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特表2024-526289色堅牢度向上のための装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】色堅牢度向上のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   D06B 1/02 20060101AFI20240709BHJP
   D06B 5/08 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
D06B1/02
D06B5/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500081
(86)(22)【出願日】2022-07-01
(85)【翻訳文提出日】2024-02-29
(86)【国際出願番号】 GB2022051704
(87)【国際公開番号】W WO2023275562
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】2109535.1
(32)【優先日】2021-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521446406
【氏名又は名称】アルケミー・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100210398
【弁理士】
【氏名又は名称】横尾 太郎
(72)【発明者】
【氏名】キュー,サイモン
(72)【発明者】
【氏名】ブライス,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】チャンバース,スコット
(72)【発明者】
【氏名】フォーダム,キース
【テーマコード(参考)】
3B154
【Fターム(参考)】
3B154AB19
3B154AB27
3B154BA17
3B154BA19
3B154BB12
3B154BB18
3B154BB22
3B154BB33
3B154BB47
3B154BB78
3B154BC08
3B154BF01
3B154BF10
3B154BF14
3B154DA13
(57)【要約】
染色された織物の色堅牢度を改善するための方法が提供される。この方法は、染色された織物を、処理ラインに沿って第1の方向に搬送するステップと、貯槽から、処理ライン上の染色された織物を通して、第1の方向と実質的に直接反対の第2の方向に流体を流すステップと、次に、染色された織物から、適用された流体の少なくとも50%を除去するステップと、流体から汚染物質を除去するステップと、流体を貯槽に戻すステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
染色された織物を、処理ラインに沿って第1の方向に搬送することと、
貯槽から、前記処理ライン上の前記染色された織物を通して、前記第1の方向に対して略反対の第2の方向に流体を流すことと、
次に、前記染色された織物から、適用された前記流体の少なくとも50%を除去することと、
前記流体から汚染物質を除去することと、
前記流体を前記貯槽に戻すことと
を含む、
染色された織物の色堅牢度を改善するための方法。
【請求項2】
前記織物を機械的に撹拌することをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記染色された織物に適用される前記流体の総質量が、前記染色された織物の質量の500%までである、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記染色された織物に前記流体が1~50リットル/分で適用される、
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記流体を、40℃を超えて加熱することをさらに含む、
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記流体を、50℃を超えて加熱することをさらに含む、
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記流体を、60℃を超えて加熱することをさらに含む、
請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記流体を、70℃を超えて加熱することをさらに含む、
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記流体を、40~80℃に加熱することをさらに含む、
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記流体を、50~70℃に加熱することをさらに含む、
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
適用される前記流体の許容できる流量の範囲を決定することと、
適用される前記流体の前記流量を監視することと、
適用される前記流体の前記流量が前記許容できる流量の範囲を外れたら、適用される前記流体の前記流量を調節することと
をさらに含む、
請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記流体が、前記染色された織物に噴霧される、
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記流体が、前記織物の前記色堅牢度を改善するように構成された添加剤を含む、
請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
織物を第1の方向に搬送するための処理ラインと、
流体を保存するための流体貯槽を含む逆浸透ユニットおよび前記流体から汚染物質を除去するための濾過ユニットと、
前記織物に、前記流体を、前記第1の方向に対して略反対の第2の方向に適用するように構成された流体適用器と、
前記織物から前記流体を除去して前記逆浸透ユニットに戻すように構成された流体除去装置と
を備える、
染色された織物の色堅牢度を改善するための装置。
【請求項15】
前記流体適用器が噴霧ノズルを備える、
請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記流体除去装置が、使用するとき、部分真空を生成するように構成されている、
請求項14または15に記載の装置。
【請求項17】
機械的撹拌器をさらに備える、
請求項14から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記機械的撹拌器が、少なくとも1つの軸を備え、これに対して動くことができる、
請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記機械的撹拌器が、前記流体の適用と除去との間に前記織物を撹拌するように構成されている、
請求項16または17に記載の装置。
【請求項20】
前記機械的撹拌器がローラである、
請求項17から19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記機械的撹拌器が一対のローラである、
請求項17から20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記ローラが目の粗い表面を有する、
請求項17から21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記目の粗い表面にローレットが切られている、
請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記目の粗い表面が螺旋状のパターンを有する、
請求項14から19のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織物の染色における改善または関連する改善に関し、詳細には、染色された織物の色堅牢度の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
織物のコーティングまたは染色は、主として、一般的には織物の重量の何倍もの大量の廃水が生じるため、環境に有害なプロセスになる可能性がある。
【0003】
染色の用途に関する従来のプロセスには、吸尽染色またはジェット染色などのバス浸漬法、およびローラ塗布機構を用いるパディングがある。あるいは、コーティングまたは染料は、ローラ「パディング」プロセスによって織物に塗布され得る。次いで、塗布された染料は、染料を固定するために乾燥および加熱される。これら従来の染色方法のどちらについても、過剰な未結合染料および補助化学物質を除去するために洗浄が必要とされる。洗浄は、一般的には、高温で運転されるいくつかの槽を必要とし、塩基性pHが使用される「還元洗浄」のプロセスにおいて追加の化学物質を導入する可能性がある。
【0004】
結果的に、従来の方法は、一般に、織物材料に染料を過剰添加するので、それを高温洗浄を繰り返して除去する必要があり、これによって大量の汚染廃水が発生する。染料で汚染された水を含む汚染廃水は、著しい世界的な環境問題であり、環境被害を回避するために大規模な廃水処理を必要とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、この背景に対して生じたものである。
【0006】
本発明によれば、染色された織物の色堅牢度を改善するための方法が提供され、この方法は、染色された織物を、処理ラインに沿って第1の方向に搬送するステップと、貯槽から、処理ライン上の染色された織物を通して、第1の方向と実質的に反対の第2の方向に流体を流すステップと、次に、染色された織物から、適用された流体の少なくとも50%を除去するステップと、流体から汚染物質を除去するステップと、流体を貯槽に戻すステップとを含む。
【0007】
染色された織物に、その搬送方向に対して実質的に反対の方向に流体を流すと、最も清浄な流体が、染色された織物の最も清浄な部分と接することが可能になる。これは、染色された織物の清浄な部分の、汚染廃水によるいかなる汚染も防止する。その上、染色された織物の移動方向と反対の方向に流体を流すと、過剰染料の除去を支援し得る。
【0008】
本発明によれば、染色された織物の色堅牢度を改善するための方法が提供され、この方法は、染色された織物を処理ラインに沿って搬送するステップと、処理ライン上の第1の位置において、染色された織物に、第1の方向と実質的に反対の第2の方向に流体を適用するステップと、次に、処理ライン上の第2の位置において、染色された織物から、適用された流体の少なくとも50%を除去するステップとを含む。
【0009】
染色された織物は、処理ラインに沿って連続的に搬送され得る。たとえば、処理ラインは、連続したロールツーロール処理ラインでよい。処理ラインは自動化され得る。処理ラインは、処理ラインをデジタル的に制御するよう構成されたプロセッサを備え得る。プロセッサは、織物が処理ラインに沿って搬送される速度を制御し得る。いくつかの実施形態では、処理ラインは非浸漬型の処理ラインでよい。従来の染色、洗浄、および/または固着プロセスは、一般的には少なくとも1つの浸漬槽を備える。しかしながら、非浸漬型の処理ラインは、浸漬槽を含有しない処理ラインである。
【0010】
いくつかの実施形態では、染色された織物は、統合された形態であり得る。たとえば、染色された織物は、ロールとして搬送されてよい。あるいは、染色された織物は、非統合の形態であり得る。たとえば、染色された織物は、直線状の形態で搬送されてよい。
【0011】
染色された織物は高温になる可能性がある。たとえば、染色された織物は、10℃~220℃、15℃~200℃、20℃~180℃、25℃~140℃または30℃~100℃になり得る。染色された織物および/または処理ラインの温度は、制御され得る。これは、染色された織物の手触りを改善することができる。
【0012】
処理ラインにおける第1の位置と第2の位置とは、実質的に同一の位置でよい。たとえば、処理ラインにおいて、第1の位置と第2の位置とが重なってよい。代わりに、またはそれに加えて、処理ラインにおいて、第1の位置と第2の位置とが互いに隣接してよい。反対に、いくつかの実施形態では、第1の位置と第2の位置とが互いに異なってもよい。
【0013】
たとえば、第1の位置と第2の位置とが互いに1メートル以内にあってよい。あるいは、第1の位置と第2の位置とが互いに、0.75m以内、0.5m以内、0.25m以内または0.1m以内にあってよい。たとえば、処理ラインにおいて、第1の位置と第2の位置とが、互いに反対側にあってよく、互いに隣接してよく、または互いに重なってもよい。
【0014】
流体は液体を含み得る。より具体的には、流体は液体でよい。たとえば、流体は水でよい。しかしながら、任意の適切な液体が使用され得る。流体は芳香剤を含み得る。代わりに、またはそれに加えて、流体はガスを含み得る。ガスは空気でよい。しかしながら、任意の適切なガスが使用され得る。ガスは固体を含み得る。たとえば、流体は、染色された織物にサンドブラストするように構成された空気および砂/砂利を含み得る。
【0015】
染色された織物からの流体の除去は、脱水ステップの形態であり得る。織物から流体を物理的に除去すると、織物に固着していないあらゆる残りの染料および/または化学物質を除去する。反対に、織物を乾燥させると、織物に固着していない染料および/または化学物質が残る。
【0016】
適用された流体を除去することにより、流体が再利用され得て、必要とされる流体の全体量を低減させる。いくつかの実施形態では、適用された流体の少なくとも60%、70%、80%、90%、95%または99%が、染色された織物から除去され得る。好ましくは、処理ライン上の第2の位置において、染色された織物から、適用された流体の、少なくとも75%が除去される。
【0017】
流体の除去速度は、染色された織物の質量流量の0.5倍、1倍、1.5倍、2倍、2.5倍または3倍を超えることができる。代わりに、またはそれに加えて、処理ラインの第2の位置の下流で織物に保持される流体の質量は、織物の質量流量の0.5倍未満、0.3倍未満、0.2倍未満、0.1倍未満または0.05倍未満になり得る。
【0018】
この文脈では、質量流量は、単位時間あたりに所与のポイントを通過する染色された織物の質量として定義され得る。たとえば、質量流量は、単位時間あたりに処理ラインにおける第1の位置を通過する染色された織物の質量として定義され得る。
【0019】
流体は、真空によって織物から除去され得る。真空は、織物を損傷することなく、流体を効率的に除去し得る。代わりに、またはそれに加えて、織物に高速ガスを適用することによって流体が織物から除去され得る。ガスは空気でよい。高速ガスは織物を通過し得る。高速ガスは、染色された織物から過剰液および固着していない固体を除去するように構成され得る。
【0020】
処理ライン上の第1の位置において染色された織物に適用される流体は、所定量の流体であり得る。より具体的には、処理ライン上の第1の位置において染色された織物に適用される流体は、所定量の液体を含み得る。
【0021】
したがって、この方法は、処理ライン上の第1の位置において、染色された織物に所定量の流体を適用するステップを含み得る。たとえば、織物が所定の水含有量に達するまで、染色された織物に流体が適用されてよい。染色された織物への流体の適用は制御され得る。なおまた、染色された織物への流体の適用は調節され得る。
【0022】
代わりに、またはそれに加えて、処理ライン上の第1の位置において、染色された織物に適用される流体は、所定の速度で適用され得る。
【0023】
この方法は、除去された流体から汚染物質を除去して、染色された織物にこの流体を再度適用するステップをさらに含み得る。より具体的には、この方法は、処理ライン上の第1の位置において、染色された織物に流体を再度適用するステップを含み得る。代わりに、またはそれに加えて、この方法は、処理ライン上の第3の位置において、染色された織物に流体を再度適用するステップを含み得る。第3の位置は第2の位置の上流にあってよい。
【0024】
流体は、最初に、染色された織物の第1の位置に適用され、次に、その位置から除去され得る。次いで、流体は、浄化され、染色された織物の第2の位置に再度適用され得る。再度適用された流体は、次に、処理ライン上の第2の位置において、染色された織物の第2の位置から除去され得る。
【0025】
この方法は、処理ライン上の第3の位置において、染色された織物に流体を適用するステップと、次に、第3の位置において適用された流体の少なくとも50%を、処理ライン上の第4の位置において、染色された織物から除去するステップとをさらに含み得る。
【0026】
したがって、請求項1に記載の方法が繰り返され得る。より具体的には、この方法は複数回繰り返され得る。たとえば、この方法は、1回、2回、3回、4回、5回、8回、または10回以上繰り返され得る。
【0027】
再度適用される流体は、処理ライン上の第1の位置および/または第3の位置において再度適用されてよい。流体は、染色された織物上の任意数の位置において、織物に適用され、織物から除去され、再度適用されてよい。たとえば、流体は、染色された織物上の3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、または10以上の位置において、織物に適用され、織物から除去され、再度適用されてよい。
【0028】
この方法は連続的でよい。たとえば、この方法は、染色された織物を処理ラインに沿って連続的に搬送するステップと、処理ライン上の第1の位置において、染色された織物に流体を連続的に適用するステップと、次に、処理ライン上の第2の位置において、染色された織物から、適用された流体の少なくとも50%を連続的に除去するステップとを含み得る。
【0029】
この方法は、除去された流体から汚染物質を連続的に除去するステップをさらに含み得る。なおまた、この方法は、染色された織物に、除去された流体を連続的に再度適用するステップを含み得る。より具体的には、この方法は、処理ライン上の第1の位置において、染色された織物に、除去された流体を連続的に再度適用するステップを含み得る。代わりに、またはそれに加えて、この方法は、処理ライン上の第3の位置において、染色された織物に、除去された流体を連続的に再度適用するステップを含み得る。このループする方法は、水の使用量をさらに低減する。
【0030】
染色された織物に適用される流体の総質量は、染色された織物の質量の500%まででよい。より具体的には、いくつかの実施形態では、染色された織物に適用される流体の総質量は、染色された織物の質量の75%、100%、150%、200%、250%または300%まででよい。代わりに、またはそれに加えて、染色された織物に適用される流体の総質量は、染色された織物の質量の50%~350%、100%~300%、または150%~250%でよい。流体の適用率は、染色された織物の質量流量の0.5倍、1倍、1.5倍、2倍、2.5倍または3倍を超えることができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、染色された織物に適用される流体の総質量は、染色された織物の質量の50%、30%、20%、10%または5%未満でよい。
【0031】
第1の位置において、流体は、染色された織物に、1~50リットル/分で適用され得る。あるいは、流体は、1~20リットル/分(L/min)で適用されてもよい。織物は、1~100メートル/分(m/min)で搬送され得る。より具体的には、織物は、5~50m/minまたは10~20m/minで搬送され得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、第2の位置において染色された織物から除去される流体は、第1の位置において染色された織物に適用されたものよりも少なくてよい。適用された流体よりも少ない流体を除去することは、たとえば、織物に、流体の中の所定の化学物質を残すために望ましい。
【0033】
この方法は、流体を、40℃を超えて加熱するステップをさらに含み得る。より具体的には、流体は50℃、60℃または70℃を超えて加熱され得る。代わりに、またはそれに加えて、流体は、40℃~80℃、50℃~70℃または約60℃まで加熱され得る。たとえば、流体の温度は、方法のコストと、方法の間に使用される全エネルギーとを最適化するように調節され得る。
【0034】
この方法は、処理ラインにおける第1の位置を40~95℃まで加熱するステップをさらに含み得る。より具体的には、この方法は、処理ラインにおける第1の位置を50~70℃または約60℃まで加熱するステップを含み得る。第1の位置の環境温度を上昇させると、流体適用の冷却効果を低減させ、したがってこの方法に必要な全エネルギーを低減する。いくつかの実施形態では、固定チャンバからの余剰熱が、第1の位置を加熱するために使用され得る。
【0035】
この方法は、適用される流体の許容できる流量の範囲を決定するステップと、適用される流体の流量を監視するステップと、適用される流体の流量が許容できる流量の範囲を外れたら、適用される流体の流量を調節するステップとをさらに含み得る。結果的に、適用される流体は、使用するとき、正確に監視され、かつ調節され得る。これは、方法を最適化するために使用され得、したがって方法の効率を向上する。
【0036】
流体は、染色された織物に噴霧されてよい。流体は、複数の噴霧ノズルによって、染色された織物に噴霧され得る。これは、織物の全体が噴霧されることを保証し得る。なおまた、流体を噴霧すると織物を撹拌し得、したがって、過剰な染料および/または固着していない染料のうちいくらかを織物から除去する。これは、染色された織物の色堅牢度を改善することができる。なおまた、染色された織物に流体を噴霧すると、従来の方法と比較して、使用される水を大幅に減らすことができる。これは、コストおよび環境影響に関して特に有利である。流体は、少なくとも10m/s、少なくとも15m/s、または、最も好ましくは少なくとも20m/sの速度で織物に噴霧されてよい。
【0037】
しかしながら、いくつかの実施形態では、流体は、スロットダイ液体適用または浸漬適用によって織物に適用され得る。代わりに、またはそれに加えて、流体は、回転スクリューまたはグラビアスプリンクラなどの輪転印刷を適用することによって織物に適用されてもよい。なおまた、いくつかの実施形態では、流体は、ウォータフォール、堰、スプリンクラまたはジェットによって織物に適用され得る。
【0038】
この方法は、染色された織物を機械的に撹拌するステップをさらに含み得る。染色された織物を機械的に撹拌すると、過剰染料のうちいくらかを除去し得、したがって染色された織物の色堅牢度を改善する。より具体的には、機械的撹拌は、織物の繊維を動かすように構成され得、したがって、固着していない過剰な染料を露出させる。
【0039】
機械的撹拌は、染色された織物に圧力を印加し得る。機械的撹拌は、織物から流体を効率よく絞り出すことができる。機械的撹拌は、織物の中の水の質量を織物の質量流量未満まで低減するように構成され得る。
【0040】
たとえば、機械的撹拌は、処理ラインに沿って搬送されている織物に接触するように構成された一対のローラを備え得る。より具体的には、機械的撹拌は、一対のニップローラを備え得る。一対のニップローラは、染色された織物の中の水の質量を、染色された織物の質量流量の60%未満まで低減させ得る。
【0041】
機械的撹拌は、処理ライン上の第1の位置と第2の位置との間で生じ得る。代わりに、またはそれに加えて、機械的撹拌は、処理ライン上の第1の位置および/または第2の位置において生じる。たとえば、流体の適用は、織物と接触するローラによる機械的撹拌とも組み合わされ得る。
【0042】
なおまた、いくつかの実施形態では、機械的撹拌は、処理ライン上の第3の位置と第4の位置との間で生じ得る。
【0043】
代わりに、またはそれに加えて、適用される流体が織物を撹拌するように構成されてもよい。たとえば、処理ライン上の第1の位置において、織物に流体が強制的に通され得る。そのような実施形態では、流体適用器の反対側で流体が除去され得る。処理ライン上の第2の位置は、流体処理ライン上の第1の位置の直接反対側にあってよい。
【0044】
流体は、織物の色堅牢度を改善するように構成された添加剤を含み得る。いくつかの実施形態では、流体は、織物の色堅牢度を改善するように構成された複数の添加剤を含む。たとえば、添加剤は仕上げ化学物質でよい。添加剤は、織物から染料を除去することなく、織物の繊維の動きを可能にするように構成され得る。
【0045】
代わりに、またはそれに加えて、添加剤は陰イオンまたは陽イオンの界面活性剤を含み得る。あるいは、添加剤は何らかの洗剤種を含み得る。いくつかの実施形態では、添加剤はポリマー種を含み得る。ポリマー種は、脂肪族またはシリコンベースの主鎖を含み得る。
【0046】
代わりに、またはそれに加えて、流体は、潤滑および/または軟化の添加剤を含み得る。流体は、織物の柔軟性を改善するように構成された添加剤を含み得る。添加剤は化学的軟化剤でよい。化学物質はシリコーンでよい。軟化剤は生物学的抽出物でよい。代わりに、またはそれに加えて、流体は無色の分散剤を含み得る。なおまた、流体は、使用するとき、水ベースでよく、かつ/または淡水と混合されてもよい。
【0047】
代わりに、またはそれに加えて、染色された織物の色堅牢度を改善するための方法も提供され、この方法は、染色された織物を、処理ラインに沿って、第1の制御可能な環境を有する第1のチャンバへ搬送するステップと、染色された織物を、第1のチャンバの中に第1の期間にわたって一時的に保管するステップと、染色された織物を、第2の制御可能な環境を有する第2のチャンバへ搬送するステップと、染色された織物を、第2のチャンバの中に第2の期間にわたって一時的に保管するステップとを含む。処理ラインは自動化され得る。処理ラインは、以前に開示されたものと同一の処理ラインでよい。
【0048】
第1の制御可能な環境は、第2の制御可能な環境とは異なってよい。あるいは、第1の制御可能な環境と第2の制御可能な環境とは同一でもよい。より具体的には、第1の制御可能な環境は複数のパラメータを含み得る。たとえば、第1の制御可能な環境は、第1の温度、湿度、圧力、気流速度、および/または不活性ガスを含み得る。代わりに、またはそれに加えて、第2の制御可能な環境は複数のパラメータを含み得る。たとえば、第2の制御可能な環境は、第2の温度、湿度、圧力、気流速度、および/または不活性ガスを含み得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、第1の温度、湿度、圧力、気流速度、および不活性ガスのうち少なくとも1つが、第2の温度、湿度、圧力、気流速度、および不活性ガスと同一であり得る。代わりに、またはそれに加えて、第1の温度、湿度、圧力、気流速度、および不活性ガスのうち少なくとも1つが、第2の温度、湿度、圧力、気流速度、および不活性ガスと異なり得る。前述のパラメータのうち任意のものが、各チャンバの制御可能な環境を定義するために使用され得る。より具体的には、パラメータの任意の組合せが、各チャンバの制御可能な環境を定義するために使用され得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、温度が温度勾配を含み得る。代わりに、またはそれに加えて、チャンバ内の温度を均一に保つために空気流が使用され得る。たとえば、第1のおよび/または第2のチャンバの中に、熱風の形で熱が加えられてよい。チャンバに導入される空気の速度が、チャンバの至る所で空気が循環することを保証し得る。空気の循環が熱の均一性を保証し得る。湿度はチャンバ内の相対湿度でよい。相対湿度は、0%~100%でよく、より好ましくは30~70%、最も好ましくは約50%である。圧力はほぼ大気圧でよい。あるいは、圧力は大気圧よりも高くされてよい。たとえば、圧力は、大気圧の1.5倍、2倍、2.5倍または3倍まででよい。なおまた、いくつかの実施形態では、第1のチャンバおよび/または第2のチャンバが不活性ガスで満たされてよい。たとえば、チャンバは希ガスで満たされてよい。代わりに、またはそれに加えて、チャンバは窒素またはアルゴンで満たされてよい。
【0051】
染色された織物は、処理ラインに沿って連続的に搬送され得る。たとえば、染色された織物は、第1のチャンバへ連続的に搬送され得る。処理ラインの少なくとも一部が自動化され得る。あるいは、処理ラインの全体が自動化され得る。したがって、染色された織物は、第1のチャンバへ自動的に搬送され得る。
【0052】
なおまた、染色された織物は、第2のチャンバへ連続的に搬送され得る。染色された織物は、第2のチャンバへ自動的に搬送され得る。代わりに、またはそれに加えて、染色された織物は、第2のチャンバへ手動で搬送されてもよい。染色された織物は、染料を含む織物でよい。
【0053】
この方法は、染色される織物の特性、織物の染色に使用する染料および/または染色された織物に基づいて、第1の制御可能な環境および/または第2の制御可能な環境を調節するステップをさらに含み得る。使用するとき、第1の環境および/または第2の環境は調節され得る。言い換えれば、第1の環境および/または第2の環境は、処理ラインが織物を搬送している間に調節され得る。
【0054】
染料の特性は、染料の濃度、色、色合い、パントン、反射率、水含有量、色指数番号および/または分子量を含み得る。たとえば、分子量が大きい染料は、織物に固着させるためにより多くのエネルギーを必要とする可能性がある。染料の分子量が大きいと、染色された織物が、第1のチャンバおよび/または第2のチャンバの中に、より長い期間にわたって、かつ/またはより高い温度で、保管されることになる。なおまた、染色された織物および/または染色される織物の特性は、織物の基本重量、吸収能力、反射率、水含有量、厚さ、直径および/またはバッチコードを含み得る。
【0055】
染色される織物および/または染色された織物は、ポリエステル、綿、羊毛、ナイロン、エラステーン、および/または絹を含み得る。しかしながら、他の織物または織物製品も使用され得る。なおまた、染料は、分散性染料、顔料、酸性染料および/または反応性染料を含み得る。たとえば、いくつかの実施形態では、織物がポリエステルであって、着色剤が分散性染料であり得る。あるいは、織物が綿であって、着色剤が反応性染料であり得る。いくつかの実施形態では、織物が綿であって、着色剤が顔料色素であり得る。あるいは、織物がナイロンであって、着色剤が酸性染料であり得る。
【0056】
代わりに、またはそれに加えて、染色の前、染色の間、および/または染色の後に、染色される織物の特性および/または織物を染色するために使用される染料の特性が判定されてよい。これによって、染色および固着のプロセスの全体にわたって、複数の特性が測定され得る。
【0057】
結果的に、この方法は、織物の染色前、染色中、および染色後に、織物の特性および/または染料の特性を判定するステップと、判定された特性に基づいて、第1の制御可能な環境および/または第2の制御可能な環境を調節するステップとを含み得る。方法の範囲内の種々のポイントにおいて測定された特性の間の比較も、各チャンバ内の制御可能な環境を最適化するために使用され得る。これは、染色された織物の品質、より具体的には、色堅牢度を高めることができる。
【0058】
第1のチャンバは第1の内部温度を含み得る。第2のチャンバは、第1の内部温度よりも低い第2の内部温度を含む。第2の温度を第1の温度よりもより低くすると、第1のチャンバ内の織物に適用されたエネルギーが、第2のチャンバの中で少なくとも部分的に利用され得る。これは、第2のチャンバの中の織物を加熱するのに必要なエネルギーを減少する。
【0059】
たとえば、この方法は、染色された織物を、第1の内部温度を有する第1のチャンバの中に、第1の期間にわたって一時的に保管するステップと、染色された織物を、第2のチャンバの中に、第2の期間にわたって一時的に保管するステップとを含み得、第1の内部温度は、第2の内部温度より高い。しかしながら、いくつかの実施形態では、第2のチャンバは、実質的に第1の内部温度以上の第2の内部温度を含み得る。
【0060】
染色された織物を、第1の温度を有する第1のチャンバの中に第1の期間にわたって保管し、第2の温度を有する第2のチャンバの中に第2の期間にわたって保管すると、染色された織物の色堅牢度および/または柔軟性を改善し得る。たとえば、2つのチャンバを使用すると、織物に染料がほぼ完全に固着し得る。これは、織物の繊維の表面に緩く結合していた染料分子が、このとき、繊維により強く結合されるためであり得る。したがって、非常に低い濃度の染料分子だけが色堅牢度の試験中に織物から剥がされ得る。
【0061】
第1の内部温度は140℃~230℃でよい。染色された織物を140℃~230℃で一時的に保管すると、個々の繊維のまわりに染料が局所的に固着し得る。これは、染色された織物の、結果の色堅牢度を改善する。より具体的には、第1の内部温度は150℃~215℃でよい。より具体的には、第1の内部温度は160℃~200℃でよい。
【0062】
第2の内部温度は120℃~200℃でよい。第2のチャンバ内の温度がより低ければ、織物を少し冷やすことができる。この冷却効果は、織物の柔軟性を改善するために利用され得る。なおまた、第2のチャンバ内の温度がより低ければ、織物をさらに加熱する必要性がなくなり、プロセス中に使用される全体のエネルギーを低減する。いくつかの実施形態では、第2の内部温度は130℃~190℃または140℃~180℃である。
【0063】
第2の期間は第1の期間よりも長くてよい。第1の期間は少なくとも10分でよい。より好ましくは、第1の期間は30分~4時間でよい。最も好ましくは、第1の期間は45分~2時間でよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、第1の期間は、5時間、8時間、10時間または12時間まででよい。たとえば、染色された織物は、第1のチャンバ内に一晩保管され得る。
【0064】
第2の期間は少なくとも2時間でよい。たとえば、第2の期間は5~60分または10分~30分でよい。あるいは、第2の期間は、4時間、6時間、8時間、12時間、24時間または48時間まででよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、第2の期間は48時間よりも長くてよい。
【0065】
この方法は、染色された織物の冷却率を判定するステップと、冷却率に基づいて第1のチャンバおよび/または第2のチャンバの制御可能な環境を調節するステップとをさらに含み得る。この文脈では、冷却率は、織物を1℃冷やすのに要する時間として定義され得る。なおまた、冷却率は、染色される織物、染色された織物および/または染料の特性に基づいて決定されてもよい。冷却率は、織物の染色プロセスに先立って計算されてよい。冷却率は、染色された織物の柔軟性および/または色堅牢度を改善するために調節され得る。
【0066】
この方法は、染色された織物を、第2のチャンバの中に複数の異なる温度で一時的に保管するステップをさらに含み得る。たとえば、第2のチャンバは、染色された織物を、温度勾配の範囲内で複数の異なる温度下におくように構成され得る。第2のチャンバ内の温度勾配は、染色された織物に対する冷却率を定義し得る。いくつかの実施形態では、第2のチャンバは複数のヒータを含み得る。各ヒータが、異なる温度を生成するように構成され得る。複数のヒータが、第2のチャンバの内部に温度勾配を生成し得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、染色された織物は、温度勾配の範囲内の各温度で、1時間まで、一時的に保管される。あるいは、染色された織物は、温度勾配の範囲内の各温度で、10分、20分、30分、45分、1時間、2時間、3時間または4時間まで、一時的に保管され得る。
【0068】
この方法は、染色された織物を、第2のチャンバの中で複数の異なる温度を通して搬送するステップをさらに含み得る。第2のチャンバを通して織物を搬送するステップは、染色された織物を第2のチャンバの中に一時的に保管するステップを含み得る。第2のチャンバ内の複数の異なる温度は、温度勾配を生成し得る。第2のチャンバ内に温度勾配をもたらすように使用された熱エネルギーは、染色された織物によって少なくとも部分的に受け取られ得る。染色された織物は、第2のチャンバを通って搬送されるとき、冷却され得る。
【0069】
第2のチャンバは、染色された織物を受け取るように構成された第1の開口を有する近位端を備え得る。いくつかの実施形態では、第1の開口は、染色された織物のロールを受け取るように構成される。第2のチャンバは、染色された織物を出力するように構成された第2の開口を有する遠位端を備え得る。いくつかの実施形態では、第2の開口は、染色された織物のロールを出力するように構成される。第1の開口および第2の開口のそれぞれが、ドアおよび/またはシールを備える。近位端の温度は遠位端の温度よりも高くてよい。たとえば、近位端は約180℃であり得、遠位端は約140℃であり得る。近位端と遠位端との間には、実質的に直線状の温度勾配があり得る。使用するとき、染色された織物は、より具体的には染色された織物のロールは、近位端と遠位端との間を移動し得る。染色された織物は、近位端と遠位端との間を移動するのに少なくとも2時間を要する可能性がある。
【0070】
この方法は、染色された織物を第1のチャンバ内のロールへと統合するステップさらに含み得る。あるいは、織物は、何らかの空間的に凝縮された構造体へと統合されてよい。たとえば、この方法は、織物を、折り畳んだ積み重ね、アコーディオン状の積み重ねまたは構造化されていない積み重ねへと統合するステップを含み得る。第1のチャンバ内で織物を統合すると、染色された織物の、第2のチャンバに保管され得る量が増加する。なおまた、染色された織物を統合すると、織物の中の空気流および/または渦電流を除去する。これは、染料固着プロセスを改善し、したがって、得られる色堅牢度を改善する。
【0071】
染色された織物を第1のチャンバへと搬送する速度は、変化され得る。たとえば、染色された織物が第1のチャンバに搬送される速度は、第2のチャンバに搬送される速度よりも高速であり得る。これによって、染色された織物が、第1のチャンバ内で過剰になる可能性がある。統合された織物ロールは、処理ラインから分離されて第2のチャンバへ搬送され得る。同時に、染色された織物の過剰分の統合が始まり得、第1のチャンバ内で第2のロールを生成する。加えて、染色された織物の過剰分が統合されるまで、染色された織物が第1のチャンバへ搬送される速度が低下されてよい。これは、プロセスの使用不能時間を短縮し得る。あるいは、いくつかの実施形態では、第1のチャンバからロールを除去するために処理ラインが休止する。
【0072】
ロールの長さは50~3000mであり得る。より具体的には、ロールの長さは、500m~1500mまたは約1000mであり得る。
【0073】
この方法は、複数の染色された織物のロールを第2のチャンバの中に一時的に保管するステップをさらに含み得る。複数の染色された織物、より具体的には染色された織物のロールを、第2のチャンバの中に一時的に保管すると、熱質量が増加し、チャンバ内の自由空間が縮小する。これは、チャンバ内の制御可能な環境を維持するために必要なエネルギーを低減する。
【0074】
なおまた、いくつかの実施形態では、この方法は、複数の染色された織物のロールを、第2のチャンバの中で複数の異なる温度を通して搬送するステップを含む。染色された織物のロールが、第2のチャンバを通って所定の距離を搬送されたら、染色された織物の後続のロールが第2のチャンバに追加され得る。
【0075】
以前に開示されたように、第2のチャンバは、複数の温度および/または温度勾配を含み得る。それぞれの染色された織物のロールが、第2のチャンバを通って搬送されるとき冷却され得る。したがって、第2のチャンバ内に温度勾配をもたらすように使用された熱エネルギーは、続いて染色された織物のロールを加えることによって、少なくとも部分的に受け取られ得る。たとえば、続いて染色された織物のロールの温度は、第2のチャンバに入るとき約180℃であり得る。続いて染色された織物のロールが第2のチャンバに入るとき、最初に染色された織物のロールの温度は、180℃未満であり得る。たとえば、最初に染色された織物のロールの温度は、約175℃、170℃、165℃、または160℃に低下している可能性がある。
【0076】
第2のチャンバ内の各ロールが回転されてよい。たとえば、各ロールがロール軸のまわりで回転され得る。ロール軸は、ロールを生成するために織物が巻き付けられる軸であり得る。より具体的には、第2のチャンバ内の各ロールが、一定不変で回転され得る。加えて、各ロールが、第2のチャンバの中でコンベアに沿って搬送され得る。より具体的には、新規のロールが追加されるとき、第2のチャンバの中で、各ロールがコンベアに沿って搬送され得る。いくつかの実施形態では、10~30分ごとに新規のロールが追加される。
【0077】
いくつかの実施形態では、この方法は、染色された織物の、第2のチャンバを出た後の冷却率を監視し、かつ/または制御するステップをさらに含む。これは、色堅牢度をさらに改善し得る。たとえば、染色された織物が第2のチャンバを出るときの温度は約140℃であり得る。染色された織物のロールは、保管中にゆっくり冷却される。こうすると、非統合の形態で取り出されて直ちに冷却された試料と比較して、染色された織物の色堅牢度をさらに改善し得る。
【0078】
この方法は、染色された織物を、第3の制御可能な環境を有する固着チャンバを通して搬送するステップをさらに含み得る。たとえば、染色された織物は、固着チャンバを通って搬送されてから、第1のチャンバおよび/または第2のチャンバの中に一時的に保管され得る。固着チャンバは、染料を含む織物の水含有量を低減し、同時に、染料と織物との間の固着プロセスを開始するように構成され得る。第3の制御可能な環境は第3の内部温度を有し得る。
【0079】
固着チャンバ内の温度は180℃~220℃でよい。第3の制御可能な環境は第3の内部温度を有し得る。織物を固着チャンバの中で180℃~220℃に加熱すると、染料が、織物に/織物の内部で固着する。たとえば、染色された織物を180℃~220℃に加熱すると、少なくとも90%の染料が織物の繊維の中へ拡散し得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、染色された織物を、180℃~220℃に加熱すると、少なくとも80%、85%、90%、93%、95%、96%、97%、98%または99%の染料が、織物の繊維の中に拡散し得る。
【0080】
次に、染色された織物を、第1のチャンバにおいて160℃~200℃で保管すると、残りの染料が、織物の繊維の中へ局所的に拡散し得る。たとえば、少なくとも85%、90%、93%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の染料が、第1のチャンバ内の織物の繊維の中へ拡散し得る。
【0081】
固着チャンバは、染色された織物を、1分~15分にわたって第3の温度に加熱するように構成され得る。いくつかの実施形態では、固着チャンバは、染色された織物を、第3の温度に、0~20分、1~15分、2~10分、3~8分、または約5分にわたって加熱するように構成され得る。
【0082】
この方法は、染色された織物を一時的に保管している第2のチャンバを、新規の位置へ移送するステップをさらに含み得る。第2のチャンバに一時的に保管している染色された織物を新規の位置へ移送すると、最終使用者が染色された織物を要求してから受け取るまでの全体の時間を短縮する。これによって、プロセスの総合効率が向上する。
【0083】
いくつかの実施形態では、この方法は、未染色の織物に染料を塗布するステップを含む。より具体的には、この方法は、未染色の織物を処理ラインに沿って搬送して、未染色の織物に染料を塗布するステップを含み得る。単一の処理ラインが、未染色の織物に染料を塗布することと、染色された織物の色堅牢度を改善することとの両方に使用され得る。あるいは、いくつかの実施形態では、少なくとも2つの個別の処理ラインが使用され得る。たとえば、第1の処理ラインが、未染色の織物に染料を塗布するように構成され得、第2の処理ラインが、染色された織物の色堅牢度を改善するように構成され得る。
【0084】
この方法は、未染色の織物に無色の分散剤を含む染料を塗布するステップをさらに含み得る。無色の分散剤は、結果の色堅牢度をさらに改善し得る。たとえば、無色の分散剤を使用すると、洗浄プロセスを置換し得る。これは、染色された織物を生産するために必要な水の全体量を大幅に低減する。
【0085】
この方法は、流路ディスペンサの配列によって織物に染料を分配するステップをさらに含み得る。流路ディスペンサの配列はデジタル的に制御され得る。流路ディスペンサの配列をデジタル制御すると、色の不一致のリアルタイムまたは準リアルタイムの補正などの多様性を提供し得、かつ/または同一の処理ライン上でほぼ即時の色切り換えが実現され得る。たとえば、織物を分散染料槽に浸漬する従来の方法とは対照的に、流路ディスペンサの配列によって織物に染料を塗布すると、織物の測定されたパラメータに応じて、適切な添加量の染料を正確に沈着させることが可能になる。
【0086】
それに応じて、本発明は、染色された織物の色堅牢度および/または手触りを改善するための方法に関する。本発明は、色堅牢度および手触りを改善するとともに、追加の下流の処理や洗浄の必要性を解消して連続的なロールツーロール染色方法を実現することを可能にするものである。
【0087】
本発明は2つの方法を含み、これらは、個々に、または組み合わせて使用され得る。したがって、本発明によれば、染色された織物の色堅牢度を改善するための方法も提供され、この方法は、染色された織物を処理ラインに沿って搬送するステップと、処理ライン上の第1の位置において、染色された織物に流体を適用するステップと、次に、処理ライン上の第2の位置において、染色された織物から、適用された流体の少なくとも50%を除去するステップと、染色された織物を、第1の制御可能な環境を有する第1のチャンバへ搬送するステップと、染色された織物を、第1のチャンバの中に第1の期間にわたって一時的に保管するステップと、染色された織物を、第2の制御可能な環境を有する第2のチャンバへ搬送するステップと、染色された織物を、第2のチャンバの中に第2の期間にわたって一時的に保管するステップとを含む。
【0088】
この方法は、除去された流体から汚染物質を除去して、染色された織物にこの流体を再度適用するステップをさらに含み得る。流体は、染色された織物に噴霧されてよい。
【0089】
この方法は、染色された織物を機械的に撹拌するステップをさらに含み得る。この方法は、染色される織物の特性、織物の染色に使用する染料および/または染色された織物に基づいて、第1の制御可能な環境および/または第2の制御可能な環境を調節するステップをさらに含み得る。第1のチャンバは第1の内部温度を含み得る。第2のチャンバは、第1の内部温度よりも低い第2の内部温度を含み得る。
【0090】
この方法は、染色された織物を、第2のチャンバの中に複数の異なる温度で一時的に保管するステップをさらに含み得る。代わりに、またはそれに加えて、この方法は、染色された織物を第1のチャンバ内のロールへと統合するステップさらに含み得る。この方法は、染色された織物を、第3の制御可能な環境を有する固着チャンバを通して搬送するステップをさらに含み得る。この方法は、流路ディスペンサの配列によって織物に染料を分配するステップをさらに含み得る。
【0091】
結果として、染色された織物の色堅牢度を改善するための方法も提供され、この方法は、織物を処理ラインに沿って搬送するステップと、流路ディスペンサの配列によって織物に染料を分配するステップと、染色された織物を、第1の制御可能な環境を有する固着チャンバを通して搬送するステップと、処理ライン上の第1の位置において、染色された織物に流体を適用するステップと、次に、処理ライン上の第2の位置において、染色された織物から、適用された流体の少なくとも50%を除去するステップと、染色された織物を、第1の制御可能な環境を有する第1のチャンバへ搬送するステップと、染色された織物を、第1のチャンバの中に第1の期間にわたって一時的に保管するステップと、染色された織物を、第2の制御可能な環境を有する第2のチャンバへ搬送するステップと、染色された織物を、第2のチャンバの中に第2の期間にわたって一時的に保管するステップとを含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、織物に塗布される染料は標準的な配合を含み得る。標準的な配合は、約5g/Lのレバフィックスブルー(反応性染料)と、5g/Lのソーダ灰(アルカリバッファ)と、1g/Lのカセイソーダ(触媒)と、1g/LのメロパンDA(金属イオン封鎖剤)と、2g/Lの湿潤剤と、5g/Lの保潤剤と、グリセロールまたはPEG400と、0.5g/Lのアルギン酸ナトリウム(均染剤)とを含み得る。この配合は、たとえば綿織物を染色するために使用され得る。
【0093】
本発明によれば、染色された織物の色堅牢度を改善するための装置も提供され、この装置は、織物を第1の方向に搬送するための処理ラインと、流体を保存するための流体貯槽を含む逆浸透ユニットおよび流体から汚染物質を除去するための濾過ユニットと、織物に、流体を、第1の方向と実質的に反対の第2の方向に適用するように構成された流体適用器と、織物から流体を除去して逆浸透ユニットに戻すように構成された流体除去装置とを備える。
【0094】
流体の適用は、織物の繊維の動きを可能にし、全体の色堅牢度を改善するように作用する。流体適用器によって織物に流体を適用し、次に、流体除去装置によって織物から流体を除去すると、織物の色堅牢度を改善し得る。なおまた、染色された織物内または織物上の過剰染料が、流体除去装置によって流体とともに除去され得る。
【0095】
流体除去装置は流体適用器の下流に存在し得る。代わりに、またはそれに加えて、流体除去装置は、流体適用器の反対側に配置されてよい。流体は織物を通過し得る。
【0096】
汚染物質は、半透膜に汚染された流体を強制的に通すことによって汚染物質を除去するように構成された逆浸透ユニット内の逆浸透によって除去される。逆浸透ユニットは、流体から、塩類、イオンおよび/またはリグニンなどのポリマーを除去するように構成され得る。
【0097】
逆浸透ユニットは、流体適用器と連通する流体貯槽を備え得る。逆浸透ユニットは、流体除去装置から流体を受け取り、除去された流体の中から汚染物質を除去して、汚染除去流体を流体貯槽に戻すように構成された濾過ユニットをさらに備え得る。濾過ユニットは、流体貯槽と流体連通し得る。織物に適用されたり除去されたりする流体は、流体貯槽経由で再循環され得る。
【0098】
逆浸透ユニットは、装置の内部で使用された水の60%超、より具体的には70%超、最も具体的には80%超を回復し得る。代わりに、またはそれに加えて、濾過ユニットの効率は、90%超、より好ましくは95%超、最も好ましくは98%超であり得る。
【0099】
流体の再循環および/または再生が使用する水およびエネルギーは、大量の水洗液を必要とする代替案よりも大幅に少ない。濾過ユニットは、孔径を縮小する複数のフィルタを備え得る。濾過ユニットは、流体貯槽と流体適用器との間に配置され得る。代わりに、またはそれに加えて、濾過ユニットは、流体除去装置と流体貯槽との間に配置されてもよい。濾過ユニットは、流体適用器、流体貯槽および流体除去装置と並んで配置され得る。
【0100】
代わりに、またはそれに加えて、濾過ユニットは、流体貯槽と並列に配置されてもよい。流体貯槽から流出した流体は、濾過ユニットを通って流体貯槽に戻り得る。逆浸透ユニットは複数の濾過ユニットを備え得る。濾過ユニットは、流体から染料粒子を除去するように構成され得る。
【0101】
流体貯槽は、少なくとも部分的に液体で満たされ得る。代わりに、またはそれに加えて、流体貯槽は、少なくとも部分的にガスで満たされてもよい。液体は水でよい。ガスは空気でよい。
【0102】
流体適用器および逆浸透ユニットは流体流れループを形成し得る。流体流れループは連続的な流体流れループでよい。
【0103】
代わりに、またはそれに加えて、汚染物質はオゾン処理によって除去され得る。オゾン処理を使用し、流体から化学物質を除去(酸化)し得る。流体の汚染除去プロセスは、濾過、逆浸透および/またはオゾン処理の組合せであり得る。
【0104】
流体適用器は噴霧ノズルを備え得る。噴霧ノズルは、織物にわたって流体を均一に散布し得る。なおまた、流体適用器は複数の噴霧ノズルを備え得る。複数の噴霧ノズルは、噴霧ノズルの配列でよい。噴霧ノズルの配列は、噴霧された流体が織物に全体的かかることを保証し得る。いくつかの実施形態では、流体適用器は液体適用器である。
【0105】
より具体的には、いくつかの実施形態では、各噴霧ノズルは、使用するとき、織物に流体を強制的に通すように構成され得る。代わりに、またはそれに加えて、使用するとき、流体が、織物の上に、織物の中に、かつ/または織物を通して、噴霧され得る。
【0106】
流体除去装置は、使用するとき、部分真空を生成するように構成され得る。部分真空は、使用するとき、流体を、織物の上に、織物の中に、かつ/または織物を通して、吸引し得る。これは、使用するとき、織物に対する損傷および/または接触なしで、織物から流体を除去し得る。
【0107】
代わりに、またはそれに加えて、流体除去装置は、染色された織物を通過する高速空気流を生成するように構成され得る。たとえば、染色された織物は、高速空気流と真空との間を搬送され得る。
【0108】
この装置は、機械的撹拌器をさらに備え得る。機械的撹拌器はローラを備え得る。単一のローラは、一対のローラよりも機械的撹拌が少ないため、より繊細な織物にとって、織物を損傷することなく過剰染料を取り除くことができて有利であり得る。
【0109】
機械的撹拌器は、一対のローラを備え得る。ローラのうち少なくとも1つは、染色された織物を処理ラインに沿って搬送するために使用されるローラでよい。ローラは、往復運動するローラでよい。少なくとも1つのローラは、染色された織物を引き伸ばすために、染色された織物の動きに対して平行な第1の方向において往復運動するように構成され得る。代わりに、またはそれに加えて、少なくとも1つのローラは、染色された織物を剪断するために、染色された織物の動きを横切る第2の方向に往復運動するように構成され得る。ローラは、100mmまで往復運動し得る。より具体的には、ローラは、75mm、50mm、30mm、20mmまたは10mmまで、往復運動し得る。たとえば、ローラは、開始位置から±10mmにわたって往復運動し得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、ローラは、開始位置から±25mmにわたって往復運動し得る。代わりに、またはそれに加えて、機械的撹拌器は振動するように構成されてもよい。より具体的には、ローラ(複数可)は振動するように構成され得る。これは、織物に適用される機械的撹拌を改善し得る。
【0110】
複数の機械的撹拌器が存在し得る。各撹拌器は、使用するとき、搬送している織物と接触するように構成され得る。機械的撹拌器は、使用するとき、織物の繊維を動かし得る。
【0111】
機械的撹拌器、使用するとき織物と接触するように構成された目の粗い表面を備え得る。目の粗い表面は、織物に機械的力を伝えるように構成され得る。こうすると、織物に残ってしまうはずの過剰染料を、織物に作用する機械的力によって取り除き得、織物の色堅牢度をさらに改善するので、有利である。
【0112】
ローラの目の粗い表面にはローレットが切られてよい。
【0113】
ローラの目の粗い表面は、螺旋状であってもよい。
【0114】
代わりに、またはそれに加えて、機械的撹拌器はブラシを備え得る。ブラシは、使用するとき織物と接触するように構成され得る。
【0115】
機械的撹拌器は、少なくとも1つの軸を備えてよく、これに対して動くことができる。たとえば、機械的撹拌器は、その最も長い長さに沿った縦軸を備え得る。撹拌器は、その縦軸のまわりで回転するように構成され得る。代わりに、またはそれに加えて、撹拌器は、その縦軸に沿って移動するように構成され得る。
【0116】
たとえば、織物に接触するローラは、搬送されている織物に対して実質的に垂直な縦軸のまわりで回転するように構成され得る。反対に、織物に接触するブラシは、搬送されている織物に対して実質的に垂直または平行な縦軸に沿って移動するように構成され得る。
【0117】
機械的撹拌器は、搬送されている織物の速度と異なる速度で移動するように構成され得る。こうすると、機械的撹拌の効果を高めることができる。
【0118】
この装置は、熱交換器をさらに備え得る。この熱交換要素は、汚染除去流体/汚染流体から熱エネルギーを除去して、前記熱エネルギーを、織物に適用される流体に与えるように構成されている。これによって、失われてしまうはずの熱エネルギーが、適用される流体を所望の温度に加熱するのを支援するために再利用され得る。これは、適用される流体を、その要求温度に加熱するために必要な外部熱源からのエネルギーが、より少なくなることを意味する。
【0119】
逆浸透ユニットと熱交換器とを直列に使用して、プロセスの初段から最終段まで熱を再循環させることにより、プロセスからの水の排出量が、室温において10L/kg未満に、より具体的には、室温において1L/kg未満に低減する。なおまた、熱損失が、30%未満(すなわち0.20MJ/kg未満)に、より具体的には20%未満(すなわち0.15MJ/kg未満)に、最も具体的には10%未満(すなわち0.10MJ/kg未満)に低減させる。
【0120】
代わりに、またはそれに加えて、染色された織物の色堅牢度を改善するための装置も提供され、この装置は、染色された織物を、第1の制御可能な環境を有する第1のチャンバであって、染色された織物を第1の期間にわたって一時的に保管するように構成された第1のチャンバと、第2の制御可能な環境を有する第2のチャンバであって、染色された織物を第2の期間にわたって一時的に保管するように構成された第2のチャンバとに搬送するように構成された処理ラインを備える。
【0121】
以前に開示されたように、所定の第1および第2の制御可能な環境の各々が、それぞれ、第1および第2の温度、湿度、圧力、気流速度、および/または不活性ガスを含み得る。
【0122】
第2のチャンバは、第1のチャンバに直接隣接し得る。第2のチャンバを、第1のチャンバに直接隣接させて配置すると、その間を進む織物から失われる熱エネルギーが低減する。
【0123】
第2のチャンバは移動式でよい。第2のチャンバは、染色された織物を移送するために使用され得、したがって、織物が第2のチャンバの中にある時間を、可能性のある使用者まで織物を移動および/または配送するためにも利用する。これによって、染色プロセスの総合効率が向上する。たとえば、第2のチャンバは、断熱されたスキップまたはトロリーでよい。代わりに、またはそれに加えて、第2のチャンバは、積極的に加熱するスキップまたはトロリーでもよい。第2のチャンバは、少なくとも1つのホイール、ローラおよび/またはキャスタを備え得る。より具体的には、第2のチャンバは、複数のホイール、ローラおよび/またはキャスタを備え得る。
【0124】
第1のチャンバは、第2のチャンバの下流に存在し得る。以前に開示されたように、第1のチャンバは第1の内部温度を含み得、第2のチャンバは第1の内部温度よりも低い第2の内部温度を含み得る。第1のチャンバを第2のチャンバの下流に配置すると、織物を、2つの温度のうち高い方まで最も効率的に加熱してから、第2のチャンバまで進めてこれを通すときに、少し冷却することができる。
【0125】
第2のチャンバは温度勾配を含み得る。たとえば、染色された織物は、昇温されてから第2のチャンバに入り得る。織物の熱エネルギーは、第1のチャンバおよび/または第3のチャンバの中にあるとき与えられていてよい。したがって、織物が第2のチャンバを通って搬送されるときの自然冷却によって温度勾配が形成され得る。
【0126】
第1のチャンバは、使用するとき、染色された織物を受け取って、染色された織物のロールを形成するように構成された円筒状コアを備え得る。円筒状コアは円管でよい。コアは、染色された織物を受け取って、染色された織物を効率的にパッケージ化するロールを形成するように構成されている。この統合された形態は、移動、保管、および移送がより容易である。なおまた、円筒状コアは、ロールの全体にわたって圧力を均一に保つように構成され得る。コアは、厚紙、プラスチックまたは金属でよい。
【0127】
この装置は複数のコアを備え得る。たとえば、この装置は2つのコアを備え得る。各コアが、染色された織物を順次に受け取るように構成され得る。
【0128】
第1のチャンバは、織物を切断して、染色された織物の個別のロールを生成するように構成された切断モジュールを備え得る。切断モジュールは刃を備え得る。織物を切断して、染色された織物の個別のロールを生成することにより、各ロールは、所定の長さの染色された織物を含むことができる。これは、ロールのパッケージ化を改善する。
【0129】
第2のチャンバは、染色された織物の個別のロールを複数受け取るように構成され得る。第2のチャンバが、染色された織物の個別のロールを複数受け取ることができれば、装置の効率が向上する。複数の織物のロールは、熱質量が大きいので、所定の温度を生成して維持するために必要な熱量が低減する。
【0130】
代わりに、またはそれに加えて、使用するとき、それぞれの染色された織物の個別のロールが、第2のチャンバを通って移動し得る。なおまた、以前に開示されたように、第2のチャンバは温度勾配を含み得る。染色された織物は、第2のチャンバを通って移動するとき冷却され得る。したがって、第2のチャンバ内に温度勾配をもたらすように使用された熱エネルギーは、続いて染色された織物のロールを加えることによって、少なくとも部分的に受け取られ得る。続いて染色された織物のロールは、第2のチャンバに入るとき約180℃であり得る。続いて染色された織物のロールが第2のチャンバに入るとき、最初に染色された織物のロールは、180℃未満であり得る。たとえば、最初に染色された織物のロールは、約175℃、170℃、165℃、または160℃であり得る。
【0131】
より具体的には、第2のチャンバは、染色された織物の個別のロールを受け取るように構成された第1の開口を有する近位端を備え得る。第2のチャンバは、染色された織物の個別のロールを出力するように構成された第2の開口を有する遠位端を備え得る。第1の開口および第2の開口のそれぞれが、ドアおよび/またはシールを備える。近位端の温度は遠位端の温度よりも高くてよい。たとえば、近位端は約180℃であり得、遠位端は約140℃であり得る。近位端と遠位端との間には、実質的に直線状の温度勾配があり得る。使用するとき、染色された織物のロールは近位端と遠位端との間を移動し得る。染色された織物は、近位端と遠位端との間を移動するのに少なくとも2時間を要する可能性がある。染色された織物のロールが第2のチャンバの遠位端の方へ所定の距離を移動したら、染色された織物の後続のロールが第1の開口を通って第2のチャンバに追加され得る。
【0132】
この装置は、染色された織物を受け取るように構成された固着チャンバをさらに備え得る。固着チャンバは、染色された織物を第3の温度に加熱するように構成された第3の制御可能な環境を備え得る。固着チャンバは、織物を150℃~240℃に加熱するように構成され得る。なおまた、織物が固着チャンバに滞在する時間は10秒まででよい。あるいは、織物が固着チャンバに滞在する時間は、20秒、30秒、40秒または60秒まででもよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、織物が固着チャンバに滞在する時間は60秒よりも長くてよい。固着チャンバは、染料を含む織物の水含有量を低減し、同時に、染料と織物との間の固着プロセスを開始するように構成され得る。
【0133】
固着チャンバは、第1および第2のチャンバの下流に配置され得る。代わりに、またはそれに加えて、固着チャンバは、デジタル染色プロセスの上流に配置されてもよい。代わりに、またはそれに加えて、第1および第2のチャンバが、デジタル染色プロセスの上流に配置されてもよい。デジタル染色プロセスは、WO2020/208362に説明されているものでよく、これの開示は参照によって本明細書に組み込まれる。しかしながら、いくつかの実施形態では、固着チャンバはアナログ染色プロセスの上流に配置され得る。たとえば、固着チャンバは、排気染色プロセス、パッド染色プロセス、噴霧堆積プロセス、高温もしくは低温の移送プロセスおよび/または染料槽の上流に配置され得る。
【0134】
固着チャンバは、染色された織物を加熱するように構成された赤外線(IR)または近赤外線(NIR)の乾燥モジュールを備え得る。IRまたはNIRは、織物を損傷することなく、織物の温度を上昇させて、その上に染料を固着するための効果的なやり方である。IRまたはNIRによって織物に供給されるエネルギーも、容易に扱われ、最適化され得る。その上、デジタル染色および/または赤外線乾燥を使用すると、色堅牢度の性能に悪影響を及ぼす可能性がある織物の繊維の表面上の凝結体の存在をさらに制限し得る。
【0135】
それに応じて、本発明は、染色された織物の色堅牢度および/または手触りを改善するための装置にも関する。本発明は2つの装置を含み、これらは、個々に、または組み合わせて使用され得る。したがって、本発明によれば、染色された織物の色堅牢度を改善するための装置も提供され、この装置は、織物を搬送するための処理ラインと、搬送されている織物に流体を適用するように構成された流体適用器と、搬送されている織物から流体を除去するように構成された流体除去装置と、搬送された織物を受け取るように構成された第1のチャンバであって、第1の制御可能な環境を備え、染色された織物を第1の期間にわたって一時的に保管するように構成された第1のチャンバと、第2の制御可能な環境を有する第2のチャンバであって、染色された織物を第2の期間にわたって一時的に保管するように構成された第2のチャンバとを備える。
【0136】
前述のチャンバ環境の各々が、デジタル的に制御され得る。代わりに、またはそれに加えて、流体適用器および/または流体除去装置がデジタル的に制御され得る。より具体的には、全体の処理ラインがデジタル的に制御され得る。たとえば、処理ラインは制御ユニットを備え得る。制御ユニットはプロセッサを備え得る。制御ユニットは、必要に応じて、温度および/または冷却率を含むがこれに限定されない各チャンバ内の環境を制御するように構成され得る。代わりに、またはそれに加えて、制御ユニットは、処理ラインのパラメータを制御するように構成され得る。処理ラインのパラメータは、それだけではないが、織物が処理ラインに沿って搬送される速度および/または処理ラインの温度を含む。
【0137】
処理ライン、チャンバ環境、流体適用器、および/または流体除去装置は、使用するときデジタル的に制御され得る。したがって、処理ライン、チャンバ環境、流体適用器、および/または流体除去装置は、処理ラインが織物を搬送している間、デジタル的に制御され得る。
【0138】
次に、本発明が、添付図面を参照しながら、例としてのみ、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0139】
図1】本発明のいくつかの実施形態による、染色された織物の色堅牢度を改善するための方法を示す図である。
図2】本発明のいくつかの実施形態による、染色された織物の色堅牢度を改善するための方法を示す図である。
図3】本発明のいくつかの実施形態による、染色された織物の色堅牢度を改善するための方法を示す図である。
図4】本発明のいくつかの実施形態による、染色された織物の色堅牢度を改善するための装置を示す図である。
図5】本発明のいくつかの実施形態による、染色された織物の色堅牢度を改善するための装置を示す図である。
図6】本発明のいくつかの実施形態による、染色された織物の色堅牢度を改善するための装置を示す図である。
図7】本発明のいくつかの実施形態による、染色された織物の色堅牢度を改善するための装置を示す図である。
図8A】螺旋ローラの形態の機械的撹拌器を示す図である。
図8B】ねじローラの形態の機械的撹拌器を示す図である。
図8C】型付けローラの形態の機械的撹拌器を示す図である。
図8D】ローレット切りローラの形態の機械的撹拌器を示す図である。
図9A】ブラシローラの形態の機械的撹拌器の断面図である。
図9B】歯車式ローラの形態の機械的撹拌器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0140】
図1は、染色された織物の色堅牢度を改善するための方法を示す。この方法は、染色された織物を処理ラインに沿って搬送するステップ110と、処理ライン上の第1の位置において、染色された織物に流体を適用するステップ120と、次に、処理ライン上の第2の位置において、染色された織物から、適用された流体の少なくとも50%を除去するステップ130とを含む。
【0141】
より具体的には、この方法は、処理ライン上の第1の位置において、染色された織物に所定量の流体を適用するステップ120を含む。所定の量は、織物の所望の水含有量に基づく。織物に適用される流体の所定の量は、処理ラインに沿った織物の質量流量に基づいて計算される。
【0142】
染色された織物に適用される流体の総質量は、染色された織物の質量の100%~300%でよい。第1の位置において、染色された織物に適用される流体は、一般的には1~20リットル/分で適用される。しかしながら、適用される流体の体積流量は、使用される織物および染料に依拠して変化する。なおまた、織物は、処理ラインに沿って、一般的には1~100メートル/分(m/min)で搬送される。しかしながら、繰返しになるが、織物が処理ラインに沿って搬送される速度は、使用される織物および染料に応じて変化する。
【0143】
処理ライン上の第1の位置において、染色された織物に適用される流体は噴霧される(ステップ120)。この方法は、処理ライン上の第1の位置において、染色された織物に流体を噴霧するステップ120を含む。流体は、複数の噴霧ノズルによって、染色された織物に噴霧され得る。複数の噴霧ノズルは、搬送される織物の全幅にわたって流体を噴霧するように構成されている。
【0144】
流体は、真空によって織物から除去され得る。より具体的には、この方法は、処理ライン上の第2の位置において、真空を使用して、染色された織物から、適用された流体の少なくとも50%を除去するステップ130を含む。
【0145】
この方法は、流体の汚染除去ステップ140をさらに含む。したがって、この方法は、染色された織物を処理ラインに沿って搬送するステップ110と、処理ライン上の第1の位置において、染色された織物に流体を適用するステップ120と、次に、処理ライン上の第2の位置において、染色された織物から、適用された流体の少なくとも50%を除去するステップ130と、除去された流体から汚染物質を除去するステップ140と、染色された織物に流体を再度適用するステップ150とを含む。
【0146】
再度適用される流体は、処理ライン上の第1の位置において再度適用される(ステップ120)。しかしながら、添付図面に示されていない他の実施形態では、再度適用される流体は、処理ライン上の第3の位置において再度適用され得る。
【0147】
この方法は連続的である。したがって、この方法は、染色された織物を処理ラインに沿って連続的に搬送するステップ110と、処理ライン上の第1の位置において、染色された織物に流体を連続的に適用するステップ120と、次に、処理ライン上の第2の位置において、染色された織物から、適用された流体の少なくとも50%を連続的に除去するステップ130とを含む。なおまた、除去された流体から、汚染物質が連続的に除去され(ステップ140)、汚染除去流体は、染色された織物に、連続的に再度適用される(ステップ150)。ステップ150において連続的に再度適用される流体は、処理ライン上の第1の位置において、染色された織物に適用されたものである。汚染除去流体の少なくとも一部分は、ステップ120で、処理ライン上の第1の位置において、染色された織物に適用された流体である。
【0148】
この方法は、流体を、40℃を超えて加熱するステップをさらに含む。したがって、処理ライン上の第1の位置において、染色された織物に適用される流体は40℃を超えて加熱される(ステップ120)。より具体的には、この方法は、流体を、55℃を超えて加熱するステップを含む。
【0149】
この方法は、処理ラインにおける第1の位置を40~95℃まで加熱するステップをさらに含む。より具体的には、処理ライン上の第1の位置における環境の温度は40~95℃である(ステップ120)。最も具体的には、この方法は、処理ラインにおける第1の位置を50~70℃または約60℃まで加熱するステップを含む。
【0150】
この方法は、適用される流体の許容できる流量の範囲を決定するステップと、適用される流体の流量を監視するステップと、適用される流体の流量が許容できる流量の範囲を外れたら、適用される流体の流量を調節するステップとをさらに含む。使用するとき、適用される流体は正確に監視され、調節され得る。
【0151】
この方法は、染色された織物を機械的に撹拌するステップをさらに含む。結果的に、この方法は、染色された織物を処理ラインに沿って搬送するステップ110と、処理ライン上の第1の位置において、染色された織物に流体を適用するステップ120と、織物を撹拌するステップ125と、次に、処理ライン上の第2の位置において、染色された織物から、適用された流体の少なくとも50%を除去するステップ130と、除去された流体から汚染物質を除去するステップ140と、染色された織物に流体を再度適用するステップ150とを含む。
【0152】
機械的撹拌は、流体適用ステップ120と流体除去ステップ130との間に生じる。より具体的には、染色された織物は、処理ラインに沿って搬送されている織物に接触するように構成された一対のローラによって機械的に撹拌される。ローラはニップローラである。機械的撹拌は、処理ライン上の第1の位置と第2の位置との間で生じる。
【0153】
図2は、染色された織物の色堅牢度を改善するための方法を示す。この方法は、染色された織物を、処理ラインに沿って搬送するステップ110と、第1の制御可能な環境を有する第1のチャンバへ搬送するステップ210と、染色された織物を、第1のチャンバの中に第1の期間にわたって一時的に保管するステップ220と、染色された織物を、第2の制御可能な環境を有する第2のチャンバへ搬送するステップ230と、染色された織物を、第2のチャンバの中に第2の期間にわたって一時的に保管するステップ240とを含む。第1の制御可能な環境は、第2の制御可能な環境とは異なる。より具体的には、第2の制御可能な環境は温度勾配を含む。
【0154】
染色された織物は、第1のチャンバへ自動的に搬送される。反対に、染色された織物は、第2のチャンバへ手動で搬送される。
【0155】
この方法は、染色される織物の特性、織物の染色に使用する染料および/または染色された織物に基づいて、第1の制御可能な環境および/または第2の制御可能な環境を調節するステップ215をさらに含む。染料の特性は、染料の濃度、色、色合い、パントン、反射率、水含有量、色指数番号および/または分子量を含む。なおまた、染色された織物および/または染色される織物の特性は、織物の基本重量、吸収能力、反射率、水含有量、厚さ、直径および/またはバッチコードを含む。
【0156】
第1のチャンバは第1の内部温度に保たれ、第2のチャンバは第2の内部温度に保たれる。第2の内部温度は第1の内部温度よりも低い。
【0157】
より具体的には、第1の内部温度は140℃~240℃であり、第2の内部温度は120℃~220℃である。最も具体的には、第1の内部温度は160℃~220℃であり、第2の内部温度は140℃~200℃である。
【0158】
第2の期間は第1の期間よりも長い。より具体的には、第1の期間は少なくとも10分であり、第2の期間は少なくとも30分である。最も具体的には、第1の期間は少なくとも40分であり、第2の期間は少なくとも2時間である。
【0159】
この方法は、染色された織物の冷却率を決定するステップ250と、冷却率に基づいて第1のチャンバおよび/または第2のチャンバの制御可能な環境を調節ステップ260とをさらに含む。冷却率は、織物を1℃冷やすのに要する時間として定義される。なおまた、冷却率は、染色される織物、染色された織物および/または染料の特性に基づいて決定される。冷却率は、織物の染色プロセスに先立って計算される。
【0160】
より具体的には、この方法は、染色された織物を、第2のチャンバの中に、複数の異なる温度で、第2の期間にわたって一時的に保管するステップ240を含む。最も具体的には、この方法は、染色された織物を、第2のチャンバの中で、複数の異なる温度を通して、第2の期間にわたって搬送するステップ240を含む。したがって、第2のチャンバは温度勾配を含む。
【0161】
この方法は、染色された織物を第1のチャンバ内のロールへと統合するステップ270をさらに含む。なおまた、使用するとき、染色された織物が第1のチャンバへと搬送される速度は変化する。より具体的には、染色された織物が第1のチャンバに搬送される速度は、第2のチャンバに搬送される速度よりも高速である。これによって、染色された織物が、第1のチャンバ内で過剰になる。統合された織物ロールは、次いで、処理ラインから分離されて第2のチャンバへ搬送される。同時に、染色された織物の過剰分の統合が始まり、第1のチャンバ内で第2のロールを生成する。加えて、染色された織物の過剰分が統合されるまで、染色された織物が第1のチャンバへ搬送される速度が低下される。
【0162】
統合された織物のロールは、50~3000mの染色された織物を含む。より具体的には、ロールは、500m~1500mまたは約1000mの染色された織物を含む。なおまた、第2のチャンバ内の各ロールは、そのロール軸のまわりで回転され、ロール軸は、ロールを生成するために織物を巻き付けられる軸である。
【0163】
より具体的には、この方法は、複数の染色された織物のロールを、第2のチャンバの中に一時的に保管するステップ240を含む。染色された織物の最初のロールが、第2のチャンバを通って所定の距離を搬送されたら、染色された織物の後続のロールが第2のチャンバに追加され得る。以前に開示されたように、第2のチャンバは温度勾配を含む。したがって、それぞれの染色された織物のロールが、第2のチャンバを通って搬送されるとき冷却される。
【0164】
この方法は、染色された織物を、第3の制御可能な環境を有する固着チャンバを通して搬送するステップ280をさらに含む。より具体的には、染色された織物は、固着チャンバを通って搬送されてから、第1のチャンバおよび/または第2のチャンバの中に一時的に保管される。固着チャンバは、染料を含む織物の水含有量を低減し、同時に、染料と織物との間の固着プロセスを開始するように構成されている。
【0165】
第3の制御可能な環境は第3の内部温度に保たれる。より具体的には、固着チャンバ内の温度は180℃~220℃である。なおまた、固着チャンバは、染色された織物を、1分~15分にわたって第3の温度に加熱するように構成されている。より具体的には、固着チャンバは、染色された織物を、3~8分にわたって第3の温度に加熱するように構成されている。
【0166】
図3は、染色された織物の色堅牢度を改善するための方法を示す。この方法は、染色された織物を処理ラインに沿って搬送するステップ110と、処理ライン上の第1の位置において、染色された織物に流体を適用するステップ120と、次に、処理ライン上の第2の位置において、染色された織物から、適用された流体の少なくとも50%を除去するステップ130と、染色された織物を、第1の制御可能な環境を有する第1のチャンバへ搬送するステップ210と、染色された織物を、第1のチャンバの中に第1の期間にわたって一時的に保管するステップ220と、染色された織物を、第2の制御可能な環境を有する第2のチャンバへ搬送するステップ230と、染色された織物を、第2のチャンバの中に第2の期間にわたって一時的に保管するステップ240とを含む。
【0167】
この方法は、除去された流体から汚染物質を除去するステップ140と、染色された織物に流体を再度適用するステップ150とをさらに含む。なおまた、この方法は、染色された織物125を機械的に撹拌するステップを含み、この機械的撹拌は、流体適用ステップ120と流体除去ステップ130との間、および流体除去ステップ130と流体適用ステップ150との間に生じる。
【0168】
添付図面に示されていないいくつかの実施形態では、この方法は、流路ディスペンサの配列によって、織物に染料を分配するステップをさらに含み得る。染料は、流体適用に先立って織物に分配されてよい。なおまた、染料は無色の分散剤を含み得る。
【0169】
図4は、染色された織物の色堅牢度を改善するための装置を示す。装置400は、織物420を搬送するための処理ライン410と、使用するとき、搬送されている織物420に流体435を適用するように構成された流体適用器430と、使用するとき、搬送されている織物420から流体を除去するように構成された流体除去装置440とを備える。流体除去装置440は流体適用器430の下流に存在する。なおまた、流体除去装置440は、逆浸透ユニット445を介して流体適用器430と流体連通している。
【0170】
流体適用器430および流体除去装置440はチャンバ480の内部にある。チャンバ480の内部環境は加熱されている。より具体的には、チャンバ480の内部環境は40℃~95℃である。最も具体的には、チャンバ480の内部環境は50℃~70℃である。なおまた、流体435は加熱される。流体435は40℃を超えて加熱される。より具体的には、流体は50℃~70℃に加熱される。
【0171】
装置400は、逆浸透ユニット445をさらに備える。逆浸透ユニット445は、濾過ユニット455および流体貯槽450を備える。濾過ユニット455は、流体除去装置440から流体を受け取り、除去された流体435から汚染物質を除去して、汚染除去流体を流体適用器430に供給するように構成されている。より具体的には、濾過ユニット455は、流体除去装置440と流体貯槽450との間に配置され、流体貯槽450と流体連通している。濾過ユニット455は、それぞれが異なる孔径を有する複数のフィルタを備える。
【0172】
流体適用器430は噴霧ノズルを備える。使用するとき、織物の上に流体が噴霧される。より具体的には、流体適用器430は第1の噴霧ヘッド432および第2の噴霧ヘッド434を備える。各噴霧ヘッドが複数の噴霧ノズルを備える。なおまた、流体除去装置440は真空を含む。流体除去装置440は、使用するとき、部分真空を生成するように構成され得る。
【0173】
装置400は、機械的撹拌器460をさらに備える。機械的撹拌器460はローラ462を備える。より具体的には、機械的撹拌器460は、一対のローラ462、464を備える。ローラ462、464は往復運動するローラである。ローラは、開始位置から±10mmにわたって往復運動する。それぞれのローラ462、464が、使用するとき、搬送されている織物420と接触するように構成されている。機械的撹拌器460は、使用するとき、織物の繊維を動かすように構成されている。より具体的には、機械的撹拌器460は目の粗い表面を備える。最も具体的には、それぞれのローラ462、464が目の粗い表面を備える。目の粗い表面を有するローラのいくつかの例が、図8A図8Dおよび図9A図9Bに示されている。
【0174】
図5は、染色された織物の色堅牢度を改善するための装置を示す。装置500は、染色された織物420を、第1の制御可能な環境を有する第1のチャンバ530へと搬送するように構成された処理ライン410を備える。第1のチャンバ530は、染色された織物を、第1の期間にわたって一時的に保管するように構成されている。装置500は、第2の制御可能な環境を有する第2のチャンバ540をさらに備える。第2のチャンバ540は、染色された織物を、第2の期間にわたって一時的に保管するように構成されている。
【0175】
第1のチャンバ530は、使用するとき、染色された織物420を受け取って、染色された織物のロール534を形成するように構成された円筒状コア532を備える。第1のチャンバ530は、織物420を切断して、染色された織物の個別のロール380を生成するように構成された切断モジュール536をさらに備える。切断モジュール536は刃538を備え得る。
【0176】
第2のチャンバ540は、第1のチャンバ530の上流に存在する。なおまた、第2のチャンバ540はホイール542を備える。第2のチャンバ540は移動式である。加えて、第2のチャンバ540は、染色された織物の個別のロール380を複数受け取るように構成されている。
【0177】
第2のチャンバ540は温度勾配を含む。より具体的には、第2のチャンバ540は、第1の開口を有する近位端544を備える。第1の開口545は、染色された織物380を受け取るように構成されている。第2のチャンバ540は、第2の開口547を有する遠位端546を備える。第2の開口547は、染色された織物のロール380を出力するように構成されている。第1の開口545および第2の開口547のそれぞれが、ドアおよび/またはシールを備える。近位端544の温度は遠位端546の温度よりも高い。より具体的には、近位端544は約180℃であり、遠位端547は約140℃である。近位端と遠位端との間には、実質的に直線状の温度勾配がある。染色された織物のロール380は、第2のチャンバ540の近位端544から第2のチャンバ530の遠位端546まで搬送される。より具体的には、染色された織物のロール380は、第2のチャンバ540の近位端544から第2のチャンバ530の遠位端546まで、コンベアベルト548によって搬送される。
【0178】
図6は、染色された織物の色堅牢度を改善するための装置を示す。装置600は、織物420を搬送するための処理ライン410と、搬送されている織物420に流体435を適用するように構成された流体適用器430と、搬送されている織物420から流体を除去するように構成された流体除去装置440と、搬送された織物420を受け取るように構成され、第1の制御可能な環境を備える、第1のチャンバ530と、第2の制御可能な環境を有する第2のチャンバ540とを備える。第1のチャンバ530は、染色された織物を、第1の期間にわたって一時的に保管するように構成されており、第2のチャンバ540は、染色された織物を、第2の期間にわたって一時的に保管するように構成されている。
【0179】
装置600は、流体除去装置440から流体を受け取るように構成された逆浸透ユニット445をさらに備える。逆浸透ユニットは、濾過ユニット455および流体貯槽450を備える。濾過装置455は、除去された流体435の中から汚染物質を除去して、汚染除去流体を流体適用器430に供給するように構成されている。より具体的には、濾過ユニット455は、流体除去装置440と流体貯槽450との間に配置され、流体貯槽450と流体連通している。
【0180】
なおまた、装置600は、織物420を搬送するための処理ライン410を備える。処理ライン410は、染色された織物を搬送する経路を定義するように構成された複数のローラ410によって定義される。任意数のローラ410が使用され得る。複数のローラ410の各々が、互いに対して移動して、処理ラインの長さを延長または短縮するように構成されている。これは、処理ライン上の所定位置における織物の質量流量を制御するために使用され得る。
【0181】
装置600は、染色された織物420を受け取るように構成された固着チャンバ610をさらに備える。固着チャンバ610は、染色された織物420を第3の温度に加熱するように構成された第3の制御可能な環境を備える。より具体的には、固着チャンバは、織物を150℃~240℃に加熱するように構成されている。なおまた、織物は10~60秒にわたって固着チャンバにとどまる。
【0182】
固着チャンバ610は、流体適用器430、流体除去装置440、第1のチャンバ530および第2のチャンバ540の下流に配置されている。なおまた、固着チャンバ610は、添付図面には示されていないデジタル染色プロセスの上流に配置されている。デジタル染色プロセスは、WO2020/208362に説明されている。
【0183】
固着チャンバ610は、染色された織物420の上に配置される乾燥ユニット620を備える。乾燥ユニット620は、エネルギーを電磁波として放射するように構成されている。乾燥ユニットは、20kW~200kWのエネルギーを放射する。たとえば、乾燥ユニットは、染色された織物に約50kWのエネルギーを伝達するように構成されている。90~150kWの乾燥ユニットが使用される。エネルギーは、赤外線(IR)、近赤外線(NIR)、中赤外線(MIR)、マイクロ波および/または紫外線(UV)の形態で放射される。しかしながら、添付図面に示されていないいくつかの実施形態では、プラズマヒータが使用されることもある。
【0184】
乾燥ユニット620は、染色された織物420の近辺から蒸気および/または湿度を除去するように構成された空気流をさらに含む。空気流は、織物の近辺から、1分あたり5リットルまでの水蒸気を除去するように構成される。より具体的には、約25%の水含有量を有する織物420が固着チャンバ610に入る。織物は、0%~10%の水含有量で固着チャンバを出る。
【0185】
固着チャンバ610は、染色された織物420の下に配置される反射器630をさらに備える。反射器630は、染色された織物に伝達される放出エネルギーの量を最適化するように構成される。
【0186】
固着チャンバ610は、染色された織物の温度を測定するように構成された温度センサ640をさらに備える。染色された織物は、ほぼ常温で固着チャンバに入り、常温は、5℃~45℃であるが、より好ましくは10℃~35℃、最も好ましくは15℃~30℃であり得る。固着チャンバ610内の染色された織物420の温度は、5℃~240℃だけ上昇される。たとえば、織物は、約25℃で固着チャンバ610に入り、約240℃で固着チャンバ610を出る。
【0187】
固着チャンバ610は、分配された染料が、織物の基材の中に拡散して、基材と化学的に反応することおよび/または基材と熱的に融合することを可能にするように構成されている。
【0188】
固着チャンバ610の内部環境は100℃~300℃である。より具体的には、固着チャンバ610の内部環境は140℃~240℃である。しかしながら、この温度は、使用するとき、制御および/また調節され得る。
【0189】
図7は、染色された織物の色堅牢度を改善するための装置を示す。装置700は、織物420の搬送するための処理ライン410、462、464、766と、搬送されている織物420に流体435を適用するように構成された流体適用器430と、搬送されている織物420から流体を除去するように構成された流体除去装置440とを備える。処理ライン410、462、464、766は、2つのローラ462と464との間に接続されたベルト駆動730によって駆動される。モータによって、ベルト駆動730に動力が供給される。染色された織物420は、図7を横切って左から右へ移動する。
【0190】
流体適用器430は、チャンバ480の内部に配置されている。チャンバ480の内部温度は40~80℃であり、たとえば約60℃である。流体適用器430は、染色された織物に流体を噴霧するように構成された24のノズルを備える。流体は液体である。流体は、実質的に垂直方向に下方へ(すなわち重力の方向に)噴霧される。噴霧された流体は、噴霧ノズルと染色された織物との間で扇状に広がって、円錐形の噴霧パターンを生成する。染色された織物は、実質的に垂直な軸に対して30°~60°の角度で搬送される。結果的に、噴霧されている流体は、染色された織物と20°~70°の角度で接触する。
【0191】
噴霧されている流体は、加熱要素705によって、60℃以上、より具体的には約80℃~90℃に加熱される。加熱要素705はトレースヒータである。流体は、約45L/minで噴霧される。その上、流体は約0.07MPa(0.7bar)の圧力で噴霧される。装置700は、必要な流体流量および圧力を生成するように構成されたポンプ710を備える。
【0192】
いくつかの実施形態では、流体適用器430は回転するように構成される。より具体的には、流体適用器430は360度まで回転するように構成されており、そのため、噴霧ノズルは、チャンバ480の内部からの過剰染料を洗浄するように使用され得る。
【0193】
チャンバ480は、流体で部分的に満たされる。流体は液体である。流体は、流体適用器430によって噴霧された何らかの過剰流体を含む。より具体的には、流体は主に水である。しかしながら、任意の適切な流体が使用され得る。流体は、図7に示されるようにチャンバ480の下部に集まる。チャンバは、28リットルまでの液体を収容するように構成されている。チャンバは、調節可能な堰722を有するドレン720をさらに備える。調節可能な堰は、液体の量を制御するように、したがってチャンバ480内の液体レベルXを制御するように構成されている。より具体的には、堰722は、処理ラインに沿って搬送される染色された織物が、チャンバ480内の液体レベルの下を通るかどうかを制御するように構成されている。図7において、チャンバ480内の液体レベルは、染色された織物が位置Yにおいて液体の中に沈められるように構成されている。しかしながら、いくつかの実施形態では、液体レベルYは、染色された織物が位置Yにおいて液体レベルの上にとどまるように堰722を調節することによって、低下される。
【0194】
チャンバ480内の過剰液は、堰722を溢れ出て、ドレン720を通ってチャンバ480から出る。ドレン720は、ドレンから流体を流体貯槽450へ給送するように構成されたポンプ724を備える。ポンプ724は、流体を12L/minの流量で給送するように構成されている。ドレンは、堰722と流体貯槽450との間に配置された濾過ユニット455をさらに備える。濾過ユニット455は、流体の中から汚染物質および粒子を除去するように構成されている。
【0195】
なおまた、流体貯槽450は、ポンプ738を有するコンジット736を介して、チャンバ480と流体連通している。ポンプ738は、所定の液体レベルXを維持するために、流体貯槽450から液体をチャンバ480へと給送するように構成されている。ポンプ738は、液体を約10L/minで給送するように構成されている。
【0196】
図7に示されていないいくつかの実施形態では、流体貯槽450は、逆浸透ユニットに対して動作可能に接続されており、逆浸透ユニットは、ポンプによって、流体貯槽450の中から流体を引き出し、流体を、強制的に半透膜に通して汚染物質を除去し、次に、流体を流体貯槽450に戻すように構成されている。
【0197】
流体貯槽450は、10リットルまでの液体を含有するように構成されている。流体貯槽450は、空気などのガスも含む。流体貯槽450は、ポンプ728を通ってバルク流体源726と流体連通している。ポンプ728は、流体貯槽が10リットルの液体を常に含有することを保証するように構成された双方向ポンプである。ポンプ728は、流体を10L/minの流量で給送するように構成されている。
【0198】
チャンバ480は、2つのローラ462、464の形態の機械的撹拌器を備える。第1のローラ462は流体適用器430の上流に配置されており、第2のローラ464は流体適用器430の下流に配置されている。2つのローラ462、464は、染色された織物を引き伸ばすために、第1のローラ462と第2のローラ464との間の染色された織物の動きに対して実質的に平行な第1の軸に沿って往復運動するように構成されている。その上、2つのローラ462、464は、染色された織物を剪断変形させるために、第1のローラ462と第2のローラ464との間の染色された織物の動きに対して横方向の第2の軸に沿って往復運動するように構成されている。これら2つの往復運動は、染色された織物の繊維を撹拌する。なおまた、染色された織物の動きは、軟化剤または芳香剤などの適用された化学物質を染色された織物の繊維に擦り込むように構成される。ローラ462、464の往復運動は、回転カム732によって制御される。
【0199】
チャンバ480は、ニップローラ766とこの事例ではローラ464である第2のローラとの間の通る染色された織物に圧力をかけるように構成されたニップローラ766をさらに備える。しかしながら、図7に示されていない他の実施形態では、別のタイプの第2のローラが使用されることがある。たとえば、いくつかの実施形態では、複数のニップローラ766が使用され得る。ニップローラ766によって、染色された織物に印加される圧力は、148.0~345.3MPa(1500~3500Kg/cm)、197.3~296.0MPa(2000~3000Kg/cm)または約246.7MPa(2500Kg/cm)である。この印加された圧力が、染色された織物から液体を絞り出す。これは、染色された織物の中の液体内容物を50%未満に低減する。より具体的には、ニップローラ766によってかけられた圧力が、染色された織物の液体内容物を45%未満に低減する。
【0200】
流体除去装置440は、織物の上にガスを放出するように構成された円管770を備える。ガスは空気である。しかしながら、任意の適切なガスが使用され得る。いくつかの実施形態では、ガスは芳香剤を含む。ガスも、40~100℃に加熱される。ガスは、より具体的には60~95℃に加熱され、最も具体的には80~90℃に加熱される。ガスは、複数のフィン付きヒータ772によって加熱される。ガスは、円管770から、50~160m/sの速度で放出される。ガスは、より具体的には80~140m/sの速度で、最も具体的には100~120m/sの速度で、円管770から放出される。
【0201】
流体除去装置440は、収集チャンバ773をさらに備え、収集チャンバ773は、液体およびガスを含む流体と、円管770の近くの染色された織物420の表面を通過するかまたはこれから放出される汚染物質や過剰な染料粒子を含むがこれらに限定されないあらゆる固体とを、収集するように構成されている。収集チャンバ773は、流体除去装置440の近くで、染色された織物420と接触するように構成されたナイフエッジローラ778を備える。より具体的には、収集チャンバは複数のナイフエッジローラ778を備える。各ナイフエッジローラ778は、流体除去装置440の結果として生成される、染色された織物の偏向を最小化するために、染色された織物420を支持する。
【0202】
収集チャンバ773は、液体および固体からガスを分離するように構成された分離ユニット774と流体連通している。分離ユニット774は、底部などの第1の端775で液体および固体の粒子を収集して上部などの第2の端776からガスを放出するように構成された渦またはサイクロンを含む。分離ユニット774の第1の端775は、ポンプ715を介して流体貯槽450と流体連通している。ポンプ715は、分離ユニット774の第1の端775で収集された流体を流体貯槽450へ3L/minの流量で給送するように構成されている。分離ユニット774の第2の端776は、複数のフィン付きヒータ772を介して円管770と流体連通している。装置700は、円管分離ユニット774を円管770に接続するコンジット782の中にガス流れを生成するように構成されたファン781をさらに備える。
【0203】
流体除去装置440の下流の染色された織物は、15%未満の液体内容物、より具体的には5~10%の液体内容物を含む。
【0204】
チャンバ480は、流体除去装置440に隣接している染色された織物の近くの空気をイオン化するように構成されたイオン化装置771をさらに備える。これは電荷を低減し、したがって染色された織物の表面張力を低減する。
【0205】
図8Aは、螺旋ローラの形態の機械的撹拌器を示す。機械的撹拌器460はローラ462を備える。ローラ462は目の粗い表面を備える。より具体的には、ローラ462は、外表面に少なくとも1つの突起466を備える。最も具体的には、ローラ462は、外表面に2つの突起466、467を備える。各突起は螺旋形であり、したがってローラの外表面のまわりに螺旋状に巻き付く。各螺旋突起が、ローラの周囲を4回転し、1回転は、ローラの周囲を一周する(すなわち360度の)「ループ」によって定義される。螺旋体の各回転は、間隔を置いている。各回転の間の間隙は溝481である。一例として、第1の回転471および第2の回転472にはラベルが付いている。各螺旋突起は、ローラ462の実質的に半分にわたって延在する。2つの螺旋体は、ローラのほぼ中央で出会う。
【0206】
図8Bは、ねじローラの形態の機械的撹拌器を示す。ねじローラは、螺旋ローラに類似であるが、各突起466、467は、ローラの単位長あたりの巻数が多い。巻数が多ければ、ローラのまわりの螺旋体の密度が高くなる。実際には、螺旋体の密度は、螺旋体の各回転が隣の回転と接触するほど高い。したがって、突起はローラを完全に囲む。繰返しになるが、第1の回転471および第2の回転472には例としてラベルが付いている。
【0207】
図8Cは、型付けローラの形態の機械的撹拌器を示す。ローラ462は、外表面に複数の突起468を備える。図8Cには16の突起が示されているが、ラベルが付いているのは3つだけである。しかしながら、任意数の突起が存在し得る。各突起が、ローラの全周囲のまわりに延在するようにローラを囲む。加えて、各突起は、ローラ462の全周囲のまわりに延在する隆起部またはポイントを備える。
【0208】
図8Dは、ローレット切りローラの形態の機械的撹拌器を示す。ローラ462は、複数の重なる突起473、474を備える。結果的に、ローラは、重なる突起473、474の間に配置された複数の重なる溝481も備える。
【0209】
図9Aは、ブラシローラの形態の機械的撹拌器の断面図を示す。ローラ462は、ローラの外表面から突出する針毛の形態の複数の突起476を備える。各突起476は柔軟である。各針毛は、たとえばナイロンから作製され得る。
【0210】
図9Bは、歯車式ローラの形態の機械的撹拌器の断面図を示す。より具体的には、機械的撹拌器460は、一対のかみ合ったローラ462、464を備える。それぞれのローラ462、464が、使用するとき、搬送されている織物420と接触するように構成されている。より具体的には、織物はローラ462と464との間を搬送される。各ローラ462、464が目の粗い表面を備える。より具体的には、各ローラが複数の突起478を備える。各突起は、固体および/または剛体であり得る。各ローラは、複数の溝も備え、各溝479が、2つの隣接した突起478の間に配置されている。ローラ462と464との対は、一方のローラ462の突起478Aが他方のローラの溝179Bの内部に位置するように構成されて、回転する。そのため、搬送されている織物420は、ローラ462と464との間を通るとき変形する。
【0211】
この発明は、以下の例によってさらに説明されるが、これらの例は説明のみを目的とするものであり、前述の発明を限定する意図はない。本発明の範囲から逸脱することなく、提供された例に対する修正形態が作製され得る。
[例1]
この例では、ロールツーロール堆積ステップのために、WO2020/208362に説明されている連続的なデジタル染色プロセスの使用が採用された。市販の分散染料が、高精度ならびに均一性および湿潤添加物に対する制御を伴って、100%ポリエステル織物に適用された。デジタル手法が、目標の色合いのためにすべての堆積された染料が必須であることを保証し、優れた色堅牢度を達成するために、過剰染料を除去する洗浄ステップが必要とされないことを保証する。結果の湿った織物は、堆積プロセスで使用された搬送水を除去するために赤外線(IR)固着チャンバに通された。IRを使用すると、織物のウェブ幅にわたって染料の均一性をさらに向上させ、織物が湿っている間の凝結体の形成を制限することを保証する。
【0212】
結果の、乾燥した染色済織物のロールは、次いで、200℃の設定温度を有する第1のチャンバへと搬送された。次いで、第1のチャンバの中に織物が5分間滞留し得るように、ライン速度が設定された。熱処理されたロールは、ロールから熱が失われることなく、100mの長さの設定サイズに切断されることを保証するために、第1のチャンバの中に保持される。
【0213】
100mの個別のロールは、次いで、追加の処理のために2時間にわたって第2のチャンバに移動された。固着ユニットの生産速度が維持され得るように、いくつかのロールが切断され、第2のチャンバの中に順に保管され、各ロールが同一の熱的条件に暴露されることを保証する。次いで、ロールは除去され、冷却するために保管された。
【0214】
冷却ステップ中にさらなる拡散が生じる。織物の熱伝導率が低いため、コアに最も近い基材は、さらなる拡散増進を可能にする十分な温度を維持することになる。
【0215】
結果の製品は、色堅牢度が改善され、織物の手触りに影響はなかった。
[例2]
染料の堆積方法は、例1で適用されたものと同一である。
【0216】
結果の、乾燥した染色済織物のロールは、次いで170℃の設定温度を有する第1のチャンバへとロールツーロールのやり方で搬送された。なおまた、高湿度の環境を生成するために第1のチャンバに蒸気が追加された。次いで、加熱蒸気ゾーンの中に織物が8分間滞留し得るように、ライン速度が設定された。次いで、処理された基材は、断熱ドラムへと緩く折り畳まれ、500mの特定の長さに切断された。次いで、追加の熱処理のために、ドラムは、外部熱源によって、180℃に1時間加熱された。結果の製品は、色堅牢度が改善され、織物の手触りに影響はなかった。
【0217】
結果の織物のドラムは、織物の冷却を制限するために第2のチャンバなどの断熱された環境に保持され得る。これは、熱的に強化された拡散のために十分であると見なされる温度における時間を延長する。断熱された搬送装置は、染色された織物の移動を保証するためにも移動可能である。
[例3]
堅牢性が高く、配合助剤が最小限であるかまたは無色の市販の染料が、デジタル染色法を使用して、説明された方法で適用された。目標の色合いを達成するために、正確な量の染料が適用され、装填された織物はIR加熱を使用して乾燥された。界面活性剤または均染剤などの最小限の助剤または無色の助剤を使用すると、この方法を用いる洗浄不要の堅牢度性能をさらに向上させることができる。
【0218】
乾燥した染色済基材は、次いで、固着チャンバの中で、220℃で3分にわたって処理された。結果として生じた高温の基材は、織物が熱を保持することを保証するために第1のチャンバの中で統合されたロールへと再度伸ばされ、目標温度を維持するために必要な追加加熱を最小限にする。結果のロールは、次いで、第2のチャンバへと移動され、ここで1つまたは複数のロールも保温され、様々な時間の範囲の温度ステップで保持される。特定の温度プロファイルは、染料および/または織物に特定のものである。しかしながら、一般的には180℃から140℃までの20℃のステップとなり、各ステップの時間は通常20分となる。これは第2のチャンバによって制御されることになる。
[例4]
染料の堆積方法は、例1で適用されたものと同一である。
【0219】
市販の分散染料が、高精度ならびに均一性および湿潤添加物に対する制御を伴って、適用された。デジタル手法は、ほとんどすべての堆積された染料が目標の色合いのために必要とされることを保証し、表面に残る過剰な未固着染料が最小限になることを保証し、IR加熱によって乾燥させた後に、固着チャンバの中で、200℃で5分間の初期の熱処理を行う。
【0220】
結果として生じた原料は、次いで、再循環された流体の流れ、水とシリコーン軟化剤との組合せに暴露することによって処理された。流体は、噴霧ノズルによって15L/minの流量で織物に適用され、初期の原料織物重量の150%の湿潤添加物を供給する。織物は、次いで、繊維間に動きをもたらしてすべての過剰染料を流体に暴露するように、目の粗いローラを使用して撹拌された。この機械的撹拌プロセスは、仕上げ化学物質の浸透も改善した。次いで、真空除去を使用して、湿潤添加物が20%に低減された。適用、撹拌および除去のこのプロセスは、最適の結果を達成するように繰り返された。結果として生じた色堅牢度の高い織物は、次いで、湿潤添加物が10%未満になるまで乾燥され、真空によって織物から除去された流体は、濾過および逆浸透によって連続的に回収され、プロセスの期間を通じて純水を産出した。
[例5]
染料の堆積方法は、例1、例2および例4で適用されたものと同一である。
【0221】
結果の染色された原料は、次いで、再循環される流体槽に曝露することによって処理された。織物は流体槽を通して浸漬され、織物の重量の300%の湿潤添加物が達成された。次いで、流体槽に続いて、ニップローラを使用して湿潤添加物が100%まで低減され、織物ラインの速度の5倍の相対速度で回転するブラシを使用することによって機械的撹拌が適用され、織物の内部に撹拌を生じさせた。次いで、真空によって流体が除去され、湿潤添加物が40%になり、流体は、濾過によって回収され、流体システムの内部で再生された。結果の織物は、加熱して乾燥され、完成した。
【0222】
当業者には、本発明の様々なさらなる態様および実施形態が、本開示の観点から明らかになるであろう。本明細書で使用される「および/または」は、2つの指定された特徴または構成要素の各々が、他方の特徴または構成要素の有無にかかわらず、特定の開示として解釈されるものとする。たとえば、「Aおよび/またはB」は、(i)A、(ii)B、(iii)AおよびB、の各々が、本明細書で個々に提示されているかのように、具体的な開示として解釈されるものとする。
【0223】
文脈が別途指示する場合を除き、上記で提示された特徴の説明および定義は、本発明の特定の態様または実施形態に限定されることなく、記述されたすべての態様および実施形態に等しく適用されるものとする。本発明は、いくつかの実施形態を例として参照しながら説明されてきたが、開示された実施形態に限定されず、代替実施形態が、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲から逸脱することなく構成され得ることが、当業者にはさらに理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
【国際調査報告】