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特表2024-526453バイオニック風化酵素複合ガラス薄化剤を利用して超薄フレキシブルガラスを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-18
(54)【発明の名称】バイオニック風化酵素複合ガラス薄化剤を利用して超薄フレキシブルガラスを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C03C 15/00 20060101AFI20240710BHJP
   C03C 3/06 20060101ALI20240710BHJP
   C03C 3/078 20060101ALI20240710BHJP
   C03C 3/085 20060101ALI20240710BHJP
   C03C 3/089 20060101ALI20240710BHJP
   C03C 3/087 20060101ALI20240710BHJP
   C03C 3/083 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
C03C15/00 B
C03C15/00 Z
C03C3/06
C03C3/078
C03C3/085
C03C3/089
C03C3/087
C03C3/083
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504166
(86)(22)【出願日】2023-02-16
(85)【翻訳文提出日】2024-01-22
(86)【国際出願番号】 CN2023076363
(87)【国際公開番号】W WO2023207263
(87)【国際公開日】2023-11-02
(31)【優先権主張番号】202210466668.X
(32)【優先日】2022-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524029253
【氏名又は名称】北京▲倣▼生界面科学未来▲技▼▲術▼研究院
【氏名又は名称原語表記】BEIJING INSTITUTE OF FUTURE SCIENCE AND TECHNOLOGY ON BIOINSPIRED INTERFACE
【住所又は居所原語表記】ROOM 302, 3RD FLOOR, BUILDING 2, YARD 9, JIAOGEZHUANG STREET, NANFAXIN TOWN, SHUNYI DISTRICT, BEIJING 101316, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】江 雷
(72)【発明者】
【氏名】▲ハオ▼ ▲徳▼昭
(72)【発明者】
【氏名】田 野
【テーマコード(参考)】
4G059
4G062
【Fターム(参考)】
4G059AA08
4G059AA20
4G059AC03
4G059BB04
4G059BB12
4G062AA18
4G062BB01
4G062DA06
4G062DA07
4G062DA08
4G062DB01
4G062DC01
4G062DD01
4G062DE01
4G062DF01
4G062EA01
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4G062ED01
4G062ED02
4G062ED03
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4G062EE03
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4G062EF01
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4G062FF01
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4G062FH01
4G062FJ01
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4G062GB01
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4G062KK01
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4G062KK07
4G062KK10
4G062MM27
4G062MM40
4G062NN40
(57)【要約】
本発明は、バイオニック風化酵素複合ガラス薄化剤を利用した超薄フレキシブルガラスの製造方法を提供し、自然界で植物がバイオニック風化酵素を分泌し岩石を腐食する原理を学習・模倣し、人工的にバイオニック風化酵素を抽出・合成し、これを利用しガラスを均一に溶解し、一定厚さ時に取り出し洗浄し、薄くなったガラスフィルムを得る。バイオニック風化酵素複合ガラス薄化剤は、毒性が小さく、安全であり、ガラスを均一に連続的に溶解でき、表面の粗面化を招くことなく均一に連続的に薄化でき、薄化時間の制御により一連の厚さの超薄ガラスが得られる。後続の洗浄が簡単で、歩留まりが高く、厚さ20μmの超薄フレキシブルガラスは、最小曲げ半径がわずか0.35mmで、且つその表面粗さRaが10nm未満であり、純ガラスの場合、可視光領域の光透過率が90%を超え、硬度が原料ガラスと同じである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオニック風化酵素植物原料を溶解し、pH調整し、安定性を増加させた後、煮沸し、保温した後、濾過して、第1溶液を得、前記第1溶液をpH調整し、沈殿した後、濾過して、第1沈殿物を得、その後、前記第1沈殿物をpH調整し、沈殿した後、濾過して、第2沈殿物を得、前記第2沈殿物を乾燥して、バイオニック風化酵素固体を得る、バイオニック風化酵素の抽出ステップS1と、
1重量部の前記バイオニック風化酵素固体に、7~20重量部の水、0.1~2重量部の安定化剤、0.1~1重量部のpH調整剤C及び0.1~1重量部の助剤を加え、均一に撹拌し、バイオニック風化酵素ガラス薄化剤溶液を得る、バイオニック風化酵素ガラス薄化剤溶液の調製ステップS2と、
薄化するガラスを、前記バイオニック風化酵素ガラス薄化剤溶液を入れた容器に完全に浸漬し、恒温60~120℃で10~50h振動させた後に取り出し、水できれいに洗浄し、薄化後のガラスを得る、ガラスの薄化ステップS3と、を含むバイオニック風化酵素複合ガラス薄化剤を利用して超薄フレキシブルガラスを製造する方法。
【請求項2】
前記薄化後のガラスの厚さが薄化目標に達したか否かを判断し、達した場合、超薄フレキシブルガラスの製造が完了し、達していない場合、ステップS3の容器内の前記バイオニック風化酵素ガラス薄化剤溶液を未使用の前記バイオニック風化酵素ガラス薄化剤溶液に交換した後、ステップS3を繰り返す、繰り返し薄化ステップS4をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のバイオニック風化酵素複合ガラス薄化剤を利用して超薄フレキシブルガラスを製造する方法。
【請求項3】
ステップS3における前記薄化するガラスは、SiO質量百分率>65%、CaO質量百分率<12%、MgO質量百分率<8%、Fe質量百分率<5%のケイ酸塩ガラスであり、
前記ケイ酸塩ガラスは、ソーダライムガラス、白板ガラス、石英ガラス、高ホウケイ酸ガラス、高アルミノケイ酸ガラスのいずれかであり、
前記バイオニック風化酵素ガラス薄化剤溶液の使用温度は25~120℃であることを特徴とする請求項1に記載のバイオニック風化酵素複合ガラス薄化剤を利用して超薄フレキシブルガラスを製造する方法。
【請求項4】
ステップS1において、前記バイオニック風化酵素植物原料は、柿蒂、甘草、五倍子、オウギ、カテキュ、人参果根、松枝、稲根、地衣、茶、丹参、白果葉、ライチ根、キウイ根、バラ根及び木瓜根のいずれか1種又は複数種であることを特徴とする請求項1に記載のバイオニック風化酵素複合ガラス薄化剤を利用して超薄フレキシブルガラスを製造する方法。
【請求項5】
ステップS2において、前記pH調整剤Cは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、アンモニア水、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及びトリエチルアミンのいずれか1種又は複数種であり、
アンモニア水の濃度は、20~30%であることを特徴とする請求項1に記載のバイオニック風化酵素複合ガラス薄化剤を利用して超薄フレキシブルガラスを製造する方法。
【請求項6】
ステップS2において、前記助剤は、クエン酸、クエン酸塩、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸塩、酒石酸、酒石酸塩、フェロシアン化カリウム、フェロシアン化カリウムナトリウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、リン酸、リン酸塩、トリポリリン酸、トリポリリン酸塩、ヘキサメタリン酸及びヘキサメタリン酸塩のいずれか1種又は複数種であることを特徴とする請求項1に記載のバイオニック風化酵素複合ガラス薄化剤を利用して超薄フレキシブルガラスを製造する方法。
【請求項7】
ステップS1は、
1~5重量部の前記バイオニック風化酵素植物原料を、20重量部の水-エタノール混合溶媒に加え、さらに0.1~3重量部のpH調整剤A、0.1~5重量部の安定化剤を加え、均一に撹拌した後、煮沸するまで加熱し、その後、100~120℃を維持して6~48時間恒温し、植物残渣を濾過して前記第1溶液を得る、溶解ステップS11と、
前記第1溶液を室温まで冷却した後、0.2~5重量部の沈殿剤A及び0.1~3重量部のpH調整剤Bを加え、室温で2~12時間静置し、その後濾過を行い、前記第1沈殿物を得る、1回目の濾過ステップS12、
1重量部の前記第1沈殿物を6~20重量部の水で溶解し、60~100℃に加熱した後、0.1~2重量部の沈殿剤Bを加え、2~12h静置して冷却した後、濾過し、前記第2沈殿物を得、前記第2沈殿物を乾燥した後、前記バイオニック風化酵素固体を得る、2回目の濾過ステップS13と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のバイオニック風化酵素複合ガラス薄化剤を利用して超薄フレキシブルガラスを製造する方法。
【請求項8】
ステップS11、S2における前記安定化剤は、安息香酸、安息香酸塩、ソルビン酸、ソルビン酸塩、二酢酸、二酢酸塩、亜二チオン酸、亜二チオン酸塩、ハイドロキノン、tert-ブチルハイドロキノン、カテコール、tert-ブチルカテコール、ピロガロール、没食子酸、没食子酸塩、没食子酸エステル、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、アスコルビン酸エステル、エリソルビン酸、エリソルビン酸塩及びエリソルビン酸エステルのいずれか1種又は複数種であることを特徴とする請求項1、7のいずれか一項に記載のバイオニック風化酵素複合ガラス薄化剤を利用して超薄フレキシブルガラスを製造する方法。
【請求項9】
ステップS11において、水-エタノール混合溶媒は、質量百分率で1:0.1~0.7の溶液であり、
ステップS11において、前記pH調整剤Aは、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア水、石灰、エタノールアミン、クエン酸、クエン酸塩、酒石酸及び酒石酸塩のいずれか1種又は複数種であり、
前記アンモニア水の濃度は、20~30%であり、
ステップS12において、前記pH調整剤Bは、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、酢酸、酢酸塩、クエン酸、クエン酸塩、リン酸、リン酸塩及びホウ砂のいずれか1種又は複数種であることを特徴とする請求項7に記載のバイオニック風化酵素複合ガラス薄化剤を利用して超薄フレキシブルガラスを製造する方法。
【請求項10】
ステップS12において、前記沈殿剤Aは、酒石酸、酒石酸塩、リンゴ酸、リンゴ酸塩、フタル酸、フタル酸塩、クエン酸、クエン酸塩、リン酸、リン酸塩、ポリリン酸、ポリリン酸塩、乳酸、乳酸塩、グルコン酸、グルコン酸塩、シュウ酸及びシュウ酸塩のいずれか1種又は複数種であり、
ステップS13において、前記沈殿剤Bは、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロピルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド及びテトラブチルアンモニウムヒドロキシドのいずれか1種又は複数種であり、
テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド及びテトラブチルアンモニウムヒドロキシドは、いずれも濃度40%の水溶液であることを特徴とする請求項7に記載のバイオニック風化酵素複合ガラス薄化剤を利用して超薄フレキシブルガラスを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスの技術分野に関し、詳しくは、バイオニック風化酵素複合ガラス薄化剤を利用して超薄フレキシブルガラスを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスは良好な光透過率、耐傷性、耐食性を有するため、現在の超薄ガラスは主に電子表示デバイスの最外層保護に用いられる。しかしながら、従来の溶融延伸方法及びフッ化物エッチング方法は、いずれも十分に薄く且つ透明なガラスを高い歩留まりで生産することができず、フレキシブルスクリーンの需要を満たすことができないため、現在のフレキシブルスクリーンは、主に硬度がガラスよりはるかに劣るが、価格が極めて高い透明ポリイミドフィルムを保護層として使用する。
【0003】
超薄フレキシブルガラスフィルムは、通常、溶融ガラス延伸及びフッ化物エッチングにより製造される。プロセスにより、溶融延伸法で製造された超薄ガラスの厚さは通常200μm以上であり、フッ化物を用いて化学的に薄化する必要がある。しかし、フッ化物は毒性が大きく、且つ薄化においてガラス表面の粗面化を引き起こしやすいため、複雑な洗浄プロセスが必要であり、且つ洗浄及び後続の強化処理においてガラスの破砕損傷を引き起こしやすい。
【0004】
ところで従来のアルカリ性ガラス薄化剤は、強アルカリ性溶液によってシリカを腐食し、工業的な応用が困難であり、理論速度及び平坦度が悪い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来のフッ化物法でガラスを薄化するプロセスにおいて、毒性が大きく、腐食性が強く、繰り返してエッチング/洗浄する必要があり、歩留まりが低いなどの問題を解決するために、バイオニック風化酵素複合ガラス薄化剤を利用して超薄フレキシブルガラスを製造する方法を提供し、自然界における植物がバイオニック風化酵素を分泌して岩石を腐食する原理を学習して模倣し、人工的にバイオニック風化酵素を抽出して合成し、バイオニック風化酵素を利用してガラスを溶解することにより、ガラスを均一に溶解させて薄い超薄フレキシブルガラスを得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
バイオニック風化酵素植物原料を溶解し、pH調整し、安定性を増加させた後、煮沸し、保温した後、濾過して、第1溶液を得、第1溶液をpH調整し、沈殿した後、濾過して、第1沈殿物を得、その後、第1沈殿物をpH調整し、沈殿した後、濾過して、第2沈殿物を得、第2沈殿物を乾燥して、バイオニック風化酵素固体を得る、バイオニック風化酵素の抽出ステップS1と、
1重量部のバイオニック風化酵素固体に、7~20重量部の水、0.1~2重量部の安定化剤、0.1~1重量部のpH調整剤C及び0.1~1重量部の助剤を加え、均一に撹拌し、バイオニック風化酵素ガラス薄化剤溶液を得る、バイオニック風化酵素ガラス薄化剤溶液の調製ステップS2と、
薄化するガラスを、バイオニック風化酵素ガラス薄化剤溶液を入れた容器に完全に浸漬し、恒温60~120℃で10~50h振動させた後に取り出し、水できれいに洗浄し、薄化後のガラスを得る、ガラスの薄化ステップS3と、を含むバイオニック風化酵素複合ガラス薄化剤を利用して超薄フレキシブルガラスを製造する方法を提供する。
【0007】
本発明に記載のバイオニック風化酵素複合ガラス薄化剤を利用して超薄フレキシブルガラスを製造する方法は、好ましい形態として、
薄化後のガラスの厚さが薄化目標に達したか否かを判断し、達した場合、超薄フレキシブルガラスの製造が完了し、達していない場合、ステップS3の容器内のバイオニック風化酵素ガラス薄化剤溶液を未使用のバイオニック風化酵素ガラス薄化剤溶液に交換した後、ステップS3を繰り返す、繰り返し薄化ステップS4をさらに含む。
【0008】
本発明に記載のバイオニック風化酵素複合ガラス薄化剤を利用して超薄フレキシブルガラスを製造する方法は、好ましい形態として、ステップS3における薄化するガラスは、SiO質量百分率>65%、CaO質量百分率<12%、MgO質量百分率<8%、Fe質量百分率<5%のケイ酸塩ガラスであり、
ケイ酸塩ガラスは、ソーダライムガラス、白板ガラス、石英ガラス、高ホウケイ酸ガラス、高アルミノケイ酸ガラスのいずれかであり、
バイオニック風化酵素ガラス薄化剤溶液の使用温度は25~120℃である。
【0009】
本発明に記載のバイオニック風化酵素複合ガラス薄化剤を利用して超薄フレキシブルガラスを製造する方法は、好ましい形態として、ステップS1において、バイオニック風化酵素植物原料は、柿蒂、甘草、五倍子、オウギ、カテキュ、人参果根、松枝、稲根、地衣、茶、丹参、白果葉、ライチ根、キウイ根、バラ根及び木瓜根のいずれか1種又は複数種である。
【0010】
本発明に記載のバイオニック風化酵素複合ガラス薄化剤を利用して超薄フレキシブルガラスを製造する方法は、好ましい形態として、ステップS2において、pH調整剤Cは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、アンモニア水、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及びトリエチルアミンのいずれか1種又は複数種であり、
アンモニア水の濃度は、20~30%である。
【0011】
本発明に記載のバイオニック風化酵素複合ガラス薄化剤を利用して超薄フレキシブルガラスを製造する方法は、好ましい形態として、ステップS2において、助剤は、クエン酸、クエン酸塩、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸塩、酒石酸、酒石酸塩、フェロシアン化カリウム、フェロシアン化カリウムナトリウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、リン酸、リン酸塩、トリポリリン酸、トリポリリン酸塩、ヘキサメタリン酸及びヘキサメタリン酸塩のいずれか1種又は複数種である。
【0012】
本発明に記載のバイオニック風化酵素複合ガラス薄化剤を利用して超薄フレキシブルガラスを製造する方法は、好ましい形態として、ステップS1は、
1~5重量部のバイオニック風化酵素植物原料を、20重量部の水-エタノール混合溶媒に加え、さらに0.1~3重量部のpH調整剤A、0.1~5重量部の安定化剤を加え、均一に撹拌した後、煮沸するまで加熱し、その後、100~120℃を維持して6~48時間恒温し、植物残渣を濾過して第1溶液を得る、溶解ステップS11と、
溶液の第1溶液を室温まで冷却した後、0.2~5重量部の沈殿剤A及び0.1~3重量部のpH調整剤Bを加え、室温で2~12時間静置し、その後濾過を行い、第1沈殿物を得る、1回目の濾過ステップS12、
1重量部の第1沈殿物を6~20重量部の水で溶解し、60~100℃に加熱した後、0.1~2重量部の沈殿剤Bを加え、2~12h静置して冷却した後、濾過し、第2沈殿物を得、第2沈殿物を乾燥した後、バイオニック風化酵素固体を得る、2回目の濾過ステップS13と、を含む。
【0013】
本発明に記載のバイオニック風化酵素複合ガラス薄化剤を利用して超薄フレキシブルガラスを製造する方法は、好ましい形態として、ステップS11、S2における安定化剤は、安息香酸、安息香酸塩、ソルビン酸、ソルビン酸塩、二酢酸、二酢酸塩、亜二チオン酸、亜二チオン酸塩、ハイドロキノン、tert-ブチルハイドロキノン、カテコール、tert-ブチルカテコール、ピロガロール、没食子酸、没食子酸塩、没食子酸エステル、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、アスコルビン酸エステル、エリソルビン酸、エリソルビン酸塩及びエリソルビン酸エステルのいずれか1種又は複数種である。
【0014】
本発明に記載のバイオニック風化酵素複合ガラス薄化剤を利用して超薄フレキシブルガラスを製造する方法は、好ましい形態として、ステップS11において、水-エタノール混合溶媒は、質量百分率で1:0.1~0.7の溶液であり、
ステップS11において、pH調整剤Aは、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア水、石灰、エタノールアミン、クエン酸、クエン酸塩、酒石酸及び酒石酸塩のいずれか1種又は複数種であり、
アンモニア水の濃度は、20~30%であり、
ステップS12において、pH調整剤Bは、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、酢酸、酢酸塩、クエン酸、クエン酸塩、リン酸、リン酸塩及びホウ砂のいずれか1種又は複数種である。
【0015】
本発明に記載のバイオニック風化酵素複合ガラス薄化剤を利用して超薄フレキシブルガラスを製造する方法は、好ましい形態として、ステップS12において、沈殿剤Aは、酒石酸、酒石酸塩、リンゴ酸、リンゴ酸塩、フタル酸、フタル酸塩、クエン酸、クエン酸塩、リン酸、リン酸塩、ポリリン酸、ポリリン酸塩、乳酸、乳酸塩、グルコン酸、グルコン酸塩、シュウ酸及びシュウ酸塩のいずれか1種又は複数種であり、
ステップS13において、沈殿剤Bは、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロピルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド及びテトラブチルアンモニウムヒドロキシドのいずれか1種又は複数種であり、
テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド及びテトラブチルアンモニウムヒドロキシドは、いずれも濃度40%の水溶液である。
【0016】
本発明の技術的解決手段は、バイオニック風化酵素を利用してガラスを均一に溶解し、一定の厚さが残った時に取り出して洗浄し、薄くなったガラスフィルムを得る。ガラスは、薄化過程において、表面が均一に薄化されることを保証することができ、得られた超薄フレキシブルガラスの表面が滑らかであるとともに、そのフレキシブル性がフレキシブルディスプレイの要求を満たすことができる。
【0017】
超薄フレキシブルガラスフィルムは、通常、溶融ガラス延伸及びフッ化物エッチングにより製造される。プロセスにより、溶融延伸法により製造された超薄ガラスの厚さは通常200μm以上であり、フッ化物を用いて続けて化学的に薄化する必要がある。しかし、フッ化物は毒性が大きく、且つ薄化中においてガラス表面の粗面化を引き起こしやすいため、複雑な洗浄プロセスが必要であり、且つ洗浄及び後続の強化処理においてガラスの破砕損傷を引き起こしやすい。しかし、本発明において、バイオニック風化酵素ガラス薄化剤を使用してガラスを均一に連続的に薄化することができるため、薄化時間を制御すれば、一連の厚さの超薄ガラスを得ることができ、後続の洗浄が簡単で、歩留まりが高い。なかでも、厚さ20μmの超薄フレキシブルガラスは、最小曲げ半径が0.35mmのみであることを実現でき、且つその表面粗さRaが10nm未満であり、純ガラスの場合、可視光領域の光透過率が90%を超え、硬度が原料ガラスと同じである。
【0018】
本発明は、従来のフッ化物法でガラスを薄化するプロセスにおいて、毒性が大きく、腐食性が強く、エッチング/洗浄を繰り返す必要があり、歩留まりが低いなどの問題に対して、バイオニック風化酵素複合ガラス薄化剤を用いてガラスの薄化を実現した。従来技術に比べて、本技術はエッチング/洗浄を繰り返す過程を避け、静置して浸漬して薄化することができ、中間の撹拌と揺動過程を避け、ガラスが壊れにくく、ガラスの薄化過程における歩留まりを大幅に向上させることができる。同時に、使用されるバイオニック風化酵素は毒性が低く、洗浄が簡単で、超薄ガラスの生産歩留まりが高く、一度に所定の厚さまで薄化することができる。
【0019】
従来のアルカリ性ガラス薄化剤は強アルカリ性溶液によってシリカを腐食し、工業的な応用が困難であり、理論速度がバイオニック風化酵素ガラス薄化剤の30%未満であり、且つ平坦度がより悪い。
【0020】
バイオニック風化酵素複合ガラス薄化剤を利用して超薄フレキシブルガラスを製造する方法は以下の通りである。
【0021】
[1]バイオニック風化酵素の抽出
バイオニック風化酵素植物原料1-5部を20部の水-エタノール混合溶媒(1:0.1~0.7)に加え、さらにpH調整剤A 0.1~3部、安定化剤0.1~5部を加え、溶液を煮沸した後、100-120℃で6-48時間恒温し、残りの植物残渣を濾過する。
溶液を室温まで冷却し、溶液に0.2-5部の沈殿剤A及び0.1-3部のpH調整剤Bを加え、室温で2-12時間静置し、濾過する。
濾過後の固体を水で質量百分率1:6-20で溶解し、60-100℃に加熱した後、0.1-2部の沈殿剤Bを加え、2-12h静置して冷却し、濾過し、固体を乾燥させた後、バイオニック風化酵素固体を得る。
【0022】
[2]バイオニック風化酵素ガラス薄化剤溶液
1部のバイオニック風化酵素の固体に、7-20部の水、0.1-2部の安定化剤、0.1-1部のpH調整剤C、0.1-1部の助剤を加え、バイオニック風化酵素ガラス薄化剤溶液を得る。
【0023】
[3]ガラス薄化プロセス
薄化するガラスを完全にバイオニック風化酵素薄化剤溶液に浸漬し、恒温60-120℃で10-50h振動させ(ガラスの厚さの薄化量に関係する)、ガラスを一定の厚さまで薄化した後に取り出し、水できれいに洗浄する。
【0024】
厚いガラス原料については、何度も薄化する必要がある。即ち、ステップ1で一定の厚さまで薄化した後に取り出し、新鮮なガラス薄化剤溶液に入れて引き続き薄化する。
【0025】
バイオニック風化酵素の植物原料は、柿蒂、甘草、五倍子、オウギ、カテキュ、人参果根、松枝、稲根、地衣、茶、丹参、白果葉、ライチ根、キウイ根、バラ根及び木瓜根のうちの1種又は複数種を含む。
【0026】
バイオニック風化酵素複合ガラス薄化剤は、pH調整剤C、バイオニック風化酵素、安定化剤、助剤、水からなる。
【0027】
バイオニック風化酵素複合ガラス薄化剤の使用温度は、室温~溶液沸点(25-120℃)である。
【0028】
薄化可能なガラスタイプは、ソーダライムガラス、白板ガラス、石英ガラス、高ホウケイ酸ガラス、高アルミノケイ酸ガラスなどのシリカを主成分とするケイ酸塩ガラスであり、ガラス中のSiO2含有量>65%、CaO<12%、MgO<8%、Fe2O3<5%である。
【0029】
pH調整剤Aは、炭酸水素ナトリウム/カリウム、炭酸ナトリウム/カリウム、アンモニア水、石灰、エタノールアミン、クエン酸及びその塩、酒石酸及びその塩のうちの1種又は混合物を含む。
【0030】
pH調整剤Bは、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、酢酸及びその塩、クエン酸及びその塩、リン酸及びその塩、ホウ砂のうちの1種又は混合物を含む。
【0031】
pH調整剤Cは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、アンモニア水、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミンのうちの1種又は混合物を含む。
【0032】
安定化剤は、安息香酸及びその塩、ソルビン酸及びその塩、二酢酸及びその塩、亜二チオン酸及びその塩、ハイドロキノン、tert-ブチルハイドロキノン、カテコール、tert-ブチルカテコール、ピロガロール、没食子酸及びその塩とエステル、(イソ)アスコルビン酸及びその塩とエステルのうちの1種又は混合物を含む。
【0033】
沈殿剤Aは、酒石酸及びその塩、リンゴ酸及びその塩、フタル酸及びその塩、クエン酸及びその塩、リン酸及びその塩、ポリリン酸及びその塩、乳酸及びその塩、グルコン酸及びその塩、シュウ酸及びその塩のうちの1種又は混合物を含む。
【0034】
沈殿剤Bは、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロピルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドのうちの1種又は混合物を含む。
【0035】
ガラス薄化剤における助剤は、クエン酸及びその塩、エチレンジアミン四酢酸及びその塩、酒石酸及びその塩、フェロシアン化カリウム/ナトリウム、硫化ナトリウム/カリウム、リン酸及びその塩、トリポリリン酸及びその塩、ヘキサメタリン酸及びその塩のうちの1種又は混合物を含む。
【0036】
本発明は以下の利点を有する。
(1)従来技術において、超薄フレキシブルガラスフィルムは、通常、溶融ガラス延伸及びフッ化物エッチングを用いて製造されるが、プロセスにより、溶融延伸法により製造される超薄ガラスの厚さは、通常、200μm以上であり、フッ化物を用いて化学的に薄化する必要があり、フッ化物腐食性が強く、毒性が大きい。本技術において使用されるバイオニック風化酵素複合ガラス薄化剤は、バイオニック風化酵素を採用し、毒性が小さく、使用中により安全である。
(2)従来技術におけるフッ化物による薄化では、ガラス表面の粗面化を招きやすいため、複雑な洗浄プロセスが必要であり、洗浄及び後続の強化処理では、ガラスの破砕損傷を招きやすく、連続的に薄化することもできない。しかし、本発明において、バイオニック風化酵素ガラス薄化剤を使用すると、ガラスを均一に連続的に溶解することができ、表面の粗面化を招くことがないため、ガラスを均一に連続的に薄化することができ、薄化時間を制御すれば、一連の厚さの超薄ガラスを得ることができ、後続の洗浄が簡単で、歩留まりが高い。なかでも、厚さ20μmの超薄フレキシブルガラスは、最小曲げ半径が0.35mmのみであることを実現でき、且つその表面粗さRaが10nm未満であり、純ガラスの場合、可視光領域の光透過率が90%を超え、硬度が原料ガラスと同じである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】バイオニック風化酵素複合ガラス薄化剤を利用して超薄フレキシブルガラスを製造する方法のフローチャートである。
図2】バイオニック風化酵素複合ガラス薄化剤を利用して超薄フレキシブルガラスを製造する方法のステップS1のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術案を明確且つ完全に説明し、明らかに、説明された実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。
【0039】
実施例1
図1に示すように、バイオニック風化酵素複合ガラス薄化剤を利用して超薄フレキシブルガラスを製造する方法は、以下のステップを含む。
【0040】
S1、バイオニック風化酵素の抽出ステップ:バイオニック風化酵素植物原料を溶解し、pH調整し、安定性を増加させた後、煮沸し、保温した後、濾過して、第1溶液を得、第1溶液をpH調整し、沈殿した後、濾過して、第1沈殿物を得、その後、第1沈殿物をpH調整し、沈殿した後、濾過して、第2沈殿物を得、第2沈殿物を乾燥して、バイオニック風化酵素固体を得る。
【0041】
バイオニック風化酵素植物原料は、柿蒂、甘草、五倍子、オウギ、カテキュ、人参果根、松枝、稲根、地衣、茶、丹参、白果葉、ライチ根、キウイ根、バラ根及び木瓜根のいずれか1種又は複数種である。
【0042】
図2に示すように、ステップS1は以下のステップを含む。
【0043】
S11、溶解:1~5重量部のバイオニック風化酵素植物原料を、20重量部の水-エタノール混合溶媒に加え、さらに0.1~3重量部のpH調整剤A、0.1~5重量部の安定化剤を加え、均一に撹拌した後、煮沸するまで加熱し、その後、100~120℃を維持して6~48時間恒温し、植物残渣を濾過して第1溶液を得る。
【0044】
安定化剤は、安息香酸、安息香酸塩、ソルビン酸、ソルビン酸塩、二酢酸、二酢酸塩、亜二チオン酸、亜二チオン酸塩、ハイドロキノン、tert-ブチルハイドロキノン、カテコール、tert-ブチルカテコール、ピロガロール、没食子酸、没食子酸塩、没食子酸エステル、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、アスコルビン酸エステル、エリソルビン酸、エリソルビン酸塩及びエリソルビン酸エステルのいずれか1種又は複数種である。
【0045】
水-エタノール混合溶媒は、質量百分率で1:0.1~0.7の溶液である。
【0046】
ステップS11において、pH調整剤Aは、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア水、石灰、エタノールアミン、クエン酸、クエン酸塩、酒石酸及び酒石酸塩のいずれか1種又は複数種である。
【0047】
アンモニア水の濃度は、20~30%である。
【0048】
S12、1回目の濾過:溶液の第1溶液を室温まで冷却した後、0.2~5重量部の沈殿剤A及び0.1~3重量部のpH調整剤Bを加え、室温で2~12時間静置し、その後濾過を行い、第1沈殿物を得る。
【0049】
pH調整剤Bは、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、酢酸、酢酸塩、クエン酸、クエン酸塩、リン酸、リン酸塩及びホウ砂のいずれか1種又は複数種である。
【0050】
沈殿剤Aは、酒石酸、酒石酸塩、リンゴ酸、リンゴ酸塩、フタル酸、フタル酸塩、クエン酸、クエン酸塩、リン酸、リン酸塩、ポリリン酸、ポリリン酸塩、乳酸、乳酸塩、グルコン酸、グルコン酸塩、シュウ酸及びシュウ酸塩のいずれか1種又は複数種である。
【0051】
S13、2回目の濾過:1重量部の第1沈殿物を6~20重量部の水で溶解し、60~100℃に加熱した後、0.1~2重量部の沈殿剤Bを加え、2~12h静置して冷却した後、濾過し、第2沈殿物を得、第2沈殿物を乾燥した後、バイオニック風化酵素固体を得る。
【0052】
沈殿剤Bは、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロピルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド及びテトラブチルアンモニウムヒドロキシドのいずれか1種又は複数種である。
【0053】
テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド及びテトラブチルアンモニウムヒドロキシドは、いずれも濃度40%の水溶液である。
【0054】
S2、バイオニック風化酵素ガラス薄化剤溶液の調製:1重量部のバイオニック風化酵素固体に、7~20重量部の水、0.1~2重量部の安定化剤、0.1~1重量部のpH調整剤C及び0.1~1重量部の助剤を加え、均一に撹拌し、バイオニック風化酵素ガラス薄化剤溶液を得る。
【0055】
pH調整剤Cは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、アンモニア水、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及びトリエチルアミンのいずれか1種又は複数種である。
【0056】
アンモニア水の濃度は、20~30%である。
【0057】
助剤は、クエン酸、クエン酸塩、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸塩、酒石酸、酒石酸塩、フェロシアン化カリウム、フェロシアン化カリウムナトリウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、リン酸、リン酸塩、トリポリリン酸、トリポリリン酸塩、ヘキサメタリン酸及びヘキサメタリン酸塩のいずれか1種又は複数種である。
【0058】
S3、ガラス薄化:薄化するガラスを、バイオニック風化酵素ガラス薄化剤溶液を入れた容器に完全に浸漬し、恒温60~120℃で10~50h振動させた後に取り出し、水できれいに洗浄し、薄化後のガラスを得る。
【0059】
薄化するガラスは、SiO質量百分率>65%、CaO質量百分率<12%、MgO質量百分率<8%、Fe質量百分率<5%のケイ酸塩ガラスである。
【0060】
ケイ酸塩ガラスは、ソーダライムガラス、白板ガラス、石英ガラス、高ホウケイ酸ガラス、高アルミノケイ酸ガラスのいずれかである。
【0061】
バイオニック風化酵素ガラス薄化剤溶液の使用温度は25~120℃である。
【0062】
S4、繰り返し薄化:薄化後のガラスの厚さが薄化目標に達したか否かを判断し、達した場合、超薄フレキシブルガラスの製造が完了し、達していない場合、ステップS3の容器内のバイオニック風化酵素ガラス薄化剤溶液を未使用のバイオニック風化酵素ガラス薄化剤溶液に交換した後、ステップS3を繰り返す。
【0063】
実施例2
図1図2に示すように、バイオニック風化酵素複合ガラス薄化剤を利用して超薄フレキシブルガラスを製造する方法において、薄化するガラスの材質は白板ガラスであり、初期厚さは180μmであり、サイズは25*60mmである。
【0064】
[1]バイオニック風化酵素の抽出
1.5重量部の甘草及び1部の稲根を粉にし、20部の水-エタノール混合溶媒(1:0.2)に加え、さらに0.2部の炭酸カリウム及び0.9部のエタノールアミン、0.1部のエリソルビン酸ナトリウムを加え、溶液を煮沸した後、100℃で26時間恒温し、残りの植物残渣を濾過して第1溶液を得た。
第1溶液を室温まで冷却し、第1溶液に0.8部のグルコン酸カルシウム及び0.5部のホウ砂を加え、室温で3時間静置し、濾過して第1沈殿物を得た。
第1沈殿物を水で1:8の質量百分率で溶解し、85℃に加熱した後、1部のエタノールアミンを加え、6h静置して冷却し、濾過して第2沈殿物を得、第2沈殿物を乾燥した後、バイオニック風化酵素固体を得た。
【0065】
[2]バイオニック風化酵素ガラス薄化剤溶液
1重量部のバイオニック風化酵素の固体を9重量部の水に入れ、tert-ブチルハイドロキノン0.7重量部、アンモニア水(濃度25%)0.15重量部、クエン酸三ナトリウム0.2重量部を加え、バイオニック風化酵素ガラス薄化剤溶液を得た。
【0066】
[3]ガラス薄化プロセス
薄化するガラスをバイオニック風化酵素ガラス薄化剤溶液に完全に浸漬し、恒温95℃で14h振動させて取り出して水できれいに洗浄し、薄化後のガラスを得、振動にはシェーカー又は機械装置を使用した。
【0067】
薄化後のガラス性能は、厚さ25-27μm、面内厚さ誤差<3μm、表面粗さRa<5nm、可視光透過率>90%、最小曲げ半径<1.5mmである。
【0068】
実施例3
図1-2に示すように、バイオニック風化酵素複合ガラス薄化剤を利用して超薄フレキシブルガラスを製造する方法において、薄化するガラスの材質は高ホウケイ酸ガラスであり、初期厚さは200μmであり、サイズは200*160mmである。
【0069】
[1]バイオニック風化酵素の抽出
1.5重量部の松枝、0.6部の白果葉、0.2部の柿蒂を粉にし、20部の水-エタノール混合溶媒(1:0.1)に加え、さらに炭酸水素ナトリウム1.5部、亜二チオン酸ナトリウム0.2部を加え、溶液を煮沸した後、100℃で20時間恒温し、残りの植物残渣を濾過した。
溶液を室温まで冷却し、溶液にトリポリリン酸ナトリウム0.8部及び水酸化マグネシウム0.8部を加え、室温で2時間静置し、濾過した。
濾過後の固体を水で質量百分率1:16で溶解し、90℃に加熱して0.5部の水酸化ナトリウムを加え、4h静置して冷却し、濾過し、固体を乾燥させた後、バイオニック風化酵素固体を得た。
【0070】
[2]バイオニック風化酵素ガラス薄化剤溶液
1重量部のバイオニック風化酵素固体を18部の水に加え、没食子酸1.5部、水酸化ナトリウム0.5部、酒石酸0.6部を加え、バイオニック風化酵素ガラス薄化剤溶液を得た。
【0071】
[3]ガラス薄化プロセス
薄化するガラスをバイオニック風化酵素ガラス薄化剤溶液に完全に浸漬し、恒温100℃で18h振動させて取り出し、水できれいに洗浄した。
【0072】
薄化後のガラス性能は、厚さ18-20μm、面内厚さ誤差<3μm、表面粗さRa<5nm、可視光透過率>90%、最小曲げ半径<0.6mmである。
【0073】
実施例4
図1-2に示すように、バイオニック風化酵素複合ガラス薄化剤を利用して超薄フレキシブルガラスを製造する方法において、薄化するガラスの材質は石英ガラスであり、初期厚さは500μmであり、サイズは100*100mmである。
【0074】
[1]バイオニック風化酵素の抽出
丹参4部を粉にし、水-エタノール混合溶媒20部(1:0.6)に加え、さらに水酸化カルシウム2部、ソルビン酸カリウム0.5部を加え、溶液を煮沸した後、100℃で21時間恒温し、残りの植物残渣を濾過した。
溶液を室温まで冷却し、溶液にフタル酸水素カリウム0.3部、酢酸ナトリウム1.2部、酸化マグネシウム0.2部を加え、室温で2時間静置し、濾過した。
ろ過した固体を水で質量百分率1:10で溶解し、95℃に加熱して1.2部のトリエタノールアミンを加え、3h静置して冷却し、ろ過し、固体を乾燥させた後、バイオニック風化酵素固体粉末を得た。
【0075】
[2]バイオニック風化酵素ガラス薄化剤溶液
1部のバイオニック風化酵素固体を13部の水に入れ、安息香酸ナトリウム1部、トリエチルアミン0.6部、硫化ナトリウム0.3部を加え、バイオニック風化酵素ガラス薄化剤溶液を得た。
【0076】
[3]ガラス薄化プロセス
薄化するガラスをバイオニック風化酵素ガラス薄化剤溶液に完全に浸漬し、恒温で90℃で24h振動させて取り出し、新しいバイオニック風化酵素ガラス薄化剤溶液に交換し、さらに恒温で90℃で24h振動させて取り出した。時間経過後、取り出して水で洗浄した。
【0077】
薄化後のガラス性能は、厚さ22-25μm、面内厚さ誤差<3μm、表面粗さRa<5nm、可視光透過率>90%、最小曲げ半径<1.8mmである。
【0078】
以上は、本発明の好ましい具体的な実施形態に過ぎず、本発明の保護範囲はこれに限定されず、当業者が本発明に開示された技術的範囲内において、本発明の技術案及びその発明構想に基づいて同等の置換又は変更を行うことは、本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
図1
図2
【国際調査報告】