(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-18
(54)【発明の名称】SOE-SOFC-CCSハイブリッドシステム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20240710BHJP
H01M 8/12 20160101ALI20240710BHJP
H01M 8/00 20160101ALI20240710BHJP
H01M 8/0612 20160101ALI20240710BHJP
H01M 8/04014 20160101ALI20240710BHJP
H01M 8/0432 20160101ALI20240710BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20240710BHJP
H01M 8/0668 20160101ALI20240710BHJP
C25B 1/04 20210101ALI20240710BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20240710BHJP
C25B 13/07 20210101ALI20240710BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/12 101
H01M8/00 Z
H01M8/0612
H01M8/04014
H01M8/0432
H01M8/04746
H01M8/0668
C25B1/04
C25B9/00 A
C25B13/07
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530254
(86)(22)【出願日】2023-04-17
(85)【翻訳文提出日】2023-05-25
(86)【国際出願番号】 KR2023005188
(87)【国際公開番号】W WO2023234553
(87)【国際公開日】2023-12-07
(31)【優先権主張番号】10-2022-0067900
(32)【優先日】2022-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521234939
【氏名又は名称】エフシーアイ カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン、イン ガブ
(72)【発明者】
【氏名】リー、タエ ウォン
(72)【発明者】
【氏名】リュ、ボ ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ヤン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ウォン、ミュン ジュン
【テーマコード(参考)】
4K021
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021DB40
4K021DC03
5H126BB06
5H127AA07
5H127AB21
5H127AC15
5H127BA05
5H127BA13
5H127BA34
5H127BA45
5H127BA48
5H127BB02
5H127BB27
5H127BB28
5H127DB26
5H127DB79
5H127DC32
(57)【要約】
本発明は固体酸化物形電解電池(SOE)、固体酸化物燃料電池(SOFC)、及び炭素捕捉システム(CCS)が結合されたハイブリッドシステムに関するものであり、より詳しくは固体酸化物形電解電池、排ガスを燃消させるバーナーを含む固体酸化物燃料電池、及び炭素捕捉技術が有機的な関係に駆動され、その駆動によって発生した副産物及び廃熱を再循環させることで、水素及び電力生産に要求される燃料を最少化するSOE-SOFC-CCSハイブリッドシステムに関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体酸化物形電解電池(Solid Oxide Electrolyte、SOE)と、
改質器(reformer)、前記改質器が生産した燃料を加熱する燃料熱交換器(fuel HX)、外部空気(air)を1次加熱する第1空気熱交換器(air HX_A)、前記1次加熱された外部空気を2次加熱する第2空気熱交換器(air HX_B)、前記燃料熱交換器で加熱された燃料を受ける燃料極(anode)及び前記第1空気熱交換器及び第2空気熱交換器で加熱された外部空気(air)を受ける空気極(cathode)を含むスタック(stack)、及び前記固体酸化物形電解電池の排ガス及び前記スタックの燃料極排ガスを燃消させるバーナー(burner)、を含む固体酸化物燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell、SOFC)と、
前記改質器及び前記第1空気熱交換器のうちの少なくとも一つで熱交換された前記バーナーの排ガスから二酸化炭素を捕捉する炭素捕捉器(carbon capture system、CCS)と、
を含む、SOE-SOFC-CCSハイブリッドシステム。
【請求項2】
前記バーナーの排ガスは前記改質器の蒸気発生器(steam generator)で熱交換される、請求項1に記載のSOE-SOFC-CCSハイブリッドシステム。
【請求項3】
前記スタックの空気極排ガスの少なくとも一部を前記第2空気熱交換器に分岐させ、分岐されて残った部分を前記燃料熱交換器に分岐させる第1分配器をさらに含む、請求項1に記載のSOE-SOFC-CCSハイブリッドシステム。
【請求項4】
前記第1空気熱交換器を経由した外部空気の温度を測定する温度センサー(A)と、
前記温度センサー(A)の測定値に基づいて、前記第1分配器に前記第2空気熱交換器及び前記燃料熱交換器への分配比を含む制御信号を送信する制御器と、をさらに含む、請求項3に記載のSOE-SOFC-CCSハイブリッドシステム。
【請求項5】
前記第1空気熱交換器を経由した前記バーナーの排ガスの少なくとも一部を前記バーナーに分岐させ、分岐されて残った部分を前記炭素捕捉器に分岐させる第2分配器をさらに含む、請求項1に記載のSOE-SOFC-CCSハイブリッドシステム。
【請求項6】
前記バーナーの温度を測定する温度センサー(B)と、
前記温度センサー(B)の測定値に基づいて、前記第2分配器に前記バーナー及び前記炭素捕捉器への分配比を含む制御信号を送信する制御器と、をさらに含む、請求項5に記載のSOE-SOFC-CCSハイブリッドシステム。
【請求項7】
前記固体酸化物形電解電池の排ガスの少なくとも一部を分岐させて外部空気と合流するようにし、分岐されて残った部分を前記バーナーに分岐させる第3分配器をさらに含む、請求項1に記載のSOE-SOFC-CCSハイブリッドシステム。
【請求項8】
前記バーナーの排ガスの少なくとも一部を前記固体酸化物形電解電池に分岐させ、分岐されて残った部分を前記改質器に分岐させる第4分配器をさらに含む、請求項1に記載のSOE-SOFC-CCSハイブリッドシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は固体酸化物形電解電池(SOE)、固体酸化物燃料電池(SOFC)、及び炭素捕捉システム(CCS)が結合されたハイブリッドシステムに関するものであり、より詳しくは固体酸化物形電解電池、排ガスを燃消させるバーナーを含む固体酸化物燃料電池、及び炭素捕捉技術が有機的な関係に駆動され、その駆動によって発生した副産物及び廃熱を再循環させることで、水素及び電力生産に要求される燃料を最少化するSOE-SOFC-CCSハイブリッドシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
固体酸化物燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell;SOFC)は単位電池と分離板とからなる電気生成ユニットが複数積層された構造を有する。単位電池は、電解質と、前記電解質の一面に位置する空気極と、電解質の他面に位置する燃料極とを含む。
【0003】
空気極に酸素を供給し、燃料極に水素を供給すると、空気極で酸素の還元反応によって生成された酸素イオンが電解質膜を通して燃料極に移動した後、陰極に供給された水素と反応することで、水が生成される。ここで、燃料極で生成された電子が空気極に伝達されて消耗される過程で外部回路に電子が流れ、単位電池はこのような電子の流れを用いて電気エネルギーを生産する。
【0004】
固体酸化物形電解電池は電気エネルギーを用いて純水を電気分解して水素を生産する装置であり、一般的に500~850℃の高温電気分解が起こり得る温度で作動する。
【0005】
韓国特許公開第10-2020-0110501号公報(特許文献1)は、酸素富化装置が適用された固体酸化物燃料電池に対する技術を開示する。しかし、特許文献1は、スタックの排ガスを燃消させないので、二酸化炭素の捕捉効率が低く、燃焼熱を再活用する方案を提示しないので、運転効率が落ちる欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国特許公開第10-2020-0110501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする技術的課題の一つは、固体酸化物形電解電池及び固体酸化物燃料電池のハイブリッドシステムにおいて固体酸化物形電解電池の排ガスをそのまま排出せずに効率的に活用する方案を提供することである。
【0008】
本発明が解決しようとする技術的課題の他の一つは、固体酸化物形電解電池、固体酸化物燃料電池、及び炭素捕捉器のハイブリッドシステムにおいてスタックの燃料極排ガスや電解電池の排ガスに含まれた未反応水素から二酸化炭素を効果的に捕捉するための方案を提供することである。
【0009】
本発明が解決しようとする技術的課題のさらに他の一つは、固体酸化物燃料電池と炭素捕捉器とが有機的に動作する過程で発生した副産物及び廃熱を再循環することで、消耗燃料を最少化する方案を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の技術的解決方法の一つとして、固体酸化物形電解電池(Solid Oxide Electrolyte、SOE)と、改質器(reformer)、前記改質器が生産した燃料を加熱する燃料熱交換器(fuel HX)、外部空気(air)を1次加熱する第1空気熱交換器(air HX_A)、前記1次加熱された外部空気を2次加熱する第2空気熱交換器(air HX_B)、前記燃料熱交換器で加熱された燃料を受ける燃料極(anode)及び前記第1空気熱交換器及び第2空気熱交換器で加熱された外部空気(air)を受ける空気極(cathode)を含むスタック(stack)、及び前記固体酸化物形電解電池の排ガス及び前記スタックの燃料極排ガスを燃消させるバーナー(burner)、を含む固体酸化物燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell、SOFC)と、前記改質器及び前記第1空気熱交換器のうちの少なくとも一つで熱交換された前記バーナーの排ガスから二酸化炭素を捕捉する炭素捕捉器(carbon capture system、CCS)と、を含む、SOE-SOFC-CCSハイブリッドシステムを提案する。
【0011】
ここで、前記バーナーの排ガスは前記改質器の蒸気発生器(steam generator)で熱交換されることができる。
【0012】
他の実施例で、前記スタックの空気極排ガスの少なくとも一部を前記第2空気熱交換器に分岐させ、分岐されて残った部分を前記燃料熱交換器に分岐させる第1分配器(D1)をさらに含むことができる。
【0013】
ここで、前記第1空気熱交換器を経由した外部空気の温度を測定する温度センサー(A)と、前記温度センサー(A)の測定値に基づいて、前記第1分配器(D1)に前記第2空気熱交換器及び前記燃料熱交換器への分配比を含む制御信号を送信する制御器と、をさらに含むことができる。
【0014】
他の実施例で、前記第1空気熱交換器を経由したバーナー排ガスの少なくとも一部を前記バーナーに分岐させ、分岐されて残った部分を前記炭素捕捉器に分岐させる第2分配器(D2)をさらに含むことができる。
【0015】
ここで、前記バーナーの温度を測定する温度センサー(B)と、前記温度センサー(B)の測定値に基づいて、前記第2分配器(D2)に前記バーナー及び前記炭素捕捉器への分配比を含む制御信号を送信する制御器と、をさらに含むことができる。
【0016】
他の実施例で、前記固体酸化物形電解電池の排ガスの少なくとも一部を分岐させて外部空気と合流するようにし、分岐されて残った部分を前記バーナーに分岐させる第3分配器(D3)をさらに含むことができる。
【0017】
他の実施例で、前記バーナー排ガスの少なくとも一部を前記固体酸化物形電解電池に分岐させ、分岐されて残った部分を前記改質器に分岐させる第4分配器(D4)をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の実施例によれば、固体酸化物形電解電池及び固体酸化物燃料電池のハイブリッドシステムにおいて固体酸化物形電解電池の排ガスをそのまま排出せずにバーナーの燃焼などに活用することで、動作効率を高めることができる。
【0019】
本発明の実施例によれば、固体酸化物形電解電池、固体酸化物燃料電池、及び炭素捕捉器のハイブリッドシステムにおいてスタックの燃料極排ガスや電解電池の排ガスに含まれた未反応燃料から不純物を予め除去する方式で二酸化炭素捕捉効率を極大化することができる。
【0020】
本発明の実施例によれば、固体酸化物燃料電池と炭素捕捉器とが有機的に動作する過程で発生した副産物及び廃熱を再循環することで、消耗燃料を最少化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施例1によるSOE-SOFC-CCSハイブリッドシステムの構成図である。
【
図2】実施例1で改質器の詳細構成をさらに示す図である。
【
図3】本発明の実施例2によるSOE-SOFC-CCSハイブリッドシステムの構成図である。
【
図4】本発明の実施例3によるSOE-SOFC-CCSハイブリッドシステムの構成図である。
【
図5】本発明の実施例4によるSOE-SOFC-CCSハイブリッドシステムの構成図である。
【
図6】本発明の実施例5によるSOE-SOFC-CCSハイブリッドシステムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明のいくつかの実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。ただし、これは本発明をある特定の実施例に限定しようとするものではなく、本発明の技術的思想を含むすべての変形(transformations)、均等物(equivalents)及び代替物(substitutions)は本発明の範囲に含まれるものと理解されなければならない。
【0023】
本明細書で、単数の表現は、文脈上はっきりと他に指示しない限り、複数の表現を含む。
【0024】
本明細書で、ある一構成があるサブ構成を「備える(have)」または「含む(comprise or include)」と記載された場合、特に反対の記載がない限り、他の(other)構成を除くものではなく、他の構成をさらに含むこともできることを意味する。
【0025】
本明細書で、「連結される(connect)」と記載されたものは二つの構成要素が直接連結されることを意味することもできるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、構成要素の間に配置された一つ以上の他の構成要素を介して連結されることを意味することもできる。
【0026】
<実施例1>
【0027】
図1は実施例1によるSOE-SOFC-CCSハイブリッドシステムの構成図である。
【0028】
実施例1のハイブリッドシステムは、固体酸化物形電解電池(SOE、Solid Oxide Electrolyte Cell)10、固体酸化物燃料電池(SOFC、Solid Oxide Fuel Cell)100、及び炭素捕捉器(CCS、carbon capture system)20を含む。
【0029】
固体酸化物形電解電池10は、電気エネルギーを用いて純水を電気分解することで、水素を生産する。固体酸化物形電解電池10は、多孔性水素極、酸素極、及び不透過性電解質からなる総三つのセラミック層を有する。固体酸化物形電解電池10で、水蒸気が陰極に流入し、電圧が陽極に印加されると、水蒸気の分解反応によって、水分子が水素及び酸素に分離される。
【0030】
固体酸化物形電解電池10は、水の電気分解によって得られた酸素を酸素極出力端を介して固体酸化物燃料電池(SOFC)100のバーナー160に供給し、水素及びその他の組成物を水素極出力端に排出する。
【0031】
固体酸化物燃料電池(SOFC)100はイオン伝導性セラミックを電解質として使用する燃料電池であり、酸素イオン伝導性電解質とその両面に位置する空気極(cathode)及び燃料極(anode)とからなるスタックを含む。
【0032】
スタックの空気極及び燃料極にそれぞれ空気及び水素を供給すると、空気極には酸素の還元反応が起こって酸素イオンが生成され、電解質を介して燃料極に移動した酸素イオンは燃料極に供給された水素と再び反応することで、水が生成される。ここで、燃料極では電子が生成され、空気極では電子が消耗されるので、連結された両電極で電流が流れる原理によって電気を生産する。
【0033】
固体酸化物燃料電池100は、純粋な水素を直接燃料として使用することもでき、液化プロパンガス(LPG)、パイプライン運送天然ガス(PNG)、圧縮天然ガス(CNG)及び炭化水素系の燃料(例えば、天然ガス)などのような外部燃料を改質して得た水素を使用することもできる。
【0034】
固体酸化物燃料電池100は、スタック110、改質器120、燃料熱交換器130、第1空気熱交換器140、第2空気熱交換器150、バーナー160、第1分配器D1、第1合流器C1、及び制御器(図示せず)を含む。
【0035】
スタック110は、第1空気熱交換器(air heat exchanger_A;air HX_A)140で加熱された外部空気(air)を空気極で受け、改質器120で生成された水素を燃料極で受ける。
【0036】
改質器120は、水蒸気メタン改質(steam methane reofrming)、部分酸化反応(partial oxidation reaction)、及び自己熱改質(auto-themal reforming)のうちのいずれか一つを用いて外部燃料を水素に改質する。
【0037】
水蒸気メタン改質は700~1,100℃で蒸気をメタン(または天然ガス)と混合し、触媒反応器で3~25barの圧力で反応させることで、水素を生産する。部分酸化反応は、天然ガスを水及び二酸化炭素に酸化させるのに必要な酸素量より少ない量の酸素を供給して、水素、一酸化炭素及び二酸化炭素などを生産する。自己熱改質は、水蒸気改質吸熱反応に必要な熱を部分酸化の発熱反応によって自ら供給して水素を改質する。
【0038】
実施例1及び以下の実施例で、改質器120は水蒸気メタン改質を用いる場合を想定して説明するが、必ずしも水蒸気メタン改質に限定される必要はない。
【0039】
水蒸気メタン改質は全体的に吸熱反応であるので、外部から熱を供給しなければならなく、後段には水素への転換を促進させる触媒層を備える。本発明の実施例で、改質器120はニッケル系(Ni-based)触媒を用いることができる。
【0040】
改質器120は、反応原料(または燃料)内に含まれたC2+炭化水素、すなわち、C2H6(エタン)、C3H8(プロパン)をCH4、CO、H2などに分解(cracking)し、CH4(メタン)の一部を水素に改質する。前記分解(cracking)過程によって高級炭化水素の熱分解による触媒層のコークス生成(または炭素沈積)を抑制することができる。
【0041】
燃料熱交換器(fuel heat exchanger;fuel HX)130は改質器120とスタック110の燃料極入力(anode input)との間に配置される。燃料熱交換器130は、改質器120から出力された水素を予め設定された温度に予熱し、予熱された水素をスタック110の燃料極入力に供給する。燃料熱交換器130は、スタック110の空気極排ガス(cathode offgas)と熱交換して得た熱エネルギーで改質器120で生産された水素を予熱することもできる。燃料熱交換器130で熱交換された排ガスは固体酸化物燃料電池100の外部に排出される。
【0042】
第1空気熱交換器140は、外部空気(air)を予め設定された温度に予熱する。予熱された外部空気はすぐスタック110の空気極に入力されるか、または第2空気熱交換器150で2次に予熱された後、スタック110の空気極に入力される。
【0043】
第1空気熱交換器140は、バーナー160から出力された高温の排ガスと熱交換して得た熱エネルギーで外部空気を予熱する。
【0044】
バーナー160から出力された高温の排ガスの全部が改質器120で1次に熱交換された後、第1空気熱交換器140で2次に熱交換される。もしくは、バーナー160から出力された高温の排ガスはバーナー160の出口段に配置された分配器(図示せず)を介して一部は改質器120に分岐され、残りの一部は第1空気熱交換器140に分岐されることもできる。実施例1で、バーナー160の排ガスは改質器120及び第1空気熱交換器140のうちの少なくとも一方で熱交換された後、炭素捕捉器20に入力される。
【0045】
第2空気熱交換器150は第1空気熱交換器140とスタック110の空気極入力(cathode input)との間に配置され、スタック110の空気極排ガス(cathode offgas)と熱交換して得た熱エネルギーで第1空気熱交換器140で1次加熱された外部空気を2次に加熱する。バーナー160の排ガスは改質器120で熱交換しながら相当量の熱エネルギーが奪われるので、第1空気熱交換器140で熱交換すべき熱量が十分でないことがある。第1空気熱交換器140を経由した外部空気が円滑な化学反応のために必要な基準温度まで到逹しなかった場合、第2空気熱交換器150で更なる熱交換によって熱エネルギーを確保することができる。
【0046】
バーナー160は、固体酸化物形電解電池から受けた排ガスに含まれた酸素を用いて、スタック110の燃料極出力から受けた排ガス(anode offgas)を燃消させる。バーナー160でスタック110の排ガスを燃消させると、排ガスに含まれた組成物は二酸化炭素及び水を除いた他の組成物が大部分燃焼することにより、二酸化炭素(約30%)及び水(約60%)の濃度が高くなる。
【0047】
バーナー160から出力された高温の排ガスは改質器120及び第1空気熱交換器140のうちの少なくとも一方で熱交換された後、炭素捕捉器20に供給される。前述したように、バーナー160の排ガスは大部分が二酸化炭素及び水からなっているので、炭素捕捉器20によって二酸化炭素及び水に容易に分離される。
【0048】
固体酸化物燃料電池100は、第1分配器D1及び第1合流器C1をさらに含むこともできる。
【0049】
第1分配器D1はスタック110の空気極出力の後段に配置され、スタック110の空気極排ガス(cathode offgas)の一部を燃料熱交換器130に分岐させ、残りは第2空気熱交換器150に分岐させる。
【0050】
第1分配器D1は1個の入力端及び2個の出力端を有し、流体の方向及び流量を自動または手動で調節する制御バルブ(図示せず)を備えることもできる。また、第1空気熱交換器140の出力端付近または第2空気熱交換器150の入力端付近には、第1空気熱交換器140との熱交換によって加熱された外部空気の温度を測定する温度センサー(図示せず)をさらに備えることもできる。
【0051】
制御器(図示せず)は、温度センサーの測定値に基づいて第1分配器D1でスタックの空気極排ガスを第2空気熱交換器150にどのくらい分岐させるかを決定し、決定された値を含む制御信号を第1分配器D1に送信する。
【0052】
第1分配器D1で燃料熱交換器130及び第2空気熱交換器150に分岐された空気極排ガスは第1合流器C1で合流した後、外部に排出される。
【0053】
炭素捕捉器(carbon capture)20は、改質器120及び第1空気熱交換器140のうちの少なくとも一つで熱交換されたバーナー160の排ガスから二酸化炭素を捕捉する。
【0054】
炭素捕捉器20は、燃焼後捕捉(post combustion technology)、燃焼前捕捉(pre-combustion technology)、酸素燃焼(oxy-fuel combustion technology)、及び圧力スイング吸着(pressure swing adsorption)のうちのいずれか一つを使用することもできる。
【0055】
図2は実施例1の改質器の詳細構成を追加したものを示す図である。
【0056】
図2で、改質器120の詳細構成を除いた残りは
図1と同様である。
【0057】
図2に示すように、一実施例の改質器120は、蒸気発生器121、混合器122及び前改質器123を含む。
【0058】
蒸気発生器(steam generator)121は、外部から供給された水を加熱して蒸気に変換させる。蒸気発生器121は、バーナー160の排ガスと熱交換して得た熱エネルギーで水を加熱させることもできる。
【0059】
バーナー160から出力された高温の排ガスは蒸気発生器121で熱交換された後、第1空気熱交換器140に移動し、第1空気熱交換器140でさらに熱交換されることができる。第1空気熱交換器140で熱交換されたバーナー160の排ガスは炭素捕捉器20に供給されて二酸化炭素及び水に分離される。
【0060】
混合器(mixer)122は、外部から入力された天然燃料(例えば、天然ガス)を蒸気発生器121で発生した蒸気と混合させる。
【0061】
前改質器(pre-reformer)123は、蒸気と天然ガスの混合ガスから水素を生産する。前改質器123で生産された水素は燃料熱交換器130に提供され、燃料熱交換器130で昇温された後、スタック110の燃料極に入力される。
【0062】
<実施例2>
【0063】
実施例2は、バーナーの排ガス全体を炭素捕捉器に供給する実施例1に比べて、バーナーの排ガスの一部を再びバーナーに再循環(recycle)させて二酸化炭素の純度を高めることで、二酸化炭素の捕捉効率を高める技術に関するものである。
【0064】
図3は実施例2によるSOE-SOFC-CCSハイブリッドシステムの構成図である。
【0065】
実施例2のハイブリッドシステムは、固体酸化物形電解電池10、固体酸化物燃料電池200、及び炭素捕捉器20を含む。固体酸化物燃料電池200は、スタック210、改質器220、燃料熱交換器230、第1空気熱交換器240、第2空気熱交換器250、バーナー260、第1分配器D1、第2分配器D2、第1合流器C1、第2合流器C2、及び制御器(図示せず)を含む。
【0066】
実施例2で、固体酸化物形電解電池10、スタック210、改質器220、燃料熱交換器230、第1空気熱交換器240、第2空気熱交換器250、バーナー260、第1分配器D1、第1合流器C1、制御器(図示せず)、及び炭素捕捉器20の技術構成は実施例1の電解電池10、スタック110、改質器120、燃料熱交換器130、第1空気熱交換器140、第2空気熱交換器150、バーナー160、第1分配器D1、第1合流器C1、制御器(図示せず)、及び炭素捕捉器20と基本的に同一であるので、ここでは相違点のみを追加的に説明する。
【0067】
第2分配器D2は第1空気熱交換器240の後段に配置されることで、改質器220及び第1空気熱交換器240で熱交換されたバーナー260の排ガスの一部を炭素捕捉器20に分岐させ、残りの一部をバーナー260に分岐させる。
【0068】
第2合流器C2は、バーナー260に分岐されて残った一部のバーナー排ガスとスタック210の燃料極排ガスとを合流させる。第2合流器C2で合流したガスは再びバーナー260に入力される。
【0069】
このように、バーナー260の排ガスの一部を再びバーナー260に再循環させることで、三つの効果を期待することができる。
【0070】
第一、基本的にバーナー260の排ガスは燃焼反応によって二酸化炭素の濃度が高いCO2が豊富なガスであるがその内には依然として少量の未反応燃料(例えば、H2、COなど)が残っている。したがって、改質器220及び第1空気熱交換器240を経由したバーナー排ガスの一部を再びバーナーに送って燃焼過程を経るようにすることで、残余未反応燃料を追加的に二酸化炭素に転換させる。すなわち、バーナー排ガスが再循環する度にバーナー排ガスはCO2がより豊富なガスになる。そして、炭素捕捉器20は、CO2がより豊富なガスを対象としてより容易に二酸化炭素を捕捉することができる。
【0071】
第二、バーナー260の排ガスは改質器220及び第1空気熱交換器240を経由しながら熱交換によって冷却される。したがって、バーナー260の排ガスに含まれた二酸化炭素のような不活性ガスをバーナー260に再循環させることで、バーナー260の温度を調節するかまたは過熱を防止する効果を期待することができる。
【0072】
第三、実施例1のバーナー160にSOEの排ガス及びスタックの燃料極排ガスが燃料として入力されることに比べて、実施例2のバーナー260には、SOEの排ガス及びスタックの燃料極排ガスの他にも、第2分配器D2で分岐されたバーナー排ガスがさらに入力される。したがって、バーナー排ガスが再循環することにより、バーナー260から改質器220及び第1空気熱交換器240に流入する流量(質量)が増加するので、熱交換効率が高くなる。
【0073】
<実施例3>
【0074】
実施例3は、実施例1または実施例2に比べて、固体酸化物形電解電池10の排ガス(酸素)全部をバーナーに送るものではなく、電解電池10の排ガスの一部をバーナー360に送り、残りはスタックの空気極に流入する外部空気に合流させる技術に関するものである。実施例3によれば、スタックの空気極に流入する酸素の濃度を高めることで、固体酸化物燃料電池の電気生産効率を高めることができる。
【0075】
実施例3は実施例1に第3分配器D3及び第3合流器C3をさらに含む変形実施例と理解することもでき、実施例2に第3分配器D3及び第3合流器C3をさらに含む変形実施例と理解することもできる。
図4は実施例1に第3分配器D3と第3合流器C3をさらに含む変形実施例を示す図である。
【0076】
図4に示すように、実施例3のハイブリッドシステムは、固体酸化物形電解電池10、固体酸化物燃料電池300、及び炭素捕捉器20を含む。固体酸化物燃料電池300は、スタック310、改質器320、燃料熱交換器330、第1空気熱交換器340、第2空気熱交換器350、バーナー360、第1分配器D1、第3分配器D3、第1合流器C1、第3合流器C3、及び制御器(図示せず)を含む。
【0077】
実施例3の固体酸化物形電解電池10、スタック310、改質器320、燃料熱交換器330、第1空気熱交換器340、第2空気熱交換器350、バーナー360、第1分配器D1、第1合流器C1、制御器(図示せず)、及び炭素捕捉器20の技術構成は実施例1の電解電池10、スタック110、改質器120、燃料熱交換器130、第1空気熱交換器140、第2空気熱交換器150、バーナー160、第1分配器D1、第1合流器C1、制御器(図示せず)、及び炭素捕捉器20と根本的に同一であるので、ここでは相違点のみを追加的に説明する。
【0078】
第3分配器D3は固体酸化物形電解電池10の出口端に配置され、固体酸化物形電解電池10の排ガス(SOE offgas)の一部をバーナー360に分岐させ、残りをスタックの空気極に流入する外部空気に合流させる。
【0079】
第3合流器C3は第1空気熱交換器340と第2空気熱交換器350との間に配置され、第1空気熱交換器340を経由した外部空気と第3分配器D3によって分岐された固体酸化物形電解電池10の排ガス(SOE offgas)とを合流させる。そして、合流された混合ガスは第2空気熱交換器350を経由してスタック310の空気極に入力される。
【0080】
変形実施例として、第3合流器C3は第2空気熱交換器350とスタック310の空気極との間に配置されることもできる。この場合、第2空気熱交換器350で加熱された外部空気と第2分配器D2で分岐された電解電池10排ガスとは第3合流器C3で合流してスタック310の空気極に入力される。
【0081】
電解電池10の排ガスは酸素を含むので、第3分配器D3からバーナー360により多い電解電池排ガスを分配するほど、バーナーの燃焼が活性化して、バーナー排ガスに含まれた二酸化炭素の純度が高くなるので、炭素捕捉器20の二酸化炭素捕捉率が高くなり、第3分配器D3で空気熱交換器340または350側により多い電解電池排ガスを分配するほど、スタックの空気極に入力される酸素量が多くなるので、スタックの電気出力が高くなる。
【0082】
したがって、制御器(図示せず)は、ハイブリッドシステムに設定される二酸化炭素捕捉量または電気出力によってバーナー360または空気熱交換器340または350への分配比を決定し、決定された配分比を含む制御信号を第3分配器D3に送信する。
【0083】
<実施例4>
【0084】
実施例4は、実施例1~実施例3に比べて、バーナーの排ガス全部を改質器に送るものではなく、バーナーの排ガスの一部を固体酸化物形電解電池に再循環させ、その残りを改質器に送る技術に関するものである。
【0085】
実施例4は、実施例1において第4分配器D4をさらに含む変形実施例と理解することもでき、実施例2において第4分配器D4をさらに含む変形実施例と理解することもできる。
図5は実施例1に第4分配器D4をさらに含む変形実施例を示す図である。
【0086】
図5に示すように、実施例4のハイブリッドシステムは、固体酸化物形電解電池10、固体酸化物燃料電池400、及び炭素捕捉器20を含む。固体酸化物燃料電池400は、スタック410、改質器420、燃料熱交換器430、第1空気熱交換器440、第2空気熱交換器450、バーナー460、第1分配器D1、第4分配器D4、第1合流器C1、及び制御器(図示せず)を含む。
【0087】
実施例4の固体酸化物形電解電池10、スタック410、改質器420、燃料熱交換器430、第1空気熱交換器440、第2空気熱交換器450、バーナー460、第1分配器D1、第1合流器C1、制御器(図示せず)、及び炭素捕捉器20の技術構成は実施例1の電解電池10、スタック110、改質器120、燃料熱交換器130、第1空気熱交換器140、第2空気熱交換器150、バーナー160、第1分配器D1、第1合流器C1、制御器(図示せず)、及び炭素捕捉器20と基本的に同一であるので、ここでは相違点のみを追加的に説明する。
【0088】
第4分配器D4はバーナー460の後段に配置される。
【0089】
第4分配器D4はバーナー460の排ガスの一部を再び固体酸化物形電解電池10に再循環させ、残りを改質器420に分岐する。
【0090】
固体酸化物形電解電池10は、第4分配器D4によって分岐された高温のバーナー排ガスを電解電池に含まれた少なくとも一つの熱交換器に送ることで、熱エネルギーを受ける。
【0091】
第4分配器D4で電解電池10により多いバーナー排ガスを分配するほど、電解電池が活性化して水素生産量が多くなり、第4分配器D4で改質器420側により多いバーナー排ガスを分配するほど、燃料電池400の効率が高くなるので、電気出力が高くなる。
【0092】
したがって、制御器(図示せず)は、ハイブリッドシステムに設定される水素生産量または電気出力によって電解電池10または改質器420への配分比を決定し、決定された配分比を含む制御信号を第4分配器D4に送信する。
【0093】
<実施例5>
【0094】
実施例5は実施例1~実施例4を全部併合した技術に関するものである。
【0095】
図6に示すように、実施例5のハイブリッドシステムは、固体酸化物形電解電池10、固体酸化物燃料電池500、及び炭素捕捉器20を含む。固体酸化物燃料電池500は、スタック510、改質器520、燃料熱交換器530、第1空気熱交換器540、第2空気熱交換器550、バーナー560、第1分配器D1、第2分配器D2、第3分配器D3、第4分配器D4、第1合流器C1、第2合流器C2、第3合流器C3、及び制御器(図示せず)を含む。
【0096】
実施例5の固体酸化物形電解電池10、スタック510、改質器520、燃料熱交換器530、第1空気熱交換器540、第2空気熱交換器550、バーナー560、第1分配器D1、第1合流器C1、制御器(図示せず)、及び炭素捕捉器20の技術構成は実施例1の電解電池10、スタック110、改質器120、燃料熱交換器130、第1空気熱交換器140、第2空気熱交換器150、バーナー160、第1分配器D1、第1合流器C1、制御器(図示せず)、及び炭素捕捉器20と同一である。
【0097】
また、実施例5の第2分配器D2、第2合流器C2、及び制御器(図示せず)は実施例2の第2分配器D2、第2合流器C2及び制御器(図示せず)と同一であり、実施例5の第3分配器D3、第3合流器C3、及び制御器(図示せず)は実施例3の第3分配器D3、第3合流器C3、及び制御器(図示せず)と同一であり、実施例5の第4分配器D4及び制御器(図示せず)は実施例4の第4分配器D4及び制御器(図示せず)と同一である。
【0098】
以上では、本発明のいくつかの実施例を参照して説明したが、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更することができるというのが理解可能であろう。
【国際調査報告】