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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】電極板、電気化学装置及び印刷装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/70 20060101AFI20240709BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20240709BHJP
   H01M 4/02 20060101ALI20240709BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20240709BHJP
【FI】
H01M4/70 Z
H01M4/66 A
H01M4/02 Z
H01M4/13
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580672
(86)(22)【出願日】2022-05-30
(85)【翻訳文提出日】2024-02-14
(86)【国際出願番号】 CN2022096064
(87)【国際公開番号】W WO2023273765
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】202121460184.1
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼彬彬
【テーマコード(参考)】
5H017
5H050
【Fターム(参考)】
5H017AA03
5H017CC03
5H017DD01
5H017DD05
5H017HH01
5H017HH03
5H050AA02
5H050AA19
5H050BA08
5H050BA17
5H050DA04
5H050FA15
5H050FA18
5H050GA22
5H050GA25
5H050HA03
5H050HA07
5H050HA12
(57)【要約】
電極板100は、集電体10と、活物質層11と、導電層20とを含む。導電層(20)は、集電体(10)と活物質層(11)との間に設けられ、導電層(20)に窪み(21)が設けられ、窪み(21)は、導電層(20)の活物質層(11)と接触する一面が導電層(20)の集電体(10)と接触する他面に向かって凹設されるように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体と、活物質層と、導電層とを含む電極板であって、
前記導電層は、前記集電体と前記活物質層との間に設けられ、前記導電層に窪みが設けられ、前記窪みは、前記導電層の前記活物質層と接触する一面が前記集電体と接触する他面に向かって凹むように構成される、ことを特徴とする電極板。
【請求項2】
前記窪みは複数であり、複数の前記窪みは、前記導電層に規則的に分布する、ことを特徴とする請求項1に記載の電極板。
【請求項3】
前記窪みの被覆度は、10%より大きい、ことを特徴とする請求項2に記載の電極板。
【請求項4】
前記窪みは、細線状又は波状に構成される、ことを特徴とする請求項3に記載の電極板。
【請求項5】
前記窪みの幅a1は、1.0mm~5.0mmである、ことを特徴とする請求項4に記載の電極板。
【請求項6】
隣接する前記窪み間の間隔は、d1であり、d1は、1mm≦d1≦5mmという関係式を満たす、ことを特徴とする請求項3又は4に記載の電極板。
【請求項7】
前記窪みの被覆度は、30%~80%である、ことを特徴とする請求項6に記載の電極板。
【請求項8】
前記窪みは、円形、楕円形、円錐形及び多角形のうちのいずれかに構成される、ことを特徴とする請求項3に記載の電極板。
【請求項9】
前記窪みの幅は、0.3mm~5.0mmである、ことを特徴とする請求項8に記載の電極板。
【請求項10】
隣接する前記窪み間の間隔は、d2であり、d2は、1mm≦d2≦15mmという関係式を満たす、ことを特徴とする請求項8又は9に記載の電極板。
【請求項11】
前記d2は、1mm≦d2≦5mmという関係式を満たす、ことを特徴とする請求項10に記載の電極板。
【請求項12】
前記窪みの被覆度は、20%~70%である、ことを特徴とする請求項11に記載の電極板。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の電極板を含む、ことを特徴とする電気化学装置。
【請求項14】
材料槽と、
グラビアローラーとを含み、前記グラビアローラーは、前記材料槽の上方に設けられ、前記グラビアローラーに印刷領域が設けられ、前記印刷領域には導電層に窪みを形成するための印刷模様が設けられる、ことを特徴とする印刷装置。
【請求項15】
前記印刷模様に均一に分布する突起形状は、細線状、波状、円形、楕円形、円錐形及び多角形のうちの少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項14に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年6月28日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が202121460184.1であり、出願名称が「電極板、電気化学装置及び印刷装置」である中国特許出願の優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本願に組み込まれるものとする。
【0002】
本願は、電池の技術分野に関し、特に電極板、電気化学装置及び印刷装置に関する。
【背景技術】
【0003】
高性能の電力貯蔵媒体として、リチウムイオン電池は、電気自動車及び各種の電子製品に広く適用されている。しかしながら、人々のますます高くなるエネルギー貯蔵需要を満たし、より高い容量とより長い電池寿命を実現するために、リチウム電池業界の企業は、依然として電池の性能を向上させるための新たな材料及びプロセスを開発している。
【0004】
リチウムイオン電池の極板の製造については、一般的に、活物質を集電体に塗布し、充放電過程において、電子が集電体によって収集されて活物質に輸送されるため、集電体と活物質との結合及びその界面特性が電池性能の発揮に重要な影響を与えるが、電池のサイクル時間の経過に伴って、電極活物質が集電体界面から脱離し、電子の輸送に影響を与え、集電体も電解液に腐食され、電池容量の減衰を引き起こす。
【0005】
したがって、集電体の表面の形態及び粗さは、活物質との結合に直接影響を与え、印刷プロセスについては、電池集電体及び活物質に薄い導電性被覆層を追加することにより、活物質と集電体との間の結合強度を増加させることができるため、活物質と集電体との間の電子導通を向上させ、さらに電池の高レートでの容量放出を向上させることができる。また、電池の長時間充放電サイクルによる活物質の脱落を抑制し、集電体の耐食性を向上させ、サイクルに伴う電池容量の減衰を低減することができる。
【0006】
従来技術では、リチウム電池の極板の印刷プロセスは、一般的に、グラビアローラーのセルによって十分な量の印刷スラリーを担持し、次に、スキージ構造によってローラー上のスラリーの量を制御し、最後に、大きな圧力により印刷スラリーを集電体に移送するというグラビア印刷の方式によって実現される。印刷業界では、グラビアローラーのセルの深さを制御することにより、深さの異なる複雑な被覆層を実現することができる。リチウム電池業界では、極板の印刷被覆層は、基本的に簡単なベタ方式で製造され、メーカーによる最適化がないため、印刷プロセスによる集電体と活性材料との間の導電性及び粘性が相対的に低い。
【発明の概要】
【0007】
本願は、少なくとも従来技術における技術的課題の1つを解決することを目的とする。そのため、本願は、集電体と活物質層との間の導電性及び粘性が高い電極板を提供する。
【0008】
本願は、電気化学装置をさらに開示する。
【0009】
本願は、印刷装置をさらに開示する。
【0010】
本願の実施例に係る電極板は、集電体と、活物質層と、導電層とを含み、前記導電層は、前記集電体と前記活物質層との間に設けられ、前記導電層に窪みが設けられ、前記窪みは、前記導電層の前記活物質層と接触する一面が前記集電体と接触する他面に向かって凹設されるように構成される。
【0011】
これにより、活物質層と接触する一面が集電体と接触する他面に向かって凹設される窪みを導電層に設けることにより、集電体と活物質層との間の導電性及び接着性を向上させるだけでなく、導電層の集電体への保護作用を強化することができるため、電極板の性能を向上させることができる。
【0012】
本願のいくつかの実施例において、前記窪みは複数であり、複数の前記窪みは、前記導電層に規則的に分布する。
【0013】
本願のいくつかの実施例において、前記窪みの被覆度は10%より大きい。
【0014】
本願のいくつかの実施例において、前記窪みは、細線状に構成される。
【0015】
本願のいくつかの実施例において、前記窪みは、波状に構成される。
【0016】
本願のいくつかの実施例において、前記窪みの幅a1は、1.0mm~5.0mmである。
【0017】
本願のいくつかの実施例において、隣接する前記窪み間の間隔は、d1であり、d1は、1mm≦d1≦5mmという関係式を満たす。
【0018】
本願のいくつかの実施例において、前記d1は、1mm≦d1≦3mmという関係式を満たす。
【0019】
本願のいくつかの実施例において、前記窪みの被覆度は30%~80%である。
【0020】
本願のいくつかの実施例において、前記窪みは、円形、楕円形、円錐形及び多角形のうちのいずれかに構成される。
【0021】
本願のいくつかの実施例において、前記窪みの直径は、0.3mm~5.0mmである。
【0022】
本願のいくつかの実施例において、隣接する前記窪み間の間隔は、d2であり、d2は、1mm≦d2≦15mmという関係式を満たす。
【0023】
本願のいくつかの実施例において、前記d2は、1mm≦d2≦5mmという関係式を満たす。
【0024】
本願のいくつかの実施例において、前記導電層は、銅箔を含む。
【0025】
本願の実施例に係る電気化学装置は、以上の前記電極板を含む。
【0026】
本願の実施例に係る印刷装置は、材料槽と、グラビアローラーとを含み、前記グラビアローラーは、前記材料槽の上方に設けられ、前記グラビアローラーに印刷領域が設けられ、前記印刷領域には導電層に窪みを形成するための印刷模様が設けられる。
【0027】
本願のいくつかの実施例において、前記印刷模様には、複数の細線状の突起又は点状の突起が均一に分布する。
【0028】
本願のいくつかの実施例において、複数の細線状突起は、細線状、波状、円形、楕円形、円錐形及び多角形のうちの少なくとも1種に構成される。
【0029】
本願のいくつかの実施例において、複数の点状突起は、細線状、波状、円形、楕円形、円錐形及び多角形のうちの少なくとも1種に構成される。
【0030】
本願のいくつかの実施例において、前記印刷装置は、前記グラビアローラーと互いに押圧して設けられるバックプレートをさらに含む。
【0031】
本願のいくつかの実施例において、前記印刷装置は、刃が前記グラビアローラーの表面に貼り付けられるスクレーパーをさらに含む。
【0032】
本願の追加の態様及び利点は、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明において明らかになるか又は本願の実施により理解される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本願の上記及び/又は追加の態様及び利点は、以下の図面を参照して実施例を説明することにより、明らかになって、理解されやすくなる。
【0034】
図1】本願の実施例に係る電極板の概略図である。
図2】本願の実施例に係る導電層の平面図である。
図3】本願の実施例に係る導電層の正面図である。
図4】本願の実施例に係る導電層の平面図である。
図5】比較例と本願の実施例の電池容量とレートの関係図である。
図6】比較例と本願の実施例の電池容量とサイクル数の関係図である。
図7】本願の実施例に係るグラビアローラーの概略図である。
図8】本願の実施例に係る導電層のベタ印刷の概略図である。
図9】本願の実施例に係る導電層の点状の窪みの印刷の概略図である。
図10】本願の実施例に係る導電層の波状の窪みの印刷の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本願の実施例を詳細に説明し、図面を参照して説明される実施例は例示的なものであり、以下、本願の実施例を詳細に説明する。
【0036】
以下、図1を参照して本願の実施例に係る電極板100を説明する。
【0037】
図1に示すように、本願の実施例に係る電極板100は、集電体10と、活物質層11と、導電層20とを含み、導電層20は、集電体10と活物質層11との間に設けられ、導電層20に窪み21が設けられ、窪み21は、導電層20の活物質層11と接触する一面が集電体10と接触する他面に向かって凹設されるように構成される。
【0038】
具体的には、導電層20に窪み21を設けるとともに、窪み21を、導電層20の活物質層11と接触する一面が集電体10と接触する他面に向かって凹設されるように構成することにより、導電層20の表面の粗さを大きくすることができ、導電層20を集電体10と活物質層11との間に設けることにより、集電体10と活物質層11との間の導電性及び接着性を向上させるため、電極板100の構造安定性を向上させることができる。すなわち、集電体10と活物質層11との間に導電層20があり、導電層20を介して接続された集電体10と活物質層11との間の導電性が向上するとともに、導電層20に窪み21を設けることにより、導電層20と活物質層11との間の粗さが増加し、すなわち、導電層20と活物質層11との接触面積が増大し、すなわち、導電層20と活物質層11との接着強度が増大し、集電体10と活物質層11との接着性が向上する。
【0039】
本願は、活物質層11と接触する一面が集電体10と接触する他面に向かって凹設される窪み21を導電層20に設けることにより、集電体10と活物質層11との間の導電性及び接着性を向上させるだけでなく、導電層の集電体10への保護作用を強化することができるため、電極板100の性能を向上させることができる。
【0040】
いくつかの実施例において、窪み21は複数であり、複数の窪み21は、導電層20に規則的に分布して規則的な模様を形成する。具体的には、複数の窪み21を導電層20に均一に設けることにより、集電体10と活物質層11との間の導電性及び接着性を向上させる前提で、集電体10と活物質層11との間の導電をより均一に安定させるため、電極板100の性能を向上させることができる。複数の窪み21が導電層20に規則的に分布して規則的な模様を形成することは、印刷模様が設けられたグラビアローラーによって実現され、詳細は後述する。
【0041】
いくつかの実施形態において、窪み21は、細線状に構成される。具体的には、窪み21を細線状に構成することにより、導電層20における窪み21の配置を容易にするだけでなく、導電層20における窪み21の分布をより均一にすることができるため、導電層20の信頼性及び安定性を向上させる。
【0042】
他の実施形態において、図1及び図10に示すように、窪み21は波状に構成される。具体的には、窪み21を波状に構成することにより、導電層20の寸法が変わらない前提で、窪み21の長さを増加させることができるため、導電層20の粗さを大きくし、集電体10と活物質層11との間の導電性及び接着性を向上させ、電極板100の性能を向上させる。
【0043】
いくつかの実施例において、電極板100の具体的なプロセス要件に応じて、窪み21を細線状又は波状に選択的に設けることができ、このように導電層20の適用性を向上させることができる。
【0044】
いくつかの実施例において、細線状又は波状の窪みの幅a1は、1.0mm~5.0mmであり、隣接する細線状又は波状の窪みの間の平面部の幅b1は、0mm~4.0mmであり、図2に示すように、図2は、本願の実施例に係る導電層の平面図であり、図2において、窪み21は、細線状に構成され、窪み21の間に平面部22を有し、窪みの幅a1とは、窪みの配列方向における単一の窪みの寸法を指し、平面部の幅b1とは、窪みの配列方向における単一の平面部の寸法を指す。いくつかの実施形態において、細線状又は波状の窪みの間の間隔d1は、1mm≦d1≦5mmである。いくつかの実施形態において、細線状又は波状の窪みの間の間隔d1は、1mm≦d1≦3mmである。図3に示すように、図3は、本願の実施例に係る導電層の正面図であり、図3において、隣接する窪み21間の間隔d1とは、同一の断面(該断面は、導電層と集電体との界面に垂直であるとともに、集電体の一方の側面に平行であり、集電体の他方の側面に垂直である)における隣接する窪みの中心線間の距離を指す。具体的には、窪み21が波状又は細線状に構成される場合、隣接する窪み21の間の間隔を調整することにより、導電層20の表面の粗さを調整することができるため、集電体10と活物質層11との間の導電性及び接着性を向上させ、導電層20と集電体10との保護性を強化し、隣接する窪み21の間の間隔を合理的な範囲内に設定し、異なる電極板100の異なるプロセス要件に応じて調整して、電極板100生産製造の利便性を向上させ、導電層20の適用性を向上させることができる。
【0045】
いくつかの実施例において、窪み21は、円形、楕円形、円錐形及び多角形のうちの少なくとも1種に構成され、すなわち、上記窪みは、点状の窪みであり、このように、窪み21の生産を多様化することができるため、窪み21の生産及び製造を容易にし、電極板100の生産製造の流れを簡略化し、電極板100の生産製造の難しさを低減することができる。
【0046】
いくつかの実施例において、点状の窪みの幅は、0.3mm~5.0mmであり、図4に示すように、図4は、本願の実施例に係る導電層の平面図であり、図4において、点状の窪みの幅a2とは、窪みの外部の最も遠い2つの点の間の距離を指し、隣接する点状の窪み21の間の間隔d2とは、隣接する点状の窪みの中心の間の距離を指す。いくつかの実施例において、d2は、1mm≦d2≦15mmという関係式を満たす。いくつかの実施例において、d2は、1mm≦d2≦5mmという関係式を満たす。
【0047】
いくつかの実施形態において、窪み21の深さhは、0.1μm~10.0μmであり、いくつかの実施形態において、導電層の厚さは、0.5μm~10.0μmであり、かつ導電層の厚さは、窪み21の深さよりも大きい。図3に示すように、図3において、窪み21の深さhとは、導電層の厚さ方向の窪みの最大寸法を指す。本願の実施形態において、窪みの被覆度は、1-窪みの深さhと導電層の元の厚さの百分率であり、例えば、導電層の元の厚さが10.0μmであり、窪み21の深さhが5μmである場合、窪みの被覆度は50%であり、すなわち、窪み21での導電層の厚さは5μmである。いくつかの実施例において、窪みの被覆度は10%より大きく、いくつかの実施例において、窪み21は細線状又は波状に構成され、窪みの被覆度は30%~80%である。いくつかの実施形態において、窪み21は、円形、楕円形、円錐形及び多角形のうちの少なくとも1種に構成され、窪みの被覆度は、20%~70%である。
【0048】
本願は、電気化学装置をさらに開示し、該電気化学装置は、上記電極板100を含む。上記電極板100を電気化学装置に設けることにより、電気化学装置の高レートでの容量放出を向上させ、電気化学装置のサイクルに伴う容量の減衰程度を緩和するため、電気化学装置の信頼性を向上させることができる。
【0049】
また、このように設けられた導電層20により、電気化学装置の長時間の充放電サイクルによる活物質層11の脱落問題を軽減することができ、かつ該導電層は、さらに集電体10の耐食性を向上させることができる。なお、電気化学装置は、電池であってもよく、電極板100は、電極の正極板又は負極板であってもよい。
【0050】
図7に示すように、図7は、本願の実施例に係るグラビアローラーの概略図であり、本願の実施例に係る印刷装置は、主に、材料槽とグラビアローラー30とを含んでもよく、グラビアローラー30は、材料槽の上方に設けられ、グラビアローラー30に印刷領域31が設けられ、印刷領域31には導電層20に窪み21を形成するための印刷模様311が設けられ、印刷模様は、複数のセルからなり、グラビアローラーのセルの深さを制御すると、窪み21の深さを調整し、模様付きの導電層の製造を実現することができる。具体的には、グラビアローラー30の上方に箔材(集電体は、通常、アルミニウム箔又は銅箔である)を設け、グラビアローラー30を材料槽の上方に回転可能に設け、箔材に塗布される塗料を材料槽内に置くことにより、グラビアローラー30が回転する場合に、グラビアローラー30の印刷領域31が塗料と接触して、塗料を印刷領域31に付着させ、かつグラビアローラー30の回転に伴って、箔材に塗料を塗布し、印刷領域31に印刷模様311が形成されるため、印刷領域31の塗料を箔材に塗布した後、箔材に窪み21を形成し、その後、表面に窪み21が形成された箔材を焼き付けて乾燥させて、導電層20を得ることができ、これにより、導電層20の構造信頼性を保証するだけでなく、導電層20の生産製造を容易にすることができる。
【0051】
いくつかの実施例において、印刷装置は、バックプレート及びスクレーパーをさらに含み、バックプレート及びグラビアローラー30が互いに押圧して設けられ、該構造によりグラビアローラー30と箔材とを密着させることができるため、グラビアローラー30における印刷模様311の箔材への塗布効果を向上させる。いくつかの実施例において、スクレーパーの刃がグラビアローラー30の表面に貼り付けられ、スクレーパーがグラビアローラー30の表面の余分な塗料を掻き取ることができるため、グラビアローラー30の箔材への塗布の均一性を向上させ、導電層20の構造安定性を向上させる。箔材は、銅箔であってもよい。
【0052】
図4に示すように、印刷模様311には、複数の細線状突起又は点状突起が均一に分布する。具体的には、複数の細線状突起又は点状突起を細線状、波状、円形、楕円形、円錐形及び多角形のうちの少なくとも1種に構成することができるため、印刷模様311を細線状、波状、円形、楕円形、円錐形及び多角形のうちの少なくとも1種に構成し、かつ導電層20の窪み21に対応することができ、すなわち、細線状、波状、円形、楕円形、円錐形及び多角形のうちの少なくとも1種の印刷模様311での塗料を箔材に直接塗布し、箔材を乾燥させてから、対応構成の導電層20表面の窪み21を得ることができ、このようにして印刷装置の信頼性を向上させることができる。
【0053】
以下、導電層20の異なる条件での電池性能を比較するために、複数の実施例を提供する。
【0054】
比較例1において、電池の導電層20を印刷なしの純銅箔として設け、電池の内部抵抗、異なるレートでの放電容量(0.5C、1C、2C、3C及び5C)及び800サイクル容量維持率を測定した。
【0055】
図8に示すように、比較例2において、電池の導電層20をベタ印刷の銅箔として設け、かつ電池の内部抵抗、異なるレートでの放電容量(0.5C、1C、2C、3C及び5C)及び800サイクル容量維持率を測定した。
【0056】
図9に示すように、本願の実施例1において、電池の導電層20は、点状の窪み21を有する銅箔であり、点状の窪み21は、50%の被覆が行われ、点状の窪み21の直径は、1mmであり、隣接する点状の窪み21の間隔は、5mmであり、かつ電池の内部抵抗、異なるレートでの放電容量(0.5C、1C、2C、3C及び5C)及び800サイクル容量維持率を測定した。
【0057】
図9に示すように、本願の実施例2において、電池の導電層20は、点状の窪み21を有する銅箔であり、点状の窪み21は、10%の被覆が行われ、点状の窪み21の直径は、1mmであり、隣接する点状の窪み21の間隔は、5mmであり、かつ電池の内部抵抗、異なるレートでの放電容量(0.5C、1C、2C、3C及び5C)及び800サイクル容量維持率を測定した。
【0058】
図9に示すように、本発明の実施例3において、電池の導電層20は、点状の窪み21を有する銅箔であり、点状の窪み21は、30%の被覆が行われ、点状の窪み21の直径は、1mmであり、隣接する点状の窪み21の間隔は、5mmであり、かつ電池の内部抵抗、異なるレートでの放電容量(0.5C、1C、2C、3C及び5C)及び800サイクル容量維持率を測定した。
【0059】
図9に示すように、本発明の実施例4において、電池の導電層20は、点状の窪み21を有する銅箔であり、点状の窪み21は、90%の被覆が行われ、点状の窪み21の直径は、1mmであり、隣接する点状の窪み21の間隔は、5mmであり、かつ電池の内部抵抗、異なるレートでの放電容量(0.5C、1C、2C、3C及び5C)及び800サイクル容量維持率を測定した。
【0060】
図10に示すように、本発明の実施例5において、電池の導電層20は、波状の窪み21を有する銅箔であり、波状の窪み21は、30%の被覆が行われ、波状の窪み21の幅は、0.8mmであり、隣接する波状の窪み21の間隔は、1mmであり、かつ電池の内部抵抗、異なるレートでの放電容量(0.5C、1C、2C、3C及び5C)及び800サイクル容量維持率を測定した。
【0061】
図10に示すように、本発明の実施例6において、電池の導電層20は、波状の窪み21を有する銅箔であり、波状の窪み21は、30%の被覆が行われ、波状の窪み21の幅は、0.8mmであり、隣接する波状の窪み21の間隔は、2mmであり、かつ電池の内部抵抗、異なるレートでの放電容量(0.5C、1C、2C、3C及び5C)及び800サイクル容量維持率を測定した。
【0062】
図10に示すように、本発明の実施例7において、電池の導電層20は、波状の窪み21を有する銅箔であり、波状の窪み21は、30%の被覆が行われ、波状の窪み21の幅は、0.8mmであり、隣接する波状の窪み21の間隔は、3mmであり、かつ電池の内部抵抗、異なるレートでの放電容量(0.5C、1C、2C、3C及び5C)及び800サイクル容量維持率を測定した。
【0063】
図10に示すように、本発明の実施例8において、電池の導電層20は、波状の窪み21を有する銅箔であり、波状の窪み21は、10%の被覆が行われ、波状の窪み21の幅は、0.8mmであり、隣接する波状の窪み21の間隔は、1mmであり、かつ電池の内部抵抗、異なるレートでの放電容量(0.5C、1C、2C、3C及び5C)及び800サイクル容量維持率を測定した。
【0064】
図10に示すように、本発明の実施例9において、電池の導電層20は、波状の窪み21を有する銅箔であり、波状の窪み21は、50%の被覆が行われ、波状の窪み21の幅は、0.8mmであり、隣接する波状の窪み21の間隔は、1mmであり、かつ電池の内部抵抗、異なるレートでの放電容量(0.5C、1C、2C、3C及び5C)及び800サイクル容量維持率を測定した。
【0065】
図10に示すように、本発明の実施例9において、電池の導電層20は、波状の窪み21を有する銅箔であり、波状の窪み21は、90%の被覆が行われ、波状の窪み21の幅は、0.8mmであり、隣接する波状の窪み21の間隔は、1mmであり、かつ電池の内部抵抗、異なるレートでの放電容量(0.5C、1C、2C、3C及び5C)及び800サイクル容量維持率を測定した。
【0066】
比較例1、比較例2及び本願の実施例1~本願の実施例10における電池の内部抵抗値の比較は、以下の表1に示される。
表1 各実施例及び比較例の実験結果表
【表1】
【0067】
表1から分かるように、純銅箔を導電層20とした電池の内部抵抗が最も高く、ベタ印刷の銅箔を導電層20として使用した電池の内部抵抗が明らかに低下し、点状印刷又は波状印刷の銅箔を導電層20として使用した電池の内部抵抗がさらに低下する。
【0068】
図5に示すように、比較例1、比較例2及び本願の実施例1における電池の異なるレートでの放電容量(0.5C、1C、2C、3C及び5C)及び800サイクル容量維持率を比較して分かるように、純銅箔を導電層20として使用した電池の容量は、レートの上昇に伴って最も大きく減衰し、ベタ印刷の銅箔を導電層20として使用した電池の容量は、レートの上昇に伴って減衰が明らかに改善され、点状印刷の銅箔を導電層20として使用した電池の容量は、レートの上昇に伴って減衰がさらに抑制される。
【0069】
図6に示すように、比較例1、比較例2及び本願の実施例1における電池の異なるレートでの放電容量(0.5C、1C、2C、3C及び5C)及び800サイクル容量維持率を比較して分かるように、純銅箔を導電層20として使用した電池の容量は、サイクルに伴って最も大きく低下し、ベタ印刷の銅箔を導電層20として使用した電池の容量は、サイクルに伴って減衰が明らかに改善され、点状印刷の銅箔を導電層20として使用した電池の容量は、サイクルに伴って減衰がさらに抑制される。
【0070】
図5及び図6に示すように、上記結果から分かるように、印刷は、電池の高レート及び長サイクル性能を効果的に向上させることができ、模様付きの印刷層は、活物質層11と集電体10との結合をさらに強化するため、電池性能をさらに向上させることができる。
【0071】
比較例1、比較例2及び本願の実施例1~本願の実施例4から分かるように、異なる被覆百分率での点状印刷模様による高レート放電容量及び容量維持率の効果は、30%の被覆>50%の被覆>90%の被覆>10%の被覆であり、なお、被覆度を10%に低下させ続けると、点状印刷模様による高レート放電容量及び容量維持率の効果が逆に低下するため、点状印刷模様に対して、被覆度の好ましい範囲は、10%~90%である。
【0072】
本願の実施例5~本願の実施例7を比較して分かるように、波状模様の間隔距離が異なる波状模様の印刷による高レート放電容量及び容量維持率の効果は、隣接する波状模様の間隔距離1mm>隣接する波状模様の間隔距離2mm>隣接する波状模様の間隔距離3mmである。
【0073】
さらに、本発明の実施例8~本発明の実施例10を比較して分かるように、異なる被覆百分率での波状模様の印刷による高レート放電容量及び容量維持率の効果は、30%の被覆>50%の被覆>10%の被覆>90%の被覆である。従って、波状印刷模様について、被覆度の好ましい範囲は、10%~90%である。
【0074】
上記から分かるように、同じ模様の印刷は、高レートでの放電容量及び容量維持率に対する効果も模様の被覆程度及び模様間隔などの影響を受けるため、異なる条件に対して最適化する必要がある。
【0075】
なお、本願の説明において、用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などで示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本願を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置又は部品が特定の方位を有するとともに、特定の方位で構成されて動作しなければならないことを示すか又は示唆するものではないため、本願を限定するものであると理解してはならない。
【0076】
本明細書の説明において、用語「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例示的な実施例」、「例」、「具体例」又は「いくつかの例」などを参照した説明は、該実施例又は例を参照して説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本願の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語に対する例示的な説明は、必ずしも同じ実施例又は例に限定されるわけではない。
【0077】
本願の実施例を示し説明したが、当業者であれば、本願の原理及び目的を逸脱することなく、これらの実施例に対して様々な変更、補正、置換及び変形を行うことができ、本願の範囲は、特許請求の範囲及びその均等物によって限定されることを理解することができる。
【符号の説明】
【0078】
100 電極板
10 集電体
11 活物質層
20 導電層
21 窪み
30 グラビアローラー
31 印刷領域
311 印刷模様
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-02-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体と、活物質層と、導電層とを含む電極板であって、
前記導電層は、前記集電体と前記活物質層との間に設けられ、前記導電層に窪みが設けられ、前記窪みは、前記導電層の前記活物質層と接触する一面が前記集電体と接触する他面に向かって凹むように構成される、ことを特徴とする電極板。
【請求項2】
前記窪みは複数であり、複数の前記窪みは、前記導電層に規則的に分布する、ことを特徴とする請求項1に記載の電極板。
【請求項3】
前記窪みの被覆度は、10%より大きい、ことを特徴とする請求項2に記載の電極板。
【請求項4】
前記窪みは、細線状又は波状に構成される、ことを特徴とする請求項3に記載の電極板。
【請求項5】
前記窪みの幅a1は、1.0mm~5.0mmである、ことを特徴とする請求項4に記載の電極板。
【請求項6】
隣接する前記窪み間の間隔は、d1であり、d1は、1mm≦d1≦5mmという関係式を満たす、ことを特徴とする請求項に記載の電極板。
【請求項7】
前記窪みの被覆度は、30%~80%である、ことを特徴とする請求項6に記載の電極板。
【請求項8】
前記窪みは、円形、楕円形、円錐形及び多角形のうちのいずれかに構成される、ことを特徴とする請求項3に記載の電極板。
【請求項9】
前記窪みの幅は、0.3mm~5.0mmである、ことを特徴とする請求項8に記載の電極板。
【請求項10】
隣接する前記窪み間の間隔は、d2であり、d2は、1mm≦d2≦15mmという関係式を満たす、ことを特徴とする請求項に記載の電極板。
【請求項11】
前記d2は、1mm≦d2≦5mmという関係式を満たす、ことを特徴とする請求項10に記載の電極板。
【請求項12】
前記窪みの被覆度は、20%~70%である、ことを特徴とする請求項11に記載の電極板。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の電極板を含む、ことを特徴とする電気化学装置。
【請求項14】
材料槽と、
グラビアローラーとを含み、前記グラビアローラーは、前記材料槽の上方に設けられ、前記グラビアローラーに印刷領域が設けられ、前記印刷領域には導電層に窪みを形成するための印刷模様が設けられる、ことを特徴とする印刷装置。
【請求項15】
前記印刷模様に均一に分布する突起形状は、細線状、波状、円形、楕円形、円錐形及び多角形のうちの少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項14に記載の印刷装置。
【国際調査報告】