(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】表示パネル及びその製造方法、表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20240711BHJP
H10K 59/124 20230101ALI20240711BHJP
H10K 50/816 20230101ALI20240711BHJP
H10K 50/844 20230101ALI20240711BHJP
H10K 71/20 20230101ALI20240711BHJP
H10K 50/818 20230101ALI20240711BHJP
H10K 59/123 20230101ALI20240711BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240711BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20240711BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
G09F9/30 338
H10K59/124
H10K50/816
H10K50/844
H10K71/20
H10K50/818
H10K59/123
G09F9/00 338
H01L29/78 618B
H01L29/78 612C
H01L21/88 R
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022546046
(86)(22)【出願日】2022-07-07
(85)【翻訳文提出日】2022-11-25
(86)【国際出願番号】 CN2022104428
(87)【国際公開番号】W WO2023240718
(87)【国際公開日】2023-12-21
(31)【優先権主張番号】202210721317.9
(32)【優先日】2022-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519182202
【氏名又は名称】深▲セン▼市▲華▼星光▲電▼半▲導▼体▲顕▼示技▲術▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】胡 靖源
(72)【発明者】
【氏名】武 凡靖
【テーマコード(参考)】
3K107
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5G435
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
本発明は、表示パネル及びその製造方法、表示装置を開示する。前記表示パネルは、順次設けられている、基板、有機平坦化層、陽極、発光層及び陰極を含み、前記陽極が、前記有機平坦化層上に順次設けられている水素バリア層、反射層及び電極層を含み、前記反射層中の金属の還元性が水素ガスの還元性よりも大きく、前記水素バリア層の材料が金属又は合金であり、前記水素バリア層中の金属の還元性が水素ガスの還元性よりも小さい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられる金属酸化物薄膜トランジスタと、
前記金属酸化物薄膜トランジスタの前記基板から遠い側に設けられ、ビアホールが内部に設けられている有機平坦化層と、
前記有機平坦化層の前記金属酸化物薄膜トランジスタから遠い側に設けられ、前記ビアホールを覆うとともに、前記金属酸化物薄膜トランジスタに接続される陽極と、
前記陽極の前記有機平坦化層から遠い側に設けられる発光層と、
前記発光層の前記陽極から遠い側に設けられる陰極と、を含み、
前記陽極は、前記有機平坦化層上に順次設けられている水素バリア層、反射層及び電極層を含み、前記反射層中の金属の還元性が水素ガスの還元性よりも大きく、前記水素バリア層の材料が金属又は合金であり、前記水素バリア層中の金属の還元性が水素ガスの還元性よりも小さい表示パネル。
【請求項2】
前記水素バリア層中の金属は、Mo、Ti及びNiの少なくとも1種を含む請求項1に記載の表示パネル。
【請求項3】
前記水素バリア層の材料は、Mo/Ti合金、Mo/Ni合金又はMo/Ti/Ni合金を含む請求項2に記載の表示パネル。
【請求項4】
前記反射層中の金属は、Alを含む請求項2に記載の表示パネル。
【請求項5】
前記反射層中の金属は、Ni、Cu及びLaの少なくとも1種をさらに含む請求項4に記載の表示パネル。
【請求項6】
前記反射層の材料がAl/Ni/Cu/La合金を含み、前記水素バリア層の材料がMo/Ni/Ti合金を含む請求項5に記載の表示パネル。
【請求項7】
前記表示パネルは、前記金属酸化物薄膜トランジスタと前記有機平坦化層との間に設けられて、第1接続孔が内部に設けられるパッシベーション層と、前記パッシベーション層と前記有機平坦化層との間に設けられて、前記第1接続孔を覆うとともに、前記陽極及び前記金属酸化物薄膜トランジスタとそれぞれ接続される第1ガード電極と、をさらに含む請求項6に記載の表示パネル。
【請求項8】
前記第1ガード電極の材料がTiである請求項7に記載の表示パネル。
【請求項9】
前記水素バリア層の材料が金属である場合には、前記金属の還元性が水素ガスの還元性よりも小さく、前記水素バリア層の材料が合金である場合には、前記合金中の少なくとも1種の金属の還元性が水素ガスの還元性よりも小さい請求項1に記載の表示パネル。
【請求項10】
前記水素バリア層の厚さは300オングストローム~2000オングストロームである請求項1に記載の表示パネル。
【請求項11】
前記反射層の材料が金属である場合には、前記金属の還元性が水素ガスの還元性よりも大きく、前記反射層の材料が合金である場合には、前記合金中の金属の還元性が水素ガスの還元性よりも大きい請求項1に記載の表示パネル。
【請求項12】
前記金属酸化物薄膜トランジスタは、前記基板上に順次設けられている酸化物半導体層、ゲート絶縁層、ゲート及びソースドレインを含み、前記表示パネルは、前記ゲートと前記ソースドレインとの間に設けられるとともに、前記ゲートの表面及び前記ソースドレインの表面とそれぞれ接触する誘電絶縁層をさらに含む請求項1に記載の表示パネル。
【請求項13】
筐体と、前記筐体に設けられている表示パネルとを含み、前記表示パネルは、
基板と、
前記基板上に設けられる金属酸化物薄膜トランジスタと、
前記金属酸化物薄膜トランジスタの前記基板から遠い側に設けられ、ビアホールが内部に設けられている有機平坦化層と、
前記有機平坦化層の前記金属酸化物薄膜トランジスタから遠い側に設けられ、前記ビアホールを覆うとともに、前記金属酸化物薄膜トランジスタに接続される陽極と、
前記陽極の前記有機平坦化層から遠い側に設けられる発光層と、
前記発光層の前記陽極から遠い側に設けられる陰極と、を含み、
前記陽極は、前記有機平坦化層上に順次設けられている水素バリア層、反射層及び電極層を含み、前記反射層中の金属の還元性が水素ガスの還元性よりも大きく、前記水素バリア層の材料が金属又は合金であり、前記水素バリア層中の金属の還元性が水素ガスの還元性よりも小さい表示装置。
【請求項14】
前記水素バリア層中の金属は、Mo、Ti及びNiの少なくとも1種を含む請求項13に記載の表示装置。
【請求項15】
前記水素バリア層の材料は、Mo/Ti合金、Mo/Ni合金又はMo/Ti/Ni合金を含む請求項14に記載の表示装置。
【請求項16】
前記反射層中の金属は、Alを含む請求項14に記載の表示装置。
【請求項17】
前記反射層中の金属は、Ni、Cu及びLaの少なくとも1種をさらに含む請求項16に記載の表示装置。
【請求項18】
前記反射層の材料がAl/Ni/Cu/La合金を含み、前記水素バリア層の材料がMo/Ni/Ti合金を含む請求項17に記載の表示装置。
【請求項19】
基板を提供するステップと、
前記基板の片側に金属酸化物薄膜トランジスタを形成するステップと、
前記金属酸化物薄膜トランジスタ上に、ビアホールが内部に設けられている有機平坦化層を形成するステップと、
前記有機平坦化層上に水素バリア基材層、反射基材層及び電極基材層を順次形成するステップであって、前記反射基材層中の金属の還元性が水素ガスの還元性よりも大きく、前記水素バリア基材層の材料が金属又は合金であり、前記水素バリア基材層中の金属の還元性が水素ガスの還元性よりも小さくなる、ステップと、
前記水素バリア基材層、前記反射基材層及び前記電極基材層をアニール処理するステップと、
前記水素バリア基材層、前記反射基材層及び前記電極基材層をパターニングして、前記水素バリア基材層から水素バリア層を形成し、前記反射基材層から反射層を形成し、前記電極基材層から電極層を形成し、前記水素バリア層、前記反射層及び前記電極層は陽極を構成し、前記陽極が前記ビアホールを覆うとともに、前記金属酸化物薄膜トランジスタに接続されるステップと、
前記陽極上に発光層及び陰極を順次形成するステップと、を含む表示パネルの製造方法。
【請求項20】
前記反射基材層の材料がAl/Ni/Cu/La合金を含み、前記水素バリア基材層の材料がMo/Ni/Ti合金を含み、前記水素バリア基材層、前記反射基材層及び前記電極基材層をパターニングする前記ステップは、
前記電極層を形成するように、前記電極基材層をドライエッチング法によりエッチングすることと、
前記反射層及び前記水素バリア層をそれぞれ形成するように、同一のウェットエッチング法により前記反射基材層及び前記水素バリア基材層をエッチングすることと、を含む請求項19に記載の表示パネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示の技術分野に関し、具体的には表示パネル及びその製造方法、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トップエミッション型のアクティブマトリクス式有機発光ダイオード(Active Matrix Organic Light Emitting Diode,AMOLED)表示製品では、膜層全体の平坦性を高めるために、通常、薄膜トランジスタと陽極(アノード)との間に平坦化層を設ける。しかしながら、平坦化層の材料は有機材料であるため、平坦化層は、外部環境や製品製造時に発生する水蒸気を吸収し、平坦化層の内部に少量の水蒸気が存在する。
【0003】
従来技術のトップエミッション型のAMOLED表示パネルでは、通常、陽極は反射膜と電極層との積層構造となっている。反射膜は電極層の平坦化層に近い側に位置し、反射膜の材料は一般に反射率の高い金属である。反射膜材料に用いられるアルミニウム等の金属は活性が強いため、電極層の成膜法における高温製造工程で、平坦化層と反射膜とが直接接触することにより、平坦化層中の水をイオン化して水素イオンを発生させる。水素イオンが薄膜トランジスタに近づく方向に沿って酸化物半導体層のチャネルに拡散すると、チャネルを導電体として導電体化し、薄膜トランジスタの電気的特性に深刻なマイナスドリフトを生じさせ、薄膜トランジスタの電気的安定性を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、薄膜トランジスタの電気的安定性を向上させるための、表示パネル及びその製造方法、表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、
基板と、
前記基板上に設けられる金属酸化物薄膜トランジスタと、
前記金属酸化物薄膜トランジスタの前記基板から遠い側に設けられ、ビアホールが内部に設けられている有機平坦化層と、
前記有機平坦化層の前記金属酸化物薄膜トランジスタから遠い側に設けられ、前記ビアホールを覆うとともに、前記金属酸化物薄膜トランジスタに接続される陽極と、
前記陽極の前記有機平坦化層から遠い側に設けられる発光層と、
前記発光層の前記陽極から遠い側に設けられる陰極と、を含み、
前記陽極は、前記有機平坦化層上に順次設けられている水素バリア層、反射層及び電極層を含み、前記反射層中の金属の還元性が水素ガスの還元性よりも大きく、前記水素バリア層の材料が金属又は合金であり、前記水素バリア層中の金属の還元性が水素ガスの還元性よりも小さい表示パネルを提供する。
【0006】
所望により、本発明のいくつかの実施形態において、前記水素バリア層中の金属は、Mo、Ti及びNiの少なくとも1種を含む。
【0007】
所望により、本発明のいくつかの実施形態において、前記水素バリア層の材料は、Mo/Ti合金、Mo/Ni合金又はMo/Ti/Ni合金を含む。
【0008】
所望により、本発明のいくつかの実施形態において、前記反射層中の金属は、Alを含む。
【0009】
所望により、本発明のいくつかの実施形態において、前記反射層中の金属は、Ni、Cu及びLaの少なくとも1種をさらに含む。
【0010】
所望により、本発明のいくつかの実施形態において、前記反射層の材料がAl/Ni/Cu/La合金を含み、前記水素バリア層の材料がMo/Ni/Ti合金を含む。
【0011】
所望により、本発明のいくつかの実施形態において、前記表示パネルは、前記金属酸化物薄膜トランジスタと前記有機平坦化層との間に設けられて、第1接続孔が内部に設けられるパッシベーション層と、前記パッシベーション層と前記有機平坦化層との間に設けられて、前記第1接続孔を覆うとともに、前記陽極及び前記金属酸化物薄膜トランジスタとそれぞれ接続される第1ガード電極と、をさらに含む。
【0012】
所望により、本発明のいくつかの実施形態において、前記金属酸化物薄膜トランジスタは、前記基板上に順次設けられている酸化物半導体層、ゲート絶縁層、ゲート及びソースドレインを含み、前記表示パネルは、前記ゲートと前記ソースドレインとの間に設けられるとともに、前記ゲートの表面及び前記ソースドレインの表面とそれぞれ接触する誘電絶縁層をさらに含む。
【0013】
本発明の実施形態は、筐体と、前記筐体に設けられている表示パネルとを含み、前記表示パネルが上述したいずれかの実施形態に記載の表示パネルである表示装置を提供する。
【0014】
本発明の実施形態は、
基板を提供するステップと、
前記基板の片側に金属酸化物薄膜トランジスタを形成するステップと、
前記金属酸化物薄膜トランジスタ上に、ビアホールが内部に設けられている有機平坦化層を形成するステップと、
前記有機平坦化層上に水素バリア基材層、反射基材層及び電極基材層を順次形成するステップであって、前記反射基材層中の金属の還元性が水素ガスの還元性よりも大きく、前記水素バリア基材層の材料が金属又は合金であり、前記水素バリア基材層中の金属の還元性が水素ガスの還元性よりも小さくなる、ステップと、
前記水素バリア基材層、前記反射基材層及び前記電極基材層をアニール処理するステップと、
前記水素バリア基材層、前記反射基材層及び前記電極基材層をパターニングして、前記水素バリア基材層から水素バリア層を形成し、前記反射基材層から反射層を形成し、前記電極基材層から電極層を形成し、前記水素バリア層、前記反射層及び前記電極層は陽極を構成し、前記陽極が前記ビアホールを覆うとともに、前記金属酸化物薄膜トランジスタに接続されるステップと、
前記陽極上に発光層及び陰極を順次形成するステップと、を含む表示パネルの製造方法をさらに提供する。
【0015】
所望により、本発明のいくつかの実施形態において、前記反射基材層の材料がAl/Ni/Cu/La合金を含み、前記水素バリア基材層の材料がMo/Ni/Ti合金を含み、前記水素バリア基材層、前記反射基材層及び前記電極基材層をパターニングする前記ステップは、
前記電極層を形成するように、前記電極基材層をドライエッチング法によりエッチングすることと、
前記反射層及び前記水素バリア層をそれぞれ形成するように、同一のウェットエッチング法により前記反射基材層及び前記水素バリア基材層をエッチングすることと、を含む。
【発明の効果】
【0016】
従来技術における表示パネルに比べて、本発明に係る表示パネルは、有機平坦化層と反射層との間に水素バリア層を設けて、水素バリア層中の金属の還元性が水素ガスの還元性よりも小さく、還元性が水素ガスよりも大きい活性の強い金属に比べて、水素バリア層中の金属の活性が弱いので、電極層の成膜法における高温製造工程において、有機平坦化層中の水をイオン化して水素イオンを生成することができず、さらに水素イオンがチャネルに拡散することを防止し、チャネルの導電体化を防止し、薄膜トランジスタの電気的特性のマイナスドリフトの確率を低下させ、薄膜トランジスタの電気的安定性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の実施形態における技術的手段をより明確に説明するために、以下、実施形態の説明で使用する必要がある図面を簡単に紹介し、以下の説明における図面は、本発明の幾つかの実施形態に過ぎなく、当業者にとっては創造的努力なしにこれらの図面から他の図面を導き出すこともできることは明らかである。
【
図1】
図1は従来技術における表示パネルの構造概略図である。
【
図2】
図2は本発明の実施形態に係る表示パネルの構造概略図である。
【
図3】
図3は本発明に係る表示パネルの製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態における図面を参照しながら、本発明の実施形態における技術的手段を明確かつ完全に説明するが、説明した実施形態は本発明の実施形態のすべてではなく、単に実施形態の一部であることは明らかである。本発明における実施形態に基づいて、当業者が創造的努力なしに取得したすべての他の実施形態は、いずれも本発明の保護範囲に属している。また、ここで記載する具体的な実施形態は本発明を説明や解釈するためのものであり、本発明を限定するためのものではないことを理解されたい。本発明において、反対の説明がなされない場合、「上」及び「下」などの使用される方向語は、通常、装置が実際に使用されている状態又は稼働している状態における上及び下を意味し、具体的に添付図面における図面方向であるが、「内」及び「外」は、装置の輪郭について示すものである。
【0019】
図1に示すように、従来技術の有機発光ダイオード表示パネル100’では、陽極10’は反射膜11’と電極層12’との積層構造である。反射膜11’の材料は、高い反射率を有する活性金属であり、例えば、アルミニウム又は活性金属を含む合金であり、電極層12’の材料は金属酸化物である。具体的には、陽極10’の製造方法は、まず、全面の反射膜及び金属層を形成すること、次に、金属層中の金属を酸化して金属酸化物を形成するように、酸素雰囲気中で高温アニール処理を行い、前記金属酸化物を陽極10’の電極材料とすること、最後に、パターニングすることによりパターン化された反射膜11’及びパターン化された電極層12’を形成することを含む。しかしながら、上述した高温条件下で、平坦化層20’及び反射膜11’が直接接触して平坦化層20’中の水をイオン化して水素イオンを生成し、誘電絶縁層30’の上下面に緻密な酸化アルミニウム層40’をそれぞれ設けることで、平坦化層20’中の水素イオンが酸化物半導体層50’へ拡散することを防止し、チャネル51’を効果的に保護し、チャネル51’が導電体化されることを防止する。
【0020】
しかしながら、上記の設計について、本発明の発明者らは実施や検討から、酸化アルミニウム層40’の構成には、第1に、酸化アルミニウム層40’を設けることで新たな製造工程が追加されるため、製造コストが高くなり、例えば、酸化アルミニウム層40’の成膜法に物理的気相成長法を用いる必要があるため、物理的気相成長装置の使用により装置コストが大幅に上昇する、第2に、酸化アルミニウムの成膜過程で使用する原材料が酸化アルミニウムターゲットであり、酸化アルミニウムターゲット中にアルミニウム粒子が存在するため、成膜過程で系内に異物が存在し、さらに表示パネルに黒点が発生し、製品の製造歩留まりが低下する、第3に、誘電絶縁層30’の開口はエッチング法によって形成されるため、酸化アルミニウム層40’を設けることにより、上記エッチング法におけるプロセスパラメータを改めて調整する必要があり、生産能力の負担を増加する、という技術的課題があることを見出した。
【0021】
従来技術に存在する上記技術的課題に対して、本発明は、表示パネル及びその製造方法、表示装置を提供する。以下、それぞれ詳細に説明する。
【0022】
本発明は、基板、金属酸化物薄膜トランジスタ、有機平坦化層、陽極、発光層及び陰極を含む表示パネルを提供する。金属酸化物薄膜トランジスタが基板上に設けられる。有機平坦化層が金属酸化物薄膜トランジスタの基板から遠い側に設けられる。有機平坦化層内にはビアホールが設けられている。陽極が有機平坦化層の金属酸化物薄膜トランジスタから遠い側に設けられる。陽極がビアホールを覆うとともに、金属酸化物薄膜トランジスタに接続される。発光層が陽極の有機平坦化層から遠い側に設けられる。陰極が発光層の陽極から遠い側に設けられる。陽極は、有機平坦化層上に順次設けられる水素バリア層、反射層及び電極層を含む。反射層中の金属の還元性が水素ガスの還元性よりも大きい。水素バリア層の材料が金属又は合金であり、水素バリア層中の金属の還元性が水素ガスの還元性よりも小さい。
【0023】
したがって、本発明に係る表示パネルは、有機平坦化層と反射層との間に水素バリア層を設け、水素バリア層中の金属の還元性が水素ガスの還元性よりも小さく、還元性が水素ガスよりも大きい活性の強い金属に比べて、水素バリア層中の金属の活性が弱いので、電極層の成膜法における高温製造工程において、有機平坦化層中の水をイオン化して水素イオンを生成することができず、さらに水素イオンがチャネルに拡散することを防止し、チャネルの導電体化を防止し、薄膜トランジスタの電気的特性のマイナスドリフトの確率を低下させ、薄膜トランジスタの電気的安定性を向上させる。
【0024】
以下、具体的な実施形態により本発明に係る表示パネルを詳細に説明する。
【0025】
図2に示すように、本発明の実施形態は、基板10、遮光電極11、バッファ層12、金属酸化物薄膜トランジスタ13、誘電絶縁層14、パッシベーション層15、第1ガード電極16、有機平坦化層17、陽極18、画素定義層19、発光層20及び陰極21を含む表示パネル100を提供する。
【0026】
基板10は、ガラス基板などの硬質基板であってもよく、又は、さらにポリイミド基板などのフレキシブル基板であってもよく、本発明では基板10の材質を特に限定するものではない。
【0027】
遮光電極11は、基板10の片側に設けられる。遮光電極11の材料は、Mo、Ti、Cu又はMnであってもよく、また、これらの少なくとも2種の金属からなる合金であってもよい。
【0028】
バッファ層12は、遮光電極11の基板10から遠い側に設けられ、単層構造、二層構造又は多層構造であってもよい。バッファ層12の材料が、酸化シリコン、窒化シリコン又は酸窒化シリコンの1種以上を含むことができる。例えば、バッファ層12が二層構造である場合に、前記二層構造は、酸化シリコンを絶縁材料とするボトム層と、窒化シリコンを絶縁材料とするトップ層と、を含むことができる。
【0029】
金属酸化物薄膜トランジスタ13は、バッファ層12の遮光電極11から遠い側に設けられ、酸化物半導体層131、ゲート絶縁層132、ゲート133及びソースドレイン134を含む。
【0030】
なお、本発明における金属酸化物薄膜トランジスタ13はトップゲート型構造であってもよいし、ボトムゲート型構造であってもよい。本実施形態はトップゲート型構造の金属酸化物薄膜トランジスタ13を例として説明するが、本発明を限定するものとして理解されるべきではない。
【0031】
酸化物半導体層131は、バッファ層12上に設けられ、チャネル1311と、チャネル1311の対向する両側に設けられる導通部1312とを含む。酸化物半導体層131の材料が、IGZO、IGTO、IZTO、IGZTO、ITO及びIZOの1種以上などの金属酸化物を含む。本実施形態において、酸化物半導体層131の材料がIGZOである。
【0032】
ゲート絶縁層132は、酸化物半導体層131のバッファ層12から遠い側に設けられる。ゲート絶縁層132の材料が、酸化シリコン、窒化シリコン又は酸窒化シリコンの1種以上を含むことができる。例えば、ゲート絶縁層132が二層構造である場合に、前記二層構造は、酸化シリコンを絶縁材料とするボトム層と、窒化シリコンを絶縁材料とするトップ層と、を含むことができる。
【0033】
ゲート133は、ゲート絶縁層132の酸化物半導体層131から遠い側に設けられ、単層構造、二層構造又は多層構造であってもよい。ゲート133の材料はCu、Al、Mo及びTiの1種以上を含むことができる。例えば、ゲート133が二層構造である場合に、前記二層構造は、Moを導電材料とするボトム層と、Cuを導電材料とするトップ層と、を含むことができる。
【0034】
ソースドレイン134は、ゲート133のゲート絶縁層132から遠い側に設けられ、チャネル1311の片側の導通部1312に接続されるソース1341と、チャネル1311の他側の導通部1312に接続されるドレイン1342とを含む。具体的には、ソースドレイン134は、単層構造、二層構造又は多層構造であってもよい。ソースドレイン134の材料はCu、Al、Mo及びTiの1種以上を含むことができる。例えば、ソースドレイン134が二層構造である場合に、前記二層構造は、Moを導電材料とするボトム層と、Cuを導電材料とするトップ層と、を含むことができる。
【0035】
なお、本実施形態において、表示パネル100は、ソースドレイン134と同一層であって間隔をおいて設けられるボンディングパッド134aをさらに含む。ボンディングパッド134aは、ボンディング領域(図示せず)に設けられており、従来技術であるので、ここでは説明を省略する。
【0036】
さらに、本実施形態において、表示パネル100は、遮光電極11と同一層であって間隔を置いて設けられる第1導電部11aと、酸化物半導体層131と同一層であって間隔をおいて設けられる第2導電部131aとをさらに含む。第1導電部11aと第2導電部131aとの間に容量を形成するように、第1導電部11aの基板10のある平面への正射影と、第2導電部131aの基板10のある平面への正射影とが少なくとも部分的に重なっている。プロセスの製造コストを節約するように、第1導電部11aと遮光電極11とは同じプロセスで製造されて得られ、第2導電部131aと酸化物半導体層131とは同じプロセスで製造されて得られる。
【0037】
誘電絶縁層14は、ゲート133とソースドレイン134との間に設けられる。誘電絶縁層14の材料は、酸化シリコン、窒化シリコン又は酸窒化シリコンの1種以上を含むことができる。例えば、誘電絶縁層14が二層構造である場合に、前記二層構造は、酸化シリコンを絶縁材料とするボトム層と、窒化シリコンを絶縁材料とするトップ層と、を含むことができる。
【0038】
パッシベーション層15は、ソースドレイン層134の誘電絶縁層14から遠い側に設けられ、ドレイン1342を露出させる第1接続孔151と、ボンディングパッド134aを露出させる第2接続孔152とが内部に設けられ、単層構造、二層構造又は多層構造であってもよい。パッシベーション層15の材料は、酸化シリコン、窒化シリコン又は酸窒化シリコンの1種以上を含むことができる。例えば、パッシベーション層15が二層構造である場合に、前記二層構造は、酸化シリコンを絶縁材料とするボトム層と、窒化シリコンを絶縁材料とするトップ層と、を含むことができる。
【0039】
第1ガード電極16は、パッシベーション層15のソースドレイン134から遠い側に設けられ、第1接続孔151を覆うとともに、ドレイン1342に接続される。本実施形態において、第1ガード電極16の材料は、Ti等の耐腐食性に優れた金属であってもよい。また、表示パネル100は、第1ガード電極16と同一層であって間隔をおいて設けられるとともに、同じプロセスで形成される第2ガード電極16aをさらに含む。第2ガード電極16aは第2接続孔152内に延びるとともに、ボンディングパッド134aに接続される。
【0040】
有機平坦化層17は、金属保護層のパッシベーション層15から遠い側に設けられ、第1接続孔151に連通するビアホール171が内部に設けられている。有機平坦化層17の材料は、アクリル樹脂又はエポキシ樹脂等の有機材料であってもよい。
【0041】
陽極18は、有機平坦化層17の金属保護層から遠い側に設けられ、ビアホール171内に延びるとともに、第1ガード電極16に接続され、有機平坦化層17上に順次設けられる水素バリア層181、反射層182及び電極層183を含む。
【0042】
本実施形態において、水素バリア層181の材料は金属又は合金である。水素バリア層181中の金属の還元性は水素ガスの還元性よりも小さい。具体的には、水素バリア層181の材料が金属である場合には、前記金属の還元性は水素ガスの還元性よりも小さく、水素バリア層181の材料が合金である場合には、前記合金中の少なくとも1種の金属の還元性は水素ガスの還元性よりも小さい。
【0043】
上記の構成により、還元性が水素ガスよりも大きい活性の強い金属に比べて、水素バリア層181中の金属の活性は弱くなり、高温条件下であっても、水素バリア層181と有機平坦化層17との接触は、有機平坦化層17中の水をイオン化して水素イオンを形成することはないため、水素イオンがチャネル1311へ拡散することを防止して、チャネル1311の導電体化を防止し、金属酸化物薄膜トランジスタ13の電気的特性にマイナスドリフトが発生する確率を低下させ、金属酸化物薄膜トランジスタ13の電気的安定性を向上させる。
【0044】
なお、本発明において、金属の活性の強弱は相対的なものであり、つまり、金属の還元性と水素ガスの還元性との相対的な大きさを基準として、金属の還元性が水素ガスの還元性よりも大きいと、該金属は強い活性を有し、金属の還元性が水素ガスの還元性よりも小さいと、該金属は弱い還元性を有する。
【0045】
水素バリア層181中の金属は、Mo、Ti及びNiの少なくとも1種を含むことができる。いくつかの具体的な実施形態において、水素バリア層181の材料は、Mo、Ti又はNi等の金属であってもよい。また、いくつかの具体的な実施形態において、水素バリア層181の材料は、Mo/Ti合金、Mo/Ni合金又はMo/Ti/Ni合金等の合金であってもよい。本実施形態において、水素バリア層181の材料はMo/Ti/Ni合金である。
【0046】
さらに、水素バリア層181の厚さは300オングストローム~2000オングストロームであってもよい。上記厚さの範囲内にあると、水素バリア層181は優れた水素バリア効果を有するとともに、反射層182との導通性を良好に保つことができる。いくつかの具体的な実施形態において、水素バリア層181の厚さは、300オングストローム、500オングストローム、800オングストローム、1000オングストローム、1200オングストローム、1500オングストローム、1800オングストローム又は2000オングストロームであってもよい。
【0047】
反射層182の材料は、金属又は合金であってもよい。反射層182の材料が金属である場合には、前記金属の還元性は水素ガスの還元性よりも大きく、反射層182の材料が合金である場合には、前記合金中の金属の還元性は水素ガスの還元性よりも大きい。具体的には、反射層182中の金属はAlを含む。さらに、反射層182中の金属は、Ni、Cu及びLaの少なくとも1種をさらに含むことができる。本実施形態において、反射層182の材料はAl/Ni/Cu/La合金である。
【0048】
電極層183の材料は、酸化インジウムスズ、酸化インジウム亜鉛又は酸化タングステン等の透明金属酸化物であってもよい。本実施形態において、電極層183は電子を励起させる能力を高めるように、電極層183の材料は酸化タングステンである。
【0049】
本発明の発明者らは、
図1における有機発光ダイオード表示パネル100’のように水素バリア層181が設けられていないパネル構造では、薄膜トランジスタの電気的安定性が低く、即ち薄膜トランジスタの閾値電圧のマイナスバイアスが深刻であり、閾値電圧のマイナスバイアス値が5V~9Vに達することを試験から見出した。これに対して、本実施形態では、水素バリア層181を設けることにより、金属酸化物薄膜トランジスタ13の閾値電圧のマイナスバイアス値を1Vに低減することができる。これにより、本実施形態では、水素バリア層181を設けることにより、薄膜トランジスタの閾値電圧のマイナスバイアス値を大幅に低減することができ、薄膜トランジスタの電気的マイナスドリフトの確率を低減し、薄膜トランジスタの電気的安定性を向上させることができる。
【0050】
本実施形態では、誘電絶縁層14がゲート133とソースドレイン134との間に設けられるとともに、ゲート133の表面及びソースドレイン134の表面にそれぞれ接触する。水素バリア層181を設けることにより、有機平坦化層17で水素イオンの発生を防止することができ、即ちチャネル1311への水素イオンの拡散を効果的に防止することができるので、本実施形態において、チャネル1311を保護するために、誘電絶縁層14の表面に酸化アルミニウム層40’を追加して設ける必要がない。したがって、本実施形態に係る表示パネル100は、従来技術において誘電絶縁層14の上下面に酸化アルミニウム層40’をそれぞれ設ける構成と比べて、第1に、酸化アルミニウム層40’の製造に要する設備コストを省くことができる;第2に、酸化アルミニウム層40’の成膜過程で異物の存在による製品歩留まりの損失を防止して製品歩留まりを向上させることができる;第3に、誘電絶縁層14のエッチング法において、エッチング法におけるプロセスパラメータを改めて調整する必要がなく、生産能力の負担を低減することができる、という利点を有する。
【0051】
画素定義層19は、陽極18の有機平坦化層17から遠い側に設けられ、陽極18を露出させる開口191が内部に設けられている。発光層20が開口191内に設けられる。陰極21が発光層20の陽極18から遠い側に設けられる。なお、画素定義層19、発光層20及び陰極21の具体的な構成及び材料については、従来技術を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0052】
本発明は、携帯電話、タブレット、ノートパソコン、テレビ等の表示製品である表示装置をさらに提供する。前記表示装置は、筐体と、前記筐体に設けられている表示パネルとを含み、前記表示パネルが上述した実施形態に係る表示パネル100であってもよく、表示パネル100の具体的な構成については、前記実施形態の説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0053】
図3に示すように、本発明は、ステップ101~ステップ107を含む表示パネルの製造方法をさらに提供し、
ステップ101、基板を提供する。
ステップ102、基板の片側に金属酸化物薄膜トランジスタを形成する。
ステップ103、金属酸化物薄膜トランジスタ上に、ビアホールが内部に設けられている有機平坦化層を形成する。
ステップ104、有機平坦化層上に水素バリア基材層、反射基材層及び電極基材層を順次形成し、反射基材層中の金属の還元性が水素ガスの還元性よりも大きく、水素バリア基材層の材料が金属又は合金であり、水素バリア基材層中の金属の還元性が水素ガスの還元性よりも小さくなる。
ステップ105、水素バリア基材層、反射基材層及び電極基材層をアニール処理する。
ステップ106、水素バリア基材層、反射基材層及び電極基材層をパターニングして、水素バリア基材層から水素バリア層を形成し、反射基材層から反射層を形成し、電極基材層から電極層を形成し、水素バリア層、反射層及び電極層は陽極を構成し、陽極がビアホールを覆うとともに、金属酸化物薄膜トランジスタに接続される。
ステップ107、陽極上に発光層及び陰極を順次形成する。
【0054】
したがって、本発明に係る表示パネルの製造方法は、有機平坦化層と反射層との間に水素バリア層を設けて、水素バリア層中の金属の還元性が水素ガスの還元性よりも小さく、還元性が水素ガスよりも大きい活性の強い金属に比べて、水素バリア層中の金属の活性が弱いので、アニール処理時の高温条件では、有機平坦化層中の水をイオン化して水素イオンを生成することができず、さらに水素イオンがチャネルに拡散することを防止し、チャネルの導電体化を防止し、薄膜トランジスタの電気的特性のマイナスドリフトの確率を低下させ、薄膜トランジスタの電気的安定性を向上させる。
【0055】
図3、
図4A~
図4Iに示すように、以下、具体的な実施形態により本発明に係る表示パネル100の製造方法を詳細に説明する。本発明に係る表示パネル100の製造方法は、ステップ101~ステップ107を含む。
【0056】
ステップ101、
図4Aに示すように、基板10を提供する。
【0057】
基板10は、ガラス基板などの硬質基板であってもよく、又は、さらにポリイミド基板などのフレキシブル基板であってもよく、本発明では基板10の材質を特に限定するものではない。
【0058】
ステップ102、
図4Bに示すように、基板10の片側に金属酸化物薄膜トランジスタ13を形成する。
【0059】
具体的には、金属酸化物薄膜トランジスタ13は、基板10上に形成され、順次形成される、酸化物半導体層131、ゲート絶縁層132、ゲート133及びソースドレイン134を含む。酸化物半導体層131は、チャネル1311と、チャネル1311の対向する両側に設けられる導通部1312とを含む。ソースドレイン134は、チャネル1311の片側の導通部1312に接続されるソース1341と、チャネル1311の他側の導通部1312に接続されるドレイン1342とを含む。
【0060】
本実施形態において、ゲート133とソースドレイン134との間には、ゲート133の表面及びソースドレイン134の表面にそれぞれ接触する誘電絶縁層14が形成されている。また、ソースドレイン134を形成する同時に、ボンディング領域に位置するボンディングパッド134aを形成している。
【0061】
なお、ステップ101とステップ102との間において、表示パネル100の製造方法は、基板10上に遮光電極11、第1導電部11a及びバッファ層12を順次形成するステップをさらに含むが、ここでその説明は省略する。
【0062】
ステップ103、金属酸化物薄膜トランジスタ13上に、ビアホール171が内部に設けられている有機平坦化層17を形成する。
【0063】
図4C~
図4Eに示すように、ステップ103は、具体的には、金属酸化物薄膜トランジスタ13上にパッシベーション層15、第1ガード電極16、第2ガード電極16a、及び有機平坦化層17を順次形成することを含む。パッシベーション層15には、
図4Cに示すように、ドレイン1342を露出させる第1接続孔151と、ボンディングパッド134aを露出させる第2接続孔152とが形成されている。
図4Dに示すように、第1ガード電極16は第1接続孔151を覆うとともに、ドレイン1342に接続され、第2ガード電極16aは第2接続孔152内に延びるとともに、ボンディングパッド134aに接続される。
図4Eに示すように、有機平坦化層17内には、第1接続孔151に連通するビアホール171が設けられている。
【0064】
ステップ104、
図4Fに示すように、有機平坦化層17上に水素バリア基材層181a、反射基材層182a及び電極基材層183aを順次形成し、反射基材層182a中の金属の還元性が水素ガスの還元性よりも大きく、水素バリア基材層181aの材料が金属又は合金であり、水素バリア基材層181a中の金属の還元性が水素ガスの還元性よりも小さくなる。
【0065】
本実施形態において、水素バリア基材層181aの材料は金属又は合金であり、具体的には物理気相成長法により水素バリア基材層181aを形成することができる。水素バリア基材層181a中の金属の還元性は水素ガスの還元性よりも小さい。具体的には、水素バリア基材層181aの材料が金属である場合には、前記金属の還元性は水素ガスの還元性よりも小さく、水素バリア基材層181aの材料が合金である場合には、前記合金中の少なくとも1種の金属の還元性は水素ガスの還元性よりも小さい。
【0066】
水素バリア基材層181a中の金属は、Mo、Ti及びNiの少なくとも1種を含むことができる。いくつかの具体的な実施形態において、水素バリア基材層181aの材料は、Mo、Ti又はNi等の金属であってもよい。また、いくつかの具体的な実施形態において、水素バリア基材層181aの材料は、Mo/Ti合金、Mo/Ni合金又はMo/Ti/Ni合金等の合金であってもよい。本実施形態において、水素バリア基材層181aの材料はMo/Ti/Ni合金である。
【0067】
さらに、水素バリア基材層181aの厚さは、300オングストローム~2000オングストロームであってもよい。いくつかの具体的な実施形態において、水素バリア基材層181aの厚さは、300オングストローム、500オングストローム、800オングストローム、1000オングストローム、1200オングストローム、1500オングストローム、1800オングストローム又は2000オングストロームであってもよい。
【0068】
反射基材層182aの材料は金属又は合金であってもよく、具体的には物理気相成長法により反射基材層182aを形成することができる。反射基材層182aの材料が金属である場合には、前記金属の還元性は水素ガスの還元性よりも大きく、反射基材層182aの材料が合金である場合には、前記合金中の金属の還元性は水素ガスの還元性よりも大きい。具体的には、反射基材層182a中の金属はAlを含む。さらに、反射基材層182a中の金属は、Ni、Cu及びLaの少なくとも1種をさらに含むことができる。本実施形態において、反射基材層182aの材料はAl/Ni/Cu/La合金である。
【0069】
電極基材層183aの材料は酸化インジウムスズ又はタングステンであってもよく、具体的には物理気相成長法により電極基材層183aを形成することができる。本実施形態において、電極基材層183aの材料はタングステンである。
【0070】
ステップ105、引続き
図4Fに示すように、水素バリア基材層181a、反射基材層182a及び電極基材層183aをアニール処理する。
【0071】
具体的には、酸素雰囲気で、電極基材層183a中のタングステンを酸化タングステンとして酸化するように、水素バリア基材層181a、反射基材層182a及び電極基材層183aが位置するチャンバをアニール処理する。水素バリア基材層181aの材料及び反射基材層182aの材料はそれぞれ酸素の影響を受けない。
【0072】
ステップ106、
図4Gに示すように、水素バリア基材層181a、反射基材層182a及び電極基材層183aをパターニングして、水素バリア基材層181aから水素バリア層181を形成し、反射基材層182aから反射層182を形成し、電極基材層183aから電極層183を形成し、水素バリア層181、反射層182及び電極層183は陽極18を構成し、陽極18がビアホール171を覆うとともに、金属酸化物薄膜トランジスタ13に接続される。
【0073】
ステップ106は具体的には、まず、電極層183を形成するように、ドライエッチング法により電極基材層183aをエッチングすることと、次に、反射層182及び水素バリア層181をそれぞれ形成するように、同じウェットエッチング法により反射基材層182a及び水素バリア基材層181aをエッチングすることとを含む。ウェットエッチング法では、反射基材層182aと水素バリア基材層181aとが同じエッチング液環境下にあり、例えば、いずれもアルミン酸エッチング液系にあるため、陽極18の製造プロセスの複雑性の低下を防止することができる。
【0074】
以上のように、本実施形態では、還元性が水素ガスよりも大きい活性の強い金属に比べて、水素バリア層181中の金属の活性が弱くなり、高温条件下で、水素バリア層181と有機平坦化層17との接触は、有機平坦化層17中の水をイオン化して水素イオンを形成することはないため、水素イオンがチャネル1311へ拡散することを防止して、チャネル1311の導電体化を防止し、金属酸化物薄膜トランジスタ13の電気的特性のマイナスドリフトの確率を低下させ、金属酸化物薄膜トランジスタ13の電気的安定性を向上させる。
【0075】
本発明の発明者らは、
図1における有機発光ダイオード表示パネル100’のように水素バリア層181が設けられていないパネル構造では、薄膜トランジスタの電気的安定性が低く、即ち薄膜トランジスタの閾値電圧のマイナスバイアスが深刻であり、閾値電圧のマイナスバイアス値が5V~9Vに達することを試験から見出した。これに対して、本実施形態では、水素バリア層181を設けることにより、金属酸化物薄膜トランジスタ13の閾値電圧のマイナスバイアス値を1Vまで低減することができる。これにより、本実施形態では、水素バリア層181を設けることにより、薄膜トランジスタの閾値電圧のマイナスバイアス値を大幅に低減することができ、薄膜トランジスタの電気的マイナスドリフトの確率を低減し、薄膜トランジスタの電気的安定性を向上させることができる。
【0076】
さらに、本実施形態は、前記ステップ102で説明したように、有機平坦化層17と反射層182との間に水素バリア層181を設けているので、チャネル1311を保護するように誘電絶縁層14の表面に酸化アルミニウム層40’を追加して設ける必要がない。したがって、本実施形態に係る表示パネル100は、従来技術において誘電絶縁層14の上下面に酸化アルミニウム層40’をそれぞれ形成する構成と比べて、第1に、酸化アルミニウム層40’を製造するのに要する設備コストを省くことができる;第2に、酸化アルミニウム層40’の成膜過程で異物の存在による製品歩留まりの損失を防止して、製品歩留まりを向上させることができる;第3に、誘電絶縁層14のエッチング法において、エッチング法におけるプロセスパラメータを改めて調整する必要がなく、生産能力の負担を低減することができる、という利点を有する。
【0077】
ステップ106の後に、表示パネル100の製造方法は、陽極18上に画素定義層19を形成するステップをさらに含み、
図4Hに示すように、画素定義層19には、陽極18を露出させる開口191が形成されている。
【0078】
ステップ107、
図4Iに示すように、陽極18上に発光層20及び陰極21を順次形成する。
【0079】
発光層20の材料及び製造方法、陰極21の材料及び製造方法は、いずれも従来技術を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0080】
以上、本発明の実施形態に係る表示パネル及びその製造方法、表示装置について詳細に説明し、本明細書では、具体的な実施形態を用いて本発明の原理及び実施形態について説明した。以上の実施形態の説明は本発明の方法及びその核心的な思想を理解するためのものに過ない。同時に、当業者であれば、本発明の構想に基づき、具体的な実施形態及び適用範囲に変更を加えることがあり、要約すると、本明細書の内容は本発明を限定するものとして理解されるべきではない。
【国際調査報告】