を避けて、正極シート封止テープが非水電解液に浸かったとき封止接着剤層が老化失効することを更に緩和させる。このように、正極シート封止テープから封止接着剤層がはみ出して正極活物質の表面を覆って孔閉塞が発生することを防止して、セルの高温貯蔵後に正極シート封止テープが剥がれてセルが変形することを改善するとともに、セルのサイクル過程中に孔閉塞によって縁部においてリチウムが析出する問題などを改善する。
【0145】
一例において、前記電池はX1とY3の組合せを含む。
【0146】
一例において、前記電池はX2とY3の組合せを含む。
【0147】
非水電解液にジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウムが含まれる場合、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウムは非水電解液中の小分子物質(例えば、Cl、SO4
2-、HF、H2Oなど)を吸着、錯化することができ、非水電解液に浸かっている正極シート封止テープ中の接着剤層の老化を遅らせて、多数回のたわみに対する耐性と、接着力とを良好に維持させ、非水電解液に浸かっている状態にも引張強さを維持するように保証し、接着剤層に良好な安定性を維持させて、接着剤層の流動を抑える。ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウムは、非水電解液中の小分子物質を吸着、錯化するとともに、正極活物質(例えばコバルトなどの金属)の溶出に対する防護作用を高めて、正極シート封止テープの高温での老化失効を遅らせる。このように、正極シート封止テープから封止接着剤層がはみ出して正極活物質の表面を覆って孔閉塞が発生することを防止して、セルの高温貯蔵後に正極シート封止テープが剥がれてセルが変形することを改善するとともに、セルのサイクル過程中に孔閉塞によって縁部においてリチウムが析出する問題などを改善する。さらに、前記非水電解液中のジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウムは正極及び負極の表面において硬い電極/電解液境界膜を形成することができ、正極及び負極の表面におけるイオンの挿入/脱離を最適化して、電池のサイクル性能を向上させる。
【0148】
一例において、前記電池はX1とY4の組合せを含む。
【0149】
一例において、前記電池はX2とY4の組合せを含む。
【0150】
非水電解液にジフルオロリン酸リチウムが含まれる場合、ジフルオロリン酸リチウムは正極シート封止テープともっと良好な協同作用を果たすことができる。具体的に、ジフルオロリン酸リチウムは電解液中の小分子物質(例えば、Cl、SO4
2-、HF、H2Oなど)をより多く吸着、錯化することができ、したがって非水電解液に浸かった後の正極シート封止テープにおいてアクリル酸封止接着剤層が水分解することを抑えて、アクリル酸封止接着剤層中の大分子架橋構造の安定性を効果的に向上させ、アクリル酸封止接着剤層の分子構造を強化させ、アクリル酸封止接着剤層に良好な粘性を維持させ、液化及び流動を減少して、正極シート封止テープが高温における老化失効を遅らせる。このように、正極シート封止テープからアクリル酸封止接着剤層がはみ出して正極活物質の表面を覆って孔閉塞が発生することを防止し、セルの高温貯蔵後に正極シート封止テープが剥がれてセルが変形することを改善するとともに、セルのサイクル過程中に孔閉塞によって縁部においてリチウムが析出する問題などを改善する。さらに、前記非水電解液中のジフルオロリン酸リチウムは非水電解液中のプロトン酸と結合して、アクリル酸封止接着剤層へのプロトン酸による腐食破壊を避けるとともに、電極材料へのプロトン酸による影響も回避し、並びに正極と負極において優れた電極/電解液境界膜を形成して、電極表面におけるイオン(例えばリチウムイオン)の挿入/脱離を最適化して、リチウム二次電池のサイクル性能を向上させる。
【0151】
一例において、前記電池はX1とY56の組合せを含む。
【0152】
一例において、前記電池はX2とY56の組合せを含む。
【0153】
非水電解液に1,2-ビス(シアノエトキシ)エタン及び/又は1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンが含まれる場合、1,2-ビス(シアノエトキシ)エタン及び/又は1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンは高温において反応が発生でき、エーテル結合が断裂して・(CH2)2 CNラジカルを生成し、且つ該ラジカルがシアノ基の影響を受けて比較的に安定で、ラジカルの連鎖反応をより十分に誘発することができ、正極シート封止テープが電解液に浸かった後に、接着剤層中の一部の大分子単体同士の間が更に架橋重合するようにすることができ、高温において封止接着剤層中の架橋体の分子鎖の断裂を抑えて、接着剤層の大分子架橋構造の安定性を効果的に向上させ、接着剤層の分子構造を強化して、正極シート封止テープの老化失効を遅らせる。このように、正極シート封止テープから封止接着剤層がはみ出して正極活物質の表面を覆って孔閉塞が発生することを防止して、正極シート封止テープが剥がれてセルが変形することを改善するとともに、セルのサイクル過程中に孔閉塞によって縁部においてリチウムが析出する問題などを改善する。さらに、前記非水電解液中の1,2-ビス(シアノエトキシ)エタン及び/又は1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパン中の、Nを含む基は電解液中のプロトン酸と結合でき、封止接着剤層へのプロトン酸による腐食破壊を避けるとともに、電極材料へのプロトン酸による影響も回避し、並びに正極において優れた電極/電解液境界膜を形成して、電極表面におけるイオン(例えばリチウムイオン)の挿入/脱離を最適化して、電池のサイクル性能を向上させる。
【0154】
一実施形態において、前記電池はX1及び/又はX2と、Y1~Y6のうちの2つ以上(以上で列挙した組合せ例を参照)との組合せを含む。
【0155】
<電池の他の部品>
前記電池の他の部品及び要素はいずれも当分野の通常形態に従って設けられることができる。
【0156】
一例において、前記正極シートは正極集電体と、正極集電体の一側又は両側の表面に塗布された正極活物質層とを備える。前記正極活物質層は正極活物質、導電剤及びバインダーを含む。
【0157】
前記した正極活物質は、コバルト酸リチウム、又は、Al、Mg、Mn、Cr、Ti、Zrのうちの2つ以上の元素によりドープクラッド処理されたコバルト酸リチウムから選ばれる。前記したAl、Mg、Mn、Cr、Ti、Zrのうちの2つ以上の元素によりドープクラッド処理されたコバルト酸リチウムの化学式はLixCo1-y1-y2-y3-y4Ay1By2Cy3Dy4O2であり、ここで、0.95≦x≦1.05、0.01≦y1≦0.1、0.01≦y2≦0.1、0≦y3≦0.1、0≦y4≦0.1であり、A、B、C、DはAl、Mg、Mn、Cr、Ti、Zrのうちの2つ以上の元素から選ばれる。
【0158】
一例において、前記負極シートは負極集電体と、負極集電体の一側又は両側の表面に塗布された負極活物質層とを備える。前記負極活物質層は負極活物質、導電剤及びバインダーを含む。
【0159】
一例において、前記した負極活物質は、黒鉛、又は、1~12wt%のSiOx/C又はSi/Cを含む黒鉛複合材料から選ばれる。
【0160】
一例において、前記電池の充電終止電圧は4.45V以上である。
【0161】
一例において、前記電池はリチウムイオン電池である。
【0162】
<実施例>
以下の実施例で使用される試験方法は、別途説明がない以上、すべて通常の方法である。以下の実施例で使用される試薬、材料などは、別途説明がない以上、すべて市場ルートから入手可能である。
【0163】
以下の実施例及び比較例において、別途説明がない場合、以下の製造例による方式に従ってリチウムイオン電池の各部品を用意して組み立てる。
【0164】
製造例
(1)正極シートの製造
正極活物質のLiCoO2、バインダーのポリビニリデンフルオライド(PVDF)及び導電剤のアセチレンブラックを97.2:1.3:1.5の重量比で混合し、N-メチルピロリドン(NMP)を添加し、混合体が均一流動性を有する正極スラリーになるまでに、真空ミクサーによって攪拌する。正極スラリーを厚さ9~12μmのアルミ箔に均一に塗布する。塗布後のアルミ箔を5段階の異なる温度勾配のオーブンで加熱した後、さらに120℃のオーブンで8h乾燥する。その後、圧延、裁断を行って、必要に応じる寸法の正極シートを得る。電極シートの詳しい幅は各グループの実施例に示される。
(2)正極シート封止テープの製造
各グループの実施例に示される。
(3)負極シートの製造
負極材料の96.5重量%の人造黒鉛、導電剤の0.1重量%の単層カーボンナノチューブ(SWCNT)、導電剤の1重量%の導電性カーボンブラック(SP)、バインダーの1重量%のカルボキシメチルセルロース(CMC)、及びバインダーの1.4重量%のスチレン-ブタジエンゴム(SBR)を用いて、湿式プロセスを通じてスラリーを製作して、負極集電体である銅箔の表面に塗布し、乾燥(温度:85℃、時間:5h)、圧延、型抜きを行って、様々な寸法の負極シートを得る。
(4)非水電解液の製造
各グループの実施例に示される。
(5)セパレータの製造
厚さが7~9μmのポリエチレンセパレータを採用する。
(6)リチウムイオン電池の製造
以上で用意した正極シート、セパレータ、負極シートを捲き回し、正極シートの巻き終わり位置で正極シート封止テープ(正極集電体両側の正極シート封止テープは面積が同一である)を貼り付け、液注入前のベアセルを得る。ベアセルを外装フィルム中に配置し、上述した通りに製作した電解液を乾燥後のベアセル中に注入し、真空バッケージ、静置、化成、成型、分類などの工程を経て、所望のリチウムイオン電池を得る。
【0165】
各グループの実施例及び比較例で得られた電池に対して以下のテスト例による方法に従ってテストをそれぞれ行う。
【0166】
テスト例
(1)45℃サイクル試験
実施例及び比較例で得られた電池を(45±2)℃の環境において2-3時間静置し、電池本体が(45±2)℃になった後、電池が1Cの定電流で終止電流0.05Cになるまで充電され、電池が満充電になってから5min放置され、さらに0.7Cの定電流で終止電圧3.0Vまで放電される。最初の3回のサイクルの最高放電容量を初期容量Qとして記録する。サイクル400回を達した後、電池の最後1回の放電容量Q1を記録し、400Tサイクル後の電池を分解して電池の縁部におけるリチウム析出の有無を記録し、結果を各グループの表に記録する。
ここで使用される計算公式は<数1>である。
<数1>容量維持率(%)=Q1/Q×100%
(2)高温貯蔵テスト
実施例及び比較例で得られた電池を室温に放置して、0.5Cの充放電倍率で3回の充放電サイクルテストを行う。その後、0.5Cの倍率で満充電状態まで充電する。最初の3回の0.5Cサイクルの最高放電容量Q2及び電池厚さT1を記録する。満充電状態の電池を設定温度(70℃又は85℃、詳しくは各グループの実施例を参照)において所定の時間(詳しくは各グループの実施例を参照)貯蔵する。完了後の電池厚さT2及び0.5C放電容量Q3を記録し、電池の高温貯蔵の厚さ変化率及び容量維持率などの試験データを算出し、結果を各グループの表に記録する。
ここで使用される計算公式は<数2>及び<数3>である。
<数2>容量維持率(%)=Q3/Q2×100%
<数3>厚さ変化率(%)=(T2-T1)/T1×100%
(3)130℃熱衝撃試験
実施例及び比較例で得られた電池に対して、対流方式又は熱循環の空気ボックスを用いて、初期温度25±3℃で加熱し、温度変化率5±2℃/minで温度を130±2℃まで上昇させ、60min維持してから試験を終了する。電池状態の結果を各グループの表に記録する。
【0167】
以下の各グループの実施例においてはそれぞれ正極封止テープ及び/又は非水電解液に対して調整している。これらの実施例は本開示の組合せ形態を例示的に説明するためのものに過ぎず、好適な組合せ形態を制限するためのものではない。当業者はこれらの組合せ形態に基づいて他の様々な組合せ形態の有益な効果を推測することができる。
【0168】
第Iグループの実施例
該グループの実施例は例[X1+Y1]による組合せに適用される。
(1)正極シート封止テープの製造
天然ゴム82重量部、スチレン-ブタジエンゴム24重量部、ブチルゴム20重量部、ブチロニトリルゴム10重量部、テルペン樹脂28重量部、老化防止剤16重量部を順に1500重量部の混合溶媒(重量比が1:1:1のエチルエステル、トルエン、キシレン)に入れて、85℃の温度で均一に攪拌し、混合液を得る。ポリ(イソブチルン)ゴム105重量部及び無機顔料38重量部を順に混合液に入れて、80℃の温度で均一に攪拌して、さらに混合液を得る。次に、ある程度の重量部の架橋剤である炭酸ビニレンを混合液に入れて、常温で攪拌して、均一に混合した後にPET基材の表面に塗布して、正極シート封止テープを得る。
(2)非水電解液の製造
アルゴン雰囲気のグローブボックス(水分<10ppm、酸素の分<1ppm)において、溶媒(エチレンカルボナート(EC)、炭酸プロピレン(PC)、プロピオン酸プロピル(PP)、1,1,2,3-テトラフルオロエチル-2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテルを重量比2:1:3:2で)混合して、混合した溶液へリチウム塩(リチウム塩の詳しい用量と選択は表I1に示す)をゆっくり添加し、均一に攪拌して非水電解液を得る。
(3)正極シート、負極シート、セパレータの成分と製造、及び、リチウムイオン電池の組み立ては、製造例の記載に従って行われる。
【0169】
該グループの各実施例と比較例の番号及び技術的構成は表I1に示す通りである。
表I1
【0170】
実施例と比較例で得られた電池をそれぞれテスト例による方法に従ってテストし、その結果を表I2に記録する。
表I2
【0171】
表I2の結果によると、比較例及び実施例から分かるように、電解液中のリチウム塩の濃度を向上させるとともに正極シート封止テープを合わせて使用することによって製造した電池は、電池の高温性能が効果的に向上するとともに、電池サイクル後に電極シートの縁部にリチウムが析出する問題を解決することができる。
【0172】
第IIグループの実施例
該グループの実施例は例[X2+Y1]による組合せに適用される。
(1)正極シート封止テープの製造
イソオクチルアクリレート40重量部、ブチルアクリレート3重量部、酢酸ビニル3重量部、アクリル酸3重量部、イソプレンゴム5重量部、ペンタエリスリトールトリメタクリレート1重量部、アゾビスイソブチロニトリル1重量部、エチルエステル40重量部を、80℃の温度で均一に攪拌して混合液を得る。次に、所定の重量部の架橋剤炭酸ビニレンを混合液に添加して常温で攪拌し、均一に混合してからPET基材の表面に塗布して、正極シート封止テープを得る。
(2)非水電解液の製造
アルゴン雰囲気のグローブボックス(水分<10ppm,酸素の分<1ppm)において、エチレンカルボナート(EC)、炭酸プロピレン(PC)、プロピオン酸プロピル(PP)、1,1,2,3-テトラフルオロエチル-2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテルを、1:1:3:2の重量比で均一に混合し、混合溶液へリチウム塩をゆっくり添加し、均一に攪拌して非水電解液を得る。
(3)正極シート、負極シート、セパレータの成分と製造、及びリチウムイオン電池の組み立ては、製造例の記載に従って行われる。
【0173】
該グループの各実施例と比較例の番号及び技術的構成は表II1に示される。
表II1
【0174】
実施例と比較例で得られた電池をそれぞれテスト例による方法に従ってテストし、その結果を表II2に記録する。
表II2
【0175】
表II2の結果によると、比較例及び実施例から分かるように、電解液中のリチウム塩の濃度と正極シート封止テープを合わせて使用することによって製造した電池は、電池の高温性能が効果的に向上するとともに、電池サイクル後に電極シートの縁部にリチウムが析出する問題を解決することができる。
【0176】
第IIIグループの実施例
該グループの実施例は例[X1+Y1+Y2]による組合せに適用される。
(1)正極シート封止テープの製造
天然ゴム82重量部、スチレン-ブタジエンゴム24重量部、ブチルゴム20重量部、ブチロニトリルゴム10重量部、テルペン樹脂28重量部、老化防止剤16重量部を順に1500重量部の混合溶媒(重量比1:1:1のエチルエステル、トルエン、キシレン)に入れてから85℃の温度で均一に攪拌して混合液を得る。ポリ(イソブチルン)ゴム105重量部及び無機顔料38重量部を順に混合液に添加し、80℃の温度で均一に攪拌してさらに混合液を得る。その後、所定の重量部の架橋剤炭酸ビニレンを混合液に入れて常温で攪拌し、均一に混合してからPET基材の表面に塗布して、正極シート封止テープを得る。
(2)非水電解液の製造
アルゴン雰囲気のグローブボックス(水分<10ppm,酸素の分<1ppm)において、エチレンカルボナート(EC)、炭酸プロピレン(PC)、プロピオン酸プロピル(PP)、プロピオン酸エチル(EP)を、2:1:3:1の重量比で均一に混合し、非水電解液の総重量にあたり13wt%のLiPF6と添加剤を混合溶液へゆっくり添加し、均一に攪拌して非水電解液を得る。
(3)正極シート、負極シート、セパレータの成分と製造、及びリチウムイオン電池の組み立ては、製造例の記載に従って行われる。
【0177】
該グループの各実施例と比較例の番号及び技術的構成は表III1に示される。
表III1
【0178】
実施例と比較例で得られた電池をそれぞれテスト例による方法に従ってテストし、その結果を表III2に記録する。
表III2
【0179】
表III2の結果によると、比較例及び実施例から分かるように、電解液にフルオロエチレンカルボナートを添加し且つ正極シート封止テープとの協同関係を満たさせることによって製造した電池は、電池の高温性能が効果的に向上するとともに、電池サイクル後に電極シートの縁部にリチウムが析出する問題を解決することができる。
【0180】
第IVグループの実施例
該グループの実施例は例[X2+Y1+Y2]による組合せに適用される。
(1)正極シート封止テープの製造
イソオクチルアクリレート38重量部、ブチルアクリレート3重量部、酢酸ビニル3重量部、アクリル酸3重量部、イソプレンゴム5重量部、ペンタエリスリトールトリメタクリレート1重量部、アゾビスイソブチロニトリル1重量部、エチルエステル36重量部を、80℃の温度で均一に攪拌して混合液を得る。次に、所定の重量部の架橋剤炭酸ビニレンを混合液に添加して常温で攪拌し、均一に混合してからPET基材の表面に塗布して、正極シート封止テープを得る。
(2)非水電解液の製造
アルゴン雰囲気のグローブボックス(水分<10ppm,酸素の分<1ppm)において、エチレンカルボナート(EC)、炭酸プロピレン(PC)、プロピオン酸プロピル(PP)、プロピオン酸エチル(EP)を、1:1:3:2の重量比で均一に混合してから、非水電解液の総重量にあたり13wt.%のLiPF6と添加剤(添加剤の詳しい用量と選択は表1に示す通りである)を混合溶液へゆっくり添加し、均一に攪拌して非水電解液を得る。
(3)正極シート、負極シート、セパレータの成分と製造、及びリチウムイオン電池の組み立ては、製造例の記載に従って行われる。
【0181】
該グループの各実施例と比較例の番号及び技術的構成は表IV1に示される。
表IV1
【0182】
各実施例と比較例で得られた電池をそれぞれテスト例による方法に従ってテストし、その結果を表IV2に記録する。
表IV2
【0183】
表IV2の結果によると、比較例及び実施例から分かるように、電解液にフルオロエチレンカルボナートを添加し且つ正極シート封止テープとの協同関係を満たさせることによって製造した電池は、電池の高温性能が効果的に向上するとともに、電池サイクル後に電極シートの縁部にリチウムが析出する問題を解決することができる。
【0184】
第Vグループの実施例
該グループの実施例は例[X1+Y1+Y3]による組合せに適用される。
(1)正極シート封止テープの製造
天然ゴム82重量部、スチレン-ブタジエンゴム24重量部、ブチルゴム20重量部、ブチロニトリルゴム10重量部、テルペン樹脂28重量部、老化防止剤16重量部を順に1500重量部の混合溶媒(重量比1:1:1のエチルエステル、トルエン、キシレン)に入れてから85℃の温度で均一に攪拌して混合液を得る。ポリ(イソブチルン)ゴム105重量部及び無機顔料38重量部を順に混合液に添加し、80℃の温度で均一に攪拌してさらに混合液を得る。その後、所定の重量部の架橋剤炭酸ビニレンを混合液に入れて常温で攪拌し、均一に混合してからPET基材の表面に塗布して、正極シート封止テープを得る。
(2)非水電解液の製造
アルゴン雰囲気のグローブボックス(水分<10ppm,酸素の分<1ppm)において、エチレンカルボナート(EC)、炭酸プロピレン(PC)、プロピオン酸プロピル(PP)、プロピオン酸エチル(EP)を、1:1:3:2の重量比で均一に混合し、非水電解液の総重量にあたり13wt%のLiPF6とジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウムを混合溶液へゆっくり添加し、均一に攪拌して非水電解液を得る。
(3)正極シート、負極シート、セパレータの成分と製造、及びリチウムイオン電池の組み立ては、製造例の記載に従って行われる。
【0185】
該グループの各実施例と比較例の番号及び技術的構成は表V1に示される。
表V1
【0186】
実施例と比較例で得られた電池をそれぞれテスト例による方法に従ってテストし、その結果を表V2に記録する。
表V2
【0187】
表V2の結果によると、比較例及び実施例から分かるように、電解液にジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウムを添加し且つ正極シート封止テープとともに使用することによって製造した電池は、電池の高温性能が効果的に向上するとともに、電池サイクル後に電極シートの縁部にリチウムが析出する問題を解決することができる。
【0188】
第VIグループの実施例
該グループの実施例は例[X2+Y1+Y4]による組合せに適用される。
(1)正極シート封止テープの製造
イソオクチルアクリレート38重量部、ブチルアクリレート3重量部、酢酸ビニル3重量部、アクリル酸3重量部、イソプレンゴム5重量部、ペンタエリスリトールトリメタクリレート1重量部、アゾビスイソブチロニトリル1重量部、エチルエステル36重量部を、80℃の温度で均一に攪拌して混合液を得る。その後、所定の重量部の架橋剤炭酸ビニレンを混合液に入れて常温で攪拌し、均一に混合してからPET基材の表面に塗布して、正極シート封止テープを得る。
(2)非水電解液の製造
アルゴン雰囲気のグローブボックス(水分<10ppm,酸素の分<1ppm)において、エチレンカルボナート(EC)、炭酸プロピレン(PC)、プロピオン酸プロピル(PP)、プロピオン酸エチル(EP)を、1:1:3:2の重量比で均一に混合し、非水電解液の総重量にあたり13wt.%のLiPF6とジフルオロリン酸リチウムを混合溶液へゆっくり添加し、均一に攪拌して非水電解液を得る。
(3)正極シート、負極シート、セパレータの成分と製造、及びリチウムイオン電池の組み立ては、製造例の記載に従って行われる。
【0189】
該グループの各実施例と比較例の番号及び技術的構成は表VI1に示される。
表VI1
【0190】
実施例と比較例で得られた電池をそれぞれテスト例による方法に従ってテストし、その結果を表VI2に記録する。
表VI2
【0191】
表VI2の結果によると、比較例及び実施例から分かるように、電解液にジフルオロリン酸リチウムを添加し且つ正極シート封止テープとの協同関係を満たさせることによって製造した電池は、電池の高温性能が効果的に向上するとともに、電池サイクル後に電極シートの縁部にリチウムが析出する問題を解決することができる。
【0192】
第VIIグループの実施例
該グループの実施例は例[X1+Y1+Y56]による組合せに適用される。
(1)正極シート封止テープの製造
天然ゴム82重量部、スチレン-ブタジエンゴム24重量部、ブチルゴム20重量部、ブチロニトリルゴム10重量部、テルペン樹脂28重量部、老化防止剤16重量部を順に1500重量部の混合溶媒(重量比1:1:1のエチルエステル、トルエン、キシレン)に入れてから85℃の温度で均一に攪拌して混合液を得る。ポリ(イソブチルン)ゴム105重量部及び無機顔料38重量部を順に混合液に添加し、80℃の温度で均一に攪拌してさらに混合液を得る。その後、所定の重量部の架橋剤炭酸ビニレンを混合液に入れて常温で攪拌し、均一に混合してからPET基材の表面に塗布して、正極シート封止テープを得る。
(2)非水電解液の製造
アルゴン雰囲気のグローブボックス(水分<10ppm,酸素の分<1ppm)において、エチレンカルボナート(EC)、炭酸プロピレン(PC)、プロピオン酸プロピル(PP)、プロピオン酸エチル(EP)を、2:1:2:1の重量比で均一に混合し、非水電解液の総重量にあたり13wt%のLiPF6と添加剤を混合溶液へゆっくり添加し、均一に攪拌して非水電解液を得る。
【0193】
該グループの各実施例と比較例の番号及び技術的構成は表VII1に示される。
表VII1
【0194】
実施例と比較例で得られた電池をそれぞれテスト例による方法に従ってテストし、その結果を表VII2に記録する。
表VII2
【0195】
表2の結果によると、比較例及び実施例から分かるように、電解液に1,2-ビス(シアノエトキシ)エタン及び/又は1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンを添加し且つ正極シート封止テープとの協同関係を満たさせることによって製造した電池は、電池の高温性能が効果的に向上するとともに、電池サイクル後に電極シートの縁部にリチウムが析出する問題を解決することができる。
【0196】
第VIIIグループの実施例
該グループの実施例は例[X1+Y1+Y56]による組合せに適用される。
(1)正極シート封止テープの製造
イソオクチルアクリレート40重量部、ブチルアクリレート3重量部、酢酸ビニル3重量部、アクリル酸3重量部、イソプレンゴム5重量部、ペンタエリスリトールトリメタクリレート1重量部、アゾビスイソブチロニトリル1重量部、エチルエステル40重量部を80℃の温度で均一に攪拌して混合液を得る。その後、所定の重量部の架橋剤炭酸ビニレンを混合液に入れて常温で攪拌し、均一に混合してからPET基材の表面に塗布して、正極シート封止テープを得る。
(2)非水電解液の製造
アルゴン雰囲気のグローブボックス(水分<10ppm,酸素の分<1ppm)において、エチレンカルボナート(EC)、炭酸プロピレン(PC)、プロピオン酸プロピル(PP)、プロピオン酸エチル(EP)を、2:1:3:2の重量比で均一に混合し、非水電解液の総重量にあたり13wt.%のLiPF6と添加剤を混合溶液へゆっくり添加し、均一に攪拌して非水電解液を得る。
(3)正極シート、負極シート、セパレータの成分と製造、及びリチウムイオン電池の組み立ては、製造例の記載に従って行われる。
【0197】
該グループの各実施例と比較例の番号及び構成は表VIII1に示される。
表VIII1
【0198】
実施例と比較例で得られた電池をそれぞれテスト例による方法に従ってテストし、その結果を表VIII2に記録する。
表VIII2
【0199】
表2の結果によると、比較例及び実施例から分かるように、電解液に1,2-ビス(シアノエトキシ)エタン及び/又は1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンを添加し、正極シート封止テープとの協同作用によって、製造した電池は、電池の高温性能が効果的に向上するとともに、電池サイクル後に電極シートの縁部にリチウムが析出する問題を解決することができる。
【0200】
本開示に係る電池は高電圧型電池であり、優れた高温性能を有する。正極シート封止テープの寸法を制御し、好ましい形態においてはさらに接着剤層の材料を制御し、並びに正極シート封止テープと非水電解液の協同作用を利用することによって、製造した電池のセル高温性能を効果的に向上させるとともに、セルのサイクル後に電極シートの縁部においてリチウムが析出する問題を解決することができ、電池が高温環境において使用時に正極シート封止テープがはがれて変形することに起因する、セルの高温貯蔵厚み不良及び高温サイクル時のリチウム析出、正極シート封止テープ中の接着剤層が非水電解液に溶けやすいこと、及び、非水電解液が正極と負極の境界において酸化還元分解しやすいことなどの問題を回避する。
【0201】
以上では本開示の実施形態について説明した。ただし、本開示は上述した実施形態に限られない。本開示の思想及び原則の範囲内で行われる変更、同等置換、改善などは、すべて本開示の保護範囲に属するべきである。
【符号の説明】
【0202】
1-正極シート始端部
2-正極シート終端部
3-未塗布部領域
4-正極シート封止テープ
5-1つの面の正極ペースト終端部
6-1つの面の正極シート封止テープ
7-他の1つの面の正極ペースト終端部
8-他の1つの面の正極シート封止テープ
【手続補正書】
【提出日】2023-12-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池であって、
正極シート、負極シート、非水電解液及びセパレータを備え、
前記非水電解液は非水有機溶媒、リチウム塩及び任意選択的な電解液添加剤を含み、前記正極シートのペースト終端部には正極シート封止テープが設けられ、
前記正極シート封止テープの面積はA cm
2であり、前記正極シートの幅はC cmであり、AとCの比の値は1~3の範囲内にある
ことを特徴とする電池。
【請求項2】
前記正極シート封止テープの面積Aは3cm
2~120cm
2の範囲内にあり、
及び/又は、前記正極シートの幅Cは1cm~120cmの範囲内にある
ことを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記
正極シート封止テープは、基材と、前記基材の表面に塗布された封止接着剤層とを備え、
前記封止接着剤層はゴム封止接着剤層又は(メタ)アクリル酸封止接着剤層である
ことを特徴とする請求項
1に記載の電池。
【請求項4】
前記ゴム封止接着剤層には架橋変性ゴムが含まれており、
前記架橋変性ゴムは第1ベースが第1架橋剤の作用で架橋変性して得られるものであり、前記第1ベースは天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ポリ(イソブチルン)ゴム、ブチルゴム、ブチロニトリルゴムなどのうちの少なくとも1つから選ばれ
る
ことを特徴とする請求項3に記載の電池。
【請求項5】
前記第1架橋剤は炭酸ビニレンを含み、前記架橋変性ゴムの総重量を基準として前記炭酸ビニレンの含量は0.5~5wt%である
ことを特徴とする請求項
4に記載の電池。
【請求項6】
前記(メタ)アクリル酸封止接着剤層は架橋変性した(メタ)アクリル酸及び/又は架橋変性した(メタ)アクリル酸エステルを含
む
ことを特徴とする請求項3に記載の電池。
【請求項7】
前記(メタ)アクリル酸封止接着剤層は第2ベースが第2架橋剤の作用で架橋変性して得られるものであり、前記第2ベースはメタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸エステル及びアクリル酸エステルのうちの少なくとも1つから選ばれ
る
ことを特徴とする請求項6に記載の電池。
【請求項8】
前記第2架橋剤は炭酸ビニレンを含み、前記架橋変性した(メタ)アクリル酸及び/又は架橋変性した(メタ)アクリル酸エステルの総重量を基準として前記炭酸ビニレンの含量は0.5~5wt%である
ことを特徴とする請求項
7に記載の電池。
【請求項9】
前記非水電解液の総重量を基準として、前記リチウム塩の含量はB1 mol/Lであり、AとB1の比の値は2~20の範囲内にあり、
前記リチウム塩の含量B1は1mol/L~6mol/Lであり、
又は1.5mol/L~3mol/Lである
ことを特徴とする請求項1ないし
8のいずれか一項に記載の電池。
【請求項10】
前記電解液添加剤はジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウムを含み、
前記非水電解液の総重量を基準として、前記ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウムの含量はB3 wt%であり、AとB3の比の値は5~200の範囲内にあり、
前記ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウムの含量B3は0.1~3wt%であり、
又は0.2~1wt%である
ことを特徴とする請求項1ないし
8のいずれか一項に記載の電池。
【請求項11】
前記電解液添加剤はフルオロエチレンカルボナートを含み、
前記非水電解液の総重量を基準として、前記フルオロエチレンカルボナートの含量はB2 wt%であり、AとB2の比の値は0.5~5の範囲内にあり、
前記フルオロエチレンカルボナートの含量B2は5~30wt%であり、
又は5~10wt%である
ことを特徴とする請求項1ないし
8のいずれか一項に記載の電池。
【請求項12】
前記電解液添加剤はジフルオロリン酸リチウムを含み、
前記非水電解液の総重量を基準として、前記ジフルオロリン酸リチウムの含量はB4 wt%であり、AとB4の比の値は5~200の範囲内にあり、
前記ジフルオロリン酸リチウムの含量B4は0.1~3wt%であり、
又は0.2~1wt%である
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の電池。
【請求項13】
前記電解液添加剤は1,2-ビス(シアノエトキシ)エタン及び/又は1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンを含み、
前記非水電解液の総重量を基準として、前記1,2-ビス(シアノエトキシ)エタン及び/又は1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンの含量はB56 wt%であり、AとB56の比の値は2~40の範囲内にあり、
前記1,2-ビス(シアノエトキシ)エタン及び/又は1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンの含量B56は0.5~3wt%であり、
又は1~2wt%である
ことを特徴とする請求項1ないし
8のいずれか一項に記載の電池。
【請求項14】
前記電解液添加剤はジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウム、フルオロエチレンカルボナート、ジフルオロリン酸リチウム、1,2-ビス(シアノエトキシ)エタン及び1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンのうちの1つ又は複数の組合せを含
む
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の電池。
【請求項15】
前記電解液添加剤は少なくともジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウムを含み、
又は、前記電解液添加剤は少なくともジフルオロリン酸リチウムを含み、
又は、前記電解液添加剤は少なくともフルオロエチレンカルボナートを含み、
又は、前記電解液添加剤は少なくとも1,2-ビス(シアノエトキシ)エタン及び/又は1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンを含む
ことを特徴とする請求項
14に記載の電池。
【請求項16】
前記電解液添加剤は1,3-プロパンスルトン、1,3-プロペンスルトン、亜硫酸エチレン、硫酸エチレン、リチウムビスオキサレートボレート、リチウムジフルオロ(オキサラト)フォスフェート及びビニルエチレンカーボネートのうちの少なくとも1つを更に含
む
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の電池。
【請求項17】
前記非水電解液の総重量を基準として、前記電解液添加剤の総含量は0~10wt%である
ことを特徴とする請求項
16に記載の電池。
【請求項18】
前記非水有機溶媒はカルボナート、カルボン酸エステル及びフルオロエーテルのうちの少なくとも1つから選ばれ、
ここで、前記カルボナートはエチレンカルボナート、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、炭酸メチルプロピルのうちの1つ又は複数の組合せから選ばれ、前記カルボン酸エステルはプロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピルのうちの1つ又は複数の組合せから選ばれ、前記フルオロエーテルは1,1,2,3-テトラフルオロエチル-2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテルから選ばれる
ことを特徴とする請求項1ないし
8のいずれか一項に記載の電池。
【請求項19】
前記電池は以下の組合せ(1)~(8)のうちの少なくとも1つを含み、
(1)において、前記非水電解液の総重量を基準として、前記リチウム塩の含量はB1 mol/Lであり、AとB1の比の値は2~20の範囲内にあり、且つ前記正極シート封止テープの封止接着剤層はゴム封止接着剤層であり、
(2)において、前記非水電解液の総重量を基準として、前記リチウム塩の含量はB1 mol/Lであり、AとB1の比の値は2~20の範囲内にあり、且つ前記正極シート封止テープの封止接着剤層は(メタ)アクリル酸封止接着剤層であり、
(3)において、前記電解液添加剤はフルオロエチレンカルボナートを含み、前記非水電解液の総重量を基準として、前記フルオロエチレンカルボナートの含量はB2 wt%であり、AとB2の比の値は0.5~5の範囲内にあり、且つ前記正極シート封止テープの封止接着剤層は(メタ)アクリル酸封止接着剤層であり、
(4)において、前記電解液添加剤はフルオロエチレンカルボナートを含み、前記非水電解液の総重量を基準として、前記フルオロエチレンカルボナートの含量はB2 wt%であり、AとB2の比の値は0.5~5の範囲内にあり、且つ前記正極シート封止テープの封止接着剤層はゴム封止接着剤層であり、
(5)において、前記電解液添加剤はジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウムを含み、前記非水電解液の総重量を基準として、前記ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウムの含量はB3 wt%であり、AとB3の比の値は5~200の範囲内にあり、且つ前記正極シート封止テープの封止接着剤層はゴム封止接着剤層であり、
(6)において、前記電解液添加剤はジフルオロリン酸リチウムを含み、前記非水電解液の総重量を基準として、前記ジフルオロリン酸リチウムの含量はB4 wt%であり、AとB4の比の値は5~200の範囲内にあり、且つ前記正極シート封止テープの封止接着剤層は(メタ)アクリル酸封止接着剤層であり、
(7)において、前記電解液添加剤は1,2-ビス(シアノエトキシ)エタン及び/又は1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンを含み、前記非水電解液の総重量を基準として、前記1,2-ビス(シアノエトキシ)エタン及び/又は1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンの含量はB56 wt%であり、AとB56の比の値は2~40の範囲内にあり、且つ前記正極シート封止テープの封止接着剤層は(メタ)アクリル酸封止接着剤層であり、
(8)において、前記電解液添加剤は1,2-ビス(シアノエトキシ)エタン及び/又は1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンを含み、前記非水電解液の総重量を基準として、前記1,2-ビス(シアノエトキシ)エタン及び/又は1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンの含量はB56 wt%であり、AとB56の比の値は2~40の範囲内にあり、且つ前記正極シート封止テープの封止接着剤層はゴム封止接着剤層である
ことを特徴とする請求項1ないし
8のいずれか一項に記載の電池。
【請求項20】
前記電池の充電終止電圧は4.45V以上である
ことを特徴とする請求項1ないし
8のいずれか一項に記載の電池。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0192
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0192】
第VIIグループの実施例
該グループの実施例は例[X1+Y1+Y56]による組合せに適用される。
(1)正極シート封止テープの製造
天然ゴム82重量部、スチレン-ブタジエンゴム24重量部、ブチルゴム20重量部、ブチロニトリルゴム10重量部、テルペン樹脂28重量部、老化防止剤16重量部を順に1500重量部の混合溶媒(重量比1:1:1のエチルエステル、トルエン、キシレン)に入れてから85℃の温度で均一に攪拌して混合液を得る。ポリ(イソブチルン)ゴム105重量部及び無機顔料38重量部を順に混合液に添加し、80℃の温度で均一に攪拌してさらに混合液を得る。その後、所定の重量部の架橋剤炭酸ビニレンを混合液に入れて常温で攪拌し、均一に混合してからPET基材の表面に塗布して、正極シート封止テープを得る。
(2)非水電解液の製造
アルゴン雰囲気のグローブボックス(水分<10ppm,酸素の分<1ppm)において、エチレンカルボナート(EC)、炭酸プロピレン(PC)、プロピオン酸プロピル(PP)、プロピオン酸エチル(EP)を、2:1:2:1の重量比で均一に混合し、非水電解液の総重量にあたり13wt%のLiPF6と添加剤を混合溶液へゆっくり添加し、均一に攪拌して非水電解液を得る。
(3)正極シート、負極シート、セパレータの成分と製造、及びリチウムイオン電池の組み立ては、製造例の記載に従って行われる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0196
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0196】
第VIIIグループの実施例
該グループの実施例は例[X2+Y1+Y56]による組合せに適用される。
(1)正極シート封止テープの製造
イソオクチルアクリレート40重量部、ブチルアクリレート3重量部、酢酸ビニル3重量部、アクリル酸3重量部、イソプレンゴム5重量部、ペンタエリスリトールトリメタクリレート1重量部、アゾビスイソブチロニトリル1重量部、エチルエステル40重量部を80℃の温度で均一に攪拌して混合液を得る。その後、所定の重量部の架橋剤炭酸ビニレンを混合液に入れて常温で攪拌し、均一に混合してからPET基材の表面に塗布して、正極シート封止テープを得る。
(2)非水電解液の製造
アルゴン雰囲気のグローブボックス(水分<10ppm,酸素の分<1ppm)において、エチレンカルボナート(EC)、炭酸プロピレン(PC)、プロピオン酸プロピル(PP)、プロピオン酸エチル(EP)を、2:1:3:2の重量比で均一に混合し、非水電解液の総重量にあたり13wt.%のLiPF6と添加剤を混合溶液へゆっくり添加し、均一に攪拌して非水電解液を得る。
(3)正極シート、負極シート、セパレータの成分と製造、及びリチウムイオン電池の組み立ては、製造例の記載に従って行われる。
【国際調査報告】