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特表2024-526339データ伝送方法及び装置、ネットワークデバイス、並びにコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】データ伝送方法及び装置、ネットワークデバイス、並びにコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04J 3/16 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
H04J3/16 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501871
(86)(22)【出願日】2022-07-04
(85)【翻訳文提出日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 CN2022103679
(87)【国際公開番号】W WO2023284578
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】202110786820.8
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511151662
【氏名又は名称】中興通訊股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZTE CORPORATION
【住所又は居所原語表記】ZTE Plaza,Keji Road South,Hi-Tech Industrial Park,Nanshan Shenzhen,Guangdong 518057 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉 峰
【テーマコード(参考)】
5K028
【Fターム(参考)】
5K028AA14
5K028JJ01
5K028MM04
(57)【要約】
本開示の実施例は、データ伝送方法及び装置、ネットワークデバイス、並びに記憶媒体を提供する。上記方法は、第1のネットワークデバイスが、現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがあるか否かを判断するステップと、現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを第2のネットワークデバイスに送信するステップであって、予め設定された識別メッセージには時間ウインドウのウインドウ値を含めており、ウインドウ値は、第2のネットワークデバイスが第1のネットワークデバイスの異なる時間ウインドウの切替時刻を決定するために使用される、ステップと、を含む。本開示により、下流デバイスが上流デバイスの時間ウインドウの異常率を検出できないという問題を解決し、そのうえ、障害復旧時間を短縮し、通信効率を向上させる効果を達成している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のネットワークデバイスが、現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがあるか否かを判断するステップと、
前記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、前記第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを第2のネットワークデバイスに送信するステップであって、前記予め設定された識別メッセージには前記時間ウインドウのウインドウ値を含めており、前記ウインドウ値は、前記第2のネットワークデバイスが前記第1のネットワークデバイスの異なる時間ウインドウの切替時刻を決定するために使用される、ステップと、
を含む、データ伝送方法。
【請求項2】
前記第1のネットワークデバイスが、現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがあるか否かを判断するステップは、
前記第1のネットワークデバイスが、現在の時間ウインドウの切替時刻より前の時間セグメント内に送信待ちメッセージがあるか否かを判断する、又は、
前記第1のネットワークデバイスが、現在の時間ウインドウの切替後の時間セグメント内に送信待ちメッセージがあるか否かを判断するステップであって、前記時間セグメントは、イーサネットメッセージが送信された時間を示すために使用される、ステップ、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、前記第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを前記第2のネットワークデバイスに送信するステップは、
前記現在の時間ウインドウの切替時刻より前の時間セグメント内に送信待ちメッセージがない場合、前記第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを第2のネットワークデバイスに送信する、又は、
前記現在の時間ウインドウの切替後の時間セグメント内に送信待ちメッセージがない場合、前記第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを前記第2のネットワークデバイスに送信するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記予め設定された識別メッセージは、タイプタグフィールドを含み、前記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、前記第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを前記第2のネットワークデバイスに送信するステップは、
前記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、前記第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを前記第2のネットワークデバイスに送信することにより、前記第2のネットワークデバイスが、前記タイプタグフィールドに基づいて、前記予め設定された識別メッセージのタイプを決定し、前記現在の時間ウインドウのウインドウ値を抽出し、前記予め設定された識別メッセージを破棄するステップ、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記送信待ちメッセージの送信ポートが複数のタイプの時間ウインドウを有し、各タイプの時間ウインドウの現在の時間ウインドウの切替時刻に前記送信待ちメッセージがない場合、前記第1のネットワークデバイスが、タイプタグを含む前記予め設定された識別メッセージを前記第2のネットワークデバイスに送信することにより、前記第2のネットワークデバイスが、前記タイプタグに基づいて、複数のタイプのメッセージの時間ウインドウの切替時刻を決定するステップであって、前記タイプタグは、異なるウインドウタイプを表すために使用される、ステップ、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記予め設定された識別メッセージは、
データトラフィックを制御するためのpauseメッセージ、VLANタグのメッセージ、メッセージの宛先アドレス及び送信元アドレスを含むメッセージ、コードブロックストリームシーケンスのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、第2のネットワークデバイスが、第1のネットワークデバイスから送信された予め設定された識別メッセージを受信し、前記第1のネットワークデバイスの現在の時間ウインドウの切替時刻を決定するステップであって、前記予め設定された識別メッセージは、前記現在の時間ウインドウのウインドウ値を含む、ステップと、
前記第2のネットワークデバイスが前記現在の時間ウインドウのウインドウ値を受信した後、前記予め設定された識別メッセージを破棄するステップと、
を含む、データ伝送方法。
【請求項8】
前記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、前記第2のネットワークデバイスが、第1のネットワークデバイスから送信された予め設定された識別メッセージを受信するステップは、
前記現在の時間ウインドウの切替時刻より前の時間セグメント内に送信待ちメッセージがない場合、前記第2のネットワークデバイスが、前記第1のネットワークデバイスから送信された前記予め設定された識別メッセージを受信する、又は、
前記現在の時間ウインドウの切替後の時間セグメント内に送信待ちメッセージがない場合、前記第2のネットワークデバイスが、前記第1のネットワークデバイスから送信された前記予め設定された識別メッセージを受信するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記予め設定された識別メッセージは、第1のタグフィールドを含み、前記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、前記第2のネットワークデバイスが、第1のネットワークデバイスから送信された予め設定された識別メッセージを受信するステップは、
前記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、前記第2のネットワークデバイスが、受信された前記第1のタグフィールドに基づいて、前記予め設定された識別メッセージのタイプを決定するステップと、
前記現在の時間ウインドウのウインドウ値を抽出し、前記予め設定された識別メッセージを破棄するステップと、を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記送信待ちメッセージの送信ポートが複数のタイプの時間ウインドウを含み、対応する各タイプの時間ウインドウが、それぞれの現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージを有していない場合、第2のネットワークデバイスが、前記第1のネットワークデバイスから送信された複数の時間ウインドウタイプのメッセージを受信するステップであって、前記複数の時間ウインドウタイプのメッセージは、異なるタイプタグを含む、ステップと、
前記タイプタグに基づいて、複数のタイプのメッセージの時間ウインドウの切替時刻を決定するステップと、を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがあるか否かを判断する判断ユニットと、
前記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを第2のネットワークデバイスに送信するように構成される送信ユニットであって、前記予め設定された識別メッセージには前記時間ウインドウのウインドウ値を含めており、前記ウインドウ値は、第2のネットワークデバイスが前記第1のネットワークデバイスの異なる時間ウインドウの切替時刻を決定するために使用される、送信ユニットと、
を含むデータ伝送装置。
【請求項12】
現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、第2のネットワークデバイスが、第1のネットワークデバイスから送信された予め設定された識別メッセージを受信し、前記第1のネットワークデバイスの現在の時間ウインドウの切替時刻を決定するように構成される決定ユニットであって、前記予め設定された識別メッセージは、前記現在の時間ウインドウのウインドウ値を含む、決定ユニットと、
前記第2のネットワークデバイスが前記現在の時間ウインドウのウインドウ値を受信した後に、前記予め設定された識別メッセージを破棄するように構成される破棄ユニットと、
を含むデータ伝送装置。
【請求項13】
現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがあるか否かを判断する判断ユニットと、
前記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを第2のネットワークデバイスに送信するように構成される送信ユニットであって、前記予め設定された識別メッセージには前記時間ウインドウのウインドウ値を含めており、前記ウインドウ値は、第2のネットワークデバイスが前記第1のネットワークデバイスの異なる時間ウインドウの切替時刻を決定するために使用される、送信ユニットと、
を含むネットワークデバイス。
【請求項14】
現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、第2のネットワークデバイスが、第1のネットワークデバイスから送信された予め設定された識別メッセージを受信し、前記第1のネットワークデバイスの現在の時間ウインドウの切替時刻を決定するように構成される決定ユニットであって、前記予め設定された識別メッセージは、前記現在の時間ウインドウのウインドウ値を含む、決定ユニットと、
前記第2のネットワークデバイスが前記現在の時間ウインドウのウインドウ値を受信した後に、前記予め設定された識別メッセージを破棄するように構成される破棄ユニットと、
を含むネットワークデバイス。
【請求項15】
コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ読取可能な記憶媒体であって、前記コンピュータプログラムは、実行されると、請求項1~6又は請求項7~10のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成される、コンピュータ読取可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本開示は、2021年07月12日にて出願した、発明の名称が「データ伝送方法及び装置、ネットワークデバイス、並びに記憶媒体」である中国特許出願CN202110786820.8に基づくものであり、当該特許出願の優先権を主張しており、その内容の全ては参照により本開示に組み込まれる。
[技術分野]
本開示は、通信技術の分野に関し、具体的には、データ伝送方法及び装置、ネットワークデバイス、並びに記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット技術の盛んな発展に伴い、ネットワーク上の伝送情報の内容は音声サービスからデータサービスに変わり、通信ネットワークは音声サービス向けのSDH技術ネットワークからデータメッセージ向けのイーサネット(登録商標)技術ネットワークに変わった。関連技術では、ネットワークにTSN(Time-Sensitive Networking:時間に敏感なネットワーキング)技術が提案されている。TSN技術では、タイムゲートキュースケジューリング技術(すなわちCQF技術、cyclic queuing and forwarding、サイクリック・キューイング/フォワーディング)を使用して、ある時間ウインドウ内でクライアントメッセージを受信し、その後、受信されたクライアントメッセージをすべて次の時間ウインドウ内で送信する。
【0003】
非同期CQF技術を採用した後、下流デバイスは、メッセージに含めた時間ウインドウ値を抽出することで、メッセージが上流デバイスにおいてどの時間ウインドウで送信されたかを取得し、メッセージに含めた時間ウインドウ値に頼っている。メッセージに含めたウインドウ値の変化状況から上流デバイスの時間ウインドウの切替時刻を知ることができる。上流デバイスから送信されたメッセージが少ない場合、又はメッセージが送信されていない場合、下流デバイスは上流デバイスの時間ウインドウの切替時刻を正確に判断することができない。上流デバイスに障害や異常が発生し、上流デバイスの時間ウインドウがホッピングした一方、下流デバイスが上流デバイスの時間ウインドウの異常を検出できず、依然として以前の時間ウインドウに従ってメッセージを転送する場合、その転送操作は新しい時間ウインドウの要求を満たすことができず、転送操作の誤りが発生し、重大な場合にはクライアントサービスの中断を招く。
【0004】
上流デバイスに障害や異常が発生し、下流デバイスが上流デバイスの時間ウインドウの異常を検出できないという上記の課題に対して、未だに有効な対応策が提案されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の実施例は、少なくとも、下流デバイスが上流デバイスの時間ウインドウの異常率を検出できないという問題を解決するために、データ伝送方法及び装置、ネットワークデバイス、並びに記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施例によれば、第1のネットワークデバイスが、現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがあるか否かを判断するステップと、上記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、上記第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを上記第2のネットワークデバイスに送信するステップであって、上記予め設定された識別メッセージには上記時間ウインドウのウインドウ値を含めており、上記ウインドウ値は、第2のネットワークデバイスが上記第1のネットワークデバイスの異なる時間ウインドウの切替時刻を決定するために使用される、ステップと、を含む、データ伝送方法が提供される。
【0007】
本開示の別の実施例によれば、現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、上記第2のネットワークデバイスが、第1のネットワークデバイスから送信された予め設定された識別メッセージを受信し、上記第1のネットワークデバイスの現在の時間ウインドウの切替時刻を決定するステップであって、上記予め設定された識別メッセージは、上記現在の時間ウインドウのウインドウ値を含む、ステップと、上記第2のネットワークデバイスが上記現在の時間ウインドウのウインドウ値を受信した後、上記予め設定された識別メッセージを破棄するステップと、を含む、データ伝送方法が提供される。
【0008】
本開示の別の実施例によれば、現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがあるか否かを判断する判断ユニットと、上記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、上記第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを上記第2のネットワークデバイスに送信するように構成される送信ユニットであって、上記予め設定された識別メッセージには上記時間ウインドウのウインドウ値を含めており、上記ウインドウ値は、第2のネットワークデバイスが上記第1のネットワークデバイスの異なる時間ウインドウの切替時刻を決定するために使用される、送信ユニットと、を含む、データ伝送装置が提供される。
【0009】
本開示の別の実施例によれば、現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、上記第2のネットワークデバイスが、第1のネットワークデバイスから送信された予め設定された識別メッセージを受信し、上記第1のネットワークデバイスの現在の時間ウインドウの切替時刻を決定するように構成される決定ユニットであって、上記予め設定された識別メッセージは、上記現在の時間ウインドウのウインドウ値を含む決定ユニットと、上記第2のネットワークデバイスが上記現在の時間ウインドウのウインドウ値を受信した後に、上記予め設定された識別メッセージを破棄するように構成される、破棄ユニットと、を含む、データ伝送装置が提供される。
【0010】
本開示のさらに別の実施例によれば、コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ読取可能な記憶媒体であって、上記コンピュータプログラムは、実行されると、上述したいずれかの方法の実施例のステップを実行するように構成される、コンピュータ読取可能な記憶媒体がさらに提供される。
【0011】
本開示のさらに別の実施例によれば、コンピュータプログラムが記憶されているメモリと、上述したいずれかの方法の実施例のステップを実行するために前記コンピュータプログラムを実行するように構成されるプロセッサと、を含む電子装置がさらに提供される。
【発明の効果】
【0012】
本開示の実施例によれば、現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがあるか否かを判断し、上記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、上記第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを上記第2のネットワークデバイスに送信し、ここで、上記予め設定された識別メッセージには上記時間ウインドウのウインドウ値を含めており、上記ウインドウ値は、第2のネットワークデバイスが上記第1のネットワークデバイスの異なる時間ウインドウの切替時刻を決定するために使用されるという構成を採用しているため、特定のメッセージを追加送信する方式により、下流デバイスが上流デバイスの時間ウインドウの切替位置を正確に知ることができるようになり、下流デバイスはホッピング後の新しい時間ウインドウに従って迅速にクライアントサービスを転送し、障害復旧時間を短縮し、通信効率を向上させることが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の実施例によるデータ伝送方法のモバイル端末のハードウェアの構成ブロック図である。
図2】本開示の実施例によるデータ伝送方法のフローチャートである。
図3】本開示の実施例による別のデータ伝送方法のフローチャートである。
図4】本開示の実施例による、イーサネットネットワークでメッセージを伝送する過程を示す模式図である。
図5】本開示の実施例によるCQFスケジューリング技術の動作過程を示す模式図である。
図6】本開示の実施例による、同期CQF技術における光ファイバ遅延時間によるメッセージ遅延問題を示す模式図である。
図7】本開示の実施例による、同期CQF技術におけるメッセージの伝達状況を示す模式図である。
図8】本開示の実施例による非同期CQF技術の動作過程を示す模式図である。
図9】本開示の実施例による非同期CQF技術が遭遇する問題を示す模式図である。
図10】本開示の実施例による、時間ウインドウの切替時刻の前後の両方の時間セグメントの位置を示す模式図である。
図11】本開示の実施例によるデータ伝送方法の構成を示す模式図である。
図12】本開示の実施例によるイーサネットメッセージのフォーマットの構成を示す模式図である。
図13】本開示の実施例による、符号化層におけるイーサネットメッセージのフォーマットを示す模式図である。
図14】本開示の実施例によるpauseフレームに含めた時間ウインドウ値の構成を示す模式図である。
図15】本開示の実施例によるデータ伝送方法の別の構成を示す模式図である。
図16】本開示の実施例によるデータ伝送方法のさらに別の構成を示す模式図である。
図17】本開示の実施例によるデータ伝送方法の応用場面を示す模式図である。
図18】本開示の実施例によるデータ伝送方法の異なる時間ウインドウ値の構成を示す模式図である。
図19】本開示の実施例によるデータ伝送装置の構成を示す模式図である。
図20】本開示の実施例による別のデータ伝送装置の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら実施例に即して本開示の実施例を詳細に説明する。
なお、本開示の明細書及び特許請求の範囲並びに上述した図面における「第1」、「第2」などの用語は、類似する対象を区別するためのものであり、特定した順序又は優先順位を説明するためのものではない。
【0015】
本願の実施例で提供される方法の実施例は、モバイル端末、コンピュータ端末、又は類似する演算装置において実行することができる。モバイル端末で実行することを例にして、図1は、本開示の実施例によるデータ伝送方法のモバイル端末のハードウェアの構成ブロック図である。図1に示すように、モバイル端末は、1つ又は複数の(図1には1つのみが示されている)プロセッサ102(プロセッサ102は、マイクロプロセッサMCU又はプログラマブルロジックデバイスFPGAなどの処理装置を含むことができるが、これらに限定されることはない)と、データを記憶するためのメモリ104とを含むことができ、上記モバイル端末は、通信機能のための伝送デバイス106及び入出力デバイス108をさらに含んでもよい。図1に示される構成は模式的なものに過ぎず、上記モバイル端末の構成を限定するものではないことは、当業者であれば理解できる。例えば、モバイル端末は、図1に示されるものよりも多い又は少ないコンポーネントを含むか、又は図1に示されるものとは異なる構成を有することができる。
【0016】
メモリ104は、コンピュータプログラム、例えば、本開示の実施例におけるデータ伝送方法に対応するコンピュータプログラムのようなアプリケーションソフトウェアのソフトウェアプログラム及びモジュールを記憶するために使用されてもよく、プロセッサ102は、メモリ104内に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、種々の機能アプリケーション及びデータ処理を実行し、すなわち、上述した方法を実現する。メモリ104は、高速ランダムアクセスメモリを含むことができ、さらに、不揮発性メモリ、例えば1つ又は複数の磁気記憶装置、フラッシュメモリ、又は他の不揮発性固体メモリを含むことができる。いくつかの例では、メモリ104は、プロセッサ102に対して遠隔配置されたメモリをさらに含んでもよく、これらの遠隔メモリは、ネットワークを介してモバイル端末に接続されることができる。上述したネットワークの例は、インターネット、イントラネット、ローカルエリアネットワーク、移動通信網、及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されることはない。
【0017】
伝送デバイス106は、ネットワークを介してデータの送受信を行う。上述したネットワークの具体的な例は、モバイル端末の通信ベンダによって提供される無線ネットワークを含むことができる。一例では、伝送デバイス106は、基地局を介して他のネットワークデバイスに接続されてインターネットと通信可能であるネットワークアダプタ(Network Interface Controller、略してNIC)を含む。一例では、伝送デバイス106は、無線の方式によりインターネットと通信するための無線周波数(Radio Frequency、略してRF)モジュールであってもよい。
【0018】
図2は、本開示の実施例によるデータ伝送方法のフローチャートであり、図2に示すように、そのフローは、以下のステップS202~S204を含む。
【0019】
ステップS202では、第1のネットワークデバイスが、現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがあるか否かを判断する。
【0020】
ステップS204では、上記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、上記第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを上記第2のネットワークデバイスに送信し、ここで、上記予め設定された識別メッセージには上記時間ウインドウのウインドウ値を含めており、上記ウインドウ値は、第2のネットワークデバイスが上記第1のネットワークデバイスの異なる時間ウインドウの切替時刻を決定するために使用される。
【0021】
ステップS202において、実際の応用において、第1のネットワークデバイスは、ネットワークメッセージの伝送中における上流デバイスを含むことができるが、これに限定されることはなく、第2のネットワークデバイスは、ネットワークメッセージの伝送中における下流デバイスを含むことができるが、これに限定されることはない。第1のネットワークデバイスは、データメッセージを第2のネットワークデバイスに送信することができる。
【0022】
ステップS204において、実際の応用において、上流デバイスと下流デバイスとの間で時間の同期をとる必要はなく、上流デバイスの時間ウインドウの切替時刻と下流デバイスの時間ウインドウの切替時刻とを異ならせてもよく、上下流デバイス間でクロック周波数を同期させ、上下流デバイス間で時間ウインドウの切替速度を同じにすればよい。上流デバイスはメッセージを送信する際に、そのメッセージに上流デバイスの送信時間ウインドウ値を含め、下流デバイスはメッセージを受信した際に、メッセージに含めた時間ウインドウ値を抽出することで、メッセージが上流デバイスにおいてどの時間ウインドウ内で送信されたかを知ることができる。データメッセージの伝送中に、ある時間ウインドウ内でクライアントメッセージを受信し、その後、受信されたクライアントメッセージをすべて次の時間ウインドウ内で送信する。このように、ある時間ウインドウ内のすべてのメッセージは同一の時間ウインドウ内で送受信され、同一の時間ウインドウ内のメッセージは、ネットワークのどのノードで伝送する時も常に同一の時間ウインドウ内に保つ。
【0023】
本開示によれば、現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがあるか否かを判断し、上記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、上記第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを上記第2のネットワークデバイスに送信し、ここで、上記予め設定された識別メッセージには上記時間ウインドウのウインドウ値を含めており、上記ウインドウ値は、第2のネットワークデバイスが上記第1のネットワークデバイスの異なる時間ウインドウの切替時刻を決定するために使用されるという構成を採用しているため、特定のメッセージを追加送信する方式により、下流デバイスが上流デバイスの時間ウインドウの切替位置を正確に知ることができるようになり、下流デバイスはホッピング後の新しい時間ウインドウに従って迅速にクライアントサービスを転送し、障害復旧時間を短縮し、通信効率を向上させることが実現される。
【0024】
一実施例では、上記ステップS202において、上記第1のネットワークデバイスが、現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがあるか否かを判断するステップは、
上記第1のネットワークデバイスが、現在の時間ウインドウの切替時刻より前の時間セグメント内に送信待ちメッセージがあるか否かを判断する、又は、上記第1のネットワークデバイスが、現在の時間ウインドウの切替後の時間セグメント内に送信待ちメッセージがあるか否かを判断するステップであって、上記時間セグメントは、イーサネットメッセージが送信された時間を示すために使用される、ステップを含む。
【0025】
一実施例では、上記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、上記第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを上記第2のネットワークデバイスに送信するステップは、
上記現在の時間ウインドウの切替時刻より前の時間セグメント内に送信待ちメッセージがない場合、上記第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを上記第2のネットワークデバイスに送信する、又は、
上記現在の時間ウインドウの切替後の時間セグメント内に送信待ちメッセージがない場合、上記第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを上記第2のネットワークデバイスに送信するステップ、を含む。
【0026】
一実施例では、上記予め設定された識別メッセージは、タイプタグフィールドを含み、上記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、上記第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを上記第2のネットワークデバイスに送信するステップは、
上記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、上記第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを上記第2のネットワークデバイスに送信することにより、上記第2のネットワークデバイスが、上記タイプタグフィールドに基づいて、上記予め設定された識別メッセージのタイプを決定し、上記現在の時間ウインドウのウインドウ値を抽出し、上記予め設定された識別メッセージを破棄するステップ、を含む。
【0027】
一実施例では、上記データ伝送方法は、上記送信待ちメッセージの送信ポートが複数のタイプの時間ウインドウを有し、各タイプの時間ウインドウの現在の時間ウインドウの切替時刻に上記送信待ちメッセージがない場合、上記第1のネットワークデバイスが、タイプタグを含む上記予め設定された識別メッセージを上記第2のネットワークデバイスに送信することにより、上記第2のネットワークデバイスが、上記タイプタグに基づいて、上記複数のタイプのメッセージの時間ウインドウの切替時刻を決定するステップであって、上記タイプタグは、異なるウインドウタイプを表すために使用される、ステップ、をさらに含む。
【0028】
一実施例では、上記予め設定された識別メッセージは、データトラフィックを制御するためのpauseメッセージ、VLANタグのメッセージ、メッセージの宛先アドレス及び送信元アドレスを含むメッセージ、コードブロックストリームシーケンスのうちの少なくとも1つを含む。
【0029】
図3は、本開示の実施例による別のデータ伝送方法のフローチャートであり、図3に示すように、そのフローは、以下のステップS302~S304を含む。
【0030】
ステップS302では、現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、上記第2のネットワークデバイスが、第1のネットワークデバイスから送信された予め設定された識別メッセージを受信し、上記第1のネットワークデバイスの現在の時間ウインドウの切替時刻を決定し、ここで、上記予め設定された識別メッセージは、上記現在の時間ウインドウのウインドウ値を含む。
【0031】
ステップS304では、上記第2のネットワークデバイスが上記現在の時間ウインドウのウインドウ値を受信した後、上記予め設定された識別メッセージを破棄する。
【0032】
一実施例では、ステップS302において、上記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、上記第2のネットワークデバイスが、第1のネットワークデバイスから送信された予め設定された識別メッセージを受信するステップは、
上記現在の時間ウインドウの切替時刻より前の時間セグメント内に送信待ちメッセージがない場合、上記第2のネットワークデバイスが、上記第1のネットワークデバイスから送信された上記予め設定された識別メッセージを受信する、又は、
上記現在の時間ウインドウの切替後の時間セグメント内に送信待ちメッセージがない場合、上記第2のネットワークデバイスが、上記第1のネットワークデバイスから送信された上記予め設定された識別メッセージを受信するステップ、を含む。
【0033】
一実施例では、上記予め設定された識別メッセージは、第1のタグフィールドを含み、上記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、上記第2のネットワークデバイスが、第1のネットワークデバイスから送信された予め設定された識別メッセージを受信するステップは、
上記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、上記第2のネットワークデバイスが、受信された上記第1のタグフィールドに基づいて、上記予め設定された識別メッセージのタイプを決定するステップと、上記現在の時間ウインドウのウインドウ値を抽出し、上記予め設定された識別メッセージを破棄するステップと、を含む。
【0034】
一実施例では、上記データ伝送方法は、上記送信待ちメッセージの送信ポートが複数のタイプの時間ウインドウを含み、対応する各タイプの時間ウインドウが、それぞれの現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージを有していない場合、第2のネットワークデバイスが、上記第1のデバイスから送信された複数の時間ウインドウタイプのメッセージを受信するステップであって、上記複数の時間ウインドウタイプのメッセージは、異なるタイプタグを含む、ステップと、上記タイプタグに基づいて、上記複数のタイプのメッセージの時間ウインドウの切替時刻を決定するステップと、をさらに含む。
【0035】
本開示の実施例によれば、現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、上記第2のネットワークデバイスが、第1のネットワークデバイスから送信された予め設定された識別メッセージを受信し、上記第1のネットワークデバイスの現在の時間ウインドウの切替時刻を決定し、ここで、上記予め設定された識別メッセージは、上記現在の時間ウインドウのウインドウ値を含み、そして、上記第2のネットワークデバイスが上記現在の時間ウインドウのウインドウ値を受信した後、上記予め設定された識別メッセージを破棄するという構成を採用しているため、特定のメッセージを追加送信する方式により、下流デバイスが上流デバイスの時間ウインドウの切替位置を正確に知ることができるようになり、下流デバイスはホッピング後の新しい時間ウインドウに従って迅速にクライアントサービスを転送し、障害復旧時間を短縮し、通信効率を向上させることが実現される。
【0036】
インターネット技術の盛んな発展に伴い、ネットワーク上の伝送情報の内容は音声サービスからデータサービスに変わり、通信ネットワークは音声サービス向けのSDH技術ネットワークからデータメッセージ向けのイーサネット技術ネットワークに変わった。通常のイーサネットメッセージの長さは固定値ではなく(64バイトから9600バイトの間)、伝送中に、メッセージストリームにおいて様々な長さのメッセージが混在して伝送されることがあり、これらのメッセージは処理過程で相互に影響し合うため、機器内部ではクライアントメッセージを処理する時の実際の処理時間は不確定となり、メッセージ処理遅延時間は不確定となる。例えば、複数の異なるポートからのメッセージが1つの出力ポートに集まると、低優先度の長いパケットが高優先度の短いパケットをブロックする現象が発生する。例えば、低優先度の長いパケットが出力されている中、出力する必要のある高優先度の短いメッセージを受信したとすると、高優先度の短いメッセージは、送信優先度が高いものの、低優先度のメッセージの送信中にメッセージ中断現象が発生するのを回避するために、低優先度の長いメッセージが送信され終わるのを待ってから、外への送信を開始する必要がある。低優先度メッセージの長さはランダムであるため、高優先度メッセージの待ち時間は不確定であり、高優先度メッセージの待ち遅延時間は不確定であり、遅延やジッタが大きい。低優先度メッセージは長い可能性があるため、対応する高優先度メッセージの待ち時間は長くなり、その待ち時間を、高優先度の短いパケットのメッセージが実際に必要とする送信時間(短いパケットの送信時間は短い)と比べると、その待ち時間は実際の送信時間よりもはるかに長くなり、その結果、高優先度メッセージが装置内部に滞留する主な原因は、ブロッキングによる待ち時間であるが、実際にはその処理時間は非常に短い。メッセージをネットワーク上で多くのデバイスを介して伝送する際に、各サイトで不確定な遅延及びジッタが発生するため、複数のサイトでの遅延及びジッタが重畳して蓄積されると、メッセージの総伝送遅延時間及びジッタが大いに蓄積され、メッセージの伝送品質に影響を与える。
【0037】
現在の改良技術としては、ネットワークにTSN(Time-Sensitive Networking:時間に敏感なネットワーキング)技術が提案されている。TSN技術では、タイムゲートキュースケジューリング技術(すなわちCQF技術、cyclic queuing and forwarding、サイクリック・キューイング/フォワーディング)を使用して、ある時間ウインドウ内でクライアントメッセージを受信し、その後、受信されたクライアントメッセージをすべて次の時間ウインドウ内で送信する。このように、ある時間ウインドウ内のすべてのメッセージは同一の時間ウインドウ内で送受信され、同一の時間ウインドウ内のメッセージは、ネットワークのどのノードで伝送する時も常に同一の時間ウインドウ内に保つ。メッセージのネットワーク上での総伝達時間をn*Tとし、ただし、nは通過するネットワークノードの数であり、Tは時間ウインドウのサイズである。メッセージはある時間ウインドウ内で変動可能であるが、時間ウインドウを超えることはなく、メッセージの変動によるジッタ値はTよりも小さいため、メッセージのネットワーク上での確実な伝送が可能となる。CQF技術は、上下流デバイス間の時間の同期を必要とし、上流デバイスと下流デバイスとは、時間の同期をとった場合、同一時刻で送信時間ウインドウと受信時間ウインドウを同時に切り替えるため、この技術は、上下流デバイス間の距離が短く、デバイス間の光ファイバ遅延時間を無視できるローカルエリアネットワークにのみ適している。メトロポリタンエリアネットワーク、ワイドエリアネットワークでは、デバイス間の距離が大きく、メッセージの光ファイバ上での遅延時間が長く、たとえ上下流デバイスが同時に時間ウインドウを切り替えても、上流デバイスの送信ポートから送信されたメッセージが光ファイバを経由して下流デバイスの受信ポートに転送される時に、メッセージは、実際には、一定時間遅れて下流デバイスの受信ポートに到着し、メッセージの到着時間と下流受信デバイスの時間ウインドウの切替時刻とが一致しない。光ファイバの遅延による問題を解決するために、非同期CQFソリューションが提案されている。上流デバイスと下流デバイスとの間で時間の同期をとる必要はなく、上流デバイスの時間ウインドウの切替時刻と下流デバイスの時間ウインドウの切替時刻とを異ならせてもよく、上下流デバイス間のクロック周波数を同期させ、上下流デバイス間の時間ウインドウの切替速度を同じにすればよい。上流デバイスはメッセージを送信する際に、そのメッセージに上流デバイスの送信時間ウインドウ値を含め、下流デバイスはメッセージを受信した際に、メッセージに含めた時間ウインドウ値を抽出することで、メッセージが上流デバイスにおいてどの時間ウインドウ内で送信されたかを知ることができる。非同期CQF技術は、上下流デバイスの時間の同期を必要とせず、上下流デバイスの時間ウインドウを同一時刻で切り替える必要がないため、上下流デバイス間の光ファイバ伝達時間を回避し、メトロポリタンエリアネットワーク、ワイドエリアネットワークにおける光ファイバ遅延時間を無視できないという問題を解決する。
【0038】
非同期CQF技術を採用した後、下流デバイスは、メッセージに含めた時間ウインドウ値を抽出することで、メッセージが上流デバイスにおいてどの時間ウインドウで送信されたかを取得し、メッセージに含めた時間ウインドウ値に頼っている。メッセージに含めたウインドウ値の変化状況から上流デバイスの時間ウインドウの切替時刻を知ることができる。上流デバイスから送信されたメッセージが少ない場合、又はメッセージが送信されていない場合、下流デバイスは上流デバイスの時間ウインドウの切替時刻を正確に判断することができない。上流デバイスに障害や異常が発生し、上流デバイスの時間ウインドウがホッピングした一方、下流デバイスが上流デバイスの時間ウインドウの異常を検出できず、依然として以前の時間ウインドウに従ってメッセージを転送する場合、その転送操作は新しい時間ウインドウの要求を満たすことができず、転送操作の誤りが発生し、重大な場合にはクライアントサービスの中断を招く。
【0039】
上記課題を解決するために、前述した実施例に基づいて、本開示の実施例で提供される上記データ伝送方法は、さらに、以下のステップを含む。
【0040】
ステップS1:上流デバイスの送信ポートは、時間ウインドウの切替時刻において、送信する必要のあるクライアントメッセージがあるか否かを判断する。
【0041】
ステップS2:上流デバイスの送信ポートにおいて時間ウインドウの切替時刻に送信する必要のあるクライアントメッセージがない場合、時間ウインドウ値を含めた特別に定義されたメッセージを追加送信する。
【0042】
ステップS3:下流デバイスの受信ポートは、メッセージに含めた時間ウインドウ値を抽出し、上流デバイスの時間ウインドウ値の切替時刻を判断して、後続の判定や判断のための参考情報とする。
【0043】
一実施例では、上記データ伝送方法におけるステップS1は、以下のステップS11~S14をさらに含む。
【0044】
ステップS11:上流デバイスの送信ポートは、時間ウインドウの切替時刻に送信すべきクライアントメッセージがあるか否かを判断する。その判断は、時間ウインドウの切替時刻より前の時間セグメント内に送信する必要のあるクライアントメッセージがあるか否かと、時間ウインドウの切替後の時間セグメント内に送信する必要のあるクライアントメッセージがあるか否かに分けて行われる。
【0045】
ステップS12:時間セグメントのサイズの範囲を、イーサネット規格で定義された最小メッセージの送信時間としてもよいし、必要に応じてメッセージの実際の送信時間を特別に定義してもよい。
【0046】
ステップS13:時間ウインドウの切替時刻より前の時間セグメントとは、時間ウインドウの切替時刻より前の、1つのメッセージを追加送信可能な送信位置である。
【0047】
ステップS14:時間ウインドウの切替時刻より後の時間セグメントとは、時間ウインドウの切替時刻より後の、1つのメッセージを追加送信可能な送信位置である。
【0048】
一実施例では、上記データ伝送方法におけるステップS2は、以下のステップS21~S25をさらに含む。
【0049】
ステップS21:特別に定義されたメッセージの追加送信は、いくつかのモードのうちの1つであってもよい。
【0050】
モード1:切替時刻の前後の両方の時間セグメントをチェックする。
モード2:切替時刻より前の時間セグメントのみをチェックする。
【0051】
モード3:切替時刻より後の時間セグメントのみをチェックする。
ステップS22:前後の両方の時間セグメントをチェックするモードでは、時間ウインドウの切替時刻より前の時間セグメントと時間ウインドウの切替時刻より後の時間セグメントを同時にチェックし、いずれの時間セグメント内にも送信する必要のあるクライアントメッセージがなければ、その時間セグメント内に特別に定義されたメッセージを追加送信する。
【0052】
ステップS23:時間ウインドウの切替前の時間セグメントのみをチャックするモードでは、ずれ時間ウインドウの切替時刻より前の時間セグメントをチェックし、その時間セグメント内に送信する必要のあるクライアントメッセージがなければ、その時間セグメント内に特別に定義されたメッセージを追加送信する。
【0053】
ステップS24:時間ウインドウの切替時刻より後の時間セグメントのみをチェックするモードでは、時間ウインドウの切替時刻より後の時間セグメントをチェックし、その時間セグメント内に送信する必要のあるクライアントメッセージがなければ、その時間セグメント内に特別に定義されたメッセージを追加送信する。
【0054】
ステップS25:特別に定義されたメッセージは、特別なフラグ情報を備えており、下流デバイスによって識別され、特別に定義されたメッセージに含めた時間ウインドウ値の情報を抽出されることができる。
【0055】
一実施例では、上記データ伝送方法におけるステップS3は、以下のステップS31~S35をさらに含む。
【0056】
ステップS31:下流デバイスの受信ポートがクライアントメッセージを受信すると、クライアントメッセージに含めた時間ウインドウ値を抽出し、下流デバイスの受信ポートが特別に定義されたメッセージを受信すると、特別に定義されたメッセージに含めた時間ウインドウ値を抽出し、特別に定義されたメッセージを破棄する。
【0057】
ステップS32:前後の両方のメッセージ送信時間セグメントの長さをチェックするモードを採用する場合、前後に隣接する2つのメッセージ(クライアントメッセージと特別に定義されたメッセージを含む)から抽出された時間ウインドウ値が変化すると、前後のメッセージの境界位置は、上流デバイスの送信時間ウインドウの切替時刻の位置となる。
【0058】
ステップS33:切替時刻より前のメッセージ送信時間セグメントの長さのみをチェックするモードでは、特別に定義されたメッセージの終了位置は、上流デバイスの送信時間ウインドウの切替時刻の位置となり、特別に定義されたメッセージに含めた時間ウインドウ値は、切替時刻より前の上流デバイスの送信時間ウインドウ値である。
【0059】
ステップS34:切替時刻より後のメッセージ送信時間セグメントの長さのみをチェックするモードでは、特別に定義されたメッセージの開始位置は、上流デバイスの送信時間ウインドウの切替時刻の位置となり、特別に定義されたメッセージに含めた時間ウインドウ値は、切替時刻より後の上流デバイスの送信時間ウインドウ値となる。
【0060】
ステップS35:上流デバイスの時間ウインドウの切替位置を取得し、切替位置が想定される状況に合致しているか否かを、上流デバイスの送信時間ウインドウの切替位置が異常であるか否かの判定基準とする。
【0061】
上述した実施例に基づいて、1つ又は複数の実施例では、上記データ伝送方法は、さらに以下のことを含む。図4に示すように、メッセージをネットワーク上で多くのデバイスを介して伝送する際に、各サイトで不確定な遅延及びジッタが発生するため、複数のサイトでの遅延及びジッタが重畳して蓄積されると、メッセージの総伝送遅延時間及びジッタが大いに蓄積され、メッセージの伝送品質に影響を与える。現在の改良技術としては、ネットワークにTSN(Time-Sensitive Networking:時間に敏感なネットワーキング)技術が提案されている。図5に示すように、TSN技術では、タイムゲートキュースケジューリング技術(すなわちCQF技術、cyclic queuing and forwarding、サイクリック・キューイング/フォワーディング)を使用して、ある時間ウインドウ内でクライアントメッセージを受信し、その後、受信されたクライアントメッセージをすべて次の時間ウインドウ内で送信する。このように、ある時間ウインドウ内のすべてのメッセージは同一の時間ウインドウ内で送受信され、同一の時間ウインドウ内のメッセージは、ネットワークのどのノードで伝送する時も常に同一の時間ウインドウ内に保つ。メッセージのネットワーク上での総伝達時間をn*Tとし、ただし、nは通過するネットワークノードの数であり、Tは時間ウインドウのサイズである。メッセージはある時間ウインドウ内で変動可能であるが、時間ウインドウを超えることはなく、メッセージの変動によるジッタ値はTよりも小さいため、メッセージのネットワーク上での確実な伝送が可能となる。CQF技術は、上下流デバイス間の時間の同期を必要とし、上流デバイスと下流デバイスとは、時間の同期をとった場合、同一時刻で送信時間ウインドウと受信時間ウインドウを同時に切り替えるため、この技術は、上下流デバイス間の距離が短く、デバイス間の光ファイバ遅延時間が無視できるローカルエリアネットワークにのみ適している。メトロポリタンエリアネットワーク、ワイドエリアネットワークでは、デバイス間の距離が大きく、メッセージの光ファイバ上での遅延時間が長く、たとえ上下流デバイスが同時に時間ウインドウを切り替えても、上流デバイスの送信ポートから送信されたメッセージが光ファイバを経由して下流デバイスの受信ポートに転送される時に、メッセージは、実際には、一定時間遅れて下流デバイスの受信ポートに到着する。図6における時間差Δに示すように、メッセージの到着時間と下流受信デバイスの時間ウインドウの切替時刻とが一致しない。光ファイバの遅延による問題を解決するために、非同期CQFソリューションが提案されている。上流デバイスと下流デバイスとの間で時間の同期をとる必要はなく、上流デバイスの時間ウインドウの切替時刻と下流デバイスの時間ウインドウの切替時刻とを異ならせてもよく、上下流デバイス間のクロック周波数を同期させ、上下流デバイス間の時間ウインドウの切替速度を同じにすればよい。上流デバイスはメッセージを送信する際に、そのメッセージに上流デバイスの送信時間ウインドウ値を含め、下流デバイスはメッセージを受信した際に、メッセージに含めた時間ウインドウ値を抽出することで、メッセージが上流デバイスにおいてどの時間ウインドウ内で送信されたかを知ることができる。非同期CQF技術は、上下流デバイスの時間の同期を必要とせず、上下流デバイスの時間ウインドウを同一時刻で切り替える必要がないため、上下流デバイス間の光ファイバ伝達時間を回避し、メトロポリタンエリアネットワーク、ワイドエリアネットワークにおいて光ファイバ遅延時間を無視できないという問題を解決する。図7に示すように、非同期CQF技術を採用した後、下流デバイスはクライアントメッセージに含めた時間ウインドウ値だけを抽出し、含めた時間ウインドウ値は、このメッセージが上流デバイスの送信ポートで送信された時間ウインドウの位置となり、同じ時間ウインドウ値は、これらのメッセージが同一の時間ウインドウで送信されたことを表し、メッセージ中の異なる時間ウインドウのウインドウ値は、これらのメッセージが同一時間内にないことを表し、下流デバイスは、同じ時間ウインドウ値のメッセージを同一の時間ウインドウ内で転送する必要がある。時間ウインドウ値は多くの値があり、図7における時間ウインドウ値は1~8であり、デバイスの送信ポートが時間ウインドウ1で送信したすべてのメッセージに含めたウインドウ値は1に等しく、時間ウインドウ2で送信したすべてのメッセージに含めたウインドウ値は2に等しいといったように、時間ウインドウ8で送信したすべてのメッセージに含めたウインドウ値は8に等しく、次の時間ウインドウ値は再び1から始まり、時間ウインドウ値は順次、循環して現れる。ファイバ遅延時間は比較的大きく、1つの時間ウインドウのサイズよりも大きくなってもよく、例えば、ファイバ遅延時間は、単一の時間ウインドウのサイズの2.7倍に等しい。上流デバイスはメッセージを送信する際に、そのメッセージに上流デバイスの送信時間ウインドウ値を含め、下流デバイスはメッセージを受信した際に、メッセージに含めた時間ウインドウ値を抽出することで、メッセージが上流デバイスにおいてどの時間ウインドウ内で送信されたかを知ることができ、これらのメッセージの上流送信ポートでの送信位置を決定することができ、図8に示すように、メッセージに含めた時間ウインドウ値の変化位置から上流デバイスの時間ウインドウの切替時刻の位置を知ることができる。非同期CQF技術は、上下流デバイスの時間の同期を必要とせず、上下流デバイスの時間ウインドウを同一時刻で切り替える必要がないため、上下流デバイス間の光ファイバ伝達時間による問題を回避し、メトロポリタンエリアネットワーク、ワイドエリアネットワークにおける光ファイバ遅延時間を無視できない応用場面に対応することができる。
【0062】
非同期CQF技術では、下流デバイスは、メッセージに含めた時間ウインドウ値を抽出することで、メッセージが上流デバイスにおいてどの時間ウインドウ内で送信されたかを取得し、その実現はメッセージに含めた時間ウインドウ値に頼っており、メッセージに含めた時間ウインドウ値の変化状況から上流デバイスの時間ウインドウの切替時刻を決定することができる。通常の場合、上流デバイスの送信ポートの時間ウインドウの切替時刻は周期的でかつ規則的であり、常に安定して変化せず、下流デバイスが抽出したメッセージに含めた時間ウインドウ値も一定の規則に従って周期的に変化する。上流デバイスがリセットや再起動、光ファイバの切り替えなどの異常状況に陥った場合、上流デバイスの送信ポートの時間ウインドウの切替時刻の位置、メッセージに含めた時間ウインドウ値の大きさが急激に変化することがあり、下流デバイスはこのような異常変化を検出する必要があり、その後、下流デバイス内の受信メッセージの遅延パラメータを再設定し、後続の対応するメッセージの下流デバイスにおける送信時間ウインドウの位置を更新するため、下流デバイスがリアルタイムに上流デバイスの送信時間ウインドウの切替位置を検出し、メッセージに含めた時間ウインドウ値が異常であるか否かを検出することは非常に重要である。多くのクライアントメッセージが運ばれる場面では、下流デバイスは絶えずクライアントメッセージを受信するため、クライアントメッセージにおける時間ウインドウ値を抽出し、クライアントメッセージにおける時間ウインドウ値から上流デバイスの時間ウインドウの切替時刻の位置を判断することによって、上流デバイスの時間ウインドウの切替位置が異常であるか否か、クライアントメッセージに含めた時間ウインドウ値が異常であるか否かを容易に判定する。
【0063】
ネットワーク上で運ばれるクライアントメッセージが少ない場合、又は短い時間内にクライアントメッセージが送信されない場合、図9に示すように、下流デバイスは上流デバイスの時間ウインドウの切替時刻を正確に判断することができない。上流デバイスに障害や異常が発生し、上流デバイスの時間ウインドウがホッピングした一方、下流デバイスが上流デバイスの時間ウインドウの異常を検出できず、依然として以前の時間ウインドウに従ってメッセージを転送する場合、その転送操作は新しい時間ウインドウの要求を満たすことができず、転送操作の誤りが発生し、重大な場合にはクライアントサービスの中断を招く。
【0064】
この問題を解決し、上流デバイスの送信時間ウインドウが異常であるか否かをリアルタイムで監視することを容易にするために、本特許では、特別に定義されたメッセージを追加送信する方式により、空のクライアントメッセージを特別に定義されたメッセージに置き換えることで、下流デバイスは、上流デバイスの時間ウインドウの切替位置を正確に知ることができ、これにより、上流デバイスの時間ウインドウの切替時刻が異常であるか否かを迅速かつ正確に判断する。上流からの送信時間のホッピングが検出されると、下流デバイスは速やかにホッピング後の新しい時間ウインドウに従ってクライアントサービスを転送し、障害回復時間を短縮する。具体的には、次の通り実現する。すなわち、上流デバイスの送信ポートは、送信時間ウインドウの切替時刻の位置の前後の両方の時間セグメントにおいて、図10に示すように、これら両方の時間セグメント内にクライアントメッセージが送信されたか否かを判断する。時間セグメント内にメッセージが送信されなかった場合、クライアントメッセージの代わりに特別に定義されたメッセージをその時間セグメント内に追加送信して下流デバイスに送信する。図11に示すように、図11中の太い黒矢印のメッセージは特別に定義されたメッセージである。特別に定義されたメッセージは、上下流デバイス間で合意されたカスタムメッセージであり、このメッセージには特別に定義されたフラグがあり、このメッセージが存在する時間ウインドウ値を含めている。時間セグメントは、特別に定義されたメッセージが時間セグメント内に送信できることを保証するために、特別に定義されたメッセージの送信に必要な時間以上である必要がある。送信ポートは、特別に定義されたメッセージを追加送信することにより、リンク上で伝達する必要のあるクライアントメッセージがない場合でも、送信ポートが時間ウインドウの切替位置の前後の両方に1つのメッセージを下流デバイスに送信することを保証することができる。時間ウインドウの切替位置の前後のメッセージに異なる時間ウインドウ値を含めており、下流デバイスは、含めた時間ウインドウ値から上流デバイスの時間ウインドウの切替時刻の位置を正確に判断することができる。下流デバイスの受信ポートは、特別に定義されたメッセージを検出した後、このメッセージに含めたウインドウ情報値を直接抽出して、上流デバイスの時間ウインドウの切替時刻の位置を判断するために使用し、最後に、受信ポートは、この特別に定義されたメッセージを破棄する。特別に定義されたメッセージは、時間ウインドウ値の情報を運ぶためにのみ使用され、時間ウインドウ値の情報の運搬が完了するとその存在意義が失われる。
【0065】
特別に定義されたメッセージは、上下流デバイス間で合意された、特定のフラグ特徴を有するカスタムメッセージである。下流デバイスは、メッセージの特定のフラグ特徴を検出することにより、そのメッセージが特別に定義されたメッセージであると決定し、含めた時間ウインドウ値を抽出し、その後、そのメッセージを破棄する。特別に定義されたメッセージは、特定のフラグ特徴を含めたイーサネットメッセージであってもよく、通常のイーサネットに特定のフラグ特徴及び時間ウインドウ値の情報を含めている。図12に示すように、図12は通常のイーサネットメッセージの構成であり、通常のイーサネットメッセージでは、そのtypeフィールドにカスタマイズされた特定のフラグ特徴を含めることができ、例えば、typeフィールドの特徴値0xffffを特定のフラグ特徴とすることができる。具体的には、特定のフラグ特徴は、他の様々な形態であってもよく、例えば、通常のイーサネットメッセージのうち、宛先アドレスのフィールド値を特別な宛先アドレス値(例えば、0xff-ff-ff-ff-ff-ff-ff)とするメッセージを特別に定義されたメッセージとすることができる。
【0066】
特別に定義されたメッセージは、通常のイーサネットメッセージのフォーマットであってもよいし、通常のイーサネットメッセージが物理層のPCS層コードストリームシーケンスの形で現れる特定のコードストリームシーケンスであってもよい。例えば、通常のイーサネットメッセージは、物理ポートで送信される場合、まず64B/66B符号化されてから、66ビットブロックストリームとして送信される。図13に示すように、通常のイーサネットメッセージが64B/66B符号化された後のコードブロックシーケンスは、Sブロック+いくつかのDブロック+Tブロックで構成され、Sブロックはメッセージの開始ブロック、Dブロックはデータブロック、Tブロックは終了ブロックである。イーサネット規格に従う定義では、Sブロックの内容は66ビットで構成され、「0b10」+「0x78」+7個の「0x55」という構成である。「0b10」+「0x78」フィールドは、一般に、Sブロックであることを識別するために使用され、後の7個の「0x55」は、応用において適切に修正されて応用されることができ、7個の「0x55」フィールドの内容の一部を特別に定義されたフラグに修正することができ、例えば、6個の「0x55」+「0xAA」を、特別に定義されたフラグを含めた特別に定義されたメッセージ(Dブロックの一部に時間ウインドウ値を含めている)とすることができる。実際の応用において、「0x78」フィールドを他のイーサネット規格で使用されていないフィールドに変更して、特別に定義されたフラグとして使用することもできる。イーサネット規格に従って、最短メッセージ長が64バイトであると定義されているため、1つの通常のイーサネットメッセージが符号化された後のコードブロックシーケンスストリームにおけるDブロックの数は4個以上となり、4個未満のDブロックは不正なメッセージブロックである。受信ポートは、これを受信した後、このコードブロックシーケンスを破棄するため、S+n*D(nは0、1、2、3のいずれかの値である)+Tコードブロックストリームシーケンスをも特別に定義されたメッセージとすることができ、例えば、S+Tコードブロックストリームシーケンス、又はS+D+Tコードブロックストリームシーケンス、又はS+D+D+Tコードブロックストリームシーケンス、又はS+D+D+D+Tコードブロックストリームシーケンスを特別に定義されたメッセージとすることができ、ただし、Dブロック又はTブロックに時間ウインドウ値を含めている。受信ポートは、このようなコードブロックストリームシーケンスを検出した後、Dブロックの数からそれが特別に定義されたメッセージであることを知ることができ、Dブロック又はTブロック上の時間ウインドウ値を抽出し、その後、そのコードブロックシーケンスを破棄する。
【0067】
実際の応用において、特別に定義されたフラグを含めた通常のイーサネットメッセージ、又は特定のコードブロックシーケンスを特別に定義されたメッセージとする以外に、イーサネットプロトコルメッセージに新しい機能を拡張して、時間ウインドウ値を含める目的を実現することもできる。例えば、イーサネット物理インタフェースでは、pauseフレームを利用して、相手装置に、メッセージの送信を一時停止させ、クライアントサービスの送信速度を制限するように通知する。受信ポートは、Pauseフレームを受信した後、フロー制御操作を開始し、その後、Pauseフレームメッセージを破棄する。Pauseフレームのフォーマットを図14に示す。pauseフレームにおける宛先アドレスフィールドは固定値(0x01-80-C2-00-00-01)であり、タイプ値は0x8808、オペコードは0x0001である。操作パラメータは、PAUSEの送信側が相手に要求したデータフレームの送信停止の時間の長さであり、時間測定単位は、現在の伝送レートで512ビットのデータを伝送するのにかかる時間であり、受信側が実際に一時停止する時間は、操作パラメータのフィールドの内容と現在の伝送レートで512ビットのデータを伝送するのにかかる時間の積である。応用において、操作パラメータを通常0xFFFFに設定し、一時停止時間を最大値に設定する。応用において、操作パラメータを0x0000に設定して特別に定義されたフラグとすることができ(操作パラメータが0x0000に設定されるpauseフレームはフロー制御時にフロー制御が行われないことを示す)、また、操作パラメータが通常0x0000に設定されるpauseメッセージを特別に定義されたメッセージとすることができる(他の操作値であってもよい)。図14に示すように、pauseメッセージのリザーブフィールドに時間ウインドウ値を含めている。受信ポートはオペコードが0x0000であるpauseメッセージを受信した後、リザーブフィールドにおける時間ウインドウ値を抽出する。
【0068】
図11に示す実施例では、上流デバイスの送信時間ウインドウの切替時刻の位置の前後の両方の時間セグメントで検出を行っているが、実際の応用において、図15に示す実施例のように、そのうちの一方の時間セグメントでのみ検出を行い、特別に定義されたメッセージを追加送信するようにしてもよい。図15では、検出時間ウインドウの切替時刻より後の時間セグメントでのみ検出を行い、特別に定義されたメッセージを追加送信する。上下流デバイスが、検出時間ウインドウの切替時刻より後の時間セグメントでのみ検出を行い、特別に定義されたメッセージを追加送信することで合意した場合、上流デバイスは、検出時間ウインドウの切替時刻より後の時間セグメントでのみ検出を行い、特別に定義されたメッセージを追加送信し、下流デバイスは、特別に定義されたメッセージを受信すると、このメッセージの開始位置の時刻が時間ウインドウの切替位置であり、メッセージに含めた時間ウインドウ値が切替後の時間周期値であると判断する。実際の応用において、図16に示す実施例のように、検出時間ウインドウの切替時刻より前の時間セグメントでのみ検出を行い、特別に定義されたメッセージを追加送信するようにしてもよい。上下流デバイスが、検出時間ウインドウの切替時刻より前の時間セグメントでのみ検出を行い、特別に定義されたメッセージを追加送信することで合意した場合、上流デバイスは、検出時間ウインドウの切替時刻より前の時間セグメントでのみ検出を行い、特別に定義されたメッセージを追加送信し、下流デバイスは、特別に定義されたメッセージを受信すると、このメッセージの終了位置の時刻が時間ウインドウの切替位置であり、メッセージに含めた時間ウインドウ値が切替前の時間周期値であると判断する。
【0069】
上述した実施例では、送信ポート及び受信ポートは、いずれも物理ポートとして動作し、1つの物理には時間ウインドウ値が1つだけ存在する。一方、実際の動作では、1つの物理ポートに複数のクライアントフローがあるかもしれず、各クライアントフローは独立した異なる時間ウインドウ値を持つ。図17に示すように、同一の物理リンク(同一対の物理送信ポートと受信ポート)の中に複数の異なるクライアントサービスフローがあり、異なるクライアントサービスフローは、異なる送信時間周期及び送信時間ウインドウの切替時刻を有する。図18に示すように、同一の物理ポートに異なるクライアントサービスフローが存在する場合、送信ポートの時間ウインドウはそれぞれのクライアントフローの時間ウインドウ周期に従って動作する。1つの独立したクライアントサービスフローの時間ウインドウの切替時刻より前、及び(又は)、時間ウインドウの切替時刻より後にそのクライアントサービスフローがない場合、そのクライアントサービスフローに属する特別に定義されたメッセージを追加送信し、この特別に定義されたメッセージには、そのクライアントサービスフローに属する特別なラベルがあり、送信ポートは、特別に定義されたメッセージがどのクライアントサービスフローに属するかを識別することができる。具体的な実現方法としては、さまざまな方法がある。例えば、VLANタグによって異なるクライアントフローを識別し、同一のクライアントフローのクライアントサービスと、このクライアントサービスフローの特別に定義されたメッセージは、同じVLANタグ値を持つ。受信物理ポートでは、異なるクライアントサービスフローに応じて別々に処理する。すなわち、同一のクライアントフローについて、そのクライアントサービスフローにおける特別に定義されたメッセージを抽出し、メッセージにおける取得時間ウインドウ値を抽出し、さらにそのクライアントフローの上流ポートの時間ウインドウの切替時刻を取得する。
【0070】
上述した実施例で提供される特許の応用場面は、非同期CQFの動作場面であるが、実際の応用において、発明の実施例は、TSNプロトコルファミリーにおける802.1Qchの動作場面、すなわちCQF(同期CQF)にも応用されることができる。802.1Qchプロトコルの動作において、上下流デバイス(又はネットワーク上のデバイス)の時間の同期を必要とし、本特許を適用すると、デバイス間で時間の同期をとる必要はなくなり、メッセージに送信時間ウインドウ値を含めていればよく、送信時間ウインドウが変化する前後の時間セグメント内にクライアントメッセージがあれば、時間ウインドウ値を含めた特別に定義されたメッセージを下流デバイスに追加送信する。
【0071】
本開示で提供される実施例では、特別に定義されたメッセージの定義について、通常のクライアントメッセージに新しい機能を拡張して、特定のフラグ特徴を含めることで、時間ウインドウ値を含める目的を達成するものを意味してもよい。特別な定義メッセージは、他の様々な形態であってもよく、含めた時間ウインドウ値の位置は多様であってもよく、本開示では何ら限定もしない。
【0072】
本開示の実施例によれば、現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがあるか否かを判断し、上記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、上記第1のネットワークデバイスは、予め設定された識別メッセージを上記第2のネットワークデバイスに送信し、ここで、上記予め設定された識別メッセージには上記時間ウインドウのウインドウ値を含めており、上記ウインドウ値は、第2のネットワークデバイスが上記第1のネットワークデバイスの異なる時間ウインドウの切替時刻を決定するために使用されるという構成を採用しているため、特定のメッセージを追加送信する方式により、下流デバイスが上流デバイスの時間ウインドウの切替位置を正確に知ることができるようになり、下流デバイスはホッピング後の新しい時間ウインドウに従って迅速にクライアントサービスを転送し、障害復旧時間を短縮し、通信効率を向上させることが実現される。
【0073】
以上の実施形態の説明によって、上述した実施例による方法を、ソフトウェアに必要な汎用ハードウェアフラップフォームを追加した方式で実現することができ、ハードウェアによって実現することもできるが、多くの場合、前の方法で実施することが好ましいことを当業者は理解できる。これに基づいて、本開示の技術態様の本質又は従来技術に貢献のある部分を、ソフトウェア製品の形態で実現することができ、そのコンピュータソフトウェア製品は、端末機器(携帯電話、コンピュータ、サーバ、又はネットワークデバイス等であってもよい)に本開示の各実施例に記載の方法を実行させる命令を複数含む記憶媒体(例えば、ROM/RAM、磁気ディスク、光ディスク)に記憶される。
【0074】
本実施例においてデータ装置がさらに提供され、この装置は、上述した実施例及び好適な実施形態を実現するためのものであり、既に説明した部分の説明は省略する。以下で使用される用語「モジュール」は、所定の機能を実現可能なソフトウェア及び/又はハードウェアの組み合わせである。以下の実施例で説明される装置をソフトウェアで実現することが好ましいが、ハードウェア、又はソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって実現することも可能である。
【0075】
図19は、本開示の実施例によるデータ伝送装置の構成ブロック図であり、図19に示すように、その装置は、判断ユニット1902と、送信ユニット1904と、を含む。
【0076】
判断ユニット1902は、現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがあるか否かを判断するように構成される。
【0077】
送信ユニット1904は、上記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、上記第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを上記第2のネットワークデバイスに送信するように構成され、上記予め設定された識別メッセージには上記時間ウインドウのウインドウ値を含めており、上記ウインドウ値は、第2のネットワークデバイスが上記第1のネットワークデバイスの異なる時間ウインドウの切替時刻を決定するために使用される。
【0078】
本開示の実施例では、第1のネットワークデバイスは、ネットワークメッセージの伝送中の上流デバイスを含むことができるが、これに限定されることはなく、第2のネットワークデバイスは、ネットワークメッセージの伝送中における下流デバイスを含むことができるが、これに限定されることはない。第1のネットワークデバイスは、データメッセージを第2のネットワークデバイスに送信することができる。
【0079】
本開示の実施例では、上流デバイスと下流デバイスとの間で時間の同期をとる必要はなく、上流デバイスの時間ウインドウの切替時刻と下流デバイスの時間ウインドウの切替時刻とを異ならせてもよく、上下流デバイス間のクロック周波数を同期させ、上下流デバイス間で時間ウインドウの切替速度を同じにすればよい。上流デバイスはメッセージを送信する際に、メッセージに上流デバイスの送信時間ウインドウ値を含め、下流デバイスはメッセージを受信した際に、メッセージに含めた時間ウインドウ値を抽出することで、メッセージが上流デバイスにおいてどの時間ウインドウ内で送信されたかを知ることができる。データメッセージの伝送中に、ある時間ウインドウ内でクライアントメッセージを受信し、その後、受信されたクライアントメッセージをすべて次の時間ウインドウ内で送信する。このように、ある時間ウインドウ内のすべてのメッセージは同一の時間ウインドウ内で送受信され、同一の時間ウインドウ内のメッセージは、ネットワークのどのノードで伝送する時も常に同一の時間ウインドウ内に保つ。
【0080】
本開示によれば、現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがあるか否かを判断し、上記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、上記第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを上記第2のネットワークデバイスに送信し、ここで、上記予め設定された識別メッセージには上記時間ウインドウのウインドウ値を含めており、上記ウインドウ値は、第2のネットワークデバイスが上記第1のネットワークデバイスの異なる時間ウインドウの切替時刻を決定するために使用されるという構成を採用しているため、特定のメッセージを追加送信する方式により、下流デバイスが上流デバイスの時間ウインドウの切替位置を正確に知ることができるようになり、下流デバイスはホッピング後の新しい時間ウインドウに従って迅速にクライアントサービスを転送し、障害復旧時間を短縮し、通信効率を向上させることが実現される。
【0081】
図20は、本開示の実施例による別のデータ伝送装置の構成ブロック図であり、図20に示すように、この装置は、決定ユニット2002と、破棄ユニット2004と、を含む。
【0082】
決定ユニット2002は、現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、上記第2のネットワークデバイスが、第1のネットワークデバイスから送信された予め設定された識別メッセージを受信し、上記第1のネットワークデバイスの現在の時間ウインドウの切替時刻を決定するように構成され、上記予め設定された識別メッセージは、上記現在の時間ウインドウのウインドウ値を含む。
【0083】
破棄ユニット2004は、上記第2のネットワークデバイスが上記現在の時間ウインドウのウインドウ値を受信した後、上記予め設定された識別メッセージを破棄するように構成される。
【0084】
なお、上記各モジュールをソフトウェア又はハードウェアで実現することができ、ハードウェアで実現する場合、上記モジュールを全部同一のプロセッサに位置させることができ、又は、上記各モジュールを任意の組み合わせの形で異なるプロセッサ内に位置させることもできるが、これらに限定されることはない。
【0085】
本開示の実施例において、コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ読取可能な記憶媒体がさらに提供され、このコンピュータプログラムは、実行されると、上述したいずれかの方法の実施例のステップを実行するように構成される。
【0086】
1つの例示的な実施例では、上記コンピュータ読取可能な記憶媒体は、USB、リードオンリーメモリ(Read-Only Memory、略してROM)、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、略してRAM)、ポータブルHDD、磁気ディスク又は光ディスク等のコンピュータプログラムを記憶可能な様々な媒体を含むことができるが、これらに限定されることはない。
【0087】
本開示の実施例において電子装置がさらに提供され、この電子装置は、メモリと、プロセッサとを含み、このメモリにはコンピュータプログラムが記憶されており、このプロセッサは、上述したいずれかの方法の実施例のステップを実行するためにコンピュータプログラムを実行するように構成される。
【0088】
1つの例示的な実施例では、上記電子装置は、伝送デバイスと、入出力デバイスとをさらに含むことができる。この伝送デバイスは上記プロセッサに接続され、この入出力デバイスは上記プロセッサに接続される。
【0089】
本実施例における具体的な例としては上述した実施例及び例示的な実施形態で説明された例を参照することができ、本実施例では詳細な説明を省略する。
【0090】
上述した本開示の各モジュール又は各ステップを、汎用の計算装置によって実現することができ、単一の計算装置に集成させることができれば、複数の計算装置から構成されるネットワークに分布させることもでき、さらに、計算装置で実行可能なプログラムのコードによって実現することができるので、それらを記憶装置に記憶して計算装置によって実行することができ、場合によっては、図示又は説明されたステップをここでの順序とは異なる順序で実行するか、あるいは、それぞれ集積回路モジュールとして製作したり、そのうちの複数のモジュール又はステップを単一の集積回路モジュールとして製作したりして実現することができることは、当業者にとって自明なことである。このように、本開示は、如何なる特定のハードウェアとソフトウェアとの組み合わせにも限定されない。
【0091】
以上は、本開示の好適な実施例に過ぎず、本開示を限定することを意図するのではない。当業者であれば、本開示に様々な変更や変形が可能である。本開示の原則内の如何なる修正、均等の置き換え、改良などは本開示の保護範囲内に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【手続補正書】
【提出日】2024-01-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のネットワークデバイスが、現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがあるか否かを判断するステップと、
前記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、前記第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを第2のネットワークデバイスに送信するステップであって、前記予め設定された識別メッセージには前記時間ウインドウのウインドウ値を含めており、前記ウインドウ値は、前記第2のネットワークデバイスが前記第1のネットワークデバイスの異なる時間ウインドウの切替時刻を決定するために使用される、ステップと、
を含む、データ伝送方法。
【請求項2】
前記第1のネットワークデバイスが、現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがあるか否かを判断するステップは、
前記第1のネットワークデバイスが、現在の時間ウインドウの切替時刻より前の時間セグメント内に送信待ちメッセージがあるか否かを判断する、又は、
前記第1のネットワークデバイスが、現在の時間ウインドウの切替後の時間セグメント内に送信待ちメッセージがあるか否かを判断するステップであって、前記時間セグメントは、イーサネットメッセージが送信された時間を示すために使用される、ステップ、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、前記第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを前記第2のネットワークデバイスに送信するステップは、
前記現在の時間ウインドウの切替時刻より前の時間セグメント内に送信待ちメッセージがない場合、前記第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを第2のネットワークデバイスに送信する、又は、
前記現在の時間ウインドウの切替後の時間セグメント内に送信待ちメッセージがない場合、前記第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを前記第2のネットワークデバイスに送信するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記予め設定された識別メッセージは、タイプタグフィールドを含み、前記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、前記第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを前記第2のネットワークデバイスに送信するステップは、
前記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、前記第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを前記第2のネットワークデバイスに送信することにより、前記第2のネットワークデバイスが、前記タイプタグフィールドに基づいて、前記予め設定された識別メッセージのタイプを決定し、前記現在の時間ウインドウのウインドウ値を抽出し、前記予め設定された識別メッセージを破棄するステップ、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記送信待ちメッセージの送信ポートが複数のタイプの時間ウインドウを有し、各タイプの時間ウインドウの現在の時間ウインドウの切替時刻に前記送信待ちメッセージがない場合、前記第1のネットワークデバイスが、タイプタグを含む前記予め設定された識別メッセージを前記第2のネットワークデバイスに送信することにより、前記第2のネットワークデバイスが、前記タイプタグに基づいて、複数のタイプのメッセージの時間ウインドウの切替時刻を決定するステップであって、前記タイプタグは、異なるウインドウタイプを表すために使用される、ステップ、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記予め設定された識別メッセージは、
データトラフィックを制御するためのpauseメッセージ、VLANタグのメッセージ、メッセージの宛先アドレス及び送信元アドレスを含むメッセージ、コードブロックストリームシーケンスのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、第2のネットワークデバイスが、第1のネットワークデバイスから送信された予め設定された識別メッセージを受信し、前記第1のネットワークデバイスの現在の時間ウインドウの切替時刻を決定するステップであって、前記予め設定された識別メッセージは、前記現在の時間ウインドウのウインドウ値を含む、ステップと、
前記第2のネットワークデバイスが前記現在の時間ウインドウのウインドウ値を受信した後、前記予め設定された識別メッセージを破棄するステップと、
を含む、データ伝送方法。
【請求項8】
前記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、前記第2のネットワークデバイスが、第1のネットワークデバイスから送信された予め設定された識別メッセージを受信するステップは、
前記現在の時間ウインドウの切替時刻より前の時間セグメント内に送信待ちメッセージがない場合、前記第2のネットワークデバイスが、前記第1のネットワークデバイスから送信された前記予め設定された識別メッセージを受信する、又は、
前記現在の時間ウインドウの切替後の時間セグメント内に送信待ちメッセージがない場合、前記第2のネットワークデバイスが、前記第1のネットワークデバイスから送信された前記予め設定された識別メッセージを受信するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記予め設定された識別メッセージは、第1のタグフィールドを含み、前記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、前記第2のネットワークデバイスが、第1のネットワークデバイスから送信された予め設定された識別メッセージを受信するステップは、
前記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、前記第2のネットワークデバイスが、受信された前記第1のタグフィールドに基づいて、前記予め設定された識別メッセージのタイプを決定するステップと、
前記現在の時間ウインドウのウインドウ値を抽出し、前記予め設定された識別メッセージを破棄するステップと、を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記送信待ちメッセージの送信ポートが複数のタイプの時間ウインドウを含み、対応する各タイプの時間ウインドウが、それぞれの現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージを有していない場合、第2のネットワークデバイスが、前記第1のネットワークデバイスから送信された複数の時間ウインドウタイプのメッセージを受信するステップであって、前記複数の時間ウインドウタイプのメッセージは、異なるタイプタグを含む、ステップと、
前記タイプタグに基づいて、複数のタイプのメッセージの時間ウインドウの切替時刻を決定するステップと、を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがあるか否かを判断する判断ユニットと、
前記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを第2のネットワークデバイスに送信するように構成される送信ユニットであって、前記予め設定された識別メッセージには前記時間ウインドウのウインドウ値を含めており、前記ウインドウ値は、第2のネットワークデバイスが前記第1のネットワークデバイスの異なる時間ウインドウの切替時刻を決定するために使用される、送信ユニットと、
を含むデータ伝送装置。
【請求項12】
現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、第2のネットワークデバイスが、第1のネットワークデバイスから送信された予め設定された識別メッセージを受信し、前記第1のネットワークデバイスの現在の時間ウインドウの切替時刻を決定するように構成される決定ユニットであって、前記予め設定された識別メッセージは、前記現在の時間ウインドウのウインドウ値を含む、決定ユニットと、
前記第2のネットワークデバイスが前記現在の時間ウインドウのウインドウ値を受信した後に、前記予め設定された識別メッセージを破棄するように構成される破棄ユニットと、
を含むデータ伝送装置。
【請求項13】
現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがあるか否かを判断する判断ユニットと、
前記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを第2のネットワークデバイスに送信するように構成される送信ユニットであって、前記予め設定された識別メッセージには前記時間ウインドウのウインドウ値を含めており、前記ウインドウ値は、第2のネットワークデバイスが前記第1のネットワークデバイスの異なる時間ウインドウの切替時刻を決定するために使用される、送信ユニットと、
を含むネットワークデバイス。
【請求項14】
現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、第2のネットワークデバイスが、第1のネットワークデバイスから送信された予め設定された識別メッセージを受信し、前記第1のネットワークデバイスの現在の時間ウインドウの切替時刻を決定するように構成される決定ユニットであって、前記予め設定された識別メッセージは、前記現在の時間ウインドウのウインドウ値を含む、決定ユニットと、
前記第2のネットワークデバイスが前記現在の時間ウインドウのウインドウ値を受信した後に、前記予め設定された識別メッセージを破棄するように構成される破棄ユニットと、
を含むネットワークデバイス。
【請求項15】
行されると、請求項1~6又は請求項7~10のいずれか1項に記載の方法を実行させる、コンピュータプログラム
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本開示は、2021年07月12日にて出願した、発明の名称が「データ伝送方法及び装置、ネットワークデバイス、並びに記憶媒体」である中国特許出願CN202110786820.8に基づくものであり、当該特許出願の優先権を主張しており、その内容の全ては参照により本開示に組み込まれる。
[技術分野]
本開示は、通信技術の分野に関し、具体的には、データ伝送方法及び装置、ネットワークデバイス、並びに記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット技術の盛んな発展に伴い、ネットワーク上の伝送情報の内容は音声サービスからデータサービスに変わり、通信ネットワークは音声サービス向けのSDH技術ネットワークからデータメッセージ向けのイーサネット(登録商標)技術ネットワークに変わった。関連技術では、ネットワークにTSN(Time-Sensitive Networking:時間に敏感なネットワーキング)技術が提案されている。TSN技術では、タイムゲートキュースケジューリング技術(すなわちCQF技術、cyclic queuing and forwarding、サイクリック・キューイング/フォワーディング)を使用して、ある時間ウインドウ内でクライアントメッセージを受信し、その後、受信されたクライアントメッセージをすべて次の時間ウインドウ内で送信する。
【0003】
非同期CQF技術を採用した後、下流デバイスは、メッセージに含めた時間ウインドウ値を抽出することで、メッセージが上流デバイスにおいてどの時間ウインドウで送信されたかを取得し、メッセージに含めた時間ウインドウ値に頼っている。メッセージに含めたウインドウ値の変化状況から上流デバイスの時間ウインドウの切替時刻を知ることができる。上流デバイスから送信されたメッセージが少ない場合、又はメッセージが送信されていない場合、下流デバイスは上流デバイスの時間ウインドウの切替時刻を正確に判断することができない。上流デバイスに障害や異常が発生し、上流デバイスの時間ウインドウがホッピングした一方、下流デバイスが上流デバイスの時間ウインドウの異常を検出できず、依然として以前の時間ウインドウに従ってメッセージを転送する場合、その転送操作は新しい時間ウインドウの要求を満たすことができず、転送操作の誤りが発生し、重大な場合にはクライアントサービスの中断を招く。
【0004】
上流デバイスに障害や異常が発生し、下流デバイスが上流デバイスの時間ウインドウの異常を検出できないという上記の課題に対して、未だに有効な対応策が提案されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の実施例は、少なくとも、下流デバイスが上流デバイスの時間ウインドウの異常率を検出できないという問題を解決するために、データ伝送方法及び装置、ネットワークデバイス、並びに記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施例によれば、第1のネットワークデバイスが、現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがあるか否かを判断するステップと、上記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、上記第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを上記第2のネットワークデバイスに送信するステップであって、上記予め設定された識別メッセージには上記時間ウインドウのウインドウ値を含めており、上記ウインドウ値は、第2のネットワークデバイスが上記第1のネットワークデバイスの異なる時間ウインドウの切替時刻を決定するために使用される、ステップと、を含む、データ伝送方法が提供される。
【0007】
本開示の別の実施例によれば、現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、上記第2のネットワークデバイスが、第1のネットワークデバイスから送信された予め設定された識別メッセージを受信し、上記第1のネットワークデバイスの現在の時間ウインドウの切替時刻を決定するステップであって、上記予め設定された識別メッセージは、上記現在の時間ウインドウのウインドウ値を含む、ステップと、上記第2のネットワークデバイスが上記現在の時間ウインドウのウインドウ値を受信した後、上記予め設定された識別メッセージを破棄するステップと、を含む、データ伝送方法が提供される。
【0008】
本開示の別の実施例によれば、現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがあるか否かを判断する判断ユニットと、上記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、上記第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを上記第2のネットワークデバイスに送信するように構成される送信ユニットであって、上記予め設定された識別メッセージには上記時間ウインドウのウインドウ値を含めており、上記ウインドウ値は、第2のネットワークデバイスが上記第1のネットワークデバイスの異なる時間ウインドウの切替時刻を決定するために使用される、送信ユニットと、を含む、データ伝送装置が提供される。
【0009】
本開示の別の実施例によれば、現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、上記第2のネットワークデバイスが、第1のネットワークデバイスから送信された予め設定された識別メッセージを受信し、上記第1のネットワークデバイスの現在の時間ウインドウの切替時刻を決定するように構成される決定ユニットであって、上記予め設定された識別メッセージは、上記現在の時間ウインドウのウインドウ値を含む決定ユニットと、上記第2のネットワークデバイスが上記現在の時間ウインドウのウインドウ値を受信した後に、上記予め設定された識別メッセージを破棄するように構成される、破棄ユニットと、を含む、データ伝送装置が提供される。
【0010】
本開示のさらに別の実施例によれば、コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ読取可能な記憶媒体であって、上記コンピュータプログラムは、実行されると、上述したいずれかの方法の実施例のステップを実行するように構成される、コンピュータ読取可能な記憶媒体がさらに提供される。
【0011】
本開示のさらに別の実施例によれば、コンピュータプログラムが記憶されているメモリと、上述したいずれかの方法の実施例のステップを実行するために前記コンピュータプログラムを実行するように構成されるプロセッサと、を含む電子装置がさらに提供される。
【発明の効果】
【0012】
本開示の実施例によれば、現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがあるか否かを判断し、上記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、上記第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを上記第2のネットワークデバイスに送信し、ここで、上記予め設定された識別メッセージには上記時間ウインドウのウインドウ値を含めており、上記ウインドウ値は、第2のネットワークデバイスが上記第1のネットワークデバイスの異なる時間ウインドウの切替時刻を決定するために使用されるという構成を採用しているため、特定のメッセージを追加送信する方式により、下流デバイスが上流デバイスの時間ウインドウの切替位置を正確に知ることができるようになり、下流デバイスはホッピング後の新しい時間ウインドウに従って迅速にクライアントサービスを転送し、障害復旧時間を短縮し、通信効率を向上させることが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の実施例によるデータ伝送方法のモバイル端末のハードウェアの構成ブロック図である。
図2】本開示の実施例によるデータ伝送方法のフローチャートである。
図3】本開示の実施例による別のデータ伝送方法のフローチャートである。
図4】本開示の実施例による、イーサネットネットワークでメッセージを伝送する過程を示す模式図である。
図5】本開示の実施例によるCQFスケジューリング技術の動作過程を示す模式図である。
図6】本開示の実施例による、同期CQF技術における光ファイバ遅延時間によるメッセージ遅延問題を示す模式図である。
図7】本開示の実施例による、同期CQF技術におけるメッセージの伝達状況を示す模式図である。
図8】本開示の実施例による非同期CQF技術の動作過程を示す模式図である。
図9】本開示の実施例による非同期CQF技術が遭遇する問題を示す模式図である。
図10】本開示の実施例による、時間ウインドウの切替時刻の前後の両方の時間セグメントの位置を示す模式図である。
図11】本開示の実施例によるデータ伝送方法の構成を示す模式図である。
図12】本開示の実施例によるイーサネットメッセージのフォーマットの構成を示す模式図である。
図13】本開示の実施例による、符号化層におけるイーサネットメッセージのフォーマットを示す模式図である。
図14】本開示の実施例によるpauseフレームに含めた時間ウインドウ値の構成を示す模式図である。
図15】本開示の実施例によるデータ伝送方法の別の構成を示す模式図である。
図16】本開示の実施例によるデータ伝送方法のさらに別の構成を示す模式図である。
図17】本開示の実施例によるデータ伝送方法の応用場面を示す模式図である。
図18】本開示の実施例によるデータ伝送方法の異なる時間ウインドウ値の構成を示す模式図である。
図19】本開示の実施例によるデータ伝送装置の構成を示す模式図である。
図20】本開示の実施例による別のデータ伝送装置の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら実施例に即して本開示の実施例を詳細に説明する。
なお、本開示の明細書及び特許請求の範囲並びに上述した図面における「第1」、「第2」などの用語は、類似する対象を区別するためのものであり、特定した順序又は優先順位を説明するためのものではない。
【0015】
本願の実施例で提供される方法の実施例は、モバイル端末、コンピュータ端末、又は類似する演算装置において実行することができる。モバイル端末で実行することを例にして、図1は、本開示の実施例によるデータ伝送方法のモバイル端末のハードウェアの構成ブロック図である。図1に示すように、モバイル端末は、1つ又は複数の(図1には1つのみが示されている)プロセッサ102(プロセッサ102は、マイクロプロセッサMCU又はプログラマブルロジックデバイスFPGAなどの処理装置を含むことができるが、これらに限定されることはない)と、データを記憶するためのメモリ104とを含むことができ、上記モバイル端末は、通信機能のための伝送デバイス106及び入出力デバイス108をさらに含んでもよい。図1に示される構成は模式的なものに過ぎず、上記モバイル端末の構成を限定するものではないことは、当業者であれば理解できる。例えば、モバイル端末は、図1に示されるものよりも多い又は少ないコンポーネントを含むか、又は図1に示されるものとは異なる構成を有することができる。
【0016】
メモリ104は、コンピュータプログラム、例えば、本開示の実施例におけるデータ伝送方法に対応するコンピュータプログラムのようなアプリケーションソフトウェアのソフトウェアプログラム及びモジュールを記憶するために使用されてもよく、プロセッサ102は、メモリ104内に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、種々の機能アプリケーション及びデータ処理を実行し、すなわち、上述した方法を実現する。メモリ104は、高速ランダムアクセスメモリを含むことができ、さらに、不揮発性メモリ、例えば1つ又は複数の磁気記憶装置、フラッシュメモリ、又は他の不揮発性固体メモリを含むことができる。いくつかの例では、メモリ104は、プロセッサ102に対して遠隔配置されたメモリをさらに含んでもよく、これらの遠隔メモリは、ネットワークを介してモバイル端末に接続されることができる。上述したネットワークの例は、インターネット、イントラネット、ローカルエリアネットワーク、移動通信網、及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されることはない。
【0017】
伝送デバイス106は、ネットワークを介してデータの送受信を行う。上述したネットワークの具体的な例は、モバイル端末の通信ベンダによって提供される無線ネットワークを含むことができる。一例では、伝送デバイス106は、基地局を介して他のネットワークデバイスに接続されてインターネットと通信可能であるネットワークアダプタ(Network Interface Controller、略してNIC)を含む。一例では、伝送デバイス106は、無線の方式によりインターネットと通信するための無線周波数(Radio Frequency、略してRF)モジュールであってもよい。
【0018】
図2は、本開示の実施例によるデータ伝送方法のフローチャートであり、図2に示すように、そのフローは、以下のステップS202~S204を含む。
【0019】
ステップS202では、第1のネットワークデバイスが、現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがあるか否かを判断する。
【0020】
ステップS204では、上記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、上記第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを上記第2のネットワークデバイスに送信し、ここで、上記予め設定された識別メッセージには上記時間ウインドウのウインドウ値を含めており、上記ウインドウ値は、第2のネットワークデバイスが上記第1のネットワークデバイスの異なる時間ウインドウの切替時刻を決定するために使用される。
【0021】
ステップS202において、実際の応用において、第1のネットワークデバイスは、ネットワークメッセージの伝送中における上流デバイスを含むことができるが、これに限定されることはなく、第2のネットワークデバイスは、ネットワークメッセージの伝送中における下流デバイスを含むことができるが、これに限定されることはない。第1のネットワークデバイスは、データメッセージを第2のネットワークデバイスに送信することができる。
【0022】
ステップS204において、実際の応用において、上流デバイスと下流デバイスとの間で時間の同期をとる必要はなく、上流デバイスの時間ウインドウの切替時刻と下流デバイスの時間ウインドウの切替時刻とを異ならせてもよく、上下流デバイス間でクロック周波数を同期させ、上下流デバイス間で時間ウインドウの切替速度を同じにすればよい。上流デバイスはメッセージを送信する際に、そのメッセージに上流デバイスの送信時間ウインドウ値を含め、下流デバイスはメッセージを受信した際に、メッセージに含めた時間ウインドウ値を抽出することで、メッセージが上流デバイスにおいてどの時間ウインドウ内で送信されたかを知ることができる。データメッセージの伝送中に、ある時間ウインドウ内でクライアントメッセージを受信し、その後、受信されたクライアントメッセージをすべて次の時間ウインドウ内で送信する。このように、ある時間ウインドウ内のすべてのメッセージは同一の時間ウインドウ内で送受信され、同一の時間ウインドウ内のメッセージは、ネットワークのどのノードで伝送する時も常に同一の時間ウインドウ内に保つ。
【0023】
本開示によれば、現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがあるか否かを判断し、上記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、上記第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを上記第2のネットワークデバイスに送信し、ここで、上記予め設定された識別メッセージには上記時間ウインドウのウインドウ値を含めており、上記ウインドウ値は、第2のネットワークデバイスが上記第1のネットワークデバイスの異なる時間ウインドウの切替時刻を決定するために使用されるという構成を採用しているため、特定のメッセージを追加送信する方式により、下流デバイスが上流デバイスの時間ウインドウの切替位置を正確に知ることができるようになり、下流デバイスはホッピング後の新しい時間ウインドウに従って迅速にクライアントサービスを転送し、障害復旧時間を短縮し、通信効率を向上させることが実現される。
【0024】
一実施例では、上記ステップS202において、上記第1のネットワークデバイスが、現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがあるか否かを判断するステップは、
上記第1のネットワークデバイスが、現在の時間ウインドウの切替時刻より前の時間セグメント内に送信待ちメッセージがあるか否かを判断する、又は、上記第1のネットワークデバイスが、現在の時間ウインドウの切替後の時間セグメント内に送信待ちメッセージがあるか否かを判断するステップであって、上記時間セグメントは、イーサネットメッセージが送信された時間を示すために使用される、ステップを含む。
【0025】
一実施例では、上記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、上記第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを上記第2のネットワークデバイスに送信するステップは、
上記現在の時間ウインドウの切替時刻より前の時間セグメント内に送信待ちメッセージがない場合、上記第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを上記第2のネットワークデバイスに送信する、又は、
上記現在の時間ウインドウの切替後の時間セグメント内に送信待ちメッセージがない場合、上記第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを上記第2のネットワークデバイスに送信するステップ、を含む。
【0026】
一実施例では、上記予め設定された識別メッセージは、タイプタグフィールドを含み、上記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、上記第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを上記第2のネットワークデバイスに送信するステップは、
上記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、上記第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを上記第2のネットワークデバイスに送信することにより、上記第2のネットワークデバイスが、上記タイプタグフィールドに基づいて、上記予め設定された識別メッセージのタイプを決定し、上記現在の時間ウインドウのウインドウ値を抽出し、上記予め設定された識別メッセージを破棄するステップ、を含む。
【0027】
一実施例では、上記データ伝送方法は、上記送信待ちメッセージの送信ポートが複数のタイプの時間ウインドウを有し、各タイプの時間ウインドウの現在の時間ウインドウの切替時刻に上記送信待ちメッセージがない場合、上記第1のネットワークデバイスが、タイプタグを含む上記予め設定された識別メッセージを上記第2のネットワークデバイスに送信することにより、上記第2のネットワークデバイスが、上記タイプタグに基づいて、上記複数のタイプのメッセージの時間ウインドウの切替時刻を決定するステップであって、上記タイプタグは、異なるウインドウタイプを表すために使用される、ステップ、をさらに含む。
【0028】
一実施例では、上記予め設定された識別メッセージは、データトラフィックを制御するためのpauseメッセージ、VLANタグのメッセージ、メッセージの宛先アドレス及び送信元アドレスを含むメッセージ、コードブロックストリームシーケンスのうちの少なくとも1つを含む。
【0029】
図3は、本開示の実施例による別のデータ伝送方法のフローチャートであり、図3に示すように、そのフローは、以下のステップS302~S304を含む。
【0030】
ステップS302では、現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、上記第2のネットワークデバイスが、第1のネットワークデバイスから送信された予め設定された識別メッセージを受信し、上記第1のネットワークデバイスの現在の時間ウインドウの切替時刻を決定し、ここで、上記予め設定された識別メッセージは、上記現在の時間ウインドウのウインドウ値を含む。
【0031】
ステップS304では、上記第2のネットワークデバイスが上記現在の時間ウインドウのウインドウ値を受信した後、上記予め設定された識別メッセージを破棄する。
【0032】
一実施例では、ステップS302において、上記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、上記第2のネットワークデバイスが、第1のネットワークデバイスから送信された予め設定された識別メッセージを受信するステップは、
上記現在の時間ウインドウの切替時刻より前の時間セグメント内に送信待ちメッセージがない場合、上記第2のネットワークデバイスが、上記第1のネットワークデバイスから送信された上記予め設定された識別メッセージを受信する、又は、
上記現在の時間ウインドウの切替後の時間セグメント内に送信待ちメッセージがない場合、上記第2のネットワークデバイスが、上記第1のネットワークデバイスから送信された上記予め設定された識別メッセージを受信するステップ、を含む。
【0033】
一実施例では、上記予め設定された識別メッセージは、第1のタグフィールドを含み、上記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、上記第2のネットワークデバイスが、第1のネットワークデバイスから送信された予め設定された識別メッセージを受信するステップは、
上記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、上記第2のネットワークデバイスが、受信された上記第1のタグフィールドに基づいて、上記予め設定された識別メッセージのタイプを決定するステップと、上記現在の時間ウインドウのウインドウ値を抽出し、上記予め設定された識別メッセージを破棄するステップと、を含む。
【0034】
一実施例では、上記データ伝送方法は、上記送信待ちメッセージの送信ポートが複数のタイプの時間ウインドウを含み、対応する各タイプの時間ウインドウが、それぞれの現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージを有していない場合、第2のネットワークデバイスが、上記第1のネットワークデバイスから送信された複数の時間ウインドウタイプのメッセージを受信するステップであって、上記複数の時間ウインドウタイプのメッセージは、異なるタイプタグを含む、ステップと、上記タイプタグに基づいて、上記複数のタイプのメッセージの時間ウインドウの切替時刻を決定するステップと、をさらに含む。
【0035】
本開示の実施例によれば、現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、上記第2のネットワークデバイスが、第1のネットワークデバイスから送信された予め設定された識別メッセージを受信し、上記第1のネットワークデバイスの現在の時間ウインドウの切替時刻を決定し、ここで、上記予め設定された識別メッセージは、上記現在の時間ウインドウのウインドウ値を含み、そして、上記第2のネットワークデバイスが上記現在の時間ウインドウのウインドウ値を受信した後、上記予め設定された識別メッセージを破棄するという構成を採用しているため、特定のメッセージを追加送信する方式により、下流デバイスが上流デバイスの時間ウインドウの切替位置を正確に知ることができるようになり、下流デバイスはホッピング後の新しい時間ウインドウに従って迅速にクライアントサービスを転送し、障害復旧時間を短縮し、通信効率を向上させることが実現される。
【0036】
インターネット技術の盛んな発展に伴い、ネットワーク上の伝送情報の内容は音声サービスからデータサービスに変わり、通信ネットワークは音声サービス向けのSDH技術ネットワークからデータメッセージ向けのイーサネット技術ネットワークに変わった。通常のイーサネットメッセージの長さは固定値ではなく(64バイトから9600バイトの間)、伝送中に、メッセージストリームにおいて様々な長さのメッセージが混在して伝送されることがあり、これらのメッセージは処理過程で相互に影響し合うため、機器内部ではクライアントメッセージを処理する時の実際の処理時間は不確定となり、メッセージ処理遅延時間は不確定となる。例えば、複数の異なるポートからのメッセージが1つの出力ポートに集まると、低優先度の長いパケットが高優先度の短いパケットをブロックする現象が発生する。例えば、低優先度の長いパケットが出力されている中、出力する必要のある高優先度の短いメッセージを受信したとすると、高優先度の短いメッセージは、送信優先度が高いものの、低優先度のメッセージの送信中にメッセージ中断現象が発生するのを回避するために、低優先度の長いメッセージが送信され終わるのを待ってから、外への送信を開始する必要がある。低優先度メッセージの長さはランダムであるため、高優先度メッセージの待ち時間は不確定であり、高優先度メッセージの待ち遅延時間は不確定であり、遅延やジッタが大きい。低優先度メッセージは長い可能性があるため、対応する高優先度メッセージの待ち時間は長くなり、その待ち時間を、高優先度の短いパケットのメッセージが実際に必要とする送信時間(短いパケットの送信時間は短い)と比べると、その待ち時間は実際の送信時間よりもはるかに長くなり、その結果、高優先度メッセージが装置内部に滞留する主な原因は、ブロッキングによる待ち時間であるが、実際にはその処理時間は非常に短い。メッセージをネットワーク上で多くのデバイスを介して伝送する際に、各サイトで不確定な遅延及びジッタが発生するため、複数のサイトでの遅延及びジッタが重畳して蓄積されると、メッセージの総伝送遅延時間及びジッタが大いに蓄積され、メッセージの伝送品質に影響を与える。
【0037】
現在の改良技術としては、ネットワークにTSN(Time-Sensitive Networking:時間に敏感なネットワーキング)技術が提案されている。TSN技術では、タイムゲートキュースケジューリング技術(すなわちCQF技術、cyclic queuing and forwarding、サイクリック・キューイング/フォワーディング)を使用して、ある時間ウインドウ内でクライアントメッセージを受信し、その後、受信されたクライアントメッセージをすべて次の時間ウインドウ内で送信する。このように、ある時間ウインドウ内のすべてのメッセージは同一の時間ウインドウ内で送受信され、同一の時間ウインドウ内のメッセージは、ネットワークのどのノードで伝送する時も常に同一の時間ウインドウ内に保つ。メッセージのネットワーク上での総伝達時間をn*Tとし、ただし、nは通過するネットワークノードの数であり、Tは時間ウインドウのサイズである。メッセージはある時間ウインドウ内で変動可能であるが、時間ウインドウを超えることはなく、メッセージの変動によるジッタ値はTよりも小さいため、メッセージのネットワーク上での確実な伝送が可能となる。CQF技術は、上下流デバイス間の時間の同期を必要とし、上流デバイスと下流デバイスとは、時間の同期をとった場合、同一時刻で送信時間ウインドウと受信時間ウインドウを同時に切り替えるため、この技術は、上下流デバイス間の距離が短く、デバイス間の光ファイバ遅延時間を無視できるローカルエリアネットワークにのみ適している。メトロポリタンエリアネットワーク、ワイドエリアネットワークでは、デバイス間の距離が大きく、メッセージの光ファイバ上での遅延時間が長く、たとえ上下流デバイスが同時に時間ウインドウを切り替えても、上流デバイスの送信ポートから送信されたメッセージが光ファイバを経由して下流デバイスの受信ポートに転送される時に、メッセージは、実際には、一定時間遅れて下流デバイスの受信ポートに到着し、メッセージの到着時間と下流受信デバイスの時間ウインドウの切替時刻とが一致しない。光ファイバの遅延による問題を解決するために、非同期CQFソリューションが提案されている。上流デバイスと下流デバイスとの間で時間の同期をとる必要はなく、上流デバイスの時間ウインドウの切替時刻と下流デバイスの時間ウインドウの切替時刻とを異ならせてもよく、上下流デバイス間のクロック周波数を同期させ、上下流デバイス間の時間ウインドウの切替速度を同じにすればよい。上流デバイスはメッセージを送信する際に、そのメッセージに上流デバイスの送信時間ウインドウ値を含め、下流デバイスはメッセージを受信した際に、メッセージに含めた時間ウインドウ値を抽出することで、メッセージが上流デバイスにおいてどの時間ウインドウ内で送信されたかを知ることができる。非同期CQF技術は、上下流デバイスの時間の同期を必要とせず、上下流デバイスの時間ウインドウを同一時刻で切り替える必要がないため、上下流デバイス間の光ファイバ伝達時間を回避し、メトロポリタンエリアネットワーク、ワイドエリアネットワークにおける光ファイバ遅延時間を無視できないという問題を解決する。
【0038】
非同期CQF技術を採用した後、下流デバイスは、メッセージに含めた時間ウインドウ値を抽出することで、メッセージが上流デバイスにおいてどの時間ウインドウで送信されたかを取得し、メッセージに含めた時間ウインドウ値に頼っている。メッセージに含めたウインドウ値の変化状況から上流デバイスの時間ウインドウの切替時刻を知ることができる。上流デバイスから送信されたメッセージが少ない場合、又はメッセージが送信されていない場合、下流デバイスは上流デバイスの時間ウインドウの切替時刻を正確に判断することができない。上流デバイスに障害や異常が発生し、上流デバイスの時間ウインドウがホッピングした一方、下流デバイスが上流デバイスの時間ウインドウの異常を検出できず、依然として以前の時間ウインドウに従ってメッセージを転送する場合、その転送操作は新しい時間ウインドウの要求を満たすことができず、転送操作の誤りが発生し、重大な場合にはクライアントサービスの中断を招く。
【0039】
上記課題を解決するために、前述した実施例に基づいて、本開示の実施例で提供される上記データ伝送方法は、さらに、以下のステップを含む。
【0040】
ステップS1:上流デバイスの送信ポートは、時間ウインドウの切替時刻において、送信する必要のあるクライアントメッセージがあるか否かを判断する。
【0041】
ステップS2:上流デバイスの送信ポートにおいて時間ウインドウの切替時刻に送信する必要のあるクライアントメッセージがない場合、時間ウインドウ値を含めた特別に定義されたメッセージを追加送信する。
【0042】
ステップS3:下流デバイスの受信ポートは、メッセージに含めた時間ウインドウ値を抽出し、上流デバイスの時間ウインドウ値の切替時刻を判断して、後続の判定や判断のための参考情報とする。
【0043】
一実施例では、上記データ伝送方法におけるステップS1は、以下のステップS11~S14をさらに含む。
【0044】
ステップS11:上流デバイスの送信ポートは、時間ウインドウの切替時刻に送信すべきクライアントメッセージがあるか否かを判断する。その判断は、時間ウインドウの切替時刻より前の時間セグメント内に送信する必要のあるクライアントメッセージがあるか否かと、時間ウインドウの切替後の時間セグメント内に送信する必要のあるクライアントメッセージがあるか否かに分けて行われる。
【0045】
ステップS12:時間セグメントのサイズの範囲を、イーサネット規格で定義された最小メッセージの送信時間としてもよいし、必要に応じてメッセージの実際の送信時間を特別に定義してもよい。
【0046】
ステップS13:時間ウインドウの切替時刻より前の時間セグメントとは、時間ウインドウの切替時刻より前の、1つのメッセージを追加送信可能な送信位置である。
【0047】
ステップS14:時間ウインドウの切替時刻より後の時間セグメントとは、時間ウインドウの切替時刻より後の、1つのメッセージを追加送信可能な送信位置である。
【0048】
一実施例では、上記データ伝送方法におけるステップS2は、以下のステップS21~S25をさらに含む。
【0049】
ステップS21:特別に定義されたメッセージの追加送信は、いくつかのモードのうちの1つであってもよい。
【0050】
モード1:切替時刻の前後の両方の時間セグメントをチェックする。
モード2:切替時刻より前の時間セグメントのみをチェックする。
【0051】
モード3:切替時刻より後の時間セグメントのみをチェックする。
ステップS22:前後の両方の時間セグメントをチェックするモードでは、時間ウインドウの切替時刻より前の時間セグメントと時間ウインドウの切替時刻より後の時間セグメントを同時にチェックし、いずれの時間セグメント内にも送信する必要のあるクライアントメッセージがなければ、その時間セグメント内に特別に定義されたメッセージを追加送信する。
【0052】
ステップS23:時間ウインドウの切替前の時間セグメントのみをチャックするモードでは、ずれ時間ウインドウの切替時刻より前の時間セグメントをチェックし、その時間セグメント内に送信する必要のあるクライアントメッセージがなければ、その時間セグメント内に特別に定義されたメッセージを追加送信する。
【0053】
ステップS24:時間ウインドウの切替時刻より後の時間セグメントのみをチェックするモードでは、時間ウインドウの切替時刻より後の時間セグメントをチェックし、その時間セグメント内に送信する必要のあるクライアントメッセージがなければ、その時間セグメント内に特別に定義されたメッセージを追加送信する。
【0054】
ステップS25:特別に定義されたメッセージは、特別なフラグ情報を備えており、下流デバイスによって識別され、特別に定義されたメッセージに含めた時間ウインドウ値の情報を抽出されることができる。
【0055】
一実施例では、上記データ伝送方法におけるステップS3は、以下のステップS31~S35をさらに含む。
【0056】
ステップS31:下流デバイスの受信ポートがクライアントメッセージを受信すると、クライアントメッセージに含めた時間ウインドウ値を抽出し、下流デバイスの受信ポートが特別に定義されたメッセージを受信すると、特別に定義されたメッセージに含めた時間ウインドウ値を抽出し、特別に定義されたメッセージを破棄する。
【0057】
ステップS32:前後の両方のメッセージ送信時間セグメントの長さをチェックするモードを採用する場合、前後に隣接する2つのメッセージ(クライアントメッセージと特別に定義されたメッセージを含む)から抽出された時間ウインドウ値が変化すると、前後のメッセージの境界位置は、上流デバイスの送信時間ウインドウの切替時刻の位置となる。
【0058】
ステップS33:切替時刻より前のメッセージ送信時間セグメントの長さのみをチェックするモードでは、特別に定義されたメッセージの終了位置は、上流デバイスの送信時間ウインドウの切替時刻の位置となり、特別に定義されたメッセージに含めた時間ウインドウ値は、切替時刻より前の上流デバイスの送信時間ウインドウ値である。
【0059】
ステップS34:切替時刻より後のメッセージ送信時間セグメントの長さのみをチェックするモードでは、特別に定義されたメッセージの開始位置は、上流デバイスの送信時間ウインドウの切替時刻の位置となり、特別に定義されたメッセージに含めた時間ウインドウ値は、切替時刻より後の上流デバイスの送信時間ウインドウ値となる。
【0060】
ステップS35:上流デバイスの時間ウインドウの切替位置を取得し、切替位置が想定される状況に合致しているか否かを、上流デバイスの送信時間ウインドウの切替位置が異常であるか否かの判定基準とする。
【0061】
上述した実施例に基づいて、1つ又は複数の実施例では、上記データ伝送方法は、さらに以下のことを含む。図4に示すように、メッセージをネットワーク上で多くのデバイスを介して伝送する際に、各サイトで不確定な遅延及びジッタが発生するため、複数のサイトでの遅延及びジッタが重畳して蓄積されると、メッセージの総伝送遅延時間及びジッタが大いに蓄積され、メッセージの伝送品質に影響を与える。現在の改良技術としては、ネットワークにTSN(Time-Sensitive Networking:時間に敏感なネットワーキング)技術が提案されている。図5に示すように、TSN技術では、タイムゲートキュースケジューリング技術(すなわちCQF技術、cyclic queuing and forwarding、サイクリック・キューイング/フォワーディング)を使用して、ある時間ウインドウ内でクライアントメッセージを受信し、その後、受信されたクライアントメッセージをすべて次の時間ウインドウ内で送信する。このように、ある時間ウインドウ内のすべてのメッセージは同一の時間ウインドウ内で送受信され、同一の時間ウインドウ内のメッセージは、ネットワークのどのノードで伝送する時も常に同一の時間ウインドウ内に保つ。メッセージのネットワーク上での総伝達時間をn*Tとし、ただし、nは通過するネットワークノードの数であり、Tは時間ウインドウのサイズである。メッセージはある時間ウインドウ内で変動可能であるが、時間ウインドウを超えることはなく、メッセージの変動によるジッタ値はTよりも小さいため、メッセージのネットワーク上での確実な伝送が可能となる。CQF技術は、上下流デバイス間の時間の同期を必要とし、上流デバイスと下流デバイスとは、時間の同期をとった場合、同一時刻で送信時間ウインドウと受信時間ウインドウを同時に切り替えるため、この技術は、上下流デバイス間の距離が短く、デバイス間の光ファイバ遅延時間が無視できるローカルエリアネットワークにのみ適している。メトロポリタンエリアネットワーク、ワイドエリアネットワークでは、デバイス間の距離が大きく、メッセージの光ファイバ上での遅延時間が長く、たとえ上下流デバイスが同時に時間ウインドウを切り替えても、上流デバイスの送信ポートから送信されたメッセージが光ファイバを経由して下流デバイスの受信ポートに転送される時に、メッセージは、実際には、一定時間遅れて下流デバイスの受信ポートに到着する。図6における時間差Δに示すように、メッセージの到着時間と下流受信デバイスの時間ウインドウの切替時刻とが一致しない。光ファイバの遅延による問題を解決するために、非同期CQFソリューションが提案されている。上流デバイスと下流デバイスとの間で時間の同期をとる必要はなく、上流デバイスの時間ウインドウの切替時刻と下流デバイスの時間ウインドウの切替時刻とを異ならせてもよく、上下流デバイス間のクロック周波数を同期させ、上下流デバイス間の時間ウインドウの切替速度を同じにすればよい。上流デバイスはメッセージを送信する際に、そのメッセージに上流デバイスの送信時間ウインドウ値を含め、下流デバイスはメッセージを受信した際に、メッセージに含めた時間ウインドウ値を抽出することで、メッセージが上流デバイスにおいてどの時間ウインドウ内で送信されたかを知ることができる。非同期CQF技術は、上下流デバイスの時間の同期を必要とせず、上下流デバイスの時間ウインドウを同一時刻で切り替える必要がないため、上下流デバイス間の光ファイバ伝達時間を回避し、メトロポリタンエリアネットワーク、ワイドエリアネットワークにおいて光ファイバ遅延時間を無視できないという問題を解決する。図7に示すように、非同期CQF技術を採用した後、下流デバイスはクライアントメッセージに含めた時間ウインドウ値だけを抽出し、含めた時間ウインドウ値は、このメッセージが上流デバイスの送信ポートで送信された時間ウインドウの位置となり、同じ時間ウインドウ値は、これらのメッセージが同一の時間ウインドウで送信されたことを表し、メッセージ中の異なる時間ウインドウのウインドウ値は、これらのメッセージが同一時間内にないことを表し、下流デバイスは、同じ時間ウインドウ値のメッセージを同一の時間ウインドウ内で転送する必要がある。時間ウインドウ値は多くの値があり、図7における時間ウインドウ値は1~8であり、デバイスの送信ポートが時間ウインドウ1で送信したすべてのメッセージに含めたウインドウ値は1に等しく、時間ウインドウ2で送信したすべてのメッセージに含めたウインドウ値は2に等しいといったように、時間ウインドウ8で送信したすべてのメッセージに含めたウインドウ値は8に等しく、次の時間ウインドウ値は再び1から始まり、時間ウインドウ値は順次、循環して現れる。ファイバ遅延時間は比較的大きく、1つの時間ウインドウのサイズよりも大きくなってもよく、例えば、ファイバ遅延時間は、単一の時間ウインドウのサイズの2.7倍に等しい。上流デバイスはメッセージを送信する際に、そのメッセージに上流デバイスの送信時間ウインドウ値を含め、下流デバイスはメッセージを受信した際に、メッセージに含めた時間ウインドウ値を抽出することで、メッセージが上流デバイスにおいてどの時間ウインドウ内で送信されたかを知ることができ、これらのメッセージの上流送信ポートでの送信位置を決定することができ、図8に示すように、メッセージに含めた時間ウインドウ値の変化位置から上流デバイスの時間ウインドウの切替時刻の位置を知ることができる。非同期CQF技術は、上下流デバイスの時間の同期を必要とせず、上下流デバイスの時間ウインドウを同一時刻で切り替える必要がないため、上下流デバイス間の光ファイバ伝達時間による問題を回避し、メトロポリタンエリアネットワーク、ワイドエリアネットワークにおける光ファイバ遅延時間を無視できない応用場面に対応することができる。
【0062】
非同期CQF技術では、下流デバイスは、メッセージに含めた時間ウインドウ値を抽出することで、メッセージが上流デバイスにおいてどの時間ウインドウ内で送信されたかを取得し、その実現はメッセージに含めた時間ウインドウ値に頼っており、メッセージに含めた時間ウインドウ値の変化状況から上流デバイスの時間ウインドウの切替時刻を決定することができる。通常の場合、上流デバイスの送信ポートの時間ウインドウの切替時刻は周期的でかつ規則的であり、常に安定して変化せず、下流デバイスが抽出したメッセージに含めた時間ウインドウ値も一定の規則に従って周期的に変化する。上流デバイスがリセットや再起動、光ファイバの切り替えなどの異常状況に陥った場合、上流デバイスの送信ポートの時間ウインドウの切替時刻の位置、メッセージに含めた時間ウインドウ値の大きさが急激に変化することがあり、下流デバイスはこのような異常変化を検出する必要があり、その後、下流デバイス内の受信メッセージの遅延パラメータを再設定し、後続の対応するメッセージの下流デバイスにおける送信時間ウインドウの位置を更新するため、下流デバイスがリアルタイムに上流デバイスの送信時間ウインドウの切替位置を検出し、メッセージに含めた時間ウインドウ値が異常であるか否かを検出することは非常に重要である。多くのクライアントメッセージが運ばれる場面では、下流デバイスは絶えずクライアントメッセージを受信するため、クライアントメッセージにおける時間ウインドウ値を抽出し、クライアントメッセージにおける時間ウインドウ値から上流デバイスの時間ウインドウの切替時刻の位置を判断することによって、上流デバイスの時間ウインドウの切替位置が異常であるか否か、クライアントメッセージに含めた時間ウインドウ値が異常であるか否かを容易に判定する。
【0063】
ネットワーク上で運ばれるクライアントメッセージが少ない場合、又は短い時間内にクライアントメッセージが送信されない場合、図9に示すように、下流デバイスは上流デバイスの時間ウインドウの切替時刻を正確に判断することができない。上流デバイスに障害や異常が発生し、上流デバイスの時間ウインドウがホッピングした一方、下流デバイスが上流デバイスの時間ウインドウの異常を検出できず、依然として以前の時間ウインドウに従ってメッセージを転送する場合、その転送操作は新しい時間ウインドウの要求を満たすことができず、転送操作の誤りが発生し、重大な場合にはクライアントサービスの中断を招く。
【0064】
この問題を解決し、上流デバイスの送信時間ウインドウが異常であるか否かをリアルタイムで監視することを容易にするために、本特許では、特別に定義されたメッセージを追加送信する方式により、空のクライアントメッセージを特別に定義されたメッセージに置き換えることで、下流デバイスは、上流デバイスの時間ウインドウの切替位置を正確に知ることができ、これにより、上流デバイスの時間ウインドウの切替時刻が異常であるか否かを迅速かつ正確に判断する。上流からの送信時間のホッピングが検出されると、下流デバイスは速やかにホッピング後の新しい時間ウインドウに従ってクライアントサービスを転送し、障害回復時間を短縮する。具体的には、次の通り実現する。すなわち、上流デバイスの送信ポートは、送信時間ウインドウの切替時刻の位置の前後の両方の時間セグメントにおいて、図10に示すように、これら両方の時間セグメント内にクライアントメッセージが送信されたか否かを判断する。時間セグメント内にメッセージが送信されなかった場合、クライアントメッセージの代わりに特別に定義されたメッセージをその時間セグメント内に追加送信して下流デバイスに送信する。図11に示すように、図11中の太い黒矢印のメッセージは特別に定義されたメッセージである。特別に定義されたメッセージは、上下流デバイス間で合意されたカスタムメッセージであり、このメッセージには特別に定義されたフラグがあり、このメッセージが存在する時間ウインドウ値を含めている。時間セグメントは、特別に定義されたメッセージが時間セグメント内に送信できることを保証するために、特別に定義されたメッセージの送信に必要な時間以上である必要がある。送信ポートは、特別に定義されたメッセージを追加送信することにより、リンク上で伝達する必要のあるクライアントメッセージがない場合でも、送信ポートが時間ウインドウの切替位置の前後の両方に1つのメッセージを下流デバイスに送信することを保証することができる。時間ウインドウの切替位置の前後のメッセージに異なる時間ウインドウ値を含めており、下流デバイスは、含めた時間ウインドウ値から上流デバイスの時間ウインドウの切替時刻の位置を正確に判断することができる。下流デバイスの受信ポートは、特別に定義されたメッセージを検出した後、このメッセージに含めたウインドウ情報値を直接抽出して、上流デバイスの時間ウインドウの切替時刻の位置を判断するために使用し、最後に、受信ポートは、この特別に定義されたメッセージを破棄する。特別に定義されたメッセージは、時間ウインドウ値の情報を運ぶためにのみ使用され、時間ウインドウ値の情報の運搬が完了するとその存在意義が失われる。
【0065】
特別に定義されたメッセージは、上下流デバイス間で合意された、特定のフラグ特徴を有するカスタムメッセージである。下流デバイスは、メッセージの特定のフラグ特徴を検出することにより、そのメッセージが特別に定義されたメッセージであると決定し、含めた時間ウインドウ値を抽出し、その後、そのメッセージを破棄する。特別に定義されたメッセージは、特定のフラグ特徴を含めたイーサネットメッセージであってもよく、通常のイーサネットメッセージに特定のフラグ特徴及び時間ウインドウ値の情報を含めている。図12に示すように、図12は通常のイーサネットメッセージの構成であり、通常のイーサネットメッセージでは、そのtypeフィールドにカスタマイズされた特定のフラグ特徴を含めることができ、例えば、typeフィールドの特徴値0xffffを特定のフラグ特徴とすることができる。具体的には、特定のフラグ特徴は、他の様々な形態であってもよく、例えば、通常のイーサネットメッセージのうち、宛先アドレスのフィールド値を特別な宛先アドレス値(例えば、0xff-ff-ff-ff-ff-ff-ff)とするメッセージを特別に定義されたメッセージとすることができる。
【0066】
特別に定義されたメッセージは、通常のイーサネットメッセージのフォーマットであってもよいし、通常のイーサネットメッセージが物理層のPCS層コードストリームシーケンスの形で現れる特定のコードストリームシーケンスであってもよい。例えば、通常のイーサネットメッセージは、物理ポートで送信される場合、まず64B/66B符号化されてから、66ビットブロックストリームとして送信される。図13に示すように、通常のイーサネットメッセージが64B/66B符号化された後のコードブロックシーケンスは、Sブロック+いくつかのDブロック+Tブロックで構成され、Sブロックはメッセージの開始ブロック、Dブロックはデータブロック、Tブロックは終了ブロックである。イーサネット規格に従う定義では、Sブロックの内容は66ビットで構成され、「0b10」+「0x78」+7個の「0x55」という構成である。「0b10」+「0x78」フィールドは、一般に、Sブロックであることを識別するために使用され、後の7個の「0x55」は、応用において適切に修正されて応用されることができ、7個の「0x55」フィールドの内容の一部を特別に定義されたフラグに修正することができ、例えば、6個の「0x55」+「0xAA」を、特別に定義されたフラグを含めた特別に定義されたメッセージ(Dブロックの一部に時間ウインドウ値を含めている)とすることができる。実際の応用において、「0x78」フィールドを他のイーサネット規格で使用されていないフィールドに変更して、特別に定義されたフラグとして使用することもできる。イーサネット規格に従って、最短メッセージ長が64バイトであると定義されているため、1つの通常のイーサネットメッセージが符号化された後のコードブロックシーケンスストリームにおけるDブロックの数は4個以上となり、4個未満のDブロックは不正なメッセージブロックである。受信ポートは、これを受信した後、このコードブロックシーケンスを破棄するため、S+n*D(nは0、1、2、3のいずれかの値である)+Tコードブロックストリームシーケンスをも特別に定義されたメッセージとすることができ、例えば、S+Tコードブロックストリームシーケンス、又はS+D+Tコードブロックストリームシーケンス、又はS+D+D+Tコードブロックストリームシーケンス、又はS+D+D+D+Tコードブロックストリームシーケンスを特別に定義されたメッセージとすることができ、ただし、Dブロック又はTブロックに時間ウインドウ値を含めている。受信ポートは、このようなコードブロックストリームシーケンスを検出した後、Dブロックの数からそれが特別に定義されたメッセージであることを知ることができ、Dブロック又はTブロック上の時間ウインドウ値を抽出し、その後、そのコードブロックシーケンスを破棄する。
【0067】
実際の応用において、特別に定義されたフラグを含めた通常のイーサネットメッセージ、又は特定のコードブロックシーケンスを特別に定義されたメッセージとする以外に、イーサネットプロトコルメッセージに新しい機能を拡張して、時間ウインドウ値を含める目的を実現することもできる。例えば、イーサネット物理インタフェースでは、pauseフレームを利用して、相手装置に、メッセージの送信を一時停止させ、クライアントサービスの送信速度を制限するように通知する。受信ポートは、Pauseフレームを受信した後、フロー制御操作を開始し、その後、Pauseフレームメッセージを破棄する。Pauseフレームのフォーマットを図14に示す。pauseフレームにおける宛先アドレスフィールドは固定値(0x01-80-C2-00-00-01)であり、タイプ値は0x8808、オペコードは0x0001である。操作パラメータは、PAUSEの送信側が相手に要求したデータフレームの送信停止の時間の長さであり、時間測定単位は、現在の伝送レートで512ビットのデータを伝送するのにかかる時間であり、受信側が実際に一時停止する時間は、操作パラメータのフィールドの内容と現在の伝送レートで512ビットのデータを伝送するのにかかる時間の積である。応用において、操作パラメータを通常0xFFFFに設定し、一時停止時間を最大値に設定する。応用において、操作パラメータを0x0000に設定して特別に定義されたフラグとすることができ(操作パラメータが0x0000に設定されるpauseフレームはフロー制御時にフロー制御が行われないことを示す)、また、操作パラメータが通常0x0000に設定されるpauseメッセージを特別に定義されたメッセージとすることができる(他の操作値であってもよい)。図14に示すように、pauseメッセージのリザーブフィールドに時間ウインドウ値を含めている。受信ポートはオペコードが0x0000であるpauseメッセージを受信した後、リザーブフィールドにおける時間ウインドウ値を抽出する。
【0068】
図11に示す実施例では、上流デバイスの送信時間ウインドウの切替時刻の位置の前後の両方の時間セグメントで検出を行っているが、実際の応用において、図15に示す実施例のように、そのうちの一方の時間セグメントでのみ検出を行い、特別に定義されたメッセージを追加送信するようにしてもよい。図15では、検出時間ウインドウの切替時刻より後の時間セグメントでのみ検出を行い、特別に定義されたメッセージを追加送信する。上下流デバイスが、検出時間ウインドウの切替時刻より後の時間セグメントでのみ検出を行い、特別に定義されたメッセージを追加送信することで合意した場合、上流デバイスは、検出時間ウインドウの切替時刻より後の時間セグメントでのみ検出を行い、特別に定義されたメッセージを追加送信し、下流デバイスは、特別に定義されたメッセージを受信すると、このメッセージの開始位置の時刻が時間ウインドウの切替位置であり、メッセージに含めた時間ウインドウ値が切替後の時間周期値であると判断する。実際の応用において、図16に示す実施例のように、検出時間ウインドウの切替時刻より前の時間セグメントでのみ検出を行い、特別に定義されたメッセージを追加送信するようにしてもよい。上下流デバイスが、検出時間ウインドウの切替時刻より前の時間セグメントでのみ検出を行い、特別に定義されたメッセージを追加送信することで合意した場合、上流デバイスは、検出時間ウインドウの切替時刻より前の時間セグメントでのみ検出を行い、特別に定義されたメッセージを追加送信し、下流デバイスは、特別に定義されたメッセージを受信すると、このメッセージの終了位置の時刻が時間ウインドウの切替位置であり、メッセージに含めた時間ウインドウ値が切替前の時間周期値であると判断する。
【0069】
上述した実施例では、送信ポート及び受信ポートは、いずれも物理ポートとして動作し、1つの物理ポートには時間ウインドウ値が1つだけ存在する。一方、実際の動作では、1つの物理ポートに複数のクライアントサービスフローがあるかもしれず、各クライアントフローは独立した異なる時間ウインドウ値を持つ。図17に示すように、同一の物理リンク(同一対の物理送信ポートと受信ポート)の中に複数の異なるクライアントサービスフローがあり、異なるクライアントサービスフローは、異なる送信時間周期及び送信時間ウインドウの切替時刻を有する。図18に示すように、同一の物理ポートに異なるクライアントサービスフローが存在する場合、送信ポートの時間ウインドウはそれぞれのクライアントフローの時間ウインドウ周期に従って動作する。1つの独立したクライアントサービスフローの時間ウインドウの切替時刻より前、及び(又は)、時間ウインドウの切替時刻より後にそのクライアントサービスフローがない場合、そのクライアントサービスフローに属する特別に定義されたメッセージを追加送信し、この特別に定義されたメッセージには、そのクライアントサービスフローに属する特別なラベルがあり、送信ポートは、特別に定義されたメッセージがどのクライアントサービスフローに属するかを識別することができる。具体的な実現方法としては、さまざまな方法がある。例えば、VLANタグによって異なるクライアントフローを識別し、同一のクライアントフローのクライアントサービスと、このクライアントサービスフローの特別に定義されたメッセージは、同じVLANタグ値を持つ。受信物理ポートでは、異なるクライアントサービスフローに応じて別々に処理する。すなわち、同一のクライアントフローについて、そのクライアントサービスフローにおける特別に定義されたメッセージを抽出し、メッセージにおける取得時間ウインドウ値を抽出し、さらにそのクライアントフローの上流ポートの時間ウインドウの切替時刻を取得する。
【0070】
上述した実施例で提供される特許の応用場面は、非同期CQFの動作場面であるが、実際の応用において、発明の実施例は、TSNプロトコルファミリーにおける802.1Qchの動作場面、すなわちCQF(同期CQF)にも応用されることができる。802.1Qchプロトコルの動作において、上下流デバイス(又はネットワーク上のデバイス)の時間の同期を必要とし、本特許を適用すると、デバイス間で時間の同期をとる必要はなくなり、メッセージに送信時間ウインドウ値を含めていればよく、送信時間ウインドウが変化する前後の時間セグメント内にクライアントメッセージがあれば、時間ウインドウ値を含めた特別に定義されたメッセージを下流デバイスに追加送信する。
【0071】
本開示で提供される実施例では、特別に定義されたメッセージの定義について、通常のクライアントメッセージに新しい機能を拡張して、特定のフラグ特徴を含めることで、時間ウインドウ値を含める目的を達成するものを意味してもよい。特別な定義メッセージは、他の様々な形態であってもよく、含めた時間ウインドウ値の位置は多様であってもよく、本開示では何ら限定もしない。
【0072】
本開示の実施例によれば、現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがあるか否かを判断し、上記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、上記第1のネットワークデバイスは、予め設定された識別メッセージを上記第2のネットワークデバイスに送信し、ここで、上記予め設定された識別メッセージには上記時間ウインドウのウインドウ値を含めており、上記ウインドウ値は、第2のネットワークデバイスが上記第1のネットワークデバイスの異なる時間ウインドウの切替時刻を決定するために使用されるという構成を採用しているため、特定のメッセージを追加送信する方式により、下流デバイスが上流デバイスの時間ウインドウの切替位置を正確に知ることができるようになり、下流デバイスはホッピング後の新しい時間ウインドウに従って迅速にクライアントサービスを転送し、障害復旧時間を短縮し、通信効率を向上させることが実現される。
【0073】
以上の実施形態の説明によって、上述した実施例による方法を、ソフトウェアに必要な汎用ハードウェアフラップフォームを追加した方式で実現することができ、ハードウェアによって実現することもできるが、多くの場合、前の方法で実施することが好ましいことを当業者は理解できる。これに基づいて、本開示の技術態様の本質又は従来技術に貢献のある部分を、ソフトウェア製品の形態で実現することができ、そのコンピュータソフトウェア製品は、端末機器(携帯電話、コンピュータ、サーバ、又はネットワークデバイス等であってもよい)に本開示の各実施例に記載の方法を実行させる命令を複数含む記憶媒体(例えば、ROM/RAM、磁気ディスク、光ディスク)に記憶される。
【0074】
本実施例においてデータ装置がさらに提供され、この装置は、上述した実施例及び好適な実施形態を実現するためのものであり、既に説明した部分の説明は省略する。以下で使用される用語「モジュール」は、所定の機能を実現可能なソフトウェア及び/又はハードウェアの組み合わせである。以下の実施例で説明される装置をソフトウェアで実現することが好ましいが、ハードウェア、又はソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって実現することも可能である。
【0075】
図19は、本開示の実施例によるデータ伝送装置の構成ブロック図であり、図19に示すように、その装置は、判断ユニット1902と、送信ユニット1904と、を含む。
【0076】
判断ユニット1902は、現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがあるか否かを判断するように構成される。
【0077】
送信ユニット1904は、上記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、上記第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを上記第2のネットワークデバイスに送信するように構成され、上記予め設定された識別メッセージには上記時間ウインドウのウインドウ値を含めており、上記ウインドウ値は、第2のネットワークデバイスが上記第1のネットワークデバイスの異なる時間ウインドウの切替時刻を決定するために使用される。
【0078】
本開示の実施例では、第1のネットワークデバイスは、ネットワークメッセージの伝送中の上流デバイスを含むことができるが、これに限定されることはなく、第2のネットワークデバイスは、ネットワークメッセージの伝送中における下流デバイスを含むことができるが、これに限定されることはない。第1のネットワークデバイスは、データメッセージを第2のネットワークデバイスに送信することができる。
【0079】
本開示の実施例では、上流デバイスと下流デバイスとの間で時間の同期をとる必要はなく、上流デバイスの時間ウインドウの切替時刻と下流デバイスの時間ウインドウの切替時刻とを異ならせてもよく、上下流デバイス間のクロック周波数を同期させ、上下流デバイス間で時間ウインドウの切替速度を同じにすればよい。上流デバイスはメッセージを送信する際に、メッセージに上流デバイスの送信時間ウインドウ値を含め、下流デバイスはメッセージを受信した際に、メッセージに含めた時間ウインドウ値を抽出することで、メッセージが上流デバイスにおいてどの時間ウインドウ内で送信されたかを知ることができる。データメッセージの伝送中に、ある時間ウインドウ内でクライアントメッセージを受信し、その後、受信されたクライアントメッセージをすべて次の時間ウインドウ内で送信する。このように、ある時間ウインドウ内のすべてのメッセージは同一の時間ウインドウ内で送受信され、同一の時間ウインドウ内のメッセージは、ネットワークのどのノードで伝送する時も常に同一の時間ウインドウ内に保つ。
【0080】
本開示によれば、現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがあるか否かを判断し、上記現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、上記第1のネットワークデバイスが、予め設定された識別メッセージを上記第2のネットワークデバイスに送信し、ここで、上記予め設定された識別メッセージには上記時間ウインドウのウインドウ値を含めており、上記ウインドウ値は、第2のネットワークデバイスが上記第1のネットワークデバイスの異なる時間ウインドウの切替時刻を決定するために使用されるという構成を採用しているため、特定のメッセージを追加送信する方式により、下流デバイスが上流デバイスの時間ウインドウの切替位置を正確に知ることができるようになり、下流デバイスはホッピング後の新しい時間ウインドウに従って迅速にクライアントサービスを転送し、障害復旧時間を短縮し、通信効率を向上させることが実現される。
【0081】
図20は、本開示の実施例による別のデータ伝送装置の構成ブロック図であり、図20に示すように、この装置は、決定ユニット2002と、破棄ユニット2004と、を含む。
【0082】
決定ユニット2002は、現在の時間ウインドウの切替時刻に送信待ちメッセージがない場合、上記第2のネットワークデバイスが、第1のネットワークデバイスから送信された予め設定された識別メッセージを受信し、上記第1のネットワークデバイスの現在の時間ウインドウの切替時刻を決定するように構成され、上記予め設定された識別メッセージは、上記現在の時間ウインドウのウインドウ値を含む。
【0083】
破棄ユニット2004は、上記第2のネットワークデバイスが上記現在の時間ウインドウのウインドウ値を受信した後、上記予め設定された識別メッセージを破棄するように構成される。
【0084】
なお、上記各モジュールをソフトウェア又はハードウェアで実現することができ、ハードウェアで実現する場合、上記モジュールを全部同一のプロセッサに位置させることができ、又は、上記各モジュールを任意の組み合わせの形で異なるプロセッサ内に位置させることもできるが、これらに限定されることはない。
【0085】
本開示の実施例において、コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ読取可能な記憶媒体がさらに提供され、このコンピュータプログラムは、実行されると、上述したいずれかの方法の実施例のステップを実行するように構成される。
【0086】
1つの例示的な実施例では、上記コンピュータ読取可能な記憶媒体は、USB、リードオンリーメモリ(Read-Only Memory、略してROM)、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、略してRAM)、ポータブルHDD、磁気ディスク又は光ディスク等のコンピュータプログラムを記憶可能な様々な媒体を含むことができるが、これらに限定されることはない。
【0087】
本開示の実施例において電子装置がさらに提供され、この電子装置は、メモリと、プロセッサとを含み、このメモリにはコンピュータプログラムが記憶されており、このプロセッサは、上述したいずれかの方法の実施例のステップを実行するためにコンピュータプログラムを実行するように構成される。
【0088】
1つの例示的な実施例では、上記電子装置は、伝送デバイスと、入出力デバイスとをさらに含むことができる。この伝送デバイスは上記プロセッサに接続され、この入出力デバイスは上記プロセッサに接続される。
【0089】
本実施例における具体的な例としては上述した実施例及び例示的な実施形態で説明された例を参照することができ、本実施例では詳細な説明を省略する。
【0090】
上述した本開示の各モジュール又は各ステップを、汎用の計算装置によって実現することができ、単一の計算装置に集成させることができれば、複数の計算装置から構成されるネットワークに分布させることもでき、さらに、計算装置で実行可能なプログラムのコードによって実現することができるので、それらを記憶装置に記憶して計算装置によって実行することができ、場合によっては、図示又は説明されたステップをここでの順序とは異なる順序で実行するか、あるいは、それぞれ集積回路モジュールとして製作したり、そのうちの複数のモジュール又はステップを単一の集積回路モジュールとして製作したりして実現することができることは、当業者にとって自明なことである。このように、本開示は、如何なる特定のハードウェアとソフトウェアとの組み合わせにも限定されない。
【0091】
以上は、本開示の好適な実施例に過ぎず、本開示を限定することを意図するのではない。当業者であれば、本開示に様々な変更や変形が可能である。本開示の原則内の如何なる修正、均等の置き換え、改良などは本開示の保護範囲内に含まれるべきである。
【国際調査報告】