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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】粉砕装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B02C 13/06 20060101AFI20240709BHJP
   B02C 23/18 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
B02C13/06
B02C23/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024524012
(86)(22)【出願日】2022-07-08
(85)【翻訳文提出日】2024-03-05
(86)【国際出願番号】 AU2022050713
(87)【国際公開番号】W WO2023279165
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】2021902111
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524011948
【氏名又は名称】アンドレ,アクセル・グンサー
【氏名又は名称原語表記】ANDRE, AXEL GUENTHER
(71)【出願人】
【識別番号】524011959
【氏名又は名称】フード・プロセス・エンジニアリング・プロプライエタリー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】FOOD PROCESS ENGINEERING PTY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ,アクセル・グンサー
(72)【発明者】
【氏名】ハム,ブライアント・ヘドリー
【テーマコード(参考)】
4D065
4D067
【Fターム(参考)】
4D065AA04
4D065BB04
4D067EE34
(57)【要約】
本開示は、粉砕装置および粉砕の方法に関する。粉砕装置を、衝撃式粉砕、および装置内の粒子が衝突して粒子がさらに分解される自生粉砕で動作させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路を有するハウジングであって、前記流路は前記ハウジングを通って供給材料を運ぶハウジングと、
前記ハウジング内でスピンドル上に配置されたロータであって、前記供給材料に衝突し、かつ前記供給材料を前記ハウジングを巡って駆動して前記供給材料の自生粉砕を生じさせる2つ以上のブレードを有するロータと
を含んでおり、
前記ハウジングは、前記ロータの上流に前記供給材料を供給する供給入口と、前記ロータの下流の生成物出口とを有し、
前記スピンドルは、前記ハウジング内へと延び、前記流路から少なくとも部分的に遮蔽されたベアリング上に取り付けられている、粉砕装置。
【請求項2】
前記ベアリングは、前記流路の外部かつ前記ハウジング内に配置される、請求項1に記載の粉砕装置。
【請求項3】
使用時に、前記ベアリングは、前記ハウジングの中央領域における空気の圧力とは異なる空気の圧力に曝される、請求項2に記載の粉砕装置。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記流路の環状部分の少なくとも一部を定める壁形成部を含み、前記環状部分は、前記スピンドルの軸方向の奥行きを有し、前記壁形成部は、前記スピンドルが前記流路から遮蔽されるように前記スピンドルおよび前記ロータの後面に向かって収束する、先行する請求項のいずれかに記載の粉砕装置。
【請求項5】
前記壁形成部は、前記スピンドルが延出するすき間を定める、請求項4に記載の粉砕装置。
【請求項6】
前記壁形成部は、前記スピンドルおよび前記スピンドルが取り付けられたスピンドル取り付けアセンブリの少なくとも一部分の周りに、前記スピンドル取り付けアセンブリが少なくとも部分的に前記装置の前記流路から遮蔽され、あるいは前記装置の前記流路の外部に位置するように、プレナムチャンバを定める、請求項4または5に記載の粉砕装置。
【請求項7】
前記壁形成部は、後壁およびバッフルを含み、前記バッフルは、前記後壁から前記スピンドルに向かい、かつ前記ロータの前記後面に向かって延びる、請求項4~6のいずれか1項に記載の粉砕装置。
【請求項8】
前記バッフルは、前記スピンドルの周りに前記プレナムチャンバを定める間隔を空けて前記スピンドルの周りに配置される、請求項7に記載の粉砕装置。
【請求項9】
前記プレナムチャンバは、少なくとも部分的に前記バッフルと前記スピンドルとの間に位置する、請求項7または8に記載の粉砕装置。
【請求項10】
前記後壁は、前記スピンドルに向かって延び、前記プレナムチャンバを部分的に定める、請求項7~9のいずれか1項に記載の粉砕装置。
【請求項11】
前記プレナムチャンバは、前記ハウジングの内部に位置する、請求項6に従属するときの請求項7~10のいずれか1項に記載の粉砕装置。
【請求項12】
前記バッフルは、前記スピンドルの周りに配置された内壁と、前記スピンドルが前記バッフルに接触することなく回転することを可能にし、かつ前記プレナムチャンバと前記流路との間の空気の通過を制限することを可能にするすき間によって、i)前記スピンドル、またはii)前記ロータの少なくとも一方または組み合わせから離隔した内縁とを含む、請求項7~9のいずれか1項に記載の粉砕装置。
【請求項13】
前記プレナムチャンバは、前記ハウジングの外部からの空気を前記プレナムチャンバに進入させること、および前記すき間を通って引き出すことを可能にする空気入口を有する、請求項12に記載の粉砕装置。
【請求項14】
使用時に、前記ロータを動作させることで、前記ハウジング内に、前記ハウジングの中央領域に減圧ゾーンを有する圧力勾配が生じ、前記バッフルと前記スピンドルおよび/または前記ロータとの間の前記すき間は、制限された空気の通過を前記すき間を通って引き出すことを可能にして、前記空気入口を通って前記プレナムチャンバへと空気を引き込むことで、前記プレナムチャンバを通り前記スピンドルの少なくとも外側を覆う空気の流れを生成することによってスピンドルを冷却する、請求項12または13に記載の粉砕装置。
【請求項15】
前記ベアリングと前記ロータの後部とが、2~250mm、好ましくは5~250mm、好ましくは10~200mmの範囲の間隔によって離隔している、先行する請求項のいずれか1項に記載の粉砕装置。
【請求項16】
前記ベアリングは、前記装置の前記流路の外部に位置する、先行する請求項のいずれか1項に記載の粉砕装置。
【請求項17】
前記ベアリングは、前記プレナムチャンバの内部に位置する、請求項6に従属するときの請求項15または16に記載の粉砕装置。
【請求項18】
前記バッフルは、前記ロータの後面に面する端壁を含む、請求項7に従属するときの請求項7~18のいずれか1項に記載の粉砕装置。
【請求項19】
前記端壁は、前記流路に面する前記ロータの後面の面積を限定するすき間によって前記ロータの前記後面から離隔している、請求項7に従属するときの請求項7~18のいずれか1項に記載の粉砕装置。
【請求項20】
前記端壁は、前記バッフルの前記内壁から外側へと延び、前記ロータ上の後部ブレードの表面の10~60パーセントを覆い、好適には前記ロータ上の前記後部ブレードの表面の25~50パーセントを覆う、請求項19に記載の粉砕装置。
【請求項21】
前記ハウジングは、前記流路にアクセスするための取り外し可能な前壁と、前記前壁を閉位置に固定するためのリリース機構とを含み、前記リリース機構は、回転するロックリングを含み、前記ロックリングは、前記閉位置にあるときに前記前壁上の係合ノッチと係合するロック用ノッチを有する、先行する請求項のいずれか1項に記載の粉砕装置。
【請求項22】
前記ロックリングを、時計回りおよび反時計回りに回転させることができ、前記ロック用ノッチは、前記前壁の開放を可能にするために前記係合ノッチの間の間隙に整列し、前記ロックリングは、前記閉位置にあるときに前記ロック用ノッチを前記係合ノッチに整列させて前記係合ノッチに押し付けるために回転させられる、請求項21に記載の粉砕装置。
【請求項23】
前記生成物出口は、粉砕された生成物を前記ハウジングから接線方向に排出することを可能にする第1の出口開口部を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の粉砕装置。
【請求項24】
前記生成物出口は、粉砕された生成物を前記流路から横方向に排出することを可能にする第2の出口を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の粉砕装置。
【請求項25】
前記ロータを、前記ロータの外周が最大1200km/時の速度、好適には700~1200km/時の範囲内の速度、さらにより好適には900~1200km/時の範囲内の速度を有するように動作させることができる、先行する請求項のいずれか1項に記載の粉砕装置。
【請求項26】
前記スピンドルはモータによって駆動され、前記モータおよび前記スピンドルは、ループ状の連続ベルトによって動作可能に接続されたプーリを有する、先行する請求項のいずれか1項に記載の粉砕装置。
【請求項27】
前記ハウジングから前記スピンドルに向かって内側へと延びる分級リングを有する、先行する請求項のいずれか1項に記載の粉砕装置。
【請求項28】
前記分級リングは、前記ロータに対する動作位置を前記ハウジング上に有し、前記動作位置は、調整可能である、請求項27に記載の粉砕装置。
【請求項29】
前記分級リングは、前記ハウジングの前記側壁から鋭角にて、120°~170°の範囲内の角度で前記ロータの後部から遠ざかるように延びる傾斜面を有し、好適には、前記傾斜面は、125°~165°の範囲内の鋭角にて延びる、請求項27または28に記載の粉砕装置。
【請求項30】
前記ハウジング内へと延びている前記スピンドルを冷却し、したがって前記スピンドルの潤滑された前記ベアリングの前記潤滑剤を冷却する第1の冷却アセンブリを有する、先行する請求項のいずれか1項に記載の粉砕装置。
【請求項31】
前記第1の冷却アセンブリは、前記スピンドルの周りの第1の冷却ジャケットをさらに含んでよい、請求項30に記載の粉砕装置。
【請求項32】
前記ハウジングを冷却するために前記ハウジングの少なくとも一部の周りに配置された第2の冷却ジャケットを含む第2の冷却アセンブリを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の粉砕装置。
【請求項33】
前記スピンドルの温度を検出する第1の温度センサと、前記第1の温度センサの出力に基づいて前記第1の冷却アセンブリを通る冷却媒体の流れを調整するための第1のアジャスタとを含む、請求項30または31に記載の粉砕装置。
【請求項34】
前記ハウジングの温度を検出する第2の温度センサと、前記第2の温度センサの出力に基づいて前記第2の冷却アセンブリを通る冷却媒体の流れを調整するための第2のアジャスタとを含む、請求項32に記載の粉砕装置。
【請求項35】
同時に衝撃式粉砕モードおよび自生粉砕モードにて動作させることができる、先行する請求項のいずれか1項に記載の粉砕装置。
【請求項36】
請求項1~35のいずれか1項に記載の粉砕装置を動作させる方法。
【請求項37】
粉砕装置において供給材料を粉砕する方法であって、
粉砕される材料を流路を有するハウジング内へと供給することと、
2つ以上のブレードを有しており、前記ハウジング内でスピンドル上に配置されたロータを、前記供給材料に衝突して衝撃式粉砕を生じさせるとともに、前記供給材料を前記ハウジングを巡って駆動して自生粉砕を生じさせるように動作させることであって、前記スピンドルは、前記ハウジング内へと延び、前記流路から少なくとも部分的に遮蔽されたベアリング上に取り付けられている、ことと、
粉砕された生成物を前記ロータの下流で前記流路から排出することと
を含む方法。
【請求項38】
前記ロータを動作させることは、前記ベアリングを前記ハウジングの中央領域における圧力とは異なる圧力に曝すことを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記スピンドルの軸方向に環状構成の奥行きを定める壁形成部を配置することを含み、前記壁形成部は、前記スピンドルを前記装置の前記流路の外部に位置させることによって、前記スピンドルを取り付けるベアリングからの潤滑剤の漏出のリスクを最小化するように、前記スピンドルおよび前記ロータの後面に向かって収束する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記壁形成部に後壁およびバッフルを設け、前記バッフルは、前記スピンドルの周りに配置された内壁と、i)前記スピンドルまたはii)前記ロータの少なくとも一方または組み合わせからすき間によって離隔した端壁とを含むこと
を含み、
前記ロータを動作させることで、前記ハウジング内に、前記ハウジングの中央領域に減圧ゾーンを有する圧力勾配が生じ、前記バッフルと前記スピンドルおよび/または前記ロータとの間の前記すき間は、制限された空気の通過を前記すき間を通って引き出すことを可能にすることにより、前記スピンドルを取り付けるベアリングからの潤滑剤の漏出のリスクを最小化する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
端壁のサイズが異なる一式のバッフルから前記バッフルを選択することによって、前記ロータの前記ブレードの前記後面の被覆率を選択すること
を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前壁の固定と保守を可能にするための開放とのために、前記前壁上の係合ノッチと係合するロック用ノッチを有しているロックリングを含むリリース機構を動作させることと、前記ロックリングを回転させることとを含み、前記ロック用ノッチは、前記前壁の開放を可能にするために前記係合ノッチの間の間隙に整列し、前記ロックリングは、前記前壁をロックするために前記ロック用ノッチを前記係合ノッチに整列させるように回転させられる、請求項36~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記ロータを、前記ロータの外周が最大1200km/時の速度、好適には700~1200km/時の範囲内の速度、さらにより好適には900~1200km/時の範囲内の速度を有するように動作させること
を含む、請求項36~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記粉砕装置に、前記ハウジングから前記スピンドルに向かって内側へと延びる分級リングを設けることと、前記ロータに対する前記分級リングの位置を移動させることによって前記分級リングの動作位置を調整して、粉砕された生成物の滞留を変化させることと、を含む、請求項36~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記粉砕装置は、前記ハウジング内へと延びる前記スピンドルを冷却するように配置された第1の冷却アセンブリを有し、前記方法は、前記第1の冷却アセンブリおよび前記スピンドルの前記潤滑されたベアリングの潤滑剤を冷却するように前記第1の冷却アセンブリを動作させることを含む、請求項36~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記粉砕装置は、第2の冷却アセンブリを含み、前記方法は、前記ハウジングを冷却するために前記第2の冷却アセンブリを動作させることを含む、請求項36~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記スピンドルおよび/または前記ハウジングの温度を感知することと、前記スピンドルおよび前記ハウジングの温度を制御するために前記第1の冷却アセンブリおよび/または第2の冷却アセンブリを調整することと、を含む、請求項42または43に記載の方法。
【請求項48】
流路を有するハウジングであって、前記流路は、前記ハウジングを通って供給材料を運ぶハウジングと、
前記ハウジング内でスピンドル上に配置されたロータであって、前記供給材料に衝突し、かつ前記供給材料を前記ハウジングを巡って駆動して前記供給材料の自生粉砕を生じさせる2つ以上のブレードを有しているロータと
を含んでおり、
前記ハウジングは、前記ロータの上流に前記供給材料を供給するための供給入口と、前記ロータの下流の生成物出口とを有し、
前記流路が前記ロータの下流の環状部分を有し、前記生成物出口が、粉砕された供給材料を前記環状部分から排出するように位置するように、前記ハウジング内に配置されたバッフル
を含む、粉砕装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2022年7月9日に出願されたオーストラリア仮出願第2021902111号の優先権を主張し、その内容は、ここでの言及によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の分野
本発明は、粉砕装置および粉砕の方法に関する。
【0003】
本発明の背景
粉砕装置を、決してこれらに限られるわけではないが、プラスチック、ガラス、および金属などのリサイクル可能な材料の粒子を形成する、生分解性材料から粒子を形成する、繊維および石膏などの脆性の異なる材料を分離する、などのさまざまな目的のために使用することができる。粉砕装置は、粉砕されるべき材料に打撃面または切断刃によって衝撃を加える衝撃式粉砕や、供給材料の一部が互いに衝突することで、材料の小粒子への分解が生じる自生粉砕など、さまざまなやり方で機能することができる。
【0004】
目的は、新たな粉砕装置を提供することである。
発明の概要
一実施形態は、
流路を有するハウジングであって、流路は、ハウジングを通って供給材料を運ぶハウジングと、
ハウジング内でスピンドル上に配置されたロータであって、供給材料に衝突し、かつ前記供給材料を前記ハウジングを巡って駆動して前記供給材料の自生粉砕を生じさせる2つ以上のブレードを有しているロータと
を含んでおり、
ハウジングは、ロータの上流に供給材料を供給するための供給入口と、ロータの下流の生成物出口とを有し、
流路がロータの下流の環状部分を有し、生成物出口が粉砕された供給材料を環状部分から排出するように位置するように、ハウジング内にバッフルが配置されている、粉砕装置に関する。
【0005】
一実施形態は、
流路を有するハウジングであって、流路は、ハウジングを通って供給材料を運ぶハウジングと、
ハウジング内でスピンドル上に配置されたロータであって、供給材料に衝突し、かつ供給材料をハウジングを巡って駆動して供給材料の自生粉砕を生じさせる2つ以上のブレードを有するロータと
を含んでおり、
ハウジングは、ロータの上流に供給材料を供給する供給入口と、ロータの下流の生成物出口とを有し、
スピンドルは、ハウジング内へと延び、流路から少なくとも部分的に遮蔽されたベアリング上に取り付けられている、粉砕装置に関する。
【0006】
理論によって制限されることを望むものではないが、高速でのロータの動作は、ハウジング内に圧力勾配を生成することができる。具体的には、高速でのロータの回転は、ハウジング内の空気をハウジングの外側側壁に向かって押して、ロータの回転軸の付近のハウジングの中央領域に減圧ゾーンを生じさせ、ハウジングの外側側壁に向かって圧力の高いゾーンを生じさせる。この実施形態の利点の1つは、スピンドルが流路内の圧力に曝される必要がなく、したがって、スピンドルを取り付けるベアリングからの潤滑剤の漏出の可能性が低くなることである。すなわち、ベアリングが、流路から少なくとも部分的に遮蔽される。本明細書の全体を通して、ベアリングが「流路から少なくとも部分的に遮蔽される」という表現は、ベアリングが流路の圧力条件と比べて効果的または実質的に制御された圧力環境にあることを包含する。
【0007】
この実施形態の利点の1つは、ベアリングからの潤滑剤の漏出を最小限に抑えることができることである。
【0008】
ベアリングは、流路の外部かつハウジング内に配置されてよい。
粉砕装置の使用時に、ベアリングは、ハウジングの中央領域における空気の圧力とは異なる空気の圧力に曝される。
【0009】
ハウジングは、流路の環状部分の少なくとも一部を定める壁形成部を含み得るものであり、環状部分は、スピンドルの軸方向の奥行きを有し、壁形成部は、スピンドルが流路から少なくとも部分的に遮蔽されるようにスピンドルおよびロータの後面に向かって収束する。
【0010】
スピンドルは、環状部分の外部に配置されたベアリングに取り付けられ得る。
適切には、ベアリングは、環状部分の外部かつハウジング内に配置される。これによってもたらされる利点は、ベアリングをベアリングによるスピンドルおよびロータの支持が可能な位置に位置させながら、潤滑剤の漏出を最小にできることである。
【0011】
ロータに最大限の支持を提供するために、ベアリングとロータの後部との間の距離は、できる限り小さくてよい。一例において、間隔は2~250mmの範囲であってよい。別の例において、間隔は5~250mmの範囲であってよい。別の例において、間隔は10~200の範囲であってよい。別の例において、間隔は20~150mmの範囲であってよい。別の例において、間隔は30~100mmの範囲であってよい。別の例において、間隔は40~100mmの範囲であってよい。別の例において、間隔は50~80mmの範囲であってよい。別の例において、間隔は50~70mmの範囲であってよい。別の例において、間隔は50~60mmの範囲であってよい。
【0012】
使用時に、ベアリングは、ハウジングの中央領域における空気の圧力とは異なる空気の圧力に曝される。ベアリングが曝される空気の圧力は、ハウジングの中央領域における空気の圧力よりも高くなると考えられる。
【0013】
流路は、ロータの下流に環状部分を有してよく、生成物出口は、粉砕された供給材料を環状部分から排出するように配置される。
【0014】
粉砕装置を衝撃式粉砕モードおよび自生粉砕モードで動作させることができる。衝撃式粉砕モードおよび自生粉砕モードは同時に動作させてもよい。
【0015】
ロータおよびハウジングの少なくとも一部が、環状部分を定める。
ハウジングは、スピンドルの軸方向の環状部分の奥行きを定める壁形成部を含み、壁形成部は、スピンドルが流路から少なくとも部分的に遮蔽されるようにスピンドルおよびロータの後面に向かって収束する。壁形成部とスピンドルとの間にすき間が設けられ、このすき間を通ってスピンドルが延び、スピンドルが回転することを可能にする。一実施形態において、壁形成部は、スピンドルのベアリングを流路から少なくとも部分的に遮蔽する。すき間が存在する条件でスピンドルを回転させる必要性は、ベアリングが流路から少なくとも部分的に遮蔽されることを意味する。
【0016】
壁形成部は、スピンドルおよびスピンドルが取り付けられるスピンドル取り付けアセンブリの少なくとも一部の周りにプレナムチャンバを定め得る。換言すると、スピンドル取り付けアセンブリは遮蔽され、あるいは装置の流路の外部に位置する。スピンドル取り付けアセンブリは、ベアリングを収容するスピンドルハウジングを含み得る。
【0017】
壁形成部は、後壁およびバッフルを含み得るものであり、バッフルは、スピンドルおよびロータの後面に向かって延びる。バッフルは、スピンドルの周りにプレナムチャンバを定める間隔を空けてスピンドルの周りに配置されてよい。すなわち、プレナムチャンバは、バッフルとスピンドルとの間に少なくとも部分的に配置されてよい。さらに、後壁は、スピンドルに向かって延びてよく、好適にはスピンドルに向かって側方に延びてよく、プレナムチャンバを部分的に定める。
【0018】
プレナムチャンバは、ハウジングの内部に配置されてよい。
バッフルは、スピンドルの周りに配置された内壁を含み得る。
【0019】
バッフル壁は、スピンドルがバッフルに接触することなく回転することを可能にし、かつプレナムチャンバと流路との間の空気の制限された通過を可能にするすき間によって、i)スピンドルまたはii)ロータの少なくとも一方または組み合わせから離隔した内縁を有する。例えば、すき間は、プレナムチャンバからすき間を通って流路へと至る空気の制限された通過を可能にする。すき間は、空気の制限された通過を可能にすることができるが、ベアリングは、ベアリングにおける圧力条件が制御され、粉砕装置の使用時に流路内の圧力条件とは相違するように、流路から効果的かつ実質的に遮蔽される。
【0020】
さらに、プレナムチャンバは、ハウジングの外部からの空気をプレナムチャンバに進入させること、およびすき間を通って引き出すことを可能にする空気入口を含んでよい。すなわち、空気入口は、周囲空気が流路に進入することを可能にし得る。
【0021】
バッフルとスピンドルとの間のすき間は、減圧ゾーンに隣接してもよく、プレナムチャンバから減圧ゾーンへと空気が引き込まれる。次いで、すき間を通って引き込まれる空気の流れは、空気入口を通ってプレナムチャンバへと空気を引き込み、プレナムチャンバを通って少なくともスピンドルの外側を覆う空気の通路を形成する。装置の動作によってスピンドルに熱が生じる場合に、スピンドルを覆い、すき間を通って流れる空気が、スピンドルを冷却することができる。スピンドルを冷却することにより、スピンドルのベアリングを冷却することができる。
【0022】
スピンドルは、少なくとも1つの潤滑されたベアリングに取り付けられてよい。例えば、スピンドルは、第1および第2の潤滑されたベアリングに取り付けられてよく、第1の潤滑されたベアリングは、ロータに近接して配置され、第2の潤滑されたベアリングは、ロータから離れて配置される。
【0023】
一実施形態において、装置は、装置の流路の外部に位置する第1の潤滑されたベアリングを含み得る。この場合、第1の潤滑されたベアリングは、ベアリングから潤滑剤を吸引する可能性がある減圧ゾーンに直接曝されることがない。例えば、第1の潤滑されたシールは、プレナムチャンバ内に配置されてよい。さらに、装置は、ハウジングの外部に配置されたスピンドルを取り付けるための第2の潤滑されたベアリングを含み得る。
【0024】
別の実施形態においては、第1および第2の潤滑されたベアリングが、ハウジングの外部に配置されてよい。
【0025】
バッフルは、内壁に対して横方向に配置された端壁を含み得るものであり、端壁はロータの後面に面する。
【0026】
バッフルの内壁は、円筒形であってよく、したがって内壁を内側円筒壁と呼ぶ場合がある。
【0027】
バッフルは、環がスピンドルと同心になるように配置されてよい。
一実施形態において、バッフルの境界は、空気がロータへの開放された遮るもののない通路を有するロータの領域を定めることができる。バッフルがない場合、装置を通る空気の流量は、ロータの影響を大きく受ける可能性がある。
【0028】
一実施形態において、端壁は、流路に面するロータの後面の面積を限定するすき間によってロータの後面から離隔している。換言すると、端壁は、空気の流量、供給材料を通る粉砕された材料の流量、ひいては粉砕された生成物の滞留時間を制御することができる。これは、粉砕された生成物の粒径および乾燥度に影響を及ぼし得る。
【0029】
端壁は、バッフルの内壁から外側へと延び、ロータ上の後部ブレードの表面の10~60パーセント、好適にはロータ上の後部ブレードの表面の25~50パーセントを覆う。
【0030】
さらに、ハウジングは、流路にアクセスするための取り外し可能な前壁を含んでよい。一実施形態において、ハウジングは、前壁を閉位置に固定するためのリリース機構を含んでよい。例えば、リリース機構は、回転するロックリングを含み得るものであり、ロックリングは、閉位置にあるときに前壁上の係合ノッチに係合するロック用ノッチを有する。ロックリングを、ロック用ノッチが係合ノッチからずれ、すなわち係合ノッチの間の間隙に整列して、前壁の開放を可能にするように回転させてよく、かつ、ロックリングを、閉位置にあるときにロック用ノッチを係合ノッチに整列させて、係合ノッチに押し付けるように回転させる。一例においては、ロック用ノッチと係合ノッチとを整列させたり、ずらしたりするために、ロックリングを時計回りおよび反時計回りに回転させてよい。別の例においては、ロック用ノッチと係合ノッチとを整列させたり、ずらしたりするために、ロックリングを同じ方向に回転させることができる。
【0031】
装置は、前壁をロックおよび解放するためにロックリングを時計回りおよび反時計回りに回転させるためのアクチュエータを有してよい。
【0032】
ハウジングの外側側壁は、ハウジングの周囲を巡って延びてよく、前壁および後壁が、外側側壁の端部に対向して配置される。ロータは、前壁に面する前部と、後壁に面する後部とを有してよい。ロータは、外側側壁に面する周囲部分を有してよい。
【0033】
ハウジングの外側側壁は、円筒形であってよい。すなわち、外側側壁は、外側円筒壁であってよい。
【0034】
供給入口は、前壁に設けられてよい。
供給入口は、ロータの回転軸に対して同心に設けられてもよい。
【0035】
一実施形態において、スピンドルは、水平軸を中心にして回転し得る。
別の実施形態において、スピンドルは、垂直軸を中心にして回転し得る。
【0036】
生成物出口は、粉砕された生成物をハウジングから接線方向に排出することを可能にする第1の出口開口部を含み得る。例えば、第1の出口開口部は、流路の環状部分の一部を定めるハウジングの側壁に配置されてよく、粉砕された材料がハウジングから接線方向に排出されることを可能にするように配置された排出パイプを含む。
【0037】
生成物出口は、粉砕された生成物を流路から横方向に排出することを可能にする第2の出口を含み得る。例えば、第2の開口部は、流路の環状部分の一部を定めるハウジングの後壁などの壁形成部に配置されてよい。第1および第2の出口開口部を同時に動作させることも可能であるが、通常は、第1および第2の出口の一方のみが、粉砕装置の動作の最中に使用される。この場合、第1および第2の出口開口部のいずれか一方に栓を配置して、他方の使用を可能にすることができる。
【0038】
ロータは、スピンドルに向かって負圧を生成する高速ロータであってよい。
ロータを、ロータの外周が最大1200km/時の速度、好適には700~1200km/時の範囲の速度、さらにより好適には900~1200km/時の範囲の速度を有するように動作させ得る。
【0039】
ロータは、任意の適切な伝達装置を使用してモータによって駆動されてよい。例えば、モータおよびスピンドルは、ループ状(連続)ベルトによって動作可能に接続されたプーリを有してよい。
【0040】
粉砕装置は、ハウジングのスピンドルに向かって内側に延びる分級リングを有してよい。分級リングは、ハウジングの外側側壁からスピンドルに向かって延びてよい。
【0041】
分級リングは、ロータの後部に対して配置されてよい。換言すると、分級リングは、ロータの下流に配置されてよい。
【0042】
ロータに対する分級リングの位置は、調整可能であってよい。
分級リングの調整可能性は、選択された固定点に分級リングを固定するための複数の固定点を含んでよい。
【0043】
分級リングは、ハウジングの側壁から鋭角に延び、ロータの後部から120°~170°の範囲の角度で離れるように延びる傾斜面を有してよい。好適には、傾斜面は、125°~165°の範囲の鋭角で延びる。
【0044】
粉砕装置は、ハウジング内へと延びているスピンドルを冷却し、したがってスピンドルの潤滑されたベアリングの潤滑剤を冷却する第1の冷却アセンブリを有してよい。
【0045】
第1の冷却アセンブリは、部分的に、プレナムチャンバを通過する空気流をもたらし得る。それは、空気入口を介し、スピンドルを横切り、次いで空隙を通って進入する空気の流れによる。
【0046】
第1の冷却アセンブリは、スピンドルの周りの第1の冷却ジャケットをさらに含んでよい。冷却ジャケットは、冷却水のためのスピンドルの周りの水路を含む。
【0047】
粉砕装置は、ハウジングを冷却するためにハウジングの少なくとも一部の周りに配置された第2の冷却ジャケットを含む第2の冷却アセンブリを含み得る。
【0048】
粉砕装置は、スピンドルの温度を検出する温度センサと、ウォータージャケットを通る冷却水の流れを調整するためのウォーターバルブと、温度センサからの出力信号を受信してウォーターバルブを動作させるアクチュエータとを含み得る。
【0049】
一実施形態は、粉砕装置において供給材料を粉砕するための方法に関し、このプロセスは、
粉砕される材料を、流路を有するハウジング内へと供給するステップと、
供給材料をハウジングを通る流路に沿って運ぶステップと、
2つ以上のブレードを有しており、ハウジング内でスピンドル上に配置されたロータを、ロータが供給材料に衝突して衝撃式粉砕を生じさせるとともに、供給材料をハウジングを巡って駆動して自生粉砕を生じさせるように、動作させるステップと
を含み、
装置は、流路がロータの下流の環状部分を有し、出口が粉砕された供給材料を環状部分から排出するように位置するように、ハウジング内に配置されたバッフルを有する。
【0050】
一実施形態は、
粉砕される材料を、流路を有するハウジング内へと供給するステップと、
2つ以上のブレードを有しており、ハウジング内でスピンドル上に配置され、スピンドルは、ハウジング内へと延び、流路から少なくとも部分的に遮蔽されたベアリング上に取り付けられているロータを、供給材料に衝突して衝撃式粉砕を生じさせるとともに、供給材料をハウジングを巡って駆動して自生粉砕を生じさせるように、動作させるステップと、
粉砕された生成物をロータの下流で流路から排出するステップと
を含む方法に関する。
【0051】
本方法において、ロータを動作させることは、ベアリングをハウジングの中央領域における圧力とは異なる圧力に曝すことを含み得る。
【0052】
本方法は、スピンドルの軸方向に環状構成の奥行きを定める壁形成部を配置することを含み得るものであり、壁形成部は、スピンドルを装置の流路の外部に位置させることによって、スピンドルを取り付けるベアリングからの潤滑剤の漏出のリスクを最小化するように、スピンドルおよびロータの後面に向かって収束する。
【0053】
本方法は、
壁形成部に後壁およびバッフルを設けること
を含み得るものであり、
バッフルは、スピンドルの周りに配置された内壁と、i)スピンドルまたはii)ロータの少なくとも一方または組み合わせからすき間によって離隔した端壁とを含み、
ロータを動作させることで、ハウジング内に、ハウジングの中央領域に減圧ゾーンを有する圧力勾配が生じ、バッフルとスピンドルおよび/またはロータとの間のすき間は、制限された空気の通過をすき間を通って引き出すことを可能にすることにより、スピンドルを取り付けるベアリングからの潤滑剤の漏出のリスクを最小化する。
【0054】
本方法は、端壁のサイズが異なる一式のバッフルからバッフルを選択することによって、ロータのブレードの後面の被覆率を選択することを含み得る。
【0055】
本方法は、前壁の固定と保守を可能にするための開放とのために、前壁上の係合ノッチと係合するロック用ノッチを有しているロックリングを含むリリース機構を動作させることと、ロックリングを回転させることとを含み得るものであり、ロック用ノッチは、前壁の開放を可能にするために係合ノッチの間の間隙に整列し、ロックリングは、前壁をロックするためにロック用ノッチを係合ノッチに整列させるように回転させられる。
【0056】
本方法は、ロータの外周が最大1200km/時の速度、好適には700~1200km/時の範囲の速度、さらにより好適には900~1200km/時の範囲の速度を有するように、ロータを動作させることを含み得る。
【0057】
本方法は、粉砕装置に、ハウジングからスピンドルに向かって内側へと延びる分級リングを設けることと、ロータに対する分級リングの位置を移動させることによって分級リングの動作位置を調整して、粉砕された生成物の滞留を変化させることとを含み得る。
【0058】
粉砕装置は、ハウジング内へと延びるスピンドルを冷却するように配置された第1の冷却アセンブリを有し得るものであり、本方法は、第1の冷却アセンブリおよびスピンドルの潤滑されたベアリングの潤滑剤を冷却するように第1の冷却アセンブリを動作させることを含み得る。
【0059】
粉砕装置は、第2の冷却アセンブリを含み得るものであり、本方法は、第2の冷却アセンブリを動作させてハウジングを冷却することを含み得る。
【0060】
本方法は、スピンドルおよび/またはハウジングの温度を感知することと、スピンドルおよびハウジングの温度を制御するために第1の冷却アセンブリおよび/または第2の冷却アセンブリを調整することとを含み得る。
【0061】
さらに、本方法は、本明細書に記載の粉砕装置の特徴のいずれか1つまたは組み合わせを含み得る。
【0062】
一実施形態は、
ハウジングおよび供給材料のためのハウジングを通る流路
を含んでおり、
ハウジングは、供給材料を流路へと供給するための入口と、粉砕された供給材料を排出するための出口とを有している、粉砕装置であって、
ハウジング内でスピンドル上に配置され、供給材料に衝突し、かつ供給材料をハウジングを巡って駆動して供給材料の自生粉砕を生じさせる2つ以上のブレードを有するロータと、
スピンドルのハウジング内へと突出する部分を冷却し、したがってスピンドルのベアリングを冷却する冷却アセンブリと
を含む粉砕装置に関する。
【0063】
直上の段落で説明した粉砕装置は、本明細書で説明した粉砕装置の特徴のいずれか1つまたは組み合わせをさらに含み得る。
【0064】
図面の簡単な説明
次に、本発明の好ましい実施形態を、以下のように要約し得る添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1】ベースと、ベースの前端部に位置するミルハウジングと、ミルハウジング内へと延びるスピンドル上に配置されたロータと、ベースの後端部に位置し、スピンドルを駆動する電気モータとを備える粉砕装置の斜視図であり、ハウジングは、ロータの上流に供給材料を供給するための供給入口と、ロータの下流の生成物出口とを有している。ミルハウジングは、ロータを見て取ることができるように透明にして示されている。
図2図1に示したハウジング、ハウジング内のロータ、ロータが取り付けられたスピンドル、およびスピンドルハウジングの水平断面図である。
図3】ベアリングと、ベアリングを冷却するための冷却アセンブリと、スピンドルの周りのプレナムチャンバと、ハウジングを通る流路の環状部分の一部とを含むハウジングの中央領域の拡大図である。
図4】冷却アセンブリの一部を形成する空気入口、空気出口、水入口、および水出口を示すスピンドルの長手軸を通る端部断面図である。
図5図1および図2に示したハウジングの分解図であり、ロータ、スピンドル、およびバッフルは省略されている。
図6図1および図2に示したロータの正面図である。
図7図1および図2に示したロータの斜視図である。
図8】代案の実施形態によるロータの斜視図である。
図9】ミリングハウジングについて、前壁と、側壁と、排出管と、一方を稼働時にミリングハウジングの内側に取り付けることができる2つの分級リングと、前壁を側壁に解放可能にロックするためのクイックリリースロックアセンブリとを含む一部分の分解図である。
図10図1図9に示した粉砕装置を動作させるための方法ステップを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
詳細な説明
次に、添付の図面に示されている特徴に対応する参照番号を含む以下の本文において、好ましい実施形態を説明する。可能であれば、種々の実施形態における同じ特徴または実質的に同様の特徴を特定するために、同じ参照番号が使用されている。しかしながら、図の分かりやすさを維持するために、すべての参照番号が各々の図に含まれるわけではない。
【0067】
図1および図2を参照すると、粉砕装置8は、コンクリート基礎に固定することができる足部47を有するベースシャーシ14を備える。ベースシャーシ14の後端部は、50kWのモータ15が搭載されたベースプレート20を含む。モータ15は、粉砕装置8の中央のクレードル21に取り付けられたスピンドル16を回転させ、ロータ18が、装置8の前端部に位置するハウジング10内のスピンドル16の前端部に取り付けられている。供給材料が、より小さな粒子へと粉砕されつつ、すなわちロータ18上の図2に最もよく示されているブレード22による衝撃式粉砕および自生粉砕によって、ハウジング10を通って流路9に沿って運ばれる。
【0068】
ロータ18は、水平軸を中心にして駆動され、ハウジング10は、ロータ18が高速で回転する円筒形の垂直断面を有する。図には詳細には示されていないが、モータ15の前端部およびスピンドル16の後端部は、それぞれ平坦なループベルトによって動作可能に接続された大径および小径のプーリを備える。自生粉砕を達成するために、理想的にはロータ18の外径は音速に近づく。図1図7に示される実施形態の場合、モータ15の大プーリとスピンドル16の小プーリとの比は、およそ3対1であり、ロータ18を、毎分7000または8000回転まで、およびそれを超えるさまざまな速度で動作させることができる。ロータ18の外径は、例えば450~500mmの範囲の直径など、任意のサイズ範囲であってよい。ロータ18の直径に関係なく、ロータ18の外側末端部を、モータ15が通常の動作範囲内で動作するときに、340m/s(1200km/hr)に近い速度で動作させることができる。
【0069】
ハウジング10は、スピンドル16およびロータ18が同軸に取り付けられた円筒形の側壁11と、側壁11の端部に位置する向かい合わせに配置された前壁12および後壁13とを備える。円筒形の側壁11、ならびに前壁12および後壁13は、図1においては透明であり、図2の断面において最もよく見て取ることができる。前壁12は、前壁12から延出してロータ18の中央前部に供給材料を導く漏斗24およびダクト25を含む供給入口23を有する。材料の流路9は、供給入口23からロータ18へと延び、供給材料は、ロータ18およびブレード22に衝突することによって最初の衝撃式粉砕を被り、第1のサイズ範囲に分解される。ロータ18の高い速度が、材料をロータ18の末端部に向かって半径方向外側にハウジング10の外側側壁11へと駆動し、ハウジング10の外側側壁11において、粒子および空気がハウジング10を巡って円の様相で旋回する。適切には、粒子および旋回する空気と接触する側壁11の内面は、理想的には滑らかである。例として、滑らかな内面は、以下のうちの1つまたは組み合わせを含み得る。i)ニッケルクロムマトリックス中に炭化タングステンを含むコーティング。炭化タングステン/ニッケルクロムは、必要とされるコーティングの厚さに応じて、プラズマ溶射またはレーザクラッディングのいずれかによって適用し得る。ii)研磨されたクロムコーティング。iii)研磨されたステンレス鋼。研磨されたクロムまたはステンレス鋼は、容易に洗浄することができ、食品の粉砕にとくによく適している。
【0070】
図5および図10に最もよく見られるように、前壁12は、ヒンジ機構48によって側壁11に接続される。好ましい実施形態の場合、ヒンジ機構48は、ハウジング10の側壁11への取り付けブラケットと、ヒンジリンク50の第1の端部に接続された第1の枢支ピン49と、ヒンジリンク50の第2の端部に接続された第2の枢支ピン51とを有し、第2の枢支ピン51は、前壁12の前面に取り付けられた協働する前壁ブラケット52に接続される。図5に示される実施形態の場合、前壁12および後壁13を、ハウジング10の周囲を巡って間隔を空けて配置されたクランプボルト53を使用して、円筒形の側壁の両端に対する閉位置にそれぞれ固定することができる。
【0071】
図9に示される実施形態の場合、装置10は、前壁12の迅速な開閉を可能にするクイックリリース機構を有する。クイックリリース機構は、供給材料に応じて必要とされ得る短い時間枠での前壁の開放ならびにハウジング10の洗い流し、洗浄、および/または消毒を可能にする。例えば、異なる種類の食品材料の粉砕の間である。前壁12は、円筒形のスライドロックリング54によって閉位置に保持され、スライドロックリング54は、前壁12と係合して前壁12を閉位置にロックするため、および前壁12を開くことができるように前壁12を解放して前壁12のロックを解除するために、時計回りの方向および反時計回りの方向に枢動する。ロックリング54は、ロックリングを時計回りおよび反時計回りに移動させるためにロックリング54に動作可能に接続されたアクチュエータ56によって駆動される。適切には、アクチュエータ56は、空気圧によるピストンシリンダ機構57を含む。ロックリング54は、ロックリング55の内周を巡って間隔を空けて配置されたロック用ノッチ55を有し、前壁12は、協働する係合ノッチ57を有する。ロック用ノッチ55は、前壁12を開くことができるように係合空間の間の空間に整列し、前壁12が閉じられた後に、アクチュエータ56を作動させてロックリングを枢動させることにより、ロック用ノッチを移動させて前壁のノッチ57の外側に係合させ、前壁12を閉位置にロックし、前壁12の開放を防止することができる。さらに、ロック用ノッチが前壁のノッチ57の外側を押さえることで、前壁12を側壁11に対して押し付け、前壁12と側壁11との間にシールを適切に形成する。後壁13を、前壁12とは独立に閉位置に固定することができる。例えば、図9には示されていないが、側壁11は、後壁13を所定の位置に固定するために、外側ブラケットと、外側ブラケットと後壁13との間のクランプボルトとを有してよい。さらに、1つ以上のシール用ガスケット59を、閉位置における前壁12と側壁11との間のシールの形成を助けるために、前壁12の内面と側壁11との間に配置し得る。
【0072】
図1図7に示される好ましい実施形態の場合、ロータ18は、ロータ18の前部および後部に配置されたブレードまたはベーン22を含む。理想的には、ブレード22は、適切なねじ式締結具を使用してブレード22をまとめて締め付けることができるように、ロータ18のメインプレートの両面にペアにて取り付けられ、各ペアの一方のブレード22が、締結具を受け入れるための締まり嵌めの孔を含み、他方のブレード22の孔が、ロータ18のメインプレート上にブレード22をまとめて締め付けるための協働するねじ山を有する。任意の数のペアをロータ18のメインプレートに取り付けることができることが理解されよう。安定性を維持し、振動を最小限に抑えるために、理想的には、ブレード22はロータ18を巡って等間隔に配置される。
【0073】
衝撃によって粉砕された粒子を含む供給材料は、ハウジング10の周囲に向かって旋回する空気に進入し、そこで粒子は高速に加速され、互いにランダムに衝突して自生粉砕が達成される。供給材料の粒径が減少するにつれて、粒子の流路9は、ロータ18の前面から、ロータ18の奥行きまたは周囲の幅を横切り、ロータ18の後部へと延びる。ロータ18の後ろ側において、流路9は、ロータ18の後部、ハウジング10の側壁11、およびハウジング10の後壁13によって少なくとも部分的に形成される環状部分19を有する。図には示されていない一実施形態において、環状部分19は、部分的に、側壁11と係合するディスク部分を有するハウジング10の後壁13と、ディスク部分からロータ18に向かって前方に延びる円筒形部分との間に定められてもよい。一例において、円筒形部分は、一定の直径を有してよい。別の例において、円筒形部分は、前壁に向かい、かつスピンドル16、またはスピンドルの回転軸に向かって延びるように、先細りの円錐であってもよい。図2および図3に示される実施形態の場合、ハウジング10は、後壁13に接続された円筒形の内側円筒壁29および側端壁30を有するバッフル27を含む。環状部分19は、やはり部分的に、粒子が装置8から排出される前に横断または通過する側壁11の内面上の調整可能な分級リング44によって定められる。調整可能な分級リング44は、ロータ18の後側においてハウジング10の側壁11に接続される。
【0074】
分級リング44を、旋回する空気における粒子の滞留時間を制御し、したがって装置8から排出される粒子のサイズを制御するように調整することができる。旋回する空気における粒子の滞留時間が増加するにつれて、粒子は自生粉砕においてさらに粉砕される。
【0075】
分級リング44を、滞留時間を制御するために、少なくとも3つのパラメータにおいて調整することができる。具体的には、第1の調整において、分級リング44をハウジング10内で前後に移動させることができる。例えば、図2において、分級リング44は、ロータ18のブレード22とハウジング10の側壁11との間に延在するように示されている。図には示されていない別の位置では、分級リング44の足部がロータ18のブレード22の垂直後面から第1の間隔だけ後方に離間するように、分級リング44をさらに後方に移動させることができる。図には示されていないさらに別の位置では、分級リング44を、ロータ18のブレード22の後面との間の間隔が第1の間隔よりも大きい第2の間隔になるように、さらにもっと後方に移動させることができる。図には示されていない一式の締結具が、分級リング44を上述の位置のうちの選択されたいずれかの位置に固定するために、ハウジング10の側壁11の前後のさまざまな位置に位置する位置決め孔を通って延び、分級リング44のねじ孔などの協働する孔に係合することができる。
【0076】
分級リング44を調整することができる第2のパラメータは、ロータ18に面する分級リングの前面の傾斜の角度である。前面は、ハウジング10の側壁11に対して角度(A)を形成する(図2を参照)。ハウジング10の側壁11に対する前面の傾斜の角度(A)は、125°~135°の範囲の鈍角、または分級リング44の本体内の35~45°の鋭角の範囲内の角度(B)であってよい。
【0077】
分級リング44を調整することができる第3のパラメータは、ハウジング10の側壁11に対する分級リング44の高さである。分級リング44の高さは、ハウジング10の側壁11の半径方向内側の方向に増加する。一例として、分級リング44は、10~80mmの範囲内、適切には20~70mmの範囲、理想的には30~50mmの範囲内の高さを有してよい。
【0078】
図5および図9に示される装置8の分解図が、異なるサイズの2つの分級リング44を示しており、傾斜面が、異なる角度を有するリングに面し、リングの高さが異なっている。しかしながら、装置8の稼働時に一方の分級リング44のみが所望の動作位置に固定されることが理解されよう。図2では、あくまでも説明を目的として、2つの分級リング44を断面において重ね合わせて図示している。実際には、一方の分級リング44のみが設置される。
【0079】
上述した分級リング44の調整のうちの1つ以上が、装置8から排出される粒子のサイズを制御するための手段を提供し得る。
【0080】
粉砕された粒子は、分級リング44とハウジング10の後壁13との間に位置する生成物出口26を介して装置8から排出される。一例において、図5に最もよく見られるように、生成物出口26は、側壁11の開口部と、ハウジング10内の旋回する空気の動きに対して接線方向に粒子をハウジング10から排出することを可能にするダクトとを含む。さらに、生成物出口26は、後壁13における別の開口部と、粉砕された材料を排出するためにハウジング10の後壁13に取り付けられたダクトとを含み得る。あらゆる時点において生成物出口26の開口部のうちの一方のみが使用されるように意図されており、その場合、使用されない出口開口部に栓45を配置することができる。図5は、後壁13の出口開口部を閉じるための栓45を示している。
【0081】
粉砕装置8の特徴は、粉砕される材料が、粉砕装置8内で、装置8から排出されるまでに適切な量の粉砕をもたらす制御された滞留時間を有するように、ハウジング11が流路9を提供することである。流路9は、入口漏斗24と、供給材料がブレード22に接触するように供給材料をロータ18の中心へと導くハウジング10の前壁12に取り付けられたダクト25とを含む。ブレード22との最初の接触に続いて、供給材料は半径方向外側に移動し、そこで材料は、ハウジング10の周囲を巡って流れる旋回する空気に進入する。材料の粒子は、追加の供給材料が粉砕装置8へと供給されるにつれて、ロータ18の前部からロータ18の後部に移動する。遠心力により、より大きくてより高密度の粒子は、ハウジング10の側壁11に向かって押されるため、これらの粒子は、装置8からの排出が可能になるように内側に移動して分級リング44を越える前に、さらなる自生粉砕を被る。
【0082】
ロータ18の回転速度のために、ハウジング10内の空気の密度および空気の速度は、ハウジング10の側壁11に向かって半径方向に移動するにつれて増加する。これは、スピンドル16の回転軸またはその付近に減圧領域を作り出す効果があると考えられる。これは、ベアリングが流路から少なくとも部分的に遮蔽されていない場合に、スピンドル16が取り付けられたベアリング33から潤滑剤が吸い出されるという有害な影響を有する可能性がある。さらに、スピンドル16の高速動作、および供給材料の粒子とロータ18との間の摩擦の性質により、即座に熱が発生し、ベアリング33が熱損傷を被りやすくなる。熱損傷は、一般に、例えば、ロータ18の高速回転によって生じる減圧の結果として潤滑剤がベアリング33から吸い出される場合、ならびに/あるいは潤滑剤が80または90℃の範囲の温度に達すると起こり得る潤滑剤の劣化または分解の場合など、適切な潤滑剤が利用できないときに生じる。90℃を超えると、潤滑剤が急速に分解する可能性があり、是正されない場合、ベアリング33が恒久的に損傷する可能性がある。したがって、ベアリング33からの潤滑剤の漏れを防止し、ベアリング33またはベアリングのハウジングの温度を適切な動作温度に制御することが望ましい。
【0083】
スピンドル16の周りの後壁13およびバッフル27を含む壁形成部が、ハウジング10の後壁13とロータ18との間において、スピンドル16の可能な限り周囲に延在するプレナムチャンバ28を定める。部分的には、バッフル27は、ハウジング10内のスピンドル16の端部、およびスピンドル16を取り付けるベアリング33を、ロータ18の回転速度によって生じる減圧環境から少なくとも部分的に遮蔽する。さらに、バッフル27は、スピンドル16を流路9内の粒子との直接接触からも少なくとも部分的に遮蔽することにより、どちらもベアリング33を過熱させる可能性を有する(i)粒子からスピンドル16への直接的な熱伝達、および(ii)ハウジング10内の旋回する空気からのスピンドル16への直接的な熱伝達を防止する。
【0084】
バッフル27は、スピンドル16、したがってベアリング33の冷却に使用することができる冷却アセンブリ35の一部を形成する。バッフル27は、スピンドル16とハウジング10の外側側壁11との間に、スピンドル16の周りに離して配置された円筒形の内壁29を有する。スピンドル16は、クレードル21に固定されたスピンドルハウジング17を含み、スピンドル16は、スピンドルハウジング17に沿って延在し、スピンドルハウジング17の両端、すなわちロータ18が接続されたハウジング10内の第1の端部61、および駆動プーリが接続されたクレードル21の外側の第2の端部62から延出する。スピンドル16は、スピンドルハウジングの第1の端部61および第2の端部62に配置されたベアリングによってスピンドルハウジング17に取り付けられる。スピンドルハウジング17は、任意の適切な寸法を有してよく、好ましい実施形態において、スピンドルハウジング17は、約125mmの外径を有し、スピンドル16の芯は、約55mmの外径を有する。バッフルの円筒形の内壁29は、約250mmの直径を有し、ハウジング10の後壁13からロータ18の後部のブレード22に向かって延在する。さらに、バッフル27は、円筒形の内壁29に対して横方向に、かつロータ18の面およびロータ18の後部のブレード22に対して平行に配置された端壁30を含む。理想的には、端壁は、1~4mmの範囲、適切には3.5mmの間隔で、ロータ18の後部のブレード22から離隔している。端壁30は、ロータ18が取り付けられたスピンドル16のハブ46の周りに適合する内側開口を有する環である。内側開口は、環の内縁とスピンドル16のハブ46との間に最大2mm、理想的には約1mmのすき間31を形成するようなサイズとされる。端壁30によって形成された環のサイズ、したがって実際には端壁30によるロータ18およびブレード22の被覆率は、ブレード/ベーン22によって引き起こされるハウジング10内を旋回する空気の速度に影響を及ぼす。すき間31は、スピンドル16の回転を可能にしつつ、プレナムチャンバ28から流路9への空気の通過の制限を可能することで、流路9内の減圧からベアリング33を少なくとも部分的に遮蔽し、ベアリング33の潤滑剤がベアリング33から吸い出されることを効果的かつ実質的に防止する。
【0085】
粉砕装置8の流路9を通る空気の流れは、粉砕装置8における供給材料の滞留時間、ひいては排出される粒子のサイズも制御する。さらに、粉砕装置8を通る空気の流れを制御することで、粉砕装置8を通る材料の脱水を制御するための手段がもたらされる。端壁30の直径を、流路9内の空気の流量を調整するように選択することができる。
【0086】
好ましい実施形態の場合、端壁30の外径は約320mmであるが、端壁30がバッフル27の円筒形の内壁29以下の外径を有してもよいことが理解されよう。この場合、図には示されていないが、バッフル27の円筒形の内壁29は、円錐形または先細りの直径を有してよい。図には示されていない他の例において、端壁30は、200mm~450mm、適切には250mm~400mm、さらにより適切には300~350mmの範囲の外径を有してよい。
【0087】
プレナムチャンバ28は、バッフル27によって部分的に定められ、プレナムチャンバ28への周囲空気の進入を可能にするための空気入口32を有し、これは、スピンドルハウジング17の第1の端部61のベアリングにおける圧力差を解消しないにしても最小にすることができ、したがって潤滑剤がベアリングから吸い出される可能性を低減する。好ましい実施形態の場合、空気入口32は、ハウジング10の後壁13に腎臓形の開口部として設けられる。ハウジング10の中央領域において生じた減圧の結果として、制御された空気流が、プレナムチャンバ28から端壁30とスピンドル16のハブ46との間のすき間31を通って流路9に引き込まれることにより、スピンドル16上の周囲空気が流路9へと引き込まれる。プレナムチャンバ28内のスピンドル16の端部が周囲温度を超えて上昇した場合、熱をスピンドル16からプレナムチャンバ28を通過する空気流に伝達し、したがってベアリング33を冷却することができる。
【0088】
図2図3、および図4に見られるように、スピンドル16は、ベアリング33によってプレナムチャンバ28内のスピンドルハウジング17に取り付けられる。ベアリング33は、炭化ケイ素ボール、または炭素鋼ボール、またはステンレス鋼などの任意の適切な材料で製作されてよい。ベアリング33には潤滑剤が充てんされており、ラビリンスシール34がベアリング33の端部に位置する。必要に応じて、潤滑剤の漏れを防止するために、空気供給部を介してプレナムチャンバ28に追加の空気圧を供給することができる。図4から見て取ることができるとおり、空気を供給するための空気供給継手37と、空気を排出するための空気排出継手38とが、スピンドルハウジング17に設けられる。一例において、空気通路30は、プレナムチャンバ28を加圧してラビリンスシール34を通る潤滑剤の漏出を防止するためのプレナムチャンバ28への開口部を有することができる。別の例においては、空気通路30を、ベアリング33を冷却するためにスピンドルハウジング17からの熱伝達を増加させる目的にのみ使用することができる。この例においては、空気流は、スピンドルを冷却するためにスピンドルハウジング17内に配置された空気通路30に限られてよい。必要に応じて、空気流をプレナムチャンバ28に進入させること、および空気通路30を介して引き出すことも可能であってよい。換言すると、空気継手37および38は、プレナムチャンバ28を加圧してラビリンスシール34からの潤滑剤の漏れを防止すること、ならびにスピンドル16、スピンドルハウジング17、およびベアリング33を冷却するための冷却アセンブリ35の一部を形成すること、という二重の目的を有する場合がある。空気継手37および38は、任意の適切なスナップ式の継手であってよい。
【0089】
さらに、冷却アセンブリ35は、冷却水を循環させ得る冷却ジャケット36を含んでよい。具体的には、図3に最もよく見られるように、冷却水用のコイル42をスピンドルハウジング17の第1の端部61の周りに配置することができる。図4に示されるように、コイル42に水を供給するための水入口継手40およびコイル42から水を排出するための水出口継手41が、ハウジング10の後壁13の外側に配置され、水路43を介してコイル42に接続される。水路43を、上述した空気通路とは別に構成することができる。
【0090】
図には示されていないが、粉砕装置8は、ベアリング33の温度を表すと仮定してもよいスピンドルハウジング17の温度を感知するためのデジタル熱電対などの温度センサを含み得る。さらに、粉砕装置8は、温度センサからの出力に応答して冷却ジャケット36を通る冷却水の流量を調整するための第1のコントローラを含み得る。第1のコントローラは、スピンドルハウジング17を冷却するために空気通路39を通る空気の流量も調整し得る。さらに、粉砕装置8は、プレナムチャンバ28内の圧力を感知するための圧力センサと、空気通路39を介するプレナムチャンバ28への加圧空気の流れを制御および/または調整するための第2のコントローラとを含み得る。
【0091】
図8および図9が、メインプレートが図7および図8に示した実施形態のメインプレートよりも大きい厚さを有している代案のロータ18を示している。具体的には、メインプレートは、ハウジングの円筒形の側壁(図8および図9には図示せず)の長手方向に外周壁を有し、ブレードまたはベーン22は、ロータ18の回転軸に平行に周壁の周りに配置される。図8および図9は、ロータ18の前壁12および後壁13上にブレードまたはベーンを示していないが、ブレードまたはベーンは、所望であれば、これらの壁上に配置されてもよいことが理解されよう。さらに、ハウジングの側壁の内面は、粒子の自生粉砕を促進するための摩擦誘発部分を有することができる。しかしながら、摩擦誘発面を設けないことが好ましい。
【0092】
図8および図9に示されるロータ18は、供給材料のきわめて小さな粒子への粉砕にとくに適する。この用途に使用される場合、かなりの量の熱が、ハウジング10内で急激に生じる可能性がある。
【0093】
図1図9には示されていないが、ハウジング10を、ハウジング10の側壁11の周りの第1の冷却ジャケットと、ハウジング10の前壁12上の第2の冷却ジャケットと、後壁13上の第3の冷却ジャケットとを含み得る第2の冷却アセンブリを含むように修正し得る。一例において、第1、第2、および第3の冷却ジャケットを、冷却流体が1つの冷却ジャケットから次の冷却ジャケットへと流れるように流れに関して接続し得る。別の例においては、第1、第2、および第3の冷却ジャケットを、冷却流体の別個の流れを第1、第2、および第3の冷却ジャケットを通って運び得るという意味で、独立して動作させ得る。
【0094】
図10が、図1図9に示した粉砕装置8を動作させるための方法ステップを示している。本方法は、供給材料を粉砕装置8に供給し、粉砕装置8のロータ18を衝撃式粉砕および自生粉砕を可能にする速度で動作させるステップ100を含む。例えば、ロータ18の外周は、700~1,200km/hr程度の速度に達してよい。さらに、方法ステップ100は、粉砕された材料を粉砕装置の環状部分19から排出することを含む。方法ステップ110は、粉砕装置8のハウジング10内に壁形成部を配置することを含み、壁形成部は、スピンドル16が流路の外部に位置し、とくには流路9の環状部分19の外部に位置するように、スピンドル16の周りに配置される。この構成において、スピンドル16、とくにはベアリング33を含むスピンドル16の取り付けアセンブリは、流路9の外部に位置し、したがって、ロータ18の動作速度によって生じる減圧状態に曝されることがない。方法ステップ120は、ハウジング10内へと延びるロータ18が取り付けられたスピンドル16の端部からすき間31だけ離隔した端壁30を、壁形成部に設けることを含む。スピンドル16の端部は、ハブ46を備える。
【0095】
方法ステップ130は、端壁30によって覆われるロータ18の後面の領域を選択することを含む。例えば、ステップ130は、端壁30のサイズが異なる一式のバッフルから、バッフル27を選択することを含み得る。別の例において、ステップ130は、選択された端壁サイズを有するバッフル27を形成することを含み得る。端壁30のサイズは、少なくとも部分的に、粉砕装置8の流路9内の空気の流量に影響を及ぼすことができ、したがって、粉砕装置8における粉砕された材料の滞留時間、粉砕された生成物の粒径、および場合によっては粉砕された生成物の乾燥度に影響を及ぼす。
【0096】
方法ステップ140は、例えばスピンドルハウジング17に取り付けられた熱電対によってスピンドル16の温度を感知し、スピンドル16の温度を制御するように第1の冷却アセンブリ35を動作させることを含む。例えば、第1の冷却アセンブリ35を動作させることは、スピンドルハウジング17から空気へと熱を伝達するために、空気をプレナムチャンバ28に通すことを含んでよい。別の例において、第1の冷却アセンブリ35を動作させることは、スピンドル16が取り付けられたベアリング33に隣接してスピンドルハウジング17の周りに配置されたコイル42に冷却水を通すことを含んでよい。方法ステップ140の主な目的は、ベアリング33の潤滑剤の過熱を回避することである。方法ステップ150は、ハウジング10の温度を感知し、ハウジング10の温度を制御するように第2の冷却システムを動作させることを含む。図には示されていないが、第2の冷却システムは、ウォータージャケットを含み得る。ハウジング10を冷却する主な目的は、ロータ18、ハウジング10、ならびにハウジング10を通過する空気および粉砕された材料の温度を制御することである。
【0097】
方法ステップ160は、2つ以上の分級リング44から分級リング44を選択することを含む。各々の分級リング44は、ロータ18に面する傾斜面を有し、粉砕された材料が乗り越えて流れなければならない障壁をもたらす。換言すると、分級リング44は、粉砕装置8の高い速度の部分に位置する材料の滞留時間を或る程度制御し、したがって、供給材料の自生粉砕の程度を制御することができる。分級リング44は、以下の幾何学的寸法、すなわちi)リング44の高さ、またはii)リング44の前面の傾斜の角度のうちの1つ以上において異なってよい。
【0098】
方法ステップ170は、粉砕装置8が食品材料に使用される場合に規定される可能性がある予定された粉砕作業の間の粉砕装置8の洗浄のために、クイックリリース機構を動作させてハウジング110の前壁12を開くことを含む。さらに、クイックリリース機構は、予定された保守または予定外の保守のためにハウジング10の内部への迅速なアクセスを可能にし得る。図9に関連して説明したように、クイックリリース機構は、前壁12の係合ノッチ58に押し付けられるロック用ノッチ55を有するスライドロックリング54を含み得る。
【0099】
以下の特許請求の範囲および前述の説明において、文脈上、明示的な文言または必要な含意ゆえに他の意味に解釈する必要がある場合を除き、「・・・を備える(comprise)」という単語、ならびに「・・・を備える(comprises)」または「・・・を備えている(comprising)」などの変形は、包括的な意味で使用され、すなわち、そこに記載された特徴が存在することを指定するが、本明細書に開示される装置および方法の種々の実施形態にさらなる特徴が存在すること、または追加されることを排除するものではない。
【0100】
好ましい実施形態の前述の説明においては、分かりやすくするために具体的な用語が使用されている。しかしながら、本発明は、そのように選択された具体的な用語に限定されることを意図するものではなく、各々の具体的な用語は、同様の様相で機能して同様の技術的目的を達成するすべての技術的等価物を含むことを理解されたい。「前」および「後ろ」、「内側」および「外側」、「上方」、「下方」、「上部」および「下部」、などの用語は、基準点を提供するために便宜上の単語として使用されており、限定の用語として解釈されるべきではない。「垂直」および「水平」という用語は、特許請求の範囲を含む明細書全体を通して加湿装置に関連して使用される場合、通常の動作における向きに対する向きを指す。
【0101】
さらに、本発明が、現時点において最も実用的かつ好ましい実施形態であると考えられるものに関連して説明されているが、本発明は、開示された実施形態に限定されるものではなく、むしろ反対に、本発明の精神および範囲に含まれる種々の修正および均等な構成を包含するように意図されていることを理解されたい。また、上述した種々の実施形態を、他の実施形態と併せて実施してもよく、例えば、一実施形態の態様を別の実施形態の態様と組み合わせて、さらに他の実施形態を実現してもよい。さらに、任意の所与のアセンブリの独立した各々の特徴または構成要素が、追加の実施形態を構成してもよい。
【0102】
例えば、粉砕装置は、ハウジング内で回転する複数の内部ロータを有してよい。
さらに別の例において、分級リングは、ハウジングから省略されてもよく、後壁に位置する出口開口部は、ハウジングの側壁から半径方向に離れて位置してもよい。ハウジングの側壁と後壁の出口開口部の下縁との間の間隔の大きさは、粉砕中のハウジング内の材料の滞留時間を制御するための手段として作用し得る。
【0103】
参照番号の表
粉砕装置 8
ラビリンスシール 34
流路 9
第1の冷却アセンブリ 35
ハウジング(ミルハウジング) 10
冷却ジャケット 36
(ハウジングの)円筒形の側壁 11
空気供給継手 37
前壁 12
空気排出継手 38
後壁 13
空気通路 39
ベースシャーシ 14
水入口継手 40
モータ 15
水出口継手 41
スピンドル 16
コイル 42
スピンドルハウジング 17
水路 43
ロータ 18
分級リング 44
環状部分 19
栓 45
ベースプレート 20
ハブ 46
クレードル 21
足部 47
ブレード/ベーン 22
ヒンジ機構 48
供給入口 23
第1の枢支ピン 49
漏斗 24
ヒンジリンク 50
ダクト 25
第2の枢支ピン 51
生成物出口 26
前壁ブラケット 52
バッフル 27
クランプボルト 53
プレナムチャンバ 28
スライドロックリング 54
内側円筒壁 29
ロック用ノッチ 55
端壁 30
アクチュエータ 56
すき間 31
空気圧によるピストンシリンダ機構 57
空気入口 32
係合ノッチ 58
ベアリング 33
シール用ガスケット 59
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】