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特表2024-526338飼いネコの様々な病気状態を検出するための口腔スワブ基盤の検査
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】飼いネコの様々な病気状態を検出するための口腔スワブ基盤の検査
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6869 20180101AFI20240709BHJP
   C12Q 1/06 20060101ALI20240709BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
C12Q1/6869 Z
C12Q1/06
C12M1/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501809
(86)(22)【出願日】2022-07-14
(85)【翻訳文提出日】2024-03-08
(86)【国際出願番号】 US2022073742
(87)【国際公開番号】W WO2023288279
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】63/221,559
(32)【優先日】2021-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523399555
【氏名又は名称】ベースポーズ
【氏名又は名称原語表記】BASEPAWS
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】カオ、ダミアン
(72)【発明者】
【氏名】ミハイロバ、ユリアナ
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029AA27
4B029BB01
4B029FA01
4B029FA03
4B029FA09
4B029GA08
4B029GB10
4B063QA07
4B063QA13
4B063QA18
4B063QQ03
4B063QQ05
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR62
4B063QS39
4B063QX02
4B063QX10
(57)【要約】
飼いネコの皮膚及び/又は呼吸器疾患状態をスクリーニング、表示、診断、治療及び確認するためのシステム及び方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネコの皮膚疾患をスクリーニング、検出、及び/又は予防するための方法であって、前記方法は、
ネコの口腔微生物プロファイルを得るステップであって、前記口腔微生物プロファイルが該当ネコの口腔サンプルに存在する1つ以上の微生物種と前記口腔サンプル内の1つ以上の微生物種の量又は存在量を含むステップと、
前記口腔微生物プロファイルを、
(i)ネコの1つ以上の皮膚疾患の発生及び/又は有病率、及び
(ii)ネコの口腔マイクロバイオーム内の様々な微生物種の存在及び/又は存在量(ここで、前記様々な微生物種は、前記口腔サンプル内の1つ以上の微生物種を含む)、
の間の重み付け相関関係を確認するデータベースの情報と比較するステップと、
前記口腔微生物プロファイルと前記データベース内の情報との間の1つ以上の一致に基づいて、該当ネコが1つ以上の皮膚疾患に患っている可能性を示すリスクスコアを生成するステップと、
前記リスクスコアが所定の閾値を満たす又は超える場合、前記ネコを前記1つ以上の皮膚疾患を発症するものと分類し、任意に、前記リスクスコアが所定の閾値を満たす又は超える場合、前記1つ以上の皮膚疾患の発症、進行又は再発を治療、緩和又は予防するのに適切な治療的処置プロトコルを処方するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
ネコに治療的処置プロトコルを実施するステップ、又は前記治療的処置プロトコルがネコに実施されたかを確認するステップをさらに含み、前記治療的処置プロトコルは、ネコの口腔微生物プロファイルを変更するのに十分である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ネコの口腔微生物プロファイルを得るステップは、
口腔サンプルから得た微生物核酸に対応する核酸配列データを修得するステップと、
前記核酸配列データを分析して前記口腔サンプルに存在する1つ以上の微生物種を確認し、任意に前記1つ以上の微生物種を定量化するステップと、
前記確認され、任意に定量化された1つ以上の微生物種に基づいてネコの口腔微生物プロファイルを生成するステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記微生物核酸配列データを得るステップは、
前記口腔サンプルの微生物核酸を配列決定するステップと、任意に、
前記口腔サンプルから微生物核酸を分離するステップと、
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記口腔サンプルから微生物核酸を分離するステップは、
口腔サンプルに熱処理を実行するステップと、
タンパク質消化試薬及び界面活性剤の存在又は不在下で、前記熱処理された口腔サンプルに対して磁気SPRIビーズベースの核酸抽出を実行し、前記口腔サンプルから微生物核酸を抽出するステップと、
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記微生物核酸配列データを分析するステップは、
前記核酸配列データをデマルチプレックスするステップと、
前記核酸配列データをトリミングするステップと、
1つ以上のマッピングされていないリードをネコの参照ゲノム及び/又は既存の微生物参照ゲノムにマッピングするステップと、
マッピング後の核酸配列データから1つ以上のリードをネコ科動物として分類するステップと、
マッピング後の核酸配列データから1つ以上のリードを微生物として分類するステップと、
前記1つ以上の微生物リードを定量化するステップと、
配列カバレッジバイアスを把握するためにペアワイズ対数比変換などの方法を使用して前記定量化された1つ以上の微生物リードを変換させるステップと、
前記変換された1つ以上の微生物リードの組成的存在量パターンを、皮膚疾患を患っていないネコのサンプルだけでなく、特定の皮膚疾患を患っているネコのサンプルも含む参照データベースの変換されたデータの組成的存在量パターンに対して比較するステップと、
のうちの1つ以上のステップを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記口腔微生物プロファイルをデータベースの情報と比較するステップは、
口腔サンプル内の1つ以上の微生物種の存在量を計算するステップと、
口腔サンプル内の1つ以上の微生物種を確認するステップと、
前記口腔サンプル内で確認された1つ以上の微生物種の存在量を、ネコの口腔マイクロバイオーム内の様々な微生物種の存在及び/又は存在量と比較するステップと、
のうちの1つ以上のステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記リスクスコアを生成するステップは、
口腔サンプル内の1つ以上の微生物種の組成的存在量とデータベースに含まれたネコの口腔マイクロバイオーム内の様々な微生物種の組成的存在量との間に1つ以上の類似性を確認するステップと、
口腔サンプル内の1つ以上の微生物種の正体とデータベースに含まれたネコの口腔マイクロバイオーム内の様々な微生物種の存在との間に1つ以上の一致を確認するステップと、
口腔サンプル内の1つ以上の微生物種の組成的存在量とデータベースに含まれたネコの口腔マイクロバイオーム内の1つ以上の微生物種の組成的存在量との間に確認された1つ以上の類似性を定量化するステップと、
口腔サンプル内の1つ以上の予測微生物種の存在を確認するステップと、
のうちの1つ以上のステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ以上の皮膚疾患がアトピー性皮膚炎、食物アレルギー性皮膚炎、ノミアレルギー性皮膚炎、及び環境ノミアレルギー性皮膚炎からなる群より選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
(i)前記リスクスコア、(ii)前記リスクスコアが所定の閾値を満たす又は超える場合、1つ以上の皮膚疾患を発症することに対する表示、(iii)時期推奨、(iv)任意に、皮膚健康を改善するための1つ以上の在宅実践方法、(v)任意に、前記リスクスコアが所定の閾値を満たす又は超える場合、1つ以上の皮膚疾患を診断する1つ以上の診断ステップ、及び(vi)任意に、治療的処置プロトコルに対する処方を提供する報告書を生成するステップと、任意に、
前記生成された報告書をネコの飼い主及び/又はこれらの獣医師に電子文書に伝送するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記治療的処置プロトコルは、ネコの口腔微生物プロファイルを変更するに十分である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ネコの皮膚疾患を表示又は予測するように構成されたコンピュータシステムであって、
1つ以上のプロセッサ、及び、
1つ以上のコンピュータ可読ハードウェア記憶装置を含み、
前記1つ以上のコンピュータ可読ハードウェア記憶装置は、
前記コンピュータシステムが、
ネコから採取した口腔サンプルから得た微生物核酸に対応する微生物核酸配列データを受信し、
前記微生物核酸配列データを分析して前記口腔サンプルに存在する1つ以上の微生物種を確認し、前記1つ以上の微生物種を定量化し、
前記確認された1つ以上の微生物種とこれらの各存在量に基づいてネコの口腔微生物プロファイルを生成し、
前記口腔微生物プロファイルを、
(i)ネコの1つ以上の皮膚疾患の発生及び/又は有病率、及び
(ii)ネコの口腔マイクロバイオーム内の様々な微生物種の存在及び/又は存在量(ここで、前記様々な微生物種は、前記口腔サンプル内の1つ以上の微生物種を含む)、
の間の重み付け相関関係を確認するデータベースの情報と比較し、
前記口腔微生物プロファイルとデータベースの情報との間に1つ以上の一致を確認し、
前記口腔微生物プロファイルと前記データベース内の情報との間の1つ以上の一致に基づいて、該当ネコが1つ以上の皮膚疾患に患っている可能性を示すリスクスコアを生成し、及び任意に、
前記リスクスコアが所定の閾値を満たす又は超える場合、該当ネコを前記1つ以上の皮膚疾患を「発症」していると診断し、
前記リスクスコアが所定の閾値を満たす又は超える場合、前記1つ以上の皮膚疾患を治療又は予防するのに適切な治療的処置プロトコルを処方し、
(i)前記リスクスコア、(ii)前記リスクスコアが所定の閾値を満たす又は超える場合、1つ以上の皮膚疾患を発症することに対する表示、(iii)時期推奨、(iv)任意に、皮膚健康を改善するための1つ以上の在宅実践方法、(v)任意に、前記リスクスコアが所定の閾値を満たす又は超える場合、1つ以上の皮膚疾患を診断する1つ以上の診断ステップ、及び(vi)治療的処置プロトコルに対する処方を示す報告書を生成し、及び/又は
前記生成された報告書をネコの飼い主及び/又はこれらの獣医師に電子文書に伝送するように設定するための前記1つ以上のプロセッサによって実行可能な命令が格納されている、
コンピュータシステム。
【請求項13】
前記命令は、1つ以上のマッピングされていない配列リードをネコ参照ゲノムにマッピングし、及び/又は1つ以上の配列リードを微生物参照ゲノムにマッピングし、任意に、前記リードを微生物又はネコ科動物として分類するように、コンピュータシステムをさらに設定する、請求項12に記載のコンピュータシステム。
【請求項14】
前記命令は、メタゲノム配列データのうち少なくとも1つのマッピングされていない配列リードを確認し、任意に前記少なくとも1つのマッピングされていないリードを分類するように、コンピュータシステムをさらに設定する、請求項13に記載のコンピュータシステム。
【請求項15】
確立された微生物プロファイルのデータベースに対する該当ネコの口腔微生物プロファイルの比較から10,000個未満と分類された微生物リード又は500,000個以上と分類された微生物リードを有するネコ口腔マイクロバイオームサンプルは除外される、請求項13に記載のコンピュータシステム。
【請求項16】
前記命令は、口腔サンプルに存在する1つ以上の微生物種の存在量を計算するようにコンピュータシステムをさらに設定する、請求項12に記載のコンピュータシステム。
【請求項17】
前記口腔サンプルに存在する1つ以上の特定の微生物種の存在量は、前記1つ以上の特定の微生物種が特定の皮膚疾患に対する予測微生物種であるか否かに相関関係がある、請求項16に記載のコンピュータシステム。
【請求項18】
前記命令は、該当ネコ口腔サンプルの微生物存在量をデータベース内の情報に対してペアワイズ対数比の比較を行うようにコンピュータシステムをさらに設定する、請求項16に記載のコンピュータシステム。
【請求項19】
1つ以上の特定の微生物種は、病気コホートと対照群コホートとを比較したときに、前記特定の微生物に関連して最大可能なペアワイズ対数比の比較のうち50%以上が有意に異なる場合、予測微生物種になる、請求項18に記載のコンピュータシステム。
【請求項20】
ネコの皮膚疾患の発症を予測する方法であって、前記方法は、
ネコから1つ以上の微生物種を含む口腔サンプルを得るステップと、
前記口腔サンプルから前記1つ以上の微生物種の微生物核酸を分離するステップと、
前記微生物核酸に対応する微生物核酸配列データを得るステップと、
前記微生物核酸配列データを分析して前記口腔サンプルに存在する1つ以上の微生物種を確認し、任意に前記1つ以上の微生物種を定量化するステップと、
前記確認された(任意に、定量化された)1つ以上の微生物種、前記1つ以上の微生物種を含む口腔微生物プロファイル、及び、任意に、口腔サンプル内の前記1つ以上の微生物種の量又は相対的存在量に基づいて、該当ネコの口腔微生物プロファイルを生成するステップと、
前記口腔微生物プロファイルを、
(i)ネコの1つ以上の皮膚疾患の発生及び/又は有病率、及び
(ii)ネコ分類の動物における口腔マイクロバイオーム内の様々な微生物種の存在及び/又は存在量(ここで、前記様々な微生物種は前記口腔サンプル内の1つ以上の微生物種を含む)、
の間の重み付け相関関係を確認するデータベースの情報と比較するステップと、
前記口腔微生物プロファイルと前記データベース内の情報との間の1つ以上の一致に基づいて、該当ネコが1つ以上の皮膚疾患を発症する可能性を示すリスクスコアを生成するステップと、
前記リスクスコアが所定の閾値を満たす又は超える場合、該当ネコが前記1つ以上の皮膚疾患を発症すると表示するステップと、
を含む、方法。
【請求項21】
前記ネコの口腔微生物プロファイルが一定の割合のグラム陽性微生物をさらに含み、ネコ分類の動物における口腔マイクロバイオーム内の様々な微生物種が一定の割合のグラム陽性微生物をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
ネコの皮膚又は呼吸器疾患を治療する方法であって、前記方法は、
ネコから1つ以上の微生物種を含む口腔サンプルを得るステップと、
前記口腔サンプルから前記1つ以上の微生物種の微生物核酸を分離するステップと、
前記微生物核酸に対応する微生物核酸配列データを得るステップと、
前記微生物核酸配列データを分析して前記口腔サンプルに存在する1つ以上の微生物種を確認し、任意に前記1つ以上の微生物種を定量化するステップと、
前記確認された(任意に、定量化された)1つ以上の微生物種、前記1つ以上の微生物種を含む口腔微生物プロファイル及び、任意に、口腔サンプル内の前記1つ以上の微生物種の量又は相対的存在量に基づいて、該当ネコの口腔微生物プロファイルを生成するステップと、
前記口腔微生物プロファイルを、
(i)ネコの1つ以上の皮膚又は呼吸器疾患の発生及び/又は有病率、及び
(ii)ネコ分類の動物における口腔マイクロバイオーム内の様々な微生物種の存在及び/又は存在量(ここで、前記様々な微生物種は前記口腔サンプル内の1つ以上の微生物種を含む)、
の間の重み付け相関関係を確認するデータベースの情報と比較するステップと、
前記口腔微生物プロファイルと前記データベース内の情報との間の1つ以上の一致に基づいて、該当ネコが1つ以上の皮膚又は呼吸器疾患を発症する可能性を示すリスクスコアを生成するステップと、
前記リスクスコアが所定の閾値を満たす又は超える場合、該当ネコが前記1つ以上の皮膚又は呼吸器疾患を発症していると診断するステップと、
前記1つ以上の皮膚又は呼吸器疾患を治療するに十分な治療的処置を前記ネコに実施するステップと、
を含む、方法。
【請求項23】
前記1つ以上の皮膚又は呼吸器疾患が、喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー性皮膚炎、ノミアレルギー性皮膚炎、及び環境アレルギー性皮膚炎からなる群より選ばれる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
ネコの1つ以上の疾患をスクリーニング、検出及び/又は予防する方法であって、前記方法は、
ネコの口腔微生物プロファイルを得るステップであって、前記口腔微生物プロファイルが該当ネコの口腔サンプルに存在する1つ以上の微生物種と前記口腔サンプル内の1つ以上の微生物種の量又は存在量を含む、ステップと、
前記口腔微生物プロファイルを、
(i)ネコの1つ以上の病気の発生及び/又は有病率、及び
(ii)ネコの口腔マイクロバイオーム内の様々な微生物種の存在及び/又は存在量(ここで、前記様々な微生物種は、前記口腔サンプル内の1つ以上の微生物種を含む)、
の間の重み付け相関関係を確認するデータベースの情報と比較するステップと、
前記口腔微生物プロファイルと前記データベース内の情報との間の1つ以上の一致に基づいて、該当ネコが1つ以上の疾患に患っている可能性を示すリスクスコアを生成するステップと、
前記リスクスコアが所定の閾値を満たす又は超える場合、前記ネコを前記1つ以上の疾患を発症するものとして分類し、任意に、前記リスクスコアが所定の閾値を満たす又は超える場合、前記1つ以上の疾患の発症、進行又は再発を治療、緩和又は予防するのに適切な治療的処置プロトコルを処方するステップと、
を含む、方法。
【請求項25】
ネコに治療的処置プロトコルを実施するステップ、又は前記治療的処置プロトコルがネコに実施されているかを確認するステップをさらに含み、前記治療的処置プロトコルは、ネコの口腔微生物プロファイルを変更するに十分である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ネコの口腔微生物プロファイルを得るステップは、
口腔サンプルから得た微生物核酸に対応する核酸配列データを修得するステップと、
前記核酸配列データを分析して前記口腔サンプルに存在する1つ以上の微生物種を確認し、前記1つ以上の微生物種を定量化するステップと、
前記確認されて任意に定量化された1つ以上の微生物種に基づいてネコの口腔微生物プロファイルを生成するステップと、
を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記微生物核酸配列データを得るステップは、
前記口腔サンプルの微生物核酸を配列決定するステップと、任意に、
前記口腔サンプルから微生物核酸を分離するステップと、
を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記口腔サンプルから微生物核酸を分離するステップは、
口腔サンプルに熱処理を実行するステップと、
タンパク質消化試薬及び界面活性剤の存在又は不在下で、前記熱処理された口腔サンプルに対して磁気SPRIビーズベースの核酸抽出を実行し、前記口腔サンプルから微生物核酸を抽出するステップと、
を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記微生物核酸配列データを分析するステップは、
前記核酸配列データをデマルチプレックスするステップと、
前記核酸配列データをトリミングするステップと、
1つ以上のマッピングされていないリードをネコの参照ゲノム及び/又は既存の微生物参照ゲノムにマッピングするステップと、
マッピング後の核酸配列データから1つ以上のリードをネコ科動物として分類するステップと、
マッピング後の核酸配列データから1つ以上のリードを微生物として分類するステップと、
前記1つ以上の微生物リードを定量化するステップと、
配列カバレッジバイアスを把握するためにペアワイズ対数比変換のような方法を使用して前記定量化された1つ以上の微生物リードを変換させるステップと、
前記変換された1つ以上の微生物リードの組成的存在量パターンを、前記1つ以上の疾患を患っていないネコのサンプルだけでなく、特定の疾患を患っているネコのサンプルも含む参照データベースの変換されたデータの組成的存在量パターンに対して比較するステップと、
のうちの1つ以上のステップを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記口腔微生物プロファイルをデータベースの情報と比較するステップは、
口腔サンプル内の1つ以上の微生物種の存在量を計算するステップと、
口腔サンプル内の1つ以上の微生物種を確認するステップと、
前記口腔サンプル内で確認された1つ以上の微生物種の存在量を、ネコの口腔マイクロバイオーム内の様々な微生物種の存在及び/又は存在量と比較するステップと、
のうちの1つ以上のステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記リスクスコアを生成するステップは、
口腔サンプル内の1つ以上の微生物種の組成的存在量とデータベースに含まれたネコの口腔マイクロバイオーム内の様々な微生物種の組成的存在量との間に1つ以上の類似性を確認するステップと、
口腔サンプル内の1つ以上の微生物種の正体とデータベースに含まれたネコの口腔マイクロバイオーム内の様々な微生物種の存在との間に1つ以上の一致を確認するステップと、
口腔サンプル内の1つ以上の微生物種の組成的存在量とデータベースに含まれたネコの口腔マイクロバイオーム内の1つ以上の微生物種の組成的存在量との間に確認された1つ以上の類似性を定量化するステップと、
口腔サンプル内の1つ以上の予測微生物種の存在を確認するステップと、
のうちの1つ以上のステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
前記1つ以上の疾患が喘息、アトピー性皮膚炎、ノミアレルギー性皮膚炎、食物アレルギー性皮膚炎、及び環境アレルギー性皮膚炎からなる群より選ばれる、請求項24に記載の方法。
【請求項33】
(i)前記リスクスコア、(ii)前記リスクスコアが所定の閾値を満たす又は超える場合、1つ以上の疾患を発症することに対する表示、(iii)時期推奨、(iv)任意に、健康を改善するための1つ以上の在宅実践方法、(v)任意に、前記リスクスコアが所定の閾値を満たす又は超える場合、1つ以上の疾患を診断する1つ以上の診断ステップ、及び(vi)任意に、治療的処置プロトコルに対する処方を提供する報告書を生成するステップと、任意に、
前記生成された報告書をネコの飼い主及び/又はこれらの獣医師に電子文書に伝送するステップと、
をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項34】
前記治療的処置プロトコルは、ネコの口腔微生物プロファイルを変更するに十分である、請求項24に記載の方法。
【請求項35】
ネコの1つ以上の病気状態を表示又は予測するように設定されたコンピュータシステムであって、
1つ以上のプロセッサ、及び、
1つ以上のコンピュータ可読ハードウェア記憶装置を含み、
前記1つ以上のコンピュータ可読ハードウェア記憶装置は、
前記コンピュータシステムが、
ネコから採取した口腔サンプルから得た微生物核酸に対応する微生物核酸配列データを受信し、
前記微生物核酸配列データを分析して前記口腔サンプルに存在する1つ以上の微生物種を確認し、前記1つ以上の微生物種を定量化し、
前記確認された1つ以上の微生物種とこれらの各存在量に基づいてネコの口腔微生物プロファイルを生成し、
前記口腔微生物プロファイルを、
(i)ネコの1つ以上の病気状態の発生及び/又は有病率、及び
(ii)ネコの口腔マイクロバイオーム内の様々な微生物種の存在及び/又は存在量(ここで、前記様々な微生物種は前記口腔サンプル内の1つ以上の微生物種を含む)、
の間の重み付け相関関係を確認するデータベースの情報と比較し、
前記口腔微生物プロファイルとデータベースの情報との間に1つ以上の一致を確認し、
前記口腔微生物プロファイルと前記データベース内の情報との間の1つ以上の一致に基づいて、該当ネコが1つ以上の病気状態を有する可能性を示すリスクスコアを生成し、及び任意に、
前記リスクスコアが所定の閾値を満たす又は超える場合、該当ネコを前記1つ以上の病気状態を「発症」していると診断し、
前記リスクスコアが所定の閾値を満たす又は超える場合、前記1つ以上の病気状態を治療又は予防するのに適切な治療的処置プロトコルを処方し、
(i)前記リスクスコア、(ii)前記リスクスコアが所定の閾値を満たす又は超える場合、1つ以上の病気状態を発症することに対する表示、(iii)時期推奨、(iv)任意に、皮膚及び/又は呼吸器健康を改善するための1つ以上の在宅実践方法、(v)任意に、前記リスクスコアが所定の閾値を満たす又は超える場合、1つ以上の病気状態を診断する1つ以上の診断ステップ、及び(vi)治療的処置プロトコルに対する処方を表示する報告書を生成し、及び/又は
前記生成された報告書をネコの飼い主及び/又はこれらの獣医師に電子文書に伝送するように設定された、前記1つ以上のプロセッサによって実行可能な命令が格納されている、
コンピュータシステム。
【請求項36】
前記命令は、1つ以上のマッピングされていないリードをネコ参照ゲノムにマッピングし、及び/又は1つ以上のリードを微生物参照ゲノムにマッピングし、任意に、前記リードを微生物又はネコ科動物として分類するように、コンピュータシステムをさらに設定する、請求項35に記載のコンピュータシステム。
【請求項37】
前記命令は、メタゲノム配列データのうち少なくとも1つのマッピングされていない配列リードを確認し、任意に前記少なくとも1つのマッピングされていないリードを分類するように、コンピュータシステムをさらに設定する、請求項36に記載のコンピュータシステム。
【請求項38】
確立された微生物プロファイルのデータベースに対する該当ネコの口腔微生物プロファイルの比較から10,000個未満と分類された微生物リード又は500,000個以上と分類された微生物リードを有するネコ口腔マイクロバイオームサンプルは除去される、請求項36に記載のコンピュータシステム。
【請求項39】
前記命令は、口腔サンプルに存在する1つ以上の微生物種の存在量を計算するようにコンピュータシステムをさらに設定する、請求項35に記載のコンピュータシステム。
【請求項40】
前記口腔サンプルに存在する1つ以上の特定の微生物種の存在量は、前記1つ以上の特定の微生物種が特定の病気状態に対する予測微生物種であるか否かに相関関係がある、請求項39に記載のコンピュータシステム。
【請求項41】
前記命令は、該当ネコ口腔サンプルの微生物存在量をデータベース内の情報に対してペアワイズ対数比の比較を行うようにコンピュータシステムをさらに設定する、請求項39に記載のコンピュータシステム。
【請求項42】
前記1つ以上の特定の微生物種は、病気コホートと対照群コホートとを比較したときに、該当微生物に関連して最大可能なペアワイズ対数比の比較のうち50%以上が有意に異なる場合、予測微生物種になる、請求項41に記載のコンピュータシステム。
【請求項43】
ネコの皮膚又は呼吸器疾患の発症を予測する方法であって、前記方法は、
ネコから1つ以上の微生物種を含む口腔サンプルを得るステップと、
前記口腔サンプルから前記1つ以上の微生物種の微生物核酸を分離するステップと、
前記微生物核酸に対応する微生物核酸配列データを得るステップと、
前記微生物核酸配列データを分析して前記口腔サンプルに存在する1つ以上の微生物種を確認し、任意に前記1つ以上の微生物種を定量化するステップと、
前記確認された(任意に、定量化された)1つ以上の微生物種、前記1つ以上の微生物種を含む口腔微生物プロファイル、及び、任意に、口腔サンプル内の前記1つ以上の微生物種の量又は相対的存在量に基づいて、該当ネコの口腔微生物プロファイルを生成するステップと、
前記口腔微生物プロファイルを、
(i)ネコの1つ以上の皮膚又は呼吸器疾患の発生及び/又は有病率、及び
(ii)ネコ分類の動物における口腔マイクロバイオーム内の様々な微生物種の存在及び/又は存在量(ここで、前記様々な微生物種は前記口腔サンプル内の1つ以上の微生物種を含む)、
の間の重み付け相関関係を確認するデータベースの情報と比較するステップと、
前記口腔微生物プロファイルと前記データベース内の情報との間の1つ以上の一致に基づいて、該当ネコが1つ以上の皮膚又は呼吸器疾患を発症する可能性を示すリスクスコアを生成するステップと、
前記リスクスコアが所定の閾値を満たす又は超える場合、該当ネコが前記1つ以上の皮膚又は呼吸器疾患を発症すると表示するステップと、
を含む、方法。
【請求項44】
前記ネコの口腔微生物プロファイルが一定の割合のグラム陽性微生物をさらに含み、ネコ分類の動物における口腔マイクロバイオーム内の様々な微生物種が一定の割合のグラム陽性微生物をさらに含む、請求項43に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年7月14日に出願された米国仮出願第63/221,559号の利益及び優先権を主張し、前記文献の全門は、具体的な引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、飼いネコの皮膚及び呼吸器疾患の状態をスクリーニング、検出、診断、治療及び確認するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、身体の様々な部位の微生物組成(マイクロバイオーム(microbiome))と疾患との間の関連性は、生物医学研究でより顕著になっている。マイクロバイオームが病気の病理に寄与しているのか、それとも単に身体の状態を読み取っているだけなのかについては、論争の余地が多い。ほとんどの場合、その答えは不明である。また、様々な身体部位の微生物群が相乗的に、又は相反するように作用して、疾患の病状を引き起こしたり、その原因となったりする可能性もある。その結果、マイクロバイオームは診断及び治療の両方の観点から可能性を有している。
【0004】
口腔は、微生物の多様性の点で下部消化管に次いで2番目であり、したがって、多数の疾患の状態に直接関連する可能性があることが確立されている。人間の口腔マイクロバイオームの重要性は、歯科疾患だけでなく全身疾患にも関与している。例としては、炎症性腸疾患(IBD)、関節リウマチ、細菌性心内膜炎、アテローム性動脈硬化症などの慢性炎症性疾患が含まれる。最近では、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患を持つ人々の口腔マイクロバイオームの変化も発見されている。
【0005】
ヒトの口腔マイクロバイオームの研究は近年進んでいるが、ペット、特にネコの口腔マイクロバイオームについては同じことが言えない。ネコは多様のアレルギー性皮膚炎を患っており、口腔マイクロバイオームとこれらの疾患との関連性はこれまで研究されていない。
【0006】
例えば、アトピー性皮膚炎は全ネコの12.5%が影響を及ぼすと推定されており、全ネコ科の獣医師の診察の約1%が食物アレルギー性皮膚炎に関連している。アトピー性皮膚炎、食物アレルギー性皮膚炎、ノミアレルギー性皮膚炎、及び環境アレルギーは同様の症状を呈することが多く、それらを区別するのは困難である。症状としては、掻痒、かさぶた、脱毛などが含まれ得るが、症例ごとに一貫した疾患が発現するわけではない。現在、いかなる単一の臨床診断検査もこれらの4つの皮膚疾患を確実に区別することはできない。ほとんどの抗原ベースのペットアレルゲン検査は限界があり信頼性が低いため、正確な診断に到達するための徹底的なアプローチは除外に基づいており、様々な検査の性能に依存している。すなわち、特定の食品を排除してから食事に再導入する8~12週間の食品試験、8週間のノミ予防治療、及び真菌感染を排除する皮膚糸状菌培養などの様々な検査の性能に依存している。したがって、ほとんどの場合、最終的な診断に到達して適切な治療が行われるまでに数ヶ月かかることがあり、その結果、動物の苦痛が長引き、生活の質が低下する。また、ネコがこの病気に罹ってしばらく経ってから初めて皮膚炎の症状に気づくことが多いという事実によって、この問題はさらに複雑になり、これは、二次感染(多くの場合、バクテリア又は酵母由来)も発症していることを意味し、該当疾患がさらに持続し、治療が困難になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、ネコ科動物の皮膚疾患と炎症性/呼吸器疾患とを検出し区別するための堅牢かつ正確でありながら、安全で、痛みがなく、手頃な価格の手段が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態には、ネコの皮膚及び/又は呼吸器の疾病状態をスクリーニング、検出、診断、治療及び/又は確認するためのコンピュータシステム、システム及び方法が含まれる。このようなツールを使用して獣医師の健康評価を導き、補完すると、獣医師の診察のみに頼る場合と比較して、正確な診断と治療の早期実施につながり、皮膚科、呼吸器科、アレルギー科の健康状態を大幅に改善することができる。開示された発明対象の実施形態は、ネコの口腔マイクロバイオームを調査する方法について説明している。開示された方法は、ネコの皮膚疾患の状態に連関する可能性がある微生物の組成的存在量の傾向を検出するために口腔マイクロバイオームを調査する。微生物の組成的存在量の傾向を検出、確認及び/又は定量によって、医師はネコが特定の皮膚及び/又は呼吸器疾患の状態にあるかどうかをスクリーニング及び/又は表示することができる。皮膚及び/又は呼吸器疾患の状態を検出して確認することにより、医師及び/又はネコの飼い主は該当皮膚及び/又は呼吸器疾患の状態を治療及び/又は予防することができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、ネコの皮膚及び/又は呼吸器疾患の検出及び/又は表示方法が開示される。この方法は、ネコから採取した口腔スワブサンプルを受け取るステップと、前記サンプルを操作するステップ、例えば、前記口腔サンプルを熱処理するステップと、前記熱処理されたサンプルから微生物デオキシリボ核酸(DNA)を抽出するステップと、を含むことができる。この方法は、前記微生物DNAを配列決定して該当口腔サンプルにいずれか1つ以上の特定の微生物が存在するのか(及びどのような相対的割合で存在するのか)を確認するステップであって、前記1つ以上の特定の微生物に対する確認によって、ネコの口腔微生物プロファイルの生成が可能になる、ステップをさらに含むことができる。この方法は、該当ネコの口腔微生物プロファイルを確立された微生物プロファイルを含む参照データベースと比較するステップであって、前記データベースは、(i)1つ以上の微生物を含むプロファイルと、(ii)該当皮膚及び/又は呼吸器疾患との間の相関関係を確認し、前記口腔微生物プロファイルを確立された微生物プロファイルのデータベースと比較した結果に基づいて、該当ネコが特定の皮膚及び/又は呼吸器疾患を患っている可能性を示すリスクスコアを生成するステップをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、皮膚及び/又は呼吸器疾患の状態は、喘息、アトピー性皮膚炎、ノミアレルギー性皮膚炎、環境アレルギー性皮膚炎、及び食物アレルギー性皮膚炎からなる群より選ばれる。
【0010】
この方法は、特定の皮膚及び/又は呼吸器疾患を治療するステップ及び/又は治療的処置を実施するステップをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、治療的処置は、治療用化合物、例えば、ネコの口腔マイクロバイオームに存在する1つ以上の特定の微生物の成長を抑制又は促進するように考案された化合物を投与することを含み得る。いくつかの実施形態では、治療用化合物は、プレバイオティクス、ポストバイオティクス、プロバイオティクス、薬剤、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、治療用化合物には、抗生物質、コルチコステロイド、気管支拡張剤、又はそれらの組み合わせが含まれ得る。いくつかの実施形態では、治療処置には、かゆみを軽減し、皮膚の治癒を促進するための局所処置又は入浴が含まれ得る。いくつかの実施形態では、治療処置には、場合によってはアレルゲンを回避することを目的とする食事療法が含まれ得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、ネコの皮膚及び/又は呼吸器疾患を示す方法は、ネコから採取した口腔スワブサンプルを受け取って前記口腔サンプルに対して熱処理を実行することを含む。また、前記方法は、熱処理された口腔サンプルに対して磁気ビーズベースのデオキシリボ核酸(DNA)を抽出して、前記口腔スワブサンプルに存在する微生物DNAを抽出するステップ、及び前記微生物DNAを配列決定して前記口腔サンプルにいずれか1つ以上の特定の微生物が存在するのか(及びいずれかの組成的存在量で存在するのか)を確認するステップであって、前記1つ以上の特定の微生物の確認によってネコの口腔微生物プロファイルを生成できる、ステップも含み得る。この方法は、該当ネコの口腔微生物プロファイルを確立された微生物プロファイルのデータベースと比較するステップであって、前記データベースは、(i)1つ以上の微生物(及びこれらの組成的存在量)を含むプロファイルと、(ii)該当皮膚及び/又は呼吸器疾患との間の相関関係を確認し、前記口腔微生物プロファイルを確立された微生物プロファイルのデータベースと比較した結果に基づいて、該当ネコが皮膚及び/又は呼吸器疾患を患っている可能性を示すリスクスコアを生成する、ステップをさらに含み得る。この方法は、リスクスコアを生成して特定の皮膚及び/又は呼吸器疾患を確認したことに応答し、特定の皮膚及び/又は呼吸器疾患を治療するために考案された治療的処置を実施するステップ、獣医師による注意又は追跡検査を推奨するステップ、及び/又は特定の皮膚及び/又は呼吸器疾患に対する在宅ケアを推奨するステップを含み得る。前記皮膚及び/又は呼吸器疾患は、喘息、アトピー性皮膚炎、ノミアレルギー性皮膚炎、環境アレルギー性皮膚炎、及び食物アレルギー性皮膚炎からなる群より選ばれる。
【0012】
また、コンピュータシステムも開示される。いくつかの実施形態では、コンピュータシステムは、ネコの皮膚及び/又は呼吸器疾患の状態を表示するように設定されており、1つ以上のプロセッサ及び前記1つ以上のプロセッサによって実行可能な命令を格納する1つ以上のコンピュータ可読ハードウェア記憶装置を含む。前記命令は、ネコから採取した口腔スワブサンプルの配列決定された微生物DNAデータを受け取り、前記配列決定された微生物DNAをマッピング(mapping)して前記口腔サンプルにいずれか1つ以上の特定の微生物種が存在するかを確認(前記1つ以上の特定の微生物種の確認を通じて該当ネコの口腔微生物プロファイルを生成する)し、異なる微生物種の相対的存在量を計算して前記口腔微生物プロファイルをさらに構築し、前記口腔微生物プロファイルを確立された微生物プロファイルのデータベースと比較(前記データベースは、(i)1つ以上の微生物種及びこれらの相対的存在量を含むプロファイルと、(ii)それに対応する皮膚及び/又は呼吸器疾患との間の相関関係を確認させる)し、前記口腔微生物プロファイルを確立された微生物プロファイルのデータベースと比較した結果に基づいて、該当ネコが特定の皮膚及び/又は呼吸器疾患を患っている可能性を示すリスクスコアを生成するようにコンピュータシステムを設定することができる。前記命令は、リスクスコア生成に応答して、前記リスクスコアを概略化及び/又は提供して特定の皮膚及び/又は呼吸器疾患を解決(例えば、治療、阻止及び/又は防止)するのに適切な治療的処置及び/又は在宅治療プロトコルを処方する報告書を生成するようにコンピュータシステムをさらに設定することもできる。治療プロトコルは、皮膚及び/又は呼吸器疾患の状態のステップ又は重症度(リスクスコアによって示される、又はリスクスコアに連関する)によって影響を受ける可能性がある。前記皮膚及び/又は呼吸器疾患の状態は、喘息、アトピー性皮膚炎、ノミアレルギー性皮膚炎、環境アレルギー性皮膚炎、及び食物アレルギー性皮膚炎からなる群より選ばれる。
【0013】
例えば、いくつかの実施形態では、リスクスコアは生成されたリスク/確率スコアに基づいて、下記約3つのリスク評価カテゴリーを含むか、又はそれに連関させることができる。すなわち、0.0~0.33のグループは、皮膚疾患に対して「低リスク」として分類され、>0.33~0.66は、皮膚疾患に対して「中リスク」として分類され、>0.66~1.0は、皮膚疾患に対して「高リスク」として分類される。例えば、リスクスコア0.34は、ネコを皮膚疾患に対して中リスクとして分類する閾値を満たす。該当システムと方法により多くのデータが追加されることによってリスクスコアの具体化程度(granularity)及び/又はカテゴリーの数は変更され得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、治療的処置又は在宅ケアプロトコルは、ネコの口腔マイクロバイオームの組成を直接的に変化させる、又はネコの口腔マイクロバイオームの組成を特定の皮膚及び/又は呼吸器疾患に対する治療の副次的な結果として変化させ得る。いくつかの実施形態では、ネコの口腔マイクロバイオーム組成の変更によって、特定の皮膚及び/又は呼吸器疾患を治療及び/又は解決する。いくつかの実施形態では、治療的処置は、ネコの口腔マイクロバイオームを修復する。いくつかの実施形態では、ネコの口腔マイクロバイオームを修復すると、該当ネコの口腔マイクロバイオームが健康なネコの口腔マイクロバイオーム(又は確立された口腔マイクロバイオーム)に(存在する1つ以上の特定の微生物種とこれらの相対的存在量の両方で)より類似するようになる。いくつかの実施形態では、治療的処置又は在宅ケアプロトコルは、ネコの口腔マイクロバイオームの組成を維持するように設計される。いくつかの実施形態では、治療的処置プロトコルは、ネコの口腔マイクロバイオームの代謝出力(metabolic output)を刺激するように設計される。ネコの口腔マイクロバイオームの代謝出力を刺激することは、公知の酵素経路分析ツールを使用して既存の微生物組成データに追加の観点を提供し、病気の兆候をさらに特性化して、予測病気モデルを改善することを含み得る。
【0015】
本発明の例示的な実施形態及び非制限的な例には、以下が含まれる。
例1.飼いネコの皮膚及び/又は呼吸器疾患をスクリーニング、検出及び/又は予防する方法であって、前記方法は、
ネコの口腔微生物プロファイルを得るステップであって、前記口腔微生物プロファイルは、該当ネコの口腔サンプルに存在する1つ以上の微生物種と前記口腔サンプル内の1つ以上の微生物種の量(quantity)又は存在量(abundance)を含む、ステップと、
前記口腔微生物プロファイルを、
(i)ネコの1つ以上の皮膚及び/又は呼吸器疾患の発生及び/又は有病率、及び
(ii)ネコの口腔マイクロバイオーム内の様々な微生物種の存在及び/又は存在量(ここで、前記様々な微生物種は、前記口腔サンプル内の1つ以上の微生物種を含む)、
の間の重み付け相関関係を確認するデータベースの情報と比較するステップと、
前記ネコの口腔微生物プロファイルと前記データベース内の情報との間の1つ以上の一致に基づいて、該当ネコが1つ以上の皮膚及び/又は呼吸器疾患を患っている可能性を示すリスクスコアを生成するステップと、
前記リスクスコアが所定の閾値を満たす又は超える場合、前記ネコを前記1つ以上の皮膚及び/又は呼吸器疾患を発症していると分類し、任意に、前記リスクスコアが所定の閾値を満たす又は超える場合、前記1つ以上の皮膚及び/又は呼吸器疾患の発症、進行又は再発を治療、緩和又は予防するのに適切な治療的処置プロトコルを処方するステップと、を含む、方法。
【0016】
例2.ネコに治療的処置プロトコルを実施するステップ、又は前記治療的処置プロトコルがネコに実施されたかを確認するステップをさらに含み、前記治療的処置プロトコルは、ネコの口腔微生物プロファイルを変更するのに十分である、例1に記載の方法。
【0017】
例3.ネコの口腔微生物プロファイルを得るステップは、
口腔サンプルから得られた微生物核酸に対応する核酸配列データを取得するステップと、
前記核酸配列データを分析して前記口腔サンプルに存在する1つ以上の微生物種を確認し、任意に前記1つ以上の微生物種を定量化するステップと、
前記確認され、任意に定量化された1つ以上の微生物種に基づいてネコの口腔微生物プロファイルを生成するステップと、を含む、例1に記載の方法。
【0018】
例4.前記微生物核酸配列データを得るステップは、
前記口腔サンプルの微生物核酸を配列決定するステップと、任意に、
前記口腔サンプルから微生物核酸を分離するステップと、を含む、例3に記載の方法。
【0019】
例5.前記口腔サンプルから微生物核酸を分離するステップは、
口腔サンプルに熱処理を実行するステップと、
タンパク質消化試薬及び界面活性剤の存在又は不在下で、前記熱処理された口腔サンプルに対して磁気SPRIビーズベースの核酸抽出を実行し、前記口腔サンプルから微生物核酸を抽出するステップと、を含む、例4に記載の方法。
【0020】
例6.前記微生物核酸配列データを分析するステップは、
前記核酸配列データをデマルチプレックスするステップと、
前記核酸配列データをトリミングするステップと、
1つ以上のマッピングされていないリードをネコの参照ゲノム及び/又は既存の微生物参照ゲノムにマッピングするステップと、
マッピング後の核酸配列データから1つ以上のリードをネコ科動物として分類するステップと、
マッピング後の核酸配列データから1つ以上のリードを微生物として分類するステップと、
前記1つ以上の微生物リードを定量化するステップと、
配列カバレッジバイアス(sequence coverage bias)を把握するために、ペアワイズ対数比変換(pairwise log ratio transformation)などの方法を使用して、前記定量化された1つ以上の微生物リードを変換させるステップと、
前記変換された1つ以上の微生物リードの組成的存在量パターンを、皮膚及び/又は呼吸器疾患を患っていないネコのサンプルだけでなく、特定の皮膚及び/又は呼吸器疾患を患っているネコのサンプルも含む参照データベースの変換されたデータの組成的存在量パターンに対して比較するステップと、
のうちの1つ以上のステップを含む、例3に記載の方法。
【0021】
例7.前記ネコの口腔微生物プロファイルをデータベースの情報と比較するステップは、
口腔サンプル内の1つ以上の微生物種の存在量を計算するステップと、
口腔サンプル内の1つ以上の微生物種を確認するステップと、
前記口腔サンプル内で確認された1つ以上の微生物種の存在量を、前記データベースに含まれたネコの口腔マイクロバイオーム内の様々な微生物種の存在及び/又は存在量と比較するステップと、
のうちの1つ以上のステップを含む、例1に記載の方法。
【0022】
例8.前記リスクスコアを生成するステップは、
口腔サンプル内の1つ以上の微生物種の組成的存在量とデータベースに含まれたネコの口腔マイクロバイオーム内の様々な微生物種の組成的存在量との間の1つ以上の類似性を確認するステップと、
口腔サンプル内の1つ以上の微生物種の正体(identity)と、データベースに含まれたネコの口腔マイクロバイオーム内の様々な微生物種の存在との間に1つ以上の一致を確認するステップと、
口腔サンプル内の1つ以上の微生物種の組成的存在量と、データベースに含まれたネコの口腔マイクロバイオーム内の1つ以上の微生物種の組成的存在量との間に確認された1つ以上の類似性を定量化するステップと、
口腔サンプル内の1つ以上の予測微生物種の存在を確認するステップと、
のうちの1つ以上のステップを含む、例1に記載の方法。
【0023】
例9.前記1つ以上の皮膚及び/又は呼吸器疾患は、喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー性皮膚炎、ノミアレルギー性皮膚炎、及び環境アレルギー性皮膚炎からなる群より選ばれる、例1に記載の方法。
【0024】
例10.(i)前記リスクスコア、(ii)前記リスクスコアが所定の閾値を満たす又は超える場合、1つ以上の皮膚及び/又は呼吸器疾患を発症することに対する表示、(iii)時期推奨、(iv)任意に、皮膚及び/又は呼吸器の健康を改善するための1つ以上の在宅実践方法、(v)任意に、前記リスクスコアが所定の閾値を満たす又は超える場合、1つ以上の皮膚及び/又は呼吸器疾患を診断する1つ以上の診断ステップ、及び(vi)任意に、治療的処置プロトコルに対する処方を提供する報告書を生成するステップと、任意に、
前記生成された報告書をネコの飼い主及び/又はこれらの獣医師に電子文書に伝送するステップと、をさらに含む、例1に記載の方法。
【0025】
例11.前記治療的処置プロトコルは、ネコの口腔微生物プロファイルを変更するに十分である、例1に記載の方法。
例12.ネコの皮膚及び/又は呼吸器疾患を表示又は予測するように構成されたコンピュータシステムであって、
1つ以上のプロセッサ、及び、
1つ以上のコンピュータ可読ハードウェア記憶装置を含み、
前記1つ以上のコンピュータ可読ハードウェア記憶装置は、
前記コンピュータシステムが、
ネコから採取した口腔サンプルから得た微生物核酸に対応する微生物核酸配列データを受信し、
前記微生物核酸配列データを分析して前記口腔サンプルに存在する1つ以上の微生物種を確認し、前記1つ以上の微生物種を定量化し、
前記確認された1つ以上の微生物種とこれらの各存在量に基づいてネコの口腔微生物プロファイルを生成し、
前記口腔微生物プロファイルを、
(i)ネコの1つ以上の皮膚及び/又は呼吸器疾患の発生及び/又は有病率、及び
(ii)ネコの口腔マイクロバイオーム内の様々な微生物種の存在及び/又は存在量(ここで、前記様々な微生物種は、前記口腔サンプル内の1つ以上の微生物種を含む)、
の間の重み付け相関関係を確認するデータベースの情報と比較し、
前記口腔微生物プロファイルとデータベースの情報との間に1つ以上の一致を確認し、
前記口腔微生物プロファイルと前記データベース内の情報との間の1つ以上の一致に基づいて、該当ネコが1つ以上の皮膚及び/又は呼吸器疾患を患っている可能性を示すリスクスコアを生成し、及び任意に、
前記リスクスコアが所定の閾値を満たす又は超える場合、該当ネコが前記1つ以上の皮膚及び/又は呼吸器疾患を「発症」していると診断し、
前記リスクスコアが所定の閾値を満たす又は超える場合、前記1つ以上の皮膚及び/又は呼吸器疾患を治療又は予防するのに適切な治療的処置プロトコルを処方し、
(i)前記リスクスコア、(ii)前記リスクスコアが所定の閾値を満たす又は超える場合、1つ以上の皮膚及び/又は呼吸器疾患を発症することに対する表示、(iii)時期推奨、(iv)任意に、皮膚及び/又は呼吸器疾患の健康を改善するための1つ以上の在宅実践方法、(v)任意に、前記リスクスコアが所定の閾値を満たす又は超える場合、1つ以上の皮膚及び/又は呼吸器疾患を診断する1つ以上の診断ステップ、及び(vi)治療的処置プロトコルに対する処方を表示する報告書を生成し、及び/又は
前記生成された報告書をネコの飼い主及び/又はこれらの獣医師に電子文書に伝送するように設定された、前記1つ以上のプロセッサによって実行可能な命令が格納されている、
コンピュータシステム。
【0026】
例13.前記命令は、口腔サンプルのメタゲノム配列データを分析して1つ以上のマッピングされていない配列リードをネコ科動物参照ゲノムにマッピングし、及び/又は1つ以上の配列リードを微生物参照ゲノムにマッピングし、任意に、前記リードを微生物又はネコ科動物に分類するように、コンピュータシステムをさらに設定する、例12に記載のコンピュータシステム。
【0027】
例14.前記命令は、メタゲノム配列データのうち少なくとも1つのマッピングされていない配列リードを確認し、任意に前記少なくとも1つのマッピングされていないリードを分類するように、コンピュータシステムをさらに設定する、例13に記載のコンピュータシステム。
【0028】
例15.確立された微生物プロファイルのデータベースに対する該当ネコの口腔微生物プロファイルの比較から10,000個未満に分類された微生物リード又は500,000個以上に分類された微生物リードを有するネコ口腔マイクロバイオームサンプルは除外される、例13に記載のコンピュータシステム。
【0029】
例16.前記命令は、口腔サンプルに存在する1つ以上の微生物種の存在量を計算するようにコンピュータシステムをさらに設定する、例12に記載のコンピュータシステム。
例17.前記口腔サンプルに存在する1つ以上の特定の微生物種の存在量は、前記1つ以上の特定の微生物種が特定の皮膚及び/又は呼吸器疾患の状態の予測微生物種であるか否かに相関関係がある、例16に記載のコンピュータシステム。
【0030】
例18.前記命令は、該当口腔サンプルの微生物存在量をデータベース内の情報に対してペアワイズ対数比の比較を行うようにコンピュータシステムをさらに設定する、例16に記載のコンピュータシステム。
【0031】
例19.前記1つ以上の特定の微生物種は、病気コホートと対照群コホートとを比較したときに、該当微生物に関連して最大可能なペアワイズ対数比の比較のうち50%以上が有意に異なる場合、予測微生物種になる、例18に記載のコンピュータシステム。
【0032】
例20.ネコの皮膚及び/又は呼吸器疾患の発症を予測する方法であって、前記方法は、
ネコから1つ以上の微生物種を含む口腔サンプルを得るステップと、
前記口腔サンプルから前記1つ以上の微生物種の微生物核酸を分離するステップと、
前記微生物核酸に対応する微生物核酸配列データを得るステップと、
前記微生物核酸配列データを分析して前記口腔サンプルに存在する1つ以上の微生物種を確認し、任意に前記1つ以上の微生物種を定量化するステップと、
前記確認された(任意に、定量化された)1つ以上の微生物種、前記1つ以上の微生物種を含む口腔微生物プロファイル、及び、任意に、口腔サンプル内の前記1つ以上の微生物種の量又は相対的存在量に基づいて、該当ネコの口腔微生物プロファイルを生成するステップと、
前記口腔微生物プロファイルを、
(i)ネコの1つ以上の皮膚及び/又は呼吸器疾患の発生及び/又は有病率、及び
(ii)ネコの口腔マイクロバイオーム内の様々な微生物種の存在及び/又は存在量(ここで、前記様々な微生物種は前記口腔サンプル内の1つ以上の微生物種を含む)、
の間の重み付け相関関係を確認するデータベースの情報と比較するステップと、
前記口腔微生物プロファイルと前記データベース内の情報との間の1つ以上の一致に基づいて、該当ネコが1つ以上の皮膚及び/又は呼吸器疾患を発症する可能性を示すリスクスコアを生成するステップと、
前記リスクスコアが所定の閾値を満たす又は超える場合、該当ネコが前記1つ以上の皮膚及び/又は呼吸器疾患を発症すると表示するステップと、を含む、方法。
【0033】
例21.ネコの皮膚及び/又は呼吸器疾患を診断する方法であって、前記方法は、
ネコから1つ以上の微生物種を含む口腔サンプルを得るステップと、
前記口腔サンプルから前記1つ以上の微生物種の微生物核酸を分離するステップと、
前記微生物核酸に対応する微生物核酸配列データを得るステップと、
前記微生物核酸配列データを分析して前記口腔サンプルに存在する1つ以上の微生物種を確認し、任意に前記1つ以上の微生物種を定量化するステップと、
前記確認された(任意に、定量化された)1つ以上の微生物種、前記1つ以上の微生物種を含む口腔微生物プロファイル、及び、任意に、口腔サンプル内の前記1つ以上の微生物種の量又は相対的存在量に基づいて、該当ネコの口腔微生物プロファイルを生成するステップと、
前記口腔微生物プロファイルを、
(i)ネコの1つ以上の皮膚及び/又は呼吸器疾患の発生及び/又は有病率、及び
(ii)ネコの口腔マイクロバイオーム内の様々な微生物種の存在及び/又は存在量(ここで、前記様々な微生物種は前記口腔サンプル内の1つ以上の微生物種を含む)、
の間の重み付け相関関係を確認するデータベースの情報と比較するステップと、
前記口腔微生物プロファイルと前記データベース内の情報との間の1つ以上の一致に基づいて、該当ネコが1つ以上の皮膚及び/又は呼吸器疾患を発症する可能性を示すリスクスコアを生成するステップと、
前記リスクスコアが所定の閾値を満たす又は超える場合、該当ネコが前記1つ以上の皮膚及び/又は呼吸器疾患を発症していると診断するステップと、
を含む、方法。
【0034】
例22.ネコの皮膚及び/又は呼吸器疾患を治療する方法であって、前記方法は、
ネコから1つ以上の微生物種を含む口腔サンプルを得るステップと、
前記口腔サンプルから前記1つ以上の微生物種の微生物核酸を分離するステップと、
前記微生物核酸に対応する微生物核酸配列データを得るステップと、
前記微生物核酸配列データを分析して前記口腔サンプルに存在する1つ以上の微生物種を確認し、任意に前記1つ以上の微生物種を定量化するステップと、
前記確認された(任意に、定量化された)1つ以上の微生物種、前記1つ以上の微生物種を含む口腔微生物プロファイル、及び、任意に、口腔サンプル内の前記1つ以上の微生物種の量又は相対的存在量に基づいて、該当ネコの口腔微生物プロファイルを生成するステップと、
前記口腔微生物プロファイルを、
(i)ネコの1つ以上の皮膚又は呼吸器疾患の発生及び/又は有病率、及び
(ii)ネコの口腔マイクロバイオーム内の様々な微生物種の存在及び/又は存在量(ここで、前記様々な微生物種は前記口腔サンプル内の1つ以上の微生物種を含む)、
の間の重み付け相関関係を確認するデータベースの情報と比較するステップと、
前記口腔微生物プロファイルと前記データベース内の情報との間の1つ以上の一致に基づいて、該当ネコが1つ以上の皮膚又は呼吸器疾患を発症する可能性を示すリスクスコアを生成するステップと、
前記リスクスコアが所定の閾値を満たす又は超える場合、該当ネコが前記1つ以上の皮膚又は呼吸器疾患を発症していると診断するステップと、
前記1つ以上の皮膚又は呼吸器疾患を治療するに十分な治療的処置を実施するステップと、を含む、方法。
【0035】
例23.前記皮膚及び/又は呼吸器疾患は、喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー性皮膚炎、ノミアレルギー性皮膚炎、及び環境アレルギー性皮膚炎からなる群より選ばれる、例22に記載の方法。
【0036】
この要約は、本発明の概念を簡略化した形で紹介するために提供したものであり、これについては下記の詳細な説明でさらに詳細に説明する。この要約は、本発明で請求する発明対象の重要な特徴又は必須な特徴を確認するためのものではなく、請求する発明対象の範囲を表示するために使用しようとするものでもない。
【0037】
本発明の様々な目的、特徴、特性及び利点は、本明細書の一部を構成する添付の図面及び特許請求の範囲と併せて、以下の実施形態の説明から明らかとなり、より容易に理解されるであろう。図面において、類似の参照番号は、様々な図面における相応又は類似する部分を示すために使用される場合があり、図示されている様々な構成要素は、必ずしも一定の割合で描かれているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1A】皮膚の健康検査のワークフロー及び口腔マイクロバイオーム参照データベース構築を示す。
図1B】同上。
図2A】健康なコホートと、(A)アトピー性皮膚炎、(B)食物アレルギー性皮膚炎、(C)ノミアレルギー性皮膚炎、(D)環境アレルギー性皮膚炎に関連するペアワイズ微生物相互作用間の平均対数比差スコアの分布を示す。
図2B】同上。
図2C】同上。
図2D】同上。
図3A】2成分ガウス混合モデルに基づくネコ科動物の皮膚の健康検査の敏感度及び特異性を示す。敏感度とは、皮膚疾患を患っていることが知られているネコを検出する、開示された実施形態の能力を意味する。特異性とは、健康な対照群コホートのネコを皮膚疾患を患っていないものとして検出する、開示された実施形態の能力を意味する。
図3B】同上。
図3C】同上。
図3D】同上。
図4】ネコ科動物のアトピー性皮膚炎、食物アレルギー性皮膚炎、ノミアレルギー性皮膚炎、又は環境アレルギー性皮膚炎に特徴的な口腔マイクロバイオーム予測微生物の共通部分を示す。
図5】配列リード数の関数として微生物種の存在量を示すものであって、ここで配列リード数は、2つの異なる種類のメタゲノム全ゲノム配列(WGS)ライブラリー調製(結紮ベースのアプローチとタグメンテーションベースのアプローチ(例えば、Illumina Nextera DNA Flexライブラリー調製キット))のデータが比較されている。
図6】健康なコホート及び喘息コホートに関連するペアワイズ微生物相互作用間の平均対数比差スコアの分布を示す。
図7】2成分ガウス混合モデルに基づく、喘息及び健康なコホートに対するネコ科動物の健康検事の敏感度及び特異性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
口の微生物組成(すなわち、口腔マイクロバイオーム)の変化は、特定の歯科疾患及び全身性疾患に関連している可能性がある。この研究分野はまだ歴史が浅く、これらの連関性を包括的に立証するヒトを対象とした研究は、過去10年以内に発表されたばかりである。ネコやイヌなどのペットを対象としたこのテーマに関する研究も限られていた。現在、疾患の状態のみならず、栄養的及び環境的要因は、ネコの口腔の力学的な微生物組成(すなわち、これらの口腔マイクロバイオーム)において重要な役割を果たしている可能性がある。口は外来微生物への絶え間ない曝露からの防御の最前線であるため、口腔マイクロバイオームは競争的で繩張り意識を持つように進化してきた。口腔マイクロバイオームは自分の領域を防御するのに優れている微生物で構成されており、通常は病原体などの外来侵入者によって取り替えられることを回避する。
【0040】
しかし、不適切な食事、清潔ではない歯牙衛生、全身性疾患の発症又は環境の変化などの腸内細菌叢の異常(dysbiosis)を誘発する出来事によって、病原性微生物が口腔の多くの部分に定着するようになる(これにより、口腔マイクロバイオームを変化させる可能性がある)。このような定着は、病理学的疾患の状態と関連している可能性がある。口腔マイクロバイオームの組成を理解すると、口腔組織の健康だけでなく、動物やヒトの全般的な健康に関する情報も得ることができる。例えば、口腔マイクロバイオーム特性は、特に炎症性腸疾患(IBD)、様々ながん、及びアトピー性皮膚炎などの疾患と関連している。口腔マイクロバイオームの特徴は、喘息、別の炎症性及びアレルギー性疾患とも関連している可能性がある。口腔マイクロバイオームの状態によって提供される情報は、ペットの健康と幸福を管理するために活用されることもできる。
【0041】
ペットの口腔マイクロバイオーム研究分野は、ほとんど注目されておらず、まだ初期段階にある。既存の研究は、小さなサンプルサイズとマイクロバイオームの真偽を確認する時代遅れの培養ベース技術に基づいて結論を導き出している。既存の全てのバクテリアのうち約2%のみが実験室で培養できると推定される。これは、微生物の分類においてこのような方法に依存する研究では、多くの重要な微生物有機体が見逃される可能性が高いことを意味する。さらに、単に特定の種が培養及び測定できるという理由だけで、誤って特定の種が強調される可能性もある。実験室の培養がマイクロバイオームに対して非常にバクテリア中心の観点を提供して、他の微生物、例えば、真菌類、原生動物、古細菌、及びウイルスが無視されることが多いという事実によってこのような問題点はさらに深刻になる。
【0042】
ネコの口腔マイクロバイオームに対する調査は、口腔(唾液)サンプルを使用することによって行うことができる。唾液サンプリングキットは、系統(ancestry)及び微生物感染症に対する検査がさらに普及するにつれて、近年、数年間人気を集めた。消費者が直接利用可能なマイクロバイオーム検査は通常、次世代配列決定(NGS、Next Generation Sequencing)を活用した「16S rRNA遺伝子配列決定」という技術に依存する。この技術は、初期のバクテリア培養の取り組みよりも実質的に多くの情報を提供してくれるが、該当マイクロバイオームに存在するバクテリア種(及び一部の古細菌)を確認する場合にのみ使用できる。ほとんどの場合、これらの検査は、分類学的分類の属レベルを越えてバクテリアを確実かつ一貫して確認するのに十分な解答を提供しない。したがって、ほとんどの場合、検査結果はマイクロバイオームを含むバクテリアの正確な種又は株を提供しない。このような理由で、これらの結果を使用したデータベースの結論は曖昧であり、近似値に依存する。さらに、身体の様々な部位のマイクロバイオームは、バクテリアと古細菌に加えて、ウイルス、原生動物、真菌種で構成され得ることはよく知られている。これは、16S rRNA遺伝子配列決定アプローチがマイクロバイオームの一部のみに焦点を当て、残りの部分を無視することを意味する。
【0043】
本発明の様々な実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、特定のパラメータ、用語、及び実施形態ごとに様々な具体的に例示されたシステム、方法及び/又は製品の説明のみに限定されないということを理解されたい。したがって、本発明の特定の実施形態を具体的な特徴(例えば、構成、パラメータ、特性、ステップ、構成要素、成分、部材、要素、部品及び/又は一部など)を参照して詳細に説明するが、この説明は例示的なものであり、本発明及び/又は特許請求される発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。さらに、本明細書で使用される用語は、実施形態を説明するために使用されたものであり、本発明及び/又は特許請求される発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0044】
本明細書では、ネコの皮膚及び/又は呼吸器疾患の状態の確認、スクリーニング、表示、診断及び/又は治療のためのコンピュータシステム、システム及び方法が開示される。開示された発明対象の実施形態は、ネコの皮膚及び/又は呼吸器疾患に関連する微生物の組成的存在量傾向を検出する目的で、飼いネコの口腔マイクロバイオームを調査する方法を記述している。微生物の組成的存在量傾向を検出、確認及び/又は定量化することにより、医師はネコが特定の皮膚及び/又は呼吸器疾患の状態にあるかどうかをスクリーニング及び/又は表示することができる。皮膚及び/又は呼吸器疾患の状態を検出及び確認することで、医師やペットの飼い主は該当病気を治療し、及び/又はその進行を遅らせることができ、場合によっては将来の皮膚及び/又は呼吸器疾患の状態の再発を防止することもできる。
【0045】
開示された方法は、例えば、ネコの口腔マイクロバイオームを、ネコの飼い主及び/又は獣医師によって喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー性皮膚炎、ノミアレルギー性皮膚炎、又は環境アレルギー性皮膚炎であると診断されたと報告したネコの口腔マイクロバイオームと比較することができる。前記比較は、確立された微生物プロファイルが含まれた参照データベースを用いて行い、1つ以上の微生物種とこれらの各組成的存在量を1つ以上の皮膚疾患と関連付ける。
【0046】
開示されたシステム及び方法は、無痛証の口腔スワブサンプル収集を含むことができる。これによれば、口腔マイクロバイオームは、頬側、歯肉縁上(supragingival)又は歯肉縁下(subgingival)のサンプリングを介して調査することができる。このようなサンプリングは該当動物痲酔が必要ではなく、家にいるペットの飼い主や診療所の獣医師が行うことができる。開示されたシステム及び方法は、潜在的には、まだ公式的に診断されていない、皮膚疾患関連プロセスに対する初期標識者の役割を果たすことができる。定期的に使用することで、初期段階の皮膚疾患を確認することができ、より多くのネコが早期に動物病院に運ばれ、動物の苦痛も減らすことができる。皮膚疾患の状態を早期に確認することで、コストを節約し、ネコの生活の質を向上させることができる。早期に皮膚及び呼吸器疾患の状態を確認することは、前記皮膚及び呼吸器疾患が診断されて確認される場合により多くの治療の選択肢を活用できることにも意味がある。
【0047】
[参照データベースに含まれた確立された微生物プロファイル]
口は外来微生物への絶え間ない曝露に対する防御の最前線であるため、口腔マイクロバイオームは競争的に縄張り意識を持つように進化した。口腔マイクロバイオームは、自分の領域を防御するのに卓越な微生物で構成され、通常は病原体を含めた外来侵入者によって取り替えられることに抵抗することができる。このような微生物は通常、ネコが健康なときに存在しており、口腔マイクロバイオームの健康な微生物プロファイルを示す。ネコが皮膚又は呼吸器疾患を患っている場合、口腔マイクロバイオームの組成は外来又は病原性微生物種の存在及び/又は様々な微生物間の存在量割合の変化によって変更され得る。このような口腔マイクロバイオーム組成の変化は、病原性プロファイルによって示されることができる。場合によっては、特定の外来微生物種及び/又は病原性微生物種の存在と口腔内の他の微生物に対するこれらの存在量は、特定の皮膚及び/又は呼吸器疾患を患っているネコと相関関係がある。
【0048】
特定の皮膚及び/又は呼吸器疾患の状態と相関関係がある特定の(1つ以上の)微生物種(及びこれらの各相対的存在量)を確認することによって、前記確認された(1つ以上の)微生物種の存在を示すネコにおいて皮膚及び/又は呼吸器疾患の状態に対する事前診断スクリーニングが可能である。言い換えれば、皮膚及び/又は呼吸器疾患の状態の確認及び/又は表示は、特定の病原性プロファイルを示すネコと関連付けることができる。
【0049】
マイクロバイオームに対する包括的な研究のための最適標準は、バクテリアと古細菌だけでなく、全ての生命体領域にわたって有機体の全ゲノム又は略完全なゲノムを捕獲できるショットガンメタゲノム配列である。メタゲノムDNA抽出に対する最適標準には、ビーズビーティング(bead-beating)と呼ばれるプロセスが含まれる。このプロセスは、マイクロバイオームの存在量と組成研究の際に、完全な微生物細胞溶解のために推奨される。このプロセスは、グラム陽性菌の細胞壁などの厚い細胞壁を粉碎するのに役立つ。このプロセスは、ビーズビーターで粉砕媒体(ボール又はビーズ)を使用してサンプルを急速に撹拌することによって行われる。
【0050】
いくつかの例示的な実施形態では、開示されたシステム及び方法は、メタゲノムDNA抽出のためにビーズビーティングを使用せず、そのようなプロセスを意図的に放棄した。その理由は、ビーズビーティングもまたダウンストリームサンプル処理過程を妨げるDNA分解を相当部分導入するため、生成されたメタゲノム配列決定ライブラリーの品質を低下させる可能性があるためである。一実施形態によれば、開示されたシステム及び方法は、ビーズビーティングを使用しないため、結果分析における口腔マイクロバイオームデータは、グラム陽性菌が過小評価を受ける問題を経験する可能性がある。そうにもかかわらず、病気の特徴的なパターンを認識することはできる。開示されたシステム及び方法は、16S rRNA遺伝子配列決定とは異なり、微生物確認及び分類を種のレベルまで、又は場合によっては、菌株のレベルまで可能にする。
【0051】
ヒトの口腔マイクロバイオームの研究から得られたいくつかの結果は、異なるアレルギー関連状態が口腔マイクロバイオームの同様の変化によって特徴付けられることを示唆している。この見解は、対象となるネコ科の皮膚疾患(アトピー性皮膚炎、食物アレルギー性皮膚炎、ノミアレルギー性皮膚炎、環境アレルギー性皮膚炎)のそれぞれにとって重要な微生物種にいくつかの共通部分が観察されるという事実により、ネコでも同様である。しかし、口腔マイクロバイオームにおける組成的存在量が特にアトピー性皮膚炎、食物アレルギー性皮膚炎、ノミアレルギー性皮膚炎、又は環境アレルギー性皮膚炎を予測する微生物も確認された。このような事実は、通常、アトピー性皮膚炎及びアレルギー性皮膚炎に関連する重要な微生物セットの存在に加えて、皮膚疾患に関連する微生物プロファイルが存在することを示唆している。また、これは、喘息などの特定の呼吸器疾患に関連する微生物プロファイルが存在する可能性があることも示唆している。
【0052】
38,000匹の飼いネコに対するショットガンメタゲノム口腔マイクロバイオーム配列決定と組成データ分析技術を使用して、ネコ科動物口腔マイクロバイオームに関する包括的な調査を実施してネコ科動物口腔マイクロバイオームに存在する8,344個の微生物種を確認した。ショットガンメタゲノム配列に含まれた飼いネコが特定の皮膚又は呼吸器疾患を患っているか否かは、該当ネコが獣医師によって特定の皮膚又は呼吸器疾患(例えば、喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー性皮膚炎、ノミアレルギー性皮膚炎、環境アレルギー性皮膚炎など)を患っていると公式的に診断されたことがあるか否かを該当ネコの飼い主に調査を通じて尋ねることによって決定した。
【0053】
参照データベースは重み付け相関関係データベースであり、ネコ科動物口腔マイクロバイオームに存在する、少なくとも前記確認された8,344個の微生物種を含んでいる。平均的に、ネコ1匹あたり606個の微生物種が確認され、そのうち97%はバクテリアと古細菌に分類され、0.27%はDNAウイルス(RNAウイルスはショットガンメタゲノム配列では検出できない)、0.02%はファージ、<2%は真菌類として分類された。特定の皮膚又は呼吸器疾患に関与し、それに寄与していると確認された様々な微生物種は、「確立された微生物プロファイル」にまとめる。前記確立された微生物プロファイルは、特定の皮膚又は呼吸器疾患の状態に寄与及び/又は関与することが知られている、確認された1つ以上の微生物種とこれらの各相対的存在量に関するリスト又はコレクションである。いくつかの実施形態では、確立された微生物プロファイルは、微生物の正体(すなわち、属及び種)に加えて、グラム陽性微生物の百分率とグラム陽性微生物対グラム陰性微生物の割合を含むこともできる。いくつかの実施形態では、確立された微生物プロファイルは、1つ以上の微生物種の相対的存在量(増加又は減少)を示すことができる(下記表1~16を参照)。
【0054】
例えば、確立された微生物プロファイルには、4つの皮膚疾患(アトピー性皮膚炎、食物アレルギー性皮膚炎、ノミアレルギー性皮膚炎、又は環境アレルギー性皮膚炎)を予測する70個の微生物だけでなく、4つの皮膚疾患(アトピー性皮膚炎、食物アレルギー性皮膚炎、ノミアレルギー性皮膚炎、環境アレルギー性皮膚炎)のうち1つを特に予測する微生物のセットが含まれる。確立された微生物プロファイルは、喘息などの呼吸器疾患についても収集することができる。「予測微生物」については、以下でさらに詳しく説明する。前記確立された微生物プロファイルは、参照データベースを参照して推論の際、特定の皮膚又は呼吸器疾患を患っているネコ科動物において特定の微生物がいくら頻繁にどんな割合で観察されるかによって含まれた各微生物種のランク付け及び/又は重み付けすることができる。任意の一微生物種が特定の皮膚及び/又は呼吸器疾患の状態に寄与する程度は、ネコ科動物が特定の皮膚及び/又は呼吸器疾患の状態を患っているうちに、口腔マイクロバイオームに微生物種がどの程度の頻度で現れるか(又は存在するか)に相関関係がある。また、任意の一微生物種が特定の皮膚及び/又は呼吸器疾患の状態に寄与する程度は、そのような微生物種が健康な対照群サンプルと比較した場合に、他の口腔微生物とどの程度一貫して有意に他の相対的存在量を示すかにも相関関係がある。
【0055】
参照データベースに含まれる確立された微生物プロファイルには、皮膚及び/又は呼吸器疾患を患っていない健康なネコの確立された微生物プロファイルも含まれる。例えば、健康なネコの確立された微生物プロファイルは、皮膚及び/又は呼吸器疾患がない場合、口腔マイクロバイオームに存在する微生物種とこれらの相対的存在量を並べて確認される。確立された健康な微生物プロファイルは、存在する微生物種とこれらの相対的存在量に対する基準や対照群を確立することができる。このプロファイルとの偏差により、医師は、例えば、ネコが皮膚及び/又は呼吸器疾患を患っている可能性を予測及び/又は表示することができる。同様に、確立された健康な微生物プロファイルとの偏差により、医師は、皮膚及び/又は呼吸器疾患に対する症状が現れる前に、ネコが該当皮膚及び/又は呼吸器疾患を患っていると診断することができる。
【0056】
各皮膚及び/又は呼吸器疾患の状態に対して確立された微生物プロファイルを健康なネコに対して確立された微生物プロファイルと比較して、該当皮膚及び/又は呼吸器疾患の状態と健康状態との間の差を確認する。いくつかの実施形態では、前記比較はペアワイズ対数比の比較である。例えば、健康なネコとアトピー性皮膚炎を患っているネコの口腔マイクロバイオームには一部の重複があり得る。確立された健康な微生物プロファイルと確立されたアトピー性皮膚炎の微生物プロファイルとを比較すると、両者の間で同様の存在量で現れる共通の微生物種を確認することができる。2つの未生物プロファイル間で共通しない任意の微生物種、又は2つのプロファイル間で著しく異なる割合で現れる微生物種があると、その微生物種がアトピー性皮膚炎の発症に関与することを確認することができる。ネコの口腔マイクロバイオームにおけるそのような微生物種に対する確認は、該当ネコがアトピー性皮膚炎を患っていることを示すことになる。
【0057】
図1A~1Bは、皮膚の健康検査のワークフロー及びネコ科動物被験体を使用した口腔マイクロバイオーム参照データベースの構築を示すものである。図1Aで、ネコ皮膚の健康検査のワークフローには、DNA保存溶液にネコの口腔スワブを収集するステップ、ショットガンメタゲノム次世代配列決定(NGS)のためのDNA抽出及び準備ステップ、前記DNAを配列決定するステップ、データ分析ステップ、及び口腔マイクロバイオームの状態に基づいて様々な皮膚疾患に関するリスク評価を提供する報告書を生成するステップが含まれる。前記報告書には、該当結果に合わせた推奨治療法が添付される場合がある。図1Bで、ネコ38,000匹の初期データベースに順次フィルタを適用してネコ科口腔マイクロバイオーム参照データベースを構築した。まず、タグメンテーションベースのNGSライブラリー調製サンプルから全てのデータを除去した。このステップは、微生物種の存在量に対するライブラリー調製方法の観察された効果により行われた(図5を参照)。サンプルあたりの配列リード数は検出された微生物種の数に対して最小限の影響を与えるため、結紮ベースの方法が好まれた。さらに、Tn5トランスポザーゼ(transposase)補助タグメンテーションは、特にメタゲノムコミュニティにおいてGC配列決定偏向を導入することが知られている。しかし、いくつかの実施形態では、タグメンテーションベースのNGSライブラリー調製が含まれてもよい。
【0058】
次に、ネコの表現型/健康履歴記録を伴わないサンプルは除外した。サンプルの微生物配列データを確認し、分類してマッピングする。KRAKEN2とBrackenを使用して各サンプルの微生物リードを分類した後、分類された微生物リードが10,000個未満のサンプル及び500,000個以上のサンプルを除去した。残りのネコ/サンプルをコホートに配置した。これにより、アトピー性皮膚炎コホート(AD;n=101)、食物アレルギー性皮膚炎コホート(FAD;n=437)、ノミアレルギー性皮膚炎コホート(FLAD;n=140)、及び環境アレルギー性皮膚炎コホート(EAD;n=403)が生成された。
【0059】
図1A~1Bは、皮膚の健康検査のワークフロー及び口腔マイクロバイオーム参照データベースの構築を示しているが、同じ健康検査のワークフローを呼吸器疾患(例えば、喘息)に対しても実行したことを理解されたい。これによって、喘息コホート(n=336)を得て、分類してマッピングし、同様に口腔マイクロバイオーム参照データベースに追加した。開示されたコンピュータシステム、システム及び方法と併せて口腔マイクロバイオーム参照データベースを使用することにより、医師はネコの病気状態をスクリーニング、表示、確認、診断及び/又は治療することができる。病気状態には、少なくとも、AD、FAD、FLAD、EAD及び喘息が含まれる。
【0060】
[予測微生物の確認]
各皮膚及び/又は呼吸器疾患と有意に相関関係がある微生物を確認するための最初のステップとして、Brackenが出力した種レベルのリード総数に対してペアワイズ対数比(PLR)変換を実行した。次に、z検査を実行することにより、対照群と疾患群との間の有意なPLR比較(p-値<0.01)を確認した。健康なコホートをAD、FAD、FLAD及びEADコホートと比較した。健康なコホートを喘息コホートとも比較した(図6~7を参照)。
【0061】
有意な全てのPLRにおける各微生物種の頻度を評価した。他の種との最大可能比較のうち50%以上が有意である微生物種のみ維持した。この尺度は、関心対象となる4つの皮膚疾患と1つの呼吸器疾患における様々な微生物種の重要性の代用として使用した。これらの微生物種は、各皮膚及び呼吸器疾患に対する「予測微生物種」である。
【0062】
アトピー性皮膚炎、食物アレルギー性皮膚炎、ノミアレルギー性皮膚炎、及び環境アレルギー性皮膚炎の特徴的な個体群全般にわたる微生物の組成的存在量パターンを確認するために、各サンプルの予測型ペアワイズ対数比(pPLR)を対照群の平均pPLRと比較することによってスコアを付け、その差の方向と大きさを考慮して入れた。図2A~2Dは、健康なコホート及びアトピー性皮膚炎、食物アレルギー性皮膚炎、ノミアレルギー性皮膚炎、環境アレルギー性皮膚炎に関連するペアワイズ微生物相互作用間の平均対数比差スコアの分布を示すものである。図6は、健康なコホート及び喘息コホートに関連するペアワイズ微生物相互作用間の平均対数比差スコアの分布を示すものである。
【0063】
次に、我々は、それぞれ2つの成分(健康なコホート及び皮膚疾患コホート)を含む4つのガウス混合モデル(各皮膚疾患あたり1モデル)をペアワイズ微生物相互作用間の平均対数比差スコアの分布に当てはめた。このモデリングアプローチは、各サンプルに対して0~1のスコアを生成するが、これは該当サンプルが対照群コホートに属する確率又は各皮膚疾患コホートに属する確率を示す。図3A図3Dは、4つの皮膚疾患コホート(アトピー性皮膚炎、食物アレルギー性皮膚炎、ノミアレルギー性皮膚炎、環境アレルギー性皮膚炎)に属するサンプルと対照群サンプルが各サンプルの予測微生物に対する組成的存在量に基づいて、これらの各コホートに属するものとして分類される可能性をグラフで示したものである。全ての場合において、皮膚疾患と対照群との間でサンプル正体性と一致する二峰性の確率分布が観察された。0に近い小さなピークを形成する少数の病気サンプルと1に近いわずかなピークを形成する小さなセットの対照群サンプルが存在した。図7は、喘息コホートに属するサンプルと対照群サンプルが各サンプルの予測微生物に対する組成的存在量に基づいて、これらの各コホートに属するものとして分類される可能性をグラフで示したものである。
【0064】
各皮膚又は呼吸器疾患の状態(喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー性皮膚炎、ノミアレルギー性皮膚炎、及び環境アレルギー性皮膚炎)に対して確立された微生物プロファイルを健康なネコに対して確立された微生物プロファイルと比較して、微生物種の相違点と共通点、及び皮膚疾患の状態と健康な状態でのこれらの存在量を測定して定量化する。また、各皮膚疾患の状態に対して確立された微生物プロファイルも相互に比較して、各皮膚疾患の状態に共通して示される重複する微生物種も確認する。喘息に対して確立された微生物プロファイルは、同様の比較を経て微生物種の相違点と共通点、及び喘息と健康な状態でのこれらの存在量を測定して定量化し、各病気状態で共通して重複する微生物種も確認した。
【0065】
各皮膚又は呼吸器疾患の状態と健康な対照群状態に対して確立された微生物プロファイルはペアワイズ対数比(PLR)変換を受ける。前記PLR変換は、一定のスケーリング係数(scaling factor)の代りに、各微生物に対する微生物存在量をスケーリング(scaling)してサンプル間の潜在的な配列決定適用範囲の違いを補正する。次に、各病気状態と対照群状態のPLR間のz検査を実行する。約0.01未満のp値は、有意なPLR比較のための閾値機能をする。皮膚又は呼吸器疾患の状態について確立された微生物プロファイルで確認された各微生物種の場合、その微生物種が現れる有意なPLR比較の数(p値で定義される)を係数する。有意なPLR比較の数が、該当微生物の場合に全ての可能なPLR比較の少なくとも50%である場合、該当微生物種を「予測微生物」とみなす。このプロセスを関心対象である各皮膚又は呼吸器疾患の状態に対して繰り返すことができる。言い換えれば、有意なPLR比較に対するz検査確認を通じて、喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー性皮膚炎、ノミアレルギー性皮膚炎、及び/又は環境アレルギー性皮膚炎に対する予測微生物が確認できる。表1は、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー性皮膚炎、ノミアレルギー性皮膚炎、及び環境アレルギー性皮膚炎に対して確認された予測微生物の例を示している。表2は、喘息に対して確認された予測微生物の例を示している。
【0066】
表1に概括されるように、アトピー性皮膚炎を予測する微生物は86個、食物アレルギー性皮膚炎の場合は122個、ノミアレルギー性皮膚炎の場合は99個、環境アレルギー性皮膚炎の場合は110個が確認された。各皮膚疾患に対する予測微生物は、健康な対照群に確立された微生物プロファイルと、4つの皮膚疾患のいずれかを患っているネコの確立された微生物プロファイルとの間のPLR微生物存在量の比較に基づいて確認された(図4を参照)。70個の微生物が4つの皮膚疾患(アトピー性皮膚炎、食物アレルギー性皮膚炎、ノミアレルギー性皮膚炎、及び環境アレルギー性皮膚炎)を予測するものとして確認されたが、各疾患には独自の特定の予測微生物セットがあって他の疾患とは区別される。皮膚又は呼吸器疾患サンプルと対照群サンプルにおける有意なペアワイズ微生物相互作用間の平均対数比差をプロットすることで、これらの皮膚又は呼吸器疾患の状態に基づいてサンプル個体群を分離することができた(図2A~2D及び図6を参照)。しかし、個体群間に一部の重複が観察されたが、これは特定のサンプルセットの場合、予測微生物の組成的存在量が対照群個体群又は各皮膚疾患個体群と一致していると解釈できることを意味するものである。
【0067】
表3~7には、関心対象である皮膚又は呼吸器疾患の状態(例えば、喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー性皮膚炎、ノミアレルギー性皮膚炎、及び環境アレルギー性皮膚炎)と確認される、又は、これに関連する微生物の割合を概括したものである。表8~12は、関心対象である各皮膚及び/又は呼吸器疾患の状態に対する各予測微生物の相対的に増加又は減少された存在量を概括したものである。(存在するグラム陽性菌の相対的存在量、百分率及び割合に関する)このデータも、各皮膚及び/又は呼吸器疾患の状態について確立された微生物プロファイルに含まれ得る。ネコの口腔マイクロバイオームで1つ以上のグラム陽性菌の検出(又は、1つ以上のこれらのグラム陽性菌の割合又は百分率の修得)によって、このシステム及び方法は、該当ネコが皮膚又は呼吸器疾患を患っていると表示又は診断することができる。
【0068】
喘息コホートに対しても同一の手続き(健康なコホートとの比較、PLR変換、z検事など)を実行した。図6は、健康なコホート及び喘息コホートに関連するペアワイズ微生物相互作用間の平均対数比差スコアの分布を示すものである。図7は、2成分ガウス混合モデルに基づくネコ科動物の呼吸器健康検査に対する敏感度と特異性を示すものである。
【0069】
「予測(predictive)」という言葉の使用は、「原因(causative)」として解釈されることを意図したものではなく、特定の皮膚又は呼吸器疾患において対照群と比較して微生物の組成上の存在量が著しく異なるという事実を単に反映していることに留意することが重要である。これは、微生物が病気の病理において積極的な役割を果たしているか、又は微生物の組成上の存在量の変化が病理の副産物であることを意味している可能性がある。どちらのシナリオでも、他の微生物に比べて特定の存在量で微生物が存在することは、皮膚又は呼吸器疾患の状態と直接的な相関関係がある。
【0070】
予測微生物を確認するアルゴリズム及び開示された方法は、持続的に発展することができる。確認された予測微生物のセット又はグループは、コホート(健康なネコと皮膚疾患を患っているネコ)の個体群が変化及び進化するにつれて、わずかに変化及び進化することができる。微生物とこれらの皮膚又は呼吸器疾患の状態への存在又は寄与に関するより多くの情報を活用することが可能になるにつれて、確認された予測微生物のセットも変化し、進化するであろう。確認された新しい予測微生物セットは、初期セットと100%異なるわけではなく、むしろ約25%~85%の差異が予想される場合がある。例えば、確認された新しい予測微生物セットは、確認された初期の予測微生物セットと30、35、40、45、50、55、60、65、70、75又は80%異なる場合があるか、又は前記値のいずれか2つの値で定義された差ほど異なる場合がある。さらに多くのネコをコホートに追加することによって、確認された予測微生物セットは変化し、進化するであろう。
【0071】
[配列決定及び抽出プロトコル]
少なくとも1つのネコ口腔スワブを採取して検査用サンプルを提供することができる。口腔スワブは、動物の歯肉線(上部及び下部)を標的とすることができ、及び/又は、動物の口全体を標的とすることもできる。口腔スワブサンプルから微生物DNAを抽出してネコの口腔マイクロバイオームにどの微生物種がどの程度の相対的存在量で存在するかを確認することができる。
【0072】
メタゲノムDNAは、ビーズビーティングをする又はすることなく、又はタンパク質分解酵素Kなどのタンパク質分解試薬及び界面活性剤の添加の有無にかかわらず、振とう器で約1時間の熱処理を通じて口腔サンプルから抽出され得る。いくつかの実施形態では、口腔サンプルは、約45℃~75℃、例えば、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃又は前記値のいずれか2つの値によって定義された範囲内で熱処理する。
【0073】
マイクロバイオームに対する包括的な研究のための最適標準は、バクテリアと古細菌だけでなく、全ての生命体領域にわたる有機体の全ゲノム又はほぼ完全なゲノムを捕獲できるショットガンメタゲノム配列である。メタゲノムDNA抽出に対する最適標準には、ビーズビーティングと呼ばれるプロセスが含まれる。このプロセスは、マイクロバイオームの存在量と組成を研究する場合、完全な微生物細胞溶解のために推奨される。このプロセスは、グラム陽性菌の細胞壁などの厚い細胞壁を粉碎するのに役立つ。このプロセスは、ビーズビーターで粉砕媒体(ボール又はビーズ)を使用してサンプルを急速に撹拌して実行される。
【0074】
いくつかの例示的な実施形態では、開示されるシステム及び方法は、メタゲノムDNA抽出のためにビーズビーティングを使用せず、そのようなプロセスを意図的に放棄した。その理由は、ビーズビーティングもまたダウンストリームサンプル処理過程を妨げるDNA分解を相当部分導入するため、生成されたメタゲノム配列決定ライブラリーの品質を低下させる可能性があるためである。一実施形態によれば、開示されるシステム及び方法はビーズビーティングを使用しないため、結果分析における口腔マイクロバイオームデータはグラム陽性菌が過小評価を受ける問題を経験する可能性がある。それにもかかわらず、病気の特徴的なパターンを認識することは可能になる。
【0075】
口腔サンプルを熱処理した後、精製用80%エタノールを使用するSPRI磁気ビーズベースのDNA抽出(MCLAB、MBC-200)によってメタゲノムDNAを抽出することができる。前記DNAをGloMaxプレートリーダ(Promega)を使用して定量化することができる。メタゲノムDNAを抽出及び定量化した後、製造業社の説明にしたがって、LOTUS DNAライブラリー調製キット(IDT)、Next Ultra II FS DNAライブラリー調製キット(NEB)又は別の結紮又はタグメンテーションベースのDNAライブラリー調製キットを使用して、NGSのための口腔サンプルを作製することができる。口腔サンプルには、iTRUインデックスを使用したデュアルバーコードを付けることができる。用意した配列決定ライブラリーは、GloMaxプレートリーダ(Promega)を使用して定量化し、同質量で96個のサンプルプールに集めることができる。次に、前記プールを視覚化し(断片サイズ分布を評価し)、2100 Bioanalyzer機器(Agilent)を使用して定量化することができる。標準的なQCステップに従い、前記96個のサンプルプールをIllumina HiSeq X又はNovaSeq 6000次世代配列決定機械にロードすることができる。
【0076】
生の配列データは、例えば、Trimmomatic 0.32プログラムを使用してデマルチプレックスしトリミングして低品質データを除去することができる。次に、前記データを、例えば、ネコ科ゲノムFelis_catus_9.0の最新バージョンにマッピングできる。全ての口腔サンプルにおいて、ネコ科ゲノムにマッピングされていない約5~7%の配列リードがあり得る。前記マッピングされていないリードは、各サンプルに存在する微生物有機体を確認するKRAKEN2メタゲノム配列分類機(又は適切な代案)を使用して分類され得る。メタゲノムサンプルのDNA配列分析データにおける種の存在量を計算するための統計的方法であるBrackenをKRAKEN2分析と共に配列決定されたデータに対して使用できる。Brackenは種レベルのリード総数を出力することができる。KRAKEN2メタゲノム配列分類機及びBracken計算の結果に基づいて、ネコの口腔微生物プロファイルを生成することができる。前記生成された口腔微生物プロファイルには、存在する微生物種の正体性及びこれらの相対的存在量に関するデータが含まれ得る。生成された口腔微生物プロファイルには、存在する微生物種の(増加又は増加された)相対的存在量だけでなく、存在するグラム陽性菌の百分率に関するデータも含まれ得る。
【0077】
約0.1(例えば、0.08~0.15)の信頼度スコアは、KRAKEN2分類アルゴリズムに対するカットオフ(又は閾値)として使用され得る。分類された微生物リードが10,000個未満又は500,000個を超える全てのサンプルは、フィルタリングされて除去できる。0ではなく平均10個未満のリードを有する微生物種に対するリードもフィルタリングされて除去できる。
【0078】
[表示及び比較方法]
あるネコが皮膚疾患又は呼吸器疾患を患っているか否かの表示は、該当ネコの現在の口腔マイクロバイオームの状態を、獣医師によって喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー性皮膚炎、ノミアレルギー性皮膚炎、又は環境アレルギー性皮膚炎と診断されたもので、ペットの飼い主によって報告されたネコの口腔マイクロバイオームとの比較に依存する。このような比較は、各皮膚又は呼吸器疾患を予測できる分析によって測定された微生物の組成的存在量に基づいている。
【0079】
口腔マイクロバイオームに存在する様々な微生物の組成的存在量に対するコンピュータ分析には、様々な皮膚又は呼吸器疾患を患っていることが知られているネコだけでなく、知られた任意の皮膚又は呼吸器疾患を患っていないネコのサンプルデータベースと該当口腔サンプルとを比較するステップが伴われる。言い換えれば、コンピュータ分析は、口腔スワブサンプルから確認/修得された口腔マイクロバイオームを参照データベースに含まれる確立された微生物プロファイルと比較する(上記で詳しく議論される)。
【0080】
いくつかの実施形態では、ネコの皮膚又は呼吸器疾患を表示する方法は、ネコから採取した口腔スワブサンプルを受け取るステップと、前記口腔サンプルを熱処理するステップと、前記熱処理された口腔サンプルに対して磁気ビーズベースのデオキシリボ核酸(DNA)抽出を実行して口腔スワブサンプルに存在する微生物DNAを抽出するステップと、を含む。また、前記方法は、微生物DNAを配列決定してどの特定の1つ以上の微生物が前記口腔サンプル中に存在するかとどのような割合(すなわち、存在量)で存在するかを確認するステップであって、前記特定の1つ以上の微生物とこれらの存在量に対する確認で該当ネコの微生物プロファイルを生成するステップ、及び、該当ネコの口腔微生物プロファイルを確立された微生物プロファイルのデータベースと比較するステップであって、前記データベースが(i)1つ以上の微生物を含むプロファイルと、(ii)それに対応する皮膚又は呼吸器疾患との間の相関関係を確認するステップと、を含む。
【0081】
前記ネコの口腔微生物プロファイルを確立された微生物プロファイルのデータベースと比較した結果に基づいて、前記方法は、ネコが特定の皮膚又は呼吸器疾患を有する可能性を示すリスクスコアを生成するステップをさらに含み得る。リスクスコアは、該当病気状態のステージ又は重症度に相関関係があり得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、ネコの皮膚又は呼吸器疾患を表示する方法は、ネコから採取した口腔スワブサンプルを受け取るステップと、前記口腔サンプルを熱処理するステップと、前記熱処理された口腔サンプルに対して磁気ビーズベースのデオキシリボ核酸(DNA)抽出を実行して、口腔スワブサンプルに存在する微生物DNAを抽出するステップと、を含む。また、この方法は、前記微生物DNAを配列決定して該当口腔サンプルにいずれか1つ以上の特定の微生物が存在するかを確認するステップであって、前記1つ以上の特定の微生物及びこれらの存在量に対する確認によってネコの口腔微生物プロファイルを生成するステップも含み得る。
【0083】
この方法は、該当ネコの口腔微生物プロファイルを確立された微生物プロファイルのデータベースと比較するステップであって、前記データベースは、(i)1つ以上の微生物を含むプロファイルと、(ii)それに対応する皮膚又は呼吸器疾患との間の相関関係を確認するステップと、前記口腔微生物プロファイルを確立された微生物プロファイルのデータベースと比較した結果に基づいて、該当ネコが特定の皮膚又は呼吸器疾患を患っている可能性を示すリスクスコアを生成するステップと、前記リスクスコアを生成して特定の皮膚又は呼吸器疾患を確認したことによって、前記特定の皮膚又は呼吸器疾患を治療するように設計された治療的処置を実施するステップと、をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、治療的処置は在宅プロトコルであってもよい。
【0084】
いくつかの実施形態では、治療的処置は、治療用化合物、例えば、ネコの口腔マイクロバイオームに存在する1つ以上の特定の微生物種の成長を抑制又は促進するように考案された化合物を投与することを含むことができる。いくつかの実施形態では、治療用化合物は、プレバイオティクス、ポストバイオティクス、プロバイオティクス、薬剤又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、治療用化合物には、抗生物質、コルチコステロイド、気管支拡張剤、又はそれらの組み合わせが含まれ得る。いくつかの実施形態では、治療処置には、かゆみを緩和し、皮膚の治癒を促進するのに役立つ局所処置又は入浴が含まれる。
【0085】
いくつかの実施形態では、治療的処置又は在宅ケアプロトコルは、ネコの口腔マイクロバイオームの組成を直接的に変化させるか、又は特定の皮膚又は呼吸器疾患に対する治療の副産物として変化させることができる。いくつかの実施形態では、ネコの口腔マイクロバイオーム組成の変更によって特定の皮膚又は呼吸器疾患を治療及び/又は解決する。いくつかの実施形態では、治療的処置はネコの口腔マイクロバイオームを修復する。いくつかの実施形態では、ネコの口腔マイクロバイオームを修復すると、存在する特定の1つ以上の微生物種及びそれらの相対的存在量の両方の点で、該当ネコの口腔マイクロバイオームが健康なネコの口腔マイクロバイオーム(又は確立された口腔マイクロバイオーム)とより一致するようになる。いくつかの実施形態では、治療的処置プロトコルは、ネコの口腔マイクロバイオームの組成を維持するように設計される。いくつかの実施形態では、治療的処置プロトコルは、ネコの口腔マイクロバイオームの代謝出力(metabolic output)を刺激するように設計される。ネコの口腔マイクロバイオームの代謝出力を刺激することは、公知の酵素経路分析ツールを使用して既存の微生物組成データに追加の観点を提供して、病気の兆候をさらに特性化して予測病気モデルを改善することを含み得る。
【実施例
【0086】
コンピュータを使用した皮膚又は呼吸器疾患分類アルゴリズムの構築を開示するために、Brackenが出力した種レベルのリード総数に対してペアワイズ対数比(PLR)変換を実行した。次に、z検査を実行することにより、対照群と疾患群との間の有意なPLR比較(閾値p値<0.01)を確認した。変換されたデータは参照データベースに格納され得る。健康なコホートをAD、FAD、FLAD及びEADコホートと比較した。健康なコホートも喘息コホートと比較した(図6~7を参照)。
【0087】
有意な全てのPLRにおける各微生物種の頻度を評価した。他の種との最大可能比較のうち50%以上が有意な微生物種のみ維持した。この尺度は、関心対象となる4つの皮膚疾患及び1つの呼吸器疾患における様々な微生物種の重要性に対する代用物として使用した。このような微生物種は、各皮膚又は呼吸器疾患に対する「予測微生物種」である。
【0088】
各疾患において、喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー性皮膚炎、ノミアレルギー性皮膚炎、及び環境アレルギー性皮膚炎に特徴的な集団全体の微生物の組成的存在量パターンを確認するために、各サンプルの予測型ペアワイズ対数比(pPLR)を対照群の平均pPLRと比較することによってスコアを付けて、その差の方向と大きさを考慮して入れた。図2A~2Dは、アトピー性皮膚炎と健康な対照群、食物アレルギー性皮膚炎と健康な対照群、ノミアレルギー性皮膚炎と健康な対照群、及び環境アレルギー性皮膚炎と健康な対照群に関連するペアワイズ微生物相互作用間の平均対数比差スコアの分布を示すものである。図6は、喘息コホートと健康なコホートに関連するペアワイズ微生物相互作用間の平均対数比差スコアの分布を示すものである。
【0089】
次に、我々は、それぞれ2つの成分(健康なコホートと皮膚又は呼吸器疾患コホート)を含む5つのガウス混合モデル(各皮膚又は呼吸器疾患当たり1モデル)をペアワイズ微生物相互作用間の平均対数比差スコアの分布に当てはめた。このモデリングアプローチは、各サンプルに対して0~1のスコアを生成するが、これは該当サンプルが対照群コホートに属する確率又は各皮膚疾患コホートに属する確率を示す。図3A図3Dは、4つの皮膚疾患コホートに属するサンプルと対照群サンプルが、各サンプルの予測微生物に対する組成的存在量に基づいて、これらの各コホートに属するものとして分類される可能性をグラフで示すものである。全ての場合において、皮膚疾患と対照群との間でサンプル正体性と一致する二峰性の確率分布が観察された。4つの場合の全てにおいて、0に近い小さなピークを形成する少数の病気サンプルと1に近いわずかなピークを形成する小さなセットの対照群サンプルが存在した。図7は、呼吸器疾患コホートに属するサンプルと対照群サンプルが各サンプルの予測微生物に対する組成的存在量に基づいて、これらの各コホートに属するものとして分類される可能性をグラフで示すものである。
【0090】
このグラフは、皮膚又は呼吸器疾患コホートのネコのうち少数は(ペットの飼い主が提供した、古く、間違っている、又は、不完全な健康情報によって)実際には健康な状態であるか寛解している可能性がある一方、対照群コホートの一部のネコは、まだ診断又は発見されない皮膚又は呼吸器疾患を患っている可能性があることを示唆している。各皮膚又は呼吸器疾患に対するリスク分類法の敏感度(皮膚又は呼吸器疾患に罹患していることが知られているネコを検出する能力)と特異性(対照群コホートのネコを皮膚又は呼吸器疾患に罹患していないものとして検出する能力)を試験した(図3A図3D及び図7を参照)。この方法の敏感度は、ノミアレルギー性皮膚炎で最も高く、環境アレルギー性皮膚炎で最も低い一方、特異性は喘息とアトピー性皮膚炎で最も高く、食物アレルギー性皮膚炎で最も低い。
【0091】
相当な規模の飼いネココホート(n=4,162)を使用して参照データベースを開発したが、これらのネコの健康履歴データはペットの飼い主によって提供されたものであった。ペットの飼い主に自分のネコが獣医師によって喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー性皮膚炎、環境アレルギー性皮膚炎、又はノミアレルギー性皮膚炎と診断されたか否かを尋ねられたが、診断精度のうち一部はペットの飼い主によって伝えられたため、診断精度のうち一部は損傷しているに違いない。この問題を緩和し、ペットの飼い主が健康である(すなわち、既知の全身性疾患又は皮膚又は呼吸器疾患を患っていない)と報告されたネコがまだ診断されない病気を実際に発症し始めた事例を制限するために、対照群である健康なコホートに1~3歳の年齢制限を置いた。この制限は、年齢と皮膚、呼吸器及び全身性疾患との間の関連性が十分に確立されているために設定した。子ネコ特有の任意の潜在的な口腔マイクロバイオーム偏りを避ける目的で、1歳未満のネコは意図的にこのグループから除外させた。このセグメンテーションアプローチは、健康な対照群コホートが潜在的には若齢ネコの口腔マイクロバイオームに偏っている可能性があり、皮膚疾患、呼吸器疾患又は全身疾患のない高齢ネコを代表していない可能性があるという注意も提供される。
【0092】
対照群である健康なコホートには年齢制限を設定したが、本発明のいくつかの実施形態では年齢制限を設定しない。いくつかの実施形態では、ネコの年齢は、該当ネコが皮膚又は呼吸器疾患の状態を有する、又は発症するリスクを識別する因子として含まれる。いくつかの実施形態では、年齢は、該当コホートのグループ化に影響を及ぼすことができ、高齢のネコは同一の皮膚又は呼吸器疾患の場合にも若齢ネコとは別のコホートに属する可能性がある。いくつかの実施形態では、年齢は、ネコの口腔微生物プロファイルを(健康な及び病理学的)コホートと比較した後のネコのリスク評価に適用される因子である。いくつかの実施形態では、年齢は、該当ネコに対して修得及び生成された口腔微生物プロファイルに含まれる。
【0093】
前述に加えて、皮膚疾患に関連する、又は皮膚疾患を予測するものとして確認された微生物は、該当皮膚又は呼吸器疾患のステージ又はグレードもさらに予測することができる。
【0094】
本明細書に開示されたリスクスコア生成方法論は、口腔マイクロバイオームの組成的分析に基づいている。また、開示された方法の他の実施形態は、皮膚又は呼吸器疾患のリスクを予測する目的で口腔マイクロバイオームの組成的存在量の分析と共に、口腔マイクロバイオームの代謝出力(酵素的経路分析ツール又はメタボロミクスによって生成される)に対する予測を統合することを含んでもよい。
【0095】
[追加の用語及び定義]
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての科学技術用語は、本発明の属する技術分野における通常の技術者に通常的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0096】
システム、方法及び/又は製品を含む、本発明の様々な「態様」は、本質的に例示的な1つ以上の「実施形態」を参照して説明することができる。本明細書で使用される「態様」及び「実施形態」という用語は、交換的に使用できる。「実施形態」という用語は、「例、実例、又は例示としての役割を果たすこと」を意味することもあり、必ずしも本明細書に開示された他の態様よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。さらに、本開示内容又は発明の「実施形態」への言及は、添付の特許請求の範囲によって示される本発明の範囲を制限することなく、例示的な実施例を提供しようとするものである。
【0097】
本明細書と添付の特許請求の範囲で使用された単数形(「a」、「an」及び「the」)は、各々、文脈上、明らかに異なる意味を持たない限り、該当単数形と複数形の両方を考慮し、含み、具体的に開示する。例えば、「タンパク質」への言及は、1つのタンパク質だけでなく、複数(例えば、2つ以上、3つ以上など)のタンパク質を考慮して具体的に開示するものである。同様に、複数の指示対象の使用は、そのような指示対象の複数を必ずしも必要とするものではなく、文脈上、明らかに異なる意味を持たない限り、単一の指示対象だけでなく、複数のそのような指示対象を考慮し、含み、具体的に開示し、及び/又はそれを裏付ける。
【0098】
本明細書全般にわたって使用された「できる(can及びmay)」という用語は、必須的な意味(すなわち、しなければならないという意味)ではなく、許容的な意味(すなわち、可能性があるという意味)として使用される。さらに、「含む(including)」、「有する(having)」、「伴う(involving)」、「含有する(containing)」、「特徴とする(characterized by)」という用語とこれらの変形(例えば、「含む(includes)」、「有する(has)」及び「伴う(involves)」、「含有する(contains)」など)、及び特許請求の範囲を含み、本明細書で使用される同様の用語は、包括的及び/又は制限のないものとし、「含む(comprising)」及びその変形(例えば、「含む」(「comprise」及び「comprises」))と同一の意味を有し、例示として言及されていない追加の構成要素又は方法のステップを排除するものではない。
【0099】
「疾患(condition)」という用語は、当業者が理解するように、患者において発見又は予想される任意の障害、疾患、損傷又は病気を指す。このような疾患の兆候は、疾患前の症状、兆候、又はマーカーを含めて、当業界において公知のような初期、中期又は末期の兆候であり得る。このような疾患の予想は、科学的又は医学的証拠、リスク評価又は単なる憂慮や不安に基づいているか否かにかかわらず、該当疾患に対する予測、予想、想定、推定、仮定及び/又は推測された発症であり得るが、これらを含み得る。
【0100】
本明細書で使用される「患者」という用語は、「被験体(subject)」という用語と同義語であり、一般に、医療専門家のケア下にいる任意の動物を指し、前記用語は、本明細書で定義されるように、特に(i)(医師、看護師又は医療助手又はボランティアの管理下にいる)ヒト及び(ii)(獣医師又はその他の獣医学専門家、医療助手又はボランティアの管理下にいる)ヒトではない動物、例えば、ヒトではない哺乳動物を指す。
【0101】
本明細書で使用される「治療する」又は「治療(処置)」は、関心対象である病気又は疾患を有するネコの関心対象である病気又は疾患の治療を網羅し、以下のことを含む。(i)特にネコが実際に該当疾患を発症し始めているが、まだ該当疾患に発症していると診断されていない場合、そのようなネコに病気又は状態が発生することを予防すること。(ii)前記病気又は疾患を抑制する、すなわち、その発症を阻止すること。(iii)前記病気又は疾患を緩和させる、すなわち、前記病気又は疾患の退行を誘発すること。又は(iv)前記病気又は疾患によって発生する症状を緩和する、すなわち、根本的な病気又は疾患に対する解決なしに痛みを緩和すること。本明細書で使用される「病気」及び「疾患」という用語は、交換的に使用することができる、又は特定の病気又は状態が公知の原因物質を持たないので(そのため、病因学がまだ解決されていない)、それによって1つの病気として認識されておらず、臨床医によって程度の差はあっても具体的な一連の症状が確認されたことがある望ましくない疾患又は症侯群としてのみ認識される点では異なる場合もある。
【0102】
簡潔にするために、本発明は、数値のリスト又は範囲を言及することができる。しかし、このような数値のリスト又は範囲(例えば、超過、未満、最大、少なくとも、及び/又は略特定値及び/又は言及された2つの値の間)が開示又は言及される場合、開示された値又は該当値のリスト又は範囲内に属する任意の特定値又は該当値の範囲も同様に本明細書に具体的に開示され、考慮される。
【0103】
理解をより容易にするように、可能であれば、類似の参照符号(すなわち、成分及び/又は構成要素の類似の名称)を使用して本発明の異なる実施形態に共通する類似の構成要素を指定した。同様に、類似の構成要素又は類似の機能を有する成分は、可能な場合であれば、類似の参照指定符号が提供されるであろう。本明細書では、例示的な実施形態を説明するために具体的な言語が使用されるであろう。しかし、それによって本発明の範囲を制限しようとするものではない。むしろ、例示的な実施形態を説明するために使用された言語は、単に例示的なものであるだけで、(そのような言語が本明細書で必須であると明白に記載されていない限り)本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0104】
詳細な説明をセクションに分けたが、各セクション内のセクション題目及び目次は、構成目的のみのものであり、独立した詳細な説明及び実施形態であることを意図したり、詳細な説明又は特許請求の範囲を制限することを意図したりしたものではない。むしろ、詳細な説明内の各セクションの内容は、1つのセクションの構成要素が他のセクションに関連し、及び/又は他のセクションに情報を提供できる、集合的な全体として読み理解させることを意図している。したがって、あるセクション内で具体的に開示された実施形態は、同じ及び/又は類似の製品、方法及び/又は用語を有する別のセクションの追加的及び/又は代案的実施形態に関連し、及び/又はその役割を果たすこともできる。
【0105】
本発明の特定の実施形態を具体的な構成、パラメータ、成分、構成要素などを参照して詳細に説明するが、これらの説明は例示的なものであり、特許請求された発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0106】
さらに、説明された実施形態の成分の任意の与えられた構成要素において、該当構成要素又は成分に対して列挙された任意の可能な代案物は、暗黙的又は明示的に特に明示されていない限り、一般的に別々に使用するか、又は相互に組み合わせて使用できることを理解すべきである。
【0107】
さらに、他に明示しない限り、明細書及び特許請求の範囲に使用された数量、成分、距離又はその他の測定値を示す数字は、任意に「約」という用語又はその同義語によって修飾されるものとして理解されるべきである。「約」、「およそ」、「実質的に」などの用語が、言及された量、値、又は条件と共に使用される場合、それは、前記言及された量、値又は条件の20%未満、10%未満、5%未満、1%未満、0.1%未満又は0.01%未満から外れる量、値又は条件を意味するものとみなすことができる。少なくとも、均等論の適用を特許請求の範囲に制限しようとする試みではなく、各数値パラメータは、記録された有効桁数を考慮し、通常の丸め手法を適用して解釈されるべきである。
【0108】
本明細書で使用された任意の題目及び副題目は、構成的な目的のみで使用したものであり、詳細な説明又は特許請求の範囲を制限するために使用したものではない。
また、本明細書及び添付の特許請求の範囲に使用される単数形(「a」、「an」及び「the」)は、文脈上、明らかに異なる意味を持たない限り、複数の指示対象も排除しないことに留意されたい。したがって、例えば、単一の指示対象(例えば、「ウィジェット」)を言及する実施形態は、2つ以上のそのような指示対象を含むこともできる。
【0109】
また、本明細書に説明された実施形態は、1つ以上の個別の実施形態で説明される属性及び/又は特徴(例えば、成分、構成要素、部材、要素、部品及び/又は部分)も含んでもよく、該当特定の実施形態で明示的に説明された特徴に必ずしも厳しく限定されないことも理解されるであろう。したがって、提供された実施形態の様々な特徴は、本発明の他の実施形態と組み合わせ及び/又はそれに統合されることもできる。したがって、本発明の特定の実施形態についての具体的な特徴の開示は、該当特定の実施形態についての前記特徴の応用又は包含を制限するものとして解釈されるべきではない。むしろ、他の実施形態もそのような特徴を含むことができるということも理解されるであろう。
【0110】
[表]
表1:アトピー性皮膚炎(AD)、食物アレルギー性皮膚炎(FAD)、ノミアレルギー性皮膚炎(FLAD)、及び環境アレルギー性皮膚炎(EAD)を予測する微生物
【0111】
【表1-1】
【0112】
【表1-2】
【0113】
【表1-3】
【0114】
【表1-4】
【0115】
【表1-5】
【0116】
【表1-6】
【0117】
【表1-7】
【0118】
【表1-8】
【0119】
【表1-9】
【0120】
【表1-10】
【0121】
表2:喘息を予測する微生物
【0122】
【表2-1】
【0123】
【表2-2】
【0124】
【表2-3】
【0125】
表3:喘息に対する予測微生物とこれらの分類学的分類。合計112の予測微生物(表2を参照)のうち、12.5%がグラム陽性バクテリアである。
【0126】
【表3】
【0127】
表4:食物アレルギー性皮膚炎を予測する微生物とこれらの分類学的分類。合計122の食物アレルギー性皮膚炎の予測微生物(表1を参照)のうち、約10.66%がグラム陽性菌である。「カンディダタス」は、特性がよく知られているが、まだ培養されていないバクテリアを意味する。
【0128】
【表4】
【0129】
表5:ノミアレルギー性皮膚炎を予測する微生物とこれらの分類学的分類。合計99のノミアレルギー性皮膚炎の予測微生物(表1を参照)のうち、約11.11%がグラム陽性菌である。「カンディダタス」は、特性がよく知られているが、まだ培養されていないバクテリアを意味する。
【0130】
【表5】
【0131】
表6:アトピー性皮膚炎を予測する微生物とこれらの分類学的分類。合計86のアトピー性皮膚炎の予測微生物(表1を参照)のうち、約11.63%がグラム陽性菌である。「カンディダタス」は、特性がよく知られているが、まだ培養されていないバクテリアを意味する。
【0132】
【表6】
【0133】
表7:環境アレルギー性皮膚炎を予測する微生物とこれらの分類学的分類。合計110の環境アレルギー性皮膚炎の予測微生物(表1を参照)のうち、約7.27%がグラム陽性菌である。「カンディダタス」は、特性がよく知られているが、まだ培養されていないバクテリアを意味する。
【0134】
【表7】
【0135】
表8:喘息に対する各予測微生物の相対的存在量の増加又は減少。
【0136】
【表8-1】
【0137】
【表8-2】
【0138】
【表8-3】
【0139】
【表8-4】
【0140】
表9:食物アレルギー性皮膚炎に対する各予測微生物の相対的存在量の増加又は減少。
【0141】
【表9-1】
【0142】
【表9-2】
【0143】
【表9-3】
【0144】
【表9-4】
【0145】
表10:ノミアレルギー性皮膚炎に対する各予測微生物の相対的存在量の増加又は減少。
【0146】
【表10-1】
【0147】
【表10-2】
【0148】
【表10-3】
【0149】
【表10-4】
【0150】
表11:アトピー性皮膚炎に対する各予測微生物の相対的存在量の増加又は減少。
【0151】
【表11-1】
【0152】
【表11-2】
【0153】
【表11-3】
【0154】
表12:環境アレルギー性皮膚炎に対する各予測微生物の相対的存在量の増加又は減少。
【0155】
【表12-1】
【0156】
【表12-2】
【0157】
【表12-3】
【0158】
[結論]
前述した詳細な説明は例示的な特定の実施形態を言及したが、本発明は、その概念又は本質的な特徴から逸脱することなく他の特定の形態で実現することができる。したがって、記述された実施形態は、あらゆる点において例示的なことのみ考慮されるべきであり、制限的なものではない。例えば、本明細書に記述及び/又は例示された本発明の特徴に対する様々な置換、変更、及び/又は変形と、本明細書に記述及び/又は例示された原理の追加の応用は、関連技術分野の熟練者及び本発明を所有する者に生じ得るものであり、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の概念及び範囲から逸脱することなく、前記記述及び/又は例示された実施形態に対して行われることができる。このような置換、変更及び/又は変形は、本開示内容の範囲内であると考慮される。
【0159】
したがって、本発明の範囲は、前述した詳細な説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲に言及された限定事項は、前述した詳細な説明に記述された特定の実施例に限定されるものではなく、該当特許請求の範囲に使用された言語に基づいて広く解釈されるべきであり、このような実施例は排他的ではなく完全ではないものとして解釈されるべきである。特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内にある全ての変更は、その範囲内に含まれるであろう。
【0160】
また、特定の実施形態の様々な特徴が本発明の他の実施形態と両立可能であり、組み合わせられる、含まれる、及び/又は統合されることも理解できるであろう。例えば、本発明の特定の実施形態によるシステム、方法及び/又は製品は、本明細書に開示及び/又は記述された他の実施形態に記述された特徴を含む、統合する、又は異なるように構成することができる。したがって、本発明の特定の実施形態に関する具体的な特徴の開示は、該当特定の実施形態に対する前記特徴の応用又は含むことを制限するものと解釈されるべきではない。
【0161】
さらに、ある特徴が特定の実施形態において必要であると説明されていない限り、様々な実施形態において記述された特徴は任意なものであってもよく、本発明の他の実施形態に含まれていなくてもよい。さらに、ある特徴がその組み合わせにおいて他の特徴を必要であると説明されていない限り、本明細書の任意の特徴は、本明細書に開示された同じ又は異なる実施形態の任意の他の特徴と組み合わせることもできる。特定の実施形態では該当特徴が任意であり得るが、このような実施形態に該当特徴が含まれる場合、これらは本発明に記述されたような特定の構成を有することが必要であることも分かるであろう。
【0162】
同様に、本明細書に記述及び/又は特許請求の範囲に言及された任意の方法又は工程で引用された任意のステップは、任意の適切な順序で実行することができ、(明示的又は暗黙的に)特に明示されていない限り、必ずしも記述及び/又は言及された順序に限定されるものではない。しかし、このようなステップは、本発明の特定の実施形態では、特定の順序又は任意の適切な順序で実行することが要求される可能性もある。
【0163】
さらに、例示的な実施形態の態様を曖昧にすることを避けるために、例示的なシステム、方法、製品などの様々な周知の態様は、本明細書に特に詳細に記述しない。しかし、そのような態様も本明細書では考慮される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】