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特表2024-526286ニューロテンシン変異体及びニューロテンシン又はソルチリンプロペプチドを含むタグ付きタンパク質
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】ニューロテンシン変異体及びニューロテンシン又はソルチリンプロペプチドを含むタグ付きタンパク質
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/16 20060101AFI20240709BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240709BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240709BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240709BHJP
   C07K 14/575 20060101ALI20240709BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20240709BHJP
   C12N 15/861 20060101ALI20240709BHJP
   C12N 15/864 20060101ALI20240709BHJP
   C12N 15/867 20060101ALI20240709BHJP
   C12N 15/863 20060101ALI20240709BHJP
   C12N 15/869 20060101ALI20240709BHJP
   C12N 9/40 20060101ALI20240709BHJP
   C12N 9/26 20060101ALI20240709BHJP
   C12N 9/16 20060101ALI20240709BHJP
   C12N 9/64 20060101ALI20240709BHJP
   C12N 15/55 20060101ALI20240709BHJP
   C12N 15/56 20060101ALI20240709BHJP
   C12N 15/57 20060101ALI20240709BHJP
   C07K 14/705 20060101ALI20240709BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240709BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240709BHJP
   A61K 9/127 20060101ALI20240709BHJP
   A61K 9/51 20060101ALI20240709BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20240709BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20240709BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20240709BHJP
   A61K 35/761 20150101ALI20240709BHJP
   A61K 35/763 20150101ALI20240709BHJP
   A61P 3/08 20060101ALI20240709BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20240709BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240709BHJP
   A61K 38/10 20060101ALI20240709BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20240709BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240709BHJP
   A61K 38/46 20060101ALI20240709BHJP
   A61K 38/43 20060101ALI20240709BHJP
   A61K 38/48 20060101ALI20240709BHJP
   A61K 38/47 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
C12N15/16
C12N15/62 Z ZNA
C12N15/63 Z
C07K19/00
C07K14/575
C12P21/02 C
C12N15/861 Z
C12N15/864 100Z
C12N15/867 Z
C12N15/863 Z
C12N15/869 Z
C12N9/40
C12N9/26 Z
C12N9/16 Z
C12N9/64 Z
C12N15/55
C12N15/56
C12N15/57
C07K14/705
C12N5/10
A61K48/00
A61K9/127
A61K9/51
A61K47/44
A61K47/24
A61K35/76
A61K35/761
A61K35/763
A61P3/08
A61P3/00
A61P25/00
A61K38/10
A61K38/16
A61K45/00
A61K38/46
A61K38/43
A61K38/48
A61K38/47
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500052
(86)(22)【出願日】2022-07-01
(85)【翻訳文提出日】2024-02-29
(86)【国際出願番号】 US2022073333
(87)【国際公開番号】W WO2023279073
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】63/217,500
(32)【優先日】2021-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】507170099
【氏名又は名称】アミカス セラピューティックス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アイゼナハ, ヘレン
(72)【発明者】
【氏名】トゥスケ, スティーヴン
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C076
4C084
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG15
4B065AA80X
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC05
4B065BA02
4B065CA24
4C076AA19
4C076AA65
4C076BB13
4C076BB15
4C076BB16
4C076BB21
4C076BB24
4C076CC01
4C076CC21
4C076DD63
4C076EE51
4C076EE56
4C076FF02
4C076FF31
4C076FF68
4C084AA13
4C084AA17
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA18
4C084BA19
4C084BA23
4C084BA44
4C084CA59
4C084DC02
4C084DC22
4C084MA24
4C084MA41
4C084MA56
4C084MA58
4C084MA65
4C084MA66
4C084NA10
4C084NA12
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZA021
4C084ZA022
4C084ZC211
4C084ZC212
4C084ZC351
4C084ZC352
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087MA24
4C087MA41
4C087MA56
4C087MA58
4C087MA65
4C087MA66
4C087NA10
4C087NA12
4C087NA13
4C087ZA02
4C087ZC21
4C087ZC35
4H045AA10
4H045BA09
4H045BA41
4H045CA40
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、ニューロテンシン変異体並びにニューロテンシン、ソルチリンプロペプチド、又はそれらの変異体を含む組み換えタンパク質のアミノ酸配列を提供する。本開示はまた、組み換えタンパク質の産生の方法及び組み換えタンパク質の細胞取り込みを決定するための方法を提供する。遺伝子治療組成物、医薬組成物、処置の方法、並びに遺伝子治療組成物及び組み換えタンパク質の使用も開示される。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニューロテンシンペプチドアミノ酸配列であって、前記アミノ酸配列が配列番号1ではないように、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、又は配列番号13に対する少なくとも70%の配列同一性を含むニューロテンシンペプチドアミノ酸配列。
【請求項2】
ニューロテンシンペプチドアミノ酸配列であって、前記アミノ酸配列が配列番号1ではないように、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、又は配列番号13に対する少なくとも90%の配列同一性を含むニューロテンシンペプチドアミノ酸配列。
【請求項3】
配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、又は配列番号13を含むニューロテンシンペプチドアミノ酸配列。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載のニューロテンシンペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド。
【請求項5】
ニューロテンシンポリヌクレオチドであって、前記得られるポリペプチドが配列番号1ではないように、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、又は配列番号26に対する少なくとも40%のヌクレオチド配列同一性を含むニューロテンシンポリヌクレオチド。
【請求項6】
ニューロテンシンポリヌクレオチドであって、前記得られるポリペプチドが配列番号1ではないように、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、又は配列番号26に対する少なくとも70%のヌクレオチド配列同一性を含むニューロテンシンポリヌクレオチド。
【請求項7】
ニューロテンシンポリヌクレオチドであって、前記得られるポリペプチドが配列番号1ではないように、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、又は配列番号26に対する少なくとも97%のヌクレオチド配列同一性を含むニューロテンシンポリヌクレオチド。
【請求項8】
配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、又は配列番号26を含むニューロテンシンポリヌクレオチド。
【請求項9】
ソルチリンプロペプチドアミノ酸配列であって、前記アミノ酸配列が配列番号48ではないように、配列番号48に対する少なくとも70%の配列同一性を含むソルチリンプロペプチドアミノ酸配列。
【請求項10】
ソルチリンプロペプチドアミノ酸配列であって、前記アミノ酸配列が配列番号48ではないように、配列番号48に対する少なくとも90%の配列同一性を含むソルチリンプロペプチドアミノ酸配列。
【請求項11】
請求項9又は10に記載のソルチリンプロペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド。
【請求項12】
配列番号49に対する少なくとも40%のヌクレオチド配列同一性を含むソルチリンプロペプチドポリヌクレオチド。
【請求項13】
配列番号49に対する少なくとも70%のヌクレオチド配列同一性を含むソルチリンプロペプチドポリヌクレオチド。
【請求項14】
配列番号49に対する少なくとも97%のヌクレオチド配列同一性を含むソルチリンプロペプチドポリヌクレオチド。
【請求項15】
配列番号49を含むソルチリンプロペプチドポリヌクレオチド。
【請求項16】
タグ及び治療用タンパク質を含むタグ付きタンパク質であって、前記タグが、ニューロテンシンペプチド及び/又はソルチリンプロペプチドを含むタグ付きタンパク質。
【請求項17】
前記ニューロテンシンペプチドが、配列番号1に対して少なくとも70%同一であるポリペプチドを含む、請求項16に記載のタグ付きタンパク質。
【請求項18】
前記ニューロテンシンペプチドが、配列番号1に対して少なくとも90%同一であるポリペプチドを含む、請求項16に記載のタグ付きタンパク質。
【請求項19】
前記ニューロテンシンペプチドが、配列番号1を含む、請求項16に記載のタグ付きタンパク質。
【請求項20】
前記ニューロテンシンペプチドが、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、又は配列番号13に対して少なくとも70%同一であるポリペプチドを含む、請求項16に記載のタグ付きタンパク質。
【請求項21】
前記ニューロテンシンペプチドが、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、又は配列番号13に対して少なくとも90%同一であるポリペプチドを含む、請求項16に記載のタグ付きタンパク質。
【請求項22】
前記ニューロテンシンペプチドが、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、又は配列番号13を含む、請求項16に記載のタグ付きタンパク質。
【請求項23】
前記ニューロテンシンペプチドをコードするポリヌクレオチドが、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、又は配列番号26に対する少なくとも40%の配列同一性を含む、請求項16に記載のタグ付きタンパク質。
【請求項24】
前記ニューロテンシンペプチドをコードするポリヌクレオチドが、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、又は配列番号26に対する少なくとも70%の配列同一性を含む、請求項16に記載のタグ付きタンパク質。
【請求項25】
前記ニューロテンシンペプチドをコードするポリヌクレオチドが、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、又は配列番号26に対する少なくとも97%の配列同一性を含む、請求項16に記載のタグ付きタンパク質。
【請求項26】
前記ニューロテンシンペプチドをコードするポリヌクレオチドが、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25及び配列番号26の何れか1つを含む、請求項16に記載のタグ付きタンパク質。
【請求項27】
前記ソルチリンプロペプチドが、配列番号48に対して少なくとも70%同一であるポリペプチドを含む、請求項16に記載のタグ付きタンパク質。
【請求項28】
前記ソルチリンプロペプチドが、配列番号48に対して少なくとも90%同一であるポリペプチドを含む、請求項16に記載のタグ付きタンパク質。
【請求項29】
前記ソルチリンプロペプチドをコードするポリヌクレオチドが、配列番号50に対する少なくとも40%の配列同一性を含む、請求項16に記載のタグ付きタンパク質。
【請求項30】
前記ソルチリンプロペプチドをコードするポリヌクレオチドが、配列番号50に対する少なくとも70%の配列同一性を含む、請求項16に記載のタグ付きタンパク質。
【請求項31】
前記ソルチリンプロペプチドをコードするポリヌクレオチドが、配列番号50に対する少なくとも97%の配列同一性を含む、請求項16に記載のタグ付きタンパク質。
【請求項32】
前記ソルチリンプロペプチドをコードするポリヌクレオチドが、配列番号50を含む、請求項16に記載のタグ付きタンパク質。
【請求項33】
前記治療用タンパク質が、リソソームタンパク質を含む、請求項16~32の何れか1項に記載のタグ付きタンパク質。
【請求項34】
前記治療用タンパク質が、CDKL5、アルファ-ガラクトシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-ヘキソサミニダーゼ、ガラクトシルセラミダーゼ、アリールスルファターゼ、β-グルコセレブロシダーゼ、グルコセレブロシダーゼ、リソソーム酸性リパーゼ、リソソーム酵素酸性スフィンゴミエリナーゼ、ホルミルグリシン生成酵素、イズロニダーゼ、アセチル-CoA:アルファ-グルコサミニドN-アセチルトランスフェラーゼ、グリコサミノグリカンアルファ-L-イズロノヒドロラーゼ、ヘパランN-スルファターゼ、N-アセチル-α-D-グルコサミニダーゼ(NAGLU)、イズロン酸-2-スルファターゼ、ガラクトサミン-6-硫酸スルファターゼ、N-アセチルガラクトサミン-6-スルファターゼ、グリコサミノグリカンN-アセチルガラクトサミン4-スルファターゼ、β-グルクロニダーゼ、ヒアルロニダーゼ、アルファ-N-アセチルノイラミニダーゼ(シアリダーゼ)、ガングリオシドシアリダーゼ、ホスホトランスフェラーゼ、アルファ-グルコシダーゼ、アルファ-D-マンノシダーゼ、ベータ-D-マンノシダーゼ、アスパルチルグルコサミニダーゼ、アルファ-L-フコシダーゼ、及び他のバッテン関連タンパク質又は酵素的に活性であるそれらの断片を含む、請求項16~32の何れか1項に記載のタグ付きタンパク質。
【請求項35】
前記バッテン関連タンパク質が、パルミトイルタンパク質チオエステラーゼ1(PPT1)(CLN1)、トリペプチジルペプチダーゼ1(TPP1)(CLN2)、カテプシンD(CTSD)(CLN10)、プログラニュリン(PGRN)(CLN11)、及びカテプシンF(CTSF)(CLN13)を含む、請求項34に記載のバッテン関連タンパク質。
【請求項36】
前記治療用タンパク質が、アルファ-グルコシダーゼ(GAA)を含む、請求項16~32の何れか1項に記載のタグ付きタンパク質。
【請求項37】
前記タグ付きタンパク質が、親和性タグ、リンカーペプチド、及び分泌シグナルペプチドの1つ以上を含む、請求項16~36の何れか1項に記載のタグ付きタンパク質。
【請求項38】
請求項16~37の何れか1項に記載のタグ付きタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド。
【請求項39】
請求項16~38の何れか1項に記載のタグ付きタンパク質を産生する方法であって、前記タグ付きタンパク質を発現させること、及び前記タグ付きタンパク質を精製することを含む、方法。
【請求項40】
前記タグ付きタンパク質が、Expi293F細胞、PC12細胞、COS7細胞、HAP1細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ヒト胎児腎臓(HEK)細胞、マウス初代筋芽細胞、NIH 3T3細胞、大腸菌(Escherichia coli)細胞、Sf9細胞、Sf21細胞、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)又はそれらの変異体において発現される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
請求項16~38の何れか1項に記載のタグ付きタンパク質の細胞取り込みを決定する方法であって、細胞を培養すること、前記細胞をタグ付きタンパク質とともにインキュベートすること、及び前記細胞内に輸送されたタグ付きタンパク質を同定することを含む、方法。
【請求項42】
前記細胞内に輸送されたタグ付きタンパク質の機能性を決定することを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記細胞内に輸送されたタグ付きタンパク質を定量することを含む、請求項41又は42に記載の方法。
【請求項44】
前記細胞が、Expi293F細胞、PC12細胞、COS7細胞、HAP1細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ヒト胎児腎臓(HEK)細胞、マウス初代筋芽細胞、NIH 3T3細胞、大腸菌(Escherichia coli)細胞、Sf9細胞、Sf21細胞、酵母細胞又はそれらの変異体である、請求項41~43の何れか1項に記載の方法。
【請求項45】
請求項16~38の何れか1項に記載のタグ付きタンパク質と、
薬学的に許容可能な担体と、
を含む製剤処方物。
【請求項46】
疾患又は障害の処置を必要とする患者に請求項45に記載の製剤処方物を投与することを含む、疾患又は障害を処置する方法。
【請求項47】
前記疾患又は障害が、ファブリー病であり、前記治療用タンパク質が、アルファ-ガラクトシダーゼAを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記疾患又は障害が、ポンペ病であり、前記治療用タンパク質が、アルファ-グルコシダーゼAを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記疾患又は障害が、バッテン病であり、前記治療用タンパク質が、パルミトイルタンパク質チオエステラーゼ1(PPT1)(CLN1)、トリペプチジルペプチダーゼ1(TPP1)(CLN2)、カテプシンD(CTSD)(CLN10)、プログラニュリン(PGRN)(CLN11)及びカテプシンF(CTSF)(CLN13)を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記製剤処方物が、くも膜下腔内に、静脈内に、大槽内に、脳室内に、眼内に、硝子体内に、網膜に、網膜下に、筋肉内に、皮下に、大脳内に、外科的に又は実質内に投与される、請求項46~49の何れか1項に記載の方法。
【請求項51】
遺伝子治療送達系;及び
請求項16~38の何れか1項に記載のタグ付きタンパク質をコードするポリヌクレオチド
を含む遺伝子治療組成物。
【請求項52】
前記遺伝子治療送達系が、ベクター、リポソーム、脂質-核酸ナノ粒子、エクソソーム、及び遺伝子編集系の1つ以上を含む、請求項51に記載の遺伝子治療組成物。
【請求項53】
前記遺伝子治療送達系が、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)関連タンパク質9(CRISPR-Cas-9)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)又はZNF(ジンクフィンガータンパク質)の1つ以上を含む、請求項51に記載の遺伝子治療組成物。
【請求項54】
前記遺伝子治療送達系が、ウイルスベクターを含む、請求項51又は52に記載の遺伝子治療組成物。
【請求項55】
前記ウイルスベクターが、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、ポックスウイルスベクター又は単純ヘルペスウイルスベクターの1つ以上を含む、請求項54に記載の遺伝子治療組成物。
【請求項56】
前記ウイルスベクターが、前記タグ付きタンパク質をコードするポリヌクレオチドに操作可能に連結されるウイルスポリヌクレオチドを含む、請求項54又は55に記載の遺伝子治療組成物。
【請求項57】
前記ウイルスベクターが、少なくとも1つの末端逆位配列(ITR)を含む、請求項54~56の何れか1項に記載の遺伝子治療組成物。
【請求項58】
前記ウイルスベクターが、SV40イントロン、ポリアデニル化シグナル又は安定化エレメントの1つ以上を含む、請求項54~57の何れか1項に記載の遺伝子治療組成物。
【請求項59】
前記遺伝子治療送達系がプロモーターを含む、請求項51~58の何れか1項に記載の遺伝子治療組成物。
【請求項60】
前記遺伝子治療送達系が、分泌シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、請求項51~59の何れか1項に記載の遺伝子治療組成物。
【請求項61】
薬学的に許容可能な担体を含む、請求項51~60の何れか1項に記載の遺伝子治療組成物。
【請求項62】
疾患又は障害の処置を必要とする患者に請求項61に記載の遺伝子治療組成物処方物を投与することを含む、疾患又は障害を処置する方法。
【請求項63】
前記疾患又は障害が、ファブリー病であり、前記ポリヌクレオチド配列が、アルファ-ガラクトシダーゼAをコードするヌクレオチド配列を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記疾患又は障害が、ポンペ病であり、前記ポリヌクレオチド配列が、アルファ-グルコシダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記疾患又は障害が、バッテン病であり、前記ポリヌクレオチド配列が、パルミトイルタンパク質チオエステラーゼ1(PPT1)(CLN1)、トリペプチジルペプチダーゼ1(TPP1)(CLN2)、カテプシンD(CTSD)(CLN10)、プログラニュリン(PGRN)(CLN11)及びカテプシンF(CTSF)(CLN13)をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項66】
前記遺伝子治療組成物が、くも膜下腔内に、静脈内に、大槽内に、脳室内に、眼内に、硝子体内に、網膜に、網膜下に、筋肉内に、皮下に、大脳内に、外科的に又は実質内に投与される、請求項61~65の何れか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺伝性障害を処置することに関する。
【背景技術】
【0002】
リソソーム蓄積症などの遺伝性障害は、ゲノムの遺伝子コード領域内で発生する遺伝性の又は新生の突然変異によって生じる。この領域内の突然変異は、欠陥タンパク質をもたらし得、これは、細胞代謝活性にとって重大である。多くの突然変異タンパク質は、ERにおいて不安定であるため(Ishii et al.,Biochem.Biophys.Res.Comm.1996;220:812-815)、タンパク質は、正常な輸送経路(ER→ゴルジ体→エンドソーム→リソソーム)において遅延され、早期に分解される。得られるタンパク質欠乏症は、毒性化合物の蓄積及びその後の正常な細胞機能の乱れを引き起こし得る。
【0003】
タンパク質補充療法は、遺伝性障害を処置するための承認された処置の1つである。この療法は、典型的に、対応する野生型タンパク質の精製形態の静脈内注射を含む。しかしながら、タンパク質補充療法に伴う主な厄介な問題の1つは、低い細胞内バイオアベイラビリティ、並びに注入されたタンパク質の急速な分解及び/又はクリアランスによる、生体内での治療有効量のタンパク質の獲得及び維持である。この問題を克服するための現行の手法は、多くのコストのかかる高用量の注入を行うことである。
【0004】
遺伝子治療は、遺伝性障害を処置するための別の可能な手法である。遺伝子治療は、機能タンパク質をコードする核酸配列を欠陥遺伝子に補充又は補完することを含む。遺伝子治療は、組み換えベクターを用いて、機能タンパク質をコードする核酸配列又は機能タンパク質を発現する遺伝子組み換えヒト細胞を送達し得る。しかしながら、直接形質導入又はクロスコレクションの何れかによる、関連する標的細胞及び細胞小器官への導入遺伝子又は導入遺伝子産物の送達は、遺伝子治療においていまだ課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、遺伝子治療及びタンパク質補充療法の両方について、関連する細胞及び細胞小器官に到達することに関する課題のため、遺伝性障害を処置するためのより正確な標的化を提供する新たな治療法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ニューロテンシンは、ニューロテンシン遺伝子によってコードされる神経ペプチドである。いくつかの実施形態では、ニューロテンシンは、ホルモン、増殖因子、アポトーシスシグナル伝達ペプチド及びリソソーム輸送促進ペプチドの1つ以上として機能する。ニューロテンシンの天然受容体の1つは、ソルチリン(ニューロテンシン受容体3、NTSR3とも呼ばれる)であり、これは、主に、ゴルジ体膜、核膜、リソソーム膜、細胞原形質膜、小胞体膜及びエンドソーム膜に存在し、リソソーム中のCI-MPR/IGF2Rと共局在する。ソルチリンはまた、腎臓、心臓、脳、及び生殖組織などの特定の組織において高レベルの発現を有する。したがって、本発明の様々な態様は、ニューロテンシン又はその変異体を用いて、ソルチリンの高い発現を有する細胞又は細胞小器官への治療用タンパク質の正確な標的化を提供する。
【0007】
本発明の様々な態様は、野生型ニューロテンシンペプチドアミノ酸配列の変異体に関する。1つ以上の実施形態では、ニューロテンシンペプチドアミノ酸配列は、アミノ酸配列が配列番号1ではないように、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、又は配列番号13に対する少なくとも70%の配列同一性を含む。1つ以上の実施形態では、ニューロテンシンペプチドアミノ酸配列は、アミノ酸配列が配列番号1ではないように、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、又は配列番号13に対する少なくとも90%の配列同一性を含む。1つ以上の実施形態では、ニューロテンシンペプチドアミノ酸配列は、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、又は配列番号13を含む。
【0008】
本発明の1つ以上の実施形態は、得られるアミノ酸配列が配列番号1ではないように、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、又は配列番号13に対する少なくとも70%の配列同一性を有するニューロテンシンペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドに関する。1つ以上の実施形態では、ヌクレオチド配列は、得られるアミノ酸配列が配列番号1ではないように、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、又は配列番号13に対する少なくとも90%の配列同一性を有するニューロテンシンペプチドをコードする。1つ以上の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、又は配列番号13を有するニューロテンシンペプチドをコードする。
【0009】
本発明の様々な態様は、得られるポリペプチドが配列番号1ではないように、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、又は配列番号26に対する少なくとも40%のヌクレオチド配列同一性を含むニューロテンシンポリヌクレオチドに関する。1つ以上の実施形態では、ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドが配列番号14ではないように、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、又は配列番号26に対する少なくとも70%のヌクレオチド配列同一性を有する。1つ以上の実施形態では、ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドが配列番号14ではないように、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、又は配列番号26に対する少なくとも97%のヌクレオチド配列同一性を有する。1つ以上の実施形態は、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、又は配列番号26を有するニューロテンシンポリヌクレオチドを含む。
【0010】
本発明の様々な態様は、治療用タンパク質並びにニューロテンシンペプチド及び/又はソルチリンプロペプチドから選択される1つ以上のタグを含むタグ付きタンパク質を指す。1つ以上の実施形態では、タグ付きタンパク質のニューロテンシンペプチドは、配列番号1に対して少なくとも70%同一であるポリペプチドを含む。1つ以上の実施形態では、タグ付きタンパク質のニューロテンシンペプチドは、配列番号1に対して少なくとも90%同一であるポリペプチドを含む。1つ以上の実施形態では、タグ付きタンパク質のニューロテンシンペプチドは、配列番号1を含む。1つ以上の実施形態では、タグ付きタンパク質のニューロテンシンペプチドは、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12又は配列番号13に対して少なくとも70%同一であるポリペプチドを含む。1つ以上の実施形態では、タグ付きタンパク質のニューロテンシンペプチドは、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12又は配列番号13に対して少なくとも90%同一であるポリペプチドを含む。1つ以上の実施形態では、タグ付きタンパク質のニューロテンシンペプチドは、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、又は配列番号13を含む。1つ以上の実施形態では、タグ付きタンパク質のソルチリンプロペプチドは、配列番号48に対して少なくとも70%同一であるポリペプチドを含む。1つ以上の実施形態では、タグ付きタンパク質のソルチリンプロペプチドは、配列番号48に対して少なくとも90%同一であるポリペプチドを含む。1つ以上の実施形態では、タグ付きタンパク質のソルチリンプロペプチドは、配列番号48を含む。他の実施形態では、ソルチリンプロペプチドは、配列番号48に対して少なくとも40%、70%又は97%同一であるが、配列番号48ではない変異体である。
【0011】
1つ以上の実施形態では、治療用タンパク質は、可溶性タンパク質を含む。1つ以上の実施形態では、治療用タンパク質は、リソソームタンパク質を含む。1つ以上の実施形態では、タグ付きタンパク質の治療用タンパク質は、パルミトイルタンパク質チオエステラーゼ1(PPT1)(CLN1)、トリペプチジルペプチダーゼ1(TPP1)(CLN2)、カテプシンD(CTSD)(CLN10)、プログラニュリン(PGRN)(CLN11)及びカテプシンF(CTSF)(CLN13)、アルファ-ガラクトシダーゼA、β-ガラクトシダーゼ、β-ヘキソサミニダーゼ、ガラクトシルセラミダーゼ、アリールスルファターゼ、β-グルコセレブロシダーゼ、グルコセレブロシダーゼ、リソソーム酸性リパーゼ、リソソーム酵素酸性スフィンゴミエリナーゼ、ホルミルグリシン生成酵素、イズロニダーゼ、アセチル-CoA:アルファ-グルコサミニドN-アセチルトランスフェラーゼ、グリコサミノグリカンアルファ-L-イズロノヒドロラーゼ、ヘパランN-スルファターゼ、N-アセチル-α-D-グルコサミニダーゼ(NAGLU)、イズロン酸-2-スルファターゼ、ガラクトサミン-6-硫酸スルファターゼ、N-アセチルガラクトサミン-6-スルファターゼ、グリコサミノグリカンN-アセチルガラクトサミン4-スルファターゼ、β-グルクロニダーゼ、ヒアルロニダーゼ、アルファ-N-アセチルノイラミニダーゼ(シアリダーゼ)、ガングリオシドシアリダーゼ、ホスホトランスフェラーゼ、アルファ-グルコシダーゼ、アルファ-D-マンノシダーゼ、ベータ-D-マンノシダーゼ、アスパルチルグルコサミニダーゼ、アルファ-L-フコシダーゼ、又は酵素的に活性であるそれらの断片を含む。1つ以上の実施形態では、タグ付きタンパク質の治療用タンパク質は、PPT1、TPP1、CTSD、PGRN又はCTSFから選択されるバッテン関連タンパク質を含む。1つ以上の実施形態では、タグ付きタンパク質の治療用タンパク質は、リソソームアルファ-グルコシダーゼ(GAA)を含む。
【0012】
1つ以上の実施形態では、タグ付きタンパク質は、親和性タグ、リンカーペプチド、及び分泌シグナルペプチドの1つ以上を含む。
【0013】
本発明の様々な態様は、タグ付きタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドに関する。1つ以上の実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、治療用タンパク質ポリヌクレオチド配列並びにニューロテンシンポリヌクレオチド配列及び/又はソルチリンプロペプチドポリヌクレオチド配列を含む1つ以上のタグ配列を含む。1つ以上の実施形態では、ニューロテンシンポリヌクレオチド配列は、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、又は配列番号26に対する少なくとも40%の配列同一性を含む。1つ以上の実施形態では、ニューロテンシンポリヌクレオチド配列は、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、又は配列番号26に対する少なくとも70%の配列同一性を含む。1つ以上の実施形態では、ニューロテンシンポリヌクレオチド配列は、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、又は配列番号26に対する少なくとも97%の配列同一性を含む。1つ以上の実施形態では、ニューロテンシンポリヌクレオチド配列は、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、又は配列番号26を含む。1つ以上の実施形態では、ソルチリンプロペプチドポリヌクレオチド配列は、配列番号49に対する少なくとも40%、70%、97%又は100%の配列同一性を含む。
【0014】
本発明の様々な態様は、タグ付きタンパク質を産生する方法に関する。本方法は、タグ付きタンパク質を発現させること、及びタグ付きタンパク質を精製することを含む。1つ以上の実施形態では、タグ付きタンパク質は、Expi293F細胞、PC12細胞、COS7細胞、HAP1細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ヒト胎児腎臓(HEK)細胞、マウス初代筋芽細胞、NIH 3T3細胞、大腸菌(Escherichia coli)細胞、バキュロウイルス発現系(例えば、Sf9細胞、Sf21細胞)、酵母細胞(例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae))、又はそれらの変異体において発現される。
【0015】
本発明の様々な態様は、タグ付きタンパク質の細胞取り込みを決定する方法に関する。1つ以上の実施形態では、本方法は、細胞を培養すること、細胞をタグ付きタンパク質とともにインキュベートすること、及び細胞内に輸送されたタグ付きタンパク質を同定することを含む。1つ以上の実施形態では、本方法は、細胞内に輸送されたタグ付きタンパク質の機能性を決定することを含み得る。1つ以上の実施形態では、本方法は、細胞内に輸送されたタグ付きタンパク質を定量することを含み得る。1つ以上の実施形態では、本方法は、Expi293F細胞、PC12細胞、COS7細胞、HAP1細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ヒト胎児腎臓(HEK)細胞、マウス初代筋芽細胞、NIH 3T3細胞、大腸菌(Escherichia coli)細胞、Sf9細胞、Sf21細胞、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)又はそれらの変異体において行われる。
【0016】
本発明の様々な態様は、タグ付きタンパク質のソルチリン結合効率を評価する方法に関する。1つ以上の実施形態では、本方法は、固定化ソルチリンをタグ付きタンパク質とともにインキュベートすること及びソルチリン結合タグ付きタンパク質の割合を定量することを含む。1つ以上の実施形態では、ソルチリンは、ドメイン又は全長タンパク質を含む。1つ以上の実施形態では、ソルチリンドメインは、全長ソルチリンアミノ酸配列のアミノ酸残基78~755を含む。1つ以上の実施形態では、本方法は、ソルチリン結合タグ付きタンパク質の機能性を測定することを含む。
【0017】
本発明の様々な態様は、ニューロテンシンペプチド、タグ付きタンパク質、及び/又はニューロテンシンペプチド若しくはタグ付きタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む製剤処方物に関する。製剤処方物は、薬学的に許容可能な担体及び/又は1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤も含み得る。
【0018】
本発明の様々な態様は、疾患又は障害の処置を必要とする患者に製剤処方物を投与することを含む、疾患又は障害を処置する方法に関する。1つ以上の実施形態では、疾患又は障害は、ファブリー病であり、治療用タンパク質は、アルファ-ガラクトシダーゼAを含む。1つ以上の実施形態では、疾患又は障害は、ポンペ病であり、治療用タンパク質は、酸性アルファ-グルコシダーゼを含む。1つ以上の実施形態では、疾患又は障害は、バッテン病であり、治療用タンパク質は、PPT1(CLN1)、TPP1(CLN2)、CTSD(CLN10)、PGRN(CLN11)、又はCTSF(CLN13)を含む。1つ以上の実施形態では、製剤処方物は、くも膜下腔内に、静脈内に、大槽内に、脳室内に、眼内に、硝子体内に、網膜に、網膜下に、筋肉内に、皮下に、大脳内に、外科的に又は実質内に投与される。
【0019】
本発明の様々な態様は、遺伝子治療送達系及びタグ付きタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む遺伝子治療組成物に関する。1つ以上の実施形態では、遺伝子治療送達系は、ベクター、リポソーム、脂質-核酸ナノ粒子、エクソソーム、及び遺伝子編集系の1つ以上を含む。1つ以上の実施形態では、遺伝子治療編集系は、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)関連タンパク質9(CRISPR-Cas-9)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、又はZNF(ジンクフィンガータンパク質)の1つ以上を含む。1つ以上の実施形態では、遺伝子治療送達系は、ウイルスベクターを含む。1つ以上の実施形態では、ウイルスベクターは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、又は単純ヘルペスウイルスベクターの1つ以上を含む。1つ以上の実施形態では、ウイルスベクターは、タグ付きタンパク質をコードするポリヌクレオチドに操作可能に連結されるウイルスポリヌクレオチドを含む。1つ以上の実施形態では、ウイルスベクターは、少なくとも1つの末端逆位配列(ITR)を含む。1つ以上の実施形態では、ウイルスベクターは、SV40イントロン、ポリアデニル化シグナル(例えば、ウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル(bGHpolyA))、又は安定化エレメント(例えば、マーモット肝炎ウイルス(WHP)転写後調節エレメント(WPRE))の1つ以上を含む。1つ以上の実施形態では、遺伝子治療送達系は、プロモーター(例えば、CBA)を含む。1つ以上の実施形態では、遺伝子治療送達系は、分泌シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、ヒトBiP又はその変異体)を含む。1つ以上の実施形態では、遺伝子治療組成物は、薬学的に許容可能な担体を含む。
【0020】
本発明の様々な態様は、疾患又は障害の処置を必要とする患者に遺伝子治療組成物を投与することを含む、疾患又は障害を処置する方法に関する。1つ以上の実施形態では、疾患又は障害は、ファブリー病であり、治療用タンパク質は、アルファ-ガラクトシダーゼAを含む。1つ以上の実施形態では、疾患又は障害は、ポンペ病であり、治療用タンパク質は、アルファ-グルコシダーゼを含む。1つ以上の実施形態では、疾患又は障害は、バッテン病であり、治療用タンパク質は、PPT1(CLN1)、TPP1(CLN2)、CTSD(CLN10)、PGRN(CLN11)、又はCTSF(CLN13)を含む。1つ以上の実施形態では、遺伝子治療組成物は、くも膜下腔内に、静脈内に、大槽内に、脳室内に、眼内に、硝子体内に、網膜に、網膜下に、筋肉内に、皮下に、大脳内に、外科的に又は実質内に投与される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1A-1B】ソルチリンに対するGAAタグ付きタンパク質の結合効率。精製されたGAAタグ付きタンパク質の2つの変異体、C末端NTタグを有するGAAタグ付きタンパク質(GAA-NT)(図1A)及びN末端NTタグを有するGAAタグ付きタンパク質(NT-GAA)(図1Bを、市販の共免疫沈降キット(Thermo Fisher、26149)を用いて可溶性ソルチリンドメインとともに、別々に共免疫沈降させた。画像は、GAA-NT及びNT-GAAの両方が、可溶性ソルチリンドメインに対する高い親和性を有することを示す。
図2】ソルチリン結合GAAタグ付きタンパク質のα-D-グルコピラノシド活性。96ウェルマイクロプレート上に固定されるためのC末端TwinStrepタグを有する細胞外可溶性ソルチリンドメイン。次に、ウェルを、様々な濃度のNT-GAA(N末端NTタグを有するGAAタグ付きタンパク質)、GAA-NT(C末端NTタグを有するGAAタグ付きタンパク質)又はGAA(NTタグを有さないGAA)とともにインキュベートした。蛍光4-メチルウンベリフェリル-α-D-グルコピラノシド基質を用いて、ソルチリン結合タグ付きタンパク質のα-D-グルコピラノシド活性を測定した。図2は、ソルチリン結合NT-GAA及びGAA-NTのα-D-グルコピラノシド活性を示す。NTタグを有さないGAAとともにインキュベートされたウェルは、α-D-グルコピラノシド活性を有さず、これは、タンパク質がソルチリンに結合しなかったことを示している。
図3A-3B】細胞内に輸送されたGAAタグ付きタンパク質のα-D-グルコピラノシド活性。GAAタグ付きタンパク質の取り込みを、細胞内に輸送されたGAAタグ付きタンパク質のα-D-グルコピラノシド活性を決定することによって、HAP1 KO細胞において試験した。NT-GAA(N末端NTタグを有するGAAタグ付きタンパク質)、GAA-NT(C末端NTタグを有するGAAタグ付きタンパク質)又はGAA(NTタグを有さないGAA)についての取り込みアッセイを、10mMのマンノース-6-リン酸(M6P)の存在下及び非存在下で行った。取り込みアッセイの後、細胞を溶解させ、α-D-グルコピラノシド活性を、pH4.8で蛍光基質4-メチルウンベリフェリル-α-D-グルコピラノシドを用いて測定した。図3Aは、NT-GAA、GAA-NT及びGAAについてのα-D-グルコピラノシド活性を示す。同様に、図3Bにおけるウエスタンブロット分析は、M6Pの存在下における細胞内に輸送されたNT-GAA、GAA-NT及びGAAを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明のいくつかの代表的な実施形態を記載する前に、本発明が、次の説明で示される構築又は工程段階の詳細に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方式で実施するか又は行うことが可能である。
【0023】
本発明の様々な実施形態は、細胞に治療用分子を送達するための方法に関する。1つ以上の実施形態では、本方法は、遺伝性障害のための治療用タンパク質を送達するのに使用される。
【0024】
定義
「バッテン関連タンパク質」という用語は、神経セロイドリポフスチン症タンパク質などの、バッテン病に関与するタンパク質を指す。バッテン病は、CLN1、CLN2、CLN3、CLN4、CLN5、CLN6、CLN7、CLN8、CLN10、CLN11、CLN12、CLN13及びCLN14を含む。非限定の例示的な神経セロイドリポフスチン症タンパク質及び対応するバッテン病が、表1に示される。
【0025】
【表1】
【0026】
1つ以上の実施形態では、神経セロイドリポフスチン症タンパク質は、可溶性タンパク質を含む。このような可溶性の例としては、神経セロイドリポフスチン症タンパク質1(パルミトイルタンパク質チオエステラーゼ1(PPT1)などのパルミトイルタンパク質チオエステラーゼ)、神経セロイドリポフスチン症タンパク質2(トリペプチジルペプチダーゼ1(TPP1))、神経セロイドリポフスチン症タンパク質10(カテプシンD(CTSD))、神経セロイドリポフスチン症タンパク質11(プログラニュリン(PGRN))、及び神経セロイドリポフスチン症タンパク質13(カテプシンF(CTSF)が挙げられる。
【0027】
「タグ付きタンパク質」という用語は、タグ及び治療用タンパク質を含むタンパク質を指す。1つ以上の実施形態では、タグは、ニューロテンシンペプチド及び/又はソルチリンプロペプチドを含む。1つ以上の実施形態では、タグ付きタンパク質は、それに連結された、少なくとも1つのさらなるタンパク質、ペプチド、又はポリペプチドを含み得る。さらなるタンパク質、ペプチド、又はポリペプチドは、分泌シグナルペプチド、リンカーペプチド、及び親和性タグの1つ以上を含み得る。
【0028】
「遺伝子治療送達系」という用語は、標的細胞において関心対象の遺伝子が発現されるか又は過剰発現されるように、標的細胞に関心対象の外因性遺伝子を送達するために使用され得る何らかの系を指す。1つ以上の実施形態では、標的細胞は、インビボ患者細胞である。1つ以上の実施形態では、標的細胞は、エクスビボ細胞であり、次に細胞が患者に投与される。
【0029】
「宿主細胞」という用語は、細胞による物質の産生、例えば遺伝子の細胞による発現、DNA又はRNA配列、タンパク質又は酵素のために、何れかの方法で、選択され、修飾され、形質転換され、増殖させられ、又は使用され、又は操作される、何れかの臓器の何れかの細胞を意味する。
【0030】
「ミニ遺伝子」という用語は、導入遺伝子、プロモーター/エンハンサー及び5’及び3’AAV ITRの組み合わせを指し、本明細書中で言及を容易にするために「ミニ遺伝子」と呼ぶ。この発明の教示とともに提供される場合、このようなミニ遺伝子の設計は、従来の技術を用いることにより作成され得る。
【0031】
野生型ニューロテンシンペプチド(NT)は、13個のアミノ酸からなり、GeneBank受託番号P30990におけるものである。1つ以上の実施形態では、野生型ニューロテンシンペプチドは、1つ以上の欠失、付加及び/又は置換を有し得る。非限定の例示的なニューロテンシンペプチド及びそれをコードするポリヌクレオチド配列が、以下の表2に示される。
【0032】
【表2】
【0033】
非限定の例示的な突然変異体配列としては、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12又は配列番号13が挙げられる。1つ以上の実施形態では、NTは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12又は配列番号13に対する少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、又は少なくとも90%の配列同一性を有し得る。当業者は、アミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列を容易に生じさせ得る。また、ポリヌクレオチド配列は、市販の製品を使用して、標的細胞において発現のためにコドン最適化され得る。1つ以上の実施形態では、NTをコードするポリヌクレオチド配列は、得られるポリペプチドが配列番号1ではないように、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、又は配列番号26に対する少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも97%の配列同一性を有し得る。1つ以上の実施形態では、ニューロテンシンペプチドのヌクレオチド配列は、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、又は配列番号26を含み得る。
【0034】
「操作可能に連結される」という用語は、プロモーター、エンハンサー、転写及び翻訳停止部位、並びに他のシグナル配列などの、ヌクレオチドの調節及びエフェクター配列とのポリヌクレオチド/遺伝子の機能的な関係を指す。例えば、プロモーターへの核酸の操作的連結は、DNAの転写が、プロモーターを特異的に認識し、それに結合するRNAポリメラーゼによってプロモーターから開始されるような、ポリヌクレオチドとプロモーターとの間の物理的及び機能的な関係を指す。プロモーターは、ポリヌクレオチドからのRNAの転写を指令する。
【0035】
「患者」という用語は、診断、処置又は治療が所望される何れかの哺乳動物対象、特にヒトを指す。処置の目的のための哺乳動物対象は、ヒト、家畜及び研究用動物、動物園の動物、スポーツ用の動物又はペット動物、例えばイヌ、ウマ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、サルなどを含め、哺乳動物として分類される何れかの動物を指す。哺乳動物対象は、障害がある、胎児、新生児、小児、若年者又は成体であり得る。1つ以上の実施形態では、哺乳動物対象はヒトである。
【0036】
「薬学的に許容可能な」という用語は、生理学的に許容され、一般的にヒトに投与された時に有害な反応を生じさせない分子実体及び組成物を指す。好ましくは、本明細書中で使用される場合、「薬学的に許容可能な」という用語は、連邦政府又は州政府の規制当局により承認されているか又は米国薬局方若しくは動物及びより具体的にはヒトにおける使用に対する他の一般的に認識される薬局方で挙げられていることを意味する。「担体」という用語は、化合物が一緒に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤又はビヒクルを指す。このような医薬担体は、水及び油などの滅菌性の液体であり得る。水又は水溶液塩類溶液及び水性デキストロース及びグリセロール溶液が、好ましくは、特に注射可能な溶液に対して担体として使用される。適切な医薬担体は、E.W.Martin,18th Editionによる「Remington’s Pharmaceutical Sciences」又は他の版において記載される。
【0037】
「プロモーター」という用語は、酵素RNAポリメラーゼが結合し、DNA配列のRNAへの転写を開始させるDNA配列を指す。プロモーターは、細胞における核酸配列の発現を、付与する、活性化する又は増強することが可能である、合成又は天然合成であり得る。プロモーターは、発現をさらに増強するため、及び/又はその空間的な発現及び/又は時間的な発現を変化させるために、1つ以上の特異的な転写調節配列を含み得る。プロモーターは、遠位エンハンサー又はリプレッサーエレメントも含み得、これは、転写の開始部位から数千塩基対もの距離に位置し得る。プロモーターは、ウイルス、細菌、真菌、植物、昆虫及び動物を含む起源由来であり得る。プロモーターは、発現が起こる細胞、組織又は臓器に関して、又は発現が起こる発生段階に関して、又は生理的ストレス、病原体、金属イオン若しくは誘導剤などの外部刺激に反応して、構成的又は分化的に遺伝子構成成分の発現を調節し得る。プロモーターの代表例としては、限定はされないが、CBA、P546、マウス乳癌ウイルス(MMTV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)長い末端反復(LTR)プロモーター、MoMuLVプロモーター、鳥類白血病ウイルスプロモーター、エプスタイン・バーウイルス最初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、アクチンプロモーター、ミオシンプロモーター、伸長因子-1aプロモーター、ヘモグロビンプロモーター、及びクレアチンキナーゼプロモーター、SV40後期プロモーター、SV40初期プロモーター、RSV-LTRプロモーター、CMV IEプロモーター、SV40初期プロモーター又はSV40後期プロモーター及びCMV IEプロモーターが挙げられる。
【0038】
「タンパク質補充療法」という用語は、このようなタンパク質において欠失がある個体への外因性の精製タンパク質の導入を指すものとする。投与されるタンパク質は、天然起源から又は組み換え発現により得られ得る。この用語は、そうでなければ、精製タンパク質の投与を必要とするか又はそこから恩恵を受ける個体における精製タンパク質の導入も指す。少なくとも1つの実施形態では、このような個体は、タンパク質欠失が起こっている。「タンパク質欠乏症」という用語は、本明細書中で使用される場合、機能的欠損及び食事性欠乏症の1つ以上を指す。1つ以上の実施形態では、タンパク質欠乏症は、機能的欠損である。導入されるタンパク質は、宿主細胞内で、インビトロで産生された精製組み換えタンパク質、又は例えば、胎盤若しくは畜乳などの単離組織若しくは体液から、又は植物から精製されたタンパク質であり得る。
【0039】
「血清型」という用語は、他のAAV血清型とは血清学的に区別されるカプシドを有するAAVに関する特徴である。血清型の違いは、他のAAVと比較した場合の、抗体とAAVとの間の交差反応性の欠如に基づいて決定される。
【0040】
交差反応性は一般的には、中和抗体アッセイで測定される。このアッセイについて、ポリクローナル血清は、アデノ随伴ウイルスを使用してウサギ又は他の適切な動物モデルにおいて特異的なAAVに対して作製される。このアッセイにおいて、次に、特異的なAAVに対して作製される血清は、同じ(同種)又は異種AAVの何れかを中和するその能力において試験される。50%中和に到達する希釈物は、中和抗体タイターとみなされる。2つのAAVに対して同種タイターにより除される異種タイターの商が逆数で16より低い場合、これらの2つのベクターは、同じ血清型とみなされる。逆に、同種タイターに対して異種タイターの比率が逆数で16以上である場合、2つのAAVは異なる血清型とみなされる。
【0041】
「ソルチリン」という用語は、Vps10p細胞外ドメインを有する1回膜貫通タンパクである膜タンパク質を指す。ソルチリンは、ニューロテンシン受容体3(NTSR3)とも呼ばれる。残基78~755は、細胞外ドメインを形成する。ソルチリンは、特定の組織内で高レベルの発現を有し、その中でも、腎臓、心臓、脳、及び生殖組織が、最も高い。細胞レベルで、ソルチリンは、主に、ゴルジ体膜、核膜、リソソーム膜、細胞原形質膜、小胞体膜及びエンドソーム膜に存在する。ソルチリンは、リソソーム中のCI-MPR/IGF2Rと共局在することが知られており、例えば、アルファガラクトシダーゼ(GLA)、酸性スフィンゴミエリナーゼ(ASM)などのリソソームタンパク質のマンノース-6-リン酸非依存性の取り込みを媒介する。いくつかの実施形態では、ニューロテンシンは、ソルチリンと相互作用するように操作される。いくつかの実施形態では、NT(PBD:3f6k、4po7)インシリコモデリングと複合したソルチリンの公知の結晶構造に基づいて、12のNT変異体、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12又は配列番号13が、NTに対するソルチリン結合親和性を改善することが予測された。
【0042】
非限定の例示的な治療用タンパク質は、アルファ-グルコシダーゼ(GAA)などのリソソームタンパク質を含む。非限定の例示的な治療用タンパク質は、PPT1(CLN1)、TPP1(CLN2)、CTSD(CLN10)、PGRN(CLN11)、CTSF(CLN13)、アルファ-ガラクトシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-ヘキソサミニダーゼ、ガラクトシルセラミダーゼ、アリールスルファターゼ、β-グルコセレブロシダーゼ、グルコセレブロシダーゼ、リソソーム酸性リパーゼ、リソソーム酵素酸性スフィンゴミエリナーゼ、ホルミルグリシン生成酵素、イズロニダーゼ、アセチル-CoA:アルファ-グルコサミニドN-アセチルトランスフェラーゼ、グリコサミノグリカンアルファ-L-イズロノヒドロラーゼ、ヘパランN-スルファターゼ、N-アセチル-α-D-グルコサミニダーゼ(NAGLU)、イズロン酸-2-スルファターゼ、ガラクトサミン-6-硫酸スルファターゼ、N-アセチルガラクトサミン-6-スルファターゼ、グリコサミノグリカンN-アセチルガラクトサミン4-スルファターゼ、β-グルクロニダーゼ、ヒアルロニダーゼ、アルファ-N-アセチルノイラミニダーゼ(シアリダーゼ)、ガングリオシドシアリダーゼ、ホスホトランスフェラーゼ、アルファ-グルコシダーゼ、アルファ-D-マンノシダーゼ、ベータ-D-マンノシダーゼ、アスパルチルグルコサミニダーゼ、アルファ-L-フコシダーゼ、又は酵素的に活性であるそれらの断片を含む。
【0043】
「処置すること(treating)」という用語は、統計学的に有意に、又は臨床的に有意に、障害の少なくとも1つの態様又はマーカーを阻害する、減弱させる、軽減する、予防する又は変化させることを含む治療効果を得る目的のために、薬剤を投与するか又は手順を遂行することを指す。「処置する」という用語は、根底にある状態に対する治癒を述べるか又は意味するものではなく、むしろ、障害に対する素因を持ち得るがそれを有するものとしてまだ診断されていない患者において起こる障害又は障害の症状を予防すること(例えば、一次障害と関連し得るか又はそれにより引き起こされ得る障害を含み;(b)障害を阻害すること、即ちその発生を抑止すること;(c)障害を緩和すること、即ち障害の退縮を引き起こすこと;及び(d)障害の少なくとも1つの症状を改善することを含む。処置することは、障害の処置又は寛解又は予防における成功の何れかの徴候を指し得、これには、寛解;軽快;症状の減弱又は障害状態を患者にとってより許容可能にすること;変性若しくは減退の速度を緩徐化すること;又は変性の最終点をより衰弱が進んでいない状態にすることなどの、何れかの客観的又は自覚的なパラメーターが含まれる。症状の処置又は寛解は、1つ以上の客観的又は自覚的パラメーターに基づき;これには、医師による検査の結果が含まれる。したがって、「処置すること(treating)」という用語は、障害と関連する症状又は状態の発症を、予防又は緩徐化するための、それを緩和するか又は抑止するか又は阻害するための、本発明の化合物又は薬剤の投与を含む。
【0044】
「ベクター」という用語は、治療用遺伝子を細胞に送達する遺伝子治療送達ビヒクル又は担体を指す。ベクターは、遺伝子治療での使用に適切な何れかのベクター、例えば患者の標的細胞への(ポリペプチド又はそれらの変異体をコードする)核酸ポリマーの治療用送達に適切なあらゆるベクターである。いくつかの実施形態では、遺伝子治療ベクターは、タグ付きタンパク質が発現され、それがその細胞から分泌される細胞に、タグ付きタンパク質をコードする核酸を送達する。本ベクターは、あらゆるタイプであり得、例えばこれは、プラスミドベクター又はミニサークルDNAであり得る。一般的には、ベクターはウイルスベクターである。ウイルスベクターは例えば、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レトロウイルス、レンチウイルス、単純ヘルペスウイルス又はアデノウイルスに由来し得る。ウイルスベクターは、発現を上昇させ、及び/又はベクターを安定化させるためのさらなる天然又は合成エレメント、例えば、プロモーター(例えば、ハイブリッドCBAプロモーター(CBh)及びヒトシナプシン1プロモーター(hSyn1))、ポリアデニル化シグナル(例えばウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル(bGHポリA))、安定化エレメント(例えばマーモット肝炎ウイルス(WHP)転写後調節エレメント(WPRE))及び/又はSV40イントロンなども含み得る。1つ以上の実施形態では、ベクターは、ゲノムにおいて所望の部位で相同組み換えを促進する領域が隣接するポリヌクレオチド配列を含み得、従って所望のタンパク質の発現をもたらす(Koller and Smithies,1989,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86:8932-8935;Zijlstra et al.,1989,Nature 342:435-438;Zarling et al.に対する米国特許第6,244,113号明細書;及びPati et al.に対する米国特許第6,200,812号明細書を参照。)。
【0045】
AAVベクター
導入遺伝子を送達するためのAAVベクター
様々な実施形態では、遺伝子治療組成物及び/又は方法は、AAVベクターを利用する。或いは、本明細書中で記載のような他のウイルスベクター又は遺伝子治療送達系が使用され得る。
【0046】
多くの系統群のうち1つからのAAVベクターは、形質導入のためにインビボで導入遺伝子を送達するために利用され得、その全体において本明細書中に組み込まれる米国特許第7,198,951号明細書において多くの例が詳細に提供される。これらのAAVベクターのゲノム及び本明細書中に記載の製造工程及び当技術分野で公知のものを使用して、本明細書中で提供される導入遺伝子の1つ以上の送達のためのベクターとして組み換えAAV(rAAV)が作製され得る。
【0047】
I.系統群
系統群は、AAV vp1アミノ酸配列のアライメントに基づき、(少なくとも1000のレプリケートのうち)少なくとも75%のブートストラップ値による近隣結合アルゴリズム及び0.05を超えないポアソン補正距離測定を使用して判断した場合に互いに系統学的に関連するAAVの群である。
【0048】
近隣結合アルゴリズムは、文献において広範に記載されている。例えば、M.Nei and S.Kumar,Molecular Evolution and Phylogenetics(Oxford University Press,New York(2000))を参照。このアルゴリズムを実行するために使用され得るコンピュータプログラムが利用可能である。例えば、MEGA v2.1プログラムは、改変されたNei-Gojobori法を実行する。これらの技術及びコンピュータプログラム及びAAV vp1カプシドタンパク質の配列を使用して、当業者は、選択されたAAVが本明細書中で同定された系統群の1つに含有されるか、別の系統群に含有されるか又はこれらの系統群の外側にあるか否かを容易に判断し得る。
【0049】
本明細書中で定められる系統群が主に天然のAAV vp1カプシドに基づく一方で、系統群は、天然のAAVに限定されない。系統群は、AAV vp1アミノ酸配列のアライメントに基づき、(少なくとも1000個の複製物のうち)少なくとも75%での近隣結合アルゴリズム及び0.05を超えないポアソン補正距離測定を使用して判断した場合に系統学的に関連する、組み換え、修飾又は改変型の、キメラ、ハイブリッド、合成、人工的AAVなどを含むが限定されない、非天然のAAVを包含し得る。
【0050】
本明細書中に記載の系統群は、系統群A(AAV1及びAAV6により代表される)、系統群B(AAV2により代表される)及び系統群C(AAV2-AAV3ハイブリッドにより代表される)、系統群D(AAV7により代表される)、系統群E(AAV8により代表される)及び系統群F(ヒトAAV9により代表される)を含む。
【0051】
系統群B(AAV2)及び系統群C(AAV2-AAV3ハイブリッド)は、ヒトにおいて見出される最も多いものである(AAV2の場合は12名の個体からの22の分離株及び系統群Cの場合の8名の個体からの17の分離株)。
【0052】
系統群A(AAV1及びAAV6により代表される)
AAVベクターは、AAV1及びAAV6を含む、系統群Aのものを含み得る。例えば、国際公開第00/28061号パンフレット、2000年5月18日;Rutledge et al,J Virol,72(1):309-319(1998年1月)を参照。さらに、この系統群は、米国特許第7,198,951号明細書に記載のAAVを含有する。
【0053】
系統群B(AAV2系統群により代表される)
他の実施形態では、AAVベクターは、AAV2及び米国特許第7,198,951号明細書に記載のものを含む系統群Bのものを含む。1つ以上の実施形態では、この系統群のメンバーの1つ以上は、AAV2カプシドのvp1、vp2又はvp3の全長にわたり少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性又は少なくとも97%の同一性のアミノ酸同一性を有するカプシドを有する。
【0054】
系統群C(AAV2-AAV3ハイブリッド系統群により代表される)
別の実施形態では、AAVベクターは、系統群Cのものを含み、以前に公開されたAAV2及びAAV3のハイブリッドであるAAV及び米国特許第7,198,951号明細書に記載のものを含有することを特徴とする。一実施形態では、この系統群のメンバーの1つ以上は、hu.4及び/又はhu.2カプシドのvp1、vp2又はvp3の全長にわたり少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性又は少なくとも97%の同一性のアミノ酸同一性を有するカプシドを有する。
【0055】
系統群D(AAV7系統群)
別の実施形態では、AAVベクターは、系統群Dのものを含み、これは、米国特許第7,198,951号明細書に記載のAAV7を含む。1つ以上の実施形態では、この系統群のメンバーの1つ以上は、AAV7カプシドのvp1、vp2又はvp3の全長にわたり少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性又は少なくとも97%の同一性のアミノ酸同一性を有するカプシドを有する。
【0056】
系統群E(AAV8系統群により代表される)
1つ以上の態様では、AAVベクターは、AAV8及び米国特許第書7,198,951号明細書に記載のものを含む、系統群Eのものを含む。1つ以上の実施形態では、この系統群のメンバーの1つ以上は、AAV8カプシドのvp1、vp2又はvp3の全長にわたり少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性又は少なくとも97%の同一性のアミノ酸同一性を有するカプシドを有する。別の実施形態では、本発明は、米国特許出願公開第2003/0138772A1号明細書(2003年7月24日)に記載のような系統群Eの新規なAAVベクターを提供する。
【0057】
系統群F(AAV9系統群により代表される)
本発明の別の実施形態では、AAVベクターは、AAV9及び米国特許第7,198,951号明細書に記載のものを含む、系統群Fを含む。1つ以上の実施形態では、この系統群のメンバーの1つ以上は、AAV9カプシドのvp1、vp2又はvp3の全長にわたり少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性又は少なくとも97%の同一性のアミノ酸同一性を有するカプシドを有する。
【0058】
AAV系統群は、ウイルスベクターの作製のための及び標的化分子の作製のための関連AAVの既製のコレクションの提供を含め、様々な目的のために有用である。これらの系統群はまた、当業者にとって容易に明らかになる様々な目的のためのツールとしても使用され得る。
【0059】
導入遺伝子
導入遺伝子は、導入遺伝子に隣接するベクター配列にとって異種である核酸配列であり、この核酸配列は、関心対象の、ポリペプチド、タンパク質又は他の生成物をコードする。核酸コード配列は、宿主細胞での導入遺伝子転写、翻訳及び/又は発現を可能にするか又は調節するように、調節性の構成成分に操作可能に連結され得る。
【0060】
導入遺伝子は、正常な遺伝子が正常なレベル未満で発現される欠失又は完全に機能的な遺伝子産物が発現されない欠失を含み得る遺伝子欠失を補正又は改良するために使用され得る。導入遺伝子は、遺伝子発現が毒性又は有害である特定の細胞における遺伝子発現を抑制するのに(例えば、後根神経節における遺伝子発現を抑制するためにmiRを用いて)使用され得る。或いは、導入遺伝子は、細胞タイプにおいて又は宿主においてネイティブに発現されない生成物を細胞に提供し得る。好ましいタイプの導入遺伝子配列は、宿主細胞において発現される治療用タンパク質又はポリペプチドをコードする。本発明はさらに、複数の導入遺伝子を使用することを含む。ある種の状況において、タンパク質の各サブユニットをコードするか又は異なるペプチド若しくはタンパク質をコードするために、異なる導入遺伝子が使用され得る。これは、タンパク質サブユニットをコードするDNAのサイズが大きい場合に望ましい。細胞がマルチサブユニットタンパク質を産生するために、異なるサブユニットのそれぞれを含有する組み換えウイルスを細胞にトランスフェクトする。或いは、タンパク質の異なるサブユニットは、同じ導入遺伝子によりコードされ得る。この場合、単一の導入遺伝子はサブユニットのそれぞれをコードするDNAを含み、各サブユニットに対するDNAは、内部リボザイム進入部位(IRES)により分離される。これは、サブユニットのそれぞれをコードするDNAのサイズ、例えばサブユニットをコードするDNAの全体のサイズ、が小さく、IRESが5キロベース未満である場合に望ましい。IRESに対する代替物として、DNAは、2Aペプチドをコードする配列により分離され得、これは、翻訳後事象において自己切断する。例えば、M.L.Donnelly,et al,J.Gen.Virol.,78(Pt 1):13-21(January 1997);Furler,S.,et al,Gene Ther.,8(11):864-873(June 2001);Klump H.,et al.,Gene Ther.,8(10):811-817(May 2001)を参照。この2Aペプチドは、IRESよりも顕著に小さく、それにより、スペースが限定要素である場合、使用に非常に適するようになる。より頻繁に、導入遺伝子が大きい場合、複数のサブユニットからなるか、又は2つの導入遺伝子が同時送達される。いくつかの実施形態では、所望の導入遺伝子又はサブユニットを保有するrAAVは、単一のベクターゲノムを形成するためにインビボでそれらがコンカテマー化することを可能にするために同時投与され得る。このような実施形態では、第1のAAVは、単一の導入遺伝子を発現する発現カセットを保有し得、第2のAAVは、宿主細胞での同時発現のために異なる導入遺伝子を発現する発現カセットを保有し得る。しかし、選択される導入遺伝子は、何らかの生物学的に活性のある産物又は他の生成物、例えば試験のために所望される生成物をコードし得る。
【0061】
治療用導入遺伝子
いくつかの実施形態では、酵素などの遺伝子産物は、酵素補充療法において有用であり得る。酵素補充療法は、酵素の活性欠損に起因する様々な病態において有用である。いくつかの実施形態では、適切な遺伝子は、β-グルクロニダーゼをコードするポリヌクレオチド配列を含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、遺伝子産物は、非天然ポリペプチド、例えば、挿入、欠失又はアミノ酸置換を含有する非天然のアミノ酸配列を有するキメラ又はハイブリッドポリペプチドを含む。
【0063】
NT及び変異体
野生型NTのアミノ酸配列は、配列番号1において示される。本発明の様々な実施形態は、新規なNT変異体を提供する。NT変異体のアミノ酸配列は、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12又は配列番号13において示される。1つ以上の実施形態では、NTアミノ酸配列は、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12又は配列番号13に対する少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の配列同一性を含む。1つ以上の実施形態では、NTアミノ酸配列は、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12又は配列番号13の1つを含み得る。
【0064】
1つ以上の実施形態では、ポリヌクレオチドは、得られるポリペプチドが、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12又は配列番号13に対する少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の配列同一性を有するようなヌクレオチド配列を含む。1つ以上の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12又は配列番号13をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0065】
同様に、1つ以上の実施形態では、NTをコードするニューロテンシンポリヌクレオチドは、得られるポリペプチドが配列番号1ではないように、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、又は配列番号26に対する少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも97%のヌクレオチド配列同一性を含む。1つ以上の実施形態では、NTをコードするポリヌクレオチドは、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、又は配列番号26を含む。
【0066】
ソルチリンは、NTのための2つの可能な相互作用部位、NTのアミノ末端との1つの相互作用部位、及びカルボキシ末端との1つの相互作用部位を有する。したがって、NT及び治療用タンパク質を含むタグ付きタンパク質は、適切なプラスミドにクローニングされ得る。いくつかの実施形態では、発現される場合、治療用タンパク質は、NTのアミノ又はカルボキシ末端の何れかにある。1つ以上の実施形態では、NTは、配列番号1に対して少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%類似しているアミノ酸配列を含み得る。1つ以上の実施形態では、NTは、配列番号1に対する少なくとも5つ、少なくとも4つ、少なくとも3つ、少なくとも2つ又は少なくとも1つの突然変異、付加又は欠失を有するアミノ酸を含み得る。1つ以上の実施形態では、NTアミノ酸配列は、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12又は配列番号13に対する少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の配列類似性を含む。1つ以上の実施形態では、ポリヌクレオチドは、得られるポリペプチドが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12又は配列番号13に対する少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の配列類似性を有するようなヌクレオチド配列を含む。1つ以上の実施形態では、NTをコードするポリヌクレオチド配列は、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、又は配列番号26に対する少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は100%の配列類似性を含む。
【0067】
ソルチリンプロペプチド
ソルチリンは、ソルチリンプロペプチドを用いて合成される。ソルチリンプロペプチドは、ソルチリンの成熟中に切断された状態になる。ソルチリンプロペプチドは、成熟ソルチリンに対する高い結合親和性を有する。したがって、1つ以上の実施形態では、ソルチリンプロペプチド及び治療用タンパク質を含むタグ付きタンパク質は、適切なプラスミドにクローニングされ得る。いくつかの実施形態では、発現される場合、治療用タンパク質は、ソルチリンプロペプチドのアミノ及び/又はカルボキシ末端にある。
【0068】
1つ以上の実施形態では、ソルチリンプロペプチドは、配列番号48に対して少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%類似しているアミノ酸配列を含む。1つ以上の実施形態では、NTは、配列番号48に対する少なくとも5つ、少なくとも4つ、少なくとも3つ、少なくとも2つ又は少なくとも1つの突然変異、付加又は欠失を有するアミノ酸配列を含み得る。1つ以上の実施形態では、ポリヌクレオチドは、得られるポリペプチドが、配列番号48に対する少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の配列類似性を有するようなヌクレオチド配列を含む。1つ以上の実施形態では、ソルチリンプロペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は、配列番号49に対する少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は100%の配列類似性を含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、ソルチリンに対するソルチリンプロペプチドの結合親和性は、ソルチリンに対するNTの結合親和性より高いか又は等しい。
【0070】
タグ付きタンパク質
本発明の一態様は、治療用タンパク質及びタグを含むタグ付きタンパク質に関する。いくつかの実施形態では、タグは、アミノ及び/又はカルボキシ末端に存在し得る。1つ以上の実施形態では、タグは、ニューロテンシンペプチド及び/又はソルチリンプロペプチドを含む。いくつかの実施形態では、タグは、アミノ末端上のソルチリンプロペプチド及びカルボキシ末端上のニューロテンシンを含む。いくつかの実施形態では、タグは、アミノ末端上のニューロテンシン及びカルボキシ末端上のソルチリンプロペプチドを含む。1つ以上の実施形態では、タグ付きタンパク質は、ニューロテンシン及び/又はソルチリンプロペプチドを含む。いくつかの実施形態では、タグ付きタンパク質は、アミノ末端上のニューロテンシン及びカルボキシ末端上のソルチリンプロペプチドを含む。いくつかの実施形態では、タグ付きタンパク質は、アミノ末端上のソルチリンプロペプチド及びカルボキシ末端上のニューロテンシンを含む。
【0071】
1つ以上の実施形態では、治療用タンパク質は、リソソームタンパク質を含む。1つ以上の実施形態では、治療用タンパク質は、アルファ-ガラクトシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-ヘキソサミニダーゼ、ガラクトシルセラミダーゼ、アリールスルファターゼ、β-グルコセレブロシダーゼ、グルコセレブロシダーゼ、リソソーム酸性リパーゼ、リソソーム酵素酸性スフィンゴミエリナーゼ、ホルミルグリシン生成酵素、イズロニダーゼ、アセチル-CoA:アルファ-グルコサミニドN-アセチルトランスフェラーゼ、グリコサミノグリカンアルファ-L-イズロノヒドロラーゼ、ヘパランN-スルファターゼ、N-アセチル-α-D-グルコサミニダーゼ(NAGLU)、イズロン酸-2-スルファターゼ、ガラクトサミン-6-硫酸スルファターゼ、N-アセチルガラクトサミン-6-スルファターゼ、グリコサミノグリカンN-アセチルガラクトサミン4-スルファターゼ、β-グルクロニダーゼ、ヒアルロニダーゼ、アルファ-N-アセチルノイラミニダーゼ(シアリダーゼ)、ガングリオシドシアリダーゼ、ホスホトランスフェラーゼ、アルファ-グルコシダーゼ、アルファ-D-マンノシダーゼ、ベータ-D-マンノシダーゼ、アスパルチルグルコサミニダーゼ、アルファ-L-フコシダーゼ、及び他のバッテン関連タンパク質、又は酵素的に活性であるそれらの断片を含む。1つ以上の実施形態では、バッテン関連タンパク質は、PPT1(CLN1)、TPP1(CLN2)、CTSD(CLN10)、PGRN(CLN11)、又はCTSF(CLN13)を含む。
【0072】
1つ以上の実施形態では、治療用タンパク質は、非天然ポリペプチド、例えば、挿入、欠失又はアミノ酸置換を含有する非天然のアミノ酸配列を有するキメラ又はハイブリッドポリペプチドを含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、タグ付きタンパク質は、本明細書中で提供される他の機能的ドメイン及び配列の1つ以上を含む、1つ以上の機能的ドメイン又は配列をコードする1つ以上のさらなるアミノ酸配列を含む。例示的な機能的ドメイン又は配列としては、限定はされないが、親和性タグ、リンカーペプチド、プロテアーゼ切断部位、分泌シグナルペプチド、細胞標的化ドメイン、レポーター、酵素、又はそれらの組み合わせが挙げられる。1つ以上の実施形態では、タグ付きタンパク質は、親和性タグを含み、ここで、親和性タグは、NTの末端が空いたままであるように、治療用タンパク質に連結される。いくつかの実施形態では、親和性タグは、mCherry、TwinStrep、ポリヒスチジン、HA、FLAG、GST、及びGFPの1つ以上であり得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、タンパク質分解性の切断部位は、タグ付きタンパク質の合成又は精製と組み合わせて、親和性タグを含む、小胞標的化タンパク質及び/又は他のペプチド機能ドメインからの関心対象のタンパク質の放出を促進するために、タグ付きタンパク質になるように改変され得る。代表的なプロテアーゼ切断部位としては、トロンビン、フューリン、第Xa因子、メタロプロテアーゼ、エンテロキナーゼ及びカテプシンに感受性がある切断部位が挙げられるが限定されない。
【0075】
細胞標的化ドメインは、細胞タイプ特異的な又は細胞分化特異的な標的化を付与するアミノ酸配列を含み得る。
【0076】
本発明のタグ付きタンパク質における機能ドメインは、互いに関連する各ペプチド部分の独立した折り畳みを促進し、タグ付きタンパク質における個々のペプチド部分が互いに妨害しないことを確実にするために、スペーサー又はリンカーによって互いから分離され得る。スペーサーは、何れかのアミノ酸又はその混合物を含み得る。好ましくは、選択されるスペーサーは、タンパク質の柔軟性を向上させ、拡大された立体構造の採用を促進する。好ましいペプチドスペーサーは、アミノ酸プロリン、リジン、グリシン、アラニン、セリン及びそれらの組み合わせを含む。一実施形態では、リンカーは、グリシンリッチリンカーである。
【0077】
リンカー又はスペーサー配列は、4~15アミノ酸長を含む。リンカーにおける組み込みに適切なアミノ酸は、アラニン、アルギニン、セリン又はグリシンである。いくつかの実施形態では、リンカー配列は、リソソーム切断配列を含む。いくつかの実施形態では、リソソーム切断配列は、配列番号27によるアミノ酸を含む。1つ以上の実施形態では、タグ付きタンパク質は、親和性タグと治療用タンパク質との間にリンカーペプチドを含む。1つ以上の実施形態では、タグ付きタンパク質は、タグ(例えば、ニューロテンシンペプチド又はソルチリンプロペプチド)と治療用タンパク質との間にリンカーペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーペプチドは、反復グリシン残基、反復グリシン-セリン残基、又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、リンカーペプチドは、5~20個のアミノ酸、5~15個のアミノ酸、5~10個のアミノ酸又は8~12個のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、リンカーペプチドは、約5、6、7、8、9、10、11、12又は13個のアミノ酸を含む。本明細書における遺伝子治療及び酵素補充療法コンストラクトに適切なリンカーとしては、限定はされないが、以下の表3に示されるものが挙げられる。
【0078】
【表3】
【0079】
いくつかの実施形態では、遺伝子治療及び/又は酵素補充療法コンストラクトのためのリンカーは、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34又は配列番号35によるアミノ酸配列を含む。
【0080】
1つ以上の実施形態では、タグ付きタンパク質は、分泌シグナルペプチドを含み得る。シグナルペプチドは、限定はされないが、PPT1、TPP1、GAA、GLA、NAGLU、SGSH又はシグナルペプチドを含有する任意の他のリソソーム酵素を含むリソソームタンパク質に由来し得る。例示的なシグナルペプチドが、以下の表4に列挙される。
【0081】
【表4】
【0082】
いくつかの実施形態では、シグナルペプチド配列は、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46又は配列番号47によるアミノ酸配列を含む。
【0083】
当業者は、アミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列を容易に生じさせ得る。またポリヌクレオチド配列も、市販の製品を使用して、標的細胞において発現のためにコドン最適化され得る。本発明は、タグ付きタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む。タグ付きタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列は、発現制御配列、例えば、遺伝子、分泌シグナルペプチド遺伝子の発現を指示するプロモーターに操作可能に連結され得る。
【0084】
タグ付きタンパク質の発現
1つ以上の実施形態では、タグ付きタンパク質を産生する方法は、宿主細胞に対して遺伝子移入を行い、宿主細胞がタグ付きタンパク質を一過性に発現することを可能にし、タグ付きタンパク質を精製することを含む。1つ以上の実施形態では、タグ付きタンパク質は、宿主細胞において発現される。1つ以上の実施形態では、宿主細胞は、Expi293F細胞、PC12細胞、HAP1細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ヒト胎児腎臓(HEK)細胞、マウス初代筋芽細胞、NIH 3T3細胞、大腸菌(Escherichia coli)細胞、バキュロウイルス発現系(例えば、Sf9細胞、Sf21細胞)、酵母(例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae))又はそれらの変異体の何れか1つを含む。1つ以上の実施形態では、タグ付きタンパク質を発現するために無細胞合成が使用される。
【0085】
1つ以上の実施形態では、適切なベクターを使用して宿主細胞に対して遺伝子移入を行い、このベクターは、ウイルス(アデノウイルス、パルボウイルス(例えば、アデノ随伴ウイルス(AAV))、ワクシニアウイルス、ヘルペスウイルス、バキュロウイルス及びレトロウイルス又はレンチウイルスなど)、バクテリオファージ、コスミド、プラスミド、細菌人工染色体(BAC)、真菌ベクター、ネイキッドDNA、DNA脂質複合体、ネイキッドRNA、RNA脂質複合体又は様々な真核及び原核宿主において発現について記載されており、遺伝子治療のため並びに単純なタンパク質発現のために使用され得る当技術分野で使用される他の組み換えビヒクルを含む。
【0086】
発現及び分泌後、組み換えタンパク質は、標準的技術を用いて周囲の細胞培養培地から回収され、精製され得る。或いは、組み換えタンパク質は、培地ではなく、細胞から直接、単離され、精製され得る。
【0087】
ソルチリンに対するタグ付きタンパク質の結合効率の決定
1つ以上の実施形態では、ソルチリンに対するタグ付きタンパク質の結合は、プルダウンアッセイによって確認され得る。1つ以上の実施形態では、プルダウンアッセイは、市販の共免疫沈降キットを用いて行われる。1つ以上の実施形態では、プルダウンアッセイは、ソルチリンドメイン又は全長ソルチリンタンパク質を用いて行われる。1つ以上の実施形態では、ソルチリンドメインは、全長ソルチリンアミノ酸配列のアミノ酸残基78~755を含む。1つ以上の実施形態では、プルダウンアッセイの方法は、ソルチリンを固定すること、タグ付きタンパク質を固定化ソルチリンとともにインキュベートすること、洗浄して、非結合タンパク質を除去すること、及びソルチリン結合タグ付きタンパク質の割合を定量することを含む。
【0088】
ソルチリン結合タグ付きタンパク質の活性の測定
1つ以上の実施形態では、ソルチリン結合タグ付きタンパク質の機能性が測定される。1つ以上の実施形態では、ソルチリン結合タグ付きタンパク質の活性は、マイクロプレート結合アッセイによって測定され得、アッセイのための工程は、ソルチリンをプレートに固定すること、タグ付きタンパク質を固定化ソルチリンとともにインキュベートすること、ソルチリン結合タグ付きタンパク質の活性を測定することを含む。
【0089】
タグ付きタンパク質のソルチリン媒介性の細胞取り込みの決定
タグ付きタンパク質のソルチリン媒介性の細胞取り込みは、細胞をタグ付きタンパク質とともにインキュベートすること及び細胞内のタグ付きタンパク質を同定することによって決定され得る。1つ以上の実施形態では、本方法は、輸送されたタグ付きタンパク質を定量することを含む。1つ以上の実施形態では、免疫蛍光を用いて、細胞内のタグ付きタンパク質を同定することができる。1つ以上の実施形態では、免疫蛍光を用いて、細胞内のタグ付きタンパク質を定量することができる。
【0090】
ソルチリン媒介性の細胞内に輸送されたタグ付きタンパク質の活性の決定
細胞内のタグ付きタンパク質の活性は、細胞をタグ付きタンパク質とともにインキュベートすること及び細胞内のタグ付きタンパク質の活性を測定することによって決定され得る。1つ以上の実施形態では、細胞内タンパク質活性は、蛍光シグナルを測定してアッセイされ得る。
【0091】
患者へのタグ付きタンパク質の送達
本発明の別の態様は、タグ付きタンパク質及び薬学的に許容可能な担体を含む製剤処方物に関する。
【0092】
本発明の別の態様は、疾患又は障害の処置を必要とする患者に製剤処方物を投与することを含む、疾患又は障害を処置する方法に関する。1つ以上の実施形態では、疾患又は疾患は、リソソーム蓄積症を含み、治療用タンパク質は、リソソーム酵素を含む。いくつかの実施形態では、リソソーム蓄積症は、アスパルチルグルコサミン尿症、バッテン病、シスチン症、ファブリー病、ゴーシェ病I型、ゴーシェ病II型、ゴーシェ病III型、ポンペ病、テイ・サックス病、サンドホフ病、異染性白質ジストロフィー、ムコリピドーシスI型、ムコリピドーシスII型、ムコリピドーシスIII型、ムコリピドーシスIV型、ハーラー病、ハンター病、サンフィリッポ病A型、サンフィリッポ病B型、サンフィリッポ病C型、サンフィリッポ病D型、モルキオ病A型、モルキオ病B型、マロトー・ラミー病、スライ病、ニーマン・ピック病A型、ニーマン・ピック病B型、ニーマン・ピック病C1型、ニーマン・ピック病C2型、シンドラー病I型、及びシンドラー病II型からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、リソソーム蓄積症は、活性化因子欠損症、GM2-ガングリオシドーシス;GM2-ガングリオシドーシス、AB異型;アルファ-マンノシドーシス(2型、中等症型;3型、新生児期、重症型);ベータ-マンノシドーシス;アスパルチルグルコサミン尿症;リソソーム酸性リパーゼ欠損症;シスチン症(遅発性の若年又は思春期腎障害型;小児腎障害型);シャナリン・ドルフマン症候群;ミオパシーを伴う中性脂肪蓄積症;NLSDM;ダノン病;ファブリー病;ファブリー病II型、遅発性;ファーバー病;ファーバー脂肪性肉芽腫症;フコシドーシス;ガラクトシアリドーシス(ノイラミニダーゼ及びベータ-ガラクトシダーゼの複合欠損症);ゴーシェ病;II型ゴーシェ病;III型ゴーシェ病;IIIC型ゴーシェ病;ゴーシェ病、非定型、サポシンC欠損による;GM1-ガングリオシドーシス(遅発乳児型/若年型GM1-ガングリオシドーシス;成人型/慢性GM1-ガングリオシドーシス);グロボイド細胞白質ジストロフィー、クラッベ病(遅発乳児期発症;若年発症;成人発症);クラッベ病、非定型、サポシンA欠損による;異染性白質ジストロフィー(若年型;成人型);部分セレブロシド硫酸欠損症;偽性アリールスルファターゼA欠損症;サポシンB欠損による異染性白質ジストロフィー;ムコ多糖症障害:MPS I、ハーラー症候群;MPS I、ハーラー・シェイ症候群;MPS I、シャイエ症候群;MPS II、ハンター症候群;MPS II、ハンター症候群;サンフィリッポ症候群A型/MPS IIIA;サンフィリッポ症候群B型/MPS IIIB;サンフィリッポ症候群C型/MPS IIIC;サンフィリッポ症候群D型/MPS IIID;モルキオ症候群、A型/MPS IVA;モルキオ症候群、B型/MPS IVB;MPS IXヒアルロニダーゼ欠損症;MPS VIマロトー・ラミー症候群;MPS VIIスライ症候群;ムコリピドーシスI、シアリドーシスII型;I細胞病、ルロイ病(Leroy disease)、ムコリピドーシスII;偽性ハーラーポリジストロフィー/ムコリピドーシスIII型;ムコリピドーシスIIIC/ML III GAMMA;ムコリピドーシスIV型;多発性スルファターゼ欠損症;ニーマン・ピック病(B型;C1型/慢性神経細胞障害型;C2型;D型/ノバスコシア型);神経セロイドリポフスチン症:CLN6病-非定型の遅発乳児型、遅発型変異型、早期若年型;バッテン・シュピールマイヤー・フォークト/若年型NCL/CLN3病;フィンランド変異型遅発乳児型CLN5;ヤンスキー・ビールショースキー病/遅発乳児型CLN2/TPP1病;クーフス病/成人発症NCL/CLN4病(B型);北部型てんかん/変異型遅発乳児型CLN8;サンタヴォリ・ハルティア病/乳児型CLN1/PPT病;ポンペ病(糖原病II型);遅発性ポンペ病;濃化異骨症;サンドホフ病/GM2ガングリオシドーシス;サンドホフ病/GM2ガングリオシドーシス;サンドホフ病/GM2ガングリオシドーシス;シンドラー病(III型/中間型、可変);神崎病;サラ病;乳児型遊離シアル酸蓄積症(ISSD);進行性ミオクローヌスてんかん(SMAPME)を伴う脊髄性筋萎縮症;テイ・サックス病/GM2ガングリオシドーシス;若年発症テイ・サックス病;遅発性テイ・サックス病;クリスチャンソン症候群;ロウ眼脳腎症候群;シャルコー・マリー・トゥース病4J型、CMT4J;ユニス・バロン症候群;両側性側頭後頭葉多小脳回(BTOP);X連鎖性高カルシウム尿腎結石症、デント病1型;及びデント病2型からなる群から選択される。1つ以上の実施形態では、疾患又は障害は、ファブリー病を含み、治療用タンパク質は、アルファ-ガラクトシダーゼAを含む。1つ以上の実施形態では、疾患又は障害は、ポンペ病を含み、治療用タンパク質は、アルファ-グルコシダーゼを含む。いくつかの実施形態では、治療用タンパク質は、リソソーム蓄積症と関連し、治療用タンパク質は、GM2-活性化因子タンパク質;α-マンノシダーゼ;MAN2B1;リソソームβ-マンノシダーゼ;グリコシルアスパラギナーゼ;リソソーム酸性リパーゼ;シスチノシン;CTNS;PNPLA2;リソソーム関連膜タンパク質-2;α-ガラクトシダーゼA;GLA;酸性セラミダーゼ;α-L-フコシダーゼ;防御タンパク質/カテプシンA;酸性β-グルコシダーゼ;GBA;PSAP;β-ガラクトシダーゼ-1;GLB1;ガラクトシルセラミドβ-ガラクトシダーゼ;GALC;PSAP;アリールスルファターゼA;ARSA;α-L-イズロニダーゼ;イズロン酸2-スルファターゼ;ヘパランN-スルファターゼ;N-α-アセチルグルコサミニダーゼ;ヘパランアセチルCoA:α-グルコサミニドアセチルトランスフェラーゼ;N-アセチルグルコサミン6-スルファターゼ;ガラクトサミン-6-硫酸スルファターゼ;β-ガラクトシダーゼ;ヒアルロニダーゼ;アリールスルファターゼB;β-グルクロニダーゼ;ノイラミニダーゼ;NEU1;N-アセチルグルコサミン-1-ホスホトランスフェラーゼのガンマサブユニット;ムコリピン-1;スルファターゼ修飾因子-1;酸性スフィンゴミエリナーゼ;SMPD1;NPC1;及びNPC2からなる群から選択される。1つ以上の実施形態では、疾患又は障害は、バッテン病を含み、治療用タンパク質は、PPT1(CLN1)、TPP1(CLN2)、CTSD(CLN10)、PGRN(CLN11)、又はCTSF(CLN13)を含む。
【0093】
1つ以上の実施形態では、製剤処方物は、くも膜下腔内に、静脈内に、大槽内に、脳室内に、眼内に、硝子体内に、網膜に、網膜下に、筋肉内に、皮下に、大脳内に、外科的に又は実質内に投与される。
【0094】
遺伝子治療
本発明の別の態様は、遺伝子治療において適用される。1つ以上のの実施形態では、遺伝子治療組成物は、遺伝子治療送達系及び改変タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む。1つ以上のの実施形態では、遺伝子治療送達系は、ベクター、リポソーム、脂質-核酸ナノ粒子、エクソソーム及び遺伝子編集系の1つ以上を含む。1つ以上のの実施形態では、遺伝子治療送達系は、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)関連タンパク質9(CRISPR-Cas-9)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)又はZNF(ジンクフィンガータンパク質)の1つ以上を含む。1つ以上のの実施形態では、遺伝子治療送達系は、プロモーターを含む。1つ以上のの実施形態では、遺伝子治療送達系は、分泌シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0095】
1つ以上の実施形態では、遺伝子治療送達系は、ウイルスベクターを含む。1つ以上の実施形態では、ウイルスベクターは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、ポックスウイルスベクター又は単純ヘルペスウイルスベクターの1つ以上を含む。ウイルスベクターは、プロモーター(例えばハイブリッドCBAプロモーター(CBh)及びヒトシナプシン1プロモーター(hSyn1))、ポリアデニル化シグナル(例えばウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル(bGHポリA))、安定化エレメント(例えばマーモット肝炎ウイルス(WHP)転写後調節エレメント(WPRE))及び/又はSV40イントロンなど、発現を上昇させ、及び/又はベクターを安定化するためのさらなるエレメントも含み得る。1つ以上の実施形態では、ウイルスベクターは、タグ付きタンパク質をコードするポリヌクレオチドに操作可能に連結されるウイルスポリヌクレオチドを含む。1つ以上の実施形態では、ウイルスベクターは、少なくとも1つの末端逆位配列(ITR)を含む。
【0096】
1つ以上の実施形態では、遺伝子治療組成物は、薬学的に許容可能な担体を含む。1つ以上の実施形態では、薬学的に許容可能な担体は、化合物がともに投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤又はビヒクルを含む。
【0097】
本発明の様々な態様は、それを必要とする患者に遺伝子治療組成物を投与することを含む、疾患又は障害を処置する方法に関する。1つ以上の実施形態では、遺伝子治療組成物は、リソソーム蓄積症を有する患者に投与され、ポリヌクレオチド配列は、リソソーム酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。1つ以上の実施形態では、遺伝子治療組成物は、ファブリー病を有する患者に投与され、ポリヌクレオチド配列は、アルファ-ガラクトシダーゼAをコードするヌクレオチド配列を含む。1つ以上の実施形態では、遺伝子治療組成物は、ポンペ病を有する患者に投与され、ポリヌクレオチド配列は、アルファ-グルコシダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む。1つ以上の実施形態では、遺伝子治療組成物は、バッテン病を有する患者に投与され、ポリヌクレオチド配列は、PPT1(CLN1)、TPP1(CLN2)、CTSD(CLN10)、PGRN(CLN11)、又はCTSF(CLN13)をコードするヌクレオチド配列を含む。1つ以上の実施形態では、遺伝子治療組成物は、くも膜下腔内に、静脈内に、大槽内に、脳室内に、眼内に、硝子体内に、網膜に、網膜下に、筋肉内に、皮下に、大脳内に、外科的に又は実質内に投与される。
【実施例
【0098】
実施例1
[A]GAAタグ付きタンパク質の分子クローニング及び発現
NT(配列番号1)が、親和性タグと該当するタンパク質との間の、可撓性9アミノ酸リンカーペプチドとともに、治療用タンパク質、GAA(RefSeq:NM_000152.5)、又は親和性タグ、mCherry(RefSeq:MN781140.1)の何れかの5’又は3’末端の何れかに挿入されるように、GAAタグ付きタンパク質の2つの変異体を、Amicus専有のプラスミドにクローニングした。各転写物の5’末端に、分泌シグナルがある。タグ付きタンパク質を、Expi293F細胞株において一過性に発現させた。次に、タグ付きタンパク質を精製した。
【0099】
[B]ソルチリンに対するGAAタグ付きタンパク質の結合効率の決定。
可溶性ソルチリン(R&D systems、3154-ST-050)についてのプルダウンアッセイを、市販の共免疫沈降キット(Thermo Fisher、26149)を用いたアミンカップリング化学によって、可溶性ソルチリンドメインをアガロースビーズに共有結合させることによって行った。NT-GAA及びGAA-NTの両方を、2時間にわたって結合ビーズとともに室温で撹拌しながら独立してインキュベートした。インキュベーションの後、結合タンパク質を、低いpHで分割して溶出した。分画及び非結合タンパク質溶出物を、標準SDS-Page還元ゲルで電気泳動させ、次に、ゲル中のタンパク質を、抗mCherry染色(Invitrogen、M11217)のためにニトロセルロース膜上に移した。一次抗体とのインキュベーションの後、膜を洗浄し、次に、二次抗体(Invitrogen、A21096)で染色し、次にイメージングした。図1は、GAA-NT(図1A)及びNT-GAA(図1B)の両方が、ソルチリンに対する高い親和性を有することを示す。
【0100】
[C]ソルチリン結合GAAタグ付きタンパク質の酵素活性の測定。
マイクロプレート結合アッセイについて、ソルチリンの細胞外可溶性ドメイン、残基78~755を、C末端TwinStrep親和性タグを用いてExpi293F細胞株(Expi293発現系;Thermo Fisher、A14635を用いて)において発現させた。産物を、5日後に収集した。馴化培地を、1時間にわたってStrepTactin XT被覆マイクロプレート(IBA、2-4101-001)とともにインキュベートして、ソルチリンをプレートに固定した。数回の洗浄の後、ソルチリンで被覆されたウェルを、30分間にわたって、PBS中で希釈された様々な用量のNT-GAA、GAA-NT又はGAAとともにインキュベートした。次に、非結合タンパク質を洗い流した。結合GAAタグ付きタンパク質のα-D-グルコピラノシド活性を、pH4.8で、蛍光基質、4-メチルウンベリフェリル-α-D-グルコピラノシドを用いて測定した。図2は、ソルチリン結合NT-GAA及びGAA-NTのα-D-グルコピラノシド活性を示す。両方の結合曲線における変曲点は、ニューロテンシンに対するソルチリンの2価性を示す。NTタグを有さないGAAは、α-D-グルコピラノシド活性を有さず、これは、タンパク質がソルチリンに結合しなかったことを示している。
【0101】
[D]GAAタグ付きタンパク質のソルチリン媒介性の取り込みの決定
COS7細胞株を、免疫蛍光のために使用した。細胞を、約40%の密集度で播種した。翌日、細胞を、取り込み培地中で10mMのマンノース6-リン酸の存在下又は非存在下の何れかで、3時間にわたって200nMのAT-GAA(Amicus酵素補充療法)、NT-GAA、又はGAA-NTとともにインキュベートした。取り込みの後、細胞を、PBS、pH7.4で洗浄し、10分間にわたってPBS中4%のホルムアルデヒドで固定した。次に、細胞を、5分間にわたってPBS中0.1%のサポニンで透過処理した。ウェルを、1時間にわたって抗ソルチリン(Invitrogen、MA5-31437)及び抗GAA(Amicus製)抗体とともにインキュベートした。PBSによる洗浄の後、ウェルを、1時間にわたって蛍光二次抗体(Thermo、A32723及びA11012)とともにインキュベートし、次に、イメージングの前に洗浄した。DAPIを、イメージングの前の最後の洗浄においてDNA染色のために添加した。
【0102】
[E]NTタグ付きGAAの細胞内酵素活性
HAP1 GAA KO細胞株を、細胞取り込みアッセイのために使用した。細胞を、約40%の密集度で組織培養プレートに播種した。翌日、細胞を、取り込み培地中の10mMのマンノース6-リン酸の存在下又は非存在下の何れかで、18時間にわたって様々な濃度のAT-GAA(Amicus酵素補充療法)、NT-GAA、又はGAA-NTとともにインキュベートした。18時間後、細胞を、PBS、pH7.4で数回洗浄し、dHO中0.25%のTriton X-100で溶解させた。細胞内に輸送されたGAAタグ付きタンパク質のα-D-グルコピラノシド活性を、pH4.8で蛍光基質、4-メチルウンベリフェリル-α-D-グルコピラノシドを提供し、4-メチルウンベリフェロン切断産物を測定することによって測定した。細胞溶解物を、還元条件下で標準SDS-page上で電気泳動させた後、ウエスタンブロット法(一次Ab:Abcam、ab137068;二次Ab:Invitrogen、SA535571)を行った。図3Aは、マンノース-6-リン酸が、NT-GAA及びGAA-NTでインキュベートされた細胞におけるα-D-グルコピラノシド活性に影響を与えなかったことを示す。同様に、図3Bは、マンノース-6-リン酸が、NT-GAA及びGAA-NTの取り込みに影響を与えなかったことを示す。結論として、GAAタグ付きタンパク質の取り込みは、CI-MPRとは無関係であり、ソルチリンによって媒介される可能性が高い。また、細胞内に輸送されたGAAタグ付きタンパク質は、α-D-グルコピラノシド活性を保持する。
図1A-1B】
図2
図3A
図3B
【配列表】
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【国際調査報告】