(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】電動圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04B 39/00 20060101AFI20240709BHJP
F04B 39/06 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
F04B39/00 106Z
F04B39/06 Q
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580793
(86)(22)【出願日】2022-11-07
(85)【翻訳文提出日】2023-12-28
(86)【国際出願番号】 KR2022017350
(87)【国際公開番号】W WO2023106648
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】10-2021-0174010
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516011246
【氏名又は名称】ハンオン システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナ, スン キュ
(72)【発明者】
【氏名】ソン, ウン ギ
(72)【発明者】
【氏名】イ, テ ホ
(72)【発明者】
【氏名】パク, ボク キ
【テーマコード(参考)】
3H003
【Fターム(参考)】
3H003AA05
3H003AB05
3H003AB06
3H003AC03
3H003BE09
3H003CA02
3H003CD01
3H003CF01
(57)【要約】
【課題】インバータの複数の素子を全体的に十分に冷却し、複数の素子間の温度偏差を抑制することにより、焼損、作動停止及びメンテナンスコストの増加を抑制できる電動圧縮機を提供する。
【解決手段】本発明は電動圧縮機に関し、動力を発生するモータと、前記モータから動力を受けて冷媒を圧縮する圧縮機構と、前記モータを制御するインバータと、を含み、前記モータと前記インバータを収容するハウジングは、前記モータが収容されるモータ収容空間と前記インバータが収容されるインバータ収容空間とを区画する隔壁、及び冷媒を前記モータ収容空間に案内する吸入ポートを含み、前記隔壁は、前記モータ収容空間に対向する面から突出したリブを含むことで、インバータの複数の素子を全体的に十分に冷却し、複数の素子間の温度偏差を抑制することにより、焼損、作動停止及びメンテナンスコストの増加を抑制することができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力を発生するモータと、
前記モータから動力を受けて冷媒を圧縮する圧縮機構と、
前記モータを制御するインバータと、を含み、
前記モータと前記インバータを収容するハウジングは、前記モータが収容されるモータ収容空間と前記インバータが収容されるインバータ収容空間とを区画する隔壁、及び冷媒を前記モータ収容空間に案内する吸入ポートを含み、
前記隔壁は、前記モータ収容空間に対向する面から突出したリブを含むことを特徴とする電動圧縮機。
【請求項2】
前記吸入ポートから前記モータ収容空間に流入した冷媒の一部は、前記モータ収容空間の円周方向に沿って流動し、
前記リブは、前記モータ収容空間の半径方向に延びる第1のリブを含むことを特徴とする請求項1に記載の電動圧縮機。
【請求項3】
前記第1のリブは複数で形成され、
前記複数の第1のリブは、前記モータ収容空間の円周方向に沿って配列されることを特徴とする請求項2に記載の電動圧縮機。
【請求項4】
前記隔壁は、前記モータの回転軸を支持するベアリングが挿入されるように前記隔壁の前記モータ収容空間に対向する面から突出した環状のボス部をさらに含み、
前記複数の第1のリブは、前記ボス部から延びることを特徴とする請求項3に記載の電動圧縮機。
【請求項5】
前記ハウジングは、前記隔壁の外周部から延びる環状壁をさらに含み、
前記複数の第1のリブの一部は、前記ボス部から前記環状壁まで延びることを特徴とする請求項4に記載の電動圧縮機。
【請求項6】
前記複数の第1のリブの少なくとも一部は、異なる長さを有するように形成されることを特徴とする請求項3に記載の電動圧縮機。
【請求項7】
前記吸入ポートは、前記モータ収容空間の中心を基準に重力方向の反対側に形成され、
前記複数の第1のリブは、前記モータ収容空間の中心を基準に重力方向側に形成される第1のリブの平均長さが、前記モータ収容空間の中心を基準に重力方向の反対側に形成される第1のリブの平均長さよりも長く形成されることを特徴とする請求項6に記載の電動圧縮機。
【請求項8】
前記ハウジングは、前記モータの外周面を支持する環状壁、及び前記環状壁の内周面に凹んで形成され、前記モータの外周面から離隔し、前記圧縮機構側に延びる内部流路をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の電動圧縮機。
【請求項9】
前記内部流路は複数で形成され、
前記複数の内部流路は、前記モータ収容空間の円周方向に沿って配列され、前記吸入ポートが延びる方向に沿って、前記モータ収容空間の円周方向を基準に前記吸入ポートの出口に隣接する上流内部流路、及び前記吸入ポートの出口から遠隔の下流内部流路を含むことを特徴とする請求項8に記載の電動圧縮機。
【請求項10】
前記下流内部流路の流動断面積は、前記上流内部流路の流動断面積よりも大きく形成されることを特徴とする請求項9に記載の電動圧縮機。
【請求項11】
前記リブは、前記モータ収容空間の円周方向に延びる第2のリブをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の電動圧縮機。
【請求項12】
前記第2のリブは、前記上流内部流路側から前記下流内部流路側に延びることを特徴とする請求項11に記載の電動圧縮機。
【請求項13】
前記第2のリブは、前記モータ収容空間の円周方向で前記下流内部流路に近くなるほど曲率半径が減少するように形成されることを特徴とする請求項12に記載の電動圧縮機。
【請求項14】
前記第2のリブの突出高さは、前記第1のリブの突出高さよりも高く形成されることを特徴とする請求項11に記載の電動圧縮機。
【請求項15】
前記第2のリブは複数で形成され、
前記複数の第2のリブは、前記モータ収容空間の半径方向に沿って配列されることを特徴とする請求項11に記載の電動圧縮機。
【請求項16】
前記複数の第2のリブは、前記モータ収容空間の半径方向に互いに離隔して形成され、
前記モータ収容空間の円周方向で前記吸入ポートに隣接する位置における前記複数の第2のリブ間の離隔距離が、前記吸入ポートから遠隔の位置における前記複数の第2のリブ間の離隔距離よりも長く形成されることを特徴とする請求項15に記載の電動圧縮機。
【請求項17】
前記複数の第2のリブは、求心側リブ、及び前記求心側リブを基準に前記モータ収容空間の半径方向外側に形成される遠心側リブを含み、
前記求心側リブは、前記遠心側リブよりも円周方向の長さが長く形成されることを特徴とする請求項15に記載の電動圧縮機。
【請求項18】
前記求心側リブの前縁は、前記遠心側リブの前縁と前記モータ収容空間の半径方向に重なるように形成され、
前記求心側リブの後縁は、前記遠心側リブの後縁と前記モータ収容空間の半径方向に重ならないように形成されることを特徴とする請求項17に記載の電動圧縮機。
【請求項19】
前記インバータは複数の素子を含み、前記複数の素子のうち少なくとも一部は、前記インバータ収容空間で前記隔壁に接触し、前記複数の素子はスイッチング素子であることを特徴とする請求項1に記載の電動圧縮機。
【請求項20】
動力を発生するモータと、
前記モータから動力を受けて冷媒を圧縮する圧縮機構と、
前記モータを制御するインバータと、を含み、
前記モータと前記インバータを収容するハウジングは、前記モータが収容されるモータ収容空間と前記インバータが収容されるインバータ収容空間とを区画する隔壁、低温の冷媒を前記モータ収容空間に前記モータ収容空間の円周方向に流入させる吸入ポート、前記モータの外周面を支持する環状壁、及び前記環状壁の内周面に凹んで形成され、前記モータの外周面から離隔し、前記圧縮機構側に延びる内部流路を含み、
前記内部流路は複数で形成され、
前記複数の内部流路は、前記モータ収容空間の円周方向に沿って配列され、前記吸入ポートが延びる方向に沿って、前記モータ収容空間の円周方向を基準に前記吸入ポートの出口に隣接する上流内部流路、及び前記吸入ポートの出口から遠隔の下流内部流路を含み、
前記下流内部流路の流動断面積は、前記上流内部流路の流動断面積よりも大きく形成されることを特徴とする電動圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電動圧縮機に係り、より詳しくは、インバータによって制御されるモータの駆動力で冷媒を圧縮できるようにした電動圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、圧縮機は冷媒ガスなどの流体を圧縮する装置であり、建物の空調システムや車両用空調システムなどに適用される。
前記圧縮機は、圧縮方式によってピストンの往復運動により冷媒を圧縮する往復式圧縮機と、回転運動しながら圧縮を行う回転式圧縮機とに分類され、前記往復式圧縮機は、動力伝達方式によって、クランクを用いて複数のピストンに動力を伝達するクランク式圧縮機と、斜板が設けられた回転軸に動力を伝達する斜板式圧縮機となどに分類され、前記回転式圧縮機は、回転するロータリー軸とベーンを用いるベーンロータリー式圧縮機と、旋回スクロールと固定スクロールを用いるスクロール式圧縮機とに分類することができる。
また、前記圧縮機は、駆動方式によって、エンジンを用いる機械式圧縮機と、モータを用いる電動式圧縮機(以下、電動圧縮機)とに分類することもできる。
ここで、電動圧縮機には、圧縮容量の調節のためにモータを制御するインバータが適用され、前記インバータの発熱素子を冷却させる構造が適用される。
【0003】
図1は、従来の電動圧縮機を示す断面図であり、
図2は、
図1の電動圧縮機でフロントハウジングを一部切開して示す斜視図であり、
図3は、
図1の電動圧縮機でインバータ素子の温度分布を示す温度分布図である。参考までに、
図3では、温度が高くなるほど陰影を濃く示している。
添付の
図1から
図3に示す通り、従来の電動圧縮機は、動力を発生するモータ6、前記モータ6から動力を受けて冷媒を圧縮する圧縮機構4、及び前記モータ6を制御するインバータ8を含み、前記モータ6と前記インバータ8を収容するハウジング2は、前記モータ6が収容されるモータ収容空間S1と前記インバータ8が収容されるインバータ収容空間S2とを区画する隔壁242、及び冷媒を前記モータ収容空間S1に案内する吸入ポート2442を含み、前記インバータ8は、複数の素子84を含み、前記複数の素子84の少なくとも一部は、前記インバータ収容空間S2で前記隔壁242に接触する。
【0004】
一方、前記ハウジング2は、前記モータ6の外周面を支持する環状壁244、及び前記環状壁244の内周面に凹んで形成され、前記モータ6の外周面から離隔し、前記圧縮機構4側に延びる複数の内部流路2444を含む。
このような構成による従来の電動圧縮機は、前記モータ6に電源が印加されると、前記吸入ポート2442を介して前記モータ収容空間S1に冷媒が流入し、前記モータ収容空間S1の冷媒は、前記複数の内部流路2444を介して前記圧縮機構4に流入して圧縮された後に前記ハウジング2の外部に排出される。
【0005】
また、このような過程で、前記モータ6が前記インバータ8によって制御されることにより冷却効率が可変制御され、前記インバータ8の素子84から発生する熱は、前記隔壁242を介して前記モータ収容空間S1の冷媒により放熱される。
しかし、このような従来の電動圧縮機にでは、インバータ8の複数の素子84が全体的に十分に冷却されず、
図3に示すように、複数の素子84間で温度偏差が発生するため、インバータ8の素子84の焼損が発生し、電動圧縮機の作動が停止し、これによるメンテナンスコストが増加するという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、インバータの複数の素子を全体的に十分に冷却し、複数の素子間の温度偏差を抑制することにより、焼損、作動停止及びメンテナンスコストの増加を抑制できる電動圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、動力を発生するモータと、前記モータから動力を受けて冷媒を圧縮する圧縮機構と、前記モータを制御するインバータと、を含み、前記モータと前記インバータを収容するハウジングは、前記モータが収容されるモータ収容空間と前記インバータが収容されるインバータ収容空間とを区画する隔壁、及び冷媒を前記モータ収容空間に案内する吸入ポートを含み、前記隔壁は、前記モータ収容空間に対向する面から突出したリブを含む電動圧縮機を提供する。
【0008】
前記吸入ポートから前記モータ収容空間に流入した冷媒の一部は、前記モータ収容空間の円周方向に沿って流動し、前記リブは、前記モータ収容空間の半径方向に延びる第1のリブを含んでもよい。
前記第1のリブは複数で形成され、前記複数の第1のリブは、前記モータ収容空間の円周方向に沿って配列されてもよい。
前記隔壁は、前記モータの回転軸を支持するベアリングが挿入されるように、前記隔壁の前記モータ収容空間に対向する面から突出した環状のボス部をさらに含み、前記複数の第1のリブは、前記ボス部から延びてもよい。
【0009】
前記ハウジングは、前記隔壁の外周部から延びる環状壁をさらに含み、前記複数の第1のリブの一部は、前記ボス部から前記環状壁まで延びてもよい。
前記複数の第1のリブの少なくとも一部は、異なる長さを有するように形成されてもよい。
前記吸入ポートは、前記モータ収容空間の中心を基準に重力方向の反対側に形成され、前記複数の第1のリブは、前記モータ収容空間の中心を基準に重力方向側に形成される第1のリブの平均長さが、前記モータ収容空間の中心を基準に重力方向の反対側に形成される第1のリブの平均長さよりも長く形成されてもよい。
【0010】
前記ハウジングは、前記モータの外周面を支持する環状壁、及び前記環状壁の内周面に凹んで形成され、前記モータの外周面から離隔し、前記圧縮機構側に延びる内部流路をさらに含んでもよい。
前記内部流路は複数で形成され、前記複数の内部流路は、前記モータ収容空間の円周方向に沿って配列され、前記吸入ポートが延びる方向に沿って、前記モータ収容空間の円周方向を基準に前記吸入ポートの出口に隣接する上流内部流路、及び前記吸入ポートの出口から遠隔の下流内部流路を含んでもよい。
前記下流内部流路の流動断面積は、前記上流内部流路の流動断面積よりも大きく形成されてもよい。
【0011】
前記リブは、前記モータ収容空間の円周方向に延びる第2のリブをさらに含んでもよい。
前記第2のリブは、前記上流内部流路側から前記下流内部流路側に延びてもよい。
前記第2のリブは、前記モータ収容空間の円周方向で前記下流内部流路に近くなるほど曲率半径が減少するように形成されてもよい。
前記第2のリブの突出高さは、前記第1のリブの突出高さよりも高く形成されてもよい。
前記第2のリブは複数で形成され、前記複数の第2のリブは、前記モータ収容空間の半径方向に沿って配列されてもよい。
【0012】
前記複数の第2のリブは、前記モータ収容空間の半径方向に互いに離隔して形成され、前記モータ収容空間の円周方向で前記吸入ポートに隣接する位置における前記複数の第2のリブ間の離隔距離が、前記吸入ポートから遠隔の位置における前記複数の第2のリブ間の離隔距離よりも長く形成されてもよい。
前記複数の第2のリブは、求心側リブ、及び前記求心側リブを基準に前記モータ収容空間の半径方向外側に形成される遠心側リブを含み、前記求心側リブは、前記遠心側リブよりも円周方向の長さが長く形成されてもよい。
前記求心側リブの前縁は、前記遠心側リブの前縁と前記モータ収容空間の半径方向に重なるように形成され、前記求心側リブの後縁は、前記遠心側リブの後縁と前記モータ収容空間の半径方向に重ならないように形成されてもよい。
【0013】
前記インバータは複数の素子を含み、前記複数の素子のうち少なくとも一部は、前記インバータ収容空間で前記隔壁に接触してもよい。
前記複数の素子は、スイッチング素子であってもよい。
【0014】
一方、本発明は、動力を発生するモータと、前記モータから動力を受けて冷媒を圧縮する圧縮機構と、前記モータを制御するインバータと、を含み、前記モータと前記インバータを収容するハウジングは、前記モータが収容されるモータ収容空間と前記インバータが収容されるインバータ収容空間とを区画する隔壁、低温の冷媒を前記モータ収容空間に前記モータ収容空間の円周方向に流入させる吸入ポート、前記モータの外周面を支持する環状壁、及び前記環状壁の内周面に凹んで形成され、前記モータの外周面から離隔し、前記圧縮機構側に延びる内部流路を含み、前記内部流路は複数で形成され、前記複数の内部流路は、前記モータ収容空間の円周方向に沿って配列され、前記吸入ポートが延びる方向に沿って、前記モータ収容空間の円周方向を基準に前記吸入ポートの出口に隣接する上流内部流路、及び前記吸入ポートの出口から遠隔の下流内部流路を含み、前記下流内部流路の流動断面積は、前記上流内部流路の流動断面積よりも大きく形成される電動圧縮機を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電動圧縮機は、動力を発生するモータと、前記モータから動力を受けて冷媒を圧縮する圧縮機構と、前記モータを制御するインバータと、を含み、前記モータと前記インバータを収容するハウジングは、前記モータが収容されるモータ収容空間と前記インバータが収容されるインバータ収容空間とを区画する隔壁、及び冷媒を前記モータ収容空間に案内する吸入ポートを含み、前記隔壁は、前記モータ収容空間に対向する面から突出したリブを含むことで、インバータの複数の素子を全体的に十分に冷却し、複数の素子間の温度偏差を抑制することにより、焼損、作動停止及びメンテナンスコストの増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】
図1の電動圧縮機でフロントハウジングを一部切開して示す斜視図である。
【
図3】
図1の電動圧縮機でインバータ素子の温度分布を示す温度分布図である。
【
図4】本発明の電動圧縮機でフロントハウジングを一部切開して示す斜視図である。
【
図6】
図5のフロントハウジングにモータの一部部品が収容された状態を示す正面図である。
【
図7】
図4の電動圧縮機でインバータ素子の温度分布を示す温度分布図である。
【
図8】本発明の他の実施形態による電動圧縮機でフロントハウジングを一部切開して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明による電動圧縮機を添付の図面を参照して詳しく説明する。
図4は、本発明の電動圧縮機でフロントハウジングを一部切開して示す斜視図であり、
図5は、
図4の正面図であり、
図6は、
図5のフロントハウジングにモータの一部部品が収容された状態を示す正面図であり、
図7は、
図4の電動圧縮機でインバータ素子の温度分布を示す温度分布図である。参考までに、
図7では、温度が高くなるほど陰影を濃く示している。
一方、
図4から
図7に図示していない構成要素は説明の便宜のため
図1に示す。
【0018】
図4から
図7及び
図1に示す通り、本発明の電動圧縮機は、ハウジング2、前記ハウジング2の内部で冷媒を圧縮する圧縮機構4、前記圧縮機構4に動力を提供するモータ6、及び前記モータ6を制御するインバータ8を含んでもよい。
前記ハウジング2は、センターハウジング22、前記センターハウジング22に結合され、前記モータ6が収容されるモータ収容空間S1を形成するフロントハウジング24、前記フロントハウジング24を基準に前記センターハウジング22の反対側で前記フロントハウジング24に結合され、前記インバータ8が収容されるインバータ収容空間S2を形成するインバータカバー26、及び前記センターハウジング22を基準に前記フロントハウジング24の反対側で前記センターハウジング22に結合され、前記圧縮機構4が収容される圧縮機構収容空間S3、及び前記圧縮機構4から吐出される冷媒を収容する吐出室Dを形成するリアハウジング28を含んでもよい。
【0019】
前記フロントハウジング24は、前記モータ収容空間S1と前記インバータ収容空間S2とを区画する隔壁242、及び前記隔壁242の外周部から延びて前記モータ6の外周面を支持する環状壁244を含んでもよい。
前記隔壁242は、前記モータ収容空間S1に対向する第1の面、及び前記第1の面の背面をなして前記インバータ収容空間S2に対向する第2の面を含んでもよい。
前記第1の面は、前記第1の面の中心部から前記モータ収容空間S1側に突出した環状のボス部2426を含み、前記ボス部2426には、後述する回転軸66を支持するベアリングが挿入されてもよい。 また、前記第1の面は、前記第1の面から前記モータ収容空間S1側に突出したリブをさらに含んでもよい。
【0020】
前記リブは、前記モータ収容空間S1の半径方向に延びる第1のリブ2422を含んでもよい。
前記第1のリブ2422は複数で形成され、前記複数の第1のリブ2422は、前記モータ収容空間S1の円周方向に沿って配列され、前記複数の第1のリブ2422は、前記ボス部2426から延びてもよい。
前記複数の第1のリブ2422の一部は、前記ボス部2426から前記環状壁244まで延びてもよい。
また、前記複数の第1のリブ2422の少なくとも一部は、異なる長さを有するように形成されてもよい。
【0021】
前記吸入ポート2442は、前記モータ収容空間S1の中心を基準に重力方向の反対側に形成され、前記複数の第1のリブ2422は、前記モータ収容空間S1の中心を基準に重力方向側に形成される第1のリブの平均長さが、前記モータ収容空間S1の中心を基準に重力方向の反対側に形成される第1のリブの平均長さよりも長く形成されてもよい。
【0022】
前記第2の面は、前記インバータ8の後述する素子84と接触するように平面で形成されてもよい。
前記環状壁244は、低温の冷媒を前記モータ収容空間S1に案内する吸入ポート2442を含んでもよい。
前記吸入ポート2442は、前記吸入ポート2442から前記モータ収容空間S1に流入した冷媒の一部が前記モータ収容空間S1の円周方向に沿って流動するように形成されてもよい。
また、前記環状壁244は、前記環状壁244の内周面に凹んで形成され、前記モータ6の外周面から離隔し、前記圧縮機構4側に延びる内部流路2444をさらに含んでもよい。
【0023】
前記内部流路2444は複数で形成され、前記複数の内部流路2444は、前記モータ収容空間S1の円周方向に沿って配列され、前記吸入ポート2442が延びる方向に沿って、前記モータ収容空間S1の円周方向を基準に前記吸入ポート2442の出口に隣接する上流内部流路、及び前記吸入ポート2442の出口から遠隔の下流内部流路を含んでもよい。
【0024】
前記下流内部流路の流動断面積は、前記上流内部流路の流動断面積よりも大きく形成されてもよい。
ここで、前記上流内部流路とは、前記吸入ポート2442が延びる方向に沿って、前記モータ収容空間S1の円周方向を基準に前記吸入ポート2442の出口に隣接する内部流路を指し、前記下流内部流路とは、前記吸入ポートの出口から遠隔の内部流路を指してもよい。これによって、非限定的な一例として、前記複数の内部流路2444は3つで形成され、すなわち、前記複数の内部流路2444は、前記吸入ポート2442の出口側に配置される第1の内部流路2444a、前記第1の内部流路2444aよりも下流側に配置される第2の内部流路2444b、及び前記第2の内部流路2444bよりも下流側に配置される第3の内部流路2444cを含み、前記第1の内部流路2444aは、前記第2の内部流路2444b及び前記第3の内部流路2444cの上流内部流路になり、前記第2の内部流路2444bは、前記第1の内部流路2444aの下流内部流路になると共に前記第3の内部流路2444cの上流内部流路になり、前記第3の内部流路2444cは、前記第1の内部流路2444a及び前記第2の内部流路2444bの下流内部流路になる。また、前記第3の内部流路2444cの流動断面積は、前記第2の内部流路2444bの流動断面積よりも大きく形成され、前記第1の内部流路2444aの流動断面積は、前記第2の内部流路2444bの流動断面積よりも小さく形成されてもよい。
【0025】
前記圧縮機構4は、固定設置される固定スクロール42、及び前記固定スクロール42に噛合して前記固定スクロール42と共に圧縮室を形成し、後述する回転軸66によって旋回運動する旋回スクロール44を含んでもよい。ここで、本実施形態の場合、前記圧縮機構4は、いわゆるスクロール方式で形成されるが、これに限定されず、往復動方式、ベーンロータリー方式など他の形態で形成されてもよい。
前記モータ6は、前記環状壁244に支持される固定子62、前記固定子62の内部に位置し、前記固定子62との相互作用によって回転する回転子64、及び前記回転子64と共に回転する回転軸66を含んでもよい。
【0026】
前記インバータ8は、制御に必要な複数の素子84が実装される基板82を含んでもよい。
前記複数の素子84は、例えば絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(insulated gate bipolar transistorと、IGBT)、インテリジェントパワーモジュール(intelligent power module、IPM)などのスイッチング素子のような発熱素子を含み、前記発熱素子の少なくとも一部は、放熱のために前記隔壁242(より正確には第2の面)に接触してもよい。
【0027】
以下、電動圧縮機の作用効果について説明する。
前記モータ6に電源が印加されると、前記吸入ポート2442を介して前記モータ収容空間S1に低温低圧の冷媒が流入し、前記モータ収容空間S1の冷媒は、前記複数の内部流路2444を介して前記圧縮機構4に流入して高温高圧に圧縮された後、前記吐出室Dを経て前記ハウジング2の外部に排出されてもよい。
また、この過程で、前記モータ6が前記インバータ8によって制御されることで、冷却効率が可変制御され、前記複数の素子84から発生する熱は、前記隔壁242を介して前記モータ収容空間S1の冷媒により放熱される。
【0028】
電動圧縮機は、前記隔壁242の第1の面から突出した前記第1のリブ2422を含むことで、前記隔壁242と前記モータ収容空間S1の冷媒との間の熱交換面積が増加して放熱性能が向上することによって、前記複数の素子84を全体的に十分に冷却することができる。これによって、前記複数の素子84の焼損及び前記電動圧縮機の作動停止が防止され、メンテナンスコストを低減することができる。
また、前記第1のリブ2422が前記モータ収容空間S1の半径方向に延びることによって、前記モータ収容空間S1の冷媒に対する流動抵抗が増加し、前記モータ収容空間S1の冷媒の流動速度を低下することができる。これによって、前記隔壁242と前記モータ収容空間S1の冷媒との間の熱交換時間が長くなり、前記放熱性能をさらに向上させることができる。
【0029】
また、前記第1のリブ2422が複数で形成され、前記複数の第1のリブ2422が前記モータ収容空間S1の円周方向に沿って配列されることによって、前記熱交換面積がさらに増大し、前記流動抵抗がさらに増加するため、前記放熱性能をさらに向上させることができる。
また、前記下部内部流路2444の流動断面積が前記上流内部流路の流動断面積よりも大きく形成されることによって、
図7に示すように、前記複数の素子84間の温度偏差を低減することができる。
【0030】
具体的に、本実施形態とは異なり、前記上流内部流路の流動断面積と前記下流内部流路の流動断面積とが互いに同一に形成される場合、冷媒の移動距離、流動抵抗などによって、前記下流内部流路を通過する冷媒の流量が前記上流内部流路を通過する冷媒の流量よりも減少する。また、このように各流路の流量が不均一であると、前記複数の素子84間の温度偏差が増大し、前記複数の素子84の一部が過熱して焼損する。
しかし、本実施形態の場合、前記下流内部流路の流動断面積が前記上流内部流路の流動断面積よりも大きく形成されることによって、前記下流内部流路を通過する冷媒の流量が前記上流内部流路を通過する冷媒の流量と同じレベルになることができる。すなわち、各流路の流量を均一化することができる。これによって、前記複数の素子84間の温度偏差を低減し、前記複数の素子84の一部が過熱する現象を抑制することができる。
【0031】
一方、本実施形態の場合、前記第1のリブ2422が形成されているが、
図8及び
図9に示すように、前記隔壁242の第1の面から突出する第2のリブ2424がさらに形成されることによって、前記隔壁242と前記モータ収容空間S1の冷媒との間の熱交換面積をさらに増大させることができる。
また、前記第2のリブ2424は、前記モータ収容空間S1の冷媒を前記下流内部流路に案内するように、前記モータ収容空間S1の円周方向に延びることによって、流路ごとの流量均一化をさらに容易に達成することができる。
ここで、前記モータ収容空間S1の冷媒が前記第1のリブ2422による流動抵抗を受けながら、前記第2のリブ2424によって前記下流内部流路に案内されるように、また熱交換面積がさらに増大するように、前記第2のリブ2424の突出高さは、前記第1のリブ2422の突出高さよりも高く形成されてもよい。
【0032】
また、前記第2のリブ2424は、流路ごとの流量均一化の観点から、前記上流内部流路側から前記下流内部流路側に延び、前記モータ収容空間S1の円周方向で前記下流内部流路に近くなるほど(
図9で反時計回りに進むほど)曲率半径が減少するように形成されることが好ましい場合がある。
また、前記第2のリブ2424は複数で形成され、前記複数の第2のリブ2424は、前記モータ収容空間S1の半径方向に沿って配列されることによって、熱交換面積がさらに増大し、流路ごとの流量均一化をさらに容易に達成することができる。
【0033】
ここで、前記複数の第2のリブ2424は、前記モータ収容空間S1の半径方向に互いに離隔して形成され、前記複数の第2のリブ2424間の空間に冷媒が容易に流入するように、前記モータ収容空間S1の円周方向で前記吸入ポート2442に隣接する位置における前記複数の第2のリブ2424間の離隔距離が、前記吸入ポート2442から遠隔の位置における前記複数の第2のリブ2424間の離隔距離よりも大きく形成されることが好ましい場合がある。
【0034】
また、前記複数の第2のリブ2424は、流路ごとの流量均一化の観点から、求心側リブ2424a、及び前記求心側リブ2424aを基準に前記モータ収容空間S1の半径方向外側に形成される遠心側リブ2424bを含み、前記求心側リブ2424aの円周方向の長さが前記遠心側リブ2424bよりも長く形成されることが好ましい場合がある。
また、前記求心側リブ2424aの前縁2424aaは、前記遠心側リブ2424bの前縁2424baと前記モータ収容空間S1の半径方向に重なるように形成され、前記求心側リブ2424aの後縁2424abは、前記遠心側リブ2424bの後縁2424bbと前記モータ収容空間S1の半径方向に重ならないように形成されることがさらに好ましい場合がある。
【0035】
ここで、上述の実施形態は、前記第1のリブ2422が備えられ、前記下流内部流路の流動断面積が前記上流内部流路の流動断面積よりも大きく形成されるか、又は前記第1のリブ2422と前記第2のリブ2424の両方が備えられ、前記下流内部流路の流動断面積が前記上流内部流路の流動断面積よりも大きく形成されるが、これらに限定されるものではない。すなわち、例えば、前記第1のリブ2422と前記第2のリブ2424が備えられ、前記下流内部流路の流動断面積が前記上流内部流路の流動断面積と同じレベルに形成されてもよい。他の例として、前記第2のリブ2424が備えられ、前記第1のリブ2422が省略されてもよい。ただし、放熱性能の最大化及び流路ごとの流量均一化の観点から、上述の実施形態のように形成されることが好ましい場合がある。
【国際調査報告】