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特表2024-526254医用分析装置デバイスの保守を促進するための方法および装置
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  • 特表-医用分析装置デバイスの保守を促進するための方法および装置 図1
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  • 特表-医用分析装置デバイスの保守を促進するための方法および装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】医用分析装置デバイスの保守を促進するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
G01N35/00 F
G01N35/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580656
(86)(22)【出願日】2022-06-15
(85)【翻訳文提出日】2024-02-28
(86)【国際出願番号】 EP2022066377
(87)【国際公開番号】W WO2023274733
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】21182330.7
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
2.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】500554782
【氏名又は名称】ラジオメーター・メディカル・アー・ペー・エス
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【弁理士】
【氏名又は名称】末松 亮太
(74)【代理人】
【識別番号】100195408
【弁理士】
【氏名又は名称】武藤 陽子
(72)【発明者】
【氏名】デーニエルスン,マーティン・タンダル・スリチャン
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058GD01
2G058GD05
2G058GD06
2G058GE05
2G058GE06
2G058GE08
2G058GE09
2G058HA04
(57)【要約】
医用分析装置デバイスの保守を促進するためのコンピュータ実装の方法が開示される。本方法は、複数の医用分析装置デバイスによって複数の既定のQC試料に対して実施される複数の品質管理(QC)測定と関連付けられた複数の測定結果を取得するステップを含む。各QC試料は、既定の標的範囲と関連付けられ、各医用分析装置デバイスは、医用分析装置デバイスのピアグループと関連付けられる。本方法は、各医用分析装置デバイスについて、少なくとも1つのQC測定パラメータの逸脱を特定するために、取得した測定結果を関連付けられたピアグループの測定結果に対して評価するステップをさらに含む。次いで、既定のしきい値を上回る逸脱が特定される場合、本方法は、医用分析装置デバイスのアクションログを取得するステップをさらに含む。アクションログは、医用分析装置デバイスと関連付けられた任意の以前に伝送された保守アクションを示すデータを含む。さらには、本方法は、特定された逸脱と関連付けられるQC測定パラメータのタイプに基づいて、特定された逸脱と関連付けられた医用分析装置デバイスのための少なくとも1つの提案保守アクションを取得するステップを含む。本方法は、取得したアクションログに基づいて、少なくとも1つの提案保守アクションから、特定された逸脱と関連付けられた医用分析装置デバイスのための保守アクションを選択するステップをさらに含む。さらには、本方法は、特定された逸脱と関連付けられた医用分析装置デバイスを管理するためのデバイスに、医用分析装置デバイスのための選択した保守アクションを実行するための命令を示すデータを伝送するステップを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用分析装置デバイスの保守を促進するためのコンピュータ実装の方法(S100、S200)であって、
複数の医用分析装置デバイスによって複数の既定のQC試料に対して実施される複数の品質管理(QC)測定と関連付けられた複数の測定結果を取得するステップ(S101)であって、各QC試料は、既定の標的範囲と関連付けられ、各医用分析装置デバイスは、医用分析装置デバイスのピアグループと関連付けられる、ステップ(S101)と、
各医用分析装置デバイスについて、
少なくとも1つのQC測定パラメータの逸脱を特定するために、前記取得した測定結果を前記関連付けられたピアグループの測定結果に対して評価するステップ(S102)と、
既定のしきい値を上回る逸脱が特定される場合、
前記医用分析装置デバイスのアクションログを取得するステップ(S103)であって、前記アクションログは、前記医用分析装置デバイスと関連付けられた任意の以前に伝送された保守アクションを示すデータを含む、ステップ(S103)と、
前記特定された逸脱と関連付けられるQC測定パラメータのタイプに基づいて、前記特定された逸脱と関連付けられた前記医用分析装置デバイスのための少なくとも1つの提案保守アクションを取得するステップ(S104)であって、前記少なくとも1つの保守アクションを取得するステップ(S104)は、前記特定された逸脱と関連付けられる前記QC測定パラメータのタイプのパラメータグループを特定するステップ(S108)、および前記特定されたパラメータグループに基づいて、少なくとも1つの提案保守アクションを取得するステップ(S109)をさらに含む、ステップ(S104)と、
前記取得したアクションログに基づいて、前記少なくとも1つの提案保守アクションから、前記特定された逸脱と関連付けられた前記医用分析装置デバイスのための保守アクションを選択するステップ(S105、S105’、S105’’)と、
前記特定された逸脱と関連付けられた前記医用分析装置デバイスを管理するためのデバイスに、前記医用分析装置デバイスのための前記選択した保守アクションを実行するための命令を示すデータを伝送するステップ(S106、S106’、S106’’)と、を含む、方法(S100、S200)。
【請求項2】
各QC測定パラメータは、既定のパラメータグループのセットのうちの1つのパラメータグループと関連付けられ、前記既定のパラメータグループのセットは、前記QC測定の性能と関連付けられる前記医用分析装置デバイスの1つまたは複数のハードウェアおよび/またはソフトウェア構成要素に基づいて形成される、請求項1に記載の方法(S100、S200)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの提案保守アクションは、順番に配置される複数の提案保守アクションを含み、前記選択した保守アクションは、前記順番に従った第1の保守アクションであり、前記方法(S100)は、
前記既定のしきい値を上回る逸脱が特定される場合、
前記第1の保守アクションの送信に対応する前記アクションログへの入力を特定するために、前記取得したアクションログをチェックするステップ(S121)と、
前記第1の保守アクションの伝送に対応する前記アクションログへの前記入力が特定される場合、および前記既定のしきい値を上回る逸脱が、前記第1の保守アクションの伝送に対応する前記アクションログへの前記入力の後の時点で特定される場合、
前記特定された逸脱と関連付けられた前記医用分析装置デバイスを管理するための前記デバイスに、前記医用分析装置デバイスのための前記複数の提案保守アクションの第2の保守アクションを実行するための命令を示すデータを伝送するステップ(S106’’)であって、前記第2のアクションは、前記順番に従った、前記第1の保守アクションに対して後続の保守アクションである、ステップ(S106’’)とをさらに含む、請求項1または2に記載の方法(S100、S200)。
【請求項4】
前記前記医用分析装置デバイスの保守ログを取得するステップ(S118)であって、前記保守ログは、前記医用分析装置デバイスの前記取得した測定結果のタイミングによって規定される時点より前の前記医用分析装置デバイスに対して実施された過去の保守アクションを示すデータを含む、ステップ(S118)と、
前記医用分析装置デバイスのための前記選択した保守アクションを示すデータを伝送するステップ(S106、106’、106’’)の後に、
前記選択した保守アクションの実行に対応する前記保守ログへの入力を特定するために、前記取得した保守ログをチェックするステップ(S123)と、
前記選択した保守アクションの実行に対応する前記保守ログへの入力が既定の期間内に特定されない場合、
前記特定された逸脱と関連付けられた前記医用分析装置デバイスを管理するための前記デバイスに、前記医用分析装置デバイスのための前記選択した保守アクションのリマインダを示すデータを伝送するステップ(S124)と、をさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法(S100、S200)。
【請求項5】
前記ピアグループの前記測定結果は、前記ピアグループと関連付けられた各QC測定のための平均測定値に関する情報を含み、前記方法(S100)は、
前記取得した複数の測定の少なくとも一部分に基づいて前記ピアグループの各QC測定のための前記平均測定値を更新するステップ(S107)をさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法(S100、S200)。
【請求項6】
前記既定のしきい値は、第1の既定のしきい値を含み、前記取得した測定結果を評価する前記ステップ(S102)は、
前記取得した測定結果を、前記関連付けられたピアグループの各QC測定のための前記平均測定値と比較するステップ(S131)と、
前記比較が前記第1の既定のしきい値を上回る差を示す場合、逸脱が特定されたと決定するステップ(S134)と、を含む、請求項5に記載の方法(S100、S200)。
【請求項7】
前記取得した測定結果は、前記複数の医用分析装置デバイスの各々のための前記測定結果の経時的な変化に関する情報を含み、前記既定のしきい値は、第2の既定のしきい値を含み、前記取得した測定結果を評価する前記ステップ(S102)は、
直近の期間にわたる各QC測定パラメータのための前記測定結果を、前記直近の期間中の前記関連付けられたピアグループの各対応するQC測定のための前記平均測定値の経時的な変化と比較するステップ(S132)と、
前記比較が前記直近の期間中に前記第2の既定のしきい値を上回る差を示す場合、逸脱が特定されたと決定するステップ(S134)と、を含む、請求項5または6に記載の方法(S100、S200)。
【請求項8】
前記取得した測定結果は、前記複数の医用分析装置デバイスのための前記測定結果の経時的な変化に関する情報を含み、前記取得した測定結果を評価する前記ステップ(S102)は、
直近の期間にわたる各QC測定パラメータのための前記測定結果を、前記直近の期間中の各対応するQC測定のための前記平均測定値の経時的な変化と比較するステップ(S133)と、
前記比較が前記直近の期間中に経時的に増加する差を示す場合、逸脱が特定されたと決定するステップ(S134)と、を含む、請求項5~7のいずれか1項に記載の方法(S100、S200)。
【請求項9】
処理システムの1つまたは複数のプロセッサによって実行されるように構成される1つまたは複数のプログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体であって、前記1つまたは複数のプログラムは、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法(S100、S200)を実施するための命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項10】
医用分析装置デバイスの保守を促進するための装置(201)であって、前記装置は、制御回路(202)を備え、前記制御回路(202)は、
複数の医用分析装置デバイス(110)によって複数の既定のQC試料に対して実施される複数の品質管理(QC)測定と関連付けられた複数の測定結果を取得することであって、各QC試料は、既定の標的範囲と関連付けられ、各医用分析装置デバイス(110)は、医用分析装置デバイスのピアグループと関連付けられる、取得することと、
各医用分析装置デバイス(110)について、
少なくとも1つのQC測定パラメータの逸脱を特定するために、前記取得した測定結果を前記関連付けられたピアグループの前記測定結果に対して評価することと、
既定のしきい値を上回る逸脱が特定される場合、
前記医用分析装置デバイス(110)のアクションログを取得することであって、前記アクションログは、前記医用分析装置デバイスと関連付けられた任意の以前に伝送された保守アクションを示すデータを含む、取得することと、
前記特定された逸脱と関連付けられるQC測定パラメータのタイプに基づいて、前記特定された逸脱と関連付けられた前記医用分析装置デバイス(110)のための少なくとも1つの提案保守アクションを取得することであって、前記制御回路は、前記特定された逸脱と関連付けられた前記QC測定パラメータのタイプのパラメータグループを特定し、前記特定されたパラメータグループに基づいて、少なくとも1つの提案保守アクションを取得するようにさらに構成される、取得することと、
前記取得したアクションログに基づいて、前記少なくとも1つの提案保守アクションから、前記特定された逸脱と関連付けられた前記医用分析装置デバイス(110)のための保守アクションを選択することと、
前記特定された逸脱と関連付けられた前記医用分析装置デバイス(110)を管理するためのデバイス(101)に、前記医用分析装置デバイスのための前記選択した保守アクションを実行するための命令を示すデータを伝送することと、
をするように構成される、装置(201)。
【請求項11】
前記医用分析装置デバイスを管理するための前記デバイスは、前記デバイスに接続される1つまたは複数の医用分析装置デバイスを監視および制御するように構成される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記医用分析装置デバイスを管理するための前記デバイスは、1つまたは複数の医用分析装置デバイスを含む地理的場所と関連付けられる、請求項10または11に記載の装置。
【請求項13】
請求項10~12のいずれか1項に記載の装置を備える遠隔サーバ。
【請求項14】
請求項13に記載の1つまたは複数の遠隔サーバを備えるクラウド環境。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、臨床分析の分野、および生体試料を分析するように構成されるデバイスに関する。特に、本開示は、そのようなデバイスのための品質管理(QC)プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
臨床分析の分野では、医療従事者が試験結果および/もしくは測定結果を取得すること、または体液の試料などの被検査物を別途分析することを可能にする多種多様な電子医用分析装置が知られている。これらの分析は、例えば、全血、血清、血漿、および尿の個別試料、組織試料、または患者から取得される他のタイプの試料に対する生体外測定を含む。さらに、分析は、例えば、酸素(pO)および/または二酸化炭素(pCO)の分圧の経皮測定、ならびにまた、パルスオキシメトリ測定など、試料流に対する生体内測定を含む。一般的に、医用分析装置は、被検査物に対して、例えば、個別試料または試料流に対して、化学分析、光学分析、物理分析、または同様の分析を行うように構成されるデバイスである。そのような医用分析装置は、患者の生理的パラメータの測定など、様々な形態の臨床試験および/または分析を実施するための分析装置を含む。
【0003】
現代の臨床環境において、医用分析装置は広く使用されており、ますます多くの試験を中央検査室から実際のポイントオブケア(POC)へ移す傾向がある。これは、多数の利点を有するが、多数の課題も伴う。例えば、POC医用分析装置が動作される動作環境は、例えば、デバイスを動作させる人を制御することに関して、中央検査室の環境よりもあまり制御ができない。
【0004】
さらに、現代の医用分析装置は、定期的な品質管理(QC)を必要とし、これは、患者結果をもたらす分析プロセスを監視および評価するために使用されるプロセスと理解され得る。QC目的のために医用分析装置の機能性を試験する技術は多数存在する。しかしながら、慣習は、周期的なQC試験を実施することであり、そこでは、制御物質、QC被検査物、またはQC試料とも称され得る既知の標準試料のセットに対して測定が実施され、これらの標準試料は各々、測定結果が各QC試料について許容値の既定の範囲内に入ることを検証するために、予め決められた特徴を有する。これらの既定の範囲は、多くの場合、制御範囲と称される。
【0005】
一般には、潜在的な問題または将来の保守の必要性を特定するために、QC結果を分析する任務を負う、多くの場合ポイントオブケアコーディネータ(POCC)と称される、1または複数の専任者が存在する。より詳細には、しばしば、POCCは、QCプログラムから取得される測定結果を手動で分析し、緊急または差し迫った問題を特定し、次いで、特定の分析装置に関連したマニュアルまたは指示セットを検討することにより好適なソリューションを見つけることを試みるという任務を追う。さらには、場合によっては、所与の問題(例えば、経時的にドリフトする特定のパラメータに関した測定)では、第1のPOCCは、関連指示マニュアルに従って、疑いのある障害ハードウェア構成要素の交換によって問題を解決しようとし得る。そして、同じ問題が第2のPOCC(デバイスの保守履歴を知らない)によって特定される後の時点で、同じハードウェア構成要素が、不必要に再び交換される。故に、先行技術の保守手順は、時間効率に関して欠点が生じがちであるだけでなく、構成要素の不必要な廃棄ももたらし得、これがデバイスの浪費および関連費用を増加させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、上で論じた問題の少なくともいくつかを解決するか、または少なくとも軽減する、医用分析装置の保守を促進する新規のソリューションが当該技術分野において必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
用語「備える/備えること」(「含む/含むこと」によって置き換え可能)は、本明細書において使用されるとき、記載した特徴、整数、ステップ、または構成要素の存在を指定するものと取られるが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、構成要素、またはそれらのグループの存在または追加を除外しないということを強調したい。本明細書で使用される場合、単数形「a(1つの)」、「an(1つの)」、および「the(その)」は、文脈が別途明示的に示さない限り、複数形も含むことが意図される。
【0008】
概して、装置が本明細書内で言及される場合、それは、物理的製品、例えば、デバイスとして理解されるものとする。物理的製品は、1つもしくは複数のコントローラ、1つもしくは複数のプロセッサ、または同様のものの形態にある制御回路など、1つまたは複数の部品を備え得る。
【0009】
いくつかの実施形態の目的は、上または他の欠点のうちの少なくともいくつかを解決もしくは軽減すること、緩和すること、または除去することである。
第1の態様は、医用分析装置デバイスの保守を促進するためのコンピュータ実装の方法である。本方法は、複数の医用分析装置デバイスによって複数の既定のQC試料に対して実施される複数の品質管理(QC)測定と関連付けられた複数の測定結果を取得するステップを含む。各QC試料は、既定の標的範囲と関連付けられ、各医用分析装置デバイスは、医用分析装置デバイスのピアグループと関連付けられる。本方法は、各医用分析装置デバイスについて、少なくとも1つのQC測定パラメータの逸脱を特定するために、取得した測定結果を関連付けられたピアグループの測定結果に対して評価するステップをさらに含む。
【0010】
次いで、既定のしきい値を上回る逸脱が特定される場合、本方法は、医用分析装置デバイスのアクションログを取得するステップをさらに含む。アクションログは、医用分析装置デバイスと関連付けられた任意の以前に伝送された保守アクションを示すデータを含む。さらには、本方法は、特定された逸脱と関連付けられるQC測定パラメータのタイプに基づいて、特定された逸脱と関連付けられた医用分析装置デバイスのための少なくとも1つの提案保守アクションを取得するステップを含む。本方法は、取得したアクションログに基づいて、少なくとも1つの提案保守アクションから、特定された逸脱と関連付けられた医用分析装置デバイスのための保守アクションを選択するステップをさらに含む。さらには、本方法は、特定された逸脱と関連付けられた医用分析装置デバイスを管理するためのデバイスに、医用分析装置デバイスのための選択した保守アクションを実行するための命令を示すデータを伝送するステップを含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、特定された逸脱と関連付けられた医用分析装置デバイスのための少なくとも1つの保守アクションを取得するステップは、特定された逸脱と関連付けられるQC測定パラメータのタイプのパラメータグループを特定するステップ、および特定されたパラメータグループに基づいて少なくとも1つの提案保守アクションを取得するステップを含む。
【0012】
さらに、いくつかの実施形態において、各QC測定パラメータは、既定のパラメータグループのセットのうちの1つのパラメータグループと関連付けられる。既定のパラメータグループのセットは、QC測定の性能と関連付けられる医用分析装置デバイスの1つまたは複数のハードウェアおよび/またはソフトウェア構成要素に基づいて形成される。
【0013】
依然としてさらに、いくつかの実施形態において、少なくとも1つの提案保守アクションは、順番に配置される複数の提案保守アクションを含み、選択した保守アクションは、順番に従った第1の保守アクションである。したがって、本方法は、既定のしきい値を上回る逸脱が特定される場合、第1の保守アクションの伝送に対応するアクションログへの入力を特定するために、取得したアクションログをチェックするステップをさらに含む。次いで、第1の保守アクションの伝送に対応するアクションログへの入力が特定される場合、および既定のしきい値を上回る逸脱が、第1の保守アクションの伝送に対応するアクションログへの入力の後の時点で特定される場合、本方法は、特定された逸脱と関連付けられた医用分析装置デバイスを管理するためのデバイスに、医用分析装置デバイスのための複数の提案保守アクションの第2の保守アクションを実行するための命令を示すデータを伝送するステップをさらに含む。第2のアクションは、順番に従った、第1の保守アクションに対して後続の保守アクションである。
【0014】
いくつかの実施形態において、本方法は、医用分析装置デバイスの保守ログを取得するステップをさらに含む。保守ログは、医用分析装置デバイスの取得した測定結果のタイミングによって規定される時点より前の医用分析装置デバイスに対して実施された過去の保守アクションを示すデータを含む。さらには、医用分析装置デバイスのための選択した保守アクションを示すデータを伝送するステップの後に、本方法は、選択した保守アクションの実行に対応する保守ログへの入力を特定するために、取得した保守ログをチェックするステップをさらに含む。次いで、選択した保守アクションの実行に対応する保守ログへの入力が既定の期間内に特定されない場合、本方法は、特定された逸脱と関連付けられた医用分析装置デバイスを管理するためのデバイスに、医用分析装置デバイスのための選択した保守アクションのリマインダを示すデータを伝送するステップをさらに含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、ピアグループの測定結果は、ピアグループと関連付けられた各QC測定のための平均測定値に関する情報を含む。したがって、いくつかの実施形態において、本方法は、取得した複数の測定の少なくとも一部分に基づいてピアグループの各QC測定のための平均測定値を更新するステップをさらに含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、既定のしきい値は、第1の既定のしきい値を含み、取得した測定結果を評価するステップは、取得した測定結果を、関連付けられたピアグループの各QC測定のための平均測定値と比較するステップと、比較が第1の既定のしきい値を上回る差を示す場合、逸脱が特定されたと決定するステップとを含む。
【0017】
さらには、いくつかの実施形態において、取得した測定結果は、複数の医用分析装置デバイスの各々のための測定結果の経時的な変化に関する情報を含み、既定のしきい値は、第2の既定のしきい値を含む。したがって、いくつかの実施形態において、取得した測定結果を評価するステップは、直近の期間にわたる各QC測定パラメータのための測定結果を、直近の期間中の関連付けられたピアグループの各対応するQC測定のための平均測定値の経時的な変化と比較するステップと、比較が直近の期間中に第2の既定のしきい値を上回る差を示す場合、逸脱が特定されたと決定するステップとを含む。
【0018】
さらに、いくつかの実施形態において、取得した測定結果は、複数の医用分析装置デバイスのための測定結果の経時的な変化に関する情報を含む。したがって、いくつかの実施形態において、取得した測定結果を評価するステップは、直近の期間にわたる各QC測定パラメータのための測定結果を、直近の期間中の各対応するQC測定のための平均測定値の経時的な変化と比較するステップと、比較が直近の期間中に経時的に増加する差を示す場合、逸脱が特定されたと決定するステップとを含む。
【0019】
第2の態様は、処理システムの1つまたは複数のプロセッサによって実行されるように構成される1つまたは複数のプログラムを記憶する(非一時的な)コンピュータ可読記憶媒体であり、1つまたは複数のプログラムは、本明細書に開示される実施形態の任意の1つのよる第1の態様の方法を実施するための命令を含む。この態様では、以前に論じた第1の態様にあるものと同様の利点および好ましい特徴が存在する。
【0020】
用語「非一時的な」は、本明細書で使用される場合、伝播する電磁信号を除くコンピュータ可読記憶媒体(または「メモリ」)を説明することが意図されるが、フレーズコンピュータ可読媒体またはメモリによって包含される物理的なコンピュータ可読ストレージデバイスのタイプを別途制限することは意図されない。例えば、用語「非一時的なコンピュータ可読媒体」または「有形メモリ」は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)を含む、情報を必ずしも永久に記憶しないストレージデバイスのタイプを包含することが意図される。非一時的な形態で有形のコンピュータアクセス可能な記憶媒体に記憶されるプログラム命令およびデータは、さらに、ネットワークおよび/またはワイヤレスリンクなどの通信媒体を介して伝達され得る電気信号、電磁信号、またはデジタル信号など、伝送媒体または信号によって伝送され得る。故に、用語「非一時的な」は、本明細書で使用される場合、データ記憶持続性(例えば、RAM対ROM)に対する制限に対立するものとして、媒体自体の制限である(すなわち、有形であり、信号ではない)。
【0021】
第3の態様は、医用分析装置デバイスの保守を促進するための装置である。本装置は、複数の医用分析装置デバイスによって複数の既定のQC試料に対して実施される複数のQC測定と関連付けられた複数の測定結果を取得するように構成される制御回路を備える。各QC試料は、既定の標的範囲と関連付けられ、各医用分析装置デバイスは、医用分析装置デバイスのピアグループと関連付けられる。さらに、制御回路は、各医用分析装置デバイスについて、少なくとも1つのQC測定パラメータの逸脱を特定するために、取得した測定結果を関連付けられたピアグループの測定結果に対して評価するように構成される。
【0022】
次いで、既定のしきい値を上回る逸脱が特定される場合、制御回路は、医用分析装置デバイスのアクションログを取得するようにさらに構成され、アクションログは、医用分析装置デバイスと関連付けられた任意の以前に伝送された保守アクションを示すデータを含み、また制御回路は、特定された逸脱と関連付けられるQC測定パラメータのタイプに基づいて、特定された逸脱と関連付けられた医用分析装置デバイスのための少なくとも1つの提案保守アクションを取得するようにさらに構成される。さらには、制御回路は、取得したアクションログに基づいて、少なくとも1つの提案保守アクションから、特定された逸脱と関連付けられた医用分析装置デバイスのための保守アクションを選択し、特定された逸脱と関連付けられた医用分析装置デバイスを管理するためのデバイスに、医用分析装置デバイスのための選択した保守アクションを実行するための命令を示すデータを伝送するように構成される。この態様では、以前に論じた態様にあるものと同様の利点および好ましい特徴が存在し、その逆もまた然りである。
【0023】
いくつかの実施形態において、医用分析装置デバイスを管理するためのデバイスは、デバイスに接続される1つまたは複数の医用分析装置デバイスを監視および制御するように構成される。
【0024】
いくつかの実施形態において、医用分析装置デバイスを管理するためのデバイスは、1つまたは複数の医用分析装置デバイスを含む地理的場所と関連付けられる。
さらに、いくつかの実施形態において、制御回路は、特定された逸脱と関連付けられるQC測定パラメータのタイプのパラメータグループを特定するように、および特定されたパラメータグループに基づいて少なくとも1つの提案保守アクションを取得するように構成される。
【0025】
さらに、いくつかの実施形態において、少なくとも1つの提案保守アクションは、順番に配置される複数の提案保守アクションを含み、選択した保守アクションは、順番に従った第1の保守アクションである。したがって、いくつかの実施形態において、制御回路は、既定のしきい値を上回る逸脱が特定される場合、第1の保守アクションの伝送に対応するアクションログへの入力を特定するために、取得したアクションログをチェックするように構成される。次いで、第1の保守アクションの伝送に対応するアクションログへの入力が特定される場合、および既定のしきい値を上回る逸脱が、第1の保守アクションの伝送に対応するアクションログへの入力の後の時点で特定される場合、制御回路は、特定された逸脱と関連付けられた医用分析装置デバイスを管理するためのデバイスに、医用分析装置デバイスのための複数の提案保守アクションの第2の保守アクションを実行するための命令を示すデータを伝送するようにさらに構成される。第2のアクションは、順番に従った、第1の保守アクションに対して後続の保守アクションである。
【0026】
依然としてさらに、いくつかの実施形態において、制御回路は、医用分析装置デバイスの保守ログを取得するように構成される。保守ログは、医用分析装置デバイスの取得した測定結果のタイミングによって規定される時点より前の医用分析装置デバイスに対して実施された過去の保守アクションを示すデータを含む。次いで、医用分析装置デバイスのための選択した保守アクションを示すデータを伝送した後、制御回路は、選択した保守アクションの実行に対応する保守ログへの入力を特定するために、取得した保守ログをチェックするようにさらに構成される。したがって、選択した保守アクションの実行に対応する保守ログへの入力が既定の期間内に特定されない場合、制御回路は、特定された逸脱と関連付けられた医用分析装置デバイスを管理するためのデバイスに、医用分析装置デバイスのための選択した保守アクションのリマインダを示すデータを伝送するように構成される。
【0027】
またさらに、いくつかの実施形態において、ピアグループの測定結果は、ピアグループと関連付けられた各QC測定のための平均測定値に関する情報を含む。したがって、いくつかの実施形態において、制御回路は、取得した複数の測定の少なくとも一部分に基づいてピアグループの各QC測定のための平均測定値を更新するように構成される。
【0028】
いくつかの実施形態において、既定のしきい値は、第1の既定のしきい値を含み、制御回路は、取得した測定結果を、関連付けられたピアグループの各QC測定のための平均測定値と比較することによって、取得した測定結果を評価するように構成される。故に、制御回路は、比較が第1の既定のしきい値を上回る差を示す場合、逸脱が特定されたと決定するように構成され得る。
【0029】
いくつかの実施形態において、取得した測定結果は、複数の医用分析装置デバイスの各々のための測定結果の経時的な変化に関する情報を含み、既定のしきい値は、第2の既定のしきい値を含む。したがって、いくつかの実施形態において、制御回路は、直近の期間にわたる各QC測定パラメータのための測定結果を、直近の期間中の関連付けられたピアグループの各対応するQC測定のための平均測定値の経時的な変化と比較することによって、取得した測定結果を評価するように構成される。故に、制御回路は、比較が直近の期間中に第2の既定のしきい値を上回る差を示す場合、逸脱が特定されたと決定するように構成され得る。
【0030】
さらに、いくつかの実施形態において、取得した測定結果は、複数の医用分析装置デバイスのための測定結果の経時的な変化に関する情報を含む。したがって、いくつかの実施形態において、制御回路は、直近の期間にわたる各QC測定パラメータのための測定結果を、直近の期間中の各対応するQC測定のための平均測定値の経時的な変化と比較することによって、取得した測定結果を評価するように構成される。故に、制御回路は、比較が直近の期間中に経時的に増加する差を示す場合、逸脱が特定されたと決定するように構成され得る。
【0031】
第4の態様は、本明細書に開示される実施形態の任意の1つによる第3の態様の装置を備える遠隔サーバである。この態様では、以前に論じた態様にあるものと同様の利点および好ましい特徴が存在し、その逆もまた然りである。
【0032】
第5の態様は、本明細書に開示される実施形態の任意の1つによる第4の態様の1つまたは複数の遠隔サーバを備えるクラウド環境である。この態様では、以前に論じた態様にあるものと同様の利点および好ましい特徴が存在し、その逆もまた然りである。
【0033】
いくつかの実施形態の利点は、医用分析装置デバイスの保守が促進されることである。より詳細には、本明細書に開示されるようなQC測定を評価するための中央集中的なソリューションを利用することによって、保守の必要性は、より正確かつ適時な様式で特定され得、以て、時間効率の良い保守ソリューションをもたらす。
【0034】
いくつかの実施形態の利点は、機能的な構成要素を誤って交換するリスクが低減されることであり、以て、医用分析装置デバイスと関連付けられた運用費を低減する。
いくつかの実施形態の利点は、既定のパラメータグループが医用分析装置の1つまたは複数のハードウェアおよび/またはソフトウェア構成要素に基づいて形成されることであり、故障している可能性のある特定の構成要素の効率的かつ正確な特定を可能にする。
【0035】
いくつかの実施形態の利点は、医用分析装置デバイスの保守が促進されるために、医用分析装置デバイスのダウンタイムが低減されることである。
いくつかの実施形態の利点は、現場のサービスエンジニアによる保守の必要性が低減されることである。
【0036】
本明細書に説明される実施形態のこれらのおよび他の特徴および利点は、以後説明される実施形態を参照して、以下においてさらに明確にされる。
いくつかの実施形態のさらなる目的、特徴、および利点は、添付の図面を参照して、以下の発明を実施する形態から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】いくつかの実施形態による、医用分析装置デバイスの保守を促進するためのコンピュータ実装の方法の概略フローチャート図である。
図2】いくつかの実施形態による、医用分析装置デバイスの保守を促進するためのコンピュータ実装の方法の概略フローチャート図である。
図3】いくつかの実施形態による、ピアグループ測定に対する収集した測定結果のためのいくつかの評価プロセスの概略フローチャート図である。
図4】いくつかの実施形態による、医用分析装置デバイスの保守を促進するための装置を備えるシステムの概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
当業者は、本明細書に説明されるステップ、サービス、および機能が、個別のハードウェア回路を使用して、プログラムされたマイクロプロセッサもしくは汎用コンピュータと連動して機能するソフトウェアを使用して、1つもしくは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)を使用して、および/または1つもしくは複数のデジタル信号プロセッサ(DSP)を使用して実施され得るということを理解するものとする。実施形態が方法に関して説明されるとき、それはまた、1つまたは複数のプロセッサ、および1つまたは複数のプロセッサに結合される1つまたは複数のメモリにおいて具現化され得ることも理解されたく、1つまたは複数のメモリは、1つまたは複数のプロセッサによって実行されるとき本明細書に開示されるステップ、サービス、および機能を実施する1つまたは複数のプログラムを記憶する。
【0039】
本開示の実施形態は、添付の図面を参照して以後より完全に説明および例示されるものとする。しかしながら、本明細書に開示されるソリューションは、多くの異なる形態で実現され得、本明細書に明記される実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。
【0040】
以下において、実施形態は、1つまたは複数の医用分析装置デバイスの保守を促進することについて、適切な保守アクションが取られ得るように、関連付けられた医用分析装置デバイスにおける潜在的な問題、または医用デバイスにおける潜在的な負の傾向を特定するためにピアグループ測定を利用する文脈において説明される。
【0041】
概して、医用分析装置デバイスが本明細書内で言及されるとき、それは、被検査物に対して、例えば、個別試料または試料流に対して、化学分析、光学分析、物理分析、または同様の分析を行うように構成されるデバイスと理解され得る。そのような医用分析装置デバイスは、患者の生理的パラメータの測定など、様々な形態の臨床試験および/または分析を実施するための分析装置を含む。
【0042】
概して、「1つまたは複数の医用分析装置デバイスを管理するためのデバイス」が本明細書内で言及されるとき、それは、1つまたは複数の医用分析装置デバイスを備える病院または施設と関連付けられたデバイスと理解され得る。しかしながら、1つまたは複数の医用分析装置デバイスは、いくつかの地理的場所に分散され得、故に、「1つまたは複数の医用分析装置デバイスを管理するためのデバイス」はまた、もう1つの医用分析装置デバイスを備える複数の病院または施設と関連付けられ得る。「1つまたは複数の医用分析装置デバイスを管理するためのデバイス」は、1つもしくは複数の医用分析装置デバイスの概観を保つ、または1つもしくは複数の医用分析装置デバイスの状態および動作を監視するように構成される。さらには、「1つまたは複数の医用分析装置デバイスを管理するためのデバイス」は、それと関連付けられた医用分析装置デバイスにデータ(例えば、命令)を伝送するように構成される。
【0043】
図1は、いくつかの実施形態による、医用分析装置デバイスの保守を促進するためのコンピュータ実装の方法S100の概略フローチャート図である。そのような方法の目的は、好適なアクションを決定し、医用分析装置デバイスの予測保守のためのインジケータを伝送することであり得る。
【0044】
方法S100は、複数の医用分析装置デバイスによって複数の既定のQC試料(制御物質、QC被検査物またはQC試料とも称され得る)に対して実施される複数の品質管理(QC)測定と関連付けられた複数の測定結果を取得するステップS101を含む。より詳細には、QC試料は、医用分析装置デバイスがその動作正確性を検証するためにQC試料に対して測定を実施するとき、結果内の測定結果が関連品質要件を満たすために入らなければならない関連標的範囲(例えば、標的値±公差値)が存在するように、注意深く制御される測定可能な性質を有する物質または試料と理解され得る。標的範囲は、例えば、QC試料の製造業者または販売業者によって設定され得る。取得するという用語は、本明細書では、幅広く解釈されるべきであり、受信すること、取得すること、収集すること、得ること、決定すること、導出することなどを包含する。
【0045】
さらには、各医用分析装置デバイスは、医用分析装置デバイスのピアグループと関連付けられる。一般に、医用分析装置デバイスのピアグループは、本明細書内で言及される場合、いくつかの特定の共通特徴を共有する医用分析装置デバイスのグループと理解され得る。例えば、医用分析装置デバイスのピアグループは、同じタイプ(例えば、同じモデル)の医用分析装置デバイス、および/または同じQC製品タイプを有する(すなわち、同じ供給源から生じるQC試料を使用する)医用分析装置デバイスと規定され得る。さらには、ピアグループは、地理的制約をさらに含み得る-例えば、医用分析装置デバイスが同じタイプのものであるとしても、それらが異なる国と関連付けられる(例えば、異なる国に存在する)場合、それらは、必ずしも同じピアグループに属する必要はない。
【0046】
さらに、方法S100は、各医用分析装置デバイスについて、少なくとも1つのQC測定パラメータの逸脱を特定するために、取得した測定結果(S101を参照)を関連付けられたピアグループの測定結果に対して評価するステップS102を含む。S102にあるような評価プロセスのいくつかの例、ならびに用語「逸脱する」が包含し得るもののいくつかの例は、図3を参照して以下に提供される。
【0047】
一般に、「関連付けられたピアグループの測定結果」は、関連付けられたピアグループからの以前に取得した測定結果、すなわち、1つまたは複数の以前に取得した測定結果と理解され得る。いくつかの実施形態において、「関連付けられたピアグループの測定結果」は、関連付けられたピアグループの各QC測定のための平均測定結果を含む。さらには、いくつかの実施形態において、「関連付けられたピアグループの測定結果」は、関連付けられたピアグループの各QC測定のための移動平均測定結果を含む。
【0048】
続いて、逸脱が検出されるか否か、例えば、既定のしきい値を上回る逸脱が特定されるかどうかが決定される。逸脱が検出される場合、方法S100は、(逸脱する)医用分析装置デバイスのアクションログを取得するステップS103をさらに含む。アクションログは、医用分析装置デバイスと関連付けられた任意の以前に伝送された保守アクションを示すデータを含む。
【0049】
さらに、特定された逸脱と関連付けられた医用分析装置デバイスのための少なくとも1つの提案保守アクションが、S104において取得される。S104における取得した提案保守アクションは、特定された逸脱と関連付けられるQC測定パラメータのタイプに基づく。例えば、異なる提案保守アクションが、逸脱するパラメータが水素の濃度(例えば、血中の水素イオンの濃度、cH)である場合と比較して、逸脱する測定パラメータがカリウム濃度(例えば、血漿中のカリウムイオンの濃度、cK)であるかどうかに応じて取得され得る。
【0050】
他のQC測定パラメータとしては、pH(試料の酸性またはアルカリ性の尺度)、pCO(血中の二酸化炭素の分圧(または張力))、pO(血中の酸素の分圧(または張力))、ctHb(血中の総ヘモグロブリンの濃度)、sO(酸素飽和度)、FOHb(血中の総ヘモグロビンにおける酸素ヘモグロビンの割合)、FCOHb(血中の総ヘモグロビンにおける一酸化炭素ヘモグロビンの割合)、FMetHb(血中の総ヘモグロビンにおけるメトヘモグロビンの割合)、cNa(血漿中のナトリウムイオンの濃度)、cGlu(血漿中のD-グルコースの濃度)が挙げられるが、これらに限定されない。このリストは、徹底的と解釈されるべきではなく、当業者により容易に理解されるさらなる測定パラメータを含み得る。
【0051】
さらには、各QC測定パラメータは、既定のパラメータグループのセットのうちの1つのパラメータグループと関連付けられ得る。既定のパラメータグループのセットは、QC測定の性能と関連付けられる医用分析装置デバイスの1つまたは複数のハードウェアおよび/またはソフトウェア構成要素に基づいて形成され得る。例えば、血漿中のナトリウムイオン(cNa)の濃度測定を実行することに関与するソフトウェアおよび/またはハードウェア構成要素は、血漿中のカルシウムイオン(cCa2)の濃度測定を実行することにも関与し得る。そして、これらのQC測定パラメータ(すなわち、cNaおよびcCa2)は、同じパラメータグループと関連付けられ得る。
【0052】
したがって、いくつかの実施形態において、方法S100は、特定された逸脱と関連付けられるQC測定パラメータのタイプのパラメータグループを特定するステップS108と、特定されたパラメータグループに基づいて少なくとも1つの提案保守アクションを取得するステップS109とをさらに含む。
【0053】
既定のパラメータグループは、医用分析装置の1つまたは複数のハードウェアおよび/またはソフトウェア構成要素に基づいて形成され得るため、それは、故障している可能性のある特定の構成要素の効率的かつ正確な特定を可能にする。さらに、方法S100は、取得したアクションログに基づいて、1つまたは複数の提案保守アクションから、特定された逸脱と関連付けられた医用分析装置デバイスのための保守アクションを選択するステップS105を含む。述べたように、アクションログは、特定された逸脱と関連付けられた医用分析装置デバイスのための任意の以前に伝送された保守アクションを示すものである。故に、アクションログは、例えば、第1のアクション(例えば、膜Xの洗浄)が以前に伝送されていたことを示し得る。しかしながら、この第1のアクションが問題を解決しなかったことを見て、次いで、第2の(後続の)アクション(例えば、膜Xの交換)が代わりに選択され得る。
【0054】
最後に、方法S100は、特定された逸脱と関連付けられた医用分析装置デバイスを管理するためのデバイスに、医用分析装置デバイスのための選択した保守アクションを実行するための命令を示すデータを伝送するステップS106を含む。先に述べたように、「1つまたは複数の医用分析装置デバイスを管理するためのデバイス」は、1つもしくは複数の医用分析装置デバイスの概観を保つ、または1つもしくは複数の医用分析装置デバイスの状態および動作を監視するように、ならびにさらに、1つまたは複数の医用分析装置デバイスからデータを受信し、1つまたは複数の医用分析装置デバイスに命令を伝送するように構成されるデバイスと理解され得る。
【0055】
述べたように、関連付けられたピアグループの測定結果は、そのピアグループのための各QC測定の平均測定値に関する情報を含み得る。したがって、方法S100は、取得した複数の測定の少なくとも一部分に基づいてピアグループの各QC測定のための平均測定値を更新するステップS107をさらに含み得る。
【0056】
さらには、各医用分析装置デバイスの取得したS101測定結果は、例えば、各QC試料のための平均測定値の形態にあり得る。より詳細には、各QC試料のための平均測定値は、例えば、各QC試料のための過去10回の測定に基づいた平均値であり得る。しかしながら、いくつかの実施形態において、方法S100は、複数の医用分析装置デバイスによって実施される複数のQC測定と関連付けられた最近N個の測定結果(N≧2)を取得するステップと、各医用分析装置デバイスについて各QC試料のための平均測定値を決定するために、取得した最近N個の測定値を平均化するステップとを含む。さらには、方法S100は、形成された平均値から任意の明らかに誤った測定を除去するために、平均測定値を決定する前に、取得した最新N個の測定をフィルタリングするステップをさらに含み得る。各医用分析装置デバイスのQC測定結果のフィルタリングおよび平均化における利点は、不必要な保守アクションを発行するリスクが低減されることである。各医用分析装置デバイスのQC測定のフィルタリングおよび平均化における別の利点は、ピアグループデータに統計的異常値(すなわち、明らかに誤った入力)を含めるリスクが低減されることである。
【0057】
さらには、いくつかの実施形態において、各医用分析装置デバイスは、保守ログと関連付けられる。故に、方法S100は、医用分析装置デバイスの保守ログを取得するステップS118をさらに含み得る。保守ログは、(逸脱する)医用分析装置デバイスの取得した測定結果のタイミングによって規定される時点より前の(逸脱する)医用分析装置デバイスに対して実施された過去の保守アクションを示すデータを含む。保守ログは、好適には、伝送した保守アクションが実施されていなかった場合にリマインダを発行するために、医用分析装置デバイスに対する実施された保守アクションを監視するために使用される。アクションログおよび保守ログを用いた使用事例に関するいくつかの例となる実施形態は、図2に例示される。
【0058】
故に、図2へ移ると、いくつかの実施形態による、医用分析装置デバイスの保守を促進するためのコンピュータ実装の方法S200の概略フローチャート図が例証される。図2に示されるように、ステップのうちのいくつかは、図1にあるものと類似のステップに対応し、簡略および簡潔性のため、いかなる詳細にせよ詳述されない。
【0059】
したがって、方法S200は、複数の医用分析装置デバイスからQC測定結果を取得または収集するステップS101と、収集したS101測定結果を関連付けられたピアグループの測定結果に対して評価するステップS102とを含む。S102における評価は、関連付けられたピアグループの測定結果を考慮して、各医用分析装置デバイスのQC測定結果同士の比較に基づいて、任意の故障している可能性のある、または誤って動作している医用分析装置デバイスを検出するために実施される。
【0060】
次いで、少なくとも1つのQC測定パラメータが、ピアグループの測定結果から、しきい値を上回って逸脱している場合、それらの逸脱している医用分析装置のアクションログが取得されるS103。先に述べたように、いくつかの実施形態において、特定/検出した逸脱に対して選択され得る複数の提案保守アクションが存在する。これらの提案保守アクションは、順番に、すなわち、第1の保守アクション、第2の保守アクションなどと、配置され得る。
【0061】
故に、いくつかの実施形態において、方法S200は、第1の保守アクションの伝送に対応する取得したS103アクションログへの入力を特定するために、逸脱する医用分析装置デバイスの取得したS103アクションログをチェックするステップS121をさらに含み得る。第1の提案保守に対応する入力がない場合、方法S200は、第1の保守アクションを選択するステップS105’と、特定された逸脱と関連付けられた医用分析装置デバイスを管理するためのデバイスに、第1の保守アクションを実行するための命令を示すデータを伝送するステップS106’とをさらに含む。
【0062】
しかしながら、場合によっては、アクションログのチェックS121は、第1の保守アクションの伝送に対応するアクションログへの入力を示し得る。既定のしきい値を上回る逸脱が、第1の保守アクションの伝送に対応するアクションログへの入力の後の時点において特定されると仮定して、方法S200は、第2の/次の保守アクションを複数の提案保守アクションから選択するステップS105’’をさらに含み得る。次いで、医用分析装置デバイスのための複数の提案保守アクションのうちの第2の保守アクションを実行するための命令を示すデータは、特定された逸脱と関連付けられた医用分析装置デバイスを管理するためのデバイスに伝送されるS106’’。したがって、第2のアクションは、順番に従った、第1の保守アクションに対して後続の保守アクションと理解され得る。
【0063】
言い換えると、アクションログは、逸脱する医用分析装置デバイスのための保守プロセスを含むログ、さらには、関連付けられた医用分析装置デバイスが、その保守プロセス内で現在どのステップにあるかを示すものと、理解され得る。以て、多数の医用分析装置デバイスのための保守プロセスを把握することができ、不適切な保守アクションの命令を発行するリスクを低減する。
【0064】
さらには、いくつかの実施形態において、医用分析装置デバイスの各々は、医用分析装置デバイスの取得した測定結果のタイミングによって規定される時点より前の医用分析装置デバイスに対して実施された過去の保守アクションを示すデータを含む保守ログと関連付けられる。
【0065】
したがって、いくつかの実施形態において、方法S200は、逸脱する医用分析装置の保守ログを取得するステップS118と、選択および伝送した保守アクションの実行に対応する保守ログへの入力を特定するために、取得した保守ログをチェックするステップS123とを含む。伝送および選択した保守アクションの実行に対応する保守ログへの入力がない場合、方法S200は、医用分析装置デバイスのための選択した保守アクションのリマインダを示すデータを、特定された逸脱と関連付けられた医用分析装置デバイスを管理するためのデバイスに伝送するステップS124をさらに含み得る。
【0066】
しかしながら、伝送および選択した保守アクションの実行に対応する保守ログへの入力がある場合、ならびにアクションログ内に第2の/次の保守アクションがない場合、方法S200は、不良の医用分析装置デバイスを示すデータを、特定された逸脱と関連付けられた医用分析装置デバイスを管理するためのデバイスに伝送するステップS125をさらに含み得る。これは、例えば、医用分析装置デバイスが機能していないと見なされるべきであることを示すものとして、および不良の医用分析装置デバイスを修理するために専任のサービス担当者、例えば、現場のサービスエンジニアに連絡すべきであると、解釈され得る。
【0067】
取得した測定結果を関連付けられたピアグループの測定結果に対して評価するステップS102がいくつかの実施形態に従って含み得るもののいくつかの例は、図3を参照してこれより提供される。より詳細には、図3は、いくつかの実施形態による、評価S102プロセスのいくつかのフローチャート図を示す。
【0068】
先に述べたように、ピアグループの測定結果は、各QC測定についての平均測定値(例えば、6か月の移動平均値)の形態にあり得る。したがって、いくつかの実施形態において、取得した測定結果を評価するステップS102は、取得した測定結果(Xi,meas)を、関連付けられたピアグループの各QC測定パラメータ(Xi,avg)のための平均測定値と比較するステップS131を含む。ここで、「I」は、QC試料のタイプを表す。言い換えると、例えば、医用分析装置デバイスによって測定されるような血漿中のカルシウムイオン(cCa2+)の濃度についての、取得した測定結果は、血漿中のカルシウムイオン(cCa2+)の濃度のピア平均と比較される。次いで、本方法は、特定のQC測定パラメータについて、比較S131がその特定のQC測定パラメータのための第1の既定のしきい値を上回る差(|Xi,meas-Xi,avg|>しきい値1)を示す場合、逸脱が特定される/存在することを決定するステップS134をさらに含む。比較S131が第1の既定のしきい値を下回る差(|Xi,meas-Xi,avg|≦しきい値1)を示す場合、逸脱は存在しないと結論付けられるS135。
【0069】
さらに、いくつかの実施形態において、取得した測定結果は、複数の医用分析装置デバイスの各々のための測定結果の経時的な変化に関する情報を含み、既定のしきい値は、第2の既定のしきい値を含む。したがって、いくつかの実施形態において、取得した測定結果を評価するステップ、直近の期間にわたる各QC測定パラメータのための取得した測定結果(Xi,meas)を、直近の期間中の関連付けられたピアグループの各対応するQC測定のための平均測定値(Xi,avg)の経時的な変化と比較するステップS132。言い換えると、各QC測定パラメータのための測定結果(Xi,meas)は、N個の連続した試料にわたる関連付けられたピア平均(Xi,avg)と比較されるS132。次いで、本方法は、特定のQC測定パラメータについて、比較S131が、直近の期間中、その特定のQC測定パラメータのための第2の既定のしきい値を上回る差(|Xi,meas-Xi,avg|>しきい値2)を示す場合、逸脱が特定される/存在することを決定するステップS134をさらに含む。比較S131が、直近の期間中、第2の既定のしきい値を下回る差(|Xi,meas-Xi,avg|≦しきい値2)を示す場合、逸脱は存在しないと結論付けられるS135。
【0070】
依然としてさらに、いくつかの実施形態において、取得した測定結果は、複数の医用分析装置デバイスのための測定結果の経時的な変化に関する情報を含む。したがって、いくつかの実施形態において、取得した測定結果を評価するステップ、直近の期間にわたる各QC測定パラメータのための取得した測定結果(Xi,meas)を、直近の期間中の関連付けられたピアグループの各対応するQC測定のための平均測定値(Xi,avg)の経時的な変化と比較するステップS133。言い換えると、各QC測定パラメータのための測定結果(Xi,meas)は、N個の連続した試料にわたる関連付けられたピア平均(Xi,avg)と比較されるS133。次いで、本方法は、特定のQC測定パラメータについて、比較S131が、直近の期間中、その特定のQC測定パラメータについて経時的に増加する差を示す場合、逸脱が特定される/存在することを決定するステップS134をさらに含む。比較S131が、直近の期間中、その特定のQC測定パラメータについて経時的に増加する差を示さない場合、逸脱は存在しないと結論付けられるS135。
【0071】
これらの機能およびステップを実施するための実行可能な命令は、任意選択的に、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体、または1つもしくは複数のプロセッサによる実行のために構成される他のコンピュータプログラム製品に含まれる。
【0072】
図4は、いくつかの実施形態による、医用分析装置デバイス110の保守を促進するための装置201を備えるシステム10の概略ブロック図である。装置201は、複数の医用分析装置デバイスによって複数の既定のQC試料に対して実施される複数の品質管理(QC)測定と関連付けられた複数の測定結果を取得するように構成される制御回路CTRL202を備える。各QC試料は、既定の標的範囲と関連付けられ、各医用分析装置デバイス110は、医用分析装置デバイスのピアグループ301と関連付けられる。
【0073】
さらに、各医用分析装置デバイス110について、制御回路202は、少なくとも1つのQC測定パラメータの逸脱を特定するために、取得した測定結果を関連付けられたピアグループの測定結果に対して評価するように構成される。次いで、既定のしきい値を上回る逸脱が特定される場合、制御回路202は、逸脱する医用分析装置デバイス110のアクションログを取得するようにさらに構成される。アクションログは、医用分析装置デバイス110と関連付けられた任意の以前に伝送された保守アクションを示すデータを含む。
【0074】
制御回路202は、逸脱する医用分析装置デバイス110のための、すなわち、特定された逸脱と関連付けられた医用分析装置デバイスのための少なくとも1つの提案保守アクションを取得するようにさらに構成される。取得した1つまたは複数の提案保守アクションは、特定された逸脱と関連付けられるQC測定パラメータのタイプに基づく。
【0075】
さらに、制御回路202は、取得したアクションログに基づいて、1つまたは複数の提案保守アクションから、特定された逸脱と関連付けられた医用分析装置デバイスのための保守アクションを選択するように構成される。次いで、制御回路202は、特定された逸脱と関連付けられた医用分析装置デバイス110を管理するためのデバイス101に、医用分析装置デバイスのための選択した保守アクションを実行するための命令を示すデータを伝送するように構成される。
【0076】
いくつかの実施形態において、医用分析装置デバイスを管理するためのデバイス101は、デバイス101に接続される1つまたは複数の医用分析装置デバイスを監視および制御するように構成される制御回路202を有する。故に、医用分析装置デバイスを管理するためのデバイス101は、それに関連付けられた複数の医用分析装置デバイスを監視および制御することに関与する病院情報システム(Hospital Information System:HIS)および/または研究室情報システム(Laboratory Information System:LIS)の一部であり得る。故に、いくつかの実施形態において、医用分析装置デバイスを管理するためのデバイス101は、1つまたは複数の医用分析装置デバイスを含む地理的場所と関連付けられる。それにもかかわらず、いくつかの実施形態において、本デバイスは、1つまたは複数の医用分析装置デバイスに通信可能に接続されるクラウドサービス(クラウド環境により提供される、例えば、1つまたは複数の遠隔サーバを備えるクラウドコンピューティングシステム、例えば、分散型クラウドコンピューティングリソース)の形態にあり得る(例えば、そのようなものとして実装され得る)。
【0077】
いくつかの実施形態において、複数の医用分析装置デバイス110を管理するためのデバイス101は、複数の医用分析装置デバイス110のうちの1つまたは複数によって既定のQC試料のセットに対して実施される複数のQC測定と関連付けられた複数の測定結果を取得するように構成される制御回路102を有する。複数の医用分析装置およびデバイス101は、例えば、同じ施設(例えば、病院または研究室)と関連付けられ得る。
【0078】
さらに、制御回路102は、中央エージェント201(例えば、先に説明される装置)に、取得した複数の測定結果を示すデータを伝送するように構成される。制御回路102は、複数の医用分析装置デバイスの各医用分析装置デバイスの分析装置タイプおよびQC製品タイプを示すデータを伝送するようにさらに構成され得る。
【0079】
いくつかの実施形態において、制御回路102は、中央エージェント201から、関連付けられた1つまたは複数の医用分析装置デバイス110のための選択した保守アクションを実行するための命令を示すデータを受信するようにさらに構成される。
【0080】
しかしながら、いくつかの実施形態において、制御回路202は、選択した保守アクションを実行するための命令を示すデータを、各医用分析装置デバイス110に直接的に伝送するように構成され得る。したがって、各医用分析装置デバイス110は、取得した複数の測定結果を示すデータを中央エージェント201に(個別に、または独立して)伝送するように構成される制御回路を備え得る。言い換えると、いくつかの実施形態において、医用分析装置デバイスを管理するためのデバイス101は、医用分析装置デバイス110の内部制御ユニットまたは制御回路であり得る。
【0081】
上に説明されるもの以外の実施形態が可能であり、特許請求の範囲内である。ハードウェアまたはソフトウェアによって方法を実施する、上に説明されるものとは異なる方法ステップが、本明細書に開示される実施形態の範囲内で提供され得る。故に、例示的な実施形態に従って、処理システムの1つまたは複数のプロセッサによって実行されるように構成される1つまたは複数のプログラムを記憶する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体が提供され、1つまたは複数のプログラムは、上で論じた実施形態の任意の1つのよる方法を実施するための命令を含む。代替的に、別の例示的な実施形態に従って、クラウドコンピューティングシステムが、本明細書に提示される方法のいずれかを実施するように構成され得る。クラウドコンピューティングシステムは、1つまたは複数のコンピュータプログラム製品の制御下で本明細書に提示される方法を合同で実施する分散型クラウドコンピューティングリソースを備え得る。
【0082】
一般的に言えば、コンピュータアクセス可能な媒体は、電子、磁気、または光学媒体、例えば、バスを介してコンピュータシステムに結合されるディスクまたはCD/DVD-ROMなど、任意の有形または非一時的な記憶媒体またはメモリ媒体を含み得る。用語「有形」および「非一時的な」は、本明細書で使用される場合、伝播する電磁信号を除くコンピュータ可読記憶媒体(または「メモリ」)を説明することが意図されるが、フレーズコンピュータ可読媒体またはメモリによって包含される物理的なコンピュータ可読ストレージデバイスのタイプを別途限定することは意図されない。例えば、用語「非一時的なコンピュータ可読媒体」または「有形メモリ」は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)を含む、情報を必ずしも永久に記憶しないストレージデバイスのタイプを包含することが意図される。非一時的な形態で有形のコンピュータアクセス可能な記憶媒体に記憶されるプログラム命令およびデータは、さらに、ネットワークおよび/またはワイヤレスリンクなどの通信媒体を介して伝達され得る電気信号、電磁信号、またはデジタル信号など、伝送媒体または信号によって伝送され得る。
【0083】
プロセッサ102、202(装置およびデバイス101、201と関連付けられる)は、データもしくは信号処理を行うための、またはメモリ103、203に記憶されるコンピュータコードを実行するための任意の数のハードウェア構成要素であり得るか、またはこれを含み得る。装置およびデバイス101、201は、関連付けられたメモリ103、203を有し、メモリ103、203は、本説明に説明される様々な方法を完了または促進するためのデータおよび/またはコンピュータコードを記憶するための1つまたは複数のデバイスであり得る。メモリは、揮発性メモリまたは不揮発性メモリを含み得る。メモリ103、203は、データベース構成要素、オブジェクトコード構成要素、スクリプト構成要素、または本説明の様々なアクティビティを支援するための任意の他のタイプの情報構造を含み得る。例示的な実施形態に従って、任意の分散型またはローカルメモリデバイスが、本説明の装置および方法と共に利用され得る。例示的な実施形態に従って、メモリ103、203は、プロセッサ102、202に通信可能に接続され(例えば、回路、または任意の他の有線、ワイヤレス、もしくはネットワーク接続を介して)、本明細書に説明される1つまたは複数のプロセスを実行するためのコンピュータコードを含む。
【0084】
通信インターフェース104、105、204は、好適な通信装置を用いて遠隔地(例えば、遠隔オペレータまたは制御センタ)に出力を送信する可能性を提供し得る。通信インターフェース104、105、204は、他の機能的な構成要素と通信するように配置され得、故に制御インターフェースとしても見られ得るが、別個の制御インターフェース(図示されない)が提供されてもよい。施設100内のローカル通信もまた、WiFi、LoRa、Zigbee、Bluetooth、または同様の中/短距離技術などのプロトコルを用いたワイヤレスタイプのものであり得る。
【0085】
したがって、説明されたソリューションのうちの一部は、1つの遠隔サーバ、または複数の遠隔サーバ、例えば、互いと通信状態にある複数のサーバ、いわゆるクラウドソリューションのいずれかで実施され得るということを理解されたい。実施形態の異なる特徴およびステップは、説明されるもの以外の組み合わせで組み合わされ得る。
【0086】
概して、本明細書で使用されるすべての用語は、異なる意味が、明白に与えられる、かつ/または使用される文脈において示唆されない限り、関連技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるものとする。
【0087】
「備える」という言葉は、列挙されるもの以外の要素またはステップの存在を除外せず、要素に先行する「a(1つの)」または「an(1つの)」という言葉は、複数のそのような要素の存在を除外しないということに留意されたい。いかなる参照符号も、特許請求の範囲を制限しないこと、実施形態は、ハードウェアおよびソフトウェアの両方を用いて少なくとも部分的に実施され得ること、ならびにいくつかの「制御回路」、「手段」、または「ユニット」が、ハードウェアの同じアイテムによって表され得るということにさらに留意されたい。
【0088】
図は、特定の順序の方法ステップを示し得るが、ステップの順序は、描写されるものとは異なり得る。加えて、2つ以上のステップが、同時に、または部分同時発生で実施され得る。そのような変形は、選択されるソフトウェアおよびハードウェアシステム、ならびに設計者の選択に依存する。すべてのそのような変形は、開示された実施形態の範囲内である。同様に、ソフトウェア実装は、様々な接続ステップ、処理ステップ、比較ステップ、および決定ステップを達成するためにルールベース論理および他の論理を用いた標準プログラミング技術により達成され得る。上で述べ説明した実施形態は、単に例として与えられ、本開示に対する限定ではない。故に、説明された実施形態の詳細は、単に例証の目的のために提案された例にすぎないこと、および特許請求の範囲内に入るすべての変形が、そこに取り入れられることが意図されるということを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-02-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用分析装置デバイスの保守を促進するためのコンピュータ実装の方法(S100、S200)であって、
複数の医用分析装置デバイスによって複数の既定のQC試料に対して実施される複数の品質管理(QC)測定と関連付けられた複数の測定結果を取得するステップ(S101)であって、各QC試料は、既定の標的範囲と関連付けられ、各医用分析装置デバイスは、医用分析装置デバイスのピアグループと関連付けられる、ステップ(S101)と、
各医用分析装置デバイスについて、
少なくとも1つのQC測定パラメータの逸脱を特定するために、前記取得した測定結果を前記関連付けられたピアグループの測定結果に対して評価するステップ(S102)と、
既定のしきい値を上回る逸脱が特定される場合、
前記医用分析装置デバイスのアクションログを取得するステップ(S103)であって、前記アクションログは、前記医用分析装置デバイスと関連付けられた任意の以前に伝送された保守アクションを示すデータを含む、ステップ(S103)と、
前記特定された逸脱と関連付けられるQC測定パラメータのタイプに基づいて、前記特定された逸脱と関連付けられた前記医用分析装置デバイスのための少なくとも1つの提案保守アクションを取得するステップ(S104)であって、前記少なくとも1つの保守アクションを取得するステップ(S104)は、前記特定された逸脱と関連付けられる前記QC測定パラメータのタイプのパラメータグループを特定するステップ(S108)、および前記特定されたパラメータグループに基づいて、少なくとも1つの提案保守アクションを取得するステップ(S109)をさらに含む、ステップ(S104)と、
前記取得したアクションログに基づいて、前記少なくとも1つの提案保守アクションから、前記特定された逸脱と関連付けられた前記医用分析装置デバイスのための保守アクションを選択するステップ(S105、S105’、S105’’)と、
前記特定された逸脱と関連付けられた前記医用分析装置デバイスを管理するためのデバイスに、前記医用分析装置デバイスのための前記選択した保守アクションを実行するための命令を示すデータを伝送するステップ(S106、S106’、S106’’)と、を含む、方法(S100、S200)。
【請求項2】
各QC測定パラメータは、既定のパラメータグループのセットのうちの1つのパラメータグループと関連付けられ、前記既定のパラメータグループのセットは、前記QC測定の性能と関連付けられる前記医用分析装置デバイスの1つまたは複数のハードウェアおよび/またはソフトウェア構成要素に基づいて形成される、請求項1に記載の方法(S100、S200)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの提案保守アクションは、順番に配置される複数の提案保守アクションを含み、前記選択した保守アクションは、前記順番に従った第1の保守アクションであり、前記方法(S100)は、
前記既定のしきい値を上回る逸脱が特定される場合、
前記第1の保守アクションの送信に対応する前記アクションログへの入力を特定するために、前記取得したアクションログをチェックするステップ(S121)と、
前記第1の保守アクションの伝送に対応する前記アクションログへの前記入力が特定される場合、および前記既定のしきい値を上回る逸脱が、前記第1の保守アクションの伝送に対応する前記アクションログへの前記入力の後の時点で特定される場合、
前記特定された逸脱と関連付けられた前記医用分析装置デバイスを管理するための前記デバイスに、前記医用分析装置デバイスのための前記複数の提案保守アクションの第2の保守アクションを実行するための命令を示すデータを伝送するステップ(S106’’)であって、前記第2の保守アクションは、前記順番に従った、前記第1の保守アクションに対して後続の保守アクションである、ステップ(S106’’)とをさらに含む、請求項1に記載の方法(S100、S200)。
【請求項4】
前記前記医用分析装置デバイスの保守ログを取得するステップ(S118)であって、前記保守ログは、前記医用分析装置デバイスの前記取得した測定結果のタイミングによって規定される時点より前の前記医用分析装置デバイスに対して実施された過去の保守アクションを示すデータを含む、ステップ(S118)と、
前記医用分析装置デバイスのための前記選択した保守アクションを示すデータを伝送するステップ(S106、106’、106’’)の後に、
前記選択した保守アクションの実行に対応する前記保守ログへの入力を特定するために、前記取得した保守ログをチェックするステップ(S123)と、
前記選択した保守アクションの実行に対応する前記保守ログへの入力が既定の期間内に特定されない場合、
前記特定された逸脱と関連付けられた前記医用分析装置デバイスを管理するための前記デバイスに、前記医用分析装置デバイスのための前記選択した保守アクションのリマインダを示すデータを伝送するステップ(S124)と、をさらに含む、請求項1に記載の方法(S100、S200)。
【請求項5】
前記ピアグループの前記測定結果は、前記ピアグループと関連付けられた各QC測定のための平均測定値に関する情報を含み、前記方法(S100)は、
前記取得した複数の測定の少なくとも一部分に基づいて前記ピアグループの各QC測定のための前記平均測定値を更新するステップ(S107)をさらに含む、請求項1に記載の方法(S100、S200)。
【請求項6】
前記既定のしきい値は、第1の既定のしきい値を含み、前記取得した測定結果を評価する前記ステップ(S102)は、
前記取得した測定結果を、前記関連付けられたピアグループの各QC測定のための前記平均測定値と比較するステップ(S131)と、
前記比較が前記第1の既定のしきい値を上回る差を示す場合、逸脱が特定されたと決定するステップ(S134)と、を含む、請求項5に記載の方法(S100、S200)。
【請求項7】
前記取得した測定結果は、前記複数の医用分析装置デバイスの各々のための前記測定結果の経時的な変化に関する情報を含み、前記既定のしきい値は、第2の既定のしきい値を含み、前記取得した測定結果を評価する前記ステップ(S102)は、
直近の期間にわたる各QC測定パラメータのための前記測定結果を、前記直近の期間中の前記関連付けられたピアグループの各対応するQC測定のための前記平均測定値の経時的な変化と比較するステップ(S132)と、
前記比較が前記直近の期間中に前記第2の既定のしきい値を上回る差を示す場合、逸脱が特定されたと決定するステップ(S134)と、を含む、請求項5に記載の方法(S100、S200)。
【請求項8】
前記取得した測定結果は、前記複数の医用分析装置デバイスのための前記測定結果の経時的な変化に関する情報を含み、前記取得した測定結果を評価する前記ステップ(S102)は、
直近の期間にわたる各QC測定パラメータのための前記測定結果を、前記直近の期間中の各対応するQC測定のための前記平均測定値の経時的な変化と比較するステップ(S133)と、
前記比較が前記直近の期間中に経時的に増加する差を示す場合、逸脱が特定されたと決定するステップ(S134)と、を含む、請求項5に記載の方法(S100、S200)。
【請求項9】
処理システムの1つまたは複数のプロセッサによって実行されるように構成される1つまたは複数のプログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体であって、前記1つまたは複数のプログラムは、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法(S100、S200)を実施するための命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項10】
医用分析装置デバイスの保守を促進するための装置(201)であって、前記装置は、制御回路(202)を備え、前記制御回路(202)は、
複数の医用分析装置デバイス(110)によって複数の既定のQC試料に対して実施される複数の品質管理(QC)測定と関連付けられた複数の測定結果を取得することであって、各QC試料は、既定の標的範囲と関連付けられ、各医用分析装置デバイス(110)は、医用分析装置デバイスのピアグループと関連付けられる、取得することと、
各医用分析装置デバイス(110)について、
少なくとも1つのQC測定パラメータの逸脱を特定するために、前記取得した測定結果を前記関連付けられたピアグループの前記測定結果に対して評価することと、
既定のしきい値を上回る逸脱が特定される場合、
前記医用分析装置デバイス(110)のアクションログを取得することであって、前記アクションログは、前記医用分析装置デバイスと関連付けられた任意の以前に伝送された保守アクションを示すデータを含む、取得することと、
前記特定された逸脱と関連付けられるQC測定パラメータのタイプに基づいて、前記特定された逸脱と関連付けられた前記医用分析装置デバイス(110)のための少なくとも1つの提案保守アクションを取得することであって、前記制御回路は、前記特定された逸脱と関連付けられた前記QC測定パラメータのタイプのパラメータグループを特定し、前記特定されたパラメータグループに基づいて、少なくとも1つの提案保守アクションを取得するようにさらに構成される、取得することと、
前記取得したアクションログに基づいて、前記少なくとも1つの提案保守アクションから、前記特定された逸脱と関連付けられた前記医用分析装置デバイス(110)のための保守アクションを選択することと、
前記特定された逸脱と関連付けられた前記医用分析装置デバイス(110)を管理するためのデバイス(101)に、前記医用分析装置デバイスのための前記選択した保守アクションを実行するための命令を示すデータを伝送することと、
をするように構成される、装置(201)。
【請求項11】
前記医用分析装置デバイスを管理するための前記デバイスは、前記デバイスに接続される1つまたは複数の医用分析装置デバイスを監視および制御するように構成される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記医用分析装置デバイスを管理するための前記デバイスは、1つまたは複数の医用分析装置デバイスを含む地理的場所と関連付けられる、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
請求項10~12のいずれか1項に記載の装置を備える遠隔サーバ。
【請求項14】
請求項13に記載の1つまたは複数の遠隔サーバを備えるクラウド環境。
【国際調査報告】