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特表2024-526454表示パネルの調製方法、表示パネル及び電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】表示パネルの調製方法、表示パネル及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/33 20060101AFI20240711BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20240711BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240711BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20240711BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20240711BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240711BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20240711BHJP
【FI】
G09F9/33
H01L29/78 616V
H01L29/78 626C
H01L21/60 311S
H01L21/68 A
G09F9/00 338
H01L33/00 L
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021574293
(86)(22)【出願日】2021-12-08
(85)【翻訳文提出日】2022-01-24
(86)【国際出願番号】 CN2021136594
(87)【国際公開番号】W WO2023092661
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】202111405349.X
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515203228
【氏名又は名称】ティーシーエル チャイナスター オプトエレクトロニクス テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TCL China Star Optoelectronics Technology Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.9-2,Tangming Rd,Guangming New District,Shenzhen,Guangdong,China 518132
(74)【代理人】
【識別番号】110002181
【氏名又は名称】弁理士法人IP-FOCUS
(72)【発明者】
【氏名】劉 林峰
【テーマコード(参考)】
5C094
5F044
5F110
5F131
5F142
5G435
【Fターム(参考)】
5C094AA21
5C094AA44
5C094BA03
5C094BA25
5C094CA19
5C094DA11
5C094DB01
5C094FA02
5C094FA04
5C094FB01
5C094FB02
5C094FB12
5C094FB15
5C094GB01
5C094JA08
5F044KK07
5F044LL15
5F044QQ06
5F044RR04
5F110BB01
5F110CC07
5F110DD02
5F110DD13
5F110DD14
5F110DD17
5F110EE02
5F110EE03
5F110EE04
5F110FF02
5F110FF03
5F110GG01
5F110GG02
5F110GG13
5F110GG15
5F110HK02
5F131AA04
5F131BA51
5F131CA67
5F131DA03
5F131DA22
5F131DB24
5F131EC62
5F131EC72
5F142BA32
5F142CA13
5F142CD02
5F142DB24
5F142FA32
5F142GA01
5G435AA16
5G435AA17
5G435BB04
5G435CC09
5G435KK05
(57)【要約】
表示パネルの調製方法、表示パネル及び電子機器が開示される。本願の実施例に係る表示パネルの調製方法によれば、TFT基板にTFT素子を調製し、その後、二重転写によりTFT基板から回路板にTFT素子を転写し、回路板に発光素子を転写することにより、TFT素子によって駆動される表示パネルが得られ、製造コストが低く、表示パネルは、良好な電気的性能を実現することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、前記第1基板に設けられる複数のTFT素子とを含むTFT基板であって、前記TFT素子は、順次積層して設けられるアンカー層及び素子層を含み、前記第1基板との間に犠牲層が設けられ、前記アンカー層は、互いに接続される第1本体及び接続部を含み、前記第1本体は、前記第1基板から離間する前記犠牲層の一方側に設けられ、前記接続部は、一方側が前記第1本体に接続され、他方側が前記第1基板に接続されるTFT基板を取得するステップと、
前記アンカー層の前記接続部を介して前記TFT素子が前記第1基板に接続されるように前記TFT基板における前記犠牲層を除去するステップと、
前記TFT素子が前記第1基板から分離されるように、第1転写基板を取得し、前記第1転写基板を用いて前記TFT基板における前記TFT素子を選択的にピックアップすることにより、ピックアップされた前記TFT素子における前記アンカー層の接続部を破断させるステップと、
第2転写基板を取得し、前記第1転写基板でピックアップされた前記TFT素子を前記第2転写基板に転写するステップと、
第2基板と、前記第2基板に設けられるTFT接続回路及び発光素子接続回路とを含む回路板を取得し、前記第2転写基板における前記TFT素子を前記回路板に転写して前記TFT接続回路に接続するステップと、
表示パネルが調製されるように、発光素子を取得し、前記発光素子を前記回路板に転写して前記発光素子接続回路に接続するステップと、を含む、
表示パネルの調製方法。
【請求項2】
前記第1転写基板と前記第2転写基板とは、いずれも粘着性を有し、かつ、前記第2転写基板と前記TFT素子との接着力は、前記第1転写基板と前記TFT素子との接着力よりも大きい、
請求項1に記載の表示パネルの調製方法。
【請求項3】
前記第1転写基板の材料は、分子量が1000~5000であるポリジメチルシロキサンを含み、前記第2転写基板の材料は、分子量が10000以上であるポリジメチルシロキサンを含む、
請求項2に記載の表示パネルの調製方法。
【請求項4】
前記第1転写基板は、第2本体と、前記第2本体に設けられる凸部とを含み、前記第1転写基板を用いて前記TFT基板における前記TFT素子を選択的にピックアップすることは、前記第1転写基板の前記凸部を用いて前記TFT素子を選択的にピックアップすることを含む、
請求項1に記載の表示パネルの調製方法。
【請求項5】
前記凸部は、前記第2本体から離間する一方側の面が平面、凸円弧面又は凹円弧面である、
請求項4に記載の表示パネルの調製方法。
【請求項6】
前記アンカー層の材料は、酸化ケイ素及び窒化ケイ素のうちの少なくとも一つを含む、
請求項1に記載の表示パネルの調製方法。
【請求項7】
前記アンカー層の厚さは、0.5μm~2μmである、
請求項1に記載の表示パネルの調製方法。
【請求項8】
前記犠牲層の材料は、アモルファスシリコンを含み、前記TFT基板における前記犠牲層を除去することは、前記TFT基板における前記犠牲層を選択的エッチングにより除去することを含む、
請求項1に記載の表示パネルの調製方法。
【請求項9】
前記素子層は、アンカー層に順次積層して設けられるゲート、ゲート絶縁層、活性層、ソースドレイン層を含み、前記ソースドレイン層の材料は金属であり、前記TFT接続回路の材料は金属であり、
前記第2転写基板における前記TFT素子を前記回路板に転写して前記TFT接続回路に接続することは、共晶接合により前記TFT素子の前記ソースドレイン層を前記TFT接続回路に接続することを含む、
請求項1に記載の表示パネルの調製方法。
【請求項10】
前記ソースドレイン層の材料及び前記TFT接続回路の材料は、錫と銀の組み合わせ、錫と銅の組み合わせ又は錫と金の組み合わせである、
請求項9に記載の表示パネルの調製方法。
【請求項11】
前記発光素子は、MiniLED又はMicroLEDである、
請求項1に記載の表示パネルの調製方法。
【請求項12】
第2基板と、前記第2基板に設けられるTFT接続回路及び発光素子接続回路とを含む回路板と、
前記TFT接続回路に接続されるように前記回路板に設けられ、前記回路板に順次積層して設けられるソースドレイン層、活性層、ゲート絶縁層、ゲート及びアンカー層を含み、前記ソースドレイン層は、前記TFT接続回路に接続されるTFT素子と、
前記発光素子接続回路に接続されるように前記回路板に設けられる発光素子と、を含む、
表示パネル。
【請求項13】
前記ソースドレイン層の材料は金属であり、前記TFT接続回路の材料は金属であり、前記ソースドレイン層と前記TFT接続回路との間は、共晶接合構造である、
請求項12に記載の表示パネル。
【請求項14】
前記ソースドレイン層の材料及び前記TFT接続回路の材料は、錫と銀の組み合わせ、錫と銅の組み合わせ又は錫と金の組み合わせである、
請求項13に記載の表示パネル。
【請求項15】
前記アンカー層の材料は、酸化ケイ素及び窒化ケイ素のうちの少なくとも一つを含む、
請求項12に記載の表示パネル。
【請求項16】
前記アンカー層の厚さは、0.5μm~2μmである、
請求項12に記載の表示パネル。
【請求項17】
前記TFT接続回路の厚さ及び前記発光素子接続回路の厚さは、いずれも10μm以上である、
請求項12に記載の表示パネル。
【請求項18】
前記発光素子は、半田付けにより前記発光素子接続回路に接続される、
請求項12に記載の表示パネル。
【請求項19】
前記TFT接続回路の材料及び前記発光素子接続回路の材料は、いずれも金属である、
請求項12に記載の表示パネル。
【請求項20】
請求項12に記載の表示パネルを含む、
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、表示技術分野に関し、特に表示パネルの調製方法、表示パネル及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(light-emitting diode,発光ダイオード)表示は、液晶表示及びOLED表示に次ぐ次世代表示技術である。LED表示パネルは、画素単位としてLED発光チップ(例えば、MicroLED発光チップ又はMiniLED発光チップ)を使用し、一つずつアレイ状に配列され、各チップは、いずれも点灯し、光を発するように独立して駆動することができる。LED表示パネルは、自己発光、高効率、長寿命、超高解像度などの多くの利点を有する。
【発明の概要】
【0003】
従来太陽光パネルの作業環境は、屋外に限られる。太陽光パネルの動作に影響を与える最大
の問題は、風雨雷ではなく、長年蓄積してきた粉塵である。太陽光パネルに付着した粉塵又はその他の付着物は、パネルの透過率に影響し、光電効率を妨げるため、パネルが太陽光を直接に取得する効率に深刻な影響を与え、パネルのエネルギー吸収及び変換効率を低下させ、発電効率を低下させる。のLED表示パネルの調製方法の一つは、回路がレイアウトされた基板にICチップ及びLED発光チップを順次転写することであり、ここで、LED発光チップは、MicroLED発光チップ又はMiniLED発光チップであってもよいが、ICチップのコストが高いため、LED表示パネルの製造コストが高くなる。
【0004】
本願の実施例によれば、表示パネルの調製方法、表示パネル及び電子機器が提供され、表示パネルの調製方法は、製造コストが低く、かつ、調製された表示パネルは、良好な電気的性能を有する。
【0005】
第1態様において、本願の実施例によれば、第1基板と、前記第1基板に設けられる複数のTFT素子とを含むTFT基板であって、前記TFT素子は、順次積層して設けられるアンカー層及び素子層を含み、前記第1基板との間に犠牲層が設けられ、前記アンカー層は、互いに接続される第1本体及び接続部を含み、前記第1本体は、前記第1基板から離間する前記犠牲層の一方側に設けられ、前記接続部は、一方側が前記第1本体に接続され、他方側が前記第1基板に接続されるTFT基板を取得するステップと、
前記アンカー層の前記接続部を介して前記TFT素子が前記第1基板に接続されるように前記TFT基板における前記犠牲層を除去するステップと、
前記TFT素子が前記第1基板から分離されるように、第1転写基板を取得し、前記第1転写基板を用いて前記TFT基板における前記TFT素子を選択的にピックアップすることにより、ピックアップされた前記TFT素子における前記アンカー層の接続部を破断させるステップと、
第2転写基板を取得し、前記第1転写基板でピックアップされた前記TFT素子を前記第2転写基板に転写するステップと、
第2基板と、前記第2基板に設けられるTFT接続回路及び発光素子接続回路とを含む回路板を取得し、前記第2転写基板における前記TFT素子を前記回路板に転写して前記TFT接続回路に接続するステップと、
表示パネルが調製されるように、発光素子を取得し、前記発光素子を前記回路板に転写して前記発光素子接続回路に接続するステップと、を含む表示パネルの調製方法が提供される。
【0006】
いくつかの実施例において、前記第1転写基板と前記第2転写基板とは、いずれも粘着性を有し、かつ、前記第2転写基板と前記TFT素子との接着力は、前記第1転写基板と前記TFT素子との接着力よりも大きい。
【0007】
いくつかの実施例において、前記第1転写基板の材料は、分子量が1000~5000であるポリジメチルシロキサンを含み、前記第2転写基板の材料は、分子量が10000以上であるポリジメチルシロキサンを含む。
【0008】
いくつかの実施例において、前記第1転写基板は、第2本体と、前記第2本体に設けられる凸部とを含み、前記第1転写基板を用いて前記TFT基板における前記TFT素子を選択的にピックアップすることは、前記第1転写基板の前記凸部を用いて前記TFT素子を選択的にピックアップすることを含む。
【0009】
いくつかの実施例において、前記アンカー層の材料は、酸化ケイ素及び窒化ケイ素のうちの少なくとも一つを含み、前記アンカー層の厚さは、0.5μm~2μmである。
【0010】
いくつかの実施例において、前記犠牲層の材料は、アモルファスシリコンを含み、前記TFT基板における前記犠牲層を除去することは、前記TFT基板における前記犠牲層を選択的エッチングにより除去することを含む。
【0011】
いくつかの実施例において、前記素子層は、アンカー層に順次積層して設けられるゲート、ゲート絶縁層、活性層、ソースドレイン層を含み、前記ソースドレイン層の材料は金属であり、前記TFT接続回路の材料は金属であり、
前記第2転写基板における前記TFT素子を前記回路板に転写して前記TFT接続回路に接続することは、共晶接合により前記TFT素子の前記ソースドレイン層を前記TFT接続回路に接続することを含む。
【0012】
いくつかの実施例において、前記ソースドレイン層の材料及び前記TFT接続回路の材料は、錫と銀の組み合わせ、錫と銅の組み合わせ又は錫と金の組み合わせである。
【0013】
いくつかの実施例において、前記発光素子は、MiniLED又はMicroLEDである。
【0014】
第2態様において、本願の実施例によれば、第2基板と、前記第2基板に設けられるTFT接続回路及び発光素子接続回路とを含む回路板と、
前記TFT接続回路に接続されるように前記回路板に設けられ、前記回路板に順次積層して設けられるソースドレイン層、活性層、ゲート絶縁層、ゲート及びアンカー層を含み、前記ソースドレイン層は、前記TFT接続回路に接続されるTFT素子と、
前記発光素子接続回路に接続されるように前記回路板に設けられる発光素子と、を含む表示パネルが提供される。
【0015】
いくつかの実施例において、前記ソースドレイン層の材料は金属であり、前記TFT接続回路の材料は金属であり、前記ソースドレイン層と前記TFT接続回路との間は共晶接合構造である。
【0016】
いくつかの実施例において、前記ソースドレイン層の材料及び前記TFT接続回路の材料は、錫と銀の組み合わせ、錫と銅の組み合わせ又は錫と金の組み合わせである。
【0017】
いくつかの実施例において、前記アンカー層の材料は、酸化ケイ素及び窒化ケイ素のうちの少なくとも一つを含み、前記アンカー層の厚さは、0.5μm~2μmである。
【0018】
第3態様において、本願の実施例によれば、上記表示パネルを含む電子機器が提供される。
【発明の効果】
【0019】
本願の実施例に係る表示パネルの調製方法によれば、TFT基板にTFT素子を調製し、その後、二重転写によりTFT基板から回路板にTFT素子を転写し、回路板に発光素子を転写することにより、TFT素子によって駆動される表示パネルが得られ、ICチップを転写する従来の調製方法と比較して、本願の実施例に係る表示パネルの調製方法は、製造コストがより低く、かつ、本願の実施例で調製された表示パネルにおけるTFT接続回路及び発光素子接続回路の厚さを大きく設定することができるため、表示パネルは、良好な電気的性能を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本願の実施例における技術的手段をより明確に説明するために、以下では、実施例の説明において使用する必要がある図面について簡単に説明する。明らかに、以下の説明における図面は、本願のいくつかの実施例にすぎず、当業者にとって、創造的な努力を払わずにこれらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【0021】
本願及びその有益な効果をより完全に理解するために、以下では、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において同一の図面符号は、同一の部分を示す。
【0022】
図1】本願の実施例に係る表示パネルの調製方法のフローチャートである。
図2】本願の実施例に係るTFT基板の構造を示す概略図である。
図3】本願の実施例においてTFT基板における犠牲層を除去することを示す概略図である。
図4】本願の実施例において第1転写基板を用いてTFT基板におけるTFT素子を選択的にピックアップすることを示す概略図である。
図5】本願の実施例において第1転写基板を用いてTFT基板におけるTFT素子を選択的にピックアップすることを示す概略図である。
図6】本願の実施例において第1転写基板でピックアップされたTFT素子を第2転写基板に転写することを示す概略図である。
図7】本願の実施例において第2転写基板におけるTFT素子を回路板に転写することを示す概略図である。
図8】本願の実施例で調製された表示パネルの構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本願の実施例における図面を参照しながら、本願の実施例における技術的手段について明確かつ完全に説明する。明らかに、説明した実施例は、本願の一部の実施例のみであり、すべての実施例ではない。本願の実施例に基づいて、当業者が創造的な努力を行わないことを前提に得られる他のすべての実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0024】
図1を参照して、図1は、本願の実施例に係る表示パネルの調製方法のフローチャートである。本願の実施例によれば、以下を含む表示パネルの調製方法が提供される。
【0025】
100において、第1基板11と、第1基板11に設けられる複数のTFT素子12とを含むTFT基板10であって、TFT素子12は、順次積層して設けられるアンカー層121及び素子層を含み、第1基板11との間に犠牲層135が設けられ、アンカー層121は、互いに接続される第1本体101及び接続部102を含み、第1本体101は、第1基板11から離間する犠牲層135の一方側に設けられ、接続部102は、一方側が第1本体101に接続され、他方側が第1基板11に接続されるTFT基板10を取得する。
【0026】
図2を参照して、図2は、本願の実施例に係るTFT基板の構造を示す概略図である。素子層は、アンカー層121に順次積層して設けられるゲート131、ゲート絶縁層132、活性層133及びソースドレイン層134を含んでもよい。ソースドレイン層134は、離間して設けられ、いずれも活性層133に接続されるソース103及びドレイン104を含んでもよい。
【0027】
例示的に、アンカー層121は、大きな脆性及び薄い厚さを有してもよいので、TFT基板10における犠牲層135が除去されるとき、TFT素子12は、アンカー層121の接続部102を介してのみ第1基板11に接続され、接続部102は、脆性が大きく、かつ、厚さが薄いので、破断しやすくなるため、TFT基板10からTFT素子12を離脱させることができる。
【0028】
例示的に、アンカー層121の材料は、酸化ケイ素及び窒化ケイ素のうちの少なくとも一つを含んでもよく、アンカー層121の厚さは、0.5μm~2μm(例えば、0.5μm、0.7μm、1μm、1.3μm、1.5μm、1.7μm、2μmなど)であってもよい。
【0029】
例示的に、犠牲層135の材料は、アモルファスシリコンを含んでもよい。
【0030】
例示的に、活性層133の材料は、例えばアモルファスシリコン、ポリシリコン、金属酸化物半導体材料などの半導体材料であってもよい。
【0031】
例示的に、ゲート131の材料は、モリブデン、アルミニウム、銅、チタンのうちの少なくとも一つを含んでもよく、ゲート絶縁層132の材料は、酸化ケイ素及び窒化ケイ素のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0032】
例示的に、第1基板11は、例えばガラス基板などの硬質基板であってもよい。
【0033】
200において、アンカー層121の接続部102を介してTFT素子12が第1基板11に接続されるようTFT基板10における犠牲層135を除去する。
【0034】
図3を参照して、図3は、本願の実施例においてTFT基板における犠牲層を除去することを示す概略図である。犠牲層135の材料がアモルファスシリコンである場合、「TFT基板10における犠牲層135を除去すること」は、具体的には、TFT基板10における犠牲層135を選択的エッチングにより除去することを含んでもよい。すなわち、アモルファスシリコンのみをエッチングできるがTFT素子12における他の膜層をエッチングできないエッチング液を用いてTFT基板10をエッチングすることにより、犠牲層135を除去することができる。
【0035】
300において、TFT素子12が第1基板11から分離されるように、第1転写基板20を取得し、第1転写基板20を用いてTFT基板10におけるTFT素子12を選択的にピックアップすることにより、ピックアップされたTFT素子12におけるアンカー層121の接続部102を破断させる。
【0036】
図4及び図5を参照して、図4及び図5は、本願の実施例において第1転写基板を用いてTFT基板におけるTFT素子を選択的にピックアップすることを示す概略図である。第1転写基板20は、第1転写基板20の粘着性を利用してTFT基板10からTFT素子12をピックアップできるように粘着性を有してもよい。
【0037】
例示的に、第1転写基板20は、第2本体21と、第2本体21に設けられる凸部22とを含み、「第1転写基板20を用いてTFT基板10におけるTFT素子12を選択的にピックアップすること」は、具体的には、第1転写基板20の凸部22を用いてTFT素子12を選択的にピックアップすることを含んでもよい。すなわち、第2本体21にピックアップする必要があるTFT素子12の位置に対応して凸部22を設けることができるため、凸部22を用いてTFT素子12を圧接させた後、凸部22に接続されるTFT基板10におけるTFT素子12はピックアップされ、凸部22に接続されていないTFT素子12はピックアップされないようにしてもよい。
【0038】
例示的に、凸部22は、TFT素子12に凸部22を圧接する際に、TFT素子12の形状に合わせて変形が生じることができるように弾性を有してもよい。
【0039】
例示的に、第2本体21から離間する凸部22の一方側の面は、平面、凸円弧面、凹円弧面などであってもよい。
【0040】
例示的に、第1転写基板20の材料は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)であってもよい。
【0041】
400において、第2転写基板30を取得し、第1転写基板20でピックアップされたTFT素子12を第2転写基板30に転写する。
【0042】
図6を参照して、図6は、本願の実施例において第1転写基板でピックアップされたTFT素子を第2転写基板に転写することを示す概略図である。また、第2転写基板30は、第1転写基板20の粘着性よりも第2転写基板30の粘着性が大きくなるように粘着性を有してもよい。なお、第2転写基板30とTFT素子12との接着力が第1転写基板20とTFT素子12との接着力よりも大きい場合に、第2転写基板30の粘着性がより大きいという利点を利用して第1転写基板20におけるTFT素子12を第2転写基板30に転写することができる。
【0043】
例示的には、第1転写基板20の材料は、分子量が1000~5000であるポリジメチルシロキサンであってもよく、第2転写基板30の材料は、分子量が10000以上であるポリジメチルシロキサンであってもよい。
【0044】
500において、第2基板41と、第2基板41に設けられるTFT接続回路42及び発光素子接続回路43とを含む回路板40を取得し、第2転写基板30におけるTFT素子12を回路板40に転写してTFT接続回路42に接続する。
【0045】
図7を参照して、図7は、本願の実施例において第2転写基板におけるTFT素子を回路板に転写することを示す概略図である。ソースドレイン層134の材料は金属であってもよく、TFT接続回路42の材料は金属であってもよく、「第2転写基板30におけるTFT素子12を回路板40に転写してTFT接続回路42に接続すること」は、具体的には、共晶接合によりTFT素子12のソースドレイン層134をTFT接続回路42に接続することを含んでもよい。ソースドレイン層134とTFT接続回路42との共晶接合構造の引張強度が大きいため、すなわち、当該共晶接合構造の結合力がTFT素子12と第2転写基板30との接着力よりも大幅に大きいため、TFT素子12が回路板40上に残存するように第2転写基板30をTFT素子12から剥離することができる。
【0046】
なお、共晶接合とは、共晶温度で共晶を形成できる二種類の金属が互いに接触し、相互に拡散した後、その間に共晶成分を有する液相合金を形成し、経時的に延長し、液相層が絶えず厚くなり、冷却後に液相層が絶えず交互に二種類の金属を析出させ、各金属が独自の元の固相に基づいて成長し、結晶析出するため、二種類の金属間の共晶が二種類の金属を密に結合することができることを指す。
【0047】
例示的に、ソースドレイン層134の材料及びTFT接続回路42の材料は、錫と銀の組み合わせ、錫と銅の組み合わせ、又は錫と金の組み合わせである。なお、錫と銀の組み合わせとは、ソースドレイン層134及びTFT接続回路42のうちの一方の材料が錫であり、他方の材料が銀であることを指し、錫と銅の組み合わせ及び錫と金の組み合わせは、同じである。
【0048】
なお、TFT素子12におけるゲート131もTFT接続回路42に接続する必要がある。例えば、ゲート131の下方のゲート絶縁層132にビアホールを設け、ビアホール内にゲート131に接続される導線を設け、その後、ゲート131から離間するビアホールの一端から露出される当該導線の部分をTFT接続回路42に接続するように設けてもよく、すなわち、TFT接続回路42は、ソース103、ドレイン104に接続される回路だけではなく、ゲート131に接続される回路をさらに含む。例示的に、ゲート131に接続される導線とTFT接続回路42との接続は、共晶接合であってもよい。
【0049】
例示的に、回路板40の第2基板41は、硬質基板又はフレキシブル基板であってもよく、硬質基板は、ガラス基板などであってもよく、フレキシブル基板の材料は、ポリイミドやポリエステルなどの高分子材料であってもよい。
【0050】
例示的に、TFT接続回路42の材料及び発光素子接続回路43の材料は、いずれも銅などの金属であってもよい。
【0051】
例示的に、TFT接続回路42の厚さ及び発光素子接続回路43の厚さは、いずれも10μm以上(例えば、10μm、15μm、20μm、25μm、35μm、40μmなど)であってもよい。
【0052】
600において、表示パネル100が調製されるように、発光素子50を取得し、発光素子50を回路板40に転写して発光素子接続回路43に接続する。
【0053】
図8を参照して、図8は、本願の実施例で調製された表示パネルの構造を示す概略図である。発光素子50は、MicroLEDであってもよく、このとき本願の実施例で調製された表示パネル100は、MicroLED表示パネルである。
【0054】
例示的に、発光素子50は、MiniLEDであってもよく、このとき本願の実施例で調製された表示パネル100は、MiniLED表示パネルである。
【0055】
例示的に、MiniLEDの寸法は、100μm~200μmであってもよく、MicroLEDの寸法は、30μm以下であってもよい。
【0056】
例示的に、発光素子50は、発光素子接続回路43に半田付けにより接続されてもよい。
【0057】
以上で分かるように、本願の技術的手段によれば、まずTFT基板10にTFT素子12を調製し、その後、TFT素子12を回路板40に転写し、MicroICを最初に調製した後にMicroICを回路板に転写する従来の技術的手段と比較して、TFT素子12の製造コストは、MicroICの製造コストよりも大幅に低くなるため、表示パネルの製造コストを大幅に低減させることができる。
【0058】
従来のMicroLED表示パネルの別の調製方法は、まずTFT素子及びTFT接続回路、発光素子接続回路などが形成されるTFT基板を調製し、その後、MicroLED表示パネルが得られるようにTFT基板にMicroLEDを転写するが、当該方法に存在する問題は、TFT接続回路、発光素子接続回路及びTFT素子が同一の製造工程で調製され、TFT素子における膜層の厚さが薄いため、TFT接続回路及び発光素子接続回路の厚さも薄くなり、ひいてはTFT接続回路及び発光素子接続回路の信号伝導性能が悪くなるため、MicroLED表示パネルの電気的性能が悪くなることである。本願の実施例によれば、TFT素子12をTFT基板10に調製するとともに、TFT接続回路42及び発光素子接続回路43を回路板40に調製するように、TFT素子12と、TFT接続回路42、発光素子接続回路43とを別個に調製し、すなわち、TFT接続回路42及び発光素子接続回路43の製造工程とTFT素子12の製造工程とを別個にすることにより、TFT接続回路42及び発光素子接続回路43の厚さがTFT素子12の厚さに制限されなくなり、TFT接続回路42及び発光素子接続回路43を大きな厚さ(10μm以上)に調製することができるため、TFT接続回路42及び発光素子接続回路43が良好な信号伝導性能を有するようになり、ひいては表示パネル100が良好な電気的性能を有するようになる。
【0059】
以上説明したように、本願の実施例に係る表示パネルの調製方法によれば、TFT基板10にTFT素子12を調製し、その後、二重転写によりTFT基板10から回路板40にTFT素子12を転写し、回路板40に発光素子50を転写することにより、TFT素子によって駆動される表示パネル100が得られ、ICチップを転写する従来の調製方法と比較して、本願の実施例に係る表示パネル100の調製方法は、製造コストがより低く、かつ、本願の実施例で調製された表示パネル100におけるTFT接続回路42及び発光素子接続回路43は、大きな厚さに設定することができるため、表示パネル100は、良好な電気的性能を実現することができる。
【0060】
図8と併せて、本願の実施例によれば、上記いずれかの実施例における調製方法によって調製することができる表示パネル100がさらに提供され、表示パネル100は、回路板40と、回路板40に設けられるTFT素子12及び発光素子50とを含んでもよく、回路板40は、第2基板41と、第2基板41に設けられるTFT接続回路42及び発光素子接続回路43とを含み、発光素子50は、発光素子接続回路43に接続される。
【0061】
TFT素子12は、TFT接続回路42に接続され、回路板40に順次積層して設けられるソースドレイン層134、活性層133、ゲート絶縁層132、ゲート131及びアンカー層121を含み、ここで、ソースドレイン層134は、TFT接続回路42に接続される。
【0062】
例示的に、ソースドレイン層134の材料は金属であり、TFT接続回路42の材料は金属であり、ソースドレイン層134とTFT接続回路42との間は、共晶接合構造である。
【0063】
ゲート絶縁層132には、ビアホールが設けられてもよく、ビアホールには、ゲート131に接続される導線が設けられてもよく、ゲート131から離間する当該導線の一端は、TFT接続回路42に接続されるように設けられてもよく、例示的に、ゲート131に接続される導線とTFT接続回路42との間の接続は、共晶接合であってもよい。
【0064】
例示的に、ソースドレイン層134の材料及びTFT接続回路42の材料は、錫と銀の組み合わせ、錫と銅の組み合わせ、又は錫と金の組み合わせである。
【0065】
例示的に、アンカー層121の材料は、酸化ケイ素及び窒化ケイ素のうちの少なくとも一つを含み、アンカー層121の厚さは、0.5μm~2μm(例えば、0.5μm、0.7μm、1μm、1.3μm、1.5μm、1.7μm、2μmなど)であってもよい。
【0066】
例示的に、TFT接続回路42の材料及び発光素子接続回路43の材料は、いずれも例えば、銅などの金属であってもよい。
【0067】
例示的に、TFT接続回路42の厚さ及び発光素子接続回路43の厚さは、10μm以上(例えば、10μm、15μm、20μm、25μm、35μm、40μmなど)であってもよい。
【0068】
本願の実施例によれば、上記いずれかの実施例における表示パネル100を含む電子機器がさらに提供される。
【0069】
例示的に、電子機器は、テレビ、携帯電話、タブレット、液晶ディスプレイ、ゲーム機器、ウェアラブルデバイスなどのディスプレイを有するデバイスなどであり、ここで、ウェアラブルデバイスは、スマートブレスレット、スマートグラス、スマートウォッチ、スマートデコレーションなどであってもよい。
【0070】
以上、本願の実施例に係る表示パネルの調製方法、表示パネル及び電子機器について詳細に説明した。本明細書では、具体的な例を適用して本願の原理及び実施形態について詳述したが、上記の実施例の説明は、本願の理解を助けるためにのみ用いられるものである。同時に、当業者にとっては、本願の思想に基づき、具体的な実施形態及び適用範囲にいずれも変更箇所があることから、本明細書の内容は、本願の制限として理解すべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】