(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】軸方向に延びる窪みをホッパー壁に具備してなる、押出スクリューに加工原料を供給する投入システム
(51)【国際特許分類】
B29C 31/02 20060101AFI20240709BHJP
B29C 48/25 20190101ALI20240709BHJP
B29C 45/46 20060101ALI20240709BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240709BHJP
B29C 64/329 20170101ALI20240709BHJP
【FI】
B29C31/02
B29C48/25
B29C45/46
B33Y30/00
B29C64/329
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501762
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(85)【翻訳文提出日】2024-03-08
(86)【国際出願番号】 EP2022068074
(87)【国際公開番号】W WO2023285156
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】102021207518.5
(32)【優先日】2021-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520001095
【氏名又は名称】アイム3デー・ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】AIM3D GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【氏名又は名称】笹沼 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100225026
【氏名又は名称】古後 亜紀
(74)【代理人】
【識別番号】100230248
【氏名又は名称】杉本 圭二
(72)【発明者】
【氏名】ツィールケ・ルネ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイドナー・ティム
(72)【発明者】
【氏名】モリソン・ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】リーバーヴィルト・クレメンス
【テーマコード(参考)】
4F201
4F206
4F207
4F213
【Fターム(参考)】
4F201AJ08
4F201AL01
4F201AL02
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4F201AL12
4F201AL14
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4F201AR12
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4F213WA97
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL74
4F213WL96
(57)【要約】
【課題】少なくとも1つの押出スクリューに加工原料、特には、粒状の加工原料を供給する投入システムを提供する。
【解決手段】投入システムBは、加工原料Gを供給方向ZRに沿って押出スクリュー2に案内するように構成されたホッパー5を備え、ホッパー5は、投入システムBの適切な取付状態にて押出スクリュー2の長手方向軸心と平行に延びるホッパー軸心Tに沿って延在している。本提案の投入システムBのホッパー5は、ホッパー軸心T周りに延在するホッパー壁51に、ホッパー軸心Tを基準として軸方向にそれぞれ延びる複数の窪み51.2を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの押出スクリュー(2)に加工原料(G)を供給する投入システムであって、
前記加工原料(G)を供給方向(ZR)に沿って前記押出スクリュー(2)に案内するように構成されており、かつ、当該投入システム(B)の適切な取付状態にて前記押出スクリュー(2)の長手方向軸心と平行に延びるホッパー軸心(T)に沿って延在しているホッパー(5)を備える、投入システムにおいて、
前記ホッパー(5)が、前記ホッパー軸心(T)周りに延在するホッパー壁(51)に、前記ホッパー軸心(T)を基準として軸方向にそれぞれ延びる複数の窪み(51.2)を有することを特徴とする、投入システム。
【請求項2】
請求項1に記載の投入システムにおいて、前記窪み(51.2)が、前記ホッパー軸心(T)周りの周方向線(51A)に沿って連続的に設けられていることを特徴とする、投入システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の投入システムにおいて、前記窪み(51.2)の断面が、前記ホッパー軸心(T)を基準として径方向外側に湾曲していることを特徴とする、投入システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の投入システムにおいて、少なくとも1つの前記窪み(51.2)が、径方向に沿ってテーパー状となるように形成されていることを特徴とする、投入システム。
【請求項5】
請求項4に記載の投入システムにおいて、全ての窪み(51.2)が、径方向に沿ってテーパー状となるようにそれぞれ形成されていることを特徴とする、投入システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の投入システムにおいて、少なくとも1つの前記窪み(51.2)が、軸方向に沿ってテーパー状となるように形成されていることを特徴とする、投入システム。
【請求項7】
請求項6に記載の投入システムにおいて、全ての窪み(51.2)が、軸方向に沿ってテーパー状となるようにそれぞれ形成されていることを特徴とする、投入システム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の投入システムにおいて、前記窪み(51.2)が形成された前記ホッパー壁(51)の断面が、内側の周方向線(51A)および外側の周方向線(51B)を規定しており、前記内側の周方向線(51A)は、前記ホッパー壁(51)の径方向最内側部分に接して前記ホッパー(5)のうちの前記押出スクリュー(2)用に設けられたホッパー口の最小開口断面を画定しており、前記外側の周方向線(51B)は、前記窪み(51.2)の径方向最外側部分に接することを特徴とする、投入システム。
【請求項9】
請求項8に記載の投入システムにおいて、前記ホッパー口は、前記最小開口断面が前記ホッパー軸心(T)に沿って減少するように前記ホッパー軸心(T)に沿ってテーパー状となることを特徴とする、投入システム。
【請求項10】
請求項5に従属する場合の請求項8に記載の投入システムにおいて、径方向に沿ってテーパー状となる前記窪み(51.2)により、前記外側の周方向線(51B)の直径(D
1+d
1/2)が、前記ホッパー軸心に沿って前記最小開口断面を維持しながら前記ホッパー軸心(T)に沿って減少することを特徴とする、投入システム。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の投入システムにおいて、2つの窪み(51.2)が、前記ホッパー軸心(T)周りの周方向線(51A)に沿って互いに接することを特徴とする、投入システム。
【請求項12】
請求項11に記載の投入システムにおいて、接する2つの窪み(51.2)間に、長手方向に延びる分断エッジ(511)が形成されていることを特徴とする、投入システム。
【請求項13】
請求項11または12に記載の投入システムにおいて、全ての窪み(51.2)が、前記ホッパー軸心(T)周りの前記周方向線(51A)に沿って対で互いに接することを特徴とする、投入システム。
【請求項14】
請求項1から12のいずれか一項に記載の投入システムにおいて、2つの窪み(51.2)間に、前記ホッパー軸心(T)周りの周方向線(51A)に沿って連結部(51.1,51.3)が形成されていることを特徴とする、投入システム。
【請求項15】
請求項14に記載の投入システムにおいて、前記連結部(51.2)が、前記ホッパー軸心(T)を基準として径方向内側に湾曲していることを特徴とする、投入システム。
【請求項16】
請求項14に記載の投入システムにおいて、前記連結部(51.3)の断面が、前記ホッパー軸心(T)周りの円状線の一部に沿って延在して平坦な壁面を形成していることを特徴とする、投入システム。
【請求項17】
請求項16に記載の投入システムにおいて、連結部(51.3)とこれに隣接する窪み(51.2)との遷移部に、長手方向に延びる分断エッジ(511)が形成されていることを特徴とする、投入システム。
【請求項18】
請求項12または17に記載の投入システムにおいて、前記分断エッジ(511)は、前記押出スクリュー(2)が回転する間、前記ホッパー(5)に進入した粒状の加工原料(G)の少なくとも一部が当該分断エッジ(511)で破砕されるように構成されて設けられていることを特徴とする、投入システム。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載の投入システムにおいて、前記窪み(51.2)を有する前記ホッパー(5)の断面が、花状の断面であることを特徴とする、投入システム。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載の投入システムにおいて、前記ホッパー(5)の周方向にわたって分布した窪み(51.2)の数n
maxが、
式:n
max=U
D/(a×1.2)
(式中、n
maxは、窪み(51.2)の数の上限であり、U
Dは、前記ホッパー(5)の周方向の長さであり、aは、当該投入システム(B)によって供給される粒状の加工原料の粒状体(G)の平均最大外寸法(D
4,H)である)
を満たすことを特徴とする、投入システム。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか一項に記載の投入システムにおいて、前記ホッパー(5)が周方向にわたって分布した4~9、特には、5~7の窪み(51.2)を有することを特徴とする、投入システム。
【請求項22】
少なくとも1つの押出スクリュー(2)と、
請求項1から21のいずれか一項に記載の少なくとも1つの投入システム(B)と、
を備える、押出装置。
【請求項23】
請求項1から21のいずれか一項に記載の少なくとも1つの投入システム(B)を備える3D造形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本提案の解決手段は、具体的に言って、押出スクリュー、特には、金属及び/又はセラミックス及び/又はプラスチックの射出成形用粒状体を使った付加製造に用いられる押出スクリューに、加工原料を供給する投入システムに関する。
【背景技術】
【0002】
スクリュー型押出機は、特に、射出成形やダイカスト成形による部品の連続生産に用いられる。大概の場合、押出スクリュー、射出ノズルおよび金型は、互いに水平線上に並べられている。主に粒状体や粉末として存在する原料の充填は、一般的に、スクリュー型押出機の最後方のいわゆる供給ゾーンの部分で行われる。押出機のバレル部の上に鎮座するホッパーで直接、原料が押出スクリューに対して垂直方向に案内される。ホッパーはブリッジを防ぐのに十分大きい断面になっているので、原料は重力でスクリュー上に落下して該スクリューに引き込まれる。連続生産には、一般的に、原料を引き込んでノズルに運搬するいわゆる3ゾーンスクリュー型押出機が利用される。原料は、圧縮、脱気及び均質化を受ける。その後、圧力が高まって金型への充填が行われる。
【0003】
スクリュー型押出機の供給ゾーンは、該スクリュー型押出機のハウジングのバレル部として構成される場合が多い。このバレル部にホッパーが設けられており、原料をスクリューへと供給できるようになっている。バレル部とホッパーの最小断面は、粒状体の形態で存在する原料のブリッジが発生し得ないように選択される。これは、安息角や、使用されるばら物原料の摩擦係数に大きく左右される。
【0004】
DE 10 2014 018 081 A1(特許文献1)には、金属部品の付加製造用の3D造形装置が記載されている。同様に、粒状体の形態で存在する加工原料を処理するスクリュー型押出機も用いられている。3D造形装置のトラバース可能な造形ヘッド内に垂直方向に配置されたスクリュー型押出機によって熱可塑性変形可能な加工原料が層状に押し出されることで、立体的な部品が作製される。特許文献1には、押出スクリューへの加工原料の運搬に関する詳細が含まれていない。
【0005】
付加製造用のスクリュー型押出機は、トラバース可能な設計でなければならないか、あるいは、作業場全体が動くことになるため、その使用は、特に、重量や全体サイズの制限を受けるが、これらは、一般的に、押出スクリューの長さに大きく左右される。しかし、作業場全体が動く場合には、3D造形装置の全体サイズが顕著に過大にならざるを得ない。
【0006】
上記の背景に対し、粒状の加工原料の圧縮を向上させることができ、それによって原料の高密な連続した線条体を押し出すことが可能な、加工原料の押出装置および方法がDE 10 2017 114 841 A1(特許文献2)から既に知られている。そのため、投入システムのホッパーには、破砕ツールが設けられている。この破砕ツールを用いることにより、押出スクリューの回転で加工原料が選択的に破砕されることになる。これにより、特に、押出スクリューの領域での嵩密度を上げることができる。
【0007】
特許文献2で提案された解決手段により、部品の付加製造用の加工原料の押出を顕著に向上させることが既に出来るようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許出願公開第102014018081号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102017114841号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、この分野では、特に、付加製造過程での特定の要件に関して、まだまだ向上が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の背景に鑑みて、特殊な設計のホッパーを備えて少なくとも1つの押出スクリューに加工原料を供給する投入システムを提案する。該ホッパーは、前記加工原料を供給方向に沿って前記押出スクリューに導くように構成されている。この目的のために、該ホッパーは、前記投入システムの適切な取付状態にて前記押出スクリューの長手方向軸心と平行に延びるホッパー軸心に沿って延在している。本提案のホッパーは、前記ホッパー軸心周りに延在するホッパー壁に、前記ホッパー軸心を基準として軸方向にそれぞれ延びる複数の窪みを有する。
【0011】
つまり、本提案の投入システムのホッパー軸心は、該投入システムが部品の付加製造用の押出装置に取り付けられた状態において、前記押出スクリューの典型的には垂直方向に延びる長手方向軸心と平行に延びることになる。そして、前記ホッパーの前記ホッパー壁は、軸方向に延びる複数の窪み、つまり、空間部を有する。つまり、前記窪みが径方向外側で跳ね返ってくることで、前記ホッパーのホッパー口が局所的に拡張している。このような形状のホッパーにより、付加製造過程に関連した加工原料の押出、特に、粒状の加工原料の押出において、著しい向上が得られることが判明した。例えば、本提案の投入システムを用いることで、プラスチックの粒状体、その中でも特に、比較的高靭性の熱可塑性原料について、より一様な押出パターンを得ることができる。
【0012】
原則として、前記ホッパーは、少なくとも1つの押出スクリューを備える押出装置において取換え可能に使用することのできる、別個に製造された単一物の部品として構成されたものであり得る。具体的に述べると、前記ホッパーは、付加製造用の既成品として押出装置に搭載されることのできる取換え可能な供給装置の一部として構成され得る。
【0013】
一設計例において、前記ホッパー壁の前記窪みは、前記ホッパー軸心周りの周方向線に沿って連続的に設けられている。具体的に述べると、前記窪みは、前記ホッパー壁に一様に分布して、特には、円状の周方向線に沿って一様に分布して設けられ得る。
【0014】
原則として、前記窪みの断面幾何形状は様々である。一設計例において、前記窪みの(前記ホッパー軸心を横切る)断面は、前記ホッパー軸心を基準として径方向外側に湾曲した設計である。具体的に述べると、これは、前記ホッパー壁の前記窪みの断面が凹状となる設計を含む。
【0015】
前記ホッパー軸心に沿った軸方向に(つまり、前記押出スクリューの長手方向軸心に沿って)且つ前記押出スクリューの方向へと径方向に加工原料が運搬され易くなるように、少なくとも1つの前記窪みは径方向で細る設計とされ得る。これにより、前記窪みの径方向深さは、少なくとも一方の端部にて、場合によっては、さらに、各窪みの長手方向の延在全体で、前記ホッパー軸心に沿って軸方向に進むにつれて減少し、特には、連続的に減少する。つまり、前記ホッパー軸心に沿って、各窪みを介して加工原料が占めることのできる空間が少なくなっている。例えば、個々の窪みを、前記ホッパー軸心周りの周方向線に沿って測定される窪みの幅が粒状の加工原料の粒状体の最大幅または最大粒径以上に相当するように寸法決めすると、粒状体は、前記ホッパーの(上)端部で該窪みに入った後、前記押出スクリューの回転によって該窪みに沿って軸方向下方に動かされ得る。つまり、窪みの幅及び深さは、例えば粒状の加工原料の粒状体に合わせて、径方向外側が窪みで且つ径方向内側が前記押出スクリューによって各々画定された運搬室が前記押出装置の前記ホッパー内に形成されるように調節されており、前記押出装置の動作時には、個々の粒状体が、該粒状体の(平均)寸法に合わせて調節された前記運搬室内に保持されて該運搬室外へと抜けないようにブロックされる。窪みの幅は、粒状体の最大幅または最大粒径よりも最大で20%大きい。
【0016】
前記ホッパー壁に設けられた窪みは、最大外寸法が15mm以下の粒状の加工原料を受け入れるように構成され得る。つまり、加工原料の粒状体の外寸(幅、長さ、高さまたは粒径)が15mm以下であり、窪みは、ホッパー上端部での幅及び径方向深さが加工対象の粒状体の最大寸法と同程度になるように寸法決めされている。本提案の解決手段の設計例は、特に、各粒状体が基準直径15mmの基準球状体積空間、あるいは、基準高さ15mm及び基準直径10mmの基準円筒状体積空間で取り囲まれることができるような、すなわち、対応する基準体積空間内に完全に収まるような、粒状の加工原料を加工するのに有利であることが判明した。例えば、本提案の解決手段は、基準粒径1.5~6mm、特には、3mmのプラスチックの粒状体、基準高さ15mm以下、特には、9~12mmの長繊維粒状体、または基準粒径1.5~8mm、特には、3mmもしくは5mmのセラミックスの粒状体を加工して(より)一様な押出パターンを得るのに有利である。よって、窪みの幅及び深さは、それぞれ、1.875~18.75mmの範囲内に位置する。
【0017】
加工原料の一様な供給および一様な押出をさらに促すために、一設計例では、前記ホッパー壁の全ての窪みが、径方向で細るようにそれぞれ形成されている。前記ホッパー壁の全ての窪みが径方向で細るものになると、例えば前記ホッパーの一方の端部で、前記ホッパー壁が周方向に滑らか、すなわち、滑らかな筒状部の様式になり得る。
【0018】
上記の構成に代えて又は上記の構成に加えて、少なくとも1つの前記窪みが、軸方向で細るように形成され得る。窪みを軸方向で細らせた場合、周方向で測定される該窪みの幅が、少なくとも一方の端部にて、場合によっては、さらに、該窪みの長手方向の延在全体で、前記ホッパー軸心に沿って軸方向に進むにつれて減少し、特には、連続的に減少する。つまり、前記投入システムの適切な取付状態にて、窪みは、例えば、ホッパーの端部に向かって幅狭となる。先程と同様に、前記ホッパー壁の全ての窪みが、軸方向で細るようにそれぞれ形成されていてもよい。
【0019】
窪みが軸方向と径方向の両方で細るように形成されている場合、窪みの周方向で測定される幅と径方向深さの両方が、ホッパーの端部に向かって減少することになる。
【0020】
幾何学的に見ると、前記窪みが形成された前記ホッパー壁の断面は、内側の周方向線および外側の周方向線を規定し得る。前記内側の周方向線は、前記ホッパー壁の径方向最内側部分に接するものであり、これにより、前記ホッパーのうちの前記押出スクリュー用に設けられたホッパー口の最小開口断面を画定している。他方で、前記外側の周方向線は、前記窪みの径方向最外側部分に接する。つまり、前記外側の周方向線は、例えば、前記窪みを有する前記ホッパー壁が第1のホッパー(上)端部から第2のホッパー(下)端部にかけて延在してなる仮想円筒または仮想円錐台の最大外径に外接する。
【0021】
このとき、一設計例として、例えば、前記ホッパー口は、前記最小開口断面が前記ホッパー軸心に沿って減少するように前記ホッパー軸心に沿って先細るものとされる。例えば、前記ホッパー口は円錐状に先細るものとされ得る。これにより、前記ホッパー口の直径で決まる前記押出スクリューが占めることのできる断面が、ホッパーの端部に向かって減少する。このようにして設計されたホッパーは、円錐状に先細る押出スクリューと組み合わせられ得る。
【0022】
一方、窪みが径方向で細る別の設計例では、前記外側の周方向線の直径が、前記最小開口断面を維持しながら前記ホッパー軸心に沿って減少し得る。つまり、前記外側の周方向線の直径は断面視で前記ホッパー軸心に沿って減少するのに対し、前記押出スクリュー用に設けられた前記ホッパー口の最小開口断面は(したがって、前記内側の周方向線の直径も)前記ホッパー軸心に沿って変わらずに維持される。結果として、本例では、前記投入システムを備えた前記押出装置の押出スクリューのスクリュー径が一定とされる。
【0023】
一設計例において、2つの窪みは、前記ホッパーの長手方向軸心周りの周方向線に沿って互いに接する。つまり、2つの窪みは、互いに直接合体している。具体的には、前記ホッパー軸心周りに一様に分布して設けられた全ての窪みが、それぞれ、前記周方向線に沿って対で互いに直接接するものとされ得る。つまり、例えば、接する窪み間に、長手方向に(すなわち、前記ホッパー軸心に沿って)延びる分断エッジが形成されている。そして、このような分断エッジは、粒状の加工原料が前記押出スクリューによって破砕、特には、粉砕される破砕エッジ、特には、リブとして形成され得る。つまり、2つの窪み間に対応して形成された分断エッジで、前記押出スクリューの回転による集中的な剪断作用を生じさせることが可能となる。
【0024】
変形例として、2つの窪み間に、前記ホッパー軸心周りの周方向線に沿って連結部が形成されていてもよい。つまり、このような連結部は、窪みとして設計されていない。具体的に述べると、対応する連結部の形状は、接する2つの窪みと比べて異なる形状とされ得る。例えば、2つの窪み間に設けられた前記連結部は、前記ホッパー軸心を基準として径方向内側に突出するように、つまり、前記ホッパーにより形成された前記押出スクリュー用のホッパー口の方向に突出するように構成されている。具体的に述べると、これには、接する窪みよりもさらに径方向内側に前記連結部が単に突出してなる場合も含まれる。具体的に言えば、前記連結部は、平坦な壁面を形成していてもよいし湾曲した壁面を形成していてもよい。
【0025】
上記の場合、つまり、前記連結部が、例えば、前記ホッパー軸心を基準として径方向内側に湾曲したものとなる。例えば、前記ホッパーの断面で、凹状に湾曲した2つの窪み間に、凸状に湾曲した連結部が設けられる。このとき、周方向には、径方向内方に凸状に湾曲した連結部と径方向外方に凹状に湾曲した窪みとの間に分断エッジが生じないようになだらかな遷移部が設けられ得る。
【0026】
その一方、前記ホッパーの断面で前記ホッパー軸心周りの円状線の一部に沿って延在して平坦な壁面を形成するような、湾曲していない連結部が形成されてもよい。このような連結部とこれに接する窪みとの間の遷移部では、非なだらかな遷移部が形成されてもよいし、なだらかな遷移部が同じく形成されてもよい。「非なだらかな遷移部」には、長手方向に延びる分断エッジが形成されている場合も包含される。連結部と窪みとの間のこの場合の分断エッジも、破砕エッジとして、特には、リブとして形成され得て、具体的には、これに合わせて、前記押出スクリューが回転する間、前記ホッパーに進入した粒状の加工原料の少なくとも一部を破砕するように構成されて設けられ得る。
【0027】
前記ホッパーの前記ホッパー壁に複数の窪みが設けられている場合、一設計例では、該ホッパーの断面が花状の断面とされ得る。
【0028】
前記ホッパーの、例えば、その周方向にわたって分布した、特には、一様に分布した窪みの数nmaxは、
式:nmax=UD/(a×1.2)
(式中、nmaxは、窪みの数の上限であり、UDは、前記ホッパーの周方向の長さであり、aは、前記投入システムによって供給される粒状の加工原料の粒状体の平均最大外寸法である)
を満たし得る。前記ホッパーに分布する前記窪みを加工対象の原料を考慮に入れた上記の式に合致するものとすることにより、最大限の数の窪みが周方向に形成されるだけでなく、前記押出装置の動作時に粒状体が該窪み内に保持されて前記運搬室外へ抜けないようにブロックされることになる寸法で該窪みを設計し易くなり得る。
【0029】
原則として、本提案の投入システムのホッパー壁には、2つ以上の窪みが設けられ得る。一設計例では、前記ホッパー壁に、4つ以上の窪みが設けられる。例えば、前記ホッパーは、周方向にわたって分布した4~9、特には、5~7の窪みを有し得る。窪み又は空間部を4つ以上にすることで、例えば、前記ホッパーの断面を花状の断面にすることも可能である。
【0030】
本提案の解決手段は、さらに、少なくとも1つの押出スクリューと、少なくとも1つの設計例の本提案の投入システムと、を備える押出装置からなる。具体的に述べると、該押出装置は、3D造形装置または3Dプリンターとして構成され得る。つまり、具体的に述べると、本提案の押出装置は、前記押出スクリューによって加工原料を押し出すことによって部品が付加製造される付加製造過程用に提供されるものである。
【0031】
添付の図面には、本提案の解決手段として可能な設計例が例示されている。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】ホッパー壁の周に複数の窪みが分布してなる花状の断面の第1の設計例のホッパーを具備する、投入システム用のインサートの斜視図である。
【
図2】同じく花状の断面をしたホッパーを具備する、別の設計のインサートを示す図である。
【
図3】花状の断面をした別の設計のホッパーを具備した、さらなる設計例のインサートを示す図である。
【
図4B】
図4Aのホッパー、すなわち、同ホッパーに形成されたホッパー口と外殻面の斜視図である。
【
図5A】ホッパー口の幾何形状を描いた、該ホッパー口の長手方向の部分概略断面図である。
【
図5B】ホッパー口の他の幾何形状を描いた、該ホッパー口の長手方向の部分概略断面図である。
【
図5C】ホッパー口のさらなる他の幾何形状を描いた、該ホッパー口の長手方向の部分概略断面図である。
【
図6A】本提案のホッパーの、隣合う2つの窪み間、具体的には、接する2つの窪み間に分断エッジがある設計例の断面図である。
【
図6B】本提案のホッパーの、隣合う2つの窪み間に分断エッジがある他の設計例の断面図である。
【
図6C】本提案のホッパーの、隣合う2つの窪み間に分断エッジがないさらなる他の設計例の断面図である。
【
図7A】ホッパーのホッパー口に配置された押出スクリューを含む長手方向の断面図である。
【
図7B】円錐状に先細る押出スクリューが設けられた別の設計のホッパーを示す
図7Aと同様の図である。
【
図8】本提案の解決手段で加工される熱可塑性原料の粒状体を例示した斜視図である。
【
図9】
図1~
図3に示すインサートと
図4A~
図7Bに示すホッパーを使用した投入システムの本提案の一設計例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図9に、垂直押出機1の形態の本提案の押出装置の一設計例を示す。同図では、押出スクリュー2を具備した垂直押出機1の上側の領域のみを描いている。押出機1は、バンカー3の形態の原料貯槽部を備えた投入システムBと連結している。バンカー3には、押出スクリュー2に面する端部に、粒状の加工原料を難なく少しずつ落下させる役割を果たす供給斜面4が設けられている。供給斜面4は、その上側の領域でバンカー壁301に繋がった小型の部材である。
【0034】
押出スクリュー2には、供給斜面4から重力で前記粒状の加工原料が運ばれてくる(充填)ホッパー5が直接接している。供給斜面4とホッパー5との間では、バンカー壁301に開口80が設けられている。供給斜面4は、開口80の上側の境界を成している。ホッパー5の上縁部501は、水平方向に延びて長さがバンカー外壁301にまで及ぶ供給ゾーン6と繋がっている。この水平方向に延びる供給ゾーン6が、開口80の下側の境界となる。
【0035】
開口80は、供給装置8を受け入れる役割を果たしており、供給装置8の寸法に応じて寸法決めされている。供給装置8は、空気圧で、油圧で、機械的に又は電動で駆動される昇降シリンダ801、連結ロッド802およびスライド803からなる。スライド803は、水平方向に延びる供給ゾーン6にわたって、押出機1の充填ゾーンの方向へと調節方向Vに沿って案内される。スライド803は、前記押出機の内部に面する側が、供給斜面4の角度に沿う傾斜面803aを有する。この面803aは、バンカー壁301に直交して且つ平行な突当面803bと繋がっている。突当面803bは、加工対象の粒状体の粒度に少なくとも相当する大きさである。
【0036】
小型のスクリュー型押出機の場合、少しずつ落下する粒状体が、供給斜面4に押し戻されてきた粒状体と共に圧縮されることにより、粉体の壁Wが形成され得る。壁Wは、次の粒状体が押出スクリュー2に供給されないようにしてしまう。供給装置8は、スライド803を前進させることで、粒状体が供給斜面4上に押し戻されないようにする。昇降シリンダ801のストロークは、後退状態にて粒状体がバンカー3から垂直落下できるように設定されている。昇降シリンダ801の後退状態を基準にすると、該シリンダ801のストローク長は、ホッパー5の上縁部501とスライド8の垂直突当面803bとの間の距離に相当する。供給装置8が、壁Wに位置した邪魔となる阻害物を突き破る。少しずつ落下する粒状体が、ホッパー5へと活発に運ばれるようになる。
【0037】
このようにして、押出機1の動作時には、供給装置8が、押出スクリュー2によって供給方向ZRとは反対方向にホッパー5まで送り返された加工原料を、バンカー3から少しずつ落下する加工原料と一緒に、押出スクリュー2の方向へと運搬する。ホッパー5では、押出スクリュー2の回転によって送り返された加工原料が、バンカー3から追加供給された加工原料と混ざる。こうするには、押出スクリュー2による加工原料の圧縮を軽度に抑える必要があり、押出スクリュー2が短く設計され得る。
【0038】
図9の投入システムBにおけるホッパー5は、ホッパー壁51に、複数の窪み51.2が形成されている。窪み51.2が設けられた周方向に延びるホッパー壁51により、押出スクリュー2をホッパー軸心Tに沿ってホッパー上端部からホッパー下端部にかけて延在させるホッパー口の最小開口断面が決まる。ここで、ホッパー5は、取替え可能なインサートに形成されたものであり得る。
図1~
図3に、該インサートの様々な例を例示する。
【0039】
図1のインサートEでは、ホッパー壁51が、一様に分布した軸方向に延びる6つの窪み51.2を、その周に有する。軸方向に延びる窪み51.2は、それぞれ、径方向外側に湾曲しており、これにより、凹状断面の窪みとしてホッパー壁51に形成されている。各窪み51.2は半円状の断面積を有しており、窪み51.2各自の膨出部が形成する輪郭は、半円状線を辿っていると共に、ホッパー軸心Tを基準として径方向に延びる直線を基準として対称に延在している。各窪み51.2は、ホッパー5のホッパー端部512に向かって径方向で細るように、つまり径方向に沿ってテーパー状となるように形成されている。本例では、窪み51.2の径方向深さが、各窪み51.2の長手方向の延在にわたり、ホッパー軸心Tに沿って軸方向に進むにつれて連続的に減少する。また、各窪み51.2の、周方向で測定される直径、つまり、幅は、投入システムBによって押出スクリュー2に案内される粒状の加工原料の粒状体の最大寸法に比べて最大で20%大きい。つまり、ホッパー5の上端部での窪み51.2の幅又は直径は、粒状体が各窪み51.2に上方から落下することができるように寸法決めされている。したがって、ホッパー上端部では、窪み51.2によって形成された空間部内へと個々の粒状体が進入できるようになっている。また、ホッパー5の窪み51.2は、粒状体が窪み51.2外に簡単に(すなわち、破壊されずに、つまり、破砕されることなく)再び抜け出すことができないように寸法決めされている。これにより、粒状体は、該粒状体の(平均)寸法に合わせて調節された複数の所定の運搬室内に保持されて該運搬室外へと抜けないようにブロックされる。該運搬室は、それぞれ、径方向外側が窪み51.2で且つ径方向内側が押出スクリュー2によって画定されている。このようにして、押出スクリュー2が回転すると、個々の粒状体がホッパー5に沿って軸方向下方に強制的に移動させられる。
【0040】
図1の設計例では、ホッパー壁51の分断・剪断エッジが鋭くならないように、隣合う窪み51.2間の遷移部が、径方向内側に凸状に湾曲した連結部51.2によって提供されている。よって、
図1に示すホッパー幾何形状では、窪み51.2と連結部51.1とが、湾曲した周方向線に沿って互いになだらかに合体している。径方向内側に凸状に湾曲した連結部51.1は、加工対象の加工原料の粒状体が、ホッパー5のホッパー口内に回り入る押出スクリュー2と連結部51.1との間に生じる隙間に嵌まり込まないように寸法決めされている。つまり、連結部51.1と押出スクリュー2との間の隙間は、粒状体がこの隙間に嵌まり込まないように小さく設定されている。
【0041】
図2の設計例では、ホッパー5を具備するインサートEが、別の設計となっている。ここでは、各窪み51.2が、互いに直接接しているとともに、ホッパー軸心Tに沿って延びる分断エッジ511によって対で互いに分かれている。この分断エッジ511は、ホッパー5内の破砕エッジとして機能し、押出スクリュー2の回転によって粒状体が粉砕、つまり、破砕される縁が尖った軸方向に延びるリブとして構成され得る。さらに、
図2のインサートでは、周方向に一様に分布する窪み51.2の数が
図1の設計例よりも顕著に増えている。ここでは、16個以上の窪み51.2が設けられている。
【0042】
さらに、供給ゾーン6の表面積も
図1の例よりも拡大している。
図2の設計例では、ホッパー5の上端部にて供給ゾーン6の供給縁部6A,6Bが及んでいる周方向部分が拡大している。ただし、ここで、
図2の供給ゾーン6も、
図1の設計例と同じく、供給ゾーン6の各側部が(平面視で)窪み51.2の領域にて終端するように構成されている。
【0043】
これは、
図3の設計例でも実現されている。この目的のために、供給ゾーン6のうち、ホッパー5に開口する側縁部には、追加の傾斜斜面R1,R2が形成されている。
図3のホッパー5での窪み51.2の数は、
図2の設計例よりも若干減っている。
【0044】
図1や
図2の設計例とは対照的に、
図3の設計例で長手方向に延びる窪み51.2は、さらに、軸方向で細る設計にもなっている。つまり、各窪み51.2の一端部が、ホッパー下端部512の方向に尖っている。ただし、
図3の設計例の窪み51.2は、径方向で細るようにも形成されており、各窪み51.2の径方向深さは、ホッパー下端部512の方向に連続的に減少する。
【0045】
図4A、
図4B及び
図4Cに、ホッパー5の設計に用いる幾何学的パラメータを示す。
図4Aは、周方向にわたって窪み51.2が分布したホッパー5の平面断面図であり、各窪み51.2間に、凸状に湾曲した連結部51.1が膨出部の様式で延在している。ホッパー壁51では、窪み51.2と連結部51.1が互いに合体して幾何学的になだらかな関数に相当している。
【0046】
図4Bの斜視図に対応するが、ホッパー5は、ホッパー端部512に向かって下に行くにつれて、窪み512の径方向最外側の領域に接する外側の周方向線51Bを基準として円錐状に先細る。つまり、外側の周方向線51Bの直径はホッパー下端部512に向かってホッパー軸心Tに沿って(個々の窪み51.2が径方向で細ることにより)連続的に減少するのに対し、ホッパー壁51の径方向最内側の領域に接する内側の周方向線51Aの直径はホッパー軸心Tに沿って変わらずに維持される。よって、押出スクリュー2用の最小開口断面は、ホッパー軸心Tに沿ってずっと同一に維持される。
【0047】
図4Cでは、内側の周方向線51Aの直径をD
2と定める。この直径D
2は、押出スクリュー2の直径D
3に、径方向内側に湾曲した周方向の連結部51.1(すなわち、ホッパー壁51のうち、連結部51.1によって形成された径方向内側に向いた凸状の膨出部)と押出スクリュー2との間の断面視の径方向距離sの形態の所定の間隙を足した合計に相当する。既述のように、この径方向距離sは粒状体の最小寸法よりも短いことから、破砕前の形態の粒状体は押出スクリュー2と膨出部51.1との間の隙間に嵌まり込まない。例えば、
図8に合わせて粒状体Gの高さをH、直径(粒径)をD
4とすると、s<D
4およびs<Hとなる。
【0048】
図4Cを参考にして説明する設計例では、個々の窪み51.2の断面が半円状線を辿るように設計されており、各窪み51.2が半円状の断面積を形成している。よって、対応する半円の(ホッパー軸心Tに沿って変化する)直径d
1が、各窪み51.1の径方向深さを規定する。窪み51.1の個々の半円の中心は、直径D
1(D
1>D
2)の周方向線上に位置する。したがって、外側の周方向線51Bの直径は、D
1+d
1/2で与えられる。ホッパー5の上端部にて、直径d
1は、
図8に対応する粒状体Gが各窪み51.2に上方から落下することができるように設定されている。このとき、例えば、d
1≧D
4およびd
1≧Hがそれぞれ当てはまる。ホッパー5に形成されて周方向にわたって一様に分布する窪み51.1の数の上限n
maxは、
式:n
max=U
D/(a×1.2)
(式中、U
Dは、周方向線51Aに沿ったホッパー5の周方向の長さを表し、aは、前記投入システムによって供給される粒状の加工原料の粒状体Gの平均最大外寸法を表す)
の条件を満たす。つまり、aは、例えば、2つの数値D
4、Hのうちの最大値に相当する。
【0049】
ホッパー壁51の外殻面も、外側の周方向線51Bと共に先細る。つまり、該殻面は、それぞれ半円状の断面を有する窪み51.1と、該窪み51.1と共に形成されて押出スクリュー2のスクリュー羽根の外径D3由来の円を形成するように膨出部51.1側に介設された遷移部を含む跳ね返り部(Rucksprungen)とからなる配置構成について、面積の線形補間を行って得られたものとなる。
【0050】
図5Aの縦方向断面に対応するが、外側の周方向線51Bは、ホッパー軸心Tに沿って、つまり、延在方向または運搬方向-zに沿ってホッパー下端部512の方向に円錐状に先細り得る。そのため、ホッパー5の外径は、線形に減少するように、つまり、一次関数に従って減少するように構成されている。ただし、これは必ずしも必須でない。例えば、
図5Bに対応するが、少なくとも二次の曲線に相当する軌跡も可能である。
【0051】
例えば、窪み51.2が径方向でテーパー状となる構成は、特に、比較的高靭性の熱可塑性材からなるか又はこのような熱可塑性材を含有する粒状の加工原料に関して有利であることが判明した。しかしながら、他の加工原料では、窪み51.2がホッパー軸心Tに沿って径方向で細らない場合も有利であり得る。この場合は、
図5Cに対応するが、外側の周方向線51Bの直径が、縦方向断面視で、変わらずに維持される。
【0052】
図6A~
図6Cの断面図を参照しながら、ホッパー壁51、特には、隣合う2つの窪み51.2間の部分の各種設計について再び説明する。
【0053】
図6Aの設計例では、軸方向に延びる分断エッジ511が、2つの窪み51.2間にそれぞれ延在している。分断エッジ511同士は、断面視で、
図4Cの直径D
2の円状線上に位置している。分断エッジ511は、前記押出装置の動作時に押出スクリュー2がホッパー軸心T回りに回転した際に粒状の加工原料が破砕される破砕エッジとして機能し、特には、押出スクリュー2の方向へと径方向に突出したリブとして形成され得る。
【0054】
図6Bの設計例では、隣合う窪み51.2間に、平坦な壁面をそれぞれ有する連結部51.3が形成されている。この場合、ある連結部51.3からこれに隣接する窪み51.2への遷移部が非なだらかな遷移部で提供されている。そのため、分断エッジ511が、同じく、連結部51.3とこれに隣接する各窪み51.2との間に形成されている。
【0055】
図6Cの設計例は、分断エッジ511を有する
図6Aや
図6Bの例と比べると、各窪み51.2が、凸状に湾曲した膨出部51.1、つまり、径方向内側に湾曲した連結部51.1と、なだらかに合体している。そのため、分断エッジが存在していない。
【0056】
既述のように、径方向でテーパー状となる窪み51.2の場合、内側の周方向線51Aの直径がホッパー軸心Tに沿って同一に維持され得る。よって、
図7Aに対応する縦方向断面で、押出スクリュー2の直径D
3もずっと変わらず維持される。しかしながら、反対に、直径D
3がホッパー軸心Tに沿って連続的に減少する設計例も可能である。つまり、前記ホッパー口が、z方向で円錐状に先細る。これに対応する
図7Bの縦方向断面では、押出スクリュー2の軌跡も円錐状の軌跡になる。
【0057】
いずれの設計例でも、流入する粒状の原料Gは簡単にホッパー5内に落下して押出スクリュー2によって先に進む。ホッパー5のホッパー(内)壁51に窪み51.2が形成されていることで、押出スクリュー2の縁に供給された加工原料が周方向にしか動かず、すなわち、押出スクリュー2と共に回転しかせず下に運ばれないようなことがなくなる。押出スクリュー2の縁に存在する粒状の加工原料の粒は、ホッパー壁51にぶつかると、周方向の動きが阻まれているため軸方向に移動することになる。同時に、押出スクリュー2のスクリュー軸とスクリュー羽根との間の空間も極めて小さいことから、加工原料が完全なまま先に進むことはできず、場合によって、ホッパー内壁51の分断エッジ511にて追加で破砕されてホッパー軸心Tに沿って軸方向下方に移動する。一般的に、押出スクリュー2の前記スクリュー軸やホッパー壁51の硬度は、加工対象の加工原料の硬度よりも高い。
【0058】
本提案のホッパー5を用いると、熱的な影響を何ら加えずに運搬対象の加工原料の圧縮や均質化が向上し、特に、比較的高靭性の熱可塑性原料を供給する場合に、従来のホッパーの解決手段に比べて顕著にそれらが向上することが観察できる。従来のホッパーの解決手段と比較して、より一様な押出パターンを実現・確認することができる。また、ホッパーの長手方向軸心Tに沿って後に続く圧縮ゾーンや吐出ゾーンを顕著に短い設計とすることが可能となり、押出機1が極めてコンパクトに維持され、長さ-直径の比を1:10~1:3とすることができる。
【符号の説明】
【0059】
1 押出機
2 押出スクリュー
3 バンカー(原料貯槽部)
301 バンカー壁
4 供給斜面
5 ホッパー
501 ホッパー上縁部
51 ホッパー壁
51.1 膨出部(湾曲した連結部)
51.2 窪み
51.3 扁平/平坦な連結部
511 破砕/分断エッジ
512 ホッパー端部
51A 内側の周方向線
51B 外側の周方向線/外殻面
6 水平方向に延びる供給ゾーン
6A,6B 供給縁部
7 開口部
8 供給装置
80 開口
801 昇降シリンダ
802 連結ロッド
803 スライド
803a 傾斜面
803b 突当面
B 投入システム
D1~D4,d1 直径
E インサート
G 粒状体(加工原料)
H 高さ
R1,R2 側部斜面
s 距離
T ホッパー軸心
V 調節方向
W 壁
ZR 供給方向
-z 長手方向の延在方向/運搬方向
【国際調査報告】