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特表2024-526373触媒活性生成物及びそのような触媒活性生成物の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】触媒活性生成物及びそのような触媒活性生成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 37/02 20060101AFI20240709BHJP
   C23C 24/08 20060101ALI20240709BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20240709BHJP
   B01J 35/54 20240101ALI20240709BHJP
【FI】
B01J37/02 301B
C23C24/08 C
B01J37/08
B01J35/54 301Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520830
(86)(22)【出願日】2022-06-09
(85)【翻訳文提出日】2024-01-26
(86)【国際出願番号】 SE2022050563
(87)【国際公開番号】W WO2022265559
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】2150760-3
(32)【優先日】2021-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523470153
【氏名又は名称】カタトール アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】シルヴァーサンド フレドリク
【テーマコード(参考)】
4G169
4K044
【Fターム(参考)】
4G169AA01
4G169AA03
4G169AA08
4G169BA13A
4G169BA17
4G169BB02A
4G169BB04A
4G169BB06A
4G169BC29A
4G169BC69A
4G169CA02
4G169CA14
4G169CA15
4G169CD04
4G169DA06
4G169EA01X
4G169EA01Y
4G169EA02X
4G169EA02Y
4G169EA06
4G169EA11
4G169EA12
4G169EA13
4G169EB02
4G169EB08
4G169EB10
4G169EB15Y
4G169EB18X
4G169EB18Y
4G169FB08
4G169FB24
4G169FB32
4G169FB34
4G169FB36
4G169FB78
4G169FC07
4G169FC08
4K044AA02
4K044AA06
4K044AB02
4K044BA12
4K044BB01
4K044BB13
4K044CA53
(57)【要約】
触媒活性生成物(10)を製造する方法が開示される。この方法は、基板(11)を提供するステップと、第一の材料(12)及び第二の材料の粒子(13)を基板上に堆積させるステップとを含み、第二の材料の粒子(13)は、第一の材料(12)よりも高い融点を有する。次いで、第一の材料(12)及び前記粒子(13)を有する基板(11)は、第一の材料(12)を溶融させ、第二の材料の粒子(13)を溶融させない温度まで加熱され、第一の材料(12)及び粒子(13)は、基板(11)に接着される。粒子(13)は、第一の材料(12)に部分的に埋め込まれ、粗面を形成する。セラミック材料は、粒子(13)によって形成された粗面上にセラミック材料を堆積され、その上にセラミック層(14)を形成し、触媒活性材料(16)がセラミック層(14)に添加される。触媒活性生成物についても開示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒活性生成物(10)の製造方法であって、
a)基板(11)を提供するステップと、
b)第一の材料(12)及び第二の材料の粒子(13)を前記基板上に堆積させるステップであって、前記第二の材料の前記粒子(13)は、前記第一の材料(12)よりも高い融点を有する、ステップと、
c)前記第一の材料(12)及び前記粒子(13)を有する前記基板(11)を、前記第一の材料(12)を溶融させ、前記第二の材料の前記粒子(13)を溶融させない温度まで加熱することによって、前記第一の材料(12)及び前記粒子(13)を前記基板(11)に接着させるステップであって、前記粒子(13)は、前記第一の材料(12)に部分的に埋め込まれ、粗面を形成する、ステップと、
d)前記粒子(13)によって形成された前記粗面上にセラミック材料を堆積させ、その上にセラミック層(14)を形成するステップと、
e)触媒活性材料(16)を前記セラミック層(14)に添加するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
ステップb)において、前記第一の材料(12)を懸濁液の形態で提供し、前記第一の材料(12)を前記基板(11)上に噴霧するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一の材料(12)は、室温で前記基板上に噴霧される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ステップb)において、前記第二の材料の前記粒子(13)を懸濁液として提供し、前記懸濁液を前記第一の材料と共に前記基板(11)上に噴霧するステップ、又は前記第二の材料の前記粒子(13)を前記基板(11)上に提供された前記第一の材料(12)上に噴霧するステップを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第二の材料の前記粒子(13)は、室温で噴霧される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ステップc)において、真空及び/又は不活性ガス及び/又は還元ガス中で、前記第一の材料(12)及び前記第二の材料の前記粒子(13)を有する前記基板(11)を加熱するステップを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップd)において、前記セラミック材料を懸濁液として提供し、前記セラミック材料を前記第一の材料(12)及び前記粒子(13)上に噴霧して前記セラミック層(14)を形成するステップを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記セラミック材料は、室温で噴霧される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
面積拡大プロセスによって前記セラミック層(14)中に細孔(15)を提供するステップを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記面積拡大プロセスは、沈殿、セラミック粉末、又は燃焼を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ステップe)において、含浸、浸漬、又は噴霧によって前記触媒活性材料(16)を前記セラミック層(14)に添加するステップを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記基板(11)は、金属である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第一の材料(12)は、金属又は合金である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第二の材料の前記粒子(13)は、金属及び/又はセラミック粉末、あるいはそれらの複合体を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第二の材料の前記粒子(13)は、少なくとも30%の多孔度を有し、及び/又は少なくとも10μmの粗さをもたらす、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記触媒活性材料は、貴金属、遷移金属、あるいはこれらの混合物又は酸化物を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
ステップb)とc)との間、及び/又は前記第一の材料(12)及び前記粒子(13)を塗布するステップとの間に、乾燥プロセスをさらに含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
触媒活性生成物であって、
基板(11)と、第一の材料(12)と、前記第一の材料よりも高い融点を有する第二の材料の粒子(13)と、セラミック層(14)であって、前記第一の材料(12)及び前記第一の材料(12)内に部分的に埋め込まれ、前記セラミック層(14)内に突出する前記第二の材料の前記粒子(13)を介して前記基板(11)に接着された、セラミック層(14)と、を備え、前記セラミック層(14)には、触媒活性材料(16)を有する細孔(15)が形成される、触媒活性生成物。
【請求項19】
前記基板(11)は金属を含み、前記第一の材料(12)は金属を含み、前記第二の材料の前記粒子(13)は金属粉末、セラミック粉末、あるいはそれらの混合物又は複合体を含む、請求項18に記載の触媒活性生成物。
【請求項20】
前記触媒活性材料(16)は、貴金属、遷移金属、あるいはこれらの混合物又は酸化物を含む、請求項18又は19に記載の触媒活性生成物。
【請求項21】
前記第二の材料の前記粒子(13)は、20~100μmの粒径を有する、請求項18~20のいずれか一項に記載の触媒活性生成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒活性生成物及びその製造方法に関する。触媒活性生成物は、燃焼、精製、触媒改質等を含む様々な化学反応に使用される。例えば、触媒活性生成物は、一酸化炭素及び/又はVOC及びPAH等の炭化水素に関する煙道ガスの精製に使用される。このような触媒活性生成物は、様々な種類の化学反応のために反応器内で使用することができる。このタイプの触媒活性生成物は、また、天然ガス、プロパン、ブチレン又は同様のガス等のガス燃料の燃焼のためのバーナにおいても使用することができる。
【背景技術】
【0002】
過去何年にもわたって、排気ガス及び煙道ガス排出物の浄化に関連する環境に優しいプロセスの開発への関心が高まっている。様々な触媒装置が長年にわたって提示されており、その全ては、人間の健康及び環境の両方に有害である汚染物質の効果的な浄化を達成するという同じ目標を有している。
【0003】
特許文献1は、触媒及びその製造方法を記載しており、多孔質セラミック層の層が、溶射によってメッシュ基材上に形成され、続いて、セラミック層の表面積が拡大され、その後、表面積が拡大されたセラミック層に触媒活性材料が含浸される。この公知の触媒の精製結果及び製造方法は、多くの用途において十分であるが、触媒活性生成物を製造する方法にも触媒活性生成物自体にも改善の余地がある。
【0004】
従来技術による触媒活性生成物の製造方法の1つの問題は、それらが複雑であり、高価な機器を要することである。
【0005】
そのような従来技術の方法の別の問題は、かなりの量のエネルギーを消費することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第97/02092号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、従来技術に関連して上述した問題の1つ以上を克服するか又は少なくとも軽減し、触媒活性生成物を生成する効率的な方法を提供することと、また容易な生成を可能にするそのような生成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、触媒活性生成物の製造方法に関し、前記方法は、
a)基板を提供するステップと、
b)第一の材料及び第二の材料の粒子を前記基板上に堆積させるステップであって、前記第二の材料の前記粒子は、前記第一の材料よりも高い融点を有する、ステップと、
c)前記第一の材料及び前記粒子を有する前記基板を、前記第一の材料を溶融させ、前記第二の材料の前記粒子を溶融させない温度まで加熱することによって、前記第一の材料及び前記粒子を前記基板に接着させるステップであって、前記粒子は、前記第一の材料に部分的に埋め込まれ、粗面を形成する、ステップと、
d)前記粒子によって形成された前記粗面上にセラミック材料を堆積させ、その上にセラミック層を形成するステップと、
e)触媒活性材料を前記セラミック層に添加するステップと、
を含む。
【0009】
本発明による方法によって、触媒活性生成物を容易に効率的に製造できるようになる。本発明によって、溶射プロセスを経ることなく、触媒活性生成物を製造することができる。第一の材料と粒子とを組み合わせすることによって、触媒活性生成物を製造するための基板へのセラミック層の安全で信頼性のある効率的な固定が可能になる。
【0010】
方法は、第一の材料及び/又は第二の材料の粒子を1つ以上の懸濁液として提供するステップを含むことができ、任意選択で、両方を組み合わせて懸濁液として提供する。したがって、第一の材料及び/又は第二の材料は、噴霧又は他のコーティングプロセス等によって、効率的な方法で基板上に堆積させることができ、懸濁液は、室温等の任意の適切な温度で堆積させることができる。したがって、第一の材料は、最初に溶融させることなく基板上に堆積させることができる。次いで、方法は、第一の材料及び第二の材料の粒子をその上に有する基板を、真空炉等の炉内で、あるいは還元ガス又は不活性ガスを用いて加熱するステップを、第一の材料のみを溶融させ、粒子を第一の材料に固定しながら第一の材料を基板に接着させるために、含むことができる。したがって、第一の材料及び粒子は、効率的で確実な方法で製造することができ、セラミック層のその後の固定のための付着層を効率的に形成する。
【0011】
第一の材料を溶融させることによって基板に固定した後に、方法は、セラミック材料を懸濁液として提供し、懸濁液を、粒子を含む第一の材料上に、例えば噴霧によって、堆積させることによってセラミック層を堆積させるステップを含むことができる。したがって、セラミック材料は、容易な方法で形成され、第一の材料から突出する粒子を部分的に取り囲んで、例えば、乾燥及び焼成によってセラミック層を基板に機械的に確実に固定する。
【0012】
また、本発明は、触媒活性生成物に関し、触媒活性生成物は、基板と、第一の材料と、第一の材料よりも高い融点を有する第二の材料の粒子と、セラミック層であって、第一の材料及び第一の材料内に部分的に埋め込まれ、セラミック層内に突出する第二の材料の粒子を介して基板に接着された、セラミック層を備え、セラミック層は、触媒活性材料を有する細孔構造で形成される。
【0013】
基板は、鋼、アルミニウム、銅、又は他の好適な金属等の金属を含むことができる。基板は、シート、又はワイヤメッシュ等のメッシュ又は穿孔プレート等として形成することができ、任意選択で、円筒形状を含む任意の好適な形状に成形することができる。第一の材料は、低融点金属又は合金等の金属を含むことができる。第一の材料は、基板よりも、第二の材料の粒子よりも低い融点を有することができる。第二の材料の粒子は、金属粉末、セラミック粉末、あるいはそれらの複合体又は混合物を含むことができる。第二の材料の粒子は、第一の材料及びセラミック層への効率的な固定を提供するために、20~50μmの粒径を有することができる。粗い高融点粒子を低融点の第一の材料の層に提供することによって、より大きな表面積が作り出され、基板表面にセラミック層がより良好に接着する。したがって、粒子は、基板へのセラミック層の接着を強化するための手段を提供する。
【0014】
本発明の更なる特徴及び利点は、以下の実施形態の説明、添付の図面及び従属請求項から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
例として、本発明の実施形態を以下で添付の図面を参照して説明する。
【0016】
図1】本発明による触媒活性生成物の概略断面図である。
図2】第一の実施形態による図1の触媒活性生成物を製造する方法の一連の概略断面図である。
図3】第一の実施形態による図1の触媒活性生成物を製造する方法の一連の概略断面図である。
図4】第一の実施形態による図1の触媒活性生成物を製造する方法の一連の概略断面図である。
図5】第一の実施形態による図1の触媒活性生成物を製造する方法の一連の概略断面図である。
図6】第一の実施形態による図1の触媒活性生成物を製造する方法の一連の概略断面図である。
図7】第二の実施形態による図1の触媒活性生成物を製造する方法の一連の概略断面図である。
図8】第二の実施形態による図1の触媒活性生成物を製造する方法の一連の概略断面図である。
図9】第二の実施形態による図1の触媒活性生成物を製造する方法の一連の概略断面図である。
図10】第二の実施形態による図1の触媒活性生成物を製造する方法の一連の概略断面図である。
図11】第二の実施形態による図1の触媒活性生成物を製造する方法の一連の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に関して、本発明による触媒活性生成物10が概略的に示されている。触媒活性生成物10は、化学反応を促進するために使用されるように構成される。例えば、触媒活性生成物10は、燃焼、精製、触媒改質等のために配置される。例えば、触媒活性生成物10は、一酸化炭素及び/又はVOC及びPAH等の炭化水素に関して煙道ガスを精製するように配置される。例えば、触媒活性生成物10は、化学反応のための反応容器に配置される。あるいは、触媒活性生成物10は、例えば加熱目的で、天然ガス、プロパン、ブチレン又は同様のガス等のガス燃料の燃焼のためにバーナ内に配置される。
【0018】
触媒活性生成物10は、基板11と、第一の材料12と、第二の材料の粒子13と、細孔15を有するセラミック材料を含むセラミック層14と、触媒活性材料16とを含む。第一の材料12及び粒子13は、基板11上に付着層を形成する。例えば、第一の材料12は、基板11の上に直接配置され、粒子13は、第一の材料12内に部分的に埋め込まれ、その表面から突出する。セラミック層14は、第一の材料12及び粒子13によって形成される付着層の上部に配置され、セラミック層14は、粒子13に係合する。したがって、第一の材料12及び粒子13によって形成される付着層は、基板11とセラミック層14との間に配置される。
【0019】
図示した実施形態では、基板11は、略平坦な形状を有している。しかしながら、基板11は、平坦、円筒形、湾曲、屈曲であっても、あるいは基本的に任意の幾何学的形状を有してもよい。例えば、基板11は、メッシュ構造、すなわち、複数の貫通孔を有する構造として形成される。一実施形態によれば、基板11は、ワイヤメッシュとして形成される。あるいは、基板11は、連続シート又は格子構造等として形成される。例えば、基板11は、金属又は合金であるか、あるいは金属又は合金を含む。一実施形態によれば、基板は、ステンレス鋼等の鋼、アルミニウム又は銅から作られる。あるいは、基板11は、比較的高い温度に耐えることができるポリテトラフルオロエチレン又は同様のポリマー等のポリマー材料、あるいは複合材料から作られる。一般に、基板11は、少なくとも350℃の温度に耐えることができるべきである。場合によっては、少なくとも500℃、少なくとも700℃又は少なくとも900℃等のこのレベルをはるかに上回る温度に耐えることができるべきである。
【0020】
基礎構造を形成する基板11の上に、第一の材料12が配置される。基板11、又はその少なくとも部分もしくは側面は、第一の材料12でコーティングされる。図示した実施形態では、基板11の上面は、第一の材料12でコーティングされている。あるいは、基板11全体は、第一の材料12でコーティングされる。例えば、第一の材料12は、金属又は合金である。例えば、第一の材料12は、Al又は比較的低い融点を有する同様の金属である。あるいは、第一の材料12は、Ni、Cu、Fe及び/又は鋼等の金属と融点降下剤とを含む合金である。
【0021】
粒子13は、第一の材料12に部分的に埋め込まれ、基板11から離れる方向に少なくとも部分的に突出している。粒子13は、第一の材料12よりも高い融点を有する第二の材料から作製されるか、又はそれを含む。例えば、第二の材料の粒子13の固相線温度は、第一の材料12の液相線温度よりも高い。例えば、第二の材料の粒子13は、金属粉末、セラミック粉末、又はこれらの混合物を含む。粒子13は、異なる形状及びサイズを有してもよい。粒子13は、セラミック層14の接着に役立つ表面粗さを加えるために、第一の材料12の中又は上に提供される。例えば、粒子13は、少なくとも10μm、又は少なくとも20μm、例えば20~100μmの粒径を有する。例えば、第二の材料は、少なくとも30%の多孔度を有する。
【0022】
セラミック層14は、第一の材料12及び粒子13によって形成される付着層上に提供され、粒子13によってそれに固定される。したがって、粒子13は、第一の材料12に部分的に埋め込まれ、セラミック層14に部分的に埋め込まれて、セラミック層14を基板11に機械的に固定する。したがって、セラミック層14は、第一の材料12及びそこから突出する粒子13の上に配置される。セラミック層14は、アルミナ、ジルコニア、二酸化チタン、シリカ、炭化タングステン、窒化ケイ素若しくは同様のセラミック、又はこれらの混合物を含んでもよい。セラミック層14には、細孔15が形成されることで、その中に触媒活性材料16を堆積させるための表面積が拡大する。したがって、セラミック層14には、触媒活性材料16が提供され、触媒活性材料16は、その細孔15内に配置される。例えば、触媒活性材料16は、貴金属、遷移金属又はこれらの混合物若しくは酸化物である。例えば、触媒活性材料16は、パラジウムである。
【0023】
図2図6も参照すると、触媒活性生成物10を製造する方法が、第一の実施形態に従って一連の図によって概略的に示されている。基板11は、上述されており、図2に概略的に示されている。基板11は、例えば、噴霧プロセスによって第一の材料12でコーティングされる。第一の材料12を有する基板11が図3に示されており、第一の材料12は、基板11上の層として提供される。一実施形態によれば、第一の材料12は、懸濁液として提供され、第一の材料12は、水等の液体中に分散された粒子として提供される。例えば、基板11は、噴霧プロセスによって第一の材料12でコーティングされ、第一の材料12は、例えば、室温で基板11上に噴霧される。したがって、第一の材料12は加熱されず、高温では噴霧されない。あるいは、第一の材料12は、塗装、浸漬等の別のコーティングプロセスによって基板11上に塗布される。あるいは、第一の材料12は、ペーストとして提供され、ペーストは、基板11の表面に広がることによって基板11上に塗布される。第一の材料を基板上に塗布した後、第一の材料12を有する基板11は、任意選択で、例えば、オーブン中での熱処理によって乾燥される。
【0024】
基板11を第一の材料12でコーティングした後、第二の材料を含む粒子13が第一の材料12上に提供され、これは、図4に示されている。例えば、粒子13は、スラリーとも呼ばれる懸濁液として提供され、粒子13は、水等の液体中に懸濁される。粒子13の懸濁液は、基板11によって担持される第一の材料12上に塗布される。例えば、粒子13は、噴霧プロセスによって第一の材料12上に塗布され、粒子13を含む懸濁液は、第一の材料12上に噴霧される。したがって、粒子13は、室温で第一の材料12上に噴霧されてもよい。粒子13を第一の材料12上に塗布した後、第一の材料12及び粒子13を担持する基板11を、例えばオーブン内で乾燥させてもよい。次いで、第一の材料12及び粒子13を有する基板11を、例えば、炉内で、第一の材料12を溶融させ、第二の材料の粒子13を溶融させない温度まで熱処理する。基板11も溶融されていない。したがって、第一の材料12は、粒子13を第一の材料12に固定しながら溶融させることによって基板11に固定される。粒子13は、第一の材料12に機械的に固定され、粒子13は、第一の材料12の溶融後に第一の材料12に部分的に埋め込まれる。第一の材料12は、また、その表面の粗さの中へと融解することによって、基板に機械的に接着される。第一の材料12に部分的に埋め込まれ、そこから突出する粒子13が図4に示されている。例えば、第一の材料12を溶融させるための熱処理は、真空炉内で真空下にて実施される。あるいは、第一の材料12を溶融させるための熱処理は、炉内で還元ガス又は不活性ガスを用いて実施される。
【0025】
次いで、第一の材料12及び粒子13を担持する基板11は、図5に示されるセラミック層14を備え、セラミック層14は、粒子13及び第一の材料12の上に設けられ、その結果、第一の材料12は、セラミック層14と基板11との間に配置される。例えば、セラミック層14は、水性懸濁液の形態等のスラリーとして付着層12上に堆積される。また、セラミック層14は、セラミック材料に多孔質構造を形成するために設けられる細孔形成剤を含んでいてもよい。典型的には、セラミック層の厚さは、0.1~0.8mmの範囲、好ましくは0.2~0.5mmの範囲である。セラミック層14は、細孔15によって表面が拡大され、細孔は、図6に示す触媒活性材料16を保持するように構成される。
【0026】
セラミック層14は、以下のプロセス、すなわち、1)沈殿による二次表面積拡大と共に直接噴霧すること、又は2)セラミック粉末の同時堆積を伴って噴霧すること、あるいは方法1)と2)との組み合わせ、続いて、含浸プロセスを通して触媒活性材料16でコーティングすることによって製造されてもよい。あるいは、細孔形成剤は、熱処理によって燃焼され得る可燃性材料であってもよい。任意選択で、細孔形成剤は、細孔形成ポリマー材料であってもよい。あるいは、セラミック層14は、比表面積の高い粒子を含むセラミック粉末である。例えば、細孔15は、従来の方法でセラミック層14に形成される。
【0027】
セラミック層14の細孔15は、触媒活性材料16を担持するように構成される。例えば、細孔15は、円筒形状であってもよい。このようにして、精製される化学物質は、触媒活性生成物10の触媒活性材料16に容易に到達することができる。触媒活性材料16は、例えば、従来の含浸プロセスによってセラミック層の細孔15内に堆積させてもよい。含浸中、セラミック層14の細孔15の構造は、例えば、触媒活性材料16を含有する溶液で飽和される。触媒活性材料16は、貴金属、遷移金属、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0028】
図7図11を参照して、本発明の代替実施形態を説明するが、ここでは、基板11が第一の材料と第二の材料の粒子13との混合物でコーティングされている。第一の材料12と粒子13との混合物を有する基板11が、図7に示されている。例えば、第一の材料12も粒子として提供され、第一の材料12及び第二の材料の粒子13はスラリー中の混合物として提供される。第一の材料12及び第二の材料の粒子13の両方を含むスラリーは、例えば、噴霧によって、上述のように、基板11上に塗布される。したがって、スラリーは、室温で噴霧することによって基板上に提供されてもよい。次いで、スラリーを含む基板11を任意選択で乾燥させる。第一の材料12と粒子13との混合物で基板11をコーティングした後、加熱して第一の材料12を溶融させるが、基板11又は第二の材料は溶融させず、図8に示すように、粒子13は、第一の材料12に接着し、第一の材料12は、基板11に接着する。したがって、粒子13は、第一の材料12に部分的に埋め込まれ、基板11から離れる方向に、それから突出し、上述のようにセラミック層14を固定するための粗い外面を得る。次いで、スラリーとして提供され得るセラミック層14が、図9に示すように、第一の材料12及び粒子13上に堆積される。例えば、セラミック層は、前述のように、噴霧によって堆積されてもよい。次に、図10に示すように、セラミック層14に表面積拡大処理を施して細孔15を形成してもよい。例えば、セラミック層14は、細孔形成剤を含む。最後に、触媒活性材料16は、例えば、含浸によって堆積される。触媒活性材料16は、セラミック層14の表面及びその細孔15の内部に堆積されてもよい。
【0029】
粒子は、その後に配置されるセラミック層14の接着に役立つ表面粗さを加えるために、第一の材料12中に提供される。言い換えれば、第一の材料12に粗い粒子を提供することにより、セラミック材料14の基板11への接着を改善させるための表面積拡大を実現することができる。加熱されると、第一の材料12が基板11に融着し、含有粒子13が露出する。粒子13を露出させることによって、セラミック層14を基板11に固定することができる。これは、粒子13によって提供される表面積の拡大と粗さに起因するものである。
図1
図2-6】
図7-11】
【手続補正書】
【提出日】2024-01-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒活性生成物(10)の製造方法であって、
a)基板(11)を提供するステップと、
b)第一の材料(12)及び第二の材料の粒子(13)を前記基板上に堆積させるステップであって、前記第二の材料の前記粒子(13)は、前記第一の材料(12)よりも高い融点を有する、ステップと、
c)前記第一の材料(12)及び前記粒子(13)を有する前記基板(11)を、前記第一の材料(12)を溶融させ、前記第二の材料の前記粒子(13)を溶融させない温度まで加熱することによって、前記第一の材料(12)及び前記粒子(13)を前記基板(11)に接着させるステップであって、前記粒子(13)は、前記第一の材料(12)に部分的に埋め込まれ、粗面を形成する、ステップと、
d)前記粒子(13)によって形成された前記粗面上にセラミック材料を堆積させ、その上にセラミック層(14)を形成するステップと、
e)触媒活性材料(16)を前記セラミック層(14)に添加するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
ステップb)において、前記第一の材料(12)を懸濁液の形態で提供し、前記第一の材料(12)を前記基板(11)上に噴霧するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一の材料(12)は、室温で前記基板上に噴霧される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ステップb)において、前記第二の材料の前記粒子(13)を懸濁液として提供し、前記懸濁液を前記第一の材料と共に前記基板(11)上に噴霧するステップ、又は前記第二の材料の前記粒子(13)を前記基板(11)上に提供された前記第一の材料(12)上に噴霧するステップを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第二の材料の前記粒子(13)は、室温で噴霧される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ステップc)において、真空及び/又は不活性ガス及び/又は還元ガス中で、前記第一の材料(12)及び前記第二の材料の前記粒子(13)を有する前記基板(11)を加熱するステップを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップd)において、前記セラミック材料を懸濁液として提供し、前記セラミック材料を前記第一の材料(12)及び前記粒子(13)上に噴霧して前記セラミック層(14)を形成するステップを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記セラミック材料は、室温で噴霧される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
面積拡大プロセスによって前記セラミック層(14)中に細孔(15)を提供するステップを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記面積拡大プロセスは、沈殿、セラミック粉末、又は燃焼を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ステップe)において、含浸、浸漬、又は噴霧によって前記触媒活性材料(16)を前記セラミック層(14)に添加するステップを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記基板(11)は、金属である、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第一の材料(12)は、金属又は合金である、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第二の材料の前記粒子(13)は、金属及び/又はセラミック粉末、あるいはそれらの複合体を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第二の材料の前記粒子(13)は、少なくとも30%の多孔度を有し、及び/又は少なくとも10μmの粗さをもたらす、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記触媒活性材料は、貴金属、遷移金属、あるいはこれらの混合物又は酸化物を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
ステップb)とc)との間、及び/又は前記第一の材料(12)及び前記粒子(13)を塗布するステップとの間に、乾燥プロセスをさらに含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
触媒活性生成物であって、
基板(11)と、第一の材料(12)と、前記第一の材料よりも高い融点を有する第二の材料の粒子(13)と、セラミック層(14)であって、前記第一の材料(12)及び前記第一の材料(12)内に部分的に埋め込まれ、前記セラミック層(14)内に突出する前記第二の材料の前記粒子(13)を介して前記基板(11)に接着された、セラミック層(14)と、を備え、前記セラミック層(14)には、触媒活性材料(16)を有する細孔(15)が形成される、触媒活性生成物。
【請求項19】
前記基板(11)は金属を含み、前記第一の材料(12)は金属を含み、前記第二の材料の前記粒子(13)は金属粉末、セラミック粉末、あるいはそれらの混合物又は複合体を含む、請求項18に記載の触媒活性生成物。
【請求項20】
前記触媒活性材料(16)は、貴金属、遷移金属、あるいはこれらの混合物又は酸化物を含む、請求項18又は19に記載の触媒活性生成物。
【請求項21】
前記第二の材料の前記粒子(13)は、20~100μmの粒径を有する、請求項18又は19に記載の触媒活性生成物。
【国際調査報告】