(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-18
(54)【発明の名称】溶融塩蓄熱に基づく火力発電ユニットの柔軟な運転システム
(51)【国際特許分類】
F22D 1/18 20060101AFI20240710BHJP
F28D 20/00 20060101ALI20240710BHJP
F01K 11/02 20060101ALI20240710BHJP
F01D 15/10 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
F22D1/18
F28D20/00 G
F01K11/02
F01D15/10 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530032
(86)(22)【出願日】2022-12-20
(85)【翻訳文提出日】2023-05-17
(86)【国際出願番号】 CN2022140497
(87)【国際公開番号】W WO2023246030
(87)【国際公開日】2023-12-28
(31)【優先権主張番号】202210703817.X
(32)【優先日】2022-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520455014
【氏名又は名称】西安熱工研究院有限公司
【氏名又は名称原語表記】Xi’an Thermal Power Research Institute CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.136 Xingqing Road,Beilin District,Xi’an City,Shaanxi Province,China
(71)【出願人】
【識別番号】522228964
【氏名又は名称】西安西熱節能技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】XI’AN TPRI ENERGY CONSERVATION TECHNOLOGY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】Block A, Boyuan Science & TechnologyBuilding, No. 99,Yanxiang Road Xi’an, Shaanxi 710054 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】▲ろう▼ 青
(72)【発明者】
【氏名】馬 汀山
(72)【発明者】
【氏名】居 文平
(72)【発明者】
【氏名】常 東鋒
(72)【発明者】
【氏名】王 偉
(72)【発明者】
【氏名】張 建元
(72)【発明者】
【氏名】王 東曄
(72)【発明者】
【氏名】耿 如意
(72)【発明者】
【氏名】祁 文玉
(72)【発明者】
【氏名】李 昊
(72)【発明者】
【氏名】駱 楠
(72)【発明者】
【氏名】朱 佳▲しん▼
(57)【要約】
溶融塩蓄熱に基づく火力発電ユニットの柔軟な運転システムが提案され、ボイラ装置、低温タンク、高温タンク、第1の熱交換器及び第2の熱交換器を含み、第1の熱交換器の吸熱通路の入液端が低温タンクの出液端に接続され、第1の熱交換器の吸熱通路の出液端が高温タンクの入液端に接続され、第1の熱交換器の放熱通路の入気端がボイラ装置の気水分離器の排気端に接続され、第1の熱交換器の放熱通路の出液端がボイラ装置の水冷壁の入液端に接続される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融塩蓄熱に基づく火力発電ユニットの柔軟な運転システムであって、
ボイラ装置、低温タンク、高温タンク、第1の熱交換器及び第2の熱交換器を含み、
前記第1の熱交換器の吸熱通路の入液端が前記低温タンクの出液端に接続され、前記第1の熱交換器の吸熱通路の出液端が前記高温タンクの入液端に接続され、前記第1の熱交換器の放熱通路の入気端が前記ボイラ装置の気水分離器の排気端に接続され、前記第1の熱交換器の放熱通路の出液端が前記ボイラ装置の水冷壁の入液端に接続され、
前記第2の熱交換器の放熱通路の入液端が前記高温タンクの出液端に接続され、前記第2の熱交換器の放熱通路の出液端が前記低温タンクの入液端に接続され、前記第2の熱交換器の吸熱通路の入液端が前記ボイラ装置の給水ポンプの出液端に接続され、前記第2の熱交換器の吸熱通路の出液端が前記ボイラ装置の節炭器の入液端に接続される、
ことを特徴とする溶融塩蓄熱に基づく火力発電ユニットの柔軟な運転システム。
【請求項2】
前記ボイラ装置は、
炉体と、
前記炉体の内壁に設けられる水冷壁と、
出液端が前記水冷壁の入液端に接続され、入液端が前記水冷壁の出液端に接続される前記気水分離器と、
前記炉体の排煙端内に設けられ、出液端が前記水冷壁の入液端に接続される前記節炭器と、
出液端が前記節炭器の入液端に接続され、入気端が蒸気タービンの高圧シリンダの排気端及び前記蒸気タービンの中圧シリンダの排気端にそれぞれ接続される高圧加熱器と、
出液端が前記高圧加熱器の入液端に接続される前記給水ポンプと、
前記炉体内に設けられ、入気端が前記気水分離器の排気端に接続され、排気端が前記高圧シリンダの入気端に接続される過熱器群と、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の溶融塩蓄熱に基づく火力発電ユニットの柔軟な運転システム。
【請求項3】
前記火力発電ユニットの柔軟な運転システムは、
前記第1の熱交換器の吸熱通路の出液端と前記水冷壁の入液端との間に設けられ、入液端が前記第1の熱交換器の吸熱通路の出液端に接続され、出液端が前記水冷壁の入液端に接続される再循環ポンプをさらに含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の溶融塩蓄熱に基づく火力発電ユニットの柔軟な運転システム。
【請求項4】
前記過熱器群は、
入気端が前記気水分離器の排気端に接続される水平低温過熱器と、
入気端が前記水平低温過熱器の排気端に接続される垂直低温過熱器と、
入気端が前記垂直低温過熱器の排気端に接続される仕切り板過熱器と、
入気端が前記仕切り板過熱器の排気端に接続される高温過熱器と、
入気端が前記高温過熱器の排気端に接続され、排気端が蒸気タービンの高圧シリンダの入気端に接続される最終段過熱器と、を含み、
前記仕切り板過熱器、前記高温過熱器、前記最終段過熱器、前記垂直低温過熱器、前記水平低温過熱器及び前記節炭器は、前記炉体の燃焼室から前記炉体の排煙端への方向に沿って順に分布する、
ことを特徴とする請求項2に記載の溶融塩蓄熱に基づく火力発電ユニットの柔軟な運転システム。
【請求項5】
前記火力発電ユニットの柔軟な運転システムは、
前記気水分離器の排気端と前記第1の熱交換器の放熱通路の入気端との間の管路に設けられる第1の弁体と、
前記気水分離器の排気端と前記水平低温過熱器の入気端との間の管路に設けられる第2の弁体と、
前記給水ポンプの出液端と前記高圧加熱器の入液端との間の管路に設けられる第3の弁体と、
前記給水ポンプの出液端と前記第2の熱交換器の吸熱通路の入液端との間の管路に設けられる第4の弁体と、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の溶融塩蓄熱に基づく火力発電ユニットの柔軟な運転システム。
【請求項6】
前記ボイラ装置は、
前記炉体内に設けられ、前記最終段過熱器と前記垂直低温過熱器との間に位置し、入気端が前記高圧シリンダの排気端に接続される高温再熱器と、
前記炉体内に設けられ、前記最終段過熱器と前記高温再熱器との間に位置し、入気端が前記高温再熱器の排気端に接続され、排気端が前記中圧シリンダの入気端に接続される最終段再熱器と、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の溶融塩蓄熱に基づく火力発電ユニットの柔軟な運転システム。
【請求項7】
前記火力発電ユニットの柔軟な運転システムは、第3の熱交換器をさらに含み、
前記第3の熱交換器の吸熱通路は、前記第1の熱交換器の吸熱通路の出液端と前記高温タンクの入液端との間に設けられ、前記第3の熱交換器の吸熱通路の入液端が前記第1の熱交換器の吸熱通路の出液端に接続され、前記第3の熱交換器の吸熱通路の出液端が前記高温タンクの入液端に接続され、
前記第3の熱交換器の放熱通路は、前記最終段再熱器の入気端と前記高温再熱器の排気端との間に設けられ、前記第3の熱交換器の放熱通路の入気端が前記高温再熱器の排気端に接続され、前記最終段再熱器の入気端が前記第3の熱交換器の放熱通路の排気端及び前記高温再熱器の排気端にそれぞれ接続される、
ことを特徴とする請求項6に記載の溶融塩蓄熱に基づく火力発電ユニットの柔軟な運転システム。
【請求項8】
前記火力発電ユニットの柔軟な運転システムは、
前記第3の熱交換器の放熱通路の入気端と前記高温再熱器の排気端との間の管路に設けられる第5の弁体と、
前記最終段再熱器の入気端と前記高温再熱器の排気端との間の管路に設けられる第6の弁体と、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の溶融塩蓄熱に基づく火力発電ユニットの柔軟な運転システム。
【請求項9】
前記火力発電ユニットの柔軟な運転システムは、
前記第1の熱交換器の吸熱通路の入液端と前記低温タンクの出液端との間に設けられ、入液端が前記低温タンクの出液端に接続され、出液端が前記第1の熱交換器の吸熱通路の入液端に接続される低温溶融塩ポンプと、
前記第1の熱交換器の吸熱通路の入液端と前記低温溶融塩ポンプの出液端との間の管路に設けられる第7の弁体と、
前記第2の熱交換器の放熱通路の入液端と前記高温タンクの出液端との間に設けられ、入液端が前記高温タンクの出液端に接続され、出液端が前記第2の熱交換器の放熱通路の入液端に接続される高温溶融塩ポンプと、
前記第2の熱交換器の放熱通路の入液端と前記高温溶融塩ポンプの出液端との間の管路に設けられる第8の弁体と、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の溶融塩蓄熱に基づく火力発電ユニットの柔軟な運転システム。
【請求項10】
前記火力発電ユニットの柔軟な運転システムは、
吸煙端が前記ボイラ装置の排煙端に接続される脱硝装置をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の溶融塩蓄熱に基づく火力発電ユニットの柔軟な運転システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互引用>
本出願は、2022年6月21日に中国に提案された、中国特許出願番号が202210703817.Xであるものの優先権を主張し、そのすべての内容が本明細書に組み入れられる。
【0002】
本開示は、火力発電ユニット技術の分野に関し、具体的には溶融塩蓄熱に基づく火力発電ユニットの柔軟な運転システムに関する。
【背景技術】
【0003】
近年、風力発電、太陽光発電などの再生可能エネルギー発電の規模と比重が大幅に向上している。しかし、再生可能エネルギーは変動性と間欠性などの特徴があり、電力網に接続すると、通常の火力発電ユニットにピーク調整やピークなどの補助サービスを追加する能力が必要となる。石炭火力発電ユニットが主体的な電源の地位を占め、同時に大規模で不安定な再生可能エネルギーの系統連系が急がれるという二重の背景の下で、中国の火力発電ユニットの負荷調節能力の向上が急務となっている。
【0004】
現在、ボイラ装置の最小出力を低下させることによって火力発電ユニットの深いピーク調整を実現する方式はボイラ装置の最低安定燃焼負荷に制限されることが多く、ボイラ装置の安定燃焼負荷が低すぎると、バーナ、石炭粉砕機、ファンなどの設備が低すぎる負荷で安定して運転できないため、火力発電ユニットが低すぎる負荷で長期間運転できなくなり、また、ボイラ装置の最小出力を低下させることによって火力発電ユニットの深いピーク調整を実現する方式は脱硝装置の最低入口煙温度にも制限されており、ボイラ装置の安定燃焼負荷が低すぎると、ボイラ装置の排煙側温度も低くなるため、脱硝装置内の触媒活性が低下し、脱硝装置の脱硝効率が急激に低下し、火力発電ユニットの排煙要求を満たすことができない。そのため、本開示は、火力発電ユニットのピーク調整能力を向上させるために、溶融塩蓄熱に基づく火力発電ユニットの柔軟な運転システムを提案する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、関連技術における技術的課題の少なくとも1つをある程度解決することを目的とする。
【0006】
このため、本開示の目的は、溶融塩蓄熱に基づく火力発電ユニットの柔軟な運転システムを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本開示の実施例は、溶融塩蓄熱に基づく火力発電ユニットの柔軟な運転システムを提供し、ボイラ装置、低温タンク、高温タンク、第1の熱交換器及び第2の熱交換器を含み、前記第1の熱交換器の吸熱通路の入液端が前記低温タンクの出液端に接続され、前記第1の熱交換器の吸熱通路の出液端が前記高温タンクの入液端に接続され、前記第1の熱交換器の放熱通路の入気端が前記ボイラ装置の気水分離器の排気端に接続され、前記第1の熱交換器の放熱通路の出液端が前記ボイラ装置の水冷壁の入液端に接続され、前記第2の熱交換器の放熱通路の入液端が前記高温タンクの出液端に接続され、前記第2の熱交換器の放熱通路の出液端が前記低温タンクの入液端に接続され、前記第2の熱交換器の吸熱通路の入液端が前記ボイラ装置の給水ポンプの出液端に接続され、前記第2の熱交換器の吸熱通路の出液端が前記ボイラ装置の節炭器の入液端に接続される。
【0008】
いくつかの実施例では、前記ボイラ装置は、炉体と、前記炉体の内壁に設けられる水冷壁と、出液端が前記水冷壁の入液端に接続され、入液端が前記水冷壁の出液端に接続される前記気水分離器と、前記炉体の排煙端内に設けられ、出液端が前記水冷壁の入液端に接続される前記節炭器と、出液端が前記節炭器の入液端に接続され、入気端が蒸気タービンの高圧シリンダの排気端及び前記蒸気タービンの中圧シリンダの排気端にそれぞれ接続される高圧加熱器と、出液端が前記高圧加熱器の入液端に接続される前記給水ポンプと、前記炉体内に設けられ、入気端が前記気水分離器の排気端に接続され、排気端が前記高圧シリンダの入気端に接続される過熱器群と、を含む。
【0009】
いくつかの実施例では、前記火力発電ユニットの柔軟な運転システムは、前記第1の熱交換器の吸熱通路の出液端と前記水冷壁の入液端との間に設けられ、入液端が前記第1の熱交換器の吸熱通路の出液端に接続され、出液端が前記水冷壁の入液端に接続される再循環ポンプをさらに含む。
【0010】
いくつかの実施例では、前記過熱器群は、入気端が前記気水分離器の排気端に接続される水平低温過熱器と、入気端が前記水平低温過熱器の排気端に接続される垂直低温過熱器と、入気端が前記垂直低温過熱器の排気端に接続される仕切り板過熱器と、入気端が前記仕切り板過熱器の排気端に接続される高温過熱器と、入気端が前記高温過熱器の排気端に接続され、排気端が蒸気タービンの高圧シリンダの入気端に接続される最終段過熱器と、を含み、前記仕切り板過熱器、前記高温過熱器、前記最終段過熱器、前記垂直低温過熱器、前記水平低温過熱器及び前記節炭器は、前記炉体の燃焼室から前記炉体の排煙端への方向に沿って順に分布する。
【0011】
いくつかの実施例では、前記火力発電ユニットの柔軟な運転システムは、前記気水分離器の排気端と前記第1の熱交換器の放熱通路の入気端との間の管路に設けられる第1の弁体と、前記気水分離器の排気端と前記水平低温過熱器の入気端との間の管路に設けられる第2の弁体と、前記給水ポンプの出液端と前記高圧加熱器の入液端との間の管路に設けられる第3の弁体と、前記給水ポンプの出液端と前記第2の熱交換器の吸熱通路の入液端との間の管路に設けられる第4の弁体と、をさらに含む。
【0012】
いくつかの実施例では、前記ボイラ装置は、前記炉体内に設けられ、前記最終段過熱器と前記垂直低温過熱器との間に位置し、入気端が前記高圧シリンダの排気端に接続される高温再熱器と、前記炉体内に設けられ、前記最終段過熱器と前記高温再熱器との間に位置し、入気端が前記高温再熱器の排気端に接続され、排気端が前記中圧シリンダの入気端に接続される最終段再熱器と、をさらに含む。
【0013】
いくつかの実施例では、前記火力発電ユニットの柔軟な運転システムは、第3の熱交換器をさらに含み、前記第3の熱交換器の吸熱通路は、前記第1の熱交換器の吸熱通路の出液端と前記高温タンクの入液端との間に設けられ、前記第3の熱交換器の吸熱通路の入液端が前記第1の熱交換器の吸熱通路の出液端に接続され、前記第3の熱交換器の吸熱通路の出液端が前記高温タンクの入液端に接続され、前記第3の熱交換器の放熱通路は、前記最終段再熱器の入気端と前記高温再熱器の排気端との間に設けられ、前記第3の熱交換器の放熱通路の入気端が前記高温再熱器の排気端に接続され、前記最終段再熱器の入気端が前記第3の熱交換器の放熱通路の排気端及び前記高温再熱器の排気端にそれぞれ接続される。
【0014】
いくつかの実施例では、前記火力発電ユニットの柔軟な運転システムは、前記第3の熱交換器の放熱通路の入気端と前記高温再熱器の排気端との間の管路に設けられる第5の弁体と、前記最終段再熱器の入気端と前記高温再熱器の排気端との間の管路に設けられる第6の弁体と、をさらに含む。
【0015】
いくつかの実施例では、前記火力発電ユニットの柔軟な運転システムは、前記第1の熱交換器の吸熱通路の入液端と前記低温タンクの出液端との間に設けられ、入液端が前記低温タンクの出液端に接続され、出液端が前記第1の熱交換器の吸熱通路の入液端に接続される低温溶融塩ポンプと、前記第1の熱交換器の吸熱通路の入液端と前記低温溶融塩ポンプの出液端との間の管路に設けられる第7の弁体と、前記第2の熱交換器の放熱通路の入液端と前記高温タンクの出液端との間に設けられ、入液端が前記高温タンクの出液端に接続され、出液端が前記第2の熱交換器の放熱通路の入液端に接続される高温溶融塩ポンプと、前記第2の熱交換器の放熱通路の入液端と前記高温溶融塩ポンプの出液端との間の管路に設けられる第8の弁体と、をさらに含む。
【0016】
いくつかの実施例では、前記火力発電ユニットの柔軟な運転システムは、吸煙端が前記ボイラ装置の排煙端に接続される脱硝装置をさらに含む。
【発明の効果】
【0017】
本開示によって提供される技術案は以下の有益な効果を含むことができる。
電気使用の需要が少なく火力発電ユニットの深いピーク調整を必要とされる場合、ボイラ装置の最小安定燃焼負荷を保証するとともに溶融塩蓄熱によってボイラ装置の出力を低下させることにより、火力発電ユニットのピーク調整深さを増加させ、火力発電ユニットのピーク調整能力を向上させ、溶融塩に貯蔵された熱によって節炭器の入水温度を高めるため、ボイラ装置の排煙端温度を高め、さらに脱硝装置の脱硝效率を保証し、火力発電ユニットの排煙要求を満たし、電気使用の需要が大きく火力発電ユニットがピークにある必要がある場合、溶融塩に貯蔵された熱によって節炭器の入水温度を保証して、蒸気タービンの放出蒸気による給水ポンプの排出水への加熱量を低減することにより、蒸気タービンの機能力を高め、火力発電ユニットの発電ピークを実現する。これにより、火力発電ユニットの柔軟な運転を実現し、火力発電ユニットのピーク調整能力を効果的に向上させる。
【0018】
本出願の付加的な特徴及び利点は、以下の説明において部分的に示され、一部が以下の説明により明らかになり、又は本開示の実践により理解されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本開示の上記及び/又は付加的な態様及び利点は、以下図面と組み合わせて、実施例に対する説明によって明らかになり且つ理解しやすくなる。
【
図1】本開示の一実施例によって提案される溶融塩蓄熱に基づく火力発電ユニットの柔軟な運転システムの概略構成図である。
【
図2】本開示の一実施例によって提案される溶融塩蓄熱に基づく火力発電ユニットの柔軟な運転システムの概略構成図である。
【
図3】本開示の一実施例によって提案される溶融塩蓄熱に基づく火力発電ユニットの柔軟な運転システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の実施例について詳細に説明し、前記実施例の例は添付図面に示され、ここで、最初から最後まで同じまたは類似の符号は同じまたは類似の素子、または同じまたは類似の機能を有する素子を示す。以下、添付図面を参照して説明する実施例は例示的なものであり、本開示を説明するためだけであり、本開示に対する制限として理解されたくない。むしろ、本開示の実施例は、添付の特許請求の範囲の精神および内包の範囲内に含まれるすべての変化、修正、および均等物を含む。
【0021】
図1に示すように、本開示の実施例は、溶融塩蓄熱に基づく火力発電ユニットの柔軟な運転システムを提案し、このシステムは、ボイラ装置1、低温タンク2、高温タンク3、第1の熱交換器4及び第2の熱交換器5を含み、第1の熱交換器4の吸熱通路の入液端が低温タンク2の出液端に接続され、第1の熱交換器4の吸熱通路の出液端が高温タンク3の入液端に接続され、第1の熱交換器4の放熱通路の入気端がボイラ装置1の気水分離器8の排気端に接続され、第1の熱交換器4の放熱通路の出液端がボイラ装置1の水冷壁7の入液端に接続され、第2の熱交換器5の放熱通路の入液端が高温タンク3の出液端に接続され、第2の熱交換器5の放熱通路の出液端が低温タンク2の入液端に接続され、第2の熱交換器5の吸熱通路の入液端がボイラ装置1の給水ポンプ11の出液端に接続され、第2の熱交換器5の吸熱通路の出液端がボイラ装置1の節炭器9の入液端に接続される。
【0022】
これにより、
図2に示すように、電気使用の需要が小さい場合、ボイラ装置1は最小安定燃焼負荷にあり、低温溶融塩は低温タンク2から第1の熱交換器4の吸熱通路を経由してから高温タンク3に入り、気水分離器8内の一部の蒸気は第1の熱交換器4の放熱通路を経由してから水冷壁7に入り、これにより、気水分離器8の一部の蒸気内の熱が低温溶融塩に放出され、低温溶融塩が高温溶融塩に変わり、高温溶融塩が高温タンク3に貯蔵され、
ここで、
図1に示すように、ボイラ装置1の排煙端温度が低い場合、低温溶融塩が気水分離器8内の一部の蒸気で加熱されるとともに、高温タンク3内の高温溶融塩は第2の熱交換器5の放熱通路を経由してから低温タンク2に入り、給水ポンプ11の一部の排出水は第2の熱交換器5の吸熱通路を経由してから節炭器9に入り、これにより、高温溶融塩の熱が給水ポンプ11の一部の排出水に放出され、この部分の排出水が加熱された後に節炭器9に入る。
【0023】
図3に示すように、電気使用の需要が大きい場合、気水分離器8内の蒸気は第1の熱交換器4の放熱通路に入らず、高温タンク3内の高温溶融塩は第2の熱交換器5の放熱通路を経由してから低温タンク2に入り、給水ポンプ11のすべての排出水は第2の熱交換器5の吸熱通路を経由してから節炭器9に入り、これにより、高温溶融塩の熱が給水ポンプ11のすべての排出水に放出され、給水ポンプ11のすべての排出水が加熱された後に到節炭器9に入る。
【0024】
なお、電気使用の需要が少なく火力発電ユニットの深いピーク調整を必要とされる場合、ボイラ装置1の最小安定燃焼負荷を保証するとともに溶融塩蓄熱によってボイラ装置1の出力を低下させることにより、大火力発電ユニットのピーク調整深さを増加させ、火力発電ユニットのピーク調整能力を向上させ、溶融塩に貯蔵された熱によって節炭器9の入水温度を高めるため、ボイラ装置1の排煙端温度を高め、さらに脱硝装置の脱硝效率を保証し、火力発電ユニットの排煙要求を満たし、電気使用の需要が大きく火力発電ユニットがピークにある必要がある場合、溶融塩に貯蔵された熱によって節炭器9の入水温度を保証して、蒸気タービンの放出蒸気による給水ポンプ11の排出水への加熱量を低減することにより、蒸気タービンの機能力を高め、火力発電ユニットの発電ピークを実現する。これにより、火力発電ユニットの柔軟な運転を実現し、火力発電ユニットのピーク調整能力を効果的に向上させる。
【0025】
ここで、気水分離器8内の一部の蒸気が放熱された後に水冷壁7に入り、これによって水冷壁7内の作動流体流量を高め、ボイラ装置1の蒸気量を低減し、ボイラ装置1の出力を低下させ、さらに大火力発電ユニットのピーク調整深さを増加させる。
【0026】
なお、第1の熱交換器4と第2の熱交換器は、いずれも熱交換のための吸熱通路及び放熱通路を含み、吸熱通路と放熱通路との間は直接熱交換可能であり、熱伝導媒体を介して間接的に熱交換可能である。
【0027】
図1に示すように、いくつかの実施例では、ボイラ装置1は、炉体6、水冷壁7、気水分離器8、節炭器9、高圧加熱器10、給水ポンプ11及び過熱器群を含み、水冷壁7は炉体6の内壁に設けられ、気水分離器8の出液端が水冷壁7の入液端に接続され、気水分離器8の入液端が水冷壁7の出液端に接続され、節炭器9は炉体6の排煙端内に設けられ、節炭器9の出液端が水冷壁7の入液端に接続され、高圧加熱器10の出液端が節炭器9の入液端に接続され、高圧加熱器10の入気端が蒸気タービンの高圧シリンダの排気端及び蒸気タービンの中圧シリンダの排気端にそれぞれ接続され、給水ポンプ11の出液端が高圧加熱器10の入液端に接続され、過熱器群は炉体6内に設けられ、過熱器群の入気端が気水分離器8の排気端に接続され、過熱器群の排気端が高圧シリンダの入気端に接続される。
【0028】
なお、水冷壁7は炉体6内の火炎及び高温煙から放出された放射熱を吸収し、水冷壁7内の水または蒸気は気水分離器8に入って気水分離を行い、気水分離器8内の水は水冷壁内に戻って使用を続け、電気使用の需要が小さい場合、
図2に示すように、気水分離器8内の蒸気の一部は第1の熱交換器4の放熱通路内に入って放熱して、ボイラ装置1の出力を低下させ、電気使用の需要が大きい場合、
図3に示すように、気水分離器8内の蒸気のずべては過熱器群に入って、ボイラ装置1の出力を増加させる。
【0029】
電気使用の需要が小さくボイラ装置1の排煙端温度が高い場合、
図2に示すように、外部水または脱酸素水は給水ポンプ11によって加圧搬送され、高圧加熱器10および節炭器9を順次経由してから水冷壁7に入り、これにより、ボイラ装置1の水の使用が保証される。電気使用の需要が小さくボイラ装置1の排煙端温度が低い場合、
図1に示すように、一部の外部水または脱酸素水は給水ポンプ11によって加圧搬送され、高圧加熱器10および節炭器9を順次経由してから水冷壁7に入り、残りの外部水または脱酸素水は給水ポンプ11によって加熱搬送され、第2の熱交換器5の吸熱通路及び節炭器9を経由してから水冷壁7に入り、これにより、ボイラ装置1の排煙端温度を高める。電気使用の需要が高い場合、
図3に示すように、外部水または脱酸素水は給水ポンプ11によって加熱搬送され、第2の熱交換器5の吸熱通路及び節炭器9を経由してから水冷壁7に入り、これにより、ボイラ装置1の出力を増加させる。
【0030】
なお、蒸気タービンは、高圧シリンダ、中圧シリンダ及び低圧シリンダを含み、ボイラ装置1で発生した主蒸気は順次高圧シリンダ、中圧シリンダ及び低圧シリンダを経由して作業をした後に復水器に入り、復水器は作業後の蒸気を復水に冷却凝縮し、復水は低圧加熱器によって加熱された後に脱気器に入り、脱気器からの水が脱酸素水となる。ここで、低圧加熱器は、中圧シリンダ及び低圧シリンダの放出蒸気で復水を加熱し、加熱後の蒸気は復水器の出液端に入り、高圧加熱器10は、高圧シリンダ及び中圧シリンダの放出蒸気で脱酸素水を加熱し、加熱後の蒸気は脱気器の入液端に入る。
【0031】
図1に示すように、いくつかの実施例では、火力発電ユニットの柔軟な運転システムは、第1の熱交換器4の吸熱通路の出液端と水冷壁7の入液端との間に設けられ、入液端が第1の熱交換器4の吸熱通路の出液端に接続され、出液端が水冷壁7の入液端に接続される再循環ポンプ12をさらに含む。
【0032】
なお、再循環ポンプ12は、第1の熱交換器4の吸熱通路の排出水を加圧して水冷壁7に搬送し、これにより、気水分離器8内の一部の蒸気の安定した放熱を保証する。
【0033】
図1に示すように、いくつかの実施例では、過熱器群は、水平低温過熱器13、垂直低温過熱器14、仕切り板過熱器15、高温過熱器16及び最終段過熱器17を含み、水平低温過熱器13の入気端が気水分離器8の排気端に接続され、垂直低温過熱器14の入気端が水平低温過熱器13の排気端に接続され、仕切り板過熱器15の入気端が垂直低温過熱器14の排気端に接続され、高温過熱器16の入気端が仕切り板過熱器15の排気端に接続され、最終段過熱器17の入気端が高温過熱器16の排気端に接続され、最終段過熱器17の排気端が蒸気タービンの高圧シリンダの入気端に接続され、
ここで、仕切り板過熱器15、高温過熱器16、最終段過熱器17、垂直低温過熱器14、水平低温過熱器13及び節炭器9は、炉体6の燃焼室から炉体6の排煙端への方向に沿って順に分布する。
【0034】
なお、気水分離器8内の蒸気は、水平低温過熱器13、垂直低温過熱器14、仕切り板過熱器15、高温過熱器16及び最終段過熱器17を順次経由してから蒸気タービンの高圧シリンダの使用を満たす主蒸気に加熱され、主蒸気は蒸気タービンの高圧シリンダに入って作業をし、火力発電ユニットの発電を実現する。
【0035】
図1に示すように、いくつかの実施例では、火力発電ユニットの柔軟な運転システムは、第1の弁体18、第2の弁体19、第3の弁体20及び第4の弁体21をさらに含み、第1の弁体18は、気水分離器8の排気端と第1の熱交換器4の放熱通路の入気端との間の管路に設けられ、第2の弁体19は、気水分離器8の排気端と水平低温過熱器13の入気端との間の管路に設けられ、第3の弁体20は、給水ポンプ11の出液端と高圧加熱器10の入液端との間の管路に設けられ、第4の弁体21は、給水ポンプ11の出液端と第2の熱交換器5の吸熱通路の入液端との間の管路に設けられる。
【0036】
なお、電気使用の需要が小さい場合、
図2に示すように、気水分離器8内の蒸気の一部が第1の熱交換器4の放熱通路に入って放熱し、残りの蒸気が水平低温過熱器13、垂直低温過熱器14、仕切り板過熱器15、高温過熱器16及び最終段過熱器17に順次入って吸熱するように、第1の弁体18と第2の弁体19の開度を調節する。また、ボイラ装置1の排煙端温度が高い場合、
図2に示すように、給水ポンプ11のすべての排出水が高圧加熱器10に入って吸熱するように、第3の弁体20を開き、第4の弁体21を閉じる。ボイラ装置1の排煙端温度が低い場合、
図1に示すように、給水ポンプ11の一部の排出水が高圧加熱器10に入って吸熱し、残りの排出水が第2の熱交換器5の吸熱通路に入って吸熱するように、第3の弁体20と第4の弁体21の開度を調節する。
【0037】
電気使用の需要が大きい場合、
図3に示すように、気水分離器8内のすべての蒸気が順次水平低温過熱器13、垂直低温過熱器14、仕切り板過熱器15、高温過熱器16及び最終段過熱器17に入って吸熱し、給水ポンプ11のすべての排出水が第2の熱交換器5の吸熱通路に入って吸熱するように、第1の弁体18と第3の弁体20を閉じ、第2の弁体19と第4の弁体21を開く。
【0038】
これにより、第1の弁体18、第2の弁体19、第3の弁体20及び第4の弁体21の設置により、第1の熱交換器4の放熱通路と水平低温過熱器13との間の気水分離器8内の蒸気の分配、及び高圧加熱器10と第2の熱交換器5の吸熱通路との間の給水ポンプ11の排出水の分配を容易にし、全体の使用がより便利になる。
【0039】
図1に示すように、いくつかの実施例では、ボイラ装置1は、高温再熱器22と最終段再熱器23をさらに含み、高温再熱器22は炉体6内に設けられ、高温再熱器22は最終段過熱器17と垂直低温過熱器14との間に位置し、高温再熱器22の入気端が高圧シリンダの排気端に接続され、最終段再熱器23は炉体6内に設けられ、最終段再熱器23は最終段過熱器17と高温再熱器22との間に位置し、最終段再熱器23の入気端が高温再熱器22の排気端に接続され、最終段再熱器23の排気端が中圧シリンダの入気端に接続される。
【0040】
なお、蒸気タービンの高圧シリンダの放出蒸気は順次高温再熱器22及び最終段再熱器23を経由してから蒸気タービンの中圧シリンダの使用を満たす再加熱された蒸気に加熱され、再加熱された蒸気は蒸気タービンの中圧シリンダに入って作業をして、火力発電ユニットの発電を実現する。
【0041】
図1に示すように、いくつかの実施例では、火力発電ユニットの柔軟な運転システムは、第3の熱交換器24をさらに含み、第3の熱交換器24の吸熱通路は、第1の熱交換器4の吸熱通路の出液端と高温タンク3の入液端との間に設けられ、第3の熱交換器24の吸熱通路の入液端が第1の熱交換器4の吸熱通路の出液端に接続され、第3の熱交換器24の吸熱通路の出液端が高温タンク3の入液端に接続され、第3の熱交換器24の放熱通路は最終段再熱器23の入気端と高温再熱器22の排気端との間に設けられ、第3の熱交換器24の放熱通路の入気端が高温再熱器22の排気端に接続され、最終段再熱器23の入気端が第3の熱交換器24の放熱通路の排気端及び高温再熱器22の排気端にそれぞれ接続される。
【0042】
これにより、電気使用の需要が小さい場合、
図2に示すように、ボイラ装置1は最小安定燃焼負荷にあり、低温溶融塩は低温タンク2から順次第1の熱交換器4の吸熱通路及び第3の熱交換器24の吸熱通路を経由してから高温タンク3に入り、高温再熱器22の一部の放出蒸気は第3の熱交換器24の放熱通路を経由してから最終段再熱器23に入り、残りの放出蒸気は直接最終段再熱器23に入り、これにより、高温再熱器22の一部の放出蒸気の熱が第3の熱交換器24吸熱通路内の高温溶融塩に放出され、高温溶融塩がさらに加熱された後に高温タンク3に貯蔵される。
【0043】
電気使用の需要が大きい場合、
図3に示すように、高温再熱器22のずべての放出蒸気は直接最終段再熱器23に入り、これにより、ボイラ装置1の出力を増加させる。
【0044】
なお、電気使用の需要が少なく火力発電ユニットの深いピーク調整を必要とされる場合、ボイラ装置1の最小安定燃焼負荷を保証するとともに溶融塩蓄熱によってボイラ装置1の出力をさらに低下させ、大火力発電ユニットのピーク調整深さを再度増加させ、さらに火力発電ユニットのピーク調整能力を向上させる。
【0045】
なお、第3の熱交換器24は、熱交換のための吸熱通路と放熱通路を含み、吸熱通路と放熱通路との間は直接熱交換可能であり、熱伝導媒体を介して間接的に熱交換可能である。
【0046】
図1に示すように、いくつかの実施例では、火力発電ユニットの柔軟な運転システムは第5の弁体25と第6の弁体26をさらに含み、第5の弁体25は、第3の熱交換器24の放熱通路の入気端と高温再熱器22の排気端との間の管路に設けれ、第6の弁体26は最終段再熱器23の入気端と高温再熱器22の排気端との間の管路に設けられる。
【0047】
なお、電気使用の需要が小さい場合、
図2に示すように、高温再熱器22の一部の放出蒸気が第3の熱交換器24に入って放熱し、残りの放出蒸気が直接最終段再熱器23に入って吸熱するように、第5の弁体25と第6の弁体26の開度を調節する。
【0048】
電気使用の需要が大きい場合、
図3に示すように、高温再熱器22のずべての放出蒸気が直接最終段再熱器23に入って吸熱するように、第5の弁体25を閉じ、第6の弁体26を開く。
【0049】
これにより、第5の弁体25及び第6の弁体26の設置により、第3の熱交換器24の放熱通路と最終段再熱器23との間の高温再熱器22内の蒸気の分配を容易にし、全体の使用がより便利になる。
【0050】
図1に示すように、いくつかの実施例では、火力発電ユニットの柔軟な運転システムは、低温溶融塩ポンプ27、第7の弁体28、高温溶融塩ポンプ29及び第8の弁体30をさらに含み、低温溶融塩ポンプ27は、第1の熱交換器4の吸熱通路の入液端と低温タンク2の出液端との間に設けられ、低温溶融塩ポンプ27の入液端が低温タンク2の出液端に接続され、低温溶融塩ポンプ27の出液端が第1の熱交換器4の吸熱通路の入液端に接続され、第7の弁体28は、第1の熱交換器4の吸熱通路の入液端と低温溶融塩ポンプ27の出液端との間の管路に設けられ、高温溶融塩ポンプ29は第2の熱交換器5の放熱通路の入液端と高温タンク3の出液端との間に設けられ、高温溶融塩ポンプ29の入液端が高温タンク3の出液端に接続され、高温溶融塩ポンプ29の出液端が第2の熱交換器5の放熱通路の入液端に接続され、第8の弁体30は、第2の熱交換器5の放熱通路の入液端と高温溶融塩ポンプ29の出液端との間の管路に設けられる。
【0051】
なお、低温タンク2内の低温溶融塩被低温溶融塩ポンプ27によって加圧搬送され、順次第1の熱交換器4の吸熱通路及び第3の熱交換器24の吸熱通路を経由してから高温タンク3に入り、これにより、低温溶融塩の安定した吸熱を保証し、高温タンク3内の高温溶融塩は高温溶融塩ポンプ29よって加圧搬送され、第3の熱交換器24の放熱通路を経由してから低温タンク2に入り、これにより、高温溶融塩の安定した放熱を保証する。
【0052】
第7の弁体28及び第8の弁体30の設置により、低温タンク2と高温タンク3との間の通路の開閉制御を容易にし、全体の使用が便利になる。
【0053】
電気使用の需要が小さい場合、
図2に示すように、低温溶融塩ポンプ27及び第7の弁体28を開いて、低温タンク2中の低温溶融塩が高温タンク3に入り、ボイラ装置1の排煙端温度が低い場合、高温溶融塩ポンプ29及び第8の弁を開いて、高温タンク3内の高温溶融塩が低温タンク2に入り、ボイラ装置1の排煙端温度が高い場合、高温溶融塩ポンプ29及び第8の弁を閉じる。
【0054】
電気使用の需要が大きい場合、
図3に示すように、高温溶融塩ポンプ29及び第8の弁を開いて、高温タンク3内の高温溶融塩が低温タンク2に入り、同時に低温溶融塩ポンプ27及び第7の弁体28を閉じる。
【0055】
なお、第1の弁体18、第2の弁体19、第3の弁体20、第4の弁体21、第5の弁体25、第6の弁体26、第7の弁体28及び第8の弁体30はいずれも手動開閉弁であってもよく、電磁開閉弁であってもよい。
【0056】
いくつかの実施例では、火力発電ユニットの柔軟な運転システムは、吸煙端がボイラ装置1の排煙端に接続される脱硝装置をさらに含む。
【0057】
なお、ボイラ装置1から排出された煙は脱硝装置によって脱硝されてから外部に排出され、火力発電ユニットの排煙要求を満たすとともに、溶融塩に貯蔵されるエネルギーの活用により、ボイラ装置1の排煙端温度が常に脱硝装置の最低入口煙温度より高くなることを保証し、脱硝装置の高効率脱硝を保証する。
【0058】
なお、本開示の説明では、用語「第1」、「第2」などは説明の目的のみのために使用され、相対的な重要性を示すまたは暗示するために理解されない。本開示の説明では、「複数」という意味は、別途な説明がない限り、2つ以上である。
【0059】
フローチャートに、またはここで他の方式で説明された任意のプロセスまたは方法の説明は、特定の論理機能またはプロセスを実現するためのるステップを含む1つ以上の実行可能な命令のコードのモジュール、フラグメント、または部分を表すと理解することができ、本開示の実施例の当業者であれば、本開示の好ましい実施形態の範囲は、関連する機能にしたがって基本的に同時に、または逆の順序で機能を実行することを含み、図示または議論された順序でなくてもよい追加の実装を含むと理解されたい。
【0060】
本明細書の説明では、「1つの実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体的な例」、または「いくつかの例」などの用語を参照する説明は、当該実施例または例と併せて説明した具体的な特徴、構造、材料、または特性は、本公開の少なくとも1つの実施例または例に含まれることを意味する。本明細書では、上記用語の概略表現は必ずしも同じ実施例または例を指すものではない。また、説明された具体的な特徴、構造、材料または特性は、任意の1つまたは複数の実施例または例において適切な方法で結合されてもよい。
【0061】
以上、本開示の実施例を示し説明したが、上記の実施例は例示的なものであり、本開示に対する制限として理解されたくなく、当業者は本開示の範囲内で上記の実施例を変更、修正、置換、及び変形することができる。
【符号の説明】
【0062】
1、ボイラ装置
2、低温タンク
3、高温タンク
4、第1の熱交換器
5、第2の熱交換器
6、炉体
7、水冷壁
8、気水分離器
9、節炭器
10、高圧加熱器
11、給水ポンプ
12、再循環ポンプ
13、水平低温過熱器
14、垂直低温過熱器
15、仕切り板過熱器
16、高温過熱器
17、最終段過熱器
18、第1の弁体
19、第2の弁体
20、第3の弁体
21、第4の弁体
22、高温再熱器
23、最終段再熱器
24、第3の熱交換器
25、第5の弁体
26、第6の弁体
27、低温溶融塩ポンプ
28、第7の弁体
29、高温溶融塩ポンプ
30、第8の弁体
【手続補正書】
【提出日】2023-05-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融塩蓄熱に基づく火力発電ユニットの柔軟な運転システムであって、
ボイラ装置、低温タンク、高温タンク、第1の熱交換器及び第2の熱交換器を含み、
前記第1の熱交換器の吸熱通路の入液端が前記低温タンクの出液端に接続され、前記第1の熱交換器の吸熱通路の出液端が前記高温タンクの入液端に接続され、前記第1の熱交換器の放熱通路の入気端が前記ボイラ装置の気水分離器の排気端に接続され、前記第1の熱交換器の放熱通路の出液端が前記ボイラ装置の水冷壁の入液端に接続され、
前記第2の熱交換器の放熱通路の入液端が前記高温タンクの出液端に接続され、前記第2の熱交換器の放熱通路の出液端が前記低温タンクの入液端に接続され、前記第2の熱交換器の吸熱通路の入液端が前記ボイラ装置の給水ポンプの出液端に接続され、前記第2の熱交換器の吸熱通路の出液端が前記ボイラ装置の節炭器の入液端に接続される、
ことを特徴とする溶融塩蓄熱に基づく火力発電ユニットの柔軟な運転システム。
【請求項2】
前記ボイラ装置は、
炉体と、
前記炉体の内壁に設けられる水冷壁と、
出液端が前記水冷壁の入液端に接続され、入液端が前記水冷壁の出液端に接続される前記気水分離器と、
前記炉体の排煙端内に設けられ、出液端が前記水冷壁の入液端に接続される前記節炭器と、
出液端が前記節炭器の入液端に接続され、入気端が蒸気タービンの高圧シリンダの排気端及び前記蒸気タービンの中圧シリンダの排気端にそれぞれ接続される高圧加熱器と、
出液端が前記高圧加熱器の入液端に接続される前記給水ポンプと、
前記炉体内に設けられ、入気端が前記気水分離器の排気端に接続され、排気端が前記高圧シリンダの入気端に接続される過熱器群と、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の溶融塩蓄熱に基づく火力発電ユニットの柔軟な運転システム。
【請求項3】
前記
溶融塩蓄熱に基づく火力発電ユニットの柔軟な運転システムは、
前記第1の熱交換器の吸熱通路の出液端と前記水冷壁の入液端との間に設けられ、入液端が前記第1の熱交換器の吸熱通路の出液端に接続され、出液端が前記水冷壁の入液端に接続される再循環ポンプをさらに含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の溶融塩蓄熱に基づく火力発電ユニットの柔軟な運転システム。
【請求項4】
前記過熱器群は、
入気端が前記気水分離器の排気端に接続される水平低温過熱器と、
入気端が前記水平低温過熱器の排気端に接続される垂直低温過熱器と、
入気端が前記垂直低温過熱器の排気端に接続される仕切り板過熱器と、
入気端が前記仕切り板過熱器の排気端に接続される高温過熱器と、
入気端が前記高温過熱器の排気端に接続され、排気端が蒸気タービンの高圧シリンダの入気端に接続される最終段過熱器と、を含み、
前記仕切り板過熱器、前記高温過熱器、前記最終段過熱器、前記垂直低温過熱器、前記水平低温過熱器及び前記節炭器は、前記炉体の燃焼室から前記炉体の排煙端への方向に沿って順に分布する、
ことを特徴とする請求項2に記載の溶融塩蓄熱に基づく火力発電ユニットの柔軟な運転システム。
【請求項5】
前記
溶融塩蓄熱に基づく火力発電ユニットの柔軟な運転システムは、
前記気水分離器の排気端と前記第1の熱交換器の放熱通路の入気端との間の管路に設けられる第1の弁体と、
前記気水分離器の排気端と前記水平低温過熱器の入気端との間の管路に設けられる第2の弁体と、
前記給水ポンプの出液端と前記高圧加熱器の入液端との間の管路に設けられる第3の弁体と、
前記給水ポンプの出液端と前記第2の熱交換器の吸熱通路の入液端との間の管路に設けられる第4の弁体と、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項
1に記載の溶融塩蓄熱に基づく火力発電ユニットの柔軟な運転システム。
【請求項6】
前記ボイラ装置は、
前記炉体内に設けられ、前記最終段過熱器と前記垂直低温過熱器との間に位置し、入気端が前記高圧シリンダの排気端に接続される高温再熱器と、
前記炉体内に設けられ、前記最終段過熱器と前記高温再熱器との間に位置し、入気端が前記高温再熱器の排気端に接続され、排気端が前記中圧シリンダの入気端に接続される最終段再熱器と、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の溶融塩蓄熱に基づく火力発電ユニットの柔軟な運転システム。
【請求項7】
前記
溶融塩蓄熱に基づく火力発電ユニットの柔軟な運転システムは、第3の熱交換器をさらに含み、
前記第3の熱交換器の吸熱通路は、前記第1の熱交換器の吸熱通路の出液端と前記高温タンクの入液端との間に設けられ、前記第3の熱交換器の吸熱通路の入液端が前記第1の熱交換器の吸熱通路の出液端に接続され、前記第3の熱交換器の吸熱通路の出液端が前記高温タンクの入液端に接続され、
前記第3の熱交換器の放熱通路は、前記最終段再熱器の入気端と前記高温再熱器の排気端との間に設けられ、前記第3の熱交換器の放熱通路の入気端が前記高温再熱器の排気端に接続され、前記最終段再熱器の入気端が前記第3の熱交換器の放熱通路の排気端及び前記高温再熱器の排気端にそれぞれ接続される、
ことを特徴とする請求項6に記載の溶融塩蓄熱に基づく火力発電ユニットの柔軟な運転システム。
【請求項8】
前記
溶融塩蓄熱に基づく火力発電ユニットの柔軟な運転システムは、
前記第3の熱交換器の放熱通路の入気端と前記高温再熱器の排気端との間の管路に設けられる第5の弁体と、
前記最終段再熱器の入気端と前記高温再熱器の排気端との間の管路に設けられる第6の弁体と、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の溶融塩蓄熱に基づく火力発電ユニットの柔軟な運転システム。
【請求項9】
前記
溶融塩蓄熱に基づく火力発電ユニットの柔軟な運転システムは、
前記第1の熱交換器の吸熱通路の入液端と前記低温タンクの出液端との間に設けられ、入液端が前記低温タンクの出液端に接続され、出液端が前記第1の熱交換器の吸熱通路の入液端に接続される低温溶融塩ポンプと、
前記第1の熱交換器の吸熱通路の入液端と前記低温溶融塩ポンプの出液端との間の管路に設けられる第7の弁体と、
前記第2の熱交換器の放熱通路の入液端と前記高温タンクの出液端との間に設けられ、入液端が前記高温タンクの出液端に接続され、出液端が前記第2の熱交換器の放熱通路の入液端に接続される高温溶融塩ポンプと、
前記第2の熱交換器の放熱通路の入液端と前記高温溶融塩ポンプの出液端との間の管路に設けられる第8の弁体と、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の溶融塩蓄熱に基づく火力発電ユニットの柔軟な運転システム。
【請求項10】
前記
溶融塩蓄熱に基づく火力発電ユニットの柔軟な運転システムは、
吸煙端が前記ボイラ装置の排煙端に接続される脱硝装置をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1~
8のいずれかに記載の溶融塩蓄熱に基づく火力発電ユニットの柔軟な運転システム。
【国際調査報告】