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特表2024-526403タイヤビードリングを把持するためのグリッパおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-18
(54)【発明の名称】タイヤビードリングを把持するためのグリッパおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/48 20060101AFI20240710BHJP
【FI】
B29D30/48
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542676
(86)(22)【出願日】2023-04-12
(85)【翻訳文提出日】2023-08-29
(86)【国際出願番号】 NL2023050191
(87)【国際公開番号】W WO2023224469
(87)【国際公開日】2023-11-23
(31)【優先権主張番号】2031913
(32)【優先日】2022-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595090635
【氏名又は名称】ヴェーエムイー ホーランド ベー. ヴェー.
【氏名又は名称原語表記】VMI HOLLAND B. V.
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】ウィレム マリナス バン ビーク
(72)【発明者】
【氏名】ティムン アントン バン ヴェルヴェン
【テーマコード(参考)】
4F501
【Fターム(参考)】
4F501TA12
4F501TC12
4F501TE11
4F501TF06
4F501TL23
4F501TL27
4F501TL34
4F501TL35
4F501TV12
4F501TV14
(57)【要約】
本発明は、ピックアップ位置から配置位置へ移送されるタイヤビードリングを把持するためのグリッパに関し、前記グリッパは、前記グリッパの周方向に等角度間隔で配置される2つ以上の係合爪を備え、前記2つ以上の係合爪の各々が、把持される前記タイヤビードリングに係合するための係合フィンガーを備え、前記係合爪は、前記係合フィンガーが把持される前記タイヤビードリングから離れた遠隔位置と、前記係合フィンガーが把持される前記タイヤビードリングに係合する係合位置との間で径方向に移動するように構成され、前記グリッパは、前記グリッパによって把持された前記タイヤビードリングを前記グリッパから排出するように構成された排出フィンガーを備える。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピックアップ位置から配置位置へ移送されるタイヤビードリングを把持するためのグリッパであって、前記グリッパは、
前記グリッパの周方向に等角度間隔で配置される2つ以上の係合爪を備え、前記2つ以上の係合爪の各々が、把持される前記タイヤビードリングに係合するための係合フィンガーを備え、
前記係合爪は、前記係合フィンガーが把持される前記タイヤビードリングから離れた遠隔位置と、前記係合フィンガーが把持される前記タイヤビードリングに係合する係合位置との間で径方向に移動するように構成され、
前記グリッパは、前記グリッパによって把持された前記タイヤビードリングを前記グリッパから排出するように構成された排出フィンガーを備える、グリッパ。
【請求項2】
前記排出フィンガーは、前記グリッパによって把持された前記タイヤビードリングを前記グリッパから、移動方向に対して垂直な方向に向けられて前記グリッパから離れる排出方向に向けて排出するように構成される、請求項1に記載のグリッパ。
【請求項3】
前記グリッパは、2つ以上の排出フィンガーを備え、前記2つ以上の係合爪の各々は排出フィンガーを備える、請求項1または2に記載のグリッパ。
【請求項4】
前記排出フィンガーは、前記排出フィンガーが前記タイヤビードリングから間隔を空けたアイドル位置と、前記排出フィンガーが前記タイヤビードリングに当接し、それにより前記タイヤビードリングに排出力を加える排出位置と、前記排出フィンガーが前記タイヤビードリングが位置していた位置に少なくとも部分的に位置する既排出位置との間を移動するように構成されている、請求項1、2または3に記載のグリッパ。
【請求項5】
前記排出フィンガーは、関連する前記係合フィンガーが前記係合位置にあるときに、前記排出位置に移動するように構成されている、請求項4に記載のグリッパ。
【請求項6】
前記排出フィンガーは、関連する前記係合フィンガーの前記係合位置から前記遠隔位置への移動が開始されると、前記排出位置に移動するように構成されている、請求項4に記載のグリッパ。
【請求項7】
前記係合フィンガーは、第1の速度で前記遠隔位置から前記係合位置まで移動され、第2の速度で前記係合位置から前記遠隔位置まで移動されるように構成され、前記第2の速度は前記第1の速度より高い、請求項1乃至6の何れか1項に記載のグリッパ。
【請求項8】
各係合爪は、把持されるタイヤビードリングを、前記タイヤビードリングが配置される表面から分離し、前記遠隔位置と前記係合位置との間を移動するように構成された分離フィンガーを備える、請求項1乃至7の何れか1項に記載のグリッパ。
【請求項9】
各分離フィンガーは、先細りの先端を備え、前記先細りの先端は、前記分離フィンガーと関連する前記係合フィンガーとが前記係合位置にあるときに、関連する前記係合フィンガーを越えて径方向に延びるように配置される、請求項8に記載のグリッパ。
【請求項10】
各係合爪の前記係合フィンガーおよび前記分離フィンガーは、前記分離フィンガーの前記遠隔位置から前記係合位置への移動が、前記係合フィンガーの前記遠隔位置から前記係合位置への移動をもたらすように、かつ前記分離フィンガーが前記係合フィンガーから独立して前記係合位置から前記遠隔位置に向かって離れるように移動することを可能にするように、互いに作動的に接続される、請求項8または9に記載のグリッパ。
【請求項11】
1つ以上の前記係合爪を前記遠隔位置と前記係合位置との間で移動させるように構成された駆動部を備える、請求項1乃至10の何れか1項に記載のグリッパ。
【請求項12】
前記駆動部は、前記1つ以上の係合爪のそれぞれの前記分離フィンガーに動作可能に接続される、請求項10または11に記載のグリッパ。
【請求項13】
各係合爪の前記係合フィンガーは、前記係合フィンガーが前記遠隔位置と前記係合位置との間で移動することを可能にするアイドル位置と、前記係合フィンガーが前記遠隔位置と前記係合位置との間で移動することを防止するブレーキ位置との間で移動可能であるブレーキを含む、請求項10または12に記載のグリッパ。
【請求項14】
ばねが、各係合爪の前記係合フィンガーと前記分離フィンガーとの間に動作可能に連結されて設けられている、請求項13に記載のグリッパ。
【請求項15】
各係合爪の前記排出フィンガーは、前記排出フィンガーが前記移動方向と平行な方向に延びるように前記分離フィンガーに配置される、請求項8、9、10、12、13または14に記載のグリッパ。
【請求項16】
前記排出フィンガーは、前記移動方向に対して垂直な回転軸を中心に回転可能に前記分離フィンガーに配置される、請求項3または15に記載のグリッパ。
【請求項17】
請求項1乃至16の何れか1項に記載のグリッパによって、ピックアップ位置から配置位置に移送されるタイヤビードリングを把持するための方法であって、前記方法は、
前記係合フィンガーが前記遠隔位置にある間に、前記グリッパを前記ピックアップ位置に向けて動かす工程と、
前記係合フィンガーを前記係合位置に向けて径方向に移動させて、前記タイヤビードリングに係合させる工程と、
前記グリッパを前記配置位置に向かって移動させる工程と、
前記係合フィンガーを前記遠隔位置に向けて動かし、グリップした前記タイヤビードリングを離す工程と、
を含み、前記方法はさらに、各係合爪の前記排出フィンガーによって前記グリッパから前記タイヤビードリングを排出する工程をさらに含む、方法。
【請求項18】
前記排出フィンガーが、前記排出フィンガーが前記タイヤビードリングから間隔を空けているアイドル位置と、前記排出フィンガーが前記タイヤビードリングに当接し、それによって前記タイヤビードリングに排出力を加える排出位置と、前記タイヤビードリングの排出後に、前記排出フィンガーが前記タイヤビードリングが位置していた位置に少なくとも部分的に位置する既排出位置との間を移動するように構成され、前記タイヤビードリングを排出する工程は、前記排出フィンガーを前記アイドル位置から前記排出位置に移動し、前記排出フィンガーを前記排出位置に移動する工程を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記排出フィンガーを前記アイドル位置から前記排出位置に移動させる工程は、把持された前記タイヤビードリングを離す工程の前に実行される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記排出フィンガーを前記アイドル位置から前記排出位置に移動させる工程は、把持された前記タイヤビードリングを離す工程と同時に実行される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記グリッパが、請求項13に記載のグリッパである場合、前記係合フィンガーを前記係合位置に移動させる工程は、各係合爪について、前記分離フィンガーを前記係合位置に移動させ、それによって関連する前記係合フィンガーを前記係合位置に移動させ、前記分離フィンガーおよび関連する前記係合フィンガーが前記係合位置にあるときに前記ブレーキを前記ブレーキ位置に移動させる工程を含む、請求項17乃至20の何れか1項に記載の方法。
【請求項22】
各係合爪について、関連する係合爪の前記ブレーキが前記ブレーキ位置に動くときに、前記分離フィンガーを前記係合位置から前記遠隔位置に向かって動かす工程をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記グリッパが、請求項14に記載のグリッパであり、前記係合フィンガーを前記遠隔位置に向けて移動することにより把持された前記タイヤビードリングを離す工程は、前記ブレーキを前記アイドル位置に移動させる工程を含む、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
タイヤビードリングをピックアップ位置から配置位置に移送するためのビード移送装置であって、
ロボットアームと、請求項1乃至16の何れか1項に記載のグリッパとを備え、前記グリッパは、前記ロボットアームが前記グリッパを移動できるように前記ロボットアームに配置される、ビード移送装置。
【請求項25】
請求項1乃至16の何れか1項に記載のグリッパに、請求項17乃至23の何れか1項に記載の方法を実行させるように適合されたコンピュータ実行可能命令を有するコンピュータ可読媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピックアップ位置から配置位置へ移送されるタイヤビードリングを把持するためのグリッパに関する。さらに、本発明は、ピックアップ位置から配置位置へ移送されるタイヤビードリングを把持するための方法、およびピックアップ位置から配置位置へタイヤビードリングを移送するためのビード移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなグリッパは、例えば、タイヤビードを移送および配置するための装置が記載されている国際公開第2010/021546号から公知であり、特にこの装置は、ビードをピックアップして保持するためのビード保持手段を備えており、ビード保持手段は、ビード保持手段上に周方向に等しい角度間隔で配置された係合爪を備えており、係合爪は、タイヤのビードをそれぞれ係合または解放するために半径方向に駆動または退避可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特に公知のグリッパは、タイヤビードエイペックス製造ドラムからタイヤビードリングを回収し、回収したタイヤビードリングをタイヤビードリングの積み重ね等、次の位置に置くために使用される。タイヤビードリングは、係合爪を径方向外向きに駆動することによってピックアップされ、タイヤビードリングが係合爪によって係合され、係合爪を径方向きに駆動してタイヤビードリングをグリッパから離すことによって、タイヤビードエイペックス製造ドラム上に配置される。係合爪が同時に移動するように、全ての係合爪は同時に駆動される。次の位置への配置が中央で均等に行われることが重要である。タイヤビードリングとエイペックスとの良好な接着を得るために、タイヤビードリングには未加硫ゴムの薄い層が設けられている。未加硫ゴムの薄い層のために、係合爪が内向きに動かされたときに、タイヤビードリングが係合爪の1つに重なったままになることがある。この結果、タイヤビードリングがすべての係合爪から同時に解放されず、タイヤビードエイペックス製造ドラムへのタイヤビードリングの配置が中央に行われないため、不利である。さらに、タイヤビードリングは、係合爪の1つに重なったままであるため、非円形に変形する可能性があり、不利になることがある。
【0004】
本発明の目的は、公知の先行技術の1つ以上の欠点を改善または除去し、改良されたグリッパを提供し、または少なくとも代替的なグリッパを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によれば、本発明は、ピックアップ位置から配置位置へ移送されるタイヤビードリングを把持するためのグリッパを提供し、前記グリッパは、
前記グリッパの周方向に等角度間隔で配置される2つ以上の係合爪を備え、前記2つ以上の係合爪の各々が、把持される前記タイヤビードリングに係合するための係合フィンガーを備え、
前記係合爪は、前記係合フィンガーが把持される前記タイヤビードリングから離れた遠隔位置と、前記係合フィンガーが把持される前記タイヤビードリングに係合する係合位置との間で径方向に移動するように構成され、
前記グリッパは、前記グリッパによって把持された前記タイヤビードリングを前記グリッパから排出するように構成された排出フィンガーを備える。
【0006】
本発明によるグリッパの使用中、係合フィンガーは、半径方向内側の位置などの遠隔位置から、半径方向外側の位置などの係合位置に移動され、タイヤビードリングに係合することにより把持する。グリッパが配置位置に近づいたとき、または配置位置にあるとき、係合フィンガーは、グリッパタイヤビードリングをグリッパから離すために径方向内側に移動される。係合フィンガーを半径方向内側に動かして把持したタイヤビードリングを解放する前またはその間に、排出フィンガーがタイヤビードリングに排出力を加える。排出フィンガーによって加えられる排出力は、係合フィンガーが半径方向内側に移動しているときに、タイヤビードリングが係合フィンガーの1つ以上に重なったままになるのを防止する。これは、タイヤビードリングがすべての係合フィンガーから同時に解放されるため、タイヤビードリングの配置が中央で均一に行われるという点で有利である。
【0007】
一実施形態において、前記排出フィンガーは、前記グリッパによって把持された前記タイヤビードリングを前記グリッパから、移動方向に対して垂直な方向に向けられて前記グリッパから離れる排出方向に向けて排出するように構成される。例えば、係合爪が水平方向に移動するようにグリッパが水平方向に向いている場合、排出フィンガーは、グリッパのタイヤビードリングを下方に向けられた垂直方向に排出するように構成される。
【0008】
一実施形態において、前記グリッパは、2つ以上の排出フィンガーを備え、前記2つ以上の係合爪の各々は排出フィンガーを備える。係合爪に排出フィンガーを配置することにより、排出フィンガーは、タイヤビードリングが重なったままになる可能性のある場所に最も近い位置で、把持されたタイヤビードリングに有利に作用する。
【0009】
一実施形態において、前記排出フィンガーは、前記排出フィンガーが前記タイヤビードリングから間隔を空けたアイドル位置と、前記排出フィンガーが前記タイヤビードリングに当接し、それにより前記タイヤビードリングに排出力を加える排出位置と、前記排出フィンガーが前記タイヤビードリングが位置していた位置に少なくとも部分的に位置する既排出位置との間を移動するように構成されている。その実施形態において、前記排出フィンガーは、関連する前記係合フィンガーが前記係合位置にあるときに、前記排出位置に移動するように構成されている。この実施形態によれば、排出フィンガーは、関連する係合フィンガーが係合位置から遠隔位置に向けて移動する前に、排出位置に移動される。排出位置では、排出フィンガーは、タイヤビードリングに排出力が加わるように、タイヤビードリングに対して配置される。排出力により、排出フィンガーとタイヤビードリングとの間には径方向に摩擦が存在する。本発明者らは、驚くべきことに、タイヤビードリングに加えられる排出力およびそれに伴う径方向の摩擦が、タイヤビードリングが係合フィンガーに重なったままになることを防止するのに十分であることを見出した。したがって、この実施形態によるグリッパは、全ての係合爪からタイヤビードリングを同時に離すことができる。
【0010】
代替的な実施形態において、前記排出フィンガーは、関連する前記係合フィンガーの前記係合位置から前記遠隔位置への移動が開始されると、前記排出位置に移動するように構成される。
【0011】
一実施形態において、前記係合フィンガーは、第1の速度で前記遠隔位置から前記係合位置まで移動され、第2の速度で前記係合位置から前記遠隔位置まで移動されるように構成され、前記第2の速度は前記第1の速度より高い。
【0012】
一実施形態において、各係合爪は、把持されるタイヤビードリングを、前記タイヤビードリングが配置される表面から分離し、前記遠隔位置と前記係合位置との間を移動するように構成された分離フィンガーを備える。その実施形態において、各分離フィンガーは、先細りの先端を備え、前記先細りの先端は、前記分離フィンガーと関連する前記係合フィンガーとが前記係合位置にあるときに、関連する前記係合フィンガーを越えて径方向に延びるように配置される。先細りの先端を有する分離フィンガーは、例えば、グリッパが、タイヤビードリングが配置されていた表面からタイヤビードリングを移動させる間に、把持されるタイヤビードリングが係合フィンガーから滑り落ちるのを防止することを可能にする。
【0013】
一実施形態において、各係合爪の前記係合フィンガーおよび前記分離フィンガーは、前記分離フィンガーの前記遠隔位置から前記係合位置への移動が、前記係合フィンガーの前記遠隔位置から前記係合位置への移動をもたらすように、かつ前記分離フィンガーが前記係合フィンガーから独立して前記係合位置から前記遠隔位置に向かって離れるように移動することを可能にするように、互いに作動的に接続される。好ましくは、前記グリッパは、1つ以上の前記係合爪を前記遠隔位置と前記係合位置との間で移動させるように構成された駆動部を備える。その実施形態において、前記駆動部は、前記1つ以上の係合爪のそれぞれの前記分離フィンガーに動作可能に接続される。この実施形態の利点は、少なくとも係合爪ごとに、またはおそらくグリッパごとに、係合フィンガーおよび分離フィンガーを遠隔位置から係合位置へ移動させるために、単一の駆動装置で十分であることである。
【0014】
さらなる実施形態において、各係合爪の前記係合フィンガーは、前記係合フィンガーが前記遠隔位置と前記係合位置との間で移動することを可能にするアイドル位置と、前記係合フィンガーが前記遠隔位置と前記係合位置との間で移動することを防止するブレーキ位置との間で移動可能であるブレーキを含む。さらなる実施形態では、ばねが、各係合爪の前記係合フィンガーと前記分離フィンガーとの間に動作可能に連結されて設けられている。この実施形態によれば、係合フィンガーは、タイヤビードリングを解放する前に先細りの先端が邪魔にならないように、関連する分離フィンガーがすでに前記遠隔位置に向かって移動している間、係合位置に維持することができる。その後、係合フィンガーの各々の前記ブレーキがブレーキ位置からアイドル位置に移動されると、各係合フィンガーは、その間に設けられたばねによって、関連する分離フィンガーに対して比較的速く引っ張られる。
【0015】
一実施形態において、各係合爪の前記排出フィンガーは、前記排出フィンガーが前記移動方向と平行な方向に延びるように前記分離フィンガーに配置される。その実施形態において、前記排出フィンガーは、前記移動方向に対して垂直な回転軸を中心に回転可能に前記分離フィンガーに配置される。この実施形態によれば、排出フィンガーはフリッパのように機能する。これは、排出フィンガーをグリッパに組み込むために必要な高さが最小限に抑えられるので有利である。
【0016】
第2の態様によれば、本発明は、本発明の第1の態様によるグリッパによって、ピックアップ位置から配置位置に移送されるタイヤビードリングを把持するための方法を提供し、前記方法は、
前記係合フィンガーが前記遠隔位置にある間に、前記グリッパを前記ピックアップ位置に向けて動かす工程と、
前記係合フィンガーを前記係合位置に向けて径方向に移動させて、前記タイヤビードリングに係合させる工程と、
前記グリッパを前記配置位置に向かって移動させる工程と、
前記係合フィンガーを前記遠隔位置に向けて動かし、グリップした前記タイヤビードリングを離す工程と、
を含み、前記方法はさらに、各係合爪の前記排出フィンガーによって前記グリッパから前記タイヤビードリングを排出する工程をさらに含む。
【0017】
一実施形態において、前記排出フィンガーが、前記排出フィンガーが前記タイヤビードリングから間隔を空けているアイドル位置と、前記排出フィンガーが前記タイヤビードリングに当接し、それによって前記タイヤビードリングに排出力を加える排出位置と、前記タイヤビードリングの排出後に、前記排出フィンガーが前記タイヤビードリングが位置していた位置に少なくとも部分的に位置する既排出位置との間を移動するように構成され、前記タイヤビードリングを排出する工程は、前記排出フィンガーを前記アイドル位置から前記排出位置に移動し、前記排出フィンガーを前記排出位置に移動する工程を含む。その実施形態において、前記排出フィンガーを前記アイドル位置から前記排出位置に移動させる工程は、把持された前記タイヤビードリングを離す工程の前に実行される。
【0018】
代替的な実施形態において、前記排出フィンガーを前記アイドル位置から前記排出位置に移動させる工程は、把持された前記タイヤビードリングを離す工程と同時に実行される。
【0019】
一実施形態において、前記グリッパが、各係合爪の前記係合フィンガーが、前記係合フィンガーが前記遠隔位置と前記係合位置との間で移動することを可能にするアイドル位置と、前記係合フィンガーが前記遠隔位置と前記係合位置との間で移動することを防止するブレーキ位置との間で移動可能であるブレーキを含むグリッパである場合、前記係合フィンガーを前記係合位置に移動させる工程は、各係合爪について、前記分離フィンガーを前記係合位置に移動させ、それによって関連する前記係合フィンガーを前記係合位置に移動させ、前記分離フィンガーおよび関連する前記係合フィンガーが前記係合位置にあるときに前記ブレーキを前記ブレーキ位置に移動させる工程を含む。
【0020】
一実施形態において、前記方法は、各係合爪について、関連する係合爪の前記ブレーキが前記ブレーキ位置に動くときに、前記分離フィンガーを前記係合位置から前記遠隔位置に向かって動かす工程をさらに含む。
【0021】
一実施形態において、前記グリッパが、ばねが各係合爪の前記係合フィンガーと前記分離フィンガーとの間に動作可能に連結されて設けられているグリッパであり、前記係合フィンガーを前記遠隔位置に向けて移動することにより把持された前記タイヤビードリングを離す工程は、前記ブレーキを前記アイドル位置に移動させる工程を含む。
【0022】
第3の態様によれば、本発明は、タイヤビードリングをピックアップ位置から配置位置に移送するためのビード移送装置を提供し、前記ビード移送装置は、
ロボットアームと、本発明の第1の態様によるグリッパとを備え、グリッパは、前記ロボットアームが前記グリッパを移動できるように前記ロボットアームに配置される。
【0023】
第4の態様によれば、本発明は、本発明の第1の態様によるグリッパに本発明の第2の態様による方法を実行させるように適合されたコンピュータ実行可能命令を有するコンピュータ可読媒体を提供する。
【0024】
本明細書に記載され図示された様々な態様および特徴は、可能な限り個別に適用することができる。これらの個々の態様、特に添付の従属請求項に記載された態様および特徴は、分割特許出願の主題とすることができる。
【0025】
本発明は、添付の概略図に示される例示的な実施形態に基づいて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、タイヤビードリングをピックアップ位置から配置位置へ移送するためのビード移送装置を示し、このビード移送装置は、本発明の実施形態によるグリッパを備えている。
図2図2は、図1のグリッパの拡大側面図である。
図3図3A-3Eは、図2のグリッパによってタイヤビードリングをピックアップして配置する工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
ビード移送装置50は、タイヤビードリング2をピックアップ位置から配置位置に移送するように構成され、本発明の実施形態によるグリッパ1を備えるこのビード移送装置50を図1に概略的に示す。ビード移送装置50は、例えば、タイヤビードリング2を製造ドラムからビードセパレータに移送するために使用することができ、この場合、タイヤビードリング2は製造ドラムから垂直にピックアップされ、ビードセパレータ上に水平に配置されてもよい。
【0028】
図1に示すように、ビード移送装置50は、タイヤビードリング2をピックアップ位置から配置位置まで係合して搬送するためのマニピュレータ51を備えている。マニピュレータ51は、例えば工場床53に対して固定されたマニピュレータベース52によって支持されている。マニピュレータ51は、マニピュレータベース52によって支持されるロボットアーム54と、ロボットアーム54、特にマニピュレータベース52から離れた側のロボットアーム54の端部に配置されたグリッパ1とを有する。ロボットアーム54は、通常、マニピュレータ51に6自由度を提供し、それにより、特にビード移送装置50がタイヤビードリング2を垂直にピックアップし、タイヤビードリング2を水平に配置すること、またはその逆を可能にする。
【0029】
グリッパ1の詳細な側面図を図2に示す。グリッパ1は、グリッパ1をロボットアーム54に接続するためのグリッパコネクタ11を備えたグリッパフレーム10を有する。グリッパコネクタ11は、グリッパフレーム10に対して実質的に横方向または横断方向に延び、グリッパコネクタ11を通ってグリッパフレーム10に対して横断方向に延びる中心軸Cを規定する。グリッパフレーム10は、例えば、グリッパフレーム10の中心から径方向外側に延びる図示しない4つのアームによって形成されてもよい。グリッパフレームのこのような構成は、例えば、本出願人の国際公開第2010/021546号に示されている。
【0030】
グリッパ1でタイヤビードリング2を把持するために、グリッパ1には2つ以上、この例では4つの係合爪12が設けられている。係合爪12は、グリッパ1の円周方向に等しい角度間隔で配置されており、図示の例によれば、隣り合う係合爪12の間に90°の角度間隔が存在するようになっている。さらに、係合爪12はグリッパフレーム10に移動可能に配置されている。係合爪12は、主に、タイヤビードリング2に係合するために、中心線Cから見て径方向外側に、移動方向Mに移動し、タイヤビードリング2をグリッパ1から解放するために、径方向内側に移動するように構成されている。
【0031】
図示しない代替的な実施形態において、係合爪12は、タイヤビードリング2に係合するために、中心線Cから見てかつこれに垂直に、移動方向Mに向けて、主に径方向内側に移動し、タイヤビードリング2をグリッパ1から離すために、径方向外側に移動するように構成されてもよい。
【0032】
図2に概略的に示すように、係合爪12の各々は、把持されるタイヤビードリング2に係合するための係合フィンガー13を備える。係合フィンガー13は、係合フィンガー13がグリッパフレーム10に対して直線的に移動できるように、第1のコネクタ14によってグリッパフレーム10に対して移動可能に配置されている。例えば、係合フィンガー13は、グリッパフレーム10の図示しないレールガイドに接続される。係合フィンガー13は、第1のコネクタ14に接続され、グリッパ1によって把持されるタイヤビードリング2に係合するための径方向外向きの係合面16を有する係合体15をさらに備える。
【0033】
各係合フィンガー13は、移動方向Мに平行な長手方向軸線を有し、移動方向Мおよび中心線Cに直交する方向において係合フィンガー13を少なくとも部分的に貫通して延びる受けスリット17を含む。図2に明確に示すように、受けスリット17の長さは、移動方向Мにおける係合体15の長さよりも小さく、好ましくは、受けスリット17は、係合体15の内方半分の範囲内に位置する。さらに、各係合フィンガー13は、トリガーフレーム10の方を向いた側において、図2に示すようなアイドル位置と、ブレーキ18がトリガーフレーム10にブレーキ接触するブレーキ位置との間で、中心線Cに平行なブレーキ方向Bに移動可能なブレーキ18を備えている。
【0034】
図2に示すように、各係合爪12は、把持されるタイヤビードリング2を、例えば、タイヤビードリング2の積み重ね上にある他のタイヤビードリング2から、またはタイヤビードリング2が載置される表面から分離するように構成された分離フィンガー25をさらに備える。分離フィンガー25は、第2のコネクタ26によってグリッパフレーム10に移動可能に連結されており、例えば図示しないレールガイドに連結されている。さらに、分離フィンガー25は、分離フィンガー25を移動方向Мの半径方向外側または半径方向内側に駆動するように構成された、サーボモータまたは駆動シリンダなどの図示しない駆動装置に動作可能に接続されている。この例示的な実施形態では、分離フィンガー25は、それぞれの係合爪12の係合フィンガー13の隣に配置されている。
【0035】
各分離フィンガー25は、この例示的な実施形態では、側面から見ると矩形状である連結部分27を有している。第2のコネクタ26は、連結部分27、特にグリッパフレーム10の方を向いたその側面に配置されている。係合フィンガー13の方を向いた連結部分27の側面において、連結部分27は、そこから離れて係合フィンガー13の方へ延びる連結ピン28を備える。連結ピン28は、隣接する係合フィンガー13の受けスリット17内に受け入れられており、連結ピン28が受けスリット17の端部の一方に突き当たると、分離フィンガー25の移動が係合フィンガー13の移動につながるようになっている。
【0036】
代替的な実施形態では、各分離フィンガー25には受けスリット17が設けられ、各係合フィンガー13には連結ピン28が設けられている。
【0037】
各分離フィンガー25はさらに、連結部分27、特にその径方向外側に面する側に配置された分離部分29を有する。分離部分29は、連結部分27から径方向外側に延び、少なくとも例示的な実施形態では、横長である。連結部分27から離れる方向を向いた分離部分29の端部において、分離部分29は、把持されるタイヤビードリング2の下方に配置されうる先細りの先端部30を有する。分離フィンガー25は、例えば、タイヤビードリング2またはタイヤビードリング2に取り付けられたエイペックスが表面に付着したままの場合に、把持されるタイヤビードリング2を、タイヤビードリング2が載置された表面から分離するように意図されている。
【0038】
分離部分29の長さおよび受けスリット17の長さは、図2に示すように、分離フィンガー25が係合位置、この例示的な実施形態では径方向外側の位置にあるとき、すなわち連結ピン28が受けスリット17の径方向外側の端部に当接するとき、先細りの先端部30が係合面16を越えて径方向に延び、また、分離フィンガー25が遠隔位置、この例示的な実施形態では径方向内側の位置にあるとき、すなわち連結ピン28が受けスリット17の径方向内側の端部に当接または近接するとき、先細りの先端部30が係合面16を越えて径方向に延びないように、先細りの先端部30が径方向に引っ込められるように選択される。
【0039】
ばね31は、各係合爪12の分離フィンガー25と係合フィンガー13の間に設けられ、動作的に連結されている。
【0040】
さらに、係合爪12の各々は、グリッパ1によって把持されたタイヤビードリング2をグリッパ1から排出するように構成された、フリッパとも呼ばれる排出フィンガー35を含む。排出フィンガー35は、係合フィンガー13の移動方向Mに直交する排出方向E、特に中心軸Cに平行な方向にタイヤビードリング2を排出するように構成されている。排出フィンガー35は、第1の端部37と、排出体36の長手方向から見たときに第1の端部37とは反対側の第2の端部38とを有する細長い排出体36を備えている。その第1の端部37において、排出体36は、グリッパフレーム10に面する側またはその近傍において、分離フィンガー25、特にその連結部分27に回転可能に連結されており、排出フィンガー35は、回転軸Aの周りに回転可能である。したがって、分離フィンガー25の移動は、排出フィンガー35の移動につながる。排出フィンガー35の第2の端部38は、グリッパ1からタイヤビードリング2を排出する間、タイヤビードリング2に近接および/または接触するように構成されている。排出体36の長さは、係合フィンガー13に対する分離フィンガー25の位置にかかわらず、排出体36の第2の端部38が係合面16を越えて径方向に延びるように選択される。
【0041】
図2に最も良く示されているように、排出フィンガー35と分離フィンガー25、特に分離フィンガー25の連結部分27との間に、油圧ピストンまたは空気圧ピストンのような回転ピストン39が設けられ、作動可能に連結されている。回転ピストン39は、排出フィンガー35を図2に示すようなアイドル位置から図3Dに示すような排出位置に移動させるために、回転軸Aを中心に排出フィンガー35を回転させるように構成されている。排出フィンガー35が排出位置にあるとき、排出フィンガー35はタイヤビードリング2に当接し、タイヤビードリング2に排出力を加え、この排出力は中心線Cに実質的に平行に向けられる。
【0042】
代替的な実施形態では、排出フィンガー35は、排出ピストンまたは排出プッシャーとして形成されてもよい。
【0043】
図2に示すように、グリッパ1によってタイヤビードリング2をピックアップして配置する工程が、図3A~3Eに概略的に示されている。グリッパ1がタイヤビードリング2を把持する必要があるとき、グリッパ1は、図3Aに示すように、係合爪12がタイヤビードリング2内に位置するピックアップ位置に移動される。この工程の間、係合爪12は、図3Aに示すように、径方向内側の位置に位置し、その径方向内側の位置では、係合爪12はタイヤビードリング2から離間している。
【0044】
その後、係合爪12、特にその分離フィンガー25は、図3Bに示すように、好ましくは第1の速度で、径方向外側の位置に移動される。図示された例示的な実施形態では、分離フィンガー25は径方向外側に移動され、係合フィンガー13は、受けスリット17内の連結ピン28により引っ張られる。径方向外向きの位置にあるとき、係合フィンガー13の係合面16はタイヤビードリング2に係合し、任意で、係合爪12は、タイヤビードリング2が係合面16に対して滑るのを防止するために、タイヤビードリング2をわずかに伸ばしている。タイヤビードリング2が係合爪12によって係合され、したがって把持されるとすぐに、グリッパ1は、グリッパ1ひいてはタイヤビードリング2を配置位置まで移動させることができ、その配置位置でタイヤビードリング2を配置することができる。
【0045】
係合フィンガー13によって係合されたタイヤビードリング2に対する分離フィンガー25の先細りの先端部30の位置により、タイヤビードリング2は、例えば、タイヤビードリング2に直接隣接する図示しないタイヤビードリング2から分離され得ることに留意されたい。
【0046】
図3Aおよび図3Bに示す工程の間、ブレーキ18はアイドル位置にある。
【0047】
グリッパ1がほぼ配置位置にあるとき、または配置位置にあるとき、図3Cに概略的に示されているように、ブレーキ18がトリガーフレーム10とブレーキ接触するように、ブレーキ18はそのブレーキ位置に移動される。その後、分離フィンガー25が径方向内側の位置に向かって移動される。ブレーキ18がトリガーフレーム10とブレーキ接触しているため、係合フィンガー13は、その径方向内側の位置への移動が防止され、したがって、その径方向外側の位置に留まる。径方向内側位置への分離フィンガー25の移動は、受けスリット17の長さによって制限される。分離フィンガー25が径方向内側に移動されると、分離フィンガー25の先細りの先端部30は、もはや係合フィンガー13の係合面16を越えて径方向に延びず、係合フィンガー13と分離フィンガー25との間のばね31は引っ張られる。
【0048】
次の段階として、図3Dに示すように、排出フィンガー35はそれぞれ、回転ピストン39によってその回転軸Aを中心に排出位置まで回転させられる。図3Dに示すように、排出フィンガー35は、係合フィンガー13によって係合されたタイヤビードリング2に当接し、それによってタイヤビードリング2に排出力を加える。排出力は、タイヤビードリング2を係合フィンガー13から排出するには十分ではないことに注意すべきである。
【0049】
排出フィンガー35がタイヤビードリング2に当接しているとき、ブレーキ18をブレーキ位置からアイドル位置に移動させることによって、係合フィンガー13が径方向内側に、好ましくは第1の速度よりも早い第2の速度で移動させられ、それによって係合フィンガー13とグリッパフレーム10との間のブレーキ接触が解除される。係合フィンガー13と分離フィンガー25の間に張られたばね31により、係合フィンガー13はばね31によって分離フィンガー25に向かって急速に引っ張られ、それによってタイヤビードリング2が係合爪12から離される。係合フィンガー13が分離フィンガー25に向かって急速に引っ張られる間、排出フィンガー35がタイヤビードリング2をグリッパフレーム10から押し退け、タイヤビードリング2を排出する。任意に、排出フィンガー35は、分離フィンガー25の先細りの先端部30に向かってさらにわずかに回転し、それによって排出位置に移動する。
【0050】
その後、グリッパ1、特にその排出フィンガー35は、図3Aに概略的に示されるように、ピックアップ位置に戻ることができる。
【0051】
上記の説明は、好ましい実施形態の動作を説明するために含まれ、本発明の範囲を限定することを意味しないことを理解されたい。上記の議論から、本発明の範囲にさらに包含される多くの変形が当業者には明らかであろう。
【符号の説明】
【0052】
1 グリッパ
2 タイヤビードリング
10 グリッパフレーム
11 グリッパコネクタ
12 係合爪
13 係合フィンガー
14 第1のコネクタ
15 係合体
16 係合面
17 受けスリット
18 ブレーキ
25 分離フィンガー
26 第2のコネクタ
27 連結部分
28 連結ピン
29 分離部分
30 先細りの先端部
31 ばね
35 排出フィンガー
36 排出体
37 第1の端部
38 第2の端部
39 回転ピストン
50 ビード移送装置
51 マニピュレータ
52 マニピュレータベース
53 工場床
54 ロボットアーム
A 回転軸
B ブレーキ方向
C 中心軸
E 排出方向
M 移動方向

図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
【手続補正書】
【提出日】2023-08-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピックアップ位置から配置位置へ移送されるタイヤビードリングを把持するためのグリッパであって、前記グリッパは、
前記グリッパの周方向に等角度間隔で配置される2つ以上の係合爪を備え、前記2つ以上の係合爪の各々が、把持される前記タイヤビードリングに係合するための係合フィンガーを備え、
前記係合爪は、前記係合フィンガーが把持される前記タイヤビードリングから離れた遠隔位置と、前記係合フィンガーが把持される前記タイヤビードリングに係合する係合位置との間で径方向に移動するように構成され、
前記グリッパは、前記グリッパによって把持された前記タイヤビードリングを前記グリッパから排出するように構成された排出フィンガーを備える、グリッパ。
【請求項2】
前記排出フィンガーは、前記グリッパによって把持された前記タイヤビードリングを前記グリッパから、移動方向に対して垂直な方向に向けられて前記グリッパから離れる排出方向に向けて排出するように構成される、請求項1に記載のグリッパ。
【請求項3】
前記グリッパは、2つ以上の排出フィンガーを備え、前記2つ以上の係合爪の各々は排出フィンガーを備える、請求項1に記載のグリッパ。
【請求項4】
前記排出フィンガーは、前記排出フィンガーが前記タイヤビードリングから間隔を空けたアイドル位置と、前記排出フィンガーが前記タイヤビードリングに当接し、それにより前記タイヤビードリングに排出力を加える排出位置と、前記排出フィンガーが前記タイヤビードリングが位置していた位置に少なくとも部分的に位置する既排出位置との間を移動するように構成されている、請求項1に記載のグリッパ。
【請求項5】
前記排出フィンガーは、関連する前記係合フィンガーが前記係合位置にあるときに、前記排出位置に移動するように構成されている、請求項4に記載のグリッパ。
【請求項6】
前記排出フィンガーは、関連する前記係合フィンガーの前記係合位置から前記遠隔位置への移動が開始されると、前記排出位置に移動するように構成されている、請求項4に記載のグリッパ。
【請求項7】
前記係合フィンガーは、第1の速度で前記遠隔位置から前記係合位置まで移動され、第2の速度で前記係合位置から前記遠隔位置まで移動されるように構成され、前記第2の速度は前記第1の速度より高い、請求項1に記載のグリッパ。
【請求項8】
各係合爪は、把持されるタイヤビードリングを、前記タイヤビードリングが配置される表面から分離し、前記遠隔位置と前記係合位置との間を移動するように構成された分離フィンガーを備える、請求項1に記載のグリッパ。
【請求項9】
各分離フィンガーは、先細りの先端を備え、前記先細りの先端は、前記分離フィンガーと関連する前記係合フィンガーとが前記係合位置にあるときに、関連する前記係合フィンガーを越えて径方向に延びるように配置される、請求項8に記載のグリッパ。
【請求項10】
各係合爪の前記係合フィンガーおよび前記分離フィンガーは、前記分離フィンガーの前記遠隔位置から前記係合位置への移動が、前記係合フィンガーの前記遠隔位置から前記係合位置への移動をもたらすように、かつ前記分離フィンガーが前記係合フィンガーから独立して前記係合位置から前記遠隔位置に向かって離れるように移動することを可能にするように、互いに作動的に接続される、請求項8に記載のグリッパ。
【請求項11】
1つ以上の前記係合爪を前記遠隔位置と前記係合位置との間で移動させるように構成された駆動部を備える、請求項1に記載のグリッパ。
【請求項12】
1つ以上の前記係合爪を前記遠隔位置と前記係合位置との間で移動させるように構成された駆動部を備え、
前記駆動部は、前記1つ以上の係合爪のそれぞれの前記分離フィンガーに動作可能に接続される、請求項10に記載のグリッパ。
【請求項13】
各係合爪の前記係合フィンガーは、前記係合フィンガーが前記遠隔位置と前記係合位置との間で移動することを可能にするアイドル位置と、前記係合フィンガーが前記遠隔位置と前記係合位置との間で移動することを防止するブレーキ位置との間で移動可能であるブレーキを含む、請求項12に記載のグリッパ。
【請求項14】
ばねが、各係合爪の前記係合フィンガーと前記分離フィンガーとの間に動作可能に連結されて設けられている、請求項13に記載のグリッパ。
【請求項15】
各係合爪の前記排出フィンガーは、前記排出フィンガーが前記移動方向と平行な方向に延びるように前記分離フィンガーに配置される、請求項8に記載のグリッパ。
【請求項16】
2つ以上の排出フィンガーを備え、前記2つ以上の係合爪の各々は排出フィンガーを備え、
前記排出フィンガーは、前記移動方向に対して垂直な回転軸を中心に回転可能に前記分離フィンガーに配置される、請求項15に記載のグリッパ。
【請求項17】
請求項1に記載のグリッパによって、ピックアップ位置から配置位置に移送されるタイヤビードリングを把持するための方法であって、前記方法は、
前記係合フィンガーが前記遠隔位置にある間に、前記グリッパを前記ピックアップ位置に向けて動かす工程と、
前記係合フィンガーを前記係合位置に向けて径方向に移動させて、前記タイヤビードリングに係合させる工程と、
前記グリッパを前記配置位置に向かって移動させる工程と、
前記係合フィンガーを前記遠隔位置に向けて動かし、グリップした前記タイヤビードリングを離す工程と、
を含み、前記方法はさらに、各係合爪の前記排出フィンガーによって前記グリッパから前記タイヤビードリングを排出する工程をさらに含む、方法。
【請求項18】
前記排出フィンガーが、前記排出フィンガーが前記タイヤビードリングから間隔を空けているアイドル位置と、前記排出フィンガーが前記タイヤビードリングに当接し、それによって前記タイヤビードリングに排出力を加える排出位置と、前記タイヤビードリングの排出後に、前記排出フィンガーが前記タイヤビードリングが位置していた位置に少なくとも部分的に位置する既排出位置との間を移動するように構成され、前記タイヤビードリングを排出する工程は、前記排出フィンガーを前記アイドル位置から前記排出位置に移動し、前記排出フィンガーを前記排出位置に移動する工程を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記排出フィンガーを前記アイドル位置から前記排出位置に移動させる工程は、把持された前記タイヤビードリングを離す工程の前に実行される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記排出フィンガーを前記アイドル位置から前記排出位置に移動させる工程は、把持された前記タイヤビードリングを離す工程と同時に実行される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記グリッパが、請求項13に記載のグリッパである場合、前記係合フィンガーを前記係合位置に移動させる工程は、各係合爪について、前記分離フィンガーを前記係合位置に移動させ、それによって関連する前記係合フィンガーを前記係合位置に移動させ、前記分離フィンガーおよび関連する前記係合フィンガーが前記係合位置にあるときに前記ブレーキを前記ブレーキ位置に移動させる工程を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
各係合爪について、関連する係合爪の前記ブレーキが前記ブレーキ位置に動くときに、前記分離フィンガーを前記係合位置から前記遠隔位置に向かって動かす工程をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記グリッパが、請求項14に記載のグリッパであり、前記係合フィンガーを前記遠隔位置に向けて移動することにより把持された前記タイヤビードリングを離す工程は、前記ブレーキを前記アイドル位置に移動させる工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
タイヤビードリングをピックアップ位置から配置位置に移送するためのビード移送装置であって、
ロボットアームと、請求項1に記載のグリッパとを備え、前記グリッパは、前記ロボットアームが前記グリッパを移動できるように前記ロボットアームに配置される、ビード移送装置。
【請求項25】
請求項1に記載のグリッパに、請求項17に記載の方法を実行させるように適合されたコンピュータ実行可能命令を有するコンピュータ可読媒体。
【国際調査報告】