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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】再利用可能な検査器具
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/543 20060101AFI20240709BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20240709BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20240709BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
G01N33/543 593
G01N33/53 B ZNA
G01N33/483 E
C12M1/34 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023580966
(86)(22)【出願日】2022-07-01
(85)【翻訳文提出日】2024-02-01
(86)【国際出願番号】 EP2022068337
(87)【国際公開番号】W WO2023275389
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】2150868-4
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524001455
【氏名又は名称】ファーミスタ テクノロジーズ エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】マットソン,アリス アンナ ラビサ
(72)【発明者】
【氏名】ポーター,ロバート アンドリュー
【テーマコード(参考)】
2G045
4B029
【Fターム(参考)】
2G045AA27
2G045CA25
2G045CA26
2G045CB03
2G045CB07
2G045CB12
2G045DA55
2G045FA34
4B029AA07
4B029AA27
4B029BB15
4B029CC01
4B029FA02
4B029FA10
4B029GA08
4B029GB01
4B029GB02
4B029GB09
4B029GB10
(57)【要約】
本発明は、再利用可能な検査器具に関する。該検査器具は、分析する流体を収集するように構成されたウィック、該流体に存在する少なくとも1つの被験物質に結合するように構成された少なくとも1つのタイプの分子インプリントポリマーを含む層(8)、及び少なくとも1つの電極を含む層(7)を含む、再利用可能なセンサーユニットを含み、該再利用可能なセンサーユニットは、洗浄後に再生可能である。該再利用可能な検査器具はさらに、該再利用可能なセンサーユニットからの結果を読み出すように構成された再充電可能な電子ユニットを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、再利用可能な検査器具(1):
a)分析する流体を収集するように構成されたウィック(2)、
b)前記流体に存在する少なくとも1つの被験物質(10)に結合するように構成された少なくとも1つのタイプの分子インプリントポリマー(MIP)を含むMIP層(8)、
少なくとも1つの電極(22)を含む電極層(7)
を含む、再利用可能なセンサーユニット(3)であって、洗浄後に再生可能である前記再利用可能なセンサーユニット(3)、及び
c)前記再利用可能なセンサーユニット(3)からの結果を読み出すように構成された再充電可能な電子ユニット(4)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの被験物質が、ホルモンを含み、前記ホルモンは、エストロゲン、プロゲステロン、黄体形成ホルモン(LH)、及びヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、例えば、高度にグリコシル化されたヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG-H)、特に、ベータヒト絨毛性ゴナドトロピン(β-hCG)からなる群から選択される、請求項1に記載の再利用可能な検査器具(1)。
【請求項3】
前記MIP層(8)が、2つ以上のタイプの分子インプリントポリマー、例えば、3つまたは4つのタイプの分子インプリントポリマーを含む、請求項1または2に記載の再利用可能な検査器具(1)。
【請求項4】
前記MIP層(8)が、第一の被験物質に結合するように構成された第一のタイプの分子インプリントポリマー、ならびに前記第一の被験物質及び/または第二の被験物質に結合するように構成された第二のタイプの分子インプリントポリマーを含む、請求項3に記載の再利用可能な検査器具(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのタイプの分子インプリントポリマーがさらに、前記第一、第二、及び/または第三の被験物質のいずれかに結合するように構成された第三のタイプの分子インプリントポリマーを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の再利用可能な検査器具(1)。
【請求項6】
前記第一の被験物質がhCGであり、前記第二の被験物質がグリコシル化hCGまたはプロゲステロンである、請求項1~5のいずれか1項に記載の再利用可能な検査器具(1)。
【請求項7】
前記流体が、体液、例えば、唾液、血液、汗、及び尿、好ましくは尿を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の再利用可能な検査器具(1)。
【請求項8】
前記ウィック(2)が、緩衝液、例えば、リン酸、Trisまたはクエン酸系緩衝液を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の再利用可能な検査器具(1)。
【請求項9】
前記緩衝液の濃度が、0.1mM~100mM、例えば、1mM~75mMである、請求項1~8のいずれか1項に記載の再利用可能な検査器具(1)。
【請求項10】
前記再利用可能なセンサーユニットが、抗体を含まない、請求項1~9のいずれか1項に記載の検査器具(1)。
【請求項11】
前記MIPに被験物質が存在することと関連する物理的特性が、前記被験物質が結合したまたはしていない前記MIP層(8)の抵抗の変化である、請求項1~10のいずれか1項に記載の再利用可能な検査器具(1)。
【請求項12】
前記MIP層(8)及び前記電極層(7)が、統合された層を一緒に形成する、請求項1~11のいずれか1項に記載の再利用可能な検査器具(1)。
【請求項13】
前記ウィック(2)が、前記再利用可能なセンサーユニット(3)に対して取り外し可能に接続され、前記再利用可能なセンサーユニット(3)は、前記再充電可能な電子ユニット(4)に対して取り外し可能に接続される、請求項1~12のいずれか1項に記載の再利用可能な検査器具(1)。
【請求項14】
妊娠検査のための、請求項1~13のいずれか1項に記載の再利用可能な検査器具(1)の使用。
【請求項15】
流体中の被験物質の存在を検査するための方法であって、
(S1)請求項1に記載の再利用可能な検査器具(1)を提供するステップ、
(S2)前記ウィック(2)上に流体を収集するステップ、
(S3)前記ウィック(2)上の前記流体を分析するステップ、
(S4)前記再利用可能なセンサーユニット(3)から前記ウィックを除去するステップ、及び
(S5)前記再利用可能なセンサーユニット(3)を、少なくとも1つの洗浄媒体で洗浄し、前記分子インプリントポリマーから任意の結合した被験物質(10)を除去するステップを含み、前記ステップS1~S5を、繰り返してもよい、前記方法。
【請求項16】
前記収集するステップが、組み立てられた状態で、前記再利用可能なセンサーユニット(3)に接続された前記ウィック(2)、及び前記再充電可能な電子ユニット(4)に接続された前記再利用可能なセンサーユニット(3)を用いて行われる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
妊娠検査のための、請求項15~16のいずれか1項に記載の方法の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子インプリントポリマー(MIP)を含む再利用可能な検査器具、流体中の被験物質の存在を検査するための方法、及び妊娠検査のための該再利用可能な検査器具の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫測定(IA)検査は、「被験物質」と呼ばれる高分子または低分子の存在を検出及び示すことができる生化学的検査である。該被験物質は、人体からもたらされるいくつかの項目であり得る。通常、免疫測定は、溶液中の被験物質の存在または濃度を、抗体を使用することによって測定する。
【0003】
免疫測定検査の一例は、妊娠検査である。妊娠検査では、妊娠マーカーであるヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)が検出される。hCGは、妊娠中に胎盤栄養膜細胞によって発現される、α及びβ-サブユニット(hCGα及びhCGβ)を含むホルモンであり、その両方が妊娠マーカーとして使用され得る。研究により、ベータhCG対アルファhCG及びベータhCG対hCGのモル比は、妊娠初期においてより高い可能性があること、及び妊娠12~13週で、ベータhCG対アルファhCG比が逆転することが分かっている。
【0004】
今日の市場における一般的な妊娠検査は、ラテラルフローアッセイ(LFA)、別名ラテラルフロー免疫クロマトグラフィーアッセイ(LFIA)の形態である。かかる検査は、通常、液体サンプルに含まれるhCG標的被験物質の検出用の紙ベースの台、及びこの紙を囲むプラスチック製の枠を含む。サンプルはこの紙に載せられ、毛管現象によって固体多孔質マトリクスに沿って流される。通常、これらの妊娠検査は、該hCG標的被験物質に結合する抗体を含む。
【0005】
しかしながら、現在の妊娠検査は、抗体から被験物質を除去することによって抗体が分解する結果、使い捨ての使用に限られる。これによって、該hCG標的被験物質に対する親和性及び選択性が悪化する。
【0006】
さらに、現在の妊娠検査には、解釈の余地がある。調査では、女性の25%は、従来の妊娠検査の線の解釈に困難を感じていることが示されている。これを例示するために、「妊娠検査の分析に助けを必要とする人のための」と呼ばれるスレッドは、2011年以来、スウェーデン単独で224000のポストを獲得している。この数字は、結果をデジタル表示する(全く同じLFA法に基づいて述べられる)検査がはるかに高価であるために、購入することを控える可能性があるにもかかわらず、45%の女性が購入することを好む理由を説明するのに役立ち得る。
【0007】
現在販売されている検査の別の問題は、それらが主張しているほど正確ではないということである。これは、1976年にさかのぼってFDAに提出された情報に基づいて、「妊娠の検出において99%正確」のラベルが、当該製品が、他のhCG検査と比較して99%正確であることを説明するのみであることに起因する。これは、2014年にドイツで販売された妊娠検査の50%が、低レベルのhCGを検出することができなかったことから、パッケージが主張するほど妊娠の検出において正確ではない理由の説明の一部である。
【0008】
心理学的側面に関しては、顧客は、妊娠の兆候があった場合に、妊娠検査が実現しないことが、ストレスであり、かつ精神的に疲れる可能性があることを説明している。不妊症に関する質的研究に参加している女性は、別の大量の妊娠検査を購入するために店に戻る必要があるたびに、それが妊娠できないことの証明であり、多くの否定的な感情を創出するということにも言及している。ストレスが受精率に悪影響を及ぼす可能性があることが知られていることから、これが長期的に妊娠する確率が悪化する一因となり得る。
【0009】
最後に、現在販売されている検査の大部分は、その周囲にプラスチック製の枠を有しているため、環境の悪化の一因となる。例えば、毎年、妊娠検査によって生じた900トンの廃棄物が、10人のうちの8人が妊娠検査を正しくリサイクルしない結果として、埋め立て処分されると推定されている。
【0010】
WO2013/033541は、分子インプリントポリマーフィルムを含む水性標的分子の検出用のセンサー、及び例えば、フローセルの使用によって水性標的分子を除去するためのMIP粉体を開示している。該方法は、MIPフィルム及び粉体の調製に標的分子を使用することを含む。標的分子が除去されると、該標的分子に形状及び官能性が相補的な空洞を有するMIPが残る。これによって創出されたMIPは、その空洞に標的分子を結合することができる。
【0011】
再利用することができる、先行技術に記載のものよりも解釈が容易であり、正確であり、環境にやさしい改良された検査器具が必要である。
【発明の概要】
【0012】
本発明概念の目的は、上記の問題を緩和すること、及び結合部から被験物質を除去した後に再使用することができる再利用可能な検査器具を提供することである。さらなる目的は、先行技術のソリューションよりも保存可能期間が長く、ひいては環境にやさしい再利用可能な検査器具を提供する。さらに別の目的は、流体中の被験物質の存在を繰り返し検査することが可能な改良された方法を提供することである。
【0013】
本発明の第一の態様によれば、上記の目的は、以下を含む再利用可能な検査器具によって達成される:
a)分析する流体を収集するように構成されたウィック、
b)該流体に存在する少なくとも1つの被験物質に結合するように構成された少なくとも1つのタイプの分子インプリントポリマー(MIP)を含むMIP層、
少なくとも1つの電極を含む電極層を含む、再利用可能なセンサーユニットであって、洗浄後に再生可能である該再利用可能なセンサーユニット、及び
c)該再利用可能なセンサーユニットからの結果を読み出すように構成された再充電可能な電子ユニット。
【0014】
該ウィックは、該再利用可能なセンサーユニットに対して取り外し可能に接続されてもよく、該再利用可能なセンサーユニットは、該再充電可能な電子ユニットに対して取り外し可能に接続されてもよい。
【0015】
被験物質を除去するプロセスは、抗体の結合部を損傷または破壊し得る条件を必要とするため、抗体は再利用することができないことから、驚くべきことに、本発明者らは、再利用可能なセンサーユニットを含む再利用可能な免疫測定フォーマットにおいて、分子インプリントポリマー(MIP)が、従来の結合部、例えば、抗体の代用物として使用され得ることを見出した。該再利用可能な検査器具は、したがって、抗体を含まない再利用可能なセンサーユニットを有し得る。特に、該検査器具は、MIP以外の他の結合部を含まない再利用可能なセンサーユニットを有し得る。MIPの使用は、構造的完全性を高め得るため、その使用が好ましく、該再利用可能なセンサーユニットが、結合事象の後に再生された場合、その結合親和性及び選択性は、ほとんど変化しないままである可能性があり、その再利用可能なセンサーが再利用可能になる。該検査器具は、さらに、多年の保存可能期間を維持する能力、及び洗浄処理での再生能力を有し得る。
【0016】
MIPは、プラスチック材料の機能的及び架橋性モノマー、例えば、メタクリル系及びスチレンを、低エネルギーの相互作用を創出するように鋳型リガンドと相互作用させることによって作製される。その後の重合の過程で、目的の分子は、非共有結合性の自己組織化アプローチによって、または可逆的な共有結合性のアプローチによってのいずれかでポリマー内に取り込まれる。重合を停止した後、鋳型分子は洗い流される。得られた鋳型の跡は、硬質ポリマーに維持され、該鋳型の立体的(サイズ、形状)及び化学的(相補的な官能基の特殊な配置)記憶を有する。MIPは、抗原-抗体相互作用の特異性と同様の特異性で、鋳型、すなわち、被験物質と結合することが可能であり得る。検出する被験物質(標的分子)と同一または同様。
【0017】
MIPが畝のある(ridged)構造の場合、該MIPは、より良好な結合強度を有し得る。しかしながら、硬質(rigid)構造は、MIPの再生を困難にし得る。モノマー単位の選択により、MIPと使用される標的との間の分子間相互作用が創出され、ひいては、該標的への付着に対するいくらかの特異性が創出される。架橋剤は、その標的分子、すなわち、被験物質がポリマーに入れるような構造形状を可能にする。これはしばしば、鍵と鍵穴のシナリオといわれ、ここでは、標的分子の鍵を受け入れて、ちょうどその分子をうまく結合させ、他の分子が結合しないように、MIPが正しい電荷及び形状を有する必要がある。
【0018】
この検査器具のダイナミックレンジは、層(7)の活性部位(MIP)の数及び該MIPと被験物質の間の結合強度に依存し得る。該MIPと被験物質の間の分子間相互作用は、これら相互作用が多く生じている場合により強い。
【0019】
本明細書で使用される、「被験物質」という用語は、標的分子を指し、該MIPは、それに結合するように構成される。少なくとも1つの被験物質は、ホルモンを含んでもよく、該ホルモンは、エストロゲン、プロゲステロン、黄体形成ホルモン(LH)、及びヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、例えば、高度にグリコシル化されたヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG-H)、特に、ベータヒト絨毛性ゴナドトロピン(β-hCG)からなる群から選択される。特に、少なくとも1つのタイプの分子インプリントポリマーは、hCGに結合するように構成され得る。
【0020】
本明細書で使用される、「流体」という用語は、任意の液体または気体を指す。1つの実施形態では、該流体は、液体であり得る。該流体は、体液、例えば、唾液、血液、汗、及び尿を含んでよく、好ましくは尿を含み得る。
【0021】
該検査器具は、それを携帯用ならびに使用及び運搬を容易にする卓上または小型の手持ち式単位の形状を有し得る。
【0022】
本発明概念の第二の態様によれば、該再利用可能な検査器具は、妊娠検査に使用される。妊娠検査では、通常、ホルモンであるベータヒト絨毛性ゴナドトロピン(β-hCG)が検出される。代替的に、hCGレベルが、毎日2倍または3倍になるという正常な傾向に従わないことは、妊娠に関する問題につながり得るため、該再利用可能な検査器具は、受胎検査、体外受精、複数子検査、または流産の予測に使用され得る。LHレベルは、体外受精(IVF)での着床にとって良い時期を決定するために重要であり、LHのレベルが低いと、着床の成功率が低くなる可能性がある。高レベルのLHは、不妊症の問題の一般的な原因である多嚢胞性卵巣症候群の指標であり得る。
【0023】
該再利用可能なセンサーユニットのMIP層は、2つ以上のタイプのMIP、例えば、3つまたは4つのタイプのMIPを含み得る。これにより、該MIP層は、第一の被験物質に結合するように構成された第一のタイプのMIP、ならびに該第一の被験物質及び/または第二の被験物質に結合するように構成された第二のタイプのMIPを含み得る。これは、該検査器具がより高い精度を有し得ることから都合がよい。該再利用可能な検査器具は、さらに、該第一、第二、及び/または第三の被験物質のいずれかに結合するように構成された第三のタイプのMIPを含んでもよい。
【0024】
該再利用可能な検査器具が妊娠検査に使用されることを意図されるかどうかにかかわらず、該第一の被験物質は、hCG、該第二の被験物質は、グリコシル化hCGまたはプロゲステロンであり得る。これにより、該第一のタイプの分子インプリントポリマーは、hCGに結合するように構成され得るとともに、該第二のタイプの分子インプリントポリマーは、グリコシル化hCGまたはプロゲステロンに結合するように構成され得る。
【0025】
上述のように、該検査器具は、個々の構成要素が再利用され得ることから、持続可能性に関して有利である。該ウィックは、しかしながら、使い捨てウィックであってもよい。従って、該ウィックは、該検査器具の唯一の使い捨て品目であり得る。該ウィックは、例えば、紙片でもよい。
【0026】
該ウィックの目的は、主に流体を収集することである。しかしながら、該ウィックは、送達機能も有する場合もある。例えば、該ウィックは、一定濃度の塩及び/または電気活性材料を層(7)に送達するように構成され得る。その目的のために、該ウィックは、緩衝液、例えば、リン酸、Tris、またはクエン酸系緩衝液を含み得る。かかる緩衝液の濃度は、0.1mM~100mM、例えば、0.5~75nMであり得る。
【0027】
該MIP層と該電極層が一緒になって単一の層を形成してもよいことに留意されたい。これにより、該MIP層及び該電極層は、例えば、ポリマー表面もしくはペーストへの重合、吸収、または共取り込みによって、統合された層を一緒に形成し得る。
【0028】
該再利用可能な検査器具の測定プロセスは、以下に記載するように、電気的、電気化学的、光学的、及び/またはプラズモンであり得る。
【0029】
電気化学的ベースの測定方法は、電気活性なMIPを構成するモノマー単位によって達成され得る。次いで、被験物質の結合事象が、測定可能な方法で該MIPのポリマー構造の電気化学または電気活性を破壊する。代替的に、該MIPに被験物質が存在することと関連する物理的特性は、該被験物質が結合したまたはしていないMIP層の抵抗の変化であり得る。
【0030】
光学ベースの測定方法は、着色されたモノマー単位を該MIPのポリマー構造に加えることによって達成され得る。標的被験物質が該MIPに結合すると、これが該ポリマーに荷電したコンフォメーション変化をもたらし、これにより、該ポリマーの色が変化する。
【0031】
表面プラズモン共鳴(SPR)測定法は、共振周波数が該MIP層を通過し、電気振動に起因する振動を引き起こすことによって達成され得る。この振動が測定され得るとともに、該MIP層の質量が変化した場合(該MIPに結合している被験物質に起因して)、該振動数または振幅が、結果として、測定可能な方法で破壊される。
【0032】
本発明概念のさらなる態様によれば、流体中の被験物質の存在を検査する方法が提供される。該方法は、以下のステップを含む:
(S1)再利用可能な検査器具を提供するステップ、
(S2)ウィック上に流体を収集するステップ、
(S3)該ウィック上の該流体を分析するステップ、
(S4)該再利用可能なセンサーユニットから該ウィックを除去するステップ、及び
(S5)該再利用可能なセンサーユニットを、少なくとも1つの洗浄媒体で洗浄し、該分子インプリントポリマーから任意の結合した被験物質を除去するステップ。ステップS1~S5は繰り返してもよい。その後、該検査器具は、ウィック、好ましくは、新たなウィックに収集された新たなサンプルで再度使用される準備が整う。該方法は、妊娠検査に使用され得る。
【0033】
該収集するステップは、好ましくは、組み立てられた状態で、該再利用可能なセンサーユニットに接続されたウィック、及び該再充電可能な電子ユニットに接続された該再利用可能なセンサーユニットを用いて行われる。
【0034】
該洗浄するステップは、液体または気体を含む洗浄媒体によって行われ得る。該洗浄媒体は、液体、例えば、水道水、例えば、熱水道水、または界面活性剤及びまたは塩を含む水系液体を含み得る。
【0035】
該洗浄するステップは、使用者自身で行っても看護スタッフが行ってもよい。洗浄媒体を含む容器を、該検査器具とともに使用者に提供してもよい。
【0036】
一般に、特許請求の範囲で使用されるすべての用語は、本明細書で特に明記しない限り、当技術分野における通常の意味に従って解釈される。「a/an/the[要素、装置、構成要素、手段、ステップ等]」に対するすべての参照は、特に明記しない限り、当該要素、装置、構成要素、手段、ステップ等の少なくとも1つの例を指すとして、オープンに解釈される。本明細書に開示する任意の方法のステップは、明示的に述べられない限り、開示する正確な順序で実行される必要はない。
【0037】
本開示を、現在好ましい本開示の実施形態の例を示す添付の概略図を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1a】本発明の第一の実施形態に従う再利用可能な検査器具を示す。
図1b図1aの再利用可能な検査器具の立体分解図。
図2a】実施形態に従うMIPを含むMIP層の透視図を示す。
図2b】実施形態に従うMIPを含むMIP層の透視図を示す。
図3図1a及び1bの再利用可能な検査器具の使用方法のフローチャートを示す。
図4】異なるペプチド(SV(配列番号1):SIRLPGCPRGVNPVV、PQ(配列番号2):PGPSDTPILPQ、QK(配列番号3):QKSLSLSPGK)の添加による、SV修飾磁性ナノ粒子(SV-magNP)に結合したFITCドープSVインプリントMIPナノ粒子(SV-MIP)の変位を示す。
図5】SVインプリントMIPナノ粒子(SV-MIP)をSV修飾センサーチップに添加する間の水晶振動子マイクロバランス(QCM)の周波数変化を示す。見かけの解離定数、KD<1nM。
図6】SV-NG及び非インプリントNG(NIP-NG)をSV修飾センサーチップに添加した際のSPRレスポンスユニット(RU)の変化を示す。見かけの解離定数は、KD=11nMであった。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本開示を、本開示の現在好ましい実施形態が示される添付の図面を参照してさらに十分に説明する。本開示は、しかしながら、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、徹底さ及び完全性のため、ならびに本開示の範囲を当業者に完全に伝えるために提供される。同様の参照文字は、全体を通して、同様の要素を参照する。
【0040】
図1a及び1bは、再利用可能な検査器具1を示し、これは、ウィック2、再利用可能なセンサーユニット3、及び再充電可能な電子ユニット4を含む。この再利用可能な検査器具はさらに、電子表示5を含む。図1aでは、再利用可能な検査器具1は、組み立てられた状態で示されており、図1bでは、再利用可能な検査器具1は、解体された状態で示されている。再利用可能なセンサー3は、洗浄後に再生可能であり、これは、再利用可能な検査器具1が、複数回、例えば、10~20回利用され得ることを意味する。
【0041】
好ましくは使い捨てであるウィック2は、分析される流体を収集するように構成される。該流体は、液体でも気体でもよい。該流体、及び特に該液体は、体液、例えば、唾液、血液、汗、及び尿を含み得る。好ましくは、ウィック2は、センサーユニット3の上に設けられ、重力によって被験物質10をセンサーユニット3内に押し込むことを可能にする。ウィック2を、スナップアタッチメントによって再利用可能なセンサーユニット3に取り付けてもよい。
【0042】
1つの実施形態では、ウィック2は、本質的にセルロースからなり得るが、熱可塑性樹脂を含んでもよい。ウィック2は、例えば、紙片でもよい。
【0043】
流体を収集することに加えて、ウィック2は、一定濃度の塩及び/または電気活性材料を電極層7に送達するようにも構成され得る。従って、ウィック2は、緩衝液、例えば、リン酸、Tris、クエン酸、または他の緩衝液を含み得る(表1参照)。該緩衝液の濃度は、0.1mM~100mMであり得る。これにより、ウィック2は、流体を収集するように構成されるだけでなく、当該流体中の異なるレベルの塩濃度を安定化するための重要な化学物質を含む緩衝液を送達するようにも構成され得る。特に、これは、流体が尿である場合に有益であり得るが、これは、尿が、1日のうちで収集される時間に応じてその塩濃度を変動させるからである。したがって、電気分析的な観点から、尿を標準化することが有利であり得る。さらに、電気分析測定は、イオンの濃度が低すぎることから悪影響を受ける可能性があり、それにより、曲線、例えば、結合事象に対する反応測定曲線において、エレベーター活性(elevator activity)またはプラズモン機能のいずれかの変化が非常に小さくなる。ウィック2は、緩衝液を含んで提供される場合もあれば、例えば、浸漬用の容器に分離された緩衝液とともに提供される場合もある。
【0044】
再利用可能なセンサーユニット3は、電極層7及びMIP層8という少なくとも2つの層を含む。MIP層8は、測定層として機能し、流体に存在する少なくとも1つの被験物質10に結合するように構成された少なくとも1つのタイプのMIPを含む。これは、該MIPが、被験物質10に対する結合親和性を有し、被験物質10に対する結合部として機能することを意味する。再利用可能なセンサーユニット3は、MIP以外のいかなる他の結合部も含まなくてよい。したがって、センサーユニット3は、いかなる抗体も含まなくてよい。
【0045】
目的の被験物質10は、ホルモン、例えば、エストロゲン、プロゲステロン、黄体形成ホルモン(LH)、及びヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、例えば、高度にグリコシル化されたヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG-H)、特に、ベータヒト絨毛性ゴナドトロピン(β-hCG)からなる群から選択されるホルモンであり得る。
【0046】
MIP層8は、2つ以上のタイプのMIP、例えば、3つまたは4つのタイプのMIPを含み得る。MIP層8が2つ以上のタイプのMIPを含む場合、各タイプのMIPは、同じ被験物質10及び/または異なる被験物質10に結合するように構成され得る。検査器具1は、したがって、第一の被験物質10に結合するように構成された第一のタイプのMIP、ならびに該第一の被験物質10及び/または第二の被験物質10に結合するように構成された第二のタイプのMIPを含み得る。第一の被験物質10は、ベータヒト絨毛性ゴナドトロピン(β-hCG)であり得る。これにより、該第一のタイプのMIPは、hCGに結合するように構成され得るとともに、該第二のタイプのMIPは、グリコシル化hCGに結合するように構成され得る。
【0047】
診断用途用に構成されたMIPは、好ましくは、沈殿、エマルジョンまたはグラフト重合によって製造されたナノ粒子またはナノゲル、及び薄膜材料であり、これは、限られた膜厚またはミクロゲルの半径による空間的制限に起因して、より一様な結合部位を示す。分散相インプリンティングは、hCGを標的とするエピトープインプリントナノ粒子の高収率合成のための好ましい方法である。エピトープインプリンティングは、タンパク質特異的MIPを生成するための鋳型として働くことができる溶媒曝露プロテオタイピック(proteotypic)エピトープの識別に依存する。全体としては、好ましいエピトープは、線状の溶媒曝露、C末端もしくはN末端配列であるか、または内部コンフォメーション画定ループ構造である。さらに、該エピトープは、翻訳後修飾を含まず、標的ホルモンに対して十分な親和性及び特異性を生じるべきであり、すなわち、10pM~1μΜの範囲で検出を可能にし、黄体形成ホルモン(LH)との交差反応性がない。MIPを生成するために使用される可能性のあるエピトープを表2に示す。黄体形成ホルモンに対する特異性を付与することが実証された好ましい配列は、15アミノ酸のhCGベータ鎖配列66~80(SIRLPGCPRGVNPVV=SV(配列番号1))及びC末端配列135~145(PGPSDTPILPQ=PQ(配列番号2))である(JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY VOL.286,NO.28,pp.25016-25026,July 15,2011)。これらの配列を鋳型として用いて、MIPナノ粒子を調製した(実施例1参照)。
【0048】
MIP層8は、好ましくは、電極層7に隣接し、その上に設けられる。しかしながら、その代わりに、電極層7の他にMIP層8を設けてもよい。電極層7は、少なくとも1つの電極22、例えば、2つまたは3つの電極22を含み得る。電極層7の少なくとも1つの電極22は、電極層7に埋め込まれていてもよいし、電極層7の表面に設けられていてもよい。電極22間の距離は、1μm~5mmでよい。
【0049】
流体が、MIPが親和性を有する被験物質10を含む場合、被験物質10はMIPに結合し、結合事象が生じる。この結合事象により、測定可能な物理的特性が変化し得る。測定可能な抵抗。官能性は、例えば、被験物質10、すなわち、標的分子の吸着に応じて、MIP層8の抵抗率の差の検出に依存し得る。代替的に、該官能性は、例えば、質量変化の差の検出に依存し得る。該再利用可能な診断器具の測定プロセスは、電気的、電気化学的、光学的、またはプラズモンであり得る。
【0050】
再充電可能な電子ユニット4は、再利用可能なセンサーユニット3からの結果を読み出すように構成される。再充電可能な電子ユニット4は、デジタル表示を含んでもよく、これは、すべての被験物質10が洗い流されたか否かを使用者に知らせるために使用され得る。再充電可能な電子ユニット4は、データ転送を課すための接続ポートを含み得る。該接続ポートは、USBポートでよい。
【0051】
図2aは、MIPの層及び遊離イオン溶液を示す。MIPに結合した被験物質10がなければ、イオン溶液9は、MIPマトリクスに自由に出入りすることができる。図2bでは、標的被験物質10は、MIPのくぼみに結合し、それによってMIP層8に対する抵抗が創出される。これにより、遊離イオン9の移動が防止され、信号の低下が生じる。
【0052】
図3は、流体中の被験物質10の存在を検査するための方法の例示的なプロセスフローチャートを示す。第一のステップ、すなわち、ステップS1では、図1a及びbに示す再利用可能な検査器具1を提供する。
【0053】
再利用可能な検査器具1は、ステップS1では、組み立てられた状態で提供され、ここでは、ウィック2は、再利用可能なセンサーユニット3に接続され、これが次に再充電可能な電子ユニット4に接続される。次のステップ、すなわち、ステップS2では、流体をウィック2によって収集する。この流体を次に、ステップS3において、再利用可能なセンサーユニット3に取り付けられたウィック2及び再充電可能な電子ユニット4で分析する。結果を読み出した後、ウィック2を、再利用可能なセンサーユニット3から好ましくは除去し、すなわち、ステップS4、検査器具1を、少なくとも1つの表1に例示する洗浄及び/または再生媒体で洗浄する、すなわち、ステップS5。好ましくは、再利用可能なセンサーユニット3を、洗浄前に再充電可能な電子ユニット4から除去し、再利用可能なセンサーユニット3のみを洗浄できるようにする。次いで、再使用可能なセンサーユニット3は、最大30回、例えば、最大20回、または10~20回再使用され得る。
【0054】
別の実施形態では、ウィック2は、サンプルの収集時には再利用可能なセンサーユニット3に接続されていない。かかる実施形態では、該ウィックは、ステップS3の分析の前に、再利用可能なセンサーユニット3に接続される。
【0055】
再利用可能なセンサーユニット3または検査器具1は、気体または液体を含む洗浄及び/または再生媒体で洗浄され得る。該洗浄媒体は、例えば、界面活性剤及び/または塩を含んでも含まなくてもよい水を含んでもよく、異なる温度に調整され得る(表1の例参照)。
【0056】
当業者には、本明細書に記載の実施形態の多くの修正が、添付の特許請求の範囲に定義される本開示の範囲から逸脱することなく可能であることが理解される。
【実施例
【0057】
実施例1.SV及びPQのMIPナノゲルの合成
Mahajan et al.(Mahajan et al.Angew.Chem.Int.Ed.2019,58,727-730)によって記載された分散相アプローチを、MIPナノ粒子の合成に採用した。磁性ナノ粒子の表面を活性化し、次いで、トルエン溶液中、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランに続いて無水コハク酸とインキュベートした。
【0058】
次いで、SV及びPQエピトープを、EDC/DMAP化学により、それらのN末端修飾を介してカップリングした。
【0059】
モノマー組成物は、Hoshino et al(Y.Hoshino,T.Kodama,Y.Okahata and K.J.Shea,J.Am.Chem.Soc.2008,130,15242-15243)によって以前に紹介されたナノゲルインプリンティングプロトコルを採用した。予備重合混合物は、250mLの丸底フラスコで、NIPAM(39mg、344.64μmol)、BIS(2mg、12.97μmol)、TBAm(33mg、259.47μmol、1mLのエタノールに溶解)、AA(2.2μL、31.92μmol)、APMA(5.80mg、33.00μmol)及び2.6mgのN-フルオレセイニルアクリルアミドを水(50mL)に溶解することによって調製した。その溶液を10分間真空下で脱気及び超音波処理した。その後、脱イオン水(10mL)に分散させたペプチド修飾磁性ナノ粒子(magNP-SVまたはmagNP-PQ)(50mg)をこのフラスコに添加した。次いで、そのフラスコをセプタムで密封し、窒素で20分間パージした。次いで、APS(30mg、130μmol)及びTEMED(30μL)から構成される1mlの脱イオン水溶液を窒素雰囲気下で注入することにより、重合を開始した。この反応溶液を、オービタルシェーカー上で、室温にて12時間攪拌した。次いで、粒子を磁石で回収し、室温にて脱イオン水で洗浄し(10x20mL)、透明な溶液を得た。最後に、磁性粒子を脱イオン水(20mL)中、低温にて激しく振盪しながら10分間インキュベートすることによって高親和性ナノ粒子を溶出した。この溶出を5回繰り返し、全体積100mLのインプリントナノゲル(PQ-NGまたはSV-NG)原液を得た。
【0060】
実施例2.hCGベータ66~80に対する結合特異性を証明するディスプレイスメントアッセイ
SV-NGナノゲル原液(前掲)(約0.1mg/ml)のアリコート(100μL)を、magNP-SVを含むPBS緩衝液(0.1M、pH7.2)のアリコート(50μL)と混合し、続いて2時間振盪した。次いで、ペプチド溶液(50μL、PBS緩衝液中で100nM)を添加し、溶液を静置して2時間インキュベートすることにより、ディスプレイスメントアッセイを開始した。蛍光発光を、485nm/520nm励起/発光フィルターを用いたトップモードでの読み出しにより記録した(図4)。
【0061】
実施例3.hCGベータ66~80に対するMIP-NGの結合親和性のSPR及びQCM分析
リポ酸(Sigma Aldrich)で修飾したSPR金チップ(GE Healthcare,UK)にて分析を行った。裸の金チップを最初に水素プラズマで洗浄し、次いで、密閉バイアル中、0.3mg/mLのリポ酸及び5%(v/v)の酢酸を含むエタノールに終夜入れた。その後、チップをエタノールですすぎ、N2流下で乾燥し、次いでSPR装置(Biacore 3000,GE Healthcare,UK)に載せた。次いで、チップを、EDC/NHS水溶液の注入に続いて、SV-NG、PQ-NG、またはNIP-NG(0.1mg mL-1)の水溶液の5回の注入によって活性化した。同じ活性化手順をペプチド固定化に用いた。次いで、SV、PQまたはhCGをMIP修飾チップに注入し、pH7.4のPBSを用いて分析を行った。ペプチド修飾チップを用いた結合アッセイのため、MIP-NGをペプチド固定化チップ上に注入した。得られた結合曲線の例を図6に示す。図5は、マイクロ重量測定QCM技術を用いた対応する実験を示す。
【0062】
実施例4.SPRセンサーチップの再生。
実施例3に記載の感知実験後のセンサー表面の再生は、示された温度でそれぞれの緩衝液によってセンサーを繰り返しすすいだ後、脱イオン水で繰り返しすすぐことによって行った。
【0063】
SV修飾SPRセンサーチップをSV-MIPで飽和させた場合に1500RUの純増加が測定された。200μLの緩衝液7及び8の600秒間の連続注入により、各々、1472Ruの信号が減少し、センサーチップが完全に再生された。このセンサーは、ラン間の性能の損失を最小限に抑えて繰り返し使用することができた。
【0064】
図4は、異なるペプチド(SV(配列番号1):SIRLPGCPRGVNPVV、PQ(配列番号2):PGPSDTPILPQ、QK(配列番号3):QKSLSLSPGK)の添加による、SV修飾磁性ナノ粒子(SV-magNP)に結合したFITCドープSVインプリントMIPナノゲル(SV-NG)の変位を示す。
【0065】
図5は、SV-NGをSV修飾センサーチップに添加する間の水晶振動子マイクロバランス(QCM)の周波数変化を示す。見かけの解離定数、KD約1nM。
【0066】
図6は、SV-NG及び非インプリントNG(NIP-NG)をSV修飾センサーチップに添加した際のSPRレスポンスユニット(RU)の変化を示す。見かけの解離定数は、KD=11nMであった。
【0067】
a)センサー表面の再生は、示された温度でそれぞれの緩衝液によってセンサーを繰り返しすすいだ後、脱イオン水で繰り返しすすぐことによって行う。
b)SV修飾SPRセンサーチップをSV-MIPで飽和させた場合に1500RUの純増加が測定された。200μLの緩衝液7及び8の600秒間の連続注入により、各々、1472Ruの信号が減少し、センサーチップが完全に再生された。
【0068】
P.Berger,A.J.Lapthorn/Molecular Immunology 76(2016)134-145を採用した
図1a
図1b
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
【配列表】
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【手続補正書】
【提出日】2024-03-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2024526273000001.xml
【国際調査報告】