(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】流線形フロントガラスワイパー
(51)【国際特許分類】
B60S 1/38 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
B60S1/38 E
B60S1/38 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501795
(86)(22)【出願日】2022-07-13
(85)【翻訳文提出日】2024-03-12
(86)【国際出願番号】 EP2022069599
(87)【国際公開番号】W WO2023285528
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】ナタリー、ラロワ
(72)【発明者】
【氏名】ギョーム、バレ
【テーマコード(参考)】
3D225
【Fターム(参考)】
3D225AC01
3D225AE28
(57)【要約】
流線形の平坦なフロントガラスワイパー(1、10、600、700)は、長手方向ワイパーブレード(6)と、中央装着部(2、602、701)と前記中央装着部(2、602、701)の遠位端部に配置された少なくとも1つのエンドキャップ(3、603、702)とを備える長手方向流線形フェアリング(5)と、前記長手方向ワイパーブレード(6)を保持するための爪(250)を備える少なくとも1つのキャリパ(210、605)と、を備えるとともに、前記中央装着部(2、602、701)にその遠位端部において固定された少なくとも1つのアダプタ要素(300、500、604)を備え、前記少なくとも1つのエンドキャップ(3、603、702)の近位端部および前記少なくとも1つのキャリパ(210、605)は、前記少なくとも1つのアダプタ要素(300、500、604)に枢動可能に関節連結する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
‐長手方向ワイパーブレード(6)と、
‐中央装着部(2、602、701)と前記中央装着部(2、602、701)の遠位端部に配置された少なくとも1つのエンドキャップ(3、603、702)とを備える長手方向流線形フェアリング(5)と、
‐前記長手方向ワイパーブレード(6)を保持するための爪(250)を備える少なくとも1つのキャリパ(210、605)と、
を備える、特に車両用の流線形の平坦なフロントガラスワイパー(1、10、600、700)において、
流線形の平坦な前記フロントガラスワイパーは、少なくとも1つのアダプタ要素(300、500、604)を備え、
前記少なくとも1つのアダプタ要素(300、500、604)は、前記中央装着部(2、602、701)にその遠位端部において固定され、
前記少なくとも1つのエンドキャップ(3、603、702)の近位端部および前記少なくとも1つのキャリパ(210、605)は、前記少なくとも1つの前記アダプタ要素(300、500、604)に枢動可能に関節連結する、
ことを特徴とする流線形の平坦なフロントガラスワイパー(1、10、600、700)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのアダプタ要素(300、500、604)は、前記アダプタ要素(300、500、604)の遠位端部から延びる補強部(340、510)をさらに備え、
前記補強部(340、510)は、前記エンドキャップ(3、603、702)内の相補的構造体に係合する、
請求項1に記載のフロントガラスワイパー(1、10、600、700)。
【請求項3】
前記補強部(340、510)は、前記アダプタ要素(300、500、604)の残りの部分に比較して小さい幅を有する、
請求項2に記載のフロントガラスワイパー(1、10、600、700)。
【請求項4】
前記相補的構造体は、前記エンドキャップ(3、603、702)の下面から延びる少なくとも2つのリブ(400、410、540、550)を備え、
前記補強部(340、510)は、前記少なくとも2つのリブ(400、410、540、550)の間に格納される、
請求項2または3に記載のフロントガラスワイパー(1、10、600、700)。
【請求項5】
前記補強部(340、510)は、逆U字形の断面を有する、
請求項2~4のいずれか一項に記載のフロントガラスワイパー(1、10、600、700)。
【請求項6】
前記アダプタ要素(340、510)は、枢動ピン(220)をさらに備え、
前記キャリパは、前記枢動ピン(220)に回転可能に関節連結する、
請求項1~5のいずれかに記載のフロントガラスワイパー(1、10、600、700)。
【請求項7】
前記枢動ピン(220)の軸と前記エンドキャップ(3、603、702)の関節連結ピン(360、613)の軸とは、別個である、
請求項6に記載のフロントガラスワイパー(1、10、600、700)。
【請求項8】
前記相補的構造体(540、550)は、前記フロントガラスワイパーの長手方向軸に対して実質的に平行な2つの実質的に平行な平面を備え、
前記キャリパ(210)は、前記平面により規定される前記スペースに収容される、
請求項2~7のいずれか一項に記載のフロントガラスワイパー(10)。
【請求項9】
‐ワイパーアームと、
‐前記ワイパーアームを駆動して往復運動させるように構成された駆動モータと、
‐請求項1~8のいずれか一項に記載のフロントガラスワイパー(1、10、600、700)と、
を備えるフロントガラスワイパーシステム。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載のフロントガラスワイパー(1、10、600、700)、または請求項9に記載のフロントガラスワイパーシステムを備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用の流線形フロントガラスワイパーに関し、より具体的には、前記流線形フロントガラスワイパー用の関節連結手段に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のフロントガラスワイパーにおいて、流線形要素がワイパーブレードの構造体の大部分を形成する程度まで、流線形の外観をフロントガラスワイパーに組み込むことがますます望まれている。このようなワイパーブレードは、一般に、「ハイブリッド」ワイパーブレードと称されている。
【0003】
流線形の外観は、多くの利点を呈する。特に、フロントガラスワイパーに流入する気流からの抗力を低減させる。流線形の形状は、特に、空気がワイパー上を流れる時にワイパーに下向きの力を発生させることで、ワイパーをフロントガラスに押し付けて払拭性能を向上させるように構成され得る。また、流線形の形状は、入れ子状のトーナメントアームの伝統的なスタイルで構成されたワイパーブレードよりも美観を呈する。
【0004】
一般に、流線形の外観は、ワイパーブレードの構造体の一部を形成する剛性のフェアリングの形態で実現される。フェアリングは、一般に、複数の個別部品を備えている。これらの部品は、ワイパーブレードがフロントガラス上を通過する際に、ワイパーブレードが撓んでフロントガラスの曲率に追従することを可能にするように互いに関節連結されている。また、ブレードの長さによっては、ワイパーは、フェアリングに関節連結されてワイパーゴムを保持する単一レベルのトーナメントアーム(「キャリパ」としても知られる)を含み得る。これらは、ワイパーアームの力をワイパーブレードの長さに沿ってより均一に分散させる。
【0005】
このようにして、フェアリングは、ワイパーブレードの構造体の重要部分を構成し、その構成を簡素化している。
【0006】
しかしながら、ワイパーブレードのフェアリングは構造要素を構成するため、フェアリング要素間の関節連結部は、作動中にフロントガラスワイパーに加わるすべての力、特に、横向きの力(すなわち、フロントガラスの平面に対して実質的に平行であり、ワイパーブレードの長手方向軸に対して垂直な力)、およびキャリパを介してワイパーブレードの主構造体に伝達されるあらゆるねじり力に耐えるよう十分な堅牢性を有する必要がある。
【0007】
したがって、補強された関節連結部をハイブリッド型のフロントガラスワイパーブレードに設ける必要がある。
【発明の概要】
【0008】
したがって、本発明によれば、長手方向ワイパーブレードと、中央装着部と前記中央装着部の遠位端部に配置された少なくとも1つのエンドキャップとを備える長手方向流線形フェアリングと、前記長手方向ワイパーブレードおよび少なくとも1つの補剛要素を保持するための爪を備える少なくとも1つのキャリパと、を備える、特に車両用の流線形の平坦なフロントガラスワイパーが提示される。
【0009】
第1態様によれば、流線形フロントガラスワイパーは、少なくとも1つのアダプタ要素を備え、前記少なくとも1つのアダプタ要素は、前記中央装着部にその遠位端部において固定され、前記少なくとも1つのエンドキャップの近位端部および少なくとも1つの前記キャリパは、前記少なくとも1つのアダプタ要素に枢動可能に関節連結する。
【0010】
このような構成は、アダプタ要素が、中央装着部とエンドキャップとの関節連結部を補強する点で有利である。特に、キャリパがフェアリング要素のうちの1つに直接的に関節連結されるのではなくアダプタに関節連結されるという事実により、ワイパーブレード上で力をより良好に分散させることが可能となり、使用中にブレードが分解する可能性が低減される。
【0011】
好適な実施形態において、前記少なくとも1つのアダプタ要素は、前記アダプタ要素の遠位端部から延びる補強部をさらに備え、前記補強部は、前記エンドキャップ内の相補的構造体に係合する。
【0012】
このような構成は、中央装着部とエンドキャップとキャリパとの間に剛性の連結インターフェースが形成される点で有利である。連結インターフェースは、特に払拭動作の結果としてワイパーブレードに作用する横方向の力に対して耐性を有する。
【0013】
特に好適な実施形態において、前記補強部は、前記アダプタ要素の残りの部分に比較して小さい幅を有する。
【0014】
これは、特にアダプタ要素の剛性がエンドキャップに係合する箇所で高くなり、さらに関節連結部が強化される点で有利である。
【0015】
好適な実施形態において、前記相補的構造体は、前記エンドキャップの下面から延びる少なくとも2つのリブを備え、前記補強部は、少なくとも2つの前記リブの間に格納される。
【0016】
これは、当該技術分野で知られている従来の射出成形方法を使用して容易に提供される態様において、アダプタとエンドキャップとの良好な機械的結合が提供される点で有利である。
【0017】
特に好適な実施形態において、前記補強部は、逆U字形の断面を有する。
【0018】
これは、キャリパが補強要素内に少なくとも部分的に設置され得るため、関節連結部の機械的結合がさらに補強されるとともにその堅牢性が向上するという点で有利である。
【0019】
可能な実施形態において、前記アダプタ要素は、枢動ピンをさらに備え、前記キャリパは、前記枢動ピンに回転可能に関節連結する。
【0020】
好適には、枢動ピンの軸とエンドキャップの関節連結軸とは、別個である。
【0021】
好適には、前記相補的構造体は、前記フロントガラスワイパーの長手方向軸に対して実質的に平行な2つの実質的に平行な平面を備え、前記キャリパは、前記平面により規定される前記スペースに収容される。
【0022】
別の態様において、本発明は、ワイパーアームと、前記ワイパーアームを駆動して往復運動させるように構成された駆動モータと、上述のフロントガラスワイパーと、
を備えるフロントガラスワイパーシステムを対象とする。
【0023】
別の態様において、本発明は、フロントガラスワイパー、または上述のフロントガラスワイパーシステムを備える車両を対象とする。
【0024】
当業者には、上述の本発明の態様および特徴、ならびに、以下で論じる、および/または図面に示す他の態様および特徴が、本発明の範囲から逸脱することなく、任意の順列で組み合わせられ得ることが理解されるであろう。
【0025】
本発明のこれらおよび他の態様、特徴および利点は、以下の図面に照らして検討すれば、容易に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態による流線形ワイパーブレードの斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の流線形ワイパーブレードの下側面の斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1の流線形ワイパーブレードの詳細図である。
【
図5】
図5は、本発明の第2実施形態による流線形フロントガラスワイパーブレードの詳細図である。
【
図6A】
図6Aは、本発明による流線形フロントガラスワイパーブレードの変形例である。
【
図6B】
図6Bは、
図6Aの変形例の流線形フロントガラスワイパーブレードのステープルクリップの分離詳細図である。
【
図7】
図7は、本発明の第3実施形態による流線形フロントガラスワイパーブレードの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明を図面において検討することで、本発明はより良好に理解されるであろう。
【0028】
以下の説明は、フロントガラスワイパー100の単一の関節連結部に向けたものであるが、フロントガラスワイパーは、その単数または複数の関節連結部において本発明を構成し得ることが容易に理解されるであろう。
【0029】
また、「上、上側、上方」および「下、下側、下方」等の相対的な用語が使用される場合、このような用語は、ゴム製ワイパーブレードを水平平面に載置した場合のフロントガラスワイパーを基準として使用され、特に、「上、上側、上方」および「下、下側、下方」は、通常の態様における重力を基準として使用されることが理解されるであろう。
【0030】
図1は、流線形フロントガラスワイパー1を示す。フロントガラスワイパー1は、中央部分である中央装着部2、ならびに2つのエンドキャップ3、およびアームアダプタ4から構造的に構成されている。中央装着部2およびエンドキャップ3は、一体となって空気力学的に流線形のデフレクタ5を示している。デフレクタ5は、フロントガラスワイパー1の長さに延びるとともに、最上面、すなわちブレードが使用されるフロントガラスの反対側の面に形成されている。
【0031】
中央装着部2は、その中央に配置されたアダプタ部4を有している。これにより、フロントガラスワイパー1を、一般に知られた態様で車両のフロントガラスワイパーアームに取り付けることができる。
【0032】
中央装着部2およびエンドキャップ3は、使用中にワイパーブレードにかかるすべての荷重に耐えるのに十分な強度を有する剛性熱可塑性プラスチック材料で形成されている。このようにして、中央装着部2およびエンドキャップ3は、ワイパーブレードの構造体を本質的に構成している。
【0033】
デフレクタ5の反対側にあるのは、
図2および
図3に関して以下に説明する一連のフックによりフロントガラスワイパー1に保持されるゴム製ワイパーブレード6である。エンドキャップ3は、中央装着部2に関節連結されている。そして、一連のフックと組み合わせることで、フロントガラスワイパー1は、フロントガラスの形状に適合し、効果的な払拭性能を実現し得る。
【0034】
図2は、
図1のワイパーブレードを下側から、すなわちデフレクタ5の反対側から示す。特に、
図2は、中央装着部2、およびエンドキャップ3のうちの一方を示している。他方のエンドキャップ3ならびにゴム製ワイパーブレード6は、明瞭性を期して省略している。
【0035】
エンドキャップ2の各々は、その遠位端部に配置された一対のフック200を示している。フック200は、ワイパーゴムと係合してこれを所定位置に保持する一方、フロントガラスワイパー1の長手方向軸に沿ったワイパーゴムとエンドキャップとの相対運動を可能としている。このため、フロントガラスワイパー1は、これが使用されるフロントガラスの形状に適合し得る。
【0036】
フロントガラスワイパー1は、一方を
図2に示す2つのキャリパ210をさらに備えている。キャリパ210は、枢動ピン220により、中央装着部1にその遠位端部において関節連結されている。枢動ピン220は、キャリパ210の中央部230に配置されている。2つのアーム240が、キャリパ210の中央部230から延びるとともに、各端部において一対の爪250により終わっている。
【0037】
爪250は、横方向および縦方向の両方向においてワイパーゴムをしっかりと保持することで、ワイパーゴムをワイパーブレードに固定している。キャリパ210の形状、および枢動ピン220におけるキャリパ210の関節連結により、フロントガラスワイパー1は、フロントガラスの形状により良好に適合し得る。さらに、ワイパーアームの力をワイパーゴムの長さに沿って分散させ得る。このようにして、フロントガラスワイパー1の払拭性能が最適化されている。
【0038】
図3は、
図2に示すフロントガラスワイパー1の分解図である。キャリパ210の装着および関節連結について説明する。
図3から理解されるように、キャリパ210は、中央装着部2に直接的に関節連結されているのではなく、実際には、アダプタ要素300に装着されている。
【0039】
図3に示すように、アダプタ要素300は、枢動ピン220を支持する逆U字の全体形状にある本体部310を備えている。したがって、同様に逆U字形状にあるキャリパ210の中央部230は、アダプタ要素300の本体部210内にぴったりと嵌合している。本体部310は、中央装着部2の遠位端部に形成されたシート部320に受容されるように構成されている。シート部320は、位置決め手段(図示せず)および複数の保持クリップ330を備えている。位置決め手段および保持クリップ330は、アダプタ要素300、ひいてはキャリパ210およびワイパーゴムをしっかりと保持する。
【0040】
アダプタ要素300は、遠位端部において幅が狭くなり、延長部340を形成している。延長部340の内幅は、キャリパ210のアーム240の外幅と実質的に同一であり、
図3に示すように、アーム240は、そこに実質的に受容される。
【0041】
さらに、アダプタ要素300は、アダプタの本体部310の遠位端部において互いに対向して配置された2つの関節連結孔350を備えている。関節連結孔350は、2つの関節連結ピン360を収容するように構成されている。関節連結ピン360は、エンドキャップ3に一体的に形成されるとともに、エンドキャップ3の近位端部においてその内面の対向面に配置されている。このようにして、アダプタ要素300は、エンドキャップ3およびキャリパ210の両方を中央装着部2に関節連結する役割を果たす。
【0042】
図4は、中央装着部2、エンドキャップ3、キャリパ210、およびアダプタ要素300を組み付けた状態においてより詳細に示す。特に、関節連結孔350が中央装着部2の外側に配置されるように、アダプタ要素300は中央装着部2の縁部を超えて延びていることに留意されたい。この配置により、エンドキャップ3が中央装着部2に対して自由に枢動し得ることが保証される。
【0043】
さらに、
図4に示すように、エンドキャップ3は、エンドキャップの下方の内面から延びる一対のリブ400を備えている。図示のようにアダプタ要素300が中央装着部2に装着されてエンドキャップ3がアダプタに関節連結された場合に、延長部340がリブ400間にしっかりと格納されるとともに、アーム240が延長部340の内部にしっかりと格納されるように、リブ400は配置されている。
【0044】
同様に、中央装着部は、アダプタ要素300に係合する一対のリブ410を備えている。これにより、アダプタ要素300と中央装着部2との接続がさらに強くなる。特に、リブ410は、アダプタ要素300に加わる横方向荷重の少なくとも一部を担い、そうしなければアダプタ要素300をシート部320に保持するフック300から、この荷重の一部を取り込む。
【0045】
キャリパ210のアーム240がエンドキャップ3のリブ400内の延長部340内に入れ子状に配置されることにより、これらの部品は一体的に横方向において、すなわち、フロントガラスワイパー1の長手方向軸に対して垂直であってフロントガラスの平面に対して平行な方向においてしっかりと係止されつつも、キャリパ210の自由な回動が可能とされている。このようにして、ワイパーブレードの種々の部品の関節連結部が払拭動作中に通常遭遇する力に対して補強される一方で、これらの部品がフロントガラスの曲率に追従して自由に枢動することが可能とされている。
【0046】
アダプタ300は、選択的に、コストおよび重量を最小にしつつ腐食の可能性を低減するように、プラスチック材料から特に射出成形により作製される。しかしながら、組付をさらに補強し、さらなる耐性を提供するように、U字形状の金属二重要素420を設けてもよい。二重要素は、
図4に示すように別個の部品として提供され得る、または代替的に、オーバーモールドプロセスによりアダプタ要素300に一体化され得る。
【0047】
代替的に、特定の状況において、適用の具体的な需要に応じて、金属製のアダプタおよびプラスチック製の二重要素を提供することが有利な場合もある。
【0048】
図5は、フロントガラスワイパー10における本発明の可能な変形実施形態を示す。アダプタ要素500は、特に延長部510を除き、上述のアダプタ要素300と同様である。アダプタ要素500の延長部510は、アダプタ要素300の延長部340よりも長く構成されている。この結果、関節連結孔520およびエンドキャップ7の対応する関節連結ピンは、フロントガラスワイパー10の遠位端部に向けて外方にずれている。
【0049】
この結果、エンドキャップ7の枢動軸は、外方にずれている。このずれにより、エンドキャップ7は、接触することなく、ギャップ530において中央装着部2の遠位端部を超えて回転自在に通過できる。これにより、結果としてフロントガラスワイパー10の損傷や分解が回避される。
【0050】
これは、自動洗車機のローラおよび/またはブラシがフロントガラスワイパーに接触する場合のように、エンドキャップ7が上方のねじりを受けるときに、特に有利である。外方にずれた関節連結部により、この運動により発生したねじり力はアダプタ要素500が担うこととなる。
【0051】
さらに、関節連結部が外方にずれていることで、キャリパ(明瞭性を期して図示せず)、アダプタ要素500、エンドキャップ7の入れ子構造を補強することができる。特に、エンドキャップには、鉛直方向リブ540に加えて、水平方向リブ550が設けられている。リブ540および550は、枢動ピン520から延びている。水平方向リブ550は、先の実施形態および図面に関連して説明したように、特にキャリパが延長部510に入れ子式に配置される場合に、横方向荷重に対する特定の耐性を提供する。
【0052】
このようにして、フロントガラスワイパー10の関節連結部はさらに強固となり、フロントガラスワイパー10は、エンドキャップ7とアダプタ要素500との間の関節連結部における位置ずれに対してさらに高い耐性を有する。
【0053】
図6Aは、流線形フロントガラスワイパーにおけるさらなる変形例を示す。特に、
図6Aは、フロントガラスワイパー600の下側からこの変形例を示す。先の図面に提示した実施形態と同様に、流線形フロントガラスワイパー600は、中央装着部602と一方が図示される2つのエンドキャップ603とを備えている。フロントガラスワイパー600は、キャリパ605が関節連結されるアダプタ要素604も備えている。
【0054】
この変形例は、ステープルクリップ610の存在により区別される。ステープルクリップ610は、前方側面611aから後方側面611bに、エンドキャップ603の側面を超えて延びている。ステープルクリップ610は、スロット612a、612bに挿入され、その内部にしっかりと保持されている。ステープルクリップ610は、理想的には、金属薄板から作製される。これは作製が単純で安価なためであるが、代替的に、熱可塑性プラスチック等の他の適切な材料で提供されてもよい。
【0055】
ステープルクリップ610は、それがエンドキャップ603内で係合することにより、特にワイパーブレードに大きな負荷がかかる状況において、例えば、雪に覆われた場合やフロントガラスに凍って張り付いた場合に、側面611a、611bが離間することを防止し得る。
【0056】
この結果、ステープルクリップ610は、エンドキャップ603の分解を防止する。なぜならば、ステープルクリップ610が所定位置にあれば、エンドキャップ603の側面611a、611bは、関節連結ピン613がアダプタ要素604から解放されることを可能にするほど十分な距離を広げることができないからである。
【0057】
図6Bは、ステープルクリップ610をさらに詳細に示す。ステープルクリップ610は、金属ストリップの全体形状にある。金属ストリップは、その長手方向両先端部において屈曲されて2つの保持タブ614a、614bを提供している。保持タブ614a、614bは、それぞれスロット612a、612bに係合してステープルクリップ610をエンドキャップ603に恒久的に保持する。選択的に、
図6Bに示すように、保持タブ614a、614bは、エンドキャップ603に食い込んでステープルクリップ610をより良好に保持する有刺状または鋸歯状の縁部を備える。
【0058】
図7は、本発明の第3実施形態によるフロントガラスワイパー700を示す。フロントガラスワイパー700は、中央装着部701と一方が
図7に示される2つのエンドキャップ702とを備えている。フロントガラスワイパー700は、アダプタ要素703をさらに備えている。
【0059】
フロントガラスワイパー700に上述の実施形態の態様の多くが組み込まれていることが明瞭であろう。ただし、フロントガラスワイパー700は、保持クリップ705がアダプタ要素703の長手方向先端部に配置されている点で異なる。
【0060】
これは、例えば
図2および
図4に示す構成に比較して、フロントガラスワイパー700にねじり剛性を付与する保持クリップ705の効果が向上するという点で特に有利である。
【0061】
当然ながら、本発明の他の変形例も上記に照らして想定され得る。そして、本明細書に提示された例示的な実施形態についての説明が網羅的であると考えられるべきではない。
【符号の説明】
【0062】
フロントガラスワイパー 1、10、600、700
中央装着部 2、602、701
エンドキャップ 3,603、702
アームアダプタ 4
デフレクタ 5
ゴム製ワイパーブレード 6
フック 200
キャリパ 210、605
枢動ピン 220
中央部 230
アーム 240
爪 250
アダプタ要素 300、500、604
本体部 310
シート部 320
保持クリップ 330、705
延長部 340、510
関節連結孔 350、520
関節連結ピン 360、613
リブ 400、410、540、550
二重要素 420
ギャップ 530
ステープルクリップ 610
側面 611a、611b
スロット 612a、612b
保持タブ 614a、614b
【手続補正書】
【提出日】2024-03-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
‐長手方向ワイパーブレード(6)と、
‐中央装着部(2、602、701)と前記中央装着部(2、602、701)の遠位端部に配置された少なくとも1つのエンドキャップ(3、603、702)とを備える長手方向流線形フェアリング(5)と、
‐前記長手方向ワイパーブレード(6)を保持するための爪(250)を備える少なくとも1つのキャリパ(210、605)と、
を備える、特に車両用の流線形の平坦なフロントガラスワイパー(1、10、600、700)において、
流線形の平坦な前記フロントガラスワイパーは、少なくとも1つのアダプタ要素(300、500、604)を備え、
前記少なくとも1つのアダプタ要素(300、500、604)は、前記中央装着部(2、602、701)にその遠位端部において固定され、
前記少なくとも1つのエンドキャップ(3、603、702)の近位端部および前記少なくとも1つのキャリパ(210、605)は、前記少なくとも1つの前記アダプタ要素(300、500、604)に枢動可能に関節連結する、
ことを特徴とする流線形の平坦なフロントガラスワイパー(1、10、600、700)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのアダプタ要素(300、500、604)は、前記アダプタ要素(300、500、604)の遠位端部から延びる補強部(340、510)をさらに備え、
前記補強部(340、510)は、前記エンドキャップ(3、603、702)内の相補的構造体に係合する、
請求項1に記載のフロントガラスワイパー(1、10、600、700)。
【請求項3】
前記補強部(340、510)は、前記アダプタ要素(300、500、604)の残りの部分に比較して小さい幅を有する、
請求項2に記載のフロントガラスワイパー(1、10、600、700)。
【請求項4】
前記相補的構造体は、前記エンドキャップ(3、603、702)の下面から延びる少なくとも2つのリブ(400、410、540、550)を備え、
前記補強部(340、510)は、前記少なくとも2つのリブ(400、410、540、550)の間に格納される、
請求項
2に記載のフロントガラスワイパー(1、10、600、700)。
【請求項5】
前記補強部(340、510)は、逆U字形の断面を有する、
請求項
2に記載のフロントガラスワイパー(1、10、600、700)。
【請求項6】
前記アダプタ要素(340、510)は、枢動ピン(220)をさらに備え、
前記キャリパは、前記枢動ピン(220)に回転可能に関節連結する、
請求項
1に記載のフロントガラスワイパー(1、10、600、700)。
【請求項7】
前記枢動ピン(220)の軸と前記エンドキャップ(3、603、702)の関節連結ピン(360、613)の軸とは、別個である、
請求項6に記載のフロントガラスワイパー(1、10、600、700)。
【請求項8】
前記相補的構造体(540、550)は、前記フロントガラスワイパーの長手方向軸に対して実質的に平行な2つの実質的に平行な平面を備え、
前記キャリパ(210)は、前記平面により規定される前記スペースに収容される、
請求項
2に記載のフロントガラスワイパー(10)。
【請求項9】
‐ワイパーアームと、
‐前記ワイパーアームを駆動して往復運動させるように構成された駆動モータと、
‐請求項1~8のいずれか一項に記載のフロントガラスワイパー(1、10、600、700)と、
を備えるフロントガラスワイパーシステム。
【請求項10】
請求項9に記載のフロントガラスワイパーシステムを備える車両。
【国際調査報告】