(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】給電回路、チップおよびディスプレイ
(51)【国際特許分類】
H01L 33/00 20100101AFI20240711BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20240711BHJP
G09G 3/32 20160101ALI20240711BHJP
G09G 3/14 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
H01L33/00 J
G09G3/20 612E
G09G3/20 612D
G09G3/20 670C
G09G3/20 611A
G09G3/20 611C
G09G3/32 A
G09G3/20 624C
G09G3/14 J
G09G3/20 622B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528200
(86)(22)【出願日】2021-11-15
(85)【翻訳文提出日】2023-05-10
(86)【国際出願番号】 CN2021130747
(87)【国際公開番号】W WO2022127470
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】202011501641.7
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517380215
【氏名又は名称】北京集創北方科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Chipone Technology (Beijing) Co.,Ltd
【住所又は居所原語表記】Building 56,No.2 North Jing Yuan Street, Beijing Economic Technological Development Area,Daxing District,Beijing 100176,China
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬英杰
【テーマコード(参考)】
5C080
5C380
5F241
【Fターム(参考)】
5C080AA07
5C080BB01
5C080BB05
5C080DD05
5C080DD09
5C080DD12
5C080DD25
5C080DD26
5C080EE01
5C080EE17
5C080FF03
5C080FF09
5C080HH13
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080KK34
5C080KK35
5C380AA03
5C380AB01
5C380AB05
5C380AC08
5C380AC16
5C380BA01
5C380BA08
5C380BA19
5C380CB14
5C380CE03
5C380CE04
5C380CE08
5C380CF22
5C380CF26
5C380CF27
5C380CF41
5C380CF51
5C380DA02
5C380HA06
5C380HA13
5F241BC03
5F241BC06
5F241BC10
5F241BC16
5F241BC17
5F241BC47
5F241BD02
5F241FF06
(57)【要約】
本出願は、給電回路、チップおよびディスプレイを提供する。該回路は、基準回路と、第1カレントミラーユニットと、第1スイッチと、第2カレントミラーユニットと、第2スイッチと、出力段とを備え、前記基準回路は、1次ミラー電流を生成するように構成され、前記第1カレントミラーユニットは、前記基準回路と接続され、前記第1スイッチは、前記第1カレントミラーユニットと接続され、前記第1カレントミラーユニットのオンオフを制御するように構成され、第2カレントミラーユニットは、前記第1カレントミラーユニットと接続され、前記第2スイッチは、前記第2カレントミラーユニットと接続され、前記第2カレントミラーユニットのオンオフを制御するように構成され、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチがオンになるとき、前記第1カレントミラーユニットと前記第2カレントミラーユニットとが、協働してカレントミラーとして形成され、前記1次ミラー電流に対してミラーリング処理を行って、出力電流を得るように構成され、前記出力段は、前記第2カレントミラーユニットと接続され、前記出力電流を出力するように構成される。本出願は、出力定電流源の全電流範囲での電流精度を効果的に高めることができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準回路と、第1カレントミラーユニットと、第1スイッチと、第2カレントミラーユニットと、第2スイッチと、出力段とを備え、
前記基準回路は、1次ミラー電流を生成するように構成され、
前記第1カレントミラーユニットは、前記基準回路と接続され、
前記第1スイッチは、前記第1カレントミラーユニットと接続され、前記第1カレントミラーユニットのオンオフを制御するように構成され、
前記第2カレントミラーユニットは、前記第1カレントミラーユニットと接続され、
前記第2スイッチは、前記第2カレントミラーユニットと接続され、前記第2カレントミラーユニットのオンオフを制御するように構成され、
前記第1スイッチおよび前記第2スイッチがオンになるとき、前記第1カレントミラーユニットと前記第2カレントミラーユニットとが、協働してカレントミラーとして形成され、前記1次ミラー電流に対してミラーリング処理を行って、出力電流を得るように構成され、
前記出力段は、前記第2カレントミラーユニットと接続され、前記出力電流を出力するように構成される
ことを特徴とする給電回路。
【請求項2】
前記第1カレントミラーユニットは、第1増幅器と複数の第1トランジスタとを含み、
前記第1増幅器の反転入力端子が所定電圧信号と接続し、
各前記第1トランジスタのドレインがそれぞれ前記第1増幅器の非反転入力端子と接続され、前記第1トランジスタのゲートが前記第1スイッチを介して前記第1増幅器の出力端子と接続され、前記第1トランジスタのソースが接地される
ことを特徴とする請求項1に記載の給電回路。
【請求項3】
前記第1スイッチは複数の第1サブスイッチを含み、各前記第1トランジスタのゲートがそれぞれ前記第1サブスイッチの一端と接続され、前記第1サブスイッチの他端が前記第1増幅器の出力端子と接続される
ことを特徴とする請求項2に記載の給電回路。
【請求項4】
前記第2カレントミラーユニットは、第2増幅器と複数の第2トランジスタとを含み、
前記第2増幅器は、非反転入力端子が前記第1トランジスタのドレインと接続され、出力端子が前記出力段と接続され、
各前記第2トランジスタは、ドレインがそれぞれ前記第2増幅器の反転入力端子と接続され、ゲートが前記第2スイッチを介して前記第1増幅器の出力端子と接続され、ソースが接地される
ことを特徴とする請求項2または3に記載の給電回路。
【請求項5】
前記第2トランジスタは、NMOSデバイスである
ことを特徴とする請求項4に記載の給電回路。
【請求項6】
前記第2スイッチは複数の第2サブスイッチを含み、各前記第2トランジスタのゲートがそれぞれ前記第2サブスイッチの一端と接続され、前記第2サブスイッチの他端が前記第1増幅器の出力端子と接続される
ことを特徴とする請求項4または5に記載の給電回路。
【請求項7】
前記第1カレントミラーユニットと前記第2カレントミラーユニットとの間に接続されるバッファーをさらに備える
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の給電回路。
【請求項8】
前記基準回路は、
反転入力端子が基準信号と接続する基準増幅器と、
第1端が前記基準増幅器の非反転入力端子と接続され、第2端が接地される外部抵抗と、を備える
ことを特徴とする請求項2~6のいずれか1項に記載の給電回路。
【請求項9】
前記基準回路は、
ゲートが前記基準増幅器の出力端子と接続され、ドレインが前記外部抵抗の前記第1端と接続され、ソースが接地される第3トランジスタと、
ゲートが前記基準増幅器の出力端子と接続され、ドレインがそれぞれ各前記第1トランジスタのドレインと接続され、ソースが接地される第4トランジスタと、をさらに備える
ことを特徴とする請求項8に記載の給電回路。
【請求項10】
前記出力段は、
ゲートが前記第2増幅器の出力端子と接続され、ソースがそれぞれ各前記第2トランジスタのドレインと接続され、ドレインが、駆動される回路と接続される第5トランジスタを備える
ことを特徴とする請求項4~6のいずれか1項に記載の給電回路。
【請求項11】
前記第1スイッチおよび前記第2スイッチのそれぞれと接続し、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチに制御信号を送信するように構成される制御装置をさらに備える
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の給電回路。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の給電回路を備える
ことを特徴とする駆動用チップ。
【請求項13】
前記駆動用チップは、LEDディスプレイの駆動用チップである
ことを特徴とする請求項12に記載の駆動用チップ。
【請求項14】
ディスプレイであって、
請求項1に記載の給電回路を備え、
前記給電回路によりアノードコモンで前記ディスプレイを駆動し、
または、前記給電回路によりカソードコモンで前記ディスプレイを駆動する
ことを特徴とするディスプレイ。
【請求項15】
前記ディスプレイは、LEDディスプレイである
ことを特徴とする請求項14に記載のディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関係出願の相互参照
本出願は、2020年12月17日に中国専利局に提出された、出願番号が2020115016417であり、名称が「給電回路、チップおよびディスプレイ」である中国出願に基づいて優先権を主張し、その内容のすべては本出願に参照として取り込まれる。
【0002】
本出願は、回路の技術分野に属し、具体的に、給電回路、チップおよびディスプレイに関する。
【背景技術】
【0003】
LED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)ディスプレイは、フラットパネルディスプレイであり、複数の小さなLEDモジュールパネルからなり、文字、画像、映像などのさまざまな情報を表示する機器である。LEDディスプレイは、マイクロエレクトロニクス技術、コンピューター技術、情報処理技術を統合したものであり、色鮮やかで、ダイナミックレンジが広く、輝度が高く、寿命が長く、動作が安定で、信頼性が高いなどの利点を有する。このため、LEDディスプレイは、コマーシャルメディア、文化公演、スタジアム、情報発信、プレスリリース、証券取引などの様々な場面に広く応用されており、様々な使用環境の要求を満たすことができる。
【0004】
LEDディスプレイによる表示には、駆動用チップが必要である。しかしながら、従来の駆動用チップの回路において、電流精度が一般的に高くなく、要求を満たすことができない。
【発明の概要】
【0005】
本出願の実施例は、給電回路、チップおよびディスプレイを提供することを目的とする。
【0006】
本出願の実施例は、給電回路を提供する。該給電回路は、基準回路と、第1カレントミラーユニットと、第1スイッチと、第2カレントミラーユニットと、第2スイッチと、出力段とを備え、前記基準回路は、1次ミラー電流を生成するように構成され、前記第1カレントミラーユニットは、前記基準回路と接続され、前記第1スイッチは、前記第1カレントミラーユニットと接続され、前記第1カレントミラーユニットのオンオフを制御するように構成され、前記第2カレントミラーユニットは、前記第1カレントミラーユニットと接続され、前記第2スイッチは、前記第2カレントミラーユニットと接続され、前記第2カレントミラーユニットのオンオフを制御するように構成され、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチがオンになるとき、前記第1カレントミラーユニットと前記第2カレントミラーユニットとが、協働してカレントミラーとして形成され、前記1次ミラー電流に対してミラーリング処理を行って、出力電流を得るように構成され、前記出力段は、前記第2カレントミラーユニットと接続され、前記出力電流を出力するように構成される。
【0007】
任意で、前記第1カレントミラーユニットは、第1増幅器と複数の第1トランジスタとを含み、前記第1増幅器の反転入力端子が所定電圧信号と接続し、各前記第1トランジスタのドレインがそれぞれ前記第1増幅器の非反転入力端子と接続され、前記第1トランジスタのゲートが前記第1スイッチを介して前記第1増幅器の出力端子と接続され、前記第1トランジスタのソースが接地される。
【0008】
任意で、前記第1スイッチは、複数の第1サブスイッチを含み、各前記第1トランジスタのゲートがそれぞれ前記第1サブスイッチの一端と接続され、前記第1サブスイッチの他端が前記第1増幅器の出力端子と接続される。
【0009】
任意で、前記第2カレントミラーユニットは、第2増幅器と複数の第2トランジスタとを含み、前記第2増幅器は、非反転入力端子が前記第1トランジスタのドレインと接続され、出力端子が前記出力段と接続され、各前記第2トランジスタは、ドレインがそれぞれ前記第2増幅器の反転入力端子と接続され、ゲートが前記第2スイッチを介して前記第1増幅器の出力端子と接続され、ソースが接地される。
【0010】
任意で、前記第2トランジスタは、NMOSデバイスである。
【0011】
任意で、前記第2スイッチは、複数の第2サブスイッチを含み、各前記第2トランジスタのゲートがそれぞれ前記第2サブスイッチの一端と接続され、前記第2サブスイッチの他端が前記第1増幅器の出力端子と接続される。
【0012】
任意で、前記第1カレントミラーユニットと前記第2カレントミラーユニットとの間に接続されるバッファーをさらに備える。
【0013】
任意で、前記基準回路は、反転入力端子が基準信号と接続する基準増幅器と、第1端が前記基準増幅器の非反転入力端子と接続され、第2端が接地される外部抵抗と、を備える。
【0014】
任意で、前記基準回路は、ゲートが前記基準増幅器の出力端子と接続され、ドレインが前記外部抵抗の前記第1端と接続され、ソースが接地される第3トランジスタと、ゲートが前記基準増幅器の出力端子と接続され、ドレインがそれぞれ各前記第1トランジスタのドレインと接続され、ソースが接地される第4トランジスタと、をさらに備える。
【0015】
任意で、前記出力段は、ゲートが前記第2増幅器の出力端子と接続され、ソースがそれぞれ各前記第2トランジスタのドレインと接続され、ドレインが、駆動される回路と接続される第5トランジスタを備える。
【0016】
任意で、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチのそれぞれと接続し、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチに制御信号を送信するように構成される制御装置をさらに備える。
【0017】
本出願の実施例は、本出願の実施例による前記給電回路を備える駆動用チップをさらに提供する。
【0018】
任意で、前記駆動用チップは、LEDディスプレイの駆動用チップである。
【0019】
本出願の実施例は、本出願の実施例による前記給電回路を備えるディスプレイをさらに提供し、前記給電回路によりアノードコモンで前記ディスプレイを駆動し、または、前記給電回路によりカソードコモンで前記ディスプレイを駆動する。
【0020】
任意で、前記ディスプレイは、LEDディスプレイである。
【0021】
本出願に係る給電回路、チップおよびディスプレイは、第1カレントミラーユニットに対応して第1スイッチを設置し、第2カレントミラーユニットに対応して第2スイッチを設置することにより、2つのカレントミラーユニットのオフオンをそれぞれ制御し、そして、第1スイッチと第2スイッチとがオンになるとき、第1カレントミラーユニットと第2カレントミラーユニットとが、協働してカレントミラーとして形成され、基準回路により生成される1次ミラー電流に対してミラーリング処理を行って、出力電流を得るように構成され、そして、出力段により出力電流を定電流源電流として出力する。このようにして、出力定電流源のオンオフによる出力電流精度への影響を低減し、内部ループの安定性を向上させ、出力定電流源の全電流範囲での電流精度を効果的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本出願の実施例における技術案をより明瞭に説明するため、以下、本出願の実施例に用いられる図面を簡単に説明する。なお、説明する図面は、本出願のいくつかの実施例を示すものにすぎず、範囲を限定するものではない。当業者は、発明能力を用いなくても、これらの図面をもとに他の関連図面を得ることも可能である。
【0023】
【
図1A】本出願の実施例による給電回路の模式的構成図である。
【
図1B】本出願の実施例による給電回路の模式的構成図である。
【
図1C】本出願の実施例によるカレントミラーリングの原理を示す模式図である。
【
図2】本出願の実施例による給電回路の模式的構成図である。
【
図3】本出願の実施例による給電回路の模式的構成図である。
【
図4A】本出願の実施例による定電流源出力チャネルの回路と等価な回路の構成を示す模式図。
【
図4B】本出願の実施例による定電流源出力チャネルの回路と等価な回路の構成を示す模式図。
【
図4C】本出願の実施例による定電流源出力チャネルの回路と等価な回路の構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本出願の実施例に用いられる図面を参照しながら、本出願の実施例における技術案を説明する。本出願の説明において、「第1」、「第2」などの用語は、区別して説明するためのものにすぎず、相対重要性を明示または暗示するものではない。
【0025】
図1に示すように、本実施例は、給電回路1を提供し、該給電回路1が主に、基準回路10と、カレントミラーリング20と、出力回路30との3つの部分を含む。上記の給電回路1は、定電流源発生回路としてLEDディスプレイの駆動用チップに使用されることができる。基準回路10により内部既定基準電圧VREFと外部抵抗Rextとに基づいて基準電流I0を生成し、そして、基準電流I0をカレントミラーリング20により処理して電流I1を得、そして、出力回路30により、定電流源電流Ioutを生成し、その出力を駆動する。カレントミラーリング20および出力回路30は、LEDのアノードコモン構造に適応するとともに、マルチチャネル駆動能力の要求を満たす必要がある。
【0026】
図1Bに示すように、本実施例は、給電回路1の具体的な一回路を提供する。この回路において、チップ内部のバンドギャップ基準電圧源により基準電圧Vrefを生成し、誤差増幅器OP0とトランジスタPM0と外部抵抗Rextとにより構成される負帰還構造を利用して、下記の基準電流I0を得る。
【数1】
【0027】
トランジスタPM0とトランジスタPM1とにより構成されるカレントミラーにより、精確に整合する電流I1を得る。
【0028】
上記のトランジスタは、MOS(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor、金属-酸化物半導体電界効果トランジスタ)デバイスを採用することができる。実際の応用において、同じ電圧バイアスである場合MOSデバイスの電流がデバイスの寸法に正比例し、同寸法のMOSデバイスを採用すれば、電流比がMOSデバイスの個数によって決められ、MOSデバイスの個数を調整することにより、所要の電流比を得ることができる。本実施例においてトランジスタNM0とトランジスタNM1とトランジスタNM2とがカレントミラーとして機能することができる。以下、カレントミラーリング20の原理を詳細に説明する。
【0029】
カレントミラーリング20の原理は、
図1Cに示すように、トランジスタNM0とトランジスタNM1とのゲート電圧Vg1が同じであり、トランジスタNM2のゲート電圧をVg2にし、トランジスタNM0、トランジスタNM1、トランジスタNM2のドレイン電圧をそれぞれVd0、Vd1、Vd2にすると、Vg1がVg2に等しくかつVd1がVd2に等しい場合、トランジスタNM1およびトランジスタNM2の2つのデバイスが同じバイアス条件にあり、したがって、電流I1が電流I2に等しく、つまり、電流I2が電流I1をミラーリングしたものである。
【0030】
上記の原理に従って、
図1Bに示すトランジスタPM1およびトランジスタNM0の電流分岐回路において、
【数2】
【0031】
ここで、Kが、トランジスタPM1とトランジスタNM0とのミラー比であり、選択されるデバイスの性能によって決められる。そして、誤差増幅器OP1とトランジスタNM0とにより構成される負帰還構造を利用して、トランジスタNM0のドレイン電圧をVCRESと設定し、トランジスタNM0のゲート電圧がVGATEとなり、そして、出力チャネル電流Ioutを精確にミラーリングするため、トランジスタNM1のゲート電圧がVGATEに等しくドレイン電圧がVCRESに等しいようにする必要があり、増幅器DRIVER_OPとトランジスタNM2とにより構成される負帰還ループを利用して、トランジスタNM1のドレイン電圧がNM0のドレイン電圧に等しいように設定し、LEDアノードコモン構造の駆動用チップが2回のカレントミラーリングにより、下記の関係を満たす。
【数3】
【0032】
トランジスタNM0とトランジスタNM1とのミラー比がM:Nであり、このように、外部抵抗Rextとカレントミラーの比率を調整することにより所要の精確な出力電流Ioutを得ることができる。
【0033】
上記の給電回路において、トランジスタNM0とトランジスタNM1とのミラー比がM:Nである。適切な比率を選択すれば、所要の電流精度を満たすとともにトランジスタNM0の分岐電流を抑え、チップの静的消費電力を抑えることができる。
【0034】
図2に示すように、本実施例は、給電回路1を提供し、該給電回路1は、基準回路10と、第1カレントミラーユニット21と、第1スイッチ22と、第2カレントミラーユニット23と、第2スイッチ24と、出力段25とを備える。
【0035】
基準回路10は、1次ミラー電流I1を生成するように構成される。第1カレントミラーユニット21は、前記基準回路10と接続される。第1スイッチ22は、前記第1カレントミラーユニット21と接続され、前記第1カレントミラーユニット21のオンオフを制御するように構成される。第2カレントミラーユニット23は、前記第1カレントミラーユニット21と接続される。第2スイッチ24は、前記第2カレントミラーユニット23と接続され、前記第2カレントミラーユニット23のオンオフを制御するように構成される。前記第1スイッチ22および前記第2スイッチ24がオンになるとき、前記第1カレントミラーユニット21と前記第2カレントミラーユニット23とが、協働してカレントミラーとして形成され、前記1次ミラー電流I1に対してミラーリング処理を行って、出力電流Ioutを得るように構成される。出力段25は、前記第2カレントミラーユニット23と接続され、前記出力電流Ioutを出力するように構成される。
【0036】
任意で、前記第1カレントミラーユニット21と前記第2カレントミラーユニット23との間に接続されるバッファー26をさらに備える。バッファー26は、フィードバックのノイズを低減することができ、電流精度を保証するとともに、負帰還ループの安定性を向上させることができる。
【0037】
任意で、前記第1スイッチ22および前記第2スイッチ24のそれぞれと接続し、前記第1スイッチ22および前記第2スイッチ24に制御信号を送信するように構成される制御装置27をさらに備える。
【0038】
図3に示すように、本実施例による給電回路1は、前記第1カレントミラーユニット21が第1増幅器OP1と複数の第1トランジスタNM0とを含む。前記第1増幅器OP1の反転入力端子が所定電圧信号と接続し、各前記第1トランジスタNM0のドレインがそれぞれ前記第1増幅器OP1の非反転入力端子と接続され、前記第1トランジスタNM0のゲートが前記第1スイッチ22を介して前記第1増幅器OP1の出力端子と接続され、前記第1トランジスタNM0のソースが接地される。
図3において、4つの第1トランジスタNM0で例示する。
【0039】
任意で、前記第1スイッチ22は、複数の第1サブスイッチK0を含み、各前記第1トランジスタNM0のゲートがそれぞれ前記第1サブスイッチK0の一端と接続され、前記第1サブスイッチK0の他端が前記第1増幅器OP1の出力端子と接続される。
【0040】
任意で、前記第2カレントミラーユニット23は、第2増幅器DRIVER_OPと複数の第2トランジスタNM1とを含む。前記第2増幅器DRIVER_OPは、非反転入力端子が前記第1トランジスタNM0のドレインと接続され、出力端子が前記出力段25と接続される。各前記第2トランジスタNM1は、ドレインがそれぞれ前記第2増幅器DRIVER_OPの反転入力端子と接続され、ゲートが前記第2スイッチ24を介して前記第1増幅器OP1の出力端子と接続され、ソースが接地される。
図3において、4つの第2トランジスタNM1で例示する。
【0041】
任意で、前記第2スイッチ24は、複数の第2サブスイッチK1を含み、各前記第2トランジスタNM1のゲートがそれぞれ前記第2サブスイッチK1の一端と接続され、前記第2サブスイッチK1の他端が前記第1増幅器OP1の出力端子と接続される。
【0042】
任意で、バッファー26は、前記第1カレントミラーユニット21と前記第2カレントミラーユニット23との間に接続される。
【0043】
任意で、前記基準回路10は、基準増幅器OP0と外部抵抗Rextとを備え、前記基準増幅器OP0の反転入力端子が基準信号と接続し、基準信号が基準電圧Vrefであり、前記外部抵抗Rextの第1端が前記基準増幅器OP0の非反転入力端子と接続され、前記外部抵抗Rextの第2端が接地される。
【0044】
任意で、前記基準回路10は第3トランジスタPM0と第4トランジスタPM1とをさらに備える。前記第3トランジスタPM0は、ゲートが前記基準増幅器OP0の出力端子と接続され、ドレインが前記外部抵抗Rextの前記第1端と接続され、ソースが接地される。前記第4トランジスタPM1は、ゲートが前記基準増幅器OP0の出力端子と接続され、ドレインがそれぞれ各前記第1トランジスタNM0のドレインと接続され、ソースが接地される。
【0045】
任意で、前記出力段25は第5トランジスタNM2を備える。前記第5トランジスタNM2は、ゲートが前記第2増幅器DRIVER_OPの出力端子と接続され、ソースがそれぞれ各前記第2トランジスタNM1のドレインと接続され、ドレインが、駆動される回路と接続される。
【0046】
図3に示すように、本実施例による給電回路1の原理をより明瞭に説明するため、第1トランジスタNM0がトランジスタNM0:1~トランジスタNM0:4の4つあり、第2トランジスタNM1がトランジスタNM1:1~トランジスタNM1:4の4つあり、第1スイッチ22が第1サブスイッチK0:1~第1サブスイッチK0:4の4つあり、第2スイッチ2が第2サブスイッチK1:1~第2サブスイッチK1:4の4つあると仮定する。これを例にして原理を詳細に説明する。
【0047】
まず、第1カレントミラーユニット21と第2カレントミラーユニット23とのミラー比N/Mの範囲を4~8にし、その目的は、デバイスの性能を満たすとともに、チップの消費電力を抑えるためである。
【0048】
そして、電圧VGATEをバッファー26を介してチャネルにおける第2トランジスタNM1のゲートに送る方式は、電圧VGATEをチャネルにおける第2トランジスタNM1のゲートに直接送る方式に対して、バッファー26により定電流源発生回路と定電流源出力チャネルとが隔てられ、これによって繰り返してオンオフする定電流源出力チャネルに発生するノイズの定電流源への影響が避けられる。マルチチャネル構造において、第1増幅器OP1が複数の第2トランジスタNM1を駆動し、第2トランジスタNM1が、NMOS(N-Metal-Oxide-Semiconductor、N型金属-酸化物-半導体)であり得、第1増幅器OP1の出力ノードにおいて非常に大きな寄生容量を提供し、したがって、バッファー26により、電圧VGATEの駆動能力を高めるとともに、第1増幅器OP1の設計の難易度を低減することができる。
【0049】
また、第1カレントミラーユニット21における第1トランジスタNM0およびそのチャネルにおけるミラー電流を4組に分け、第1サブスイッチK0:1と第2サブスイッチK1:1の制御信号が同じであり、第1サブスイッチK0:2と第2サブスイッチK1:2の制御信号が同じであり、第1サブスイッチK0:3と第2サブスイッチK1:3の制御信号が同じであり、第1サブスイッチK0:4と第2サブスイッチK1:4の制御信号が同じである。上記のスイッチの制御信号が制御装置27により提供される。異なる場面において、電流に対する要求が異なり、各サブスイッチにより異なる組数の第1トランジスタNM0と第2トランジスタNM1とをオンにして組み合わせさせれば、異なるカレントミラーを構成することができ、出力電流Ioutの範囲が比較的大きい前提で定電流源の精度を高めることができる。容易に理解するため、以下で原理を説明する。
【0050】
図4A~
図4Cは、本実施例による給電回路1における出力定電流源チャネル回路の等価回路を示す模式図である。
図4Aは、定電流源出力チャネルと発光ダイオードLEDとが接続されるときの回路図である。デバイスのミスマッチに起因した誤差だけを定電流源の主な誤差源とした場合、出力定電流源チャネルにおいて主にVoff1(カレントミラーを構成するNMOSトランジスタの閾値電圧の等価オフセット電圧)およびVoff2(DRIVER_OP1の等価入力オフセット電圧)の2つの誤差源がある。
図4Aに示す回路に対して、
図4Bに示す等価回路を構成することができ、さらに、
図4Cに示す等価回路を構成することができ、このとき、
図4Aに示す出力定電流源の電流が
図4Cに示すバイアスするNMOSトランジスタの電流と等価である。
【0051】
実際の応用において、NMOSトランジスタの電流とそのゲート電圧、ドレイン電圧との関係(一部の二次効果を無視)が下記の式で示される。
【数4】
【0052】
μがチャンネルキャリア移動度であり、COXが単位面積あたりのゲート酸化膜容量であり、W/LがMOSトランジスタのアスペクト比であり、VGSがMOSデバイスのゲート-ソース間の電圧であり、VDSがMOSデバイスのドレイン-ソース間の電圧であり、VTHがMOSデバイスの閾値電圧である。
【0053】
電圧Voff1および電圧Voff2に起因した電流誤差と、ゲートソース電流I
DSとの比であるΔI
1/I
DSおよびΔI
2/I
DSをそれぞれ計算し、式(2)および式(3)を得ることができる。その計算は、下記のとおりである。
【数5】
【0054】
【0055】
式(2)および式(3)から分かるように、第2トランジスタNM1のゲート-ソース電圧が大きいほど、オフセットに起因した誤差源の、出力電流Ioutへの影響が小さくなる。
【0056】
実際の応用において、チャネル電流が数ミリアンペアから数十ミリアンペアになり、
図3に示す給電回路1が正常に作動するときの回路の接続状態から分かるように、V
DSが、一定に保たれかつ内部で設定した電圧VCRESに等しい。式(1)によれば、W/Lを小さくすること(すなわち、第2トランジスタNM1の個数を減らすことに等しい)がV
GS電圧を大きくすることに相当し、したがって、出力電流Ioutが比較的小さいとき、第1サブスイッチK0:1および第2サブスイッチK1:1だけをオンにし、このときの給電回路1の精度が最適である。第1トランジスタNM0:1、第2トランジスタNM1:1の能力を超えるほど出力電流Ioutが増大するときにさらに第1サブスイッチK0:2および第2サブスイッチK1:2をオンにし、このように、設定する出力電流Ioutの増大に従って、第1サブスイッチK0:1~K0:4および第2サブスイッチK1:1~K1:4を順次にオンにし、すなわち、出力電流Ioutが比較的小さいときに比較的少ないNMOSデバイスをオンにし、チップの電流精度を高めることができる。
【0057】
一般的に、定電流源の電流範囲が数ミリアンペアから数十ミリアンペアまでとても大きく、このような大きい範囲に対して、同じ寸法のMOSデバイスを使用する場合、電流精度の変化がとても大きい。これに鑑みて、本実施例では組分けの概念を提案し、異なる出力電流の設定に対応して、異なる数のMOSトランジスタをオンにし、このように、異なる組合せが異なる電流に対応し、電流の変化が比較的大きいときのチップの電流精度を高めることができる。
【0058】
上記の給電回路1は、第1トランジスタNM0と第2トランジスタNM1とのミラー比M:Nを適宜に選択することにより、電流精度を保証する前提で、チップの静的消費電力を抑えることができる。カレントミラーNMOSトランジスタのゲート電圧VGATEのチャネルにバッファー26を追加することにより、第1増幅器OP1の駆動能力に対する要求が下がり、フィードバックノイズが低減され、電流精度が保証されるとともに、第1増幅器OP1と第1トランジスタNM0とにより構成される負帰還ループの安定性が向上する。定電流源は、組分けの形態を採用することにより、出力定電流源の全電流範囲での電流精度を効果的に保証することができる。本出願の実施例は、上記の実施例による給電回路1を備える駆動用チップをさらに提供する。該駆動用チップが上記の実施例による給電回路1のすべての有益な効果を有するため、その詳細について上記の実施例の説明を参照でき、ここで説明を省略する。任意で、該駆動用チップは、LEDディスプレイの駆動用チップである。
【0059】
本出願の実施例は、上記の実施例による給電回路1を備えるディスプレイをさらに提供する。前記給電回路によりアノードコモンで前記ディスプレイを駆動し、または、前記給電回路によりカソードコモンで前記ディスプレイを駆動する。該ディスプレイは、上記の実施例による給電回路1のすべての有益な効果を有するため、その詳細について上記の実施例における説明を参照でき、ここで説明を省略する。任意で、該ディスプレイは、LEDディスプレイである。
【0060】
図面を参照しながら本発明の実施例を説明したが、当業者は、本発明の精神および範囲を逸脱しない限り各種の変更や変化を行ってもよく、これらの変更や変化も特許請求の範囲に属する。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本出願に係る技術案によれば、出力定電流源のオンオフによる出力電流精度への影響を抑え、内部ループの安定性を向上させ、出力定電流源の全電流範囲での電流精度を効果的に高めることができる。
【符号の説明】
【0062】
1 給電回路
10 基準回路
20 カレントミラーリング
30 出力回路
21 第1カレントミラーユニット
22第1スイッチ
23 第2カレントミラーユニット
24第2スイッチ
25 出力段
26 バッファー
27 制御装置
OP1 第1増幅器
NM0 第1トランジスタ
K0 第1サブスイッチ
NM1 第2トランジスタ
K1 第2サブスイッチ
OP0 基準増幅器
Rext 外部抵抗
PM0 第3トランジスタ
PM1 第4トランジスタ
DRIVER_OP 第2増幅器
NM2 第5トランジスタ
I0 基準電流
I1 1次ミラー電流
Iout 出力電流
Vref 基準電圧
LED 発光ダイオード
【国際調査報告】