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特表2024-526422薬物組成物及びブレクスピプラゾール口腔内溶解フィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-18
(54)【発明の名称】薬物組成物及びブレクスピプラゾール口腔内溶解フィルム
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/496 20060101AFI20240710BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20240710BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240710BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240710BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240710BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240710BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240710BHJP
   A61P 25/18 20060101ALN20240710BHJP
   A61P 25/24 20060101ALN20240710BHJP
【FI】
A61K31/496
A61K9/70
A61K47/10
A61K47/26
A61K47/32
A61K47/36
A61K47/38
A61P25/18
A61P25/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574274
(86)(22)【出願日】2022-12-21
(85)【翻訳文提出日】2023-11-30
(86)【国際出願番号】 CN2022140816
(87)【国際公開番号】W WO2023240971
(87)【国際公開日】2023-12-21
(31)【優先権主張番号】202210682418.X
(32)【優先日】2022-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523342632
【氏名又は名称】ウィズダム・ファーマスーティカル・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】WISDOM PHARMACEUTICAL CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.18,Qinghua Road,Sanchang Street,Haimen District,Nantong,Jiangsu 226123 China
(71)【出願人】
【識別番号】523342643
【氏名又は名称】ウィズダム・ファーマスーティカル・カンパニー・リミテッド・コアンチョウ・ブランチ
【氏名又は名称原語表記】WISDOM PHARMACEUTICAL CO.,LTD.GUANGZHOU BRANCH
【住所又は居所原語表記】No.12 Ruifa Road,Huangpu District,Guangzhou,Guangdong 510760 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ピン・ツォウ
(72)【発明者】
【氏名】イーコアン・チー
(72)【発明者】
【氏名】ニー・ワン
(72)【発明者】
【氏名】ティンチャン・マー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA89
4C076BB22
4C076CC01
4C076DD09
4C076DD38
4C076DD47
4C076EE06
4C076EE16
4C076EE23
4C076EE30
4C076EE32
4C076EE36
4C076EE48
4C076FF35
4C076FF70
4C076GG01
4C086AA01
4C086AA02
4C086GA03
4C086GA07
4C086GA12
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA27
4C086MA57
4C086NA10
4C086ZA12
4C086ZA18
(57)【要約】
本発明は、薬物組成物及びブレクスピプラゾール口腔内溶解フィルムを提供する。該薬物組成物は、ブレクスピプラゾール、成膜材料及び可塑剤を含み、前記ブレクスピプラゾールのD90が25μm≦D90≦50μmを満たす。本発明により提供される薬物組成物は、良好な溶出速度を実現することができ、先発医薬品錠剤と同様の治療効果及び安全性を有する。同時に、本発明により提供されるブレクスピプラゾール口腔内溶解フィルムは、薬物の含有量の均一性が改善され、溶解速度を制御可能であり、調製プロセスが簡単であり、製剤補助剤が単純であるという利点を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレクスピプラゾール、成膜材料及び可塑剤を含む薬物組成物であって、前記ブレクスピプラゾールのD90が25μm≦D90≦50μmを満たす薬物組成物。
【請求項2】
前記薬物組成物中の前記ブレクスピプラゾールの質量百分率含有量は、2%~24%であり、好ましくは3~20%であり、及び/又は
前記ブレクスピプラゾールのD90は、30μm<D90≦50μmを満たし、及び/又は
前記ブレクスピプラゾールのD90は、30.3μm≦D90≦50μmを満たす、ことを特徴とする請求項1に記載の薬物組成物。
【請求項3】
前記可塑剤は、ポリエチレングリコール、グリセリン、クエン酸トリエチル、又はポリソルベートから選ばれる1種又は複数種であり、及び/又は
前記成膜材料は、ポビドン、コポビドン、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ペクチン、グアーガム、プルラン、アルギン酸ナトリウム、キトサン、ポリビニルアルコール-ポリエチレングリコール共重合体又はキサンタンガムから選ばれる1種又は複数種である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の薬物組成物。
【請求項4】
前記成膜材料及び可塑剤の合計質量に対する前記ブレクスピプラゾールの質量の比は1:(2~50)であり、好ましくは1:(4~35)であり、及び/又は
前記成膜材料の質量と前記可塑剤の質量との比は(2~50):1であり、好ましくは(5~20):1である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の薬物組成物。
【請求項5】
前記薬物組成物は、重量部で、2部のブレクスピプラゾール、5~80部、好ましくは5~60部の成膜材料、及び0.2~10部、好ましくは0.5~10部の可塑剤を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の薬物組成物。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか一項に記載の薬物組成物と水とを含む薬物懸濁液。
【請求項7】
前記薬物懸濁液の粘度は3500mPa・sを超え、好ましくは3500~15000mPa・sであり、より好ましくは3500~10000mPa・sである、ことを特徴とする請求項6に記載の薬物懸濁液。
【請求項8】
前記薬物懸濁液は、
重量部で、2部のブレクスピプラゾール、5~80部の成膜材料、0.2~10部の可塑剤、及び50~150部の水、好ましくは、
重量部で、2部のブレクスピプラゾール、5~60部の成膜材料、0.5~10部の可塑剤、及び60~120部の水を含む、ことを特徴とする請求項6又は7に記載の薬物懸濁液。
【請求項9】
請求項1~5のいずれか一項に記載の薬物組成物を含むか、又は請求項6~8のいずれか一項に記載の薬物懸濁液を原料として調製されたブレクスピプラゾール口腔内溶解フィルム。
【請求項10】
(1)ブレクスピプラゾールを水に分散させ、成膜材料及び可塑剤を加えて混合し、薬物懸濁液を得る工程と、
(2)前記薬物懸濁液を脱泡処理する工程と、
(3)工程(2)で得られた薬物懸濁液を塗布する工程と、を含む、請求項9に記載のブレクスピプラゾール口腔内溶解フィルムの調製方法。
【請求項11】
工程(1)において、15~60分間の高速均質化によって、前記ブレクスピプラゾールを水に分散させ、及び/又は成膜材料及び可塑剤を加えて15~60分間混合し、及び/又は、
工程(2)において、真空脱泡機を用いて脱泡処理を行い、及び/又は、
工程(3)において、前記塗布の温度は50~80℃である、ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2022年6月16日に提出された出願番号が202210682418.Xであり、発明名称が「薬物組成物及びブレクスピプラゾール口腔内溶解フィルム」である中国特許出願の優先権を享受することを請求し、その全ての内容は全体を引用することにより本出願に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は薬物組成物に関し、さらにブレクスピプラゾール口腔内溶解フィルムに関する。
【背景技術】
【0003】
ブレクスピプラゾール錠は、日本大塚製薬株式会社及びデンマークルンドベック社によって共同開発され、統合失調症及び重度うつ病を治療し、2015年7月にFDAによって市販が承認され、剤形は錠剤であり、規格は0.25mg/0.5mg/1mg/2mg/3mg及び4mgであり、商品名はREXULTIである。分子式はC252732Sであり、分子量は433.57であり、構造式は以下のとおりである。
【0004】
臨床介護で、精神疾患の入院患者は、服薬治療の間に、服薬拒否現象が発生しやすく、直接拒否、薬隠し、偽服薬(舌の下や口腔内に薬を含んで飲んだふりをして、スタッフの目を盗んで吐き出すこと)などと表現され、疾患に期待される治療効果が得られず、また入院時間が2週間以内の患者の服薬拒否行為の発生率が90%にもなる。
【0005】
口腔内溶解フィルムは、近年国内外において発展している新規な経口投与剤形であり、服用方式は口腔内溶解フィルムを舌に置き、通常30秒以内に完全に融解し、さらに唾液と共に飲み込むことでよい。投与後に口に付着して吐出しにくく、溶解が迅速であり、既存の剤形が満足できない臨床要求に対応できる点で価値を有し、口腔内溶解フィルムが精神疾患患者の薬隠し行為への制御に有利であり、患者のコンプライアンス向上及び間接的な治療効果の改善に有益であるという利点を有する。
【0006】
ブレクスピプラゾールは白色又は類白色結晶粉末であり、BCS2類に属し、低溶解・高張であるため、主薬の溶出速度はその生物学的利用能に影響する主な原因である。
【0007】
特許CN105395528Aには、ブレクスピプラゾール口腔内速溶性フィルム及びその調製方法が開示されているが、該口腔内溶解フィルムは溶出が遅く、60分間で約50%溶出し、その口腔内溶解フィルムは軟質で、引っ張られるとが変形しやすく、産業化が困難である。特許JP2013253038Aには、ブレクスピプラゾール口腔内速溶性フィルム及びその調製方法が開示されているが、該製剤に大量の補助剤が添加され、二層フィルム剤として調製され、調製プロセスが複雑で、生産コストが高い。
【発明の概要】
【0008】
従来技術に存在する課題に対して、本発明は、薬物含有量の均一性が改善され、溶出速度を制御可能であり、調製プロセスが簡単であり、製剤の補助剤が単純であるブレクスピプラゾール口腔内溶解フィルム及びその調製方法を提供する。
【0009】
本発明の目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
【0010】
第1の態様において、本発明は、ブレクスピプラゾール、成膜材料及び可塑剤を含み、前記ブレクスピプラゾールのD90が25μm≦D90≦50μmを満たす薬物組成物を提供する。
【0011】
本発明は、ブレクスピプラゾールの薬物粒子径を一定の範囲内に制御することにより、制御可能な溶出速度を実現でき、再現性がよく、先発医薬品錠剤と同様の治療効果及び安全性を有することを意外に発見した。それと同時に、それをブレクスピプラゾール口腔内溶解フィルムとして調製することにより、先発医薬品錠剤と同様の溶出速度を維持するとともに、患者のコンプライアンスを改善することができ、ブレクスピプラゾール口腔内溶解フィルムは口腔粘膜を介して薬物が吸収され、全身作用を発揮することができる。いくつかの実施例では、ブレクスピプラゾールのD90は、25μm、25.7μm、27.5μm、30μm、30.3μm、32.5μm、35μm、37.1μm、37.5μm、40μm、42.5μm、45μm、47.5μm、48.4μm又は50μmである。いくつかの実施形態において、ブレクスピプラゾールのD90は、25μm~40μmである。本発明において、ブレクスピプラゾールの原薬粒子径D90を25μm~50μmの間に制御すると、溶出が安定して制御可能であり、同一時点における溶出の差が10%を超えず、調製されたブレクスピプラゾール口腔内溶解フィルムは経口錠剤と生物学的同等性の生物学的利用能を達成することができ、原薬粒子径D90が25μm以下であると、溶出の速度が速すぎ、制御不能となり、溶出の速度が速すぎると、体内の血中濃度の変動が大きすぎるおそれがある。原薬粒子径D90が50μm以上であると、溶出速度が遅くなる。
【0012】
いくつかの実施形態において、前記ブレクスピプラゾールのD90は、30μm≦D90≦50μmを満たす。
【0013】
いくつかの実施形態において、前記ブレクスピプラゾールのD90は、30μm<D90≦50μmを満たす。
【0014】
いくつかの実施形態において、前記ブレクスピプラゾールのD90は、30μm<D90<50μmを満たす。
【0015】
いくつかの実施形態において、前記ブレクスピプラゾールのD90は、30.3μm≦D90≦50μmを満たす。
【0016】
いくつかの実施形態において、前記可塑剤は、ポリエチレングリコール、グリセリン、クエン酸トリエチル、又はポリソルベートから選ばれる1種又は複数種である。いくつかの実施例において、前記可塑剤は、ポリソルベート80、ポリエチレングリコール400、又は可塑剤として使用できる他のポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール600、ポリエチレングリコール800、ポリエチレングリコール1000、ポリエチレングリコール1500、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール6000)である。
【0017】
いくつかの実施形態において、前記成膜材料は、ポビドン、コポビドン、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ペクチン、グアーガム、プルラン、アルギン酸ナトリウム、キトサン、ポリビニルアルコール-ポリエチレングリコール共重合体又はキサンタンガムから選ばれる1種又は複数種である。いくつかの実施例において、前記成膜材料は、ポビドンK29/32、コポビドンVA64、ヒプロメロースE5、ヒプロメロースE15、ヒプロメロースE50又はヒドロキシプロピルセルロースSSLなどである。
【0018】
いくつかの実施形態において、前記薬物組成物中の前記ブレクスピプラゾールの質量百分率含有量は、2%~40%である。いくつかの実施形態において、前記薬物組成物中の前記ブレクスピプラゾールの質量百分率含有量は、2%~24%である。いくつかの実施形態において、前記薬物組成物中の前記ブレクスピプラゾールの質量百分率含有量は、3%~20質量%である。いくつかの実施例において、前記薬物組成物中の前記ブレクスピプラゾールの質量百分率含有量は、2%、3%、5%、7.5%、10%、12.5%、15%、17.5%、20%、25%、30%、35%、又は40%である。本発明において、ブレクスピプラゾールの質量含有量を上記範囲内、特に3%~20%内に制御することにより、調製された製剤は安定で制御可能な溶出を実現することができる。
【0019】
いくつかの実施形態において、前記成膜材料及び可塑剤の合計質量に対する前記ブレクスピプラゾールの質量の比は1:(2~50)である。いくつかの実施形態において、前記成膜材料及び可塑剤の合計質量に対する前記ブレクスピプラゾールの質量の比は、1:(4~35)である。いくつかの実施例において、前記成膜材料及び可塑剤の合計質量に対する前記ブレクスピプラゾールの質量の比は、1:2、1:4、1:6、1:8、1:10、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、または1:50である。本発明において、成膜材料及び可塑剤の合計質量に対するブレクスピプラゾールの質量の比率を上記範囲内に制御することにより、その製剤は安定で制御可能な溶出を実現することができる。
【0020】
いくつかの実施形態において、前記成膜材料の質量と前記可塑剤の質量との比は(2~50):1である。いくつかの実施形態において、前記成膜材料の質量と前記可塑剤の質量との比は(5~20):1である。いくつかの実施例において、前記成膜材料の質量と前記可塑剤の質量との比は、2:1、5:1、10:1、15:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、45:1又は50:1である。
【0021】
いくつかの実施形態において、前記薬物組成物は、重量部で、2部のブレクスピプラゾール、5~80(例えば、5、6、8、10、12、15、20、30、40、50、60、70、又は80など)部の成膜材料、0.2~10(例えば、0.2、0.5、1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10など)部の可塑剤、という成分を含むか、又はそれらの成分からなる。
【0022】
いくつかの実施形態において、前記薬物組成物は、重量部で、2部のブレクスピプラゾール、5~60(例えば、5、6、8、10、12、15、20、30、40、50、又は60など)部の成膜材料、0.5~10(例えば、0.5、1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10など)部の可塑剤、という成分を含むか、又はそれらの成分からなる。
【0023】
第2の態様において、本発明は、本発明の第1の態様に記載の薬物組成物と水とを含む薬物懸濁液を提供する。
【0024】
いくつかの実施形態において、前記薬物懸濁液の粘度は3500mPa・sを超えている。いくつかの実施形態において、前記薬物懸濁液の粘度は3500~15000mPa・sである。いくつかの実施形態において、前記薬物懸濁液の粘度は3500~10000mPa・sである。いくつかの実施例において、前記薬物懸濁液の粘度は、3500mPa・s、4000mPa・s、5000mPa・s、6000mPa・s、7000mPa・s、8000mPa・s、9000mPa・s、10000mPa・s、11000mPa・s、12000mPa・s、13000mPa・s、14000mPa・s又は15000mPa・sである。発明者らは、薬物懸濁液の粘度≧3500mPa・s、好ましくは粘度範囲が3500mPa・s~15000mPa・sである場合、脱泡後に薬物含有量の均一性が良好であることを実現でき、さらに好ましくは粘度範囲が3500mPa・s~10000mPa・sであり、薬物懸濁液の粘度がこの範囲内である場合、脱泡後に薬物含有量の均一性が基準を満たし、分層現象が発生しないことを実現できることを見出した。
【0025】
いくつかの実施形態において、前記薬物懸濁液において、ブレクスピプラゾールのD90は25μm~50μmである。いくつかの実施形態において、前記薬物懸濁液中のブレクスピプラゾールのD90は25μm~40μmである。いくつかの実施例において、前記薬物懸濁液におけるブレクスピプラゾールのD90は、25μm、27.5μm、30μm、32.5μm、35μm、37.5μm、40μm、42.5μm、45μm、47.5μm又は50μmである。
【0026】
いくつかの実施形態において、前記薬物懸濁液は、重量部で、2部のブレクスピプラゾール、5~80(例えば、5、6、8、10、12、15、20、30、40、50、60、70、又は80など)部の成膜材料、0.2~10(例えば、0.2、0.5、1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10など)部の可塑剤、及び50~150(例えば、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、又は150など)部の水、という成分を含むか、又はそれらの成分からなる。
【0027】
いくつかの実施形態において、前記薬物懸濁液は、重量部で、2部のブレクスピプラゾール、5~60(例えば、5、6、8、10、12、15、20、30、40、50、又は60など)部の成膜材料、0.5~10(例えば、0.5、1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10など)部の可塑剤、及び60~120(例えば、60、70、80、90、100、110、又は120など)部の水、という成分を含むか、又はそれらの成分からなる。
【0028】
第3の態様において、本発明は、本発明の第1の態様に記載の薬物組成物を含むか、又は本発明の第2の態様に記載の薬物懸濁液を原料として調製されたブレクスピプラゾール口腔内溶解フィルムを提供する。
【0029】
第4の態様において、本発明は、
(1)ブレクスピプラゾールを水に分散させ、成膜材料及び可塑剤を加えて混合し、薬物懸濁液を得る工程と、
(2)前記薬物懸濁液を脱泡処理する工程と、
(3)工程(2)で得られた薬物懸濁液を塗布する工程と、を含む、第3の態様に記載のブレクスピプラゾール口腔内溶解フィルムの調製方法を提供する。
【0030】
いくつかの実施形態において、工程(1)において、15~60(例えば、15、20、25、30、35、40、45、50、55、又は60など)分間の高速均質化によって、前記ブレクスピプラゾールを水に分散させる。
【0031】
いくつかの実施形態において、工程(1)において、成膜材料及び可塑剤を加えて15~60(例えば、15、20、25、30、35、40、45、50、55、又は60など)分間混合する。
【0032】
いくつかの実施形態において、工程(2)において、真空脱泡機を用いて脱泡処理を行う。
【0033】
いくつかの実施形態において、工程(2)において、真空脱泡機は、真空遠心脱泡機又は真空乾燥オーブンであってもよい。
【0034】
いくつかの実施形態において、工程(3)において、前記塗布の温度は50~80℃である。いくつかの実施形態において、前記塗布の温度は、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、又は80℃である。
【0035】
いくつかの実施形態において、前記調製方法は、ブレクスピプラゾールを精製水に添加し、例えば30分間の高速均質化を行い、その後、均質化されたサンプルを撹拌装置に移し、撹拌装置を起動し、成膜材料及び可塑剤を添加し、例えば30分間撹拌し、懸濁液を得、その後、懸濁液を真空遠心脱泡機により脱泡し、その後、懸濁液を塗布装置に平らに広げ、固定し、ブレードをゼロに調整し、加熱温度を50~80℃に設定し、塗布し、前記ブレクスピプラゾール口腔内溶解フィルムを得る工程を含む。
【0036】
本発明は、ブレクスピプラゾール口腔内溶解フィルムにおける原薬の粒子径を制御することにより、胃腸管において制御性に優れ、再現性に優れた溶解速度を達成することができ、錠剤と同等の生物学的利用能を達成する。本発明は、塗布懸濁液の粘度を制御することにより、薬物の含有量の均一性において基準を満たすことができ、含有量の分層が発生しない。本発明のブレクスピプラゾール口腔内溶解フィルムは、良好な安定性及び嗜好性を有する。本発明のブレクスピプラゾール口腔内溶解フィルムは、前記口腔内溶解フィルムを被験者の口腔内に配置することにより、フィルムが溶解した後に薬物が唾液とともに胃腸管に入って吸収される。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、実施例を組み合わせて本発明をさらに詳細に説明する。ここで説明される具体的な実施例は、本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0038】
試験方法
溶出方法:サンプルを取り、USP IVに従い、パドル法で、溶出媒体は0.1M塩酸溶液であり、回転速度は50rpmであり、サンプリング時間は5min/15min/30minである。サンプリング後、HPLCを用いて放出度測定を行い、参照製剤以外、以下、いずれもこの分析方法を用いて測定分析を行い、溶出結果を平均値(N=3)として示した。
粘度測定:回転デジタル式粘度計(LICHEN社)を用いて測定を行い、適量の流動性を有するサンプルを取ってビーカーに置き、3号ローターを回転させ、1000回転/分で、ローターを試料中心に垂直に浸漬し、液面を回転液位標線までにし、測定容器における試料とローターを25±0.5℃まで恒温にし、試料温度を均一に保持し、回転し始め、指針が安定した後に数値を読み取り、試料粘度値を得、単位はセンチポアズ(mPa・s)である。
粒子径検出:マルバーンレーザー粒度計MS3000を用いて粒子径を測定し、水を分散剤として、機器の操作プロトコルに従ってサンプルを測定し、撹拌速度を500回転/分に設定し、測定回数は3回であり、撹拌が作動状態にあることを確認した後、スタートをクリックして、機器を初期化し、自動的にエイミングし、バックグラウンド測定が終了した後、遮光度が範囲内に到達するまでサンプルを手動で添加してスタートキーを押して測定し、最後に測定データD90を得る。「D90」は90%粒子の粒子径が当該値より低いことを指す。例えば、D90:9.6μmということは90%粒子の粒子径が9.6μm未満であることを指し、μmはミクロンを指す。
比較例1 参照製剤(ブレクスピプラゾール錠剤)の溶出試験
【0039】
ブレクスピプラゾール錠剤(REXULTI、2mg、ロット番号:BMS05420A、製造元:Otsuka Pharmaceutical Co.,Ltd.)を0.1M塩酸溶液に溶出させた。溶出方法:USP II法に従い、パドル法で、溶出媒体は0.1M塩酸溶液であり、回転速度は50rpmであり、サンプリング時間は(単位:min):5/15/30である。サンプリング後、HPLCを用いて放出度測定を行い、結果を表1に示す。
【0040】
比較例2 D90=3.96μmの場合の異なるpHの考察
【0041】
調製プロセス:処方量のブレクスピプラゾールを秤量して精製水にゆっくりと投入し、30分間高速均質化し、その後、サンプルを撹拌装置に移し、撹拌装置を起動し、ヒプロメロース、ポリエチレングリコールをゆっくりと加え、30分間撹拌し、その後、処方1の塗布懸濁液のpHを測定して記録し、処方2、処方3及び処方4の塗布懸濁液に0.1モル濃度の炭酸水素ナトリウム溶液を順に加え、pHを8.30、10.41及び12.13に調整し、その後、調製された塗布懸濁液を真空遠心脱泡機で脱泡し、粘度を測定し、その後、基材を塗布装置に平らに広げ、基材を固定し、ブレードをゼロに調整し、加熱温度を50~80℃に設定し、塗布し、塗布が完了した後、サンプルを一定のサイズに裁断し、溶出測定に供した。各処方の成分使用量を下記表2に示す。
【0042】
【0043】
上記処方で調製されたサンプルを0.1M塩酸に溶出させた結果を下記表3に示す。
【0044】
【0045】
その結果、D90=3.96μmである場合、異なるpH6.66~pH12.13で塗布された薬物フィルムはいずれも急速に溶出し、15minで85%を超えて溶出し、溶出はいずれも先発医薬品錠剤より速く、患者の吸収が速すぎ、血中濃度の変動が大きすぎ、不良反応を引き起こす恐れがある。
比較例3 D90=3.96μmの場合の異なる成膜材料の考察
【0046】
調製プロセス:処方量のブレクスピプラゾールを秤量して精製水にゆっくりと投入し、30分間高速均質化し、その後、サンプルを撹拌装置に移し、ヒプロメロース、ポリエチレングリコールをゆっくりと加え、30分間撹拌し、その後、調製された塗布懸濁液を真空遠心脱泡機で脱泡し、粘度を測定し、その後、基材を塗布装置に平らに広げ、基材を固定し、ブレードをゼロに調整し、加熱温度を50~80℃に設定し、塗布し、塗布が完了した後、サンプルを一定のサイズに裁断し、溶出測定に供した。各処方の成分使用量を下記表4に示す。
【0047】
【0048】
上記処方で調製されたサンプルを0.1M塩酸に溶出させた結果を下記表5に示す。
【0049】
【0050】
90=3.96μmの場合、異なる型番で調製された薬物懸濁液を用い、それらを上記調製プロセスに従って塗布した後、対応する形状に裁断し、溶出を測定した結果、塗布された薬物フィルムはいずれも溶出が速く、15minで85%を超えて溶出したため、体内で吸収が速すぎ、大きな血中濃度変動を引き起こす。
比較例4 CN105395528Aを参考して調製された口腔内溶解フィルムの溶出
【0051】
調製プロセス:
処方6:まず、処方量のアセスルファムK、グリセリン、ポリエチレングリコール、ヒプロメロース及びポリソルベート80を水溶液に添加し、撹拌して溶解させた後、ゼラチン及びキサンタンガムを添加し、60~70℃の水浴で十分に溶解させてゼラチンブランクガム液を得て、さらにブレクスピプラゾールを添加し、均一に分散するまで撹拌してブレクスピプラゾール含有ガム液を得て、真空条件下で撹拌して脱泡し、脱泡後の薬物含有ガム液をブレードで基材に均一に塗布し、70~80℃で加熱して乾燥させ、一定のサイズに切断し、ブレクスピプラゾール口腔内溶解フィルムを得て、溶出測定に供した。
【0052】
処方7:まず、上記量のアセスルファムK、グリセリン及びポリソルベートを水溶液に加え、撹拌して溶解させた後、ゼラチンを加え、60~70℃の水浴で十分に溶解させてゼラチンブランクガム液を得て、さらにブレクスピプラゾールを加えて均一に分散するまで撹拌してブレクスピプラゾール含有ガム液を得て、真空条件下で撹拌して脱泡し、脱泡後の薬物含有ガム液をブレードで基材に均一に塗布し、70~80℃で加熱して乾燥させ、一定のサイズに切断してブレクスピプラゾール口腔内溶解フィルムを得て、溶出測定に供した。
【0053】
各処方の成分使用量を下記表6に示す。
【0054】
【0055】
上記処方で調製されたサンプルを0.1M塩酸に溶出させた結果を下記表7に示す。
【0056】
【0057】
その結果、処方6と処方7は溶出が遅く、30minで50%未満に溶出し、且つ調製された口腔内溶解フィルムは軟質であり、引っ張られると変形しやすく、工業化生産が困難である。
比較例5 JP2013253038Aを参考して調製された口腔内溶解フィルムの溶出
【0058】
調製プロセス:(1)まず処方量のヒプロメロース、マルチトール、スクラロース、ポリエチレングリコールを水溶液に加え、撹拌して溶解させた後、二酸化チタンを加えて均一に分散するまで撹拌し、支持層懸濁液を得て、真空遠心脱泡し、脱泡後の支持層懸濁液をブレードで基材に均一に塗布し、70~80℃で加熱乾燥させ、(2)まず処方量のHPC SSL、マルチトール、スクラロース、香料を水溶液に加え、撹拌して溶解させた後、ブレクスピプラゾールを加えて均一に分散するまで撹拌し、薬物層懸濁液を得て、真空遠心脱泡し、脱泡後の薬物層懸濁液をブレードで支持層に均一に塗布し、70~80℃で加熱乾燥させ、一定のサイズに切断し、ブレクスピプラゾール口腔内溶解フィルムを得て、溶出測定に供した。各処方の成分使用量を下記表8に示す。
【0059】
【0060】
上記処方で調製されたサンプルを0.1M塩酸に溶出させた結果を下記表9に示す。
【0061】
【0062】
JP2013253038Aに開示されたブレクスピプラゾール口腔内溶解フィルムに大量の補助剤が添加され、二層フィルム剤として調製され、調製プロセスが複雑であり、補助剤の使用量が多く、プロセスコストが高い。該特許における原薬粒子径の範囲では、溶出速度の差が大きく、D90が9.6μmの原薬粒子径であるブレクスピプラゾール口腔内溶解フィルムを用いて30分間で86%溶出し、D90が60.8μmの原薬粒子径であるブレクスピプラゾール口腔内溶解フィルムを用いて30分間で50%未満溶出し、溶出速度が制御不能であり、製品ロット間の差が大きく、製品の品質に影響を与える。
実施例1 原薬粒子径の異なるブレクスピプラゾール口腔内溶解フィルム
【0063】
調製プロセス:処方量のブレクスピプラゾールを秤量して精製水にゆっくりと投入し、30分間高速均質化し、その後、サンプルを撹拌装置に移し、撹拌装置を起動し、ヒプロメロース、ポリエチレングリコールをゆっくりと加え、30分間撹拌し、その後、調製された塗布懸濁液を真空遠心脱泡機で脱泡し、粘度を測定し、その後、基材を塗布装置に平らに広げ、基材を固定し、ブレードをゼロに調整し、加熱温度を50~80℃に設定し、塗布し、塗布が完了した後、サンプルを一定のサイズに裁断し、溶出測定に供した。各処方の成分使用量を下記表10に示す。
【0064】
【0065】
上記処方で調製されたサンプルを0.1M塩酸に溶出させた結果を下記表11に示す。
【0066】
【0067】
その結果、原薬粒子径D90が25μmから50μmの間に制御される場合、溶出が安定して制御可能であり、同一時点での溶出差が10%を超えず、原薬粒子径D90が25μm以下である場合、溶出速度が速すぎ、制御不能となり、溶出速度が速すぎると、体内の血中濃度の変動が大きすぎる恐れがある。原薬粒子径D90が50μm以上である場合、溶出速度が遅い。
実施例2 含有量均一性の考察
【0068】
調製プロセス:処方量のブレクスピプラゾールを秤量して精製水にゆっくりと投入し、30分間高速均質化し、その後、サンプルを撹拌装置に移し、撹拌装置を起動し、ヒプロメロース、ポリエチレングリコールをゆっくりと加え、30分間撹拌し、その後、調製された塗布懸濁液を真空乾燥オーブンで一晩脱泡した。真空乾燥オーブンの設定圧力は-0.08Mpaであり、温度は25℃に設定された。処方の成分使用量を下記表12に示す。
【0069】
脱泡終了後に粘度測定を行い、処方16の粘度は1916mPa・sであった。
【0070】
【0071】
混合含有量の均一性とは、サンプルをよく混合し、脱泡する前後の薬物懸濁液の均一性を指す。実施例において、脱泡前及び脱泡後、直ちに混合タンクの上層、中層及び下層を含む異なる位置からそれぞれ3つのサンプルを取り、各サンプルのブレクスピプラゾール含有量をそれぞれ測定し、その相対標準偏差(RSD)を算出した。RSD=標準偏差/計算結果の算術平均値であり、RSD≦3%の場合、含有量の均一性が良いことを示し、RSD>3%の場合、含有量の均一性が悪いことを示す。混合含有量の均一性の結果を下記表13に示す。
【0072】
【0073】
その結果、処方16の薬物懸濁液は脱泡前に、異なる位置でのサンプル含有量の均一性が良好であり、RSD≦3%であるが、脱泡後に、サンプル含有量の均一性がRSD>3%で好適ではなく、薬物が分層したことを表し、上層薬物の含有量が低く、下層薬物の含有量が高く、薬物が沈降したことを示した。
実施例3 含有量均一性の考察
【0074】
調製プロセス:処方量のブレクスピプラゾールを秤量して精製水にゆっくりと投入し、30分間高速均質化し、その後、サンプルを撹拌装置に移し、ヒプロメロースE5LV、ポリエチレングリコール400をゆっくりと加え、30分間撹拌し、その後、調製された塗布懸濁液を真空遠心脱泡機により脱泡した。真空遠心脱泡機のパラメータ設定は、第1段階:回転数300回転/分、1分間、非真空、第2段階:回転数750回転/分、1分間、真空度-0.04Mpa、第3段階:回転数1000回転/分、2分間、真空度-0.04Mpa、第4段階:回転数700回転/分、1.5分間、真空度-0.04Mpa、第5段階:回転数400回転/分、0.5分間、真空度-0.04Mpaである。処方の成分使用量を下記表14に示す。
【0075】
脱泡終了後に粘度測定を行い、処方17の粘度は1920(mPa・s)であった。
【0076】
【0077】
混合含有量の均一性とは、サンプルをよく混合し、脱泡する前後の薬物懸濁液の均一性を指す。実施例において、脱泡前及び脱泡後、直ちに混合タンクの上層、中層及び下層を含む異なる位置からそれぞれ3つのサンプルを取り、各サンプルのブレクスピプラゾール含有量をそれぞれ測定し、その相対標準偏差(RSD)を算出した。RSD=標準偏差/計算結果の算術平均値であり、RSD≦3%の場合、含有量の均一性が良いことを示し、RSD>3%の場合、含有量の均一性が悪いことを示す。混合含有量の均一性の結果を下記表15に示す。
【0078】
【0079】
その結果、処方17の薬物懸濁液は脱泡前に、異なる位置でのサンプル含有量の均一性が良好であるが、脱泡後に、サンプル含有量の均一性がRSD>3%で好適ではなく、薬物が分層したことを表し、上層薬物の含有量が低く、下層薬物の含有量が高く、薬物が沈降したことを示した。
実施例4 含有量均一性の考察
【0080】
調製プロセス及び含有量の均一性のサンプリングは実施例3と同様であり、脱泡方式は真空遠心脱泡機を用いて脱泡した。各処方の成分使用量を下記表16に示す。混合含有量の均一性の結果を下記表17、表18、表19及び表20に示す。
【0081】
【0082】
【0083】
その結果、処方18の薬物懸濁液は脱泡前に、異なる位置でのサンプル含有量の均一性が良好であるが、脱泡後に、サンプル含有量の均一性がRSD>3%で好適ではなく、薬物が分層したことを表し、上層薬物の含有量が低く、下層薬物の含有量が高く、薬物が沈降したことを示した。
【0084】
【0085】
その結果、処方19の薬物懸濁液は脱泡前後で、異なる位置でのサンプルの含有量の均一性が良好であり、RSD<3%であった。
【0086】
【0087】
その結果、処方20の薬物懸濁液は脱泡前後で、異なる位置でのサンプルの含有量の均一性が良好であり、RSD<3%であった。
【0088】
【0089】
その結果、処方21の薬物懸濁液は脱泡前後で、異なる位置でのサンプルの含有量の均一性が良好であり、RSD<3%であった。
【0090】
表16から表20から分かるように、薬物懸濁液の粘度≧3500mPa・sの場合、脱泡後に含有量の均一性が良好であることを実現することができる。好ましくは、粘度範囲が3500mPa・s~15000mPa・sであり、薬物懸濁液の粘度がこの範囲内にある場合、脱泡後に含有量の均一性が良好であることを実現することができる。さらに好ましくは、粘度範囲が3500mPa・s~10000mPa・sであり、薬物懸濁液の粘度がこの範囲内にある場合、脱泡後に含有量の均一性をさらに向上させることができる。
実施例5 加速安定性実験
【0091】
処方13に従って調製されたブレクスピプラゾール口腔内溶解フィルムに対して加速安定性実験を行い、0.1M塩酸に溶出させた結果を下記表21に示し、全ての不純物及び溶出結果はいずれも加速期間内に受入基準を完全に満たした。
【0092】
【0093】
関連物質標準は中国薬典2020年版四部通則0512を参考に制定した。
【0094】
物質に関する結果を表22に示す。
【0095】
実施例6 人体PK試験
【0096】
ボランティアに薬物動態学試験を行い、処方10、処方12、処方15のブレクスピプラゾール口腔内溶解フィルムをそれぞれ投与し、投与量は2mgであり、ブレクスピプラゾール錠剤(REXULTI、2mg、ロット番号:BMS05420A、製造元:Otsuka Pharmaceutical Co.,Ltd.)を経口投与し、投与量は2mgである4群に分けた。ブレクスピプラゾール錠剤を比較基準として、毎回の投与前の0min及び投与後の1h、2h、3h、4h、5h、6h、8h、12h、16h、24h、48h、72h、96h、120h、144h、168h、216h、312hで採血し、LC-MS/MSを用いて血漿中のブレクスピプラゾール濃度を測定し、結果を下記表23に示す。
【0097】
【0098】
処方10、処方12及び処方15のブレクスピプラゾール口腔内溶解フィルムの平均最高血中濃度到達時間はそれぞれ1.80h、4.00h及び6.50hであり、経口投与錠剤の平均最高血中濃度到達時間は5.40時間であり、その結果、原薬粒子径を制御することにより、体内でのブレクスピプラゾールの血中濃度を効果的に制御するとともに、最高血中濃度到達時間を短縮することができる。D90=9.6μmである場合、そのピーク濃度が錠剤より22%を超え、ピーク濃度が高すぎると、有害反応を引き起こす恐れがある。D90=60.8μmである場合、ピーク濃度が経口投与錠剤と同等ではなく、D90=30.3μmである場合、ブレクスピプラゾール口腔内溶解フィルムの生物学的利用能は経口投与錠剤と生物学的同等性に達することができる。
実施例7 成膜材料と原薬との比率の考察
【0099】
調製プロセス:処方量のブレクスピプラゾールを秤量して精製水にゆっくりと投入し、30分間高速均質化し、その後、サンプルを撹拌装置に移し、ヒプロメロース、ポリエチレングリコールをゆっくりと加え、30分間撹拌し、その後、調製された塗布懸濁液を真空遠心脱泡機で脱泡し、基材を塗布装置に平らに広げ、基材を固定し、ブレードをゼロに調整し、加熱温度を50~80℃に設定し、塗布し、塗布が完了した後、サンプルを一定のサイズに裁断し、溶出測定に供した。各処方の成分使用量を下記表24に示す。
【0100】
【0101】
上記処方で調製されたサンプルを0.1M塩酸に溶出させた結果を下記表25に示す。
【0102】
【0103】
その結果、ブレクスピプラゾールが3%~20%を占める場合、その製剤は安定で制御可能な溶出を実現できる。
実施例8 成膜材料種類の考察
【0104】
調製プロセス:処方量のブレクスピプラゾールを秤量して精製水にゆっくりと投入し、30分間高速均質化し、その後、サンプルを撹拌装置に移し、成膜材料、可塑剤をゆっくりと加え、30分間撹拌し、その後、調製された塗布懸濁液を真空遠心脱泡機で脱泡し、基材を塗布装置に平らに広げ、基材を固定し、ブレードをゼロに調整し、加熱温度を50~80℃に設定し、塗布し、塗布が完了した後、サンプルを一定のサイズに裁断し、溶出測定に供した。各処方の成分使用量を下記表26に示し、各処方で調製されたサンプルを0.1M塩酸に溶出させた結果を下記表27に示す。
【0105】
【0106】
【0107】
その結果、処方26~30が異なる種類の成膜材料を採用しても、安定で制御可能な溶出を実現できることを示す。
【0108】
本発明の技術案は、上記の具体的な実施例に限定されず、本発明の技術案に基づいて行われる技術的変形は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれる。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
試験方法
溶出方法:サンプルを取り、USP IVに従い、パドル法で、溶出媒体は0.1M塩酸溶液であり、回転速度は50rpmであり、サンプリング時間は5min/15min/30minである。サンプリング後、HPLCを用いて放出度測定を行い、参照製剤以外、以下、いずれもこの分析方法を用いて測定分析を行い、溶出結果を平均値(N=3)として示した。
粘度測定:回転デジタル式粘度計(LICHEN社)を用いて測定を行い、適量の流動性を有するサンプルを取ってビーカーに置き、3号ローターを回転させ、回転/分で、ローターを試料中心に垂直に浸漬し、液面を回転液位標線までにし、測定容器における試料とローターを25±0.5℃まで恒温にし、試料温度を均一に保持し、回転し始め、指針が安定した後に数値を読み取り、試料粘度値を得、単位はセンチポアズ(mPa・s)である。
粒子径検出:マルバーンレーザー粒度計MS3000を用いて粒子径を測定し、水を分散剤として、機器の操作プロトコルに従ってサンプルを測定し、撹拌速度を500回転/分に設定し、測定回数は3回であり、撹拌が作動状態にあることを確認した後、スタートをクリックして、機器を初期化し、自動的にエイミングし、バックグラウンド測定が終了した後、遮光度が範囲内に到達するまでサンプルを手動で添加してスタートキーを押して測定し、最後に測定データD90を得る。「D90」は90%粒子の粒子径が当該値より低いことを指す。例えば、D90:9.6μmということは90%粒子の粒子径が9.6μm未満であることを指し、μmはミクロンを指す。
比較例1 参照製剤(ブレクスピプラゾール錠剤)の溶出試験
【国際調査報告】