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特表2024-526380ダイレクトドライブシステムの制御方法、コンピュータ装置、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体
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  • 特表-ダイレクトドライブシステムの制御方法、コンピュータ装置、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-18
(54)【発明の名称】ダイレクトドライブシステムの制御方法、コンピュータ装置、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H02P 7/02 20160101AFI20240710BHJP
【FI】
H02P7/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560431
(86)(22)【出願日】2022-07-28
(85)【翻訳文提出日】2022-10-03
(86)【国際出願番号】 CN2022108445
(87)【国際公開番号】W WO2024000712
(87)【国際公開日】2024-01-04
(31)【優先権主張番号】202210770583.0
(32)【優先日】2022-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517409583
【氏名又は名称】エーエーシー マイクロテック(チャンヂョウ)カンパニー リミテッド
【住所又は居所原語表記】No.3 changcao road, Hi-TECH Industrial Zone, Wujin District, Changzhou City, Jiangsu Province, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼敏
(72)【発明者】
【氏名】▲銭▼林
(72)【発明者】
【氏名】史▲衛▼▲領▼
(72)【発明者】
【氏名】朱学▲園▼
(72)【発明者】
【氏名】郭▲順▼
【テーマコード(参考)】
5H540
【Fターム(参考)】
5H540AA01
5H540BB03
5H540BB09
5H540EE02
5H540EE05
5H540FA14
(57)【要約】
【課題】本発明は、ダイレクトドライブシステムの制御方法を提供する。
【解決手段】前記方法は、駆動器が対応する固定子の巻線に電流を出力することにより、巻線がそれに対応する可動子がガイドレールに沿って単一方向に移動するように駆動するステップS1と、第1位置フィードバック装置が第2位置フィードバック装置に対して位置感知を行うことにより、固定子に対する可動子の位置情報取得するステップS2と、位置情報に基づいて、駆動器の駆動モードを変更することにより、駆動器は、駆動モードに基づいて対応する固定子の巻線に出力する電流の大きさを調整するステップS3とを含む。従来技術に比べて、本発明は、複数のコイルを1つの固定子とするダイレクトドライブシステムを制御可能であり、ダイレクトドライブシステムにおけるパワーモジュールの使用数を減少させ、ダイレクトドライブシステム全体の生産及び使用コストを低減させることができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイレクトドライブシステムの制御方法であって、
前記ダイレクトドライブシステムは、ガイドレールと、前記ガイドレールに貼設される複数の固定子と、前記ガイドレールに摺動可能に設けられる複数の可動子と、各前記固定子に対応する駆動器と、全ての前記駆動器を制御するための制御器とを含み、各前記固定子は、固定子本体と、前記固定子本体に固定される複数の巻線及び第1位置フィードバック装置とを含み、各前記可動子は、可動子本体と、前記可動子本体に固定される磁性鋼及び第2位置フィードバック装置と、を含み、前記巻線は、前記磁性鋼に正対して設けられ、前記制御方法は、
S1であって、前記駆動器が対応する前記固定子の前記巻線に電流を出力することで、前記巻線は、それに対応する前記可動子が前記ガイドレールに沿って単一方向に移動するように駆動するステップと、
S2であって、前記第1位置フィードバック装置が前記第2位置フィードバック装置に対して位置感知を行うことで、前記固定子に対する前記可動子の位置情報を取得するステップと、
S3であって、前記位置情報に基づいて、前記駆動器の駆動モードを変更して、前記駆動器は、前記駆動モードに基づいて、対応する前記固定子の前記巻線に出力する電流の大きさを調整するステップと、を含むことを特徴とするダイレクトドライブシステムの制御方法。
【請求項2】
前記駆動モードは、マスタ軸モード及びスレーブ軸モードを含み、前記駆動器が前記マスタ軸モードである場合、前記駆動器は、前記位置情報に基づいて、対応する前記固定子の前記巻線に出力する電流の大きさをリアルタイムに調整し、
前記駆動器が前記スレーブ軸モードである場合、前記駆動器が対応する前記固定子の前記巻線に出力する電流の大きさは、一定であることを特徴とする請求項1に記載のダイレクトドライブシステムの制御方法。
【請求項3】
前記可動子における前記磁性鋼が完全に前記固定子の前記巻線の駆動範囲内にある場合、前記制御器は、前記固定子に対応する前記駆動器を前記マスタ軸モードにするように制御し、
前記可動子における前記磁性鋼が完全に前記固定子の前記巻線の駆動範囲外にある場合、前記制御器は、前記固定子に対応する前記駆動器を前記スレーブ軸モードにするように制御することを特徴とする請求項2に記載のダイレクトドライブシステムの制御方法。
【請求項4】
複数の前記固定子は、少なくとも隣接して設けられる第1固定子及び第2固定子を含み、前記第1固定子及び前記第2固定子にそれぞれ対応する前記駆動器は、第1駆動器及び第2駆動器であり、前記第1固定子は、第1巻線を有し、前記第2固定子は、第2巻線を有し、前記第1巻線と前記第2巻線とは、それぞれ前記磁性鋼に正対して設けられ、前記可動子が前記ガイドレールに沿って単一方向に移動し、且つ前記第1固定子及び前記第2固定子に正対する位置に順次に近接するとき、前記第1駆動器及び前記第2駆動器の前記駆動モードは、順次に連続的に以下のように変化し、
前記可動子が前記第1巻線に正対する位置に移動した場合、前記第1駆動器は、前記マスタ軸モードであり、前記第2駆動器は、前記スレーブ軸モードであり、
前記可動子が前記第1巻線及び前記第2巻線に隣接する箇所に正対する位置に移動した場合、前記第1駆動器は、前記マスタ軸モードであり、前記第2駆動器は、前記マスタ軸モードであり、
前記可動子が前記第2巻線に正対する位置に移動した場合、前記第1駆動器は、前記スレーブ軸モードであり、前記第2駆動器は、前記マスタ軸モードであることを特徴とする請求項2に記載のダイレクトドライブシステムの制御方法。
【請求項5】
前記第1駆動器及び前記第2駆動器が同一の前記可動子の前記磁性鋼に発生する駆動力の方向が一致することを特徴とする請求項4に記載のダイレクトドライブシステムの制御方法。
【請求項6】
前記第1固定子及び前記第2固定子がそれぞれ対応する前記駆動器は、同一の前記制御器に接続され、前記制御器によって各前記駆動器に対して前記駆動モードの切り替え制御を統括して行うことを特徴とする請求項4に記載のダイレクトドライブシステムの制御方法。
【請求項7】
前記制御器は、前記位置情報に基づいて、前記可動子が前記ガイドレール上で移動する絶対位置情報を計算することを特徴とする請求項1に記載のダイレクトドライブシステムの制御方法。
【請求項8】
前記第1位置フィードバック装置は、読み取りヘッドであり、前記第2位置フィードバック装置は、グリッド定規であり、前記読み取りヘッドは、前記グリッド定規に正対して設けられていることを特徴とする請求項1に記載のダイレクトドライブシステムの制御方法。
【請求項9】
コンピュータ装置であって
メモリと、プロセッサと、前記メモリに記憶され且つ前記プロセッサによって実行可能なコンピュータプログラムとを含み、前記プロセッサが前記コンピュータプログラムを実行するときに、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のダイレクトドライブシステムの制御方法におけるステップが実現されることを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項10】
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって
前記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体には、コンピュータプログラムが記憶され、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されるときに、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のダイレクトドライブシステムの制御方法におけるステップが実施されることを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイレクトドライブ搬送の技術分野に関し、特にダイレクトドライブシステムの制御方法及び関連装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モータ技術の発展に伴い、各種の生産製造業界では、その生産ラインに各種のモータが配置されるようになり、そのうち、ダイレクトドライブモータを用いたダイレクトドライブ搬送システムは、部材輸送などの生産ラインのシーンに広く持ちられ、同時に、搬送システムにより各搬送ユニットまでの位置を精度良く制御する方法も、徐々に採用される。
【0003】
関連技術における従来のダイレクトドライブ搬送システムで採用される駆動方法は、巻線における各コイルを単独で制御し、可動子が特定の位置に移動すると、対応するコイルに通電することにより、可動子における磁性鋼が移動するように駆動する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術のダイレクトドライブ搬送システムでは、各コイルに対してそれぞれ単独で駆動する必要があり、その実現は、上位システムで全体的な協同制御を行う必要があり、複数の巻線及びコイルが存在する場合、従来のダイレクトドライブ搬送システムに用いられる駆動及び制御方法がより複雑である。次に、製造の観点から、コイルが単独で駆動されるダイレクトドライブ搬送システムに必要なパワーモジュールの数が多く、製造及び使用コストを増加させることを招く。
【0005】
従って、上記問題を解決するために、新なダイレクトドライブシステム制御方法を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が解決しようとする技術的課題は、複数のコイルを1つの固定子として制御するとともに、ダイレクトドライブシステムにおけるパワーモジュールの数を減少する方法を提供することである。
【0007】
上記技術的課題を解決するために、第1態様として、本発明は、ダイレクトドライブシステムの制御方法を提供し、前記ダイレクトドライブシステムは、ガイドレールと、前記ガイドレールに貼設される複数の固定子と、前記ガイドレールに摺動可能に設けられる複数の可動子と、各前記固定子に対応する駆動器と、全ての前記駆動器を制御するための制御器とを含み、各前記固定子は、固定子本体と、前記固定子本体に固定される複数の巻線及び第1位置フィードバック装置とを含み、各前記可動子は、可動子本体と、前記可動子本体に固定される磁性鋼及び第2位置フィードバック装置とを含み、前記巻線は、前記磁性鋼に正対して設けられ、前記制御方法は、
S1であって、前記駆動器が対応する前記固定子の前記巻線に電流を出力することで、前記巻線は、それに対応する前記可動子が前記ガイドレールに沿って単一方向に移動するように駆動するステップと、
S2であって、前記第1位置フィードバック装置が前記第2位置フィードバック装置に対して位置感知を行うことで、前記固定子に対する前記可動子の位置情報を取得し、前記位置情報を前記制御器に送信するステップと、
S3であって、前記位置情報に基づいて、前記駆動器の駆動モードを変更することで、前記駆動器は、前記駆動モードに基づいて、対応する前記固定子の前記巻線に出力する電流の大きさを調整するステップと、を含む。
【0008】
好ましくは、前記駆動モードは、マスタ軸モード及びスレーブ軸モードを含み、前記駆動器が前記マスタ軸モードである場合、前記駆動器は、前記位置情報に基づいて、対応する前記固定子の前記巻線の出力電流の大きさをリアルタイムに調整し、
前記駆動器が前記スレーブ軸モードである場合、前記駆動器が対応する前記固定子の前記巻線に出力する電流の大きさは、一定である。
【0009】
好ましくは、前記可動子における前記磁性鋼が完全に前記固定子の前記巻線の駆動範囲内にある場合、前記制御器は、前記固定子に対応する前記駆動器を前記マスタ軸モードにするように制御し、
前記可動子における前記磁性鋼が完全に前記固定子の前記巻線の駆動範囲外にある場合、前記制御器は、前記固定子に対応する前記駆動器を前記スレーブ軸モードにするように制御する。
【0010】
好ましくは、複数の前記固定子は、少なくとも隣接して設けられる第1固定子及び第2固定子を含み、前記第1固定子及び前記第2固定子にそれぞれ対応する前記駆動器は、第1駆動器及び第2駆動器であり、前記第1固定子は、第1巻線を有し、前記第2固定子は、第2巻線を有し、前記第1巻線と前記第2巻線とは、それぞれ前記磁性鋼に正対して設けられ、前記可動子は、前記ガイドレールに沿って単一方向に移動し、且つ前記第1固定子及び前記第2固定子に正対する位置に順次に近接するとき、前記第1駆動器及び前記第2駆動器の前記駆動モードは、順次に連続的に以下のように変化し、
前記可動子が前記第1巻線に正対する位置に移動した場合、前記第1駆動器は、前記マスタ軸モードであり、前記第2駆動器は、前記スレーブ軸モードであり、
前記可動子が前記第1巻線及び前記第2巻線に隣接する箇所に正対する位置に移動した場合、前記第1駆動器は、前記マスタ軸モードであり、前記第2駆動器は、前記マスタ軸モードであり、
前記可動子が前記第2巻線に正対する位置に移動した場合、前記第1駆動器は、前記スレーブ軸モードであり、前記第2駆動器は、前記マスタ軸モードである。
【0011】
好ましくは、前記第1駆動器及び前記第2駆動器が同一の前記可動子の前記磁性鋼に発生する駆動力の方向が一致する。
【0012】
好ましくは、前記第1固定子及び前記第2固定子がそれぞれ対応する前記駆動器は、同一の前記制御器に接続され、前記制御器によって各前記駆動器に対して前記駆動モードの切り替え制御を統括して行う。
【0013】
好ましくは、前記制御器は、前記位置情報に基づいて、前記可動子が前記ガイドレール上で移動する絶対位置情報を計算する。
【0014】
好ましくは、前記第1位置フィードバック装置は、読み取りヘッドであり、前記第2位置フィードバック装置は、グリッド定規であり、前記読み取りヘッドは、前記グリッド定規に正対して設けられている。
【0015】
第2態様として、本発明に係る実施例は、さらにコンピュータ装置を提供し、該コンピュータ装置は、メモリと、プロセッサと、前記メモリに記憶され且つ前記プロセッサにおいて実行可能なコンピュータプログラムとを含み、前記プロセッサが前記コンピュータプログラムを実行するときに、上記実施例における前記ダイレクトドライブシステムの制御方法におけるステップが実現される。
【0016】
第3態様として、本発明に係る実施例は、さらにコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供し、前記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体には、コンピュータプログラムが記憶され、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されるときに、上記実施例における上記のダイレクトドライブシステムの制御方法におけるステップが実現される。
【発明の効果】
【0017】
従来技術に比べて、本発明の提供するダイレクトドライブシステムの制御方法は、複数のコイルを1つの固定子とするダイレクトドライブシステムに用いられ、各固定子は、1つの単独の駆動器により駆動され、且つ1つの単独的制御器によって全ての駆動器の制御を行い、異なる固定子の駆動モードの切り替えを簡単に実現することができるとともに、複数の制御ユニットによる制御操作の複雑な問題が回避される。それと同時に、複数のコイルを1つの固定子に集積し、1つの駆動器で1つの固定子を駆動する方法は、ダイレクトドライブシステムにおけるパワーモジュールの使用数を効果的に減少して、ダイレクトドライブシステム全体の生産及び使用コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の実施例における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に使用する必要がある図面を簡単に説明し、明らかに、以下の説明における図面は単に本発明のいくつかの実施例であり、当業者にとって、創造的な労働をしない前提で、さらにこれらの図面に基づいて他の図面を得ることができ、そのうち、
図1】本発明に係る実施例に用いられるダイレクトドライブシステムの構成模式図である。
図2】本発明に係る実施例の提供するダイレクトドライブシステムの制御方法のステップのフローチャートである。
図3】本発明に係る実施例の提供するダイレクトドライブシステムの、可動子が固定子にわたって移動するときに駆動器の駆動モードの変化模式図である。
図4】本発明に係る実施例の提供するコンピュータ装置の構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施例における図面を参照し、本発明の実施例における技術的解決手段を明瞭、完全に説明し、明らかに、説明された実施例は本発明の一部の実施例だけであり、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づいて、当業者が創造的な労働をしない前提で得られた全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0020】
図1に示すように、図1は、本発明に係る実施例に用いられるダイレクトドライブシステム100の構成模式図である。前記ダイレクトドライブシステム100における1組の固定子、可動子の構成を例として、前記ダイレクトドライブシステム100は、ガイドレール1と、前記ガイドレール1に貼設され且つ第1位置フィードバック装置21を有する固定子2と、前記ガイドレール1に摺動可能に設けられ且つ第2位置フィードバック装置31を有する可動子3と、前記固定子2に対応する駆動器4と、前記駆動器4を制御するための制御器5とを含み、前記可動子3は、可動子本体32と、前記可動子本体32に固定される磁性鋼33とを含み、前記固定子2は、固定子本体22と、前記固定子本体に固定される複数の巻線23と、前記巻線23は、前記磁性鋼33に正対して設けられている。前記第1位置フィードバック装置21及び前記第2位置フィードバック装置31は、いずれも光電感知装置であり、且つ前記第1位置フィードバック装置21と前記第2位置フィードバック装置31とは、正対して設けられている。具体的には、前記第1位置フィードバック装置21及び前記第2位置フィードバック装置31が正対状態にあるとき、第1位置フィードバック装置21は、前記第2位置フィードバック装置31の相対位置を得ることができる。
【0021】
前記固定子2は、複数の巻線23を含み、固定子の構成とするとき、複数の巻線23は、1つの固定子の最初の段を構成し、前記ダイレクトドライブシステム100は、上記構成のように同じ複数組の固定子と、可動子構成とを含み、各前記固定子は、対応的に1つの前記駆動器によって制御されるが、システム内における制御器は、最少で1つのみを含むことができる。
【0022】
図2を参照すると、図2は、本発明に係る実施例の提供するダイレクトドライブシステムの制御方法のステップフローチャートであり、前記方法は、以下のステップS1~S3を含む。
【0023】
S1であって、前記駆動器が対応する前記固定子の前記巻線に電流を出力することにより、前記巻線は、それに対応する前記可動子が前記ガイドレールに沿って単一方向に移動するように駆動する。
【0024】
具体的には、上記ダイレクトドライブシステム100を例とし、前記ダイレクトドライブシステム100が待機するとき、可動子3の磁性鋼33とその近傍の前記固定子2の前記巻線23との間にエアギャップ磁界を発生させ、前記駆動器4が前記巻線23の構成する最初の段に電流を出力することにより、巻線23は、進行波磁界を生成し、さらに可動子3の磁性鋼33と通電された前記巻線23との間に推力を生成することにより、前記可動子本体32は、前記ガイドレール1に沿って推力の方向に移動する。
【0025】
S2であって、前記第1位置フィードバック装置が前記第2位置フィードバック装置に対して位置感知を行うことにより、前記固定子に対する前記可動子の位置情報を取得する。
【0026】
前記第1位置フィードバック装置21と前記第2位置フィードバック装置31が対向状態にあるとき、即ち、第1位置フィードバック装置21と前記第2位置フィードバック装置31が図2と類似する位置にあるとき、第2位置フィードバック装置31の一部の位置は、前記第1位置フィードバック装置21の正対位置にあり、この時、前記第1位置フィードバック装置21は、前記第2位置フィードバック装置31の相対位置を得ることができ、その後、前記第1位置フィードバック装置21は、得られた前記位置情報を前記制御器5に送信する。
【0027】
S3であって、前記位置情報に基づいて、前記駆動器の駆動モードを変更して、前記駆動器は、前記駆動モードに基づいて、対応する前記固定子の前記巻線に出力する電流の大きさを調整する。
【0028】
好ましくは、前記駆動モードは、マスタ軸モード及びスレーブ軸モードを含み、前記駆動器4が前記マスタ軸モードである場合、前記駆動器4は、前記位置情報に基づいて、対応する前記固定子2の前記巻線23に出力する電流の大きさをリアルタイムに調整し、
前記駆動器4が前記スレーブ軸モードである場合、前記駆動器4が対応する前記固定子2の前記巻線23に出力する電流の大きさは、一定である。
【0029】
一般に、前記駆動器4が前記巻線23に出力する電流の大きさによって、前記巻線23と前記磁性鋼33との間に発生する推力は異なり、本発明に係る実施例では、前記駆動器4が前記マスタ軸モードにある場合、前記駆動器4は、前記位置情報に基づいて出力電流をより細かく調整し、例えば、可動子3全体の位置がその移動方向に沿って移動し且つ前記固定子2の位置に対して徐々に接近する場合、前記可動子3の加速性能を保証するために、その出力電流は可能な限り大きくすべきである。前記可動子3が徐々にその移動方向に前記固定子2から離れる場合、前記可動子3の速度変動を回避するために、その出力電流は徐々に小さくすべきである。このような動的電流調整により、駆動器4のようなパワーモジュールは、複数組の巻線を制御すると同時に、可能な限りパワーを節約することができる。
【0030】
好ましくは、前記可動子における前記磁性鋼が完全に前記固定子の前記巻線の駆動範囲内にある場合、前記制御器は、前記固定子に対応する前記駆動器を前記マスタ軸モードにするように制御し、
前記可動子における前記磁性鋼が完全に前記固定子の前記巻線の駆動範囲外にある場合、前記制御器は、前記固定子に対応する前記駆動器を前記スレーブ軸モードにするように制御する。
【0031】
好ましくは、本発明は、具体的な実施例を提供して、前記駆動器の前記駆動モードの変化が固定子の移動に及ぼす影響について、さらに説明する。
【0032】
図3を参照すると、図3は、本発明に係る実施例の提供するダイレクトドライブシステムの、可動子が固定子にわたって移動するときに駆動器の駆動モードの変化模式図であり、複数の前記固定子は、少なくとも隣接して設けられる第1固定子及び第2固定子を含み、第1固定子及び第2固定子がそれぞれ対応する前記駆動器は、第1駆動器4及び第2駆動器6であり、前記第1固定子は、第1巻線を有し、前記第2固定子は、第2巻線を有し、前記第1巻線と前記第2巻線は、それぞれ前記磁性鋼に正対して設けられ、前記可動子3は、前記ガイドレール1に沿って単一方向に移動し、且つ順次に前記第1固定子と前記第2固定子に対応する位置に接近するとき、前記第1駆動器4と前記第2駆動器6の前記駆動モードは、以下のように順次に連続的に変化する。
前記可動子が前記第1巻線に正対する位置に移動すると、前記第1駆動器4は、前記マスタ軸モードであり、前記第2駆動器6は、前記スレーブ軸モードであり、
前記可動子が前記第1巻線及び前記第2巻線に隣接する箇所に正対する位置に移動すると、前記第1駆動器4は、前記マスタ軸モードであり、前記第2駆動器6は、前記マスタ軸モードであり、
前記可動子が前記第2巻線に正対する位置に移動すると、前記第1駆動器4は、前記スレーブ軸モードであり、前記第2駆動器6は、前記マスタ軸モードである。
【0033】
本発明に係る実施例では、固定子に対応する駆動器の駆動モードがマスタ軸モードであれば、現在の前記固定子が可動子に対して主な作用力を生成することを示し、前記第1駆動器4が前記マスタ軸モードであり、前記第2駆動器6が前記マスタ軸モードである場合、前記可動子3の磁性鋼33の位置する位置は、ちょうど同時に前記第1巻線と前記第2巻線が隣接する位置にあり、この場合、少なくとも1つの固定子の駆動器が前記マスタ軸モードにあることを保証する必要があり、前記可動子3が十分な作用力を受けてその移動状態を保つことができる。即ち、1種の可能な実施例では、前記可動子3の磁性鋼32の位置する位置がちょうど同時に前記第1巻線及び前記第2巻線に隣接する箇所に正対する位置にあるとき、第1駆動器4及び前記第2駆動器6が対応する前記駆動モードは、以下の通りであってもよい。
前記駆動器4が前記マスタ軸モードであり、前記第2駆動器6が前記スレーブ軸モードであり、
又は、
前記駆動器4が前記スレーブ軸モードであり、前記第2駆動器6が前記マスタ軸モードである。
【0034】
ここで、前記可動子3の磁性鋼33の位置する位置と前記第1固定子2及び前記第2固定子6のそれぞれの巻線の位置する位置との関係をどのように判断するかについて、具体的には、各前記固定子における前記第1位置フィードバック装置21が前記可動子における前記第2位置フィードバック装置31を感知することで得られる。
【0035】
好ましくは、前記第1駆動器及び前記第2駆動器が同一の前記可動子の前記磁性鋼に発生する駆動力の方向が一致する。
【0036】
このような設置は、前記可動子3が前記ガイドレール1に移動するときに不安定な現象が発生することを回避するためである。
【0037】
好ましくは、前記第1固定子及び前記第2固定子がそれぞれ対応する前記駆動器は、同一の前記制御器に接続され、前記制御器によって各前記駆動器に対して前記駆動モードの切り替えを統括して行う。
【0038】
好ましくは、前記制御器は、前記位置情報に基づいて前記可動子が前記ガイドレール上で移動する絶対位置情報を計算する。
【0039】
前記ダイレクトドライブシステム100において、異なる前記駆動器の出力する電流に大きな差異が存在し、又は可動子を異なる方向に向けるように作用する電流が発生することを回避するために、前記制御器が統括して制御することにより、同一の可動子は移動中に駆動器が受信した制御指令の相違によって速度が変動することを回避する必要がある。また、前記制御器が前記位置情報を取得すると、前記位置情報に基づいて前記可動子3の前記ガイドレール1上で移動する絶対位置情報を得ることができ、例えば、前記位置情報が取得した前記固定子が前記ダイレクトドライブシステム100において位置が固定である場合、光電感知装置である前記第1位置フィードバック装置21及び前記第2位置フィードバック装置31により、前記可動子3の相対位置を得ることができ、さらに前記制御器5により前記可動子3の絶対位置を計算して得る。
【0040】
前記制御器5は、前記絶対位置により、各前記駆動器の駆動モードをリアルタイムに調整することができ、それにより、ダイレクトドライブシステム内の複数の前記可動子の移動制御を図り、制御レベルから全体のダイレクトドライブシステムの操作複雑度を低下させる。
【0041】
好ましくは、前記第1位置フィードバック装置21は、光電信号を取得する読み取りヘッドであり、前記第2位置フィードバック装置31は、間隔距離が一致するグリッド定規である。
【0042】
従来技術に比べて、本発明の提供するダイレクトドライブシステムの制御方法は、複数のコイルを1つの固定子とするダイレクトドライブシステムにおいて、各固定子が1つの単独の駆動器によって駆動され、1つの単独の制御器によって全ての駆動器の制御を行うため、異なる固定子の駆動モードの切り替えを簡単に可能にすることができるとともに、複数の制御ユニットによる制御操作の複雑な問題を回避することができ。また、複数のコイルを1つの固定子に集積し、かつ1つの駆動器で1つの固定子を駆動する方法は、ダイレクトドライブシステムにおけるパワーモジュールの使用数を効果的に減少して、ダイレクトドライブシステム全体の生産及び使用コストを低減させることができる。
【0043】
本発明に係る実施例は、さらにコンピュータ装置を提供し、図4に示すように、図4は、本発明に係る実施例の提供するコンピュータ装置の構成模式図である。前記コンピュータ装置200は、プロセッサ201、メモリ202、及び前記メモリ202に記憶され且つ前記プロセッサ201において実行可能なコンピュータプログラムを含む。
【0044】
前記コンピュータ装置200は、本発明の上記実施例におけるダイレクトドライブシステム100における制御器5に相当する。
【0045】
前記プロセッサ201は、前記メモリ202に記憶されたコンピュータプログラムを呼び出し、前記コンピュータプログラムを実行するときに、上記実施例における前記ダイレクトドライブシステムの制御方法におけるステップが実現される。
【0046】
本発明に係る実施例の提供するコンピュータ装置200は、上記実施例におけるダイレクトドライブシステムの制御方法におけるステップを実現することができ、且つ同様な技術的効果を奏することができ、上記実施例での説明を参照すればよく、ここで繰り返し述べない。
【0047】
本発明に係る実施例は、さらにコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供し、前記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体には、コンピュータプログラムが記憶され、該コンピュータプログラムは、プロセッサによって実行される時に、本発明に係る実施例の提供するダイレクトドライブシステムの制御方法における各プロセス及ステップが実現され、且つ同様な技術的効果を奏することができ、重複を避けるために、ここで繰り返し述べない。
【0048】
当業者であれば上記実施例の方法における全部又は一部のフローを実現することは、コンピュータプログラムによって関連するハードウェアを指示して完了することができ、前記プログラムはコンピュータの読み取り可能な記憶媒体に記憶することができ、該プログラムを実行する時、上記各方法の実施例のフローを含むことができる。そのうち、前記記憶媒体は磁気ディスク、光ディスク、読み取り専用記憶メモリ(Read-Only Memory、ROM)又はランダムアクセスメモリ(RandomAccess Memory、RAMと略称する)などであってもよい。
【0049】
なお、本明細書において、用語「含む」、「包含」又はそのいずれかの他の変形は非排他的な包含を含むことを意図し、それにより一連の要素の過程、方法、物品又は装置はそれらの要素を含むだけでなく、また明確に列挙されていない他の要素を含み、又はこのような過程、方法、物品又は装置に固有の要素を含む。より多くの制限がない場合、語句「一つの…を含む」によって限定された要素は、該要素を含むプロセス、方法、物品又は装置にさらに他の同じ要素が存在することを排除するものではない。
【0050】
以上の実施形態の説明により、当業者であれば上記実施例の方法はソフトウェア及び必要な汎用ハードウェアプラットフォームの形態で実現することができ、当然ハードウェアであってもよいが、多くの場合に前者はより好ましい実施形態である。このような理解に基づいて、本発明の技術的解決手段は本質的に又は従来技術に寄与する部分はソフトウェア製品の形式で表すことができ、該コンピュータソフトウェア製品は1つの記憶媒体(例えばROM/RAM、磁気ディスク、光ディスク)に記憶され、複数のコマンドを含んで一台の端末(携帯電話、コンピュータ、サーバ、エアコン、又はネットワーク装置等であってもよい)に本発明の各実施例に記載の方法を実行させる。
【0051】
以上の記載は本発明の実施例に過ぎず、本発明の特許請求の範囲を限定するものではなく、本発明の明細書及び図面内容を利用して行われる等価構造又は等価フロー変換、又は他の関連する技術分野に直接又は間接的に適用することは、いずれも同様に本発明の特許請求の範囲内に含まれる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】