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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】高安定性エキシマレーザ装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 3/13 20060101AFI20240709BHJP
   G01J 3/26 20060101ALI20240709BHJP
   G01J 3/24 20060101ALI20240709BHJP
   H01S 3/00 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
H01S3/13
G01J3/26
G01J3/24
H01S3/00 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580519
(86)(22)【出願日】2022-03-07
(85)【翻訳文提出日】2024-02-20
(86)【国際出願番号】 CN2022079621
(87)【国際公開番号】W WO2023273392
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】202110749211.5
(32)【優先日】2021-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516281137
【氏名又は名称】北京科益虹源光電技術有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】劉 広義
(72)【発明者】
【氏名】江 鋭
(72)【発明者】
【氏名】徐 向宇
(72)【発明者】
【氏名】趙 江山
(72)【発明者】
【氏名】蘇 国強
(72)【発明者】
【氏名】劉 斌
(72)【発明者】
【氏名】馮 澤斌
【テーマコード(参考)】
2G020
5F172
【Fターム(参考)】
2G020CC02
2G020CC21
2G020CC23
2G020CD04
2G020CD06
2G020CD16
5F172AD06
5F172NN24
5F172NP04
5F172NQ04
5F172NQ14
5F172NR14
(57)【要約】
高安定性エキシマレーザ装置であって、放電共振空胴と、線幅狭圧モジュールと、検出モジュールと、制御モジュールとを含み、前記線幅狭圧モジュールは、前記放電共振空胴の第一側のレーザ光出射方向に沿って順に設置されるビーム増幅装置と中段格子とを含み、検出モジュールは、中心波長精密測定装置と中心波長粗測定装置とを含み、ここで、前記中心波長粗測定装置は、中心波長を粗測定するために、反射装置と、ビーム集光装置と、第一の光電検知器とを含み、中心波長精密測定装置は、第二側から出射されるレーザビームを受信し、中心波長を精密測定するために、前記放電共振空胴の第一側に対向する第二側に設置され、前記制御モジュールは、前記中心波長精密測定装置と中心波長粗測定装置の測定結果に基づいて、放電共振空胴におけるパラメータを調整するために、前記放電共振空胴、前記中心波長精密測定装置及び中心波長粗測定装置にそれぞれ接続される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高安定性エキシマレーザ装置であって、放電共振空胴(1)と、線幅狭圧モジュール(2)と、検出モジュールと、制御モジュール(4)とを含み、
前記線幅狭圧モジュール(2)は、前記放電共振空胴(1)の第一側のレーザ光出射方向に沿って順に設置されるビーム増幅装置(5)と中段格子(6)とを含み、
前記検出モジュールは、中心波長精密測定装置(3a)と中心波長粗測定装置(3b)とを含み、ここで、前記中心波長粗測定装置(3b)は、反射装置(7)と、ビーム集光装置(8)と、第一の光電検知器(9)とを含み、前記反射装置(7)は、前記放電共振空胴(1)の第一側から出射される一部のビームを前記中段格子(6)に伝送するために用いられ、前記ビーム集光装置(8)は、前記一部のビームを前記中段格子(6)の出射光を介して集光した後に前記第一の光電検知器(9)に伝送するために、前記中段格子(6)の出射方向に設置され、
前記中心波長精密測定装置(3a)は、前記第二側から出射されるレーザビームを受信し、中心波長を精密測定するために、前記放電共振空胴(1)の第一側に対向する第二側に設置され、
前記制御モジュール(4)は、前記中心波長精密測定装置(3a)と中心波長粗測定装置(3b)の測定結果に基づいて、前記放電共振空胴(1)におけるパラメータを調整するために、前記放電共振空胴(1)、前記中心波長精密測定装置(3a)及び中心波長粗測定装置(3b)にそれぞれ接続される、ことを特徴とする高安定性エキシマレーザ装置。
【請求項2】
前記ビーム増幅装置(5)は、ビーム増幅プリズム群であり、
前記反射装置(7)は、前記ビーム増幅プリズム群のビームが入射する側に設置され、且つ前記ビーム増幅装置(5)の入射面が入射光を反射した後の光路に位置し、前記反射装置(7)の設置角度は、前記反射光を受信した後にそれを前記中段格子(6)に二次反射することを満たす、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ビーム集光装置(8)は、凸レンズ又は凹面鏡であり、前記第一の光電検知器(9)は、電荷結合素子であり、
前記ビーム集光装置(8)は、前記分散後の出射光を集光し、前記集光後の光を前記第一の光電検知器(9)の検知表面に照射して、干渉縞を形成するために用いられ、
前記第一の光電検知器(9)は、前記干渉縞を受信し、前記干渉縞を対応する干渉縞情報に転化し、前記干渉縞情報を前記制御モジュール(4)に送信するために用いられる、ことを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記反射装置(7)とビーム集光装置(8)とは、前記線幅狭圧モジュール(2)の内部に設置される、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記中心波長精密測定装置(3a)は、ビーム出射方向に沿って順に設置される第一のビームスプリッタ(12)と、光ホモジナイザ(13)と、第二のビームスプリッタ(14)と、コリメーティングレンズ(15)と、FPエタロン(16)と、第二の集光レンズ(17)と、第二の光電検知器(18)とを含み、
前記第一のビームスプリッタ(12)は、前記放電共振空胴(1)の第二側から発射されるレーザ光を受信し、前記レーザ光をスプリットし、スプリット後のそのうちの1つのレーザ光を前記光ホモジナイザ(13)に照射するために用いられ、
前記光ホモジナイザ(13)は、レーザ光を均一化し、均一化後のレーザ光を前記第二のビームスプリッタ(17)に入らせるために、前記第一のビームスプリッタ(14)と前記第二のビームスプリッタ(17)との間に設置され、
前記第二のビームスプリッタ(14)は、前記光ホモジナイザ(13)を介して出射されるレーザ光をスプリットし、そのうちの1つのレーザ光を前記コリメーティングレンズ(15)に照射するために用いられ、
前記コリメーティングレンズ(15)は、前記FPエタロンに照射されるレーザ光をコリメートするために、前記第二のビームスプリッタ(17)と前記FPエタロン(16)との間に設置され、
前記FPエタロン(16)は、前記FPエタロン(16)を通過するレーザ光を多重反射して、多段光干渉を形成し、前記多段光干渉を前記第二の集光レンズ(17)を介して前記第二の光電検知器(18)に集光して、第二の干渉縞を形成するために用いられる、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記検出モジュール(4)は、エネルギー検出装置(20)をさらに含み、前記エネルギー検出装置は、第三の光電検知器(20)を含み、前記第三の光電検知器(20)は、レーザ光のレーザエネルギー情報を検出し、前記レーザエネルギー情報を前記制御装置に送信するために、前記第二のビームスプリッタ(14)によってスプリットされた後の別のビームの出射方向に設置される、ことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記制御装置は、中心波長粗測定ボード(21)と、中心波長精密測定ボード(22)とを含み、
前記中心波長粗測定ボード(21)は、それぞれ前記第一の光電検知器(9)及び前記中心波長精密測定ボード(22)と繋がり、
前記中心波長粗測定ボード(21)は、前記第一の光電検知器(9)によって送信される干渉縞情報を取得し、前記第一の光電検知器(9)によって送信される干渉縞情報に基づいて、前記レーザ波長の粗測定値を取得し、前記レーザ波長の粗測定値を前記中心波長精密測定ボード(22)に送信するために用いられ、
前記中心波長精密測定ボード(22)は、第二の光電検知器(18)とも繋がり、
前記中心波長精密測定ボード(22)は、前記第二の光電検知器(18)によって送信される第二の干渉縞情報を取得し、前記第二の干渉縞情報に基づいて、前記中心波長粗測定ボード(21)によって送信される中心波長粗測定値を取得し、前記第二の干渉縞情報と前記中心波長の粗測定値に基づいて、前記中心波長の精密測定値を取得するために用いられる、ことを特徴とする請求項1、2、3、5又は6に記載の装置。
【請求項8】
前記制御装置(4)は、レーザ同調コントローラ(23)をさらに含み、前記レーザ同調コントローラ(23)は、前記ビーム増幅装置(5)が前記中段格子(6)に照射するビームの角度を調節するために、前記ビーム増幅装置(5)の少なくとも一つのデバイスと繋がる、ことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記レーザ同調コントローラ(23)は、具体的に、取得される中心波長の精密測定値と中心波長ターゲット値との差分値に基づいて前記ビーム増幅装置(5)の少なくとも一つのデバイスの回転を調節することによって、前記中段格子(6)に照射されるビームの角度を調整するために用いられる、ことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記制御装置(4)は、エネルギー測定ボード(24)と、高圧電源コントローラ(25)とを含み、
前記エネルギー測定ボード(24)は、それぞれ前記高圧電源コントローラ(25)及び前記第三の光電検知器(20)と繋がり、
前記エネルギー測定ボード(24)は、前記第三の光電検知器(20)によって送信されるレーザエネルギー情報を受信し、前記レーザエネルギー情報に基づいて前記エキシマレーザ装置から出力されるレーザエネルギー情報を取得し、前記レーザエネルギー情報を前記高圧電源コントローラ(25)に送信するために用いられ、
前記高圧電源コントローラ(25)は、前記レーザエネルギー情報を受信し、前記レーザエネルギー情報に基づいて前記放電共振空胴(1)によって放出されるレーザエネルギーを制御するために、前記放電共振空胴(1)と繋がる、ことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、レーザ分野に関し、具体的には高安定性エキシマレーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エキシマレーザから出力されるレーザ光は、波長が短く、線幅が狭く、エネルギーが高いという特徴があるため、半導体のチップ加工分野に広く応用されており、例えばエキシマレーザから出力されるレーザ光は、マスクアライナ分野でよく見られる光源である。
【0003】
チップ加工プロセスの絶えない発展に伴い、チップのサイズに対する要求は、すでに28nm、14nmひいてはより小さい値に達した。そのため、チップを加工するためのエキシマレーザに対する要求もますます高くなる。レーザは、より高いエネルギーを放出することができ、より狭いスペクトルを備える必要があるだけでなく、レーザは、作動中に安定性が比較的高い中心波長を備える必要がある。エキシマレーザエネルギーと中心波長のオンライン測定、中心波長とエネルギークローズドループ装置とクローズドループフィードバック制御に対して、より高い要求を提出した。
【0004】
特許US6539046とUS6317448において、採用されたFPエタロンと格子とを組み合わせた中心波長測定法を提案し、FPエタロンは、極めて高い波長感度を持つが、測定範囲が比較的小さく、エキシマレーザのフルレンジ測定の需要を満たすことができないため、まず格子法で中心波長を粗測定し、そしてFPエタロンで精密測定して、中心波長の広範囲と高精度の測定を実現する必要がある。
【0005】
特許CN109073463において、二つのFPエタロンを用いてレーザの中心波長を同時に測定し、そのうちの一方の経路のFPエタロンのフリースペクトラルレンジが比較的大きく、中心波長の粗測定に用いられ、他方の経路のFPエタロンのフリースペクトラルレンジが比較的小さく、中心波長の精密測定に用いられ、両者を組み合わせると、中心波長の広範囲と高精度の測定を実現する。
【0006】
エキシマレーザの狭い線幅の発生と中心波長の同調は、線幅狭圧モジュールによって完了され、特許US6192064、US6560254、US10416471、CN1232010、CN102576974とCN107534266において、ビーム増幅ユニットと中段格子を使用してレーザのスペクトル幅を狭圧、反射鏡、プリズム又は中段格子の角度を調整することにより、中心波長の制御を実現し、レーザの中心波長の同調に用いられる。特許US6985508、CN100397732、CN107851958とCN107925214は、エキシマレーザエネルギーと中心波長のクローズドループフィードバック方法を紹介しており、リアルタイムでエキシマのエネルギーと中心波長を測定し、クローズドループフィードバックすることにより、エキシマレーザの長期的に安定した出力を保障している。
【0007】
そのため、エキシマレーザが作動中に比較的安定した中心波長を備えることができるように、どのようにエキシマレーザを設計するかは、当分野において早急に解決すべき技術課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本出願は、従来の技術に存在する問題を解決するための高安定性エキシマレーザ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本出願による高安定性エキシマレーザ装置は、放電共振空胴と、線幅狭圧モジュールと、検出モジュールと、制御モジュールとを含み、
前記線幅狭圧モジュールは、前記放電共振空胴の第一側のレーザ光出射方向に沿って順に設置されるビーム増幅装置と中段格子とを含み、
前記検出モジュールは、中心波長精密測定装置と中心波長粗測定装置とを含み、ここで、前記中心波長粗測定装置は、反射装置と、ビーム集光装置と、第一の光電検知器とを含み、前記反射装置は、前記放電共振空胴の第一側から出射される一部のビームを前記中段格子に伝送するために用いられ、前記ビーム集光装置は、前記一部のビームを前記中段格子の出射光を介して集光した後に前記第一の光電検知器に伝送するために、前記中段格子の出射方向に設置され、
前記中心波長精密測定装置は、前記第二側から出射されるレーザビームを受信し、中心波長を精密測定するために、前記放電共振空胴の第一側に対向する第二側に設置され、
前記制御モジュールは、前記中心波長精密測定装置と中心波長粗測定装置の測定結果に基づいて、前記放電共振空胴におけるパラメータを調整するために、前記放電共振空胴、前記中心波長精密測定装置及び中心波長粗測定装置にそれぞれ接続される。
【0010】
選択的に、前記ビーム増幅装置は、ビーム増幅プリズム群であり、中段格子は、分散格子であり、
前記反射装置は、前記ビーム増幅プリズム群のビームが入射する側に設置され、且つ前記ビーム増幅装置の入射面が入射光を反射した後の光路に位置し、前記反射装置の設置角度は、前記反射光を受信した後にそれを前記中段格子に二次反射することを満たす。
【0011】
選択的に、前記集光装置は、凸レンズ又は凹面鏡であり、前記第一の光電検知器は、電荷結合素子であり、
前記ビーム集光装置は、前記分散後の出射光を集光し、前記集光後の光を前記第一の光電検知器の検知表面に照射して、干渉縞を形成するために用いられ、
前記第一の光電検知器は、前記干渉縞を受信し、前記干渉縞を対応する干渉縞情報に転化し、前記干渉縞情報を前記制御モジュールに送信するために用いられる。
【0012】
選択的に、前記反射装置とビーム集光装置は、前記線幅狭圧モジュール内部に設置される。
【0013】
選択的に、前記中心波長精密測定装置は、ビーム出射方向に沿って順に設置される第一のビームスプリッタと、光ホモジナイザと、第二のビームスプリッタと、コリメーティングレンズと、FPエタロンと、第二の集光レンズと、第二の光電検知器とを含み、
前記第一のビームスプリッタは、前記放電共振空胴第二側から発射されるレーザ光を受信し、前記レーザ光をスプリットし、スプリット後のそのうちの1つのレーザ光を前記光ホモジナイザに照射するために用いられ、
前記光ホモジナイザは、レーザ光を均一化し、均一化後のレーザ光を前記第二のビームスプリッタに入らせるために、前記第一のビームスプリッタと前記第二のビームスプリッタとの間に設置され、
前記第二のビームスプリッタは、前記光ホモジナイザを介して出射されるレーザ光をスプリットし、そのうちの1つのレーザ光を前記コリメーティングレンズに照射するために用いられ、
前記コリメーティングレンズは、前記FPエタロンに照射されるレーザ光をコリメートするために、前記第二のビームスプリッタと前記FPエタロンとの間に設置され、
前記FPエタロンは、前記FPエタロンを通過するレーザ光を多重反射して、多段光干渉を形成し、前記多段光干渉を前記第二の集光レンズを介して前記第二の光電検知器に集光して、第二の干渉縞を形成するために用いられる。
【0014】
選択的に、前記検出モジュールは、エネルギー検出装置をさらに含み、前記エネルギー検出装置は、第三の光電検知器を含み、前記第三の光電検知器は、レーザ光のレーザエネルギー情報を検出し、前記レーザエネルギー情報を前記制御装置に送信するために、前記第二のビームスプリッタによってスプリットされた後の別のビームの出射方向に設置される。
【0015】
選択的に、前記制御装置は、中心波長粗測定ボードと、中心波長精密測定ボードとを含み、
前記中心波長粗測定ボードは、それぞれ前記第一の光電検知器及び前記中心波長精密測定ボードと繋がり、
前記中心波長粗測定ボードは、前記第一の光電検知器によって送信される干渉縞情報を取得し、前記第一の光電検知器によって送信される干渉縞情報に基づいて、前記レーザ波長の粗測定値を取得し、前記レーザ波長の粗測定値を前記中心波長精密測定ボードに送信するために用いられ、
前記中心波長精密測定ボードは、第二の光電検知器とも繋がり、
前記中心波長精密測定ボードは、前記第二の光電検知器によって送信される第二の干渉縞情報を取得し、前記第二の干渉縞情報に基づいて、前記中心波長粗測定ボードによって送信される中心波長粗測定値を取得し、前記第二の干渉縞情報と前記中心波長の粗測定値に基づいて、前記中心波長の精密測定値を取得するために用いられる。
【0016】
選択的に、前記制御装置は、レーザ同調コントローラをさらに含み、前記レーザ同調コントローラは、前記ビーム増幅装置が前記中段格子に照射するビームの角度を調節するために、前記ビーム増幅装置の少なくとも一つのデバイスと繋がる。
【0017】
選択的に、前記レーザ同調コントローラは、具体的に、取得される中心波長の精密測定値と中心波長ターゲット値との差分値に基づいて前記ビーム増幅装置の少なくとも一つのデバイスの回転を調節することによって、前記中段格子に照射されるビームの角度を調整するために用いられる。
【0018】
選択的に、前記制御装置は、エネルギー測定ボードと、高圧電源コントローラとを含み、
前記エネルギー測定ボードは、それぞれ前記高圧電源コントローラ及び前記第三の光電検知器と繋がり、
前記エネルギー測定ボードは、前記第三の光電検知器によって送信されるレーザエネルギー情報を受信し、前記レーザエネルギー情報に基づいて前記エキシマレーザ装置から出力されるレーザエネルギー情報を取得し、前記レーザエネルギー情報を前記高圧電源コントローラに送信するために用いられ、前記高圧電源コントローラは、前記レーザエネルギー情報を受信し、前記レーザエネルギー情報に基づいて前記放電共振空胴によって放出されるレーザエネルギーを制御するために、前記放電共振空胴と繋がる。
【発明の効果】
【0019】
従来の技術に比べて、本出願は、以下の利点を有する。
【0020】
本出願による高安定性エキシマレーザ装置は、放電共振空胴と、線幅狭圧モジュールと、検出モジュールと、制御モジュールとを含み、前記線幅狭圧モジュールは、前記放電共振空胴の第一側のレーザ光出射方向に沿って順に設置されるビーム増幅装置と中段格子とを含み、前記検出モジュールは、中心波長精密測定装置と中心波長粗測定装置とを含み、ここで、前記中心波長粗測定装置は、反射装置と、ビーム集光装置と、第一の光電検知器とを含み、前記反射装置は、前記放電共振空胴の第一側から出射される一部のビームを前記中段格子に伝送するために用いられ、前記ビーム集光装置は、前記一部のビームを前記中段格子の出射光を介して集光した後に前記第一の光電検知器に伝送するために、前記中段格子の出射方向に設置され、前記中心波長精密測定装置は、前記第二側から出射されるレーザビームを受信し、中心波長を精密測定するために、前記放電共振空胴の第一側に対向する第二側に設置され、前記制御モジュールは、前記中心波長精密測定装置と中心波長粗測定装置の測定結果に基づいて、放電共振空胴におけるパラメータを調整するために、前記放電共振空胴、前記中心波長精密測定装置及び中心波長粗測定装置にそれぞれ接続される。
【0021】
本出願による高安定性エキシマレーザ装置は、線幅狭圧モジュール、中心波長粗測定装置、及び検出モジュール、中心波長精密測定装置により、エキシマレーザの中心波長をリアルタイムで精確に測定することを実現し、前記エキシマレーザの中心波長が予め設定される中心波長を満たしていない場合に、エキシマレーザの中心波長が予め設定される中心波長を満たすように、前記駆動調節モジュールにより、前記線幅狭圧モジュールによる調節を制御する。上記装置は、エキシマレーザの中心波長のクローズドループフィードバックを実現し、レーザの作動中の安定性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本出願の実施例による高安定性エキシマレーザ装置の構造概略図である。
図2】本出願の実施例による放電共振空胴の構造概略図である。
図3】本出願の実施例による線幅狭圧モジュールと中心波長粗測定装置の構造概略図である。
図4】本出願の実施例による中心波長の精密測定モジュールの構造概略図である。
図5】本出願の実施例によるFPエタロンが第二の干渉縞を発生させる概略図である。
図6】本出願の実施例によるエキシマレーザ装置によって放出されるエネルギーと中心波長のクローズドループ制御フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本出願を十分に理解しやすくするために、以下の記述において多くの具体的な詳細を記述している。しかしながら、本出願は、ここで記述されたものとは異なる多くの他の方式で実施することができ、当業者は、本出願の趣旨を逸脱することなく、同様に推論することができるため、本出願は、以下に開示される具体的な実施例に制限されない。
【0024】
本出願で使用される用語は、ただ特定の実施例に記述された目的のためにのみ用いられるものであり、本出願を制限することを意図するものではない。本出願と添付される特許請求の範囲に使用される記述方式、例えば、「一種」、「第一」と「第二」などは、数量上の限定又は順序上の限定ではなく、同一タイプの情報を互いに区別するために用いられる。
【0025】
本出願による高安定性エキシマレーザ装置は、線幅狭圧モジュール、中心波長粗測定装置、検出モジュール及び中心波長精密測定装置により、エキシマレーザの中心波長をリアルタイムで精確に測定することを実現し、前記エキシマレーザの中心波長が予め設定される中心波長から外れる場合に、エキシマレーザの中心波長が予め設定される中心波長を満たすように、線幅狭圧モジュールによって調節してもよい。上記装置は、エキシマレーザの中心波長のクローズドループフィードバックを実現し、レーザの作動中の安定性を向上させる。
【0026】
本出願による高安定性エキシマレーザ装置を理解しやすくするために、以下では、図1図2図3図4を結び付けて本出願による高安定性レーザ装置について紹介する。
【0027】
ここで、図1は、本出願の実施例による高安定性エキシマレーザ装置の構造概略図である。図2は、本出願の実施例による放電共振空胴の構造概略図である。図3は、本出願の実施例による線幅狭圧モジュールと中心波長粗測定装置の構造概略図である。図4は、本出願の実施例による中心波長の精密測定モジュールの構造概略図である。
【0028】
本実施例では、前記高安定性エキシマレーザは、放電共振空胴1と、線幅狭圧モジュール2と、検出モジュール3と、制御モジュール4とを含む。
【0029】
放電共振空胴1内には、ポンプ装置27と、ポンプ装置27と繋がる電極(EL)とが設置され、放電共振空胴1内には、不活性ガスとハロゲンガスとの混合ガスが充填され、例えば波長193nmのレーザの場合、その放電共振空胴1の内部は、フッ素(F)とアルゴン(Ar)との混合ガスであり、また、例えば、波長248nmのレーザの場合、その放電共振空胴1の内部は、フッ素(F)とクリプトン(Kr)との混合ガスである。
【0030】
エキシマレーザの作動中に、放電共振空胴1内の混合ガスは、ポンプ装置27が発生する電気パルスの作用で、レーザ光を発生させ、レーザ光は、放電共振空胴の両側の反射鏡によって反射されて、共振増幅を実現する。このレーザ光は、放電共振空胴1の第一側(本実施例では、図1の右側、即ち線幅狭圧モジュール2に向かう側を第一側とする)から線幅狭圧モジュール2に入射する。しかしながら、上記不活性ガスとハロゲンガスとの混合ガスが電気パルスの作用で発生するレーザ光の自然幅は、約数百ピコメートルであるため、放電共振空胴1の他方側によって放出されるレーザ光のスペクトルを要求に適合させるために、さらに線幅狭圧モジュール2を利用してその発生するレーザ光のスペクトルを狭圧処理する必要がある。
【0031】
放電共振空胴1の両側の光出射口には、CaF又は溶融石英を材料とする窓状ウェブ10が取り付けられており、窓状ウェブ10と放電共振空胴1の中軸線との間のなす角がブルースター角を呈し、それによって窓状ウェブと出射レーザ光との間の反射を減少させ、レーザから出射されるレーザ光のエネルギーと偏光度を向上させる。
【0032】
線幅狭圧モジュール2は、放電共振空胴1の第一側のレーザ光出射方向に沿って順に設置されるビーム増幅装置5と、中段格子6とを含む。
【0033】
ビーム増幅装置5は、線幅狭圧モジュール2に入るレーザ光をビーム増幅して、レーザ光を中段格子6に照射する発散角を減少させるために、若干の直角三角プリズム群からなる。
【0034】
ビーム増幅装置5は、線幅狭圧モジュール2の肝心な部材であり、狭い線幅レーザ光を取得する重要な素子でもある。ビーム増幅装置5の各プリズムは、中段格子6の間に入射するレーザ光をビーム増幅し、そのビーム増幅倍数は、一般的には30から60倍であるとともに、プリズム自体の分散特性は、入射スペクトルに対しても一定の発散機能を有し、それによって中段格子6の後続の分光に前提準備を提供している。ビーム増幅装置5によりビーム増幅された後、レーザビームの発散角が圧縮されて、中段格子6の表面に照射されるビーム発散角を減少させる。
【0035】
また、ビーム増幅装置5における各プリズムの透過率を増加させるために、ビーム増幅装置5の各プリズム表面には、反射防止膜をメッキして、プリズムの透過率を増加させてもよい。
【0036】
中段格子6は、反射式エシェロン格子とも呼ばれ、中段格子は、体積が小さく、分散能力が強く、回折効率が高いという特徴を有する。中段格子6は、具体的に、ビーム増幅装置5を透過して中段格子6に照射されるレーザ光を分散させて、異なる波長の光で出射角方向に沿って展開するために用いられる。ビームを中段格子6の表面に照射する時に、その入射光と回折光は、以下のような格子方程式(1)を満たす。
【0037】
式1
ここで、λは、レーザの中心波長であり、θは、ビームの中段格子6における入射角であり、βは、ビームの出射角であり、dは、格子定数であり、nは、線幅制御装置におけるガス屈折率であり、mは、干渉次数である。
【0038】
式(1)から分かるように、ビーム増幅装置5を介して中段格子6に入射する異なる波長の光が異なる角度に沿って展開するため、波長範囲が狭い光の一部のみは、元の経路で放電共振空胴1に戻ることができる。放電共振空胴1の線幅狭圧モジュール2に対向する他端には、出力結合鏡11がさらに取り付けられており、出力結合鏡11と線幅狭圧モジュール2とは、より大きな共振空胴を構成し、元の経路で戻る光を発振増幅することによって、より線幅の狭いレーザ光出力を発生させる。この時、入射ビームの入射角と出射角が等しく、中段格子のブレーズ角θに基本的に等しいため、ビーム増幅装置5のプリズム群の増幅倍数をM、線幅狭圧モジュール2に入射するビーム角度分布をf(θ)とすると、中段格子から出射するスペクトルが角度に沿う分布は、以下のような式(2)となる。
【0039】
式2
より狭いスペクトルを実現するために、中段格子のブレーズ角は、一般的には75°よりも大きいとともに、放電キャビティDCの両端にスリットを加え、さらにレーザの発散角を圧縮し、線幅狭圧モジュールを通過したレーザスペクトルは、大幅に狭圧され、0.15から0.5pm程度に達し、このレーザ光波長は、半導体製造におけるフォトエッチング光源の需要を満たすことができる。
【0040】
本実施例の高安定性エキシマレーザ装置は、検出モジュール3をさらに含み、検出モジュール3は、中心波長粗測定装置3bと中心波長精密測定装置3aとを含む。本実施例では、中心波長粗測定装置は、反射装置7と、ビーム集光装置8と、第一の光電検知器9とを含む。反射装置7は、放電共振空胴1の第一側から出射される一部のビームを中段格子6に伝送するために用いられ、ビーム集光装置8は、前記一部のビームを中段格子6の出射光を介して集光した後に第一の光電検知器9に伝送するために、中段格子6の出射方向に設置され、
図1図3に示すように、放電共振空胴1の第一側から出射されるレーザ光をビーム増幅装置5における一番目のプリズムに照射した後、大部分の光は、この一番目のプリズムを通過して二番目のプリズムに伝播するが、一部の光は、一番目のプリズム入射表面において反射が発生する。説明すべきこととして、プリズム群の各プリズム表面には反射防止膜をメッキしていても、一部の光に反射が発生し、本出願は、反射の発生するこの部分光を利用してエキシマレーザの中心波長に対する粗測定プロセスを完了する。
【0041】
図1図3を引き続き参照すると、反射装置7は、一番目のプリズムの入射面が入射光を反射する反射光路に設置され、反射後の光が反射装置7に照射され、反射装置7は、平面鏡又は反射プリズムであってもよい。この反射装置7が反射光を受信した後に反射光を中段格子6に二次反射するように、反射装置の放置角度を設定する。前述したように、本実施例では、中段格子6は、中段格子である。反射装置7を介して中段格子に伝送されるこの部分のビームは、経ビーム増幅装置5を介して中段格子6に照射される光の入射角と異なり、中段格子のブレーズ角θよりも小さく、入射角をθとすると、この部分の光は、依然として中段格子6によって分散され、ここで、一つの次数(m1)のビームは、出射角βで出射され、その入射光と出射光は、依然として上記式(1)の格子方程式を満たし、即ち、
【0042】
中段格子6を通過した出射光は、ビーム集光装置8に照射され、ビーム集光装置8によって第一の光電検知器9の感光素子表面に集光され、第一の干渉縞が発生する。本実施例では、ビーム集光レンズ8は、凸レンズ(群)又は凹面鏡であってもよく、凸レンズ表面には、反射防止膜をメッキしてもよく、凹面鏡作動面の表面には、反射減少膜をメッキしてもよい。第一の光電検知器9は、具体的に電荷結合素子(charge-coupled device、CCD)である。本出願の実施例では、第一の光電検知器9は、第一の干渉縞を対応する第一の干渉縞情報に変換し、第一の干渉縞情報を以下のような制御モジュール4に送信するために用いられる。本出願の一つの選択的な実施例では、第一の光電検知器9は、ラインアレイCCDを採用し、
放電共振空胴1のレーザ光の波長が変化した時に、反射装置7によって反射された後に中段格子6の表面に照射される光(第一経路ビームと称する)の出射角βと波長λは、以下の式(3)を満たし、
式3
ここで、△λは、中心波長の変化値であり、nは、線幅狭圧装置におけるガス屈折率であり、△βは、レーザ光の出射角の変化値であり、mは、干渉次数であり、dは、格子定数である。
【0043】
さらに、ビーム集光装置8の焦点距離をf、第一の干渉縞のピーク位置をxとすると、干渉縞のピーク変化とレーザの中心波長の変化は、以下の式(4)を満たし、
式4
ここで、△λは、中心波長の変化値であり、△xは、第一の干渉縞ピークの変化値であり、βは、レーザ光の出射角である。
【0044】
上記式(4)から分かるように、エキシマレーザの中心波長の変化は、第一の干渉縞のピーク位置の変化に比例しており、第一の光電検知器9は、第一の干渉縞情報を収集してそれを制御モジュール4に送信し、制御モジュール4は、第一の干渉縞情報に基づいて第一の干渉縞のピーク位置を計算して取得することができ、エキシマレーザの中心波長変化△λの粗測定値を得ることができる。中心波長λ=λ+△λであり、λが中心波長の理論値であるため、中心波長の粗測定値を得る。
【0045】
上記の実施例では、オンライン幅狭圧モジュールにおけるプリズムと中段格子を共有することにより、レーザの線幅狭圧と中心波長粗測定を同時に実現している。以下のように、この中心波長粗測定は、中心精確測定と組み合わせて、共振空胴中心波長の同調を実現することができる。この方案により、レーザ全体の構造がコンパクトになり、安定性と正確性を大幅に向上させる。そのため、構造をよりコンパクトにするために、前記の反射装置7(又は反射装置7とビーム集光装置8)は、前記線幅狭圧モジュール2の内部に設置されてもよい。無論、上記部材は、線幅狭圧モジュール2の外部に設置されてもよく、当業者は、実際の必要に応じて調整することができる。
【0046】
前述したように、本実施例では、ビーム増幅装置の一番目のプリズムの反射光を利用し、他の実施例では、第一側から出力されるビーム分光から粗測定に用いられるビームを直接取得してもよく、又はビーム増幅装置のプリズム群のうちのいずれか一つのプリズムの反射面の反射光を利用してもよく、ここでこれ以上説明せず、第一側から出力されるビームの一部のビームを利用し、線幅狭圧装置の中段格子6と組み合わせて中心波長粗測定を実現する任意の方案は、いずれも本出願の保護範囲内に含まれる。
【0047】
なお、好ましくは、第一の光電検知器9は、オンライン幅狭圧モジュール2の外部に取り付けられて、第一の光電検知器9の回路基板と電子素子による線幅狭圧モジュール2への汚染を防止する。
【0048】
また、本出願の実施例による線幅狭圧モジュール2は、中心波長の同調を実現することもでき、ビーム増幅装置5を介して中段格子6に入射する波長範囲の狭い一部の光は、元の経路で放電共振空胴1に戻り、この時にこの部分のビームの出射角度は、入射角度と同じであり、ビーム増幅装置5を透過して光が中段格子6に入射するレーザ光の入射角をθとすると、式(1)の格子方程式から分かるように、この時のレーザ光の波長λは、以下の式(5)を満たし、
式5
ここで、nは、線幅狭圧モジュール2におけるガス屈折率であり、mは、干渉次数であり、dは、格子定数である。
【0049】
それによって分かるように、光が中段格子に入射する角度を変えることによって、レーザの中心波長を変えることができる。図1図3に示すように、プリズム群の最後のプリズムの角度を変えると、このプリズムによって屈折される光の角度も変化し、中段格子に入射する角度も変化し、それによってレーザの中心波長を変え、無論、最後のプリズムを回転させることに加え、プリズム群のうちの他のいずれか一つのプリズムを回転させても、同様に中心波長の同調を実現することができる。制御機構によって、プリズムの回転を制御することができ、以下は、具体的に記述する。
【0050】
また、上記式(4)と(5)から分かるように、レーザの中心波長の粗測定と同調は、いずれも線幅狭圧モジュール2の内部のガスのガス屈折率nに関連しており、屈折率が変化すると、レーザの中心波長の変化を引き起こすとともに、粗測定波長の変化も引き起こす。一方、レーザから出射された後にオンライン幅狭圧モジュール2内にスプリットされるビームを利用してエキシマレーザの中心波長を粗測定することは、中心波長の粗測定と同調過程において取得するガス屈折率nが一致することを意味する。そのため、本出願によるエキシマレーザ波長の粗測定装置3bは、ガス屈折率の変化による粗測定誤差をなくし、中心波長粗測定時の粗測定精度を向上させることができる。
【0051】
なお、本出願の実施例では、検出モジュール3は、中心波長精密測定装置3aをさらに含む。本実施例では、中心波長精密測定装置3aは、放電共振空胴1の第一側に対向する第二側に設置される。図1に示すように、出力結合鏡11は、放電共振空胴1第二側に設置される。中心波長精密測定装置3aは、具体的に、エキシマレーザの出力結合鏡11から出射される線幅の狭いレーザ光の第二の干渉縞情報を取得するために用いられる。
【0052】
図1図4に示すように、中心波長精密測定装置3aは、第一のビームスプリッタ12と、光ホモジナイザ13と、第二のビームスプリッタ14と、コリメーティングレンズ15と、FPエタロン16と、第二の集光レンズ17と、第二の光電検知器18とを含む。
【0053】
第一のビームスプリッタ12は、放電共振空胴1の第二側から発射されるレーザ光を受信し、放電共振空胴1の第二側から発射されるレーザ光をスプリットし、スプリット後のそのうちの1つのレーザ光を光ホモジナイザ13に照射するために用いられる。ここで、光ホモジナイザ13は、統合ロッド、マイクロレンズアレイ又は回折光学素子であってもよく、これらの複数の素子の組み合わせであってもよい。入射するビームを均一化することを目的とする。
【0054】
均一化後の光は、第二のビームスプリッタ14によってスプリットされ、一部がコリメーティングレンズ15に入り、コリメーティングレンズ15によってコリメートされてFPエタロン16に入る。
【0055】
FPエタロン16は、高さが平行な2枚の高反射鏡からなり、ビームは、FPエタロン16に入った後、FPエタロン16の2枚の高反射鏡による多重反射を介して、多段光干渉を形成し、最終的に第二の集光レンズ17を介して、第二の光電検知器18の表面に集光して、第二の干渉縞を形成する。ここで、第二の集光レンズ17は、平凸レンズ又は両凸レンズであってもよく、1群のレンズであってもよい。また、中心波長精密測定装置3aの体積を減少させるために、第二の集光レンズ17と第二の光電検知器18との間には、光を反射するための反射鏡26がさらに取り付けられている。
【0056】
図5を参照すると、それは、本出願の実施例によるFPエタロンが第二の干渉縞を発生させる概略図である。図5に示すように、dFPは、FPエタロンの二つの高反射鏡の間のピッチであり、fは、第二の集光レンズ17の焦点距離であり、rは、第二の干渉縞の半径である。レーザビームは、FPエタロン16と第二の集光レンズ17を通過した後に第二の光電検知器18において第二の干渉縞を形成する。
【0057】
λをレーザが出力するレーザ光の中心波長、nをFPエタロン内のガス屈折率、mをFPエタロンの干渉縞の次数とすると、第二の干渉縞は、以下の式(6)を満たし、
式6
これで分かるように、第二の光電検知器18は、第二の干渉縞を対応する第二の干渉縞情報に変換した後、第二の干渉縞情報を下記の制御モジュールに送信した後、第二の干渉縞の半径rを算出することができ、上記式に基づいてエキシマレーザの中心波長を算出することができる。さらに、FPエタロン16の干渉縞の次数mが整数であるため、異なるmを選択して、エキシマレーザの中心波長の精密測定値群を取得することができる。同時に、エキシマレーザの中心波長の精密測定値群における各精密測定値とエキシマレーザの中心波長の粗測定値とを比較し、エキシマレーザの中心波長の最終結果として、中心波長粗測定値に最も近い精密測定値を取得する。
【0058】
また、FPエタロン16の異なる干渉次数から算出される中心波長の値がいずれも中心波長粗測定値に近くて、干渉次数を決定しにくいことを回避するために、中心波長の粗測定値の精度をFPエタロン16のフリースペクトラルレンジの1/2よりも高くする必要がある。
【0059】
エキシマレーザの中心波長の最終結果を決定した後、制御装置4は、エキシマレーザの中心波長の最終結果とターゲット中心波長とを比較し、算出されるエキシマレーザの中心波長の最終結果がターゲット中心波長と異なる場合、制御装置4は、線幅狭圧モジュール2におけるビーム増幅装置5におけるプリズムの回転を駆動して、前述図1における中段格子に入射する入射角を変え、中心波長の偏差値を補償してもよい。具体的には、上記制御プロセスを実現するために、ビーム増幅装置5に含まれる少なくとも一つのプリズムに回転機構を取り付けてもよく、制御モジュール4は、回転機構19と繋がって、制御モジュール4の制御下で回転機構によってプリズムを回転させる。
【0060】
なお、検出モジュールは、レーザ出力のエネルギー検出を行うエネルギー検出装置をさらに含み、本実施例では、エネルギー検出装置は、図1に示す第三の光電検知器20である。第三の光電検知器20は、CCDであってもよい。具体的には、第三の光電検知器20によって、第二のビームスプリッタ14がビームをスプリットした後の別のビームを受信して、レーザビームエネルギーに対する検知を実現し、第三の光電検知器20は、下記の制御モジュール4における関連する制御ユニットにも接続されて、この部分の光の光強度信号を電気信号に転化して制御モジュール4に送信し、制御モジュール4によって、放電共振空胴における高圧電極の制御を制御することができる。
【0061】
図1を引き続き参照すると、本実施例の制御モジュール4は、中心波長粗測定ボード21と、中心波長精密測定ボード22と、レーザ同調コントローラ23と、エネルギー測定ボード24と、高圧電源コントローラ25とを含む。無論、制御モジュール4は、前述アセンブリのうちの一部のアセンブリを含んでもよい。例えば、中心波長粗測定ボード21と、中心波長精密測定ボード22と、レーザ同調コントローラ23とのみを含む。
【0062】
中心波長粗測定ボード21は、それぞれ第一の光電検知器9、中心波長精密測定ボード22と繋がり、中心波長精密測定ボード22は、第二の光電検知器18の出力端及びレーザ同調コントローラ23の入力端とも繋がり、レーザ同調コントローラ23は、線幅狭圧モジュール2におけるプリズム群の制御機構に接続され、この制御機構は、プリズム群のうちの一つ又はいくつかのプリズムの回転を制御することによって、中段格子に照射される入射光の角度を変えることができる。
【0063】
中心波長粗測定ボード21は、第一の光電検知器9から出力される第一の干渉縞情報を受信し、第一の干渉縞情報に基づいて中心波長の粗測定値を取得し、さらに中心波長の粗測定値を中心波長精密測定ボード22に送信する。
【0064】
中心波長精密測定ボード22は、第二の光電検知器18から出力される第二の干渉縞情報を受信し、第二の干渉縞情報に基づいて中心波長の精密測定値群を取得するとともに、中心波長の精密測定値群と中心波長の粗測定値とを比較して、エキシマレーザの中心波長の最終結果として、中心波長粗測定値に最も近い精密測定値を取得する。中心波長の最終結果を取得し、レーザ同調コントローラ23に送信し、レーザ同調コントローラ23は、中心波長の最終結果と予め設定されるターゲット中心波長とを比較して、対応する調節パラメータを取得し、対応する調節パラメータに基づいて線幅狭圧モジュール2を制御して中心波長を調節する。具体的には、調節パラメータは、プリズム回転角度であってもよく、そしてレーザ同調コントローラ23は、プリズムの回転機構を駆動して、中心波長の偏差値を補償し、中心波長のクローズドループフィードバックを実現しており、中心波長の測定とフィードバック精度及びクローズドループフィードバックユニットの速度を高めることにより、エキシマレーザの中心波長安定性を効果的に高めることができ、それによってマスクアライナの光源波長安定性に対する需要を満たすことができる。
【0065】
なお、エネルギー検出ボード24の入力端は、第三の光電検知器20の出力端と繋がり、エネルギー検出ボード24の出力端は、高圧電源コントローラ25の入力端と繋がり、高圧電源コントローラ25の出力端は、放電共振空胴1のポンプ装置27と繋がる。エネルギー検出ボード24は、第三の光電検知器20から出力される電気信号に基づいてエキシマレーザによって放出されるエネルギー情報を決定し、このエネルギー情報と予め設定されるエネルギー情報との間の差分値を計算し、さらに高圧電源コントローラ25によって、ポンプ装置27によって放出される電圧を調整して、エキシマレーザによって放出されるエネルギーを調節する。
【0066】
本出願の実施例の高安定性エキシマレーザ装置は、オンライン幅狭圧モジュール2におけるプリズムと中段格子6を共有することによって、レーザスペクトル狭圧、中心波長粗測定と同調を実現しており、中心波長の粗測定と同調は、同一の環境にあり、ガス屈折率の変化による測定誤差とフィードバック誤差をなくし、中心波長測定精度とレーザ安定性を高めることができる。同時に、中心波長精密測定装置は、1経路のみのFPエタロン16とエネルギー測定アセンブリがあり、構造がコンパクトであり、体積が小さく、検出モジュール内部のガスの安定性を高めるのに有利であり、レーザエネルギーと中心波長の測定精度と安定性を向上させ、レーザの性能と長期安定性を保障する。
【0067】
制御モジュール4は、レーザの中心波長を算出し、中心波長ターゲット値と比較し、そしてプリズム回転角度を算出し、そしてプリズムの回転機構19を駆動して、中心波長の偏差値を補償することにより、中心波長のクローズドループフィードバックを実現しており、エキシマレーザの中心波長安定性を効果的に高めることができる。エネルギーフィードバック制御リンクによって、レーザエネルギーを算出し、高圧電源の調整を必要とする電圧値を算出して、放電共振空胴1のポンプ装置27を制御し、レーザのエネルギークローズドループフィードバックを実現し、レーザエネルギー又は線量の安定性を実現する。
【0068】
本出願の別の実施例は、高安定性エキシマレーザ装置をさらに提供し、それは、放電共振空胴1と、線幅狭圧モジュール2と、検出モジュールと、制御モジュール4とを含み、線幅狭圧モジュール2は、放電共振空胴1の第一側のレーザ光出射方向に沿って順に設置されるビーム増幅装置5と中段格子6とを含み、検出モジュールは、それぞれ前記放電共振空胴1の出射光中心波長に対して精密測定と粗測定を行うための中心波長精密測定装置3aと中心波長粗測定装置3bとを含み、制御モジュール4は、中心波長精密測定装置3aと中心波長粗測定装置3bの測定結果に基づいて、放電共振空胴1におけるパラメータを調整するために、それぞれ放電共振空胴1、中心波長精密測定装置3aと中心波長粗測定装置3bに接続され、制御モジュール4は、レーザ同調コントローラ23をさらに含み、レーザ同調コントローラ23は、ビーム増幅装置5が中段格子に照射するビームの角度を調節するために、ビーム増幅装置5の少なくとも一つのデバイスと繋がる。
【0069】
上記のエキシマレーザ装置によって放出されるエネルギーと中心波長の制御を理解しやすくするために、以下では、図6を結び付けて上記制御プロセスについて紹介する。図6を参照すると、それは、本出願の実施例によるエキシマレーザ装置によって放出されるエネルギーと中心波長のクローズドループ制御フローチャートである。
【0070】
上記プロセスは、レーザが正常に作動していることを前提に、以下のようなステップを実行する。
【0071】
ステップS601、エキシマレーザ装置の中心波長とエネルギーを測定する。
【0072】
ステップS602、中心波長とターゲット中心波長との間の差分値、及びエネルギーとターゲットエネルギーとの間の差分値をそれぞれ計算し、中心波長とターゲット中心波長との間の差分値、及びエネルギーとターゲットエネルギーとの間の差分値に基づいて、線幅狭圧モジュール5に対するプリズム調節パラメータとポンプ装置27に対する電圧調節パラメータを取得する。
【0073】
ステップS603、プリズム調節パラメータと電圧調節パラメータが予め設定されるパラメータ閾値よりも大きいかどうかをそれぞれ判断する。
【0074】
ステップS604、プリズム調節パラメータと電圧調節パラメータが予め設定されるパラメータ閾値以下である場合、エキシマレーザ装置が光出射状態にあるかどうかを判断し続ける。
【0075】
ステップS605、エキシマレーザ装置が光出射状態にある場合、ステップS602に戻る。エキシマレーザ装置が光出射状態にない場合、制御フローを終了する。
【0076】
ステップS606、プリズム調節パラメータと電圧調節パラメータが予め設定されるパラメータ閾値よりも大きい場合、プリズム調節パラメータと電圧調節パラメータに基づいて、線幅狭圧モジュール5のプリズム角度とポンプ装置27によって放出される電圧を調整し、ステップS605を実行する。
【0077】
以上のように、本出願の実施例による高安定性エキシマレーザ装置は、線幅狭圧モジュール5、中心波長粗測定装置3b、及び制御モジュール4、中心波長精密測定装置3aによって、エキシマレーザの中心波長をリアルタイムで精確に測定することを実現し、エキシマレーザの中心波長が予め設定される中心波長を満たしていない場合に、エキシマレーザの中心波長が予め設定される中心波長を満たすように、制御モジュール4によって線幅狭圧モジュール2による調節を制御する。上記装置は、エキシマレーザの中心波長のクローズドループフィードバックを実現し、レーザの作動中の安定性を向上させる。
【0078】
本出願は、好ましい実施例として上記のように開示されているが、それは、本出願を限定するものではなく、いかなる当業者も、本出願の精神と範囲から逸脱することなく、可能な変更と修正を行うことができるため、本出願の保護範囲は、本出願の請求項によって定義される範囲に準ずるべきである。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】