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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】同軸スピーカ
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/26 20060101AFI20240711BHJP
   H04R 1/00 20060101ALI20240711BHJP
   H04R 9/02 20060101ALI20240711BHJP
   H04R 7/04 20060101ALI20240711BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
H04R1/26
H04R1/00 311
H04R9/02 102Z
H04R7/04
H04R1/02 101Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022579754
(86)(22)【出願日】2022-07-20
(85)【翻訳文提出日】2022-12-22
(86)【国際出願番号】 CN2022106730
(87)【国際公開番号】W WO2024000687
(87)【国際公開日】2024-01-04
(31)【優先権主張番号】202221705862.0
(32)【優先日】2022-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517409583
【氏名又は名称】エーエーシー マイクロテック(チャンヂョウ)カンパニー リミテッド
【住所又は居所原語表記】No.3 changcao road, Hi-TECH Industrial Zone, Wujin District, Changzhou City, Jiangsu Province, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(72)【発明者】
【氏名】任 璋
(72)【発明者】
【氏名】▲鍾▼ 志威
【テーマコード(参考)】
5D012
5D016
5D017
5D018
【Fターム(参考)】
5D012BB03
5D012BB04
5D012DA04
5D012FA05
5D012GA01
5D016AA04
5D017AB03
5D017AD40
5D018AC01
(57)【要約】
【課題】同軸スピーカを提供する。
【解決手段】フレーム、振動システム及び磁気回路システムを含み、振動システムは振動膜及びボイスコイルを含み、磁気回路システムは伝達チャンバー、内磁気ギャップ及び外磁気ギャップを有し、伝達チャンバーは磁気回路システムを貫通し、振動膜は第1振動膜、第2振動膜及び第3振動膜を含み、第1振動膜及び第3振動膜は伝達チャンバーを密封し、ボイスコイルは、内磁気ギャップに挿入され且つ第3振動膜の振動を駆動する第1ボイスコイルと、外磁気ギャップに挿入され且つ第2振動膜の振動を駆動する第2ボイスコイルとを含み、第2振動膜は低音の発音に用いられ、第3振動膜が発する高音は伝達チャンバーを介して第1振動膜により発する。同軸スピーカは周波数帯域の範囲を増加させ、高音の変換効率を向上させ、振動システムから音出し口までのフロントチャンバの長さを短くすることによりフロントチャンバの共振によってエネルギー損失を減少させるだけでなく、高音ユニットの防水性及び装置全体の組立応用過程においてプライバシー通話機能が実現できる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、前記フレームに固定保持された振動システム及び磁気回路システムとを含み、前記振動システムは、振動膜及びボイスコイルを含み、前記磁気回路システムは、伝達チャンバーと、前記伝達チャンバーを取り囲んで設けられた内磁気ギャップと、前記内磁気ギャップを取り囲んで設けられた外磁気ギャップとを有し、前記伝達チャンバーは、前記磁気回路システムを貫通し、前記振動膜は、第1振動膜と、前記第1振動膜を取り囲んで設けられた第2振動膜と、第3振動膜とを含み、前記第1振動膜の外周縁と前記第2振動膜の内周縁は、いずれも前記磁気回路システムに固定され、前記第2振動膜の外周縁は、前記フレームに固定され、前記第3振動膜の外周縁は、前記磁気回路システムの前記第1振動膜から離れた側に固定され、且つ前記第1振動膜と前記第3振動膜は、前記伝達チャンバーを密封し、前記ボイスコイルは、前記内磁気ギャップに挿入され且つ前記第3振動膜の振動を駆動する第1ボイスコイルと、前記外磁気ギャップに挿入され且つ前記第2振動膜の振動を駆動する第2ボイスコイルとを含み、前記第2振動膜は、低音の発音に用いられ、前記第3振動膜が発する高音は、前記伝達チャンバーを介して前記第1振動膜により発されることを特徴とする同軸スピーカ。
【請求項2】
前記磁気回路システムは、ヨークと、前記外磁気ギャップに囲まれた主磁部とを含み、前記主磁部は、前記ヨークに固設された第1磁石と、前記第1磁石の前記第1振動膜に向かう側に設けられた第2磁石及び主ポールプレートとを含み、前記第1振動膜の外周縁と前記第2振動膜の内周縁は、いずれも前記第2磁石に固定され、前記第3振動膜の外周縁は、前記ヨークの前記主磁部から離れた側に固定され、前記第1磁石には、第1スルーホールが穿設され、前記第2磁性体には、第2スルーホールが穿設され、前記主ポールプレートは、前記第1スルーホール内に挿入され且つ前記第1スルーホールを前記内磁気ギャップと囲みチャンバーに区画する壁部と、前記壁部に接続され且つ前記第1磁石と前記第2磁石との間に介在される板部とを含み、前記ヨークには、第3スルーホールが穿設され、前記伝達チャンバーは、前記第2スルーホール、前記第3スルーホール及び前記囲みチャンバーを含むことを特徴とする請求項1に記載の同軸スピーカ。
【請求項3】
前記壁部は、連続的な環状構造であることを特徴とする請求項2に記載の同軸スピーカ。
【請求項4】
前記磁気回路システムは、前記ヨークと前記フレームとの間に固設され且つ前記主磁部と間隔を隔てて前記外磁気ギャップを形成する副磁部を更に含むことを特徴とする請求項2に記載の同軸スピーカ。
【請求項5】
前記副磁部は、前記ヨークに固設された第3磁石と、前記第3磁石と前記フレームとの間に固設された副ポールプレートとを含むことを特徴とする請求項3に記載の同軸スピーカ。
【請求項6】
前記第1磁石、前記第2磁石及び前記第3磁石は、いずれも前記振動膜の振動方向に沿って磁化され、且つ前記第1磁石と前記第2磁石は、同じ極が対向して設けられ、前記第1磁石と前記第3磁石の磁化方向は、逆であることを特徴とする請求項5に記載の同軸スピーカ。
【請求項7】
前記第2振動膜は、内膜体と、前記内膜体を取り囲んで設けられた外膜体と、骨格とを含み、前記骨格は、前記内膜体と前記外膜体とを接続する平板部と、前記平板部から前記外磁気ギャップに向かって延在して形成され且つ前記第2ボイスコイルに接続された第1接続部とを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の同軸スピーカ。
【請求項8】
前記骨格は、前記平板部から延在して形成され且つ前記第1接続部と間隔を隔てて設けられた第2接続部を更に含み、前記振動システムは、弾性支持部材を更に含み、前記弾性支持部材は、一端が前記第2接続部に接続され、他端が前記フレームに接続されていることを特徴とする請求項7に記載の同軸スピーカ。
【請求項9】
前記磁気回路システムの対向する両側には、いずれも固定枠が固設され、前記第1振動膜の外周縁と前記第3振動膜の外周縁は、前記固定枠の内壁に固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の同軸スピーカ。
【請求項10】
前記第3振動膜は、第3膜体と、第3ドームとを含み、前記第3膜体の外周縁は、前記固定枠の内壁に固定され、前記第3膜体の内周縁は、前記第3ドームに固定されていることを特徴とする請求項9に記載の同軸スピーカ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気音響変換の分野に関し、特に同軸スピーカに関する。
【背景技術】
【0002】
同軸スピーカとは、2つのスピーカユニットが集積され且つ2つのスピーカユニットが同軸に設けられたスピーカを指す。同軸スピーカの2つのスピーカユニットの音源は、同軸スピーカの正面に位置してもよく、すなわち2つのスピーカユニットの発音方向が同じであり、同軸スピーカの表裏面に位置してもよく、すなわち2つのスピーカユニットの発音方向が異なる。
【0003】
関連技術における同軸スピーカの2つのスピーカユニットは、独立した振動システム及び磁気回路システムをそれぞれ含む。一般的に、2つのスピーカユニットのうちの1つは、高音の発音に用いられ、もう1つは、低音の発音に用いられている。しかしながら、このような同軸スピーカは、下記の問題が存在する。
【0004】
1.2つのスピーカユニットの発音方向が同じである場合、高音変換効率が不足である。
【0005】
2.応用において、2つのスピーカユニットの発音方向が異なる場合、振動システムから音出し口まで長いフロントチャンバを設計する必要があり、それにより2つの振動システムの振動によって発する音声が音出し口を介して発する。しかし、このような長いフロントチャンバにより生成された共振は、エネルギー損失をもたらす。
【0006】
したがって、上記技術的問題を解決するために、新たな同軸スピーカを提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、周波数帯域の範囲を増加させ、高音の変換効率を向上させ、振動振動システムから音出し口までのフロントチャンバの長さを短くすることによりフロントチャンバの共振によるエネルギー損失を減少させるだけでなく、高音ユニットの防水性及び装置全体の組立応用過程においてプライバシー通話機能を実現できることを保証可能な同軸スピーカを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に関わる同軸スピーカは、フレームと、前記フレームに固定された振動システム及び磁気回路システムとを含み、前記振動システムは、振動膜及びボイスコイルを含み、前記磁気回路システムは、伝達チャンバーと、前記伝達チャンバーを取り囲んで設けられた内磁気ギャップと、前記内磁気ギャップを取り囲んで設けられた外磁気ギャップとを有し、前記伝達チャンバーは、前記磁気回路システムを貫通し、前記振動膜は、第1振動膜と、前記第1振動膜を取り囲んで設けられた第2振動膜と、第3振動膜とを含み、前記第1振動膜の外周縁と前記第2振動膜の内周縁は、いずれも前記磁気回路システムに固定され、前記第2振動膜の外周縁は、前記フレームに固定され、前記第3振動膜の外周縁は、前記磁気回路システムの前記第1振動膜から離れた側に固定され、且つ前記第1振動膜と前記第3振動膜は、前記伝達チャンバーを密封し、前記ボイスコイルは、前記内磁気ギャップに挿入され且つ前記第3振動膜の振動を駆動する第1ボイスコイルと、前記外磁気ギャップに挿入され且つ前記第2振動膜の振動を駆動する第2ボイスコイルとを含み、前記第2振動膜は、低音の発音に用いられ、前記第3振動膜が発する高音は、前記伝達チャンバーを介して前記第1振動膜により発される。
【0009】
好ましくは、前記磁気回路システムは、ヨークと、前記外磁気ギャップに囲まれた主磁部とを含み、前記主磁部は、前記ヨークに固設された第1磁石と、前記第1磁石の前記第1振動膜に向かう側に設けられた第2磁石及び主ポールプレートとを含み、前記第1振動膜の外周縁と前記第2振動膜の内周縁は、いずれも前記第2磁石に固定され、前記第3振動膜の外周縁は、前記ヨークの前記主磁部から離れた側に固定され、前記第1磁石には、第1スルーホールが穿設され、前記第2磁性体には、第2スルーホールが穿設され、前記主ポールプレートは、前記第1スルーホール内に挿入され且つ前記第1スルーホールを前記内磁気ギャップと囲みチャンバーに区画する壁部と、前記壁部に接続され且つ前記第1磁石と前記第2磁石との間に介在される板部とを含み、前記ヨークには、第3スルーホールが穿設され、前記伝達チャンバーは、前記第2スルーホール、前記第3スルーホール及び前記囲みチャンバーを含む。
【0010】
好ましくは、前記壁部は、連続的な環状構造である。
【0011】
好ましくは、前記磁気回路システムは、前記ヨークと前記フレームとの間に固設され且つ前記主磁部と間隔を隔てて前記外磁気ギャップを形成する副磁部を更に含む。
【0012】
好ましくは、前記副磁部は、前記ヨークに固設された第3磁石と、前記第3磁石と前記フレームとの間に固設された副ポールプレートとを含む。
【0013】
好ましくは、前記第1磁石、前記第2磁石及び前記第3磁石は、いずれも前記振動膜の振動方向に沿って磁化され、且つ前記第1磁石と前記第2磁石は、同じ極が対向して設けられ、前記第1磁石と前記第3磁石の磁化方向は、逆である。
【0014】
好ましくは、前記第2振動膜は、内膜体と、前記内膜体を取り囲んで設けられた外膜体と、骨格とを含み、前記骨格は、前記内膜体と前記外膜体とを接続する平板部と、前記平板部から前記外磁気ギャップに向かって延在して形成され且つ前記第2ボイスコイルに接続された第1接続部とを含む。
【0015】
好ましくは、前記骨格は、前記平板部から延在して形成され且つ前記第1接続部と間隔を隔てて設けられた第2接続部を更に含み、前記振動システムは、弾性支持部材を更に含み、前記弾性支持部材は、一端が前記第2接続部に接続され、その他端が前記フレームに接続されている。
【0016】
好ましくは、前記磁気回路システムの対向する両側には、いずれも固定枠が固設され、前記第1振動膜の外周縁と前記第3振動膜の外周縁は、前記固定枠の内壁に固定されている。
【0017】
好ましくは、前記第3振動膜は、第3膜体と、第3ドームとを含み、前記第3膜体の外周縁は、前記固定枠の内壁に固定され、前記第3膜体の内周縁は、前記第3ドームに固定されている。
【発明の効果】
【0018】
関連技術に比べて、本発明に係る同軸スピーカは、第2振動膜及び第3振動膜を磁気回路システムの対向する両側にそれぞれ配置することにより、低音及び高音をそれぞれ提供することで、同軸スピーカの周波数帯域の範囲を増加させ且つ高音の変換効率を向上させる。また、第1振動膜及び第3振動膜は、伝達チャンバーを密封するため、第3振動膜が第1ボイスコイルの駆動作用で生成した振動エネルギーは、伝達チャンバーを介して第1振動膜まで伝達し且つそれを振動させて高音を発することができる。このようにして同軸スピーカがその同じ側に高音及び低音を発することができるだけでなく、振動システムから音出し口までのフロントチャンバの長さを短くすることができ、それによりフロントチャンバの共振によるエネルギー損失を低減し、且つ第1振動膜及び第3振動膜は、さらに高音ユニットの防水性を保証することができる。他方では、第3振動膜が関わる振動ユニットは、受話器の応用であってもよく、且つ装置全体の組立応用過程において、ハウジングの背面に孔を開けることで、同軸スピーカの表裏両面の音波を遠接場で相殺することができ、近接場の正面に音波が正常な通話機能を提供し、最終的にプライバシー通話機能を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に関わる同軸スピーカの分解図である。
図2図1に示す同軸スピーカにおける主ポールプレートの構造概略図である。
図3図1に示す同軸スピーカにおける骨格の構造概略図である。
図4図1に示す同軸スピーカの組み立て後の構造概略図である。
図5図4に示す同軸スピーカのA-A方向に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下本発明の実施例における図面を参照して、本発明の実施例における技術的解決手段を明確で、完全に説明し、明らかに、説明された実施例は本発明の一部の実施例だけであり、全ての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的労働をしない前提で得られた全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属するものとする。
【0021】
図1図5を参照して、同軸スピーカは、フレーム1と、フレーム1に固定保持された振動システム3及び磁気回路システム5とを含む。
【0022】
振動システム3は、振動膜6及びボイスコイル7を含み、ボイスコイル7は、振動膜6の振動発音を駆動する。
【0023】
振動膜6は、第1振動膜61と、第1振動膜61を取り囲んで設けられた第2振動膜63と、第3振動膜65とを含む。第1振動膜61の外周縁と第2振動膜63の内周縁は、いずれも磁気回路システム5に固定され、第2振動膜63の外周縁は、フレーム1に固定され、第3振動膜65の外周縁は、磁気回路システム5の第1振動膜61から離れた側に固定されている。
【0024】
ボイスコイル7は、第3振動膜65の振動を駆動する第1ボイスコイル71と、第2振動膜63の振動を駆動する第2ボイスコイル73とを含む。
【0025】
ここで、第1振動膜61、第2振動膜63、第3振動膜65、第1ボイスコイル71及び第2ボイスコイル73は、いずれも同軸に設けられている。このようにして、振動システム3の各振動ユニットが同軸に設けられるようにすることができる。
【0026】
なお、第1ボイスコイル71の駆動作用で、第3振動膜65により生成された振動は、高音を発し、第2ボイスコイル73の駆動作用で、第2振動膜63により生成された振動は、低音を発する(すなわち第2振動膜63は低音の発音に用いられる)。このようにして、同軸スピーカの周波数帯域の範囲を増加させることができる。また、第2振動膜63及び第3振動膜65は、磁気回路システム5の対向する両側にそれぞれ配置されるため、高音の変換効率を向上させることができる。
【0027】
磁気回路システム5は、伝達チャンバー5Aと、伝達チャンバー5Aを取り込んで設けられた内磁気ギャップ5Bと、内磁気ギャップ5Bを取り込んで設けられた外磁気ギャップ5Cとを有する。ここで、伝達チャンバー5Aは、磁気回路システム5を貫通し、第1ボイスコイル71は、内磁気ギャップ5Bに挿入され、第2ボイスコイル73は、外磁気ギャップ5Cに挿入され、且つ第1振動膜61及び第3振動膜65は、伝達チャンバー5Aを密封する。第1振動膜61及び第3振動膜65は、伝達チャンバー5Aを密封するため、第3振動膜65が第1ボイスコイル71の駆動作用で生成した振動エネルギーは、伝達チャンバー5Aを介して第1振動膜61まで伝達し且つ第1振動膜61が振動して(すなわち第3振動膜65が振動する時、第1振動膜61が強制的に振動される)高音を発するようにし、すなわち第3振動膜65が発した高音は、伝達チャンバー5Aを介して第1振動膜61により発される。このようにして同軸スピーカがその同一側に高音及び低音を発することができ、振動システムから音出し口までのフロントチャンバの長さを短くすることができ、それによりフロントチャンバの共振によるエネルギー損失を低減することができるだけでなく、第1振動膜61及び第3振動膜65は、高音ユニットの防水性を保証することもできる。一方、第3振動膜6が関わる振動ユニットは、受話器の応用であってもよく、且つ装置全体の組立応用過程において、ハウジングの背面に孔を開けることで、同軸スピーカの表裏両面の音波を遠接場で相殺することができ、近接場正面(すなわち第1振動膜61が位置する側)の音波が正常な通話機能を提供し、最終的にプライバシー通話機能を実現する。
【0028】
具体的には、磁気回路システム5は、ヨーク51と、外磁気ギャップ5Cに囲まれた主磁部53と、ヨーク51とフレーム1との間に固設され且つ主磁部53と間隔を隔てて外磁気ギャップ5Cを形成する副磁部55とを含む。
【0029】
ヨーク51には、第3スルーホール511が穿設されている。
【0030】
主磁部53は、ヨーク51に固設された第1磁石531と、第1磁石531の第1振動膜61に向う側に設けられた第2磁石533及び主ポールプレート535とを含む。第1振動膜61の外周縁と第2振動膜63の内周縁は、いずれも第2磁石533に固定され、第3振動膜65の外周縁は、ヨーク51の主磁部53から離れた側に固定されている。
【0031】
第1磁石531には、第1スルーホール532が穿設されている。すなわち、第1磁石531は、連続的な環状構造を呈する。
【0032】
第2磁石533には、第2スルーホール534が穿設されている。すなわち、第2磁石533は、連続的な環状構造を呈する。
【0033】
主ポールプレート535は、第1スルーホール532内に挿入され且つ第1スルーホール532を内磁気ギャップ5Bと囲みチャンバー5Dに区画する壁部537と、壁部537に接続され且つ第1磁石531と第2磁石533との間に介在される板部539とを含み、ここで、伝達チャンバー5Aは、第2スルーホール534、第3スルーホール511及び囲みチャンバー5Dを含む。
【0034】
本実施例において、壁部537は、連続的な環状構造である。すなわち、内磁気ギャップ5Bと囲みチャンバー5Dとは、壁部537によって隔てられ、伝達チャンバー5Aは、第2スルーホール534、第3スルーホール511及び囲みチャンバー5Dを含むが、内磁気ギャップ5Bを含まない。理解されるように、他の実施形態において、壁部537は、間隔を隔てて設けられた複数の別体構造で構成されてもよい。すなわち、内磁気ギャップ5Bと囲みチャンバー5Dとは、壁部537の各別体の間の隙間を介して連通してもよく、また、伝達チャンバー5Aは、第2スルーホール534、第3スルーホール511及び囲みチャンバー5Dに加え、内磁気ギャップ5Bを更に含む。
【0035】
副磁部55は、ヨーク51に固設された第3磁石551と、第3磁石551とフレーム1との間に固設された副ポールプレート553とを含む。すなわち、磁気回路システム5は、副ポールプレート553がフレーム1に固定されることで、フレーム1と固定されるようになる。
【0036】
ここで、第1磁石531、第2磁石533、第3磁石551は、いずれも振動膜6の振動方向に沿って磁化され、且つ第1磁石531と第2磁石533は、同じ極が対向して設けられ、第1磁石531と第3磁石551の磁化方向は、逆である。
【0037】
なお、第1磁石531、第2磁石533及び第3磁石551は、人工磁性鋼であってもよく、天然磁石で加工して形成されてもよい。主ポールプレート535及び副ポールプレート553は、いずれも導磁性材料で製造される。
【0038】
更になお、磁気回路システム5は、上記構造に限定されず、例えば、他の実施形態において、副磁部55が設けられなくてもよく、対応的に、磁気回路システム5は、ヨーク51がフレーム1に固定されることで、フレーム1と固定されるようになることが可能になる。或いは、外磁気ギャップは、ヨークと主磁石とが互に間隔を隔てて形成されてもよい。具体的には、ヨークは、第1磁石531に固設された底壁と、底壁から延在して形成され且つ主磁石と間隔を隔てて外磁気ギャップを形成する側壁とを含むように設けられる。
【0039】
図3及び図5に示すように、第2振動膜63は、内膜体631と、内膜体631を取り囲んで設けられた外膜体633と、骨格635とを含み、骨格635は、内膜体631と外膜体633とを接続する平板部637と、平板部637から外磁気ギャップ5Cに向かって延在して形成され且つ第2ボイスコイル73に接続された第1接続部638とを含む。ここで、内膜体631の内周縁は、第2磁石533に固定され、外膜体633の外周縁は、フレーム1に固定されている。
【0040】
図3及び図5に示すように、骨格635は、平板部637から延在して形成され且つ第1接続部638と間隔を隔てて設けられた第2接続部639を更に含み、振動システム3は、弾性支持部材8を更に含み、弾性支持部材8は、一端が第2接続部639に接続され、他端がフレーム1に接続されている。
【0041】
本実施例において、弾性支持部材8は、2つあり、且つ2つの弾性支持部材8は、同軸スピーカの長手方向に沿って間隔を隔てて設けられている。このようにして、弾性支持部材8により第2ボイスコイル73の長手方向での揺動を抑制することができ、それにより発音品質を向上させる。
【0042】
弾性支持部材8は、フレーム1の第2振動膜63から離れた側に固設され且つ第2ボイスコイル73に電気的に接続されたフレキシブル回路板81と、フレキシブル回路板81の第2振動膜63から離れた側に固定されて設けられた補助振動膜83とを含む。
【0043】
本実施例において、磁気回路システム5の対向する両側には、いずれも固定枠57が固設され、第1振動膜61の外周縁と第3振動膜65の外周縁が固定枠57の内壁に固定されている。具体的には、第2磁石533の第1磁石531から離れた側に1つの固定枠57が固定され、ヨーク51の第1磁石531から離れた側にも1つの固定枠57が固定されている。すなわち、第1振動膜61及び第3振動膜65は、いずれも固定枠57により磁気回路システム5に間接的に固定され、このようにして第1振動膜61及び第3振動膜65の対向する両側には、いずれも十分な振動空間を有して第2磁石533及びヨーク51において第1振動膜61及び第3振動膜65の振動を避ける構造を制作することを回避することができ、それにより第2磁石533の体積及びヨーク51の導磁性を増加させることで、内磁気ギャップ5B及び外磁気ギャップ5C内の磁界強度を増加させることに役立つ。
【0044】
なお、第1振動膜61及び第3振動膜65の対向する両側には、いずれも十分な振動空間(すなわち第1振動膜61及び第3振動膜65がいずれも磁気回路システムとの間に一定の隙間を有する)を有するため、本実施例において、伝達チャンバー5Aは、第1振動膜61と磁気回路システム5との間の空間と、第3振動膜65と磁気回路システム5との間の空間とを更に含む。
【0045】
本実施例において、第1振動膜61と第3振動膜65は、同じ構造を有する。第3振動膜65を例として、第3振動膜65は、第3膜体651及び第3ドーム653を含み、第3膜体651の外周縁は、固定枠57の内壁に固定され、第3膜体653の外周縁は、第3ドーム653に固定されている。
【0046】
前記のようなことは本発明の実施形態だけであり、当業者にとって、本発明の創造的構想から逸脱することなく、更に改善することができるが、これらはいずれも本発明の保護範囲内に属するものと理解されるべきである。

図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】