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特表2024-526278超音波を生成し、標的内へ伝送するための装置及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】超音波を生成し、標的内へ伝送するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/40 20060101AFI20240709BHJP
   G01N 29/34 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
H04R1/40 330
G01N29/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023581036
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(85)【翻訳文提出日】2024-02-21
(86)【国際出願番号】 IN2022050603
(87)【国際公開番号】W WO2023275898
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】202141029490
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ベルクロ
(71)【出願人】
【識別番号】524003622
【氏名又は名称】セディグン ソリューションズ プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】エス,ニキール ダス
【テーマコード(参考)】
2G047
5D019
【Fターム(参考)】
2G047AB01
2G047CA01
5D019AA21
5D019FF01
5D019FF04
(57)【要約】
本明細書における一実施形態は、1又は複数の用途のために、超音波を生成し、非平面標的(302、402、508、606、706)内へ伝送するための装置を提供する。装置は、1つ以上の電気信号を生成する制御システム(308)と、1つ以上の電気信号を受信し、超音波に変換する1つ以上のトランスデューサ(306A~N、416、516、610A~N、714A~N)を含むトランスデューサアセンブリ(300、400、500、600、700、802)と、を含む。生成された超音波は、表面不一致を低減することによって、1つ以上の方向に非平面標的内へ効率的に伝送され、超音波は、音響流、キャビテーション、マイクロストリーミング、定在波、流体の流れ内の乱流、流体分子の振動、固体の振動、反射、屈折、又は吸収のうちの少なくとも1つを引き起こし、これにより、限定するものではないが、洗浄、撮像、混合、測定、感知、又は治療のうちの任意のものを含む1又は複数の用途の効率を改善する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数の用途のために、超音波を生成し、非平面標的(302、402、508、606、706)内へ伝送するための装置であって、前記装置が、
1つ以上の電気信号を生成する制御システム(308)と、
前記制御システム(308)からの前記1つ以上の電気信号を受信し、前記1つ以上の電気信号を前記超音波に変換する1つ以上のトランスデューサ(306A~N、416、516、610A~N、714A~N)を含むトランスデューサアセンブリ(300、400、500、600、700、802)と、
を備え、
表面不一致を低減することによって、前記生成された超音波が1つ以上の方向に前記非平面標的(302、402、508、606、706)内へ効率的に伝送され、前記超音波が、(i)音響流、(ii)キャビテーション、(iii)マイクロストリーミング、(iv)定在波、(v)流体の流れ内の乱流、(vi)流体分子の振動、(vii)固体の振動、(viii)反射、(ix)屈折、又は(x)吸収のうちの少なくとも1つを引き起こし、これにより、限定するものではないが、洗浄、撮像、混合、測定、感知、又は治療のうちの任意のものを含む前記1又は複数の用途の効率を改善する、装置。
【請求項2】
前記装置が、前記非平面標的(302、402、508、606、706)を包囲し、前記1つ以上のトランスデューサ(306A~N、416、516、610A~N、714A~N)の各々を前記非平面標的(302、402、508、606、706)の周りに位置付け、前記非平面標的(302、402、508、606、706)内への1つ以上の方向からの前記超音波の進入を可能にするホルダ(304、506、602、702)を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記トランスデューサアセンブリ(400)の表面幾何構造が、1に近い表面一致比を達成するために標的表面(410)の表面幾何構造と一致させられる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記1つ以上のトランスデューサ(516、610A~N、714A~N)が1つ以上の能動素子を含み、前記1つ以上の能動素子のサイズが、1に近い表面一致比を達成するために制約される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記1つ以上の能動素子が、前記トランスデューサアセンブリ(300、400、500、600、700、802)が前記非平面標的(302、402、508、606、706)と組み合わせられたとき、伝送表面が標的表面と接触することを可能にするホルダ(304、506、602、702)上に位置付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記トランスデューサアセンブリ(300、400、500、600、700、802)が前記非平面標的(302、402、508、606、706)と組み合わせられたとき、伝送表面が、1に近い表面一致比を達成するために標的表面を圧迫する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記ホルダ(602、702)が、1つ以上の能動素子が前記ホルダ(602、702)に接合された状態で、ベースとして機能する、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
前記ホルダ(304、506、702)が前記1つ以上のトランスデューサ(306A~N、516、714A~N)を前記非平面標的(302、508、706)に固定する、請求項2に記載の装置。
【請求項9】
標的表面が、1つ以上の能動素子が前記標的表面に接合された状態で、ベースとして機能する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
1又は複数の用途のために、超音波を生成し、非平面標的(302、402、508、606、706)内へ伝送するための方法であって、前記方法が、
制御システム(308)を用いて、1つ以上の電気信号を生成することと、
トランスデューサアセンブリ(300、400、500、600、700、802)を用いて、前記1つ以上の電気信号を受信し、前記超音波に変換することと、を含み、前記生成された超音波が、表面不一致を低減することによって、1つ以上の方向に前記非平面標的(302、402、508、606、706)内へ効率的に伝送され、前記超音波が、(i)音響流、(ii)キャビテーション、(iii)マイクロストリーミング、(iv)定在波、(v)流体の流れ内の乱流、(vi)流体分子の振動、(vii)固体の振動、(viii)反射、(ix)屈折、又は(x)吸収のうちの少なくとも1つを引き起こし、これにより、限定するものではないが、洗浄、撮像、混合、測定、感知、又は治療のうちの任意のものを含む前記1又は複数の用途の効率を改善する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
技術分野
[001] 本明細書における実施形態は、概して、超音波に関し、より詳細には、超音波を利用する1又は複数の用途の効率を改善するための、超音波を生成し、標的内へ伝送するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
20,000ヘルツよりも高い周波数の音波は超音波と呼ばれる。流体を通って伝わる超音波は正圧帯及び負圧帯で構成される。これらの圧力変化のゆえに流体内に空洞が形成される。これらの空洞への超音波の照射の継続は、それらのサイズの成長、及び時として、衝撃波を引き起こす崩壊をもたらす。このプロセスはキャビテーションとして知られ、通常、超音波が低周波数のものであるときに見られる。超音波がより高い周波数のものであるときには、空洞は振動するが、崩壊しない。これらの振動する空洞の近傍における流体内の速い流れの生成はマイクロストリーミングとして知られる。超音波から流体粒子へのエネルギーの伝達はまた、音響流として知られる流体のバルク運動を引き起こす。定在波は、反対方向に運動するが、等しい周波数及び振幅を有する2つの波の組み合わせによって形成されるものである。定在波は、伝送された波と反射された波とが所与の有限空間内で干渉するときに形成され得る。
【0003】
「標的」は、超音波が内部へ伝送されることを必要とする生体又は非生体の物体として定義される。洗浄、撮像、混合、測定、感知、治療等などの用途のために、超音波を標的内へ伝送することが望まれる。これらの用途は、波が、(i)音響流、(ii)キャビテーション、(iii)マイクロストリーミング、(iv)定在波、(v)流体の流れ内の乱流、(vi)流体分子の振動、(vii)固体の振動、(viii)反射、(ix)屈折、又は(x)吸収のうちの少なくとも1つを引き起こすことに依存する。
【0004】
[002] 「平面表面」は、表面上で任意の2つの点が選定された場合に、それらを連結する直線が完全にその表面上に乗っている表面として定義される。例えば、平板は本質的に平面状であり、それに対して、円柱又は円錐の湾曲表面は非平面状である。超音波を標的内へ採り入れるために利用可能である標的の表面は「標的表面」として定義される。非平面標的表面を有する標的は非平面標的として知られる。例えば、円柱及び円錐の湾曲表面は非平面標的表面であり、それゆえ、円柱及び円錐は非平面標的である。
【0005】
[003] いくつかのプロセスは非平面標的内への超音波の伝送を必要とする。このようなプロセスの一例は、人体の内部に存在する構造の画像を生成するために超音波が人体内へ伝送されることを必要とする超音波撮像である。超音波プローブが、本質的に非平面状である、この場合の標的表面である人体の外面上に配置することである。別の例の非破壊検査(NDE(non-destructive examination))は短い高周波数超音波を用いて標的内の欠陥を識別する。この場合における標的表面は、標的が、例えば、円筒パイプである場合には、非平面状であり得る。超音波洗浄は、水を通過する超音波を用いて、表面から汚染を除去するキャビテーションを作り出す。液体の撹拌及び混合も、超音波を用いることによって達成され得る。超音波洗浄及び混合のための標的表面は、それらが、限定するものではないが、半球、円柱、円錐台、又は円錐の形状のものである容器内で遂行される場合には、非平面状であり得る。
【0006】
[004] 血液透析の間には、半透膜を有するフィルタユニットが、腎臓病患者の身体からの血液を浄化するために用いられる。膜上における毒素、血液タンパク等のような粒子の蓄積は血液透析の効率の低下をもたらす。この低下は患者の身体からの毒素及び流体の不完全な除去をもたらし、患者を、重篤な医学的合併症を発症する危険にさらす透析不足と呼ばれる状態をもたらす。透析不足を防止するべく、粒子の蓄積を低減し、毒素のより良好な拡散を促進するために、超音波がフィルタユニット内へ伝送され得る。プロセスは「超音波血液透析」と呼ばれ得る。
【0007】
[005] 腹膜透析の間には、患者の身体内の腹膜が、毒素及び過剰な水を除去することによって血液を浄化するための半透膜の役割を果たす。腹膜の表面上における粒子の蓄積は腹膜透析の効率の低下をもたらす。透析不足を防止するべく、腹膜上の粒子の蓄積を低減し、毒素のより良好な拡散を促進するために、超音波が腹膜透析の間に患者の腹部内へ伝送され得る。プロセスは「超音波腹膜透析」と呼ばれ得る。超音波血液透析及び超音波腹膜透析はまとめて「超音波透析」と呼ばれ得る。
【0008】
[006] 膜を通した粒子の交換はより小さい規模で行われ得る。例えば、埋め込み型又は装着型人工腎臓では、血液を継続的又は断続的に濾過するデバイスが患者の身体に取り付けられる。それを埋め込み型又は装着型にすることの必要性は、それが小さいサイズのものであることを要する。実施形態によっては、人工腎臓は、ナノ加工及び微細加工プロセスを用いて製作されたナノポア膜を用いる。実施形態によっては、シリコンナノポア膜(SNM(silicon nanopore membrane))が用いられる。粒子の拡散を促進し、これらの膜上における蓄積を防止するために、超音波が人工腎臓内へ伝送され得る。
【0009】
[007] 「能動素子」は、電気信号を超音波に変換する構成要素、又は構成要素の組み合わせである。「制御システム」は、能動素子へ送信される電気信号を生成する。能動素子はこれらの電気信号を用いて、限定するものではないが、圧電効果、磁気歪、ローレンツ力等を用いて超音波を生成し得る。能動素子は、限定するものではないが、セラミック、ポリマー、結晶、複合材料、金属、又はこれらの組み合わせのような材料を含み得る。能動素子は、限定するものではないが、圧電結晶、圧電セラミック、圧電ポリマー、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、容量性微細加工超音波トランスデューサ(cMUT(capacitive micromachined ultrasonic transducer))、又は圧電性微細加工超音波トランスデューサ(pMUT(piezoelectric micromachined ultrasonic transducer))のうちの少なくとも1種を含む。
【0010】
[008] 能動素子は、「ベース」として定義される別の材料に接合され得る。能動素子及びベースの組み合わせが「超音波トランスデューサ」を形成する。能動素子が電気信号を供給されたとき、それは、ベースを通して伝送される超音波を生成する。ベースは、それが超音波の伝搬に対して最小限の抵抗をもたらすように選択される。
【0011】
[009] 「ホルダ」は、標的の周りにおける1つ以上の超音波トランスデューサの各々の位置付けを可能にする1つ以上の超音波トランスデューサから構成された構造である。
【0012】
[0010] 1つ以上の超音波トランスデューサとそれらのそれぞれのホルダとの組み合わせはトランスデューサアセンブリと呼ばれる。
【0013】
[0011] 図1Aは、能動素子102及びベース104の組み合わせによって形成されたトランスデューサ100の斜視図を示す。図1Bは、180度だけ回転させられた図1Aのトランスデューサ100の斜視図を示す。トランスデューサ100は超音波トランスデューサである。制御システム(図示せず)が電気信号を能動素子102へ送信した時、それは、ベース104を通過し、図1Bにおける網掛け区域によって示される他方の側から発出する超音波を生成する。超音波を伝送する網掛け区域は伝送表面106として定義され得る。ベース104が平面表面であり、小さい厚さを有するときには、その区域は能動素子102の区域のものと同程度である。能動素子102は伝送表面106の後方にある。それゆえ、制御システムによって能動素子102に電気信号が供給された時、伝送表面106は超音波源になる。
【0014】
[0012] 図2Aは、トランスデューサアセンブリ202及び標的204を有するシステム200の分解図を示す。図2Bによって示されるように、トランスデューサアセンブリ202及び標的204が互いに組み合わせられたとき、超音波はトランスデューサアセンブリ202によって生成され、標的204内へ伝送される。それは図2Aのシステム200の正面図を示す。標的204はフィルタユニットであり得る。ベース208に接合された能動素子206はトランスデューサ218を形成する。トランスデューサアセンブリ202は、1つ以上の超音波トランスデューサ218、及び超音波を標的204内へ伝送するためのホルダ(図示せず)を含み得る。標的204は、標的表面210を有する円柱状物体である。「ab」に等しい幅のベース208の区分は、超音波が発出する伝送表面212の役割を果たす。ベース208の厚さが小さいときには、伝送表面212の区域は能動素子206の区域と同程度である。
【0015】
[0013] 標的表面210の区域が伝送表面212の区域よりも大幅に大きい用途では、単一の能動素子206を用いることは十分とならない。超音波腹膜透析の場合には、単一の能動素子206を、伝送表面212を患者の腹部に当てて用いることは、超音波を腹膜のわずかな区分に伝送するのみである。身体内への超音波エネルギーのこのような低入力は、透析の至適性を効果的に高めるために十分でない。標的204のより大きい区域を超音波の照射のために覆う必要がある。
【0016】
[0014] 超音波血液透析の場合には、フィルタユニットは中空糸膜の高密度の束から成る。フィルタユニットの標的表面210は湾曲しており、それゆえ、非平面状である。1つのトランスデューサから送信された超音波はフィルタユニットの全ての区分へ到達しない。超音波を1つを超える方向からフィルタユニット内へ伝送する必要がある。1つ以上の超音波トランスデューサが、超音波を1つを超える方向から標的204(すなわち、非平面標的)内へ伝送するために用いられるときには、これらの1つ以上の超音波トランスデューサを収容するためのホルダがなおも必要である。ホルダが、それが標的表面210を部分的又は完全に覆うような仕方で構築されているとき、それは、標的204を「包囲する(envelop)」と言われる。1つ以上の超音波トランスデューサを標的204の周りに位置付けるために標的204を包囲するホルダが必要である。
【0017】
[0015] 超音波透析などの、より長い継続時間にわたって作動するプロセスでは、トランスデューサアセンブリ202の位置が変更されない場合には、標的204の同じ区分がプロセス全体を通して超音波を受信することになる。標的204の異なる区分に超音波を照射するために、トランスデューサアセンブリ202の位置を断続的に変更することが望まれる。それはまた、標的204のより広い区域が超音波エネルギー照射を受けることも確実にする。
【0018】
[0016] 超音波は空気を通って伝わりにくい。伝送表面212と(図2Bにおいて網掛けされた)標的表面210との間の空間216が、超音波の忠実な伝送を達成するように変更されたとき、トランスデューサアセンブリ202は、標的204と「結合された(coupled)」と言われる。表面の間の空気の解消によって超音波の忠実な伝送を確実にするために、通常、「接触媒質」(図示せず)が、伝送表面212と標的表面210との間の空間216を充填するために用いられる。標的表面210の(図2Aにおいて網掛けされ、図2Bにおいて区分「ef」によって示された)「入射表面」214は、トランスデューサアセンブリ202が標的204と結合されたとき、超音波が標的204に進入する表面として定義される。「表面不一致(surface mismatch)」は、入射表面214の表面積が伝送表面212のものと等しくない状態として定義される。表面不一致は、様々な理由のゆえに生成し得る不適切な結合から生じる。
【0019】
[0017] 表面不一致は伝送表面212と入射表面214との幾何構造の差から生じ得る。表面不一致が存在するときには、より大きな空間216が生じ得る。例えば、伝送表面212(平面表面)が標的表面210(非平面表面)と結合されたとき、結果として生じた、入射表面214の表面積は伝送表面212のものよりも大きく、表面不一致を生じさせる。表面不一致のゆえに、伝送表面212と入射表面214との間により大きな空間216が存在するときには、より大きな空間216を充填するために、より多くの接触媒質が必要とされる。超音波が接触媒質を通って伝わるのが多くなるほど、超音波エネルギーの減衰が多くなる。したがって、標的204内への超音波の効率的伝送のために、伝送表面212と入射表面214との幾何構造の差に起因する表面不一致が低減されることが望まれる。
【0020】
[0018] 表面不一致は位置付け誤差のゆえに生じ得る。トランスデューサアセンブリ202は、伝送表面212が標的表面210とうまく整列しないような仕方で位置付けられることがある。この場合には、結合時、結果として生じた入射表面214の表面積は伝送表面212のものと等しくない。その結果、伝送表面212から放出された超音波のうちのかなりの部分は標的204に進入しない。標的204内への超音波の効率的伝送を可能にするために位置付け誤差を最小限に抑えるトランスデューサアセンブリの設計が必要である。
【0021】
[0019] 伝送表面212が標的表面210に十分に押し付けられない場合には、それらの間により大きな空間216が生じ、標的表面210と伝送表面212との間の不適切な結合をもたらす可能性がある。不適切な結合は標的表面210内への超音波の伝送の減少を生じさせ、これは、入射表面214の表面積が伝送表面212のものと比べて減少することを意味する。それゆえ、標的表面210に不十分に押し付けられた伝送表面212は表面不一致をもたらす。超音波撮像及び従来のNDEの応用では、技師が、表面不一致を低減するためにトランスデューサアセンブリ202を標的表面210に押し付ける。技師がいないときに同様の効果が望まれる場合には、トランスデューサアセンブリ202(1つ以上の超音波トランスデューサを含む)が、伝送表面212が標的表面210に十分に押し付けられるよう、標的204の周りに組み付けられることを確実にする必要がある。
【0022】
[0020] 標的204への超音波の長期の継続的又は断続的照射を必要とするプロセスが存在し得る。例えば、超音波の照射を必要とする人体内の埋め込み物は、人間の介入を全く必要とすることなく長時間にわたって作動することを期待される。超音波透析セッションは数時間にわたって持続し、技師又は患者がプロセス全体を通して1つ以上のトランスデューサを所定位置に保持することは期待できない。標的204内への超音波の長時間の伝送は、人間の介入の必要を最小限に抑えるために、トランスデューサ218を標的204に固定する手だてを必要とする。
【0023】
[0021] 標的204内への複数の方向からの超音波の伝送を必要とする用途の場合、複数の超音波トランスデューサ(すなわち、トランスデューサアセンブリ202)を標的204の周りの所定位置に保持することは技師にとって不便で煩わしい。複数の方向からの超音波の進入を可能にするためにトランスデューサ218を標的204に固定する手だてが必要である。
【0024】
[0022] それゆえ、超音波を利用する1又は複数の用途の効率を改善するための、超音波を生成し、標的内へ効率的に伝送するための装置及び方法が必要である。
【発明の概要】
【0025】
概要
[0023] 本明細書における一実施形態は、1又は複数の用途のために、超音波を生成し、非平面標的内へ伝送するための装置を提供する。装置は、制御システムと、トランスデューサアセンブリと、を含む。制御システムは1つ以上の電気信号を生成する。トランスデューサアセンブリは、制御システムからの1つ以上の電気信号を受信し、1つ以上の電気信号を超音波に変換する1つ以上のトランスデューサを含む。表面不一致を低減することによって、生成された超音波は1つ以上の方向に非平面標的内へ効率的に伝送され、超音波は、(i)音響流、(ii)キャビテーション、(iii)マイクロストリーミング、(iv)定在波、(v)流体の流れ内の乱流、(vi)流体分子の振動、(vii)固体の振動、(viii)反射、(ix)屈折、又は(x)吸収のうちの少なくとも1つを引き起こし、これにより、限定するものではないが、洗浄、撮像、混合、測定、感知、又は治療のうちの任意のものを含む1又は複数の用途の効率を改善する。
【0026】
[0024] 実施形態によっては、装置は、非平面標的を包囲し、1つ以上のトランスデューサの各々を非平面標的の周りに位置付け、非平面標的内への1つ以上の方向からの超音波の進入を可能にするホルダを含む。
【0027】
[0025] 実施形態によっては、トランスデューサアセンブリの表面幾何構造が、1に近い表面一致比を達成するために、標的表面の表面幾何構造と一致させられる。
【0028】
[0026] 実施形態によっては、1つ以上のトランスデューサは1つ以上の能動素子を含む。1つ以上の能動素子のサイズは、1に近い表面一致比を達成するために制約される。
【0029】
[0027] 実施形態によっては、1つ以上の能動素子は、トランスデューサアセンブリが非平面標的と組み合わせられたとき、伝送表面が標的表面と接触することを可能にするホルダ上に位置付けられる。
【0030】
[0028] 実施形態によっては、トランスデューサアセンブリが非平面標的と組み合わせられたとき、伝送表面は、1に近い表面一致比を達成するために標的表面を圧迫する。
【0031】
[0029] 実施形態によっては、ホルダは、1つ以上の能動素子がホルダに接合された状態で、ベースとして機能する。
【0032】
[0030] 実施形態によっては、ホルダは1つ以上のトランスデューサを非平面標的に固定する。
【0033】
[0031] 実施形態によっては、標的表面が、1つ以上の能動素子が標的表面に接合された状態で、ベースとして機能する。
【0034】
[0032] 別の態様では、本明細書における一実施形態は、1又は複数の用途のために、超音波を生成し、非平面標的内へ伝送するための方法を提供する。本方法は、制御システムを用いて1つ以上の電気信号を生成することを含む。本方法は、トランスデューサアセンブリを用いて、1つ以上の電気信号を受信し、超音波に変換することを含み、生成された超音波は、表面不一致を低減することによって、1つ以上の方向に非平面標的内へ効率的に伝送され、超音波は、(i)音響流、(ii)キャビテーション、(iii)マイクロストリーミング、(iv)定在波、(v)流体の流れ内の乱流、(vi)流体分子の振動、(vii)固体の振動、(viii)反射、(ix)屈折、又は(x)吸収のうちの少なくとも1つを引き起こし、これにより、限定するものではないが、洗浄、撮像、混合、測定、感知、又は治療のうちの任意のものを含む1又は複数の用途の効率を改善する。
【0035】
[0033] 本明細書における実施形態のこれら及び他の態様は、以下の説明及び添付の図面に関連して考慮したときに、より深く認識及び理解されるであろう。しかし、以下の説明は、好ましい実施形態及びそれらの数多くの具体的詳細を示すが、限定ではなく、実例として与えられていることを理解されたい。多くの変更及び修正が、その趣旨から逸脱することなく本明細書における実施形態の範囲内で行われ得、本明細書における実施形態は全てのこのような修正を含む。
【0036】
図面の簡単な説明
[0034] 本明細書における実施形態は、図面を参照した以下の詳細な説明からより深く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1A】[0035]図1Aは、従来技術に係る、能動素子及びベースの組み合わせによって形成されたトランスデューサの斜視図を示す。
図1B】[0036]図1Bは、従来技術に係る180度だけ回転させられた図1Aのトランスデューサの斜視図を示す。
図2A】[0037]図2Aは、従来技術に係る、トランスデューサアセンブリ及び標的を有するシステムの分解図を示す。
図2B】[0038]図2Bは、従来技術に係る、トランスデューサアセンブリ及び標的が一体に組み合わせられた、図2Aのシステムの正面図を示す。
図3A】[0039]図3Aは、本明細書における一部の実施形態に係る、1又は複数の用途のために、超音波を生成し、伝送するための装置の正面図を示す。
図3B】[0039]図3Bは、本明細書における一部の実施形態に係る、1又は複数の用途のために、超音波を生成し、伝送するための装置の側面図を示す。
図4A】[0040]図4Aは、本明細書における一部の実施形態に係る、非平面標的と組み合わせられたトランスデューサアセンブリを含む装置の例示的な上面図を示す。
図4B】[0040]図4Bは、本明細書における一部の実施形態に係る、非平面標的と組み合わせられたトランスデューサアセンブリを含む装置の例示的な斜視図を示す。
図5A】[0041]図5Aは、本明細書における一部の実施形態に係る図3Aの装置の一実施形態の例示的な図を示す。
図5B】[0042]図5Bは、本明細書における一部の実施形態に係る、非平面標的から分離されたトランスデューサアセンブリを含む図5Aの装置の例示的な斜視図を示す。
図6】[0043]図6は、本明細書における一部の実施形態に係る、非平面標的と組み合わせられたトランスデューサアセンブリを含む装置の例示的な上面図を示す。
図7A】[0044]図7Aは、本明細書における一部の実施形態に係るトランスデューサアセンブリの一実施形態の例示的な上面図を示す。
図7B】[0045]図7Bは、本明細書における一部の実施形態に係る図7Aのトランスデューサアセンブリの斜視図を示す。
図8A】[0046]図8Aは、本明細書における一部の実施形態に係るトランスデューサアセンブリと組み合わせられた非平面標的表面の例示的な側面図を示す。
図8B】[0046]図8Bは、本明細書における一部の実施形態に係るトランスデューサアセンブリと組み合わせられた非平面標的表面の例示的な側面図を示す。
図9】[0047]図9は、本明細書における一部の実施形態に係る、1又は複数の用途のために、超音波を生成し、非平面標的内へ伝送する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
好ましい実施形態の詳細な説明
[0048] 添付の図面において図解され、以下の説明において詳述されている非限定な実施形態を参照して、本明細書における実施形態、並びにそれらの様々な特徴及び有利な詳細がより完全に説明される。よく知られた構成要素及び処理技術の説明は、本明細書における実施形態を不必要に不明瞭にしないために、省略される。本明細書において用いられている例は、単に、本明細書における実施形態が実施され得る仕方の理解を容易にし、さらに、当業者が本明細書における実施形態を実施することを可能にすることを意図されているにすぎない。したがって、例は、本明細書における実施形態の範囲を限定するものとして解釈されてはならない。
【0039】
[0049] 上述されたように、超音波を利用する1又は複数の用途の効率を改善するための、超音波を生成し、標的内へ効率的に伝送するための装置及び方法がなおも必要である。
【0040】
[0050] 図3A及び図3Bは、本明細書における一部の実施形態に係る、1又は複数の用途のために、超音波を生成し、伝送するための装置の正面図及び側面図をそれぞれ示す。装置は、制御システム308と、トランスデューサアセンブリ300と、を含む。装置は、1又は複数の用途のために、超音波を生成し、非平面標的302内へ伝送する。制御システム308は、1つ以上の電気信号を生成するように構成されている。トランスデューサアセンブリ300は、制御システム308からの1つ以上の電気信号を受信し、1つ以上の電気信号を超音波に変換する1つ以上のトランスデューサ306A~Nを含む。表面不一致を低減することによって、生成された超音波は1つ以上の方向に非平面標的302内へ効率的に伝送される。超音波は、(i)音響流、(ii)キャビテーション、(iii)マイクロストリーミング、(iv)定在波、(v)流体の流れ内の乱流、(vi)流体分子の振動、(vii)固体の振動、(viii)反射、(ix)屈折、又は(x)吸収のうちの少なくとも1つを引き起こし、これにより、1又は複数の用途の効率を改善する。実施形態によっては、1又は複数の用途は、限定するものではないが、洗浄、撮像、混合、測定、感知、又は治療を含む。超音波腹膜透析の用途では、トランスデューサアセンブリ300は超音波を非平面標的302内へ伝送する。非平面標的302は患者の腹部であり得る。超音波は、患者の血液からの毒素の除去速度を増大させ、患者の腹膜上における粒子の蓄積を低減し、腹膜腔内の透析流体内の乱流を増大させ、毒素の拡散を促進する。本開示において使用される単語「乱流」は、流体の流れにおける「ランダム性」又は「無秩序」を意味する。水力学又は流体力学のような専門領域の場合と異なり、流体におけるランダム性の程度を定量化することは意図されない。
【0041】
[0051] 非平面標的302(すなわち、患者の腹部)は、1つ以上のトランスデューサ306A~Nを含むトランスデューサアセンブリ300が非平面標的302の周りに位置付けられた、大きい表面積を含む。1つ以上のトランスデューサ306A~Nは1つ以上の超音波トランスデューサであり得る。1つ以上のトランスデューサ306A~Nは腹膜への超音波の照射を増大させる。装置は、非平面標的302を包囲し、1つ以上のトランスデューサ306A~Nの各々を非平面標的302の周りに位置付け、1つ以上の方向からの非平面標的302内への超音波の進入を可能にするホルダ304を含み得る。ホルダ304は、それが非平面標的302を包囲することを可能にするために、限定するものではないが、布、ゴム、金属、又はこれらの組み合わせのような材料を用いて製作され得る。実施形態によっては、ホルダ304は、1つ以上のトランスデューサ306A~Nを非平面標的302に固定するための、限定するものではないが、フック、接着材、ベルト、ベルクロ、及び同様のもののうちの任意のものを含む。
【0042】
[0052] 1つ以上のトランスデューサ306A~Nが超音波を1つ以上の方向から標的表面308内へ伝送することは、非平面標的302、すなわち、患者の腹部内に穏やかな乱流を作り出し得、患者の血液からの毒素のより良好な除去を生じさせ、それゆえ、透析不足を防止する。実施形態によっては、ホルダ304は、1つ以上のトランスデューサ306A~Nの位置を変更するために、標的表面308に対して断続的に移動させられ得る。トランスデューサアセンブリ300の位置の断続的変更は腹膜の異なる部分に超音波を照射し、毒素の拡散を促進する。ホルダ304は、手動で、又は電気的に移動させられ得る。実施形態によっては、制御システム308は、ホルダ304を移動させ、1つ以上のトランスデューサ306A~Nの位置を変更するように構成されている。制御システム308は所定の時間ごとにホルダ304を移動させ、超音波を非平面標的302の全ての部分に照射し得る。
【0043】
[0053] 図4A及び図4Bは、本明細書における一部の実施形態に係る、非平面標的402と組み合わせられたトランスデューサアセンブリ400を含む装置の例示的な上面図を示す。非平面標的402は、液体の超音波混合のために用いられる円柱状容器であり得る。能動素子404がベース406に接合され、トランスデューサ416を形成する。トランスデューサアセンブリ400は1つ以上のトランスデューサ416及びホルダ(図示せず)で構成されている。実施形態によっては、能動素子404は圧電結晶であり、ベース406は金属構成要素である。トランスデューサアセンブリ400は、伝送表面408(すなわち、区分「ab」)と標的表面410との間に最小限の空間が存在する仕方で形状設定され得る。実施形態によっては、形状設定は、トランスデューサアセンブリ400(すなわち、能動素子404及びベース406を含む)の表面幾何構造と標的表面410とを一致させることによって達成される。実施形態によっては、能動素子404、ベース406、及び標的表面410の曲率半径は一致させられ、これにより、伝送表面408の表面積は入射表面412(すなわち、区分「ef」)のものとほぼ等しくなり、表面不一致を低減する。最小限の空間は、伝送表面408と入射表面412との間で用いられる接触媒質414の体積が小さくて済み、これにより、超音波の伝送効率を増大させる。
【0044】
[0054] 図5Aは、本明細書における一部の実施形態に係る図3Aの装置の一実施形態の例示的な図を示す。装置は、非平面標的508と組み合わせられたトランスデューサアセンブリ500を含む。能動素子502がベース504に接合され、トランスデューサ516を形成する。ホルダ506が非平面標的508の周りのトランスデューサ516の位置付けを可能にする。トランスデューサ516及びホルダ506の組み合わせはトランスデューサアセンブリ500を形成する。実施形態によっては、ホルダ506は、限定するものではないが、ベルト、ベルクロ、又はゴムバンドのような固定機構を用いてトランスデューサ516を非平面標的508に固定する。非平面標的508がトランスデューサアセンブリ500と結合すると、結果として生じた入射表面512(すなわち、区分「ef」)の表面積と伝送表面514(すなわち、区分「ab」)の表面積との比が「表面一致比」として定義され得る。場合によっては、トランスデューサアセンブリ500を、標的表面510の表面プロファイルに一致するように製作することは実現不可能である。このような場合には、能動素子502のサイズは、トランスデューサアセンブリ500が非平面標的508と結合されたとき、表面一致比が0.5~1.5になるような仕方で制約される。表面一致比が1に近いほど、表面不一致は低くなり、非平面標的508内への超音波のより効率的な伝送をもたらす。
【0045】
[0055] 図5Bは、本明細書における一部の実施形態に係る、非平面標的508から分離されたトランスデューサ516を含む図5Aの装置の例示的な斜視図を示す。斜視図は入射表面512を明確に示す。伝送表面514(図示せず)の表面積は能動素子502のものとおおよそ同じである。実施形態によっては、能動素子502は、幅が35mmであり、長さが50mmである長方形状の圧電結晶である。非平面標的508は40mmの直径及び70mmの長さを有し得る。このような場合には、伝送表面514の表面積はおよそ1750平方mmである。結合から生じた、入射表面512の表面積はおよそ2125平方mmである。表面一致比は1.21である(2125を1750で除算することから得られる)。能動素子502のサイズが15mmの幅及び50mmの長さに制約されたときには、伝送表面の表面積はおよそ750平方mmである。結合から生じた、入射表面512の表面積はおよそ768.8平方mmである。この場合における表面一致比は1.02である(768.8を750で除算することから得られる)。能動素子の、その幅を低減することによるサイズの制約の結果、1により近い表面一致比が達成される。それは表面不一致を低減し、非平面標的508内への超音波のより効率的な伝送を確実にする。実施形態によっては、非平面標的508は、40mmの直径を有する球状物体であり、能動素子502は直径20mmの円柱状ディスクである。伝送表面514(図示せず)の表面積はおよそ314.1平方mmであり、入射表面512の表面積はおよそ336.7平方mmである。表面一致比は、低い表面不一致を意味する、0.5~1.5の範囲内の、1.07である。トランスデューサアセンブリ400の表面幾何構造が標的表面410の表面幾何構造と一致させられるため、図4A及び図4Bにおいて言及された実施形態の表面一致比は1に非常に近い。
【0046】
[0056] 図6は、本明細書における一部の実施形態に係る、非平面標的606と組み合わせられたトランスデューサアセンブリ600を含む装置の例示的な上面図を示す。トランスデューサアセンブリ600は、非平面標的606を包囲するホルダ602を含む。ホルダ602は、図6における点線の囲み線内に示されるように、1つ以上の能動素子604A~Nがそれに接合され、1つ以上のトランスデューサ610A~Nを形成した際に、ベースとして機能し得る。1つ以上のトランスデューサ610A~N及びホルダ602は、合わせて、トランスデューサアセンブリ600と呼ばれる。ホルダ602は非平面標的606の周りの1つ以上のトランスデューサ610A~Nの各々の位置付けを可能にする。1つ以上の能動素子604A~Nは、それらのそれぞれの伝送表面608A~Nが、トランスデューサアセンブリ600が非平面標的606と組み合わせられたときに、標的表面612と接触するように、ホルダ602上に位置付けられる。実施形態によっては、非平面標的606は楕円柱であり、ホルダ602は平坦表面を含む。円柱の湾曲表面が平坦表面に触れたとき、2つの表面は線に沿って接触する。1つ以上の能動素子604A~Nは、それらのそれぞれの伝送表面608A~Nが、トランスデューサアセンブリ600が非平面標的606と組み合わせられたときに、標的表面612と接触することを確実にするように、これらの接触線に沿ってホルダ602上に位置付けられ、これにより、位置付け誤差を最小限に抑えることによって表面不一致を低減し、非平面標的606内への超音波の効率的伝送を可能にする。1つ以上の能動素子604A~Nのサイズは、1にさらに近い表面一致比を達成するために制約される。
【0047】
[0057] 図7Aは、本明細書における一部の実施形態に係るトランスデューサアセンブリ700の一実施形態の例示的な上面図を示す。トランスデューサアセンブリ700は非平面標的706と組み合わさる。ホルダ702は、図7Aにおける点線の囲み線内に示されるように、1つ以上の能動素子704A~Nが上に接合され、1つ以上のトランスデューサ714A~Nを形成するベースとして機能する。1つ以上のトランスデューサ714A~N及びホルダ702は、合わせて、トランスデューサアセンブリ700と呼ばれる。ホルダ702は、非平面標的706を包囲する、非平面標的706の周りの1つ以上のトランスデューサ714A~Nの各々の位置付けを可能にする。1つ以上の能動素子704A~Nは、それらのそれぞれの伝送表面が、トランスデューサアセンブリ700が非平面標的706と組み合わせられたときに、標的表面710と接触するように、ホルダ702の表面上に位置付けられる。ホルダ702は、伝送表面708が標的表面710を圧迫するように、非平面標的706と組み合わせられる。圧迫は伝送表面708と標的表面710との間の空間の縮小を可能にし、表面不一致を低減する。それは、結合時に、結果として生じた入射表面712の表面積を最大化し、1に近い表面一致比を達成する。
【0048】
[0058] 実施形態によっては、非平面標的706は円形であり、ホルダ702は、それが、上から見られたとき、距離Aが非平面標的706の直径Dよりも小さくなるよう、不完全な六角形(2つの欠けた辺を有する)を形成するような仕方で折り曲げられた金属シートである。ホルダ702及び非平面標的706が組み合わせられたとき、ホルダ702と非平面標的706との寸法の差は、伝送表面708が標的表面710を圧迫することを確実にする。実施形態によっては、1つ以上のトランスデューサ714A~Nを非平面標的706にしっかり固定するために、ホルダ702は調整可能又は可変の長さのものであるか、或いはホルダ702は、調整可能又は可変の長さの固定具を用いて非平面標的706と組み合わせられる。ホルダ702は、それが非平面標的706を包囲することを可能にするために、限定するものではないが、布、ゴム、金属、又はこれらの組み合わせのような可撓性材料を用いて製作され得る。固定具は、しっかり固定するために、限定するものではないが、ベルト、ベルクロ、フック、接着材、及び同様のもののうちの任意のものを含み得る。1つ以上のトランスデューサ714A~Nは、伝送表面708が標的表面710に押し付けられるように、非平面標的706の周りに固定される。
【0049】
[0059] 図7Bは、本明細書における一部の実施形態に係る図7Aのトランスデューサアセンブリ700の斜視図を示す。トランスデューサアセンブリ700は、血液透析の用途において用いられる透析器である非平面標的706と組み合わせられ得る。非平面標的706の直径Dと比べて距離Aの方が小さいことは、ホルダ702を、1つ以上のトランスデューサ714A~Nを非平面標的706にしっかり固定する固定具のように機能させる。ホルダ702はトランスデューサアセンブリ700の容易な取り付け及び取り外しを可能にする。1つ以上のトランスデューサ714A~Nは1人の患者の4時間の透析セッションのために透析器に固定され得る。透析セッションの後に、1つ以上のトランスデューサ714A~Nは取り外され、異なる患者のための別の透析器に固定され得る。ホルダ702は、1つ以上の能動素子704の位置を変更するために、標的表面710に対して断続的に移動させられ得る。トランスデューサアセンブリ700の位置の断続的変更は非平面標的706の異なる部分に超音波を照射する。
【0050】
[0060] 実施形態によっては、標的表面710が、1つ以上の能動素子704A~Nが上に接合されたベースとして機能する。分離可能なホルダ702の必要性が解消される。装着型人工腎臓の場合には、1つ以上の能動素子704A~Nは人工腎臓の構成要素の標的表面710に直接接合され得、これにより、生成された超音波は構成要素内へ伝送され、浄化プロセスの効率を改善する。
【0051】
[0061] 図8A及び図8Bは、本明細書における一部の実施形態に係るトランスデューサアセンブリ802と組み合わせられた非平面標的表面800の例示的な側面図を示す。図8Aは、伝送表面806よりも大きい入射表面804を示す。トランスデューサアセンブリ802を標的表面800に押し付けると、標的表面800は、図8Bに示されるように、伝送表面806のプロファイルに順応する。伝送表面806の表面積と入射表面804のものとはおおよそ等しくなり、表面一致比を、標的表面800内への超音波の効率的伝送を可能にする、1に非常に近くする。
【0052】
[0062] 図9は、本明細書における一部の実施形態に係る、1又は複数の用途のために、超音波を生成し、非平面標的302、402、508、606、706内へ伝送する方法を示す。ステップ902において、制御システム308を用いて1つ以上の電気信号を生成する。ステップ904において、トランスデューサアセンブリ300、400、500、600、700、802を用いて1つ以上の電気信号を受信し、超音波に変換する。生成された超音波は、表面不一致を低減することによって、1つ以上の方向に非平面標的302、402、508、606、706内へ伝送され、超音波は、(i)音響流、(ii)キャビテーション、(iii)マイクロストリーミング、(iv)定在波、(v)流体の流れ内の乱流、(vi)流体分子の振動、(vii)固体の振動、(viii)反射、(ix)屈折、又は(x)吸収のうちの少なくとも1つを引き起こし、これにより、限定するものではないが、洗浄、撮像、混合、測定、感知、又は治療のうちの任意のものを含む1又は複数の用途の効率を改善する。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
【国際調査報告】