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特表2024-526352幾何学的集光素子及び断熱素子を備えるレーザポンプ装置及びそのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】幾何学的集光素子及び断熱素子を備えるレーザポンプ装置及びそのシステム
(51)【国際特許分類】
   H01S 3/0941 20060101AFI20240709BHJP
   H01S 3/16 20060101ALI20240709BHJP
   H01S 3/042 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
H01S3/0941
H01S3/16
H01S3/042
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502115
(86)(22)【出願日】2022-07-13
(85)【翻訳文提出日】2024-01-19
(86)【国際出願番号】 CN2022105412
(87)【国際公開番号】W WO2023284776
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】17/374,975
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524017032
【氏名又は名称】ファン イェン チー
【氏名又は名称原語表記】HUANG, Yen-chieh
【住所又は居所原語表記】No. 101, Section 2, Kuang-Fu Road Hsinchu, Taiwan 300044
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ファン イェン チー
【テーマコード(参考)】
5F172
【Fターム(参考)】
5F172AE03
5F172AE06
5F172AE08
5F172AE09
5F172AE12
5F172AF02
5F172AF03
5F172AF05
5F172AF06
5F172AF07
5F172AL01
5F172EE07
5F172EE13
5F172EE15
5F172EE16
5F172NS01
5F172NS02
5F172NS05
5F172NS18
5F172NS19
(57)【要約】
【課題】幾何学的集光素子及び断熱素子を備えるレーザポンプ装置及びそのシステムを提供する。
【解決手段】レーザポンプ装置は、徐々に小さくなるアパーチャを含む又は含まない誘電体で、ポンプ光を受けてレーザ利得材料(1070、1170、2040、3040、4040、5040、6040)に誘導して収束させる。誘電体は、ポンプ光源(2010、3010、4010、5010、6010)とレーザ利得材料(1070、1170、2040、3040、4040、5040、6040)との間の断熱素子でもある。レーザポンプシステムにおける複数の光誘導断熱誘電体は、複数のポンプ光源(7010、7012)のポンプ光(7130、7230)を受けて、ポンプ光(7130、7230)をレーザ利得材料(7040)に向かって収束させるために用いられる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ光を発するためのポンプ光源と、
ポンプ軸を有し、且つ第1表面、第2表面、及び複数の反射面を含み、前記ポンプ光を受けて前記第1表面に入射させ、前記複数の反射面に取り囲まれた前記ポンプ軸に沿って、前記ポンプ光を前記第2表面に向かって伝達するように誘導するための誘電体ブロックと、
外部から注入されたレーザ信号を増幅したり、共振キャビティの自発振動によるレーザを発生させたりするために用いられ、前記第2表面から放出された前記ポンプ光を受けて吸収するために前記第2表面の近傍且つ前記ポンプ軸に近い位置に取り付けられるレーザ利得材料を含むレーザ発生素子と、
を備えるレーザポンプ装置。
【請求項2】
前記ポンプ光源は、発光ダイオードアレイ、又はレーザダイオードアレイ、又は発光ダイオードとレーザダイオードのハイブリッドアレイを含む請求項1に記載のレーザポンプ装置。
【請求項3】
前記複数の反射面のうちの対向する2つは、前記ポンプ軸を取り囲んで互いに平行であるか、又は前記対向する2つの反射面は楔形で、且つ前記ポンプ軸に垂直なアパーチャが徐々に小さくなる請求項1に記載のレーザポンプ装置。
【請求項4】
前記誘電体ブロックの材料は、前記ポンプ光に対して透明で、且つガラス、石英及び溶融石英のうちの1つである請求項3に記載のレーザポンプ装置。
【請求項5】
前記誘電体ブロックの前記第1表面及び前記第2表面のうちの少なくとも一方には、前記誘電体ブロックを通過する前記ポンプ光の輝度が向上するように、複数の誘電体層が光学的にコーティングされる請求項3に記載のレーザポンプ装置。
【請求項6】
前記レーザ利得材料は、Nd:YAG、Nd:YVO、Nd:GdVO、Nd:KGW、Nd:YLF、Nd:glass、Cr:YAG、Cr:LiSAF、Yb:YAG、Yb:glass、Er:YAG、Er:glass、Tm:glass、及びTi:sapphire結晶のうちの1つである請求項1に記載のレーザポンプ装置。
【請求項7】
前記レーザ利得材料は、前記ポンプ軸に沿った反射鏡の前に取り付けられ、前記反射鏡は、前記ポンプ光の吸収されていない部分を前記レーザ利得材料へ再循環させるために用いられる請求項1に記載のレーザポンプ装置。
【請求項8】
それぞれ複数の前記ポンプ光を発するための複数の請求項1に記載のポンプ光源と、
それぞれ前記複数のポンプ光を伝達し、且つ前記複数のポンプ光源の熱を遮断するための複数の請求項1に記載の誘電体ブロックと、
前記レーザ利得材料が前記複数のポンプ光を受けて吸収するための請求項1に記載のレーザ発生素子と、
前記複数のポンプ光源及び前記レーザ利得材料から発生した熱を除去するための冷却装置と、
を備えるレーザポンプシステム。
【請求項9】
前記複数の誘電体ブロックはそれぞれ前記複数のポンプ軸と整列され、前記複数のポンプ軸は、前記複数のポンプ光を前記レーザ利得材料に収束させるように1点で止まる請求項8に記載のレーザポンプシステム。
【請求項10】
前記冷却装置は、空冷素子、ペルチェ熱電冷却器、及び水冷素子のうちの少なくとも1つを含み、少なくとも1つの前記ポンプ光源の裏面に取り付けられるか、又は前記レーザ利得材料を被覆する請求項8に記載のレーザポンプシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幾何学的集光素子(Geometric Light Concentrator)及び断熱素子(Heat Insulator)としての誘電体ブロック(Dielectric Block)を備えるレーザポンプ装置及びそのシステムに関し、特に、レーザ利得材料のレーザ結晶においてより効率的なかつ少ない熱のポンプを行うように、発光ダイオード又はレーザダイオードからの低強度光を誘導及び収束(集光、Concentrate)して高輝度光を発生させる1つ又は1組の低熱伝導率光誘電体(Optical Dielectrics)に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザは、エネルギー源によってポンプされるレーザ利得材料を含む高エネルギー密度の放射装置であり、レーザには様々なタイプのポンプ源がある。例えば、電源は、電気エネルギーを送って半導体レーザ(レーザダイオードとも呼ばれる)をポンプすることができ、レーザダイオードは、固体レーザをポンプすることができ、フラッシュランプは、高出力パルスレーザをポンプするためによく使われる。より効率的にするためには、ポンプエネルギーが効率よくレーザ利得材料に吸収されなければならない。したがって、高いポンプ効率を実現するには2つの重要な要素があり、1つは、レーザの放射体積に一致する高いポンプ強度を持つこと、もう1つは、ポンプスペクトルをレーザ利得材料の吸収スペクトルに一致させることである。この2つの要素は共にポンプ源の明るさ又は輝度を定義し、単位面積あたり、単位立体角あたり、及び単位帯域幅(Bandwidth)あたりの光パワーを単位とする。レーザダイオードは、レーザ利得材料の吸収ピークに一致する狭い線状の高強度集光放射を発することができるため、従来のダイオードレーザポンプ(以下、「ダイオードポンプ」と略称する)固体レーザは非常に効率的である。フラッシュランプ源のコストは比較的低いが、その広帯域(Broadband)及び発散光はダイオードポンプレーザのように固体レーザを効果的にポンプすることができない。本分野の従来技術(文献Kozo Kamiryo et al.,Jpn.J.Appl.Phys.5,(1966) 1217)のポンプ効率の幾何学的改善手段は、楕円形のポンプ室の焦点の1つに沿ってフラッシュランプ管を取り付け、他側に沿ってレーザロッド(Laser Rod)を取り付け、フラッシュランプのポンプ光の大部分をレーザ利得材料に到達させることである。
【0003】
近年、固体レーザのポンプ源として発光ダイオードの技術が登場している(例えば、文献Brenden Villars et al.,Optics Letts.40,(2015)3049)。発光ダイオードは発散光を発し、そのスペクトル幅はフラッシュランプより遥かに小さく、レーザダイオードよりやや広い。したがって、フラッシュランプに比べて、発光ダイオードのスペクトルエネルギーがレーザ利得材料のスペクトル吸収により一致する。フラッシュランプに比べて、発光ダイオードはより長い耐用年数及び高い安定性を持つ。固体レーザをポンプするためのレーザダイオードに比べて、発光ダイオードの実装及びメンテナンスコストが低く、静電気による損傷を受けにくく、温度変化にも敏感ではない。しかしながら、レーザダイオードとは異なり、発光ダイオードは集束光を発生しない。発光ダイオード又は発光ダイオードアレイは、約120度の円錐角で前方放射を放出する。発光ダイオードはフラッシュランプのように強管状発光体を作ることができないため、従来技術においてフラッシュランプに一般的に使用される楕円形のポンプ室は発光ダイオードポンプの固体レーザに適用されない。この問題を解決するために、特許US 2017/0149197 A1には、効率が非常に低い光体積とレーザ体積比で発光ダイオードポンプ光を制限する幾つかの幾何学的反射構造が開示されている。発光ダイオードのポンプエネルギーを更に収束させるために、Adrien Barbetら(文献Optica3、(2016)465)は、まず、薄膜材料において青色光の発光ダイオードを蛍光(fluorescent light)に変換し、そして蛍光は薄膜内に誘導されて高強度でレーザ結晶に伝達される。残念なことに、前述の技術では大部分の発光ダイオード光はポンプ光に変換されず、ポンプ効率全体が依然として低い。
【0004】
高いポンプ強度を取得するためには、一般的に、レーザ利得材料にできるだけ近づけて発光ダイオードを実装する(例えば、文献Chun Yu Cho et al.,Optics Letts.42,(2017)2394)。しかしながら、レーザは、レーザ閾値を達成するために原子番号反転に依存するが、レーザ利得材料の基底状態が多くの高温原子で満たされている場合、高エネルギー状態の原子が原子番号反転を達成することは困難となる。他の全てのポンプ源と同様に、発光ダイオードが熱を発生するため、効率的にポンプするために発光ダイオードをレーザ利得材料の近くに取り付けるのを阻止する。ダイオードレーザポンプの固体レーザにおいて、ポンプ利得材料から一定の距離を離れるように、レーザダイオードを光ファイバに結合するのは、ポンプ源の熱をレーザから遮断する一般的な選択である。残念なことに、このような技術は、レーザダイオードを光ファイバに光結合する場合よりも、高度に発散して微弱な発光ダイオードを光ファイバに光結合する効率が低いため、発光ダイオードポンプに適しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、例えば発光ダイオードからの光を効果的に収束させて、レーザをポンプし、且つレーザ利得材料に到達するポンプ光源の熱を更に低減することができる新たなレーザポンプ装置及びその実施例を提供することである。本発明のもう1つの目的は、レーザポンプ光の輝度を増加させて、レーザのポンプ効率を向上させることである。
【解決するための手段】
【0006】
本発明は、誘電体ブロックがポンプ軸を有し、且つ第1表面、第2表面、及び複数の反射面を含み、誘電体ブロックがポンプ光を受けて第1表面に入射させ、反射面に取り囲まれたポンプ軸に沿って、ポンプ光を第2表面に向かって伝達するように誘導し、誘電体ブロックをレーザポンプの効率的な幾何学的集光素子及び断熱素子とする、レーザポンプ装置及びシステムを提供する。
【0007】
本発明の一実施形態によれば、レーザポンプ装置であって、ポンプ光を発するためのポンプ光源と、ポンプ軸を有し、且つ第1表面、第2表面、及び複数の反射面を含み、ポンプ光を受けて第1表面に入射させ、反射面に取り囲まれたポンプ軸に沿って、ポンプ光を第2表面に向かって伝達するように誘導するための誘電体ブロックと、外部から注入されたレーザ信号を増幅したり、共振キャビティの自発振動によるレーザを発生させたりするために用いられ、第2表面から放出されたポンプ光を受けて吸収するために第2表面の近傍且つポンプ軸に近い位置に取り付けられるレーザ利得材料を含むレーザ発生素子とを備えるレーザポンプ装置を提供する。これにより、誘電体ブロックは、レーザポンプの効率的な幾何学的集光素子及び断熱素子とすることができる。
【0008】
前記レーザポンプ装置の実施例によれば、ポンプ光源は、発光ダイオードアレイ、又はレーザダイオードアレイ、又は発光ダイオードとレーザダイオードのハイブリッドアレイを含んでよい。
【0009】
前記レーザポンプ装置の実施例によれば、反射面のうちの対向する2つは、ポンプ軸を取り囲んで互いに平行であってよく、又は対向する2つの反射面は楔形で、且つポンプ軸に垂直なアパーチャが徐々に小さくなってよい。
【0010】
前記レーザポンプ装置の実施例によれば、誘電体ブロックの材料は、ポンプ光に対して透明で、且つガラス、石英及び溶融石英のうちの1つであってよい。
【0011】
前述のレーザポンプ装置の実施例によれば、誘電体ブロックの第1表面及び第2表面のうちの少なくとも一方には、誘電体ブロックを通過するポンプ光の輝度が向上するように、複数の誘電体層が光学的にコーティングされてよい。
【0012】
前記レーザポンプ装置による実施例において、レーザ利得材料はNd:YAG、Nd:YVO、Nd:GdVO、Nd:KGW、Nd:YLF、Nd:glass、Cr:YAG、Cr:LiSAF、Yb:YAG、Yb:glass、Er:YAG、Er:glass、Tm:glass、及びTi:sapphire結晶のうちの1つであってよい。
【0013】
前記レーザポンプ装置の実施例によれば、レーザ利得材料は、ポンプ軸に沿った反射鏡の前に取り付けられてよく、反射鏡は、ポンプ光の吸収されていない部分をレーザ利得材料へ再循環させるために用いられる。
【0014】
本発明の別の実施形態は、それぞれ複数のポンプ光を発するための複数の前記実施形態におけるポンプ光源と、それぞれ複数のポンプ光を伝達し、且つ複数のポンプ光源の熱を遮断するための複数の前記実施形態における誘電体ブロックと、そのレーザ利得材料は、ポンプ光を受けて吸収するための前記実施形態におけるレーザ発生素子と、ポンプ光源及びレーザ利得材料から発生した熱を除去するための冷却装置とを備えるレーザポンプシステムを提供する。これにより、ポンプの強度を増幅することができる。
【0015】
前記レーザポンプシステムの実施例によれば、複数の誘電体ブロックはそれぞれ複数のポンプ軸と整列されてよく、複数のポンプ軸は、複数のポンプ光をレーザ利得材料に収束させるように1点で止まる。
【0016】
前記レーザポンプシステムの実施例によれば、冷却装置は、空冷素子、ペルチェ(Peltier)熱電冷却器、及び水冷素子のうちの少なくとも1つを含んでよく、少なくとも1つのポンプ光源の裏面に取り付けられるか、又はレーザ利得材料を被覆する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】誘電体スラブ(Dielectric Slab)の角度受け入れ(Angular Acceptance)の模式図を示し、ここで光が2つの平行な壁の間で内部全反射するように誘導される。
図2】誘電体スラブの光強度の増加と角度受け入れの減少の模式図を示し、ここで光が2つの楔形の壁の間で内部全反射するように誘導される。
図3】本発明の第1実施例のレーザポンプ装置の模式図を示し、ここで単一楔形光誘電体は、ポンプ光をレーザ増幅器内のレーザ利得材料に収束させるために用いられる。
図4】本発明の第2実施例のレーザポンプ装置の模式図を示し、ここで単一楔形光誘電体は、ポンプ光をレーザ発振器内のレーザ利得材料に収束させるために用いられる。
図5】本発明の第3実施例のレーザポンプ装置の模式図を示し、ここで二重楔形光誘電体は、ポンプ光をレーザ増幅器内のレーザ利得材料に収束させるために用いられる。
図6】本発明の第4実施例のレーザポンプ装置の模式図を示し、ここで二重楔形光誘電体は、ポンプ光をレーザ発振器内のレーザ利得材料に収束させるために用いられる。
図7】本発明の第5実施例のレーザポンプ装置の側面図を示し、ここで集光素子及び断熱素子はレーザ利得材料をポンプし、且つ吸収されていないポンプ光を反射鏡でレーザ利得材料に回収する。
図8】本発明の第6実施例のレーザポンプシステムの側面図を示し、ここで集光素子及び断熱素子をそれぞれ含む2つのモジュールはレーザ利得材料をポンプする。
図9】本発明の第7実施例のレーザポンプシステムの側面図を示し、ここで集光素子及び断熱素子をそれぞれ含む複数のモジュールはレーザ利得材料をポンプし、光源及びレーザロッドに冷却装置が配置される。
【符号の説明】
【0018】
1000、1100、2000、3000、4000、5000、6000、7100、7200、8100、8200、8300、8400、8500、8600 誘電体ブロック
1005、1105 入力光
1010、1110 ポンプ軸
1020、1120、2700、3700、4700、5700、6700、7700、7720 第1表面
1030、1130、2800、3800、4800、5800、6800、7800、7820 第2表面
1040、1140 屈折光
1050 上側壁
1060、1160 反射光
1070、1170、2040、3040、4040、5040、6040、7040、8040 レーザ利得材料
1150、1155 側壁
2010、3010、4010、5010、6010、7010、7012 ポンプ光源
2020、4020 入力レーザ
2030、3050、4030、5050 出力レーザ
3020、5020 レーザキャビティミラー
3030、5030 出力カプラ
6030、7130、7230、8130、8230、8330、8430、8530、8630 ポンプ光
6070 反射鏡
8010、8020 冷却装置
D、d、d、d、d
、x 長さ部分
α くさび角
β トップくさび角
θ、θ、θ 角度
Φ 入射角
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の実施例について図面を参照して説明する。説明を明確にするために、数多くの実務上の細部を下記叙述で合わせて説明する。しかしながら、これらの実務上の細部が本発明を限定するためのものではないことを理解されたい。即ち、本発明の実施例において、これらの実務上の細部は必要ではない。また、図面を簡略化するために、ある従来慣用の構造や素子は、図面において簡単で模式的に示され、且つ重複する素子は、同じ番号又は類似する番号で示される可能性がある。
【0020】
図1は、ポンプ軸1010に沿った2つの平行な壁(具体的には、上側壁1050及びそれに平行な壁)を有する誘電体ブロック(即ち、光学誘電体スラグ)1000を示し、ここで各平行な壁は反射面である。ポンプ光の入力光1005は、入射角Φで第1表面(即ち、前面、入力表面)1020に入射し、ポンプ光の入力光1005の屈折光1040は、角度θで上側壁1050に入射する。誘電体ブロック1000においてポンプ光の反射光1060をエネルギー損失を抑えるように誘導するためには、角度θは、内部全反射の臨界角θより大きくなければならない。ここで、θ=sin-1(n/n)、nは誘電体ブロック1000の屈折率、nは環境の屈折率である。θ>θに達するためには、スネルの法則(Snell’s Law)により、入射角(即ち、入力角又は受光角)Φは、以下の式(1)の条件を満たさなければならない。
【数1】
【0021】
入射角(受光角)Φを最大化するためには、屈折率nを最小化する必要がある。説明を簡単にするために、以下の屈折率nは空気環境の屈折率であり、その数値が1である。平行な壁を含む誘電体ブロック1000の開口数(Numerical Aperture)NAを、最大受光角Φmaxの正弦値として定義し、それは以下の式(2)を満たす。
【数2】
【0022】
本発明の技術的特徴の1つは、発散性の高いポンプ光を、屈折率が十分に大きい1つ以上の平行な壁を有する誘電体ブロックに結合することにより、大きな開口数NAを持ち、第1表面1020から第2表面(即ち、端面、出力表面)1030に光を誘導して収束させ、レーザ利得材料1070をポンプすることである。好ましくは、平行な壁を有する誘電体ブロック1000は、レーザ利得材料1070にポンプ光源からの熱を遮断するために、熱伝導率が低い。好ましくは、誘電体ブロック1000を通過するポンプ光のレーザ利得材料1070への伝達を向上させるために、第1表面1020及び第2表面1030にはいずれも反射防止誘電体層がコーティングされる。
【0023】
ポンプ光源は、発光ダイオード、レーザダイオード、又はそれら2つの組み合わせを含んでもよいし、発光ダイオード、レーザダイオード、又はそれら2つの組み合わせであってもよい。前述のように、ポンプ波長をレーザ利得材料1070の吸収波長と一致させることにより、レーザのポンプ効率を大幅に向上させることができる。発光ダイオードの発光スペクトルはフラッシュランプの発光スペクトルよりも比較的狭いが、レーザダイオードのスペクトル輝度はレーザポンプにより適している。レーザポンプの発光ダイオードのスペクトル輝度を向上させるために、1つの好ましい実施例において、発光ダイオードをレーザ利得材料1070の吸収波長と一致する波長を発するように励起するために、第1表面1020に誘電体ブロック1000の材料と異なる誘電体層が光学的にコーティングされる。
【0024】
図2は、本発明の別の技術的特徴を示し、楔形誘電体ブロック1100は、第1表面1120からのポンプ光の入力光1105を第2表面1130に結合する。第1表面1120は幅Dを有し、第2表面1130は幅dを有し、くさび角αがα≧0を満たすため、幅D、dはD≧dを満たす。理想的には、誘電体ブロック1100は、ポンプ光に対して透明性が高く、且つ第1表面1120に入射したポンプ光を第2表面1130に収束させることができる。好ましくは、誘電体ブロック1100は、ポンプ光源の熱をレーザ利得材料1170から遮断するために、熱伝導率が低い。第1表面1120に入射する全てのポンプ光が第2表面1130に伝達されて到達できる場合、ポンプ光の強度は、幾何学的スケーリング係数D/dに従って増加する。しかしながら、光学系の角度受け入れは、システムの開口数NAによって決まる。有限のくさび角αの場合、開口数NAは、くさび角αが条件α=0を満たす時の数値から減少し、ポンプ光の屈折光1140、反射光1160の(反射面としての)側壁1150、1155での入射角が徐々に小さくなり、最終的に光誘導の内部全反射条件に違反する可能性がある。最後の跳ね返りが第2表面1130に到達する入射角は角度θであると仮定する。図2の幾何学的構造によれば、N回目の前回の反射時の光の入射角θは、以下の式(3)を満たす。
θ=θ+2Nα、N=1、2、3...(3)
【0025】
屈折光1140がN回の反射を経て第2表面1130に到達すると仮定すると、入力光1105が誘電体ブロック1100の内部において誘導される条件は、最後の角度θが内部全反射の臨界角θよりも大きいままである条件、又は条件θ>θである。スネルの法則より、前述の条件は以下の式(4)を満たす。
sinΦ=n×sin(90°-θ)=n×cos(θ+2Nα) (4)
【0026】
式(4)において、Φは、入射光1105の第1表面1120への入射角であり、楔形誘電体の開口数NAは、それによって以下の式(5)で記述される。
NA=sinΦmax=n×cos(θ+2Nα) (5)
【0027】
式(2)及び式(5)を比較すると、有限のパラメータNαの場合、開口数NAは開口数NAよりも常に小さい。そこで、本発明の目的は、式(5)によって制約される開口数NAの慎重な設計に基づいて、楔形誘電体を利用することでポンプ光を収束させ、ポンプ光源の熱を遮断することである。
【0028】
幾何学的形状によれば、楔形誘電体のポンプ軸1110に沿った全長Lは、長さ部分xの合計から計算されてよく、それは以下の式(6)を満たす。
【数3】
【0029】
式(6)においても、幅dを定義し、第2表面1130の境界条件d=d及び第1表面1120の幅Dを設定してよく、それはポンプ光エミッタのサイズによって決定してよい。更に、式(5)及び式(6)は、固体レーザ利得材料1170をポンプするための有効なポンプ集光素子及び断熱素子を設計するために、正確な仕様を提供する。
【0030】
好ましくは、第1表面1120及び第2表面1130の少なくとも一方の表面には、誘電体ブロック1100を通過するポンプ光のレーザ利得材料1170への伝達を向上させるために、反射防止誘電体層がコーティングされる。
【0031】
ポンプ光源は、発光ダイオード、レーザダイオード、又はそれら2つの組み合わせを含んでもよいし、発光ダイオード、レーザダイオード、又はそれら2つの組み合わせであってもよい。レーザポンプの発光ダイオードのスペクトル輝度を向上させるために、1つの好ましい実施例において、発光ダイオードをレーザ利得材料1070の吸収波長と一致する波長を発するように励起するために、第1表面1020に誘電体ブロック1000の材料と異なる誘電体層が光学的にコーティングされる。
【0032】
図1及び図2にそれぞれ示す誘電体ブロック1000及び1100は、ポンプ光をレーザ利得材料1070及び1170に収束させ、ポンプ光源の熱をレーザ利得材料1070及び1170から遮断するための構築ブロックであってよい。楔形誘電体ブロックの場合、図3及び図4における単一楔形誘電体ブロックのポンプ強度の幾何学的スケーリング係数D/dの数値は、図5及び図6に示すように、二重楔形誘電体ブロックを用いることにより、その数値の二乗に増加することができる。図7において、ポンプ効率を向上させるために、本発明の一実施例では、吸収されていないポンプ光が再度ポンプレーザ利得材料6040に戻されるように、レーザ利得材料(例えば、レーザロッド)6040の後に反射鏡(Reflecting Mirror)6070を取り付ける。図8及び図9に示すように、レーザ利得材料(例えば、図8におけるレーザ利得材料7040)の周囲に複数の楔形誘電体ブロック(例えば、図8における誘電体ブロック7100、7200)を取り付けることにより、幾何学的スケーリング係数を更に倍数で大きくすることができる。したがって、本発明は、固体レーザをポンプするためのポンプ光の強度を増幅することができ、且つポンプとレーザ利得材料との間に効果的な熱遮断を提供することができる革新的な光学装置及びその実施例を提供する。
【0033】
第1実施例~第7実施例の図3図9をそれぞれ参照されたい。ポンプ光源は、発光ダイオードダイアレイ、レーザダイオードダイアレイ、又は前述の2つの組み合わせを含んでよい。誘電体ブロックの材料は、ポンプ光に対して透明で、例えば、ガラス、石英及び溶融石英のうちの1つであってよい。これにより、誘電体ブロックは、ポンプ光をレーザ利得材料に伝達させるために透光性が高く、ポンプ光源の熱がレーザ利得材料に到達しないように遮断するために熱伝導性が低い。誘電体ブロックの第1表面及び第2表面の少なくとも一方には、誘電体ブロックを通過するポンプ光の輝度が向上するように、複数の誘電体層(例えば、反射防止誘電体層であるが、これに限定されない)が光学的にコーティングされてよい。発光ダイオードのポンプ光のスペクトル輝度を増加させるために、誘電体ブロックの第1表面に複数の誘電体層が光学的にコーティングされてよい。レーザ利得材料での吸収波長の発光ダイオードの発光を励起して、発光ダイオードのレーザをポンプする効率を向上させるために、誘電体層の材料は誘電体ブロックの材料と異なる。第1実施例~第7実施例のいずれかにおけるレーザ利得材料は、Nd:YAG、Nd:YVO、Nd:GdVO、Nd:KGW、Nd:YLF、Nd:glass、Cr:YAG、Cr:LiSAF、Yb:YAG、Yb:glass、Er:YAG、Er:glass、Tm:glass、及びTi:sapphire結晶のいずれかであってよい。これにより、収束されたポンプ光がポンプされると、レーザ利得材料は、レーザの発光又はレーザ放射の増幅に有利である。
【0034】
第1実施例の図3を参照されたい。レーザポンプ装置は、ポンプ光源(即ち、ポンプ光照明器)2010、誘電体ブロック2000、及びレーザ発生素子を含む。ポンプ光源2010は、ポンプ光を発するために用いられ、ポンプ光源2010は、発光ダイオード、レーザダイオード、又は前述の2つの組み合わせであってよい。誘電体ブロック2000は、ポンプ軸を有し、且つ第1表面2700、第2表面2800、及び複数の反射面を含み、複数の反射面は、ポンプ軸に沿って第1表面2700と第2表面2800との間に設けられる。誘電体ブロック2000は、ポンプ光を受けて第1表面2700に入射させ、且つ反射面に取り囲まれたポンプ軸に沿ってポンプ光を第2表面2800に向かって伝達するように誘導するために用いられる。レーザ発生素子は、外部から注入された微弱なレーザ信号を増幅したり、共振キャビティの自発振動によるレーザを発生させたりするために用いられる。レーザ発生素子は、レーザ利得材料(レーザ利得材料ユニット、例えばレーザロッド)2040を含む。レーザ利得材料2040は、第2表面2800から放出されたポンプ光を受けて吸収するために、第2表面2800の近傍且つポンプ軸に近い位置に取り付けられる。これにより、誘電体ブロック2000は、レーザポンプの効率的な幾何学的集光素子及び断熱素子とすることができる。
【0035】
詳細には、誘電体ブロック2000の対向する2つの反射面は、楔形で、且つポンプ軸に垂直なアパーチャ(Aperture、又は断面積とも言える)が徐々に小さくなり、各対向する反射面は、図3に示すようなくさび角αを有する。言い換えれば、誘電体ブロック2000の入力アパーチャ(即ち、第1表面2700)は、その出力アパーチャ(即ち、第2表面2800)よりも大きく、ポンプ光は、大きい入力アパーチャから入射し、小さい出力アパーチャにレーザ利得材料2040に向かって収束される。レーザ利得材料2040はレーザ増幅器に取り付けられ、レーザ利得材料2040の入力端の弱い入力レーザ2020を増幅して、出力端の強い出力レーザ2030を生成する。
【0036】
第2実施例の図4を参照されたい。レーザポンプ装置は、ポンプ光源3010、誘電体ブロック3000、及びレーザ発生素子を含む。ポンプ光源3010は、ポンプ光を発するために用いられ、ポンプ光源3010は、発光ダイオード、レーザダイオード、又は前述の2つの組み合わせであってよい。誘電体ブロック3000は、ポンプ軸を有し、且つ第1表面3700、第2表面3800、及び複数の反射面を含み、複数の反射面は、ポンプ軸に沿って第1表面3700と第2表面3800との間に設けられる。誘電体ブロック3000は、ポンプ光を受けて第1表面3700に入射させ、且つ反射面に取り囲まれたポンプ軸に沿ってポンプ光を第2表面3800に向かって伝達するように誘導するために用いられる。レーザ発生素子は、外部から注入された微弱なレーザ信号を増幅したり、共振キャビティの自発振動によるレーザを発生させたりするために用いられる。レーザ発生素子は、第2表面3800から放出されたポンプ光を受けて吸収するために第2表面3800の近傍且つポンプ軸に近い位置に取り付けられるレーザ利得材料3040を含む。
【0037】
詳細には、誘電体ブロック3000の対向する2つの反射面は、楔形で、且つポンプ軸に垂直なアパーチャが徐々に小さくなり、各対向する反射面は、図4に示すようなくさび角αを有する。レーザ利得材料3040は、レーザキャビティに取り付けられ、具体的には、レーザキャビティミラー(Laser Cavity Mirror)3020は、レーザ利得材料3040の入力端に設けられ、出力カプラ3030は、レーザ利得材料3040の出力端に設けられ、これにより、レーザ利得材料3040から発せられる出力レーザ3050を確立する。
【0038】
第3実施例の図5を参照されたい。レーザポンプ装置は、ポンプ光源4010、誘電体ブロック4000、及びレーザ発生素子を含む。ポンプ光源4010は、ポンプ光を発するために用いられ、ポンプ光源4010は、発光ダイオード、レーザダイオード、又は前述の2つの組み合わせであってよい。誘電体ブロック4000は、ポンプ軸を有し、且つ第1表面4700、第2表面4800、及び複数の反射面を含み、複数の反射面は、ポンプ軸に沿って第1表面4700と第2表面4800との間に設けられる。誘電体ブロック4000は、ポンプ光を受けて第1表面4700に入射させ、且つ反射面に取り囲まれたポンプ軸に沿ってポンプ光を第2表面4800に向かって伝達するように誘導するために用いられる。レーザ発生素子は、外部から注入された微弱なレーザ信号を増幅したり、共振キャビティの自発振動によるレーザを発生させたりするために用いられる。レーザ発生素子は、第2表面4800から放出されたポンプ光を受けて吸収するために第2表面4800の近傍且つポンプ軸に近い位置に取り付けられるレーザ利得材料4040を含む。
【0039】
詳細には、図5に示すように、誘電体ブロック4000の対向する2つの反射面は、楔形で、且つポンプ軸に垂直なアパーチャが徐々に小さくなり、前述の2つの対向する反射面のそれぞれはくさび角(サイドくさび角)αを有する。誘電体ブロック4000の反射面のうちの対向する他の2つは、楔形で、且つポンプ軸に垂直なアパーチャが徐々に小さくなり、前述の他の2つの対向する反射面のそれぞれはトップくさび角βを有する。レーザ利得材料4040はレーザ増幅器に取り付けられ、レーザ利得材料4040の入力端に注入された弱い入力レーザ4020を増幅して、出力端の強い出力レーザ4030を生成する。
【0040】
第4実施例の図6を参照されたい。レーザポンプ装置は、ポンプ光源5010、誘電体ブロック5000、及びレーザ発生素子を含む。ポンプ光源5010は、ポンプ光を発するために用いられ、ポンプ光源5010は、発光ダイオード、レーザダイオード、又は前述の2つの組み合わせであってよい。誘電体ブロック5000は、ポンプ軸を有し、且つ第1表面5700、第2表面5800、及び複数の反射面を含み、複数の反射面は、ポンプ軸に沿って第1表面5700と第2表面5800との間に設けられる。誘電体ブロック5000は、ポンプ光を受けて第1表面5700に入射させ、且つ反射面に取り囲まれたポンプ軸に沿ってポンプ光を第2表面5800に向かって伝達するように誘導するために用いられる。レーザ発生素子は、外部から注入された微弱なレーザ信号を増幅したり、共振キャビティの自発振動によるレーザを発生させたりするために用いられる。レーザ発生素子は、第2表面5800から放出されたポンプ光を受けて吸収するために第2表面5800の近傍且つポンプ軸に近い位置に取り付けられるレーザ利得材料5040を含む。
【0041】
詳細には、図6に示すように、誘電体ブロック5000の対向する2つの反射面は、楔形で、且つポンプ軸のアパーチャに垂直な方向に沿って縮み、前述の2つの対向する反射面のそれぞれはくさび角(サイドくさび角)αを有する。誘電体ブロック5000の対向する他の2つの反射面は、楔形で、且つポンプ軸に垂直なアパーチャが徐々に小さくなり、前述の他の2つの対向する反射面のそれぞれはトップくさび角βを有する。レーザ利得材料5040は、レーザキャビティに取り付けられ、具体的には、レーザキャビティミラー5020は、レーザ利得材料5040の入力端に設けられ、出力カプラ5030は、レーザ利得材料5040の出力端に設けられ、これにより、レーザ利得材料5040から発せられる出力レーザ5050を確立する。
【0042】
第5実施例の図7を参照されたい。レーザポンプ装置は、ポンプ光源6010、誘電体ブロック6000、及びレーザ発生素子を含む。ポンプ光源6010は、ポンプ光6030を発するために用いられ、ポンプ光源6010は、発光ダイオード、レーザダイオード、又は前述の2つの組み合わせであってよい。誘電体ブロック6000は、ポンプ軸を有し、且つ第1表面6700、第2表面6800、及び複数の反射面を含み、複数の反射面は、ポンプ軸に沿って第1表面6700と第2表面6800との間に設けられる。誘電体ブロック6000は、ポンプ光6030を受けて第1表面6700に入射させ、且つ反射面に取り囲まれたポンプ軸に沿ってポンプ光6030を第2表面6800に向かって伝達するように誘導するために用いられる。レーザ発生素子は、外部から注入された微弱なレーザ信号を増幅したり、共振キャビティの自発振動によるレーザを発生させたりするために用いられる。レーザ発生素子は、第2表面6800から放出されたポンプ光6030を受けて吸収するために第2表面6800の近傍且つポンプ軸に近い位置に取り付けられるレーザ利得材料6040を含む。
【0043】
詳細には、誘電体ブロック6000の対向する2つの反射面は、楔形で、且つポンプ軸に垂直なアパーチャが徐々に小さくなり、各対向する反射面は、図7に示すようなくさび角αを有する。レーザ利得材料6040は、ポンプ光6030を伝達するためにポンプ軸に沿った反射鏡6070の前に取り付けられる。反射鏡6070は、ポンプ光6030の吸収されていない部分をレーザ利得材料6040に反射することによってレーザ利得材料6040のポンプ吸収を向上させる。反射鏡6070は、反射光をレーザ利得材料6040に収束させるために曲率半径を有する。
【0044】
第6実施例の図8を参照されたい。レーザポンプシステムは、ポンプ光源7010、7012、誘電体ブロック7100、7200、レーザ発生素子、及びそのレーザ利得材料7040を含む。ポンプ光源7010及び誘電体ブロック7100と、ポンプ光源7012及び誘電体ブロック7200とは、それぞれレーザ利得材料7040の両側に設けられる。
【0045】
ポンプ光源7010は、ポンプ光7130を発するために用いられ、ポンプ光源7010、7012は、発光ダイオード、レーザダイオード、又は前述の2つの組み合わせであってよい。誘電体ブロック7100は、ポンプ軸を有し、且つ第1表面7700、第2表面7800、及び複数の反射面を含み、複数の反射面は、ポンプ軸に沿って第1表面7700と第2表面7800との間に設けられる。誘電体ブロック7100は、ポンプ光7130を受けて第1表面7700に入射させ、且つ反射面に取り囲まれたポンプ軸に沿ってポンプ光7130を第2表面7800に向かって伝達するように誘導するために用いられる。レーザ発生素子は、外部から注入された微弱なレーザ信号を増幅したり、共振キャビティの自発振動によるレーザを発生させたりするために用いられる。レーザ発生素子は、第2表面7800から放出されたポンプ光7130を受けて吸収するために第2表面7800の近傍且つポンプ軸に近い位置に取り付けられるレーザ利得材料7040を含む。ポンプ光源7012は、ポンプ光7230を発するために用いられる。誘電体ブロック7200は、ポンプ軸を有し、且つ第1表面7720、第2表面7820、及び複数の反射面を含み、複数の反射面は、ポンプ軸に沿って第1表面7720と第2表面7820との間に設けられる。誘電体ブロック7200は、ポンプ光7230を受けて第1表面7720に入射させ、且つ反射面に取り囲まれたポンプ軸に沿ってポンプ光7230を第2表面7820に向かって伝達するように誘導するために用いられる。レーザ利得材料7040は、第2表面7820から放出されたポンプ光7230を受けて吸収するために、第2表面7820の近傍且つポンプ軸に近い位置に取り付けられる。
【0046】
詳細には、誘電体ブロック7100、7200のそれぞれの対向する2つの反射面は、楔形で、且つポンプ軸に垂直なアパーチャが徐々に小さくなり、各対向する反射面は、図8に示すようなくさび角αを有する。誘電体ブロック7100、7200は、それぞれのポンプ軸と整列され、誘電体ブロック7100、7200のポンプ軸は、ポンプ光7130、7230を収束させるように1点で止まる(Intercept)。レーザ利得材料7040は、ポンプ光7130、7230の最大ポンプを受けるように、ポンプ光7130、7230の収束位置に取り付けられる。
【0047】
第7実施例の図9を参照されたい。レーザポンプシステムは、冷却装置8010、8020、レーザ発生素子及びそのレーザ利得材料8040、誘電体ブロック8100、8200、8300、8400、8500、8600及びそれぞれ対応するポンプ光源を含む。ポンプ光源はそれぞれ誘電体ブロック8100、8200、8300、8400、8500、8600に対応し、ポンプ光8130、8230、8330、8430、8530、8630をそれぞれ発するために用いられ、ポンプ光源のそれぞれは、発光ダイオード、レーザダイオード、又は前述の2つの組み合わせであってよい。冷却装置8010は、水冷装置であってよく、ポンプ光源で発生した熱を除去するために、全てのポンプ光源の裏面に取り付けられる。冷却装置8020は、具体的には水冷装置であり、レーザ利得材料8040で発生した熱を除去するために、レーザ利得材料8040を被覆する。又は、冷却装置8010、8020のそれぞれは、空気循環又はペルチェ熱電冷却器(Peltier Thermoelectric Cooler)によって補助されてよい。これによって、ポンプ光源及びレーザ利得材料8040から発生した熱の除去に寄与する。
【0048】
具体的には、図9に示すように、誘電体ブロック8100、8200、8300、8400、8500、8600のそれぞれの対向する2つの反射面は、楔形で、且つポンプ軸に垂直なアパーチャが徐々に小さくなる。誘電体ブロック8100、8200、8300、8400、8500、8600は、それぞれのポンプ軸と整列され、誘電体ブロック8100、8200、8300、8400、8500、8600のポンプ軸は、ポンプ光8130、8230、8330、8430、8530、8630をレーザ利得材料8040に収束させるように1点で止まる。レーザ利得材料8040は、ポンプ光8130、8230、8330、8430、8530、8630の最大ポンプを受けるように、ポンプ光8130、8230、8330、8430、8530、8630の収束位置に取り付けられる。第7実施例及びその図9のレーザポンプシステムの内容については、前述の第6実施例及びその図8のレーザポンプシステムを参照してよい。よって、第7実施例のレーザポンプシステムの他の詳細は、ここで詳しく説明しない。
【0049】
本発明は、実施形態に基づいて以上のように開示されたが、それは本発明を限定するものではなく、当業者であれば、本発明の思想及び範囲から逸脱することなく、様々な変更や修正を行うことができ、よって、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲に定義される範囲を基準とする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-01-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
図1は、ポンプ軸1010に沿った2つの平行な壁(具体的には、上側壁1050及びそれに平行な壁)を有する誘電体ブロック(即ち、光学誘電体スラグ)1000を示し、ここで各平行な壁は反射面である。ポンプ光の入力光1005は、入射角Φで第1表面(即ち、前面、入力表面)1020に入射し、ポンプ光の入力光1005の屈折光1040は、角度θで上側壁1050に入射する。誘電体ブロック1000においてポンプ光の反射光1060をエネルギー損失を抑えるように誘導するためには、角度θは、内部全反射の臨界角θより大きくなければならない。ここで、θ=sin-1(n/n)、nは誘電体ブロック1000の屈折率、nは環境の屈折率である。θ>θに達するためには、スネルの法則(Snell’s Law)により、入射角(即ち、入力角又は受光角)Φは、以下の式(1)の条件を満たさなければならない。
【数1】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
幾何学的形状によれば、楔形誘電体のポンプ軸1110に沿った全長Lは、長さ部分xの合計から計算されてよく、それは以下の式(6)を満たす。
【数3】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
式(6)においても、幅dを定義し、第2表面1130の境界条件d =d及び第1表面1120の幅Dを設定してよく、それはポンプ光エミッタのサイズによって決定してよい。更に、式(5)及び式(6)は、固体レーザ利得材料1170をポンプするための有効なポンプ集光素子及び断熱素子を設計するために、正確な仕様を提供する。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2
【国際調査報告】