(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-18
(54)【発明の名称】ハピネス状態を改善するためのオーラルケアフレーバーおよび評価の方法
(51)【国際特許分類】
A61B 10/00 20060101AFI20240710BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20240710BHJP
A61Q 13/00 20060101ALI20240710BHJP
C11B 9/00 20060101ALI20240710BHJP
A61B 5/16 20060101ALI20240710BHJP
A61B 5/1455 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
A61B10/00 E
A61Q11/00
A61Q13/00 101
C11B9/00 Q
C11B9/00 A
C11B9/00 J
C11B9/00 B
C11B9/00 V
C11B9/00 Z
C11B9/00 G
C11B9/00 L
C11B9/00 S
A61B5/16 120
A61B5/1455
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573098
(86)(22)【出願日】2022-05-30
(85)【翻訳文提出日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 EP2022064557
(87)【国際公開番号】W WO2022234153
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガエータ,ジュリアーノ
(72)【発明者】
【氏名】プロヴァン,アラン,フォーブス
(72)【発明者】
【氏名】マシューズ,イモジェン マリア
(72)【発明者】
【氏名】パーキネン,サラ カチャ エミリア
【テーマコード(参考)】
4C038
4C083
【Fターム(参考)】
4C038KL05
4C038KL07
4C038KX01
4C038PP03
4C038PR00
4C083AA121
4C083AA122
4C083AD532
4C083CC41
4C083DD23
4C083EE31
4C083KK02
(57)【要約】
本開示は、ヒト対象のハピネス状態を改善するための試験オーラルケアフレーバー成分または試験オーラルケアフレーバー組成物の能力を評価する方法、およびヒト対象に対してポジティブなハッピー効果を有するオーラルケアフレーバー組成物を作出する方法に関する。さらに、ヒト対象のハピネス状態を改善するためのオーラルケアフレーバー組成物、そのようなオーラルケアフレーバー組成物を含む消費者製品、およびヒト対象のハピネス状態を改善する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト対象のハピネス状態を改善するための試験オーラルケアフレーバー成分または試験オーラルケアフレーバー組成物の能力を評価する方法であって、
a)1または複数のヒト試験対象のベースハピネス状態を測定するステップ;
b)試験オーラルケアフレーバー成分または試験オーラルケアフレーバー組成物を、オーラルアプリケーションのためにヒト試験対象に提供するステップ;
c)結果として生じるヒト試験対象のハピネス状態を測定するステップ;および
d)ヒト試験対象に対して、結果として生じるハピネス状態およびベースハピネス状態の間の差異を決定するステップ;
を含み、
ベースハピネス状態および結果として生じるハピネス状態は、ヒト試験対象の左脳半球、右脳半球、および全脳の機能的近赤外分光法(fNIRS)によって測定され;
試験オーラルケアフレーバー成分または試験オーラルケアフレーバー組成物は、以下の8個の条件A1からA8のうちの少なくとも1個が満たされる場合、ヒト対象のハピネス状態を改善することができる:
A1.チャネル14が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
A2.チャネル15が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
A3.チャネル18が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
A4.チャネル19が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
A5.チャネル1が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
A6.チャネル3が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
A7.チャネル4が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
A8.チャネル5が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
ここで、総Hbは測定された総ヘモグロビンの量であり、かつ
チャネル1~8および11は左脳半球に位置付けられ、チャネル9および12は正中線上に位置付けられ、かつチャネル10および13~20は右脳半球に位置付けられる、方法。
【請求項2】
試験オーラルケアフレーバー成分または試験オーラルケアフレーバー組成物が、練り歯磨きマウスウォッシュ、ブレススプレーまたはデンタルフロスの一部としてヒト試験対象に提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
以下の9個の条件B1からB9のうちの、さらに少なくとも1個、より好ましくは少なくとも2個が満たされる、請求項1から2のいずれか一項に記載の方法:
B1.チャネル14が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、オキシHbの統計学的に有意な差異を示す;
B2.チャネル16が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、オキシHbの統計学的に有意な差異を示す;
B3.チャネル18が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、オキシHbの統計学的に有意な差異を示す;
B4.チャネル20が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、オキシHbの統計学的に有意な差異を示す;
B5.チャネル2が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、オキシHbの統計学的に有意な差異を示す;
B6.チャネル3が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、オキシHbの統計学的に有意な差異を示す;
B7.チャネル4が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、オキシHbの統計学的に有意な差異を示す;
B8.チャネル5が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、オキシHbの統計学的に有意な差異を示す;
B9.チャネル6が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、オキシHbの統計学的に有意な差異を示す;
ここで、オキシHbは、測定された酸素化されたヘモグロビンの量である。
【請求項4】
以下の8個の条件C1からC8のうちの、さらに少なくとも1個、より好ましくは少なくとも2個が満たされる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法:
C1.チャネル16が、オーラルアプリケーションの5~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
C2.チャネル19が、オーラルアプリケーションの5~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
C3.チャネル20が、オーラルアプリケーションの5~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
C4.チャネル1が、オーラルアプリケーションの5~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
C5.チャネル4が、オーラルアプリケーションの5~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
C6.チャネル6が、オーラルアプリケーションの5~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
C7.チャネル9が、オーラルアプリケーションの5~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
C8.チャネル12が、オーラルアプリケーションの5~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す。
【請求項5】
ヒト対象のハピネスを改善する効果を有するオーラルケアフレーバー組成物を作出する方法であって、
(i)試験オーラルケアフレーバー組成物を作出するステップ;
(ii)請求項1から4のいずれか一項に記載の方法によりヒト対象のハピネス状態を改善するための試験オーラルケアフレーバー組成物の能力を評価するステップ;および
(iii)オーラルケアフレーバー組成物がヒト対象のハピネス状態を改善することが見出されるまで、必要に応じて、少なくとも1種のオーラルケアフレーバー成分を添加および/もしくは除去すること、ならびに/または少なくとも1種のオーラルケアフレーバー成分の濃度を増加および/もしくは低減させることによって試験オーラルケアフレーバー組成物を調整するステップ
を含む、方法。
【請求項6】
ステップ(iii)において、少なくとも1種のHMPオーラルケアフレーバー成分が試験オーラルケアフレーバー組成物に添加され、ならびに/または少なくとも1種のHMRオーラルケアフレーバー成分が試験オーラルケアフレーバー組成物に添加され、ならびに/または少なくとも1種のHMIオーラルケアフレーバー成分が試験オーラルケアフレーバー組成物に添加され、ならびに/または少なくとも1種のINVオーラルケアフレーバー成分が試験オーラルケアフレーバー組成物から除去され、ならびに/または少なくとも1種のRELオーラルケアフレーバー成分が試験オーラルケアフレーバー組成物から除去され、ならびに/または少なくとも1種のHMPおよび/もしくはHMRおよび/もしくはHMIオーラルケアフレーバー成分の濃度が増加され、ならびに/または少なくとも1種のINVおよび/もしくはRELオーラルケアフレーバー成分の濃度が低減され、ここで、
-HMPオーラルケアフレーバー成分は、フルーティー-ストロベリー成分、フルーティー-ラズベリー成分、フルーティー-アップル成分、フルーティー-バナナ成分、フローラル-フリージア成分、フローラル-リリーオブザバレー成分、アニマリック-ブチリック成分、酢酸、およびそれらの混合物からなる群から選択され;
-HMRオーラルケアフレーバー成分は、フルーティー-パイナップル成分、フルーティー-ピーチ成分、ハーバル-スペアミント成分、レモンオイル、レモンオイル再構成物、およびそれらの混合物からなる群から選択され;
-HMIオーラルケアフレーバー成分は、シトラス-オレンジ成分、スパイシー-シナモン成分、フローラル-ジャスミン成分、クーリング成分、アロマティック-ウィンターグリーン成分、ライムテルペン、ライムテルペンレス、およびそれらの混合物からなる群から選択され;
-INVオーラルケアフレーバー成分は、シトラス-ライム成分(ライムテルペンおよびライムテルペンレスを除外)、シトラス-マンダリン成分、シトラス-グレープフルーツ成分、スパイシー-ペッパー成分、スパイシー-クローブ成分、ハーバル-ローズマリー成分、グリーン-グラス成分、ウッディ-レジナス成分、ハーバル-コニフェラス成分、ベルガモットオイル、3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-イルアセタート(リナリルアセタート)、3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-イル2-メチルプロパノアート(リナリルイソブチラート)、(E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエナール(シトラール)、レモングラス、リツエアクベバオイル、およびそれらの混合物からなる群から選択され;かつ
-RELオーラルケアフレーバー成分は、スイート-バニラ成分、スイート-ココナッツ成分、スイート-クックドシュガー成分、フルーティー-パッションフルーツ成分、ハーバル-タイム成分、セージオイルおよび再構成物、クラリーセージオイルおよび再構成物、カモミールオイルおよび再構成物、ラベンダーオイルおよび再構成物、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ヒト対象のハピネス状態を改善するためのオーラルケアフレーバー組成物であって、オーラルケアフレーバー組成物は、以下を含む、オーラルケアフレーバー組成物:
a)少なくとも1種のHMPオーラルケアフレーバー成分;
b)総計で少なくとも約15重量%のHMPおよび/またはHMIおよび/またはHMRオーラルケアフレーバー成分;
c)場合により総計で最大約85重量%の他のオーラルケアフレーバー成分、ただし、以下の条件が満たされる場合に限る:
(c1)PEPPERMINT+INV<75%
(c2)HMP+HMI>REL
(c3)HMP+HMR>INV
(c4)HMP/(HMP+REL+INV)≧0.3
ここで、
(i)すべてのパーセンテージは、オーラルケアフレーバー組成物を構成するオーラルケアフレーバー成分の総重量に基づき;
(ii)HMPは、HMPオーラルケアフレーバー成分のパーセンテージの合計を指し示し;HMIは、HMIオーラルケアフレーバー成分のパーセンテージの合計を指し示し;HMRは、HMRオーラルケアフレーバー成分のパーセンテージの合計を指し示し;PEPPERMINTは、PEPPERMINTオーラルケアフレーバー成分のパーセンテージの合計を指し示し;INVは、INVオーラルケアフレーバー成分のパーセンテージの合計を指し示し;かつRELは、RELオーラルケアフレーバー成分のパーセンテージの合計を指し示し;
(iii)記号≧は、少なくとも等しいことを指し示し;
(iv)HMPオーラルケアフレーバー成分は、フルーティー-ストロベリー成分、フルーティー-ラズベリー成分、フルーティー-アップル成分、フルーティー-バナナ成分、フローラル-フリージア成分、フローラル-リリーオブザバレー成分、アニマリック-ブチリック成分、酢酸、およびそれらの混合物からなる群から選択され;
(v)HMIオーラルケアフレーバー成分は、シトラス-オレンジ成分、スパイシー-シナモン成分、フローラル-ジャスミン成分、クーリング成分、アロマティック-ウィンターグリーン成分、ライムテルペン、ライムテルペンレス、およびそれらの混合物からなる群から選択され;
(vi)HMRオーラルケアフレーバー成分は、フルーティー-パイナップル成分、フルーティー-ピーチ成分、ハーバル-スペアミント成分、レモンオイル、レモンオイル再構成物、およびそれらの混合物からなる群から選択され;
(vii)PEPPERMINTオーラルケアフレーバー成分は、ペパーミントの官能的属性を有し;
(viii)INVオーラルケアフレーバー成分は、シトラス-ライム成分(ライムテルペンおよびライムテルペンレスを除外)、シトラス-マンダリン成分、シトラス-グレープフルーツ成分、スパイシー-ペッパー成分、スパイシー-クローブ成分、ハーバル-ローズマリー成分、グリーン-グラス成分、ウッディ-レジナス成分、ハーバル-コニフェラス成分、ベルガモットオイル、3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-イルアセタート(リナリルアセタート)、3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-イル2-メチルプロパノアート(リナリルイソブチラート)、(E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエナール(シトラール)、レモングラス、リツエアクベバオイル、およびそれらの混合物からなる群から選択され;かつ
(ix)RELオーラルケアフレーバー成分は、スイート-バニラ成分、スイート-ココナッツ成分、スイート-クックドシュガー成分、フルーティー-パッションフルーツ成分、ハーバル-タイム成分、セージオイルおよび再構成物、クラリーセージオイルおよび再構成物、カモミールオイルおよび再構成物、ラベンダーオイルおよび再構成物、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される。
【請求項8】
総計で少なくとも約17重量%、より好ましくは少なくとも約20重量%のHMPおよび/またはHMIおよび/またはHMRオーラルケアフレーバー成分を含む、請求項7に記載のオーラルケアフレーバー組成物。
【請求項9】
以下の群のうちの1つまたは複数から選択される少なくとも1種のHMPおよび/またはHMIおよび/またはHMRオーラルケアフレーバー成分を含む、請求項7または9に記載のオーラルケアフレーバー組成物:
-ベンジル3-フェニルプロパ-2-エノアート(ベンジルシンナマート)、エチルブタノアート(エチルブチラート)、エチル2-メチルプロピオナート(エチルイソブチラート)、エチル3-フェニルプロパ-2-エノアート(エチルシンナマート)、メチル3-フェニルプロパ-2-エノアート(メチルシンナマート)、エチル3-フェニルオキシラン-2-カルボキシラート(エチルフェニルグリシダート)、エチル3-メチル-3-フェニルオキシラン-2-カルボキシラート(エチルメチルフェニルグリシダート)、2-フェニルエチルブタノアート(フェニルエチルブチラート)、ベンジルブタノアート(ベンジルブチラート)、エチル3-メチルブタノアート(エチルイソバレラート)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-ストロベリー成分;
-4-(4-ヒドロキシフェニル)ブタン-2-オン(ラズベリーケトン)、メチオキシフェニルブタノン、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-ラズベリー成分;
-エチル2-メチルブタノアート(エチル2-メチルブチラート)、エチル3-オキソブタノアート(エチルアセトアセタート)、エチル2-メチルペンタノアート(manzanate)、(Z)-ヘキサ-3-エニルアセタート(シス-3-ヘキセニルアセタート)、(E)-2-ヘキセナール(トランス-2-ヘキセナール)、ジエチルプロパンジオアート(ジエチルマロナート)、[(E)-ヘキサ-2-エニル]アセタート(トランス-2-ヘキセニルアセタート)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-アップル成分;
-ペンチルプロパノアート(アミルプロピオナート)、3-メチルブチル3-メチルブタノアート(イソアミルイソバレラート)、6-メチルヘプタ-5-エン-2-オン(メチルヘプテノン)、3-メチルブチルブタノアート(イソアミルブチラート)、3-メチルブチルアセタート(イソアミルアセタート)、ペンチルブタノアート(アミルブチラート)、ブチルアセタート、2-メチルプロピルアセタート(イソブチルアセタート)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-バナナ成分;
-3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-オール(リナロール)、2-(4-メチル-1-シクロヘキサ-3-エニル)プロパン-2-イルアセタート(テルピニルアセタート)、2-(4-メチル-1-シクロヘキサ-3-エニル)プロパン-2-オール(テルピネオールアルファ)、3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-イル(E)-3-フェニルプロパ-2-エノアート(リナリルシンナマート)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフローラル-フリージア成分;
-7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール(ヒドロキシシトロネラール)、2-メチル-3-(4-プロパン-2-イルフェニル)プロパナール(シクラメンアルデヒド)、3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパナール(tropional)、2,6-ジメチルヘプタ-5-エナール(melonal)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフローラル-リリーオブザバレー成分;
-ブタン酸(酪酸)、オクタン酸、2-メチルブタン酸(2メチル酪酸)、ヘキサン酸(カプロン酸)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のアニマリック-ブチリック成分;
-オレンジオイル、オレンジテルペン、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のシトラス-オレンジ成分;
-カッシアオイル、3-フェニルプロパ-2-エナール(シンナミックアルデヒド)、2-メチル-3-フェニルプロパ-2-エナール(メチルシンナミックアルデヒド)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のスパイシー-シナモン成分;
-N-(4-シアノメチルフェニル)p-メンタンカルボキサミド(Evercool180)、2-イソプロピル-5-メチル-N-(2-(ピリジン-2-イル)エチル)シクロヘキサンカルボキサミド(Evercool190)、3-(5-メチル-2-プロパン-2-イルシクロヘキシル)オキシプロパン-1,2-ジオール(Coolact P)、(1R,2R,5S)-5-メチル-2-プロパ-1-エン-2-イル-シクロヘキサン-1-オール(Coolact10)、エチル2-[[(1R,2S,5R)-5-メチル-2-プロパン-2-イルシクロヘキサン-カルボニル]アミノ]アセタート(WS-5)、(1R,2S,5R)-N-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-2-(1-メチルエチル)シクロヘキサンカルボキサミド(WS-12)、N-エチル-5-メチル-2-プロパン-2-イルシクロ-ヘキサン-1-カルボキサミド(WS-3)、N,2,3-トリメチル-2-プロパン-2-イルブタンアミド(WS-23)、(E)-3-ベンゾ(d)[1,3]ジオキソール-5-イル)-N,N-ジフェニルアクリルアミド(Icool MC6)、2-(p-トリルオキシ)-N-(1H-ピラゾール-5-イル)-N-((チオフェン-2-イル)メチル)アセトアミド(Freezestorm)、[(1R,2S,5R)-5-メチル-2-プロパン-2-イルシクロヘキシル]2-ヒドロキシプロパノアート(Frescolat ML)、2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキシルオキシカルボニルオキシ-2-ヒドロキシプロパン(Frescolat MGC)、2-ヒドロキシプロピル(5-メチル-2-プロパン-2-イルシクロヘキシル)カルボナート(Frescolat MPC)、9-メチル-6-(1-メチルエチル)-1,4-ジオキサスピロ-[4,5]デカン-2-メタノール(Frescolat MGA)、メンチルラクタート、モノ-メンチルスクシナート、メンチルメチルエーテル、(2E)-3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-N,N-ジフェニルアクリルアミド(iCool MC6)、1-メチル-3-ヒドロキシブチラート、2-{[5-メチル-2-(プロパン-2-イル)シクロヘキシル]オキシ}エタノール(Coolact5)、2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-5-メチルシクロヘキサン-1-オールの異性体混合物(Coolact38D)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のクーリング成分;
-エチル2-ヒドロキシベンゾアート(エチルサリチラート)、メチル2-ヒドロキシベンゾアート(メチルサリチラート)、ウィンターグリーンオイル、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のアロマティック-ウィンターグリーン成分;
-ペンチルヘキサノアート(アミルカプロアート)、プロパ-2-エニル3-シクロヘキシルプロパノアート(アリルシクロヘキシルプロピオナート)、3-メチルブチルヘキサノアート(イソアミルカプロアート)、メチルヘキサノアート、エチルヘキサノアート、エチルヘプタノアート、2-フェニルエチル2-メチルプロパノアート(フェニルエチルイソブチラート)、プロパ-2-エニルプロパノアート(アリルプロピオナート)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-パイナップル成分;
-5-ヘプチルジヒドロフラン-2(3H)-オン(ウンデカラクトンガンマ)、5-ヘキシルオキソラン-2-オン(デカラクトンガンマ)、5-オクチルオキソラン-2-オン(ドデカラトンガンマ)、6-ヘプチルオキサン-2-オン(ドデカラトンデルタ)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-ピーチ成分;および
-スペアミントオイル、(1R,5S)-2-メチル-5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサ-2-エン-1-オールおよび(1R,5R)-2-メチル-5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサ-2-エン-1-オール(トランス-およびシス-カルベオール)および(5R)-2-メチル-5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(L-カルボン)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のハーバル-スペアミント成分。
【請求項10】
PEPPERMINT+INV<70%、より好ましくはPEPPERMINT+INV<65%、および最も好ましくはPEPPERMINT+INV<60%である、請求項7から9のいずれか一項に記載のオーラルケアフレーバー組成物。
【請求項11】
HMP/(HMP+REL+INV)≧0.35、より好ましくはHMP/(HMP+REL+INV)≧0.40、および最も好ましくはHMP/(HMP+REL+INV)≧0.45である、請求項7から10のいずれか一項に記載のオーラルケアフレーバー組成物。
【請求項12】
請求項7から11のいずれか一項に記載のオーラルケアフレーバー組成物を含む消費者製品。
【請求項13】
請求項7から12のいずれか一項に記載のオーラルケアフレーバー組成物の有効量をヒト対象に提供するステップを含む、ヒト対象のハピネス状態を改善する方法。
【請求項14】
ヒト対象のハピネス状態を改善するためのオーラルケアフレーバー成分の使用であって、オーラルケアフレーバー成分が、以下からなる群から選択される、オーラルケアフレーバー成分の使用:
-ベンジル3-フェニルプロパ-2-エノアート(ベンジルシンナマート)、エチルブタノアート(エチルブチラート)、エチル2-メチルプロピオナート(エチルイソブチラート)、エチル3-フェニルプロパ-2-エノアート(エチルシンナマート)、メチル3-フェニルプロパ-2-エノアート(メチルシンナマート)、エチル3-フェニルオキシラン-2-カルボキシラート(エチルフェニルグリシダート)、エチル3-メチル-3-フェニルオキシラン-2-カルボキシラート(エチルメチルフェニルグリシダート)、2-フェニルエチルブタノアート(フェニルエチルブチラート)、ベンジルブタノアート(ベンジルブチラート)、エチル3-メチルブタノアート(エチルイソバレラート)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-ストロベリー成分;
-4-(4-ヒドロキシフェニル)ブタン-2-オン(ラズベリーケトン)、メチオキシフェニルブタノン、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-ラズベリー成分;
-エチル2-メチルブタノアート(エチル2-メチルブチラート)、エチル3-オキソブタノアート(エチルアセトアセタート)、エチル2-メチルペンタノアート(manzanate)、(Z)-ヘキサ-3-エニルアセタート(シス-3-ヘキセニルアセタート)、(E)-2-ヘキセナール(トランス-2-ヘキセナール)、ジエチルプロパンジオアート(ジエチルマロナート)、[(E)-ヘキサ-2-エニル]アセタート(トランス-2-ヘキセニルアセタート)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-アップル成分;
-ペンチルプロパノアート(アミルプロピオナート)、3-メチルブチル3-メチルブタノアート(イソアミルイソバレラート)、6-メチルヘプタ-5-エン-2-オン(メチルヘプテノン)、3-メチルブチルブタノアート(イソアミルブチラート)、3-メチルブチルアセタート(イソアミルアセタート)、ペンチルブタノアート(アミルブチラート)、ブチルアセタート、2-メチルプロピルアセタート(イソブチルアセタート)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-バナナ成分;
-3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-オール(リナロール)、2-(4-メチル-1-シクロヘキサ-3-エニル)プロパン-2-イルアセタート(テルピニルアセタート)、2-(4-メチル-1-シクロヘキサ-3-エニル)プロパン-2-オール(テルピネオールアルファ)、3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-イル(E)-3-フェニルプロパ-2-エノアート(リナリルシンナマート)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフローラル-フリージア成分;
-7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール(ヒドロキシシトロネラール)、2-メチル-3-(4-プロパン-2-イルフェニル)プロパナール(シクラメンアルデヒド)、3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパナール(tropional)、2,6-ジメチルヘプタ-5-エナール(melonal)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフローラル-リリーオブザバレー成分;
-ブタン酸(酪酸)、オクタン酸、2-メチルブタン酸(2メチル酪酸)、ヘキサン酸(カプロン酸)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のアニマリック-ブチリック成分;
-オレンジオイル、オレンジテルペン、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のシトラス-オレンジ成分;
-カッシアオイル、3-フェニルプロパ-2-エナール(シンナミックアルデヒド)、2-メチル-3-フェニルプロパ-2-エナール(メチルシンナミックアルデヒド)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のスパイシー-シナモン成分;
-N-(4-シアノメチルフェニル)p-メンタンカルボキサミド(Evercool180)、2-イソプロピル-5-メチル-N-(2-(ピリジン-2-イル)エチル)シクロヘキサンカルボキサミド(Evercool190)、3-(5-メチル-2-プロパン-2-イルシクロヘキシル)オキシプロパン-1,2-ジオール(Coolact P)、(1R,2R,5S)-5-メチル-2-プロパ-1-エン-2-イル-シクロヘキサン-1-オール(Coolact10)、エチル2-[[(1R,2S,5R)-5-メチル-2-プロパン-2-イルシクロ-ヘキサンカルボニル]アミノ]アセタート(WS-5)、(1R,2S,5R)-N-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-2-(1-メチルエチル)シクロヘキサンカルボキサミド(WS-12)、N-エチル-5-メチル-2-プロパン-2-イル-シクロヘキサン-1-カルボキサミド(WS-3)、N,2,3-トリメチル-2-プロパン-2-イルブタンアミド(WS-23)、(E)-3-ベンゾ(d)[1,3]ジオキソール-5-イル)-N,N-ジフェニルアクリルアミド(Icool MC6)、2-(p-トリルオキシ)-N-(1H-ピラゾール-5-イル)-N-((チオフェン-2-イル)メチル)アセトアミド(Freezestorm)、[(1R,2S,5R)-5-メチル-2-プロパン-2-イルシクロヘキシル]2-ヒドロキシプロパノアート(Frescolat ML)、2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキシルオキシカルボニルオキシ-2-ヒドロキシプロパン(Frescolat MGC)、2-ヒドロキシプロピル(5-メチル-2-プロパン-2-イルシクロヘキシル)カルボナート(Frescolat MPC)、9-メチル-6-(1-メチル-エチル)-1,4-ジオキサスピロ-[4,5]デカン-2-メタノール(Frescolat MGA)、メンチルラクタート、モノ-メンチルスクシナート、メンチルメチルエーテル、(2E)-3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-N,N-ジフェニル-アクリルアミド(iCool MC6)、1-メチル-3-ヒドロキシブチラート、2-{[5-メチル-2-(プロパン-2-イル)シクロヘキシル]オキシ}エタノール(Coolact5)、2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-5-メチルシクロヘキサン-1-オールの異性体混合物(Coolact38D)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のクーリング成分;
-エチル2-ヒドロキシベンゾアート(エチルサリチラート)、メチル2-ヒドロキシベンゾアート(メチルサリチラート)、ウィンターグリーンオイル、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のアロマティック-ウィンターグリーン成分;
-ペンチルヘキサノアート(アミルカプロアート)、プロパ-2-エニル3-シクロヘキシルプロパノアート(アリルシクロヘキシルプロピオナート)、3-メチルブチルヘキサノアート(イソアミルカプロアート)、メチルヘキサノアート、エチルヘキサノアート、エチルヘプタノアート、2-フェニルエチル2-メチルプロパノアート(フェニルエチルイソブチラート)、プロパ-2-エニルプロパノアート(アリルプロピオナート)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-パイナップル成分;
-5-ヘプチルジヒドロフラン-2(3H)-オン(ウンデカラクトンガンマ)、5-ヘキシルオキソラン-2-オン(デカラクトンガンマ)、5-オクチルオキソラン-2-オン(ドデカラトンガンマ)、6-ヘプチルオキサン-2-オン(ドデカラトンデルタ)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-ピーチ成分;および
-スペアミントオイル、(1R,5S)-2-メチル-5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサ-2-エン-1-オールおよび(1R,5R)-2-メチル-5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサ-2-エン-1-オール(トランス-およびシス-カルベオール)および(5R)-2-メチル-5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(L-カルボン)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のハーバル-スペアミント成分。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト対象のハピネス状態を改善するための試験オーラルケアフレーバー成分または試験オーラルケアフレーバー組成物の能力を評価する方法、およびヒト対象のハピネス状態を改善する効果を有するオーラルケアフレーバー組成物を作出する方法に関する。さらに、ヒト対象のハピネス状態を改善するためのオーラルケアフレーバー組成物、そのようなオーラルケアフレーバー組成物を含む消費者製品、およびヒト対象のハピネス状態を改善する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フレグランスおよびフレーバーは、消費者の好みを促進する、心地よく、よく好まれた匂いおよびテイストをそれらの製品に付与し、かつこの理由のために購入決定に影響を与えるために、消費者製品会社によって幅広く採用されている。しかしながら、ますます競争の激しい市場では、あるブランドをその競合企業と差別化するためには、しばしば、単なる好みでは十分ではない。それで、それらの製品の市場での遂行において、消費者製品の会社は、典型的には多様な広告キャンペーンを通じて、ならびにそれらの製品の包装およびラベリングで(それらは一緒になってそれらのブランド戦略の重要なパートを形成する)伝達される広範な製品の利益を頻繁に言及する。新しい差別化効果が絶えず探索されており、それらの効果を達成する手段としてフレーバーがしばしば採用されてきた。例えば、フレーバーは、衛生効果、悪臭相殺効果およびその他などのオーラルケアに関してもよい、実際のまたは知覚される機能的効果を作出するために採用されてきた。
【0003】
その機能的効果に加えて、匂いおよびテイストは、ヒト対象において感情的応答を誘発することが知られている。ヒトの感情に対する匂いの一時的で有益な心理的効果は、学術文献で広く研究されている。例えば、ヒト対象の情動的(すなわち、感情的)経験に対する匂いの効果は、C.Chreaら(2009)、「Mapping the semantic space for the subjective experience of emotional responses to odours」、Chemical Senses、34(2009)49~62およびS.Delplanqueら「How to map the affective semantic space of Scents」、Cognition&Emotion 26(5)(2012)885~898によって研究されている。特に、これらの論文は、アンケートの形態で言語的な測定方法を記述しており、測定の用語は、香り付きおよびフレーバー付き製品から放出する匂いによって喚起される様々なムードおよび感情を差別化することが可能であるように選択される。しかしながら、これらの論文では、ウェルビーイングの認知的態様は過小に推定されており、かつ嗅覚機能に関連付けられるメモリー態様に限定されている。
【0004】
フレグランス材料およびエッセンシャルオイルは、ハピネスおよびウェルビーイングなフィーリングを促進することができることが長い間知られている。これらの材料はまた、同様の効果を提供するために化粧品およびアロマセラピーに使用されている。
【0005】
Aroma-Chology(登録商標)は、Olfactory Research Fund Ltd.によって創作された用語である(J.JellinekによるCosmetics&Toiletries、(1994)109、83~101頁の広範な総説を参照)。これは、具体的には、ムードおよび生活の質を改善するためのヒトの行動および感情におけるアロマの一時的で有益な心理的効果に関心が寄せられている。実のところ、アロマセラピーの利益を有するとして促進されている多数の製品は、一時的な心理的効果を生成するので、それらのAroma-Chology(登録商標)の利益に関してより正確に同定されることができる。しかしながら、成功の信頼できる予想を伴ってそのような利益を定性的または定量的に達成するために、製品をどのように配合するかについての教示はない。加えて、フレグランスおよびフレーバーは、異なる国において異なる属性に関連付けられていると知覚されることができることがよく知られている。
【0006】
より最近では、いくつかの特許出願(例を挙げると、WO02/49600、WO2008/050084、WO2008/050086、WO2020/165464)は、フレグランスおよびフレーバー組成物を介してポジティブなムード利益を提供することに焦点を当てており、どのようにこれらのムード利益を測定するかおよびどのように効果的なフレグランスおよびフレーバー組成物を作出するかに関するガイドラインを提供している。
【0007】
例として、WO2020/165464は、ウェルビーイングを増強するオーラルケアフレーバー組成物、ならびにヒト対象のウェルビーイングに対するオーラルケアフレーバー組成物のインパクトを測定する方法を記述している。この方法は、ウェルビーイングの概念を、ウェルビーイングの情動的または認知的要素に対して効果を有する重要な属性に分解するアンケートを採用している。重要な属性は、ウェルビーイングの総体的な概念に対する各属性の相対的重要性を反映する様式で重み付けされる。
【0008】
このように、WO2020/165464は、ウェルビーイングに対する全体的な効果を評価する方法を提供している。やはり、例として、リラクゼーション、インビゴレーション、またはハピネスなどの特定のムードおよび感情に対するフレグランスまたはフレーバー組成物の効果を評価できることは興味深いだろう。
【0009】
その上、WO2020/165464は、試験対象のムードおよび感情に対するオーラルケアフレーバー組成物の影響を評価するために消費者試験を使用している。しかしながら、消費者試験はいくつかの重要な欠点を有する:
-参加者からの生理学的情報の欠如
-脳内で発生している暗黙的な精神プロセスに関する情報がない
-匂いの明示的/宣言的な記述は、他の刺激(例を挙げると、写真の記述)よりもはるかに難しく、しばしば不正確な知見を結果として生じる
-参加者は、試験に提供される回答をコントロールすることができ、かつ実験者が気に入るように回答を変更してもよく(「参加者のバイアス」として心理学文献で知られている現象)、不正確なデータの収集につながる(https://doi.org/10.1016/0191-8869(86)90014-0)
-試料間で異なるムード状態を差別化することが困難
-格付けは、しばしば好みのスコアと相関する
-承諾する傾向-肯定的に回答する
-回避する傾向-ニュートラルで不確かで不明確な応答を選ぶこと
-スピードの傾向-正確によりもむしろ迅速に試験を完了すること
【0010】
したがって、ヒト対象のムード状態を評価するための改善された技術が開発され、それにより、測定中により柔軟性が可能になることが高度に望ましい。
【発明の概要】
【0011】
本発明により、上記問題が解決される。
【0012】
第1の態様では、本発明は、fNIRS(機能的近赤外分光法)の手段によってヒト対象のハピネス状態を評価する方法を提供する。
【0013】
第2の態様では、本発明は、ヒト対象のハピネス状態を改善するための試験オーラルケアフレーバー成分または試験オーラルケアフレーバー組成物の能力を評価する方法を提供する。
【0014】
第3の態様では、本発明は、ヒト対象のハピネスを改善する効果を有するオーラルケアフレーバー組成物を作出する方法を提供する。
【0015】
第4の態様では、本発明は、ヒト対象のハピネス状態を改善するためのオーラルケアフレーバー組成物を提供する。
【0016】
第5の態様では、本発明は、該オーラルケアフレーバー組成物を含む消費者製品を提供する。
【0017】
第6の態様では、本発明は、有効量の発明のオーラルケアフレーバー組成物をヒト対象に提供するステップを含む、ヒト対象のハピネス状態を改善する方法を提供する。
【0018】
第7の態様では、本発明は、ヒト対象のハピネス状態を改善するための、ある特定のオーラルケアフレーバー成分の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、fNIRSチャネルのセットアップを示す。
【
図2】
図2は、試験されたオーラルケアフレーバー組成物の一部のハッピーに関するオッズ比を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ヒト対象のムード状態、特にハピネス状態を評価するための機能的近赤外分光法(fNIRS)の使用は高度に有利である:fNIRSは無害であり、身体の動きに対して寛容であり、高度に可搬である;また、新生児から高齢者までのすべての可能な参加者集団、および実験室内外の両方の実験設定にも適している(総説については、「The present and future use of functional near-infrared spectroscopy(fNIRS)for cognitive neuroscience」、Pintiら、Ann.N.Y.Acad.Sci.1464(2020)5~29を参照)。特に、fNIRSの使用は、参加者に提供されるフレグランスに関する具体的なタスク(例を挙げると、汎用クリーナのフレグランスを嗅ぎながら硬質表面を浄化する)を彼らが実行するように依頼されるインコンテキスト試験を可能にする。
【0021】
fNIRSは、ニューロン活性化後の酸素化ヘモグロビン(オキシHbまたはHbO2)および脱酸素化ヘモグロビン(デオキシHbまたはHbR)の脳組織濃度変化の測定を可能にする光学的非侵襲的ニューロイメージング技術である。これは、NIR光(650nm~950nm)を頭部に照らすことによって達成され、かつこのNIR光学窓内の生物学的組織の相対的な透明性を利用して、光は脳組織に到達するだろう。NIR光学窓内の最も優勢かつ生理学的に依存的な吸収発色団はヘモグロビンである。その飽和状態に基づいて、私たちは、その酸素化(HbO2)および脱酸素化形態(HbR)のヘモグロビンを有することができる。特に、HbO2およびHbRはNIR光を異なって吸収する:HbO2吸収はλ>800nmでより高い;逆に、HbR吸収係数はλ<800nmでより高い。
【0022】
脳エリアが活動的であり、かつある特定のタスクの遂行に関与されている場合、酸素およびグルコースに対する脳の代謝要求は増加し、脳の増加した代謝要求を満たすために局所脳血流(CBF)の過剰供給につながる。局所CBFの過剰供給は、HbO2の増加およびHbR濃度の減少を生成する;これらは、fNIRSによって測定されることができる光減衰の変化によって推定される。
【0023】
NIR光によって調べられる組織の部分はチャネルと呼ばれ、かつ供給源オプトード(S)および検出器オプトード(D)の間の中間点、および供給源-検出器分離の約半分の深さに位置付けられる。fNIRSのポテンシャルを完全に活用するために、今日ではマルチチャネルデバイスが使用されている。これらは、頭部のより大きな部分のモニタリング、ならびにトポグラフィックなHbO2およびHbRマップの回収を可能にする。いくつかのマルチチャネルfNIRSデバイスが商業的に利用可能である(例を挙げると、ArtinisによるBrite、HitachiによるETG-4100、またはNIRxによるNIRSPort)。
【0024】
fNIRSチャネルのポジションは、一般的に、EEGの10-20システムに基づいて標準化される。典型的なデバイスは、約16~22個のチャネルを使用する。オプトード(検出器および供給源)は、典型的には、チャネル間の等距離、例を挙げると3cmの距離のグリッドに、交互のやり方で(すなわち、供給源、それに続く検出器、それに続く供給源...)置かれなければならない(Pintiら(2019)「Current Status and Issues Regarding Pre-processing of fNIRS Neuroimaging Data:An Investigation of Diverse Signal Filtering Methods Within a General Linear Model Framework」、Front.Hum.Neurosci.12:505.)。オプトードおよびチャネルの両方は、典型的には、同定を可能にするように番号付けされる。オプトードの場合、数字の前の文字Sは典型的には、供給源オプトードを定義する一方、数字の前のD文字は検出器オプトードを定義する。数字は、通常、漸進的であり、例を挙げると、供給源については1~8であり、かつ検出器については1~7である。
【0025】
本発明の方法では、以下のfNIRSチャネルのセットアップが使用された:
fNIRSチャネル12の中心は、EEG10-20システムよる標準ポジションEEGチャネルFPz上に置かれた(Trambaiolliら、「Predicting affective valence using cortical hemodynamic signals」、Sci Rep 8、5406(2018))。チャネル12は、供給源S5および検出器D4の間に位置付けられ、S5は、頭部の正中線上でEEGチャネルFPzの位置から鼻根に向かって1.5cmに据えられ、かつD4は、頭部の正中線上でEEGチャネルFPzの位置から後頭極に向かって1.5cmに据えられる。すべてのfNIRSオプトードは、互いに3cmの標準化された距離に置かれ、かつ正中線に平行および直交して延びるグリッドライン上に並べられる。参照としてS5およびD4をとり、かつ鼻根-後頭極方向(ここで、「前方」は鼻根に向かうことを意味し、かつ「後方」は後頭極に向かうことを意味する)またはPre Auricolarライン(「左に」は左のPre Auricolarラインに向かうことを意味し、かつ「右に」は右のPre Auricolarラインに向かうことを意味する)のいずれかで各オプトードについて3cmのシフトを考慮すると、S4はD4の後方にあり、S4の右にD5、D5の右にS7、S7の前方にD7、D7の前方にS8、D7の左にS6、S8の左にD6、S4の左にD2、D4の左にS3、S3の前方にD3、D2の左にS1、S1の前方にD1、かつD1の前にS2がある。このセットアップはまた、
図1に示されている。
【0026】
【0027】
このように、半球(左または右)あたり9個のチャネル、ならびに前頭野および前頭前野の正中線に2個のチャネルがある。チャネル1~8および11は左半球に位置付けられ、チャネル9および12は正中線上にあり、かつチャネル10および13~20は右半球にある。チャネル9および12は、全脳分析のためにのみ考慮される。
【0028】
広範なリサーチによって、脳のある特定のエリア、特にある特定のチャネルは、ヒト対象のハピネス状態を評価するためのインジケータとして使用されることができることが見出された。より具体的には、ある特定の時点での左もしくは右半球、全脳、またはある特定の具体的なチャネルにおけるオキシHb、デオキシHbおよび/または総Hb(オキシHb+デオキシHbの合計に対応する)の増加または減少は、ヒト対象のハピネス状態が増加されたか、または減少されたか、またはほぼ同じままであるかに関する指標を提供する。詳細は、以下に概説される方法に関係して記述されるだろうが、ヒト対象のハピネス状態を評価する一般的な方法にも同じように適用する。
【0029】
上記の知見は、本発明において適用されて、ヒト対象のハピネス状態を改善するための試験オーラルケアフレーバー成分または試験オーラルケアフレーバー組成物の能力を評価する方法を提供する。
【0030】
該方法は、以下のステップを含む:
1.1または複数のヒト試験対象のベースハピネス状態を測定するステップ;
2.試験オーラルケアフレーバー成分または試験オーラルケアフレーバー組成物を、オーラルアプリケーションのためにヒト試験対象に提供するステップ;
3.結果として生じるヒト試験対象のハピネス状態を測定するステップ;および
4.ヒト試験対象に対して、結果として生じるハピネス状態およびベースハピネス状態の間の差異を決定するステップ。
【0031】
ベースハピネス状態および結果として生じるハピネス状態は、ヒト試験対象の左脳半球、右脳半球、および全脳の機能的近赤外分光法(fNIRS)によって測定される。
【0032】
ベースハピネス状態を測定するために、ヒト試験対象(複数可)は、フレーバーのない試料、例を挙げると水が提供されてもよい。
【0033】
あるいは、例を挙げると参照マウスウォッシュまたは練り歯磨き試料の存在下で、参照ハピネス状態を測定することもまた可能である。
【0034】
試料は、オーラルアプリケーションのために提供される。この開示を通して、「オーラルアプリケーション」は、限定されないが、液体でうがいをすること、液体またはエアロゾルをスプレーすること、ゲルまたはペーストで歯をブラッシングすること、チューイングガムを噛むこと、歯茎またはリップに材料を擦ること、デンタルフロスを使用すること、練り歯磨きまたはマウスウォッシュタブレットを噛むこと、歯および/または歯茎にホワイトニングフィルムを適用すること、義歯固定ゲルまたはクリームを適用すること、ならびに他には歯茎、舌、口蓋、歯、リップおよび/または喉に材料を適用することを包含する、材料を飲み込むことなく経口的に適用するすべての手段を網羅することが意味される。
【0035】
オーラルアプリケーションの持続期間は結果に関連しないことが見出された。
【0036】
1を超えるヒト試験対象が関与される場合、差異を決定する前に、ベースハピネス状態および結果として生じるハピネス状態の結果が平均化されてもよい。あるいは、各ヒト試験対象に対する差異を別々に決定することもまた可能である。
【0037】
以下の8個の条件A1からA8のうちの少なくとも1個が満たされる場合、試験オーラルケアフレーバー成分または試験オーラルケアフレーバー組成物は、ヒト対象のハピネス状態を改善することができることが見出された:
A1.チャネル14が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
A2.チャネル15が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
A3.チャネル18が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
A4.チャネル19が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
A5.チャネル1が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
A6.チャネル3が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
A7.チャネル4が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
A8.チャネル5が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す。
【0038】
上で概説されたように、総Hbは、測定された総ヘモグロビンの量であり、オキシHbは、測定された酸素化ヘモグロビンの量であり、かつデオキシHbは、測定された脱酸素化ヘモグロビンの量である。
【0039】
左脳半球のヘモグロビン値は、上で定義されたように、チャネル1~8および11の個々のヘモグロビン値の数学的平均に対応する。
【0040】
右脳半球のヘモグロビン値は、上で定義されたように、チャネル10および13~20の個々のヘモグロビン値の数学的平均に対応する。
【0041】
全脳のヘモグロビン値は、上で定義されたように、すべてのチャネル1~20の個々のヘモグロビン値の数学的平均に対応する。
【0042】
ヘモグロビンレベル(総Hb、オキシHb、およびデオキシHb)に対する効果は、経時的に変動してもよい。いくつかの異なる時間の期間、例を挙げると、0~5秒後、0~10秒後、5~10秒後、10~15秒後、15~20秒後、10~20秒後、20~25秒後、25~30秒後、または30秒後にヘモグロビン値を分析することによって、より正確な結果が得られることができることが見出された。これらの時間窓は、HRF(血流動態反応関数)に十分な時間を提供して上下させ(ピーク時間は刺激の初期提示後約3~5秒である)、かつ2つの条件間の差異をディスプレイするので、fNIRSシグナルの変化を査定するための最適な選定である。
【0043】
統計学的な有意性は、両側スチューデントt検定を使用して検証され、統計学的な有意性の閾値は0.05である。
【0044】
この出願を通して、「ハピネス状態を改善する」、「ハピネス状態を増加させる」、および「ハピネス状態を増強する」、および「ハピネスを増加させる」という用語は互換的に使用される。それらは、ある特定のアイテム、特にオーラルケアフレーバー成分またはオーラルケアフレーバー組成物またはそれを含有する消費者製品が、ヒト対象に対してポジティブなムード増強効果を有することを表現することが意味される。換言すれば、それらはハピネスなどのポジティブなムードおよび感情を誘導し、かつ人々をハッピーな、高揚した、喜んでいる、楽観的な、および夢中な気持ちにする。
【0045】
この感情のテリトリーは、典型的には、影響の円環モデルによって定義されており(Posner J、Russell JA、Peterson BS.The circumplex model of affect:an integrative approach to affective neuroscience,cognitive development,and psychopathology.Dev Psychopathol.2005;17(3):715~734.doi:10.1017/S0954579405050340)、ハッピーなポジティブのムードは、ハピネス、興奮および満足感のフィーリングによって表される。
【0046】
この感情の空間は、楽観主義および満足などのポジティブな感情をさらに包含し、それらの内面のハピネスのフィーリング、ならびにまた、喜び、夢中、陶酔およびしばしば他者と共有される陽気などの高度に活性化された感情を反映することが今では見出されている。
【0047】
このように、本出願は、一般に、満足感などのポジティブな低く活性化されたムード状態から興奮などの高度に活性化されたポジティブなハッピームードまでのハピネスの範囲に広がる、ポジティブな感情の増強に関する。これらのハピネスのポジティブなムード状態は、限定されないが、楽観主義および満足などの内面のハピネスのフィーリング、ならびに喜び、夢中、陶酔および陽気などの高度に活性化されたハピネスのフィーリングを包含する。
【0048】
この出願を通して、「フレーバー」、「テイスト」および「アロマ」という用語は互換的に使用される。
【0049】
その上、また、「(オーラルケアフレーバー)成分」および「(オーラルケアフレーバー)材料」という用語も互換的に使用される。本発明のコンテキストにおいて、「オーラルケアフレーバー成分」という用語は、注目に値しかつ同定可能なフレーバーをオーラルケア組成物に提供する機能を有する成分を指す。オーラルケアフレーバー成分は、強烈な印象を提供することが意図された高度に性能を発揮する成分、ならびに微かな印象を提供することが意図されたより少なく性能を発揮する成分を包含する。
【0050】
「フレーバー組成物」という用語は、2種またはそれを超えるフレーバー成分の混合物に関する。これは、場合により、例を挙げると、フレーバー材料のためのビヒクルとして、1種または複数のテイストのないまたはテイストの少ない溶媒および/または希釈剤を包含してもよい。
【0051】
この出願を通して、「(ヒト)試験対象」および「参加者」という用語は互換的に使用される。
【0052】
好ましくは、例えば5を超える、10を超える、15を超える、またはさらに多くのより代表的でかつ信頼できる結果を得るために、いくつかのヒト試験対象が発明の方法に関与される。いくつかのヒト試験対象からの結果は、平均化されてもよい。あるいは、それらはまた合計されてもよい。
【0053】
その上、ある特定の試験オーラルケアフレーバー成分または試験オーラルケアフレーバー組成物を好まないことを指し示す参加者は、それぞれの分析から除外されてもよい。
【0054】
本発明の方法は、ヒト対象のハピネス状態を改善するための試験オーラルケアフレーバー成分または試験オーラルケアフレーバー組成物の能力の、速く単純でかつ信頼できる評価を可能にする。オーラルケアフレーバーは、非運動実験室設定からインコンテキスト試験まで、多種多様な設定で試験されてもよい。その上、方法は、潜在意識の効果を検出することを可能にし、それによって、例として、不正な応答、以前のサーベイバイアス、および曖昧さに起因して、限定された、しばしば不正確な情報しかしばしば提供しない、意識的な方法(例を挙げると、問合せ)の共通の課題を回避する。
【0055】
ハッピーオーラルケアフレーバー成分またはオーラルケアフレーバー組成物として認定されるためには、試験オーラルケアフレーバー成分/組成物は、8個の条件A1からA8のうちの少なくとも1個を満足しなければならない。好ましくは、条件A1からA8のうちの少なくとも2個、より好ましくは少なくとも3個、最も好ましくは少なくとも4個が満たされる。
【0056】
最も信頼できる結果は、条件A2、A3、A4、A5、A6、A7、およびA8に対して観察された。
【0057】
したがって、ある実施形態では、以下の条件:A2、A3、A4、A5、A6、A7、およびA8のうちの少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個が満たされる。
【0058】
より具体的には、出願人は、ヒト対象のハピネス状態に対する効果を特に指し示す、ある特定の具体的なチャネル、ヘモグロビンの種類および時点を同定した。
【0059】
したがって、ある実施形態では、以下の9個の条件B1からB9のうちの少なくとも1個、より好ましくは少なくとも2個、最も好ましくは少なくとも3個が満たされる:
B1.チャネル14が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、オキシHbの統計学的に有意な差異を示す;
B2.チャネル16が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、オキシHbの統計学的に有意な差異を示す;
B3.チャネル18が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、オキシHbの統計学的に有意な差異を示す;
B4.チャネル20が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、オキシHbの統計学的に有意な差異を示す;
B5.チャネル2が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、オキシHbの統計学的に有意な差異を示す;
B6.チャネル3が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、オキシHbの統計学的に有意な差異を示す;
B7.チャネル4が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、オキシHbの統計学的に有意な差異を示す;
B8.チャネル5が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、オキシHbの統計学的に有意な差異を示す;
B9.チャネル6が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、オキシHbの統計学的に有意な差異を示す。
【0060】
最も信頼できる結果は、条件B2、B3、B4、B5、B7、およびB8に対して観察された。
【0061】
したがって、ある実施形態では、以下の条件:B2、B3、B4、B5、B7、およびB8のうちの少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個が満たされる。
【0062】
以下の8個の条件C1からC8のうちの少なくとも1個、より好ましくは少なくとも2個、最も好ましくは少なくとも3個が満たされる場合、ハッピー効果を提供するためのオーラルケアフレーバー成分または組成物の有効性がなおさらに改善され得ることが見出された:
C1.チャネル16が、オーラルアプリケーションの5~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
C2.チャネル19が、オーラルアプリケーションの5~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
C3.チャネル20が、オーラルアプリケーションの5~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
C4.チャネル1が、オーラルアプリケーションの5~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
C5.チャネル4が、オーラルアプリケーションの5~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
C6.チャネル6が、オーラルアプリケーションの5~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
C7.チャネル9が、オーラルアプリケーションの5~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
C8.チャネル12が、オーラルアプリケーションの5~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す。
【0063】
最も信頼できる結果は、条件C1、C4、C5、C6、およびC8に対して観察された。
【0064】
したがって、ある実施形態では、以下の条件:C1、C4、C5、C6、およびC8のうちの少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個が満たされる。
【0065】
上に記述されている評価の方法に基づいて、ヒト対象のハピネスを改善する効果を有するオーラルケアフレーバー組成物を作出するためのガイドラインを開発することが可能であった。
【0066】
したがって、本発明はまた、ヒト対象のハピネスを改善する効果を有するオーラルケアフレーバー組成物を作出する方法を提供し、方法は、
(i)試験オーラルケアフレーバー組成物を作出するステップ;
(ii)上に記述されている方法によるヒト対象のハピネス状態を改善するための試験オーラルケアフレーバー組成物の能力を評価するステップ;および
(iii)オーラルケアフレーバー組成物がヒト対象のハピネス状態を改善することが見出されるまで、必要に応じて、少なくとも1種のオーラルケアフレーバー成分を添加および/もしくは除去すること、ならびに/または少なくとも1種のオーラルケアフレーバー成分の濃度を増加および/もしくは低減させることによって試験オーラルケアフレーバー組成物を調整するステップ
を含む。
【0067】
したがって、試験オーラルケアフレーバー組成物がハピネスを増加させる効果を提供するか否かが最初に評価される。その後、必要に応じて、組成物は調整されて、改善されたオーラルケアフレーバー組成物を作出する。
【0068】
ステップ(ii)および(iii)は、必要および/または所望に応じて繰り返されてもよい。
【0069】
HMP、HMR、およびHMIなどのハッピー成分のレベルを増加させることは、オーラルケアフレーバー組成物がハピネスの利益を送達するに適した特徴を有するだろう可能性を増加させる。他の成分(例を挙げるとINVまたはREL)は、オーラルケアフレーバー組成物中のそれらのレベルが増加される場合、利益が達成されるだろう可能性を低減させる。
【0070】
したがって、一実施形態では、少なくとも1種のHMPオーラルケアフレーバー成分が、ステップ(iii)において(試験)オーラルケアフレーバー組成物に添加される。
【0071】
あるいはまたは加えて、少なくとも1種のHMRオーラルケアフレーバー成分が、ステップ(iii)において(試験)オーラルケアフレーバー組成物に添加されてもよい。
【0072】
あるいはまたは加えて、少なくとも1種のHMIオーラルケアフレーバー成分が、ステップ(iii)において(試験)オーラルケアフレーバー組成物に添加されてもよい。
【0073】
あるいはまたは加えて、少なくとも1種のINVオーラルケアフレーバー成分が、ステップ(iii)において(試験)オーラルケアフレーバー組成物から除去されてもよい。
【0074】
あるいはまたは加えて、少なくとも1種のRELオーラルケアフレーバー成分が、ステップ(iii)において(試験)オーラルケアフレーバー組成物から除去されてもよい。
【0075】
あるいはまたは加えて、少なくとも1種のHMPオーラルケアフレーバー成分の濃度が、ステップ(iii)において増加されてもよい。
【0076】
あるいはまたは加えて、少なくとも1種のHMRオーラルケアフレーバー成分の濃度が、ステップ(iii)において増加されてもよい。
【0077】
あるいはまたは加えて、少なくとも1種のHMIオーラルケアフレーバー成分の濃度が、ステップ(iii)において増加されてもよい。
【0078】
あるいはまたは加えて、少なくとも1種のINVオーラルケアフレーバー成分の濃度が、ステップ(iii)において低減されてもよい。
【0079】
あるいはまたは加えて、少なくとも1種のRELオーラルケアフレーバー成分の濃度が、ステップ(iii)において低減されてもよい。
【0080】
以下のオーラルケアフレーバー成分はハッピー効果を有し、このように、HMPオーラルケアフレーバー成分:フルーティー-ストロベリー成分、フルーティー-ラズベリー成分、フルーティー-アップル成分、フルーティー-バナナ成分、フローラル-フリージア成分、フローラル-リリーオブザバレー成分、アニマリック-ブチリック成分、酢酸、およびそれらの混合物であることが見出された。
【0081】
以下のオーラルケアフレーバー成分はハッピー-リラックス効果を有し、このように、HMRオーラルケアフレーバー成分:フルーティー-パイナップル成分、フルーティー-ピーチ成分、ハーバル-スペアミント成分、レモンオイル、レモンオイル再構成物、およびそれらの混合物であることが見出された。
【0082】
以下のオーラルケアフレーバー成分はハッピー-インビゴレーティング効果を有し、このように、HMIオーラルケアフレーバー成分:シトラス-オレンジ成分、スパイシー-シナモン成分、フローラル-ジャスミン成分、クーリング成分、アロマティック-ウィンターグリーン成分、ライムテルペン、ライムテルペンレス、およびそれらの混合物であることが見出された。
【0083】
以下のオーラルケアフレーバー成分はインビゴレーティング効果を有し、このように、INVオーラルケアフレーバー成分:シトラス-ライム成分(ライムテルペンおよびライムテルペンレスを除外)、シトラス-マンダリン成分、シトラス-グレープフルーツ成分、スパイシー-ペッパー成分、スパイシー-クローブ成分、ハーバル-ローズマリー成分、グリーン-グラス成分、ウッディ-レジナス成分、ハーバル-コニフェラス成分、ベルガモットオイル、3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-イルアセタート(リナリルアセタート)、3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-イル2-メチルプロパノアート(リナリルイソブチラート)、(E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエナール(シトラール)、レモングラス、リツエアクベバオイル、およびそれらの混合物であることが見出された。
【0084】
以下のオーラルケアフレーバー成分はリラックス効果を有し、このように、RELオーラルケアフレーバー成分:スイート-バニラ成分、スイート-ココナッツ成分、スイート-クックドシュガー成分、フルーティー-パッションフルーツ成分、ハーバル-タイム成分、セージオイルおよび再構成物、クラリーセージオイルおよび再構成物、カモミールオイルおよび再構成物、ラベンダーオイルおよび再構成物、ならびにそれらの混合物であることが見出された。
【0085】
本明細書で有用なフレーバー成分を記述するために自明な名称が使用される場合、熟練したフレーバーリストは、これらがフレーバー設計の当技術分野で共通して使用される名称であることを理解するであろう。しかしながら、熟練したフレーバーリストはまた、これらの成分が、他の自明な同義語、CAS登録番号によって、またはIUPAC命名法などのより正式な命名法によって知られてもよいことを理解するであろう。その上、熟練したフレーバーリストは、これらの他の自明な同義語、ならびにより正式な命名法に精通しているか、または少なくとも、フレーバーリストのパレットに含有されるフレーバー成分の自明な名称、登録番号、およびより正式な命名法の包括的なリストを含有する、The Good Scents Companyのウェブサイトなどの標準的な参照ワークに通じているだろう。
【0086】
フレーバー組成物および個々のフレーバー成分は、それらのフレーバーの属性によって特徴付けられてもよい。フレーバーの作出は科学パートおよび芸術パートであり、フレーバー組成物およびフレーバー成分のフレーバーの属性について絶対的に規定された定義はないが、それにもかかわらず、一部の主観に対するマージンがあることを認識する訓練されたフレーバーリストは、フレーバー組成物および成分を一般的なフレーバーの記述子およびフレーバーのファミリーに割り当てることが可能であろう。
【0087】
フレーバーのファミリーは、フレーバー空間の一般的な記述を提供し、かつそれらの数は通常限定されている。これ故に、フレーバーの作出に使用され、かつ本発明のコンテキストにおいて特に有用な成分の大部分は、「アルデヒディック」、「アンベリー」、「アニマリック」、「アロマティック/ハーバル」、「シトラス」、「クーリング」、「アーシー」、「フローラル」、「フルーティー」、「グリーン」、「ムスキー」、「ロースティッド」、「スパイシー」、「スイート」、「ウォーミング」、「ウォータリー」、および「ウッディ」からなる群から選択されるフレーバーのファミリーの小さなセットによって記述されてもよい。
【0088】
フレーバーの記述子は、ファミリー内のフレーバー組成物または成分のフレーバーのより正確な記述を提供する。それらはより豊富であり、かつそれらの数および多様性はしばしば限定がない。フレーバーの記述子の例は、限定されないが、「アーモンド」、「アンバーグリス」、「アニス」、「アップル」、「アルモイズ」、「バルサム」、「バナナ」、「ブラックカラント」、「バター」、「ブチリック」、「カモミール」、「キャンディードフルーツ」、「キャラメル」、「カルダモン」、「キャラウェイ」、「シナモン」、「シトロネラ」、「クローブ」、「ココア」、「ココナッツ」、「コーヒー」、「コニフェラス」、「クックドシュガー」、「コリアンダー」、「クリーム」、「キューカンバー」、「クミン」、「ユーカリ」、「フリージア」、「ジンジャー」、「グレープフルーツ」、「グラス」、「ヘリオトロープ」、「ハニー」、「ジャスミン」、「ラベンダー」、「リーフ」、「レモン」、「リリーオブザバレー」、「ライム」、「リカー」、「マンダリン」、「マンゴー」、「メロン」、「メタリック」、「モラセス」、「マッシュルーム」、「ムスク」、「ナツメグ」、「オレンジ」、「オレンジフラワー」、「オリス」、「パッションフルーツ」、「パチョリ」、「ピーチ」、「ペアー」、「ペッパー」、「ペパーミント」、「パイナップル」、「ラズベリー」、「レジナス」、「ルバーブ」、「ローズ」、「ローズマリー」、「サンダルウッド」、「スペアミント」、「ストロベリー」、「ティー」、「テルペニック」、「タイム」、「トンカ」、「バニラ」、「ベチバー」、「バイオレット」、「ウィンターグリーン」、「イランイラン」、および「ゼスト」を包含する。
【0089】
フレーバーのファミリーおよびフレーバーの記述子のこの選択は、熟練したフレーバーリストが、フレーバーリストのパレットに含有されるすべてのフレーバー成分のフレーバーを特徴付けることを可能にする。それにもかかわらず、訓練されたフレーバーリストにとって、この説明の内容をまとめてそれらの共通の一般的な知識と一緒に読むこと、それは、その周りに主観が存在するこの語彙のパートまたはすべてを改変することに過度の負担を提示せず、かつそのような改変が、ハピネスの知覚に肯定的なインパクトを与えるのに有用なフレーバー成分の選択にインパクトを与えないだろう。
【0090】
フルーティー-ストロベリー成分、フルーティー-ラズベリー成分、フルーティー-アップル成分、フルーティー-バナナ成分、フローラル-フリージア成分、フローラル-リリーオブザバレー成分、アニマリック-ブチリック成分、フルーティー-パイナップル成分、フルーティー-ピーチ成分、ハーバル-スペアミント成分、シトラス-オレンジ成分、スパイシー-シナモン成分、フローラル-ジャスミン成分、クーリング成分、アロマティック-ウィンターグリーン成分、シトラス-ライム成分、シトラス-マンダリン成分、シトラス-グレープフルーツ成分、スパイシー-ペッパー成分、スパイシー-クローブ成分、ハーバル-ローズマリー成分、グリーン-グラス成分、ウッディ-レジナス成分、ハーバル-コニフェラス成分、スイート-バニラ成分、スイート-ココナッツ成分、スイート-クックドシュガー成分、フルーティー-パッションフルーツ成分、およびハーバル-タイム成分のそれぞれの具体例が以下に提供される。
【0091】
この出願を通して、「オイル」という用語は、完全に天然のエッセンシャルオイルおよびエキストラクト、ならびに天然のエッセンシャルオイルおよびエキストラクトに由来するオイル、ならびに追加の成分を含んでもよい改変されたエッセンシャルおよびエキストラクトを抽出方法にかかわらず網羅することが意味される。「オイル」という用語はまた、対応するエッセンシャルオイルに同様の匂いの印象を提供する成分の任意の再構成または混合物をさらに網羅することが意味される。
【0092】
本発明はさらに、ヒト対象のハピネス状態を改善するためのオーラルケアフレーバー組成物を提供する。
【0093】
オーラルケアフレーバー組成物は、
a)少なくとも1種のHMPオーラルケアフレーバー成分;
b)総計で少なくとも約15重量%のHMPおよび/またはHMIおよび/またはHMRオーラルケアフレーバー成分;
c)場合により総計で最大約85重量%の他のオーラルケアフレーバー成分、ただし、以下の条件が満たされる場合に限る:
(c1)PEPPERMINT+INV<75%
(c2)HMP+HMI>REL
(c3)HMP+HMR>INV
(c4)HMP/(HMP+REL+INV)≧0.3
を含む。
【0094】
上記の配合ガイドラインでは、すべてのパーセンテージは、オーラルケアフレーバー組成物を構成するオーラルケアフレーバー成分の総重量に基づく。
【0095】
HMPは、HMPオーラルケアフレーバー成分のパーセンテージの合計を指し示し;HMIは、HMIオーラルケアフレーバー成分のパーセンテージの合計を指し示し;HMRは、HMRオーラルケアフレーバー成分のパーセンテージの合計を指し示し;PEPPERMINTは、PEPPERMINTオーラルケアフレーバー成分のパーセンテージの合計を指し示し;INVは、INVオーラルケアフレーバー成分のパーセンテージの合計を指し示し;かつRELは、RELオーラルケアフレーバー成分のパーセンテージの合計を指し示す。
【0096】
記号≧は、少なくとも等しいことを指し示す。
【0097】
本発明は、消費者試験およびfNIRSを使用した脳活動の測定による、オーラルケアフレーバー成分の広範な試験に基づく。結果として生じるデータの統計学的分析は、オーラルケアフレーバー材料を異なるカテゴリーに分類することを可能にした:
-HMPは、ハッピームードに強く関連付けられる成分またはベースを含む;
-HMIは、ハッピーおよびインビゴレーティングムードの両方をサポートしてもよい成分を含む;
-HMRは、ハッピーおよびリラックスムードの両方をサポートしてもよい成分を含む;
-PEPPERMINTオーラルケアフレーバー成分は、ペパーミントの官能的属性を有する;
-INVは、インビゴレーティングムードを強くサポートする成分を含む;および
-RELは、リラックスムードを強くサポートする成分を含む。
【0098】
これらの呼称は、ここに開示される用量およびパターンの制約の下で当業者(例を挙げると、フレーバーリスト)によって使用される場合、成分に関連することが強調されなければならない。
【0099】
HMPオーラルケアフレーバー成分は、フルーティー-ストロベリー成分、フルーティー-ラズベリー成分、フルーティー-アップル成分、フルーティー-バナナ成分、フローラル-フリージア成分、フローラル-リリーオブザバレー成分、アニマリック-ブチリック成分、酢酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0100】
フルーティー-ストロベリー成分は、限定されないが、例を挙げると、ベンジル3-フェニルプロパ-2-エノアート(ベンジルシンナマート)、エチルブタノアート(エチルブチラート)、エチル2-メチルプロピオナート(エチルイソブチラート)、エチル3-フェニルプロパ-2-エノアート(エチルシンナマート)、メチル3-フェニルプロパ-2-エノアート(メチルシンナマート)、エチル3-フェニルオキシラン-2-カルボキシラート(エチルフェニルグリシダート)、エチル3-メチル-3-フェニルオキシラン-2-カルボキシラート(エチルメチルフェニルグリシダート)、2-フェニルエチルブタノアート(フェニルエチルブチラート)、ベンジルブタノアート(ベンジルブチラート)、およびエチル3-メチルブタノアート(エチルイソバレラート)を包含する。
【0101】
フルーティー-ラズベリー成分は、限定されないが、例を挙げると、4-(4-ヒドロキシフェニル)ブタン-2-オン(ラズベリーケトン)、およびメチオキシフェニルブタノンを包含する。
【0102】
フルーティー-アップル成分は、限定されないが、例を挙げると、エチル2-メチルブタノアート(エチル2-メチルブチラート)、エチル3-オキソブタノアート(エチルアセトアセタート)、エチル2-メチルペンタノアート(manzanate)、(Z)-ヘキサ-3-エニルアセタート(シス-3-ヘキセニルアセタート)、(E)-2-ヘキセナール(トランス-2-ヘキセナール)、ジエチルプロパン-ジオアート(ジエチルマロナート)、および[(E)-ヘキサ-2-エニル]アセタート(トランス-2-ヘキセニルアセタート)を包含する。
【0103】
フルーティー-バナナ成分は、限定されないが、例を挙げると、ペンチルプロパノアート(アミルプロピオナート)、3-メチルブチル3-メチルブタノアート(イソアミルイソバレラート)、6-メチルへプタ-5-エン-2-オン(メチルヘプテノン)、3-メチルブチルブタノアート(イソアミルブチラート)、3-メチルブチルアセタート(イソアミルアセタート)、ペンチルブタノアート(アミルブチラート)、ブチルアセタート、および2-メチルプロピルアセタート(イソブチルアセタート)を包含する。
【0104】
フローラル-フリージア成分は、限定されないが、例を挙げると、3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-オール(リナロール)、2-(4-メチル-1-シクロヘキサ-3-エニル)プロパン-2-イルアセタート(テルピニルアセタート)、2-(4-メチル-1-シクロヘキサ-3-エニル)プロパン-2-オール(テルピネオールアルファ)、および3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-イル(E)-3-フェニルプロパ-2-エノアート(リナリルシンナマート)を包含する。
【0105】
フローラル-リリーオブザバレー成分は、限定されないが、例を挙げると、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-オクタナール(ヒドロキシシトロネラール)、2-メチル-3-(4-プロパン-2-イルフェニル)プロパナール(シクラメンアルデヒド)、3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパナール(tropional)、および2,6-ジメチルへプタ-5-エナール(melonal)を包含する。
【0106】
アニマリック-ブチリック成分は、限定されないが、例を挙げると、ブタン酸(酪酸)、オクタン酸、2-メチルブタン酸(2メチル酪酸)、およびヘキサン酸(カプロン酸)を包含する。
【0107】
HMIオーラルケアフレーバー成分は、シトラス-オレンジ成分、スパイシー-シナモン成分、フローラル-ジャスミン成分、クーリング成分、アロマティック-ウィンターグリーン成分、ライムテルペン、ライムテルペンレス、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0108】
シトラス-オレンジ成分は、限定されないが、例を挙げると、オレンジオイルおよびオレンジテルペンを包含する。
【0109】
スパイシー-シナモン成分は、限定されないが、例を挙げると、カッシアオイル、3-フェニルプロパ-2-エナール(シンナミックアルデヒド)、および2-メチル-3-フェニルプロパ-2-エナール(メチルシンナミックアルデヒド)を包含する。
【0110】
フローラル-ジャスミン成分は、限定されないが、例を挙げると、ジャスミンオイル、メチル3-オキソ-2-ペンチルシクロペンタンアセタート(メチルジヒドロジャスモナート)、3-メチル-2-[(Z)-ペンタ-2-エニル]シクロペンタ-2-エン-1-オン(シス-ジャスモン)、2-(フェニルメチリデン)オクタナール(ヘキシルシンナミックアルデヒド)、ベンジルプロパノアート(ベンジルプロピオナート)、[(Z)-ヘキサ-3-エニル]2-ヒドロキシベンゾアート(シス-3-ヘキセニルサリチラート)、ベンジル2-ヒドロキシベンゾアート(ベンジルサリチラート)、3,7,11-トリメチルドデカ-2,6,10-トリエン-1-オール(ファルネソール)、3,7,11-トリメチルドデカ-1,6,10-トリエン-3-オール(ネロリドール)、および2-ベンジリデンへプタナール(アミルシンナミックアルデヒド)を包含する。
【0111】
クーリング成分は、限定されないが、例を挙げると、N-(4-シアノメチルフェニル)p-メンタンカルボキサミド(Evercool180)、2-イソプロピル-5-メチル-N-(2-(ピリジン-2-イル)エチル)シクロヘキサンカルボキサミド(Evercool190)、3-(5-メチル-2-プロパン-2-イルシクロヘキシル)オキシプロパン-1,2-ジオール(Coolact P)、(1R,2R,5S)-5-メチル-2-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサン-1-オール(Coolact10)、エチル2-[[(1R,2S,5R)-5-メチル-2-プロパン-2-イルシクロヘキサンカルボニル]アミノ]アセタート(WS-5)、(1R,2S,5R)-N-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-2-(1-メチルエチル)シクロヘキサンカルボキサミド(WS-12)、N-エチル-5-メチル-2-プロパン-2-イルシクロヘキサン-1-カルボキサミド(WS-3)、N,2,3-トリメチル-2-プロパン-2-イルブタンアミド(WS-23)、(E)-3-ベンゾ(d)[1,3]ジオキソール-5-イル)-N,N-ジフェニルアクリルアミド(Icool MC6)、2-(p-トリルオキシ)-N-(1H-ピラゾール-5-イル)-N-((チオフェン-2-イル)メチル)アセトアミド(Freezestorm)、[(1R,2S,5R)-5-メチル-2-プロパン-2-イルシクロヘキシル]2-ヒドロキシプロパノアート(Frescolat ML)、2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキシルオキシカルボニルオキシ-2-ヒドロキシプロパン(Frescolat MGC)、2-ヒドロキシプロピル(5-メチル-2-プロパン-2-イルシクロヘキシル)カルボナート(Frescolat MPC)、9-メチル-6-(1-メチルエチル)-1,4-ジオキサスピロ-[4,5]デカン-2-メタノール(Frescolat MGA)、メンチルラクタート、モノ-メンチルスクシナート、メンチルメチルエーテル、(2E)-3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-N,N-ジフェニルアクリルアミド(iCool MC6)、1-メチル-3-ヒドロキシブチラート、2-{[5-メチル-2-(プロパン-2-イル)シクロヘキシル]オキシ}エタノール(Coolact5)、および2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-5-メチルシクロヘキサン-1-オールの異性体混合物(Coolact38D)を包含する。
【0112】
アロマティック-ウィンターグリーン成分は、限定されないが、例を挙げると、エチル2-ヒドロキシベンゾアート(エチルサリチラート)、メチル2-ヒドロキシベンゾアート(メチルサリチラート)、およびウィンターグリーンオイルを包含する。
【0113】
HMRオーラルケアフレーバー成分は、フルーティー-パイナップル成分、フルーティー-ピーチ成分、ハーバル-スペアミント成分、レモンオイル、レモンオイル再構成物、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0114】
フルーティー-パイナップル成分は、限定されないが、例を挙げると、ペンチルヘキサノアート(アミルカプロアート)、プロパ-2-エニル3-シクロヘキシルプロパノアート(アリルシクロヘキシルプロピオナート)、3-メチルブチルヘキサノアート(イソアミルカプロアート)、メチルヘキサノアート、エチルヘキサノアート、エチルヘプタノアート、2-フェニルエチル2-メチルプロパノアート(フェニルエチルイソブチラート)、およびプロパ-2-エニルプロパノアート(アリルプロピオナート)を包含する。
【0115】
フルーティー-ピーチ成分は、限定されないが、例を挙げると、5-ヘプチルジヒドロフラン-2(3H)-オン(ウンデカラクトンガンマ)、5-ヘキシルオキソラン-2-オン(デカラクトンガンマ)、5-オクチルオキソラン-2-オン(ドデカラトンガンマ)、および6-ヘプチルオキサン-2-オン(ドデカラトンデルタ)を包含する。
【0116】
ハーバル-スペアミント成分は、限定されないが、例を挙げると、スペアミントオイル、(1R,5S)-2-メチル-5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサ-2-エン-1-オールおよび(1R,5R)-2-メチル-5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサ-2-エン-1-オール(トランス-およびシス-カルベオール)および(5R)-2-メチル-5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(L-カルボン)を包含する。
【0117】
PEPPERMINTオーラルケアフレーバー成分は、限定されないが、例を挙げると、ペパーミントオイル、L-およびD/L-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサノール(L-およびD/L-メントール)、[(1R,2S,5R)-5-メチル-2-プロパン-2-イルシクロヘキシル]アセタート(メンチルアセタート)、2-ブタン-2-イルシクロヘキサン-1-オン(freskomenthe)、5-メチル-2-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサン-1-オール(イソプレゴール)、D/L-およびL-2-イソプロピル-5-メチルシクロ-ヘキサノン(D/L-およびL-メントン)、L-およびD/L-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサノン(L-およびラセミイソメントン)、ならびにそれらの混合物を包含する。
【0118】
INVオーラルケアフレーバー成分は、シトラス-ライム成分(ライムテルペンおよびライムテルペンレスを除外)、シトラス-マンダリン成分、シトラス-グレープフルーツ成分、スパイシー-ペッパー成分、スパイシー-クローブ成分、ハーバル-ローズマリー成分、グリーン-グラス成分、ウッディ-レジナス成分、ハーバル-コニフェラス成分、ベルガモットオイル、3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-イルアセタート(リナリルアセタート)、3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-イル2-メチルプロパノアート(リナリルイソブチラート)、(E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエナール(シトラール)、レモングラス、リツエアクベバオイル、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0119】
シトラス-ライム成分(ライムテルペンおよびライムテルペンレスを除外)は、限定されないが、例を挙げると、ライムオイル、1-メチル-4-プロパン-2-イリデンシクロヘキセン(テルピノレン)、(E)-3,7-ジメチルオクタ-1,3,6-トリエン(オシメン)、および1-メチル-4-プロパン-2-イルシクロヘキサ-1,4-ジエン(テルピネンガンマ)を包含する。
【0120】
シトラス-マンダリン成分は、限定されないが、例を挙げると、マンダリンオイル、タンジェリンオイル、およびメチル2-メチルアミノベンゾアート(ジメチルアントラニラート)を包含する。
【0121】
シトラス-グレープフルーツ成分は、限定されないが、例を挙げると、グレープフルーツオイルを包含する。
【0122】
スパイシーペッパー成分は、限定されないが、例を挙げると、ジンジャーオイル、ナツメグオイル、オリバナムオイル、カルダモンオイル、ペッパーオイル、および(4Z)-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデカ-4-エン(カリオフィレン)を包含する。
【0123】
スパイシー-クローブ成分は、限定されないが、例を挙げると、クローブオイル、4-アリル-2-メトキシフェノール(オイゲノール)、および(E)-2-メトキシ-4-(プロパ-1-エン-1-イル)フェノール(イソオイゲノール)を包含する。
【0124】
ハーバル-ローズマリー成分は、限定されないが、例を挙げると、ローズマリーオイル、1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オン(カンファー)、および2-(5-メチル-5-ビニルテトラヒドロ-2-フラニル)-2-プロパノール(リナロールオキシド)を包含する。
【0125】
グリーン-グラス成分は、限定されないが、例を挙げると、(Z)-ヘキサ-3-エン-1-オール(シス-3-ヘキセノール)、[(Z)-ヘキサ-3-エニル]2-メチルプロパノアート(シス-3-イソブチラート)、および(E)-ヘキサ-2-エン-1-オール(トランス-2-ヘキセノール)を包含する。
【0126】
ウッディ-レジナス成分は、限定されないが、例を挙げると、パインオイルおよびパインオイル再構成物を包含する。
【0127】
ハーバル-コニフェラス成分は、限定されないが、例を挙げると、ジュニパーベリーオイル、7-メチル-3-メチリデンオクタ-1,6-ジエン(ミルセン)、4,7,7-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ-3-エン(ピネンアルファ)、7,7-ジメチル-4-メチリデンビシクロ[3.1.1]ヘプタン(ピネンベータ)、[(1R,4S,6R)-1,7,7-トリメチル-6-ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル]アセタート(イソボルニルアセタート)、および1,3,3-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール(フェンチルアルコール)を包含する。
【0128】
RELオーラルケアフレーバー成分は、スイート-バニラ成分、スイート-ココナッツ成分、スイート-クックドシュガー成分、フルーティー-パッションフルーツ成分、ハーバル-タイム成分、セージオイルおよび再構成物、クラリーセージオイルおよび再構成物、カモミールオイルおよび再構成物、ラベンダーオイルおよび再構成物、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される。
【0129】
スイート-バニラ成分は、限定されないが、例を挙げると、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド(バニリン)、3-エトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド(バニラまたはエチルバニリン)、(4-ホルミル-2-メトキシフェニル)-2-メチルプロパノアート(isobutavan)、および2-メトキシ-4-メチルフェノール(クレゾール)を包含する。
【0130】
スイート-ココナッツ成分は、限定されないが、例を挙げると、6-ペンチルオキサン-2-オン(デカラクトンデルタ)、5-ペンチルオキソラン-2-オン(ノナラクトンガンマ)、5-プロピルオキソラン-2-オン(ヘプタラクトンガンマ)、5-エチルオキソラン-2-オン(ヘキサラクトンガンマ)、および5-ブチルオキソラン-2-オン(オクタラクトンガンマ)を包含する。
【0131】
スイート-クックドシュガー成分は、限定されないが、例を挙げると、2-エチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-フラン-3-オン(homofuranol)、3-ヒドロキシ-2-メチルピラン-4-オン(マルトール)、2-エチル-3-ヒドロキシピラン-4-オン(エチルマルトール)、および4-ヒドロキシ-2,5-ジメチルフラン-3-オン(furaneol)を包含する。
【0132】
フルーティー-パッションフルーツ成分は、限定されないが、例を挙げると、(2R,4S)-2-メチル-4-プロピル-1,3-オキサチアン(オキサン)を包含する。
【0133】
ハーバル-タイム成分は、限定されないが、例を挙げると、タイムオイルおよび再構成物、5-メチル-2-プロパン-2-イルフェノール(チモール)、ならびにオリガヌムオイルおよび再構成物を包含する。
【0134】
本発明のオーラルケアフレーバー組成物は、実質的にフレーバーのないおよび無臭の成分をさらに含有してもよい。本発明のコンテキストにおいて、「実質的にフレーバーのないおよび無臭とは、成分が匂いもしくはアロマもしくはテイストを有しないこと、またはその匂い、アロマもしくはテイストが弱く、かつしばしばほとんど知覚できないことを意味する。これらの実質的に無臭およびテイストのない成分は、フレーバー組成物中にフレーバー成分と併せて従来使用されている賦形剤、例えば担体材料、および当技術分野で共通して使用される他の補助剤、例を挙げると、イソプロピルミリスタート(IPM)、ベンジルベンゾアート(BB)、プロピレングリコール(PG)およびトリエチルシトラート(TEC)、イソプロピルアルコール(IPA)トリアセチン(TRI)、Tween 20(TWE)などの溶媒;ミネラルオイルおよびベジタブルオイル;ならびにキャスターシードオイルなどの他のオイルを包含する。
【0135】
本発明のオーラルケアフレーバー組成物は、遊離オイルの形態で提示されてもよく、またはそれらは封入されてもよい。オーラルケアフレーバー組成物を封入するためのいくつかの封入媒体が当技術分野で知られている。特定の封入媒体は、多糖類またはタンパク質などの天然または改変された天然ポリマーから形成されるマイクロカプセルを包含する。
【0136】
本発明のオーラルケアフレーバー組成物の上記の定義は、組成物のヘドニック特性の考慮を容認するのに十分な配合の自由度を提供する。発明は、このように、ハピネスを喚起し、かつ良好なヘドニック特性も有するようにするオーラルケアフレーバー組成物の配合を可能にすることができる。
【0137】
本発明は、ポジティブなハッピームードおよび感情を誘導するかまたはそれらと関連付けられる可能性があるオーラルケアフレーバー組成物をどのように信頼できるように配合するかを記述する。効果は、それらが信頼できるようにかつ再現可能に測定されることでできるように十分に顕著である。本明細書に開示される教示によって作製されるオーラルケアフレーバー組成物は、ヘドニックに心地よく、広範囲の消費者製品に適しており、かつたとえ追加された機能性を保有していなくても適切であろう十分な心地よさ/受容性であることができる。
【0138】
発明に従ったオーラルケアフレーバー組成物は、以下が見出された:
1.ハッピーな、高揚した、夢中な、恍惚な、快活な、気楽な、陶酔した、興奮した、喜んでいる、陽気な、楽観的なおよび満足したなどのポジティブなムード状態を促進すること:試験対象は、オーラルケアフレーバー組成物を組み込んだ消費者製品を経口適用または使用した後に、よりハッピーであると感じ、かつ製品自体がよりハッピーなテイストであると報告した;
2.うつ状態、ストレスの多い状態、苛立ち、または退屈なムード状態などのネガティブなムード状態を促進しないこと。
【0139】
HMP、HMI、およびHMRなどの「ハッピー」成分のレベルを増加させることは、オーラルケアフレーバーがハピネスの状態を増強するのに適した特徴を有するだろう可能性を増加させる。他の成分、特にインビゴレーティング(INV)またはリラックス(REL)ムードに高度に寄与する成分は、オーラルケアフレーバー組成物中のそれらのレベルが増加される場合、利益が達成されるだろう可能性を低減させる。
【0140】
ある実施形態では、オーラルケアフレーバー組成物は、総計で少なくとも約17重量%、より好ましくは少なくとも約20重量%のHMPおよび/またはHMIおよび/またはHMRオーラルケアフレーバー成分を含む。
【0141】
ある実施形態では、オーラルケアフレーバー組成物は、以下の群のうちの1つまたは複数から選択される少なくとも1種のHMPおよび/またはHMIおよび/またはHMRオーラルケアフレーバー成分を含む:
-ベンジル3-フェニルプロパ-2-エノアート(ベンジルシンナマート)、エチルブタノアート(エチルブチラート)、エチル2-メチル-プロピオナート(エチルイソブチラート)、エチル3-フェニルプロパ-2-エノアート(エチルシンナマート)、メチル3-フェニルプロパ-2-エノアート(メチルシンナマート)、エチル3-フェニルオキシラン-2-カルボキシラート(エチルフェニルグリシダート)、エチル3-メチル-3-フェニルオキシラン-2-カルボキシラート(エチルメチルフェニルグリシダート)、2-フェニルエチルブタノアート(フェニルエチルブチラート)、ベンジルブタノアート(ベンジルブチラート)、エチル3-メチルブタノアート(エチルイソバレラート)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-ストロベリー成分;
-4-(4-ヒドロキシフェニル)ブタン-2-オン(ラズベリーケトン)、メチオキシフェニルブタノン、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-ラズベリー成分;
-エチル2-メチルブタノアート(エチル2-メチルブチラート)、エチル3-オキソブタノアート(エチルアセトアセタート)、エチル2-メチルペンタノアート(manzanate)、(Z)-ヘキサ-3-エニルアセタート(シス-3-ヘキセニルアセタート)、(E)-2-ヘキセナール(トランス-2-ヘキセナール)、ジエチルプロパンジオアート(ジエチルマロナート)、[(E)-ヘキサ-2-エニル]アセタート(トランス-2-ヘキセニルアセタート)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-アップル成分;
-ペンチルプロパノアート(アミルプロピオナート)、3-メチルブチル3-メチルブタノアート(イソアミルイソバレラート)、6-メチルヘプタ-5-エン-2-オン(メチルヘプテノン)、3-メチルブチルブタノアート(イソアミルブチラート)、3-メチルブチルアセタート(イソアミルアセタート)、ペンチルブタノアート(アミルブチラート)、ブチルアセタート、2-メチルプロピルアセタート(イソブチルアセタート)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-バナナ成分;
-3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-オール(リナロール)、2-(4-メチル-1-シクロヘキサ-3-エニル)プロパン-2-イルアセタート(テルピニルアセタート)、2-(4-メチル-1-シクロヘキサ-3-エニル)プロパン-2-オール(テルピネオールアルファ)、3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-イル(E)-3-フェニルプロパ-2-エノアート(リナリルシンナマート)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフローラル-フリージア成分;
-7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール(ヒドロキシシトロネラール)、2-メチル-3-(4-プロパン-2-イルフェニル)プロパナール(シクラメンアルデヒド)、3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパナール(tropional)、2,6-ジメチルヘプタ-5-エナール(melonal)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフローラル-リリーオブザバレー成分;
-ブタン酸(酪酸)、オクタン酸、2-メチルブタン酸(2メチル酪酸)、ヘキサン酸(カプロン酸)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のアニマリック-ブチリック成分;
-オレンジオイル、オレンジテルペン、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のシトラス-オレンジ成分;
-カッシアオイル、3-フェニルプロパ-2-エナール(シンナミックアルデヒド)、2-メチル-3-フェニルプロパ-2-エナール(メチルシンナミックアルデヒド)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のスパイシー-シナモン成分;
-N-(4-シアノメチルフェニル)p-メンタンカルボキサミド(Evercool180)、2-イソプロピル-5-メチル-N-(2-(ピリジン-2-イル)エチル)シクロヘキサンカルボキサミド(Evercool190)、3-(5-メチル-2-プロパン-2-イルシクロヘキシル)オキシプロパン-1,2-ジオール(Coolact P)、(1R,2R,5S)-5-メチル-2-プロパ-1-エン-2-イルシクロ-ヘキサン-1-オール(Coolact10)、エチル2-[[(1R,2S,5R)-5-メチル-2-プロパン-2-イルシクロヘキサン-カルボニル]アミノ]アセタート(WS-5)、(1R,2S,5R)-N-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-2-(1-メチル-エチル)シクロヘキサンカルボキサミド(WS-12)、N-エチル-5-メチル-2-プロパン-2-イルシクロヘキサン-1-カルボキサミド(WS-3)、N,2,3-トリメチル-2-プロパン-2-イルブタンアミド(WS-23)、(E)-3-ベンゾ(d)[1,3]ジオキソール-5-イル)-N,N-ジフェニルアクリルアミド(Icool MC6)、2-(p-トリルオキシ)-N-(1H-ピラゾール-5-イル)-N-((チオフェン-2-イル)メチル)アセトアミド(Freezestorm)、[(1R,2S,5R)-5-メチル-2-プロパン-2-イルシクロヘキシル]2-ヒドロキシプロパノアート(Frescolat ML)、2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキシルオキシカルボニルオキシ-2-ヒドロキシプロパン(Frescolat MGC)、2-ヒドロキシプロピル(5-メチル-2-プロパン-2-イルシクロヘキシル)カルボナート(Frescolat MPC)、9-メチル-6-(1-メチルエチル)-1,4-ジオキサスピロ-[4,5]デカン-2-メタノール(Frescolat MGA)、メンチルラクタート、モノ-メンチルスクシナート、メンチルメチルエーテル、(2E)-3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-N,N-ジフェニルアクリルアミド(iCool MC6)、1-メチル-3-ヒドロキシブチラート、2-{[5-メチル-2-(プロパン-2-イル)シクロヘキシル]オキシ}エタノール(Coolact5)、2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-5-メチルシクロヘキサン-1-オールの異性体混合物(Coolact38D)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のクーリング成分;
-エチル2-ヒドロキシベンゾアート(エチルサリチラート)、メチル2-ヒドロキシベンゾアート(メチルサリチラート)、ウィンターグリーンオイル、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のアロマティック-ウィンターグリーン成分;
-ペンチルヘキサノアート(アミルカプロアート)、プロパ-2-エニル3-シクロヘキシルプロパノアート(アリルシクロヘキシルプロピオナート)、3-メチルブチルヘキサノアート(イソアミルカプロアート)、メチルヘキサノアート、エチルヘキサノアート、エチルヘプタノアート、2-フェニルエチル2-メチルプロパノアート(フェニルエチルイソブチラート)、プロパ-2-エニルプロパノアート(アリルプロピオナート)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-パイナップル成分;
-5-ヘプチルジヒドロフラン-2(3H)-オン(ウンデカラクトンガンマ)、5-ヘキシルオキソラン-2-オン(デカラクトンガンマ)、5-オクチルオキソラン-2-オン(ドデカラトンガンマ)、6-ヘプチルオキサン-2-オン(ドデカラトンデルタ)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-ピーチ成分;および
-スペアミントオイル、(1R,5S)-2-メチル-5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサ-2-エン-1-オールおよび(1R,5R)-2-メチル-5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサ-2-エン-1-オール(トランス-およびシス-カルベオール)および(5R)-2-メチル-5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(L-カルボン)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のハーバル-スペアミント成分。
【0142】
ある実施形態では、成分の量は、PEPPERMINT+INV<70%、より好ましくはPEPPERMINT+INV<65%、最も好ましくはPEPPERMINT+INV<60%となるように選定される。
【0143】
ある実施形態では、成分の量は、HMP/(HMP+REL+INV)≧0.35、より好ましくはHMP/(HMP+REL+INV)≧0.40、最も好ましくはHMP/(HMP+REL+INV)≧0.45となるように選定される。
【0144】
発明の別の態様は、オーラルケアフレーバー組成物をヒト対象に送達することを含む、ポジティブなムード利益、特にハピネスを該ヒト対象に送達する方法に関する。例として、オーラルケアフレーバーは消費者製品において送達されてもよい。
【0145】
したがって、本発明はまた、発明のオーラルケアフレーバー組成物を含む消費者製品を提供する。
【0146】
本発明のオーラルケアフレーバー組成物は、例として、練り歯磨き、マウスウォッシュ、チューイングガム、ロゼンジ、ブレスフレッシュニング粉末/タブレット、ブレススプレー、ブレスフィルム、デンタルフロス、dentrifices、義歯ケア製品、ゲル、ムース、クリームなどのあらゆる様式の消費者製品に、また、歯肉炎、歯垢、歯石、虫歯、感染症、炎症、腫れ、出血およびオーラル悪臭の処置のための店頭または処方製品にも望ましいアロマ/フレーバーの印象を付与するために使用されてもよい。
【0147】
オーラルケア消費者製品は、限定されないが、界面活性剤、乳化剤、結合剤、フィラー、研磨剤、保湿剤、発泡剤、香味剤、甘味剤、増粘剤カラーリング剤、アルカリ金属重炭酸塩、フッ化物イオン供給源、ガム、ゲル、ホワイトニング/ブリーチング剤、二酸化チタン、染み除去剤、水、アルコール、酵素、抗細菌剤、および溶媒などの、製品フォーマットおよび使用に依存して様々な機能性成分の配合された混合物を含む。これらの配合された混合物は、通常、「ベース」と称される。
【0148】
そのような製品に含有されるフレーバー組成物の割合は、消費者製品の総重量に基づいて、0.01%(例えば、子供用マウスウォッシュ中として)~10%(例えば、フロス中として)の範囲であってもよい。オーラルケアフレーバー組成物を消費者製品に組み込む手段は知られている。オーラルケアフレーバー組成物を製品に直接組み込むために既存の技術が使用されてもよいし、またはオーラルケアフレーバー組成物が担体材料に吸収され、次いで製品に混和されてもよい。
【0149】
また、有効量の発明に従ったオーラルケアフレーバー組成物を対象に投与することを含む、対象、特にヒトにポジティブなムード利益またはハピネス利益を送達する方法も発明のスコープ内に包含される。組成物は、イリテーションを引き起こすことなく(すなわち、非イリタント量)、利益を生成するために適切な量(すなわち、閾値を超える量)で投与されるべきである。任意の所与の組成物の適切な有効量は、例を挙げると、実験によって容易に決定されることができる。効果的であるためには、組成物は対象によるオーラルアプリケーションとして投与されるべきである。
【0150】
したがって、本発明はまた、有効量の発明のオーラルケアフレーバー組成物をヒト対象に提供するステップを含む、ヒト対象のハピネス状態を改善する方法を提供する。
【0151】
本発明を結果としてもたらす研究のコンテキストにおいて、ヒト対象のハピネス状態を改善することができるいくつかのオーラルケアフレーバー成分が同定されている。
【0152】
したがって、本発明はまた、ヒト対象のハピネス状態を改善するためのオーラルケアフレーバー成分の使用に関し、オーラルケアフレーバー成分は、以下からなる群から選択される:
-ベンジル3-フェニルプロパ-2-エノアート(ベンジルシンナマート)、エチルブタノアート(エチルブチラート)、エチル2-メチルプロピオナート(エチルイソブチラート)、エチル3-フェニルプロパ-2-エノアート(エチルシンナマート)、メチル3-フェニルプロパ-2-エノアート(メチルシンナマート)、エチル3-フェニルオキシラン-2-カルボキシラート(エチルフェニルグリシダート)、エチル3-メチル-3-フェニルオキシラン-2-カルボキシラート(エチルメチルフェニルグリシダート)、2-フェニルエチルブタノアート(フェニルエチルブチラート)、ベンジルブタノアート(ベンジルブチラート)、エチル3-メチルブタノアート(エチルイソバレラート)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-ストロベリー成分;
-4-(4-ヒドロキシフェニル)ブタン-2-オン(ラズベリーケトン)、メチオキシフェニルブタノン、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-ラズベリー成分;
-エチル2-メチルブタノアート(エチル2-メチルブチラート)、エチル3-オキソブタノアート(エチルアセトアセタート)、エチル2-メチルペンタノアート(manzanate)、(Z)-ヘキサ-3-エニルアセタート(シス-3-ヘキセニルアセタート)、(E)-2-ヘキセナール(トランス-2-ヘキセナール)、ジエチルプロパンジオアート(ジエチルマロナート)、[(E)-ヘキサ-2-エニル]アセタート(トランス-2-ヘキセニルアセタート)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-アップル成分;
-ペンチルプロパノアート(アミルプロピオナート)、3-メチルブチル3-メチルブタノアート(イソアミルイソバレラート)、6-メチルヘプタ-5-エン-2-オン(メチルヘプテノン)、3-メチルブチルブタノアート(イソアミルブチラート)、3-メチルブチルアセタート(イソアミルアセタート)、ペンチルブタノアート(アミルブチラート)、ブチルアセタート、2-メチルプロピルアセタート(イソブチルアセタート)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-バナナ成分;
-3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-オール(リナロール)、2-(4-メチル-1-シクロヘキサ-3-エニル)プロパン-2-イルアセタート(テルピニルアセタート)、2-(4-メチル-1-シクロヘキサ-3-エニル)プロパン-2-オール(テルピネオールアルファ)、3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-イル(E)-3-フェニルプロパ-2-エノアート(リナリルシンナマート)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフローラル-フリージア成分;
-7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール(ヒドロキシシトロネラール)、2-メチル-3-(4-プロパン-2-イルフェニル)プロパナール(シクラメンアルデヒド)、3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパナール(tropional)、2,6-ジメチルヘプタ-5-エナール(melonal)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフローラル-リリーオブザバレー成分;
-ブタン酸(酪酸)、オクタン酸、2-メチルブタン酸(2メチル酪酸)、ヘキサン酸(カプロン酸)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のアニマリック-ブチリック成分;
-オレンジオイル、オレンジテルペン、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のシトラス-オレンジ成分;
-カッシアオイル、3-フェニルプロパ-2-エナール(シンナミックアルデヒド)、2-メチル-3-フェニルプロパ-2-エナール(メチルシンナミックアルデヒド)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のスパイシー-シナモン成分;
-N-(4-シアノメチルフェニル)p-メンタンカルボキサミド(Evercool180)、2-イソプロピル-5-メチル-N-(2-(ピリジン-2-イル)エチル)シクロヘキサンカルボキサミド(Evercool190)、3-(5-メチル-2-プロパン-2-イルシクロヘキシル)オキシプロパン-1,2-ジオール(Coolact P)、(1R,2R,5S)-5-メチル-2-プロパ-1-エン-2-イルシクロ-ヘキサン-1-オール(Coolact10)、エチル2-[[(1R,2S,5R)-5-メチル-2-プロパン-2-イルシクロヘキサンカルボニル]アミノ]アセタート(WS-5)、(1R,2S,5R)-N-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-2-(1-メチルエチル)シクロヘキサンカルボキサミド(WS-12)、N-エチル-5-メチル-2-プロパン-2-イルシクロヘキサン-1-カルボキサミド(WS-3)、N,2,3-トリメチル-2-プロパン-2-イルブタンアミド(WS-23)、(E)-3-ベンゾ(d)[1,3]ジオキソール-5-イル)-N,N-ジフェニルアクリルアミド(Icool MC6)、2-(p-トリルオキシ)-N-(1H-ピラゾール-5-イル)-N-((チオフェン-2-イル)メチル)アセトアミド(Freezestorm)、[(1R,2S,5R)-5-メチル-2-プロパン-2-イルシクロヘキシル]2-ヒドロキシプロパノアート(Frescolat ML)、2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキシルオキシカルボニルオキシ-2-ヒドロキシプロパン(Frescolat MGC)、2-ヒドロキシプロピル(5-メチル-2-プロパン-2-イルシクロヘキシル)カルボナート(Frescolat MPC)、9-メチル-6-(1-メチルエチル)-1,4-ジオキサスピロ-[4,5]デカン-2-メタノール(Frescolat MGA)、メンチルラクタート、モノ-メンチルスクシナート、メンチルメチルエーテル、(2E)-3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-N,N-ジフェニルアクリルアミド(iCool MC6)、1-メチル-3-ヒドロキシブチラート、2-{[5-メチル-2-(プロパン-2-イル)シクロヘキシル]オキシ}エタノール(Coolact5)、2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-5-メチルシクロヘキサン-1-オールの異性体混合物(Coolact38D)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のクーリング成分;
-エチル2-ヒドロキシベンゾアート(エチルサリチラート)、メチル2-ヒドロキシベンゾアート(メチルサリチラート)、ウィンターグリーンオイル、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のアロマティック-ウィンターグリーン成分;
-ペンチルヘキサノアート(アミルカプロアート)、プロパ-2-エニル3-シクロヘキシルプロパノアート(アリルシクロヘキシルプロピオナート)、3-メチルブチルヘキサノアート(イソアミルカプロアート)、メチルヘキサノアート、エチルヘキサノアート、エチルヘプタノアート、2-フェニルエチル2-メチルプロパノアート(フェニルエチルイソブチラート)、プロパ-2-エニルプロパノアート(アリルプロピオナート)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-パイナップル成分;
-5-ヘプチルジヒドロフラン-2(3H)-オン(ウンデカラクトンガンマ)、5-ヘキシルオキソラン-2-オン(デカラクトンガンマ)、5-オクチルオキソラン-2-オン(ドデカラトンガンマ)、6-ヘプチルオキサン-2-オン(ドデカラトンデルタ)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-ピーチ成分;および
-スペアミントオイル、(1R,5S)-2-メチル-5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサ-2-エン-1-オールおよび(1R,5R)-2-メチル-5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサ-2-エン-1-オール(トランス-およびシス-カルベオール)および(5R)-2-メチル-5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(L-カルボン)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のハーバル-スペアミント成分。
【0153】
本発明は、以下の非限定的な例によってさらに解説される。
【0154】
実施例1:機能的近赤外分光法試験
タスク
それぞれが4つのオーラルケアフレーバーを試験する6つの実験を行い、特定のムードを喚起するフレーバーのポテンシャルを分析した。各セッションの始めに、参加者は着席され、fNIRSキャップがフィットされた。実験者は、fNIRSシステムのオプトードおよび参加者の頭部の間の最適な接触をチェックした。fNIRSシステムのセットアップ、および初期ベースラインの記録の上、現実の試験が始まり、各参加者は、後述されるタイムラインによって、マウスウォッシュの形態での4つの異なるフレーバーをテイストした。
【0155】
タイムライン
参加者は4つのブロックを完了し、各ブロックは、マウスウォッシュの形態でのリラックス、インビゴレーティング、またはハッピーなオーラルケアフレーバーのいずれかを含んだ。
【0156】
各ブロックは、参加者がクラッカーを食べることで始まり、続いて30秒間の休息、その後、参加者は、彼らの口の中の過剰なクラッカーをきれいにするために水を飲み、口をリンスした後に吐き出すかまたは飲み込むことができ、続いてさらに30秒間休息した。次いで、参加者は、家庭で使用するであろうようにマウスウォッシュを使用し、それを彼らの口に巡らせ、それを器内に吐き出し、続いて別の30秒間の休息を行うように依頼された。fNIRS試験は30秒間の休息中に行われた。
【0157】
各ブロック間に5分間の休憩が可能とされ、別のトライアルを開始する前に以前のマウスウォッシュのトレースが口の中に残っていないこと、および参加者がすべてのフレーバーを正しくテイストできることを確実にした。参加者がより多くの時間を依頼した場合、またはfNIRSシグナルがベースラインレベルでなかった場合(例を挙げると、激しい動きに起因)、この5分間の休憩は延ばされた。
【0158】
参加者
全体的に、6つの研究について、90人の参加者が試験された。健康であることを除いて、研究において特定の参加者除外基準は実践されなかった。
【0159】
ニューロイメージング装置の詳細およびデータの取扱い
データの前処理は、NIRx NIRSLabソフトウェアを使用して実行された。
【0160】
記録された生データは、NIRx NIRSLabソフトウェアにロードされた。イベントトリガを連続的なレコーダデータに置いた後、4つすべてのブロックの各休息期間について時点が同定され、その後、シグナルの不連続性の自動的な除去が実行された。
【0161】
連続的な記録において12セグメントを切断することによって時間シリーズは切り詰められ、各セグメントは45秒間続いた(刺激後30秒間の休息、プラス前の5秒および後の10秒)。血流動態反応関数(HRF)の形状を分析するために、2つの60秒間の目を閉じた休息間隔が、意味のあるデータとして保たれた。このカーブは、刺激の提示後の特定の領域におけるHb濃度の増加および減少をモデル化し、かつ統計学的パラメトリックマッピング(SPM)としてfMRI様分析に活用されることができる。
【0162】
シグナルが失われた場合(検出器の飽和、アーチファクトに起因して検出器に到達する光が多すぎることを意味する)、最近傍補間が適用された。最長の補間間隔は1秒未満であった。
【0163】
チャネルの視覚的検査は、CV%(チャネルのデータの分散を表す分散係数のパーセンテージ)の自由裁量の閾値を超えるノイズのあるデータ間隔の除去からなった。
【0164】
0.005~0.3Hzの周波数でバンドパスフィルタを使用してデータはフィルタリングされた。
【0165】
血流動態の状態は、光シグナルのHb濃度への変換によって計算された。前処理されたデータ(オキシHb、デオキシHB、および総Hb)は、NirsLabインタフェースからエクスポートされ、統計学的分析のために使用された。
【0166】
ベースライン選択
各参加者のデータは、生理学的(すなわち、任意の実験プロトコルから独立して存在し、自然に存在する)ではなくむしろ実験パラダイムに起因する差異を高めるために、ベースライン間隔にわたって常に正規化された。現在、文献では、異なる選定、その中では、ベースラインを計算するデータセットとして完全な実験の記録またはそのサブフラグメントの選定が考慮されている。シグナルの意味のある揺らぎを失う機会を最小限に抑えるために、この後者のアプローチを選定し、3つのコントロールトライアルのうちの1つがベースラインとして選択された。選定は完全にランダム化されたが、事前に選択された。
【0167】
実行された分析
現在の研究では、双方向t検定が実行されて、各フレーバーの脳活動に対する効果を、各フレーバーのアプリケーション直前の「水でのリンス」ベースラインに対して比較した。これは、マウスウォッシュのアプリケーションにもっぱら起因する脳活動の差異をハイライトすることを可能にし、したがって、分析された各ムードに対する脳シグネチャを定義することを可能にした。これらの試験は4つの異なる時間間隔:トライアルの全持続期間について、すなわち、30秒間、初期の5秒間、5~10秒間間隔およびトライアルの最初の10秒間で繰り返された。
【0168】
これらの分析は、すべての参加者を包含し、かつ記録された20チャネルすべてを平均化することがもともと実行された。利用可能な20チャネルのうち、9つは各半球をカバーした一方、2つは半球間の割れ目にわたる活動を記録した。現在の文献のソリッドな量は各半球に異なる役割を割り当てるので(例えば、Hellige、1993を参照)、各脳半球単独で以前に記述されたすべての分析を繰り返すことが定められた。
【0169】
最後に、3つのfNIRS出力パラメータ(オキシHb、デオキシHb、総Hb)についてもすべての分析が繰り返された。
【0170】
以下の実施例4に解説されているすべての試験は、p≦0.05の有意性のレベルで有意であった。提示された結果はすべて、ボンフェローニ補正による多重比較の補正後にも有意であった。
【0171】
実施例2:Mood Portraits(登録商標)試験
タスク
Mood Portraits(登録商標)は、フレグランスおよびフレーバーに対する消費者のムードおよび感情的応答を測定するために、写真を使用する自己報告非言語的方法である。この方法は、参加者が彼らの考えおよび感情を言語化しかつ格付けするよりもむしろ、彼らのフィーリングに合った画像を選択することによって、オーラルケア製品をテイスティングすることに応答して彼らが感じるものを表現することを可能にする。
【0172】
実験プロトコルは以下の通りであった:参加者は、2つのフレーバー付きマウスウォッシュ製品のシリーズを適用し、そして彼らの口をリンスし、製品を吐き出した後、フレーバーを記述するために30枚の写真のセットから選定されたいくつかの写真を選択した。A4のラミネートされたシートにカラーで印刷された30枚の写真がディスプレイボードに並べられた。フレーバーを記述するために各参加者によって選定される写真の数は事前に決定されていなかった:各参加者は、各フレーバーを記述したいと望むだけの数を選定することができた。彼らが選択しなければならなかった写真の最小数は1枚であった。
【0173】
フレーバー付きマウスウォッシュの提示順序は完全にランダム化され、かつ写真は4つの異なるボードに並べられて、レイアウトのランダム化を作出した。
【0174】
タイムライン
すべての参加者は、単一のセッション中に2つのマウスウォッシュを適用し、4日間連続して総計4セッションであった。彼らは、リンスの時間に関する具体的な指標なしに、普通に家庭で行うだろうようにマウスウォッシュを使用するように依頼された。これは、参加者が、関連付けられるいかなる時間的プレッシャーもなく、より真実な応答を提供すること、および最も自然なやり方で製品を経験することを可能にした。
【0175】
参加者は、疲労または持ち越し効果を防ぐためにのんびりと休憩が可能とされ、かつ準備ができたと考慮したときにのみ第2のマウスウォッシュに移動した。
【0176】
参加者
2つのマウスウォッシュを関与させる各試験について、80人の健康な成人が研究に参加するように依頼された。参加者は、嗅覚およびテイスト障害、呼吸条件または香りまたはテイストの感覚を変更させ得る他の個人的条件(例を挙げると、妊娠またはシガレットのようなタバコベースの製品の消費)についてスクリーニングされた。試験前に関連する除外基準が同定されていなかったため、参加者の選定において他の選択基準(すなわち、利き手、年齢、性別等)は適用されなかった。
【0177】
実施例3:試験された組成物
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【0178】
組成物AからHは、fNIRSおよび/またはMood Portraits(登録商標)試験に供された。これらのうち、組成物A、C、D、およびFは比較例であった一方、組成物B、E、G、およびHは、本発明によるオーラルケアフレーバー組成物であった。
【0179】
これらの組成物に含有された成分は、上記の表に指定されている。
【0180】
実施例4:機能的近赤外分光法試験の結果
実施例3に記述されているオーラルケアフレーバー組成物AからHのfNIRS試験は、実施例1に記述されている方法により行われた。水が、ベンチマークとして使用された。
【0181】
第1のレベルとして、以下の8個の条件A1からA8が調査された:
A1.チャネル14が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
A2.チャネル15が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
A3.チャネル18が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
A4.チャネル19が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
A5.チャネル1が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
A6.チャネル3が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
A7.チャネル4が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
A8.チャネル5が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す。
【0182】
広範な試験に基づいて、オーラルケアフレーバー組成物がハッピー効果を提供するケースでは、上記8個の条件A1からA8のうちの少なくとも1個が満たされることが決定された。
【0183】
第1のレベルのfNIRS試験の結果は以下の表に示されている:
【表3】
【0184】
第1のレベルのfNIRSの要件を満足したそれらの組成物(組成物B、C、およびE~H)について、具体的なfNIRSチャネルおよび時点のさらなる調査が行われた。具体的には、以下のさらなる9個の条件B1からB9のうちの1個または複数が満たされるかどうかが試験された:
B1.チャネル14が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、オキシHbの統計学的に有意な差異を示す;
B2.チャネル16が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、オキシHbの統計学的に有意な差異を示す;
B3.チャネル18が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、オキシHbの統計学的に有意な差異を示す;
B4.チャネル20が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、オキシHbの統計学的に有意な差異を示す;
B5.チャネル2が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、オキシHbの統計学的に有意な差異を示す;
B6.チャネル3が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、オキシHbの統計学的に有意な差異を示す;
B7.チャネル4が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、オキシHbの統計学的に有意な差異を示す;
B8.チャネル5が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、オキシHbの統計学的に有意な差異を示す;
B9.チャネル6が、オーラルアプリケーションの0~10秒後、オキシHbの統計学的に有意な差異を示す。
【0185】
この第2のレベルのfNIRS試験の結果は以下の表に示されている:
【表4】
【0186】
オーラルケアフレーバー組成物は、9個の条件B1からB9のうちの少なくとも1個が満たされた場合、ハピネス状態のより顕著な改善につながったことが見出された。これは、組成物B、C、E、G、およびHのケースであった。
【0187】
以下の8個の条件C1からC8のうちの少なくとも1個もまた満たすオーラルケアフレーバー組成物に関しては、なおさらに良好なハッピー効果が観察された。
C1.チャネル16が、オーラルアプリケーションの5~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
C2.チャネル19が、オーラルアプリケーションの5~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
C3.チャネル20が、オーラルアプリケーションの5~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
C4.チャネル1が、オーラルアプリケーションの5~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
C5.チャネル4が、オーラルアプリケーションの5~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
C6.チャネル6が、オーラルアプリケーションの5~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
C7.チャネル9が、オーラルアプリケーションの5~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す;
C8.チャネル12が、オーラルアプリケーションの5~10秒後、総Hbの統計学的に有意な差異を示す。
【0188】
【0189】
追加の基準は、オーラルケアフレーバー組成物によって達成されるハピネスに対する効果を予測するための改善された正確性につながることが見出された。これは、組成物B、E、G、およびHのケースであった。その結果、発明のオーラルケアフレーバー組成物を調製するためのルールは、それぞれのオーラルケアフレーバー組成物が最高レベルのfNIRS試験さえも合格するように考案された。
【0190】
その上、fNIRS試験は、群レベル(すなわち、全脳および/または半球平均)および単一チャネルレベルの両方で非常に特異的な脳シグネチャを示し、参加者に本当にハピネスの感覚を提供するオーラルケアフレーバー組成物およびオーラルケアフレーバー成分のみが合格できるように妥当性試験を徹底する。
【0191】
このように、本発明の組成物は、潜在意識レベルでのハッピーであることが見出された。
【0192】
実施例5:Mood Portraits(登録商標)試験の結果
fNIRS試験に加えて、実施例2に記述されているようなMood Portraits(登録商標)研究はまた、多数のフレーバー付きマウスウォッシュ組成物に対しても行われた。
【0193】
本発明に関しては、Mood Portraits(登録商標)研究の結果は、ポジティブなハッピームードについて分析された。具体的には、ハピネスに関連付けられる写真の選択頻度、およびそれぞれの写真とハッピームードとの関連性(一部の写真は、ハピネスと非常に強く関連付けられているが、他の写真については、いくつかの同じように強いものの中に1つの関連性のみである)のグレードが勘案された。
【0194】
数十のオーラルケアフレーバー組成物の比較は、それらのほとんどが、ポジティブなハッピームードに対して非常に同様な効果を有することを示した;しかし、いくつかのオーラルケアフレーバー組成物は、ハッピームードを有意に喚起することができるか、または喚起することができない。
【0195】
図2は、試験されたオーラルケアフレーバー組成物の一部、名前を挙げれば、実施例3の組成物G(発明による)およびC(比較例)、および組成物IからN(これらはこの開示において以前に記述されていない)の結果を示す。
【0196】
より厳密には、
図2は、ハッピー/高揚ムードのオッズ比を示し、各オーラルケアフレーバー組成物について、他の組成物よりも多くまたは少なくハッピー/高揚ムードを喚起するかどうかを指し示す。オッズ比はドットとして示されている。オーラルケアフレーバー組成物のオッズ比の90%信頼区間が1.0の有意性のラインを完璧に上回る場合、該オーラルケアフレーバー組成物は、よりポジティブなハッピームードを有意に喚起し、かつ
図2において矢印によってマークされている;オーラルケアフレーバー組成物の90%信頼区間が1.0の有意性のラインを完璧に下回る場合、該オーラルケアフレーバー組成物は、より少ないポジティブなハッピームードを有意に喚起する。
【0197】
このように、
図2から分かることができるように、本発明によるオーラルケアフレーバー組成物である組成物Gは、他のすべてのオーラルケアフレーバー組成物よりも有意に大きくハッピー/高揚ムードを喚起することができる。組成物CおよびIからNは、本質的に有意性のライン上にある。
【0198】
このように、Mood Portraits(登録商標)の結果は、fNIRS研究においてハッピーであることが見出され、かつ本発明の配合ガイドラインにも適合する組成物Gが、他のオーラルケアフレーバー組成物の大部分と比較して、よりハピネスを有意に喚起することを確認する。
【0199】
実施例6:マウスウォッシュ対練り歯磨きの比較
マウスウォッシュおよび練り歯磨きのフレーバーが、fNIRSシグナルによって決定される脳活動に対して同様の効果を有するかどうかを決定するために、2つの異なる送達方法(マウスウォッシュおよび練り歯磨き)における同じフレーバー組成物の効果が直接比較されるプロトコルが開発された。
【0200】
15人の参加者が研究に参加した:彼らの各々は、互いに少なくとも3時間離れた2つの別々のセッションに出席し、彼らは、当初2つの条件(マウスウォッシュまたは練り歯磨き)の一方にランダムに割り当てられた。第2のセッションでは、彼らは他方の条件を完了した。
【0201】
2つのセッションのプロトコルは同一であった。試験の位置に到着すると、実験者はfNIRSキャップをセットし、シグナルの質をチェックした。次いで、fNIRS記録を開始したら、参加者は、水ベースのクラッカーを食べて、彼らの口の中に存在する以前のフレーバーを除去した。クラッカーを食べた後、参加者は、彼らの口を水でリンスし、その後、セッションで査定される製品を使用するように依頼された(すなわち、マウスウォッシュで彼らの口をリンスするか、練り歯磨きで彼らの歯をブラッシングするかのいずれか)。リンス/ブラッシングの時間のガイダンスはなかった:参加者は、研究の自然主義的要素を増加するために、普通に家庭で行うだろうように製品を使用するように指導された。
【0202】
各セッション中に、4つの異なるフレーバーを用い、各ブロック間に最小限5分の休憩を入れて、製品中のクーラントがそれらの効果を弱めることを可能にし、かつ参加者が後に続くフレーバーを完全にテイストすることを可能にして、クラッカー-水-製品の全シーケンスが4回繰り返された。このように、セットアップは、上に記述されている実施例1によるfNIRS試験のそれと同一であった。4つのフレーバーは、参加者に完全にランダム化された順序で提示された。
【0203】
fNIRSを使用して脳活動が記録され、参加者がリラクゼーションの状態に戻ったら、各アクションの直後の30秒間分析された(すなわち、クラッカーを食べ終わったすぐ後、リンス後の水を吐き出した/飲み込んだすぐ後、および練り歯磨き/マウスウォッシュを吐き出したすぐ後)。
【0204】
分析は、試験で使用された4つのフレーバーに対するANOVA検定によって、アプリケーション後30秒での2つの異なる製品フォーマット(マウスウォッシュ対練り歯磨き)のfNIRSシグナルに対する効果間の比較に焦点が当てられた。このような研究についての科学文献における参照の完全な欠如に起因して、練り歯磨きまたはマウスウォッシュのアプリケーション後にfNIRSシグナルの増加を予想することが明らかであるか否かをアプリオリで仮定することは不可能であった。
【0205】
各参加者から収集されたデータは、標準的なfNIRSデータパイプラインを使用して前処理され、0.005および0.3Hzの間のバンドパスフィルタを使用してフィルタリングされ、次いで、各アプリケーションのベースラインとして30秒の水リンス後間隔を使用してチャネルごとに正規化されて、数値が意味のあるやり方で参加者にわたって比較され得ることを確かめた。
【0206】
結果が使用される特定の種類のフレーバーによって影響されないことを確実にするために、試験された4つのフレーバーは、フレーバー空間の4つの異なるエリアから選択された。具体的には、フレーバー1はペパーミント/ハーバル/シトラスであり、フレーバー2はスペアミント/ペパーミントであり、フレーバー3はペパーミント/フローラルであり、かつフレーバー4はスペアミント/フローラルであった。
【0207】
結果は、同じフレーバーがマウスウォッシュ対練り歯磨きに適用される場合、関連する(すなわち、統計学的に有意な)差異がないことを明確に示している。例えば、オキシHbパラメータが考慮される場合、全脳、左半球または右半球レベルで有意な差異はない(F値、それぞれ1.31、3.81、0.21、すべてp>0.05)。同様に、デオキシHbパラメータが考慮される場合、全脳、左半球または右半球レベルのいずれでも有意な差異はない(F値、それぞれ1.46、0.78、1.63、すべてp>0.05)。
【0208】
特定のフレーバーの可能性のある差異が群分析によってマスクされなかったことを確かめるために、個々のt検定比較が単一フレーバー(マウスウォッシュ対練り歯磨き)で行われた。結果は、個々のフレーバーレベルにおいてさえ、同じフレーバー組成物の2つの送達方法が、fNIRSによって測定されるような脳活動に有意に影響しないことをハイライトした(すなわち、4つのフレーバーのいずれにおいても、マウスウォッシュ対練り歯磨きに対する血流動態反応に関連する差異はなかった)。
【0209】
特に、総Hb値は、すべてのチャネルおよびすべてのフレーバーについて分析され、データは、フレーバー1について、分析された20チャネルのいずれにおいても有意な差異がなかった;フレーバー2については、チャネル8でただ1つ統計学的に有意な差異があった;フレーバー3については、チャネル2でただ1つ統計学的に有意な差異があった;およびフレーバー4については、チャネル5でただ1つ統計学的に有意な差異があったことを示した。これらの統計学的に有意な差異は、0.05の有意性の閾値で得られた;しかしながら、閾値を0.03に下げると、フレーバー2の差異は有意ではなくなり、閾値を0.01にさらに下げると、以前の差異はいずれも統計学的に有意ではなくなる。また、3つの統計学的に有意なケースにおいて、マウスウォッシュが練り歯磨きよりも有意に低い脳活動をもたらしたことを特筆することも興味深い。したがって、統計学的に有意な差異の存在下でさえ、2つの送達方法間には明確な関係がある。全体的に、総計80の比較のうち、77(96%)は、fNIRSを介して測定された脳活動の点で、マウスウォッシュおよび練り歯磨きの間に有意な差異は示さなかった。
【0210】
オキシHbおよびデオキシHbについて非常に同様な結果が得られ、4つのフレーバーに対して分析された総計80チャネルのうち、それぞれ76(95%)および77(96%)は、2つの送達方法間に統計学的に有意な差異は示さず、差異が存在する場合、それらは上に記述されているものと同様であった(すなわち、マウスウォッシュは練り歯磨きよりも有意に低い脳活動をもたらし、かつ差異は0.01レベルで有意でなくなる)。
【国際調査報告】