(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-18
(54)【発明の名称】高精度多層回路基板及びその3D印刷製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/10 20060101AFI20240710BHJP
【FI】
H05K3/10 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562171
(86)(22)【出願日】2022-10-21
(85)【翻訳文提出日】2023-10-09
(86)【国際出願番号】 CN2022126587
(87)【国際公開番号】W WO2023236412
(87)【国際公開日】2023-12-14
(31)【優先権主張番号】202210640826.9
(32)【優先日】2022-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522378292
【氏名又は名称】芯体素(杭州)科技発展有限公司
【氏名又は名称原語表記】ENOVATE3D (HANGZHOU) TECHNOLOGY DEVELOPMENT CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100145241
【氏名又は名称】鈴木 康裕
(72)【発明者】
【氏名】蔡 王▲燦▼
(72)【発明者】
【氏名】李 賽鋒
(72)【発明者】
【氏名】周 南嘉
【テーマコード(参考)】
5E343
【Fターム(参考)】
5E343AA02
5E343AA16
5E343AA23
5E343AA33
5E343BB24
5E343BB25
5E343BB72
5E343DD12
5E343FF05
5E343GG11
5E343GG20
(57)【要約】
本発明は、高精度多層回路基板及びその3D印刷製造方法に関する。当該方法は、S1、基板の上面に立体回路層を形成することと、S2、現在の立体回路層の予め設定された位置に積み重ねて金属ピラーを形成することと、S3、現在の立体回路層の上面に絶縁層を形成し、絶縁層を穿孔し、穿孔した孔にナノスケール金属ペーストを充填することにより対応する金属ピラーを前記形成された絶縁層から予め引き出すことと、S4、現在の絶縁層が最上層である場合、現在の絶縁層の上面にボンディングパッド層を形成してステップS5を実行し、そうでない場合、現在の絶縁層を新しい基板としてステップS1~S2を繰り返し実行し、ステップS6を実行することと、S5、対応する金属ピラーをボンディングパッド層に接続するか、又は前記予め引き出すことによって接続して多層回路板の製造を完了させることと、S6、対応する金属ピラーを現在の立体回路層に接続するか、又は前記予め引き出すことにより接続し、ステップS3に戻ることと、を含む。本発明は、相互接続精度の高い高精度多層回路基板を製造することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
S1、せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストを押出口から押出することで、基板上面に立体回路層を形成するステップと、
S2、せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストを押出口から押出することで、現在の立体回路層の予め設定された位置に積み重ねて金属ピラーを形成するステップと、
S3、現在の立体回路層の上面に絶縁層を形成し、絶縁層を穿孔し、穿孔した孔にナノスケール金属ペーストを充填することにより対応する金属ピラーを前記形成された絶縁層から予め引き出すステップと、
S4、現在の絶縁層が最上層の絶縁層であるか否かを判定し、そうである場合、現在の絶縁層の上面にボンディングパッド層を形成してステップS5を実行し、そうでない場合、現在の絶縁層を新しい基板としてステップS1~S2を繰り返し実行してステップS6を実行するステップと、
S5、現在の絶縁層直下に位置する対応する立体回路層の金属ピラーをボンディングパッド層に接続するか、又は前記予め引き出すことにより接続することで、多層回路板の製造を完了させるステップと、
S6、現在の立体回路層直下に位置する対応する立体回路層の金属ピラーを現在の立体回路層に接続するか、又は前記予め引き出すことにより接続し、ステップS3に戻るステップと、を含む、
ことを特徴とする高精度多層回路基板3D印刷製造方法。
【請求項2】
ステップS1において、基板上面に立体回路層を形成する時、
基板上面の高さデータセットを取得するために基板上面の各点の高さを測定し、基板上面の高さデータセットに基づいて前記せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストを押出口から押出する時に基板上面の対応する点においてZ軸方向に沿って押出口を相対移動させることで、押出口から押出したせん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストが基板上面に立体回路層を形成することを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の高精度多層回路基板3D印刷製造方法。
【請求項3】
ステップS1において、前記押出口は、せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストを前記押出口から押出することで立体回路層内の各回路の開始端を形成する前に基板に垂直である垂直面において、曲線の予備押出運動を行い、前記押出口は、当該曲線の接線方向に沿って回路の正式押出形成経路に沿って動き、
ステップS1において、前記回路の正式押出形成経路末端に予め設定された余剰材部分を有し、前記押出口が当該余剰材部分に位置する時に前記せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストを押出する動作を停止する、
ことを特徴とする請求項1に記載の高精度多層回路基板3D印刷製造方法。
【請求項4】
ステップS2において、せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストを押出口から押出することで、金属ピラーの各層における外枠線、充填線を交替的に形成して、現在の立体回路層の予め設定された位置に積み重ねて金属ピラーを形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の高精度多層回路基板3D印刷製造方法。
【請求項5】
ステップS3において、前記絶縁層を形成することは、
スクレーパ塗布ヘッドによって塗布面に予め加えた絶縁媒体材料を押し付けるか、又はスリット塗布ヘッドによって絶縁媒体材料を塗布面に押出することで、現在の立体回路層の上面に前記絶縁層を形成することを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の高精度多層回路基板3D印刷製造方法。
【請求項6】
ステップS3において、絶縁層を塗布する前に更に、
a、塗布ヘッドを降下させるようにZ軸モータを制御し、その左右両端をタッチセンサにそれぞれ接触させるステップと、
b、前記塗布ヘッドの左右両端がタッチセンサ信号をトリガーした時にZ軸モータの異なる高さをそれぞれ記録し、更に塗布ヘッドの左右の高さ差を取得するステップと、
c、当該左右の高さ差に基づいて、塗布ヘッドの左右両端の左右の高さを校正するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の高精度多層回路基板3D印刷製造方法。
【請求項7】
ステップS3において、絶縁層を塗布する前に更に、
A、タッチセンサの高さを取得するために、レーザー変位センサを用いてタッチセンサの接触面の高さを測定するステップと、
B、塗布開始点の高さを取得するために、レーザー変位センサを用いて塗布面の塗布開始点の高さを測定するステップと、
C、タッチセンサの高さ、塗布開始点の高さに基づいて、計算してタッチセンサと塗布開始点との相対高さ差を取得するステップと、
D、傾斜度校正された塗布ヘッドの中央をタッチセンサに接触させ、接触時の塗布ヘッドのZ軸高さを記録するステップと、
E、タッチセンサと塗布開始点との相対高さ差、塗布ヘッドがタッチセンサに接触する時のZ軸高さ、予め設定された塗布隙間に基づいて、塗布ヘッドのZ軸高さを校正するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の高精度多層回路基板3D印刷製造方法。
【請求項8】
ステップS3において、
S3.1、現在の立体回路層の上面に絶縁層を形成するステップと、
S3.2、各立体回路層の接続需要及び各立体回路層における金属ピラーの高さに基づいて、絶縁層を穿孔し、穿孔した孔にナノスケール金属ペーストを充填することにより対応する金属ピラーを前記形成された絶縁層から予め引き出すステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の高精度多層回路基板3D印刷製造方法。
【請求項9】
前記せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストはナノスケール銀又はナノスケール銅の金属粒子、分散媒体を含み、ナノスケール金属粒子の含有量は75%~95%、せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストの粘度は100000cps~1000000cpsの間、チクソトロピー指数は4~10、当該せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストにより形成された線のアスペクト比≧0.5である、
ことを特徴とする請求項1に記載の高精度多層回路基板3D印刷製造方法。
【請求項10】
分散媒体は分散溶媒、接着剤を含み、分散溶媒は有機溶媒及び水のうちの何れか1種又は複数種を含み、
接着剤はポリアクリル酸、ジエタノールアミン、ポリアクリル酸とジエタノールアミンとの複合体のうちの何れか1種又は複数種を含み、
或いは、接着剤はエポキシ樹脂、硬化剤、保護剤を含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の高精度多層回路基板3D印刷製造方法。
【請求項11】
前記有機溶媒はエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、二塩基酸エステル、イソホロン、テルピネオール又はジエチレングリコールモノブチルエーテルのうちの何れか1種又は複数種を含み、前記保護剤はトリアリールホスフィン化合物、トリアルキルホスフィン化合物のうちの何れか1種により形成されるか、又は複数の組み合わせにより形成され、前記エポキシ樹脂はビスフェノールAエポキシ樹脂、E-44エポキシ樹脂、ビフェニル酸素エポキシ樹脂のうちの何れか1種又は複数種を含み、前記硬化剤はポリチオール硬化剤、ジシアンジアミド硬化剤、無水物硬化剤のうちの何れか1種である、
ことを特徴とする請求項10に記載の高精度多層回路基板3D印刷製造方法。
【請求項12】
ステップS2とステップS3との間に更に、
現在の立体回路層及び現在の立体回路層の予め設定された位置に積み重ねて形成された金属ピラーに対して第1予備硬化処理を行うステップを含み、
ステップS3において、現在の立体回路層の上面に絶縁層を形成した後、絶縁層に対して第2予備硬化処理を行うことを更に含み、
ステップS3において、絶縁層を穿孔し、穿孔した孔にナノスケール金属ペーストを充填した後、充填したナノスケール金属ペーストに対して第3予備硬化処理を行うことを更に含み、
ステップS5において、現在の絶縁層直下に位置する対応する立体回路層の金属ピラーをボンディングパッド層に接続するか、又は前記予め引き出すことにより接続した後、多層回路板に対して全体焼結硬化処理を行って、多層回路板の製造を完了させることを更に含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の高精度多層回路基板3D印刷製造方法。
【請求項13】
絶縁層の材質は有機又はセラミック媒体である、
ことを特徴とする請求項12に記載の高精度多層回路基板3D印刷製造方法。
【請求項14】
請求項1~13の何れか1項に記載の高精度多層回路基板3D印刷製造方法を用いて得られる、
ことを特徴とする高精度多層回路基板。
【請求項15】
請求項14に記載の高精度多層回路基板を用いる、
ことを特徴とするフレキシブル回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板製造の技術分野に属し、具体的には高精度多層回路基板及びその3D印刷製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多層回路基板は、ICキャリア(IC carrier)、パッケージ基板(package substrate)、印刷回路基板(printed circuit board、PCB)、低温同時焼成セラミック(Low Temperature Co-fired Ceramic、LTCC)基板などによく見られ、電子アプリケーション及び製品の基本構成である。能動デバイス(例えば、パワーMOS、トランジスタ、ICチップなど)及びその他の様々な受動部品(例えば、フィルター、トランス、抵抗器、コンデンサ及びインダクタなど)は、特定のパッケージングプロセスの後、多層回路基板に組み立てられるか又は埋め込む必要がある。これらの基板は、パッケージングシステムを形成するために、次の段階のパッケージングと引き続き組み立てられる必要がある。従って、多層回路基板は、様々なコンポーネントの電気的接続、組立接続及び構造保護の重要な役割を果たしている。多層回路基板の設計及び製造では、デバイス及びパッケージによってもたらされる電気的、熱的、機械的などの要件を十分に考慮する必要がある。長年にわたり、電子業界は、製品の設計や用途に適応するために様々な多層回路基板の製造技術を開発している。
【0003】
多層回路基板を製造する従来のプロセスには、主に薄膜技術、厚膜技術及び有機積層板技術が含まれる。様々な種類の回路基板(ICキャリア、パッケージ基板、印刷回路基板、セラミック基板)、様々な材質(例えば、有機、無機など)及び相互接続精度に対する様々な要件に応じて、一般的に、フォトリソグラフィ+現像+化学めっき/電気めっき、蒸着又はスクリーン印刷などにより回路パターン転写を行い、機械的パンチング/ドリリング、レーザー穿孔、化学エッチング、プラズマエッチングなどにより貫通孔の成形を行い、電気めっき、スクリーン印刷などにより孔の金属化を行い、蒸着、スピンコーティング、スタック同時焼成、積層などにより単層の重ね合わせを多層構造に結合する。このようなプロセスは業界で最も広く使用されているが、煩雑なプロセスフロー、複数のマスク、高価な設備、大量の材料の無駄などの要因により、多層回路基板の製造コスト及び時間を大幅に増加する。
【0004】
近年、3D印刷プロセスの進歩に伴って、多層回路基板の従来の製造プロセスと比較して、新製品の研究・開発及び実装サイクルの短縮、NREコストの削減などにおいて巨大な潜在力が示されている。インクジェット(Inkjet)又はエアロゾルジェット(Aerosol Jet)に基づく一部の3D印刷プロセスでは、線幅が大きく(数十ミクロンから数百ミクロンの範囲)、絶縁層の厚さが厚く(最小の厚さが約35um程度)、垂直相互接続構造のサイズが大きすぎる(数百ミクロンのオーダー)ため、多層及び高密度相互接続シナリオを備えた回路基板におけるこのような技術の適用が制限され、層の数及び相互接続精度を必要としない印刷回路基板のみ製造することができる。溶融堆積成形(Fused deposition modeling、FDM)に基づく一部の3D印刷プロセスでは、線材及び溶融技術に制限されるため、特定の材質の絶縁層のみ製造することができ、且つFDM法による印刷の表面品質が低く、回路層及び垂直相互接続構造は他の非印刷法により完成する必要があり、相互接続精度が低い。選択的レーザー焼結(SLS)、選択的レーザー溶融(SLM)、電子ビーム選択溶解(EBSM)、直接金属レーザー焼結(DMLS)などに基づく一部の3D印刷プロセスでは、粉末を散布したり、粉末を噴霧したりした後に、高エネルギー源を用いて金属を焼結又は溶融する必要があるため、金属加工の精度が低く、精密な多層回路基板の製造には適していない。また、印刷精度を向上させるために、押出式3D印刷方式と対応するペーストとを組み合わせる方法も幾つかある。例えば、公開番号CN109534767Aの中国特許では、押出式3D白大理石粉末印刷用ペースト及びその製造方法が開示されており、当該発明ではペーストの固形分が高く、せん断性能が良好であり、押出式3D印刷プロセスに適し、室温の条件で3D印刷プロセス中に徐々に乾燥や硬化するため、崩壊現象のない高精度の成形品が得られる。また、例えば、公開番号CN107365158Aの中国特許では、良好な安定性及びせん断減粘特性を有するペーストを提供しており、ペーストは針先からスムーズに押出可能であり、基板に堆積した後も依然として線の形状及び一定のスパンを維持することができ、良好な成形性を有するため、精度を向上させることができる。
【発明の概要】
【0005】
従来技術に存在する上記問題に対して、本発明は、相互接続精度の高い高精度多層回路基板を製造することができる高精度多層回路基板3D印刷製造方法を提供する。
【0006】
本発明は、以下の技術的解決手段を採用する。
【0007】
高精度多層回路基板3D印刷製造方法であって、
【0008】
S1、せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストを押出口から押出することで、基板上面に立体回路層を形成するステップと、
【0009】
S2、せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストを押出口から押出することで、現在の立体回路層の予め設定された位置に積み重ねて金属ピラーを形成するステップと、
【0010】
S3、現在の立体回路層の上面に絶縁層を形成し、絶縁層を穿孔し、穿孔した孔にナノスケール金属ペーストを充填することにより対応する金属ピラーを前記形成された絶縁層から予め引き出すステップと、
【0011】
S4、現在の絶縁層が最上層の絶縁層であるか否かを判定し、そうである場合、現在の絶縁層の上面にボンディングパッド層を形成してステップS5を実行し、そうでない場合、現在の絶縁層を新しい基板としてステップS1~S2を繰り返し実行してステップS6を実行するステップと、
【0012】
S5、現在の絶縁層直下に位置する対応する立体回路層の金属ピラーをボンディングパッド層に接続するか、又は前記予め引き出すことにより接続することで、多層回路基板の製造を完了させるステップと、
【0013】
S6、現在の立体回路層直下に位置する対応する立体回路層の金属ピラーを現在の立体回路層に接続するか、又は前記予め引き出すことにより接続し、ステップS3に戻るステップと、を含む。
【0014】
本発明は、押出式3D印刷方法を独創的に利用して相互接続精度の高い高精度多層回路基板を製造し、且つ当該押出式3D印刷方法を高精度多層回路基板の製造に適用する場合での従来技術における多くの技術的偏見を克服する。
【0015】
多層回路基板は、単層回路基板の製造と比較して、回路層間に垂直相互接続構造を追加する必要がり、従来技術を多層回路基板に適用すると、垂直相互接続構造のサイズが大きいため、高精度多層回路基板における高精度相互接続の要件を満たすことは困難である。従来技術により多層回路基板を製造する際には、各回路層を設置する多層基板を形成するために、多層の絶縁層をスクレーパ塗布する必要があるため、高精度スクレーパ塗布の必要があり、それにより形成された各層基板の厚さが一致となり、各層基板の上面を平坦にするが、塗布プロセス中の塗布隙間、塗布傾斜度にわずかなずれがあれば、誤差が生じやすく、且つ絶縁層の各層を塗布した後に、絶縁層を塗布する時に精度が一致しても、硬化する必要があり、硬化後も形成された基板の精度を一致するように保証できず、且つ各基板自体の上面も平坦性を保証できず、更に各基板の形成誤差が累積すると、多層回路基板全体の製造精度に影響を与える。各基板自体の上面の平坦性を保証することができないため、基板上面の高さのばらつきや表面粗さは、印刷回路の状態及び印刷プロセスウィンドウに重大な影響を与える。従って、当業者にとって、押出印刷により多層回路基板の製造を実現することを予見することは困難であり、これにより回路の線形、線幅の不均一や断線、ピンストライクが発生することになる。また、本発明者らは、研究・開発の過程で押出式3D印刷方法により線が押出される場合、線の開始端に排出の遅延や不均一の問題が発生し、線の末端に積み上げや伸線の問題が発生し、線のパターン印刷精度や均一性に重大な影響を与え、多層回路基板を製造する際に、層を積み重ねた後に当該影響が顕著になる。回路層、絶縁層は、形成後に何れも硬化する必要があり、硬化するたびに、前の回路層、絶縁層は何れも繰り返し熱変形が発生するため、硬化後の回路層、絶縁層の形状保持性、密着性、収縮性は何れも、高精度多層回路基板の製造に影響を与える。
【0016】
従って、本発明は、上記技術的解決手段により、押出式3D印刷方法で相互接続精度の高い高精度多層回路基板を製造できないと当業者が信じている技術的偏見を克服し、押出式3D印刷方法による高精度多層回路基板の製造を実現する。通常、本発明で言及される高精度とは、立体回路層の配線の線幅が1~150umに達し、配線の線間隔が1~150umに達し、垂直相互接続構造のサイズが20~150umに達し、垂直相互接続構造の間隔が20~150umに達し、線幅及び線間隔が10um以下に大幅に縮小することができ、垂直相互接続構造のサイズ及び間隔が150um以下に大幅に縮小することができるため、立体回路層内と立体回路層との間に高い相互接続精度、即ち多層回路基板の相互接続精度があることを意味する。立体回路層とは、押出ヘッドが基板に対して、1つの平面即ち押出平面において押出印刷を行うだけでなく、押出平面に垂直である方向においても移動押出印刷を行うため、形成された回路層が従来技術における平面状ではなく立体的であることを意味する。このような構造は、製造プロセス中の衝突、針折れの問題を解決するだけでなく、立体的な回路層が基板の表面形状により適応し、後続の様々な製造プロセス中に回路基板に損傷を与えにくいため、多層回路基板の全体的な歩留まりを大幅に向上させる。
【0017】
好ましい解決手段として、ステップS1において、基板の上面に立体回路層を形成する時、
【0018】
基板上面の高さデータセットを取得するために基板上面の各点の高さを測定し、基板上面の高さデータセットに基づいて前記せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストを押出口から押出する時に基板上面の対応する点においてZ軸方向に沿って押出口を相対移動させることで、押出口から押出したせん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストが基板の上面に立体回路層を形成することを含む。
【0019】
好ましい解決手段として、ステップS1において、基板の上面に立体回路層を形成する時、基板上面の具体的な点における立体回路層の実際位置と予め設定された位置との差を測定し、当該差に基づいて押出ヘッドを校正する。
【0020】
好ましい解決手段として、ステップS1において、せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストを前記押出口から押出することで立体回路層内の各回路の開始端を形成する前に何れも基板に垂直である垂直面において、曲線の予備押出運動を行い、当該曲線の接線方向に沿って回路の正式押出形成経路に沿って動き、
【0021】
ステップS1において、前記回路の正式押出形成経路の末端に予め設定された余剰材部分を有し、前記押出口が当該余剰材部分に位置する時に前記せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストを押出する動作を停止する。
【0022】
好ましい解決手段として、ステップS2において、せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストを押出口から押出することで、金属ピラーの各層における外枠線、充填線を交替的に形成して、現在の立体回路層の予め設定された位置に積み重ねて金属ピラーを形成する。
【0023】
好ましい解決手段として、ステップS3において、前記絶縁層を形成することは、
【0024】
スクレーパ塗布ヘッドによって塗布面に予め加えた絶縁媒体材料を押し付けることで、現在の立体回路層の上面に前記絶縁層を形成することを含む。
【0025】
好ましい解決手段として、ステップS3において、前記絶縁層を形成することは、
【0026】
スリット塗布ヘッドのスリットを介して絶縁媒体材料を押出し、前記塗布面に塗布することで、現在の立体回路層の上面に前記絶縁層を形成することを含む。
【0027】
好ましい解決手段として、ステップS3において、絶縁層を塗布する前に更に、
【0028】
a、塗布ヘッドを降下させるようにZ軸モータを制御し、その左右両端をタッチセンサにそれぞれ接触させるステップと、
【0029】
b、前記塗布ヘッドの左右両端がタッチセンサ信号をトリガーした時にZ軸モータの異なる高さをそれぞれ記録し、更に塗布ヘッドの左右の高さ差を取得するステップと、
【0030】
c、当該左右の高さ差に基づいて、塗布ヘッドの左右両端の左右の高さを校正するステップと、を含む。
【0031】
好ましい解決手段として、ステップS3において、絶縁層を塗布する前に更に、
【0032】
A、タッチセンサの高さを取得するために、レーザー変位センサを用いてタッチセンサの接触面の高さを測定するステップと、
【0033】
B、塗布開始点の高さを取得するために、レーザー変位センサを用いて塗布面の塗布開始点の高さを測定するステップと、
【0034】
C、タッチセンサの高さ、塗布開始点の高さに基づいて、計算してタッチセンサと塗布開始点との相対高さ差を取得するステップと、
【0035】
D、傾斜度校正された塗布ヘッドの中央をタッチセンサに接触させ、接触時の塗布ヘッドのZ軸高さを記録するステップと、
【0036】
E、タッチセンサと塗布開始点との相対高さ差、塗布ヘッドがタッチセンサに接触する時のZ軸高さ、予め設定された塗布隙間に基づいて、塗布ヘッドのZ軸高さを校正するステップと、を含む。
【0037】
好ましい解決手段として、ステップS3において、
【0038】
S3.1、現在の立体回路層の上面に絶縁層を形成するステップと、
【0039】
S3.2、各立体回路層の接続需要及び各立体回路層における金属ピラーの高さに基づいて、絶縁層を穿孔し、穿孔した孔にナノスケール金属ペーストを充填することにより対応する金属ピラーを前記形成された絶縁層から予め引き出すステップと、を含む。
【0040】
好ましい解決手段として、前記せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストはナノスケール金属粒子、分散媒体を含み、ナノスケール金属粒子の含有量は75%~95%、せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストの粘度は100000cps~1000000cpsの間、チクソトロピー指数は4~10、当該せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストにより形成された線のアスペクト比≧0.5である。本発明に記載される線のアスペクト比は、Nordson Optimum(登録商標)内径100um汎用分注針先を備えた武蔵300DS三軸分注器を使用し、所定の20psiの空気圧及び2mm/sの分注針先の移動速度でペーストをガラス基板に分注して線状を形成し、10min放置した後に顕微鏡で観察し、線の高さと線の幅との比を計算したものである。
【0041】
ナノスケール金属ペーストの分散媒体は、ナノスケール金属粒子の分散及び保護、ナノスケール金属粒子凝集の抑制、ペーストと基板の密着性の向上及び一定の形状保持能力、チクソトロピー性の提供に用いられる。
【0042】
好ましい解決手段として、前記ナノスケール金属粒子はナノスケール銀金属粒子である。
【0043】
好ましい解決手段として、分散媒体は分散溶媒、接着剤を含み、分散溶媒は有機溶媒及び水のうちの何れか1種又は複数種を含み、接着剤はポリアクリル酸、ジエタノールアミン、ポリアクリル酸とジエタノールアミンとの複合体のうちの何れか1種又は複数種を含む。
【0044】
好ましい解決手段として、ポリアクリル酸は短鎖ポリアクリル酸、長鎖ポリアクリル酸を含む。
【0045】
好ましい解決手段として、短鎖ポリアクリル酸、長鎖ポリアクリル酸の質量比は2:1~8:1の間である。
【0046】
好ましい解決手段として、短鎖ポリアクリル酸のモル質量は1000~10000g/molの間、長鎖ポリアクリル酸のモル質量は10000~100000g/molの間である。
【0047】
好ましい解決手段として、前記有機溶媒はエチレングリコール、グリセリンのうちの何れか1種又は複数種を含む。
【0048】
好ましい解決手段として、前記ナノスケール金属粒子はナノスケール銅金属粒子である。
【0049】
好ましい解決手段として、分散媒体は分散溶媒、接着剤を含み、分散溶媒は有機溶媒及び水のうちの何れか1種又は複数種を含み、接着剤はエポキシ樹脂、硬化剤、保護剤を含む。
【0050】
好ましい解決手段として、前記エポキシ樹脂は熱固性エポキシ樹脂である。
【0051】
好ましい解決手段として、熱固性エポキシ樹脂はビスフェノールAエポキシ樹脂、E-44エポキシ樹脂、ビフェニル酸素エポキシ樹脂のうちの何れか1種又は複数種を含む。
【0052】
好ましい解決手段として、前記硬化剤を、ポリチオール硬化剤、ジシアンジアミド硬化剤、無水物硬化剤のうちの何れか1種にすることで、前記エポキシ樹脂が熱を受けて急速に硬化できる。
【0053】
好ましい解決手段として、前記有機溶媒はジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、二塩基酸エステル、イソホロン、テルピネオール又はジエチレングリコールモノブチルエーテルのうちの何れか1種又は複数種を含む。
【0054】
好ましい解決手段として、前記せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストは保護剤を更に含む。
【0055】
好ましい解決手段として、保護剤はトリアリールホスフィン化合物、トリアルキルホスフィン化合物のうちの何れか1種により形成されるか、又は複数種の組み合わせにより形成される。保護剤が<100℃の時に銅粉末と配位し、≧100℃の時に酸素原子と結合してホスフィンオキサイド化合物を形成し、製造及び印刷プロセスにおける銅ナノ粒子の酸化問題を抑制する。
【0056】
好ましい解決手段として、前記せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストは非導電性フィラーを更に含む。
【0057】
好ましい解決手段として、非導電性フィラーはトナー粉末、ナノグラフェン粉末、ベントナイト及びナノシリカ粉末のうちの何れか1種により形成されるか、又は複数種の組み合わせにより形成され、主にペーストの粘度及びチクソトロピー性を調整するために用いられる。
【0058】
好ましい解決手段として、ステップS2とステップS3との間に更に、
【0059】
現在の立体回路層及び現在の立体回路層の予め設定された位置に積み重ねて形成された金属ピラーに対して第1予備硬化処理を行うステップを含み、
【0060】
ステップS3において、現在の立体回路層の上面に絶縁層を形成した後、絶縁層に対して第2予備硬化処理を行うことを更に含み、
【0061】
ステップS3において、絶縁層を穿孔し、穿孔した孔にナノスケール金属ペーストを充填した後、充填したナノスケール金属ペーストに対して第3予備硬化処理を行うことを更に含み、
【0062】
ステップS5において、現在の絶縁層直下に位置する対応する立体回路層の金属ピラーをボンディングパッド層に接続するか、又は前記予め引き出すことにより接続した後、多層回路基板に対して全体焼結硬化処理を行って、多層回路基板の製造を完了させることを更に含む。
【0063】
好ましい解決手段として、前記第1予備硬化処理では、硬化温度は100℃~150℃、硬化時間は3min~10minである。
【0064】
好ましい解決手段として、前記第2予備硬化処理では、段階的予備硬化処理を用いる。
【0065】
好ましい解決手段として、段階的予備硬化処理は、まず60℃~95℃の硬化温度下で3min~10min硬化し、次に120℃~200℃の硬化温度下で3min~10min硬化することを含む。
【0066】
好ましい解決手段として、絶縁層材質は有機媒体である。
【0067】
好ましい解決手段として、全体焼結硬化処理では、焼結温度は200℃~350℃、焼結時間は1h~3hである。
【0068】
好ましい解決手段として、絶縁層材質はセラミック媒体である。
【0069】
好ましい解決手段として、全体焼結硬化処理では、焼結温度は850℃、焼結時間は0.5h~2hである。
【0070】
上記高精度多層回路基板の製造プロセス中の効率、精度を保証するために、硬化プロセスによる精密設備への熱影響及び硬化プロセスにおける絶縁媒体と回路との間の繰り返し熱変形の問題を回避する必要がある。本発明は、高精度多層回路基板の製造プロセスにおける硬化方法を更に提供しており、
【0071】
S1、基板の上面に立体回路層を形成するステップと、
【0072】
S2、現在の立体回路層の予め設定された位置に積み重ねて金属ピラーを形成するステップと、
【0073】
S3、現在の立体回路層及び現在の立体回路層の予め設定された位置に積み重ねて形成された金属ピラーに対して第1予備硬化処理を行うステップと、
【0074】
S4、現在の立体回路層の上面に絶縁層を形成し、現在の絶縁層に対して第2予備硬化処理を行うステップと、
【0075】
S5、現在の絶縁層が最上層の絶縁層であるか否かを判定し、そうである場合、現在の絶縁層の上面にボンディングパッド層を形成してステップS6を実行し、そうでない場合、現在の絶縁層を新しい基板として、ステップS1に戻るステップと、
【0076】
S6、多層回路基板に対して全体焼結硬化処理を行うステップと、を含む。
【0077】
好ましい解決手段として、ステップS1、ステップS2において、何れもせん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストを押出口から押出することで、立体回路層及び金属ピラーを形成する。
【0078】
前記せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストはナノスケール金属粒子、分散媒体を含み、ナノスケール金属粒子の含有量は75%~95%、せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストの粘度は100000cps~1000000cpsの間、チクソトロピー指数は4~10、当該せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストにより形成された線のアスペクト比≧0.5である。
【0079】
好ましい解決手段として、ステップS4とステップS5との間に、絶縁層を穿孔し、穿孔した孔にナノスケール金属ペーストを充填することにより対応する金属ピラーを前記形成された絶縁層から予め引き出すと共に、充填したナノスケール金属ペーストに対して第3予備硬化処理を行うステップを更に含む。
【0080】
好ましい解決手段として、ステップS3において、前述の現在の立体回路層及び現在の立体回路層の予め設定された位置に積み重ねて形成された金属ピラーに対して第1予備硬化処理を行い、硬化温度は100℃~150℃、硬化時間は3min~10minである。
【0081】
好ましい解決手段として、ステップS4において、前述の現在の絶縁層に対する第2予備硬化処理は、段階的予備硬化処理を用いる。
【0082】
好ましい解決手段として、段階的予備硬化処理は、まず60℃~95℃の硬化温度下で3min~10min硬化し、次に120℃~200℃の硬化温度下で3min~10min硬化することを含む。
【0083】
好ましい解決手段として、絶縁層材質は有機媒体である。
【0084】
好ましい解決手段として、ステップS6において、全体焼結硬化処理の焼結温度は200℃~350℃、焼結時間は1h~3hである。
【0085】
好ましい解決手段として、絶縁層材質はセラミック媒体である。
【0086】
好ましい解決手段として、ステップS6において、全体焼結硬化処理の焼結温度は850℃、焼結時間は0.5h~2hである。
【0087】
上記高精度多層回路基板の製造プロセスにおける金属ピラーの形状保持力を向上させ、金属ピラーの印刷サイズを保証し、垂直相互接続構造の全体サイズを小さくするように更に保証し、高精度多層回路基板における高精度相互接続の要件を満たすために、本発明は、高精度多層回路基板における金属ピラーの製造方法を更に提供しており、
【0088】
S1、せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストを押出口から押出することで、基板上面に立体回路層を形成するステップと、
【0089】
S2、立体回路層予め設定された位置において、せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストを押出することで、金属ピラーの各層における外枠線、充填線を交替的に形成して、積み重ねて金属ピラーを形成するステップと、を含み、
【0090】
前記せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストは、ナノスケール金属粒子、分散媒体を含み、ナノスケール金属粒子の含有量は75%~95%、せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストの粘度は100000cps~1000000cpsの間、チクソトロピー指数は4~10、当該せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストにより形成された線のアスペクト比≧0.5である。
【0091】
好ましい解決手段として、ステップS2において、前記金属ピラーの高さは立体回路層に形成されようとする絶縁層よりも高い。
【0092】
好ましい解決手段として、絶縁層を形成した後に、ナノスケール金属ペーストを押出することで、金属ピラーの上面に接続される引出線を形成するステップを更に含む。
【0093】
好ましい解決手段として、ステップS2において、前記金属ピラーの高さは立体回路層に形成されようとする絶縁層よりも低い。
【0094】
好ましい解決手段として、絶縁層を形成した後に、金属ピラー上方の絶縁層に対してレーザー穿孔を行うことで、微細孔を形成するステップを更に含む。
【0095】
好ましい解決手段として、前記微細孔を形成した後に、微細孔に対してナノスケール金属ペースト充填を行うことで、金属ピラーの延伸柱を形成するステップを更に含む。
【0096】
好ましい解決手段として、金属ピラーの延伸柱を形成した後に、ナノスケール金属ペーストを押出することで、延伸柱の上面に接続される引出線を形成するステップを更に含む。
【0097】
好ましい解決手段として、ステップS1及びステップS2において、立体回路層及び金属ピラーを形成する時、環境湿度は何れも20%~60%である。
【0098】
好ましい解決手段として、前記ナノスケール金属粒子はナノスケール銀金属粒子である。
【0099】
好ましい解決手段として、前記ナノスケール金属粒子はナノスケール銅金属粒子である。
【0100】
本発明は、上記高精度多層回路基板3D印刷製造方法を用いて得られる高精度多層回路基板を更に提供する。
【0101】
本発明は、上記高精度多層回路基板を用いるフレキシブル回路を更に提供する。
【0102】
本発明は、上記高精度多層回路基板を用いる着用可能なデバイスを更に提供する。
【0103】
本発明は、上記高精度多層回路基板を用いる小型受動電子機器を更に提供する。
【0104】
本発明の有益な効果は次の通りである。
【0105】
本発明は、押出式3D印刷方法を独創的に利用して相互接続精度の高い高精度多層回路基板を製造し、多層回路基板の相互接続精度を向上させる。
【0106】
本発明に記載される高精度多層回路基板3D印刷製造方法は、様々な媒体材料及び様々な金属材質のペーストに適用できる。
【0107】
せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストを押出口から押出することで、基板の上面に立体回路層を形成し、ナノスケール金属ペーストがせん断減粘特性を有するために、立体回路層の印刷精度が高く、立体回路層の配線の線幅が1~150umに達し、配線の線間隔が1~150umに達し、垂直相互接続構造のサイズが20~150umに達し、垂直相互接続構造の間隔が20~150umに達し、線幅及び線間隔が10um以下に大幅に縮小することができ、垂直相互接続構造のサイズ及び間隔が150um以下に大幅に縮小することができるため、立体回路層と立体回路層との間に高い相互接続精度、即ち多層回路基板の相互接続精度がある。
【0108】
現在、レーザー穿孔により絶縁層に小さな孔径を有する微細孔をあけ、充填金属ペーストを回路に接触させることで接続を実現することができるが、精密な回路を印刷するシナリオでは、回路の線幅、線厚さなどのサイズが微細孔と比べて小さく(線幅、線厚さはわずか数ミクロン)、微細孔の底部の回路が全てレーザーによって容易にアブレーションされることで、充填時に充填したペーストが金属回路に接触しないか、又は接触部分が極めて小さいため、導通は保証できない。従って、本願において、立体回路層の予め設定された位置に金属ピラーを印刷し、接続面積を増加することで、回路の相互接続を保証し、回路の切断現象を回避する。
【0109】
配線の線幅、配線の線間隔、絶縁層の厚さの精度要件に適応するために、本発明はまた、せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストを押出し、金属ピラーを印刷することで、金属ピラーの印刷サイズの精度要件を保証し、高精度多層回路基板の相互接続精度を更に保証する。
【0110】
予め設定された金属ピラーによってのみ、最も隣接する2つの立体回路層間の相互接続を実現することができ、本発明は、絶縁層を穿孔し、穿孔した孔にペーストを充填することにより現在の立体回路層の直下に位置する対応する立体回路層の金属ピラーを少なくとも1つの絶縁層から引き出すことで、任意の立体回路層間の相互接続を実現することができる。
【0111】
立体回路層の印刷精度が高く、体積が小さいため、非常に薄い絶縁層を塗布するだけで被覆を実現することができ、垂直相互接続構造は絶縁層を通過して設置する必要があるため、これに基づいて、垂直相互接続構造のサイズを減少させ、高精度多層回路基板の相互接続精度をを更に保証することができる。
【0112】
各基板自体の上面の平坦性を保証することができない。本願は、基板の上面に立体回路層を形成する時、基板上面の高さデータセットを取得するために基板上面の各点の高さを測定し、基板上面の高さデータセットに基づいてせん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストを前記押出口から押出する時に基板上面の対応する点においてZ軸方向に沿って押出口を相対移動させることで、押出口から押出したせん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストが基板の上面に立体回路層を形成して、回路の線形、線幅の均一を保証する。
【0113】
押出時の押出ヘッドのジッターにより、押出位置のずれが発生し、又は最初の押出ヘッドの固定位置に誤差があれば、同様に押出位置のずれが発生し、押出位置のずれは高精度印刷シナリオでの印刷回路の位置精度及び線幅、線形に重大な影響を与えるため、回路の線形、線幅の不均一や回路ずれ、ピンストライクが発生することになる。従って、本願は、基板の上面に立体回路層を形成する時、基板上面の具体的な点における立体回路層の実際位置と予め設定された位置との差を測定し、当該差に基づいて押出ヘッドを校正し、当該校正は、押出ヘッドの安定性を校正してもよく、押出ヘッドの固定位置を校正してもよい。
【0114】
本願は、回路の正式押出形成経路の前に曲線の予備押出運動を予め設定することで、押出口の正式押出形成経路の開始端での排出遅延及び不均一の問題を回避し、回路の正式押出形成経路の末端に余剰材部分を予め設定し、当該余剰材部分に位置する時に前記せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストを押出する押出動力供給を停止することで、押出口の回路の正式押出形成経路の末端での積み上げや伸線の問題を回避する。
【0115】
本願の高精度印刷シナリオでの絶縁層の表面形状及び厚さ均一性が極めて高い品質要件を満たすために、本発明は、絶縁層を塗布する前に、塗布ヘッドの左右両端の傾斜度を校正する。
【0116】
絶縁層の塗布厚さを保証するために、本発明は、絶縁層を塗布する前に、塗布ヘッドと塗布面との間の塗布隙間を校正する。
【0117】
本発明により提供される硬化方法は、押出式3D印刷方法を用いて相互接続精度の高い高精度多層回路基板を製造する時、高精度多層回路基板の製造効率、精度を保証し、硬化プロセスによる精密設備への熱影響及び硬化プロセス中の絶縁層、金属ピラー、立体回路層の間に繰り返しの激しい熱変形が存在する問題を回避することができる。
【0118】
本発明により選択されるせん断減粘特性を有する金属ペーストは、押出式3D印刷方法を用いて相互接続精度の高い高精度多層回路基板を製造する時、密着性、形状保持性、導電率、押出の連続性及び排出時の伸線現象の減少を同時に考慮し、特に繰り返し硬化プロセス中の金属ピラー、回路の形状保持性、密着性を保証することができる。それにより相互接続精度の高い高精度多層回路基板を製造する時の歩留まりを向上させる。
【0119】
本発明により提供される金属ピラーの製造方法は、押出式3D印刷方法を用いて相互接続精度の高い高精度多層回路基板を製造する時、金属ピラーの形状保持性を向上させ、金属ピラーの印刷サイズを保証し、垂直相互接続構造の全体サイズを小さくするように更に保証し、高精度多層回路基板の高精度相互接続要件を満たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
本発明の実施例又は従来技術における技術的解決手段をより明らかに説明するために、以下に実施例又は従来技術の説明に使用する必要がある図面を簡単に紹介する。明らかに、以下の説明における図面は、本発明の一部の実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【
図1】本発明に記載の高精度多層回路基板3D印刷製造方法のフローチャートである。
【
図2】多層回路基板の製造プロセスの模式図である。
【
図3】本発明に記載の高精度多層回路基板の製造プロセスにおける硬化方法のフローチャートである。
【
図4】本発明に記載の高精度多層回路基板における金属ピラーの製造方法のフローチャートである。
【
図5】本発明に記載の第1垂直相互接続構造の模式図である。
【
図6】本発明に記載の第1垂直相互接続構造ユニットの模式図である。
【
図7】本発明に記載の第2垂直相互接続構造の模式図である。
【
図8】本発明に記載の第2垂直相互接続構造ユニットの模式図である。
【
図9】隣接する2つの立体回路層の相互接続構造の模式図である。
【
図10】多層を間隔した立体回路層の相互接続構造の模式図である。
【
図11】最下層の立体回路層と表層の立体回路層との相互接続構造の模式図である。
【
図12】同じ金属ピラーの位置する垂直線上の多層立体回路層の相互接続構造の模式図である。
【
図13】高精度多層回路基板の全体イメージである。
【0121】
図中の符号:1、基板、2、立体回路層、3、絶縁層、4、金属ピラー、5、延伸柱、6、引出線、7、微細孔、8、垂直相互接続構造。
【発明を実施するための形態】
【0122】
以下、特定の具体的な実施例によって本発明の実施形態を説明する。当業者であれば、本明細書により開示された内容から本発明の他の利点や効果を容易に理解することができる。本発明は、他の異なる具体的な実施形態を通じて実施又は応用することもでき、本明細書の各詳細は異なる観点や応用に基づいて、本発明の精神から逸脱することなく、様々な修飾や変更を行うこともできる。説明すべきことは、矛盾しない場合、以下の実施例及び実施例の特徴を互いに組み合わせることができる。
【0123】
実施例1:
【0124】
図1、
図2を参照し、本実施例は、高精度多層回路基板3D印刷製造方法を提供しており、
【0125】
S1、せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストを押出口から押出することで、基板上面に立体回路層を形成するステップと、
【0126】
S2、せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストを押出口から押出することで、現在の立体回路層の予め設定された位置に積み重ねて金属ピラーを形成するステップと、
【0127】
S3、現在の立体回路層の上面に絶縁層を形成し、絶縁層を穿孔し、穿孔した孔にナノスケール金属ペーストを充填することにより対応する金属ピラーを前記形成された絶縁層から予め引き出す(具体的には、各立体回路層の接続要件及び各立体回路層における金属ピラーの高さに基づいて、絶縁層を穿孔し、穿孔した孔にナノスケール金属ペーストを充填することにより対応する金属ピラーを前記形成された絶縁層から予め引き出す)ステップと、
【0128】
S4、現在の絶縁層が最上層の絶縁層であるか否かを判定し、そうである場合、現在の絶縁層の上面にボンディングパッド層を形成してステップS5を実行し、そうでない場合、現在の絶縁層を新しい基板としてステップS1~S2を繰り返し実行してステップS6を実行するステップと、
【0129】
S5、現在の絶縁層直下に位置する対応する立体回路層の金属ピラーをボンディングパッド層に接続するか、又は前記予め引き出すことにより接続することで、多層回路基板の製造を完了させるステップと、
【0130】
S6、将現在の立体回路層直下に位置する対応する立体回路層の金属ピラーを現在の立体回路層に接続するか、又は前記予め引き出すことにより接続し、ステップS3に戻るステップと、を含む。S6、将現在の立体回路層直下に位置する対応する立体回路層の金属ピラーを現在の立体回路層に接続するか、又は前記予め引き出すことにより接続し、ステップS3に戻るステップと、を含む。
【0131】
本実施例において、精密気圧制御推進増圧構造によって、高粘度ナノスケール金属ペーストが精密印刷針先の先端の押出口(押出口内径≧1um、ガラス又はセラミック材質)から糸状で排出することができる。
【0132】
以上から分かるように:
【0133】
本発明は、押出式3D印刷方法を独創的に利用して相互接続精度の高い高精度多層回路基板を製造し、多層回路基板の相互接続精度を向上させる。
【0134】
せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストを押出口から押出することで、基板の上面に立体回路層を形成し、ナノスケール金属ペーストがせん断減粘特性を有するために、立体回路層の印刷精度が高く、立体回路層の配線の線幅が1~150umに達し、配線の線間隔が1~150umに達し、垂直相互接続構造のサイズが20~150umに達し、垂直相互接続構造の間隔が20~150umに達し、線幅及び線間隔が10um以下に大幅に縮小することができ、垂直相互接続構造のサイズ及び間隔が150um以下に大幅に縮小することができるため、立体回路層と立体回路層との間に高い相互接続精度、即ち多層回路基板の相互接続精度がある。
【0135】
現在、レーザー穿孔により絶縁層に小さな孔径を有する微細孔をあけ、充填金属ペーストを回路に接触させることで接続を実現することができるが、精密な回路を印刷するシナリオでは、回路の線幅、線厚さなどのサイズが微細孔と比べて小さく(線幅、線厚さはわずか数ミクロン)、微細孔の底部の回路が全てレーザーによって容易にアブレーションされることで、充填時に充填したペーストが金属回路に接触しないか、又は接触部分が極めて小さいため、導通は保証できない。従って、本願において、立体回路層の予め設定された位置に金属ピラーを印刷し、接続面積を増加することで、回路の相互接続を保証し、回路の切断現象を回避する。
【0136】
配線の線幅、配線の線間隔、絶縁層の厚さの精度要件に適応するために、本発明はまた、せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストを押出し、金属ピラーを印刷することで、金属ピラーの印刷サイズの精度要件を保証し、高精度多層回路基板の相互接続精度を更に保証する。
【0137】
予め設定された金属ピラーによってのみ、最も隣接する2つの立体回路層間の相互接続を実現することができ、本発明は、絶縁層を穿孔し、穿孔した孔にペーストを充填することにより現在の立体回路層の直下に位置する対応する立体回路層の金属ピラーを少なくとも1つの絶縁層から引き出すことで、任意の立体回路層間の相互接続を実現することができる。
【0138】
立体回路層の印刷精度が高く、体積が小さいため、非常に薄い絶縁層を塗布するだけで被覆を実現することができ、垂直相互接続構造は絶縁層を通過して設置する必要があるため、これに基づいて、垂直相互接続構造のサイズを減少させ、高精度多層回路基板の相互接続精度をを更に保証することができる。
【0139】
具体的には:
【0140】
高精度多層回路基板を製造する時、立体回路層の各層、立体回路層に対応する金属ピラーを形成するたびに又は絶縁層の各層を塗布するたびに、何れも硬化する必要があるため、立体回路層、立体回路層に対応する金属ピラーの回路形状保持性を向上させる必要があるが、回路形状保持性を向上させると同時に、回路の密着性が低下するため、選択されるせん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストは、形状保持性及び密着性を同時に考慮する必要があり、更に、高精度多層回路基板を製造するため、立体回路層の各層の形成プロセスにおいて回路の線乱れ現象が多層回路基板全体の精度に重大な影響を与えるため、選択されるせん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストは、線乱れ効果を同時に考慮する必要もある。更に、選択されるせん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストは、多層回路基板の通常な使用を保証するために、導電率を保証する必要もある。更に、選択されるせん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストは、押出時の連続性を更に保証し、押出口の詰まり又は材料の破損現象を回避する必要もあり、それにより押出式3D印刷方法を用いて相互接続精度の高い高精度多層回路基板を製造する時の歩留まりを向上させる。
【0141】
上記せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストは、ナノスケール銀金属ペースト又はナノスケール銅金属ペーストを選択することができる。
【0142】
ここで、下記の方法によりせん断減粘特性を有するナノスケール銀金属ペーストを製造することができる。
【0143】
1、2gの短鎖ポリアクリル酸(PAA)溶液(50wt%、5000g/mol)、1gの長鎖ポリアクリル酸(PAA)溶液(25wt%、50000g/mol)、40gのDEAジエタノールアミンを取り、50mlの脱イオン水に溶解する。
【0144】
2、室温で2h撹拌し、溶液のpH値を9.5にし、溶液1とする。
【0145】
3、硝酸銀溶液(20gの硝酸銀を20mlの脱イオン水に溶解する)を溶液1に1滴ずつ加え、迅速に撹拌して暗黄色の溶液2を取得する。
【0146】
4、室温で24h撹拌し、溶液2の色が徐々に暗黒色に変化し、直径が2nm~8nmのナノ銀粒子を形成する。
【0147】
5、60℃の熱水浴で2h撹拌し、溶液3を取得し、当該ステップを経た後に銀粒子のサイズは5nm~50nmに成熟する。
【0148】
6、10ml/minの速度で溶液3に240mlのエタノールを加え、20min撹拌し、溶液4を取得する。
【0149】
7、溶液4の上清を除去し、沈殿物を9000rpmで20min遠心分離し、高濃度の乾燥ナノ銀ペーストを取得する。
【0150】
8、乾燥ナノ銀ペーストに10wt%の溶媒(前記溶媒は30wt%のエチレングリコールと70wt%の水が混合してなり、ポリアクリル酸、ジエタノールアミンの溶解及び保湿の作用を果たす)を加えて均一に振とうした後、50℃、25mbarの真空箱で30min脱気して、せん断減粘特性を有する最終的なナノスケール銀金属ペーストを取得する。
【0151】
ここで、以下によりせん断減粘特性を有するナノスケール銅金属ペーストを製造することができる。
【0152】
ビスフェノールAエポキシ樹脂8gを秤量し、15gの酢酸ブチル溶媒に溶解し、80℃に加熱し、完全に溶解するまで1時間保持し、予備担体を得る。無水物硬化剤1gを秤量し、予備担体に加え、高速分散機を用いて高速分散し、均一に分散した後に30~35℃に加熱し、2時間エージングし、分散媒体を得る。100~200nmの銅粉末70g、還元剤であるトリフェニルホスフィン5g、非導電性フィラーであるナノグラフェン粉末0.2g、50nmのシリカ粉末0.8gを秤量し、前記分散媒体と共にミキサーで十分に混合し、更に高速分散機を用いて高速分散し、均一な初期ペーストを得る。初期ペーストを1μm未満の細かさに達するまで3ロール圧延機で6回ロール圧延し、次に10μmのフィルターでろ過し、最終的にナノスケール銅金属ペーストを得る。ナノスケール銅金属ペーストのより具体的な製造方法は、公開番号CN113362984Aの中国発明特許を参照することができる。
【0153】
上記に基づいて、当業者は、濃度などの様々なパラメータを変更することで、本発明の要件を満たすせん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストを得ることができる。
【0154】
通常、ステップS1において、前記せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストは、ナノスケール金属粒子を含む有機分散系であり、ナノスケール金属粒子、分散媒体を含み、ナノスケール金属粒子の含有量は75%~95%、ペーストの粘度は100000cps~1000000cpsの間、チクソトロピー指数は4~10、形成された線のアスペクト比≧0.4である。金属の固形分が高いと、形状保持性が向上し、印刷針先の伸線が減少し、焼結時の収縮が減少し、更に導電性が向上するが、ガラス、シリコンウェーハ、ポリイミドなどの基板との密着性が低下する。金属の固形分が低過ぎると、導電率が低下し、且つペースト焼結時の収縮が大きすぎて、回路の断線が発生しやすくなる。ナノスケール金属粒子は、表面エネルギーが高く、互いに凝集して大きな粒子に結合し、押出口を詰まりやすいため、ペーストに対応する分散媒体である分散ナノ粒子を加え、凝集を抑制する必要がある。異なる材質のナノスケール金属粒子の場合、ナノ金属粒子の物理的と化学的特性に応じて適切な分散媒体を選択し、他の補助材料を添加する必要がある。
【0155】
ナノスケール銀金属ペーストの場合、分散媒体は分散溶媒、接着剤を含み、分散溶媒は有機溶媒及び水のうちの何れか1種又は複数種を含み、接着剤はポリアクリル酸、ジエタノールアミン、ポリアクリル酸とジエタノールアミンとの複合体のうちの何れか1種又は複数種を含む。ポリアクリル酸は短鎖ポリアクリル酸、長鎖ポリアクリル酸を含み、前記有機溶媒はエチレングリコール、グリセリンのうちの何れか1種又は複数種を含む。銀ナノ粒子は、良好な耐酸化性を有し、且つ分散媒体にポリアクリル酸、ジエタノールアミン成分(ポリアクリル酸と基板は良好な密着性を有し、且つ金属粒子を分散することができ、ジエタノールアミンは金属イオンを金属粒子に徐々に還元する)が含まれるため、追加の保護剤、硬化剤を添加しなくてもよい。短鎖と長鎖ポリアクリル酸の質量比は2:1~8:1の間、短鎖ポリアクリル酸のモル質量は1000~10000g/molの間、長鎖ポリアクリル酸は10000~100000g/molの間であり、様々な分子量のポリアクリル酸の質量比、重合度、銀ナノ粒子の含有量及び水分含有量を調整することで、ペーストの印刷効果、基板との密着性及び焼結硬化後の導電性を調整することができる。
【0156】
ナノスケール銅金属ペーストの場合、分散媒体は分散溶媒、接着剤を含み、分散溶媒は有機溶媒及び水のうちの何れか1種又は複数種を含み、接着剤はエポキシ樹脂、硬化剤、保護剤を含む。前記エポキシ樹脂は熱固性エポキシ樹脂であり、熱固性エポキシ樹脂はビスフェノールAエポキシ樹脂、E-44エポキシ樹脂、ビフェニル酸素エポキシ樹脂のうちの何れか1種又は複数種を含む。前記硬化剤はポリチオール硬化剤、ジシアンジアミド硬化剤、無水物硬化剤のうちの何れか1種である。前記有機溶媒はジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、二塩基酸エステル、イソホロン、テルピネオール又はジエチレングリコールモノブチルエーテルのうちの何れか1種又は複数種を含む。前記せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストは保護剤を更に含み、保護剤はトリアリールホスフィン化合物、トリアルキルホスフィン化合物のうちの何れか1種により形成されるか、又は複数種の組み合わせにより形成される。前記せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストは非導電性フィラーを更に含み、非導電性フィラーはトナー粉末、ナノグラフェン粉末、ベントナイト及びナノシリカ粉末のうちの何れか1種により形成されるか、又は複数種の組み合わせにより形成される。銅ナノ粒子は水分や空気により酸化されやすいため、分散媒体中にエポキシ樹脂成分(エポキシ樹脂は疎水性を有し、水分の侵入を抑制することができ、硬化後に基板との密着性が良好である)が含まれるため、保護剤の添加により銅ナノ粒子の酸化が抑制され、硬化剤の添加によりエポキシ樹脂が熱を受けて急速に硬化し、非導電性フィラーは実際の粘度、チクソトロピー性の要件に応じて添加される。
【0157】
前記せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストナノ粒子は分散性が良く、内径1um~150umのガラスキャピラリーから目詰まりすることなくスムーズに押出することができ、硬化後ペーストの体積収縮率が30%未満であり、ガラス、シリコンウェーハ、ポリイミドなどの基板との密着性が良好である(スクレーパでガラス基板に厚さ約20umのペーストをスクレーパ塗布して200℃で焼結硬化し、次に3M Scotch 600の粘着テープで剥離する場合、材料が剥落しない)。ペーストの粘度及びチクソトロピー指数は従来のBrookfield回転粘度計によって特性評価される。ペーストは、相対湿度20%~60%、23±5℃の条件で吸水率≦5%である(形状保持性及び焼結後の収縮効果に影響を与え、試験方法:スクレーパでガラス基板に厚さ約100umのペーストをスクレーパ塗布し、精密電子天平で重量を測定し、1hの間隔後の質量増加量≦5%である)。
【0158】
既存の単層高精度回路基板の製造に使用されるペーストにより形成される線のアスペクト比は、一般的に0.2程度である。本発明において、多層間の垂直相互接続が必要であり、ペーストのアスペクト比が低いため、金属ピラーの印刷などの本発明の重要なプロセスをサポートすることができない。同時に、多層回路基板の使用シナリオは単層回路基板よりも複雑で(例えば、高電圧信号、大電流の伝送など)、回路の厚さに対する要件は単層回路基板よりも高いため、線のアスペクト比が低いペーストを用いて多層板回路を製造すると、線幅、線間隔の精度を犠牲にして回路の厚さを増加させる必要があるため、相互接続精度の高い高精度多層回路基板を製造することができない。
【0159】
多層回路基板を製造する際には、各立体回路層を印刷する多層基板を形成するために、多層の絶縁層をスクレーパ塗布する必要があるため、高精度のスクレーパ塗布が必要であり、それにより形成された各層基板の厚さが一致となり、各層基板の上面を平坦にするが、塗布プロセス中の塗布隙間、塗布傾斜度にわずかにずれがあれば、誤差が生じやすく、且つ絶縁層の各層を塗布した後に、絶縁層を塗布する時に精度が一致しても、硬化する必要があり、硬化後も形成された基板の精度を一致するように保証できず、且つ各基板自体の上面も平坦性を保証できない。印刷時に、糸状材料を印刷基板に接触させるために押出ヘッドを印刷基板に近づく必要があり、高精度印刷シナリオでは、印刷基板の高さのばらつきや表面粗さは、印刷回路の状態に重大な影響を与え、回路の線形、線幅の不均一や断線、ピンストライクが発生することになる。
【0160】
従って、上記各基板自体の上面が平坦であることを保証できないことに基づいて、ステップS1において、基板の上面に立体回路層を形成する時、基板上面の高さデータセットを取得するために基板上面の各点の高さを測定し、基板上面の高さデータセットに基づいてせん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストを前記押出口から押出する時に基板上面の対応する点においてZ軸方向に沿って押出口を相対移動させることで、押出口が前記せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストを押出する時に基板上面の各点との間の高さを一致させることを含み、即ち本願において、立体回路層の印刷は立体式印刷であり、印刷プロセスにおいて、押出ヘッドは基板上面の各点に対してZ方向に沿って相対移動して、最終的に基板の上面に立体回路層を形成することで、回路の線形、線幅の均一を保証する。
【0161】
より詳細には、本実施例において、レーザー変位センサで基板上面の各点の高さを測定し、基板上面の高さデータセットを取得し、レーザー変位センサの分解能を0.3um以下にする必要があり、分解能が基準を超えると、大範囲シナリオで補償精度を保証することができないため、実際の印刷時に押出口と基板との間の高さを正確に制御できなくなる。印刷時に基板のZ方向運動により、押出口は基板上面の対応する点においてZ軸方向に沿って相対移動させる。
【0162】
同様に、本発明において、糸状材料を基板に接触させるためにペーストを押出する時に針先を基板に近づく必要があり、空気圧推進時に生じたジッターは、高精度印刷シナリオでの印刷回路の位置精度及び線幅、線形に重大な影響を与えるため、回路の線形、線幅の不均一や回路のずれ、ピンストライクが発生することになる。従って、針先ベースに金属製の安定機構を付加する必要がある。同時に、基板の上面に立体回路層を形成する時、基板上面の具体的な点における立体回路層の実際位置と予め設定された位置との差を測定し、差に基づいて針先の安定性を校正し、安定後の針先の水平方向及び垂直方向のジッター差を0.5um以内に制御することで、実際位置と予め設定された位置との差が予め設定された閾値を超えることを回避する。
【0163】
説明すべきことは、幾つかの場合、実際位置と予め設定された位置との過度のずれは、針先のジッターではなく、針先の固定位置のずれが原因である場合もある。本実施例において、コンピュータ支援製造(CAM)技術を使用し、予め設計された回路パターンをインポートして数値制御経路を生成し、印刷針先が数値制御経路に沿って移動して必要な回路パターンを形成する。従って、針先の固定位置にずれがあると、回路パターン全体のずれが発生することになる。この時、同様に実際位置と予め設定された位置との差に基づいて、針先の固定位置を校正することができる。。
【0164】
且つ、説明すべきことは、ジッターの影響でずれが生じた場合、ずれは印刷のオンとオフの時に変化し、固定位置の影響でずれが生じた場合、ずれは印刷のオンとオフの影響を受けない。
【0165】
更に、本発明は押出式3D印刷方法を用いるため、押出式3D印刷方法では線を押出する時、線の開始端に排出の遅延や不均一の問題が発生し、線の末端に積み上げや伸線の問題が発生し、線の印刷精度に重大な影響を与え、多層回路基板を製造する際に、層を積み重ねた後に当該影響が顕著になる。
【0166】
線が開始端に排出の遅延や不均一の問題が発生するに関して、本発明では以下の解決手段が使用される。せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストを前記押出口から押出することで立体回路層内の各回路の開始端を形成する前に何れも基板に垂直である垂直面において、曲線の予備押出運動を行い、当該曲線の接線方向に沿って回路の正式押出形成経路に入る。即ち、当該曲線を事前押出セクションにすることで、正式押出時の排出の遅延や不均一の問題を回避する。
【0167】
線の末端に積み上げや伸線の問題が発生するに関して、本発明では以下の解決手段が使用される。前記回路の正式押出形成経路末端に予め設定された余剰材部分を有し、前記押出口が当該余剰材部分に位置する時に前記せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストを押出する動作を停止する。即ち当該余剰材部分に位置する時に、前記せん断減粘特性を有する金属ペーストを押出する押出動力の供給を停止し、余剰材部分は、各回路の最後セクション全長の5%~30%を占める(注:1つの回路は、連続印刷の複数の印刷経路を含み、回路の最後セクションは、回路内の最後の印刷経路である)。
【0168】
上記回路が印刷完了後にそのパターン形状及び断面形状を維持することができ、特定のアスペクト比の線形を有する(回路印刷時、環境の相対湿度を20%~60%に制御する必要があり、低過ぎると、ペーストが基板と密着せず、高過ぎると、ペーストが水を吸着するため、形状保持性が低下する)。
【0169】
更に、多層回路基板は立体回路層、絶縁層が交互に積層して構成されるため、次の立体回路層又は絶縁層を形成するために立体回路層又は絶縁層が形成した後に何れも硬化する必要がある。本発明は、高精度多層回路基板の製造を目的としており、製造精度は10um以下に達することができる。立体回路層又は絶縁層の各層を高温で完全硬化させると、絶縁媒体と回路との間に繰り返しの激しい熱変形があり、回路と媒体との間の熱応力、回路、媒体自体の熱応力により、プロセス中に断線や失効が発生し、また、繰り返しの高温加熱によっても絶縁媒体の膨張と収縮が激しくなり、絶縁媒体が酸化される。従って、本発明において、
図3に示すように、下記ステップを含む予備硬化+全体焼結硬化の方法が使用される。
【0170】
S1、基板の上面に立体回路層を形成する。
【0171】
S2、現在の立体回路層の予め設定された位置に積み重ねて金属ピラーを形成する。
【0172】
S3、現在の立体回路層及び現在の立体回路層の予め設定された位置に積み重ねて形成された金属ピラーに対して第1予備硬化処理を行う。
【0173】
S4、現在の立体回路層の上面に絶縁層を形成し、現在の絶縁層に対して第2予備硬化処理を行う。
【0174】
S5、現在の絶縁層が最上層の絶縁層であるか否かを判定し、そうである場合、現在の絶縁層の上面にボンディングパッド層を形成してステップS6を実行し、そうでない場合、現在の絶縁層を新しい基板として、ステップS1に戻るステップと、
【0175】
S6、多層回路基板に対して全体焼結硬化処理を行う。
【0176】
具体的には:
【0177】
基板の上面に形成された立体回路層及び現在の立体回路層の予め設定された位置に積み重ねて金属ピラーを形成するに関して、本発明において、第1予備硬化処理の硬化温度は100℃~150℃、硬化時間は3min~10minであり、回路材料内の水分を除去すると同時に回路を定形し、次の絶縁層の塗布作業に備えるために回路と基板との密着性を増加させる。
【0178】
立体回路層、金属ピラーの硬化が完了した後、立体回路層に塗布された絶縁層に対しても同様に予備硬化処理により硬化し、具体的には、溶媒を含む絶縁層に対して、塗布後、まず予備硬化処理を行い、湿潤膜中の溶媒(特に水、アルコール、ジメチルアセトアミドなどの強極性溶媒)を揮発させ、薄膜の変動(液体の流動、不均一な収縮など)及び回路を溶解したり、回路と基板との接着力を低下させたりする残留溶媒を防止する。更に、気泡、皺などの問題を防止するために、絶縁層に対して2次以上の段階の予備硬化処理を行い、ここで、2次段階の予備硬化処理を例にして、まず60℃~95℃で3min~10min硬化し、次に120℃~200℃の間で3min~10min硬化する。絶縁層の塗布原料には通常、大量の溶媒が含まれるため、高温で直接硬化させると、溶媒の揮発が激しくなり、同時に表皮効果(塗層表面が急激に加熱されて乾燥して硬化する)が起こりやすくなるため、生成された気泡及び残留溶媒が時間内で排出できず、残留気泡及び不均一な皺が発生し、同時に加熱が速過ぎると薄膜内に強い熱応力が発生して回路の変形が発生することになる。
【0179】
ステップS4とステップS5との間に、絶縁層を穿孔し、穿孔した孔にナノスケール金属ペーストを充填することにより対応する金属ピラーを前記形成された絶縁層から予め引き出し、充填されたナノスケール金属ペーストに対して第3予備硬化処理を行うステップを更に含み、ここで記載されている第3予備硬化処理は第1予備硬化処理と類似するため、その説明を省略する。
【0180】
各立体回路層、絶縁層、ボンディングパッド層(ボンディングパッド層は、外部電子部品を接続するための製造された多層回路基板の接続層であり、より詳細な説明については、以下の金属ピラーに対する解釈部分を参照)が全て完了した後、全体焼結硬化が必要である(説明すべきことは、多層回路基板の最上層のボンディングパッド層が形成した後、予備硬化処理する必要がなく、直接全体焼結硬化してよい)。具体的には、絶縁層材質が有機媒体であり、且つ空気雰囲気で熱硬化する場合、マッフル炉焼結により、焼結温度200℃~300℃、焼結時間1h~3hで、全体焼結硬化処理が行われ、ナノスケール金属ペーストに応じて焼結条件も異なり、例えば、ナノスケール銅金属ペーストの場合、銅自体が酸化されやすいため、一般的に、全体焼結硬化は窒素雰囲気で行われる(具体的には、後述の実施例7を参照)。赤外線、レーザー、光子焼結などを使用する場合、ナノスケール金属ペーストの焼結時間を更に短縮することができる。FR-4エポキシガラス繊維基板などの従来の有機基板、BT(Bismaleimide Triazine、ビスマレーイミド-トリアジン樹脂)、PI(Polyimide、ポリイミド)、Epoxy resin(エポキシ樹脂)、BCB(Benzocyclobutene、ベンゾシクロブテン)などの有機絶縁層材料は、耐熱性が限られているため、発明において一般的に200℃~300℃で全体焼結硬化を行う。絶縁層材料がアルミナ系、窒化アルミニウム系の低温同時焼結セラミックなどの低温同時焼結セラミックである場合、セラミック低温同時焼結により、焼結温度850℃、焼結時間0.5h~2hで全体焼結硬化処理が行われる。全体焼結硬化により、ペースト中の有機物は部分的又は完全に除去され、金属粒子が相互結合し、結晶粒子が成長し、隙間(細孔)と粒界が減少し、最終的に良好な導電性、特定の均一な線形を有する金属回路を形成し、全体焼結硬化により、絶縁媒体は特定の電気特性を有する安定した絶縁層を形成する。
【0181】
ここで、予備硬化は全体焼結硬化と比較して、硬化パラメータの点で主に、温度が低く、時間が短いことに示され、予備硬化により、媒体が適時に定形され、回路が後続のプロセスを満たし、回路と媒体との間の密着性が強化され、効率を節約し、精密設備に対する熱影響が減少する役割を果たす。
【0182】
金属ペーストの硬化条件及び絶縁媒体の硬化条件が適合しない場合には、特に説明する必要がある。絶縁層材質が有機媒体であり、且つ特別な雰囲気で完全熱硬化する必要がある場合(例えば、窒素雰囲気での高温硬化ポリイミドの場合、一般的には350℃で完全硬化する必要があり、空気雰囲気で直接高温硬化すると、イミンの酸化問題が発生するため、硬化後のポリイミドが黒くなり、且つ機械的強度が低下する)。しかし、本件に記載の配合法で調製された銀金属ペーストは、空気雰囲気で硬化する必要があり、金属ペーストの硬化条件及び絶縁媒体の硬化条件が適合しない場合、混合焼結の硬化方式が優先的に選択され、即ち各層金属回路及び金属ピラーはレーザーで選択して直接完全硬化を行い、全体多層回路基板の場合、オフラインの特別な雰囲気炉で高温完全硬化を行う。ここで使用するレーザーは、後述のレーザー穿孔で使用する紫外線ピコ秒レーザーとは異なり、ここでのレーザーは小型赤外線帯域連続レーザーやミリ秒パルスレーザーを使用することができる。レーザーで金属ペーストを硬化する時、レーザーは局所的な高エネルギーの入力であるため、レーザーの照射によりナノスケール金属ペースト中の有機成分の激しい蒸発と分解が起こりやすくなることに注意する必要がある。金属ピラー及び表面ボンディングパッド層をレーザーで硬化する時、短時間に入力するエネルギーが大き過ぎると、明らかな泡立ちの問題が発生し、金属ピラー及び表面ボンディングパッド層をレーザーで硬化する時も段階的に硬化する必要もあり、一般的に5W~15Wのレーザー電力先で予備硬化した後に20W~50Wの高電力で完全硬化する。
【0183】
より具体的には、
【0184】
上記絶縁層の塗布に関して、本実施例において、塗布ヘッドには、刃平面の平坦度≦2umの金属材質が必要である。塗布プロセスには、塗布ヘッドの傾斜校正、塗布隙間校正が含まれる。
【0185】
塗布ヘッドの傾斜校正:以上から分かるように、絶縁層の表面は回路印刷の基板面として使用されるため、本件の高精度印刷シナリオの絶縁層の表面形態及び厚さ均一性に合わせるために、極めて高い品質要件を満たす必要がある。塗布ヘッドは、塗布作業の前にヘッドの左右両端の傾斜度を校正する必要がある。具体的には、塗布ヘッドを降下させるようにZ軸モータを制御し、その左端、右端を高精度タッチセンサにそれぞれ接触させ、タッチセンサが塗布ヘッドの接触圧力を受けてセンサ閾値に達した後、接触信号をトリガーし、塗布ヘッドの左右両端がタッチセンサ信号をトリガーする時にZ軸モータの高さを記録し、更にフィードバックすることによって、塗布ヘッドの左右傾斜度が得られる。傾斜度情報に基づいて、塗布ヘッド上方の左右両側の精密ネジエジェクターピンを調整し、左右の傾斜度を制御し、左右両端の高さずれ≦2umになるまで繰り返し測定する(説明すべきことは、ここで、ヘッド全体の左右傾斜状況に対する制御は、刃平面の平坦度≦2umになることと、同じ概念ではなく、刃平面の平坦度は刃平面の最大ばらつき差である)。
【0186】
塗布隙間校正:塗布ヘッドと基板面との間の高さ隙間は、絶縁層の厚さに重要な影響を与える重要な塗布パラメータである。本件において、塗布ヘッドと基板との間には機械的な接続構造がなく、両方の間の高さ隙間は、レーザー変位センサ、高精度タッチセンサによって校正する必要がある。塗布前、まずタッチセンサの高さを取得するために、レーザー変位センサを用いてタッチセンサの接触面の高さを測定し、次に塗布開始点の高さを取得するために、レーザー変位センサを用いて塗布面の塗布開始点の高さを測定し、続いてタッチセンサの高さ、塗布開始点の高さに基づいて、計算してタッチセンサと塗布開始点との相対高さ差を取得し、傾斜度校正された塗布ヘッドの中央をタッチセンサに接触させ、接触時の塗布ヘッドのZ軸高さを記録し、最後にタッチセンサと塗布開始点との相対高さ差、塗布ヘッドがタッチセンサに接触する時のZ軸高さ、予め設定された塗布隙間に基づいて、塗布ヘッドのZ軸高さを校正する。
【0187】
本実施例において、絶縁層塗布に関して、
【0188】
多層回路基板の基本的な構造は、複数の絶縁層と立体回路層が交互に積み重ねてなる。立体回路層は、金属導体パターンで構成され、絶縁層は有機樹脂又は無機セラミックで構成される。本発明において、スクレーパ塗布又はスリット塗布、積層塗布により複数の絶縁層の積層が実現され、各絶縁層は設備に統合された塗布ヘッドによって原位置塗布が行われる。塗布ヘッドは、サーボモータにより制御されるZ軸に組み立てられ、塗布時に塗布ヘッドは基板上方の特定の高さに降下し、塗布ヘッドを一定に保持し、基板が置かれたサンプルステージを前方へ移動するように制御することで、塗布ヘッドが基板面の進行に対して塗布し、塗布ヘッドと基板との隙間、基板の進行速度、絶縁媒体材料の収縮量などのパラメータを調整することによって精密に制御することができる。塗布ヘッドにはそれぞれ、スクレーパ塗布ヘッド、スリット塗布ヘッドの2種類のパターンがある。前者は、まず基板において押出により一定量の絶縁媒体材料を加えた後、スクレーパ塗布ヘッドが基板に対して絶縁媒体材料を押し付けて基板に薄膜を形成することであり、後者は、ヘッド自体が排出スリットを有するため、スリット隙間、スリット排出量及び排出速度を調整した後、スリットヘッドが基板の進行に対して排出して基板に薄膜を形成することである。より厚い絶縁層を得るために、上記の塗布プロセスを繰り返し実行することができる。特に、一部の溶媒含有量が高い絶縁媒体材料(ポリイミド液体材料など)の場合、より厚い薄膜を一回で塗布する時(一般的に、塗布の厚さ>100umの時)には、揮発するのに必要な溶媒が多すぎて、収縮応力が明らかで、気泡又は精密回路の破断が発生しやすく、このような材料では複数回の塗布成形が推奨される。塗布の厚さが薄過ぎると、表面のばらつきの問題があり、媒体の表面に前層の回路のばらつき形態(回路自体が一定の高さを有するため)が反映され、次の層の回路は前層の回路の上方に印刷する時に針先と基板面の間隔に高低のばらつきがあり、且つ前層の回路のサイズが小さいため、回路による高低のばらつきは回路上方にのみ局所的に存在し、前述した基板をZ軸方向に移動させることによって解決することができないため、絶縁媒体を塗布する時、前層の回路の高さの影響を減少させるために、媒体の厚さは少なくとも前層の回路の厚さの2倍以上である必要がある。
【0189】
以下、高精度多層回路基板における垂直相互接続構造を説明する。
【0190】
図5~
図8に示すように、本発明は、2種類の垂直相互接続構造に関する。1番目は、金属ピラー4、微細孔7及びその充填されたナノスケール金属ペースト(説明すべきことは、充填されたナノスケール金属ペーストは金属ピラー4の延伸柱5と見なすことができる)、引出線6(引出線6は、金属ピラー4と立体回路層2との接続又は延伸柱5と立体回路層2との接続に使用される)で構成される。2番目は、金属ピラー4、引出線6で直接構成される。前者は、金属ピラー4の高さ、絶縁層3の厚さのプロセス要件が低く、絶縁層3は金属ピラー4を完全に被覆し、絶縁層3の表面は平坦であるが、レーザー補助プロセスを追加して絶縁層3における微細孔7の成形及び充填を行う必要がある。後者は、補助手段を省略することができるが、金属ピラー4の表面が予備硬化後の絶縁層3を通過させる必要があり(即ち、金属ピラー4の表面が絶縁層3を通過させるように、絶縁層3は予備硬化した後に収縮する)、且つ表面張力のため、ピラー付近の小さい領域内で絶縁層3の表面が湾曲し、材料の状態、金属ピラーの高さ、塗布の厚さなどのプロセス制御要件が高い。
【0191】
具体的には、金属ピラーは、本発明における垂直相互接続構造の重要な構成要素である。
図4を参照し、金属ピラーは、本発明にかかる高精度3D印刷により垂直相互接続回路に印刷及び積層する必要があり、ピラーは一般的に、立方体又は円柱体であり、
【0192】
S1、せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストを押出口から押出することで、基板上面に立体回路層を形成するステップと、
【0193】
S2、立体回路層の予め設定された位置において、せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストを押出することで、金属ピラーの各層における外枠線、充填線を交替的に形成して、積み重ねて金属ピラーを形成するステップと、を含み、
【0194】
前記せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストは、ナノスケール金属粒子、分散媒体を含み、ナノスケール金属粒子の含有量は75%~95%、せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストの粘度は100000cps~1000000cpsの間、チクソトロピー指数は4~10、当該せん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストにより形成された線のアスペクト比≧0.5である。
【0195】
本発明の明細書に記載されるステップによって調製されたせん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストは、このステップの要件を満たすことができ、金属ピラーによる印刷のせん断減粘特性を有するナノスケール金属ペーストは、形状保持能力がより高く、形成された線のアスペクト比≧0.5であるものが好ましく、また、金属ピラーによる印刷は環境湿度を20%~60%に制御するものが好ましい。ペーストの形状保持能力及び印刷時の環境相対湿度(20%~60%)を満たさない場合、印刷時に金属ピラーが潰れたり変形したりするため、規格外のサイズになってしまう。金属ピラーによる積層印刷時、各層に何れも外枠線と充填線があり、充填線の間の重複率が5%~15%である。金属ピラー印刷の総排出体積(金属ピラー印刷時間*所定の空気圧での単位時間の排出質量/ペースト密度)と金属ピラーの設計体積とのずれは10%より小さい。体積のマッチングが誤ると、予備硬化した後の金属ピラーは、表面の陥没又はサイズが規格外となる。本件により製造された金属ピラー構造は、直径が一般に20um~150um、高さが3um~150umであり、金属ピラーの上面が平坦面である(平坦度≦1um)。ここで付加説明すべきことは、上記ボンディングパッド層は複数のボンディングパッドを含むことができ、ボンディングパッドの形成プロセスは金属ピラーの形成プロセスと類似し、同様に積層印刷であり、各層に何れも外枠線及び充填線がある(ボンディングパッドは本件において、X、Y方向のサイズは、多層回路基板と外部電子部品を接続するために、Z方向の高さサイズより遥かに大きい金属ピラーとも理解でき、ここで、その説明を省略する)。金属ピラーの高さ及び断面のサイズは相互接続精度の要件、絶縁層の厚さ要件及び垂直相互接続構造の選択に応じて決定する必要がある。第1垂直相互接続構造の金属ピラーの場合、印刷時の高さが低過ぎると、後続のレーザー穿孔時に金属ピラーを貫通し、高過ぎると、上層絶縁媒体の薄膜が浮き上がった後続の引出線を形成する時にプロセスが安定しなくなり、印刷された引出線が断線しやすくなる。第2垂直相互接続構造の金属ピラーの場合、金属ピラーの上面が予備硬化後の絶縁層より高くなるように、金属ピラーの高さを十分に高く印刷する必要がある。このシナリオで使用される絶縁層材料は、予備硬化後の厚さを十分に収縮することを保証するために、一定の溶媒を含む必要があり、絶縁層の予備硬化後の厚さに収縮が存在しない場合、金属ピラーを絶縁層より高くすることはできない。
【0196】
微細孔の成形:本発明における微細孔の孔径は15~150umである。微細孔の成形及び充填は、第1垂直相互接続構造のみに適用される。塗布された絶縁層の厚さが厚すぎる場合、金属ピラーは、絶縁層に完全に被覆された状態で存在する。レーザー穿孔により金属ピラー上方の絶縁層が破壊され、微細孔が形成される。レーザー穿孔は、波長343nm又は355nm、平均出力3~10W、パルス幅<15ps、繰り返し周波数200KHz~1MHzの紫外線ピコ秒レーザーで穿孔することが好ましい。紫外線ピコ秒加工は冷間加工に属し、有機、セラミック絶縁層に対して優れた微細孔成形効果を有する。紫外線ピコ秒レーザーのアブレーション作用により、絶縁層の直下の金属ピラー表面にはアブレーション跡があり、表面が陥没状態となる。赤外線フェムト秒レーザー、緑色ピコ秒レーザー、紫外線ナノ秒レーザーなどで加工された微細孔は、孔径が大きく、絶縁層材質への適合性が悪く、且つ金属ピラーを貫通しやすいため、特定の絶縁層及び80um~150umの微細孔加工に適用される。レーザーからのレーザー射出は、振動ミラー及びテレセントリックミラーを介してサンプルの表面に集光され、目視位置決めにより1ラインずつスキャン穿孔が行われ、集光スポットの直径が10~25umである。穿孔経路はオーガー経路である。レーザースキャンのずれが大きい場合、金属ピラーの上方の絶縁層が完全にアブレーションされず、ピラー付近の金属回路が損傷し、電気伝導に影響を与える。レーザースキャンずれの問題を回避するために、レーザー穿孔時にmark点を識別するために、目視位置決めを使用する必要があるが、幾つかの熱膨張係数が大きい絶縁層のシナリオにおいて、本発明における絶縁層の積層予備硬化によりもたらされる伸縮のリスクが高まるため、収縮が発生する時及びmark識別効果が低い時、金属ピラーテンプレートで識別する必要があり、即ち対応する金属ピラーの外部輪郭を目視で捕捉することによって、単点の位置合わせが実現される。これは、金属ピラーに高い形状保持効果が求められる理由の一つである。
【0197】
微細孔の充填:微細孔の充填は、精密空気圧押出によりナノスケール金属ペースト(説明すべきことは、ここで、ナノスケール金属ペーストは、せん断減粘のチクソトロピー効果を備えなくてもよい)又はインクジェットによりナノスケール金属ペースト(説明すべきことは、ここで、ナノスケール金属ペーストは、インクジェット印刷に適した低粘度ペースト材料であり、せん断減粘の効果を備えない)を微細孔内に充填することができる。前者は、排出精度が十分に高いため、孔径15~150um、孔間隔>20umの微細孔充填シナリオに適し、後者は、液滴サイズが大きいため、孔径100~150um、孔間隔>100umの微細孔充填シナリオにのみ適する。微細孔の底部は金属ピラーであるため、充填されたペーストは、金属ピラーの表面に十分に接触して湿潤することができる。金属ピラーの高さが薄過ぎ、レーザーエネルギーの入力が大き過ぎると、金属ピラーは微細孔成形段階に貫通し、充填ペーストがより下層の立体回路層に充填されて電気短絡を引き起こす。また、金属ピラーをキャンセルして直接レーザー微細孔成形後に充填すると、上記のペーストを残りの立体回路層に充填して短絡リスクを引き起こすに加えて、精密回路印刷シナリオでは、回路の線幅、線厚さなどのサイズは微細孔よりも小さいため(線幅、線厚さが例えば、わずか数ミクロン)、微細孔底部の回路は、レーザーに完全にアブレーションされるため、充填時に充填されたペーストが金属回路に接触されないか又は接触部分が極めて小さく(細い金属線の上方にレーザーで穿孔し、孔のサイズは細線の幅よりも遥かに大きく、微細孔の底部の回路はレーザーに完全にアブレーションされるため、充填時に充填されたペーストが金属回路に接触されないか又は接触部分が極めて小さいと想像できる)、導通を保証することができない。充填後の微細孔の孔表面は、充填ペーストに充填され、孔表面の充填ペーストが孔と基本的に面一になるように充填される排出量を制御する。精密空気圧押出方式による孔充填シナリオでは、空気圧が5~80psiの間、針先の孔内への侵入深さが5~400umの間、針先の引き上げ速度が0.01~5mm/sの間である。微細孔充填ペーストの後処理は、前述した立体回路層、金属ピラーの後処理と類似し、予備硬化成形が必要である。
【0198】
引出線:
【0199】
引出線は、垂直相互接続構造の最下層の金属ピラーを上部の立体回路層に電気的に接続するものである。第1垂直相互接続構造の場合、引出作業時に精密空気圧印刷針先を孔の上方の一定の高さ(この高さは相互接続精度の要件に関連し、一般的には引出線の線幅が5um~10um、微細孔の孔径が40um±5umである必要がある場合、この高さは3um~5umである)に移動し、糸状の排出が孔の表面に十分に接触した後、印刷針先を移動して引出線を孔の外部に引き出して上部の立体回路層の回路を相互接続する。引出線の初期段階は重要なステップであり、初期段階において印刷経路はZ方向へ変位して絶縁層の局所的な浮上げの問題を補償し、同時に垂直導通構造の確実性を向上させるために、印刷速度を徐々に増加させて、引出開始点の線幅を大きくするが(微細孔の差とほぼ同じであり、
図6及び
図8を参照)、引出末端の線幅を小さくする(立体回路層の回路の差とほぼ同じ)というグラデーション効果を奏する必要がある。第1垂直相互接続構造では、絶縁層の厚さと金属ピラーの高さとの間にプロセス調整プロセスがあるため、上部の絶縁層の浮上げへの影響を効果的に制御することができる。引出時の針先移動経路は、針先と基板面との距離が通常な印刷範囲内になるように、Z方向の小さな変位だけが必要である(高さ10umの金属ピラー及び厚さ20umの焼結ポリイミド絶縁層の場合、金属ピラー上方の絶縁層の表面は、一般的に金属ピラーから離れた絶縁層の表面より3um~5um高い)。引出線初期部分の初期印刷速度は一般的に0.01mm/sであり、この速度から徐々に加速して一定の水平移動及びZ方向変位を行い、第1垂直導通構造において、この部分の水平変位は一般的に10~50umである。水平変位及びZ方向変位が完了した後、通常の印刷回路の速度まで急速に加速することができる。
【0200】
第2垂直相互接続構造の場合、微細孔及び充填構造がないため、金属ピラーの高さは硬化後の絶縁層よりも高く、且つ金属ピラーの上面の平坦度≦2umであり、印刷針先を金属ピラーの上面に直接移動して引出線を形成することができる。金属ピラーの高さ及び塗布液体の表面張力の影響により、ピラー周囲の小さな領域内(直径45um~55umの金属ピラーの場合、一般的に半径が100um以内)で絶縁層の表面が湾曲し、近くから遠くへの表面の高さが明らかに減少する。印刷針先を金属ピラーの表面から引き出して印刷する時、Z方向において金属ピラーの上面と金属ピラーから離れた絶縁層の表面との高さ差に応じて、印刷針先が引出線を金属ピラーの上面から金属ピラーの周囲の小さな領域外の絶縁層に一回で引き出して上部の立体回路層の回路を相互接続させるように保証する必要がある。引出線初期部分の初期印刷速度は一般的に0.01mm/sであり、この速度から徐々に加速して一定の水平移動及びZ方向変位を行い、第2垂直導通構造において、この部分の水平変位は一般的に20~100umである。水平変位及びZ方向変位が完了した後、通常の印刷回路の速度まで急速に加速することができる。
【0201】
以下、対応する図面を参照し、本発明に記載の多層回路基板の製造プロセス及び垂直相互接続構造をより詳しく説明する。
【0202】
図5~
図6に示すように、図中、第1垂直相互接続構造を示し、金属ピラー4のサイズが小さく、絶縁層3の下方に被覆され、絶縁層3に微細孔7を充填することによって、金属ピラー4の延伸柱5を形成し、引出線6によって当該延伸柱5と上部の立体回路層2の回路を接続して、接続を実現することができる。
【0203】
図7~
図8に示すように、図中、第2垂直相互接続構造を示し、金属ピラー4のサイズが大きく、絶縁層3は硬化後に収縮して、金属ピラー4の表面が絶縁層3を通過し、引出線6によって当該金属ピラー4と立体回路層2の回路を直接的に接続して、接続を実現することができる。
【0204】
図9に示すように、図中、第1垂直相互接続構造により、隣接する2つの立体回路層2の間の相互接続が実現されることを示す。本実施例において、隣接する2つの立体回路層2の間の相互接続を使用して、ステップS3に記載されている「各立体回路層間の接続要件及び各立体回路層における金属ピラーの高さに基づいて、絶縁層を穿孔し、穿孔した孔にナノスケール金属ペーストを充填することにより対応する金属ピラーを前記形成された絶縁層から予め引き出す」を説明する。まず、第1立体回路層2を印刷し、第1立体回路層2の接続要件に基づいて、予め設定された位置に金属ピラー4を印刷し、更に、第1立体回路層2に第1絶縁層3を形成し、この時に第1立体回路層2と後続で形成されようとする第2立体回路層2は接続要件があり、且つ第1立体回路層2における金属ピラー4の高さが第1絶縁層3よりも低いため、この時に第1絶縁層3を穿孔し、穿孔した孔にナノスケール金属ペースト(ナノスケール金属ペーストを充填して延伸柱5を形成する)を充填することにより第1立体回路層2における金属ピラー4を第1絶縁層3から予め引き出し、延伸柱5に引出線6を印刷する必要があり(説明すべきことは、第1立体回路層2における金属ピラー4の高さが第1絶縁層3よりも高い場合、穿孔及び充填する必要がなく、金属ピラー4に引出線6を直接的に印刷すればよい)、更に、第1絶縁層3に第2立体回路層2を形成し、次に引出線6を第2立体回路層2の回路に接続して相互接続を実現することができる。
【0205】
説明すべきことは、本発明において、立体回路層2を形成した後に当該立体回路層2に接続する必要がある金属ピラー4を引き出すことではなく、金属ピラー4を予め引き出すことで、穿孔、充填プロセス中の当該立体回路層2に与える影響を回避することができ、それにより多層回路基板の相互接続精度を保証する。
【0206】
図10~
図11に示すように、図中、第1垂直相互接続構造により、多層を間隔した立体回路層2の間の相互接続が実現されることを示す。
【0207】
図12に示すように、図中、同じ垂直線にある多層の立体回路層2の相互接続を示す。図に示すように、金属ピラー4の印刷、延伸柱5の充填、引出線6の印刷により、第1層と第3層の立体回路層2との間の接続が実現された後、当該接続部は第4層の立体回路層2と接続する必要がある場合、金属ピラー4を追加的に予め設定することなく、直接的に微細孔7の穿孔、ペーストの充填により、第3層の立体回路層2における引出線6の位置に別の延伸柱5を形成することができ、引出線6の引出開始点の線幅が大きいため(微細孔7と同じ程度、
図6、
図8に示す通り)、上記の導通不能現象が生じることはない。
【0208】
ここで説明すべきことは、多層回路基板の製造プロセスにおいて、接続要件に応じて垂直相互接続構造の形を選択することができる。例えば、隣接する2つの立体回路層2の間の相互接続のみを実現する必要がある場合、第2垂直相互接続構造を直接的に選択することができ、多層を間隔した立体回路層2の間の相互接続を実現する必要がある場合、第1垂直相互接続構造を選択することができる。
【0209】
図13に示すように、図中、高精度多層回路基板の接続後の全体イメージを示す。
【0210】
以下、高精度多層回路基板の具体的な製造プロセスを示す(説明すべきことは、説明の便宜上、下記製造プロセスにボンディングパッド層の製造プロセスを省略する)。
【0211】
第1段階:多層回路基板の印刷設計:
【0212】
ステップ1.多層回路基板の設計情報(線幅と線間隔、積層設計、インピーダンス設計、垂直相互接続設計の位置など)に従って、針先の種類、媒体材料、印刷材料を決定し、ここで線幅5um、線間隔5um、線高さ3umである合計4層の立体回路層及び4層のポリイミド絶縁層(絶縁層の厚さが18um)を例にする。
【0213】
ステップ2.DXF設計図面をプロセスマッチングCAMソフトウェアにインポートし、CAMソフトウェアは各回路層の印刷経路コードを生成し、CAMソフトウェアは各絶縁媒体層の塗布厚さと面積を生成し、多層回路基板の接続要件に応じて、各立体回路層の垂直相互接続構造の予め設定された位置を決定する。
【0214】
ステップ3.印刷経路を検査して修正し、塗布ヘッドを校正する(校正方法は前述の通り)。
【0215】
第2段階:供給及び機器の準備:
【0216】
ステップ1.粘度が580000cps、金属固形分が85%、チクソトロピー指数が9、線のアスペクト比が0.5であり、3M Scotch 600粘着テープの剥離に耐えることができるせん断減粘特性を有するナノスケール銀金属ペースト材料を選択し、塗布媒体材料として、粘度が10000cps、固形分が18%である標準ポリイミド液体材料を選択し、内径5um、外径10um、端面平坦度≦1umであるガラス針を選択し、塗布ヘッドとして金属スクレーパを選択する。
【0217】
ステップ2.ナノスケール銀金属ペースト材料を含むバレルを精密空気圧分注器に取り付け、塗布媒体材料を含むバレルを精密計量供給器に取り付ける。
【0218】
ステップ3.供給領域の200mm*200mm*0.25mmのポリイミドフィルム基板から自動/手動で供給し、CAMソフトウェアを起動し、真空吸着をオンにし、サンプルステージが基板を吸着し、設備が機械的に原点復帰する。
【0219】
ステップ4.レーザー変位センサ(測定分解能が0.3um)を用いて基板印刷領域全体をスキャンし、基板上面の各点の高さを測定し、基板上面の高さデータセットを取得し、CAMソフトウェアは基板の高さデータセットを記録する。
【0220】
ステップ5.予備印刷領域において、精密空気圧分注器をオンにし、CAMソフトウェアで出力空気圧及び印刷移動速度を設定し、ソフトウェアによって針先と予備印刷領域のシリコン基板との間の高さを3umにするように、針先の降下を制御し、様々な空気圧及び移動速度での配線を予備印刷し、5±0.5umに対する線幅の圧力及び速度パラメータを記録し、本実施例において、圧力は45psi、速度は0.5mm/sであり、次にレーザー変位センサを用いてポリイミド基板における印刷開始点を測定して記録し、シリコン基板における相対高さ差を予備印刷する。
【0221】
第3段階:多層回路基板の製造:
【0222】
ステップ1.印刷開始点に移転した後、第2段階におけるステップ5で得られた相対高さ差の情報に基づいて、針先とポリイミド基板との距離を予備印刷時の針先と予備印刷領域のシリコン基板との間の距離にするように、針先のZ軸高さを調整し、印刷前に補償をオンにする必要があり、同時にレーザー変位センサは基板の高さデータセットをソフトウェアに記録しているため、サンプルステージの昇降によって基板表面の高さばらつきを自動的に補償し、印刷プロセスにおいて針先と基板との間の距離は3umに保持される。
【0223】
ステップ2.第1段階で生成された印刷経路及び第2段階で得られた印刷パラメータに基づいて第1立体回路層を印刷する。
【0224】
ステップ3.垂直相互接続の位置に金属ピラーを印刷し、mark点に十字mark点を印刷する。金属ピラーは、回路を層ごとに繰り返し充填することによって製造され、各層における充填線の中央距離(hatch spacing)が5um、層の中央距離が3um、多層積層後の最後の金属ピラーの長さ、幅、高さが50um*50um*12umであり、デバイス統合型加熱セラミック吸盤を用いて、金属回路及びピラーを温度150℃、時間10minで予備硬化させ、予備硬化後に冷却する。
【0225】
ステップ4.サンプルステージを塗布初期位置に移動し、第1段階で生成された現在層に必要な塗布厚さ(100um)に応じて、スクレーパと基板との隙間(隙間の調整方法は前述の通り)を調整し、分注によりポリイミド液体をスクレーパの前方5mmに塗布し、サンプルステージの運動速度を1mm/sに設定し、スクレーパはサンプルステージに対してポリイミド材料を押し付けて基板に湿潤膜を形成して60s放置する。
【0226】
ステップ5.デバイス統合型加熱セラミック吸盤を用いて湿潤膜を硬化させ、湿潤膜を乾燥膜に変換し、まず70℃で10min硬化させ、次に150℃で10min硬化させ、硬化後に冷却する。
【0227】
ステップ6.サンプルステージを微細孔成形ステーションに移転し、mark点を目視で捕捉することによって、相対位置関係を校正し、次にレーザーを用いて金属ピラーの上方にレーザーにより微細孔を穿孔し、金属ピラー上方の絶縁層を破壊し、使用される光源は、平均電力が4W、パルス幅<15ps、繰り返し周波数が1MHz、ヘリカルスキャン速度が0.5mm/s、ジャンプ速度が100mm/s、スポット直径が20umである355nm紫外線ピコ秒レーザーであり、得られる孔径は40um、孔の深さは20umである。
【0228】
ステップ7.サンプルステージが印刷ステーションに戻り、印刷針先が精密空気圧押出により微細孔内で金属ペーストによる充填を行い、使用される金属ペーストが同様にナノスケール銀金属ペースト(粘度を400000cpsに希釈)であり、印刷針先の孔内への侵入深さが15um、空気圧が40psi、引き上げ速度が0.05mm/sであり、次に引出線動作を実行し、引出線の初期速度が0.01mm/s、引出初期の水平変位が20um、Z方向変位が3umである。
【0229】
ステップ8.mark点を目視で捕捉することによって、相対位置関係を校正し、第1段階で生成された印刷経路及び第2段階で得られた印刷パラメータに基づいて、焼結されたポリイミド絶縁層の表面に第1層回路を印刷し、垂直相互接続の位置に金属ピラーを印刷する。
【0230】
ステップ9.4層の回路印刷及び4層の絶縁層塗布硬化が完了するまで、ステップ3~ステップ8を繰り返す。
【0231】
ステップ10.デバイス統合型加熱セラミック吸盤を用いて、温度250℃、時間1hで多層回路基板全体を完全硬化させる。
【0232】
ステップ11.真空吸着をオフにして排出する。
【0233】
ステップ12.多層回路基板サンプルの検査及び切断。
【0234】
実施例2:
【0235】
本実施例と実施例1との違いは、犠牲材料において多層回路基板を製造することであり、具体的な改良は次の通りである。
【0236】
1.実施例1に記載される第2段階の次のステップ3を、供給領域6インチ標準シリコンウェーハ基板(6インチ標準シリコンウェーハ基板の表面に犠牲材料が付着される)自動/手動で供給し、CAMソフトウェアを起動し、真空吸着をオンにし、サンプルステージが基板を吸着し、設備が機械的に机械原点復帰するように変更する。
【0237】
2.実施例1に記載される第3段階の次のステップ11を、真空吸着をオフにして排出し、犠牲材料を対応する化学試薬によって脱着し、独立した多層回路基板を得るように変更する。
【0238】
3.他のプロセス段階及びそのステップは実施例1と同様である。
【0239】
実施例3:
【0240】
本実施例と実施例1との違いは、スリット塗布法を用いることであり、具体的な改良は次の通りである。
【0241】
1.スリット塗布法:実施例1における第3段階の次のステップ4を、印刷後にサンプルステージを塗布初期位置に移動し、実施例1における第1段階で生成された現在層に必要な塗布厚さ100umに応じて、スリット塗布ヘッドと基板との隙間を100umに調整し、スリット塗布ヘッドの排出量2250uL及び排出速度15uL/sを設定し、基板に対する塗布ヘッドの平均移動速度1mm/s、初期段階にわずかに速く(1.2mm/sで5s)、最終段階にわずかに遅く(0.7mm/sで5s)設定し、次に塗布プロセスを起動して現在の絶縁層塗布を完了させるように変更する。
【0242】
2.他のプロセス段階及びそのステップは実施例1と同様である。
【0243】
実施例4:
【0244】
本実施例と実施例1との違いは、第2垂直相互接続構造を用いて製造することであり、具体的な改良は次の通りである。
【0245】
1.直接成形:
【0246】
実施例1における第3段階の次のステップ2を、第1段階で生成された印刷経路及び第2段階で得られた印刷パラメータに基づいて第1層回路を印刷し、垂直相互接続の位置に金属ピラーを印刷し、金属ピラーは、回路を層ごとに繰り返し充填することによって製造され、各層における充填線の中央距離(hatch spacing)が5um、層の中央距離(layer distance)が3um、多層積層後の最後の金属ピラーの長さ、幅、高さが50um*50um*50umであるように変更する。
【0247】
実施例1における第3段階の次のステップ6はキャンセルされる。
【0248】
実施例1における第3段階の次のステップ7を、サンプルステージを印刷ステーションに移転し、印刷針先が精密空気圧押出により直接的にピラーの上面に引出線動作を実行し、引出線の初期速度が0.01mm/s、引出初期の水平変位が70um、Z方向変位が32umであるように変更する。
【0249】
2.他のプロセス段階及びそのステップは実施例1と同様である。
【0250】
実施例5:
【0251】
本実施例と実施例1との違いは、絶縁媒体材料の硬化焼結であり、具体的な改良は次の通りである。
【0252】
(1)有機熱硬化性ポリイミド:
【0253】
1.実施例1における第3段階の次のステップ5を、デバイス統合型赤外線ランプを用いて、電力600w、時間30sで媒体を予備硬化させるように変更する。
【0254】
2.実施例1における第3段階の次のステップ10を、デバイス統合型赤外線ランプを用いて、電力3000w、時間20sで多層回路基板全体を完全硬化焼結させるように変更する。
【0255】
3.実施例1における第3段階の次のステップ10を、真空吸着をオフにし、基板から排出し、オフラインマッフル炉を用いて、温度250℃、時間1hで多層回路基板全体を完全硬化させるように変更してもよい。
【0256】
4.他のプロセス段階及びそのステップは実施例1と同様である。
【0257】
(2)有機光硬化型感光性エポキシ樹脂:
【0258】
1.実施例1における第3段階の次のステップ5を、デバイス統合型紫外線硬化ランプを用いて媒体を予備硬化させるように変更する。
【0259】
2.実施例1における第3段階の次のステップ10を、デバイス統合型紫外線硬化ランプを用いて媒体を完全硬化させ、デバイス統合型赤外線ランプ又は加熱セラミック吸盤を用いて回路を完全硬化させるように変更する。
【0260】
3.実施例1における第3段階の次のステップ10を、真空吸着をオフにし、基板から排出し、オフライン紫外線硬化ランプを用いて媒体を完全硬化させ、オフラインマッフル炉、赤外線ランプを用いて回路を完全硬化させるように変更してもよい。
【0261】
4.他のプロセス段階及びそのステップは実施例1と同様である。
【0262】
(3)セラミック焼結 アルミナセラミックス:
【0263】
1.実施例1における第3段階の次のステップ5を、デバイス統合型加熱セラミック吸盤を用いて、温度200℃、時間5minの媒体予備焼結を行うように変更する。
【0264】
2.実施例1における第3段階の次のステップ10を、真空吸着をオフにして排出し、オフラインマッフル炉を用いてセラミックサンプル全体の低温同時焼結(温度850℃、時間2h)を行うように変更する。
【0265】
3.他のプロセス段階及びそのステップは実施例1と同様である。
【0266】
実施例6:
【0267】
本実施例と実施例1との違いは、金属回路及び金属ピラーをレーザーで焼結し、絶縁媒体を保護雰囲気で完全硬化させることであり、具体的な改良は次の通りである。
【0268】
(1)窒素環境で高温硬化が必要であるポリイミド:
【0269】
1.実施例1における第3段階の次のステップ3を以下の通りに変更する。垂直相互接続の位置に金属ピラーを印刷し、mark点に十字mark点を印刷する。金属ピラーは、回路を層ごとに繰り返し充填することによって製造され、各層における充填線の中央距離(hatch spacing)が5um、層の中央距離が3um、多層積層後の最後の金属ピラーの長さ、幅、高さが50um*50um*12umであり、デバイス統合型光ファイバー出力半導体レーザーを用いて金属回路及びピラーを選択して焼結し、レーザーによって放射されるレーザー波長が915nm、最大電力が50W、最小スポットの直径が200umであり、金属回路領域ではスポットが回路経路に沿って1mm/sの速度で移動し、ピラー領域ではスポットがまず5Wの電力、1mm/sの速度でピラー外枠線に沿って移動し、次に25Wの電力、2mm/sの速度でピラー充填経路に沿って往復移動し、レーザー焼結後の金属回路及びピラーは既に導電性を備えている。
【0270】
2.実施例1における第3段階の次のステップ10を、真空吸着をオフにし、基板から排出し、オフライン窒素焼結炉で多層回路基板の絶縁媒体を完全硬化させ、酸素含有量≦20ppm、温度350℃で1h、昇温速度が5℃/minであるように変更する。
【0271】
3.他のプロセス段階及びそのステップは実施例1と同様である。
【0272】
実施例7:
【0273】
本実施例と実施例1との違いは、印刷材料をナノスケール銅金属ペーストに変更することであり、具体的な改良は次の通りである。
【0274】
1.実施例1における第2段階の次のステップ1を、粘度が580000cps、金属固形分が80%、チクソトロピー指数が9、線のアスペクト比が0.5であり、3M Scotch 600粘着テープの剥離に耐えることができる、せん断減粘特性を有するナノスケール銅金属ペースト材料を選択し、塗布媒体材料として、粘度が10000cps、有効含有量が18%である標準ポリイミド液体材料を選択し、内径が5um、外径が10um、端面平坦度≦1umであるガラス針を選択し、塗布ヘッドとして金属スクレーパを選択するように変更する
【0275】
2.実施例1における第3段階の次のステップ3を以下の通りに変更する。垂直相互接続の位置に金属ピラーを印刷し、mark点に十字mark点を印刷する。金属ピラーは、回路を層ごとに繰り返し充填することによって製造され、各層における充填線の中央距離(hatch spacing)が5um、層の中央距離が3um、多層積層後の最後の金属ピラーの長さ、幅、高さが50um*50um*12umであり、デバイス統合型加熱セラミック吸盤を用いて金属回路及びピラーを温度100℃、時間8minで予備硬化させ、予備硬化後に冷却する。
【0276】
3.実施例1における第3段階の次のステップ7を、サンプルステージが印刷ステーションに戻り、印刷針先が精密空気圧押出により微細孔内で金属ペーストによる充填を行い、使用される金属ペーストが同様にナノスケール銅金属ペースト(粘度を400000cpsに希釈)であり、印刷針先の孔内への侵入深さが15um、空気圧が40psi、引き上げ速度が0.05mm/sであり、次に引出線動作を実行し、引出線の初期速度が0.01mm/s、引出初期の水平変位が20um、Z方向変位が3umであるように変更する。
【0277】
4.実施例1における第3段階の次のステップ10を、真空吸着をオフにし、基板から排出し、オフライン窒素焼結炉で多層回路基板全体を完全硬化させ、酸素含有量≦20ppm、温度300℃で1h、昇温速度が5℃/minであるように変更する。
【0278】
3.他のプロセス段階及びそのステップは実施例1と同様である。
【0279】
実施例8:
【0280】
本実施例は、上記高精度多層回路基板3D印刷製造方法を用いて得られる高精度多層回路基板を提供する。
【0281】
実施例9:
【0282】
本実施例は、前記高精度多層回路基板に基づく応用を提供しており、異なる材質の基板、絶縁媒体及び特定のパターンを印刷する金属配線を用いることで、異なる種類の高精度多層回路基板を製造し、フレキシブル回路、着用可能なデバイス、小型受動電子機器及びSIPパッケージinterposerボードに適用可能である。
【0283】
上記に記載される実施例は、本発明の好ましい実施形態を説明するものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の設計精神を逸脱することなく、当業者の本発明の技術的解決手段に対する様々な変形や改良は、何れも本発明の保護範囲に含まれる。
【国際調査報告】