(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】豚プラセンタ酵素加水分解物と酸分解物との混合物を含む肝臓保護用組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 33/18 20160101AFI20240709BHJP
C07K 1/12 20060101ALN20240709BHJP
C07K 5/10 20060101ALN20240709BHJP
C07K 7/06 20060101ALN20240709BHJP
C12P 21/06 20060101ALN20240709BHJP
【FI】
A23L33/18 ZNA
C07K1/12
C07K5/10
C07K7/06
C12P21/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523376
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(85)【翻訳文提出日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 KR2021008308
(87)【国際公開番号】W WO2023277222
(87)【国際公開日】2023-01-05
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】524001868
【氏名又は名称】ユーバイオ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】UBIO INC.
【住所又は居所原語表記】(Jamsil-dong,UnimedB/D)69,Samjeon-ro,Songpa-gu,Seoul 05567,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100101340
【氏名又は名称】丸山 英一
(74)【代理人】
【識別番号】100205730
【氏名又は名称】丸山 重輝
(74)【代理人】
【識別番号】100213551
【氏名又は名称】丸山 智貴
(72)【発明者】
【氏名】キム,クン ナム
(72)【発明者】
【氏名】ペ,クン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,チ スン
(72)【発明者】
【氏名】ユン,スン ミョン
【テーマコード(参考)】
4B018
4B064
4H045
【Fターム(参考)】
4B018MD09
4B018MD22
4B018MD69
4B018MD90
4B018ME14
4B018MF02
4B018MF10
4B018MF12
4B064AG01
4B064CA21
4B064CB01
4B064DA01
4B064DA10
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA13
4H045BA14
4H045BA15
4H045CA40
4H045EA01
4H045EA20
4H045FA16
4H045FA70
(57)【要約】
本発明は、豚プラセンタ酵素加水分解物と酸分解物との混合物を含む肝臓保護用組成物、及びアルコールによる肝損傷、薬物中毒または二日酔いの予防、改善または治療用組成物に係り、本発明の組成物は、肝保護に著しい効果があり、特に、アルコールによる肝損傷の予防、改善または治療に著しい効果があって、医薬学分野及び食品分野に有用に使われることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
豚プラセンタ酵素加水分解物と酸分解物との混合物を有効成分として含む肝臓保護用健康機能食品の組成物。
【請求項2】
豚プラセンタ酵素加水分解物と酸分解物との混合物を有効成分として含むアルコールによる肝損傷、薬物中毒または二日酔いの予防または改善用健康機能食品の組成物。
【請求項3】
前記豚プラセンタ酵素加水分解物は、配列番号1ないし配列番号3からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる一つ以上のペプチドを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記豚プラセンタ酵素加水分解物は、タンパク質加水分解酵素を処理して製造されたものである請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記豚プラセンタ酸分解物は酸(acid)を処理して製造されたものである請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記酸(acid)は、塩酸、硫酸、酢酸またはクエン酸である請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記豚プラセンタ酵素加水分解物及び酸分解物は1:0.1~10の重量比で混合したものである請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、豚プラセンタ酵素加水分解物と酸分解物との混合物を含む肝臓保護用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
肝は、人間の身体臓器のうち、生体内代謝が最も活発に起きる臓器であって、脂肪成分が含まれた食べ物またはアルコールの過多攝取、ウイルスの感染、各種薬品のような有害物質、栄養不足など多様な原因によって急性または慢性の障害が起こり、脂肪肝、肝炎、黄疸、肝硬化、肝臓癌などが引き起こされるおそれがある。特に、食べ物を通じた過度な脂肪攝取または過度なアルコール攝取は、肝組織に脂質が溜まる脂肪肝を誘発し、この時、血清中のAST(aspartate transaminase)、ALT(alanine transaminase)、LDH(lactate dehydrogenase)などが増加するようになる。
【0003】
一方、プラセンタは血液絨毛膜で構成されており、胎児と母体組織との間で接触を維持しながら、胎児に必要な酸素及び栄養素を供給する。また、胎児が生成する老廃物を取り除くのに重要な役目をする。プラセンタには胎児の成長に必要な多様な栄養物質とホルモンなどを含んでおり、豚プラセンタは大人、特に更年期症状緩和及び美容目的などのために幅広く使われている。プラセンタには、必須アミノ酸、メラトニン、RNA、DNAなどの核酸成分、抗酸化酵素であるSOD(Super Oxide Dismutase)、ヒアルロン酸、抗酸化剤、サイトカイン、プラセンタペプチド、インスリン類似成長促進因子、表皮成長促進因子(EGF)及び老化細胞活性因子(SCAF)などの成長因子とサイトカイン類が含まれ、疲労回復及び免疫増強などに有用なものと知られている。また、豚プラセンタは、哺乳類のプラセンタの中でもヒトプラセンタのタンパク質構造と高い相同性を持っており、豚プラセンタはタンパク質と各種栄養素及びDNAとRNAの重要成分として細胞の差別化と胎児の発達を司るバイオ‐アクティブサイトカインの根源として報告されたことがある。豚プラセンタは、このような特性によって、食品、医薬品などに応用されている。ただ、アルコールによる肝損傷、薬物中毒、二日酔いなどを効果的に予防または改善することができる豚プラセンタ組成物に対する研究はまだ足りない実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、豚プラセンタ酵素加水分解物と酸分解物との混合物を有効成分として含む肝臓保護用健康機能食品の組成物を提供することである。
【0005】
本発明のまた他の目的は、豚プラセンタ酵素加水分解物と酸分解物との混合物を有効成分として含むアルコールによる肝損傷、薬物中毒または二日酔いの予防または改善用健康機能食品の組成物を提供することである。
【0006】
本発明のまた他の目的は、豚プラセンタ酵素加水分解物と酸分解物との混合物を有効成分として含む肝臓保護用薬学的組成物を提供することである。
【0007】
本発明のまた他の目的は、豚プラセンタ酵素加水分解物と酸分解物との混合物を有効成分として含むアルコールによる肝損傷、薬物中毒または二日酔いの予防または治療用薬学的組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は、豚プラセンタ酵素加水分解物と酸分解物との混合物を有効成分として含む肝臓保護用健康機能食品の組成物を提供する。
【0009】
また、本発明は、豚プラセンタ酵素加水分解物と酸分解物との混合物を有効成分として含むアルコールによる肝損傷、薬物中毒または二日酔いの予防または改善用健康機能食品の組成物を提供する。
【0010】
本発明の一実施例において、前記豚プラセンタ酵素加水分解物は、配列番号1ないし配列番号3からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる一つ以上のペプチドを含むことができる。
【0011】
本発明の一実施例において、前記豚プラセンタ酵素加水分解物及び酸分解物は1:0.1~10の重量比で混合されたものであってもよく、好ましくは1:0.5~5、1:0.6~5、1:0.7~5、1:0.8~5、1:0.9~5、1:1~5、1:1~4、1:1~3、1:1、1:2、1:3、1:4または1:5の重量比で混合されたものであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0012】
本発明の一実施例において、前記豚プラセンタ酵素加水分解物は、タンパク質加水分解酵素を処理して製造されたものであってもよく、前記タンパク質加水分解酵素は、パパイン、プロナーゼ、ブロメライン及びアルカラーゼからなる群から選択されるものであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0013】
本発明の一実施例において、前記豚プラセンタ酸分解物は、酸(acid)を処理して製造されたものであってもよく、前記酸(acid)は、塩酸、硫酸、酢酸またはクエン酸であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0014】
本発明の一実施例において、前記ペプチドは豚プラセンタ酵素加水分解物内に0.1ppm~100ppmの濃度で含まれることができ、好ましく1~25ppmの濃度で含まれることができる。
【0015】
本発明の一実施例において、前記豚プラセンタ酵素加水分解物と酸分解物との混合物は、健康機能食品の組成物の総重量に対して1%~20重量%で含まれることができる。また、前記ペプチドは前記組成物全体の中で0.001ppm~20ppmの濃度で含まれることができる。
【0016】
本発明の一実施例において、前記組成物は血清内のALP(alkaline phosphatase)、AST(aspartate transaminase)またはALT(alanine transaminase)数値を減少させるものである。
【0017】
また、本発明は、豚プラセンタ酵素加水分解物と酸分解物との混合物を有効成分として含む肝臓保護用薬学的組成物を提供する。
【0018】
また、本発明は、豚プラセンタ酵素加水分解物と酸分解物との混合物を有効成分として含むアルコールによる肝損傷、薬物中毒または二日酔いの予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0019】
本発明の一実施例において、前記豚プラセンタ酵素加水分解物と酸分解物との混合物は、薬学的組成物の総重量に対して5%~30%重量%で含まれることができる。また、前記ペプチドは、前記組成物全体の中で0.005ppm~30ppmの濃度で含まれることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明による組成物は、肝臓保護に著しい効果があり、特に、アルコールによる肝損傷の予防、改善または治療に著しい効果があって、医薬学分野及び食品分野で有用に使われることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】豚プラセンタ酵素加水分解物及び酸分解物のHPLCパターンを示す結果である。
【
図2】豚プラセンタ酵素加水分解物のLC/MSクロマトグラム結果である。
【
図3】豚プラセンタ酵素加水分解物及びペプチド(VVVE)のクロマトグラム結果である。
【
図4】豚プラセンタ酵素加水分解物及びペプチド(VVVE)のMS/MSパターンを示す結果である。
【
図5】豚プラセンタ酵素加水分解物及びペプチド(DGLHLR)のクロマトグラム結果である。
【
図6】豚プラセンタ酵素加水分解物及びペプチド(DGLHLR)のMS/MSパターンを示す結果である。
【
図7】豚プラセンタ酵素加水分解物及びペプチド(DDFNPSVH)のクロマトグラム結果である。
【
図8】豚プラセンタ酵素加水分解物及びペプチド(DDFNPSVH)のMS/MSパターンを示す結果である。
【
図9】豚プラセンタ酵素加水分解物、酸分解物、または豚プラセンタ酵素加水分解物と酸分解物との混合物を投与した後、肝組織内のアルコール脱水素酵素(ADH)活性度を測定した結果である(Normal:正常対照群;Alcohol:陰性対照群;Silymarin:陽性対照群;L:豚プラセンタ混合物の低用量群;M:豚プラセンタ混合物の中用量群;H:豚プラセンタ混合物の高用量群;E‐form:豚プラセンタ酵素加水分解物投与群;及びA‐form:豚プラセンタ酸分解物投与群)。
【
図10】豚プラセンタ酵素加水分解物、酸分解物、または豚プラセンタ酵素加水分解物と酸分解物との混合物を投与した後、肝組織内のアルデヒド分解酵素(ALDH)活性度を測定した結果である(Normal:正常対照群;Alcohol:陰性対照群;Silymarin:陽性対照群;L:豚プラセンタ混合物の低用量群;M:豚プラセンタ混合物の中用量群;H:豚プラセンタ混合物の高用量群;E‐form:豚プラセンタ酵素加水分解物投与群;及びA‐form:豚プラセンタ酸分解物投与群)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、最良の形態で、豚プラセンタ酵素加水分解物と酸分解物との混合物を有効成分として含む肝臓保護用健康機能食品の組成物を提示する。
【0023】
また、本発明は、最良の形態で、豚プラセンタ酵素加水分解物と酸分解物との混合物を有効成分として含むアルコールによる肝損傷、薬物中毒または二日酔いの予防または改善用健康機能食品の組成物を提示する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、豚プラセンタ酵素加水分解物と酸分解物との混合物を有効成分として含む肝臓保護用健康機能食品の組成物;及びアルコールによる肝損傷、薬物中毒または二日酔いの予防または改善用健康機能食品の組成物を提供する。
【0025】
前記豚プラセンタ酵素加水分解物は、配列番号1ないし配列番号3からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる一つ以上のペプチドを含むことができる。
【0026】
前記ペプチドは、豚プラセンタ酵素加水分解物内に0.1ppm~100ppmの濃度で含まれることができ、好ましくは1~25ppmの濃度で含まれることができる。
【0027】
本発明の用語「豚プラセンタ酵素加水分解物」は、豚プラセンタにタンパク質加水分解酵素を処理して製造されたことを言う。
【0028】
前記タンパク質加水分解酵素は、パパイン、プロナーゼ、ブロメライン及びアルカラーゼからなる群から選択されるものであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0029】
本発明の用語「豚プラセンタ酸分解物」は、豚プラセンタに酸を処理して製造されたことを言う。
【0030】
前記酸は、塩酸、硫酸、酢酸またはクエン酸であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0031】
前記豚プラセンタ酵素加水分解物及び酸分解物は、1:0.1~10の重量比で混合されたものであってもよく、好ましくは1:0.5~5、1:0.6~5、1:0.7~5、1:0.8~5、1:0.9~5、1:1~5、1:1~4、1:1~3、1:1、1:2、1:3、1:4または1:5の重量比で混合されたものであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0032】
本発明の健康機能食品の組成物は、通常的な意味の食品をすべて含むことができ、機能性食品、健康機能食品など当業界に知られた用語と混用可能である。
【0033】
本発明の用語「健康機能食品」は人体に有用な機能性を持った原料や成分を使って錠剤、カプセル、粉末、顆粒、液状及び丸などの形態に製造及び加工した食品を言う。ここで「機能性」とは、人体の構造及び機能に対して栄養素を調節したり、生理学的作用などのような保健用途に有用な効果を得ることを意味する。本発明の健康機能食品は、当業界で通常使われる方法によって製造可能であり、前記製造の際には、当業界で通常添加する原料及び成分を添加して製造することができる。また、前記健康機能食品の剤形も健康機能食品として認められる剤形であれば、制限せずに製造されることができる。本発明の健康機能食品の組成物は一般薬品とは違って、食品を原料にして薬品の長期服用の際に発生するおそれがある副作用などがない長所があって、携帯性に優れ、アルコールによる肝損傷、薬物中毒または二日酔いの予防または改善効果を増進させるための補助剤として攝取可能である。
【0034】
本発明による健康機能食品の組成物において、前記有効成分(豚プラセンタ酵素加水分解物と酸分解物との混合物)は、前記組成物の総重量に対して1%~20%(重量%)で含まれることができるが、これに必ず限定されるものではなく、有効成分の混合量は、予防、健康または治療などの各使用目的に応じて適宜決めることができる。
【0035】
健康機能食品の剤形は、散剤、顆粒剤、丸剤、錠剤、カプセル剤の形態だけでなく、一般の食品または飲料の形態のいずれも可能である。
【0036】
前記食品の種類には特に制限はなく、前記物質を添加することができる食品の例としては、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンデー類、スナック類、お菓子類、ピザ、ラーメン、その他麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品、各種スープ、飲料水、お茶、ドリンク剤、アルコール飲料及びビタミン複合剤などがあり、通常的な意味での食品をいずれも含むことができる。
【0037】
一般に、食品または飲料の製造の際に前記有効成分は原料100重量部に対して15重量部以下、好ましくは10重量部以下の量で添加することができる。しかし、健康及び衛生を目的とするか、または健康調節を目的とする長期間攝取の場合には、前記量は前記範囲以下であってもよく、また本発明は天然物からの分画物を利用する点から、安全性の面で問題がないため、前記範囲以上の量でも使うことができる。
【0038】
本発明による機能性食品の中で、飲料は通常の飲料のように様々な香味剤または天然炭水化物などを追加成分として含むことができる。上述した天然炭水化物は、葡萄糖、果糖のようなモノサッカリド、マルトース、スクロースのようなジサッカリド及びデキストリン、シクロデキストリンのようなポリサッカリド、キシリトール、ソルビトール、エリトリトールなどの糖アルコールであってもよい。甘味剤としては、ソーマチン、ステビア抽出物のような天然甘味剤や、サッカリン、アスパルテームのような合成甘味剤などを使うことができる。前記天然炭水化物の割合は、本発明による飲料100mL当たり約0.01~0.04g、好ましくは約0.02~0.03gであってもよい。
【0039】
前記以外に本発明による健康機能食品の組成物は、様々な栄養剤、ビタミン、電解質、風味剤、着色剤、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に用いられる炭酸化剤を含むことができる。その他、本発明の健康機能食品の組成物は、天然果物ジュース、果物ジュース飲料及び野菜飲料の製造のための果肉を含むことができる。このような成分は、独立的にまたは混合して使うことができる。このような添加剤の割合は制限されないが、本発明の機能性食品の組成物は、100重量部を基準にして0.01~0.1重量部の範囲で選択されることが一般的である。
【0040】
また、本発明は、豚プラセンタ酵素加水分解物と酸分解物との混合物を有効成分として含む肝臓保護用薬学的組成物;及びアルコールによる肝損傷、薬物中毒または二日酔いの予防または改善用薬学的組成物を提供する。
【0041】
本発明による薬学的組成物は、前記有効成分を含むものであれば、その含量を特に制限しないが、好ましくは、前記有効成分は前記組成物の総重量に対して5~30重量%で含まれることができる。ただ、これに限定されない。また、前記ペプチドは、前記組成物全体の中で0.005ppm~30ppmの濃度で含まれることができる。この時、ペプチドが前記濃度範囲の未満である場合、好ましい予防または治療効果を発揮しがたい問題点があり、前記濃度範囲を超過する場合、期待する効果の変化が微々たる場合がある。
【0042】
本発明による薬学的組成物は、それぞれ通常の方法によって散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアロゾルなどの経口剤剤形、外用剤、坐剤及び滅菌注射溶液の形態に剤形化されて使うことができ、剤形化のために薬学的組成物の製造に通常使われる適切な担体、賦形剤または希釈剤を含むことができる。
【0043】
前記担体または、賦形剤または希釈剤としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリトリトール、マルチトール、澱粉、アカシアゴム、アルギン酸、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリゲート、セルロース、メチルセルロース、未晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレート及び鉱物油などを含む多様な化合物あるいは混合物を挙げることができる。
【0044】
製剤化する場合には、普通使う充填剤、重量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤または賦形剤を使って製造することができる。
【0045】
経口投与のための固形製剤は、前記組成物に少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、澱粉、カルシウムカーボネート、スクロースまたはラクトース、ゼラチンなどを交ぜて製造することができる。また、単に賦形剤以外にマグネシウムステアレート、タルクのような潤滑剤も使うことができる。
【0046】
経口のための液状製剤としては、懸濁液、耐溶液剤、乳剤、シロップ剤などが該当され、よく使う単純希釈剤である水、リキッドパラフィンの以外に様々な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などを含むことができる。
【0047】
非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、オレイン酸エチルのような注射可能なエステルなどを使うことができる。坐剤の基剤としては、ウィテブソル(witepsol)、マクロゴール、ツイーン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロールゼラチンなどを使うことができる。
【0048】
本発明による薬学的組成物の好ましい投与量は、患者の状態、体重、疾病の度合い、薬物形態、投与経路及び期間によって異なるが、当業者によって適宜選択されることができる。しかし、好ましい効果のためには、1日0.0001ないし2,000mg/kgで、好ましくは0.001ないし2,000mg/kgで投与することができる。投与は、一日一回投与することもでき、数回分けて投与することもできる。ただ、前記投与量によって本発明の範囲を限定することではない。
【0049】
本発明による薬学的組成物は、鼠、マウス、家畜、人間などの哺乳動物に多様な経路で投与することができる。投与の全ての方式は、例えば、経口、直腸または静脈、筋肉、皮下、子宮内頸膜または脳血管内(intracerebroventricular)注射によって投与することができる。
【0050】
以下、本発明を実施例を通じてより詳しく説明する。これら実施例は本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれら実施例に限定されるものではない。
【0051】
実施例1.豚プラセンタ酵素加水分解物の製造
【0052】
豚プラセンタを解氷機で解凍した後、上水で異物を取り除いた豚プラセンタを肉練り機器に入れて脱血が容易であるように肉を練る。その後、0.9%のNaClで数回洗浄し、豚プラセンタ内にある血液を除去させた豚プラセンタをミキサーを利用して加水分解が容易であるように破砕した。前記のように用意された豚プラセンタにタンパク質分解酵素(パパイン)3%を入れて、20時間加水分解した。加水分解が終わった後、加熱してタンパク質分解酵素を不活性化させ、前記豚プラセンタ加水分解物を濾過補助剤に接触させた後、濾過して吸着精製した。以後、豚プラセンタ加水分解物濾過液に1.2倍(w/w)のエタノールを入れて15~20時間放置した後、フィルターを使って加水分解が十分でない糖、タンパク質及び不純物などを取り除いた。濾過した液を濃縮した後、活性炭0.1~2%を使って吸着精製した後、使われた活性炭はフィルターを使って濾過の方法で取り除いた。活性炭が除去された精製された豚プラセンタ酵素加水分解物を0.2μmのフィルターで除菌濾過した液を滅菌した。最終的に高純度のプラセンタ抽出物を得た。
【0053】
実施例2.豚プラセンタ酸分解物の製造
【0054】
豚プラセンタを解氷機で解凍した後、上水で異物を取り除いた豚プラセンタ100kgに35%(v/w)の塩酸70kgを投入し、110℃で22時間分解した後、濾過した。以後、濾過した分解物を濃縮した後、水酸化ナトリウムを入れてpH6~7で中和させた後、活性炭を使って吸着精製した。使われた活性炭はフィルターを使って濾過の方法で取り除いた。活性炭が除去された精製された豚プラセンタ酸分解物を0.2μmのフィルターで除菌濾過した液を滅菌した。
【0055】
実施例3.豚プラセンタ酵素加水分解物及び酸分解物の分析
【0056】
本発明者は、豚プラセンタ酵素加水分解物と豚プラセンタ酸分解物の特性を確認するために、製造された豚プラセンタ酵素加水分解物及び酸分解物の窒素含量、アミノ酸含量及びHPLCパターンを分析する実験を遂行した。
【0057】
その結果、酵素加水分解物の場合、アミノ酸の含量が約40%で表され、酸分解物の場合、アミノ酸の含量が約80%で表れた(表1)。すなわち、酸分解物では酵素加水分解物に比べてアミノ酸含量がもっと多かったことを確認した。また、
図1に示すように、豚プラセンタ酵素加水分解物及び酸分解物のHPLCパターンも相異に表れた(
図1)。
【0058】
【0059】
【0060】
実施例4.豚プラセンタ酵素加水分解物のペプチド確認及びペプチド効能分析
【0061】
4.1.豚プラセンタ酵素加水分解物の質量クロマトグラフィー
【0062】
実施例1で得られた豚プラセンタ酵素加水分解物を試料100μlにメタノール(MeOH)500μl添加してボルテックスした後、円心分離して上澄み液600μlを新しい試験管に移して真空乾燥した。以後、乾燥したサンプルに100μlになるように水を添加した後、フィルターした液をMicroQ‐TOF III mass spectrometer(Bruker Daltonics、255748 Germany)システムとms/msイオン化分析を通じて配列分析した。
【0063】
<分析条件>
‐移動相:
A移動相:H2O/FA=100/0.2(v/v)
B移動相:Acetonitrile/FA=100/0.2(v/v)
【0064】
【0065】
前記分析結果、総17個のペプチドを分析し、uniprot data baseで豚来由ペプチド(peptide)で5個のペプチドを確認した(表3)。
【0066】
【0067】
以後、本発明では、確認された5個の豚来由ペプチドの中でピークの大きさ及び配置間再現性を確認して3個の豚来由ペプチドを指標物質に選定した(
図2及び表4)。
【0068】
【0069】
前記豚プラセンタ酵素加水分解物から確認されたペプチドと同一重量及びms/msイオン化形態を持つペプチドをエニジェン(www.anygen.com)から合成して、以後実験を行った。
【0070】
前記PEP‐1、PEP‐2及びPEP‐3ペプチドの加水分解物内の含量は1ないし25ppmで含んでいることを確認した。
【0071】
4.2.ペプチドの検証
【0072】
前記PEP‐1、PEP‐2、PEP‐3ペプチドの検証を通じて、エニジェンで合成したペプチドが豚プラセンタ酵素加水分解物内に存在するペプチドと一致することを確認するためにペプチド検証試験を行った。
【0073】
PEP‐1の場合、2つの方法でペプチドの検証を進行した。一つ目の方法として、豚プラセンタ酵素加水分解物とペプチド(VVVE)のクロマトグラムを分析した。豚プラセンタ加水分解物(A)、ペプチド(VVVE)(B)及び豚プラセンタ加水分解物に合成ペプチドをspiking(C)してクロマトグラムを確認した。その結果、豚プラセンタ加水分解物と合成ペプチドが同一ピークに判定された。これにより、ペプチドが豚プラセンタ加水分解物内に存在する成分と一致することを確認した(
図3)。二つ目の方法として、豚プラセンタ酵素加水分解物とペプチド(VVVE)MS/MSパターンを確認した。その結果、豚プラセンタ加水分解物のMS/MSパターンとペプチド(VVVE)MS/MSパターンとが一致して、ペプチドが豚プラセンタ加水分解物内に存在する成分と一致することを確認した(
図4)。
【0074】
PEP‐2の場合、一つ目の方法として、豚プラセンタ酵素加水分解物とペプチド(DGLHLR)クロマトグラムを分析した。豚プラセンタ加水分解物(A)、ペプチド(DGLHLR)(B)及び豚プラセンタ加水分解物に合成ペプチドをspiking(C)してクロマトグラムを確認した。その結果、豚プラセンタ加水分解物と合成ペプチドとが同一ピークに確認された。これにより、ペプチドが豚プラセンタ加水分解物内に存在する成分と一致することを確認した(
図5)。また、ペプチド検証の二つ目の方法として、豚プラセンタ酵素加水分解物とペプチド(DGLHLR)MS/MSパターンを確認した。その結果、豚プラセンタ加水分解物のMS/MSパターンとペプチド(DGLHLR)MS/MSパターンとが一致して、ペプチドが豚プラセンタ加水分解物内に存在する成分と一致することを確認した(
図6)。
【0075】
PEP‐3の場合、一つ目の方法として、豚プラセンタ酵素加水分解物とペプチド(DDFNPSVH)クロマトグラムを分析した。豚プラセンタ加水分解物(A)、ペプチド(DDFNPSVH)(B)及び豚プラセンタ加水分解物に合成ペプチドをspiking(C)してクロマトグラムを確認した。その結果、豚プラセンタ加水分解物と合成ペプチドとが同一ピークに確認された。これにより、ペプチドが豚プラセンタ酵素加水分解物内に存在する成分と一致することを確認した(
図7)。また、ペプチド検証の二つ目の方法として、豚プラセンタ酵素加水分解物とペプチド(DDFNPSVH)MS/MSパターンを確認した。その結果、豚プラセンタ酵素加水分解物のMS/MSパターンとペプチド(DDFNPSVH)MS/MSパターンとが一致して、ペプチドが豚プラセンタ加水分解物内に存在する成分と一致することを確認した(
図8)。
【0076】
4.3.ペプチドのHepG2細胞毒性評価
【0077】
HepG2肝臓癌細胞株を培養後、濃度別に3種の合成ペプチドを添加した後、細胞生存率を確認するためにMTT(methylthiazol tetrazolium bromide、Sigma Aldrich)を実行した。24ウェルプレート(BD、Falcon)の各ウェルに細胞を適量(1×105/well)シーディング(seeding)して、それぞれ濃度別に試料を処理し、37℃インキュベーターで24時間培養後に細胞生存率を確認した。MTT溶液(3‐(4,5‐dimethylthiazol‐2‐yl)‐2,5‐diphenyl tetrazolium bromide)を利用して4時間反応させた後、DMSOを400μlずつ入れて不溶性であるホルマザン(formazan)結晶体を溶解させ、570nmの波長でELISA読み取り機(TECAN、Infinite M200 pro)で吸光度を測定した。
【0078】
3種のペプチドに対する細胞毒性を確認した結果、PEP‐1、PEP‐2及びPEP‐3のいずれも10μg/mlまで無毒性を示した(表5)。
【0079】
4.4.ペプチドの肝細胞保護能
【0080】
肝臓癌細胞株であるHepG2細胞を24ウェルプレートに1×105/wellになるように分株し、培養した。以後、3種の合成ペプチドの肝細胞保護能を確認するために、ペプチドを濃度別に処理して23時間培養した後、肝細胞の損傷のために10mMのt‐BHPを処理して90分間培養した。MTT溶液(3‐(4,5‐dimethylthiazol‐2‐yl)‐2,5‐diphenyl tetrazolium bromide)を入れて4時間反応させた後、DMSOを400μlずつ入れて不溶性であるホルマザン(formazan)結晶体を溶解させて570nmの波長でELISA読み取り機(TECAN、Infinite M200 pro)で吸光度を測定した。
【0081】
その結果、PEP‐2及びPEP‐3は10μg/mlでそれぞれ26%及び20%の高い肝細胞保護能を示した(表5)。
【0082】
4.5.ペプチドの肝機能検事指標AST測定
【0083】
ASTを確認するために、各ウェル(1×105/well)に3種の合成ペプチドを濃度別に処理して23時間培養した後、20mMのt‐BHPを処理して3時間培養した。以後、上澄み液を取ってAspartate transaminase(AST or SGOT)Activity Colorimetric Assay Kit(BIOVISION;K753‐100)を利用して測定した。また、細胞定量のために上澄み液を取り除いて、MTT溶液(3‐(4,5‐dimethylthiazol‐2‐yl)‐2,5‐diphenyl tetrazolium bromide)を利用して4時間反応させた後、DMSOを400μlずつ入れて不溶性であるホルマザン(formazan)結晶体を溶解させて570nmの波長でELISA読み取り機(TECAN、Infinite M200 pro)で吸光度を測定した。
【0084】
その結果、PEP‐2、PEP‐3のそれぞれは、10μg/mlで最も著しいAST抑制能を示し、その数値は34%及び14%で表れた(表6)。肝細胞保護能の結果でのように、PEP‐2が最も優れる効能を示すことを確認した。
【0085】
4.6.ペプチドの肝機能検事指標ALT測定
【0086】
ALTを確認するために、各ウェル(1×105/well)に3種の合成ペプチドを濃度別に処理して23時間培養した後、20mMのt‐BHPを処理して3時間培養した。以後、上澄み液を取ってAlanine transaminase(ALT or SGPT)Activity Colorimetric/Fluorometric Assay Kit(BIOVISION;K752‐100)を利用して測定した。また、細胞定量のために上澄み液を取り除いてMTT溶液(3‐(4,5‐dimethylthiazol‐2‐yl)‐2,5‐diphenyl tetrazolium bromide)を利用して4時間反応させた後、DMSOを400μlずつ入れて不溶性であるホルマザン(formazan)結晶体を溶解させて570nmの波長でELISA読み取り機(TECAN、Infinite M200 pro)で吸光度を測定した。
【0087】
その結果、PEP‐2で優れるALT抑剤能が確認された。最大効能を示す濃度は1μg/mlで、その数値は34%に表れた(表5)。
【0088】
【0089】
実施例5.豚プラセンタ酵素加水分解物及び酸分解物の肝(liver)改善in‐vitro効能評価
【0090】
本発明者らは、豚プラセンタ酵素加水分解物及び酸分解物を人間肝臓癌細胞株に処理した後、細胞生存率を測定し、豚プラセンタ酵素加水分解物及び酸分解物の細胞毒性実験を遂行した。簡単に、HepG2人間肝臓癌細胞株を細胞培養フラスコに培養して80%コンフルエンスされた時、24ウェルプレートに1.5×105の細胞数に分株した。48時間培養した後、濃度別に各試験物質を処理して24時間追加培養した。以後、MTT溶液(3‐(4,5‐dimethylthiazol‐2‐yl)‐2,5‐diphenyl tetrazolium bromide)を利用して4時間反応させた後、DMSOを400μlずつ入れて不溶性であるホルマザン(formazan)結晶体を溶解させて570nmの波長でELISA読み取り機(TECAN、Infinite M200 pro)で吸光度を測定した。
【0091】
その結果、豚プラセンタ酵素加水分解物及び酸分解物は、総窒素0.5mg/mlの濃度まで無毒性であることを確認した(表6)。
【0092】
また、本発明者らは、豚プラセンタ酵素加水分解物及び酸分解物が肝保護効果があるか否かを確認するための実験を行った。簡単に、HepG2人間肝臓癌細胞株を細胞培養フラスコに培養した後、80%コンフルエンスされた時、24ウェルプレートに1.5×105の細胞数に分株した。48時間培養した後、濃度別に各試験物質を処理して23時間培養した。以後、t‐BHP(tert‐Butyl hydroperoxide、10mM)を細胞に1時間30分間サンプルと同時に処理した。同時処理して1時間30分後、MTTでt‐BHPによって損傷された肝損傷処理群に比べて肝細胞の保護能を確認する。
【0093】
その結果、t‐BHPを肝細胞に処理した場合、多量のROSを生成して肝細胞を損傷させることを確認した。しかし、豚プラセンタ酵素加水分解物を処理した場合、総窒素0.05mg/mlの濃度で肝細胞を約40%保護し、豚プラセンタ酸分解物は総窒素0.05mg/mlの濃度で約21%保護する効果があった(表6)。
【0094】
また、本発明者らは、豚プラセンタ酵素加水分解物及び酸分解物が肝毒性を抑剤する効果を確認するための実験を行った。HepG2人間肝臓癌細胞株を細胞培養フラスコに培養した後、80%コンフルエンスされた時、24ウェルプレートに1.5×105の細胞数に分株した。48時間培養した後、濃度別に各試験物質を処理して23時間培養した。23時間後、t‐BHP(20mM)を細胞に3時間を同時に処理し、3時間後上澄み液を得てAST及びALTアクティビティキットを利用して肝損傷指標であるAST(aspartate transminase)及びALT(alanine transminase)の量を確認した。また、MTT溶液を処理して細胞数を確認し、これを補正した。
【0095】
その結果、豚プラセンタ酵素加水分解物を総窒素0.1mg/mlの濃度で処理した場合、ASTが91%に抑剤され、豚プラセンタ酸分解物を総窒素0.1mg/mlの濃度で処理した場合、ASTが93%抑剤される効果があることを確認した。また、豚プラセンタ酵素加水分解物を総窒素0.1mg/mlの濃度で処理した場合、ALTが23%抑剤される効果があることに対し、豚プラセンタ酸分解物を処理した場合には、何ら変化がないことを確認した(表6)。
【0096】
【0097】
実施例6.豚プラセンタ酵素加水分解物と酸分解物との混合物特性分析
【0098】
本発明者らは、豚プラセンタ酵素加水分解物及び酸分解物を割合別に混合した混合物の特性を確認するために、豚プラセンタ酵素加水分解物及び酸分解物を1:1、1:2、1:3、1:4の重量比で混合した後、窒素含量及びアミノ酸含量を分析する実験を行った。
【0099】
その結果、豚プラセンタ酸分解物の混合の割合が高くなるほどアミノ酸の含量が増加することを確認した(表7)。以後の実験では豚プラセンタ酵素加水分解物及び酸分解物の混合物の中で1:3の重量比を選定し、これを低、中、高濃度の多様な濃度で効能評価を遂行した。
【0100】
【0101】
【0102】
実施例7.豚プラセンタ酵素加水分解、酸分解物及び豚プラセンタ酵素加水分解物と酸分解物との混合物のアルコール性肝損傷in vivo効能評価
【0103】
7.1.試料製造
【0104】
豚プラセンタ酵素加水分解物、酸分解物及び酵素加水分解物と酸分解物との混合物を噴霧乾燥して粉末試料を製造した。ここで、粉末試料の特性を確認するために、粉末試料の窒素含量及びアミノ酸含量を分析した(表8)。
【0105】
【0106】
【0107】
7.2.動物飼育
【0108】
本発明では、7~8週齢のSD種の白マウス(250mg前後)を購入した後、1週間の検疫及び順化期間を経て体重変化及び一般健康状態を観察した後、元気な個体を使用した。実験期間の間、1群を除いたすべての群は放射線滅菌されたラット(rat)用アルコール性食餌(Lieber Decarlie Liquid Ethanol Diet)を4週間自在に攝取させ、4週目にさらにアルコールを経口投与で週2回(火/木曜日)施行し、飲水は別途供給しなかった。飼育室の温度は23±2℃、相対湿度は40~60%を維持し、換気回数は1時間当り10~12回にした。また、光周期と暗周期が12時間になるように光を調節した。
【0109】
7.3.アルコール性食餌(Lieber DeCalie Liquid Ethanol Diet)の調剤法
【0110】
アルコール性食餌の調剤法は、次のとおりである:1)必要な重量の粉末飼料(132.28g)と67mlのアルコール(酒精)に821mlの水を添加したビーカーに入れる、2)十分な水を入れた後、塊がないように充分掻きまぜる、3)表示された1Lのところまで水を入れる、4)飼料を充分掻きまぜた後、ブレンダーに入れて30秒間交ぜる、及び5)Feeding Tube(120ml)を利用する。
【0111】
液体食餌を一般の餌箱を利用すれば、満ち溢れたり、動物の身に容易く付いて、損失量が大きくなるおそれがある。また、空気と接触される面積が広くなるので、揮発性の高いアルコールが揮発したり、その食餌が酸化されやすいため、実験に大きい影響を及ぼすことがある。よって、本実験では液体食餌用餌箱を使った。
【0112】
7.4.試験群
【0113】
試験群は次のとおりである。
(1)正常対照群
(2)陰性対照群:アルコール食餌(4週間自由給食)+30%アルコール(1.4g/kg、PO)4週目2回追加投与
(3)陽性対照群:シリマリン(silymarin、100mg/kg/day、PO)(Yang et al、2015)+30%アルコール(1.4g/kg、PO)4週目に2回追加投与
(4)豚プラセンタ酵素加水分解物と酸分解物との混合物(1:3)の高用量群:2952mg/kg/day、PO+アルコール食餌(4週間自由給食)+30%アルコール(1.4g/kg、PO)4週目に2回追加投与
(5)豚プラセンタ酵素加水分解物と酸分解物との混合物(1:3)の中用量群:1771mg/kg/day、PO+アルコール食餌(4週間自由給食)+30%アルコール(1.4g/kg、PO)4週目に2回追加投与
(6)豚プラセンタ酵素加水分解物と酸分解物との混合物(1:3)の低用量群:590mg/kg/day、PO+アルコール食餌(4週間自由給食)+30%アルコール(1.4g/kg、PO)4週目に2回追加投与
(7)豚プラセンタ酵素加水分解物の高用量群:2511mg/kg/day、PO+アルコール食餌(4週間自由給食)+30%アルコール(1.4g/kg、PO)4週目に2回追加投与
(8)豚プラセンタ酸分解物の高用量群:3282mg/kg/day、PO+アルコール食餌(4週間自由給食)+30%アルコール(1.4g/kg、PO)4週目に2回追加投与
【0114】
7.5.アルコール性肝損傷からの肝機能改善効能
【0115】
本発明者らは、試験動物を約1週間の予備飼育後、プロトコルによって4週間実験を遂行した。試験試料は毎日決まった濃度の用量で調剤して1回経口投与し、アルコール食餌は決まった調剤方法にしたがって調剤し、毎日供給して自由給食させた。4週目には決まった用量で2回さらに経口投与させた。試験4週後、12時間節食した後、心臓採血で死血させ、血液は3000rpmで円心分離した後、血清でアルコールキットとアセトアルデヒドキットで定量して血中濃度を比較分析した。また、肝毒性評価のための採血は心臓採血であって、ヘパリンチューブに入れて10,000rpmで10分間円心分離した後、肝酵素の数値を測定して肝毒性を評価した。組織の一部を取って肝組織の変化及び肝内のADH及びALDH酵素活性を評価した。すべての結果は平均と標準誤差により試験群の間の有意性をStudent’s t‐testとANOVA testで検証した。
【0116】
本発明では血清指標中に肝疾患を代弁するALP、ALT、ASTを始め、肝の合成能を代弁するアルブミンと総タンパク質量を測定して肝炎症だけでなく、肝の合成能の総合的な肝状態に対する豚プラセンタの効能を検証しようと試みた。各血清指標に対する測定値は表9に示す。
【0117】
その結果、血清アルブミン(albumin)は、総タンパク質量(total protein)と一緒に肝の合成能力を示す指標として、各群ごとに指標に有意な差が示されなかった。
【0118】
ALP(alkaline phosphatase)は、主に肝、骨組織、腸管、白血球などに分布して数値の増加は、主に肝と骨組織で起因する。本発明では、試験物質(シリマリン、豚プラセンタ抽出物)を投与する場合、陰性対照群に比べてALPが減少する傾向を示したが、特に、豚プラセンタ酵素加水分解物と酸分解物との混合物の中用量群;及び豚プラセンタ酵素加水分解物で有意に減少したことを確認した。
【0119】
ALTとASTは肝機能を示す代表的なアミノ酸転移酵素(aminotransferase)である。アルコールが投与された陰性対照群では、正常対照群に比べてALT数値が3.5倍ぐらい増加し、試験物質(シリマリン、豚プラセンタ抽出物)を投与した場合、陰性対照群に比べて減少したことを確認した。特に、豚プラセンタ酵素加水分解物と酸分解物との混合物を投与した場合には、用量依存的に減少し、豚プラセンタ酵素加水分解物と酸分解物との混合物の高用量で最も著しくALT数値が減少した。
【0120】
また、アルコールが投与された陰性対照群では、正常対照群に比べて肝毒性によってAST数値が有意に増加し、試験物質の中に酵素加水分解物の高用量を除いた全ての試験群において、AST数値が有意に減少した。特に、豚プラセンタ酵素加水分解物と酸分解物との混合物を投与した場合、ALTと同様、用量依存的にAST数値が減少したことを確認した。
【0121】
【0122】
また、肝組織内のアルコール代謝酵素であるADHの活性度を測定した結果、アルコールが投与された陰性対照群(0.85)では正常対照群(0.37)に比べてADHの活性が増加した(
図9)。また、シリマリン>豚プラセンタ混合物の低用量>豚プラセンタ混合物の中用量>豚プラセンタ混合物の高用量でADHの活性が減少する傾向を見せた。結果的に、豚プラセンタ酵素加水分解物及び酸分解物単独処理群より混合物の場合にADHの活性がさらに減少した。ただ、酸分解物を投与した群では酵素活性が有意に増加した(
図9)。
【0123】
また、肝組織内のアルコール代謝酵素であるALDHの活性度を測定した結果、アルコールが投与された陰性対照群では正常対照群に比べてALDHの活性度が増加し、シリマリンまたは豚プラセンタ抽出物を投与した群では酵素誘導作用によって増加されたALDHの活性が全般的に鈍化した(
図10)。豚プラセンタ酵素加水分解物と酸分解物との混合物では、用量依存的にアルコールの酵素誘導作用を抑剤し、豚プラセンタ混合物の高用量群で最もはっきりとALDHの活性が抑剤された(
図10)。豚プラセンタ酵素加水分解物及び酸分解物の効果は、ほぼ類似であった(
図10)。これは混合物の場合、単独処理群よりALDHの活性がもっと抑剤された。
【0124】
製造例1.健康機能食品の組成物の製造
【0125】
豚プラセンタ酵素加水分解物と酸分解物との混合物(1:3の重量比で混合)を蒸溜水にそれぞれ100mg/100ml(0.1重量%)、または15,000mg/100mL(15重量%)濃度で溶かした溶液に、それぞれ液状果糖(0.5重量%)、オリゴ糖(2重量%)、砂糖(2重量%)、及び食塩(0.5重量%)に水を追加して残量を合わせた後、均質するように配合して瞬間殺菌して健康機能飲料を製造した。
【0126】
製造例2.薬学的組成物の製造
【0127】
豚プラセンタ酵素加水分解物と酸分解物との混合物(1:3の重量比で混合)1mgを蒸溜水または生理食塩水5mlに溶かし、滅菌して注射剤に製造した。または、バイアルに凍結乾燥した後、粉末製剤に製造した。豚プラセンタ加水分解物100mg、とうもろこし澱粉100mg、乳糖100mg、ステアリン酸マグネシウム2mgをゼラチンカプセルに充填してカプセル剤を製造した。
【配列表】
【国際調査報告】