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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-18
(54)【発明の名称】深海・遠洋養殖双胴型工船
(51)【国際特許分類】
   A01K 63/02 20060101AFI20240710BHJP
   A01K 63/00 20170101ALI20240710BHJP
   B63B 1/12 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
A01K63/02 Z
A01K63/00 Z
A01K63/02 A
B63B1/12 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580369
(86)(22)【出願日】2023-05-11
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 CN2023093365
(87)【国際公開番号】W WO2023221841
(87)【国際公開日】2023-11-23
(31)【優先権主張番号】202210558255.4
(32)【優先日】2022-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523485696
【氏名又は名称】青▲島▼▲藍▼色粮▲倉▼海洋▲漁▼▲業▼▲発▼展有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】523485700
【氏名又は名称】青▲島▼▲藍▼粮海洋工程科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】雷▲東▼
【テーマコード(参考)】
2B104
【Fターム(参考)】
2B104AA01
2B104BA16
2B104CA01
2B104CB01
2B104CB24
2B104CB33
2B104CC01
2B104CC13
2B104CC16
2B104CC17
2B104CC24
(57)【要約】
【課題】 深海・遠洋養殖双胴型工船を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明は、沈下式垂直昇降養殖生簀及び頂部移動式給餌システムを備えた新型双胴型工船を提案したものであり、双胴船室と養殖生簀との間の移送システム及び水位差制御方法を利用して、従来の深海・遠洋養殖輸送と別の場所への移送の柔軟性を向上し、工船養殖のコストを効果的に削減し、ゲージには移動と水面から離れるよう引き上げられ能力を有するという設計目的を達成するよう期待する。深海・遠洋養殖双胴型工船は、両側に配置された船体組立体と、船体組立体の間に位置し、懸装される養殖生簀と、船体組立体と養殖生簀を連通し、船体組立体から養殖生簀へ養殖魚を一定方向移送する選別機とを備え、両側の船体組立体の頂部間には移動式昇降機構が設けられ、移動式昇降機構はリフト組立体と、両側の船体に沿って配置された縦移動組立体及び横移動組立体とを備え、船体組立体内部には外部海域との水循環のための生物ろ過装置が設けられる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
深海・遠洋養殖双胴型工船であって、両側に配置された船体組立体と、船体組立体の間に位置し、懸装される養殖生簀と、船体組立体と養殖生簀を連通し、船体組立体から養殖生簀へ養殖魚を一定方向移送する選別機とを備え、
両側の船体組立体の頂部間には移動式昇降機構が設けられ、移動式昇降機構はリフト組立体と、両側の船体に沿って配置された縦移動組立体及び横移動組立体とを備え、縦移動組立体はH型フレーム底部構造を有し、
船体組立体内部には外部海域との水循環のための生物ろ過装置が設けられ、
前記養殖生簀は、上艙と下艙とが嵌着してから成り、上艙の頂部に複数の動滑車組立体が連結され、下艙の底部に第2追い込み枠が設けられ、
上艙には両側の船体の側面に面する養殖生簀魚入口、養殖生簀魚出口が設けられ、
上艙の外側壁は、下艙の内側壁と隙間嵌めとなっており、最大位置まで伸長した時、上艙に固結された外側ボスの上端面が下艙の内側ボスの下端面に当接し、最小高さまで垂直方向に縮めたとき、上艙の底面が下艙の内底面に接触し、このとき下艙の第1穴部と上艙の第3穴部が同心になり、
船体組立体内に密閉で互いに隔離された複数の区画室が設けられ、両側の船体組立体の頂部間には、上方に開口する複数の溝口を有する仕切枠が設けられ、
船体組立体の養殖生簀に面する側には垂直方向に並べられる船室魚出口及び船室魚入口が設けられ、船室魚出口及び船室魚入口はいずれも仕切枠を貫通し、
船体組立体の区画室及び養殖生簀の底部にはいずれも集魚装置が設けられ、
区画室と養殖生簀との間の養殖魚類の移送は、主に両者間の水位差に依存して実現し、
養殖魚を船体から養殖生簀に移送する際には、船室魚出口が養殖生簀魚入口と連通し、ウォーターポンプにより船外の海水を船体内に注入し、船室内の水位が外部の海水よりも高くなり、区画室の底部にある第1追い込み枠が上昇して、養殖魚を船体の上部に集中して、養殖魚を養殖生簀に移送し、
養殖魚を養殖生簀から船体に移動する際、船室魚入口は養殖生簀魚出口と連通し、ウォーターポンプにより船体内の海水を汲み上げて排出し、船室の水位が外部の海水よりも低くなり、養殖生簀の底部にある第2追い込み枠が上昇して、養殖魚を養殖生簀の上部に集中して、養殖魚を区画室に移送する
ことを特徴とする、深海・遠洋養殖双胴型工船。
【請求項2】
船体組立体の頂部甲板には、複数の飼料チャンバーが設けられ、飼料チャンバーは、支柱、チャンバー本体、フック、払出口及びバルブから連結されて構成され、払出口はチャンバー本体の底部に設けられ、バルブにより開閉を制御することを特徴とする、請求項1に記載の深海・遠洋養殖双胴型工船。
【請求項3】
各側の船体組立体の頂部には、いずれも縦方向ガイドレールが設けられ、縦方向ガイドレールに沿って第1ラックが設けられ、前記縦移動組立体は第1モータと、底部にある第1ガイド溝、及び側面に固結された横方向ガイドレールとを備え、横方向ガイドレールの側面に第2ラックが固結され、第1歯車は第1モータの出力軸に駆動可能に連結され、第1歯車と第1ラックとが噛合し、第1ガイド溝は縦方向ガイドレールに摺動可能に連結され、
前記横移動組立体は、第2モータと、垂直に配置された複数組の第1ガイドスリーブと、底部にある第2ガイド溝とを備え、第1ガイドスリーブは、リフト組立体に垂直上向きに接続され、第2ガイド溝は縦移動組立体の横方向ガイドレールに摺動可能に連結され、第2歯車は第2モータの出力軸に駆動可能に連結され、第2歯車と第2ラックとが噛み合うように連結し、
前記リフト組立体は、リフト枠と、第3モータとを備え、リフト枠の底部に複数組のガイドポストが設けられ、リフト枠内に2組のガイド杆が固結され、左摺動杆、右摺動杆の両端に摺動スリーブがそれぞれ固結され、摺動スリーブはガイド杆に摺動可能に連結され、双方向送りねじは第3モータの出力軸に固結され、かつ双方向送りねじはそれぞれ左摺動杆、右摺動杆を挿通して螺接し、両端には対称に右ねじ部及び左ねじ部が設けられ、摺動スリーブに電気ホイストが取り付けられ、電気ホイストは第1ワイヤロープを介して牽引プレートに下方に連結され、複数の第4モータは、リフト枠に取り付けられ、第4モータの出力軸はリフト用送りねじに固結され、リフト用送りねじは横移動組立体のリフト用ナットと螺接し、第1ガイドスリーブの軸方向の中心線に沿って、複数組の伸縮杆が順に入れ子状に接続され、伸縮杆の頂部はガイドポストに固結される
ことを特徴とする、請求項1に記載の深海・遠洋養殖双胴型工船。
【請求項4】
前記動滑車組立体は、ワイヤローブラケット上にワイヤーロープフックが設けられ、第2ワイヤロープは、滑車に巻き付けられ、一端は固定板に固結され、他端はワイヤーロープグリップに固結され、滑車に固結された滑車軸は、ワイヤローブラケットのワイヤローブラケット穴に嵌められ、滑車と滑車軸は、回転可能に連結され、ワイヤーロープグリップは、上艙に固結され、第2ワイヤロープは、下艙に固結されることを特徴とする、請求項1に記載の深海・遠洋養殖双胴型工船。
【請求項5】
前記第2追い込み枠は、下艙の内底面の上に設けられ、複数の第2吊りフックは第2杆を介して第2追い込み枠に接続され、第2吊りフックが延出して上艙頂部の上方に位置し、
各区画室の底部に設けられた第1追い込み枠は、第1杆を介して垂直上方に第1吊りフックに接続され、第1吊りフックが延出して船体組立体の頂部甲板上に位置し、
上艙の内側、下艙の外側、及び第1追い込み枠、第2追い込み枠の上面が漁網で覆われる
ことを特徴とする、請求項1に記載の深海・遠洋養殖双胴型工船。
【請求項6】
前記選別機は、一端が船室魚出口に接続され、他端が養殖生簀魚入口に接続され、かつ選別機は、複数の選別口を有することを特徴とする、請求項1に記載の深海・遠洋養殖双胴型工船。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、深海および遠洋域のいずれか一方もしくは両方で水生生物養殖を実施する双胴型工船に関し、特に、水産養殖及び船舶海洋工学の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の大型の深海および遠洋の養殖施設技術の継続的な発展に伴い、特に養殖工船は、深海養殖産業および遠洋養殖産業で益々使用され、船型設計の最適化、工船養殖水域量の増加、自動化レベルと養殖効率の向上、養殖コストの削減などの複数の産業発展の方向性を顕著に反映している。
【0003】
従来の大型養殖工船の船体構造は、伝統的なばら積み貨物船型の設計を踏襲し、船室密閉型養殖方式を採用しているのが一般的であるが、現在、この密閉型養殖方式は単位養殖水域の総工費と養殖コストが高いという問題が存在している。総工費及び養殖コストを抑えるため、ケージを利用して養殖する方法が一般的であるが、ケージ養殖には移動が困難で機動性が悪いという欠点がある。
【0004】
また特許文献1(双胴型移動可能な養殖工船)は、主浮力を提供するため船体の側面に対向して配置された第1船体及び第2船体と、第1船体と第2船体との間に設けられ、両船体に連結された複数の昇降式ゲージとを備え、両船体内で小型魚の閉鎖循環式工場養殖が行われ、昇降式ゲージ内で大型成魚の野外養殖を行う。この出願は、閉鎖式養殖方式と開敞式養殖方式を統合して、稚魚から成魚までの海上野外養殖を実現する。すなわち、海上養殖は、小型稚魚から開始して、陸上又は沿岸域のゲージ養殖による環境圧力が軽減されると共に大型魚類の海上輸送コストを削減する。閉鎖型養殖と比較して、この出願は後期養殖過程中で低密度の開放型野外養殖を使用する。
【0005】
上記で述べたように、従来技術では、2段階の養殖船体と養殖プロセスを用いて小型稚魚を閉鎖型第1船体及び第2船体に入れて養殖し、大型魚類を両船体間の昇降式ゲージに入れて養殖し、主に次の使用の欠点と制限があり、第一に、養殖魚を選別して成魚を捕獲する段階では、操作の難しさや船体とゲージの間で魚類を一定方向の移送の困難さなどの問題があり、従来の吸引魚用ポンプを使用する場合、大型魚体に大きなダメージを与えることで、魚体の外観と成熟個体の品質を低下させること、第二に、使用する給餌システムは常に深海・遠洋養殖において常に重要な技術的困難さであったが、上記の従来技術では明確かつ完全な解決手段を提供していないこと、第三に、ゲージが固結方式を用いるため、双胴船の運航中に大きな水の抵抗が生じ、それに応じて船体の積み替えのエネルギー消費量が増加し、また、厳しい気象海象条件などの環境条件に遭遇した場合、ゲージで養殖されている魚類は死亡や病気を引き起こしやすいことである。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みて提案されたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】中国特開第CN112021240A号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の深海・遠洋養殖双胴型工船は、上記従来技術に存在する問題点を解決するため、沈下式垂直昇降養殖生簀及び頂部移動式給餌システムを備えた新型双胴型工船を提案したものであり、双胴船室と養殖生簀との間の移送システム及び水位差制御方法を利用して、従来の深海または遠洋の養殖輸送と別の場所への移送の柔軟性を向上し、工船養殖のコストを効果的に削減し、ゲージには移動と水面から離れるよう引き上げられ能力を有するという設計目的を達成するよう期待する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の設計目的を達成するため、前記深海・遠洋養殖双胴型工船は、両側に配置された船体組立体と、船体組立体の間に位置し、懸装される養殖生簀と、船体組立体と養殖生簀を連通し、船体組立体から養殖生簀へ養殖魚を一定方向移送する選別機とを備え、両側の船体組立体の頂部間には移動式昇降機構が設けられ、移動式昇降機構はリフト組立体と、両側の船体に沿って配置された縦移動組立体及び横移動組立体とを備え、縦移動組立体はH型フレーム底部構造を有し、船体組立体内部には外部海域との水循環のための生物ろ過装置が設けられる。
【0010】
さらに、船体組立体内に密閉で互いに隔離された複数の区画室が設けられ、両側の船体組立体の頂部間には、上方に開口する複数の溝口を有する仕切枠が設けられ、船体組立体の養殖生簀に面する側には垂直方向に並べられる船室魚出口及び船室魚入口が設けられ、船室魚出口及び船室魚入口はいずれも仕切枠を貫通し、船体組立体の区画室及び養殖生簀の底部にはいずれも集魚装置が設けられる。
【0011】
さらに、船体組立体の頂部甲板には、複数の飼料チャンバーが設けられ、飼料チャンバーは、支柱、チャンバー本体、フック、払出口及びバルブから連結されて構成され、払出口はチャンバー本体の底部に設けられ、バルブにより開閉を制御する。
【0012】
さらに、各側の船体組立体の頂部には、いずれも縦方向ガイドレールが設けられ、縦方向ガイドレールに沿って第1ラックが設けられ、前記縦移動組立体は第1モータと、底部にある第1ガイド溝、及び側面に固結された横方向ガイドレールとを備え、横方向ガイドレールの側面に第2ラックが固結され、第1歯車は第1モータの出力軸に駆動可能に連結され、第1歯車と第1ラックとが噛合し、第1ガイド溝は縦方向ガイドレールに摺動可能に連結され、前記横移動組立体は、第2モータと、垂直に配置された複数組の第1ガイドスリーブと、底部にある第2ガイド溝とを備え、第1ガイドスリーブは、リフト組立体に垂直上向きに接続され、第2ガイド溝は縦移動組立体の横方向ガイドレールに摺動可能に連結され、第2歯車は第2モータの出力軸に駆動可能に連結され、第2歯車と第2ラックとが噛み合うように連結し、前記リフト組立体は、リフト枠と、第3モータとを備え、リフト枠の底部に複数組のガイドポストが設けられ、リフト枠内に2組のガイド杆が固結され、左摺動杆、右摺動杆の両端に摺動スリーブがそれぞれ固結され、摺動スリーブはガイド杆に摺動可能に連結され、双方向送りねじは第3モータの出力軸に固結され、かつ双方向送りねじはそれぞれ左摺動杆、右摺動杆を挿通して螺接し、両端には対称に右ねじ部及び左ねじ部が設けられ、摺動スリーブに電気ホイストが取り付けられ、電気ホイストは第1ワイヤロープを介して牽引プレートに下方に連結され、複数の第4モータは、リフト枠に取り付けられ、第4モータの出力軸はリフト用送りねじに固結され、リフト用送りねじは横移動組立体のリフト用ナットと螺接し、第1ガイドスリーブの軸方向の中心線に沿って、複数組の伸縮杆が順に入れ子状に接続され、伸縮杆の頂部はガイドポストに固結される。
【0013】
さらに、前記養殖生簀は、上艙と下艙とが嵌着してから成り、上艙の頂部に複数の動滑車組立体が連結され、下艙の底部に第2追い込み枠が設けられ、上艙には両側の船体の側面に面する養殖生簀魚入口、養殖生簀魚出口が設けられ、上艙の外側壁は、下艙の内側壁と隙間嵌めとなっており、最大位置まで伸長した時、上艙に固結された外側ボスの上端面が下艙の内側ボスの下端面に当接し、最小高さまで垂直方向に縮めたとき、上艙の底面が下艙の内底面に接触し、このとき下艙の第1穴部と上艙の第3穴部が同心になる。
【0014】
さらに、前記動滑車組立体は、ワイヤローブラケット上にワイヤーロープフックが設けられ、第2ワイヤロープは、滑車に巻き付けられ、一端は固定板に固結され、他端はワイヤーロープグリップに固結され、滑車に固結された滑車軸は、ワイヤローブラケットのワイヤローブラケット穴に嵌められ、滑車と滑車軸は、回転可能に連結され、ワイヤーロープグリップは、上艙に固結され、第2ワイヤロープは、下艙に固結される。
【0015】
さらに、前記第2追い込み枠は、下艙の内底面の上に設けられ、複数の第2吊りフックは第2杆を介して第2追い込み枠に接続され、第2吊りフックが延出して上艙頂部の上方に位置し、各区画室の底部に設けられた第1追い込み枠(上面は漁網で覆われる)は、第1杆を介して垂直上方に第1吊りフックに接続され、第1吊りフックが延出して船体組立体の頂部甲板上に位置し、上艙の内側、下艙の外側、及び第2追い込み枠の上面が漁網で覆われる。
【0016】
さらに、前記選別機は、一端が船室魚出口に接続され、他端が養殖生簀魚入口に接続され、かつ選別機は、複数の選別口を有する。
【発明の効果】
【0017】
要するに、前記深海・遠洋養殖双胴型工船は、次の利点を有する。
【0018】
1、本出願は、船体外部沈下式の各種魚類の深海および遠洋のいずれか一方もしくは両方の養殖システム及び方法を実現し、深海および遠洋のいずれか一方もしくは両方の水域環境を最大限に活用して提案する改良開放型養殖方法により、稚魚から成魚までの海上野外環境の全養殖プロセスを真に実現する。
【0019】
2、養殖後期に大型魚類の開放型ゲージ養殖のみを実現する従来技術と比較して、本出願は、養殖サイクル全体の低密度の開放型野外養殖を用い、水生生物の養殖品質を大幅に向上させ、より高い経済価値を実現できる。
【0020】
3、双胴船室と養殖生簀との間の移送システム及び水位差制御により、よりきめ細かな出入り管理及びサイズ選別操作を実現し、大型魚類等の保護、生存率の向上に寄与し、同時に養殖製品の品質向上にも寄与する。
【0021】
4、船舶用ガントリークレーンにより給餌操作を実現し、さまざまな水生生物の複合養殖、養殖プロセスの高度化及び生産量の向上を実現できる。
【0022】
5、船舶用ガントリークレーンにより、沈下式養殖生簀の移動及び昇降制御を実現し、養殖生簀の倉体伸縮、船体甲板及び/又は船体前部まで上昇することで、養殖生簀を水面から離れて双胴型工船の積替と修理を容易にし、双胴型工船の運航中に受ける水の抵抗の軽減、養殖生簀の保護、養殖生簀の保守の容易化に寄与する。
【0023】
6、本出願により提案された設計スキームは、深海または遠洋養殖の給餌、捕獲、選別、清掃などの段階のスマート化、自動化レベルを大幅に向上させる。
【0024】
以下、図面を参照しつつ本出願の技術的手段をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本出願の深海・遠洋養殖双胴型工船の概略構成図である。
図2図1内の部位Aの拡大図である。
図3図1の部位Bの拡大図である。
図4図1に示す船体構造の正面概略図である。
図5図4内の部位Cの拡大図である。
図6図4内の部位Dの拡大図である。
図7図1に示す船体構造の側面概略図である。
図8】飼料チャンバーの概略構成図である。
図9図1に示す船体の部分構造の等角図である。
図10図9内の部位Eの拡大図である。
図11図9内の部位Fの拡大図である。
図12】船体前部に移動された養殖生簀の概略図である。
図13図12内の部位Gの拡大図である。
図14図12内の部位Gの上面概略図である。
図15図13内の部位Hの拡大図である。
図16】養殖生簀の概略構成図である。
図17図16内の部位Iの拡大図である。
図18図16内の部位Jの拡大図である。
図19】リフト組立体の概略構成図である。
図20図19内の部位Kの拡大図である。
図21】第1追い込み枠の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
上記の図面図において、W1は水平面、W2は船室内の所定の高水位、W3は船室内の所定の低水位を示す。
【0027】
第1の実施形態
前記深海・遠洋養殖双胴型工船及びその方法は、各種魚類の船体外部沈下式養殖を実現し、深海と遠洋の一方又は両方の自然野外水域環境を利用して稚魚から収穫までの養殖の全過程を実施する。
【0028】
同時に、養殖計画に従い船体と養殖生簀との間の移送を調整することができ、船体と陸上輸送施設との間の積み替え及び積み降ろし作業がより便利になり、全てはダイナミックで高度化された養殖管理が実現する。
【0029】
本出願により提案される下記の技術的手段は、底生魚を含む各種魚類の沈下式立体養殖に広く適することができる。
【0030】
工船船室と外部環境との間の水循環は、生物濾過技術により行うことができ、例えば工船船室が船外から水を吸収して注入し、内部循環装置の制御により一定方向の循環水流を形成し、最後に排水管を経由して船外に排出されて、船室内外の海水の循環と浄化を実現する。
【0031】
図1図21に示すように、前記深海養殖双胴型工船は、両側に配置された船体組立体10と、船体組立体10の間に位置する養殖生簀50と、連通に使用され、船体組立体10から養殖生簀50へ養殖魚を一定方向移送する選別機1091とを備える。
【0032】
船体組立体10内には、稚魚を養殖区域に輸送すること、成魚を陸上に輸送して販売すること、必要に応じて異なる海域への移送過程中の一時的な飼育と輸送を含んで用いるため、密閉で互いに隔離された複数の区画室102が設けられる。
【0033】
各区画室102の頂部には、ハッチ103が設けられ、ハッチカバー107がハッチ103を閉じ、
各側の船体組立体10の頂部には、いずれも縦方向ガイドレール105が設けられ、縦方向ガイドレール105はフレーム104を介して船体組立体と固結し、縦方向ガイドレール105の側面に沿って第1ラック107が設けられ、
両側の船体組立体10の頂部間には、仕切枠106が設けられ、仕切枠106は均等に配置され、上方に開口する複数の溝口1061を有し、仕切枠106に複数の溝穴1062が設けられる。
【0034】
船体組立体10の養殖生簀50に面する側には、垂直方向に並べられる2列の開口部が設けられ、位置が高い列の開口部は船体喫水線よりも上側にあり、すなわち船室魚出口109を形成し、位置が低い列の開口部は船体喫水線よりも下側にあり、すなわち船室魚入口108を形成し、船室魚出口109及び船室魚入口108はいずれも仕切枠106を貫通する。
【0035】
船室魚出口109及び船室魚入口108は普段、閉鎖され、魚を移送するときに開けて使用する。例えば仕切枠106上に第1密閉溝1082が設けられ、第1密閉扉1081は普段、第1密閉溝1082に挿入して船室魚入口108を閉鎖し、船室魚入口108はW3より上、W1より低く、これに対応して、W1より高いW2の位置に船室魚出口109が設けられる。
【0036】
船体組立体10の区画室102及び養殖生簀50の底部には、いずれも養殖魚をそれぞれ魚出口に追い込むための集魚装置が設けられる。前記集魚装置は、第1追い込み枠60と、第2追い込み枠506とを備える。
【0037】
船体組立体10の頂部甲板には、複数の飼料チャンバー70が設けられ、飼料チャンバー70に養殖に必要な飼料を格納する。前記飼料チャンバー70は、支柱701、チャンバー本体702、フック703、払出口704及びバルブ705から連結されて構成され、払出口704はチャンバー本体702の底部に設けられ、バルブ705により開閉を制御する。
【0038】
両側の船体組立体10の頂部間には、ガントリークレーンなどの移動式昇降機構が設けられ、移動式昇降機構はリフト組立体40と、両側の船体に沿って配置された縦移動組立体20及び横移動組立体30とを備え、縦移動組立体20は上に2つの横方向ガイドレール202を固結したH型フレーム底部構造を有する。
【0039】
移動式昇降機構は、両側の船体に配置された飼料チャンバー70を吊り上げるために用いられ、H型フレーム沿って走行する過程で、飼料チャンバーのバルブが開かれて、ガントリークレーンの走行軌跡に沿って、下にある養殖生簀50へ給餌作業を行う。
【0040】
縦移動組立体20上に第1モータ取付板204を介して縦移動組立体20に固結された第1モータ205、底部に位置する第1ガイド溝201、及び側面に固結された第2ラック207が取り付けられ、第1歯車206は第1モータ205の出力軸に駆動可能に連結され、第1歯車206と第1ラック107とが噛合し、第1ガイド溝201は縦方向ガイドレール105に摺動可能に連結され、第1モータ205の駆動により、縦移動組立体20はX軸方向に沿って往復移動することができる。
【0041】
横移動組立体30上に第2モータ311、垂直に配置された複数組の第1ガイドスリーブ302及び底部に位置する第2ガイド溝301が取り付けられ、第1ガイドスリーブ302は、リフト組立体40に垂直上向きに接続され、第2ガイド溝301は縦移動組立体20の横方向ガイドレール202に摺動可能に連結され、第2モータ311は第2モータ取付板310を介して横移動組立体30の下部に固結され、第2歯車312は第2モータ311の出力軸に駆動可能に連結され、第2歯車312と第2ラック207とが噛み合うように連結し、第2モータ311の駆動により、横移動組立体30はY軸方向に沿って往復移動することができる。
【0042】
リフト組立体40は、リフト枠401を備え、リフト枠401の底部に複数組のガイドポスト412が設けられ、リフト枠401内に2組のガイド杆402が固結される。左摺動杆403、右摺動杆404の両端に摺動スリーブ408がそれぞれ固結され、摺動スリーブ408はガイド杆402に摺動可能に連結され、左摺動杆403に左ねじ部415が設けられ、右摺動杆404に右ねじ部416が設けられ、
第3モータ406は、U字状板405を介してリフト枠401の側面に取り付けられ、双方向送りねじ407は第3モータ406の出力軸に固結され、かつ双方向送りねじ407はそれぞれ左摺動杆403、右摺動杆404を挿通して螺接し、すなわち双方向送りねじ407の両端には対称に右ねじ部及び左ねじ部が設けられる。第3モータ406の駆動により、左摺動杆403及び右摺動杆404はY軸方向に沿ってリフト枠401内部に相対的に接近又は離反する方向へ摺動して両者の間の距離を変化させる。
【0043】
摺動スリーブ408に電気ホイスト409が取り付けられ、電気ホイスト409は第1ワイヤロープ410を介して牽引プレート411に下方に連結される。
【0044】
数の第4モータ413は、リフト枠401に取り付けられ、第4モータ413の出力軸はリフト用送りねじ414に固結され、リフト用送りねじ414は横移動組立体30のリフト用ナット313と螺接する。
【0045】
1ガイドスリーブ302の軸方向の中心線に沿って、第1伸縮杆303、第2伸縮杆304及び第3伸縮杆305が順に入れ子状にスライド可能に接続され、第3伸縮杆305の頂部はガイドポスト412に連結され、第4モータ413の駆動により、第1伸縮杆303、第2伸縮杆304及び第3伸縮杆305が順次かつ同時に伸縮することで、リフト組立体40の垂直高さを調整することができる。
【0046】
殖生簀50は、両側の船体組立体10の間に位置し、日々の飼育のために吊り下げ連結方法を採用している。すなわち、双胴型工船が深海または遠洋の養殖区域に到着した後、船体内部の稚魚又は一時的に飼育される未成熟個体を養殖生簀50に移送して、船体外部の自然野外環境中に沈下して魚類を養殖し、育てた成熟個体は、養殖生簀50から船体組立体10の区画室102内に移送し、双胴型工船を介して陸上に戻って荷卸し、販売される。
【0047】
殖生簀50の両側の船体に面する側面には、いずれも養殖生簀魚入口、養殖生簀魚出口が設けられて、船体の魚入口・魚出口の連絡通路を形成する。養殖生簀の魚入口、魚出口は、船体の喫水線と同じ高さにあり、普段は閉鎖し、魚を移送する際に開けられて使用する。
【0048】
本出願の深海・遠洋養殖は、沈下式養殖に属し、養殖水域の体積を増大させるため、養殖生簀は大きな平面容積(例:400平方メートル)を有する必要がある。双胴型工船の運航中、水の抵抗を軽減するため、養殖生簀50を水中から引き上げて船体頂部に置く必要がある。養殖生簀が水面から上がった際の明らかな揺れを防ぐため、垂直方向に伸縮可能な構造を採用して、非飼育期間には体積を減らし、保管及び固定を容易にすることができる。
【0049】
前記養殖生簀50は、上艙501と下艙502とが嵌着してから成り、上艙501の頂部に養殖生簀蓋503及び複数の動滑車組立体504が連結され、下艙502の底部に第2追い込み枠506が設けられる。
【0050】
上艙501には、養殖生簀魚入口5051及び養殖生簀魚出口5052が設けられ、養殖生簀魚入口5051及び養殖生簀魚出口5052に第2密閉溝5053が設けられ、第2密閉扉505は第2密閉溝5053を介して前記養殖生簀魚入口5051及び養殖生簀魚出口5052を閉鎖する。
【0051】
区画室102と養殖生簀50との間の養殖魚類の移送は、主に両者間の水位差に依存して実現する。
【0052】
具体的には、養殖魚を船体から養殖生簀に移送する際には、船室魚出口109が養殖生簀魚入口5051と連通し、ウォーターポンプなどの機器を利用して船外の海水を船体内に注入し、船室内の水位が外部の海水よりも高くなり、区画室102の底部にある第1追い込み枠60が上昇して、養殖魚を船体の上部に集中して、養殖魚を養殖生簀50に移送し、
養殖魚を養殖生簀から船体に移動する際、船室魚入口108は養殖生簀魚出口5052と連通し、ウォーターポンプにより船体内の海水を汲み上げて排出し、船室の水位が外部の海水よりも低くなり、養殖生簀50の底部にある第2追い込み枠506が上昇して、養殖魚を養殖生簀50の上部に集中して、養殖魚を区画室102に移送する。
【0053】
養殖生簀蓋503の一端は、ピン5031を介して上艙501のピン穴5012にヒンジ結合され、養殖生簀蓋503の他端は固結する制限ブロック5032上のロック穴5033を介して上艙501に対応するネジ穴と固結するため、修理又は点検時養殖生簀蓋503を開けることができるようになっている。
【0054】
前記動滑車組立体504は、第2ワイヤロープ5041、固定板5042、ワイヤローブラケット5043、滑車5044、滑車軸5045、ワイヤローブラケット穴5046及びワイヤソケット5047から構成され、ワイヤローブラケット5043上にワイヤーロープフック5048が設けられる。第2ワイヤロープ5041は、滑車5044に巻き付けられ、一端は固定板5042に固結され、他端はワイヤソケット5047に固結される。滑車5044に固結された滑車軸5045は、ワイヤローブラケット5043のワイヤローブラケット穴5046に嵌められ、滑車5044と滑車軸5045は回転可能に連結される。ワイヤソケット5047は、上艙501の第1穴部5014を挿通して、上艙501と固結し、同時に第2ワイヤロープ5041は第2穴部5013を挿通してそれとの間隙を残し、第2ワイヤロープ5041は固定板5042を介して下艙502の軸ピン5021に固結される。
【0055】
上艙501の外側壁は、下艙502の内側壁と隙間嵌めとなっており、上艙501の垂直高さは下艙502の垂直高さよりも大きい。上艙501の底部は開放され、下艙502の底部は密閉フレームとなっている。最大位置まで伸長した時、上艙501に固結された外側ボス5015の上端面が下艙502の内側ボス5023の下端面に当接するため、下艙502の伸長継続が規制される。最小高さまで垂直方向に縮めたとき、上艙501の底面が下艙502の内底面5024に当接するため、それ以上縮めることができなくなり、このとき下艙502の第1穴部5022と上艙501の第3穴部5011が同心になり、両者の間にボルトを挿通して両者を締結する。
【0056】
さらに、上艙501の第4穴部5016と船体組立体10の溝穴1062とがボルトにより固結された時、上艙501は相対的に懸装される。ワイヤーロープフック5048を上方に引くと、下艙502が上方に移動する。動滑車の駆動原理に基づいて、ワイヤーロープフック5048の移動距離は、下艙502の移動距離の半分であるため、リフト組立体40の電気ホイスト409が第1ワイヤロープ410を駆動して移動する距離が減少し、リフト組立体40の全高を減らすことができる。
【0057】
前記第2追い込み枠506は、下艙502の内底面5024の上に設けられ、複数の第2吊りフック5062は第2杆5061を介して第2追い込み枠506に接続され、第2吊りフック5062が延出して上艙501頂部の上方に位置する。
【0058】
同様に、各区画室102の底部に設けられた第1追い込み枠60は、第1杆601を介して垂直上方に第1吊りフック602に接続され、第1吊りフック602が延出して船体組立体10の頂部甲板上に位置する。
【0059】
養殖生簀50中の養殖魚類の環境の質を向上し、実際の野外自然水域環境にできるだけ近づけるため、前記養殖生簀全体は中空のフレーム式開放構造であり、同時に上艙501の内側、下艙502の外側、養殖生簀蓋503の外側、及び第2追い込み枠506の上面が漁網で覆われる。
【0060】
前記選別機1091は、一端が船室魚出口109に接続され、他端が養殖生簀魚入口5051に接続される。選別機1091は、複数の選別口1092を有し、選別された養殖魚を異なる養殖生簀50に移送、又は直接成熟個体を工船から荷卸す。
【0061】
本出願は、上記深海・遠洋養殖双胴型工船の構造設計に基づき、以下のような複数の魚種に適用可能な船体外部沈下式深海・遠洋養殖方法を同時に実現した:
船体外部の自然水域環境を利用し、稚魚から成魚までの全ライフサイクルを養殖生簀50内で開放型魚類養殖を行うこと、
双胴型工船の運航中(養殖海域と陸上施設との間の輸送過程、及び荒天や悪い海象条件を避ける場合の一時帰港を含むが、これらに限定されない)、養殖魚を船室組立体10内に一時飼育すること、
両側の船体組立体10と養殖生簀50との間の移送通路と水位差制御に基づき、魚類を一定方向に移送又は荷卸すこと、
船体組立体10頂部の移動式昇降機構で飼料チャンバー70を吊り上げ、H型フレームに沿って走行しながら下にある養殖生簀50に給餌すること、
移動式昇降機構で養殖生簀50を吊り上げ、養殖生簀50を垂直方向に縮んで水面から離れるよう引き上げること、及び
双胴型工船の運航中、養殖生簀50を船体組立体10の頂部甲板に保管すること。
【0062】
さらに、養殖魚を養殖生簀50から船体組立体10に移送するプロセスでは、まずウォーターポンプを使用して区画室102内の水位をW3位置まで下げ、継続的に水を外部に汲み出した後、第2密閉扉505及び第1密閉扉1081を開き、電気ホイスト409により第1ワイヤロープ410の端部に連結された牽引プレート411を駆動して牽引し、第2追い込み枠506の第2吊りフック5062を引っ掛けて第2追い込み枠506を引き上げたとき、養殖魚は図5内のP1矢印方向に沿って、養殖生簀魚出口5052、船室魚入口108を通って区画室102内に入る。
【0063】
養殖魚を船体組立体10から養殖生簀50に移送するプロセスでは、まずウォーターポンプを使用して区画室102内の水位をW2位置まで上昇させ、水を内部に汲み入れた後、第2密閉扉505を開き、電気ホイスト409により第1ワイヤロープ410の端部に連結された牽引プレート411を駆動して牽引し、第1追い込み枠60の第1吊りフック602を引っ掛けて第1追い込み枠60を引き上げたとき、養殖魚は図6内のP2矢印方向に沿って、養殖生簀魚入口5051、船室魚出口109及び選別機1091を通って養殖生簀50内に入る。
【0064】
上記給餌プロセスでは、両側の船体組立体10の頂部甲板上にある移動式昇降機構が縦移動組立体20と横移動組立体30とから成るH型フレームに沿って走行しながら飼料チャンバー70を吊り上げ、飼料チャンバー70内に格納されている飼料を下の養殖生簀50に投げるため、バルブ705を開くように制御する。
【0065】
上記養殖生簀50を吊り上げるプロセスでは、上艙501の外側壁は、下艙502の内側壁との隙間嵌めにより、上艙501と下艙502が互いに引き寄せられ、上艙501の底面が下艙502の内底面5024に接触するまで内倉体積が縮小され、このとき、下艙502の第1穴部5022と上艙501の第3穴部5011が同心になったとき、両者の間にボルトを挿通して養殖生簀50全体を締結することができる。
【0066】
上記養殖魚類を一定方法に移送又は荷卸すプロセスでは、船室魚出口109と養殖生簀魚入口5051を選別機1091で接続し、複数の選別口1092を介して選別された養殖魚を異なる養殖生簀50に移送、又は成熟個体を双胴型工船から直接荷卸す。
【0067】
図12図15に示すように、本出願は、養殖生簀50を船体組立体10から降ろす操作プロセスを提供する:
養殖生簀50を垂直方向に圧縮して折り畳んだ後、修理船80を使用して養殖生簀50を工船から降ろし、他の場所に移し、例えば陸上施設に運んで修理・保守、或いは付近の他の工船に移送して再利用などの用途である。
【0068】
具体的に、リフト組立体40の電気ホイスト409の駆動下で、第1ワイヤロープ410が端部の牽引プレート411を牽引して動滑車組立体504のワイヤーロープフック5048を引っ掛けて、上艙501と下艙502を互いに垂直方向に引き込んで最小体積となり、その後、複数の第4モータ413が同時にリフト用送りねじ414を駆動して横移動組立体30のリフト用ナット313と相対的に回転させ、リフト組立体40全体を完全に水面から離れるよう引き上げ、最後に、第1モータ205及び第2モータ311を同時に始動し、養殖生簀50が修理船80の垂直上方に横移動すると共に養殖生簀50が修理船80の甲板に降ろすまで複数の第4モータ413を駆動してリフト組立体40全体を引き下げ、牽引プレート411をワイヤーロープフック5048から外し、点検修理又は移送使用の目的地に応じて修理船80を介して養殖生簀50を他の場所に移送する。
【0069】
上記双胴型工船を使用して深海または遠洋養殖を行うプロセスには、次の段階が含まれる。
【0070】
1)、陸上施設から深海または遠洋の養殖区域までの輸送段階
区画室102には稚魚又は未成熟個体を積載し、養殖生簀50の輸送を容易にするとともに、養殖生簀を輸送する工船の運航に伴う風の抵抗や水の抵抗などの悪影響を軽減するため、養殖生簀50の上艙501と下艙502を互いに垂直方向に引き込んで最小体積となる。例えばボルトを前記養殖生簀50の下艙502の第1穴部5022と上艙501の第3穴部5011に挿通して両者を締結する場合、養殖生簀50を底部にある溝穴1062を介して仕切枠106と固結することで、養殖生簀50を船体組立体10の頂部甲板に保管することができる。
【0071】
同時に、リフト組立体40を垂直方向の最低位置まで降下し、全てのハッチカバー107を閉じる。
【0072】
2)、深海または遠洋の養殖段階
目的地に到着後、下艙502の第1穴部5022と上艙501的第3穴部5011との間の螺着を緩み、養殖生簀50の底部の溝穴1062と仕切枠106との間の固結を緩む。
【0073】
縦移動組立体20及び横移動組立体30の動作を調整し、リフト組立体40の電気ホイスト409で第1ワイヤロープ410の端部にある牽引プレート411を駆動して、養殖生簀50のワイヤーロープフック5048を引っ掛け、降下し続け、各上艙501上部の外側ボスを船体組立体10の仕切枠106の溝口1061に順次嵌入し、次に上艙501の第4穴部5016と船体組立体10の溝穴1062とをネジで締結し、下艙502は自重により垂直方向の最低位置まで引っ張られる。
【0074】
ウォーターポンプにより区画室102の水位をW2位置まで上昇し、縦移動組立体20、横移動組立体30、及びリフト組立体40を調整し、電気ホイスト409により第1ワイヤロープ410を牽引して駆動し、第1追い込み枠60の第1吊りフック602を引っ掛けることで、垂直方向に沿って第1追い込み枠60を引き上げ続けて養殖魚を船室魚出口109に追い込み、第2密閉扉505を開き、養殖魚は選別機1091及び養殖生簀魚入口5051を通って一定方向に移送して養殖生簀50に入り、
同時に、選別機1091を介して成熟不良養殖魚を選別口1092から選別して他の場所に移すこともでき、上記養殖魚移送作業が完了した後、第2密閉扉505を閉じ、区画室102に養殖魚を一時保管することはない。
【0075】
養殖生簀50の日々の飼育プロセスにおいて、縦移動組立体20、横移動組立体30及びリフト組立体40の動作調整により、電気ホイスト409の第1ワイヤロープ410の端部にある牽引プレート411を飼料チャンバー70のフック703を引っ掛け、飼料チャンバー70が養殖生簀50の垂直上方に位置するまで、図1内のX、Y、Z軸方向に沿って移動し、制御プログラムによりバルブ705を開いて一定方向に給餌する。
【0076】
3)、深海または遠洋の養殖区域から陸上施設に戻るまでの輸送段階
ステップ1:ウォーターポンプにより区画室102の水位をW3位置まで下げ、養殖生簀魚入口5051を閉じ、養殖生簀魚出口5052を開き、同時に船室魚入口108の第1密閉扉1081、も開き、
縦移動組立体20、横移動組立体30及びリフト組立体40の動作調整により、電気ホイスト409が第1ワイヤロープ410の端部にある牽引プレート411を駆動して第2追い込み枠506の第2吊りフック5062を引っ掛け、垂直方向に沿って第2追い込み枠506を引き上げて養殖魚を養殖生簀50、養殖生簀魚出口5052及び船室魚入口108から区画室102に追い込み、このとき、ウォーターポンプは継続的に水を汲み上げて養殖生簀50から区画室102への一定方向の水流を形成し、養殖魚の急速な移動に役立ち、各養殖生簀50内の養殖魚を指定された区画室102に移送することを順次完了し、
ステップ2:縦移動組立体20、横移動組立体30の動作を調整し、ある養殖生簀50の垂直上方で複数の第4モータ413を始動してリフト用送りねじ414とリフト用ナット313の螺旋状回転を駆動することで、第1伸縮杆303、第2伸縮杆304及び第3伸縮杆305の共同作用の下で、リフト組立体40全体を垂直方向の最高位置まで牽引して引き上げ、リフト組立体40の電気ホイスト409で牽引する第1ワイヤロープ410の牽引プレート411を養殖生簀50のワイヤーロープフック5048と連結し、電気ホイスト409の牽引下で、下艙502及び上艙501を引っ張って互いに垂直方向に引き込んで最小高さまで縮み、
ステップ3:養殖生簀蓋503を閉じ。上艙501の第4穴部5016と船体組立体10の溝穴1062との間の固結を緩み、電気ホイスト409の牽引下で、牽引プレート411がワイヤーロープフック5048を続いて外に引っ張ったとき、上艙501の水平方向の制限が解除され、上艙501及び下艙502が垂直上方に移動し続け、養殖生簀50が水面から完全に吊り上げ、下艙502の底面は仕切枠106の溝穴1062より高い時、ボルト又は他の止め具を挿入した後、電気ホイスト409により牽引される牽引プレート411はワイヤーロープフック5048を下方に移動させ、すなわち上艙501及び下艙502は下艙502が上記ボルト又は他の止め具の上に落下するまで,全体として垂直下方に移動し、このときワイヤロープ又はボルトで養殖生簀50と仕切枠106を固結し、最後に牽引プレート411をワイヤーロープフック5048から外し、養殖生簀50を解放し、養殖生簀50を船体組立体10の頂部甲板に保管し、上記内容に従い、全ての養殖生簀50の保管作業を順次完了させ、
ステップ4:ボルトを下艙502の第1穴部5022と上艙501の第3穴部5011に挿通して両者を締め付け、同時に複数の第4モータ413を始動してリフト用送りねじ414とリフト用ナット313との螺旋状回転を駆動し、第1伸縮杆303、第2伸縮杆304及び第3伸縮杆305の共同作用の下で、リフト組立体40を垂直方向の最低位置まで降下し、全てのハッチカバー107を閉じ、双胴型工船は安全、最小限の抵抗で運航して陸上施設に戻ることができる。
【0077】
要するに、図面に示す実施形態は、本発明の目的を達成するための好ましい技術的手段のみである。当業者であれば、これに基づいて示唆を得て、本発明の設計思想に適合する他の代替構造を直接導出することができる。ここから得られる他の構造上の特徴も本発明に記載の技術的手段の範囲に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
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図17
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図19
図20
図21
【手続補正書】
【提出日】2024-06-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
深海・遠洋養殖双胴型工船であって、両側に配置された船体組立体と、船体組立体の間に位置し、懸装される養殖生簀と、船体組立体と養殖生簀を連通し、船体組立体から養殖生簀へ養殖魚を一定方向移送する選別機とを備え、
両側の船体組立体の頂部間には移動式昇降機構が設けられ、移動式昇降機構はリフト組立体と、両側の船体に沿って配置された縦移動組立体及び横移動組立体とを備え、縦移動組立体はH型フレーム底部構造を有し
前記養殖生簀は、上艙と下艙とが嵌着してから成り、上艙の頂部に複数の動滑車組立体が連結され、下艙の底部に第2追い込み枠が設けられ、
上艙には両側の船体の側面に面する養殖生簀魚入口、養殖生簀魚出口が設けられ、
上艙の外側壁は、下艙の内側壁と隙間嵌めとなっており、最大位置まで伸長した時、上艙に固結された外側ボスの上端面が下艙の内側ボスの下端面に当接し、最小高さまで垂直方向に縮めたとき、上艙の底面が下艙の内底面に接触し、このとき下艙の第1穴部と上艙の第3穴部が同心になり、
船体組立体内に密閉で互いに隔離された複数の区画室が設けられ、両側の船体組立体の頂部間には、上方に開口する複数の溝口を有する仕切枠が設けられ、
船体組立体の養殖生簀に面する側には垂直方向に並べられる船室魚出口及び船室魚入口が設けられ、船室魚出口及び船室魚入口はいずれも仕切枠を貫通し、
船体組立体の区画室及び養殖生簀の底部にはいずれも集魚装置が設けられ、
区画室と養殖生簀との間の養殖魚類の移送は、主に両者間の水位差に依存して実現し、
養殖魚を船体から養殖生簀に移送する際には、船室魚出口が養殖生簀魚入口と連通し、ウォーターポンプにより船外の海水を船体内に注入し、船室内の水位が外部の海水よりも高くなり、区画室の底部にある第1追い込み枠が上昇して、養殖魚を船体の上部に集中して、養殖魚を養殖生簀に移送し、
養殖魚を養殖生簀から船体に移動する際、船室魚入口は養殖生簀魚出口と連通し、ウォーターポンプにより船体内の海水を汲み上げて排出し、船室の水位が外部の海水よりも低くなり、養殖生簀の底部にある第2追い込み枠が上昇して、養殖魚を養殖生簀の上部に集中して、養殖魚を区画室に移送する
ことを特徴とする、深海・遠洋養殖双胴型工船。
【請求項2】
船体組立体の頂部甲板には、複数の飼料チャンバーが設けられ、飼料チャンバーは、支柱、チャンバー本体、フック、払出口及びバルブから連結されて構成され、払出口はチャンバー本体の底部に設けられ、バルブにより開閉を制御することを特徴とする、請求項1に記載の深海・遠洋養殖双胴型工船。
【請求項3】
各側の船体組立体の頂部には、いずれも縦方向ガイドレールが設けられ、縦方向ガイドレールに沿って第1ラックが設けられ、前記縦移動組立体は第1モータと、底部にある第1ガイド溝、及び側面に固結された横方向ガイドレールとを備え、横方向ガイドレールの側面に第2ラックが固結され、第1歯車は第1モータの出力軸に駆動可能に連結され、第1歯車と第1ラックとが噛合し、第1ガイド溝は縦方向ガイドレールに摺動可能に連結され、
前記横移動組立体は、第2モータと、垂直に配置された複数組の第1ガイドスリーブと、底部にある第2ガイド溝とを備え、第1ガイドスリーブは、リフト組立体に垂直上向きに接続され、第2ガイド溝は縦移動組立体の横方向ガイドレールに摺動可能に連結され、第2歯車は第2モータの出力軸に駆動可能に連結され、第2歯車と第2ラックとが噛み合うように連結し、
前記リフト組立体は、リフト枠と、第3モータとを備え、リフト枠の底部に複数組のガイドポストが設けられ、リフト枠内に2組のガイド杆が固結され、左摺動杆、右摺動杆の両端に摺動スリーブがそれぞれ固結され、摺動スリーブはガイド杆に摺動可能に連結され、双方向送りねじは第3モータの出力軸に固結され、かつ双方向送りねじはそれぞれ左摺動杆、右摺動杆を挿通して螺接し、両端には対称に右ねじ部及び左ねじ部が設けられ、摺動スリーブに電気ホイストが取り付けられ、電気ホイストは第1ワイヤロープを介して牽引プレートに下方に連結され、複数の第4モータは、リフト枠に取り付けられ、第4モータの出力軸はリフト用送りねじに固結され、リフト用送りねじは横移動組立体のリフト用ナットと螺接し、第1ガイドスリーブの軸方向の中心線に沿って、複数組の伸縮杆が順に入れ子状に接続され、伸縮杆の頂部はガイドポストに固結される
ことを特徴とする、請求項1に記載の深海・遠洋養殖双胴型工船。
【請求項4】
前記動滑車組立体は、ワイヤローブラケット上にワイヤーロープフックが設けられ、第2ワイヤロープは、滑車に巻き付けられ、一端は固定板に固結され、他端はワイヤソケットに固結され、滑車に固結された滑車軸は、ワイヤローブラケットのワイヤローブラケット穴に嵌められ、滑車と滑車軸は、回転可能に連結され、ワイヤソケットは、上艙に固結され、第2ワイヤロープは、下艙に固結されることを特徴とする、請求項1に記載の深海・遠洋養殖双胴型工船。
【請求項5】
前記第2追い込み枠は、下艙の内底面の上に設けられ、複数の第2吊りフックは第2杆を介して第2追い込み枠に接続され、第2吊りフックが延出して上艙頂部の上方に位置し、
各区画室の底部に設けられた第1追い込み枠は、第1杆を介して垂直上方に第1吊りフックに接続され、第1吊りフックが延出して船体組立体の頂部甲板上に位置し、
上艙の内側、下艙の外側、及び第1追い込み枠、第2追い込み枠の上面が漁網で覆われる
ことを特徴とする、請求項1に記載の深海・遠洋養殖双胴型工船。
【請求項6】
前記選別機は、一端が船室魚出口に接続され、他端が養殖生簀魚入口に接続され、かつ選別機は、複数の選別口を有することを特徴とする、請求項1に記載の深海・遠洋養殖双胴型工船。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
上記の設計目的を達成するため、前記深海・遠洋養殖双胴型工船は、両側に配置された船体組立体と、船体組立体の間に位置し、懸装される養殖生簀と、船体組立体と養殖生簀を連通し、船体組立体から養殖生簀へ養殖魚を一定方向移送する選別機とを備え、両側の船体組立体の頂部間には移動式昇降機構が設けられ、移動式昇降機構はリフト組立体と、両側の船体に沿って配置された縦移動組立体及び横移動組立体とを備え、縦移動組立体はH型フレーム底部構造を有する。
【国際調査報告】