(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】はんだなしガンマ線遮蔽シート及びこれの製造方法
(51)【国際特許分類】
G21F 3/00 20060101AFI20240709BHJP
G21F 1/10 20060101ALI20240709BHJP
G21F 1/08 20060101ALI20240709BHJP
C08L 21/00 20060101ALI20240709BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20240709BHJP
C08K 3/08 20060101ALI20240709BHJP
C08J 3/20 20060101ALI20240709BHJP
C08J 3/24 20060101ALI20240709BHJP
B29C 43/24 20060101ALI20240709BHJP
B29C 35/06 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
G21F3/00 G
G21F1/10
G21F1/08
C08L21/00
C08K3/22
C08K3/08
C08J3/20 B CEQ
C08J3/24 Z
B29C43/24
B29C35/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580985
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(85)【翻訳文提出日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 KR2022009471
(87)【国際公開番号】W WO2023282545
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】10-2021-0088194
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524002142
【氏名又は名称】ラスゴ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】RASGO CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】1904ho 137 Gasan digital 1-ro Geumcheon-gu Seoul 08506 (KR)
(71)【出願人】
【識別番号】524002153
【氏名又は名称】アーン,ドングジン
【氏名又は名称原語表記】AHN, Dongjin
【住所又は居所原語表記】4F 101 Sangdo-ro 62-gil Dongjak-gu Seoul 07033 (KR)
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【氏名又は名称】井上 満
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【氏名又は名称】名塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】アーン,ドングジン
(72)【発明者】
【氏名】シム,イェオンハ
【テーマコード(参考)】
4F070
4F203
4F204
4J002
【Fターム(参考)】
4F070AA09
4F070AC06
4F070AC14
4F070AC50
4F070AE07
4F070AE08
4F070AE23
4F070FC09
4F070GA06
4F070GB08
4F070GC02
4F203AA45
4F203AB05
4F203AB16A
4F203AC03
4F203AE10
4F203AG01
4F203AH81
4F203DA11
4F203DB02
4F203DC01
4F203DF01
4F203DF02
4F203DL07
4F204AA45
4F204AB05
4F204AB16A
4F204AC03
4F204AE10
4F204AG01
4F204AH81
4F204FA08
4F204FB02
4F204FF01
4F204FN17
4F204FQ32
4J002AC011
4J002AC031
4J002AC071
4J002AC081
4J002AC091
4J002BB151
4J002BB181
4J002DA116
4J002DE108
4J002DE127
4J002FD016
4J002FD137
4J002FD148
4J002FD150
4J002GL00
(57)【要約】
本発明は軽いながらも高いガンマ線遮蔽率を提供するはんだなしガンマ線遮蔽シート及びこれの製造方法に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体ゴムをミキシングロールに入れて素練りする段階と、
前記ミキシングロールにタングステンと添加剤を投入して前記ゴムと共に混練する段階と、
生成された混合固形物を圧延ロールを利用して一定な厚さで圧搾してシートを製造する段階と、
前記シート圧延ロールに入れて加硫する段階を含み、前記混練段階はゴム100重量部対比タングステン600~1900重量部を混合する段階であることを特徴とするはんだなしガンマ線遮蔽シートの製造方法。
【請求項2】
前記混練段階は難燃性の酸化アンチモンをゴム100重量部対比5~15重量部を追加で混合することを特徴とする請求項1に記載のはんだなしガンマ線遮蔽シートの製造方法。
【請求項3】
前記添加剤は酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化剤またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載のはんだなしガンマ線遮蔽シートの製造方法。
【請求項4】
前記混練段階は前記ミキシングロールのロール(roll)表面温度が35~40℃であり、前記ロール表面に付着された混合固形物の温度が75~85℃であり、
前記混合固形物はゴム、タングステン及び添加剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のはんだなしガンマ線遮蔽シートの製造方法。
【請求項5】
前記シート製造段階は前記圧延ロールのロール(roll)表面温度が35~40℃であり、前記ロール表面に付着された前記混合固形物の温度が75~85℃であることを特徴とする請求項1に記載のはんだなしガンマ線遮蔽シートの製造方法。
【請求項6】
前記ゴムは天然ゴム、ニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ブタジエンゴムのうちで何れか一つ以上であることを特徴とする請求項1に記載のはんだなしガンマ線遮蔽シートの製造方法。
【請求項7】
ベースゴムにタングステンと酸化アンチモンが混合されたガンマ線遮蔽シートとして、前記ガンマ線遮蔽シートはゴム100重量部対比タングステン600~1900重量部と酸化アンチモン5~15重量部を含むことを特徴とするはんだなしガンマ線遮蔽シート。
【請求項8】
前記はんだなしガンマ線遮蔽シートは酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化剤またはこれらの混合物である添加剤を含むことを特徴とする請求項7に記載のはんだなし放射線遮蔽シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだなしガンマ線遮蔽シート及びこれの製造方法に関するものであり、より詳細には、重くないながらも高いガンマ線遮蔽率を提供するはんだなしガンマ線遮蔽シート及びこれの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
放射線は地球が生成される当時から存在したし、今も私たちは放射線が一杯な環境下に生活している。放射性物質には自然に存在するものがあって産業、医学などに利用するために人工的に作ったものがあり種類も多様である。
【0003】
電離放射線は物質を通過する時にイオン化を起こすアルファ、ベータ、陽子、中性子、ガンマ線、X-線などの放射線を言って、アルファ線は紙程度の厚さを持った物質にも吸収されて遮られて空気中でもあっという間に止めて特別に遮蔽が必要ないし、ベータ線はアルファ線よりは大きいことで知られているが、一般には薄いアルミニウムホイルやプラスチック板程度でも遮蔽することができる。
【0004】
一方、ガンマ線は核の崩壊や変換から発生されてX線より高いエネルギーを持っている電磁波として、透過力が非常に強い特徴がある。例えば、医療用X線は光子一つが略2,000eV程度であるが、宇宙ガンマ線は通常1千万eV(10MeV)で3千億eV(300GeV)程度であり、ガンマ線がX線の1万~1億倍のエネルギーを持っている。よって、X線遮蔽材に比べて密度や厚さが高いとガンマ線を遮断することができる。
【0005】
韓国公開特許10-2014-0086201号に原子炉で発生する放射線を遮蔽する遮蔽体としてガンマ線を遮蔽する金属薄膜の第1金属シート(鉛)及び中性子を遮蔽する金属薄膜の第2金属シート(カドニュム)を開示している。前記韓国公開特許でのように、原子炉でのガンマ線遮蔽剤は厚い鉛シートと重水(heavy water)が一般的に使われている。また、原子力発電所で勤める作業者らは鉛ガウンを使用することが一般的であった。このような、鉛ガウンは塩化ビニル樹脂(PVC)に鉛成分を分散させた後圧出してシート形態で使われているが、重さが5kg~10kg程度に重くて着心地が不良で活動性が悪くて着するのに多くの不便さがある。また、鉛は重金属物質で有害性が高くて廃棄処分も易しくない。
【0006】
最近、鉛を取り替えることができる放射線遮蔽物質でタングステンがたくさん使われている。例えば、韓国登録特許10-1605319号にはアクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)100重量部にタングステン粉末80~200重量部、添加剤5~50重量部を含む放射線遮蔽用ゴム組成物を開示しているし、韓国登録特許10-1804295号はアクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)100重量部にタングステン粉末80~200重量部、タンタル粉末100~300重量部及び添加剤5~50重量部を含む放射線遮蔽用ゴム組成物を開示している。前記二つの韓国登録特許はX線遮蔽率(75~95%)に対する試験データのみ提示するだけで、X線対比1億倍以上のエネルギーを持っているガンマ線遮蔽に対する試験データやこれに対する適用可能性に対する具体的言及がない。また、韓国登録特許10-1804295号はタングステン粉末とタンタル粉末など多量の金属を使用するにおいて、これら金属の凝り現象を防止するためにアジピン酸エーテルエステル型(Adipic acid ether ester type(RS-107))可塑剤でタングステン粉末とタンタル粉末にコーティング処理をしている(請求項1)。
【0007】
図1は、現在市販される日本山本化学工業の放射線遮蔽製品のカタログである。前記カタログを参考すれば、製品の厚さが4mmであるが、ガンマ線(Cs 137)の遮蔽率が4%に過ぎない。このように、現存する放射線遮蔽製品はガンマ線遮蔽率が低くてガンマ線から作業者を安全に保護することは難しい。
【発明の開示】
【技術的課題】
【0008】
本発明は、鉛を使わないのにガンマ線遮蔽率を高めたシートを提供するものである。
【0009】
本発明は、原子力発電所でガンマ線遮蔽のための遮蔽膜、毛布、防護服で使用可能な遮蔽シートを提供するものである。
【技術的解決手段】
【0010】
本発明は、
【0011】
固体ゴムをミキシングロールに入れて素練りする段階と、
【0012】
前記ミキシングロールにタングステンと添加剤を添加して前記ゴムと共に混練する段階と、
【0013】
生成された混合固形物を圧延ロールを利用して一定厚さで圧搾してシートを製造する段階と、
【0014】
前記シート圧延ロールに入れて加硫する段階を含み、
【0015】
前記混練段階はゴム100重量部対比タングステン600~1900重量部を混合する段階であるガンマ線遮蔽シートの製造方法に関連される。
【0016】
他の様相による本発明は、
【0017】
ベースゴムにタングステンと酸化アンチモンが混合されたガンマ線遮蔽シートとして、
【0018】
前記ガンマ線遮蔽シートは、ゴム100重量部対比タングステン600~1900重量部と酸化アンチモン5~15重量部を含むガンマ線遮蔽シートに関連される。
【有利な効果】
【0019】
本発明で製造された放射線遮蔽シートは、ガンマ線(Cs-137)遮蔽率がそれぞれ10.3%(厚さ1.1mm)、18.6%(厚さ2.2mm)であり、従来市販される製品(
図1参照)のガンマ線(Cs-137)遮蔽率4%(厚さ4mm)に略10倍程度高い(同一厚さで換算した比較)。また、実施例1のシートは厚さが1.1mmで非常に薄いにもかかわらず遮蔽率が高くて着心地が優秀な防護製品を提供することができる。
【0020】
本発明のガンマ線遮蔽シートは、高密度のタングステンを多量(ベースゴム100重量部対比600~1900重量部)で使用するにも、シート内にタングステンが均一に分散されるようにしてガンマ線遮蔽率を高めた。本発明のガンマ線遮蔽シート製造方法はミキシングロールのローラーと混合固形物(ゴム+タングステン)の温度をそれぞれ35~40℃、75~85℃で維持しながら混合固形物をミキシングロールに繰り返し投入することで、多量のタングステンをゴムに均一に分散させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1は現在市販される日本山本化学工業の放射線遮蔽製品のカタログである。
【0022】
【0023】
図3は混練過程を経った混合固形物を撮影したものである。
【0024】
図4は加硫処理した最終製品(実施例1のシート(1、1mm)である。
【0025】
図5乃至
図7は、実施例1で製造したガンマ線遮蔽シートの試験成績書である。
【発明を実施するための最良の様態】
【0026】
以下、本発明が属する技術分野で通常の知識を持った者が容易に実施できるように本発明の具現例及び実施例を詳しく説明する。
【0027】
本願で使用した用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に異なるように志さない限り、複数の表現を含む。本出願で、“含む”または“有する”などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはその以上の他の特徴らや数字、段階、動作、構成要素、またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加可能性をあらかじめ排除しないことで理解されなければならない。
【0028】
本発明のはんだなしガンマ線遮蔽シートは素練り段階、混練段階、シート製造段階(カレンダ段階)、加硫段階を含む。
【0029】
前記素練り段階は固体ゴムをミキシングロールに入れてゴムをつぶして粉碎する段階である。ゴム素練り段階はミキシングロール(例えば、混練機)を利用して原料ゴム(例えば、生ゴム)の分子鎖を機械的に切断、鎖状態の分子間の捩じれを解いて重合度を低めて粘弾性を落として、可塑性を高める工程である。
【0030】
前記固体ゴムは天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ブタジエンゴムのうちで何れか一つ以上であることがある。
【0031】
前記素練り段階と混練段階で使用されるミキシングロールは、二つのロール(roll)を具備してゴムをつぶすことができるか、または圧搾することができる設備を指称する。
図2を参考すれば、前記ミキシングロールは二つのローラー(roll)をお互いに反対方向に回転させ、そのローラーの間に固体ゴムが投入されればこれを粉碎する。
【0032】
前記混練段階は前記ミキシングロールにタングステンと添加剤を投入して前記ゴムと共に混合する段階である(
図2a参照)。
【0033】
前記ミキシングロールは前記素練り段階のミキシングロールと同じであるか、または異なることがある。
【0034】
前記タングステンは高密度(19.25g/cm3)、高比重金属である。本発明ではタングステンをゴム100重量部対比600~1900重量部を使用する。
【0035】
前記タングステンの含量が600重量部未満ならガンマ線遮蔽率が低く、1900重量部を超過すると、混練段階で均一な分散が難しくて、カレンダ工程で一定厚さで圧出し難い。
【0036】
本発明では純度97%~99.9%、粒子サイズ(粒度)0.01μm~100μmであるタングステンが使用されることができる。
【0037】
前記混練段階に使用される添加剤は亜鉛華(酸化亜鉛使用)、酸化剤(加硫剤)または、これらの混合物であることができる。
【0038】
酸化剤(加硫剤)としては硫黄、チオカルバメート系(Thiocarabmate)促進剤、 Thjuram系やThiourea系促進剤であることができる。
【0039】
前記添加剤はゴム100重量部対比0.1~20重量部が混合することができる。
【0040】
本発明のガンマ線遮蔽シートはゴムに酸化亜鉛など添加剤を混合して耐久性だけではなく弾性、引裂強度及び引張強度を高めることができる。
【0041】
前記混練段階は難燃性の酸化アンチモンをゴム100重量部対比5~15重量部を追加で混合することができる。
【0042】
前記酸化アンチモンの粒子サイズ(粒度)が0.1μm~100μmであることがある。
【0043】
前記酸化アンチモンはガンマ線遮蔽シートの難燃性を高めてくれる。
【0044】
前記混練段階は前記ミキシングロールで混合固形物を数回繰り返して圧着及び分散することができる。
【0045】
前記混練段階はタングステンがゴムに均一に分散されるようにミキシングロールを経った混合固形物をカッティングして再びミキシングロールに再投入する過程を数回繰り返すことができる。
ここで、混合固形物はゴム、タングステン、添加剤、酸化アンチモンなどを含む混合物として、液状ではなく粘性が維持される固体状態のペースト(paste)である。
【0046】
この時、前記混練段階での前記ミキシングロールのロール(roll)表面温度が35~40℃であり、前記ロール表面に付着された混合固形物の温度が75~85℃であることがある。前記ロールの表面温度が40℃を超過して長期間回転すれば、圧着されるゴムが易しく熟してしまうか、またはスコッチ現象(願わない条件で加硫が進行されてゴムの性質が変わる現象)が現われる。よって、本発明はロール表面温度を35~40℃範囲で調節しながら混合固形物の温度が75~85℃が維持されるようにする。ロールと混合固形物の温度が前記温度より低ければ十分な分散が難しい。
【0047】
本発明のガンマ線遮蔽シートの製造方法は、前記混練段階を経ったシート形態の混合固形物を一定厚さと大きさで切って所定時間の間保管する熟成段階を追加で含むことができる。
【0048】
前記熟成段階は12時間以上、望ましくは、24時間以上であることがある。
【0049】
前記熟成段階は常温で進行することができる。
【0050】
前記熟成段階を経らない混合固形物は時間が経てば不良率が高いか、または製品寿命が短縮される問題点が発生することがある。
【0051】
前記シート製造段階(カレンダ段階)は、混練段階で生成された混合固形物を圧延ロールを利用して一定な厚さで圧搾する段階である。
【0052】
前記シート製造段階ではカレンダ(逆L字模様で上に圧延ロールが2個、下で2個付いている装備)を利用して一定な厚さでシートを製造することができる。
【0053】
本発明の製造方法は、前記シート製造段階前に熟成されて硬くなった混合固形物(遮蔽体)をニーダー(Kneader)機に投入して熱と圧力でペースト状態で作る。この時、前記ニーダー機ロールの表面温度と混合固形物(遮蔽体)の表面温度をそれぞれ35~40℃、75~85℃で維持してスコッチ現象などを防止する。
【0054】
前記シート製造段階は75~85℃で維持される混合固形物(遮蔽体)を前記カレンダの圧延ロールに注入することができる。
【0055】
前記シート製造段階は、前記混練段階と同じく、前記圧延ロールのロール(roll)表面温度が35~40℃であり、前記ロール表面に付着された前記混合固形物の温度が75~85℃であることがある。
【0056】
前記加硫段階は前記シートを圧延ロールに入れて加硫する段階である。
【0057】
前記加硫段階は圧着されたシートをロータキューという装備を利用して熱と圧力をかけて硫黄などの添加剤とゴムが反応を起こす段階である。前記加硫段階を通じて製造されたシートは耐久性が優秀で弾力があるガンマ線遮蔽シートになることができる。
【0058】
本発明のガンマ線遮蔽シート製造方法は、高密度であるタングステンを多量使用するにもかかわらず特定温度を維持する混練段階を数回繰り返すことでタングステンがゴムに均一に分散されることができる。
【0059】
他の様相で、本発明ははんだなしガンマ線遮蔽シートに関連される。
【0060】
本発明のはんだなしガンマ線遮蔽シートは多量のタングステンがベースゴムに分散されて成形されたシートである。
【0061】
前記ベースゴムは天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ブタジエンゴムのうちで何れか一つ以上である。
【0062】
前記シートはベースゴム100重量部対比600~1900重量部のタングステンが含まれることができる。
【0063】
前記タングステンは純度97%~99.9%、粒子サイズ(粒度)0.01μm~100μmであることがある。
【0064】
本発明のはんだなしガンマ線遮蔽シートは添加剤と酸化アンチモンが含まれることができる。
前記添加剤は亜鉛華(酸化亜鉛使用)、酸化剤(加硫剤)またはこれらの混合物であることができる。
【0065】
前記添加剤はゴム100重量部対比0.1~20重量部が混合されることができる。
【0066】
前記酸化アンチモンをゴム100重量部対比5~15重量部を追加で混合することができる。
【0067】
前記添加剤と酸化アンチモンは前で上述した内容を参考することができる。
(発明の実施のための形態)
【0068】
下記に本発明の一具現例を開示する。
【0069】
(実施例1)
【0070】
クロロプレンゴム100gをミキシングロールに入れて30分間素練りした。続いて、前記ミキシングロールにタングステン700g、酸化アンチモン5g、亜鉛華3g、Thjuram促進剤(TT)1gを入れて30分間混練した。混練するうちにミキシングロールのロール(roll)表面温度を35~40℃、ロール表面に付着された混合固形物の温度を75~85℃で維持した。ミキシングロールで圧着シート形態の混合固形物を一定厚さと大きさで切って1日程度一定常温で熟成した。熟成されて固くなった混合固形物をニーダー(Kneader)機に投入してニーダー機ロールの表面温度と混合固形物(遮蔽体)の表面温度をそれぞれ35~40℃、75~85℃で維持しながらペースト状態で作った。ニーダー機から練られた混合固形物をカレンダ加工(4個のロール)して一定な厚さで圧搾した。
一定厚さで圧着されたシートをロータキューという装備を利用して加硫させた。1.1mmと2.2mm厚さのシート二つを最終的に修得した。
【0071】
【0072】
図4乃至
図7は、実施例1で製造したガンマ線遮蔽シートの試験成績書である。
図4乃至
図7を参考すれば、実施例1のガンマ線(Cs-137)遮蔽率がそれぞれ10.3%(厚さ1.1mm)、18.6%(厚さ2.2mm)として、従来市販される製品(
図1参照)のガンマ線(Cs-137)遮蔽率4%(厚さ4mm)に10倍程度高い(同一厚さで換算した比較)。また、実施例1のシートは厚さが1.1mmで非常に薄いにもかかわらず遮蔽率が高くて着心地が優秀な防護製品を提供することができる。
【0073】
今まで本発明の具体的な実施例らをよく見た。本発明が属する技術分野で通常の知識を持った者は本発明が本質的な特性に脱しない範囲で変形された形態で具現されることができることを理解することができるであろう。本発明の範囲は前述した説明ではなく特許請求範囲に現われているし、それと同等な範囲内にあるすべての差異点は本発明に含まれたことで解釈されなければならないであろう。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、ガンマ線遮蔽シートで使用されることができる。本発明の遮蔽シートは着心地が優秀な防護製品に適用されることができる。
【国際調査報告】