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特表2024-526449電解液、二次電池、電池モジュール、電池パックと電力消費装置
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  • 特表-電解液、二次電池、電池モジュール、電池パックと電力消費装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-18
(54)【発明の名称】電解液、二次電池、電池モジュール、電池パックと電力消費装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0567 20100101AFI20240710BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20240710BHJP
   H01M 10/0569 20100101ALI20240710BHJP
   H01M 10/0568 20100101ALI20240710BHJP
【FI】
H01M10/0567
H01M10/052
H01M10/0569
H01M10/0568
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502480
(86)(22)【出願日】2022-05-09
(85)【翻訳文提出日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 CN2022091654
(87)【国際公開番号】W WO2023216052
(87)【国際公開日】2023-11-16
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】彭▲チャン▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼培培
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼得▲貴▼
(72)【発明者】
【氏名】▲鄒▼▲海▼林
【テーマコード(参考)】
5H029
【Fターム(参考)】
5H029AJ04
5H029AJ05
5H029AK01
5H029AK03
5H029AK18
5H029AL02
5H029AL03
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL11
5H029AL18
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM05
5H029AM07
5H029HJ01
5H029HJ02
(57)【要約】
リチウムイオン二次電池用の電解液及び電池であって、電解液は、溶媒と、添加剤組成物と、リチウム塩とを含み、添加剤組成物は、式IIと式IIIとの化合物のうちの少なくとも一つ及び式Iの化合物を含む。得られた電池は、高電圧を有し、且つ高温で良好なサイクル性能と保存性能を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒と、添加剤組成物と、リチウム塩とを含むリチウムイオン二次電池用の電解液であって、前記添加剤組成物は、式IIと式IIIとの化合物のうちの少なくとも一つ及び式Iの化合物を含み、
【化1】
ここで、R、RとRは、それぞれ独立してH又はFであり、ここで、Rと、Rと、Rとのうちの少なくとも一つは、Fであり、
【化2】

ここで、RとRは、それぞれ独立して水素、ビニル基、アリル基、オキシエチレン基又はオキシアリル基であり、ここで、RとRとのうちの少なくとも一つは、Hではなく、
【化3】
ここで、R、R、RとRは、それぞれ独立してアリル基、ビニル基、アルケニルブチル基のうちの一つ又は複数から選ばれる、ことを特徴とするリチウムイオン二次電池用の電解液。
【請求項2】
前記式Iの化合物は、
【化4】
式IIの化合物は、
【化5】
式IIIの化合物は、
【化6】
ことを特徴とする請求項1に記載の電解液。
【請求項3】
前記式Iの化合物の電解液における含有量がa重量%であり、式IIの化合物又は式IIIの化合物又は両方の混合物の電解液における含有量がb重量%である場合、
0.05≦a/b≦4である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電解液。
【請求項4】
前記式Iの化合物の電解液における含有量がa重量%であり、式IIの化合物又は式IIIの化合物又は両方の混合物の電解液における含有量がb重量%である場合、
0.1≦a+b≦10である、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電解液。
【請求項5】
前記式IIの化合物又は式IIIの化合物又は両方の混合物の電解液における含有量は、0.06~8重量%である、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電解液。
【請求項6】
前記溶媒は、非プロトン性有機溶媒であり、前記非プロトン性有機溶媒は、フルオロと非フルオロ環状と鎖状有機カーボネート、フルオロと非フルオロエーテル類、フルオロと非フルオロ環状エーテル類、フルオロと非フルオロカルボン酸エステル、フルオロと非フルオロ鎖状スルホン類又は環状スルホン類化合物のうちの一つ又は複数から選ばれる、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電解液。
【請求項7】
前記リチウム塩は、ヘキサフルオロリン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、過塩素酸リチウム、ヘキサフルオロヒ酸リチウム、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウム、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウム、ジフルオロビス(オキサラト)リン酸リチウム及びテトラフルオロ(オキサラト)リン酸リチウムにおける一つ又は複数から選択され、選択的には、ヘキサフルオロリン酸リチウム又はリチウムビス(フルオロスルホニル)イミドのうちの一方又は両方である、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電解液。
【請求項8】
電解液において、
前記溶媒は、60~85重量%であり、
添加剤組成物は、0.01~20重量%であり、
リチウム塩は、10~40重量%であり、
上記成分の重量の合計は、100重量%であり、各重量%は、電解液の総重量に基づいて計算される、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の電解液。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の電解液を含む、ことを特徴とする二次電池。
【請求項10】
請求項9に記載の二次電池を含む、ことを特徴とする電池モジュール。
【請求項11】
請求項10に記載の電池モジュールを含む、ことを特徴とする電池パック。
【請求項12】
請求項9に記載の二次電池、請求項10に記載の電池モジュール又は請求項11に記載の電池パックから選ばれる少なくとも一つを含む、ことを特徴とする電力消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、リチウム電池技術分野に関し、特に電解液、二次電池、電池モジュール、電池パックと電力消費装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池は、その作動電位が高く、耐用年数が長く、環境に優しいという特徴から最も人気の高いエネルギー貯蔵システムとなっており、現在ではすでに純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、スマートグリッドなどの分野に広く応用されている。人々の航続能力への需要が高まるにつれて、電気自動車の走行距離に対する不安を解消する必要があり、より高いエネルギー密度を有するリチウムイオン電池システムの開発が急務となっている。
【0003】
電池のエネルギー密度を向上させるために、正極材料の作動電位を向上させることは、研究者らの最優先ポリシーとなっている。通常の三元正極材料の作動電圧を4.4V以上に向上させ、電圧を向上させると、電解液が酸化に耐えず、セルの耐用年数性能が極端に悪くなる。従来の技術では一般的に電解液に膜形成添加剤(例えばテトラビニルシラン)を添加することで、負極膜形成を補強し及び正極酸化により発生した副産物による負極の破壊を減少することができるが、膜形成インピーダンスが大きすぎて、電池の初期インピーダンスを大幅に悪化させる。そのため、従来の電解液添加剤は、改良が必要である。
【発明の概要】
【0004】
本出願は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、リチウムイオン二次電池用の電解液及び電池を提供することであり、得られた電池は、高電圧を有し、且つ高温で良好なサイクル性能と保存性能を有する。
【0005】
上記目的を達成するために、本出願の第一の態様は、溶媒と、添加剤組成物と、リチウム塩とを含むリチウムイオン二次電池用の電解液を提供し、この電解液は、前記添加剤組成物が式IIと式IIIとの化合物のうちの少なくとも一つ及び式Iの化合物を含み、
【化1】
ここで、R、RとRは、それぞれ独立してH又はFであり、ここで、Rと、Rと、Rとのうちの少なくとも一つは、Fであり、
【化2】
ここで、RとRは、それぞれ独立して水素、ビニル基、アリル基、オキシエチレン基又はオキシアリル基であり、ここで、RとRとのうちの少なくとも一つは、Hではなく、
【化3】
ここで、R、R、RとRは、それぞれ独立してアリル基、ビニル基、アルケニルブチル基のうちの一つ又は複数から選ばれることを特徴とする。
【0006】
それによって、本出願の電解液は、化合物Iと化合物II又はIIIを含み、それによって得られた電池が高電圧を有し、且つ高温で良好なサイクル性能と保存性能を有することを確保する。
【0007】
いずれかの実施の形態では、前記式Iの化合物は、
【化4】
式IIの化合物は、
【化5】
式IIIの化合物は、
【化6】
【0008】
それによって、本出願の電解液は、上記構造の化合物Iと化合物II又はIIIを含み、それによって該当する電池はさらに、高電圧を有し、且つ高温で良好なサイクル性能と保存性能を有する。
【0009】
いずれかの実施の形態では、前記式Iの化合物の電解液における含有量がa重量%であり、式IIの化合物又は式IIIの化合物又は両方の混合物の電解液における含有量がb重量%である場合、
0.05≦a/b≦4である。
【0010】
それによって、前記割合の化合物Iと化合物II又はIIIを含み、それによって該当する電池はさらに、高電圧を有し、且つ高温で良好なサイクル性能と保存性能を有する。
【0011】
いずれかの実施の形態では、前記式Iの化合物の電解液における含有量がa重量%であり、式IIの化合物又は式IIIの化合物又は両方の混合物の電解液における含有量がb重量%である場合、
0.1≦a+b≦10である。
【0012】
それによって、前記割合の化合物Iと化合物II又はIIIを含み、それによって該当する電池はさらに、高電圧を有し、且つ高温で良好なサイクル性能と保存性能を有する。
【0013】
いずれかの実施の形態では、前記式IIの化合物又は式IIIの化合物又は両方の混合物の電解液における含有量は、0.06~8重量%である。
【0014】
それによって、前記割合の化合物II又はIIIを含み、それによって該当する電池はさらに、高電圧を有し、且つ高温で良好なサイクル性能と保存性能を有する。
【0015】
いずれかの実施の形態では、前記溶媒は、非プロトン性有機溶媒であり、前記非プロトン性有機溶媒は、フルオロと非フルオロ環状と鎖状有機カーボネート、フルオロと非フルオロエーテル類、フルオロと非フルオロ環状エーテル類、フルオロと非フルオロカルボン酸エステル、フルオロと非フルオロ鎖状スルホン類又は環状スルホン類化合物のうちの一つ又は複数から選ばれる。
【0016】
それによって、前記種類の溶媒を含み、それによって該当する電池はさらに、高電圧を有し、且つ高温で良好なサイクル性能と保存性能を有する。
【0017】
いずれかの実施の形態では、前記リチウム塩は、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、ヘキサフルオロヒ酸リチウム(LiAsF)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiTFS)、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiDFOB)、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiBOB)、ジフルオロリン酸リチウム(LiPO)、ジフルオロビス(オキサラト)リン酸リチウム(LiDFOP)及びテトラフルオロ(オキサラト)リン酸リチウム(LiTFOP)における一つ又は複数から選択され、選択的には、ヘキサフルオロリン酸リチウム又はリチウムビス(フルオロスルホニル)イミドのうちの一方又は両方である。
【0018】
それによって、前記種類のリチウム塩を含み、それによって該当する電池はさらに、高電圧を有し、且つ高温で良好なサイクル性能と保存性能を有する。
【0019】
いずれかの実施の形態では、電解液において、
前記溶媒は、60~85重量%であり、
添加剤組成物は、0.01~20重量%であり、
リチウム塩は、10~40重量%であり、
上記成分の重量の合計は、100重量%であり、各重量%は、電解液の総重量に基づいて計算される。
【0020】
それによって、前記含有量の各成分を含み、それによって該当する電池はさらに、高電圧を有し、且つ高温で良好なサイクル性能と保存性能を有する。
【0021】
本出願の第二の態様は、二次電池をさらに提供し、この二次電池は、
本出願の第一の態様に記載の電解液を含むことを特徴とする。
【0022】
それによって、前記電池は、高電圧を有し、且つ高温で良好なサイクル性能と保存性能を有する。
【0023】
本出願の第三の態様は、電池モジュールを提供し、この電池モジュールは、本出願の第二の態様の二次電池を含む。
【0024】
本出願の第四の態様は、電池パックを提供し、この電池パックは、本出願の第三の態様の電池モジュールを含む。
【0025】
本出願の第五の態様は、電力消費装置を提供し、この電力消費装置は、本出願の第二の態様の二次電池、本出願の第三の態様の電池モジュール又は本出願の第四の態様の電池パックから選ばれる少なくとも一つを含む。
【0026】
本出願は、電解液が化合物Iと化合物II又はIIIを含み、それによって得られた電池が高電圧を有し、且つ高温で良好なサイクル性能と保存性能を有することを確保する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本出願の一実施の形態の二次電池の概略図である。
図2図1に示す本出願の一実施の形態の二次電池の分解図である。
図3】本出願の一実施の形態の電池モジュールの概略図である。
図4】本出願の一実施の形態の電池パックの概略図である。
図5図4に示す本出願の一実施の形態の電池パックの分解図である。
図6】本出願の一実施の形態の二次電池を電源とする電力消費装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を適当に参照しながら、本出願の電解液、二次電池、電池モジュール、電池パックと電学装置を具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。しかしながら、必要のない詳細な説明を省略する場合がある。例えば、周知の事項に対する詳細な説明、実際に同じである構造に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に長くなることを回避し、当業者に容易に理解させるためである。なお、図面及び以下の説明は、当業者に本出願を十分に理解させるために提供するものであり、特許請求の範囲に記載されたテーマを限定するものではない。
【0029】
本出願に開示された「範囲」は、下限と上限の形式で限定され、与えられた範囲は、一つの下限と一つの上限を選定することで限定されるものであり、選定された下限と上限は、特定の範囲の境界を限定した。このように限定される範囲は、端値を含むか又は含まないものであってもよく、且つ任意の組み合わせが可能であり、即ち任意の下限は、任意の上限と組み合わせて、一つの範囲を形成することができる。例えば、特定のパラメータに対して60-120と80-110の範囲がリストアップされている場合、60-110と80-120の範囲も想定できると理解される。なお、最小範囲値として1と2がリストアップされており、最大範囲値として3、4及び5がリストアップされている場合1-3、1-4、1-5、2-3、2-4と2-5という範囲がすべて想定できる。本出願では、特に断りのない限り、「a-b」という数値範囲は、a~bの任意の実数の組み合わせの短縮表現を表し、ここで、aとbはいずれも実数である。例えば、数値範囲「0-5」は、本明細書においてすでに「0-5」の間のすべての実数をリストアップしたことを表し、「0-5」は、これらの数値の組み合わせの短縮表現だけである。また、あるパラメータが≧2の整数であると表現すると、このパラメータが例えば整数2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12などであることを開示していることに相当する。
【0030】
特に説明しない場合、本出願のすべての実施の形態及び選択的な実施の形態は、互いに組み合わせて新たな技術案を形成することができる。
【0031】
特に説明しない場合、本出願のすべての技術的特徴及び選択的な技術的特徴は、互いに組み合わせて新たな技術案を形成することができる。
【0032】
特に説明しない場合、本出願のすべてのステップは、順番に行われてもよく、ランダムに行われてもよく、好ましくは、順番に行われる。例えば、前記方法がステップ(a)と(b)とを含むことは、前記方法が、順番に行われるステップ(a)と(b)とを含んでもよく、順番に行われるステップ(b)と(a)とを含んでもよいことを表す。例えば、以上に言及された前記方法がステップ(c)をさらに含んでもよいことは、ステップ(c)が任意の順序で前記方法に追加されてもよいことを表し、例えば前記方法は、ステップ(a)、(b)及び(c)を含んでもよく、ステップ(a)、(c)及び(b)を含んでもよく、ステップ(c)、(a)及び(b)などを含んでもよい。
【0033】
特に説明しない場合、本出願に言及された「含む」と「包含」は、開放型を表し、閉鎖型であってもよい。例えば、前記「含む」と「包含」は、リストアップされていない他の成分をさらに含むか又は包含してもよく、リストアップされている成分のみを含むか又は包含してもよいことを表してもよい。
【0034】
特に説明しない場合、本出願では、用語である「又は」は包括的である。例を挙げると、「A又はB」というフレーズは、「A、B、又はAとBとの両方」を表す。より具体的には、Aが真であり(又は存在し)且つBが偽である(又は存在しない)条件と、Aが偽である(又は存在しない)が、Bが真である(又は存在する)条件と、AとBがいずれも真である(又は存在する)条件とのいずれも「A又はB」を満たしている。
【0035】
電池のエネルギー密度を向上させるために、正極材料の作動電位を向上させることは、各研究者らの最優先ポリシーとなっている。通常の三元正極材料の作動電圧を4.4V以上に向上させ、電圧を向上させると、電解液が酸化に耐えず、セルの耐用年数性能が極端に悪くなる。従来の技術では一般的に電解液に膜形成添加剤(例えばテトラビニルシラン)を添加することで、負極膜形成を補強し及び正極酸化により発生した副産物による負極の破壊を減少することができるが、膜形成インピーダンスが大きすぎて、電池の初期インピーダンスを大幅に悪化させる。そのため、従来の電解液添加剤は、改良が必要である。本出願は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、高電圧を有し、且つ高温で良好なサイクル性能と保存性能を有するリチウムイオン二次電池用の電解液及び電池を提供することである。
【0036】
リチウムイオン二次電池用の電解液
本出願の一つの実施の形態では、本出願は、溶媒と、添加剤組成物と、リチウム塩とを含むリチウムイオン二次電池用の電解液を提供し、この電解液は、前記添加剤組成物が式IIと式IIIとの化合物のうちの少なくとも一つ及び式Iの化合物を含み、
【化7】
ここで、R、RとRは、それぞれ独立してH又はFであり、ここで、Rと、Rと、Rとのうちの少なくとも一つは、Fであり、
【化8】
ここで、RとRは、それぞれ独立して水素、ビニル基、アリル基、オキシエチレン基又はオキシアリル基であり、ここで、RとRとのうちの少なくとも一つは、Hではなく、
【化9】
ここで、R、R、RとRは、それぞれ独立してアリル基、ビニル基、アルケニルブチル基のうちの一つ又は複数から選ばれることを特徴とする。
【0037】
それによって、本出願の電解液は、化合物Iと化合物II又はIIIを含み、それによって該当する電池において、負極還元膜形成過程において、化合物II又は化合物IIIが優先的に還元されてスルホン酸基含有ラジカルを形成し、そしてさらに化合物Iと反応し、適度な分子量のポリプロピレンスルホン酸塩-ポリプロピレン共重合体又はポリブチレンスルホン酸塩-ポリプロピレン共重合体を形成し、なおケイ酸塩、スルホン酸塩又はリチウム塩などの無機成分をさらに含み、組成されたSEI膜成分は、高いイオン伝導作用を有するだけでなく、適度な剛性と柔軟性を有し、負極界面をよく保護し、後続の正極酸化により発生した副産物による負極SEI膜の破壊に抵抗することができ、それによって得られた電池が高電圧を有し、且つ高温で良好なサイクル性能と保存性能を有することを確保する。
【0038】
いくつかの実施の形態では、前記式Iの化合物は、
【化10】
式IIの化合物は、
【化11】
式IIIの化合物は、
【化12】
【0039】
それによって、本出願の電解液は、上記構造の化合物Iと化合物II又はIIIを含み、それによって該当する電池はさらに、高電圧を有し、且つ高温で良好なサイクル性能と保存性能を有する。
【0040】
いくつかの実施の形態では、前記式Iの化合物の電解液における含有量がa重量%であり、式IIの化合物又は式IIIの化合物又は両方の混合物の電解液における含有量がb重量%である場合、
0.05≦a/b≦4であり、好ましくは0.05≦a/b≦2であり、さらに好ましくは0.5≦a/b≦1である。
【0041】
それによって、前記割合の化合物Iと化合物II又はIIIを含み、それによって該当する電池はさらに、高電圧を有し、且つ高温で良好なサイクル性能と保存性能を有する。
【0042】
いくつかの実施の形態では、前記式Iの化合物の電解液における含有量がa重量%であり、式IIの化合物又は式IIIの化合物又は両方の混合物の電解液における含有量がb重量%である場合、
0.1≦a+b≦10であり、好ましくは0.1≦a+b≦6である。
【0043】
それによって、前記割合の化合物Iと化合物II又はIIIを含み、それによって該当する電池はさらに、高電圧を有し、且つ高温で良好なサイクル性能と保存性能を有する。
【0044】
いくつかの実施の形態では、前記式IIの化合物又は式IIIの化合物又は両方の混合物の電解液における含有量は、0.06~8重量%であり、好ましくは1~8重量%である。
【0045】
それによって、前記割合の化合物II又はIIIを含み、それによって該当する電池はさらに、高電圧を有し、且つ高温で良好なサイクル性能と保存性能を有する。
【0046】
いくつかの実施の形態では、前記溶媒は、非プロトン性有機溶媒であり、前記非プロトン性有機溶媒は、フルオロと非フルオロ環状と鎖状有機カーボネート、フルオロと非フルオロエーテル類、フルオロと非フルオロ環状エーテル類、フルオロと非フルオロカルボン酸エステル、フルオロと非フルオロ鎖状スルホン類又は環状スルホン類化合物のうちの一つ又は複数から選ばれ、好ましくはフッ素化炭酸エステルとフッ素化カルボン酸エステルとのうちの一つ又は複数である。
【0047】
それによって、前記種類の溶媒を含み、それによって該当する電池はさらに、高電圧を有し、且つ高温で良好なサイクル性能と保存性能を有する。
【0048】
いくつかの実施の形態では、前記溶媒は、さらにフルオロエチレンカーボネート(FEC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、ブチレンカーボネート(BC)、酪酸メチル(MB)、酪酸エチル(EB)、1,4-ブチロラクトン(GBL)、スルホラン(SF)、ジメチルスルホン(MSM)、エチルメチルスルホン(EMS)及びジエチルスルホン(ESE)における一つ又は複数から選択される。
【0049】
いくつかの実施の形態では、前記リチウム塩は、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、ヘキサフルオロヒ酸リチウム(LiAsF)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiTFS)、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiDFOB)、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiBOB)、ジフルオロリン酸リチウム(LiPO)、ジフルオロビス(オキサラト)リン酸リチウム(LiDFOP)及びテトラフルオロ(オキサラト)リン酸リチウム(LiTFOP)における一つ又は複数から選択され、選択的には、LiPF又はLiFSIのうちの一方又は両方である。
【0050】
それによって、前記種類のリチウム塩を含み、それによって該当する電池はさらに、高電圧を有し、且つ高温で良好なサイクル性能と保存性能を有する。
【0051】
いくつかの実施の形態では、電解液において、
前記溶媒は、60~85重量%であり、好ましくは80~88重量%であり、
添加剤組成物は、0.01~20重量%であり、好ましくは0.3~15重量%であり、
リチウム塩は、10~40重量%であり、好ましくは10~15重量%であり、
上記成分の重量の合計は、100重量%であり、各重量%は、電解液の総重量に基づいて計算される。
【0052】
それによって、前記含有量の各成分を含み、それによって該当する電池はさらに、高電圧を有し、且つ高温で良好なサイクル性能と保存性能を有する。
【0053】
いくつかの実施の形態では、前記添加剤組成物は、負極膜形成添加剤、正極膜形成添加剤をさらに含んでもよく、電池のいくつかの性能を改善できる添加剤、例えば電池の過充電性能を改善する添加剤、電池の高温又は低温性能を改善する添加剤、例えばジフルオロリン酸リチウム(LiPO)、フッ素化硫酸リチウム(LiSOF)などをさらに含んでもよい。前記負極膜形成添加剤は、ビニレンカーボネートと、フルオロエチレンカーボネートと、硫酸ビニルとのうちの一つ又は複数である。
【0054】
本出願の第二の態様は、二次電池をさらに提供し、この二次電池は、
本出願の第一の態様に記載の電解液を含むことを特徴とする。
【0055】
それによって、前記電池は、高電圧を有し、且つ高温で良好なサイクル性能と保存性能を有する。
【0056】
また、以下では、図面を適切に参照して本出願の二次電池、電池モジュール、電池パックと電力消費装置について説明する。
【0057】
一般的には、二次電池は、正極極板と、負極極板と、電解質と、セパレータとを含む。電池の充放電中に、活性イオンは、正極極板と負極極板との間で往復して吸蔵と離脱する。電解質は、正極極板と負極極板との間でイオンを伝導する役割を果たす。セパレータは、正極極板と負極極板との間に設置され、主に正負極の短絡を防止する役割を果たすとともに、イオンを通過させることができる。
【0058】
[正極極板]
正極極板は、正極集電体と、正極集電体の少なくとも一つの表面に設置された正極膜層とを含み、前記正極膜層は、本出願の第一の態様の正極活物質を含む。
【0059】
例として、正極集電体は、その自体の厚さ方向において対向する二つの表面を有し、正極膜層は、正極集電体の対向する二つの表面のうちのいずれか一方又は両方に設置される。
【0060】
いくつかの実施の形態では、前記正極集電体は、金属箔シート又は複合集電体を採用してもよい。例えば、金属箔シートとして、アルミニウム箔を採用してもよい。複合集電体は、高分子材料ベース層と、高分子材料ベース層の少なくとも一つの表面上に形成される金属層とを含んでもよい。複合集電体は、金属材料(アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、銀及び銀合金など)を高分子材料基材(例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)などの基材)上に形成することによって形成されてもよい。
【0061】
いくつかの実施の形態では、正極活物質は、当分野において公知の電池用の正極活物質を採用してもよい。例として、正極活物質は、オリビン構造のリチウム含有リン酸塩と、リチウム遷移金属酸化物及びそれぞれの改質化合物とのうちの少なくとも一つの材料を含んでもよい。しかし、本出願は、これらの材料に限定されるものではなく、電池正極活物質として用いることができる他の従来材料を使用してもよい。これらの正極活物質は、単独で一つのみを使用してもよく、二つ以上を組み合わせて使用してもよい。ここで、リチウム遷移金属酸化物の例は、リチウムコバルト酸化物(例えばLiCoO)、リチウムニッケル酸化物(例えばLiNiO)、リチウムマンガン酸化物(例えばLiMnO、LiMn)、リチウムニッケルコバルト酸化物、リチウムマンガンコバルト酸化物、リチウムニッケルマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物(例えばLiNi1/3Co1/3Mn1/3(NCM333と略称されてもよい)、LiNi0.5Co0.2Mn0.3(NCM523と略称されてもよい)、LiNi0.5Co0.25Mn0.25(NCM211と略称されてもよい)、LiNi0.6Co0.2Mn0.2(NCM622と略称されてもよい)、LiNi0.8Co0.1Mn0.1(NCM811と略称されてもよい))、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(例えばLiNi0.85Co0.15Al0.05)及びその改質化合物などのうちの少なくとも一つを含んでもよいが、それらに限らない。オリビン構造のリチウム含有リン酸塩の例は、リン酸鉄リチウム(例えばLiFePO(LFPと略称されてもよい))、リン酸鉄リチウムと炭素との複合材料、リン酸マンガンリチウム(例えばLiMnPO)、リン酸マンガンリチウムと炭素との複合材料、リン酸マンガン鉄リチウム、リン酸マンガン鉄リチウムと炭素との複合材料のうちの少なくとも一つを含んでもよいが、それらに限らない。
【0062】
いくつかの実施の形態では、正極膜層は、さらに選択的に接着剤が含まれる。例として、前記接着剤は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン-プロピレン三元共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン三元共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体及びフッ素含有アクリレート樹脂のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0063】
いくつかの実施の形態では、正極膜層は、さらに選択的に導電剤が含まれる。例として、前記導電剤は、超伝導カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェン及びカーボンナノファイバーのうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0064】
いくつかの実施の形態では、以下の方式で正極極板を製造してもよく、即ち、正極極板を製造するための上記成分、例えば正極活物質、導電剤、接着剤といずれか他の成分を溶媒(例えばN-メチルピロリドン)に分散させ、正極スラリーを形成し、正極スラリーを正極集電体に塗覆し、乾燥、冷間プレスなどの工程を経てた後、正極極板が得られる。
【0065】
[負極極板]
負極極板は、負極集電体と、負極集電体の少なくとも一つの表面上に設置される負極膜層とを含み、前記負極膜層は、負極活物質を含む。
【0066】
例として、負極集電体は、その自体の厚さ方向において対向する二つの表面を有し、負極膜層は、負極集電体の対向する二つの表面のうちのいずれか一方又は両方上に設置される。
【0067】
いくつかの実施の形態では、前記負極集電体は、金属箔シート又は複合集電体を採用してもよい。例えば、金属箔シートとして、銅箔を採用してもよい。複合集電体は、高分子材料ベース層と、高分子材料基材の少なくとも一つの表面上に形成される金属層とを含んでもよい。複合集電体は、金属材料(銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、銀及び銀合金など)を高分子材料基材(例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)などの基材)上に形成することによって形成されてもよい。
【0068】
いくつかの実施の形態では、負極活物質は、当分野において公知の電池用の負極活物質を採用してもよい。例として、負極活物質は、人造黒鉛、天然黒鉛、軟質炭、硬質炭、シリコーン系材料、スズ系材料とチタン酸リチウムなどのうちの少なくとも一つの材料を含んでもよい。前記シリコーン系材料は、シリコーン単体、シリコーン酸化物、シリコーン炭素複合体、シリコーン窒素複合体及びシリコーン合金のうちの少なくとも一つから選ばれてもよい。前記スズ系材料は、スズ単体、スズ酸化物及びスズ合金のうちの少なくとも一つから選ばれてもよい。しかし、本出願は、これらの材料に限定されるものではなく、電池負極活物質として用いることができる他の従来材料を使用してもよい。これらの負極活物質は、単独で一つのみを使用してもよく、二つ以上を組み合わせて使用してもよい。
【0069】
いくつかの実施の形態では、負極膜層は、さらに選択的に接着剤が含まれる。前記接着剤は、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリル酸ナトリウム(PAAS)、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリビニルアルコール(PVA)、アルギン酸ナトリウム(SA)、ポリメタクリル酸(PMAA)及びカルボキシメチルキトサン(CMCS)のうちの少なくとも一つから選ばれてもよい。
【0070】
いくつかの実施の形態では、負極膜層は、さらに選択的に導電剤が含まれる。導電剤は、超伝導カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェン及びカーボンナノファイバーのうちの少なくとも一つから選ばれてもよい。
【0071】
いくつかの実施の形態では、負極膜層は、さらに選択的に他の助剤、例えば増粘剤(例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na))などを含む。
【0072】
いくつかの実施の形態では、以下の方式で負極極板を製造してもよく、即ち、負極極板を製造するための上記成分、例えば負極活物質、導電剤、接着剤といずれか他の成分を溶媒(例えば脱イオン水)に分散させ、負極スラリーを形成し、負極スラリーを負極集電体に塗覆し、乾燥、冷間プレスなどの工程を経てた後、負極極板が得られる。
【0073】
[電解質]
電解質は、正極極板と負極極板との間でイオンを伝導する役割を果たす。
【0074】
いくつかの実施の形態では、前記電解液は、本出願の第一の態様の電解液である。
【0075】
[セパレータ]
いくつかの実施の形態では、二次電池には、セパレータがさらに含まれる。本出願は、セパレータの種類に対して特に限定せず、良好な化学安定性と機械安定性を有する任意の公知の多孔質構造セパレータを選択してもよい。
【0076】
いくつかの実施の形態では、セパレータの材質は、ガラス繊維、不織布、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリビニリデンフルオライドのうちの少なくとも一つから選ばれてもよい。セパレータは、特に制限されず、単層フィルムであってもよく、多層複合フィルムであってもよい。セパレータが多層複合フィルムである場合、各層の材料は、特に制限されず、同じであっても異なってもよい。
【0077】
いくつかの実施の形態では、正極極板、負極極板とセパレータは、捲回プロセス又は積層プロセスによって電極アセンブリを製造してもよい。
【0078】
いくつかの実施の形態では、二次電池は、外装体を含んでもよい。この外装体は、上記電極アセンブリ及び電解質をパッケージングするために用いられてもよい。
【0079】
いくつかの実施の形態では、二次電池の外装体は、硬質ケース、例えば硬質プラスチックケース、アルミニウムケース、鋼製ケースなどであってもよい。二次電池の外装体は、パウチ、例えば袋状パウチであってもよい。パウチの材質は、プラスチックであってもよく、プラスチックとして、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート及びポリブチレンサクシネートなどが挙げられる。
【0080】
本出願は、二次電池の形状に対して特に限定せず、それは、円筒型、四角形又は他の任意の形状であってもよい。例えば、図1は、一例としての四角形構造の二次電池5である。
【0081】
いくつかの実施の形態では、図2を参照すると、外装体は、ケース51とカバープレート53とを含んでもよい。ここで、ケース51は、底板と底板に接続された側板とを含んでもよく、底板と側板とが囲まれて収容キャビティを形成する。ケース51は、収容キャビティに連通する開口を有し、カバープレート53は、前記収容キャビティを密閉するように、前記開口に蓋設されてもよい。正極極板、負極極板とセパレータは、捲回プロセス又は積層プロセスを経て電極アセンブリ52を形成してもよい。電極アセンブリ52は、前記収容キャビティ内にパッケージングされる。電解液は、電極アセンブリ52に浸潤される。二次電池5に含まれる電極アセンブリ52の数は、一つ又は複数であってもよく、当業者は、具体的な実際の需要に応じて選択することができる。
【0082】
いくつかの実施の形態では、二次電池は、電池モジュールとして組み立てられてもよく、電池モジュールに含まれる二次電池の数は、一つ又は複数であってもよく、具体的な数は、当業者が電池モジュールの応用と容量に応じて選択してもよい。
【0083】
図3は、一例としての電池モジュール4である。図3を参照すると、電池モジュール4において、複数の二次電池5は、電池モジュール4の長手方向に沿って順に並べ設置されてもよい。無論、他の任意の方式で配列してもよい。さらに締結具によってこれらの複数の二次電池5を固定してもよい。
【0084】
選択的に、電池モジュール4は、収容空間を有するハウジングをさらに含んでもよく、複数の二次電池5は、この収容空間に収容される。
【0085】
いくつかの実施の形態では、上記電池モジュールは、電池パックとして組み立てられてもよく、電池パックに含まれる電池モジュールの数は、一つ又は複数であってもよく、具体的な数は、当業者が電池パックの応用と容量に応じて選択してもよい。
【0086】
図4図5は、一例としての電池パック1である。図4図5を参照すると、電池パック1には、電池ボックスと、電池ボックスに設置される複数の電池モジュール4とを含んでもよい。電池ボックスは、上部筐体2と下部筐体3とを含み、上部筐体2は、下部筐体3に蓋設可能であり、電池モジュール4を収容するための密閉空間を形成する。複数の電池モジュール4は、任意の方式で電池ボックスに配列されてもよい。
【0087】
また、本出願は、電力消費装置をさらに提供し、前記電力消費装置は、本出願による二次電池、電池モジュール、又は電池パックのうちの少なくとも一つを含む。前記二次電池、電池モジュール、又は電池パックは、前記電力消費装置の電源として使用されてもよく、前記電力消費装置のエネルギー貯蔵ユニットとして使用されてもよい。前記電力消費装置は、移動体機器(例えば携帯電話、ノートパソコンなど)、電動車両(例えば純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、電動自転車、電動スクータ、電動ゴルフカート、電動トラックなど)、電気列車、船舶及び衛星、エネルギー貯蔵システムなどを含んでもよいが、これに限らない。
【0088】
前記電力消費装置として、その使用需要に応じて二次電池、電池モジュール又は電池パックを選択してもよい。
【0089】
図6は、一例としての電力消費装置である。この電力消費装置は、純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、又はプラグインハイブリッド電気自動車などである。この電力消費装置の二次電池の高出力と高エネルギー密度に対する需要を満たすために、電池パック又は電池モジュールを採用してもよい。
【0090】
別の例としての装置は、携帯電話、タブレットパソコン、ノートパソコンなどであってもよい。この装置は、一般的に薄型化が要求され、電源として二次電池を採用してもよい。
【0091】
実施例
本出願によって解決される技術問題、技術案及び有益な効果をより明瞭にするために、以下では、実施例と図面を結び付けながら本出願をさらに詳細に説明する。明らかに、記述された実施例は、ただ本出願の一部の実施例にすぎず、すべての実施例ではない。以下は、少なくとも一つの例示的な実施例の記述は、実際にはただ説明的なものであり、本出願及びその応用のいかなる制限にもならない。本出願における実施例に基づき、当業者が創造的な労力を伴わずに得られたすべての他の実施例は、いずれも本出願の保護範囲に属する。
【0092】
実施例に具体的な技術又は条件が明記されていない場合、当分野内の文献に記述された技術又は条件又は製品明細書に従って行う。使用される試剤又は機器は、製造メーカが明記されていない場合、いずれも市場で購入できる通常製品である。
【0093】
実施例1
1)正極極板の製造
正極活物質Dv50が3.8umの単結晶粒子LiNi0.5Mn0.3Co0.2、導電剤アセチレンブラック、接着剤であるポリビニリデンフルオライド(PVDF)を重量比96:2:2で溶媒N-メチルピロリドン(NMP)に溶解し、十分に攪拌して均一に混合した後に正極スラリーを得、その後正極スラリーを正極集電体上に均一に塗覆し、その後乾燥、冷間プレス、スリットを経て、正極板を得た。
【0094】
2)負極極板の製造
負極活物質黒鉛(BETは、1.2m/gであり、Dv50は、18μmである)、導電剤アセチレンブラック、接着剤であるスチレンブタジエンゴム(SBR)、増粘剤カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)を重量比95:2:2:1で溶媒脱イオン水に溶解して溶媒脱イオン水と均一に混合した後に負極スラリーを製造し、そして負極スラリーを負極集電体銅箔上に均一に塗覆し、乾燥後に負極膜を得、さらに冷間プレス、スリットを経て負極極板を得た。
【0095】
3)セパレータ
一般的なポリプロピレンフィルムをセパレータとして使用した。
【0096】
4)電解液の製造
アルゴン雰囲気のグローブボックス(HO<0.1ppm、O<0.1ppm)において、有機溶媒EC/EMCを体積比3/7で均一に混合し、1M LiPF6リチウム塩を加えて有機溶媒に溶解し、電解液の重量に対する0.5重量%のテトラビニルシラン、1重量%の2-フルオロ-1,3-プロパンスルトンを加え、均一に攪拌し、該当する電解液を得た。
【0097】
5)電池の製造
正極板、セパレータ、負極板を順番に積層し、セパレータを正、負極板の間で隔離の役割を果たすようにし、そして捲回して電極アセンブリを得、電極アセンブリを電池ケースに置き、乾燥後に電解液を注入し、さらに化成、静置などのプロセスを経てリチウムイオン電池を製造した。
【0098】
実施例2~19の二次電池と比較例1~4の二次電池は、実施例1の二次電池の製造方法と似ているが、電解液における添加剤、溶媒、正極活物質の組成とパラメータを調整しており、詳細は、表1のとおりである。
【0099】
【表1】
【0100】
二、電池性能テスト
1、リチウムイオン電池の25℃サイクル性能テスト
25℃で、リチウムイオン電池を0.5Cの定電流で4.45Vまで充電し、そして4.45Vの定電圧で電流が0.05C未満になるまで充電し、次いでリチウムイオン電池を0.5Cの定電流で2.8Vまで放電し、初回放電容量C0を得、第1サイクルとする。このように充電と放電を繰り返し、リチウムイオン電池の放電容量がC0の80%に達するサイクル回数を計算した。
【0101】
2、リチウムイオン電池の45℃サイクル性能テスト
45℃で、リチウムイオン電池を1Cの定電流で4.45Vまで充電し、そして4.45Vの定電圧で電流が0.05C未満になるまで充電し、そしてリチウムイオン電池を1Cの定電流で2.8Vまで放電し、初回放電容量C0を得、第1サイクルとする。このように充電と放電を繰り返し、リチウムイオン電池の放電容量がC0の80%に達するサイクル回数を計算した。
【0102】
3.リチウムイオン電池の60℃保存性能テスト
25℃で、リチウムイオン電池を0.5Cの定電流で4.45Vまで充電し、そして4.45Vの定電圧で電流が0.05C未満になるまで充電し、そしてセルを60℃で保存し、10日ごとに取り出して満充電してから保存し、合計100日保存し、対応する残存可逆容量を記録した。
【0103】
三、各実施例、比較例テスト結果
上記方法に従って各実施例と比較例の電池をそれぞれ製造し、各性能パラメータを測定した結果は、次の表2のとおりである。
【0104】
【表2】
【0105】
表1と表2から分かるように、本発明の電池は、電解液が化合物Iと化合物II又はIIIを含み、それによって電池の高温サイクル寿命と高温保存性能を向上させる。
【0106】
説明すべきこととして、本出願は、上記実施の形態に限らない。上記実施の形態は、例示であり、本出願の技術案の範囲内に技術的思想と実質的に同じ構成を有し、同じ作用効果を奏する実施の形態は、いずれも本出願の技術範囲内に含まれる。なお、本出願の趣旨を逸脱しない範囲内で、実施の形態に対して当業者が想到できる様々な変形を加え、実施の形態における一部の構成要素を組み合わせて構成された他の方式も、本出願の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0107】
1電池パック、2上部筐体、3下部筐体、4電池モジュール、5二次電池、51ケース、52電極アセンブリ、53トップカバーアセンブリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-01-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒と、添加剤組成物と、リチウム塩とを含むリチウムイオン二次電池用の電解液であって、前記添加剤組成物は、式IIと式IIIとの化合物のうちの少なくとも一つ及び式Iの化合物を含み、
【化1】
ここで、R、RとRは、それぞれ独立してH又はFであり、ここで、Rと、Rと、Rとのうちの少なくとも一つは、Fであり、
【化2】
ここで、RとRは、それぞれ独立して水素、ビニル基、アリル基、オキシエチレン基又はオキシアリル基であり、ここで、RとRとのうちの少なくとも一つは、Hではなく、
【化3】
ここで、R、R、RとRは、それぞれ独立してアリル基、ビニル基、アルケニルブチル基のうちの一つ又は複数から選ばれる、ことを特徴とするリチウムイオン二次電池用の電解液。
【請求項2】
前記式Iの化合物は、
【化4】
式IIの化合物は、
【化5】
式IIIの化合物は、
【化6】
ことを特徴とする請求項1に記載の電解液。
【請求項3】
前記式Iの化合物の電解液における含有量がa重量%であり、式IIの化合物又は式IIIの化合物又は両方の混合物の電解液における含有量がb重量%である場合、
0.05≦a/b≦4である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電解液。
【請求項4】
前記式Iの化合物の電解液における含有量がa重量%であり、式IIの化合物又は式IIIの化合物又は両方の混合物の電解液における含有量がb重量%である場合、
0.1≦a+b≦10である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電解液。
【請求項5】
前記式IIの化合物又は式IIIの化合物又は両方の混合物の電解液における含有量は、0.06~8重量%である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電解液。
【請求項6】
前記溶媒は、非プロトン性有機溶媒であり、前記非プロトン性有機溶媒は、フルオロと非フルオロ環状と鎖状有機カーボネート、フルオロと非フルオロエーテル類、フルオロと非フルオロ環状エーテル類、フルオロと非フルオロカルボン酸エステル、フルオロと非フルオロ鎖状スルホン類又は環状スルホン類化合物のうちの一つ又は複数から選ばれる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電解液。
【請求項7】
前記リチウム塩は、ヘキサフルオロリン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、過塩素酸リチウム、ヘキサフルオロヒ酸リチウム、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウム、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウム、ジフルオロビス(オキサラト)リン酸リチウム及びテトラフルオロ(オキサラト)リン酸リチウムにおける一つ又は複数から選択され、選択的には、ヘキサフルオロリン酸リチウム又はリチウムビス(フルオロスルホニル)イミドのうちの一方又は両方である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電解液。
【請求項8】
電解液において、
前記溶媒は、60~85重量%であり、
添加剤組成物は、0.01~20重量%であり、
リチウム塩は、10~40重量%であり、
上記成分の重量の合計は、100重量%であり、各重量%は、電解液の総重量に基づいて計算される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電解液。
【請求項9】
請求項1に記載の電解液を含む、ことを特徴とする二次電池。
【請求項10】
請求項9に記載の二次電池を含む、ことを特徴とする電池モジュール。
【請求項11】
請求項10に記載の電池モジュールを含む、ことを特徴とする電池パック。
【請求項12】
請求項9に記載の二次電池、請求項10に記載の電池モジュール又は請求項11に記載の電池パックから選ばれる少なくとも一つを含む、ことを特徴とする電力消費装置。
【国際調査報告】