(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-18
(54)【発明の名称】ダイレクトドライブシステム
(51)【国際特許分類】
H02K 41/03 20060101AFI20240710BHJP
【FI】
H02K41/03 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560869
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(85)【翻訳文提出日】2022-10-05
(86)【国際出願番号】 CN2022106917
(87)【国際公開番号】W WO2024000700
(87)【国際公開日】2024-01-04
(31)【優先権主張番号】202221704292.3
(32)【優先日】2022-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517409583
【氏名又は名称】エーエーシー マイクロテック(チャンヂョウ)カンパニー リミテッド
【住所又は居所原語表記】No.3 changcao road, Hi-TECH Industrial Zone, Wujin District, Changzhou City, Jiangsu Province, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201732
【氏名又は名称】松縄 正登
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【氏名又は名称】伊佐治 創
(74)【代理人】
【識別番号】100227019
【氏名又は名称】安 修央
(72)【発明者】
【氏名】秦 ▲ユー▼
(72)【発明者】
【氏名】史 ▲衛▼▲領▼
(72)【発明者】
【氏名】朱 学▲園▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ ▲敏▼
【テーマコード(参考)】
5H641
【Fターム(参考)】
5H641BB06
5H641BB17
5H641GG02
5H641GG04
5H641GG06
5H641GG10
5H641HH03
5H641HH10
5H641JA09
(57)【要約】
【課題】本発明は、固定子と、一次アセンブリと、可動子と、二次アセンブリと、第1磁気ヨークとを含むダイレクトドライブシステムを提供する。
【解決手段】前記固定子の一方側には前記第1磁気ヨークが設けられ、前記一次アセンブリは、第1磁気ヨークに設けられ、前記可動子は、第1支持面と第2支持面を有し、前記第1支持面と前記第2支持面は、前記固定子の対向する両側に分かれて設けられ、前記二次アセンブリは、第1支持面に設けられ、かつ前記二次アセンブリは、前記一次アセンブリに向かい、前記二次アセンブリと前記一次アセンブリとの間に第1隙間が形成され、前記二次アセンブリ、前記一次アセンブリ、前記第1磁気ヨークの間には磁界ループが形成され、前記固定子の前記第1磁気ヨークから離間する側は、前記第2支持面に向かい、前記第2支持面は、テーブル面を支持するために用いられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイレクトドライブシステムであって、
固定子と、一次アセンブリと、可動子と、二次アセンブリと、第1磁気ヨークとを含み、前記固定子の一方側には、前記第1磁気ヨークが設けられ、前記一次アセンブリは、第1磁気ヨークに設けられ、前記可動子は、第1支持面及び第2支持面を有し、前記第1支持面及び前記第2支持面は、前記固定子の対向する両側に分かれて設けられ、前記二次アセンブリは、第1支持面に設けられ、かつ前記二次アセンブリは、前記一次アセンブリに向かい、前記二次アセンブリと前記一次アセンブリとの間に第1隙間が形成され、前記二次アセンブリ、前記一次アセンブリ、及び前記第1磁気ヨークの間には、磁界ループが形成され、
前記固定子の前記第1磁気ヨークから離間する側は、前記第2支持面に向かい、前記第2支持面は、テーブル面を支持するために用いられる、ことを特徴とするダイレクトドライブシステム。
【請求項2】
前記一次アセンブリは、複数の一次ユニットを含み、複数の一次ユニットは、前記第1磁気ヨークの延在方向に沿って前記第1磁気ヨークに分布し、
各前記一次ユニットは、いずれもコイル及び鉄芯を含み、前記鉄芯は、前記第1磁気ヨークに固定され、前記コイルは、前記鉄芯に外嵌される、ことを特徴とする請求項1に記載のダイレクトドライブシステム。
【請求項3】
前記二次アセンブリは、第2磁気ヨーク及び磁性体を含み、偶数個の前記磁性体は、前記第2磁気ヨークに設けられ、かつ隣接する2つの磁性体の極性が異なり、
磁束は、第1磁性体、第1鉄芯、第1磁気ヨーク、第2鉄芯、第2磁性体、第2磁性鋼を順次通過して第1磁性体に流入することによって、磁界ループが形成され、
第1磁性体と第2磁性体が隣接し、第1鉄芯と第2鉄芯が隣接する、ことを特徴とする請求項2に記載のダイレクトドライブシステム。
【請求項4】
前記第1磁気ヨークは、円弧に沿って延在する予め定められたセグメントを含む、ことを特徴とする請求項2に記載のダイレクトドライブシステム。
【請求項5】
複数の一次ユニットは、前記予め定められたセグメントに間隔を隔てて分布し、かつ隣接する2つの一次ユニットは、いずれも予め定められた挟角を形成する、ことを特徴とする請求項4に記載のダイレクトドライブシステム。
【請求項6】
さらに基台及び支持台を含み、前記固定子が前記支持台に固定され、前記支持台が前記基台に固定される、ことを特徴とする請求項1に記載のダイレクトドライブシステム。
【請求項7】
さらに位置規制アセンブリを含み、前記位置規制アセンブリは、スライダ及びガイドレールを含み、
前記ガイドレールは、前記基台に固定され、前記ガイドレールは、複数の前記一次ユニットが分布する方向に沿って延在し、前記スライダは、前記可動子に固定され、前記スライダは、前記ガイドレールに取り付けられ、かつ前記ガイドレールが延在する方向に沿って移動可能である、ことを特徴とする請求項6に記載のダイレクトドライブシステム
【請求項8】
前記可動子には凹溝が設けられており、前記固定子の一部は、前記凹溝に嵌設され、前記凹溝の内側壁によって第1支持面が形成され、
前記凹溝の外側壁によって前記第2支持面が形成され、前記第1支持面と前記第2支持面の向きが同じである、ことを特徴とする請求項7に記載のダイレクトドライブシステム。
【請求項9】
前記凹溝の前記第1支持面に対向する内側壁と前記固定子との間には、第2隙間が形成される、ことを特徴とする請求項8に記載のダイレクトドライブシステム。
【請求項10】
前記スライダは、対向する第1スライド溝及び第2スライド溝を含み、前記ガイドレールは、逆方向へ延在する第1突起及び第2突起を含み、
前記第1突起は、前記第1スライド溝に対応して嵌設され、前記第2突起は、前記第2スライド溝に対応して嵌設される、ことを特徴とする請求項7に記載のダイレクトドライブシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ駆動の技術分野に関し、特にダイレクトドライブシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ダイレクトドライブとは、直接駆動(Direct Drive)を指し、それは、新型のモータが直接的に運動実行部分と結合し、すなわち、モータが機械の運転を直接駆動し、中間の機械伝動部分がない。直接駆動の応用は、リニアモータをコア駆動素子とする直線運動部材、及びトルクモータをコア駆動素子とする回転運動素子を含む。
【0003】
現在のダイレクトドライブシステムは、以下の利点を有する。
(1)機器寿命の面において、ダイレクトドライブシステムは、機械伝動部品を減少させ、摩耗を減少させ、機器寿命を向上させ、さらにエネルギーを節約する。
(2)ダイレクトドライブシステムは、機械伝動をキャンセルし、それによって故障率を低下させて部品及び製造コストを節約して、さらに機器全体のコストを低下させる。
(3)ダイレクトドライブシステムは、機器の加工効率を大幅に向上させ、加工精度を効果的に向上させる。
【0004】
しかし、現在のダイレクトドライブシステムは、同時に以下の欠点が存在する。
固定子に固定された一次アセンブリと可動子に固定された二次アセンブリとの間に磁界ループを形成することによって、一次アセンブリの通電コイルと磁界ループとが相互作用して、可動子が予め定められた軌跡に沿って移動するように駆動するために、可動子に支持された台面と固定子との間に磁界を生成するための磁性体を設置する必要がある。しかしながら、可動子が台面の圧力を受けて固定子に対して移動する過程において、磁性体が破損しやすく、ダイレクトドライブシステムの信頼性を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、少なくとも従来技術に存在する技術問題の一つを解決し、ダイレクトドライブシステムの新たな技術案を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、ダイレクトドライブシステムを提供し、当該ダイレクトドライブシステムは、固定子と、一次アセンブリと、可動子と、二次アセンブリと、第1磁気ヨークとを含み、前記固定子の一方側には前記第1磁気ヨークが設けられ、前記一次アセンブリは、第1磁気ヨークに設けられ、前記可動子は、第1支持面と、第2支持面とを有し、前記第1支持面と前記第2支持面は、前記固定子の対向する両側に分かれて設けられ、前記二次アセンブリは、第1支持面に設けられ、かつ前記二次アセンブリは、前記一次アセンブリに向かい、前記二次アセンブリと前記一次アセンブリとの間に第1隙間が形成され、前記二次アセンブリ、前記一次アセンブリ、及び前記第1磁気ヨークの間には磁界ループが形成され、
前記固定子の前記第1磁気ヨークから離間する側は、前記第2支持面に向かい、前記第2支持面は、テーブル面を支持するために用いられる。
【0007】
好ましくは、前記一次アセンブリは、複数の一次ユニットを含み、複数の一次ユニットは、前記第1磁気ヨークの延在方向に沿って前記第1磁気ヨークに分布し、
各前記一次ユニットは、いずれもコイル及び鉄芯を含み、前記鉄芯は、前記第1磁気ヨークに固定され、前記コイルは、前記鉄芯に外嵌される。
【0008】
好ましくは、前記二次アセンブリは、第2磁気ヨーク及び磁性体を含み、偶数個の前記磁性体が前記第2磁気ヨークに設けられ、かつ隣接する2つの磁性体の極性が異なり、
磁束は、第1磁性体、第1鉄芯、第1磁気ヨーク、第2鉄芯、第2磁性体、第2磁性鋼を順次通過して第1磁性体に流入することによって、磁界ループが形成され、
第1磁性体と第2磁性体が隣接し、第1鉄芯と第2鉄芯が隣接する。
【0009】
好ましくは、前記第1磁気ヨークは、円弧に沿って延在する予め定められたセグメントを含む。
【0010】
好ましくは、複数の一次ユニットは、前記予め定められたセグメントに間隔を隔てて分布し、かつ隣接する2つの一次ユニットは、いずれも予め定められた挟角を形成する。
【0011】
好ましくは、ダイレクトドライブシステムは、基台及び支持台をさらに含み、前記固定子は、前記支持台に固定され、前記支持台は、前記基台に固定される。
【0012】
好ましくは、ダイレクトドライブシステムは、さらに位置規制アセンブリを含み、前記位置規制アセンブリは、スライダ及びガイドレールを含み、
前記ガイドレールは、前記基台に固定され、前記ガイドレールは、複数の前記一次ユニットが分布する方向に沿って延在し、前記スライダは、前記可動子に固定され、前記スライダは、前記ガイドレールに取り付けられ、かつ前記ガイドレールが延在する方向に沿って移動することができる。
【0013】
好ましくは、前記可動子には凹溝が設けられ、前記固定子の一部が前記凹溝に嵌設され、前記凹溝の内側壁によって第1支持面が形成され、
前記凹溝の外側壁によって前記第2支持面が形成され、前記第1支持面と前記第2支持面の向きが同じである。
【0014】
好ましくは、前記凹溝の前記第1支持面に対向する内側壁と前記固定子との間には、第2隙間が形成される。
【0015】
好ましくは、前記スライダは、対向する第1スライド溝及び第2スライド溝を含み、前記ガイドレールは、逆方向へ延在する第1突起及び第2突起を含み、
前記第1突起は、前記第1スライド溝に対応して嵌設され、前記第2突起は、前記第2スライド溝に対応して嵌設される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一つの技術効果は、以下の通りである。
本発明のダイレクトドライブシステムにおいて、可動子は、第1支持面と第2支持面を有し、第1支持面と第2支持面は、固定子の対向する両側に分かれて設けられ、二次アセンブリは、第1支持面に設けられ、第2支持面は、テーブル面を支持するために用いられ、それによって二次アセンブリとテーブル面は、固定子の対向する両側に分かれて設けられる。さらに固定子の一方側に第1磁気ヨークが設けられ、一次アセンブリが第1磁気ヨークに設けられ、かつ二次アセンブリが一次アセンブリに向かい、固定子の第1磁気ヨークから離間する側が第2支持面に向かい、二次アセンブリ、一次アセンブリ、及び第1磁気ヨークの間には磁界ループが形成される。
以上から分かるように、固定子の一方側には磁界ループが形成され、他方側にはテーブル面が固定され、このように、固定子とテーブル面との間に磁性体などの磁界ループを形成するための部材を設ける必要がなく、一方では、当該ダイレクトドライブシステムの構造設計が合理的であり、磁界ループの形成方式が簡単であり、各部材の組立に有利となり、他方では、可動子が固定子に対して移動する過程において、テーブル面の圧力による磁性体などの部材への損傷が回避され、ダイレクトドライブシステムの安定性及び信頼性を保証することができ、第3の面では、二次アセンブリと一次アセンブリとの間には第1隙間が形成され、可動子が駆動されて固定子に対して移動する円滑性及び安定性を保証することに寄与しつつ、移動過程による二次アセンブリと一次アセンブリへの損傷を回避することにも寄与し、ダイレクトドライブシステムの安定性及び信頼性をより一層保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施例のダイレクトドライブシステムの構造概略図である。
【
図2】本発明の実施例のダイレクトドライブシステムの別の視角の構造概略図である。
【
図3】本発明の実施例のダイレクトドライブシステムの一次アセンブリと二次アセンブリの位置関係概略図である。
【
図4】本発明の実施例のダイレクトドライブシステムの磁界ループの概略図である。
【
図5】本発明の実施例のダイレクトドライブシステムのスライダの第1スライド溝及び第2スライド溝の構造概略図。
【
図6】本発明の実施例のダイレクトドライブシステムの一次アセンブリの底面図である。
【
図7】本発明の実施例のダイレクトドライブシステムの底面図である。
【
図9】本発明の実施例のダイレクトドライブシステムの第1磁性鋼と一次ユニットとの接続関係の概略図である。
【
図10】本発明の実施例のダイレクトドライブシステムの可動子及び二次アセンブリの構造概略図である。
【
図11】本発明の実施例のダイレクトドライブシステムの可動子の凹溝の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本願の各種の例示的な実施例を詳細に説明する。なお、特に断らない限り、これらの実施例において説明された部材及びステップの相対的な配置、数字表現式及び数値は、本願の範囲を限定するものではない。
【0019】
以下、本願の実施例を詳細に説明し、この実施例の例を図面に示し、ここで終始同じ又は類似の符号は、同じ又は類似の素子又は同じ又は類似の機能を有する素子を示す。以下に図面を参照して説明する実施例は、例示的なものであり、本願を説明するためのものに過ぎず、本願を限定するものではないと理解されるべきである。本願における実施例に基づいて、当業者が創造的な労力を要さずに想到し得る他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属するものとする。
【0020】
本願の明細書及び特許請求の範囲における用語「第1」、「第2」の特徴は、1つ以上の当該特徴を明示的又は暗黙的に含むことができる。本願の説明において、特に断らない限り、「複数」の意味は、2つ又は2つ以上である。また、明細書及び請求項における「及び/又は」は、接続されたオブジェクトの少なくとも1つを表し、文字「/」は、一般的に、前後関連対象が「又は」の関係にあることを表す。
【0021】
本願の説明において、用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などで指示された方位又は位置関係は、図面に基づいて示された方位又は位置関係であり、本願の説明及び説明の簡略化の便宜のためのものに過ぎず、指示された装置又は素子が特定の方位を有すること、特定の方位で構造して操作することが必須であると指示するか又は暗示するものではないことを理解すべきであり、したがって、本願を限定するものと理解すべきではない。
【0022】
本願の説明において、特に明示した場合および限定的な記載がない限り、用語「取り付け」、「接続」、「つながり」は、広義的に理解すべきであり、例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能な接続であってもよく、又は一体的な接続であってもよく、機械的な接続であってもよく、電気的な接続であってもよく、直接接続であってもよく、中間媒体を介して間接的に接続されてもよく、2つの素子内部の連通であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて、上記用語の本願における具体的な意味を理解することができる。
【0023】
図1~
図11に示すように、本願は、ワークテーブルが予め定められた軌跡に従って移動し、例えば、直線軌跡に従って移動することを実現するためのダイレクトドライブシステムを提供する。当然のことながら、実際の需要に応じてワークテーブルの移動軌跡を設定することができ、移動軌跡は、直線軌跡であってもよいが、それに限定されるものではない。
【0024】
具体的には、
図1及び
図2を参照し、当該ダイレクトドライブシステムは、固定子1と、一次アセンブリと、可動子3と、二次アセンブリ4と、第1磁気ヨーク5とを含む。ここで、固定子1は、固定構造であり、可動子3は移動可能な構造であり、可動子3は、ダイレクトドライブシステムの駆動で固定子1に対して移動する。
【0025】
さらに具体的には、固定子1の一方側には、第1磁気ヨーク5が設けられ、一次アセンブリは、第1磁気ヨーク5に設けられ、可動子3は、第1支持面31及び第2支持面32を有し、第1支持面31及び第2支持面32は、固定子1の対向する両側に分かれて設けられ、二次アセンブリ4は、第1支持面31に設けられ、かつ二次アセンブリ4は、一次アセンブリに向かい、二次アセンブリ4と一次アセンブリとの間には、第1隙間81が形成され、二次アセンブリ4、一次アセンブリ、第1磁気ヨーク5の間には、磁界ループ100が形成される。ここで、磁界ループ100については、
図3及び
図4を参照する。
【0026】
固定子1の第1磁気ヨーク5から離間する側は、第2支持面32に向かい、第2支持面32は、テーブル面を支持するために用いられ、それによってテーブル面が可動子3によって予め定められた軌跡に従って移動することが実現される。
【0027】
本発明のダイレクトドライブシステムにおいて、可動子3は、第1支持面31及び第2支持面32を有し、第1支持面31及び第2支持面32は、固定子1の対向する両側に分かれて設けられ、二次アセンブリ4は、第1支持面31に設けられ、第2支持面32は、テーブル面を支持するために用いられ、それによって二次アセンブリ4とテーブル面は、固定子1の対向する両側に分かれて設けられる。さらに固定子1の一方側に基づいて第1磁気ヨーク5が設けられ、一次アセンブリが第1磁気ヨーク5に設けられ、かつ二次アセンブリ4が一次アセンブリに向かい、固定子1の第1磁気ヨーク5から離間する側が第2支持面32に向かい、二次アセンブリ4、一次アセンブリ、第1磁気ヨーク5の間には磁界ループ100が形成される。
【0028】
以上から分かるように、固定子1の一方側には磁界ループ100が形成され、他方側にはテーブル面が固定され、そうすると、固定子1とテーブル面との間に磁性体42などの磁界ループ100を形成するための部材を設ける必要がなく、一方では、当該ダイレクトドライブシステムの構造設計が合理的であり、磁界ループ100の形成方式が簡単であり、各部材の組立に有利となり、他方では、可動子3が固定子1に対して移動する過程において、テーブル面の圧力による磁性体42などの部材への損傷が回避され、ダイレクトドライブシステムの安定性及び信頼性を保証することができ、第3の面では、二次アセンブリ4と一次アセンブリとの間に第1隙間81が形成され、可動子3が駆動されて固定子1に対して移動する円滑性及び安定性を保証することに寄与しつつ、移動過程による二次アセンブリ4と一次アセンブリへの損傷を回避することにも寄与し、ダイレクトドライブシステムの安定性及び信頼性をより一層保証することができる。
【0029】
好ましくは、
図6及び
図9を参照し、一次アセンブリは、複数の一次ユニット21を含み、複数の一次ユニット21は、第1磁気ヨーク5の延在方向に沿って第1磁気ヨーク5に分布する。
【0030】
各一次ユニット21はいずれもコイル211及び鉄芯212を含み、鉄芯212が第1磁気ヨーク5に固定され、コイル211が鉄芯212に外嵌される。
【0031】
なお、隣接する一次ユニット21の間は、間隔を隔てて分布する。第1磁気ヨーク5は、可動子3の移動方向に従って延在することができ、それによって第1磁気ヨーク5の延在方向に沿って分布する複数の一次ユニット21は可動子3上の二次ユニットとよく協働して、磁界ループ100を形成することができ、可動子3が磁界ループ100及び一次アセンブリの相互作用でよりスムーズに移動することを保証することができる。
【0032】
上記実施形態において、一次ユニット21の構造及び複数の一次ユニット21の分布方式を簡略化し、ダイレクトドライブシステムの構造を最適化し、一次アセンブリと第1磁気ヨーク5との接続の安定性を向上させることにも寄与する。
【0033】
好ましくは、
図10及び
図11を参照し、二次アセンブリ4は、第2磁気ヨーク41及び磁性体42を含み、偶数個の磁性体42は、第2磁気ヨーク41に設けられ、かつ隣接する2つの磁性体42の極性が異なる。例えば、磁性体42は、磁性を有する磁性鋼であってもよい。偶数個の磁性体42によって、可動子3が移動する過程において一次アセンブリ、二次アセンブリ4、第1磁気ヨーク5の間に磁界ループ100を形成できることが確保される。
【0034】
磁束は、第1磁性体42、第1鉄芯212、第1磁気ヨーク5、第2鉄芯212、第2磁性体42、第2磁性鋼を順次通過して第1磁性体42に流入することによって、磁界ループ100が形成される。ここで、第1磁性体42と第2磁性体42が隣接し、第1鉄芯212と第2鉄芯212が隣接する。
【0035】
上記実施形態において、磁界ループ100は、固定子1のテーブル面から離間する側に位置し、かつ磁界ループ100の形成方式が合理的であり、磁性体42の使用量を減少させ、コストを節約することに寄与するだけでなく、二次アセンブリ4の構造を簡略化することにも寄与し、それと同時に固定子1がコイル211、磁界ループ100の共同作用でより良く移動することをよく実現することができる。
【0036】
好ましくは、第1磁気ヨーク5は、円弧に沿って延在する予め定められたセグメントを含む。第1磁気ヨーク5が円弧に沿って延在する予め定められたセグメントを有すると、複数の一次ユニット21は円弧状の予め定められたセグメントに沿って分布し、それによって可動子3上の二次ユニットは一次ユニット21と協働して、可動子3が円弧状軌跡に沿って移動することを実現し、可動子3がワークテーブルを円弧状軌跡に沿って移動させることをよく実現することができ、移動方式が簡単である。
【0037】
好ましくは、複数の一次ユニット21は、予め定められたセグメントに間隔を隔てて分布し、かつ隣接する2つの一次ユニット21は、いずれも予め定められた挟角を形成する。
【0038】
上記実施形態において、二次ユニット、一次ユニット21及び第1磁性鋼の間に安定した磁界ループ100を形成することを実現することに寄与し、可動子3がワークテーブルを円弧状軌跡に沿ってより安定して移動させることを保証することができる。
【0039】
好ましくは、ダイレクトドライブシステムは、さらに基台9及び支持台6を含み、固定子1は支持台6に固定され、支持台6は基台9に固定される。
【0040】
上記実施形態において、支持台6は、固定子1をよく固定することができ、基台9は、固定子1を予め定められた位置に安定して固定することに寄与し得る。
【0041】
好ましくは、ダイレクトドライブシステムは、さらにスライダ71及びガイドレール72を含む。
ガイドレール72は、基台9に固定され、ガイドレール72は、複数の一次ユニット21が分布する方向に沿って延在し、スライダ71は、可動子3に固定され、スライダ71は、ガイドレール72に取り付けられ、かつガイドレール72の延在する方向に沿って移動することができる。
【0042】
上記実施形態において、ガイドレール72は、複数の一次ユニット21が分布する方向に沿って延在し、可動子3が移動する過程において一次アセンブリとよく協働できることを実現することに寄与し、磁界ループ100を実現しやすく、可動子3をより安定して移動駆動することができる。
【0043】
また、ガイドレール72はスライダ71と嵌合し、可動子3の移動方向を正確にガイドすることに寄与し、それと同時に移動抵抗を減少させることに寄与し、それによって可動子3はワークテーブルを予め定められた軌跡に沿って正確で安定的に移動させることができる。
【0044】
好ましくは、
図1及び
図11を参照し、可動子3には凹溝33が設けられ、固定子1の一部が凹溝33に嵌設され、溝33の内側壁によって第1支持面31が形成され、
凹溝33の外側壁によって第2支持面32が形成され、第1支持面31と第2支持面32の向きが同じである。
【0045】
上記実施形態において、可動子3の構造設計が合理的であり、テーブル面と固定子1との間に磁性鋼などの磁性体42を設けることを効果的に回避することができ、磁性鋼の使用量を大幅に低減しつつ、二次アセンブリ4の構造を最適化して、コストをよく低減させることもできる。
【0046】
好ましくは、凹溝33の第1支持面31に対向する内側壁と固定子1との間には、第2隙間82が形成される。これによってテーブル面と固定子1との間に運動隙間のみがあり、テーブル面と固定子1との間に磁性鋼がなく、信頼性がより高くなる。それと同時に可動子3が固定子1に対してより安定して移動できることに寄与し得る。
【0047】
好ましくは、
図5及び
図6を参照し、スライダ71は、対向する第1スライド溝711及び第2スライド溝712を含む。
図7及び
図8を参照し、ガイドレール72は、逆方向へ延在する第1突起721及び第2突起722を含み、
第1突起721は、第1スライド溝711に対応して嵌設され、第2突起722は、第2スライド溝712に対応して嵌設される。
【0048】
上記実施形態において、第1突起721が第1スライド溝711に対応して嵌設され、第2突起722が第2スライド溝712に対応して嵌設されるため、可動子3に対する正確な位置規制を実現することができるだけでなく、可動子3の移動過程における安定性を保証することにも寄与し得る。
【0049】
なお、現在のダイレクトドライブシステムは、固定子1とテーブル面との間に磁性鋼が設けられているため、一方では、磁性鋼の使用量を増加させ、コストを増加させ、他方では、可動子3が移動する過程において磁性鋼を非常に損傷しやすく、ダイレクトドライブシステムの安定性を低下させる。
【0050】
本発明の技術案では、従来技術に存在する問題を良く解決することができ、それは、テーブル面と固定子1との間に磁性鋼などの磁性体42を設けないとう前提で、二次アセンブリ4、一次アセンブリ、第1磁気ヨーク5の間に磁界ループ100を形成することができ、すなわち、磁束が二次アセンブリ4から一次アセンブリに流入し、さらに二次アセンブリ4に還流し、それによって一つの回路を構成する。したがって、本願の実施例によって提供されるダイレクトドライブシステムは、可動子3が予め定められた軌跡に従って移動することを可能にして、ダイレクトドライブシステムのコストが大幅に低減されるだけでなく、ダイレクトドライブシステムの構造が最適化され、ダイレクトドライブシステム全体の安定性及び信頼性を保証することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、一次ユニット21は組立工具によって第1磁気ヨーク5と安定的に固定される。組立方式が簡単であり、一次アセンブリと第1磁気ヨーク5との間の固定を迅速に実現することに寄与し得る。
【0052】
他の実施形態において、
図1を参照し、第1磁気ヨーク5の一次ユニット21に向かう面には、位置決め突起10が間隔を隔てて設けられ、少なくとも1つの一次ユニット21が、隣接する2つの位置決め突起10の間に設けられ、それによって一次ユニット21に対する位置決めを実現することができ、一次ユニット21を第1磁気ヨーク5に迅速かつ正確に取り付けることに寄与し得る。
【0053】
以上をまとめると、本発明によって提供されるダイレクトドライブシステムの構造設計は合理的であり、一次アセンブリ及び二次アセンブリ4を良く保護することができ、安定性及び信頼性が高い。
【0054】
理解されるように、以上の実施形態は、本発明の原理を説明するために用いられた例示的な実施形態にしか過ぎず、本発明は、これに限定されるものではない。当業者であれば、本発明の精神及び実質から逸脱することなく、様々な変更及び改良を行うことができ、これらの変更及び改良も本発明の保護範囲と見なされる。
【符号の説明】
【0055】
100、磁界ループ;1、固定子;21、一次ユニット;211、コイル;212、鉄芯;3、可動子;31、第1支持面;32、第2支持面;33、凹溝;4、二次アセンブリ;41、第2磁気ヨーク;42、磁性体;5、第1磁気ヨーク;6、支持台;71、スライダ;711、第1スライド溝;712、第2スライド溝;72、ガイドレール;721、第1突起;722、第2突起;81、第1隙間;82、第2隙間;9、基台;10、位置決め突起。
【国際調査報告】