(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-18
(54)【発明の名称】改良された整形外科用インパクタおよびエクストラクタ装置
(51)【国際特許分類】
A61F 2/46 20060101AFI20240710BHJP
A61F 2/38 20060101ALI20240710BHJP
A61B 17/92 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
A61F2/46
A61F2/38
A61B17/92
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577960
(86)(22)【出願日】2023-04-28
(85)【翻訳文提出日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 EP2023061282
(87)【国際公開番号】W WO2023209171
(87)【国際公開日】2023-11-02
(31)【優先権主張番号】102022000008687
(32)【優先日】2022-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515156197
【氏名又は名称】リマコーポレート・ソチエタ・ペル・アチオニ
【氏名又は名称原語表記】LIMACORPORATE S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Via Nazionale, 52 Villanova 33038 San Daniele del Friuli(UD), Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィードラー、クリストフ
【テーマコード(参考)】
4C097
4C160
【Fターム(参考)】
4C097AA07
4C097BB04
4C097MM09
4C097SC07
4C160LL27
4C160LL70
(57)【要約】
本発明は、本体(2)と、連結端部(7)を備える連結ロッド(3)と、本体(2)内の作動システム(4)とを備える、整形外科用プロテーゼ(100)用の整形外科用インパクタおよびエクストラクタ装置(1)に関する。作動システム(4)は、連結ロッド(3)に関連付けられている。連結端部(7)は、連結端部(7)が整形外科用プロテーゼ(100)に連結されている、作動位置から、連結端部(7)が整形外科用プロテーゼ(100)を解放する、非作動位置へ移動可能にガイドされ、連結端部(7)は作動位置と非作動位置との間、および、非作動位置と作動位置との間を回転・並進運動で移動可能にガイドされる。本発明は、関連した整形外科用インパクタおよびエクストラクタキットにも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
整形外科用プロテーゼ(100)用の整形外科用インパクタおよびエクストラクタ装置(1)であって、
本体(2)と、
連結端部(7)を備えた連結ロッド(3)と、
前記連結ロッド(3)に関連付けられる、前記本体(2)内の作動システム(4)と
を備え、
前記連結端部(7)が、前記連結端部(7)が前記整形外科用プロテーゼ(100)に連結された、作動位置から、前記連結端部(7)が前記整形外科用プロテーゼ(100)を解放する、非作動位置へ移動可能にガイドされ、
前記連結端部(7)が、前記作動位置と前記非作動位置との間で、および、前記非作動位置と前記作動位置との間で、回転・並進運動で移動可能にガイドされる、
整形外科用プロテーゼ(100)用の整形外科用インパクタおよびエクストラクタ装置(1)。
【請求項2】
前記連結端部(7)が、前記非作動位置と前記作動位置との間を回転するように構成された、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記連結端部(7)が、特にL字状の側方突出部を備える、請求項2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記作動システム(4)が、
プッシュロッド(12)と、
前記プッシュロッド(12)に接続され、前記プッシュロッド(12)と同軸である、摺動部(16)と、
前記摺動部(16)に接続され、前記摺動部(16)と同軸であり、ばね部材(29)に包まれた、エンドロッド(28)と、
レバーツール(17)と
を備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記レバーツール(17)は、フォースレバー(18)と、前記フォースレバー(18)に接続され、前記摺動部(16)内を摺動する板ばね(26)とを備える、請求項4に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記連結ロッド(3)が、その側面(8)に第1のらせん状溝(9)を備え、前記プッシュロッド(12)は、前記連結端部(7)の回転をガイドするために、前記第1のらせん状溝(9)に沿って摺動するように構成された第1のピン(14)を備えている、請求項4または5に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記本体(2)が、少なくとも1つの第2のL字状溝(30)をさらに備え、前記連結ロッド(3)は、前記連結端部(7)の長手方向の移動をガイドするために、前記少なくとも1つの第2のL字状溝(30)に沿って摺動するように構成された第2のピン(11)を備えている、請求項6に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記本体(2)は、複数の側方凹部(34)をさらに備え、前記側方凹部(34)で、板ばね(26)が第1の位置合わせピン(35)により、前記摺動部(16)に連結され、前記プッシュロッド(12)が第2の位置合わせピン(36)により、前記摺動部(16)に連結され、前記第1の位置合わせピン(35)および前記第2の位置合わせピン(36)は前記側方凹部内を摺動するように構成されている、請求項4~6のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記本体(2)は、前記作動システム(4)用の長手方向の収容チャネル(2A)を備えた長手方向に部分的に溝が付けられた梁により構成されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記本体(2)は、前記連結端部(7)が突出する、遠位フランジ(6)をさらに備える、請求項1~9のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項11】
前記遠位フランジ(6)に連結されるように構成された適合スペーサ(37)をさらに備える、請求項10に記載の装置(1)。
【請求項12】
前記装置(1)がさらに、押圧力が前記装置(1)に加えられることを可能にするために、前記連結端部(7)と反対側に、略円板状に形成された当接近位フランジ(5)を備える、請求項1~11のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の装置(1)と、
複数の前記整形外科用プロテーゼ(100)の形状を共役形式で、または「ネガで」再現する、複数の適合スペーサ(37)と
を備える、整形外科用インパクタおよびエクストラクタキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロテーゼコンポーネントの取り付けおよび取り外しに使用される整形外科用インパクタおよびエクストラクタに関する。
【0002】
限定されるものではないが、特に、大腿骨プロテーゼもしくは「大腿骨コンポーネント」、またはいわゆる「トライアルコンポーネント」の、大腿骨への正確な位置決めが関係する整形外科手術における用途が本発明により、見いだされる。特に、この大腿骨プロテーゼは、大腿骨の遠位部、すなわち膝を対象としている。
【背景技術】
【0003】
本発明が適用され得る分野は、外科手術の分野であり、主に、大腿骨コンポーネントと呼ばれる関節インサートの、脛骨近くの大腿骨端近くへの、および関連した着座部の準備段階の下流での移植を対象としたものある。
【0004】
インパクタと呼ばれる装置が現在、大腿骨コンポーネントの移植に使用されており、それにより、大腿骨コンポーネントは、引っ掛けられ、その指定された部位に向かって移動され、インパクタに力を加えることにより、多くの場合、ハンマーでインパクタを叩くことにより、移植される。
【0005】
さらに、種々のサイズの大腿骨コンポーネントが存在しているので、インパクタと大腿骨コンポーネントとの間に適用されるスペーサまたはアダプタが多くの場合使用され、これらは共役(conjugated)であり、またはいずれにせよ、大腿骨コンポーネントの形状を「ネガで(in negative)」再現する。
【0006】
プロテーゼコンポーネントが一旦移植されると、インパクタは切り離され、取り外され得る。
【0007】
移植段階中、大腿骨コンポーネントは、安定してインパクタにしっかりと接続されていなければならない。
【0008】
信頼性の高い連結を得るために、インパクタは一般に、互いにヒンジ接続され、大腿骨コンポーネントをその外面上で、ピンチ動作で把持し、次いで、大腿骨コンポーネントが一旦移植されると広げられ、連結が解除される2つのアームを備えた、ピンチ機構を使用する。
【0009】
この解決策は、信頼性が高く、大腿骨コンポーネントとの正しい連結と、インパクタへのハンマーの当接段階における上記連結の抵抗とをいずれも確実にするが、大腿骨コンポーネントのサイズよりもはるかに大きい動作スペースを要求するという欠点を有している。
【0010】
外科医の操作スペースが狭い、要求される用途では、ピンチ機構の運動により、左右されるこのスペース量は実用的でなく、および複雑な補償操作を必要とする。
【発明の概要】
【0011】
したがって、従来技術の上述の欠点を解消することは、本発明の根底にある技術的課題である。
【0012】
具体的には、目的は、大腿骨コンポーネントとの安定した接続をもたらすが、同時に、装置自体の存在により、左右される全体の寸法を小さくすることを可能にする、装置を提供することである。
【0013】
本発明の目的はまた、使用が、直感的である、すなわち、それを採用しなければならない外科医が、特定の追加技能、または長い見習い期間を必要とすることのない装置を提供することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、患者の外科手術の安全性を常に確実にする装置を提供することである。
【0015】
最後に、本発明の目的は、製造の観点から、実施するのが簡単な技術的解決策を含む装置を提供することである。
【0016】
本発明の根底にある解決策の考えは、整形外科用プロテーゼを、その移植の操作段階中に、側面の把持によってではなく、上記装置の実質的に軸方向に延在する位置でそれを引っ掛けて、連結し、保持し、さらに解放することを可能にする、装置を提供することである。
【0017】
上記技術的課題は、整形外科用プロテーゼ用の整形外科用インパクタおよびエクストラクタ装置であって、本体と、連結端部を備えた連結ロッドと、上記連結ロッドに関連付けられた、上記本体内の作動システムとを備え、上記連結端部が、上記連結端部が上記整形外科用プロテーゼに連結された、作動位置から、上記連結端部が上記整形外科用プロテーゼを解放する、非作動位置へ移動可能にガイドされ、上記連結端部が、上記作動位置と上記非作動位置との間で、および、上記非作動位置と上記作動位置との間で、回転・並進運動で移動可能にガイドされる、整形外科用プロテーゼ用の整形外科用インパクタおよびエクストラクタ装置により、解決される。
【0018】
有利には、本発明は、公知の装置と比較して、整形外科用プロテーゼに対する異なるフッキングポイントを利用することを可能にし、よって、プロテーゼ自体の移植中の、必要なスペースの量を最小にする。
【0019】
さらに有利には、回転・並進運動は、プロテーゼとインパクタとの間の安定した連結を得ることを可能にし、よって、連結端部に必要な動作を最小にする。
【0020】
好ましくは、連結端部が、上記非作動位置と上記作動位置との間を回転するように構成される。
【0021】
好ましくは、上記連結端部が、特にL字状の側方突出部を備える。
【0022】
有利には、この形状は、連結端部をプロテーゼのエンドストローク当接部として使用することを可能にし、よって、長手方向の摺動を回避する。
【0023】
好ましい実施形態によれば、上記作動システムが、プッシュロッドと、上記プッシュロッドに接続され、上記プッシュロッドと同軸である、摺動部と、上記摺動部に接続され、上記摺動部と同軸であり、ばね部材に包まれた、エンドロッドと、レバーツールとを備える。
【0024】
有利には、よって構成された作動システムは、インパクタの能動化のために外科医による、単一の動作を必要とする。
【0025】
好ましくは、上記レバーツールは、フォースレバーと、上記フォースレバーに接続され、上記摺動部内を摺動する板ばねとを備える。
【0026】
有利には、この解決策は、コンポーネントの数を最小にし、外科医によって及ぼされる力に対して、インパクタを作動させるのに十分な力を生み出す。
【0027】
好ましくは、上記連結ロッドが、その側面に第1のらせん状溝を備え、上記プッシュロッドは、上記連結端部の回転をガイドするために、上記第1のらせん状溝に沿って摺動するように構成された第1のピンを備えている。
【0028】
したがって、有利なことに、レバーによって操作者が発生させる押しにより、溝内でピンが摺動することを可能にし、その結果、連結端部の独特な動きで回転・並進し、その結果、プロテーゼがロックされる。同様に、逆方向の動きは、インパクタを切り離すことを簡単に可能にする。
【0029】
さらに好ましくは、上記本体が、少なくとも1つの第2のL字状溝をさらに備え、上記連結ロッドは、上記連結端部の長手方向の移動をガイドするために、上記少なくとも1つの第2のL字状溝に沿って摺動するように構成された第2のピンを備えている。
【0030】
有利には、よって、連結ロッドの、および関連した連結端部の長手方向の移動を、明確に画定された経路内で制御することが可能である。
【0031】
さらに好ましくは、上記本体は、複数の側方凹部をさらに備え、上記側方凹部で板ばねが第1の位置合わせピンにより、上記摺動部に連結され、上記プッシュロッドが第2の位置合わせピンにより、上記摺動部に連結され、上記第1の位置合わせピンおよび上記第2の位置合わせピンは上記側方凹部内を摺動するように構成されている。
【0032】
有利には、作動システムの複数のコンポーネント間の接続要素は、連結ロッドの制御された横方向のみの摺動を確実にすることにも使用される。
【0033】
好ましくは、上記本体は、上記作動システム用の長手方向の収容チャネルを備えた長手方向に部分的に溝が付けられた梁により、構成されている。
【0034】
有利には、この略船体状の構造は、装置全体が構造的に堅牢となり、コンポーネントのより容易な集約、および製造の観点からの簡単な構成を可能にする。
【0035】
さらに好ましくは、上記本体は、上記連結端部が突出する、遠位フランジをさらに備える。
【0036】
有利には、この特徴は、安定した連結表面を整形外科用プロテーゼに与える。
【0037】
より好ましくは、本発明による上記装置は、遠位フランジに連結されるように構成された適合スペーサをさらに備える。
【0038】
有利には、このコンポーネントは、インパクタと比較して、異なる形状および寸法特徴を備える整形外科用プロテーゼを連結することを可能にする。
【0039】
さらに好ましくは、本発明による上記装置がさらに、押圧力が上記装置自体に加えられることを可能にするために、連結端部と反対側に、略円板状に形成された当接近位フランジを備える。
【0040】
したがって、有利には、整形外科用プロテーゼの確実な移植のための必要な押しを外科医が一般にハンマーでそれに対して加え得る、表面が設けられる。
【0041】
さらなる態様によれば、本発明は、上述されたような装置と、複数の上記整形外科用プロテーゼの形状を共役形式で、または「ネガで」再現する、複数の適合スペーサとを備える、整形外科用インパクタおよびエクストラクタキットに備える。
【0042】
したがって、有利には、同じインパクタ装置と関連付けられて、異なる特徴を有する複数の用途への使用を可能にする任意の範囲のコンポーネントを提供することが可能である。
【0043】
さらなる特徴および利点は、限定されない例により、示された添付の図への参照による、本発明による整形外科用インパクタおよびエクストラクタの好ましいが排他的でない実施形態の、以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】本発明による整形外科用インパクタおよびエクストラクタの斜視図を示す。
【
図2】
図1の整形外科用インパクタおよびエクストラクタの分解図を示す。
【
図3】
図1の整形外科用インパクタおよびエクストラクタの側面図を示す。
【
図4】本発明による整形外科用インパクタおよびエクストラクタであって、連結スペーサを備え、整形外科用プロテーゼに連結されている、整形外科用インパクタおよびエクストラクタの斜視図を示す。
【
図5】
図3の整形外科用インパクタおよびエクストラクタの分解図を示す。
【
図6】レバーツールが、非作動位置にある、
図3の整形外科用インパクタおよびエクストラクタの側面図を示す。
【
図7】レバーツールが、非作動位置にある、
図3の整形外科用インパクタおよびエクストラクタの正面図を示す。
【
図8】レバーツールが、作動位置にある、
図3の整形外科用インパクタおよびエクストラクタの側面図を示す。
【
図9】レバーツールが、作動位置にある、
図3の整形外科用インパクタおよびエクストラクタの正面図を示す。
【
図10】連結端部が中間位置にある、整形外科用インパクタおよびエクストラクタの斜視図を示す。
【
図13】本発明による整形外科用インパクタおよびエクストラクタの第1の使用段階を示す。
【
図14】本発明による整形外科用インパクタおよびエクストラクタの第2の使用段階を示す。
【
図15】本発明による整形外科用インパクタおよびエクストラクタの第3の使用段階を示す。
【
図16】本発明による整形外科用インパクタおよびエクストラクタの第4の使用段階を示す。
【
図17】大腿骨の遠位部における、整形外科用プロテーゼの移植中の、整形外科用インパクタの斜視模式図を示す。
【
図18】大腿骨の遠位部における、整形外科用プロテーゼの移植中の、整形外科用インパクタの斜視模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
異なる図では、同じ要素は、同じ参照符号で示される。
【0046】
添付の図を参照すれば、参照符号1は、本発明による整形外科用インパクタおよびエクストラクタ装置の第1の実施形態を全体的かつ模式的に示し、以下、簡潔にするために装置1と示している。
【0047】
具体的には、
図1~3はそれぞれ、装置1の実施形態の図を、組み立てられた構成で、切り離された部分または「分解」図で、および側面図で示している。
【0048】
本実施形態では、装置1は、本体2と、連結ロッド3と、作動システム4とを備える。
【0049】
本体2は、両端に当接近位フランジ5および遠位フランジ6を有している、部分的に溝が付けられた梁として実質的に形成されている。本体はよって、長手方向の収容チャネル2Aを画定し、それがその中に収容され、作動システム4がその中で摺動し得る。
【0050】
本明細書中、「近位」および「遠位」との語は、装置1の、それを使用する外科医に対する、使用状態を表している。
【0051】
連結ロッド3は連結端部7を備える。
【0052】
連結端部7は、遠位フランジ6から、遠位フランジ6の中心の孔6Aを通過して突出している。
【0053】
遠位フランジは、円板状周辺部6Bと、後述されるように整形外科用プロテーゼとの連結を可能にする適合スペーサ(adapting spacer)への安定した連結表面を確保するように形成された中央部6Cとを備える。
【0054】
本実施形態では、連結端部7は略L字状である。
【0055】
より具体的には、本実施形態では、連結ロッド3は、中空円筒状の展開セクションを有する。
【0056】
装置1の遠位端の近くには、一方向制限セクション、すなわち、連結ロッド3の平坦部があり、平坦部は、連結ロッド3の長手方向の展開に対して横方向に突出する部分で終端し、よって、上述の連結端部7を形成する。
【0057】
好ましくは、上記連結端部は側方突出部を備える。例示された実施形態では、上記連結端部はL字状である。示されていない他の代替案では、上記連結端部は、T字状、すなわち、ダブルの側方突出部を備えたT字状であり、または少なくとも1つの側方突出部と円錐状に連結され得る。
【0058】
一般に、上記連結端部は、整形外科用プロテーゼに選択的に連結し、整形外科用プロテーゼを選択的に解放するように構成される。
【0059】
さらに、連結ロッド3の側面8には、側面8に沿って一種のねじ状に近位セクション10Aから遠位セクション10Bへ展開する第1のらせん状溝9が設けられており、これは、以下の
図11および
図12で、よりよくわかる。
【0060】
さらに、側面8には、側面8から突出している第2のピン11が設けられている。
【0061】
第1のらせん状溝9および第2のピン11の機能は以下でより明らかになるであろう。
【0062】
作動システム4はプッシュロッド12を備える。
【0063】
プッシュロッド12は、連結ロッド3に対して鏡面セクション(specular section)を有する形状とされている。
【0064】
本実施形態では、プッシュロッド12はよって、中実円筒状セクションとしての形状とされ、連結ロッド3はよって、プッシュロッド12にキャップ嵌めされるように構成されている。
【0065】
自身の遠位端13近くに、プッシュロッド12は第1のピン14を備える。
【0066】
第1のピン14は、第1のらせん状溝9に沿って摺動して連結端部7の回転をガイドするように構成される。
【0067】
たとえば、プッシュロッド12に設けられた溝と、中空円筒形状を有する連結ロッド3の内側に向けて突出しているピンとを備えた二重構成などの異なる解決策、または、他の対応する解決策を提供することを妨げるものではなく、すべて、添付の請求項により定義される範囲内である。
【0068】
プッシュロッド12は、連結ロッド3と反対側の端部15において、摺動部16と接続され、摺動部16と同軸である。
【0069】
摺動部16内部では、装置1を作動するために外科医が作動させる、レバーツール17が摺動する。
【0070】
レバーツール17は、本発明による装置の操作段階に応じて、本体1から離れる方向に、および本体1に向かって、解放力または圧縮力を外科医が加える、フォースレバー18を備えている。
【0071】
フォースレバー18は、自由端19と、反対側のアイ部20との間で画定される。
【0072】
本実施形態では、前述のように、本体2は、当接近位フランジ5からの船体状(hull-shaped)の第1領域(tract)21と、中空ダクト状の第2領域22とを備えた、部分的に溝が付けられた梁として形成されている。
【0073】
第1領域21と、第2領域22との間の交差部において、第2領域22はバンプ部23を備える。
【0074】
バンプ部23において、装置1の長手方向対称面に従って配置された接続板24が得られる。
【0075】
フォースレバー18のアイ部20は、第1の接続ヒンジ25により、接続板24に接続されている。
【0076】
さらに、アイ部20は第2の接続ヒンジ27により、板ばね26に接続されており、板ばね26は摺動部16内を摺動し、プッシュロッド12の前後方向の押しを可能にする。
【0077】
最後に、作動システム4は、摺動部16に接続され、摺動部16と同軸であり、ばね部材29により包まれた、エンドロッド28を備える。
【0078】
ばね部材29は、レバーツール17を、
図6に例示された、完全に開いた非作動位置に、または、
図8に例示された、完全に閉じられた作動位置に維持することに寄与する。
【0079】
ばね部材29の弾性力は、装置1の使用において無視できる程度である。
【0080】
本体2は、本体2自体の側壁31上で、遠位フランジ6の近くに形成された第2のL字状溝30をさらに備える。
【0081】
本実施形態では、鏡面対称の第2のL字状溝30が、反対側の側壁33にも形成されている。
【0082】
第2のL字状溝30は、まず水平方向に遠位フランジ6に向けて、次いで本体2の底部32に向けて延在している。
【0083】
第2のピン11は、第2のL字状溝30内を摺動して連結端部7の長手方向の移動をガイドするように構成されている。
【0084】
本実施形態では、第2のピン11は、連結ロッド3を通過し、よって、側面8の2つの面から突出し、よって、側壁31における第2のL字状溝30に沿って、および反対側の側壁33における鏡面対称の第2のL字状溝30に沿って摺動する。
【0085】
しかし、単一の側壁31または33における単一の第2のL字状溝30、および側面8の一方側だけから突出している第2のピン11を採用することで十分であり得る。
【0086】
次いで、装置1の長手方向の展開に沿った、側壁31に沿って、および反対側の側壁33に沿って、さらなる複数の溝が得られる。
【0087】
上記複数の溝のうちの二対の側方凹部34内で、装置1の長手方向の展開に対して横切って、板ばね26を摺動部16に連結する、第1の位置合わせピン35と、装置1の長手方向の展開に対して横切って、プッシュロッド12を摺動部16に連結する、第2の位置合わせピン36とが摺動する。
【0088】
第1の位置合わせピン35および第2の位置合わせピン36は、作動システム4全体の不必要な側方への移動なしで長手方向の摺動を確実にする。
【0089】
同様なやり方で形成される残りの側方溝は、装置1全体の軽量化の働きをするに過ぎない。
【0090】
図4および
図5でわかるように、装置1は、既に述べたように、大腿骨コンポーネントとも呼ばれる整形外科用プロテーゼ100に接続可能である。
【0091】
整形外科用プロテーゼ100には一般に、貫通孔101が設けられている。
【0092】
上記貫通孔101は、連結端部7を採用することにより、装置1との連結をもたらすために使用される。
【0093】
多くの場合、種々のサイズの整形外科用プロテーゼが存在しており、整形外科用プロテーゼの各グループに適した対応した遠位フランジ6を装置1に設けることは実用的でない。
【0094】
したがって、装置1は、装置1と比較して、異なる形状および寸法特徴を有する整形外科用プロテーゼ100を、関連した遠位フランジ6に連結することを可能にする適合スペーサ37をさらに備える。
【0095】
さらなる態様によれば、本発明は、装置1、および、複数の整形外科用プロテーゼ100の形状を、共役形式で、または「ネガで」再現する、複数の適合スペーサ37を備えるキット(図示せず)も提供する。
【0096】
適合スペーサ37は、整形外科用プロテーゼ100の貫通孔101に嵌合する貫通孔37Aを有する。
【0097】
前述されたように、遠位フランジ6の反対側の位置には、一般にハンマーツールにより、装置1全体に対して、衝撃的な押圧力が加えられることを可能にし、以下の
図17および
図18にみられるように、整形外科用プロテーゼ100を移植するように形成された当接近位フランジ5が存在している。
【0098】
図6~10にみられるように、装置1は非作動位置から作動位置へと、および、作動位置から非作動位置へと移動する。
【0099】
図6および
図7では、作動システム4のフォースレバー18が上げられるときに、どのように、連結端部7が、連結端部7の突出部が装置1の底部31の方を向いた状態の、非作動位置に位置するかがわかり得る。上記位置では、大腿骨用途では、上記突出部は、大腿骨顆部に対して平行である。
【0100】
この位置では、連結端部7は、整形外科用プロテーゼ100の貫通孔101を通過することができ、また、存在する場合には、適合スペーサ37の貫通孔37Aを通過することができる。
【0101】
フォースレバー18を、下降させられた位置に移動し、本体2の長手方向の展開に対して略平行である状態にすると、連結端部7は、整形外科用プロテーゼ100が装置1と一体的となる、作動位置、すなわち、非作動位置に対して回転した位置へと移動可能にガイドされる。
【0102】
逆に、プロテーゼ100が一旦、配置されると、連結端部7は作動位置から、非作動位置へ移動され、よって、整形外科用プロテーゼ100が解放される。
【0103】
表された実施形態では、連結端部7は、作動位置と非作動位置との間を90°回転する。
【0104】
しかし、非作動位置と作動位置との間の通過の中間段階が表された
図10をみても、異なる回転であっても、整形外科用プロテーゼ100を、また、存在する場合、装置1の遠位フランジ6上の適合スペーサ37をロックすることを可能にし得ることは明らかである。
【0105】
すなわち、連結端部7の向きは、レバーツール17が開いている状態では、上記顆部に対して平行である。
【0106】
レバーツール17を閉じることにより、連結端部7は、整形外科用プロテーゼ100に接近することなく(またはほとんど接近することなく)、90°回転し、回転することなく整形外科用プロテーゼ100を接近させ、整形外科用プロテーゼ100を固定する。
【0107】
したがって、2段階での回転・並進、すなわち、まず、
図11および
図12で詳細にみられるような、第1のらせん状溝9内での第1のピン14の摺動により得られる回転、次いで、装置1と一体的な上記プロテーゼ100のロック、が行われる。
【0108】
しかし、同時の回転および並進を得るために、たとえば、L字状溝30をアーチ状溝で置き換えるなど、異なる形状の溝を使用することを妨げるものではなく、本代替策は、添付請求項で定義されている保護の範囲内に含まれる。
【0109】
次に、整形外科用プロテーゼ100に連結する装置1の動作が、
図13~
図16を特に参照しながら詳細に説明される。
【0110】
図13では、作動システム4のレバーツール17のフォースレバー18は上昇され、第2のピン11が装置1の底部32にあり、第1のピン14は第1のらせん状溝9の遠位端10Bにある。
【0111】
第1の振幅で閉じると、
図14でみられるように、摺動部16は、板ばね26により、後方に押される。
【0112】
第1のピン14は、遠位セクション10Bから近位セクション10Aに向かう、第1のらせん状溝9の経路を通っている一方、第2のピン11はL字状溝30の垂直方向の領域を通っている。この領域は、移動を容易にするためにわずかに傾斜していてもよい。
【0113】
このようにして、連結端部7は、この90°の例示的な、および限定的でない実施形態では、連結ロッド3の長手方向の並進なしで(または、わずかに傾斜している管路の場合には、ほとんど並進なしで)回転する。
【0114】
図15および
図16でみられるように、レバーツール17を閉じ続けることにより、回転し、よって、作動位置にある連結端部7はまず、整形外科用プロテーゼ100に近付けられ、次いでそれに対して締め付けられ、よって、整形外科用プロテーゼ100は装置1と一体的になる。この段階では、第2のピン11は、第2のL字状溝30の水平方向の領域に沿って走行する。
【0115】
第2のL字状溝30の垂直方向の領域と水平方向の領域との間の通路は、移動を容易にするために一般に接続されている。
【0116】
連結ロッド3の連結端部7が、整形外科用プロテーゼ100に接触したときに、レバーツール17を閉じ続けると、摺動要素16がさらに後方に並進できなくなり、板ばね26が圧縮するので、整形外科用プロテーゼ100の、特に遠位フランジ6に対する締め付けが生じる。
【0117】
板ばね26の圧縮力は、摺動要素16を介して連結ロッド3に伝達され、連結ロッド3は、適合スペーサ37が存在している場合には適合スペーサ37に整形外科用プロテーゼ100を押し付け、または適合スペーサ37が存在していない場合には整形外科用プロテーゼ100自体を押し、それを所定の位置に保持する。
【0118】
その代わりに、予期されるように、エンドロッド28に巻き付けられたばね部材29は、レバーツール17を所定の位置に保持し、適合スペーサ37を挿入する場合にその挿入を容易にするのに役立つに過ぎないが、ばね部材28の弾性力は、装置1の使用において無視できるものである。
【0119】
整形外科用プロテーゼ100が装置1と一体的である場合、外科医は、整形外科用プロテーゼ100を挿入し、それを所定の位置に、一般にハンマーツールであって、それにより、それが当接近位フランジ5を叩く、ハンマーツールにより、力を加えることで固定する。
【0120】
その後、外科医は、レバーツール17を開位置に戻し、その結果、第1のピン14と第2のピン11とが逆の経路をたどり、装置1は整形外科用プロテーゼ100を解放し、そこから切り離される。
【0121】
有利には、レバーツール17の単純な作動は、連結端部の複雑な移動により伝達され、よって、外科医は、回転のないシステムと比較して、簡単で、人間工学的な使用と、単純な挿入を行うことができる。
【0122】
さらに有利には、本発明による装置1は、使いやすさとともに、動作中の各コンポーネントの正確なガイドのおかげでプロテーゼの移植の正確性も確実にする。
【0123】
さらに、従来技術のツールと比較すれば、装置1は、挿入中のスペースの量を削減し、よりコンパクトであり、より侵襲性が低く、全体的により軽量な解決策を提供する。
【0124】
最後に、装置1は、使用が直感的であり、外科医により、習得されるべき特定の追加技能を何ら必要とするものでない。
【0125】
本実施形態が、以下の請求項により、定義されるような、本発明の保護の範囲内にすべて含まれる、特定の、および偶発的な必要性に応じたさらなる変更および変形を受ける場合があることを当業者は理解するであろう。
【0126】
たとえば、連結端部7を移動させるためのピンおよび溝の配置での二重または「ミラー」解決策、または回転・並進効果を発生させるための複数の溝自体の異なる形状の上記提案されたもののような代替的な解決策を提供することを妨げるものは何もない。
【0127】
連結ロッド3の摺動を得るために近位フランジを介した、ピストンを作動させる代替的な作動システムを提供することがさらに可能である。
【0128】
特定の必要性に応じた、複数の材料の使用も、それらが無菌であり、および外科的用途に好適であるという条件で、提供される。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
整形外科用プロテーゼ(100)用の整形外科用インパクタおよびエクストラクタ装置(1)であって、
本体(2)と、
連結端部(7)を備えた連結ロッド(3)と、
前記連結ロッド(3)に関連付けられる、前記本体(2)内の作動システム(4)と
を備え、
前記連結端部(7)が、前記連結端部(7)が前記整形外科用プロテーゼ(100)に連結された、作動位置から、前記連結端部(7)が前記整形外科用プロテーゼ(100)を解放する、非作動位置へ移動可能にガイドされ、
前記連結端部(7)が、前記作動位置と前記非作動位置との間で、および、前記非作動位置と前記作動位置との間で、回転・並進運動で移動可能にガイドされる、
整形外科用プロテーゼ(100)用の整形外科用インパクタおよびエクストラクタ装置(1)。
【請求項2】
前記連結端部(7)が、前記非作動位置と前記作動位置との間を回転するように構成された、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記連結端部(7)が
、L字状の側方突出部を備える、請求項2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記作動システム(4)が、
プッシュロッド(12)と、
前記プッシュロッド(12)に接続され、前記プッシュロッド(12)と同軸である、摺動部(16)と、
前記摺動部(16)に接続され、前記摺動部(16)と同軸であり、ばね部材(29)に包まれた、エンドロッド(28)と、
レバーツール(17)と
を備える、請求項
1に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記レバーツール(17)は、フォースレバー(18)と、前記フォースレバー(18)に接続され、前記摺動部(16)内を摺動する板ばね(26)とを備える、請求項4に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記連結ロッド(3)が、その側面(8)に第1のらせん状溝(9)を備え、前記プッシュロッド(12)は、前記連結端部(7)の回転をガイドするために、前記第1のらせん状溝(9)に沿って摺動するように構成された第1のピン(14)を備えている、請求項
4に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記本体(2)が、少なくとも1つの第2のL字状溝(30)をさらに備え、前記連結ロッド(3)は、前記連結端部(7)の長手方向の移動をガイドするために、前記少なくとも1つの第2のL字状溝(30)に沿って摺動するように構成された第2のピン(11)を備えている、請求項6に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記本体(2)は、複数の側方凹部(34)をさらに備え、前記側方凹部(34)で、板ばね(26)が第1の位置合わせピン(35)により、前記摺動部(16)に連結され、前記プッシュロッド(12)が第2の位置合わせピン(36)により、前記摺動部(16)に連結され、前記第1の位置合わせピン(35)および前記第2の位置合わせピン(36)は前記側方凹部内を摺動するように構成されている、請求項
4に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記本体(2)は、前記作動システム(4)用の長手方向の収容チャネル(2A)を備えた長手方向に部分的に溝が付けられた梁により構成されている、請求項
1に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記本体(2)は、前記連結端部(7)が突出する、遠位フランジ(6)をさらに備える、請求項
1に記載の装置(1)。
【請求項11】
前記遠位フランジ(6)に連結されるように構成された適合スペーサ(37)をさらに備える、請求項10に記載の装置(1)。
【請求項12】
前記装置(1)がさらに、押圧力が前記装置(1)に加えられることを可能にするために、前記連結端部(7)と反対側に、略円板状に形成された当接近位フランジ(5)を備える、請求項
1に記載の装置(1)。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の装置(1)と、
複数の前記整形外科用プロテーゼ(100)の形状を共役形式で、または「ネガで」再現する、複数の適合スペーサ(37)と
を備える、整形外科用インパクタおよびエクストラクタキット。
【国際調査報告】