(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】マイクロバイオセンサーとその感知構造
(51)【国際特許分類】
A61B 5/1473 20060101AFI20240709BHJP
A61B 5/1486 20060101ALN20240709BHJP
【FI】
A61B5/1473
A61B5/1486
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503861
(86)(22)【出願日】2022-07-22
(85)【翻訳文提出日】2024-03-21
(86)【国際出願番号】 CN2022107409
(87)【国際公開番号】W WO2023001292
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518115285
【氏名又は名称】華廣生技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BIONIME CORPORATION
【住所又は居所原語表記】No.100, Section 2, Daqing St., South District, Taichung City Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】黄 椿木
(72)【発明者】
【氏名】陳 界行
(72)【発明者】
【氏名】陳 碧萱
(72)【発明者】
【氏名】陳 継浩
(72)【発明者】
【氏名】張 恒嘉
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038KK10
4C038KL01
4C038KL09
4C038KM01
4C038KY04
4C038KY06
4C038KY11
(57)【要約】
生体流体中の標的分析物(310)の生理パラメータを測定するように、生体内への皮下埋め込みに使用されるマイクロバイオセンサー(10)の感知構造は、電気化学反応を使用して、生体流体中の干渉物質(320)による測定の干渉を低減することができる。感知構造は、表面を有する基板(110)と、表面に配置され、活性表面を有する第一作用電極(120)と、表面に配置され、電気化学反応を使用することによって干渉物質(320)を枯渇させるために使用され、第一作用電極(120)の少なくとも一つの側辺に隣接する少なくとも一つの第二作用電極(130)と、生体流体が第二作用電極(130)を通って流れるとき、干渉物質(320)の拡散分布を制限するために、活性表面の少なくとも一部に少なくとも対応して配置される隔離層(150)と、を含む。生体流体中の干渉物質(320)は、一定期間にわたって第二作用電極(130)を通過し、電気化学反応によって第二作用電極(130)によって枯渇する。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体流体の標的分析物の生理パラメーターを測定し、電気化学反応による測定における前記生体流体の干渉物質の干渉を低減するように、皮膚の下に埋め込むためのマイクロバイオセンサーであって、
シートである基板であって、対向するように配置された第一表面及び第二表面を有する前記基板と、
前記基板の前記第一表面に配置された第一感知セクションを少なくとも含む第一作用電極であって、前記第一作用電極の前記第一感知セクションが第一導電性材料を含む前記第一作用電極と、
前記基板の前記第一表面に配置され、第二感知セクションを含む少なくとも一つの第二作用電極であって、前記第二感知セクションが、前記第一感知セクションの少なくとも一方の側に隣接して配置され、前記第二作用電極の前記第二感知セクションが、前記第一導電性材料と異なる第二導電性材料を含む前記第二作用電極と、
前記第一作用電極の前記第一感知セクションと前記第二作用電極の前記第二感知セクションを覆う第一機能膜と、を含み、
前記第一機能膜は、前記生体流体の前記標的分析物と反応して生成物を得るために、前記第一導電性材料の一部を少なくとも覆って前記第一感知セクションの活性表面を画定する化学試薬と、
前記第二作用電極の前記第二感知セクションを通過する前記生体流体の前記干渉物質の拡散経路を制限するように、前記第一作用電極の前記第一感知セクションの前記活性表面の少なくとも一部に対応して配置される隔離層と、を含み、
前記生体流体は、一定期間にわたって前記第二感知セクションに拡散し、前記第二感知セクションを通過した後に前記第一感知セクションに拡散し、
前記第一作用電極が第一作用電圧によって駆動されると、前記第一感知セクションが前記生成物と反応して、前記標的分析物の生理パラメーターに対応する生理信号を出力し、
前記第二作用電極が第二作用電圧によって駆動されると、前記第二感知セクションが、前記生理信号に対する前記干渉物質の干渉を低減するように、前記一定期間中の電気化学反応によって前記生体流体の前記干渉物質を消費し、前記生体流体の残りの部分が 前記第二感知セクションを通過した後、前記第一作用電極の前記第一感知セクションに拡散することを特徴とするマイクロバイオセンサー。
【請求項2】
前記隔離層は、前記活性表面の一部を少なくとも遮蔽し、前記干渉物質が前記活性表面に直接拡散することを隔離するように、前記第一機能膜に配置され、前記少なくとも第一作用電極の前記第一感知セクションに対応して配置されることを特徴とする請求項1に記載のマイクロバイオセンサー。
【請求項3】
前記隔離層の面積は、前記第一感知セクションの前記活性表面の面積の0.5~10倍であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロバイオセンサー。
【請求項4】
前記隔離層は、更に前記第二作用電極の前記第二感知セクションに対応して、前記第二感知セクションの一部を少なくとも遮蔽するように配置されることを特徴とする請求項1に記載のマイクロバイオセンサー。
【請求項5】
前記隔離層の厚さは1~80μmであることを特徴とする請求項1に記載のマイクロバイオセンサー。
【請求項6】
前記一定期間は10秒~15分であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロバイオセンサー。
【請求項7】
前記第一作用電極は、前記第一作用電圧によって駆動されて、前記第一感知セクションが測定範囲を生成するようにし、
前記第二作用電極は、前記第二作用電圧によって駆動されて、前記第二感知セクションを前記第一感知セクションの周囲に接触させ、前記測定範囲と少なくとも部分的に重なる干渉除去範囲を有することを可能にすることを特徴とする請求項1に記載のマイクロバイオセンサー。
【請求項8】
前記第二作用電極の前記第二感知セクションは、前記第一作用電極の前記第一感知セクションの少なくとも二つの側面に隣接して配置されることを特徴とする請求項1に記載のマイクロバイオセンサー。
【請求項9】
前記隔離層は更に、前記第一感知セクションの少なくとも二つの側面に隣接して配置される前記第二感知セクションの一部を少なくとも遮蔽するように、前記第二感知セクションに対応して配置されることを特徴とする請求項8に記載のマイクロバイオセンサー。
【請求項10】
前記第一作用電極が前記第一作用電圧によって駆動されるとき、前記第一導電性材料が前記生成物に対して第一感度を有し、前記第二作用電極が前記第二作用電圧によって駆動されるとき、前記第二導電性材料が前記生成物に対して前記第一感度より小さい第二感度を有することを特徴とする請求項1に記載のマイクロバイオセンサー。
【請求項11】
前記第一導電性材料は白金であり、前記第二導電性材料はカーボンであることを特徴とする請求項1に記載のマイクロバイオセンサー。
【請求項12】
前記隔離層は、前記第一機能膜に配置され、前記第一機能膜は、前記隔離層と前記第一感知セクションの前記活性表面との間の距離によって規定される厚さを有し、前記厚さは0.05μm以上50μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロバイオセンサー。
【請求項13】
生体流体の標的分析物の生理パラメーターを測定し、電気化学反応による測定における前記生体流体の干渉物質の干渉を低減するように、皮膚の下に埋め込むためのマイクロバイオセンサーであって、
対向するように配置された第一表面及び第二表面を有する基板と、
前記標的分析物の前記生理パラメーターを測定するように、前記基板の前記第一表面に配置された第一感知セクションを少なくとも含む第一作用電極と、
前記基板の前記第一表面に配置され、第二感知セクションを含む少なくとも一つの第二作用電極であって、前記第二感知セクションが、前記電気化学反応によって前記干渉物質を消費するように、前記第一感知セクションの少なくとも一方の側に隣接して配置される前記少なくとも一つの第二作用電極と、
前記第一作用電極の前記第一感知セクションと前記第二作用電極の前記第二感知セクションを覆う第一機能膜と、を含み、
前記第一機能膜は、前記生体流体の前記標的分析物と反応して生成物を得るために、前記第一導電性材料の一部を少なくとも覆って前記第一感知セクションの活性表面を画定する化学試薬と、
前記生体流体が前記第二作用電極の前記第二感知セクションと相互作用する機会を増加させる原因として前記干渉物質の拡散経路を画定するように、前記活性表面の少なくとも一部に対応して少なくとも配置される隔離層と、を含み、
前記第一作用電極が前記第一作用電圧によって駆動されると、前記第一感知セクションが前記生成物と反応して、前記標的分析物の前記生理パラメーターに対応する生理信号を出力し、
前記第二作用電極が前記第二作用電圧によって駆動されると、前記第二感知セクションが、前記生理信号に対する前記干渉物質の干渉を低減するように、電気化学反応によって前記生体流体の前記干渉物質を消費し、前記生体流体の残りの部分が前記第二感知セクションを通過した後、前記第一感知セクションに拡散することを特徴とするマイクロバイオセンサー。
【請求項14】
前記隔離層は、前記活性表面の一部を少なくとも遮蔽し、前記干渉物質が前記活性表面に直接拡散することを隔離するように、前記第一機能膜に配置され、少なくとも前記第一作用電極の前記第一感知セクションに対応して配置されることを特徴とする請求項13に記載のマイクロバイオセンサー。
【請求項15】
前記隔離層は、更に前記第二作用電極の前記第二感知セクションに対応して、前記第二感知セクションの一部を少なくとも遮蔽するように配置されることを特徴とする請求項13に記載のマイクロバイオセンサー。
【請求項16】
前記第二感知セクションは、ギャップを介して前記第一感知セクションの少なくとも一方の側辺に隣接して配置され、前記ギャップは0.5mm以下であることを特徴とする請求項13に記載のマイクロバイオセンサー。
【請求項17】
前記第二作用電極の数は二つであり、
二つの前記第二作用電極の二つの前記第二感知セクションはそれぞれ、前記第一感知セクションの対向する二つの側面に隣接して配置されることを特徴とする請求項13に記載のマイクロバイオセンサー。
【請求項18】
前記第二感知セクションの一側辺は、前記第一感知セクションの周縁に沿って延びており、前記第一感知セクションの周縁のうち前記第二感知セクションに隣接して配置される部分は、前記第一感知セクションの周縁の全長の30%~100%を占めることを特徴とする請求項13に記載のマイクロバイオセンサー。
【請求項19】
少なくとも一つの対電極を更に含み、
前記対電極は、前記第二表面に配置され、前記第一作用電極及び前記第二作用電極の少なくとも一方に結合されることを特徴とする請求項13に記載のマイクロバイオセンサー。
【請求項20】
前記化学試薬は、前記第二作用電極の前記第二感知セクションの一部を更に覆うことを特徴とする請求項13に記載のマイクロバイオセンサー。
【請求項21】
前記基板の前記第一表面及び前記第二表面を包み込み、前記第一機能膜及び前記隔離層を覆う第二機能膜を更に含むことを特徴とする請求項13に記載のマイクロバイオセンサー。
【請求項22】
前記第一機能膜は、更に充填材を含み、
前記充填材は、前記第一作用電極と前記第二作用電極との間に充填されることを特徴とする請求項13に記載のマイクロバイオセンサー。
【請求項23】
生体流体の標的分析物の生理パラメーターを測定し、電気化学反応による測定における前記生体流体の干渉物質の干渉を低減するように、皮膚の下に埋め込むためのマイクロバイオセンサーの感知構造であって、
表面を有する基板と、
前記表面に配置され、活性表面を有する第一作用電極と、
前記電気化学反応によって前記干渉物質を消費するように、前記表面に配置され、前記第一作用電極の少なくとも一方の側に隣接して配置される少なくとも一つの第二作用電極と、
前記生体流体が前記第二作用電極を通って流れるときに前記干渉物質の拡散分布を制限するように、前記活性表面の少なくとも一部に対応して配置される隔離層と、を含み、
少なくとも前記生体流体の前記干渉物質は、一定期間にわたって前記第二作用電極を通過し、前記電気化学反応により前記第二作用電極によって消費されることを特徴とする感知構造。
【請求項24】
前記第一作用電極と前記隔離層との間にあり、前記基板、前記第一作用電極及び前記第二作用電極を包む第一機能膜を更に含み、
前記第一機能膜は、前記生体流体の前記標的分析物と反応して生成物を生成するように、前記第一作用電極の一部を覆って前記活性表面を定義する化学試薬を含むことを特徴とする請求項23に記載の感知構造。
【請求項25】
前記第一作用電極が第一作用電圧によって駆動されると、前記第一作用電極が前記生成物と反応して、前記標的分析物の生理パラメーターに対応する生理信号を出力し、
前記第二作用電極が第二作用電圧によって駆動されると、前記第二作用電極が、前記生理信号に対する前記干渉物質の干渉を低減するように、前記一定期間中の前記電気化学反応によって前記干渉物質を消費することを特徴とする請求項24に記載の感知構造。
【請求項26】
前記第一作用電圧は0.2~0.8ボルトであり、前記第二作用電圧は0.2~0.8ボルトであることを特徴とする請求項25に記載の感知構造。
【請求項27】
前記一定期間は10秒~15分であることを特徴とする請求項23に記載の感知構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロバイオセンサー及びその感知構造に関する。特に、本発明は、生体流体の拡散分布を制限することができるマイクロバイオセンサー及びその感知構造に関する。
【背景技術】
【0002】
連続グルコース監視システムの基本構成には、バイオセンサーと送信機が含まれる。バイオセンサーは体内のグルコース濃度に応じた生理信号を測定するものであり、その測定は主に電気化学的プロセスに基づいている。具体的には、グルコースはグルコースオキシダーゼ(GOx)との触媒反応を受けてグルコノラクトンと還元型グルコースオキシダーゼを生成し、続いて還元型グルコースオキシダーゼと生体流体中の酸素との間の電子伝達反応により副産物として過酸化水素(H2O2)が生成される。グルコース濃度は、副産物であるH2O2の酸化反応から得られる。
【0003】
しかしながら、アスコルビン酸(ビタミンCの主成分)、アセトアミノフェン(一般的な鎮痛成分)、尿酸、タンパク質、グルコース類似体などの酸化電位がH2O2の酸化電位に近い干渉物質が、血液または組織液中に存在すると、グルコース濃度の測定に悪影響が生じる。したがって、被験者の生理パラメーターが測定値に正確に反映されていることを保証し、連続グルコース監視システムの動作中に測定信号の長期安定性を維持することは困難である。
【0004】
現在、前述の欠点は、例えば干渉物質を濾過するための高分子膜を提供することによって解決されているが、干渉物質を完全に除去することは依然として困難である。あるいは、場合によって酵素または異なる種類の酵素でコーティングされた複数の作用電極にそれぞれ電位を印加して、作用電極から複数の信号を読み取る。次に、信号は減算などの処理されて、標的分析物の生理パラメーターが正確に取得される。しかしながら、作用電極の製造及び使用を伴うこのような従来のプロセスは非常に複雑である。また、引き算の適切な比率を見つけるのは簡単ではない。
【発明の概要】
【0005】
本発明のマイクロバイオセンサーは、生体流体の標的分析物の生理パラメーターを測定するために皮膚の下に埋め込むことができ、生理パラメーターを測定するための第一作用電極、干渉物質を消費するための第二作用電極、及び隔離層を含む。隔離層は、生体流体中の干渉物質が第一作用電極に直接拡散することを防止するために第一作用電極の一部を少なくとも遮蔽し、生体流体が第一作用電極に到達する前に第二作用電極を確実に通過するように配置構成され、これにより、第二作用電極が電気化学反応を利用して生体流体中の測定に影響を与える干渉物質を消費し、第一作用電極が測定中により正確な測定結果を得ることができる。
【0006】
本発明の一つの態様によれば、生体流体の標的分析物の生理パラメーターを測定し、電気化学反応による測定における前記生体流体の干渉物質の干渉を低減するように、皮膚の下に埋め込むためのマイクロバイオセンサーが提出された。マイクロバイオセンサーは、シートである基板であって、対向するように配置された第一表面及び第二表面を有する前記基板と、前記基板の前記第一表面に配置された第一感知セクションを少なくとも含む第一作用電極であって、前記第一作用電極の前記第一感知セクションが第一導電性材料を含む前記第一作用電極と、前記基板の前記第一表面に配置され、第二感知セクションを含む少なくとも一つの第二作用電極であって、前記第二感知セクションが、前記第一感知セクションの少なくとも一方の側に隣接して配置され、前記第二作用電極の前記第二感知セクションが、前記第一導電性材料と異なる第二導電性材料を含む前記第二作用電極と、前記第一作用電極の前記第一感知セクションと前記第二作用電極の前記第二感知セクションを覆う第一機能膜と、を含み、前記第一機能膜は、前記生体流体の前記標的分析物と反応して生成物を得るために、前記第一導電性材料の一部を少なくとも覆って前記第一感知セクションの活性表面を画定する化学試薬と、前記第二作用電極の前記第二感知セクションを通過する前記生体流体の前記干渉物質の拡散経路を制限するように、前記第一作用電極の前記第一感知セクションの前記活性表面の少なくとも一部に対応して配置される隔離層と、を含み、前記生体流体は、一定期間にわたって前記第二感知セクションに拡散し、前記第二感知セクションを通過した後に前記第一感知セクションに拡散し、前記第一作用電極が第一作用電圧によって駆動されると、前記第一感知セクションが前記生成物と反応して、前記標的分析物の生理パラメーターに対応する生理信号を出力し、前記第二作用電極が第二作用電圧によって駆動されると、前記第二感知セクションが、前記生理信号に対する前記干渉物質の干渉を低減するように、前記一定期間中の電気化学反応によって前記生体流体の前記干渉物質を消費し、前記生体流体の残りの部分が 前記第二感知セクションを通過した後、前記第一作用電極の前記第一感知セクションに拡散する。
【0007】
本発明のもう一つの態様によれば、生体流体の標的分析物の生理パラメーターを測定し、電気化学反応による測定における前記生体流体の干渉物質の干渉を低減するように、皮膚の下に埋め込むためのマイクロバイオセンサーが提出された。マイクロバイオセンサーは、対向するように配置された第一表面及び第二表面を有する基板と、前記標的分析物の前記生理パラメーターを測定するように、前記基板の前記第一表面に配置された第一感知セクションを少なくとも含む第一作用電極と、前記基板の前記第一表面に配置され、第二感知セクションを含む少なくとも一つの第二作用電極であって、前記第二感知セクションが、前記電気化学反応によって前記干渉物質を消費するように、前記第一感知セクションの少なくとも一方の側に隣接して配置される前記少なくとも一つの第二作用電極と、前記第一作用電極の前記第一感知セクションと前記第二作用電極の前記第二感知セクションを覆う第一機能膜と、を含み、前記第一機能膜は、前記生体流体の前記標的分析物と反応して生成物を得るために、前記第一導電性材料の一部を少なくとも覆って前記第一感知セクションの活性表面を画定する化学試薬と、前記生体流体が前記第二作用電極の前記第二感知セクションと相互作用する機会を増加させる原因として前記干渉物質の拡散経路を画定するように、前記活性表面の少なくとも一部に対応して少なくとも配置される隔離層と、を含み、前記第一作用電極が前記第一作用電圧によって駆動されると、前記第一感知セクションが前記生成物と反応して、前記標的分析物の前記生理パラメーターに対応する生理信号を出力し、前記第二作用電極が前記第二作用電圧によって駆動されると、前記第二感知セクションが、前記生理信号に対する前記干渉物質の干渉を低減するように、電気化学反応によって前記生体流体の前記干渉物質を消費し、前記生体流体の残りの部分が前記第二感知セクションを通過した後、前記第一感知セクションに拡散する。
【0008】
本開示のもう1つの態様によれば、生体流体の標的分析物の生理パラメーターを測定し、電気化学反応による測定における前記生体流体の干渉物質の干渉を低減するように、皮膚の下に埋め込むためのマイクロバイオセンサーの感知構造が提出された。感知構造は、表面を有する基板と、前記表面に配置され、活性表面を有する第一作用電極と、前記電気化学反応によって前記干渉物質を消費するように、前記表面に配置され、前記第一作用電極の少なくとも一方の側に隣接して配置される少なくとも一つの第二作用電極と、前記生体流体が前記第二作用電極を通って流れるときに前記干渉物質の拡散分布を制限するように、前記活性表面の少なくとも一部に対応して配置される隔離層と、を含み、少なくとも前記生体流体の前記干渉物質は、一定期間にわたって前記第二作用電極を通過し、前記電気化学反応により前記第二作用電極によって消費される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
以下の図面は、実施形態に従って描かれており、本発明の概念を単に例示するものである。
【
図1A】本発明のマイクロバイオセンサーの第一実施形態を示す正面模式図である。
【
図1B】本発明のマイクロバイオセンサーの第一実施形態を示す背面概略図である。
【
図2B】
図1Aと
図1Bの切断線I-Iに沿ったマイクロバイオセンサーの別の断面概略図である。
【
図3】マイクロバイオセンサーの駆動後の第一感知セクションの測定範囲と第二感知セクションの干渉除去範囲を示す模式図である。
【
図4】本発明のマイクロバイオセンサー内の干渉物質の拡散経路を制御する隔離層を示す概略図である。
【
図5A】本発明のマイクロバイオセンサーの第二実施形態を示す正面概略図である。
【
図5B】本発明のマイクロバイオセンサーの第二実施形態を示す背面概略図である。
【
図7】本発明のマイクロバイオセンサーの隔離層の別の実施形態の構成を示す概略図である。
【
図8】本発明のマイクロバイオセンサーの隔離層の他の実施形態である。概略構成図である。
【
図9】本発明のマイクロバイオセンサーの第三実施形態を示す正面模式図である。
【
図10】本発明のマイクロバイオセンサーにおける感知構造の第四実施形態の感知領域を示す正面概略図である。
【
図11】
図10の切断線IV-IVに沿ったマイクロバイオセンサーの断面模式図である。
【
図12】本発明のマイクロバイオセンサーの第二機能膜の構成を示す模式図である。
【
図13】本発明のマイクロバイオセンサーの充填材の配置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明を読むときは、本発明のすべての図を参照する。本発明のすべての図は、例を示すことによって本発明の異なる実施形態を示し、当業者が本発明を実施する方法を理解するのに役立つ。本実施例は、本発明の精神を実証するのに十分な実施形態を提供し、各実施形態は他の実施形態と矛盾せず、新しい実施形態は、それらの任意の組み合わせを通じて実施することができる。すなわち、本発明は、本明細書に開示された実施形態に限定されない。
【0011】
本発明のマイクロバイオセンサーは、生体の皮下に埋め込まれて生体流体中の標的分析物の生理パラメータを連続的に測定する連続グルコースモニタリングシステムのセンサーであり得る。さらに、本明細書で言及される「標的分析物」という用語は、一般に、生体内に存在する任意の被験物質を指し、例えば、これらに限定されないが、グルコース、乳糖、尿酸などを指す。「生体流体」という用語は、血液または間質液(ISF)であってもよいが、これらに限定されない。また、「生理パラメーター」という用語は、限定されないが、濃度であってもよい。
【0012】
図1A、
図1Bと
図2Aを参照し、
図1Aと
図2Aは、それぞれ、本発明のマイクロバイオセンサーの第一実施形態の正面及び背面の概略図を示し、
図2Aは、
図1Aと
図1Bの切断線I-Iに沿ったマイクロバイオセンサーの断面概略図を示す。第一実施形態において、本発明のマイクロバイオセンサー10は、基板110、第一作用電極120、第二作用電極130、対電極210、第一機能膜140及び隔離層150を含む。
【0013】
基板110はシートであり、第一表面111と、第一表面111と反対側に位置する第二表面112と、第一端部113と、第二端部114とを有する。好ましくは、第一表面111及び第二表面112は、以下の電極を配置するために、両方とも平面である。信号出力領域115、感知領域116及び絶縁領域117が基板110にさらに画定される。信号出力領域115は、第一端部113に近い領域に位置し、感知領域116は第二端部114に近い領域に位置し、絶縁領域117は第一絶縁層I1によって覆われ、領域信号出力領域115と感知領域116との間の領域に位置する。基板110は、電極基板の製造に使用することができ、柔軟性及び絶縁性を有する任意の材料、例えばポリエステル、ポリイミド及び他のポリマー材料で作ることができるが、これらに限定されなく、高分子材料は単独で使用してもよいし、混合して使用してもよい。本発明の感知構造は、少なくとも、感知領域116内及び基板110上に形成され、第一作用電極120、第二作用電極130、第一機能膜140及び隔離層150を含む。
【0014】
第一作用電極120及び第二作用電極130は、基板110の第一表面111に配置され、第一端部113から第二端部114まで延びており、ここで、感知領域116内の第一作用電極120の一部は、第一感知セクション121であり、感知領域116内の第二作用電極120の一部は、第二感知セクション131である。第一感知セクション121は少なくとも第一導電性材料1Cを有し、第二感知セクション131は少なくとも第二導電性材料2Cを有する。第一導電性材料1Cは、炭素、白金、アルミニウム、ガリウム、金、インジウム、イリジウム、鉄、鉛、マグネシウム、ニッケル、モリブデン、オスミウム、パラジウム、ロジウム、銀、錫、チタン、亜鉛、シリコン、ジルコニウム、それらの誘導体(合金、酸化物、金属化合物など)、又はそれらの組み合わせのうちの一つであり得る。また、第二導電性材料2Cとしては、第一導電性材料1Cで例示した元素又はその誘導体を用いることができる。
【0015】
第一実施形態において、第一導電性材料1Cと第二導電性材料2Cが異なることに留意されたい。これらの構造を得るために、製造プロセスにおいて、最初に、第一導電性材料1C及び第二導電性材料2Cを基板110の第一表面111にそれぞれ形成し、
図1Aに示すようなパターンにパターニングすることができる。続いて、基板110に絶縁層I1を形成して、信号出力領域115、感知領域116及び絶縁領域117を画定する。別の実施形態において、第二導電性材料2Cは、パターニングステップにおいて第一感知セクション121のパターンなしで、
図1Aに示すようなパターンとして画定することができ、具体的には、第一作用電極120は、第二導電性材料2Cを更に含み、この実施形態において、信号出力領域115及び絶縁領域117内にのみ形成されるか、又は最大でも感知領域116の一部まで拡張される。次に、元の第一表面111のうち第一感知セクション121が形成される予定の領域に第1導電性材料1Cを直接形成し、第一導電性材料1Cを第一作用電極120の他の部分(第二導電性材料2C)と電気的に接続させて、第一感知セクション121の配置が完了する。この実施形態におけるマイクロバイオセンサー10の感知領域116の断面模式図は、
図2Aとしても示される。
【0016】
ただし、本発明の第一作用電極120及び第二作用電極130の構造は、
図2Aに示す構造に限定されない。
図2Bを参照すると、
図2Bは、
図1Aと
図1Bの切断線I-Iに沿ったマイクロバイオセンサーの別の断面概略図を示している。
図2Bに示すように、第二導電性材料2Cは、まず基板110の第一表面111に形成され、その後、
図1Aに示すようなパターンにパターニングされる。具体的には、第二導電性材料2Cは、二つの分離領域に分割されており、基板110の第一端部113から第二端部114で延在し、第二端部114で折り曲げられてU字型構造を形成する二つの領域のうちの一つは、第二作用電極130として予め設定され、基板110の第一端部113から第二端部114まで延びてU字型構造に囲まれた他の領域は、第一作用電極120として予め設定される。第一絶縁層I1が基板110上に覆われ、信号出力領域115及び感知領域116を露出した後、感知領域116において第一作用電極120の第二導電材料2Cに第一導電材料1Cが形成され、第一作用電極120の第一感知部121の製造を完了する。図には示されていないが、第一導電性材料1Cは、感知領域116の第一作用電極120の部分的な第二導電性材料2Cにのみ形成することもできる。
【0017】
本発明の第二感知セクション131は、第一感知セクション121の少なくとも一辺に隣接し、第二感知セクション131の一辺は、第一感知セクション121の少なくとも一辺に沿って延びる。本実施形態において、第二感知セクション131は、第一感知セクション121の三辺に沿って延びてU字状の感知セクションを形成している。また、本発明の第一感知セクション121と第二感知セクション131は、第一表面111のみを介して位置関係を維持する。本発明の第一感知セクション121と第二感知セクション131は直接隣接しているため、それらの間には電極や接続線などの介在物が存在しない。
【0018】
第一機能膜140は、少なくとも、第一作用電極120の第一感知セクション121と、第二作用電極130の第二感知セクション131とを覆う。具体的には、第1実施形態の第一機能膜140は、基板110、第一作用電極120、第二作用電極130及び対電極210を取り囲んでいる。第一機能膜140は、第一感知セクション121の第一導電性材料1Cの少なくとも一部を覆う化学試薬を含み、これにより、化学試薬によって覆われた第一感知セクション121の表面が活性表面として定義される。他の実施形態において、化学試薬は、第二作用電極130の第二感知セクション131の第二導電性材料2Cを覆うこともでき、あるいは基板110の第二表面112を覆うこともできる。つまり、化学試薬は感知領域116を取り囲むことができる。基本的に、化学試薬は、標的分析物と反応する、または標的分析物の反応を触媒する少なくとも1つの酵素を含み、例えば、限定されないが、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼなどを含む。化学試薬に加えて、第一機能膜140の異なる機能、例えば検出感度の調整又は生物付着防止などを必要に応じて設定することができる。
【0019】
本発明のマイクロバイオセンサー10の第一作用電極120は、生体流体の標的分析物の生理パラメーターを測定するために駆動される。マイクロバイオセンサー10の第一作用電極120が第一作用電圧によって駆動されると、第一感知セクション121は生成物に対して第一感度を有し、その結果、第一導電性材料1Cが生成物と反応して電流信号を生成する。電流信号の値が生成物の濃度と比例関係にある場合、生理パラメーターに対応する生理信号が得られる。従って、第一感知セクション121の活性表面の範囲において、化学試薬と生体流体の対象分析物とが反応して生成物が得られ、この生成物が第一感知セクション121の第一導電性材料1Cと反応する。第一感知セクション121は、生体流体の標的分析物の生理パラメーターの生理信号に対応する電流信号を生成し、生理信号は信号出力領域115に送信されて出力される。
【0020】
生体流体には標的分析物と干渉物質が含まれるため、第一導電性材料1Cは、これらと反応して上述の電流信号を生成するだけでなく、生体流体中の干渉物質とも反応して干渉電流信号を生成する。干渉電流信号は、電流信号と混合されて出力され、生理信号に関する使用者の決定に干渉する。同様に、第二作用電極130が第二作用電圧によって駆動されるとき、第二感知セクション131の第二導電性材料2Cは、生成物に対して第二感度を有し、その結果、第二導電性材料2Cは、生成物と反応して別の電流信号を生成する機会を有する。すなわち、第二導電性材料2Cは、標的分析物の生理パラメーターを取得するために第一作用電極120の第一感知セクション121によって測定されるべき生成物を消費し、実際に測定される生理パラメーターに影響を与える。従って、一つの実施形態において、標的分析物がグルコースであり、その生成物が過酸化水素であり、生理パラメーターがグルコース濃度である場合、第一導電性材料1Cは、好ましくは、第一作用電圧によって駆動された後、過酸化水素に対して第一感度を有する材料であるべきである。より好ましくは、第一導電性材料1Cは、金、白金、パラジウム、イリジウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。第二導電性材料2Cは、第二作用電圧によって駆動された後、過酸化水素に対する第一感度よりも低い第二感度を有する材料であることが好ましい。特に、第二導電性材料2Cは、第二作用電圧によって駆動された後、過酸化水素に対する感度がほとんどない、すなわち、第二感度が0に近いか、0に等しい材料である。さらに、本発明の第二作用電極130の第二感知セクション131は、干渉物質を消費するための活性表面を提供する。従って、第二導電性材料2Cは、過酸化水素に対する感度をほとんど有さず、干渉物質と酸化反応を起こして干渉物質を直接継続的に消費する材料である。特に、第二導電性材料2Cは、第一導電性材料1Cと同様に干渉物質に対する感度を有する。
【0021】
より具体的には、本発明の一つの実施形態において、第一導電性材料1Cは白金であり、第一作用電圧は0.2ボルト(V)から0.8ボルト(V)の範囲であり、好ましくは0.4Vから0.7Vの範囲である。第二導電性材料2Cはカーボンであり、第2の動作電圧は0.2V~0.8Vの範囲であり、好ましくは0.4V~0.7Vの範囲である。本発明の別の実施形態において、第一導電性材料1Cは白金であり、第二導電性材料2Cは金である。前述の白金の形態は、白金金属、白金黒、白金ペースト、他の白金含有材料、又はそれらの組み合わせであり得ることに留意されたい。更に、第一作用電圧の値は、第二作用電圧の値と同じであってもよいが、本発明はこれに限定されない。
【0022】
なお、本発明において「駆動」とは、一方の電極の電位が他方の電極よりも高くなるような電圧を印加し、電位の高い方の電極が酸化反応を開始させることを意味する。従って、第一作用電極120と対電極210との間に第一作用電極120を駆動させる電位差は第一作用電圧であり、第2の作用電極130と対電極210との間に第二作用電極130を駆動させる電位差は、第二作用電圧である。
【0023】
図3は、マイクロバイオセンサー駆動後の第一感知セクションの測定範囲と第二感知セクションの干渉除去範囲を示す模式図である。マイクロバイオセンサー10の第一作用電極120が第一作用電圧によって駆動されると、第一感知セクション121は測定範囲1Sを生成し、マイクロバイオセンサー10の第2作用電極130が第二作用電圧で駆動されると、第一感知セクション121の周囲の第二感知セクション131のそれぞれが干渉除去範囲2Sを生成する。第二感知セクション131は、第一感知セクション121の側面に隣接して第一感知セクション121に非常に近接して配置されているため、干渉除去範囲2Sは、第一感知セクション121の周囲に接し、第一感知セクション121の測定範囲1Sと少なくとも部分的に重なることができ、第二導電性材料2Cが干渉物質と電気化学反応を起こすことにより、第一感知セクション121の測定範囲1S内で干渉物質を直接継続的に消費でき、これにより、干渉電流信号の発生が低減され、第一感知セクション121の測定に対する干渉物質の影響が低減される。
【0024】
しかしながら、
図3では、マイクロバイオセンサ10の測定範囲1Sに全方向から標的分析物310と干渉物質320が侵入するため、第一感知セクション121の周囲に配置された第二感知セクション131が干渉物質320を消費することができるが、干渉物質320は、重なり合わない範囲から第一感知セクション121の活性表面に接近することによって感知される可能性が依然としてある。
【0025】
従って、本発明のマイクロバイオセンサー10は、隔離層150を含み、隔離層150は、第一機能膜140に配置される。絶縁層150の位置は、第一作用電極120の第一感知セクション121の少なくとも一部に対応して、活性表面の一部を少なくとも遮蔽するか、または第二感知セクション131の少なくとも一部を遮蔽するように延在する。具体的には、隔離層150の配置積は、第一感知セクション121の活性表面の面積の0.5~10倍であってもよく、好ましくは1~8回、より好ましくは2~6回、そして最も好ましくは4~5回である。
【0026】
第一実施形態において、
図2Aに示すように、隔離層150は、第一感知セクション121及び第二感知セクション131の上部を遮蔽するように配置される。隔離層150は、干渉物質320が第一作用電極120の第一感知セクション121の活性表面に直接拡散することを少なくとも防止することができ、あるいは標的分析物310と干渉物質320の両方が直接拡散することを防止することもできる。干渉物質を一例に挙げると、隔離層150は、干渉物質320を隔離して、干渉物質320の拡散経路又は拡散分布を変化させることができる。具体的には、隔離層150は、生体流体の干渉物質320の拡散経路を制御して、第二作用電極130の第二感知セクション131を先に通過し、残りの部分及び消費されなかった干渉物質が第二感知セクション131を通過した後、第一作用電極120の第一感知セクション121に拡散する。従って、干渉物質320の拡散経路は、
図4に示すように、第一感知セクション121の左右側に位置する第二感知セクション131の干渉除去範囲2Sを先に通過するように最適化される。また、生体流体は、第二作用電極130の第二感知セクション131を通過して第一感知セクション121までに拡散する一定期間を要する。「期間」という用語は、少なくとも生体流体の干渉物質が拡散経路に沿って第二作用電極130の第二感知セクション131に拡散し、第二感知セクション131を通過する、または第一感知セクション121に拡散するのに必要な時間を指す。この期間が短すぎると、第二感知セクション131が干渉物質を消費するのに十分な時間がなくなり、干渉除去効果に影響を与えるが、この期間が長すぎると、その後の第一感知セクション121による生体信号の測定スケジュールが遅れてしまうことを理解する必要がある。さらに、期間の長さは、拡散経路の長さ、拡散範囲もしくは拡散経路の断面積、あるいは生体液が通過する材料の特性によって決定することができる。具体的には、10秒~15分、好ましくは3分~12分、より好ましくは5分~8分である。
【0027】
標的分析物については、隔離層150の材質及び/又は厚さに応じて、標的分析物が隔離層150を通過できるか否かが決定される。従って、標的分析物310の拡散経路は、(1)先に第二作用電極130の第二感知セクション131を通過し、次に第一作用電極120の第一感知セクション121に拡散することができる、及び/又は(2)隔離層150の状態に応じて、隔離層150から第一作用電極120の第一感知セクション121の活性表面に直接拡散する。導電性材料の異なる特性により、干渉物質320は第二感知セクション131によって直接消費され、標的分析物310のほとんどは第二感知セクション131を通過するか、または第一感知セクション121に直接到達することができるため、第一感知セクション121の測定範囲1Sでは、標的分析物310を測定することができる。従って、本発明のマイクロバイオセンサー10の隔離層150は、干渉物質320が第一感知セクション121に到達する前に第二感知セクション131によって消費されることを保証することができ、これによって、測定された生理信号に対する干渉物質320の干渉を効果的に低減することができる。第一感知セクション121による生理信号の精度は、例えば20%、好ましくは10%などの誤差範囲以下となるように調整されると、生理信号の精度が向上する。具体的には、90%を超える干渉物質が、本発明によって提供される感知構造を介して効果的に消費され得る。
【0028】
また、絶縁層の透過性(絶縁対象物や絶縁度など)は、材質の選択(材質の親水性・疎水性など)、厚さの設計又はそれらの組み合わせにより調整することができ、グルコース及び酸素などの物質が隔離層を通過できるようにし、少なくとも干渉物質を隔離するか、またはグルコース、酸素及び干渉物質が第一感知セクション121の活性表面に直接拡散しないように完全に隔離する。例えば、透磁率の高い隔離層150を用いる場合には、透磁率の高い隔離層150の厚みを、透磁率の低い隔離層150の厚みよりも厚くする必要がある。一つの実施形態において、隔離層150は、グルコース及び干渉物質の通過を阻止するためにポリ-p-キシリレンを含むことができる。別の実施形態において、隔離層150は、干渉物質の通過を少なくとも阻止するために、ポリカーボネート系ウレタン、ポリエーテルベースの熱可塑性ポリウレタン、又はそれらの組み合わせなどの熱可塑性ポリウレタンを含むことができる。別の実施形態において、隔離層150は、セルロース誘導体又はセルロース誘導体の混合物、ポリ塩化ビニル、ナフィオン、又はそれらの組み合わせを含むこともできる。具体的には、隔離層150の厚さは、使用する材料に応じて1μm~80μm、好ましくは3μm~24μm、より好ましくは5μm~10μmの範囲とすることができる。前述の実施形態において、隔離層150がポリ-p-キシリレンからなる場合、その厚さは1μmである。隔離層150がポリカーボネート系ウレタンまたはその誘導体、例えばポリカーボネート系シリコーンエラストマーからなる場合、その厚さは3μm~10μmの範囲である。また、隔離層150は、これに限定されないが、スプレー工程またはマスクとスクリーン印刷によって第一機能膜140に製造することができる。本発明の隔離層は、従来技術における基板上の二つの電極間の絶縁体ではなく、製造プロセスにおけるいかなる絶縁体でもないことを更に述べておくべきである。
【0029】
第一機能膜140は、第一感知セクション121と標的分析物、及び第二感知セクション131と干渉物質のための電気化学反応を受けるのに十分な空間を有するように、第一感知セクション121の活性表面及び第二感知セクション131の活性表面と隔離層150との間の距離によって規定される厚さHを有している。厚さHは感知の感度に影響している。干渉除去効果を確実に高めるために、厚さHは0.05μm以上50μm以下であり、0.1μm以上20μm以下が好ましく、2μm以上8μm以下がより好ましく、3μm以上5μm以下が最も好ましい。
【0030】
図5A、
図5B及び
図6を参照し、
図5Aと
図5Bは、それぞれ、本発明のマイクロバイオセンサーの第二実施形態の正面及び背面の概略図を示す。
図6は、
図5Aと
図5Bの切断線II-IIに沿ったマイクロバイオセンサーの断面模式図を示す。第二実施形態において、第一作用電極120及び第二作用電極130は、基板110の第一端部113から第二端部114まで延在し、感知領域では、第二感知セクション131が第一作用電極120の一方の辺に沿って延在する。第二感知セクション131は、第一感知セクション121の片側にのみ隣接するように、第一感知セクション121を折り曲げずに配置する。隔離層150は、第一機能膜140の上に構成され、第一作用電極120の上部を覆って、生体流体の少なくとも一部が第一感知セクション121に到達する前に第二感知セクション131を通過することを制限し誘導する。その結果、干渉物質320の一部が消費される。従って、隔離層150を有するマイクロバイオセンサーの標的分析物310の感知は、隔離層150を有しないマイクロバイオセンサーの感知よりも正確である。
【0031】
別の実施形態において、
図7に示すように、感知構造の左側を包むように隔離層150を配置することができる。すなわち、隔離層150は、第一感知セクション121に対応する位置から第一機能膜140に沿って対電極210まで延設されており、干渉物質320が第一感知セクション121の左側から測定範囲に直接侵入して生理パラメーターの感知結果に影響を与えることを隔離する。別の実施形態おいて、
図8に示すように、隔離層150は、感知構造の約2/3を包むように配置することもできる。すなわち、隔離層150は、第一感知セクション121及び第二感知セクション131の一部に対応する位置から、第一機能膜140に沿って対電極210まで延在している。具体的には、隔離層150は、第一感知セクション121の左側及び第一感知セクション121と第二感知セクション131との間の隙間から干渉物質320が測定範囲に直接侵入するのを完全に隔離できるだけでなく、干渉物質320が第一感知セクション121に到達する前に第二感知セクション131を通過して除去されることも制限し、干渉物質320が生理パラメーターの感知結果に影響を与えることを防ぐことができる。
【0032】
図9を参照し、
図9は、本発明のマイクロバイオセンサー10の第三実施形態の正面概略図である。第三実施形態の背面図は、第一実施形態及び第二実施形態と同様であるため、第三実施形態の背面模式図は省略する。第三実施形態において、マイクロバイオセンサー10は、二つの第二作用電極130を有する。第一作用電極120及び二つの第二作用電極130は、基板110の第一端部113から第二端部114まで延在し、二つの第二作用電極130はそれぞれ、第一作用電極120の対向する二つの側面に沿って延在する。
図9のIII-III断面図は、
図2と同様であり、二つの第二感知セクション131が第一感知セクション121に隣接して配置される。
【0033】
図10と
図11を参照し、
図10は、本発明のマイクロバイオセンサーにおける感知構造の第四の実施形態の感知領域の正面概略図であり、
図11は、
図10の切断線IV-IVに沿ったマイクロバイオセンサーの断面模式図である。なお、
図10では、マイクロバイオセンサー10の感知領域のみを示し、信号出力領域や絶縁領域は省略している。第四実施形態において、第二作用電極130の第二感知セクション131を、第一作用電極120の第一感知セクション121の四辺に隣接して配置することができる。具体的には、第二感知セクション131は、第一感知セクション121を完全に取り囲むように第一感知セクション121に沿って延在することができ、第一感知セクション121との間に間隙を有する。
図11から分かるように、第四実施形態の基板110には貫通孔118があり、第一感知セクション121は、基板110の貫通孔118を通って基板110の第一表面111から第二表面112まで延在することができ、絶縁層150は、第一感知セクション121の少なくとも上部を遮蔽して配置される。第二表面112から延びた第一作用電極120は、信号出力領域の基板上の別の貫通孔を通って第一表面111に戻ることができる。
【0034】
第二感知セクション131の長さは、第一感知セクション121に対応して変更され得ることが分かる。したがって、測定に対する干渉物質の影響を効果的に低減するために、上記の「第二感知セクション131が第一感知セクション121の少なくとも一辺に隣接する」とは、具体的には、第一感知セクション121の周囲のうち第二感知セクション131に隣接する部分の第一感知セクション121の周囲全体に対する割合が30%以上100%以下であることをいう。
【0035】
更に、上述したように、第二感知セクション131の干渉除去範囲2Sが第一感知セクション121の周囲に接し、第一感知セクション121の測定範囲1Sと少なくとも部分的に重なるように、前述のすべての実施形態における本発明のマイクロバイオセンサー10の感知領域116における第二感知セクション131と第一感知セクション121との間のギャップは0.5mm以下であり、好ましくは、第2の感知部131と第1の感知部121との間の間隙は0.2mm以下であり、より好ましくは、間隙は0.01mmから0.2mmの範囲であり、さらにより好ましくは、間隙は0.01mmから0.1mmの範囲であり、さらにより好ましくは、間隙は0.02mm~0.05mmの範囲である。
【0036】
前述の実施形態において、本発明のマイクロバイオセンサー10は、基板110の第二表面112上に配置され、第一端部113から第二端部114まで延びる対電極210を更に含む。対電極210は、第一作用電極120及び第二作用電極130の少なくとも一方に結合され、第一作用電極120と協働することによって生理信号を測定し、第二作用電極130と協働することによって干渉物質を消費する。対電極210は、使用される材料に応じて参照電極としても機能することができる。具体的には、本発明の対極210は、第一作用電極120と電子回路を形成して、第一作用電極120に電流を自由に流すことができる。これは、電気化学反応が第一作用電極120で起こる一方で、対電極210も参照電位として安定した相対電位を提供できることを保証するためである。別の実施形態において、本発明のマイクロバイオセンサーは二つの対電極を含むことができ、対電極は基板110の第一表面111上に配置することもできる(図示せず)。さらなる実施形態において、対電極に加えて、本発明のマイクロバイオセンサーは、参照電位を提供するために使用される参照電極も含む。具体的には、対電極と参照電極は別個で電気的に接続されておらず、対電極は第一作用電極120及び/又は第二作用電極130に結合されている。対電極及び参照電極は、両方とも基板110の第一表面111又は第二表面112上に配置することができ(図示せず)、または基板110の異なる表面上にそれぞれ配置することができる。
【0037】
前述の実施形態において、第一感知セクション121の第一導電性材料1Cは、第二感知セクション131の第二導電性材料2Cと同じであってもよい。この実施形態において、化学試薬は、第一作用電極120の第一感知セクション121のみを覆うように配置されており、或いは、第二作用電極130の第二感知セクション131に干渉物質除去層をさらに追加し、プロセスの都合等に基づいて、化学試薬が第一作用電極120の第一感知セクション121及び干渉物質除去層に塗布され、これは、正確な生理信号を取得するために、第二感知セクション131を通じて干渉物質を消費するという目的を依然として満たしている。
【0038】
前述の実施形態において、本発明のマイクロバイオセンサー10は、
図12に示すように、第二機能膜160を更に含む。第二機能膜160は、基板110、第一感知セクション121、第二感知セクション131、対電極210、第一機能膜140及び隔離層150を包み込むように、第一機能膜140及び隔離層150で覆われている。第二機能膜160は、マイクロバイオセンサー10の保護層として使用することができる。マイクロバイオセンサ10の感知構造は平板構造であり、その構造が比較的薄いため、その左右の端部にかかる応力がより強くなる。第二機能膜160の厚さは、感知構造の側面で十分に厚い必要があり、例えば20μm~30μmの間で、感知構造を亀裂から保護し、漏れ電流の状態を防ぐ。従って、第二機能膜160は、マイクロバイオセンサー10の構造強度を更に高めることができる。なお、第二機能膜160は、保護層に加えて、少量の組織液の貯蔵層として使用することができる。使用者が激しい運動を行うと、マイクロバイオセンサーと皮下組織との間に大きな相対変位が生じ、第二機能膜が信号の乱雑を避けるための緩衝機能を提供することができる。
【0039】
前述の実施形態において、本発明のマイクロバイオセンサー10は、
図13に示すように充填材170を更に含む。充填材170は、第一作用電極120と第二作用電極130との間に充填され、上表面を有する。充填材170の上表面、第一作用電極120の第一感知セクション121の上表面及び第二作用電極130の第二感知セクション131の上表面は同一平面上にあり、これにより第一作用電極120及び第二作用電極130は平坦であるため、その後の電極表面上のコーティング膜は平坦となる。また、充填材170の材料は、隔離層150と同じ材料に限定されず、充填材170と隔離層150とは、第1機能膜140によって分離されている。しかしながら、別の実施形態において、充填材170の材料が隔離層150の材料と同じである場合、充填材170は上方に延在し続けて隔離層150を形成することができ、その結果、充填材170と隔離層150は一体的に形成されている(図示しない)。
【0040】
前述の実施形態において、本発明のマイクロバイオセンサー10の感知構造は、基板110の感知領域116内に形成される第一作用電極120、第二作用電極130、対電極210、第一機能膜140、隔離層150、第二機能膜160及び充填材170を更にさらに含むことができる。別の実施形態において、本発明のマイクロバイオセンサー10の感知構造は、基板110の感知領域116内に形成される第一作用電極120、第二作用電極130、対電極210、参照電極、第一機能膜140、隔離層150、第二機能膜160及び充填材170を更にさらに含むことができる。
【0041】
要約すると、本発明のマイクロバイオセンサーにおける隔離層は、干渉物質の少なくとも一部を隔離して、最初に第二作用電極を通過する干渉物質の拡散経路を描写または配置することができ、これにより、干渉物質が第二作用電極の第二感知セクションと相互作用して干渉物質を消費する機会を増やし、干渉物質によって引き起こされる第一感知セクションの測定干渉が低減され、その結果、マイクロバイオセンサーはより正確な生理パラメーターを測定できるようになる。
【0042】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加え得ることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0043】
10:マイクロバイオセンサー
110:基板
111:第一表面
112:第二表面
113:第一端部
114:第二端部
115:信号出力領域
116:感知領域
117:絶縁領域
118:貫通孔
120:第一作用電極
121:第一感知セクション
130:第二作用電極
131:第二感知セクション
140:第一機能膜
150:隔離層
160:第二機能膜
170:充填材
210:対電極
310:標的分析物
320:干渉物質
1C:第一導電性材料
2C:第二導電性材料
1S:測定範囲
2S:干渉除去範囲
I1:第一絶縁層
I2:第二絶縁層
H:厚さ
【手続補正書】
【提出日】2024-04-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体流体の標的分析物の生理パラメーターを測定し、電気化学反応による測定における前記生体流体の干渉物質の干渉を低減するように、皮膚の下に埋め込むためのマイクロバイオセンサーであって、
シートである基板であって、対向するように配置された第一表面及び第二表面を有する前記基板と、
前記基板の前記第一表面に配置された第一感知セクションを少なくとも含む第一作用電極であって、前記第一作用電極の前記第一感知セクションが第一導電性材料を含む前記第一作用電極と、
前記基板の前記第一表面に配置され、第二感知セクションを含む少なくとも一つの第二作用電極であって、前記第二感知セクションが、前記第一感知セクションの少なくとも一方の側に隣接して配置され、前記第二作用電極の前記第二感知セクションが、前記第一導電性材料と異なる第二導電性材料を含む前記第二作用電極と、
前記第一作用電極の前記第一感知セクションと前記第二作用電極の前記第二感知セクションを覆う第一機能膜と、を含み、
前記第一機能膜は、前記生体流体の前記標的分析物と反応して生成物を得るために、前記第一導電性材料の一部を少なくとも覆って前記第一感知セクションの活性表面を画定する化学試薬と、
前記第二作用電極の前記第二感知セクションを通過する前記生体流体の前記干渉物質の拡散経路を制限するように、前記第一作用電極の前記第一感知セクションの前記活性表面の少なくとも一部に対応して配置される隔離層と、を含み、
前記生体流体は、一定期間にわたって前記第二感知セクションに拡散し、前記第二感知セクションを通過した後に前記第一感知セクションに拡散し、
前記第一作用電極が第一作用電圧によって駆動されると、前記第一感知セクションが前記生成物と反応して、前記標的分析物の生理パラメーターに対応する生理信号を出力し、
前記第二作用電極が第二作用電圧によって駆動されると、前記第二感知セクションが、前記生理信号に対する前記干渉物質の干渉を低減するように、前記一定期間中の電気化学反応によって前記生体流体の前記干渉物質を消費し、前記生体流体の残りの部分が 前記第二感知セクションを通過した後、前記第一作用電極の前記第一感知セクションに拡散することを特徴とするマイクロバイオセンサー。
【請求項2】
前記隔離層は、前記活性表面の一部を少なくとも遮蔽し、前記干渉物質が前記活性表面に直接拡散することを隔離するように、前記第一機能膜に配置され、前記少なくとも第一作用電極の前記第一感知セクションに対応して配置され
、
前記隔離層の面積は、前記第一感知セクションの前記活性表面の面積の0.5~10倍であり、
前記隔離層の厚さは1~80μmであり、
前記一定期間は10秒~15分であり、
前記隔離層は、更に前記第二作用電極の前記第二感知セクションに対応して、前記第二感知セクションの一部を少なくとも遮蔽するように配置されることを特徴とする請求項1に記載のマイクロバイオセンサー。
【請求項3】
前記第一作用電極は、前記第一作用電圧によって駆動されて、前記第一感知セクションが測定範囲を生成するようにし、
前記第二作用電極は、前記第二作用電圧によって駆動されて、前記第二感知セクションを前記第一感知セクションの周囲に接触させ、前記測定範囲と少なくとも部分的に重なる干渉除去範囲を有することを可能にすることを特徴とする請求項1に記載のマイクロバイオセンサー。
【請求項4】
前記隔離層は更に、前記第一感知セクションの少なくとも二つの側面に隣接して配置される前記第二感知セクションの一部を少なくとも遮蔽するように、前記第二感知セクションに対応して配置されることを特徴とする請求項
2に記載のマイクロバイオセンサー。
【請求項5】
前記第一作用電極が前記第一作用電圧によって駆動されるとき、前記第一導電性材料が前記生成物に対して第一感度を有し、前記第二作用電極が前記第二作用電圧によって駆動されるとき、前記第二導電性材料が前記生成物に対して前記第一感度より小さい第二感度を有することを特徴とする請求項1に記載のマイクロバイオセンサー。
【請求項6】
前記隔離層は、前記第一機能膜に配置され、前記第一機能膜は、前記隔離層と前記第一感知セクションの前記活性表面との間の距離によって規定される厚さを有し、前記厚さは0.05μm以上50μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロバイオセンサー。
【請求項7】
生体流体の標的分析物の生理パラメーターを測定し、電気化学反応による測定における前記生体流体の干渉物質の干渉を低減するように、皮膚の下に埋め込むためのマイクロバイオセンサーであって、
対向するように配置された第一表面及び第二表面を有する基板と、
前記標的分析物の前記生理パラメーターを測定するように、前記基板の前記第一表面に配置された第一感知セクションを少なくとも含む第一作用電極と、
前記基板の前記第一表面に配置され、第二感知セクションを含む少なくとも一つの第二作用電極であって、前記第二感知セクションが、前記電気化学反応によって前記干渉物質を消費するように、前記第一感知セクションの少なくとも一方の側に隣接して配置される前記少なくとも一つの第二作用電極と、
前記第一作用電極の前記第一感知セクションと前記第二作用電極の前記第二感知セクションを覆う第一機能膜と、を含み、
前記第一機能膜は、前記生体流体の前記標的分析物と反応して生成物を得るために、前記第一導電性材料の一部を少なくとも覆って前記第一感知セクションの活性表面を画定する化学試薬と、
前記生体流体が前記第二作用電極の前記第二感知セクションと相互作用する機会を増加させる原因として前記干渉物質の拡散経路を画定するように、前記活性表面の少なくとも一部に対応して少なくとも配置される隔離層と、を含み、
前記第一作用電極が前記第一作用電圧によって駆動されると、前記第一感知セクションが前記生成物と反応して、前記標的分析物の前記生理パラメーターに対応する生理信号を出力し、
前記第二作用電極が前記第二作用電圧によって駆動されると、前記第二感知セクションが、前記生理信号に対する前記干渉物質の干渉を低減するように、電気化学反応によって前記生体流体の前記干渉物質を消費し、前記生体流体の残りの部分が前記第二感知セクションを通過した後、前記第一感知セクションに拡散することを特徴とするマイクロバイオセンサー。
【請求項8】
前記隔離層は、前記活性表面の一部を少なくとも遮蔽し、前記干渉物質が前記活性表面に直接拡散することを隔離するように、前記第一機能膜に配置され、少なくとも前記第一作用電極の前記第一感知セクションに対応して配置されることを特徴とする請求項
7に記載のマイクロバイオセンサー。
【請求項9】
前記隔離層は、更に前記第二作用電極の前記第二感知セクションに対応して、前記第二感知セクションの一部を少なくとも遮蔽するように配置され
、
前記化学試薬は、前記第二作用電極の前記第二感知セクションの一部を更に覆うことを特徴とする請求項
7に記載のマイクロバイオセンサー。
【請求項10】
前記第二感知セクションは、ギャップを介して前記第一感知セクションの少なくとも一方の側辺に隣接して配置され、前記ギャップは0.5mm以下であ
り、
前記第二感知セクションの前記側辺は、前記第一感知セクションの周縁に沿って延びており、前記第一感知セクションの周縁のうち前記第二感知セクションに隣接して配置される部分は、前記第一感知セクションの周縁の全長の30%~100%を占めることを特徴とする請求項
7に記載のマイクロバイオセンサー。
【請求項11】
前記第二作用電極の数は二つであり、
二つの前記第二作用電極の二つの前記第二感知セクションはそれぞれ、前記第一感知セクションの対向する二つの側面に隣接して配置されることを特徴とする請求項
7に記載のマイクロバイオセンサー。
【請求項12】
少なくとも一つの対電極は、前記第二表面に配置され、前記第一作用電極及び前記第二作用電極のうちの少なくとも一つに結合され、
前記基板の前記第一表面及び前記第二表面を包み込み、前記第一機能膜及び前記隔離層を覆う第二機能膜を更に含むことを特徴とする請求項
7に記載のマイクロバイオセンサー。
【請求項13】
生体流体の標的分析物の生理パラメーターを測定し、電気化学反応による測定における前記生体流体の干渉物質の干渉を低減するように、皮膚の下に埋め込むためのマイクロバイオセンサーの感知構造であって、
表面を有する基板と、
前記表面に配置され、活性表面を有する第一作用電極と、
前記電気化学反応によって前記干渉物質を消費するように、前記表面に配置され、前記第一作用電極の少なくとも一方の側に隣接して配置される少なくとも一つの第二作用電極と、
前記生体流体が前記第二作用電極を通って流れるときに前記干渉物質の拡散分布を制限するように、前記活性表面の少なくとも一部に対応して配置される隔離層と、を含み、
少なくとも前記生体流体の前記干渉物質は、一定期間にわたって前記第二作用電極を通過し、前記電気化学反応により前記第二作用電極によって消費されることを特徴とする感知構造。
【請求項14】
前記第一作用電極と前記隔離層との間にあり、前記基板、前記第一作用電極及び前記第二作用電極を包む第一機能膜を更に含み、
前記第一機能膜は、前記生体流体の前記標的分析物と反応して生成物を生成するように、前記第一作用電極の一部を覆って前記活性表面を定義する化学試薬を含
み、
前記一定期間は10秒~15分であることを特徴とする請求項
13に記載の感知構造。
【請求項15】
前記第一作用電極が第一作用電圧によって駆動されると、前記第一作用電極が前記生成物と反応して、前記標的分析物の生理パラメーターに対応する生理信号を出力し、
前記第二作用電極が第二作用電圧によって駆動されると、前記第二作用電極が、前記生理信号に対する前記干渉物質の干渉を低減するように、前記一定期間中の前記電気化学反応によって前記干渉物質を消費
し、
前記第一作用電圧は0.2~0.8ボルトであり、前記第二作用電圧は0.2~0.8ボルトであることを特徴とする請求項
14に記載の感知構造。
【国際調査報告】