(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】SREBPシグナル伝達経路活性化薬を用いてマイトファジーを調整する方法
(51)【国際特許分類】
C12N 5/071 20100101AFI20240709BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240709BHJP
A61K 31/138 20060101ALI20240709BHJP
A61K 31/5685 20060101ALI20240709BHJP
A61K 31/27 20060101ALI20240709BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240709BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240709BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240709BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240709BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240709BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240709BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20240709BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240709BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20240709BHJP
A61P 19/04 20060101ALI20240709BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20240709BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240709BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240709BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240709BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240709BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20240709BHJP
A61P 9/06 20060101ALI20240709BHJP
A61P 9/04 20060101ALI20240709BHJP
A61K 38/15 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
C12N5/071
A61K45/00
A61K31/138
A61K31/5685
A61K31/27
A61P43/00 111
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A61P25/28
A61P25/18
A61P35/00
A61P11/06
A61P19/04
A61P9/12
A61P21/00
A61P37/02
A61P17/00
A61P29/00
A61P9/10
A61P9/06
A61P9/04
A61K38/15
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500174
(86)(22)【出願日】2022-07-06
(85)【翻訳文提出日】2024-03-01
(86)【国際出願番号】 US2022073445
(87)【国際公開番号】W WO2023283563
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520477485
【氏名又は名称】ザ・トラスティーズ・オブ・インディアナ・ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100163784
【氏名又は名称】武田 健志
(72)【発明者】
【氏名】デサイ,アンキット・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ナイドゥ,サミスッブ・アール
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065BD21
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4C084AA17
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4C086ZC02
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4C206KA17
(57)【要約】
細胞核における細胞内マイトファジーの刺激を必要とする対象において、ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)C-末端調節ドメインの細胞核内への核移行を誘導する、有効量のSREBPシグナル伝達経路活性化薬を投与することによって、細胞内マイトファジーを刺激する方法を開示する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞とステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)経路の活性化薬とを接触させる工程を含む、細胞中でマイトファジーを強化する方法。
【請求項2】
SREBP経路の活性化薬が、プロプラノロール、R-プロプラノロール、パプアミド、U18666AおよびJW480からなる群から選択される化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
SREBP経路の活性化薬が、R-プロプラノロールである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
SREBP経路の活性化薬が、プロプラノロールである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
SREBP経路の活性化薬が、JW480である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
細胞が、SREBP経路の活性化薬を対象に投与する工程によって、in vivoにおいて接触される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
対象が、マイトファジー機能障害関連の疾患を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
マイトファジー機能障害関連の疾患が、ミトコンドリア疾患、肺/呼吸器疾患、心血管系疾患、肝疾患、腎疾患、神経変性/神経精神疾患およびがんからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
マイトファジー機能障害関連の疾患が、気管支肺異形成症、慢性閉塞性肺疾患、肺がん、喘息、嚢胞性線維症、肺動脈性肺高血圧、炎症性肺疾患、胸膜腔疾患、肺血管疾患、肺炎、肺塞栓症、特発性肺線維症、サルコイドーシス、混合性結合組織疾患、多発性筋炎、皮膚筋炎、および全身性エリテマトーデスからなる群から選択される肺/呼吸器疾患である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
肺/呼吸器疾患が、肺高血圧または肺動脈性肺高血圧である、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
マイトファジー機能障害関連の疾患が、急性心臓虚血イベント、急性心筋梗塞、狭心症、不整脈、アテローム性動脈硬化、および慢性心不全からなる群から選択される心血管系疾患である、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
細胞とステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)経路の活性化薬とを接触させる工程を含む、SREBP C-末端調節ドメインの細胞核内への核移行を増加させる方法。
【請求項13】
SREBP経路の活性化薬が、プロプラノロール、R-プロプラノロール、パプアミド、U18666AおよびJW480からなる群から選択される化合物である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
SREBP経路の活性化薬が、プロプラノロールである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
SREBP経路の活性化薬が、R-プロプラノロールである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
SREBP経路の活性化薬が、JW480である、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
U18666AおよびJW480ならびに薬学的に許容される担体からなる群から選択される化合物を含む医薬組成物。
【請求項18】
プロプラノロール、U18666AおよびJW480からなる群から選択される2種以上の化合物を含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
マイトファジー機能障害を示す細胞と、ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)経路の活性化薬を含む組成物とを、SREBP C-末端調節ドメインの該細胞の核内への核移行を増加させるのに十分な量で接触させる工程を含む、マイトファジー機能障害を処置する方法。
【請求項20】
SREBP経路の活性化薬が、プロプラノロール、R-プロプラノロール、パプアミド、U18666AおよびJW480からなる群から選択される化合物である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
SREBP経路の活性化薬が、プロプラノロールである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
SREBP経路の活性化薬が、R-プロプラノロールである、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
SREBP経路の活性化薬が、JW480である、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
細胞における細胞内マイトファジーの刺激を必要とする対象において、細胞内マイトファジーを刺激する方法であって:R-プロプラノロール、U18666A、JW480および薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される有効量の化合物を、対象における細胞マイトファジーを刺激するのに十分なように対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項25】
細胞における細胞内脂質生合成の刺激を必要とする対象において、細胞内脂質生合成を刺激する方法であって、ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)経路の活性化薬を含む有効量の組成物を、対象における細胞内脂質合成を刺激するのに十分なように対象に投与する工程を含む、上記方法。
【請求項26】
SREBP経路の活性化薬が、プロプラノロール、R-プロプラノロール、パプアミド、U18666AおよびJW480からなる群から選択される化合物である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
SREBP経路の活性化薬が、プロプラノロールである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
SREBP経路の活性化薬が、R-プロプラノロールである、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
SREBP経路の活性化薬が、JW480である、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
細胞内マイトファジー機能障害関連の疾患の処置を必要とする対象において、該疾患を処置する方法であって、有効量のJW480または薬学的に許容されるその塩を対象に投与する工程を含む、上記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は:2021年7月7日に出願された米国仮特許出願第63/219,109号および2021年8月13日に出願された米国仮特許出願第63/232,677号の優先権を主張し、その開示は本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
本開示は、マイトファジーを調整する分野に関する。より詳細には、本開示は、ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)シグナル伝達経路活性化薬を用いてマイトファジーを調整する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
健康なミトコンドリアを維持するために、損傷されたミトコンドリアを除去しながら、新しいミトコンドリア成分を生成する必要が常に存在する。この細胞内「品質管理」機構が適切に機能することが、ミトコンドリアと細胞の両方の恒常性にとって基本的である。マイトファジーは、オートファジー(通例、リソソームを介する)によるミトコンドリア(典型的には損傷されるかまたは機能不全である)の選択的分解であり、細胞におけるミトコンドリアの品質管理を維持するための生命維持機構である。ミトコンドリアオートファジーは、細胞損傷およびアポトーシスを回避するために、全ミトコンドリアの入れ替わりを媒介する唯一の公知の経路である。
【0004】
先行文献に基づくと、脂質および脂肪酸の蓄積および酸化は、ミトコンドリア傷害に関連する。簡潔に言えば、脂質およびコレステロールは、細胞膜および内部の細胞小器官の膜の完全性の維持、エネルギー源の提供、例えば細胞増殖、代謝、炎症およびアポトーシスなどの多くの機能を調節するための細胞シグナル伝達などの正常な生理学的プロセスに必要不可欠である。脂質の恒常性の崩壊は、ヒト疾患を促進する恐れがある。
【0005】
脂質の酸化は、通例、ミトコンドリア中で起こり、一方、細胞質ゾルは脂質合成の場である。酸化された細胞膜脂質は病的であることが多く、酸化された膜脂質と新しく作られた脂質との入れ替わりにおける欠陥は、病態をさらに増悪させる場合がある。しかし、脂質合成がミトコンドリアクリアランスとどのように協調するかは、不明のままである。多くの疾患状況にマイトファジーの機能障害が観察されているにもかかわらず、強固にマイトファジーを誘導して、疾患を処置する臨床的候補または臨床状況で使用される薬物は報告されていない。
【0006】
本明細書で開示するように、出願人は、さまざまな臨床状況で使用される薬物であるプロプラノロールが、SREBP(ステロール調節エレメント結合タンパク質)と呼ばれる分子を介して、マイトファジーを促進し、脂質合成を刺激することを発見した。SREBPの活性化薬の使用を通してマイトファジーを促進する能力は、多くの疾患に影響を及ぼす可能性がある。
【発明の概要】
【0007】
マイトファジーは、分解/損傷/死滅したミトコンドリアを細胞から排除することにかかわる重要な細胞プロセスである。低減するかまたは正常に機能しないマイトファジーは、広範なヒトの疾患(パーキンソン病、アルツハイマー病、心血管系疾患、がん、老化関連疾患)の誘発または増悪に関与する。したがって、欠陥があるかまたは不適切な細胞マイトファジーに対抗することは、欠陥があるかまたは不適切な細胞マイトファジーに関連する疾患状態を処置するための有効な戦略であることが予測される。本明細書で開示するように、出願人は、プロプラノロール(SおよびR)、NCEH1阻害剤、およびSREBP1アゴニストが、標的シグナル伝達カスケードを介して、マイトファジーを強固に誘導し得ることを発見した。より詳細には、NCEH1は、ホスファチジルセリン(PS)とSREBP1の両方に直接的かつ特異的に結合し、SREBP1を細胞質ゾル中に保持することが本明細書で決定された。出願人は、NCEH1-PS相互作用の崩壊が、SREBP1の非正準の活性化をもたらすことを見出した(
図7Aを参照のこと)。出願人はさらに、選択的NCEH1阻害剤であるJW480の使用が、CV傷害:大心筋梗塞(MI)の誘発およびレーザー誘発脈絡膜新生血管(CNV)の2つのin vivoマウスモデルにおいて、マウスを保護することを観察した。
【0008】
2つの明確な目標(SA)を介して、プロプラノロールまたはJW480が、NCEH1-PS相互作用を崩壊させ、SREBP1の非正準の活性化を促進するという仮説の試験を我々は計画する。
【0009】
一態様では、本開示は、細胞における細胞内マイトファジーの刺激を必要とする対象において、ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)シグナル伝達経路活性化薬を、対象における細胞マイトファジーを刺激するのに有効な量で投与することによって、細胞内マイトファジーを刺激する方法に関する。SREBPの活性化は、SREBP C-末端調節ドメインの細胞核内への核移行を誘導し、最適の細胞膜脂質組成物のための新しい脂質生成を刺激し、部分的に、膜損傷を修復し、マイトファジーを誘導することによって、細胞生存を促進する。
【0010】
別の態様では、本開示は、細胞核における細胞内脂質生合成の刺激を必要とする対象において、ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)C-末端調節ドメインの細胞核内への核移行を誘導する、有効量のSREBPシグナル伝達経路活性化薬、または薬学的に許容されるその塩を、対象における細胞内脂質合成を刺激するのに十分なように投与することによって、細胞内脂質生合成を刺激する方法に関する。
【0011】
別の態様では、本開示は、細胞内マイトファジー機能障害関連の疾患の処置を必要とする対象において、ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)C-末端調節ドメインの細胞核内への核移行を誘導する、有効量のSREBPシグナル伝達経路活性化薬を投与することによって、細胞内マイトファジー機能障害関連の疾患を処置する方法に関する。
【0012】
別の態様では、本開示は、細胞における細胞内マイトファジーの刺激を必要とする対象において、ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)N-末端トランス活性化ドメインおよび中性コレステロールエステルヒドロラーゼ1(NCEH1)の細胞核内への核移行を誘導する、有効量のSREBPシグナル伝達経路活性化薬を、対象における細胞マイトファジーを刺激するのに十分な量で投与することによって、細胞内マイトファジーを刺激する方法に関する。
【0013】
別の態様では、本開示は、細胞核における細胞内脂質生合成の刺激を必要とする対象において、細胞内脂質生合成を刺激する方法に関し、該方法は:ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)N-末端トランス活性化ドメインおよび中性コレステロールエステルヒドロラーゼ1(NCEH1)の細胞核内への核移行を誘導する、有効量のSREBPシグナル伝達経路活性化薬を、対象における細胞内脂質合成を刺激するのに十分な量で対象に投与する工程を含む。
【0014】
別の態様では、本開示は、細胞内マイトファジー機能障害関連の疾患の処置を必要とする対象において、ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)N-末端トランス活性化ドメインおよび中性コレステロールエステルヒドロラーゼ1(NCEH1)の細胞核内への核移行を誘導する、有効量のSREBPシグナル伝達経路活性化薬を投与することによって、細胞内マイトファジー機能障害関連の疾患を処置する方法に関する。
【0015】
一実施形態では、SREBPシグナル伝達経路活性化薬および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が提供され、前記活性化薬は、プロプラノロール、R-プロプラノロール、U18666A、JW480、ならびにプロプラノロール、R-プロプラノロール、U18666A、およびJW480の薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
【0016】
別の態様では、本開示は:(a)SREBP C-末端調節ドメインの細胞核内への核移行を誘導するステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)シグナル伝達経路活性化薬を投与する工程と;(b)哺乳動物の血液試料から内皮細胞を収集する工程と;(c)細胞マイトファジーに関して、収集された哺乳動物の内皮細胞を分析する工程と;(d)哺乳動物の標的組織から細胞を収集する工程と;(e)細胞マイトファジーに関して、収集された哺乳動物の標的組織細胞を分析する工程と;(f)哺乳動物の内皮細胞における細胞マイトファジーと、哺乳動物の標的組織細胞における細胞マイトファジーとの相関関係を決定する工程とによって、哺乳動物の標的組織における細胞マイトファジーのバイオマーカーを同定する方法に関する。
【0017】
別の態様では、本開示は:(a)細胞を、SREBPシグナル伝達経路活性化薬の候補と接触させる工程と;(b)マイトファジーおよびSREBP C-末端調節ドメインの存在またはSREBP N-末端トランス活性化ドメインの存在および中性コレステロールエステルヒドロラーゼ1(NCEH1)の細胞核内への核移行に関して、接触させた細胞を分析する工程とによって、ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)シグナル伝達経路活性化薬の候補を同定する方法に関する。
【0018】
別の態様では、本開示は、細胞核における細胞内マイトファジーの刺激を必要とする対象において、有効量のプロプラノロール、JW480、または薬学的に許容されるその塩を、対象における細胞マイトファジーを刺激するのに十分なように投与することによって、細胞内マイトファジーを刺激する方法に関する。
【0019】
別の態様では、本開示は、細胞核における細胞内脂質生合成の刺激を必要とする対象において、有効量のプロプラノロール、JW480、または薬学的に許容されるその塩を、対象における細胞内脂質合成を刺激するのに十分なように投与することによって、細胞内脂質生合成を刺激する方法に関する。
【0020】
別の態様では、本開示は、細胞内マイトファジー機能障害関連の疾患の処置を必要とする対象において、有効量のプロプラノロール、JW480、または薬学的に許容されるその塩を投与することによって、細胞内マイトファジー機能障害関連の疾患を処置する方法に関する。
【0021】
本開示の付加的な実施形態、特色、および利点は、以下の発明を実施するための形態から、および本開示の実践を通して明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1A】
図1A~1Cは、プロプラノロールが、肺動脈内皮細胞(PAEC)におけるマイトファジーを促進することを例示する図である。TIM/TOM複合体は、酸化的リン酸化における使用のために、生成されたタンパク質を核DNAからミトコンドリア膜を通して移行させる、細胞生化学におけるタンパク質複合体である。TOM20は、ミトコンドリア前駆体タンパク質に対する主要な受容体として機能し、ミトコンドリアマーカーとして役立つTOM複合体の周辺成分である。
図1Aは、ドナーまたは肺動脈性肺高血圧(PAH)の患者由来のPAECを、シアン化カルボニルm-クロロフェニルヒドラゾン(CCCP)で処理し、TOM20抗体を用いてブロットした図であり、対照細胞ではCCCPでTOM20が低減し、マイトファジーの誘導におけるその公知の役割と一致したことを示したが、混合TOM20発現を有する疾患細胞におけるマイトファジー誘導の欠如が実証された。
図1Bは、PAH(疾患)由来のPAECを、ビヒクルまたはプロプラノロールで処理し、TOM20を用いてブロットした図であり、TOM20における低減を示し、疾患細胞においてマイトファジーを誘導するプロプラノロールの能力を示唆した。
図1Cは、パネルAからのTOM20レベルの定量化を提供する図である。***:p<0.001プロプラノロールで処理し、抗体で染色したPAECは、プロプラノロールを用いて、TOM20/Lamp1共染色の低減を示し、マイトファジー誘導の顕微鏡による免疫蛍光的証拠を提供した。
【
図1B】
図1A~1Cは、プロプラノロールが、肺動脈内皮細胞(PAEC)におけるマイトファジーを促進することを例示する図である。TIM/TOM複合体は、酸化的リン酸化における使用のために、生成されたタンパク質を核DNAからミトコンドリア膜を通して移行させる、細胞生化学におけるタンパク質複合体である。TOM20は、ミトコンドリア前駆体タンパク質に対する主要な受容体として機能し、ミトコンドリアマーカーとして役立つTOM複合体の周辺成分である。
図1Aは、ドナーまたは肺動脈性肺高血圧(PAH)の患者由来のPAECを、シアン化カルボニルm-クロロフェニルヒドラゾン(CCCP)で処理し、TOM20抗体を用いてブロットした図であり、対照細胞ではCCCPでTOM20が低減し、マイトファジーの誘導におけるその公知の役割と一致したことを示したが、混合TOM20発現を有する疾患細胞におけるマイトファジー誘導の欠如が実証された。
図1Bは、PAH(疾患)由来のPAECを、ビヒクルまたはプロプラノロールで処理し、TOM20を用いてブロットした図であり、TOM20における低減を示し、疾患細胞においてマイトファジーを誘導するプロプラノロールの能力を示唆した。
図1Cは、パネルAからのTOM20レベルの定量化を提供する図である。***:p<0.001プロプラノロールで処理し、抗体で染色したPAECは、プロプラノロールを用いて、TOM20/Lamp1共染色の低減を示し、マイトファジー誘導の顕微鏡による免疫蛍光的証拠を提供した。
【
図1C】
図1A~1Cは、プロプラノロールが、肺動脈内皮細胞(PAEC)におけるマイトファジーを促進することを例示する図である。TIM/TOM複合体は、酸化的リン酸化における使用のために、生成されたタンパク質を核DNAからミトコンドリア膜を通して移行させる、細胞生化学におけるタンパク質複合体である。TOM20は、ミトコンドリア前駆体タンパク質に対する主要な受容体として機能し、ミトコンドリアマーカーとして役立つTOM複合体の周辺成分である。
図1Aは、ドナーまたは肺動脈性肺高血圧(PAH)の患者由来のPAECを、シアン化カルボニルm-クロロフェニルヒドラゾン(CCCP)で処理し、TOM20抗体を用いてブロットした図であり、対照細胞ではCCCPでTOM20が低減し、マイトファジーの誘導におけるその公知の役割と一致したことを示したが、混合TOM20発現を有する疾患細胞におけるマイトファジー誘導の欠如が実証された。
図1Bは、PAH(疾患)由来のPAECを、ビヒクルまたはプロプラノロールで処理し、TOM20を用いてブロットした図であり、TOM20における低減を示し、疾患細胞においてマイトファジーを誘導するプロプラノロールの能力を示唆した。
図1Cは、パネルAからのTOM20レベルの定量化を提供する図である。***:p<0.001プロプラノロールで処理し、抗体で染色したPAECは、プロプラノロールを用いて、TOM20/Lamp1共染色の低減を示し、マイトファジー誘導の顕微鏡による免疫蛍光的証拠を提供した。
【
図2】プロプラノロールが、患者細胞においてマイトファジーを促進することを例示する図である。正常対照内皮細胞(EC)または患者由来のECを、プロプラノロールで処理し、Tom20レベルを判定して、全細胞にわたるTOM20の低減を示し、対照および疾患状態下でマイトファジーを誘導する強固な能力を示唆した。
【
図3】ECにおけるTEM分析によって、プロプラノロールがマイトファジーを誘導することを例示する図である。透過型電子顕微鏡観察は、プロプラノロールへの暴露後、PAH患者からのECにおける顕著なマイトファジーの証拠を示し、ビヒクルによっては示さなかった。
【
図4】プロプラノロールが、ラットにおいて、MCT(モノクロタリン)-誘導されたPAHを減弱することを例示する図である。より詳細には、
図4は、4週間のPAHげっ歯類モデルの最後の2週間、MCTに暴露され、ビヒクルまたはプロプラノロールで処理されたラットの右室収縮期圧(RVSP)測定値を表すグラフである;***:p<0.001。MCT注射は重度のPAHを誘発し、ラットのよく認められたPAHモデルである。プロプラノロールは、PAHの存在および重症度の代替であるRVSPすなわち右室収縮期圧を低減する。ラットの肺切片をH&Eで染色して、組織学的分析は、プロプラノロールへの暴露後、血管の再構築は非常に少なく、血管厚が減弱したことを示し、プロプラノロールが、PAH肺血管再構築および病因を減弱する能力をさらに支持した。
【
図5】R-プロプラノロールが、PAECにおいてマイトファジーを促進することを例示する図である。ECをプロプラノロールまたはR-プロプラノロール(100分の1のベータ-アドレナリン受容体親和性を有する)に暴露し、Tom20レベルを判定した。これらのデータは、プロプラノロールとR-プロプラノロールの両方ともTOM20を低減して、これら両方とも、ECにおけるマイトファジーを誘導することを示唆し、このプロセスが、ベータ-アドレナリン受容体に非依存性であると考えられることを示す。
【
図6】
図6A~6Bは、プロプラノロールがSREBP経路を活性化することを例示する図である。PAECを、公知のSREBP1阻害剤であるファトスタチンの存在下または非存在下でプロプラノロールで処理し、指示されたようにブロットした。
図6Aに示されるように、TOM20レベルはプロプラノロールを用いて低下し、マイトファジーを示唆し、SREBP1レベルはプロプラノロールを用いて低下し、SREBP1の切断および活性化を示唆する。SREBP1の標的であるSCDは、プロプラノロールを用いて増加し、SREBP1活性化を示唆する。ファトスタチンは、SREBP1活性化を阻害し、非切断型SREBP1の増加およびSCDの低減およびTOM20の増加をもたらす(プロプラノロールに対する結果と全て対照的)。プロプラノロールは、ウエスタンブロットの最後のレーンに示されるように、ファトスタチンの阻害剤効果をレスキューすることができる。
図6Bでは、他のベータ遮断薬は、これらの他のベータ遮断薬への暴露後の、EC溶解産物におけるTOM20の増加によって示されるように、マイトファジーを誘導しない。
【
図7A】
図7Aは、NCEH1阻害によるSREBP1活性化の代替経路を示す概略図である。
図7Bは、中性コレステロールエステルヒドロラーゼ1(NCEH1)阻害が、SREBP1を活性化し、マイトファジーを促進することを例示する図である。左のパネルは、指示された化合物の構造を示す。右のパネルは、指示された薬物で処理され、示された抗体を用いてブロットされた細胞のウエスタンブロットを示す。プロプラノロール、R-プロプラノロール、およびJW480は全てSREBP1レベルを低減し、SREBP1の切断および活性化を示す。SCDは3つ全ての薬物で上昇し、3つ全てがSREBP1活性化を活性化し得ることを示す。NCEH1レベルもまた、3つ全ての条件においてより高くなり、NCEH1阻害で、総NCEH1レベルにおける代償的上昇があり得ることを示す。TOM20は全ての薬物で低下し、これら全てがマイトファジーを誘導することを示す。
【
図7B】
図7Aは、NCEH1阻害によるSREBP1活性化の代替経路を示す概略図である。
図7Bは、中性コレステロールエステルヒドロラーゼ1(NCEH1)阻害が、SREBP1を活性化し、マイトファジーを促進することを例示する図である。左のパネルは、指示された化合物の構造を示す。右のパネルは、指示された薬物で処理され、示された抗体を用いてブロットされた細胞のウエスタンブロットを示す。プロプラノロール、R-プロプラノロール、およびJW480は全てSREBP1レベルを低減し、SREBP1の切断および活性化を示す。SCDは3つ全ての薬物で上昇し、3つ全てがSREBP1活性化を活性化し得ることを示す。NCEH1レベルもまた、3つ全ての条件においてより高くなり、NCEH1阻害で、総NCEH1レベルにおける代償的上昇があり得ることを示す。TOM20は全ての薬物で低下し、これら全てがマイトファジーを誘導することを示す。
【
図8】NCEH1がSREBP1に結合することを例示する図である。ECはビヒクルまたはプロプラノロールに暴露され、SREBP1タンパク質複合体は抗-SREBP1抗体に捕捉された。ウエスタンブロットは、NCEH1がSREBP1と会合/結合することを明らかにした。
【
図9A】
図9は、NCEH1が、トランス活性化ドメインでSREBP1と相互作用することを示す図である。SREBP1 C-末端調節ドメイン変異体またはSREBP1全長タンパク質のいずれか(両方ともHAタグ付き)が、Flagタグ付けされたNCEH1と共にヒト細胞(HEK293)にトランスフェクトされた図である(結合アッセイ用にエピトープタグ付けされたNCEH1/SREBP1フラグメントの概略図を提供する
図9Aを参照のこと)。
図9Bに示されるように、NCEH1が、SREBP1のN-末端とC-末端の両方と相互作用し、HA抗体ビーズを使用して両方のSREBP1タンパク質を細胞溶解産物からプルダウンし、Flag抗体を用いてブロットして、SREBP1タンパク質とのNCEH1相互作用を検出した図である。これらのデータは、NCEH1が、SREBP1のトランス活性化ドメインと潜在的に相互作用することを示す。
【
図9B】
図9は、NCEH1が、トランス活性化ドメインでSREBP1と相互作用することを示す図である。SREBP1 C-末端調節ドメイン変異体またはSREBP1全長タンパク質のいずれか(両方ともHAタグ付き)が、Flagタグ付けされたNCEH1と共にヒト細胞(HEK293)にトランスフェクトされた図である(結合アッセイ用にエピトープタグ付けされたNCEH1/SREBP1フラグメントの概略図を提供する
図9Aを参照のこと)。
図9Bに示されるように、NCEH1が、SREBP1のN-末端とC-末端の両方と相互作用し、HA抗体ビーズを使用して両方のSREBP1タンパク質を細胞溶解産物からプルダウンし、Flag抗体を用いてブロットして、SREBP1タンパク質とのNCEH1相互作用を検出した図である。これらのデータは、NCEH1が、SREBP1のトランス活性化ドメインと潜在的に相互作用することを示す。
【
図10A】
図10は、R-プロプラノロールがげっ歯類のPAHを減弱することを示す図である。スゲン(20mg/kg、IP)注射をラットに施し、次に該ラットを低酸素(10% FiO2)に3週間暴露し、次に正常酸素(21% FiO2)に4週間置いて、重度の肺動脈性肺高血圧を発症させた(
図10Aは実験手順の模式図である)。次に、ラットは、r-プロプラノロール(5mg/kg/日、IP)を最後の4週間またはr-プロプラノロール(10mg/kg/日、IP)を最後の2週間またはビヒクルを最後の4週間のいずれかを投与された。ビヒクル暴露されたラットは、右室収縮期圧(RVSP;
図10B)およびRV肥大(RV/(LV+S);
図10C)の代替測定値によって確認されるように、プロトコルの最後に重度のPAHを発症した。R-プロプラノロール暴露は、より高い用量(10mg/kg/日)でRVSPとRV肥大の両方を減弱し、より低い用量(5mg/kg/日)で改善に向かう傾向があった。
【
図10B】
図10は、R-プロプラノロールがげっ歯類のPAHを減弱することを示す図である。スゲン(20mg/kg、IP)注射をラットに施し、次に該ラットを低酸素(10% FiO2)に3週間暴露し、次に正常酸素(21% FiO2)に4週間置いて、重度の肺動脈性肺高血圧を発症させた(
図10Aは実験手順の模式図である)。次に、ラットは、r-プロプラノロール(5mg/kg/日、IP)を最後の4週間またはr-プロプラノロール(10mg/kg/日、IP)を最後の2週間またはビヒクルを最後の4週間のいずれかを投与された。ビヒクル暴露されたラットは、右室収縮期圧(RVSP;
図10B)およびRV肥大(RV/(LV+S);
図10C)の代替測定値によって確認されるように、プロトコルの最後に重度のPAHを発症した。R-プロプラノロール暴露は、より高い用量(10mg/kg/日)でRVSPとRV肥大の両方を減弱し、より低い用量(5mg/kg/日)で改善に向かう傾向があった。
【
図10C】
図10は、R-プロプラノロールがげっ歯類のPAHを減弱することを示す図である。スゲン(20mg/kg、IP)注射をラットに施し、次に該ラットを低酸素(10% FiO2)に3週間暴露し、次に正常酸素(21% FiO2)に4週間置いて、重度の肺動脈性肺高血圧を発症させた(
図10Aは実験手順の模式図である)。次に、ラットは、r-プロプラノロール(5mg/kg/日、IP)を最後の4週間またはr-プロプラノロール(10mg/kg/日、IP)を最後の2週間またはビヒクルを最後の4週間のいずれかを投与された。ビヒクル暴露されたラットは、右室収縮期圧(RVSP;
図10B)およびRV肥大(RV/(LV+S);
図10C)の代替測定値によって確認されるように、プロトコルの最後に重度のPAHを発症した。R-プロプラノロール暴露は、より高い用量(10mg/kg/日)でRVSPとRV肥大の両方を減弱し、より低い用量(5mg/kg/日)で改善に向かう傾向があった。
【
図11A】NCEH1がin vitroでホスファチジルセリン(PS)に特異的に結合することを実証するために使用した、ドットブロット膜ストリップの図式を示す図である。特定の化合物を有する膜を、精製NCEH1タンパク質とインキュベートし、膜をNCEH1抗体で認識させた。
図11Bは、NCEH1が、用量依存的様式でホスファチジルセリン(PS)に特異的に結合することを示す図である。
図11Cは、プロプラノロール/JW480が、in vitroでNCEH1-ホスファチジルセリン相互作用を崩壊させることを実証するために使用した、ドットブロット膜ストリップの図式である。特定の化合物を有する膜を、ビヒクル、プロプラノロールまたはJW480の存在下で精製NCEH1タンパク質とインキュベートし、膜をNCEH1抗体で認識させた。
図11Dは、プロプラノロール/JW480が、NCEH1-ホスファチジルセリン相互作用を崩壊させることを示すデータである。
図11Eは、公知のホスファチジルセリン結合薬(パプアミド)が、JW480活性を再現することを実証する図である。ECをパプアミドで処理し、細胞抽出物を、指示された抗体を用いてブロットした。パプアミドは、NCEH1阻害剤であるJW480と同様に非正準のSREBP1経路を活性化し、パプアミドがECにおけるSREBP1の核移行を促進することが見出された。
【
図11B】NCEH1がin vitroでホスファチジルセリン(PS)に特異的に結合することを実証するために使用した、ドットブロット膜ストリップの図式を示す図である。特定の化合物を有する膜を、精製NCEH1タンパク質とインキュベートし、膜をNCEH1抗体で認識させた。
図11Bは、NCEH1が、用量依存的様式でホスファチジルセリン(PS)に特異的に結合することを示す図である。
図11Cは、プロプラノロール/JW480が、in vitroでNCEH1-ホスファチジルセリン相互作用を崩壊させることを実証するために使用した、ドットブロット膜ストリップの図式である。特定の化合物を有する膜を、ビヒクル、プロプラノロールまたはJW480の存在下で精製NCEH1タンパク質とインキュベートし、膜をNCEH1抗体で認識させた。
図11Dは、プロプラノロール/JW480が、NCEH1-ホスファチジルセリン相互作用を崩壊させることを示すデータである。
図11Eは、公知のホスファチジルセリン結合薬(パプアミド)が、JW480活性を再現することを実証する図である。ECをパプアミドで処理し、細胞抽出物を、指示された抗体を用いてブロットした。パプアミドは、NCEH1阻害剤であるJW480と同様に非正準のSREBP1経路を活性化し、パプアミドがECにおけるSREBP1の核移行を促進することが見出された。
【
図11C】NCEH1がin vitroでホスファチジルセリン(PS)に特異的に結合することを実証するために使用した、ドットブロット膜ストリップの図式を示す図である。特定の化合物を有する膜を、精製NCEH1タンパク質とインキュベートし、膜をNCEH1抗体で認識させた。
図11Bは、NCEH1が、用量依存的様式でホスファチジルセリン(PS)に特異的に結合することを示す図である。
図11Cは、プロプラノロール/JW480が、in vitroでNCEH1-ホスファチジルセリン相互作用を崩壊させることを実証するために使用した、ドットブロット膜ストリップの図式である。特定の化合物を有する膜を、ビヒクル、プロプラノロールまたはJW480の存在下で精製NCEH1タンパク質とインキュベートし、膜をNCEH1抗体で認識させた。
図11Dは、プロプラノロール/JW480が、NCEH1-ホスファチジルセリン相互作用を崩壊させることを示すデータである。
図11Eは、公知のホスファチジルセリン結合薬(パプアミド)が、JW480活性を再現することを実証する図である。ECをパプアミドで処理し、細胞抽出物を、指示された抗体を用いてブロットした。パプアミドは、NCEH1阻害剤であるJW480と同様に非正準のSREBP1経路を活性化し、パプアミドがECにおけるSREBP1の核移行を促進することが見出された。
【
図11D】NCEH1がin vitroでホスファチジルセリン(PS)に特異的に結合することを実証するために使用した、ドットブロット膜ストリップの図式を示す図である。特定の化合物を有する膜を、精製NCEH1タンパク質とインキュベートし、膜をNCEH1抗体で認識させた。
図11Bは、NCEH1が、用量依存的様式でホスファチジルセリン(PS)に特異的に結合することを示す図である。
図11Cは、プロプラノロール/JW480が、in vitroでNCEH1-ホスファチジルセリン相互作用を崩壊させることを実証するために使用した、ドットブロット膜ストリップの図式である。特定の化合物を有する膜を、ビヒクル、プロプラノロールまたはJW480の存在下で精製NCEH1タンパク質とインキュベートし、膜をNCEH1抗体で認識させた。
図11Dは、プロプラノロール/JW480が、NCEH1-ホスファチジルセリン相互作用を崩壊させることを示すデータである。
図11Eは、公知のホスファチジルセリン結合薬(パプアミド)が、JW480活性を再現することを実証する図である。ECをパプアミドで処理し、細胞抽出物を、指示された抗体を用いてブロットした。パプアミドは、NCEH1阻害剤であるJW480と同様に非正準のSREBP1経路を活性化し、パプアミドがECにおけるSREBP1の核移行を促進することが見出された。
【
図11E】NCEH1がin vitroでホスファチジルセリン(PS)に特異的に結合することを実証するために使用した、ドットブロット膜ストリップの図式を示す図である。特定の化合物を有する膜を、精製NCEH1タンパク質とインキュベートし、膜をNCEH1抗体で認識させた。
図11Bは、NCEH1が、用量依存的様式でホスファチジルセリン(PS)に特異的に結合することを示す図である。
図11Cは、プロプラノロール/JW480が、in vitroでNCEH1-ホスファチジルセリン相互作用を崩壊させることを実証するために使用した、ドットブロット膜ストリップの図式である。特定の化合物を有する膜を、ビヒクル、プロプラノロールまたはJW480の存在下で精製NCEH1タンパク質とインキュベートし、膜をNCEH1抗体で認識させた。
図11Dは、プロプラノロール/JW480が、NCEH1-ホスファチジルセリン相互作用を崩壊させることを示すデータである。
図11Eは、公知のホスファチジルセリン結合薬(パプアミド)が、JW480活性を再現することを実証する図である。ECをパプアミドで処理し、細胞抽出物を、指示された抗体を用いてブロットした。パプアミドは、NCEH1阻害剤であるJW480と同様に非正準のSREBP1経路を活性化し、パプアミドがECにおけるSREBP1の核移行を促進することが見出された。
【
図12】NCEH1阻害が、心筋梗塞(MI)マウスモデルにおいて心不全から保護することを提供する図である。
【
図13】NCEH1阻害が、マウスCNVモデルにおいて血管漏出から保護することを示す図である。
図13Aは、JW480投与を用いるかまたは用いない場合の1眼球当たりの平均漏出を示す図である。
図13Bは、JW480投与を用いるかまたは用いない場合の1眼球当たりの平均CNVを示す図である。
【
図14】高脂肪食を与えられたマウスモデルを使用して、AKR/Jマウスは肥満、インスリン抵抗性、駆出率が保たれた心不全、および肺高血圧を発症し、「HF-PHマウス」と表される。これらのマウスは、プロプラノロールまたはR-プロプラノロールを投与され、
図14は、処理の4週間後のHF-PHマウス(N=5~7)の右室収縮期圧を提供する図である。
【
図15A】
図15は、R-プロプラノロールがげっ歯類のPAHを減弱することを示す図である。スゲン(20mg/kg、IP)注射をラットに施し、次に該ラットを低酸素(10% FiO2)に3週間暴露し、次に正常酸素(21% FiO2)に4週間置いて、重度の肺動脈性肺高血圧を発症させた(
図15Aは実験手順の図式である)。次に、7週間のうちの3週間、スゲンを受けたラット(SuHx)は、r-プロプラノロール(5mg/kg/日、IP)を最後の4週間またはr-プロプラノロール(10mg/kg/日、IP)を最後の2週間またはビヒクルを最後の4週間のいずれかを投与された。ビヒクル暴露された、SuHx処理ラット(対照は処理されていない)は、右心室圧(RVP;
図15B)および右室収縮期圧(RVSP;
図15C、レーン1:対照;レーン2:対照+r-プロプラノロール5mg;レーン3:SuHx 3wk;レーン4:SuHx 7wk;レーン5:SuHx+r-プロプラノロール5mg;SuHx+r-プロプラノロール10mg)および代替測定値のRV肥大(
図15D~15J)によって確認されるように、プロトコルの最後に重度のPAHを発症した。R-プロプラノロール暴露は、より高い用量(10mg/kg/日)でRVSPとRV肥大の両方を減弱し、より低い用量(5mg/kg/日)で改善に向かう傾向があった。
図15Kは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットのPA厚を示す図である。
図15Lは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットのRV横断面厚を示す図である。
図15Mは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットの間質性線維症を示す図である。
【
図15B】
図15は、R-プロプラノロールがげっ歯類のPAHを減弱することを示す図である。スゲン(20mg/kg、IP)注射をラットに施し、次に該ラットを低酸素(10% FiO2)に3週間暴露し、次に正常酸素(21% FiO2)に4週間置いて、重度の肺動脈性肺高血圧を発症させた(
図15Aは実験手順の図式である)。次に、7週間のうちの3週間、スゲンを受けたラット(SuHx)は、r-プロプラノロール(5mg/kg/日、IP)を最後の4週間またはr-プロプラノロール(10mg/kg/日、IP)を最後の2週間またはビヒクルを最後の4週間のいずれかを投与された。ビヒクル暴露された、SuHx処理ラット(対照は処理されていない)は、右心室圧(RVP;
図15B)および右室収縮期圧(RVSP;
図15C、レーン1:対照;レーン2:対照+r-プロプラノロール5mg;レーン3:SuHx 3wk;レーン4:SuHx 7wk;レーン5:SuHx+r-プロプラノロール5mg;SuHx+r-プロプラノロール10mg)および代替測定値のRV肥大(
図15D~15J)によって確認されるように、プロトコルの最後に重度のPAHを発症した。R-プロプラノロール暴露は、より高い用量(10mg/kg/日)でRVSPとRV肥大の両方を減弱し、より低い用量(5mg/kg/日)で改善に向かう傾向があった。
図15Kは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットのPA厚を示す図である。
図15Lは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットのRV横断面厚を示す図である。
図15Mは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットの間質性線維症を示す図である。
【
図15C】
図15は、R-プロプラノロールがげっ歯類のPAHを減弱することを示す図である。スゲン(20mg/kg、IP)注射をラットに施し、次に該ラットを低酸素(10% FiO2)に3週間暴露し、次に正常酸素(21% FiO2)に4週間置いて、重度の肺動脈性肺高血圧を発症させた(
図15Aは実験手順の図式である)。次に、7週間のうちの3週間、スゲンを受けたラット(SuHx)は、r-プロプラノロール(5mg/kg/日、IP)を最後の4週間またはr-プロプラノロール(10mg/kg/日、IP)を最後の2週間またはビヒクルを最後の4週間のいずれかを投与された。ビヒクル暴露された、SuHx処理ラット(対照は処理されていない)は、右心室圧(RVP;
図15B)および右室収縮期圧(RVSP;
図15C、レーン1:対照;レーン2:対照+r-プロプラノロール5mg;レーン3:SuHx 3wk;レーン4:SuHx 7wk;レーン5:SuHx+r-プロプラノロール5mg;SuHx+r-プロプラノロール10mg)および代替測定値のRV肥大(
図15D~15J)によって確認されるように、プロトコルの最後に重度のPAHを発症した。R-プロプラノロール暴露は、より高い用量(10mg/kg/日)でRVSPとRV肥大の両方を減弱し、より低い用量(5mg/kg/日)で改善に向かう傾向があった。
図15Kは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットのPA厚を示す図である。
図15Lは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットのRV横断面厚を示す図である。
図15Mは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットの間質性線維症を示す図である。
【
図15D】
図15は、R-プロプラノロールがげっ歯類のPAHを減弱することを示す図である。スゲン(20mg/kg、IP)注射をラットに施し、次に該ラットを低酸素(10% FiO2)に3週間暴露し、次に正常酸素(21% FiO2)に4週間置いて、重度の肺動脈性肺高血圧を発症させた(
図15Aは実験手順の図式である)。次に、7週間のうちの3週間、スゲンを受けたラット(SuHx)は、r-プロプラノロール(5mg/kg/日、IP)を最後の4週間またはr-プロプラノロール(10mg/kg/日、IP)を最後の2週間またはビヒクルを最後の4週間のいずれかを投与された。ビヒクル暴露された、SuHx処理ラット(対照は処理されていない)は、右心室圧(RVP;
図15B)および右室収縮期圧(RVSP;
図15C、レーン1:対照;レーン2:対照+r-プロプラノロール5mg;レーン3:SuHx 3wk;レーン4:SuHx 7wk;レーン5:SuHx+r-プロプラノロール5mg;SuHx+r-プロプラノロール10mg)および代替測定値のRV肥大(
図15D~15J)によって確認されるように、プロトコルの最後に重度のPAHを発症した。R-プロプラノロール暴露は、より高い用量(10mg/kg/日)でRVSPとRV肥大の両方を減弱し、より低い用量(5mg/kg/日)で改善に向かう傾向があった。
図15Kは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットのPA厚を示す図である。
図15Lは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットのRV横断面厚を示す図である。
図15Mは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットの間質性線維症を示す図である。
【
図15E】
図15は、R-プロプラノロールがげっ歯類のPAHを減弱することを示す図である。スゲン(20mg/kg、IP)注射をラットに施し、次に該ラットを低酸素(10% FiO2)に3週間暴露し、次に正常酸素(21% FiO2)に4週間置いて、重度の肺動脈性肺高血圧を発症させた(
図15Aは実験手順の図式である)。次に、7週間のうちの3週間、スゲンを受けたラット(SuHx)は、r-プロプラノロール(5mg/kg/日、IP)を最後の4週間またはr-プロプラノロール(10mg/kg/日、IP)を最後の2週間またはビヒクルを最後の4週間のいずれかを投与された。ビヒクル暴露された、SuHx処理ラット(対照は処理されていない)は、右心室圧(RVP;
図15B)および右室収縮期圧(RVSP;
図15C、レーン1:対照;レーン2:対照+r-プロプラノロール5mg;レーン3:SuHx 3wk;レーン4:SuHx 7wk;レーン5:SuHx+r-プロプラノロール5mg;SuHx+r-プロプラノロール10mg)および代替測定値のRV肥大(
図15D~15J)によって確認されるように、プロトコルの最後に重度のPAHを発症した。R-プロプラノロール暴露は、より高い用量(10mg/kg/日)でRVSPとRV肥大の両方を減弱し、より低い用量(5mg/kg/日)で改善に向かう傾向があった。
図15Kは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットのPA厚を示す図である。
図15Lは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットのRV横断面厚を示す図である。
図15Mは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットの間質性線維症を示す図である。
【
図15F】
図15は、R-プロプラノロールがげっ歯類のPAHを減弱することを示す図である。スゲン(20mg/kg、IP)注射をラットに施し、次に該ラットを低酸素(10% FiO2)に3週間暴露し、次に正常酸素(21% FiO2)に4週間置いて、重度の肺動脈性肺高血圧を発症させた(
図15Aは実験手順の図式である)。次に、7週間のうちの3週間、スゲンを受けたラット(SuHx)は、r-プロプラノロール(5mg/kg/日、IP)を最後の4週間またはr-プロプラノロール(10mg/kg/日、IP)を最後の2週間またはビヒクルを最後の4週間のいずれかを投与された。ビヒクル暴露された、SuHx処理ラット(対照は処理されていない)は、右心室圧(RVP;
図15B)および右室収縮期圧(RVSP;
図15C、レーン1:対照;レーン2:対照+r-プロプラノロール5mg;レーン3:SuHx 3wk;レーン4:SuHx 7wk;レーン5:SuHx+r-プロプラノロール5mg;SuHx+r-プロプラノロール10mg)および代替測定値のRV肥大(
図15D~15J)によって確認されるように、プロトコルの最後に重度のPAHを発症した。R-プロプラノロール暴露は、より高い用量(10mg/kg/日)でRVSPとRV肥大の両方を減弱し、より低い用量(5mg/kg/日)で改善に向かう傾向があった。
図15Kは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットのPA厚を示す図である。
図15Lは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットのRV横断面厚を示す図である。
図15Mは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットの間質性線維症を示す図である。
【
図15G】
図15は、R-プロプラノロールがげっ歯類のPAHを減弱することを示す図である。スゲン(20mg/kg、IP)注射をラットに施し、次に該ラットを低酸素(10% FiO2)に3週間暴露し、次に正常酸素(21% FiO2)に4週間置いて、重度の肺動脈性肺高血圧を発症させた(
図15Aは実験手順の図式である)。次に、7週間のうちの3週間、スゲンを受けたラット(SuHx)は、r-プロプラノロール(5mg/kg/日、IP)を最後の4週間またはr-プロプラノロール(10mg/kg/日、IP)を最後の2週間またはビヒクルを最後の4週間のいずれかを投与された。ビヒクル暴露された、SuHx処理ラット(対照は処理されていない)は、右心室圧(RVP;
図15B)および右室収縮期圧(RVSP;
図15C、レーン1:対照;レーン2:対照+r-プロプラノロール5mg;レーン3:SuHx 3wk;レーン4:SuHx 7wk;レーン5:SuHx+r-プロプラノロール5mg;SuHx+r-プロプラノロール10mg)および代替測定値のRV肥大(
図15D~15J)によって確認されるように、プロトコルの最後に重度のPAHを発症した。R-プロプラノロール暴露は、より高い用量(10mg/kg/日)でRVSPとRV肥大の両方を減弱し、より低い用量(5mg/kg/日)で改善に向かう傾向があった。
図15Kは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットのPA厚を示す図である。
図15Lは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットのRV横断面厚を示す図である。
図15Mは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットの間質性線維症を示す図である。
【
図15H】
図15は、R-プロプラノロールがげっ歯類のPAHを減弱することを示す図である。スゲン(20mg/kg、IP)注射をラットに施し、次に該ラットを低酸素(10% FiO2)に3週間暴露し、次に正常酸素(21% FiO2)に4週間置いて、重度の肺動脈性肺高血圧を発症させた(
図15Aは実験手順の図式である)。次に、7週間のうちの3週間、スゲンを受けたラット(SuHx)は、r-プロプラノロール(5mg/kg/日、IP)を最後の4週間またはr-プロプラノロール(10mg/kg/日、IP)を最後の2週間またはビヒクルを最後の4週間のいずれかを投与された。ビヒクル暴露された、SuHx処理ラット(対照は処理されていない)は、右心室圧(RVP;
図15B)および右室収縮期圧(RVSP;
図15C、レーン1:対照;レーン2:対照+r-プロプラノロール5mg;レーン3:SuHx 3wk;レーン4:SuHx 7wk;レーン5:SuHx+r-プロプラノロール5mg;SuHx+r-プロプラノロール10mg)および代替測定値のRV肥大(
図15D~15J)によって確認されるように、プロトコルの最後に重度のPAHを発症した。R-プロプラノロール暴露は、より高い用量(10mg/kg/日)でRVSPとRV肥大の両方を減弱し、より低い用量(5mg/kg/日)で改善に向かう傾向があった。
図15Kは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットのPA厚を示す図である。
図15Lは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットのRV横断面厚を示す図である。
図15Mは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットの間質性線維症を示す図である。
【
図15I】
図15は、R-プロプラノロールがげっ歯類のPAHを減弱することを示す図である。スゲン(20mg/kg、IP)注射をラットに施し、次に該ラットを低酸素(10% FiO2)に3週間暴露し、次に正常酸素(21% FiO2)に4週間置いて、重度の肺動脈性肺高血圧を発症させた(
図15Aは実験手順の図式である)。次に、7週間のうちの3週間、スゲンを受けたラット(SuHx)は、r-プロプラノロール(5mg/kg/日、IP)を最後の4週間またはr-プロプラノロール(10mg/kg/日、IP)を最後の2週間またはビヒクルを最後の4週間のいずれかを投与された。ビヒクル暴露された、SuHx処理ラット(対照は処理されていない)は、右心室圧(RVP;
図15B)および右室収縮期圧(RVSP;
図15C、レーン1:対照;レーン2:対照+r-プロプラノロール5mg;レーン3:SuHx 3wk;レーン4:SuHx 7wk;レーン5:SuHx+r-プロプラノロール5mg;SuHx+r-プロプラノロール10mg)および代替測定値のRV肥大(
図15D~15J)によって確認されるように、プロトコルの最後に重度のPAHを発症した。R-プロプラノロール暴露は、より高い用量(10mg/kg/日)でRVSPとRV肥大の両方を減弱し、より低い用量(5mg/kg/日)で改善に向かう傾向があった。
図15Kは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットのPA厚を示す図である。
図15Lは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットのRV横断面厚を示す図である。
図15Mは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットの間質性線維症を示す図である。
【
図15J】
図15は、R-プロプラノロールがげっ歯類のPAHを減弱することを示す図である。スゲン(20mg/kg、IP)注射をラットに施し、次に該ラットを低酸素(10% FiO2)に3週間暴露し、次に正常酸素(21% FiO2)に4週間置いて、重度の肺動脈性肺高血圧を発症させた(
図15Aは実験手順の図式である)。次に、7週間のうちの3週間、スゲンを受けたラット(SuHx)は、r-プロプラノロール(5mg/kg/日、IP)を最後の4週間またはr-プロプラノロール(10mg/kg/日、IP)を最後の2週間またはビヒクルを最後の4週間のいずれかを投与された。ビヒクル暴露された、SuHx処理ラット(対照は処理されていない)は、右心室圧(RVP;
図15B)および右室収縮期圧(RVSP;
図15C、レーン1:対照;レーン2:対照+r-プロプラノロール5mg;レーン3:SuHx 3wk;レーン4:SuHx 7wk;レーン5:SuHx+r-プロプラノロール5mg;SuHx+r-プロプラノロール10mg)および代替測定値のRV肥大(
図15D~15J)によって確認されるように、プロトコルの最後に重度のPAHを発症した。R-プロプラノロール暴露は、より高い用量(10mg/kg/日)でRVSPとRV肥大の両方を減弱し、より低い用量(5mg/kg/日)で改善に向かう傾向があった。
図15Kは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットのPA厚を示す図である。
図15Lは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットのRV横断面厚を示す図である。
図15Mは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットの間質性線維症を示す図である。
【
図15K】
図15は、R-プロプラノロールがげっ歯類のPAHを減弱することを示す図である。スゲン(20mg/kg、IP)注射をラットに施し、次に該ラットを低酸素(10% FiO2)に3週間暴露し、次に正常酸素(21% FiO2)に4週間置いて、重度の肺動脈性肺高血圧を発症させた(
図15Aは実験手順の図式である)。次に、7週間のうちの3週間、スゲンを受けたラット(SuHx)は、r-プロプラノロール(5mg/kg/日、IP)を最後の4週間またはr-プロプラノロール(10mg/kg/日、IP)を最後の2週間またはビヒクルを最後の4週間のいずれかを投与された。ビヒクル暴露された、SuHx処理ラット(対照は処理されていない)は、右心室圧(RVP;
図15B)および右室収縮期圧(RVSP;
図15C、レーン1:対照;レーン2:対照+r-プロプラノロール5mg;レーン3:SuHx 3wk;レーン4:SuHx 7wk;レーン5:SuHx+r-プロプラノロール5mg;SuHx+r-プロプラノロール10mg)および代替測定値のRV肥大(
図15D~15J)によって確認されるように、プロトコルの最後に重度のPAHを発症した。R-プロプラノロール暴露は、より高い用量(10mg/kg/日)でRVSPとRV肥大の両方を減弱し、より低い用量(5mg/kg/日)で改善に向かう傾向があった。
図15Kは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットのPA厚を示す図である。
図15Lは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットのRV横断面厚を示す図である。
図15Mは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットの間質性線維症を示す図である。
【
図15L】
図15は、R-プロプラノロールがげっ歯類のPAHを減弱することを示す図である。スゲン(20mg/kg、IP)注射をラットに施し、次に該ラットを低酸素(10% FiO2)に3週間暴露し、次に正常酸素(21% FiO2)に4週間置いて、重度の肺動脈性肺高血圧を発症させた(
図15Aは実験手順の図式である)。次に、7週間のうちの3週間、スゲンを受けたラット(SuHx)は、r-プロプラノロール(5mg/kg/日、IP)を最後の4週間またはr-プロプラノロール(10mg/kg/日、IP)を最後の2週間またはビヒクルを最後の4週間のいずれかを投与された。ビヒクル暴露された、SuHx処理ラット(対照は処理されていない)は、右心室圧(RVP;
図15B)および右室収縮期圧(RVSP;
図15C、レーン1:対照;レーン2:対照+r-プロプラノロール5mg;レーン3:SuHx 3wk;レーン4:SuHx 7wk;レーン5:SuHx+r-プロプラノロール5mg;SuHx+r-プロプラノロール10mg)および代替測定値のRV肥大(
図15D~15J)によって確認されるように、プロトコルの最後に重度のPAHを発症した。R-プロプラノロール暴露は、より高い用量(10mg/kg/日)でRVSPとRV肥大の両方を減弱し、より低い用量(5mg/kg/日)で改善に向かう傾向があった。
図15Kは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットのPA厚を示す図である。
図15Lは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットのRV横断面厚を示す図である。
図15Mは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットの間質性線維症を示す図である。
【
図15M】
図15は、R-プロプラノロールがげっ歯類のPAHを減弱することを示す図である。スゲン(20mg/kg、IP)注射をラットに施し、次に該ラットを低酸素(10% FiO2)に3週間暴露し、次に正常酸素(21% FiO2)に4週間置いて、重度の肺動脈性肺高血圧を発症させた(
図15Aは実験手順の図式である)。次に、7週間のうちの3週間、スゲンを受けたラット(SuHx)は、r-プロプラノロール(5mg/kg/日、IP)を最後の4週間またはr-プロプラノロール(10mg/kg/日、IP)を最後の2週間またはビヒクルを最後の4週間のいずれかを投与された。ビヒクル暴露された、SuHx処理ラット(対照は処理されていない)は、右心室圧(RVP;
図15B)および右室収縮期圧(RVSP;
図15C、レーン1:対照;レーン2:対照+r-プロプラノロール5mg;レーン3:SuHx 3wk;レーン4:SuHx 7wk;レーン5:SuHx+r-プロプラノロール5mg;SuHx+r-プロプラノロール10mg)および代替測定値のRV肥大(
図15D~15J)によって確認されるように、プロトコルの最後に重度のPAHを発症した。R-プロプラノロール暴露は、より高い用量(10mg/kg/日)でRVSPとRV肥大の両方を減弱し、より低い用量(5mg/kg/日)で改善に向かう傾向があった。
図15Kは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットのPA厚を示す図である。
図15Lは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットのRV横断面厚を示す図である。
図15Mは、ビヒクル暴露対r-プロプラノロール暴露を用いた、SuHx処理ラットの間質性線維症を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示は、最初に本明細書に開示された、マイトファジーを刺激する非正準のSREBPシグナル伝達経路活性化の発見に関する。
本開示がさらに記載される前に、本開示は、当然のことながら実施形態は変化し得るので、記載された特定の実施形態に限定されることはないことを理解されたい。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としたものであり、限定することを意図したものではないことも理解されたい。
【0024】
別段に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。言及された全ての特許、出願、公開された出願および他の刊行物は、その全体が参照により組み込まれる。本項に明示された定義が、参照により組み込まれた特許、出願、または他の刊行物に明示された定義に反するか、またはそうでなければ矛盾する場合、本項に明示された定義が、参照により組み込まれた定義に優先する。
【0025】
単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈により明確に別段の指示がされない限り、複数の指示対象を含む。特許請求の範囲が、あらゆる任意の要素を除外するように起草され得ることにさらに留意されたい。したがって、本記載は、請求項要素の言及に関連して、「単に」、「のみ」などのこのような排他的用語の使用、または「否定的」限定の使用に関して、先行的根拠となることを意図する。用語「含む(including)」、「含有する(containing)」、および「含む(comprising)」は、オ-プンで、非限定的な意味において使用される。
【0026】
明確を期するために、別々の実施形態の文脈に記載される、本開示の特定の特色は、1つの実施形態に組み合わせて提供される場合もある。逆に、簡潔にするために、1つの実施形態の文脈に記載される本開示の多様な特色が、別々にまたは任意の好適な部分的組合せで提供される場合もある。変数によって表される方法に関する実施形態の全ての組合せは、組合せのそれぞれおよび全てが個々にかつ明示的に開示されているかのように、本開示に明確に包含され、開示される。加えて、そのような変数を記載する実施形態に列記される特色の全ての部分的組合せもまた、本開示に明確に包含され、化学基のそのような部分的組合せのそれぞれおよび全てが個々にかつ明示的に開示されているかのように開示される。
定義
「活性化薬」は、標的化合物における立体構造変化または他の変更を誘導する任意の物質を指す。例えば、SREBPシグナル伝達経路(脂質合成を制御することで公知)の活性化薬は、SERBP媒介性シグナルの細胞シグナルトランスダクションを活性化するかまたは増加させる活性化薬を含む。シグナルトランスダクションは、最終的に細胞内の生化学的事象を引き起こす経路に沿ったタンパク質複合体の動員による化学的修飾の形態における分子シグナルの伝播を指す。活性化薬は、「阻害剤」であってもよい。
【0027】
「細胞」は、生体の基本構造的かつ機能的な単位を指す。高等生物、例えば動物において、同様の構造および機能を有する細胞は、一般に凝集して特定の機能を果たす「組織」となる。したがって、組織は、同様の細胞および周囲の細胞間物質、例えば、上皮組織、結合組織、筋肉、神経の集合体を含む。「器官」は、異なる種類の組織で構成されてもよく、例えば、腎臓、心臓、脳、肝臓などのような、ある特定の機能に特化された、高等生物における十分に分化した構造的かつ機能的な単位である。したがって、「特定の器官、組織、または細胞」によって、本明細書では、あらゆる特定の器官を含み、その器官内で見出される細胞および組織を含むことを意味する。
【0028】
「バイオマーカー」は、代謝産物、状態または疾患の存在に直接的または間接的に相関する検出可能なシグナルまたは化合物である。一実施形態によれば、バイオマーカーは、細胞の核内のマイトファジーのレベル、または疾患プロセスの活性もしくは重症度を検出するかまたは測定するために使用される。非限定的な例として、マイトファジーは、免疫ブロットアッセイまたは免疫染色を使用して、ミトコンドリアタンパク質の発現によって、ミトコンドリアDNAによって、および顕微鏡によって、定量化され得る。ミトコンドリアタンパク質をコードする例示的な遺伝子は、TOM20、LC3および/またはP62を含む。一実施形態では、「バイオマーカー」は、中性コレステロールエステルヒドロラーゼ1(NCEH1)のレベルおよび/または活性を測定するために使用される。バイオマーカーは、代替バイオマーカー、すなわち、患者がどのように感じ、機能し、または生存しているかを直接測定し、治療の効果を予測することができる、臨床的に意味があるエンドポイントの代替となる研究測定値または物理的徴候を含む。バイオマーカーのレベルは、対象からのバイオマーカーのレベルが有意な量で、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは25%、50%、75%、または100%異なる場合、疾患の重症度の低下に対応する。
【0029】
「共投与」は、単位投薬量の2つ以上の生物活性剤の投与を指し、活性剤は同時に投与されるか、または最後に共投与された薬剤が投与された時に、最初に投与された薬剤が依然として治療的に活性である時間枠内で逐次的に投与される。本開示によれば、SREBPシグナル伝達経路活性化薬は、単位投薬量の1つまたは複数の付加的な治療剤の投与前または投与後に、例えば、1つまたは複数の付加的な治療剤の投与の数秒、数分、または数時間内に、SREBPシグナル伝達経路活性化薬は投与される。例えば、一部の実施形態では、単位用量のSREBPシグナル伝達経路活性化薬が最初に投与され、続いて数秒または数分内に、単位用量の1つまたは複数の付加的な治療剤が投与される。あるいは、他の実施形態では、単位用量の1つまたは複数の付加的な治療剤が最初に投与され、続いて単位用量のSREBPシグナル伝達経路活性化薬が数秒または数分内に投与される。一部の実施形態では、単位用量のSREBPシグナル伝達経路活性化薬が最初に投与され、続いて、数時間後(例えば、1~12時間)、単位用量の1つまたは複数の付加的な治療剤が投与される。他の実施形態では、単位用量の1つまたは複数の付加的な治療剤が最初に投与され、続いて、数時間後(例えば、1~12時間)、単位用量のSREBPシグナル伝達経路活性化薬が投与される。SREBPシグナル伝達経路活性化薬と1つまたは複数の付加的な治療剤との共投与は、一般に、治療有効量の各薬剤が患者の体内に存在するような、SREBPシグナル伝達経路活性化薬と1つまたは複数の付加的な治療剤との同時投与または逐次的投与を指す。
【0030】
「疾患」とは、対象が恒常性を維持することができず、疾患が改善されない場合に、対象の健康が悪化し続ける健康状態、または対象が恒常性を維持することはできるが、対象の健康状態が、疾患がない場合ほど好ましくないが、対象の健康におけるさらなる悪化が必ずしも起きるわけではない健康状態を意味する。
【0031】
「有効量」は、対象における疾患(例えば、がん)、状態の処置、および/または処置の薬物動態学的もしくは薬力学的な効果などの所望の治療結果を達成するために必要な、投薬および期間における十分な量である。治療有効量は、1回または複数回の投与で投与され得る。治療有効量は、対象の疾患状態、年齢、性別、および体重などの因子に応じて変化し得る。当業者は、個体の状態が一連の治療全体を通して観察されてもよく、投与される有効量のSREBPシグナル伝達経路活性化薬またはそれを含む組成物がそれに応じて調節され得ることを認識するであろう。
【0032】
「阻害剤」とは、標的のタンパク質または分子(すなわち、NCEH1酵素)の活性を測定できるほどに低減するかもしくは遮断し、または遺伝子産物の発現を測定できるほどに低減する任意の分子を意味する。
【0033】
「マイトファジー」は、細胞中のミトコンドリアをオートファジーを通して選択的に分解することを指し、すなわち、典型的には、損傷ミトコンドリアがオートファゴソームによって包み込まれ、次にリソソームと融合して一体となり、リソソームは加水分解酵素を含有し、包み込まれた損傷ミトコンドリアを分解する。「オートファジー」は、細胞小器官の再生のために、脂質膜によって細胞質ゾル内容物を包み込むことを含む、進化的に保存された経路である。マイトファジーは、マクロオートファジーの一形態であり、リソソーム分解を通した除去のために、ミトコンドリアを選択的に標的として包み込むことを含む。
【0034】
「マイトファジー機能障害」とは、健康な生存細胞および適切な細胞機能を維持するという目的のために、ミトコンドリアを除去および/または分解するという細胞プロセスが、生物学的に無力で、正常に機能せず、低減するかまたは不十分であることを意味する。
【0035】
「マイトファジー機能障害関連の疾患」は、哺乳動物細胞において低減するかまたは正常に機能しないマイトファジーによって、少なくとも部分的に、媒介されるかまたは影響される疾患を指す。
【0036】
「中性コレステロールエステルヒドロラーゼ1」は、ヒト酵素中性コレステロールエステルヒドロラーゼ1(NCEH1)およびその哺乳動物相同体を指し、2-アセチルモノアルキルグリセリンエーテルをモノアルキルグリセリンエーテルへと加水分解し、NCEH1遺伝子によってコードされる。NCEH1酵素阻害剤は、2-アセチルモノアルキルグリセリンエーテルのモノアルキルグリセリンエーテルへの酵素的加水分解を、部分的または完全に遮断する能力を有する任意の化合物を包含する。in vivoでは、NCEH1はコレステロールエステルを加水分解し、遊離コレステロールおよび脂質を放出する。
【0037】
NCEH1酵素阻害剤はまた、NCEH1をコードする核酸分子(例えば、ヒトNCEH1 mRNA配列およびその哺乳動物相同体)に特異的に標的化されたマイクロRNA、shRNA、siRNA、アンチセンス、またはリボザイム分子などのNCEH1遺伝子発現の阻害剤も含む。小分子NCEH1酵素阻害剤は、プロプラノロール、R-プロプラノロール、およびJW480を含むが、これらに限定されない。
【0038】
「非再生性の」細胞および組織は、自発的に再生(すなわち、古い親細胞から新しい娘細胞を複製または産生)しない細胞および組織を含み、ニューロン(中枢神経系および末梢神経系)、心筋細胞(心臓筋肉細胞)、骨格筋細胞、インスリン産生細胞(膵島のベータ細胞)、および網膜色素上皮などを含む。
【0039】
「薬学的に許容される賦形剤」は、米国食品医薬品局により、ヒトまたは飼育動物における使用に許容されると承認されている、任意のアジュバント、担体、賦形剤、流動促進剤、甘味料、希釈剤、保存料、色素/着色剤、風味増強剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、安定剤、等張剤、溶媒または乳化剤を、限定されることなく含む。
【0040】
「薬学的に許容される塩」は、SREBPシグナル伝達経路活性化薬の薬学的に許容される有機または無機の塩を指す。例示的な塩は、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、過リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩「メシル酸塩」、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、およびパモ酸塩(すなわち、1,1’-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩)を含むが、これらに限定されない。薬学的に許容される塩は、酢酸イオン、コハク酸イオン、その他の対イオンなどの別の分子の包含を伴い得る。対イオンは、親化合物上の電荷を安定させる、任意の有機または無機の部分であり得る。
【0041】
さらに、薬学的に許容される塩は、その構造中に2個以上の荷電原子を有し得る。複数の荷電原子が薬学的に許容される塩の一部である場合は、複数の対イオンを有し得る。したがって、薬学的に許容される塩は、1個もしくは複数個の荷電原子および/または1個もしくは複数個の対イオンを有し得る。他の好適な薬学的に許容される塩のリストは、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第21版、Lippincott Wiliams and Wilkins、Philadelphia、Pa.、2006年に見出される。
【0042】
「安全かつ有効な量」とは、健全な医学的判断の範囲内で、状態を処置するのに十分であるが、重篤な副作用を回避するのに十分なほど低い(合理的な利益/危険比で)SREBPシグナル伝達経路活性化薬の量を意味する。SREBPシグナル伝達経路活性化薬の安全かつ有効な量は、選択された特定の化合物(例えば化合物の効力、有効性、および半減期を考慮);選択された投与経路;処置される状態;処置される状態の重症度;処置される患者の年齢、体格、体重、および健康状態;処置される患者の病歴;
処置期間;併用療法の性質;所望の治療効果;などの因子によって変化するが、それでも当業者によって常に決定され得る。
【0043】
「選択的」阻害剤は、他のタンパク質に優先して、ある特定のタンパク質に結合し、および/もしくはその活性を阻害するか、またはその発現を下方制御する阻害剤の傾向を指す。「選択的」経路活性化薬は、他の経路に優先して、ある特定の経路を活性化する傾向の活性化薬を指す。選択的NCEH1阻害剤は、NCEH1に結合するか、またはその発現を下方制御する傾向が他のセリンヒドロラーゼ酵素より強く;非選択的NCEH1阻害剤は、NCEH1だけでなく関連酵素も阻害する。選択的SREBP1シグナル伝達経路活性化薬は、SREBP1シグナル伝達経路活性化薬を活性化する傾向が他の脂質合成経路より強く;非選択的SREBP1経路活性化薬は、SREBP1と関連タンパク質の両方を活性化する。
【0044】
「小分子」は、低分子量の有機化合物を指す。約2000ダルトン以下、好ましくは約500~約900ダルトン以下の分子量を有する化合物が小分子である。小分子は、天然でもまたは人工であってもよい。核酸およびタンパク質などの生体高分子、ならびに多糖類(デンプンまたはセルロースなど)は小分子ではない、しかし、それらの構成要素モノマー、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチド、アミノ酸、および単糖類は、それぞれ、小分子と考えられることが多い。小分子は、小分子の薬学的に許容される塩を含む。
【0045】
「ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)シグナル伝達経路活性化薬」は、(1)SREBPシグナル伝達経路活性を強化もしくは促進もしくは活性化し、および/または(2)中性コレステロールエステルヒドロラーゼ1(NCEH1)の細胞核内への移行を誘導し、ならびに/または(3)SREBP C-末端調節ドメインおよび/もしくはN-末端ドメインおよび/もしくは完全/総タンパク質の細胞核内への移行を誘導する、選択的または非選択的な任意の物質を指す。移行されたSREBP C-末端調節ドメインは、膜貫通セグメントによってSREBP N-末端活性化ドメインに連結されてもよく、かつ移行された中性コレステロールエステルヒドロラーゼ1(NCEH1)は、SREBP C-末端調節ドメインおよび/またはN-末端核-結合ドメインに結合されてもよい。例示的なSREBPシグナル伝達経路活性化薬は、NCEH1酵素阻害剤を含むが、これらに限定されない。NCEH1酵素阻害剤は、2-アセチルモノアルキルグリセリンエーテルのモノアルキルグリセリンエーテルへの酵素的加水分解、またはコレステロールエステルの遊離コレステロールおよび脂質への加水分解を、部分的または完全に遮断する能力を有する、選択的または非選択的な任意の物質を包含する。NCEH1酵素阻害剤はまた、NCEH1をコードする核酸分子(例えば、ヒトNCEH1 mRNA配列およびその哺乳動物相同体)に特異的に標的化されたマイクロRNA、shRNA、siRNA、アンチセンス、またはリボザイム分子などのNCEH1遺伝子発現の阻害剤も含む。非選択的SREBPシグナル伝達経路活性化薬は、小分子、例えばプロプラノロールおよびR-プロプラノロールなどの非選択的NCEH1阻害剤を含む。より選択的なSREBPシグナル伝達経路活性化薬は、小分子、例えばJW430などの選択的NCEH1阻害剤を含む。
【0046】
細胞内脂質合成を「刺激する」とは、細胞中の脂質の合成プロセスが刺激され、それによって細胞中に新しい脂質分子または修飾された脂質の生成をもたらすことを意味する。
細胞内マイトファジーを「刺激する」とは、細胞中のミトコンドリア分解プロセスが刺激され、それによってミトコンドリア(典型的には、損傷されるかまたは正常に機能しないミトコンドリア)を排除することを意味する。このプロセスは、正味の細胞内ミトコンドリア機能の向上と関連して、完全に機能的なミトコンドリアの増加および正常に機能しないミトコンドリアの減少を頻繁にもたらすことができる。
【0047】
「対象」は、哺乳動物、例えば、ヒト、実験動物(例えば、霊長類、ラット、マウス、ウサギおよびモルモット)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギおよびブタ)、家庭用ペット(例えば、イヌ、ネコおよびげっ歯類)、ならびにウマを含む、診断、処置、または治療が望ましい任意の哺乳動物を指す。
【0048】
「処置する」、「処置すること」または「処置」は、疾患の1つまたは複数の徴候または症状の軽減または改善(例えば、退縮、部分的または完全)、疾患の程度の低下、疾患状態の安定性(すなわち、悪化しない、安定した疾患の達成)、疾患状態の改善または緩和、進行の速度または時間の減少、および寛解(部分的または完全のいずれか)を含むが、これらに限定されない、有益なまたは所望の臨床結果を得るための行為を指す。疾患の「処置」はまた、処置を受けなかった場合に予想される生存と比較して、生存が延長されることも意味し得る。処置は治癒的である必要はない。特定の実施形態では、処置は、痛みの減少または生活の質(QOL)の向上の1つまたは複数を含み、有資格者、例えば、処置をする医師によって、例えば痛みおよびQOLの認められた評価ツールを使用して判断される。特定の実施形態では、有資格者、例えば、処置をする医師によって、例えば痛みおよびQOLの認められた評価ツールを使用して判断された、痛みの減少またはQOLの向上は、疾患の「処置」であるとは考えられない。「処置」は、哺乳動物におけるあらゆる処置を含み:(a)疾患の素因はあり得るがまだ疾患を有するという診断を受けていない対象において、疾患の発生を予防すること;(b)疾患を阻害すること、すなわち、疾患の発症を抑止すること;または(c)疾患を和らげること、すなわち、疾患の退縮を起こすことを含む。治療的処置は、疾患の発症前、発症中または発症後に行われ得る。本発明の治療は、疾患の徴候段階に行われてもよく、場合によっては疾患の徴候段階後に行われてもよい。
実施形態
低減するかまたは正常に機能しないマイトファジーは、例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病、心血管系疾患、がん、および老化関連疾患を含む、広範なヒト疾患をもたらし得る。本明細書で開示するように、出願人は、プロプラノロール(SおよびR)、NCEH1阻害剤、およびステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)1アゴニストなどのSREBPシグナル伝達経路活性化薬が、標的シグナル伝達カスケードを介して、強固にマイトファジーを誘導し得ることを発見した。したがって、本開示の一態様は、細胞が最適の細胞機能を維持するには不十分な速度のマイトファジー(すなわち、「不十分なマイトファジー」)を示す対象の細胞において、マイトファジーを強化する方法に関する。
【0049】
一態様では、本開示は、細胞における細胞内マイトファジーの刺激を必要とする対象において、ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)C-末端調節ドメインの細胞核内への核移行を誘導する、有効量のSREBPシグナル伝達経路活性化薬、または薬学的に許容されるその塩を、対象における細胞マイトファジーを刺激するのに十分なように投与することによって、細胞内マイトファジーを刺激する方法に関する。
【0050】
一実施形態では、損傷されるかまたは欠陥のあるミトコンドリアを処理し、細胞から除去するのに不十分な能力を示す細胞において、マイトファジーを強化する方法が提供される。一実施形態では、細胞は、損傷されるかまたは欠陥のあるミトコンドリアを細胞から除去する能力を欠く細胞の有害な影響を受けている対象において、in vivoで接触される。一実施形態では、本方法は、細胞と、ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)経路の活性化薬とを接触させる工程を含む。一実施形態では、SREBP経路の活性化薬は、S-プロプラノロール、R-プロプラノロール、U18666AおよびJW480からなる群から選択される化合物である。一実施形態では、SREBP経路の活性化薬はJW480である。一実施形態では、SREBP経路の活性化薬はプロプラノロールである。一実施形態では、SREBP経路の2つ以上の活性化薬が投与され、2つ以上の活性化薬は、S-プロプラノロール、R-プロプラノロール、U18666AおよびJW480から選択される。本明細書で使用される場合、明示された立体化学がない場合のプロプラノロールという用語は、両方のエナンチオマーを包含することが意図される。S-プロプラノロール、R-プロプラノロールおよびJW480の構造は、
図7Bに提供される。U18666Aの構造は、
【0051】
【0052】
一実施形態では、マイトファジーの強化が必要とされる対象の細胞は、例えば注射、任意選択で静脈内注射によることを含む標準的な投与経路のいずれかを使用して、SREBP経路の活性化薬を含む薬学的に許容される組成物を投与することによって接触される。一実施形態では、本開示のマイトファジーを強化する組成物を投与される対象は、マイトファジー機能障害関連の疾患を有する対象である。一実施形態では、対象は、ミトコンドリア疾患、肺/呼吸器疾患、心血管系疾患、肝疾患、腎疾患、神経変性/神経精神疾患およびがんからなる群から選択されるマイトファジー機能障害関連の疾患を有する。
【0053】
一実施形態では、対象は、気管支肺異形成症、慢性閉塞性肺疾患、肺がん、喘息、嚢胞性線維症、肺動脈性肺高血圧、炎症性肺疾患、胸膜腔疾患、肺血管疾患、肺炎、肺塞栓症、特発性肺線維症、サルコイドーシス、混合性結合組織疾患、多発性筋炎、皮膚筋炎、および全身性エリテマトーデスからなる群から選択される肺/呼吸器疾患からなる群から選択されるマイトファジー機能障害関連の疾患を有し、任意選択で肺/呼吸器疾患は肺動脈性肺高血圧である。一実施形態では、対象は、急性心臓虚血イベント、急性心筋梗塞、狭心症、不整脈、アテローム性動脈硬化、および慢性心不全からなる群から選択されるマイトファジー機能障害関連の疾患を有する。
【0054】
一実施形態によれば、SREBP C-末端調節ドメインの細胞核内への核移行を増加させる方法が提供され、該方法は、前記細胞と、ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)経路の活性化薬とを接触させる工程を含む。一実施形態では、細胞は、マイトファジーの増加を必要とする患者において、in vivoで接触される。一実施形態では、SREBP経路の活性化薬は、プロプラノロール、U18666AおよびJW480からなる群から選択される化合物である。一実施形態では、SREBP経路の活性化薬はJW480である。一実施形態では、SREBP経路の活性化薬はプロプラノロールである。
【0055】
一実施形態によれば、組成物は、細胞中でマイトファジーを誘導するために提供される。一実施形態では、医薬組成物は、プロプラノロール、R-プロプラノロール、U18666AおよびJW480からなる群から選択される化合物ならびに薬学的に許容される担体を含む。一実施形態では、医薬組成物は、R-プロプラノロール、U18666AおよびJW480からなる群から選択される2種以上の化合物を含む。
【0056】
一実施形態では、マイトファジー機能障害を処置する方法が提供され、該方法は、マイトファジー機能障害を示す細胞と、ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)経路の活性化薬を含む組成物とを、SREBP C-末端調節ドメインの前記細胞の核内への核移行を増加させるのに十分な量で接触させる工程を含む。一実施形態では、マイトファジー機能障害を示す細胞と、プロプラノロール、R-プロプラノロール、U18666AおよびJW480からなる群から選択されるSREBP経路の活性化薬とを接触させる。
【0057】
一実施形態では、細胞内マイトファジーを刺激する方法が、それを必要とする対象の細胞において提供される。一実施形態では、本方法は:ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)C-末端調節ドメインの細胞核内への核移行を誘導する、有効量のSREBPシグナル伝達経路活性化薬、または薬学的に許容されるその塩を、対象における細胞マイトファジーを刺激するのに十分なように対象に投与する工程を含む。
【0058】
一実施形態では、細胞内の脂質生合成の刺激を必要とする対象の細胞において、脂質生合成を刺激する方法が提供される。一実施形態では、本方法は:ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)C-末端調節ドメインの細胞核内への核移行を誘導する、有効量のSREBPシグナル伝達経路活性化薬、または薬学的に許容されるその塩を、対象における細胞内脂質合成を刺激するのに十分なように対象に投与する工程を含む。一実施形態では、SREBP経路の活性化薬は、プロプラノロール、R-プロプラノロール、U18666AおよびJW480からなる群から選択され、任意選択でSREBP経路活性化薬はJW480である。
【0059】
一実施形態では、細胞内マイトファジー機能障害関連の疾患の処置を必要とする対象において、該疾患を処置する方法が提供され、該方法は:ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)C-末端調節ドメインの細胞核内への核移行を誘導する、有効量のSREBPシグナル伝達経路活性化薬または薬学的に許容されるその塩を、対象に投与する工程を含む。
【0060】
一実施形態では、細胞における細胞内マイトファジーの刺激を必要とする対象において、細胞内マイトファジーを刺激する方法が提供され、該方法は:ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)N-末端トランス活性化ドメインおよび中性コレステロールエステルヒドロラーゼ1(NCEH1)の細胞核内への核移行を誘導する、有効量のSREBPシグナル伝達経路活性化薬(または薬学的に許容されるその塩)を、対象における細胞マイトファジーを刺激するのに十分な量で、対象に投与する工程を含む。
【0061】
一実施形態では、細胞核における細胞内脂質生合成の刺激を必要とする対象において、該生合成を刺激する方法が提供され、該方法は:ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)N-末端トランス活性化ドメインおよび中性コレステロールエステルヒドロラーゼ1(NCEH1)の細胞核内への核移行を誘導する、有効量のSREBPシグナル伝達経路活性化薬(または薬学的に許容されるその塩)を、対象における細胞内脂質合成を刺激するのに十分な量で、対象に投与する工程を含む。
【0062】
一実施形態では、細胞内マイトファジー機能障害関連の疾患の処置を必要とする対象において、該疾患を処置する方法が提供され、該方法は:ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)N-末端トランス活性化ドメインおよび中性コレステロールエステルヒドロラーゼ1(NCEH1)の細胞核内への核移行を誘導する、有効量のSREBPシグナル伝達経路活性化薬、または薬学的に許容されるその塩を、対象に投与する工程を含む。
【0063】
一実施形態では、哺乳動物の標的組織における細胞マイトファジーのバイオマーカーを同定する方法が提供され、該方法は:
(a)ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)C-末端調節ドメインの細胞核内への移行を誘導する、SREBPシグナル伝達経路活性化薬、または薬学的に許容されるその塩を、哺乳動物に投与する工程と;
(b)哺乳動物の血液試料から内皮細胞を収集する工程と;
(c)細胞マイトファジーに関して、収集された哺乳動物の内皮細胞を分析する工程と;
(d)哺乳動物の標的組織から細胞を収集する工程と;
(e)細胞マイトファジーに関して、収集された哺乳動物の標的組織細胞を分析する工程と;
(f)哺乳動物の内皮細胞における細胞マイトファジーと、哺乳動物の標的組織細胞における細胞マイトファジーとの相関関係を決定する工程と
を含む。
【0064】
一実施形態では、ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)シグナル伝達経路活性化薬の候補を同定する方法が提供され、該方法は:
(a)細胞を、SREBPシグナル伝達経路活性化薬の候補と接触させる工程と;
(b)マイトファジーおよびSREBP C-末端調節ドメインの存在またはSREBP N-末端トランス活性化ドメインの存在および中性コレステロールエステルヒドロラーゼ1(NCEH1)の細胞核内への移行に関して、接触させた細胞を分析する工程と
を含む。
【0065】
一実施形態では、細胞における細胞内マイトファジーの刺激を必要とする対象において、細胞内マイトファジーを刺激する方法が提供され、該方法は:有効量のプロプラノロールまたは薬学的に許容されるその塩を、対象における細胞マイトファジーを刺激するのに十分なように対象に投与する工程を含む。
【0066】
一実施形態では、細胞核における細胞内脂質生合成の刺激を必要とする対象において、細胞内脂質生合成を刺激する方法が提供され、該方法は:有効量のプロプラノロールまたは薬学的に許容されるその塩を、対象における細胞内脂質合成を刺激するのに十分なように対象に投与する工程を含む。
【0067】
SREBPシグナル伝達経路活性化薬、または薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物は、通例の慣行に基づいて選択され得る1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤と共に調製され得る。錠剤は、流動促進剤、充填剤、結合剤などを含む賦形剤を含有してもよい。水性組成物は、無菌形態で調製されてもよく、経口投与以外による送達が意図される場合、一般に等張性であり得る。全ての組成物は、Roweら、Handbook of Pharmaceutical Excipients、第6版、American Pharmacists Association、2009年に明示されるものなどの賦形剤を任意選択で含有してもよい。賦形剤は、アスコルビン酸および他の抗酸化剤、EDTAなどのキレート剤、デキストリンなどの炭水化物、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、ステアリン酸などを含み得る。特定の実施形態では、組成物は、固体経口剤形を含む固体剤形として提供される。
【0068】
組成物は、経口投与を含むさまざまな投与経路に好適なものを含む。組成物は、単位剤形で与えられてもよく、医薬の技術分野で周知の任意の方法により調製され得る。そのような方法は、有効成分(例えば、SREBPシグナル伝達経路活性化薬または薬学的なその塩)と1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤とを結びつける工程を含む。組成物は、有効成分と、液体賦形剤もしくは微粉化された固体賦形剤、またはその両方とを均一かつ密接に結びつけ、次に、必要であれば、生成物を成形することによって調製され得る。技術および製剤化は、一般に、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第21版、Lippincott Wiliams and Wilkins、Philadelphia、Pa.、2006年に見出される。
【0069】
経口投与に好適な組成物は、それぞれ所定量の有効成分を含有するカプセル剤、カシェー剤または錠剤を含むが、これらに限定されない個別の単位(単位剤形)として与えられてもよい。一実施形態では、医薬組成物は錠剤である。
【0070】
医薬組成物は、1つまたは複数のSREBPシグナル伝達経路活性化薬、または薬学的に許容されるその塩を、薬学的に許容される賦形剤および任意選択で他の治療剤と共に含む。有効成分を含有する医薬組成物は、意図される投与方法に好適な任意の形態であってもよい。経口使用に使用される場合、例えば、錠剤、トローチ、薬用ドロップ、水性または油性の懸濁液、分散性の粉末または顆粒、乳剤、硬質または軟質のカプセル剤、シロップ剤またはエリキシル剤が調製され得る。
【0071】
経口使用が意図される組成物は、医薬組成物の製造のための当技術分野で公知の任意の方法に基づいて調製されてもよく、そのような組成物は、口当たりのよい調製物を提供するために、甘味剤、香味剤、着色剤および保存剤を含む1つまたは複数の賦形剤を含有してもよい。錠剤の製造に好適である、無毒の薬学的に許容される賦形剤との混合物中に有効成分を含有する錠剤は許容される。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウム、ラクトース、ラクトース一水和物、クロスカルメロースナトリウム、ポビドン、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;トウモロコシデンプン、またはアルギン酸などの造粒剤および崩壊作用剤;セルロース、微結晶性セルロース、デンプン、ゼラチンまたはアカシアなどの結合剤;ならびにステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクなどの滑沢剤であり得る。錠剤は、コーティングされなくてもよく、またはマイクロカプセル化を含む公知の技術によって、消化器中での崩壊および吸着を遅延させ、それによって長期間にわたる持続作用を提供するためにコーティングされてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリルもしくはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延物質(time delay material)が単独でまたはワックスと共に利用されてもよい。
【0072】
剤形を製造するために、不活性成分と組み合わせられ得る有効成分の量は、意図される処置対象および特定の投与様式に応じて変化し得る。例えば、一部の実施形態では、ヒトへの経口投与用の剤形は、適切かつ好都合な量の薬学的に許容される賦形剤と共に製剤化されたおよそ1~1000mgの活性物質を含有し得る。特定の実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、全組成物の約5~約95%(重量:重量)で変化する。
【0073】
特定の実施形態では、SREBPシグナル伝達経路活性化薬、または薬学的に許容されるその塩を含む組成物が提供され、1つの変形では、有効成分が代謝される速度に影響を及ぼす薬剤を含有しない。したがって、一態様では、SREBPシグナル伝達経路活性化薬を含む組成物は、SREBPシグナル伝達経路活性化薬、またはSREBPシグナル伝達経路活性化薬と別々に逐次的にもしくは同時に投与される任意の他の有効成分の代謝に影響を及ぼす(例えば、遅くする、妨害するまたは遅らせる)薬剤を含まないことが理解される。一態様では、本明細書に詳述される方法、キット、製造物品などはいずれも、本開示のSREBPシグナル伝達経路活性化薬、またはSREBPシグナル伝達経路活性化薬と別々に逐次的にもしくは同時に投与される任意の他の有効成分の代謝に影響を及ぼす(例えば、遅くする、妨害するまたは遅らせる)薬剤を含まないこともまた理解される。
【0074】
SREBPシグナル伝達経路活性化薬は、個体(例えばヒト)に対し、1つまたは複数の付加的な治療剤と共に投与され得る。さらに、特定の実施形態では、本開示のSREBPシグナル伝達経路活性化薬は、1つまたは複数(例えば1つ、2つ、3つ、4つ以上)の付加的な治療剤と共に投与されてもよい。
【0075】
本開示のSREBPシグナル伝達経路活性化薬(本明細書で有効成分とも呼ばれる)は、処置される状態に適切な任意の経路によって投与され得る。好適な経路は、経口、経腸、経鼻、局所的(バッカルおよび舌下を含む)、経皮、経膣および非経口的(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、髄腔内および硬膜外を含む)などを含む。好ましい経路は、例えば受容者の状態によって変化し得ることが理解されよう。特定のSREBPシグナル伝達経路活性化薬の利点は、経口的に生物学的利用可能であり、経口的に投薬され得ることである。
【0076】
SREBPシグナル伝達経路活性化薬は、少なくとも約1か月、少なくとも約2か月、少なくとも約3か月、少なくとも約6か月、または少なくとも約12か月以上などの所望の期間または持続期間、有効な投薬レジメンに基づいて個体に投与され得る。1つの変形では、SREBPシグナル伝達経路活性化薬は、個体の生活の持続期間中に、毎日または断続的なスケジュールで投与される。
【0077】
SREBPシグナル伝達経路活性化薬の投薬量または投薬頻度は、投与する医師の判断に基づいて、処置の過程にわたり調整され得る。SREBPシグナル伝達経路活性化薬は、個体(例えば、ヒト)に有効量で投与され得る。特定の実施形態では、SREBPシグナル伝達経路活性化薬は、1日1回投与される。
【0078】
SREBPシグナル伝達経路活性化薬は、経口または非経口的(例えば、静脈内)投与によるなどの、任意の有用な経路および手段によって投与され得る。SREBPシグナル伝達経路活性化薬の治療有効量は、約0.00001mg/kg体重/日~約10mg/kg体重/日、例えば約0.0001mg/kg体重/日~約10mg/kg体重/日、または例えば約0.001mg/kg体重/日~約1mg/kg体重/日、または例えば約0.01mg/kg体重/日~約1mg/kg体重/日、または例えば約0.05mg/kg体重/日~約0.5mg/kg体重/日、または例えば約0.3mg~約30mg/日、または例えば約30mg~約300mg/日などを含み得る。
【0079】
本開示のSREBPシグナル伝達経路活性化薬は、SREBPシグナル伝達経路活性化薬の任意の投薬量(例えば、1mg~1000mgの化合物)で、1つまたは複数の付加的な治療剤と組み合わせられてもよい。治療有効量は、約1mg/1用量~約1000mg/1用量、例えば約50mg/1用量~約500mg/1用量、または例えば約100mg/1用量~約400mg/1用量、または例えば約150mg/1用量~約350mg/1用量、または例えば約200mg/1用量~約300mg/1用量などを含み得る。SREBPシグナル伝達経路活性化薬の他の治療有効量は、1用量当たり約100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、または約500mgである。SREBPシグナル伝達経路活性化薬の他の治療有効量は、1用量当たり約100mg、または1用量当たり約125、150、175、200、225、250、275、300、350、400、450、もしくは約500mgである。単回投薬は、1時間ごと、毎日、または毎週投与され得る。例えば、単回投薬は、1、2、3、4、6、8、12、16時間ごとに1回または24時間ごとに1回投与され得る。単回投薬はまた、1、2、3、4、5、6日ごとに1回、または7日ごとに1回投与され得る。単回投薬はまた、1、2、3週間ごとに1回、または4週間ごとに1回投与され得る。特定の実施形態では、単回投薬は、1週間ごとに1回投与され得る。単回投薬はまた、1か月ごとに1回投与され得る。
【0080】
SREBPシグナル伝達経路活性化薬の他の治療有効量は、1用量当たり約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または約100mgである。
【0081】
本開示のREBPシグナル伝達経路活性化薬の投薬頻度は、個々の患者の必要性によって決定され、例えば、1日に1回もしくは2回、またはそれ以上とされ得る。SREBPシグナル伝達経路活性化薬の投与は、所望の結果を達成するのに必要な限り継続する。例えば、SREBPシグナル伝達経路活性化薬は、ヒトに、20日~180日までの期間、または例えば20日~90日までの期間、または例えば30日~60日までの期間投与され得る。
【0082】
投与は断続的であってもよく、患者が1日用量のSREBPシグナル伝達経路活性化薬を数日またはそれ以上の期間受けて、その後、患者が1日用量のSREBPシグナル伝達経路活性化薬を受けない数日またはそれ以上の期間が続く。例えば、患者は、ある用量のSREBPシグナル伝達経路活性化薬を1日おきに、または1週間に3回受けることができる。再び、一例として、患者は、ある用量のSREBPシグナル伝達経路活性化薬を1~14日の期間に毎日受けて、その後、7~21日の期間、患者はある用量のSREBPシグナル伝達経路活性化薬を受けず、その後、それに続く期間(例えば、1~14日)、患者は再び1日用量のSREBPシグナル伝達経路活性化薬を受ける。患者を処置するために臨床的に必要な場合、SREBPシグナル伝達経路活性化薬の投与期間と、SREBPシグナル伝達経路活性化薬の非投与期間が交互に続くことが繰り返され得る。
【0083】
一実施形態では、本開示のSREBPシグナル伝達経路活性化薬、または薬学的に許容されるその塩を、1つまたは複数(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、1つもしくは2つ、1つから3つ、または1つから4つ)の付加的な治療剤、および薬学的に許容される賦形剤と組み合わせて含む医薬組成物が提供される。
【0084】
一実施形態では、本開示の化合物、または薬学的に許容されるその塩を、1つまたは複数(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、1つもしくは2つ、1つから3つ、または1つから4つ)の付加的な治療剤と組み合わせて含むキットが提供される。
【0085】
特定の実施形態では、SREBPシグナル伝達経路活性化薬、または薬学的に許容されるその塩は、1つ、2つ、3つ、4つ以上の付加的な治療剤と組み合わせられる。特定の実施形態では、SREBPシグナル伝達経路活性化薬、または薬学的に許容されるその塩は、2つの付加的な治療剤と組み合わせられる。他の実施形態では、SREBPシグナル伝達経路活性化薬、または薬学的に許容されるその塩は、3つの付加的な治療剤と組み合わせられる。さらなる実施形態では、SREBPシグナル伝達経路活性化薬、または薬学的に許容されるその塩は、4つの付加的な治療剤と組み合わせられる。1つ、2つ、3つ、4つ以上の付加的な治療剤は、同じ種類の治療剤から選択される異なる治療剤であってもよく、および/または異なる種類の治療剤から選択され得る。
【0086】
特定の実施形態では、SREBPシグナル伝達経路活性化薬が、本明細書に記載される1つまたは複数の付加的な治療剤と組み合わせられる場合、組成物の成分は、同時または逐次的なレジメンとして投与される。逐次的に投与される場合、その組合せは、2回以上の投与で投与されてもよい。
【0087】
特定の実施形態では、SREBPシグナル伝達経路活性化薬は、患者に同時投与するための単位剤形で、例えば経口投与用の固体剤形として、1つまたは複数の付加的な治療剤と組み合わせられる。
【0088】
特定の実施形態では、本開示のSREBPシグナル伝達経路活性化薬は、1つまたは複数の付加的な治療剤と共投与される。
本開示は、本開示のSREBPシグナル伝達経路活性化薬または薬学的に許容されるその塩を含むキットを提供する。キットは、使用説明書をさらに含み得る。使用説明書は、一般に書面による説明書であるが、説明書を含む電子記憶媒体(例えば、磁気ディスケットまたは光ディスク)もまた許容される。
【0089】
本開示はまた、SREBPシグナル伝達経路活性化薬または薬学的に許容されるその塩を含む1つまたは複数の容器を備える医薬キットも提供する。このような容器に任意選択で関連して、医薬品の製造、使用または販売を規制する政府機関により規定された形式の通知書があってもよく、この通知書は、ヒト投与のための製造、使用または販売に関する該機関による承認を反映している。各構成要素(2つ以上の構成要素がある場合)は、別々の容器に包装され得るか、または交差反応性および貯蔵寿命が許容する場合は、いくつかの構成要素が1つの容器に組み合わせられ得る。キットは、単位剤形、バルク包装(例えば、複数回用量包装)または小単位用量であってもよい。キットはまた、複数の単位用量のSREBPシグナル伝達経路活性化薬および使用説明書を含み、薬局(例えば、病院薬局および調剤薬局)における保存および使用に十分な量で包装され得る。
【0090】
単位投薬量のSREBPシグナル伝達経路活性化薬または薬学的に許容されるその塩を、本明細書に記載の方法における使用に好適な包装で含む製造物品もまた提供される。好適な包装は、当技術分野で公知であり、例えば、バイアル、ベセル、アンプル、ボトル、ジャー、柔軟な包装などを含む。製造物品は、さらに減菌および/または密封されてもよい。
【0091】
NCEH1阻害剤などの阻害剤は、NCEH1をコードする核酸分子に特異的に標的化されたマイクロRNA、shRNA、siRNA、アンチセンス、またはリボザイム分子などの薬剤を含むが、これらに限定されない。このような薬剤は、当技術分野で周知の慣例的ガイドラインに基づいて設計され得る。
【0092】
本発明における使用のためのNCEH1遺伝子発現の阻害剤などの阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチド構築物に基づき得る。アンチセンスRNA分子およびアンチセンスDNA分子を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的化されたmRNAに結合することによって、その翻訳を直接的に遮断するように作用し、したがってタンパク質翻訳を妨げるかまたはmRNA分解を増加させ、したがってマイトファジー誘導および/またはSREBP1-媒介脂質合成の表現型を細胞中で再現するために、標的化されたタンパク質のレベルおよび活性を減少させる。
【0093】
例えば、少なくとも約15塩基の、標的タンパク質をコードするmRNA転写配列の特異的領域に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、従来のリン酸ジエステル技術によって合成され、例えば、静脈内注射または輸注によって投与され得る。配列が公知である遺伝子の遺伝子発現を特異的に阻害するためにアンチセンス技術を使用する方法は、当技術分野で周知である(例えば米国特許第6,566,135号;同第6,566,131号;同第6,365,354号;同第6,410,323号;同第6,107,091号;同第6,046,321号;および同第5,981,732号を参照のこと)。
【0094】
低分子阻害性RNA(siRNA)もまた、本発明における使用のための遺伝子発現の阻害剤として機能し得る。遺伝子発現は、腫瘍、対象または細胞と、小分子二本鎖RNA(dsRNA)、または小分子二本鎖RNAの産生を引き起こすベクターもしくは構築物とを接触させることによって低減されてもよく、その結果、遺伝子発現は特異的に阻害される(すなわちRNA干渉またはRNAi)。適切なdsRNAまたはdsRNAをコードするベクターを選択する方法は、配列が公知である遺伝子に関する技術分野で周知である(例えばTuschi、T.ら(1999);Elbashir、S.M.ら(2001);Hannon、G J.(2002);McManus、M T.ら(2002);Brummelkamp、T R.ら(2002);米国特許第6,573,099号および同第6,506,559号;ならびに国際特許公開第WO 01/36646号、同第WO 99/32619号、および同第WO 01/68836号を参照のこと)。
【0095】
リボザイムもまた、遺伝子発現の阻害剤として機能し得る。リボザイムは、RNAの特異的切断を触媒することができる酵素的RNA分子である。リボザイムの作用機序は、相補的な標的RNAに対するリボザイム分子の配列特異的ハイブリダイゼーション、続いてエンドヌクレアーゼ的切断を含む。標的化mRNA配列のエンドヌクレアーゼ的切断を特異的かつ効率的に触媒する、操作されたヘアピン型またはハンマー型のモチーフのリボザイム分子は、したがって本発明の範囲内で有用である。任意の潜在的なRNA標的内の特定のリボザイム切断部位は、リボザイム切断部位に関して標的分子をスキャンすることによって最初に同定され、これは、典型的には、GUA、GUU、およびGUCの配列を含む。いったん同定されると、切断部位を含有する標的遺伝子の領域に対応する約15~20の間のリボヌクレオチドの短鎖RNA配列は、オリゴヌクレオチド配列を不適当にする可能性がある二次構造などの予測される構造的特色に関して評価され得る。候補標的の適合性もまた、例えば、リボヌクレアーゼ保護アッセイを使用して、相補的なオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションへの利便性を試験することによって評価され得る。
【0096】
遺伝子発現の阻害剤として有用なアンチセンスオリゴヌクレオチドとリボザイムの両方とも、公知の方法によって調製され得る。これらは、例えば、固相ホスホロアミダイト化学合成によるなどの化学合成用の技術を含む。あるいは、アンチセンスRNA分子は、RNA分子をコードするDNA配列のin vitroまたはin vivo転写によって生成され得る。そのようなDNA配列は、T7またはSP6ポリメラーゼプロモーターなどの好適なRNAポリメラーゼプロモーターを組み込んだ多様なベクターに組み込まれ得る。本発明のオリゴヌクレオチドに対するさまざまな修飾は、細胞内安定性および半減期を増加させる手段として導入され得る。可能な修飾は、分子の5’末端および/もしくは3’末端へのリボヌクレオチドもしくはデオキシリボヌクレオチドのフランキング配列の付加、またはオリゴヌクレオチド骨格内でのホスホジエステラーゼ連結ではなく、ホスホロチオエートもしくは2’-O-メチルの使用を含むが、これらに限定されない。
【0097】
アンチセンスオリゴヌクレオチドsiRNAおよびリボザイムは、単独でまたはベクターと関連付けて、in vivoにおいて送達され得る。その最も広い意味では、「ベクター」は、アンチセンスオリゴヌクレオチドsiRNAまたはリボザイム核酸の細胞への移動を容易にすることができる任意のビヒクルである。
【0098】
好ましくは、ベクターは、ベクターが存在しない場合にもたらされる分解の程度と比較して、分解が低減した状態で、核酸を細胞へ輸送する。一般に、本発明で有用なベクターは、プラスミド、ファージミド、ウイルス、アンチセンスオリゴヌクレオチドsiRNAまたはリボザイム核酸配列の挿入または組込みによって操作されたウイルス源または細菌源に由来する他のビヒクルを含むが、これらに限定されない。ウイルス性ベクターは好ましい種類のベクターであり、レトロウイルス、例えばモロニーマウス白血病ウイルス、ハーベイマウス肉腫ウイルス、マウス乳癌ウイルス、およびラウス肉腫ウイルス;アデノウイルス、アデノ関連ウイルス;SV40型ウイルス;ポリオーマウイルス;エプスタイン-バーウイルス;パピローマウイルス;ヘルペスウイルス;ワクシニアウイルス;ポリオウイルス;およびレトロウイルスなどのRNAウイルスのウイルスからの核酸配列を含むが、これらに限定されない。名称は付けられていないが、当技術分野で公知の他のベクターを容易に利用することができる。
【0099】
好ましいウイルス性ベクターは、非必須の遺伝子が目的の遺伝子で置き換えられた非細胞変性真核生物ウイルスに基づく。非細胞変性ウイルスは、レトロウイルス(例えば、レンチウイルス)を含み、そのライフサイクルは、ゲノムウイルスRNAのDNAへの逆転写、それに続く宿主細胞DNAへのプロウイルス統合を含む。
レトロウイルスは、ヒト遺伝子治療の治験で承認された。最も有用なのは、複製欠損型(すなわち、所望のタンパク質の合成を指示することはできるが、感染性粒子を製造することはできない)であるレトロウイルスである。そのような遺伝子改変されたレトロウイルス発現ベクターは、in vivoにおける遺伝子の高効率トランスダクションに一般的有用性を有する。複製欠損型レトロウイルスを産生する標準的プロトコル(外因性遺伝物質のプラスミドへの組込み、プラスミドを用いたパッケージング細胞株(lined)のトランスフェクション、パッケージング細胞株による組み換え型レトロウイルスの産生、組織培地からのウイルス粒子の収集、およびウイルス粒子による標的細胞の感染の工程を含む)は、KRIEGLER(A Laboratory Manual、「W.H.Freeman C.O.、New York、1990年)およびMURRY (「Methods in Molecular Biology」、第7巻、Humana Press、Inc.、Cliffton、N.J.、1991年)に提供される。
【0100】
特定の用途に好ましいウイルスは、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルスであり、これは遺伝子治療におけるヒト使用に既に承認された二本鎖DNAウイルスである。アデノ随伴ウイルスは、複製欠損であるように操作されてもよく、また広範囲の細胞型および生物種に感染することができる。さらに、熱および脂質溶媒などへの安定性;造血性細胞を含む多様な系統の細胞における高いトランスダクション頻度;および重複感染阻害の欠如のため、複数系列のトランスダクションを可能にすることなどの利点を有する。報告されたように、アデノ随伴ウイルスは、ヒト細胞DNAに部位特異的に組み込むことができるため、レトロウイルス感染に特徴的な、挿入変異の可能性および挿入された遺伝子発現の変異性を最小限に抑える。加えて、野生型アデノ随伴ウイルス感染は、選択圧の非存在下で、100継代を超えて組織培養中で追跡され、アデノ随伴ウイルスゲノム組込みが相対的に安定した事象であることが暗示される。アデノ随伴ウイルスはまた、染色体外の形式で機能することもできる。
【0101】
他のベクターは、プラスミドベクターを含む。プラスミドベクターは、当技術分野で広範に記載され、当業者に周知である。例えば、SANBROOKら、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989年を参照されたい。この数年間に、プラスミドベクターは、抗原をコードする遺伝子をin vivoで細胞に送達するDNAワクチンとして使用されてきた。プラスミドベクターは、ウイルス性ベクターの多くと同じように安全性への懸念がないため、このために特に有利である。これらのプラスミドは、しかしながら、宿主細胞と親和性のあるプロモーターを有し、プラスミド内に作動的にコードされた遺伝子からペプチドを発現することができる。一般に使用される一部のプラスミドは、pBR322、pUC18、pUC19、pRC/CMV、SV40、およびpBluescriptを含む。他のプラスミドは、当業者に周知である。加えて、プラスミドは、制限酵素および核酸連結反応を使用して、DNAの特定のフラグメントを除去かつ付加するように注文設計され得る。プラスミドは、多様な非経口的、粘膜および局所的な経路で送達され得る。例えば、DNAプラスミドは、筋肉内、皮内、皮下、または他の経路によって注射され得る。また、鼻腔内スプレーまたは点滴、経腸坐剤および経口的に投与されてもよい。また、遺伝子銃を使用して、表皮または粘膜表面に投与されてもよい。プラスミドは、水溶液中で、乾燥されて金粒子上に、またはリポソーム、デンドリマー、コクリエートおよびマイクロカプセル化を含むがこれらに限定されない別のDNA送達系と関連して与えられてもよい。
【0102】
本開示の態様は、以下に列挙される条項のいずれかに実施形態として記載され得る。記載された実施形態のいずれも、実施形態が互いに矛盾しない程度まで、任意の他の記載された実施形態と関連して使用され得ることが理解されよう。
条項1.細胞核における細胞内マイトファジーの刺激を必要とする対象において、細胞内マイトファジーを刺激する方法であって:ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)C-末端調節ドメインの細胞核内への核移行を誘導する、有効量のSREBPシグナル伝達経路活性化薬、または薬学的に許容されるその塩を、対象における細胞マイトファジーを刺激するのに十分なように投与する工程を含む、方法。
条項2.投与されたSREBPシグナル伝達経路活性化薬が、SREBP C-末端調節ドメインに連結されたSREBP N-末端トランス活性化ドメインの核移行を誘導する、先行する条項1に記載の方法。
条項3.投与されたSREBPシグナル伝達経路活性化薬が、非損傷の全長SREBPの核移行を誘導する、条項1または2のいずれか一項に記載の方法。
条項4.投与されたSREBPシグナル伝達経路活性化薬が、中性コレステロールエステルヒドロラーゼ1(NCEH1)の細胞核内への核移行をさらに誘導し、中性コレステロールエステルヒドロラーゼ1(NCEH1)が、N-末端トランス活性化ドメインにおいてSREBPに結合している、条項1~3のいずれか一項に記載の方法。
条項5.SREBPが、SREBP1a、SREBP1cおよびSREBP2からなる群から選択されるアイソフォームである、条項1~4のいずれか一項に記載の方法。
条項6.SREBP N-末端トランス活性化ドメインおよびSREBP C-末端調節ドメインの細胞核内への核移行を誘導するSREBPシグナル伝達経路活性化薬が、中性コレステロールエステルヒドロラーゼ1(NCEH1)阻害剤である、先行する条項1~5のいずれか一項に記載の方法。
条項7.マイトファジーが、完全なミトコンドリアオートファジーである、先行する条項1~6のいずれか一項に記載の方法。
条項8.マイトファジーが、ユビキチン依存性のマイトファジーである、先行する条項1~7のいずれか一項に記載の方法。
条項9.マイトファジーが、ユビキチン非依存性のマイトファジーである、先行する条項1~7のいずれか一項に記載の方法。
条項10.マイトファジーが、正準の経路媒介性マイトファジーである、先行する条項1~7のいずれか一項に記載の方法。
条項11.細胞内マイトファジーが、PTEN-誘導性推定キナーゼ1(PINK1)/パーキン媒介性マイトファジー、BCL2/アデノウイルスE1B 19kDaタンパク質-相互作用タンパク質3/BNIP3-様タンパク質(BNIP3/NIX)媒介性マイトファジー、およびFUN14ドメイン含有1(FUNDC1)媒介性マイトファジーからなる群から選択される正準の経路媒介性マイトファジーである、条項10に記載の方法。
条項12.細胞内マイトファジーが、非正準の経路媒介性マイトファジーである、先行する条項1~7のいずれか一項に記載の方法。
条項13.細胞内マイトファジーが、脂質媒介性マイトファジー、オートファジーおよびベクリン1調節因子1(AMBRA1)媒介性マイトファジー、BCL2Like13(BCL2L13)媒介性マイトファジー、FK506-結合タンパク質8(FKBP8)媒介性マイトファジー、およびRab媒介性マイトファジーからなる群から選択される非正準の経路媒介性マイトファジーである、条項12に記載の方法。
条項14.投与されたSREBPシグナル伝達経路活性化薬が、細胞内脂質生合成をさらに刺激する、先行する条項1~13のいずれか一項に記載の方法。
条項15.刺激された細胞内脂質生合成が、細胞内コレステロール生合成である、条項14に記載の方法。
条項16.刺激された細胞内脂質生合成が、細胞内不飽和脂肪酸生合成である、条項14に記載の方法。
条項17.刺激された細胞内脂質生合成が、1つまたは複数の細胞内脂質の増加に対応するバイオマーカーの変化を伴う、先行する条項14~16のいずれか一項に記載の方法。
条項18.対象が、マウス、ラット、モルモット、ネコ、イヌ、サル、ウマおよびヒトからなる群から選択される、先行する条項1~17のいずれか一項に記載の方法。
条項19.対象が、減少するかまたは正常に機能しないミトコンドリア機能が疾患の症状の原因となる疾患を有する、先行する条項1~18のいずれか一項に記載の方法。
条項20.対象が、減少するかまたは正常に機能しないミトコンドリア機能が全体的に疾患の症状の原因となる疾患を有する、先行する条項1~19のいずれか一項に記載の方法。
条項21.刺激された細胞内マイトファジーが、ミトコンドリアクリアランスの増加、損傷されたミトコンドリアの排除と関連する新しい完全に機能的なミトコンドリアの生成、および/または正味の細胞内ミトコンドリア機能の向上に対応するバイオマーカーの変化を伴う、先行する条項1~20のいずれか一項に記載の方法。
条項22.刺激された細胞内マイトファジーが、損傷されたミトコンドリアを排除し、活性酸素種(ROS)を低減する、先行する条項1~21のいずれか一項に記載の方法。
条項23.刺激された細胞内マイトファジーが、ミトコンドリアタンパク質発現の減少、ミトコンドリアDNAの減少、または細胞の透過型電子顕微鏡観察からなる群から選択されるミトコンドリアクリアランスの増加に対応するバイオマーカーの変化を伴う、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項24.刺激された細胞内マイトファジーが、ミトコンドリアタンパク質発現であるバイオマーカーの変化を伴い、タンパク質がTOM20、LC3および/またはP62である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項25.対象が疾患を有し、刺激された細胞内マイトファジーが、疾患の重症度の低下に対応するバイオマーカーの変化を伴う、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項26.細胞内マイトファジーが、非再生性の細胞または組織において刺激される、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項27.細胞内マイトファジーが、内皮細胞、上皮細胞、平滑筋細胞、HEK293細胞、心筋細胞、肝細胞、神経、骨格筋、免疫細胞、および線維芽細胞からなる群から選択される細胞において刺激される、先行する条項1~25のいずれか一項に記載の方法。
条項28.対象が、加齢、遺伝性疾患(例えば、X連鎖性IFAP)、ミトコンドリア疾患、肺/呼吸器疾患、心血管系疾患、肝疾患、腎疾患、敗血症神経変性/神経精神疾患、およびがんからなる群から選択される疾患を有する、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項29.対象が、炎症性疾患、眼疾患、自己免疫疾患、消化管疾患(腹膜炎、炎症性腸障害)、および骨格筋状態からなる群から選択される疾患を有する、先行する条項1~27のいずれか一項に記載の方法。
条項30.対象が、ミトコンドリア疾患を有する、先行する条項1~27のいずれか一項に記載の方法。
条項31.対象が、アルパース病(進行性小児ポリオジストロフィー)、バース症候群/LIC(致死性小児心筋症)、カルニチン-アシル-カルニチン欠乏症、カルニチン欠乏症、コエンザイムQ10欠乏症、ミトコンドリア呼吸鎖障害、複合体I欠乏症、複合体II欠乏症、複合体III欠乏症、複合体IV/COX欠乏症、複合体V欠乏症、CPEO(慢性進行性外眼筋麻痺症候群)、CPT I欠乏症、CPT II欠乏症、KSS(カーンズ-セイヤー症候群)、乳酸アシドーシス、LCAD(長鎖アシル-CoA脱水素酵素欠損症)LCHAD、リー疾患または症候群(亜急性壊死性脳脊髄症)、レーバー遺伝性視神経萎縮症(LHON)、ルフト疾患、MAD/グルタル酸尿症II型、母系遺伝性難聴および糖尿病(MIDD)、多発性アシル-CoA脱水素酵素欠乏症(MADD)、中鎖アシルCoA脱水素酵素欠乏症(MCAD)、ミオクローヌスてんかんおよび赤色ぼろ線維疾患(MERRF)、ミトコンドリア細胞症、ミトコンドリアDNA枯渇、ミトコンドリア脳筋症、ミトコンドリアミオパチー、ミトコンドリア神経消化器脳筋症(MINGIE)、神経障害運動失調および網膜色素変性症(NARP)、ピアソン症候群、ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症、ピルビン酸脱水素酵素欠乏症、短鎖アシルCoA脱水素酵素欠乏症(SCAD)、短鎖3-ヒドロキシアシル-CoA脱水素酵素欠乏症(SCHAD)、および超長鎖アシル-CoA脱水素酵素欠乏症(VLCAD)からなる群から選択されるミトコンドリア疾患を有する、先行する条項1~27のいずれか一項に記載の方法。
条項32.対象が、ミトコンドリア疾患ならびに筋力低下、運動不耐性、慢性疲労、胃腸管系運動不全、平衡障害、視力喪失、眼筋および眼瞼無力、聴力損失、発育不良、過体重または低体重、発育遅延、神経発生的退縮、認知機能低下および記憶障害からなる群から選択される少なくとも1つの症状を有する、先行する条項1~27のいずれか一項に記載の方法。
条項33.対象が、肺/呼吸器疾患を有する、先行する条項1~32のいずれか一項に記載の方法。
条項34.対象が、気管支肺異形成症、慢性閉塞性肺疾患、肺気腫、肺がん、喘息、嚢胞性線維症、肺動脈性肺高血圧、炎症性肺疾患、胸膜腔疾患、肺血管疾患、肺炎、肺塞栓症、特発性肺線維症、間質性肺疾患、急性呼吸促迫症候群、サルコイドーシス、混合性結合組織疾患、多発性筋炎、皮膚筋炎、および全身性エリテマトーデスからなる群から選択される肺/呼吸器疾患を有する、条項33に記載の方法。
条項35.対象が、肺動脈性肺高血圧である肺/呼吸器疾患を有する、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項36.対象が、心血管系疾患を有する、先行する条項1~27のいずれか一項に記載の方法。
条項37.対象が、急性心臓虚血イベント、急性心筋梗塞、狭心症、不整脈(心房性または心室性)、アテローム性動脈硬化、心房細動、アテローム性動脈硬化、動脈系細動、虚血性心疾患、心不全、心筋症(駆出率の低減および維持)、心血管系疾患、慢性心不全、慢性安定狭心症、先天性心疾患、うっ血性心不全、冠動脈バイパス術、冠動脈疾患、冠動脈心疾患、深部静脈血栓症、糖尿病、真性糖尿病、糖尿病性神経障害、真性糖尿病を有する対象における拡張機能障害、浮腫、本態性高血圧、偶発性肺塞栓症、脂肪肝疾患、心疾患、心不全、ホモ接合性家族性高コレステロール血症(HoFH)、ホモ接合性家族性シトステロール血症、高コレステロール血症、高脂血症、高血圧、高トリグリセリド血症、メタボリック症候群、心臓手術におけるマイトファジー、混合型脂質異常症、中等度から軽度の心不全、心筋梗塞、心筋炎、肥満症治療、発作性心房/動脈系細動/粗動、発作性上室性頻拍症(PSVT)、特に重度または急速に発症する浮腫、末梢血管疾患、血小板凝集、原発性高コレステロール血症、原発性高脂血症、肺動脈性肺高血圧、肺高血圧、再発性血行動態不安定心室頻拍(VT)、再発性心室不整脈、再発性心室細動(VF)、破裂動脈瘤、シトステロール血症、脳卒中、上室性頻拍、症候性心房細動/粗動、頻拍、II型糖尿病、血管性疾患、静脈血栓塞栓症、心室不整脈、および他の心血管系イベントからなる群から選択される心血管系疾患を有する、条項36に記載の方法。
条項38.対象が、高血圧である心血管系疾患を有する、先行する条項36~37のいずれか一項に記載の方法。
条項39.対象が、肝疾患を有する、先行する条項1~27のいずれか一項に記載の方法。
条項40.対象が、アルコール性肝疾患、脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、アルコール性肝炎、肝がん、肝線維症、肝虚血/再灌流傷害、原発性硬化性胆管炎、原発性胆汁性胆管炎、ウイルス性肝炎(慢性C型肝炎、HBV)、自己免疫性肝炎、医原性および/または薬物誘発性の肝傷害、脂肪肝、ならびに肝静脈閉塞症からなる群から選択される肝疾患を有する、条項39に記載の方法。
条項41.対象が、非アルコール性脂肪肝疾患である肝疾患を有する、先行する条項1~27のいずれか一項に記載の方法。
条項42.対象が、腎疾患を有する、先行する条項1~27のいずれか一項に記載の方法。
条項43.腎疾患が、腎不全、急性腎障害、慢性腎疾患、糖尿病性腎症、末期腎疾患、間質性腎炎、腎線維症、尿細管間質性線維症、重度の間質性線維症、腎機能障害、腎間質性線維症、腎不全、および多発性嚢胞腎疾患からなる群から選択される、条項42に記載の方法。
条項44.対象が、急性腎傷害である腎疾患を有する、先行する条項42~43のいずれか一項に記載の方法。
条項45.対象が、神経変性/神経精神疾患を有する、先行する条項1~27のいずれか一項に記載の方法。
条項46.神経変性/神経精神疾患が、筋萎縮性側索硬化症、双極性障害、自閉症、カタレプシー、脳血管疾患、うつ、認知症、てんかん、脳炎、髄膜炎、片頭痛、ハンチントン病、アルツハイマー病、パーキンソン病、脳卒中後認知障害、統合失調症、外傷性脳傷害、および多発性硬化症からなる群から選択される、条項45に記載の方法。
条項47.対象が、パーキンソン病である神経変性/神経精神疾患を有する、条項46に記載の方法。
条項48.対象が、がんを有する、先行する条項1~27のいずれか一項に記載の方法。
条項49.対象が、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、腺様嚢胞癌、膨大部癌、膀胱がん、乳がん、子宮頚がん、胆管細胞癌、腎明細胞癌、結腸直腸がん、皮膚黒色腫、上衣腫、食道がん、食道扁平上皮癌、胃がん、胃癌、胃腺癌、神経膠芽腫、神経膠腫、頭頸部扁平上皮癌、肝細胞癌、喉頭がん、喉頭扁平上皮癌、白血病、局所進行性直腸がん、肺がん、リンパ腫、黒色腫、多発性骨髄腫、非小細胞肺がん、口腔黒色腫、口腔扁平上皮癌、中咽頭扁平上皮癌、骨肉腫、卵巣がん、膵臓がん、膵管腺癌、前立腺がん、腎癌、扁平上皮癌、舌扁平上皮癌、トリプルネガティブ乳がん、および子宮頸部扁平上皮癌からなる群から選択されるがんを有する、条項48に記載の方法。
条項50.対象が、肺がんであるがんを有する、条項48に記載の方法。
条項51.対象が、痔核(内痔核、外痔核)、静脈瘤(食道、腸、胃)、動静脈奇形(AVM)、海綿状奇形、毛細血管拡張症、叢状病変、内皮腫、血管腫(良性、小児、肝、脳、肺、先天性、他の器官)、化膿性肉芽腫、血管内皮腫(カポジ型、類上皮細胞)、血管肉腫、毛細血管奇形、静脈奇形、動脈奇形、動静脈瘻および静脈-リンパ管奇形からなる群から選択される疾患を有する、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項52.SREBPシグナル伝達経路活性化薬が、小分子SREBPシグナル伝達経路活性化薬である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項53.SREBPシグナル伝達経路活性化薬が、選択的SREBPシグナル伝達経路活性化薬である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項54.SREBPシグナル伝達経路活性化薬が、SREBPをコードする遺伝子の発現を増加させる、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項55.SREBPシグナル伝達経路活性化薬が、NCEH1の酵素活性を遮断するNCEH1阻害剤である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項56.NCEH1阻害が、正準と非正準のSREBPシグナル伝達経路の両方を活性化する、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項57.NCEH1阻害が、SREBP N-末端トランス活性化ドメインに結合したNCEH1の核移行を誘導する、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項58.SREBP経路活性化が、NCEH1の核移行に随伴する、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項59.SREBPシグナル伝達経路活性化薬が、NCEH1をコードする遺伝子の発現を低減するNCEH1阻害剤である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項60.SREBPシグナル伝達経路活性化薬が、siRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはリボザイムであるNCEH1阻害剤である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項61.SREBPシグナル伝達経路活性化薬が、小分子NCEH1阻害剤であるNCEH1阻害剤である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項62.SREBPシグナル伝達経路活性化薬が、プロプラノロール、R-プロプラノロール、パプアミド、U18666AおよびJW480、またはプロプラノロール、R-プロプラノロール、パプアミド、U18666AおよびJW480の薬学的に許容される塩からなる群から選択される非選択的NCEH1阻害剤である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項63.SREBPシグナル伝達経路活性化薬が、選択的NCEH1阻害剤であるNCEH1阻害剤である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項64.SREBPシグナル伝達経路活性化薬が、JW480である選択的NCEH1阻害剤である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項65.SREBPシグナル伝達経路活性化薬が、1つまたは複数の他の治療剤と共投与される、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項66.細胞核における細胞内脂質生合成の刺激を必要とする対象において、細胞内脂質生合成を刺激する方法であって:ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)C-末端調節ドメインの細胞核内への核移行を誘導する、有効量のSREBPシグナル伝達経路活性化薬、または薬学的に許容されるその塩を、対象における細胞内脂質合成を刺激するのに十分なように投与する工程を含む、方法。
条項67.投与されたSREBPシグナル伝達経路活性化薬が、SREBP C-末端調節ドメインに連結されたSREBP N-末端トランス活性化ドメインの核移行を誘導する、条項66に記載の方法。
条項68.投与されたSREBPシグナル伝達経路活性化薬が、非損傷の全長SREBPの核移行を誘導する、先行する条項66~67のいずれか一項に記載の方法。
条項69.投与されたSREBPシグナル伝達経路活性化薬が、中性コレステロールエステルヒドロラーゼ1(NCEH1)の細胞核内への核移行をさらに誘導し、中性コレステロールエステルヒドロラーゼ1(NCEH1)が、N-末端トランス活性化ドメインにおいてSREBPに結合している、先行する条項66~68のいずれか一項に記載の方法。
条項70.SREBPが、SREBP1a、SREBP1cおよびSREBP2からなる群から選択されるアイソフォームである、先行する条項66~69のいずれか一項に記載の方法。
条項71.SREBP C-末端調節ドメインの細胞核内への移行を誘導するSREBPシグナル伝達経路活性化薬が、中性コレステロールエステルヒドロラーゼ1(NCEH1)阻害剤である、先行する条項66~70のいずれか一項に記載の方法。
条項72.刺激された細胞内脂質生合成が、遊離コレステロールを低減する、先行する条項66~71のいずれか一項に記載の方法。
条項73.投与されたSREBPシグナル伝達経路活性化薬が、細胞内マイトファジーをさらに刺激する、先行する条項66~72のいずれか一項に記載の方法。
条項74.投与されたSREBPシグナル伝達経路活性化薬が、細胞内マイトファジーをさらに刺激し、刺激された細胞内マイトファジーが、ミトコンドリアタンパク質発現の減少、ミトコンドリアDNAの減少、または細胞の透過型電子顕微鏡観察からなる群から選択されるミトコンドリアクリアランスの増加に対応するバイオマーカーの変化を伴う、先行する条項66~73のいずれか一項に記載の方法。
条項75.刺激された細胞内マイトファジーが、ミトコンドリアタンパク質発現であるバイオマーカーの変化を伴い、タンパク質がTOM20、LC3および/またはP62である、先行する条項66~74のいずれか一項に記載の方法。
条項76.細胞内マイトファジーが、完全なミトコンドリアオートファジーである、先行する条項66~75のいずれか一項に記載の方法。
条項77.細胞内マイトファジーが、ユビキチン-依存性のマイトファジーである、先行する条項66~76のいずれか一項に記載の方法。
条項78.細胞内マイトファジーが、ユビキチン-非依存性のマイトファジーである、先行する条項66~76のいずれか一項に記載の方法。
条項79.細胞内マイトファジーが、正準の経路媒介性マイトファジーである、先行する条項66~76のいずれか一項に記載の方法。
条項80.細胞内マイトファジーが、PTEN-誘導性推定キナーゼ1(PINK1)/パーキン媒介性マイトファジー、BCL2/アデノウイルスE1B19kDaタンパク質-相互作用タンパク質3/BNIP3-様タンパク質(BNIP3/NIX)媒介性マイトファジー、およびFUN14ドメイン含有1(FUNDC1)媒介性マイトファジーからなる群から選択される正準の経路媒介性マイトファジーである、先行する条項66~76のいずれか一項に記載の方法。
条項81.細胞内マイトファジーが、非正準の経路媒介性マイトファジーである、先行する条項66~76のいずれか一項に記載の方法。
条項82.細胞内マイトファジーが、脂質媒介性マイトファジー、オートファジーおよびベクリン1調節因子1(AMBRA1)媒介性マイトファジー、BCL2Like13(BCL2L13)媒介性マイトファジー、FK506-結合タンパク質8(FKBP8)媒介性マイトファジー、およびRab媒介性マイトファジーからなる群から選択される非正準の経路媒介性マイトファジーである、先行する条項66~76のいずれか一項に記載の方法。
条項83.刺激された細胞内脂質生合成が、1つまたは複数の細胞内脂質の増加に対応するバイオマーカーの変化を伴う、先行する条項66~82のいずれか一項に記載の方法。
条項84.刺激された細胞内脂質生合成が、ミトコンドリアクリアランスの増加、損傷されたミトコンドリアの排除と関連する新しい完全に機能的なミトコンドリアの生成、および/または正味の細胞ミトコンドリア機能の向上に対応するバイオマーカーの変化を伴う、先行する条項66~82のいずれか一項に記載の方法。
条項85.対象が疾患を有し、刺激された細胞内脂質生合成が、疾患の重症度の低下に対応するバイオマーカーの変化を伴う、先行する条項66~82のいずれか一項に記載の方法。
条項86.細胞内脂質生合成が、非再生性の細胞または組織において刺激される、条項85に記載の方法。
条項87.細胞内脂質生合成が、内皮細胞、平滑筋細胞、HEK293細胞、心筋細胞、肝細胞、神経、骨格筋、および線維芽細胞からなる群から選択される細胞において刺激される、先行する条項85~86のいずれか一項に記載の方法。
条項88.対象が、ミトコンドリア疾患、肺/呼吸器疾患、心血管系疾患、肝疾患、腎疾患、神経変性/神経精神疾患およびがんからなる群から選択される疾患を有する、先行する条項66~87のいずれか一項に記載の方法。
条項89.対象が、ミトコンドリア疾患を有する、先行する条項66~87のいずれか一項に記載の方法。
条項90.対象が、アルパース病(進行性小児ポリオジストロフィー)、バース症候群/LIC(致死性小児心筋症)、カルニチン-アシル-カルニチン欠乏症、カルニチン欠乏症、コエンザイムQ10欠乏症、ミトコンドリア呼吸鎖障害、複合体I欠乏症、複合体II欠乏症、複合体III欠乏症、複合体IV/COX欠乏症、複合体V欠乏症、CPEO(慢性進行性外眼筋麻痺症候群)、CPT I欠乏症、CPT II欠乏症、KSS(カーンズ-セイヤー症候群)、乳酸アシドーシス、LCAD(長鎖アシル-CoA脱水素酵素欠損症)LCHAD、リー疾患または症候群(亜急性壊死性脳脊髄症)、LHON(レーバー遺伝性視神経萎縮症)、ルフト疾患、MAD/グルタル酸尿症II型、母系遺伝性難聴および糖尿病(MIDD)、多発性アシル-CoA脱水素酵素欠乏症(MADD)、中鎖アシルCoA脱水素酵素欠乏症(MCAD)、ミオクローヌスてんかんおよび赤色ぼろ線維疾患(MERRF)、ミトコンドリア細胞症、ミトコンドリアDNA枯渇、ミトコンドリア脳筋症、ミトコンドリアミオパチー、ミトコンドリア神経消化器脳筋症(MINGIE)、神経障害運動失調および網膜色素変性症(NARP)、ピアソン症候群、ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症、ピルビン酸脱水素酵素欠損症、短鎖アシルCoA脱水素酵素欠乏症(SCAD)、短鎖3-ヒドロキシアシル-CoA脱水素酵素欠乏症(SCHAD)、および超長鎖アシル-CoA脱水素酵素欠乏症(VLCAD)からなる群から選択されるミトコンドリア疾患を有する、先行する条項66~87のいずれか一項に記載の方法。
条項91.対象が、ミトコンドリア疾患ならびに筋力低下、運動不耐性、慢性疲労、胃腸管系運動不全、平衡障害、視力喪失、眼筋および眼瞼低下、聴力損失、発育不良、過体重または低体重、発育遅延、神経発生的退縮、認知機能低下および記憶障害からなる群から選択される少なくとも1つの症状を有する、先行する条項66~87のいずれか一項に記載の方法。
条項92.対象が、肺/呼吸器疾患を有する、先行する条項66~87のいずれか一項に記載の方法。
条項93.対象が、気管支肺異形成症、慢性閉塞性肺疾患、肺がん、喘息、嚢胞性線維症、肺動脈性肺高血圧、炎症性肺疾患、胸膜腔疾患、肺血管疾患、肺炎、肺塞栓症、特発性肺線維症、サルコイドーシス、混合性結合組織疾患、多発性筋炎、皮膚筋炎、および全身性エリテマトーデスからなる群から選択される肺/呼吸器疾患を有する、先行する条項66~87のいずれか一項に記載の方法。
条項94.対象が、肺動脈性肺高血圧である肺/呼吸器疾患を有する、先行する条項66~87のいずれか一項に記載の方法。
条項95.対象が、心血管系疾患を有する、先行する条項66~87のいずれか一項に記載の方法。
条項96.対象が、急性心臓虚血イベント、急性心筋梗塞、狭心症、不整脈、アテローム性動脈硬化、心房細動、アテローム性動脈硬化、動脈系細動、虚血性心疾患、心不全、心筋症、心血管系疾患、慢性心不全、慢性安定狭心症、先天性心疾患、うっ血性心不全、冠動脈バイパス術、冠動脈疾患、冠動脈心疾患、深部静脈血栓症、糖尿病、真性糖尿病、糖尿病性神経障害、真性糖尿病を有する対象における拡張機能障害、浮腫、本態性高血圧、偶発性肺塞栓症、脂肪肝疾患、心疾患、心不全、ホモ接合性家族性高コレステロール血症(HoFH)、ホモ接合性家族性シトステロール血症、高コレステロール血症、高脂血症、高血圧、高トリグリセリド血症、メタボリック症候群、心臓手術におけるマイトファジー、混合型脂質異常症、中等度から軽度の心不全、心筋梗塞、肥満症治療、発作性心房/動脈系細動/粗動、発作性上室性頻拍症(PSVT)、特に重度または急速に発症する浮腫、末梢血管疾患、血小板凝集、原発性高コレステロール血症、原発性高脂血症、肺動脈性肺高血圧、肺高血圧、再発性血行動態不安定心室頻拍(VT)、再発性心室不整脈、再発性心室細動(VF)、破裂動脈瘤、シトステロール血症、脳卒中、上室性頻拍、症候性心房細動/粗動、頻拍、II型糖尿病、血管性疾患、静脈血栓塞栓症、心室不整脈、および他の心血管系イベントからなる群から選択される心血管系疾患を有する、先行する条項66~87のいずれか一項に記載の方法。
条項97.対象が、高血圧である心血管系疾患を有する、先行する条項66~87のいずれか一項に記載の方法。
条項98.対象が、肝疾患を有する、先行する条項66~87のいずれか一項に記載の方法。
条項99.対象が、アルコール性肝疾患、脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、アルコール性肝炎、肝がん、肝線維症、肝虚血/再灌流傷害、原発性硬化性胆管炎、原発性胆汁性胆管炎、ウイルス性肝炎(慢性C型肝炎、HBV)、自己免疫性肝炎、医原性および/または薬物誘発性の肝傷害、脂肪肝、ならびに肝静脈閉塞症からなる群から選択される肝疾患を有する、先行する条項66~87のいずれか一項に記載の方法。
条項100.対象が、非アルコール性脂肪肝疾患である肝疾患を有する、先行する条項66~87のいずれか一項に記載の方法。
条項101.対象が、腎疾患を有する、先行する条項66~87のいずれか一項に記載の方法。
条項102.腎疾患が、腎不全、急性腎障害、慢性腎疾患、糖尿病性腎症、末期腎疾患、間質性腎炎、腎線維症、尿細管間質性線維症、重度の間質性線維症、腎機能障害、腎間質性線維症、および多発性嚢胞腎疾患からなる群から選択される、先行する条項66~87のいずれか一項に記載の方法。
条項103.対象が、急性腎傷害である腎疾患を有する、先行する条項66~87のいずれか一項に記載の方法。
条項104.対象が、神経変性/神経精神疾患を有する、先行する条項66~87のいずれか一項に記載の方法。
条項105.神経変性/神経精神疾患が、筋萎縮性側索硬化症、双極性障害、自閉症、カタレプシー、うつ、認知症、てんかん、脳炎、髄膜炎、片頭痛、ハンチントン病、アルツハイマー病、パーキンソン病、脳卒中後認知障害、統合失調症、および多発性硬化症からなる群から選択される、先行する条項66~87のいずれか一項に記載の方法。
条項106.対象が、パーキンソン病である神経変性/神経精神疾患を有する、先行する条項66~87のいずれか一項に記載の方法。
条項107.対象が、がんを有する、先行する条項66~87のいずれか一項に記載の方法。
条項108.対象が、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、腺様嚢胞癌、膨大部癌、膀胱がん、乳がん、子宮頚がん、胆管細胞癌、腎明細胞癌、結腸直腸がん、皮膚黒色腫、上衣腫、食道がん、食道扁平上皮癌、胃がん、胃癌、胃腺癌、神経膠芽腫、神経膠腫、頭頸部扁平上皮癌、肝細胞癌、喉頭がん、喉頭扁平上皮癌、白血病、局所進行性直腸がん、肺がん、リンパ腫、黒色腫、多発性骨髄腫、非小細胞肺がん、口腔黒色腫、口腔扁平上皮癌、中咽頭扁平上皮癌、骨肉腫、卵巣がん、膵臓がん、膵管腺癌、前立腺がん、腎癌、扁平上皮癌、舌扁平上皮癌、トリプルネガティブ乳がん、および子宮頸部扁平上皮癌からなる群から選択されるがんを有する、先行する条項66~87のいずれか一項に記載の方法。
条項109.対象が、肺がんであるがんを有する、先行する条項66~87のいずれか一項に記載の方法。
条項110.SREBPシグナル伝達経路活性化薬が、小分子SREBPシグナル伝達経路活性化薬である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項111.SREBPシグナル伝達経路活性化薬が、選択的SREBPシグナル伝達経路活性化薬である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項112.SREBPシグナル伝達経路活性化薬が、SREBPをコードする遺伝子の発現を増加させる、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項113.SREBPシグナル伝達の経路活性化が、NCEH1の核移行に随伴する、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項114.SREBPシグナル伝達経路活性化薬が、NCEH1の酵素活性を遮断するNCEH1阻害剤である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項115.SREBPシグナル伝達経路活性化薬が、NCEH1をコードする遺伝子の発現を低減するNCEH1阻害剤である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項116.SREBPシグナル伝達経路活性化薬が、siRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはリボザイムであるNCEH1阻害剤である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項117.SREBPシグナル伝達経路活性化薬が、小分子NCEH1阻害剤であるNCEH1阻害剤である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項118.SREBPシグナル伝達経路活性化薬が、プロプラノロールまたはR-プロプラノロールである非選択的NCEH1阻害剤である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項119.SREBPシグナル伝達経路活性化薬が、選択的NCEH1阻害剤であるNCEH1阻害剤である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項120.SREBPシグナル伝達経路活性化薬が、JW480である選択的NCEH1阻害剤である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項121.SREBPシグナル伝達経路活性化薬が、1つまたは複数の他の治療剤と共投与される、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項122.細胞内マイトファジー機能障害関連の疾患の処置を必要とする対象において、該疾患を処置する方法であって:ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)C-末端調節ドメインの細胞核内への核移行を誘導する、有効量のSREBPシグナル伝達経路活性化薬または薬学的に許容されるその塩を、対象に投与する工程を含む、方法。
条項123.投与されたSREBPシグナル伝達経路活性化薬が、SREBP C-末端調節ドメインに連結されたSREBP N-末端トランス活性化ドメインの核移行を誘導する、先行する条項122に記載の方法。
条項124.投与されたSREBPシグナル伝達経路活性化薬が、非損傷の全長SREBPの核移行を誘導する、先行する条項122~123のいずれか一項に記載の方法。
条項125.投与されたSREBPシグナル伝達経路活性化薬が、中性コレステロールエステルヒドロラーゼ1(NCEH1)の細胞核内への核移行をさらに誘導し、中性コレステロールエステルヒドロラーゼ1(NCEH1)が、N-末端トランス活性化ドメインにおいてSREBPに結合している、先行する条項122~124のいずれか一項に記載の方法。
条項126.SREBPが、SREBP1a、SREBP1cおよびSREBP2からなる群から選択されるアイソフォームである、先行する条項122~125のいずれか一項に記載の方法。
条項127.SREBP N-末端トランス活性化ドメインおよびSREBP C-末端調節ドメインの細胞核内への核移行を誘導するSREBPシグナル伝達経路活性化薬が、中性コレステロールエステルヒドロラーゼ1(NCEH1)阻害剤である、先行する条項122~126のいずれか一項に記載の方法。
条項128.細胞内マイトファジーが、完全なミトコンドリアオートファジーである、先行する条項122~127のいずれか一項に記載の方法。
条項129.マイトファジー機能障害が、ユビキチン-依存性のマイトファジーである、先行する条項122~127のいずれか一項に記載の方法。
条項130.マイトファジー機能障害が、ユビキチン-非依存性のマイトファジーである、先行する条項122~127のいずれか一項に記載の方法。
条項131.マイトファジー機能障害が、正準の経路媒介性マイトファジーである、先行する条項122~127のいずれか一項に記載の方法。
条項132.マイトファジー機能障害が、PTEN-誘導性推定キナーゼ1(PINK1)/パーキン媒介性マイトファジー、BCL2/アデノウイルスE1B19kDaタンパク質-相互作用タンパク質3/BNIP3-様タンパク質(BNIP3/NIX)媒介性マイトファジー、およびFUN14ドメイン含有1(FUNDC1)媒介性マイトファジーからなる群から選択される正準の経路媒介性マイトファジーである、先行する条項122~127のいずれか一項に記載の方法。
条項133.マイトファジー機能障害が、非正準の経路媒介性マイトファジーである、先行する条項122~127のいずれか一項に記載の方法。
条項134.マイトファジー機能障害が、脂質媒介性マイトファジー、オートファジーおよびベクリン1調節因子1(AMBRA1)媒介性マイトファジー、BCL2Like13(BCL2L13)媒介性マイトファジー、FK506-結合タンパク質8(FKBP8)媒介性マイトファジー、およびRab媒介性マイトファジーからなる群から選択される非正準の経路媒介性マイトファジーである、先行する条項122~127のいずれか一項に記載の方法。
条項135.対象が、マウス、ラット、モルモット、ネコ、イヌ、サル、ウマおよびヒトからなる群から選択される、先行する条項122~134のいずれか一項に記載の方法。
条項136.マイトファジー機能障害が、全体的に疾患の原因となる、先行する条項122~135のいずれか一項に記載の方法。
条項137.投与されたSREBPシグナル伝達経路活性化薬が、細胞内マイトファジーを刺激する、先行する条項122~136のいずれか一項に記載の方法。
条項138.投与されたSREBPシグナル伝達経路活性化薬が、細胞内脂質生合成を刺激する、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項139.投与されたSREBPシグナル伝達経路活性化薬が細胞内脂質生合成を刺激し、刺激された細胞内脂質生合成が遊離コレステロールを低減する、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項140.投与されたSREBPシグナル伝達経路活性化薬が細胞内脂質生合成を刺激し、刺激された細胞内脂質生合成が細胞内不飽和脂肪酸生合成である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項141.投与されたSREBPシグナル伝達経路活性化薬が細胞内脂質生合成を刺激し、刺激された細胞内脂質生合成が、1つまたは複数の細胞内脂質の増加に対応するバイオマーカーの変化を伴う、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項142.処置されたマイトファジー機能障害関連の疾患が、1つまたは複数の細胞内脂質の増加に対応するバイオマーカーの変化を伴う、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項143.処置されたマイトファジー機能障害関連の疾患が、遊離コレステロールの減少および新しく作られた非酸化/非損傷の脂肪酸の増加からなる群から選択される1つまたは複数の細胞内脂質の変化に対応するバイオマーカーの変化を伴う、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項144.処置されたマイトファジー機能障害関連の疾患が、遊離コレステロールの減少に対応するバイオマーカーの変化を伴う、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項145.処置されたマイトファジー機能障害関連の疾患が、ミトコンドリアクリアランスの増加、損傷されたミトコンドリアの排除と関連する新しい完全に機能的なミトコンドリアの生成、および/または正味の細胞内ミトコンドリア機能の向上に対応するバイオマーカーの変化を伴う、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項146.刺激された細胞内マイトファジーが、ミトコンドリアタンパク質発現の増加、ミトコンドリアDNAの増加、または細胞の透過型電子顕微鏡観察からなる群から選択されるミトコンドリアクリアランスの増加に対応するバイオマーカーの変化を伴う、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項147.刺激された細胞内マイトファジーが、ミトコンドリアタンパク質発現であるバイオマーカーの変化を伴い、タンパク質がTOM20、LC3および/またはP62である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項148.処置されたマイトファジー機能障害関連の疾患が、疾患の重症度の低下に対応するバイオマーカーの変化を伴う、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項149.細胞内マイトファジーが、非再生性の細胞または組織において刺激される、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項150.細胞内マイトファジーが、内皮細胞、平滑筋細胞、HEK293細胞、心筋細胞、肝細胞、神経、骨格筋、および線維芽細胞からなる群から選択される細胞において刺激される、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項151.マイトファジー機能障害関連の疾患が、ミトコンドリア疾患、肺/呼吸器疾患、心血管系疾患、肝疾患、腎疾患、神経変性/神経精神疾患およびがんからなる群から選択される、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項152.マイトファジー機能障害関連の疾患が、ミトコンドリア疾患である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項153.マイトファジー機能障害関連の疾患が、アルパース病(進行性小児ポリオジストロフィー)、バース症候群/LIC(致死性小児心筋症)、カルニチン-アシル-カルニチン欠乏症、カルニチン欠乏症、コエンザイムQ10欠乏症、ミトコンドリア呼吸鎖障害、複合体I欠乏症、複合体II欠乏症、複合体III欠乏症、複合体IV/COX欠乏症、複合体V欠乏症、CPEO(慢性進行性外眼筋麻痺症候群)、CPT I欠乏症、CPT II欠乏症、KSS(カーンズ-セイヤー症候群)、乳酸アシドーシス、LCAD(長鎖アシル-CoA脱水素酵素欠損症)LCHAD、リー疾患または症候群(亜急性壊死性脳脊髄症)、LHON(レーバー遺伝性視神経萎縮症)、ルフト疾患、MAD/グルタル酸尿症II型、母系遺伝性難聴および糖尿病(MIDD)、多発性アシル-CoA脱水素酵素欠乏症(MADD)、中鎖アシルCoA脱水素酵素欠乏症(MCAD)、ミオクローヌスてんかんおよび赤色ぼろ線維疾患(MERRF)、ミトコンドリア細胞症、ミトコンドリアDNA枯渇、ミトコンドリア脳筋症、ミトコンドリアミオパチー、ミトコンドリア神経消化器脳筋症(MINGIE)、神経障害運動失調および網膜色素変性症(NARP)、ピアソン症候群、ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症、ピルビン酸脱水素酵素欠損症、短鎖アシルCoA脱水素酵素欠乏症(SCAD)、短鎖3-ヒドロキシアシル-CoA脱水素酵素欠乏症(SCHAD)、および超長鎖アシル-CoA脱水素酵素欠乏症(VLCAD)からなる群から選択されるミトコンドリア疾患である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項154.マイトファジー機能障害関連の疾患が、筋力低下、運動不耐性、慢性疲労、胃腸管系運動不全、平衡障害、視力喪失、眼筋および眼瞼低下、聴力損失、発育不良、過体重または低体重、発育遅延、神経発生的退縮、認知機能低下および記憶障害からなる群から選択される少なくとも1つの症状を伴う、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項155.マイトファジー機能障害関連の疾患が、肺/呼吸器疾患である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項156.マイトファジー機能障害関連の疾患が、気管支肺異形成症、慢性閉塞性肺疾患、肺がん、喘息、嚢胞性線維症、肺動脈性肺高血圧、炎症性肺疾患、胸膜腔疾患、肺血管疾患、肺炎、肺塞栓症、特発性肺線維症、サルコイドーシス、混合性結合組織疾患、多発性筋炎、皮膚筋炎、および全身性エリテマトーデスからなる群から選択される肺/呼吸器疾患である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項157.マイトファジー機能障害関連の疾患が、肺動脈性肺高血圧である肺/呼吸器疾患である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項158.マイトファジー機能障害関連の疾患が、心血管系疾患である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項159.マイトファジー機能障害関連の疾患が、急性心臓虚血イベント、急性心筋梗塞、狭心症、不整脈、アテローム性動脈硬化、心房細動、アテローム性動脈硬化、動脈系細動、虚血性心疾患、心不全、心筋症、心血管系疾患、慢性心不全、慢性安定狭心症、先天性心疾患、うっ血性心不全、冠動脈バイパス術、冠動脈疾患、冠動脈心疾患、深部静脈血栓症、糖尿病、真性糖尿病、糖尿病性神経障害、真性糖尿病を有する対象における拡張機能障害、浮腫、本態性高血圧、偶発性肺塞栓症、脂肪肝疾患、心疾患、心不全、ホモ接合性家族性高コレステロール血症(HoFH)、ホモ接合性家族性シトステロール血症、高コレステロール血症、高脂血症、高血圧、高トリグリセリド血症、メタボリック症候群、心臓手術におけるマイトファジー、混合型脂質異常症、中等度から軽度の心不全、心筋梗塞、肥満症治療、発作性心房/動脈系細動/粗動、発作性上室性頻拍症(PSVT)、特に重度または急速に発症する浮腫、末梢血管疾患、血小板凝集、原発性高コレステロール血症、原発性高脂血症、肺動脈性肺高血圧、肺高血圧、再発性血行動態不安定心室頻拍(VT)、再発性心室不整脈、再発性心室細動(VF)、破裂動脈瘤、シトステロール血症、脳卒中、上室性頻拍、症候性心房細動/粗動、頻拍、II型糖尿病、血管性疾患、静脈血栓塞栓症、心室不整脈、および他の心血管系イベントからなる群から選択される心血管系疾患である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項160.マイトファジー機能障害関連の疾患が、高血圧である心血管系疾患である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項161.マイトファジー機能障害関連の疾患が、肝疾患である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項162.マイトファジー機能障害関連の疾患が、アルコール性肝疾患、脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、アルコール性肝炎、肝がん、肝線維症、肝虚血/再灌流傷害、原発性硬化性胆管炎、原発性胆汁性胆管炎、ウイルス性肝炎(慢性C型肝炎、HBV)、自己免疫性肝炎、医原性および/または薬物誘発性の肝傷害、脂肪肝、ならびに肝静脈閉塞症からなる群から選択される肝疾患である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項163.マイトファジー機能障害関連の疾患が、非アルコール性脂肪肝疾患である肝疾患である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項164.マイトファジー機能障害関連の疾患が、腎疾患である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項165.マイトファジー機能障害関連の疾患が、腎不全、急性腎障害、慢性腎疾患、糖尿病性腎症、末期腎疾患、間質性腎炎、腎線維症、尿細管間質性線維症、重度の間質性線維症、腎機能障害、腎間質性線維症、および多発性嚢胞腎疾患からなる群から選択される腎疾患である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項166.マイトファジー機能障害関連の疾患が、急性腎傷害である腎疾患である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項167.マイトファジー機能障害関連の疾患が、神経変性/神経精神疾患である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項168.神経変性/神経精神疾患が、筋萎縮性側索硬化症、双極性障害、自閉症、カタレプシー、うつ、認知症、てんかん、脳炎、髄膜炎、片頭痛、ハンチントン病、アルツハイマー病、パーキンソン病、脳卒中後認知障害、統合失調症、および多発性硬化症からなる群から選択される、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項169.マイトファジー機能障害関連の疾患が、パーキンソン病である神経変性/神経精神疾患である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項170.マイトファジー機能障害関連の疾患が、がんである、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項171.マイトファジー機能障害関連の疾患が、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、腺様嚢胞癌、膨大部癌、膀胱がん、乳がん、子宮頚がん、胆管細胞癌、腎明細胞癌、結腸直腸がん、皮膚黒色腫、上衣腫、食道がん、食道扁平上皮癌、胃がん、胃癌、胃腺癌、神経膠芽腫、神経膠腫、頭頸部扁平上皮癌、肝細胞癌、喉頭がん、喉頭扁平上皮癌、白血病、局所進行性直腸がん、肺がん、リンパ腫、黒色腫、多発性骨髄腫、非小細胞肺がん、口腔黒色腫、口腔扁平上皮癌、中咽頭扁平上皮癌、骨肉腫、卵巣がん、膵臓がん、膵管腺癌、前立腺がん、腎癌、扁平上皮癌、舌扁平上皮癌、トリプルネガティブ乳がん、および子宮頸部扁平上皮癌からなる群から選択されるがんである、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項172.マイトファジー機能障害関連の疾患が、肺がんであるがんである、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項173.SREBPシグナル伝達経路活性化薬が、小分子SREBPシグナル伝達経路活性化薬である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項174.SREBPシグナル伝達経路活性化薬が、選択的SREBPシグナル伝達経路活性化薬である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項175.SREBPシグナル伝達経路活性化薬が、SREBPをコードする遺伝子の発現を増加させる、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項176.SREBPシグナル伝達経路活性化薬が、NCEH1の酵素活性を遮断するNCEH1阻害剤である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項177.SREBPシグナル伝達経路活性化薬が、NCEH1をコードする遺伝子の発現を低減するNCEH1阻害剤である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項178.SREBPシグナル伝達経路活性化薬が、siRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはリボザイムであるNCEH1阻害剤である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項179.SREBPシグナル伝達経路活性化薬が、小分子NCEH1阻害剤であるNCEH1阻害剤である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項180.SREBPシグナル伝達経路活性化薬が、プロプラノロールまたはR-プロプラノロールである非選択的NCEH1阻害剤である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項181.SREBPシグナル伝達経路活性化薬が、選択的NCEH1阻害剤であるNCEH1阻害剤である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項182.SREBPシグナル伝達経路活性化薬が、JW480である選択的NCEH1阻害剤である、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項183.SREBP転写活性化が、NCEH1の核移行に随伴する、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項184.SREBPシグナル伝達経路活性化薬が、1つまたは複数の他の治療剤と共投与される、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。条項.SREBPシグナル伝達経路活性化薬が、1つまたは複数の他の治療剤と共投与される、先行する条項のいずれか一項に記載の方法。
条項185.細胞核における細胞内マイトファジーの刺激を必要とする対象において、細胞内マイトファジーを刺激する方法であって:ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)N-末端トランス活性化ドメインおよび中性コレステロールエステルヒドロラーゼ1(NCEH1)の細胞核内への核移行を誘導する、有効量のSREBPシグナル伝達経路活性化薬、または薬学的に許容されるその塩を、対象における細胞マイトファジーを刺激するのに十分なように投与する工程を含む、方法。
条項186.中性コレステロールエステルヒドロラーゼ1(NCEH1)が、SREBP N-末端トランス活性化ドメインに結合している、先行する条項185に記載の方法。
条項187.投与されたSREBPシグナル伝達経路活性化薬が、SREBP C-末端調節ドメインに連結されたSREBP N-末端トランス活性化ドメインの核移行を誘導する、先行する条項185~186のいずれか一項に記載の方法。
条項188.投与されたSREBPシグナル伝達経路活性化薬が、非損傷の全長SREBPの核移行を誘導する、先行する条項185~187のいずれか一項に記載の方法。
条項189.SREBPが、SREBP1a、SREBP1cおよびSREBP2からなる群から選択されるアイソフォームである、先行する条項185~188のいずれか一項に記載の方法。
条項190.SREBP N-末端トランス活性化ドメインおよびSREBP C-末端調節ドメインの細胞核内への核移行を誘導するSREBPシグナル伝達経路活性化薬が、中性コレステロールエステルヒドロラーゼ1(NCEH1)阻害剤である、先行する条項185~189のいずれか一項に記載の方法。
条項191.細胞核における細胞内脂質生合成の刺激を必要とする対象において、細胞内脂質生合成を刺激する方法であって:ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)N-末端トランス活性化ドメインおよび中性コレステロールエステルヒドロラーゼ1(NCEH1)の細胞核内への核移行を誘導する、有効量のSREBPシグナル伝達経路活性化薬、または薬学的に許容されるその塩を、対象における細胞内脂質合成を刺激するのに十分なように投与する工程を含む、方法。
条項192.中性コレステロールエステルヒドロラーゼ1(NCEH1)が、SREBP N-末端トランス活性化ドメインに結合している、先行する条項191に記載の方法。
条項193.投与されたSREBPシグナル伝達経路活性化薬が、SREBP C-末端調節ドメインに連結されたSREBP N-末端トランス活性化ドメインの核移行を誘導する、先行する条項191~192のいずれか一項に記載の方法。
条項194.投与されたSREBPシグナル伝達経路活性化薬が、非損傷の全長SREBPの核移行を誘導する、先行する条項191~193のいずれか一項に記載の方法。
条項195.SREBPが、SREBP1a、SREBP1cおよびSREBP2からなる群から選択されるアイソフォームである、先行する条項191~194のいずれか一項に記載の方法。
条項196.SREBP C-末端調節ドメインの細胞核内への移行を誘導するSREBPシグナル伝達経路活性化薬が、中性コレステロールエステルヒドロラーゼ1(NCEH1)阻害剤である、先行する条項191~195のいずれか一項に記載の方法。
条項197.細胞内マイトファジー機能障害関連の疾患の処置を必要とする対象において、該疾患を処置する方法であって:ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)N-末端トランス活性化ドメインおよび中性コレステロールエステルヒドロラーゼ1(NCEH1)の細胞核内への核移行を誘導する、有効量のSREBPシグナル伝達経路活性化薬、または薬学的に許容されるその塩を、対象に投与する工程を含む、方法。
条項198.中性コレステロールエステルヒドロラーゼ1(NCEH1)が、SREBP N-末端トランス活性化ドメインに結合している、先行する条項197に記載の方法。
条項199.投与されたSREBPシグナル伝達経路活性化薬が、SREBP C-末端調節ドメインに連結されたSREBP N-末端トランス活性化ドメインの核移行を誘導する、先行する条項197~198のいずれか一項に記載の方法。
条項200.投与されたSREBPシグナル伝達経路活性化薬が、非損傷の全長SREBPの核移行を誘導する、先行する条項197~199のいずれか一項に記載の方法。
条項201.SREBPが、SREBP1a、SREBP1cおよびSREBP2からなる群から選択されるアイソフォームである、先行する条項197~200のいずれか一項に記載の方法。
条項202.SREBP N-末端トランス活性化ドメインおよびSREBP C-末端調節ドメインの細胞核内への核移行を誘導するSREBPシグナル伝達経路活性化薬が、中性コレステロールエステルヒドロラーゼ1(NCEH1)阻害剤である、先行する条項197~201のいずれか一項に記載の方法。
条項203.細胞中でマイトファジーを強化する方法であって、前記細胞と、ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)経路の活性化薬とを接触させる工程を含む、方法。
条項204.SREBP経路の活性化薬が、プロプラノロール、R-プロプラノロール、パプアミド、U18666AおよびJW480からなる群から選択される化合物である、条項1~203のいずれか一項に記載の方法。
条項205.SREBP経路の活性化薬が、R-プロプラノロールである、条項204に記載の方法。
条項206.SREBP経路の活性化薬が、プロプラノロールである、条項204に記載の方法。
条項207.SREBP経路の活性化薬がJW480である、条項204に記載の方法。
条項208.前記細胞が、SREBP経路の活性化薬を対象に投与することによって、in vivoにおいて接触される、条項203~207のいずれか一項に記載の方法。
条項209.対象が、マイトファジー機能障害関連の疾患を有する、条項208に記載の方法。
条項210.細胞における細胞内脂質生合成の刺激を必要とする対象において、細胞内脂質生合成を刺激する方法であって:ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)経路の活性化薬を含む有効量の組成物を、対象における細胞内脂質合成を刺激するのに十分なように対象に投与する工程を含む、方法。
条項211.SREBP経路の活性化薬が、プロプラノロール、R-プロプラノロール、パプアミド、U18666AおよびJW480からなる群から選択される化合物である、条項210に記載の方法。
条項212.SREBP経路の活性化薬が、プロプラノロールである、条項210に記載の方法。
条項213.SREBP経路の活性化薬が、R-プロプラノロールである、条項210に記載の方法。
条項214.SREBP経路の活性化薬がJW480である、条項210に記載の方法。
条項215.哺乳動物の標的組織における細胞マイトファジーのバイオマーカーを同定する方法であって:
(a)ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)C-末端調節ドメインの細胞核内への移行を誘導する、SREBPシグナル伝達経路活性化薬、または薬学的に許容されるその塩を、哺乳動物に投与する工程と;
(b)哺乳動物の血液試料から内皮細胞を収集する工程と;
(c)細胞マイトファジーに関して、収集された哺乳動物の内皮細胞を分析する工程と;
(d)哺乳動物の標的組織から細胞を収集する工程と;
(e)細胞マイトファジーに関して、収集された哺乳動物の標的組織細胞を分析する工程と;
(f)哺乳動物の内皮細胞における細胞マイトファジーと、哺乳動物の標的組織細胞における細胞マイトファジーとの相関関係を決定する工程と
を含む、方法。
条項216.ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)シグナル伝達経路活性化薬の候補を同定する方法であって:
(a)細胞を、SREBPシグナル伝達経路活性化薬の候補と接触させる工程と;
(b)マイトファジーおよびSREBP C-末端調節ドメインの存在またはSREBP N-末端トランス活性化ドメインの存在および中性コレステロールエステルヒドロラーゼ1(NCEH1)の細胞核内への移行に関して、接触させた細胞を分析する工程と
を含む、方法。
条項217.細胞における細胞内マイトファジーの刺激を必要とする対象において、細胞内マイトファジーを刺激する方法であって:有効量のプロプラノロールまたは薬学的に許容されるその塩を、対象における細胞マイトファジーを刺激するのに十分なように対象に投与する工程を含む、方法。
条項218.細胞における細胞内脂質生合成の刺激を必要とする対象において、細胞内脂質生合成を刺激する方法であって:有効量のR-プロプラノロール、JW480または薬学的に許容されるその塩を、対象における細胞内脂質合成を刺激するのに十分なように対象に投与する工程を含む、方法。
条項219.細胞内マイトファジー機能障害関連の疾患の処置を必要とする対象において、該疾患を処置する方法であって:有効量のプロプラノロールまたは薬学的に許容されるその塩を対象に投与する工程を含む、方法。
条項220.哺乳動物の標的組織における細胞マイトファジーのバイオマーカーを同定する方法であって:(a)ステロール調節エレメント-結合タンパク質(SREBP)C-末端調節ドメインの細胞核内への移行を誘導するSREBPシグナル伝達経路活性化薬または薬学的に許容されるその塩を、哺乳動物に投与する工程と;(b)哺乳動物の血液試料から内皮細胞を収集する工程と;(c)細胞マイトファジーに関して、収集された哺乳動物の内皮細胞を分析する工程と;(d)哺乳動物の標的組織から細胞を収集する工程と;(e)細胞マイトファジーに関して、収集された哺乳動物の標的組織細胞を分析する工程と;(f)哺乳動物の内皮細胞における細胞マイトファジーと、哺乳動物の標的組織細胞における細胞マイトファジーとの相関関係を決定する工程とによる、方法。
例
材料および方法
ウエスタンブロット。細胞溶解産物を、SDS PAGEプレキャストゲル(Invitrogen)で分離させ、分離したタンパク質をPVDF膜に転写し、特異的な抗体を使用して、タンパク質のさらなる検出を行った。SREBP1用の抗体を、Santa Cruz Biotechnology(Cat# sc-365513)およびNovus biological(Cat# NB100-2215)から購入した。SCD抗体を、Santa Cruz Biotechnology(Cat# sc-58420)から購入した。Tom20およびLAMP1抗体を、Cell Signaling(それぞれCat# 42406Sおよび15665S)から購入した。
【0103】
免疫蛍光顕微鏡観察。細胞を、4%のホルムアルデヒド(Electron Microscopy Sciences、# C993M24)で固定し、0.1%のTriton X-100(Sigma)の存在下で透過処理した。全長SREBP1を、Santa Cruz Biotechnology(Cat# sc-365513)からのマウスモノクローナル抗体を使用して染色した。他方で、核SREBP1を、Novus biological(Cat# NB100-2215)からの抗体を使用して検出した。マイトファジーを、ミトコンドリアTom20およびリソソームマーカーLAMP1を染色することによって確認した。Tom20およびLAMP1抗体を、Cell Signaling(それぞれCat# 42406Sおよび15665S)から購入した。画像を、倒立蛍光顕微鏡(Leica)で取得した。
【0104】
透過型電子顕微鏡観察。細胞を、ビヒクルまたは10uMのプロプラノロールまたは10uMのR-プロプラノロールまたは0.1uMのJW480に12時間暴露させ、Indiana大学のElectron Microscopy Coreのインハウスで供給された固定液で固定した。これらの固定された細胞ブロックからの薄切片を、Tecnai Spirit(ThermoFisher)TEM顕微鏡で可視化した。取得した画像を解析した。
【0105】
免疫沈降アッセイ。内因性SREBP1-NCEH1複合体形成の決定において、培養した内皮細胞をIP溶解緩衝液(Pierce Cat# 87787)で処理した。SREBP1複合体を、Santa Cruz Biotechnology(Cat# sc-365513)からのSREBP1抗体を使用して捕捉し、SDS PAGEで分離させた。NCEH1との複合体形成を、NCEH1抗体(Sigma Cat# HPA026888)を用いたブロッティングによって検出した。NCEH1に結合したSREBP1のドメインを位置付けるために、HAタグ付けされた全長SREBP1またはC-末端調節ドメインを単独で、Flagタグ付けされたNCEH1と共にHEK293細胞中で共発現させた。SREBPタンパク質は、HA抗体(Cell Signaling)に捕捉され、Flag抗体(Sigma)を用いてブロットした。
【0106】
NCEH1ノックダウン実験。NCEH1を、DharmaconからのsiRNAプールまたはSigmaからのレンチウイルスshRNAを使用して枯渇させた。NCEH1枯渇を、ウエスタンブロットまたは免疫蛍光アッセイによって確認した。
【0107】
PAHのラットMCTモデルSDラットに、1用量のMCT注射を行い、肺高血圧を誘発させた。MCT注射の3週間後、これらのラットに、5mg/kgまたは10mg/kgのプロプラノロールを1週間与えた。ラットは麻酔を施され、RVSPを記録した。
【実施例】
【0108】
実施例1
プロプラノロールは、動脈性高血圧(PAH)由来の肺動脈内皮細胞(PAEC)におけるマイトファジーを促進した。
【0109】
「ドナー」(非PAH対照)およびPAH-由来のPAECを、マイトファジーを誘導するために一般に使用されるイオノフォアであるシアン化カルボニルm-クロロフェニルヒドラゾン(CCCP)で処理した。CCCPは、ドナー由来のPAEC(低TOM20)においてマイトファジーを誘導したが、PAH由来のPAECにおける一貫した効果は観察されなかった(
図1A;
図1Cは
図1Aからのデータを定量化したもの)。これらのデータは、患者由来の細胞が、マイトファジー誘導に対して不応性であることを立証し、マイトファジーを回復させることができる薬剤はいずれも、これらの細胞の病的状況を潜在的に逆転させ得ることを示した。
【0110】
PAHの患者由来のPAECをプロプラノロールに暴露し、マイトファジーの誘導を2つの方法を介して判定した。第1に、マイトファジー誘導の生化学的マーカーとして、ミトコンドリアマーカー(TOM20)の分解を評価した。プロプラノロール暴露されたPAECは、TOM20レベルの低下を示し、マイトファジーの増加と一致した(
図1B)。第2に、プロプラノロール処理されたPAECを、TOM20およびリソソームマーカー(LAMP1)で共染色した。結果は、プロプラノロールを用いて、TOM20/Lamp1共染色の低減を示し、マイトファジー誘導の顕微鏡による免疫蛍光的証拠を提供し、ミトコンドリアのオートファジーの証拠を確認した。CCCPと対照的に、プロプラノロールは、PAH由来のPAECにおいてTOM20を効果的に低減した(
図1B)。データは:1)PAH由来のPAECにおいて、マイトファジーの薬理学的誘導は正常に機能しない;かつ2)PAH由来のPAECにおいて、プロプラノロールはマイトファジーの誘導を可能にする
ことを示した。
図1A~1Cを参照すると、プロプラノロールが、PAECにおけるマイトファジーを促進することが実証される。
【0111】
実施例2
プロプラノロールは、対照および患者細胞においてマイトファジーを回復させた。
シアン化カルボニルm-クロロフェニルヒドラジン(CCCP)は、正常対照対象からのECにおけるマイトファジーを促進するが、患者由来の細胞におけるマイトファジーを促進することはできなかった。正常細胞およびPAH患者細胞をプロプラノロールで処理して、マイトファジーを判定した。プロプラノロールは、PAH患者細胞におけるTom20レベルを、正常細胞におけるよりはるかに強固に一貫して低下させた。
図2を参照すると、プロプラノロールが、患者細胞におけるマイトファジーを促進することが示されている。正常対照ECまたは患者由来のECをプロプラノロールで処理し、Tom20レベルを判定した。これらの結果は、プロプラノロールが、患者細胞におけるマイトファジーを選択的に促進することを証明する。
【0112】
実施例3
プロプラノロールによるマイトファジー-電子顕微鏡観察的な証拠。
Tom20ウエスタンブロットおよび免疫蛍光染色データは、プロプラノロールがECにおけるマイトファジーを促進することを示したが、透過型電子顕微鏡観察(TEM)は、マイトファジーに関する「至適基準」方法として一般に認められている。プロプラノロールによるマイトファジー誘導のTEM証拠を得るために、プロプラノロールに暴露された細胞をTEM用に処理し、TEMで画像を取得した。結果は、プロプラノロールが、ビヒクル処理した細胞より頻繁に、ミトコンドリア周りの脂質二重膜形成を促進することを立証した。
【0113】
実施例4
プロプラノロールは、ラットにおけるPAH疾患を逆転させた。
ラットにMCTを注射して、十分に確立された4週げっ歯類疾患モデルにおいてPAHを発症させた。MCTが疾患を発症させた2週間後、ラットをビヒクルまたはプロプラノロール(10mg/kg、腹腔内すなわちIP)で処理した。プロプラノロールは、ラットにおけるPAHのよく認識された測定値である右室収縮期圧(RVSP)を著しく低減し、PAH-関連の閉塞性血管リモデリングから生じるMCT-誘発性動脈壁厚を否定した(
図4)。
図4を参照すると、MCTに暴露され、4週間PAHの最後の2週間、ビヒクルまたはプロプラノロールで処理されたラットのRVSP測定からのデータは、プロプラノロールが、ラットにおけるMCT-誘発性PAHを減弱することを示す。ラットの肺切片をH&Eで染色して、組織学的分析は、プロプラノロールへの暴露後、血管の再構築は非常に少なく、血管厚が減弱したことを示し、プロプラノロールが、PAH肺血管再構築および病因を減弱する能力をさらに支持した。
【0114】
実施例5
プロプラノロールは、SREBP1経路および脂質合成を活性化した。
SREBP1は、活性化時に、脂質合成を促進する主要な転写因子である。通常、SREBP1タンパク質は、高レベルのコレステロールによって、小胞体に保持される。コレステロールレベルが低下した場合、SREBP1タンパク質は、ゴルジ体に移行され、そこで切断され、このタンパク質の転写活性化部分が核に移行される。それに続いて、SREBP1は、脂質合成に関連する遺伝子の転写プログラムを活性化する。プロプラノロール媒介性のPAECマイトファジー誘導の機構を研究するために、RNAseqデータを作成した。経路解析は、脂質代謝の制御因子として確立されたステロール調節エレメント-結合転写因子(SREBP)経路の有意な誘導を明らかとした。ECをプロプラノロールで処理し、細胞から単離された総RNAに高スループットRNA配列決定を施した。RNA-seqデータの解析は、プロプラノロールが転写標的を活性化し、同様にSREBP1の転写レベルも活性化することを明らかとした。経路解析は、プロプラノロールが、SREBP1経路の活性化を促進することを確証した。患者における公開されたゲノムワイド関連研究(GWAS)は、SREBPが、孤発性パーキンソン病(PD)に対するリスク遺伝子座にあることを明らかにした。PDに関連する遺伝子としてのSREBPに関するこれらの公開された知見の文脈におけるデータは、プロプラノロールが、マイトファジーの促進においてSREBP1および脂質合成を活性化し、マイトファジーに対するその効果のために、多くの病態の1つであるPDを逆転させることを示す。
【0115】
実施例6
R-プロプラノロールはマイトファジーを促進した。
プロプラノロールは、第一世代の非選択的ベータ遮断薬であり、細胞膜上のベータ-アドレナリン受容体を強固に阻害する。そのエナンチオマーであるR-プロプラノロールは、ベータ-アドレナリン受容体に対する親和性が100分の1以下であるため、その使用は、ベータ-アドレナリン受容体-非依存性の機構を示す薬理学的戦略と考えられる。R-プロプラノロールがマイトファジーを活性化するかどうかを決定するために試験を行った。ECを、プロプラノロールまたはR-プロプラノロールに暴露し、Tom20レベルを判定した。結果は、プロプラノロールと同様に、R-プロプラノロールもまたTom20レベルを低下させることを示し、プロプラノロールが、ベータ-受容体非依存性の形式を介して、マイトファジーを部分的に促進することを示す(
図5)。
【0116】
実施例7
SREBP1活性化が、マイトファジーを促進した。
ECを、プロプラノロールまたはR-プロプラノロールまたはSREBP1活性化薬U18666Aに暴露し、マイトファジーをIF(免疫蛍光顕微鏡観察)によって判定した。免疫蛍光データに基づくと、3つの薬物は全てマイトファジーを誘導する。結果は、プロプラノロールと同様に、SREBP1活性化もまたマイトファジーを促進することを明らかにした。これらの結果は、SREBP1活性化が、マイトファジーを促進する強力な戦略であり、マイトファジーの活性化を必要とする多くの病態に影響を与えることを実証した。
【0117】
実施例8
SREBP1阻害は、マイトファジーを部分的に遮断した。
脂質はミトコンドリア中で分解されるので、脂質の合成およびマイトファジーは、非相互的(nonreciprocally)に調節され得る。RNAseqデータを確認するために、PAECを、SREBP1阻害剤であるファトスタチンと共にプロプラノロールで処理し、両方とも、SREBP1標的であるステアロイルCoA不飽和酵素(SCD)、およびTOM20で判定した。データは、プロプラノロール-誘導されたマイトファジーが、ファトスタチンによって部分的に逆転されることを示した(
図6A)。これらの結果は、プロプラノロールが、古典的SREBP1経路と非古典的経路の両方を標的とすることを示す。
【0118】
実施例9
プロプラノロールは、SREBP1の活性化におけるNCEH1を標的とした。
類似性アンサンブル手法(Similarity Ensemble Approach)(SEA)は、そのリガンド間の全般的な(set-wise)化学的類似性に基づいてタンパク質を関連させるオンラインツールである。大規模な化合物データベースを迅速に検索して、標的にわたる類似性マップを構築する。このツールを使用して、プロプラノロール、プロネタロール、メトプロロールおよびネビボロールの可能性のある標的であるタンパク質を解析した(
図6B)。メトプロロールおよびネビボロールは選択的ベータ遮断薬として使用されるが、一般に心血管系疾患の処置に使用されるのみであり、これらの薬物は、中性コレステロールエステルヒドロラーゼ1(NCEH1)と結合することはできなかった。これらの2つの薬物は、同様にマイトファジーを促進することもできなかった。しかしながら、非選択的ベータ遮断薬であるプロプラノロールは、マイトファジーを強固に誘導し、高い信頼度でNCEH1と結合する。臨床状況およびin silicoの研究からのこれらの結果は、プロプラノロールがNECH1を標的として疾患状態におけるマイトファジーを活性化することを示し、マイトファジーを活性化して多くの病態を逆転させる戦略としてのNCEH1遮断を提示する。
【0119】
実施例10
NCEH1媒介性SREBP1活性化の提案モデル。
NCEH1は、コレステロールエステルヒドロラーゼであり、かつ膜結合タンパク質である。膜/脂質に結合したNCEH1が、SREBP1の調節ドメインに結合し、それを細胞質ゾルに保持するモデルを提案する。プロプラノロールは、NCEH1の脂質結合と競合し、NCEH1-SREBP1複合体を放出して核内に移行する。
【0120】
実施例11
NCEH1阻害はSREBP1を活性化し、マイトファジーを促進した。
ECを、ビヒクルまたはNCEH1の阻害剤であるプロプラノロールもしくはR-プロプラノロールもしくは100分の1濃度のJW480で処理し、ブロットして、SREBP1活性化およびマイトファジーを判定した。ブロットは、プロプラノロールまたはR-プロプラノロールと同様に、0.1uMのNCEH1が、SREBP1標的SCDを活性化するのに十分であり、マイトファジーの指標であるTom20のレベルを低下させることを示した(
図7B)。
【0121】
実施例12
NCEH1阻害はマイトファジーを促進した。ECをビヒクルまたはプロプラノロールまたはR-プロプラノロールまたはJW480に暴露し、免疫蛍光アッセイによってマイトファジー誘導を評価した。固定した細胞を、Tom20およびLamp1染色して、蛍光画像を蛍光顕微鏡で取得した。結果は、プロプラノロールまたはR-プロプラノロールまたはJW480で処理した細胞が、Lamp1染色での共局在およびスペックル形成から明白なように、Tom20がリソソームに組み込まれた(mobilize)ことを示した。これらの結果は、SREBP1活性化のNCEH1阻害が、マイトファジーの誘導を刺激することを示した。
【0122】
実施例13
NCEH1阻害は、マイトファジーを促進した。
TEM証拠。ECを、ビヒクルまたはプロプラノロールまたはR-プロプラノロールまたはJW480に暴露し、マイトファジーに関してTEMによってマイトファジー誘導を評価した。これらの薬物に暴露されたECを固定し、画像をTEMで取得した。結果は、プロプラノロールまたはR-プロプラノロールまたはJW480処理が、ミトコンドリアを取り囲む脂質二重膜の形成、同様にリソソームとの融合を引き起こすため、マイトファジーを促進することを示した。
【0123】
実施例14
NCEH1阻害は、SREBP1の核移行を促進した。
ECを、ビヒクルまたはプロプラノロールまたはR-プロプラノロールまたはJW480に暴露し、SREBP1および核蓄積をIFによって判定した。結果は、プロプラノロールと同様に、NCEH1選択的阻害剤のJW480が、SREBP1の核移行を促進することを示した。
【0124】
実施例15
NCEH1枯渇は、SREBP1の核移行を促進した。NCEH1の薬理学的阻害はSREBP1の核蓄積を促進したが、遺伝子的証拠がこれらの観察をさらに支持する。この目的のために、ECに対照またはsiNCEH1 siRNAをトランスフェクトし、SREBP1またはNCEH1の局在をIF顕微鏡で取得した。IF画像は、NCEH1タンパク質の低減が、SREBP1の核蓄積の増加と相関することを明らかにした。
【0125】
実施例16
NCEH1はSREBP1と結合した。内因性SREBP1を、ビヒクルまたはプロプラノロールで処理したECから、抗-SREBP1抗体ビーズに捕捉し、NCEH1抗体を用いてブロットした。結果(
図8)は、ビヒクル中で処理した細胞は、NCEH1がSREBP1と共沈することを示した。プロプラノロールで処理した細胞の場合は、免疫沈降した全長SREBP1は少なく、したがって全長SREBP1と複合体化したNCEH1は低減した。
【0126】
これらの結果は、プロプラノロールが、非古典的NCEH1経路に加えて、古典的経路のSREBP1切断を促進することを明らかにした。
実施例17
NCEH1は、トランス活性化ドメインでSREBP1と相互作用した。HEK293細胞に、Flagタグ付けされたNCEH1と共に、HAタグ付けされたSREBP1 C-末端調節ドメイン変異体またはSREBP1全長タンパク質をトランスフェクトした。SREBP1タンパク質をHA抗体ビーズに捕捉し、Flag抗体を用いてブロットし、SREBP1タンパク質とのNCEH1相互作用を検出した。これらのデータは、NCEH1が、SREBP1のトランス活性化ドメインと相互作用することを明らかにした。
【0127】
実施例18
R-プロプラノロールは、げっ歯類のPAHを減弱した。ラットに1回のスゲン(20mg/kg、IP)注射を施し、低酸素(10% FiO2)に3週間暴露し、次に正常酸素(21% FiO2)中に4週間置いた。これは、以前にモノクロタリンラットモデルにおいて
図4に示したデータに加えて、PAHの十分に確立された第2の様式である。最後の4週間の正常酸素期間では、ラットに、r-プロプラノロール(5mg/kg/日、IP)を最後の4週間またはr-プロプラノロール(10mg/kg/日、IP)を最後の2週間またはビヒクルを最後の4週間のいずれかを投与した。ビヒクル暴露されたラットは、右室収縮期圧(RVSP)および代替測定値のRV肥大(RV/(LV+S))によって確認されるように、プロトコルの最後に重度のPAHを発症した。R-プロプラノロール暴露は、より高い用量(10mg/kg/日)でRVSPとRV肥大の両方を減弱し、より低い用量(5mg/kg/日)で改善に向かう傾向があった。
【0128】
他の変形または実施形態は、上記の説明から、当業者には明らかであろう。したがって、前述の実施形態は、特許請求される発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。開示される参考文献は全て、その全体が参照により明示的に組み込まれる。
【0129】
実施例19
NCEH1阻害剤は、2つのマウスモデルにおいてCV傷害を改善する:
左冠動脈の結紮は、高死亡率に関連する(1週間で>70%)心筋梗塞(MI)のよく認められたマウスモデルである。プロプラノロールは、もともと高血圧および狭心症を処置するために開発されたので、JW480がMIから保護する可能性があると仮説を立てた。マウスを、ビヒクルまたは20mg/kgのJW480(IP、n=6匹のオスおよび6匹のメス)で5日間処置し、MIを受けさせた。結果は、対照マウスと比較して、JW480-前条件付けしたマウスの生存の著しい改善を示した(
図12)。JW480処置したマウスからの透過型電子顕微鏡観察(TEM)データは、SREBP1活性化に対する特徴である細胞内脂肪滴の増加を示す。これらのデータは、SREBP1がマウスを不整脈から保護することを示唆する、SREBP1ノックアウトマウスを使用した以前の報告と一致する。
【0130】
眼は、血管性病変を研究するのに適切なモデルを提供する。レーザー誘発脈絡膜新生血管(CNV)マウスモデルは、加齢性黄斑変性症(AMD)の主要な誘因として、病理学的な滲出性血管新生を研究するために使用される。NCEH1遮断の保護効果を試験するために、ビヒクルまたは20mg/kgのJW480のいずれかに7日間暴露された2群のマウス(それぞれn=12)にCNVを誘導した。JW480処置は、網膜血管漏出を著しく低減し、病理学的CNVを阻害した(
図13Aおよび13B)。累積的に、これらのマウス研究は、病的CV状態におけるJW480の治療的使用に関する証拠を提供する。
【0131】
実施例20
高脂肪食(Research Diets、New Brunswick、NJ)を16~20週間与えられたマウスモデルを使用して、AKR/Jマウス(Jackson Laboratories、Bar Harbor、ME)は、肥満、インスリン抵抗性、駆出率が保たれた心不全、および肺高血圧を発症する(Mengら、2017年;Arwoodら、2019年)。我々は、これらのHF-PHマウスを、埋め込み型小型浸透圧ポンプを使用して、ラセミのプロプラノロール(非選択的ベータ-アドレナリン受容体アンタゴニスト)、R-プロプラノロール(ベータ-アドレナリン受容体活性はほとんどないか全くない)、またはビヒクルのいずれかで4週間処置した。ビヒクルと比較して、プロプラノロールとR-プロプラノロールの両方において、右室収縮期圧(肺高血圧の指標)の著しい減少(
図1A~1C)(P=0.05)が観察された。これらの結果は、PHにおける改善が、プロプラノロールのベータ-アドレナリンアンタゴニストの特性に起因するものではないことを示唆する。
【国際調査報告】