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特表2024-526363凹部にオーミックコンタクトを有する半導体装置構造およびその製造方法
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  • 特表-凹部にオーミックコンタクトを有する半導体装置構造およびその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】凹部にオーミックコンタクトを有する半導体装置構造およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
H01L29/80 H
H01L29/80 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503614
(86)(22)【出願日】2022-07-18
(85)【翻訳文提出日】2024-02-05
(86)【国際出願番号】 EP2022070059
(87)【国際公開番号】W WO2023001762
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】21186564.7
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517241271
【氏名又は名称】スウェガン、アクチボラグ
【氏名又は名称原語表記】SWEGAN AB
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】ティン-ユアン、チェン
(72)【発明者】
【氏名】ニクラス、ロルスマン
(72)【発明者】
【氏名】イェーアル-タイ、チェン
【テーマコード(参考)】
5F102
【Fターム(参考)】
5F102GB01
5F102GC01
5F102GD01
5F102GJ02
5F102GJ03
5F102GJ04
5F102GJ10
5F102GL04
5F102GM04
5F102GQ01
5F102GR04
5F102GS03
5F102GT02
5F102GT03
5F102GV08
5F102HC01
5F102HC15
5F102HC21
(57)【要約】
本開示は半導体装置構造およびその製造方法に関するものであり、半導体装置構造は、基板(10)と、基板(10)上に配置されたIII族窒化物材料チャネル層(20)と、III族窒化物材料チャネル層(20)上に配置されたIII族窒化物材料バリア層(30)と、第1のTi層(61)と、第1のTi層(61)上に配置されたAl層(62)とを備えるオーミックコンタクト構造(60)と、を備え、オーミックコンタクト構造(60)は、III族窒化物材料バリア層(30)内の凹部に配置されており、第1のTi層(61)の底部が、III族窒化物材料チャネル層およびIII族窒化物材料バリア層(20、30)によって提供される2DEGチャネルレベル(2DEG)の下に延在しており、第1のTi層(61)は、側壁角40°≦θ≦75°、好ましくは50°≦θ≦60°の傾斜側壁(61a)を備えており、傾斜側壁(61a)のそれぞれとIII族窒化物材料バリア層(30)の底部との間の角度(θ)として測定され、第1のTi層(61)の厚さは5nm以下であり、第1のTi層(61)とAl層(62)との厚さ比は、Ti:Al<1:1000である.
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(10)と、
前記基板(10)上に配置されたIII族窒化物材料チャネル層(20)と、
前記III族窒化物材料チャネル層(20)上に配置されたIII族窒化物材料バリア層(30)と、
第1のTi層(61)と、前記第1のTi層(61)上に配置されたAl層(62)とを備えるオーミックコンタクト構造(60)と、
を備え、
前記オーミックコンタクト構造(60)は、前記III族窒化物材料バリア層(30)内の凹部に配置されており、前記第1のTi層(61)の底部が、前記III族窒化物材料チャネル層および前記III族窒化物材料バリア層(20、30)によって提供される2DEGチャネルレベル(2DEG)の下に延在しており、
前記第1のTi層(61)は、側壁角40°≦θ≦75°、好ましくは50°≦θ≦60°の傾斜側壁(61a)を備えており、前記傾斜側壁(61a)のそれぞれと前記III族窒化物材料バリア層(30)の底部との間の角度(θ)として測定され、
前記第1のTi層(61)の厚さは5nm以下であり、
前記第1のTi層(61)と前記Al層(62)との厚さ比は、Ti:Al<1:1000である、
半導体装置構造(1)。
【請求項2】
前記第1のTi層(61)の底部が、2DEGチャネルレベル(2DEG)の5~15nm下に延在するように、好ましくは2DEGチャネルレベル(2DEG)の5~10nm下に延在するように、前記オーミックコンタクト構造(60)が、前記III族窒化物材料バリア層(30)内の凹部に配置される、請求項1に記載の半導体装置構造(1)。
【請求項3】
前記オーミックコンタクト構造(60)のAl層(62)上に配置された第2のTi層(63)を備える、請求項1~2のいずれか1項に記載の半導体装置構造(1)。
【請求項4】
前記III族窒化物材料バリア層(30)上に配置されたパッシベーション層(40)を備えており、前記パッシベーション層(40)の材料は、好ましくはSiNである、請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体装置構造(1)。
【請求項5】
前記III族窒化物材料チャネル層(20)の材料は、GaNである、請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体装置構造(1)。
【請求項6】
前記III族窒化物材料バリア層(30)の材料は、Alx2Ga1-x2N、Iny2Al1-y2N、または、Iny2AIx2Ga1-x2-y2Nであり、ここで、x2=0~1、y2=0~1、x2+y2≦1である、請求項1~5のいずれか1項に記載の半導体装置構造(1)。
【請求項7】
前記第1のTi層は、1~3nmの厚さを有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体装置構造(1)。
【請求項8】
前記第1のTi層は、1~4.5nm、好ましくは2~3nmの厚さを有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体装置構造(1)。
【請求項9】
前記オーミックコンタクト構造のAl層(62)は、250~5000nm、好ましくは300~1000nmの厚さを有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の半導体装置構造(1)。
【請求項10】
前記第1のTi層は、Tiを含むTi系層であり、および/または、前記オーミックコンタクト構造のAl層は、Alを含むAl系層である、請求項1~9のいずれか1項に記載の半導体装置構造(1)。
【請求項11】
半導体装置構造(1)の製造方法(S0)であって、
基板(10)を提供する工程(S1)と、
前記基板(1)上にIII族窒化物材料チャネル層(20)を提供する工程(S2)と、
前記III族窒化物材料チャネル層(20)上にIII族窒化物材料バリア層(30)を提供する工程(S3)と、
III族窒化物材料バリア層(30)上に、または、任意に、III族窒化物材料バリア層(30)上に設けられたパッシベーション層上に、フォトレジスト層(50)を提供する工程(S4)と、
前記フォトレジスト層のターゲット領域に光を照射して、III族窒化物層を、または、もし提供されているのであればパッシベーション層を、露出させる工程(S5)と、
前記III族窒化物材料バリア層(30)の凹部を、前記III族窒化物材料チャネル層および前記III族窒化物材料バリア層(20、30)によって提供される2DEGチャネルレベル(2DEG)を超える深さまでエッチングする工程(S6)であって、前記エッチングは、前記III族窒化物材料チャネル層(30)の側壁が、側壁角40°≦θ≦75°、好ましくは50°≦θ≦60°となるように行われ、傾斜側壁のそれぞれと前記III族窒化物材料バリア層(30)の底部との間の角度(θ)として測定される工程と、
500~700℃の温度、好ましくは550~600℃の温度で、凹部内における第1のTi層(61)およびAl層(62)を含むオーミックコンタクト構造(60)をアニールする工程(S7)と、
を備え、
前記第1のTi層(61)は、前記第1のTi層(61)の厚さが5nm以下となるように傾斜堆積法により堆積され、
前記Al層(62)は、前記第1のTi層と前記Al層との厚さ比がTi:Al<1:1000となる厚さで、前記第1のTi層(61)上に堆積される、
半導体装置構造の製造方法。
【請求項12】
前記フォトレジスト層の前記ターゲット領域を画定するためにマスクを配置する工程を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ターゲット領域は、空間光変調器によって露光される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のTi層(61)の底部が、2DEGチャネルレベル(2DEG)の5~15nm下に延在するように、好ましくは、2DEGチャネルレベル(2DEG)の5~10nm下に延在するように、前記オーミックコンタクト構造(60)は、前記III族窒化物材料バリア層(30)内の凹部でアニールされる、請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記オーミックコンタクト構造(60)のAl層(62)上に、第2のTi層(62)を提供する工程を備える、請求項11~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記エッチングする工程の前に、前記III族窒化物材料バリア層(30)上にLPCVDまたはPECVDによりパッシベーション層(40)を堆積する工程を備え、前記パッシベーション層(40)の材料は、好ましくはSiNである、請求項11~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記III族窒化物材料チャネル層(20)の材料がGaNである、請求項11~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記III族窒化物材料バリア層(30)の材料は、Alx2Ga1-x2N、Iny2Al1-y2N、または、Iny2AIx2Ga1-x2-y2Nであり、ここで、x2=0~1、y2=0~1、x2+y2≦1である、請求項11~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記エッチングする工程が、ICPドライエッチングプロセスを含む、請求項11~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のTi層は、1~3nmの厚さを有するように提供される、請求項11~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記第1のTi層が、1~4.5nm、好ましくは2~3nmの厚さを有するように提供される、請求項11~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記オーミックコンタクト構造のAl層(62)が、250~5000nm、好ましくは300~1000nmの厚さを有するように提供される、請求項11~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記第1のTi層がTiを含むTi系層であり、および/または、前記オーミックコンタクト構造のAl層がAlを含むAl系層である、請求項11~22のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、凹部にオーミックコンタクトを有する半導体装置構造およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
AIGaN/GaN高電子移動度トランジスタ(HEMT:High-Electron-Mobility Transistor)は、典型的には、無線周波数、マイクロ波、および電力スイッチング用途のために関心が持たれている。従来のAIGaN/GaN HEMTは、高温、すなわち>800℃でアニールされたAu系のオーミックコンタクトで製造されている。このような高いアニール温度により、AIGaNバリア層のAlおよびオーミック金属スタック内のAlが溶融し、結果として、表面モフォロジおよびエッジ明瞭度が悪くなっている。また、高Alの含有量が多いため、高Al含有バリア層上で低い接触抵抗でオーミックコンタクトを形成することは困難であり、より大きいショットキー障壁電位となり、熱電子輸送またはトンネル輸送によって、オーミックコンタクトと2DEGチャネルとの間で電子が輸送されにくくなっている。
【0003】
AIGaN/GaN HEMT上で接触抵抗の低いオーミックコンタクトを形成するという問題に対して、いくつかの解決策が提案されている。これらの解決策のいくつかは、浅い凹型オーミックコンタクト(すなわち、2DEGチャネルより上の深さまでの凹部)、または、深い凹部の側壁Ta系のオーミックコンタクト(すなわち、2DEGチャネル以下の深さの凹部)を含んでいる。
【0004】
AIGaN/GaN HEMTにおいて浅い凹部のオーミックコンタクトを提供することによって、トンネル距離が短縮し、その結果、接触抵抗も低減する。しかしながら、この解決策は、結果として2DEG特性を劣化させる、または、装置全体の性能を低下させる、不均一な接触抵抗を導入するであろう。
【0005】
深い凹部の側壁Ta系のオーミックコンタクトは、バリア層の設計を無視することを可能にし、大きなエッチングおよびリソグラフィプロセスウィンドウを達成することができる。しかし、この解決策は、アニール処理中の(薄膜抵抗体と考えられる)TaNの形成に起因して、オーミックコンタクトと2DEGチャネルとの間に直列抵抗を導入する。
【0006】
このため、半導体特性を満足しつつ、高いスループットでの製造を実現することが困難である。
【0007】
したがって、従来の解決策に関して上述した問題を少なくとも軽減する低い接触抵抗を有するオーミックコンタクトを備えた半導体装置構造が必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、本解決策を用いて前述の欠点を軽減する改良された解決策を提供することである。特に、第1の目的は、大規模な製造に適した低い接触抵抗を有するオーミックコンタクトを備えた半導体装置構造を提供することである。この目的は、請求項1に記載の発明によって解決される。第2の目的は、大規模な製造に適した半導体装置構造の製造方法を提供することである。この目的は、請求項7に記載の方法によって解決される。
【0009】
以下では、ある用語が使用される。例えば、第1の層Aが第2の層B上に配置されていることにより、第1の層Aが第2の層Bと直接接触していることを意味してもよいし、または、第1の層Aと第2の層との間に、半導体装置構造が低い接触抵抗を達成することを妨げない、1つ以上の層があることを意味してもよい。
【0010】
本発明の第1の態様によれば、半導体装置構造が提供される。半導体装置構造は、基板と、基板上に配置されたIII族窒化物材料チャネル層と、III族窒化物材料チャネル層上に配置されたIII族窒化物材料バリア層と、第1のTi層と、第1のTi層上に配置されたAl層とを備えるオーミックコンタクト構造と、を備え、オーミックコンタクト構造は、III族窒化物材料バリア層内の凹部に配置されており、第1のTi層の底部が、III族窒化物材料チャネル層およびIII族窒化物材料バリア層によって提供される2DEGチャネルレベルの下に延在しており、第1のTi層は、側壁角40°≦θ≦75°、好ましくは50°≦θ≦60°の傾斜側壁を備えており、これは傾斜側壁のそれぞれとIII族窒化物材料バリア層の底部との間の角度として測定され、第1のTi層の厚さは5nm以下であり、第1のTi層とAl層との厚さ比は、Ti:Al<1:1000である。
【0011】
所定の側壁角により、トンネル距離が短縮され、接触抵抗も低減される。また、2DEGチャネルレベルの下に延在する第1のTi層により、接触抵抗がさらに低減される。また、特定の第1のTi層の厚さにより、接触抵抗が低くなるであろう。また、オーミックコンタクト構造におけるTaの代わりにTiを用いることで、より低い接触抵抗を実現することができる。厚さ比Ti:Al<1:1000は、側壁角の特徴とともに、例えば0.2~0.1ohm-mmの間隔で、接触抵抗をさらに低減することができるという驚くべき利点を提供する。これは、通常、複雑な再成長オーミックコンタクトによってしか達成できない。
【0012】
このように、上記の利点を考慮して、半導体構造装置は、上述した第1の目的を解決する。
【0013】
側壁角θは、低い接触抵抗を可能にする40°≦θ≦75°である。特定の範囲よりも急峻な側壁角を有することにより、金属の堆積が困難になる(側壁上の金属被覆率の悪化)ことがある。また、特定の範囲よりも小さな傾斜を有することで、半導体/オーミック金属の界面領域における2DEG濃度の低下(少ない電子に起因する接触抵抗の悪化)になるおそれがある。したがって、側壁角は、これらの態様に関して選択され得る。したがって、側壁角θは、次の40°≦θ≦45°、45°≦θ<50°、50°≦θ≦55°、55°≦θ≦60°、60°≦θ≦65°、65°≦θ≦70°、70°≦θ≦75°のいずれかから選択することができる。一例として、半導体装置構造がAlGaNバリア層を備える場合、側壁角が50°≦θ≦60°のときに、0.2ohm-mm以下の接触抵抗を実現することができる。しかしながら、0.2ohm-mmの低い接触抵抗は、例えば、チャネル層および/またはバリア層の材料、これらの厚さ、オーミックコンタクト構造の特性などを変えることによって、40°≦θ≦50°および60°≦θ≦75°で達成することができる。
【0014】
基板は、SiC、Si、GaN、AlN、またはサファイア基板であってもよい。SiC基板の場合、SiC基板は、ポリタイプ4Hまたは6Cを有していてもよい。基板は、基板オフカット角が面内格子軸に沿って実質的にゼロになるように設けられてもよい。基板には、炭素がドープされていてもよい。基板は半絶縁性であってもよい。基板は、H、HCI、HF、HBr、またはSiF、Clまたはこれらの組合せなどのエッチングガス、またはHおよび他の任意の1つなどのエッチングガスによって、その場でまたは外部で前処理されてもよい。基板を前処理することにより、例えば、基板表面への酸素および炭素汚染の量を、低減することができる。
【0015】
III族窒化物材料チャネル層の厚さは、0.050~10μmであってもよい。III族窒化物材料チャネル層の厚さは、0.050~0.1μm、0.1~0.2μm、0.2~0.3μm、0.3~0.4μm、0.4~0.5μm、0.5~0.6μm、0.6~0.7μm、0.7~0.8μm、0.8~0.9μm、0.9~1.0μm、1.0~2.0μm、2.0~3.0μm、3.0~4.0μm、4.0~5.0μm、5.0~6.0μm、6.0~7.0μm、7.0~8.0μm、8.0~9.0μm、または、9.0~10.0μmであってもよい。
【0016】
III族窒化物材料バリア層は、1~40nmの厚さを有してもよい。III族窒化物材料バリア層は、1~2nm、2~3nm、3~4nm、4~5nm、5~6nm、6~7nm、7~8nm、8~9nm、9~10nm、10~15nm、15~20nm、20~25nm、25~30nm、30~35nm、または、35~40nmの厚さを有してもよい。
【0017】
オーミックコンタクト構造のAl層は、比Ti:Al<1:1000の特定の条件を考慮して、第1のTi層の選択された厚さに応じて、2~5μmであってもよい。
【0018】
半導体装置構造は、第1のTi層とAl層とを備えるオーミックコンタクト構造を備える。Ti層またはAl層により、それは、Ti系層およびAl系層をそれぞれ意味してもよい。x系層によって、層が材料xを含むことを意味してもよい。X系層はx層として堆積されることを意味してよいが、近傍から追加の材料を抽出することを意味してもよい。オーミックコンタクト構造は、凹部でアニールされる。オーミックコンタクト構造をアニールする間、第1のTi層は、隣接する層から他の材料を抽出してもよい。例えば、Nは、III族窒化物材料チャネル層またはIII族窒化物材料バリア層から抽出されてもよく、それによって、第1のTi層を少なくとも部分的にまたは全体的にTiN層に変換する。Al層は、同様に、少なくとも部分的または全体的にAlN層に変換してもよい。部分的には、第1のTi層は、TiN層部分とTi層部分とを備えることを意味してもよい。Al層は、AlN層部分とAl層部分とを備えることを意味してもよい。
【0019】
一実施形態によれば、オーミックコンタクト構造は、第1のTi層の底部が2DEGチャネルレベルの5~15nm下に延在するように、III族窒化物材料バリア層の凹部に配置される。この範囲は、オーミックコンタクトを低減するために特定されている。特に、接触抵抗は、さらに0.2ohm-mm未満に低減してもよい。少なくとも5nm延在させることで、接触抵抗の均一性を良好にすることができる。2DEGチャネルレベルを超えて15nmを超えないことにより、望ましいオーミックコンタクトが可能となり、そうでなければ、より深く伸びると、より悪いオーミックコンタクトをもたらすかもしれない。より悪いオーミックコンタクトにより、それは、0.2~0.4ohm-mmを意味してもよい。
【0020】
一実施形態によれば、半導体装置構造は、オーミックコンタクト構造のAl層上に配置された第2のTi層を備える。第2のTi層は、酸化保護層として機能してもよい。TiN、TaN、TiW、TaW、Ti、Ta等の酸化を防止することができれば、他の材料も好適である。第2のTi層は、1~100nmの厚さを有してもよい。第2のTi層は、1~10nm、10~20nm、20~30nm、30~40nm、40~50nm、50~60nm、60~70nm、70~80nm、80~90nm、または、90~100nmの厚さを有してもよい。
【0021】
一実施形態によれば、半導体装置構造は、III族窒化物材料バリア層上に配置されたパッシベーション層を備え、パッシベーション層の材料は、好ましくはSiNである。これにより、周辺環境による半導体装置構造への影響や腐食を低減することができる。パッシベーション層の厚さは、1~400nmであってもよい。パッシベーション層は、1~25nm、25~50nm、50~75nm、75~100nm、100~150nm、150~200nm、200~250nm、250~300nm、300~350nm、または、350~400nmの厚さを有してもよい。
【0022】
一実施形態によれば、III族窒化物材料チャネル層の材料は、GaNである。GaNは、III族窒化物材料チャネル層の中で最も高い電子移動度および速度を有するので、III族窒化物材料チャネル層の好ましい選択かもしれず、これは、HEMT構造におけるチャネル層として理想的である。III族窒化物材料チャネル層は、AIGaN層またはAl傾斜AlGaN層(Al graded AlGaN layer)であってもよい。
【0023】
一実施形態によれば、III族窒化物材料バリア層(30)の材料は、Alx2Ga1-x2N、Iny2Al1-y2N、または、Iny2AIx2Ga1-x2-y2Nであり、ここで、x2=0~1、y2=0~1、x2+y2≦1である。Alx2Ga1-x2Nの場合、x2はx2=0.15~1であることが好ましい。Iny2Al1-y2Nの場合、y2はy2=0.1~0.2であることが好ましい。Iny2AIx2Ga1-x2-y2Nの場合、x2、y2は、x2=0.75~0.80、y2=0.1~0.2であることが好ましい。
【0024】
本発明の第2の態様によれば、半導体装置構造の製造方法が提供される。この方法は、基板を提供する工程と、基板上にIII族窒化物材料チャネル層を提供する工程と、III族窒化物材料チャネル層上にIII族窒化物材料バリア層を提供する工程と、III族窒化物材料バリア層上に、または、任意に、III族窒化物材料バリア層上に設けられたパッシベーション層上に、フォトレジスト層を提供する工程と、フォトレジスト層のターゲット領域に光を照射して、III族窒化物層を、または、もし提供されているのであればパッシベーション層を露出させ、III族窒化物材料バリア層の凹部を、III族窒化物材料チャネル層およびIII族窒化物材料バリア層によって提供される2DEGチャネルレベルを超える深さまでエッチングする工程であって、III族窒化物材料チャネル層の側壁が、傾斜側壁のそれぞれとIII族窒化物材料バリア層の底部との間の角度として測定されると、側壁角40°≦θ≦75°、好ましくは50°≦θ≦60°となるように行われる工程と、500~700℃、好ましくは550~600℃の温度で、凹部内における第1のTi層とAl層とを含むオーミックコンタクト構造をアニールする工程とを備え、第1のTi層は、第1のTi層の厚さが5nm以下となるように傾斜堆積法によって堆積され、Al層は、第1のTi層とAl層との厚さ比がTi:Al<1:1000となる厚さで、Ti層上に堆積される。
【0025】
所定の側壁角により、トンネル距離が短縮され、接触抵抗も低減される。また、第1のTi層が2DEGチャネルレベルの下で延びることにより、接触抵抗がさらに低減される。また、特定された第1のTi層の厚さにより、接触抵抗がより低くなる。また、オーミックコンタクト構造にTaの代わりにTiを用いることで、さらに低い接触抵抗を実現することができる。比Ti:Al<1:1000は、接触抵抗が0.2ohm-mm未満まで低減することができるという驚くべき利点を提供し、これは通常、複雑な再成長オーミックコンタクトによって達成することができるだけである。
【0026】
このように、上記の利点を考慮して、半導体構造装置は、上述した第1の目的を解決する。
【0027】
側壁角θは、低い接触抵抗を可能にする40°≦θ≦75°である。特定の範囲よりも急峻な側壁角を有することにより、金属の堆積が困難になる(側壁上の金属被覆率の悪化)おそれがある。また、特定の範囲よりも小さな傾斜を有することで、半導体/オーミック金属の界面領域における2DEG濃度の低下(少ない電子に起因する接触抵抗の悪化)になるおそれがある。したがって、側壁角は、これらの態様に関して選択され得る。したがって、側壁角θは、40°≦θ≦45°、45°≦θ<50°、50°≦θ≦55°、55°≦θ≦60°、60°≦θ≦65°、65°≦θ≦70°、70°≦θ≦75°のいずれかから選択することができる。一例として、半導体装置構造がAlGaNバリア層を備える場合、側壁角が50°≦θ≦60°のときに、0.2ohm-mm以下の接触抵抗を実現することができる。しかしながら、0.2ohm-mmの低い接触抵抗は、例えば、チャネル層および/またはバリア層の材料、これらの厚さ、オーミックコンタクト構造の特性などを変えることによって、40°≦θ≦50°および60°≦θ≦75°で達成することができる。
【0028】
基板は、SiC基板であってもよい。SiC基板は、ポリタイプ4Hまたは6Cを有していてもよい。SiC基板は、面内格子軸に沿って基板オフカット角が実質的にゼロとなるように設けられてもよい。基板は、炭素ドープされていてもよい。基板は半絶縁性であってもよい。基板は、H、HCI、HF、HBr、またはSiF、Clまたはこれらの組合せなどのエッチングガス、またはHおよび他の任意の1つなどのエッチングガスによって、その場でまたは外部で前処理されてもよい。基板を前処理することにより、例えば、基板表面への酸素や炭素汚染の量を低減することができる。
【0029】
III族窒化物材料チャネル層の厚さは、0.050~10μmであってもよい。III族窒化物材料チャネル層の厚さは、0.050~0.1μm、0.1~0.2μm、0.2~0.3μm、0.3~0.4μm、0.4~0.5μm、0.5~0.6μm、0.6~0.7μm、0.7~0.8μm、0.8~0.9μm、0.9~1.0μm、1.0~2.0μm、2.0~3.0μm、3.0~4.0μm、4.0~5.0μm、5.0~6.0μm、6.0~7.0μm、7.0~8.0μm、8.0~9.0μm、または、9.0~10.0μmであってもよい。
【0030】
III族窒化物材料バリア層は、1~40nmの厚さを有してもよい。III族窒化物材料バリア層は、1~2nm、2~3nm、3~4nm、4~5nm、5~6nm、6~7nm、7~8nm、8~9nm、9~10nm、10~15nm、15~20nm、20~25nm、25~30nm、30~35nm、または、35~40nmの厚さを有してもよい。
【0031】
オーミックコンタクト構造のAl層は、比Ti:Al<1:1000の特定の条件を考慮して、第1のTi層の選択された厚さに応じて、2~5μmであってもよい。
【0032】
半導体装置構造は、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、または、MOVPE(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy)、または、HVPE(Hydride Vapor Phase Epitaxy)、または、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法を用いて成長させることができる。
【0033】
第1およびIII族窒化物材料バリア層の成長条件、すなわち、使用される前駆体、フローレート、成長時間、圧力、温度、温度ランピングは、第1およびIII族窒化物材料バリア層、任意のパッシベーション層、および、フォトレジスト層の材料の選択に応じて選択されてもよい。
【0034】
フォトレジスト層は、III族窒化物材料バリア層上に堆積されてもよく、または存在する場合には、任意のパッシベーション層上に堆積されてもよい。フォトレジスト層は、アンダーカット角を有するアンダーカット領域を形成するために、フォトリソグラフィの間に露光されてもよい。側壁角は、フォトレジストのアンダーカットによって制御してもよい。より大きなフォトレジストアンダーカット角は、より大きな凹部側壁角をもたらし、その逆も同様である。
【0035】
任意のパッシベーション層が存在する場合、フッ素系ガスを用いた誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)ドライエッチングを用いてエッチングしてもよい。エッチングは、空気に暴露されることなく行われてもよい。エッチング残渣は、プラズマアッシングにより除去してもよい。
【0036】
第2のIII族窒化物層は、塩素系ガスを用いた誘導結合プラズマ(ICP)ドライエッチングでエッチングしてもよい。エッチングは、空気に曝すことなく行うことができる。エッチング残渣は、プラズマアッシングにより除去してもよい。
【0037】
一実施形態によれば、方法は、フォトレジスト層のターゲット領域を画定するために、マスクを配置する工程を備える。あるいは、ターゲット領域は、空間光変調器(Spatial Light Modulator)によって露光される。
【0038】
一実施形態によれば、オーミックコンタクト構造は、第1のTi層の底部が2DEGチャネルレベルの5~15nm下に延在するように、III族窒化物材料バリア層内の凹部でアニールされる。これにより、接触抵抗を0.2ohm-mm未満にさらに低減することができる。2DEGチャネルレベルの15nmよりも下に延在することにより、オーミックコンタクト不良となり、または側壁の金属被覆不良によりオーミックコンタクトでなくなるかもしれない。2DEGチャネルレベルの5nm下に延在しないことにより、接触抵抗の均一性が不十分となるかもしれない。
【0039】
一実施形態によれば、この方法は、オーミックコンタクト構造のAl層上に第2のTi層を提供する工程を備える。第2のTi層は、酸化保護層として機能してもよい。第2のTi層の厚さは、1~100nmであってもよい。第2のTi層の厚さは、1~10nm、10~20nm、20~30nm、30~40nm、40~50nm、50~60nm、60~70nm、70~80nm、80~90nm、または、90~100nmであってもよい。
【0040】
一実施形態によれば、方法は、エッチングする工程の前に、低圧力化学気相成長(LPCVD:Low Pressure Chemical Vapor Deposition)またはプラズマ化学気相成長(PECVD:Plasma-enhanced chemical vapor deposition)によって、III族窒化物材料バリア上にパッシベーション層を堆積する工程を備える。ここで、パッシベーション層の材料は、SiNであることが好ましい。これにより、周辺環境による半導体装置の構造への影響や腐食を低減することができる。パッシベーション層の厚さは、1~400nmであってもよい。SiNの場合、前駆体として、シラン(Silane)、ジクロロシラン(Dichlorosilane)、アンモニア(ammonia)を用いてもよい。成長条件は、フローレートが50~400sccmであり、成長時間が0.1~100分であり、圧力が100~500mTorrであり、温度が700~850℃であってもよい。
【0041】
一実施形態によれば、III族窒化物材料チャネル層の材料は、GaNである。GaNは、III族窒化物材料チャネル層の好ましい選択であり得る。なぜなら、HEMT構造のチャネル層として理想的であるIII族窒化物の中で、電子移動度および速度が最も高いからである。或いは、III族窒化物材料チャネル層は、AIGaN層またはAl傾斜AlGaN層であってもよい。GaNの場合、前駆体として、トリメチルガリウム(trimethylgallium)、TMG、Ga(CH、および、アンモニア、NHを用いてもよい。一例として、前駆体のフローレートは、NHに対して2l/分であってもよく、TMGaに対して0.62ml/分であってもよい。TMGaバブラー(例えばH)を流れるキャリアガスのフローレートは、42ml/分であってもよい。前駆体は室温で提供されてもよい。代替として、フローレートを増加させるために、つまりGaNバッファ層の成長速度を増加させるために、前駆体の少なくとも1つを加熱してもよい。各前駆体の流れは、前駆体容器と反応器との間に配置され得る少なくとも1つのマスフローコントローラによって、制御されてもよい。前駆体の各々または両方は、H、NまたはArなどのキャリアガスによって反応器内に輸送されてもよい。反応器の温度は、GaN層の成長時に1050℃程度としてもよい。GaN成長時の反応器内の圧力は、約50mbarとしてもよい。安定した成長条件、すなわち、例えば温度および圧力が安定すると、GaN層の成長速度は、1時間あたり約700~2000nmであってもよい。室温では、それは16~23℃を意味してもよい。
【0042】
一実施形態によれば、III族窒化物材料バリア層の材料は、Alx2Ga1-x2N、Iny2Al1-y2NまたはIny2AIx2Ga1-x2-y2Nであり、ここでx2=0~1、y2=0~1、x2+y2≦1である。AIx2Ga1-x2Nの場合、x2=0.15~1であることが好ましい。Iny2Al1-y2Nの場合、y2はy2=0.1~0.2であることが好ましい。Iny2AIx2Ga1-x2-y2Nの場合、x2、y2は、x2=0.75~0.80、y 2=0.1~0.2であることが好ましい。Al、Ga、Inの含有量は、成長条件に応じて調整されてもよい。
【0043】
III族窒化物材料バリア層の成長のための前駆体は、TMIn、トリメチルインジウム(trimethylindium)、すなわちIn(CH、TMAI、または、TEAおよびTMGa、または、TEGaであってもよい。前駆体は、しばしば、H、N、またはNとHとの混合物などのキャリアガスによって、MOCVD反応器内に輸送される。
【0044】
前駆体(例えば、TMAIまたはTMGa)バブラーを通って流れるキャリアガスのフローレートは、TMAIについては約70ml/分、TMGaについては約50ml/分、TMInについては70ml/分であってもよい。前駆体流は、主キャリアガス流と合流し、これは、反応器へのさらなる輸送のために30l/分のオーダーであってもよい。 前駆体の反応は、反応性中間体および副生成物を、基板上にまたはその近傍に形成する。反応物が基板上に吸着されて、薄膜層を形成し、MOCVD反応器でポンピングすることにより、最終的に副生成物が基板から離れるように輸送される。薄膜成長についてのMOCVD反応器内の圧力は、通常、数ミリバールから大気圧までの範囲である。反応器チャンバは、コールドウォールタイプであってもよく、または、ホットウォールタイプであってもよい。コールドウォール反応器では、基板は、典型的には、反応器壁が基板よりも冷たいのを維持した状態で、下方から加熱される。対照的に、ホットウォール反応器では、反応器チャンバ全体が加熱され、すなわち、基板と反応器の両方が加熱される。本開示で論じられるヘテロ構造の成長のために、ホットウォールVP508GFR、AIXTRON反応器を使用してもよい。反応器のバックグラウンド圧力は、10~4ミリバールよりも低くてもよい(参考文献:「MOCVDにより成長させたAl含有AIGaNのドーピング」、PhD論文、D Nilsson、2014およびWikipedia)。
【0045】
一実施形態によれば、エッチング工程は、誘導結合プラズマ(ICP)ドライエッチングプロセスを含む。
【0046】
一実施形態によれば、第1のTi層の厚さは、0.1~1nm、1~2nm、2~3nm、3~4nm、4~4.5nm、4.5nm~5nm未満、または、これらの間隔の任意の組み合わせによって形成される間隔内であってもよい。第1のTi層の厚さを5nm未満とすることにより、AlがTiよりも強い電子親和力を有することから、第1のTi層は、Al層のAlがNを抽出するのを助けるための触媒として作用するように十分に薄くなる。一例として、Alは約42kJ/molの電子親和力を有し、Tiは約7kJ/molの電子親和力を有し得る。より正確な値は、適用可能な参照テーブルで見つけることができる。第1のTi層の厚さを5nm未満とすることにより、接触抵抗をさらに低減することができる。理想的には、第1のTiの層は、(抵抗体として作用する可能性があり、そのため、接触抵抗が増大する)TiNの形成を防止するために、可能な限り薄くなるべきである。しかし、低い接触抵抗でオーミックコンタクトを形成するために、III族窒化物材料からNを抽出するAlをサポートする触媒として、Tiを作用させてもよい。
【0047】
一実施形態によれば、オーミック構造のAl層の厚さは、250~300nm、300~400nm、400~500nm、500~600nm、600~700nm、700~800nm、800~900nm、900~1000nm、1000~1500nm、1500~2000nm、2000~2500nm、2500~3000nm、3000~3500nm、3500~4000nm、4000~4500nm、4500~5000nm、または、これらの間隔の任意の組み合わせによって形成される間隔内にある。5nm未満の厚さで第1のTi層上に、このような厚さのAl層を設けることにより、低い接触抵抗が可能となる。特に、Al層の厚さが300~1000nmの場合には、低い接触抵抗が可能となる。
【0048】
一実施形態によれば、第1のTi層とAl層との厚さ比は、Ti:Al<1:1000であってもよい。この厚さ比は、50~100、100~150、150~200、200~250、250~300、300~350、350~400、400~450、450~500、500~550、550~600、600~650、650~700、700~750、750~800、800~850、850~900、900~950、950~1000、または、これらの間隔の任意の組み合わせによって形成される間隔内にあってもよい。
【0049】
一実施形態によれば、第1のTi層は、少なくともTiを含むTi系層である。一実施形態によれば、オーミックコンタクト構造のAl層は、少なくともAlを含むAl系層である。一実施形態によれば、第2のTi層は、少なくともTiを含むTi系層である。アニール処理の間、上記の層は、隣接する層から材料を抽出してもよい。例えば、これらの層のうちの1つ以上は、Ti-N、Ti-AI-N、Al-N、Ti-AI合金および未反応のTiまたはAlを部分的に含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
以下、本発明について、添付の図面を参照してより詳細に説明する。
図1図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置構造を示す。
図2図2は、他の既知のワークに関連して本発明のアニール温度の関数として接触抵抗を示す図である。
図3図3は、凹部側壁角(図1のθ)の関数として接触抵抗を示す図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る半導体装置構造の製造方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、本発明の好適な実施の形態を、図面に基づいてより詳細に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載された実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が完全かつ完結されるように提供され、本発明の範囲を当業者に十分に伝えることになる。図面において、同様の番号は同様の要素を指す。
【0052】
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置構造1を示す。半導体装置構造1は、基板10と、基板10上に配置されたIII族窒化物材料チャネル層20と、III族窒化物材料チャネル層20上に配置されたIII族窒化物材料バリア層30と、第1のTi層61および第1のTi層61上に配置されたAl層62とを備えるオーミックコンタクト構造60とを備える。オーミックコンタクト構造60は、第1のTi層の底部が、III族窒化物材料チャネル層によって提供される2DEGチャネルレベルを下回るように、III族窒化物材料バリア層30内に凹んで配置される。第1のTi層61は、側壁角40°≦θ≦75°を有する傾斜側壁61aを備えている。側壁角θは、それぞれの傾斜側壁とIII族窒化物材料バリア層30の底部との間の角度として測定される。第1のTi層61の厚さは、5nm以下である。第1のTi層61とAl層62との厚さ比は、Ti:Al<1:1000である。
【0053】
なお、基板10、オーミックコンタクト構造60および各種層20、30、40、50は、縮尺通りではない。
【0054】
このような半導体装置構造1によれば、低い接触抵抗が実現され、特に、接触抵抗が0.1~0.2Ω-mmの半導体装置構造1が実現される。
【0055】
接触抵抗は、アニール温度の関数として探求することができ、図2は、本発明を6つの他の発明と、いかに比較するかを示している。
Ref[1]:J.Zhang他、IEEE Electron Device Lett. 39、847(2018)
Ref[2]:Y.K. Lin他、Semicond Sci. Technol. 33、095019(2018)
Ref[3]:T.Yoshida、および、T. Egawa、Phys. Status Solidi A215、1700825(2008)
Ref[4]:X.W. Wang他、Journal of Vac. Sci&Tech B 38、062206(2020)
Ref[5]:A. Ping他、J.Electron Mater. 27、261(1998)
Ref[6]:H.S. Lee、D.S. Lee、および、T.Palacios、IEEE Electron Device Lett. 32、623(2011)
【0056】
図2に見られるように、本発明の接触抵抗は、500~600℃のアニール温度に対して、0.1~0.2Ω-mmの間である。500~600℃の同じアニール温度間隔に対して、Ref[1]の本発明は、およそ0.21Ω-mmを達成し、Ref[2]の発明はおよそ0.24Ω-mmを達成し、Ref[3]はおよそ0.36Ω-mmを達成し、Ref[4]の発明は0.53Ω-mmを達成する。Ref[1]、Ref[2]、Ref[3]、Ref[4]は全て、500~600℃のアニール温度を用いた場合、0.2ohm-mm以下の接触抵抗を達成することができない。本発明によれば、前述のアニール温度の間隔で、0.2Ω-mm以下の接触抵抗とすることができ、これは、本発明が従来技術を大幅に改善できることを示している。
【0057】
また、Ref[5]、Ref[6]は、それぞれの発明が、800~900℃のアニール温度で、0.5~0.6Ω-mmの接触抵抗を実現し、その結果、AIGaNバリア層(存在する場合)のAl、または、オーミックメタルが溶け、その結果、オーミックコンタクトの表面モフォロジおよびエッジ明瞭度が悪化する。
【0058】
好ましい実施形態によれば、半導体装置構造は、0.15Ω-mmの接触抵抗を有してもよい。半導体装置構造の好ましい実施形態は、面内格子軸に沿って実質的にゼロのカットオフ角を有するSiC基板10と、SiC基板10上に配置されたGaN層20と、GaN層20上に配置されたAIGaN層30と、第1のTi層61と、第1のTi層61上に配置されたAl層62とを備えるオーミックコンタクト構造60とを備える。第1のTi層61の底部が、GaN層およびAIGaN層によって提供される2DEGチャネルレベルの約10nm下に延在するように、オーミックコンタクト構造60はAIGaN層の凹部に配置されている。第1のTi層61は、約55°の側壁角を有する傾斜側壁61aを備えており、この側壁角は、傾斜側壁61aのそれぞれとAIGaN層30の底部との間の角度θとして測定される。第1のTi層61の厚さは、約1~3nmである。Al層62の厚さは、第1のTi層61とAl層62との間の厚さ比を、Ti:Al<1:1000とする厚さである。GaN層の厚さは約2μmである。AIGaN層の厚さは約20nmである。また、側壁角および第1のTi層の厚さは、種々のAIGaNバリア厚さおよびAl組成物に対して最適化される必要がある。
【0059】
半導体装置構造は、任意で、オーミックコンタクト構造60のAl層62上に配置された第2のTi層を備えてもよい。
【0060】
半導体装置構造1は、任意で、AIGaN層30上に配置されたSiNパッシベーション層40を備えてもよい。
【0061】
図3は、凹部側壁角θの関数として接触抵抗を表す図である。AIGaNバリア層を含む本明細書に記載の半導体装置構造のサンプル上で測定されたオーミック接触抵抗Rcが、43°未満の側壁角θについて、0.4ohm-mmを超えるオーミック接触抵抗Rcを示している。より高い側壁角θ>65°では、オーミック接触抵抗Rcは、約0.4ohm-mm以下のままであることが分かる。0.4ohm-mm以下のオーミック接触抵抗Rcは、側壁角45°≦θ≦75°のときに達成される。0.2ohm-mm以下のオーミック接触抵抗Rcは、側壁角50°≦θ≦60°のときに達成される。側壁角40°≦θ<50°および60°≦θ<75°のにおける0.2ohm-mmのオーミック接触抵抗は、チャネル層および/またはバリア層の材料組成、それらの厚さ、および/または、オーミックコンタクト構造特性の調整によって提供されてもよい。
【0062】
図4は、本発明の一実施形態に係る半導体装置構造1の製造方法S0のフローチャートを示す。この方法S0は、基板10を提供する工程S1と、基板1上にIII族窒化物材料チャネル層20を提供する工程S2と、III族窒化物材料チャネル層20上にIII窒化物材料バリア層30を提供する工程S3と、III族窒化物材料バリア層30上に、または、任意に、III族窒化物材料バリア層30上に設けられたパッシベーション層上に、フォトレジスト層50を提供する工程S4と、フォトレジスト層のターゲット領域に光を照射して、III族窒化物層を、または、もし提供されているのであればパッシベーション層を、露出させる工程S5と、III族窒化物材料バリア層30の凹部を、第1およびIII族窒化物材料バリア層20、30によって提供される2DEGチャネルレベルを超える深さまでエッチングする工程S6とであって、前記エッチングは、III族窒化物材料チャネル層30の側壁が、側壁角40°≦θ≦75°となるように行われ、傾斜側壁のそれぞれとIII族窒化物材料バリア層30の底部との間の角度θとして測定される工程S6と、500~700℃の温度、好ましくは550~600℃の温度で、凹部内における第1のTi層61およびAl層62を含むオーミックコンタクト構造60をアニールする工程S7とを、備える。第1のTi層61は、第1のTi層61の厚さが5nm以下となるように傾斜堆積法により堆積され、Al層62は、第1のTi層とAl層との厚さ比がTi:Al<1:1000となる厚さで、第1のTi層61上に堆積される。
【0063】
0.2ohm-mm以下の低オーミック接触抵抗の範囲内にある接触抵抗を有する半導体装置構造のサンプルを、以下の特定の工程(図3には、本ワーク(This work)として示す)によって作製した。この特定のサンプルを生成するために、エピ構造上にSiNパッシベーション層40(図1参照)を堆積して、半導体を周囲の空気/汚染物から保護し、表面の(2DEG濃度を劣化させる)望ましくない負電荷を中和する。メサまたはイオン注入は、オーミックコンタクト構造のためのターゲット領域を画定するために実施された。そして、現像後のアンダーカット(図1参照)を有するフォトレジスト層50が、使用された。次いで、構造体をドライエッチング処理して、フッ素系ガスを用いてSiNパッシベーション層を開口させ、その後、塩素系ガスを用いて、エピ構造内に深い凹部を形成した。接触抵抗を低減できるようにするためには、2DEGを超える5~15nmのエッチング深さが好ましい。凹部領域の表面酸化物は、金属蒸着直前に、緩衝酸化物エッチング液(BOE:Buffered Oxide Etchant)、希釈HF、および、希釈HCIを含む湿式化学エッチングによって除去された。第1のTi層の金属堆積は、凹部側壁上の金属の良好な被覆率を確保するために、10度傾斜して行われた。第2金属層および第3金属層は、傾斜させずに堆積した。本実施形態の最終工程は、(フォトレジスト上の)望まない金属を、アセトン中において50℃でリフトオフする。次いで、オーミックコンタクトを、AIGaNバリアおよびオーミック金属の厚さに応じて、550~600℃の好ましい温度で、15~90分間、急速熱プロセス(RTP)システムによってアニールした。
【0064】
さらなる実施例によれば、半導体装置構造は、SiC基板と、SiC基板上に配置されたGaN層20とを備える。SiC基板は、面内格子軸に沿って実質的にゼロのカットオフ角を有することが好ましい。半導体装置構造は、GaN層20上に配置されたAIGaN層30をさらに備える。半導体装置構造は、オーミックコンタクト構造60をさらに備える。オーミックコンタクト構造60は、第1のTi層61と、第1のTi層61上に配置されたAl層62とを備える。オーミックコンタクト構造60は、GaN層およびAIGaN層によって提供される2DEGチャネルレベルの約10nm下に、第1のTi層61の底部が延在するように、AIGaN層の凹部に設けられている。第1のTi層61は、それぞれの傾斜側壁61aとAIGaN層30の底部との間の角度θとして測定される、約55°の側壁角を有する傾斜側壁61aを備える。第1のTi層61の厚さは、約2.5nmである。Al層62の厚さは、350nmである。GaN層の厚さは、約2μmである。AIGaN層の厚さは、約20nmである。
【0065】
約55°の側壁角によって、2DEGは劣化しない。このため、余分な酸化工程が不要となる。
【0066】
オーミックコンタクト構造では、Taの代わりにTiを用いることで、Si-CMOS製造およびIII-V製造に適している。また、電子ビーム熱蒸着を利用することにより、材料が設計されたオーミック領域を越えて堆積するリスクを低減し、さもなければ、ソース・ゲートおよびドレイン・ゲートを短絡するかもしれない(オーミックコンタクトは、ソースおよびドレインのパッドとして作用する)。
【0067】
一例として、アニール処理の間、TiおよびTaの両方がNを抽出し、結果としてTiNおよびTaNが形成される。TiNおよびTaNは、2DEGとオーミック金属との間の薄膜抵抗として考えられ、これは、オーミックコンタクトにとって欠点である。TiNは、両者の厚さが同じ場合に、TaNよりも低抵抗である。本発明において、Tiは、約5nm以下の厚さを有してもよく、その後、最大厚さ5nmのTiNをもたらすことができる。Ta/AIオーミックコンタクトと比較して、TaNは、薄いTa層を提供することが困難であるため、15nmの最小厚さを有するであろう。したがって、本発明のTi/AIオーミックコンタクトは、Ta/AIオーミックコンタクトよりもはるかに低い接触抵抗を有するであろう。
【0068】
第1の層中のTiを用い、および、5nm未満の厚さを有することにより、低いオーミック接触抵抗を容易にする。この点では、2~3nmの厚さが好ましい。
【0069】
また、第1のTi層61の底部がGaN層とAIGaN層とによって形成される2DEGチャネルレベルの約8nm下に延在するように、オーミックコンタクト構造をAIGaN層の凹部に配置する。2DEGレベルより5~15nm、好ましくは5~12.5nm、最も好ましくは7.5~9.5nm下であることにより、低い接触抵抗が実現される。15nmを超える凹部は、側壁における金属の被覆不良による接触抵抗の低下を引き起こすことが見出されている。
【0070】
図面および明細書には、本発明の好ましい実施形態および実施例が開示されており、具体的な用語が採用されているが、それらは、限定の目的ではなく、汎用的かつ記述的な意味で使用される。本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲に記載されている。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】